「共同参画」2008年 10月号

「共同参画」2008年 10月号

巻頭言

「浦島太郎体験セット」をご存じだろうか。耳栓、視野狭窄効果のある眼鏡、手袋、さらには重り付きのベストや靴など、高齢者と似た体や心の状態を疑似体験できる一式のことだ。これを付けて歩くと、ものすごく怖い。信号の色が分からないし、交差点に近づいてきた車に気づかない。駅や歩道橋の階段の上り下りがひと苦労だし、買い物では小銭の出し入れに手間取る。

かつて留学先の米国の大学でも同じような体験をした。あるテーマについて賛成か反対か自分の考えを述べる。次に真逆の立場で意見交換をする。つまり賛成者は反対者の気持ちで、反対者は賛成者になったつもりで議論するのである。とんでもなく大変だった。

島国に生まれた私たちは、自分と違う異質なものを受け入れることに慣れていない。たとえば国が女性の割合を3割まで高めようと一生懸命旗を振っても、女性管理職はまだまだ少数派だ。男同士それなりの秩序をもって仕事をしてきたのに、女性だからと重用される。そりゃあ釈然としないだろう。だけど、いきなり抜擢された側だって戸惑っているはずだ。大切なのは、相手の気持ちを思いやること。まずは相手の立場でものを考える訓練から始めたい。

産経新聞社 編集委員 早坂 礼子
産経新聞社 編集委員
早坂礼子

主な予定

10月11日・12日 男女共同参画フォーラム(京都府)
10月17日・18日 日本女性会議2008とやま(主催:日本女性会議2008とやま実行委員会、富山市)
10月19日 男女共同参画フォーラム(横浜市)
10月24日 全国男女共同参画宣言都市サミット(山形市)
11月1日 男女共同参画宣言都市奨励事業(富山県高岡市)
11月7日 全国男女共同参画宣言都市サミット(出雲市)
11月12日~25日 女性に対する暴力をなくす運動(主唱:男女共同参画推進本部)
(11月25日 女性に対する暴力撤廃国際日)
11月15日 男女共同参画宣言都市奨励事業(兵庫県加西市)
11月30日 男女共同参画宣言都市奨励事業(福井県鯖江市)
12月20日 男女共同参画宣言都市奨励事業(広島県熊野町)