「共同参画」2009年 2月号

「共同参画」2009年 2月号

行政施策トピックス/国の施策紹介 TOPICS Part2

「働く女性のWORK&LIFE調査」~出産・育児について NPO法人J-Win(ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク)

NPO法人J-Win(ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク)は、2008年10月に、会員企業(約90社)の女性社員を対象に「働く女性のWORK&LIFE調査」を実施いたしました。その中から出産・育児に関する部分に関しての調査報告をご紹介します。

目的と背景  

男女雇用機会均等法施行から20年以上たった今、多くの女性が管理職として、あるいはプロフェッショナルとして活躍しています。また、少なくとも大企業においては、出産・育児と仕事の両立ができる環境が整ってきました。しかしながら、子供を育てつつ第一線で働いている女性は未だに多くはない状況にあります。当報告の目的は、経済面・制度面で比較的恵まれている大企業で働く女性の調査を行うことで、これまでの制度では解決できない少子化問題の本質に迫り、豊かで活力のある社会を目指す為の処方箋を探ろうとするものです。

調査概要  

対象:J-Win会員企業・女性正社員/実施形式:Webアンケート/回答数:3,951名/回答者属性:平均年齢36.2歳、管理職約3割、既婚・未婚ほぼ半々、子供がいる人は約3割

出産への課題  

理想の子供の数は2人との回答が61%と最多であったが、現実には子供がいない人が70%と大多数であった。理想の子供の数と実際の子供の数にギャップがある人の理由は20代では「キャリアロス*が不安・仕事を優先」「まだ先でいい」が多く、30代以降になると「不妊」が急増、30代後半からは子供を産めない一番の理由となっている(図参照)。キャリアの中断への恐れ、出産のタイミングが子供を持とうとする働く女性の課題であることが伺われる。(*キャリアロス:仕事から離れることによる知識・専門性の低下、評価・昇進面でのマイナスなどのこと)

育児の実態と仕事面での変化  

ワーキングマザーの育児実態に関して、育児休業取得率は82%と制度利用は進んでいる。一方で主要な育児の担い手は依然として女性(82%)であり、安心して子供を預けられるのは配偶者よりも祖父母との回答が多かった。また、仕事と育児との両立で変化したことについて、仕事面で時間の制約はあるものの「効率的な働き方ができるようになった」「視野が広がった」などプラスの影響をあげる人も多かった。

国・企業への期待  

少子化対策として有効な施策は「保育サービスの多様化」「ベビーシッター費用等の税制優遇」などがあげられた。一方で制度よりも「意識改革」を求める意見も多かった。女性に限定せず「すべての人が家庭や地域生活を大切にしながら働くべき」で、それには「男女問わず長時間労働の是正が必要」との声が寄せられた。男性の家事・育児への参加や働き方の多様化を進める施策を求める声も多く、男女共同参画社会への総意が視られた。

理想の子供の数と実際の子供の数にギャップがある人の理由

NPO法人J-Win(ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク)/企業内のダイバーシティ・マネジメントを推進することを目的とした企業会員制の組織。会員数94社。会員企業からは約260名の女性幹部たちが参画している。理事長は、内永ゆか子。本調査報告の詳細はホームページでhttp://www.j-win.jp/(連絡先)TEL : 03-3667-3100