野田大臣の記者会見

記者会見を行う野田大臣

平成30年5月28日、野田大臣は記者会見を行いました。

1.冒頭発言

本日、メディア関係者の方々や関係省庁にお集まりいただきまして、セクシュアル・ハラスメント対策に関するラウンドテーブルを開催いたしました。出席者のプライバシーを確保するため、記者の皆様にも事前にはお知らせせず、非公開で実施させていただきましたが、会議の内容については、支障のない範囲で私からブリーフィングさせていただきますので、お許しいただければと思います。

私自身、連休中にセクシュアル・ハラスメントの実態について、メディア関係者を中心に相当数の方からヒアリングをさせていただき、様々な被害の実態というのを直接お聞きいたしました。大変凄惨なものばかりでございました。その中で、メディア業界におけるセクシュアル・ハラスメントの問題は被害を訴えられない方も多く、根深い問題であるということを改めて認識をいたしました。

私としてはセクハラの予防、実際に被害があった時の適切な対応、そして、再発防止を考える責任ある立場にある人たちが直接被害の実態を聞くとともに、こうした問題が二度と起こらないように、再発防止策を関係者揃って検討する必要があると思い、本日関係者にお集まりをいただきました。

具体的には名前は明かせませんが、現場での取材経験のある数名の女性の記者の方たち、メディア経営層から数名、そのほか、関係省庁としては内閣人事局、人事院、厚生労働省、内閣府が出席したところです。

出席者の皆様方には、それぞれの立場からセクハラの被害の実態とか、現在の課題、そして、これからの改善策についてご発言をいただきました。その後、意見交換を行いましたが、この会議を通じて私が分かったことは、現行制度の枠組みの下で本来できるはずのことが、実際にはできていないということ、このことを把握することができました。

メディアと行政は、ある意味緊張感のある関係でなければなりませんが、女性の人権を守り、メディアにおける女性の活躍を進めるため、協力すべきであるとの考えも共有できたところです。今日いただきました様々な御意見を踏まえて、具体的な対策についてさらに検討を進め、今国会中にセクシュアル・ハラスメント対策を取りまとめていきたいと考えています。

主だった御発言について、少し御披露させていただきます。

まず、被害に遭った女性記者たちの皆さんからは、セクハラは相手を人として尊重しないことの現れ。メディアの上層部は自社の社員を守ることに取り組んでほしい。また、今回の事案を見ると、メディアも政治も行政も、出し切る膿はまだある。財務省前次官のセクハラ問題では、他の財務省職員や他社の女性記者も、前次官のセクハラ言動を見聞きしていた。みんなで声を上げていれば、女性記者1人があのような告発をしなくても済んだのではないか。

また、ジェンダー、性暴力について書こうとすると、社内の上層部でストップがかかってしまう状況。各社の現在のセクハラ研修は効果がない。トップを含めた研修を、また、ロールプレイを採り入れて被害者の気持ちが分かるような研修をしていただきたい。

最後に、セクハラの相談がしづらい理由は、相談したあと会社が守ってくれるのか、そのあとどうなるのかということが分からないから。セクハラ、パワハラは男性も当然含まれているわけですが、予防には、意志決定の場に多様性が必要。セクハラの意識を高くすることは、放送内容にも反映してくる。24時間働けてこそ記者ということがある。人事評価の内容を変えていく必要があるというような意見がございました。

また、メディアの経営者層の方ではいくつかあるのですが、代表的に、自らの身をセクハラの危険にさらしてまで、する必要のある取材はない。セクハラがあった場合には社員を守り、毅然とした態度で臨む。相談することで社員が不利益を受けることがないように取り組む、といった趣旨の発言をいただいたところです。

いずれにしましても、真摯な議論ができたことを感謝し、しっかりそれを生かしていき、再発防止強化策に取り組んでいきたいと思っています。以上です。

2.質疑応答

Q:概要的なこととして、先ほどメディア関係者、関係省庁ということだったと思うのですが、だいたい何人ぐらいで、時間的には、今日の夕方ということだと思うのですけど、だいたい何時間、お時間は。

A:今日の夕方、1時間半行いました。内閣府の会議室で行いました。人数は全員で15人ぐらいです。

Q:今後の展開なのですけれども、一応、大臣、今国会中に対策を出したいということなのですけれども、今後の展開について教えてください。

A:例えば、少し触れさせていただくと、まず、人事院の研修において若い人たちの研修は義務なのですけれども、幹部研修というのは必要があればということで、ほとんど研修がなされていませんでした。セクシュアル・ハラスメントの現場はやはり、権力、地位、力のある者がない者に対してハラスメントを行うということを踏まえて、研修のあり方を抜本的に見直していこうというような話もございました。
 一番大切なことは、慣行になってしまっていて、ジャーナリスト、記者さんと取材源というか、官僚との関係性がいびつで、対等ではない。そういうことを是正するために企業としても毅然として、今後はきちっとした取材を実施するために記者さんをしっかり守っていくということを、きちっと取り組んでいく。個別の企業が取り組んでいくことだと思いますが、そもそもそういう慣行をなくしていこうとか。あとは、デスクに女性がほとんどいない状況にあって、男女雇用機会均等法によると、セクシュアル・ハラスメント対策が事業主に義務づけられているのだけど、日々の責任者はデスクになるので、そこで遮断されている。そういうことがあっても我慢しなければいけない環境とか、自ら自分の仕事を守らなきゃいけないというところで言いづらいとか、本当に女性の記者さんは自分のお仕事を大切にしていて、愛しておられるので、ずっと継続していきたいという中で我慢してきたという長い歴史があるやに聞いています。そういうものをなくして、取材源との対等な取材をすることで、より民主主義に資する良い情報を国民に受け渡していただきたいということも、そういう話の中でさせていただいています。

