「共同参画」2009年 10月号
行政施策トピックス1
女子差別撤廃条約実施状況第6回報告の審議と
最終見解について
男女共同参画局総務課
本年7月23日、女子差別撤廃委員会第44会期(於:ニューヨーク国連本部)において、我が国の女子差別撤廃条約実施状況第6回報告が審議されました。日本は1985年に「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約)」を締結しましたが、同条約第18条に、女子差別撤廃委員会による検討のため、締約国は条約の実施状況に関する報告を自国について条約の効力が発生したときから1年以内に、それ以降は少なくとも4年ごとに国連事務総長に提出することが規定されています。今回の審議は、2003年7月の第4回・5回報告審議以来、6年ぶりの審議となりました。
審議の概要
今次審議では、南野知惠子参議院議員を政府代表に、内閣府、外務省、法務省、厚生労働省、文部科学省、農林水産省等よりなる総勢20名の政府代表団が、約5時間にわたる審議に対応しました。
審議は、冒頭、南野政府代表より約30分間、男女共同参画に係る近年の主要な進展を中心にステートメントを述べ、その後は、11名の女子差別撤廃委員からの質問、意見に代表団が答える形で進められました。
今回の審議にあたっては、80名以上の日本のNGOのメンバーが現地入りし、審議の模様を傍聴しており、委員会からもその関心の高さが評価されました。
委員会からの最終見解
審議を踏まえ、8月18日(日本時間)、我が国の報告に対する最終見解が公表されました。概要は以下のとおりです。
肯定的側面
多くの法令の制定・改正による女性差別の撤廃、男女共同参画担当大臣の任命及び包括的な内容の第2次基本計画の策定、人身取引対策における進展、障害者自立支援法の制定等を通じた障害のある女性への支援、等。
主要関心事項及び勧告
民法の改正、女子差別撤廃条約選択議定書批准の検討の継続、女性に対する差別の定義の国内法への取り込み、国内人権機構の設立、国内本部機構の強化、雇用及び政治的・公的活動への女性の参画促進のための暫定的特別措置の実施、固定的性別役割分担意識の解消、女性に対する暴力への取組、人身取引及び売春被害者の保護及び支援への取組、教育分野における男女共同参画の更なる推進、労働市場における男女平等実現のための取組、ワーク・ライフ・バランス促進のための取組、若年層を対象とした性の健康に関する教育の促進、マイノリティ女性に対する情報提供及び差別解消のための取組、弱者女性に関する情報提供及び取組、等。
フォローアップ
今会期では、我が国の報告に対する最終見解に初めてフォローアップ項目が付加されました。フォローアップ手続とは、最終見解の履行を確実なものとするために、実施状況について次回の政府報告審議を待たずに締約国に情報の提出を求めるもので、昨年7月の女子差別撤廃委員会第41会期で同手続きの開始が決議されました。
上記「主要関心事項及び勧告」のうち、民法の改正と暫定的特別措置の実施の状況に関して、2年以内にフォローアップを行うことが要請されています。
内閣府男女共同参画局HP:
http://www.gender.go.jp/international/int_kaigi/int_teppai/index.html