「共同参画」2010年 3月号

「共同参画」2010年 3月号

連載 その2

仕事と生活の調和推進だより(17)
内閣府仕事と生活の調和推進室

「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)と最近の経済情勢の影響に関する意識調査」について

経済情勢の悪化を受けて

内閣府では、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の認知度や、1年前と比較した生活時間、収入、生活満足度の変化などについて、最近の経済情勢が与えた影響を把握することを目的として、意識調査を行いました。(※)

今回は調査によって得られた結果のうち、「生活時間の変化と生活満足度の関係」を中心にご紹介します。

1年前と比較した仕事時間の変化

調査では、仕事の時間が減ったと答えた人が22.8%いる一方、仕事の時間が増えたと回答した人も27.7%います。

仕事の時間が減った理由は「経済情勢の悪化による業務量減少」などで、増えた理由は「採用減等による業務のしわ寄せ」など、いずれも経済情勢の影響が多いものとなりました。

生活時間の変化と生活満足度の関係は

経済情勢悪化の影響等により1年前と比較して仕事時間が減少した人の約6割で生活満足度が低下しています。この背景には収入の減少があると考えられます。

一方、1年前と比較して、「組織全体として」「自ら努力して」など、「主体的な要因」により仕事の時間が減った人は、代わりに「家族団らん等の家庭生活」「家族のために行う家事、育児、介護・看護等」など、家族との時間を増やした人の割合が高くなっている結果となりました。

ワーク・ライフ・バランスの一層の推進が必要

仕事時間を減らしたり、仕事時間減少の代わりに家族団らん等の家庭生活の時間を増やした人では、生活満足度が向上した人の割合が全体と比較すると高くなっており、ワーク・ライフ・バランスの改善が、生活満足度の向上に結びついた人も一部にはいたことが分かりました。(図表)

図表 仕事時間が減少したグループと、仕事時間が減少し、かつ、家族団らん等の家庭生活の時間が増加したグループの生活満足度の変化

しかし、そうした人は、全体の中では少数にとどまっており、ワーク・ライフ・バランスの一層の推進が必要と考えられます。

今回の調査では、ワーク・ライフ・バランスの「言葉も内容も知っている」人の割合は、過去の調査と比較して増加しましたが、依然として2割弱にとどまっているという結果になりました。

一方、「言葉を聞いたことがある」人の割合は5割を超えており、ワーク・ライフ・バランスの言葉の認知度は高まってきています。

仕事と生活の調和推進室においては、ワーク・ライフ・バランスの言葉も内容も、広く国民のみなさまにご理解いただき、その取組の輪が広がるよう、積極的に取組を推進してまいります。

○調査対象:全国20歳以上60歳未満の男女2,500人(地域別・性年代別人口構成比で割付)

○調査期間:平成21年12月18日~12月22日

○調査方法:調査会社の登録モニターに対するインターネット調査

http://wwwa.cao.go.jp/wlb/research/pdf/wlb-net-svy-keizai.pdf

(参考)

平成20年後半からの経済状況の悪化の中で、仕事と生活の調和に向けた取組が停滞することを懸念する声が聞かれることから、仕事と生活の調和連携推進・評価部会は、21年4月に「緊急宣言-今こそ仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進を-」を仕事と生活の調和関係省庁連携推進会議と合同で取りまとめました。

この宣言において、仕事と生活の調和の推進は、中長期的・持続的発展につながる「未来への投資」であり、好不況にかかわらず国民運動として着実に進めていくべきものであることを、政労使の枠組みにより改めて確認するとともに、労使団体等の関係組織に周知しました。