Q:今日御意見をお聞きになって、例えば若手じゃなくて、幹部職員の研修強化というような、1つお示しがありましたけども、現段階で研修強化以外に、どのようなことをお考えになっているか教えてください。

A:今、各担当の役所と打ち合わせをしていて、もう少しほかのことについては時間をかけていかなければならないので、ここでは発表することができないのですが、必ずこの国会開会中にはしっかり方向性を出したいと思いますので、お待ちいただければと思います。

Q:2つありまして、1つは、今回メディアの関係者に話を聞いて、それでということなのですけど、まとめられる対策というのは、メディア関係者以外も含めたような対策になるのかどうかということについて。

A:今回のラウンドテーブルのきっかけになったのは、財務省のセクシュアル・ハラスメントのことだったので、当事者は女性記者と、そして、官僚のトップということでありました。これもきちっと、今後ないようにしなければならないとともに、その調査をしていく上で、その関係性が、例えば大企業の社員と営業している会社とか、または下請けの関係性にも若干似ているところがあって、その人に嫌われてしまうと情報が取れないという感覚と、その人に嫌われてしまうと商売が取れないとか、そういうことで、実は汎用性があるというか、すべてに、民間企業の皆さんにも良い意味で影響を及ぼせるのではないかと思います。

Q:もう1つ、すみません。以前、罰則について少し言及されていましたけれども、その後もいろいろお話を聞かれている中で、罰則についてのお考えというのは、よっぽどのことなのか、どうなのかというのを含めて。

A:法律を作るかどうか。

Q:はい。

A:確かにフランスで大変厳しい法律ができたということを、皆さんの方からも情報としていただいていますが、今回のラウンドテーブルの中でも法律の話が出ましたが、まずは実効性あるものをつくる。法律がすべてを解決してくれるとは、私は立法府にいて、法律を作ったから犯罪がなくなるということはなかなかないけれども、少なくとも今起きてきたような事案を完全に止められるような、法律を越えるようなプラクティカルなやり方もあるだろうということで、いろいろ今、担当部局と相談をしているところです。法律は時間もかかりますし、今国会というのはなかなか意見のとりまとめが難しいでしょうから、まずは未然に防げるような対策を打つ。そして、そういうことのケースを徹底させるようなことを第1に取り組みたいなと思います。

Q:今国会中に結論を出すということですけど、今国会もある程度後ろが見えてきています。ある程度、いつぐらいの時期というのがあれば教えていただければと思いますが。

A:今国会中としか考えていなくて、まだいろいろ詰めなければならないこともあるので、なるべく限られた時間でも、良いものを発出したいので、ひょっとしたらギリギリ最終日になるかもしれませんけれども、今の段階でベストなものを出したいというふうに思っています。

Q:もう1点、今日いろんな女性記者の話を聞いて、率直な、どんな感想を。

A:私は連休中にお話を聞きまして、身も震える思いでした。なぜそういうことをされなければならないのか。ジャーナリストとして正しい情報を得たいと思っている、そういう気持ちを踏みにじるような性的な嫌がらせというか、そういうことを本当に多くの女性の記者たちが長年にわたって受けてきたということ。私としてもかつて、浪人中にそういうことがあって、今でも非常に悔しいというか、その時の自分が情けないと思うのですが、内容についてはプライバシーに関わる、特定されると困るので言いませんが、今回の加害者は官僚ということになりますが、それは必ずしも官僚だけでなくて、私たち政治家の仲間たちもひどいという話を聞きましたので、これもしっかり取り組んでいかなければならないなと思いました。

Q:実効性のある対策ということですけれども、大臣は放送事業者を所管する大臣でもありますが、例えば放送事業者や新聞など、マスコミ各社に対して対策を申し入れるなど、そういった部分もまた検討されているのでしょうか。

A:私は今回、女性活躍担当大臣ということで、全く総務大臣ではない立場でメディアの人たちとお話をする機会をいただきました。立場によって関係性が微妙に変わってきます。そこで求められることは、それぞれ、各社、各社でこういう事態を踏まえて、男女問わず良いジャーナリストを育てていくためには、結果として企業の発展につながるわけですから、それをきちっとやるという1つが、このセクシュアル・ハラスメントの撲滅であると思います。
 トップでいるが故に、途中で握り潰されたこともいろいろあったと思いますけど、相当被害状況をつぶさに聞いていただいたので、そういった意味では、トップとしてのやるべきことを果たしていただくのが、一番風通しが良いありようだと私は思います。

Q:今後の展開なのですけれども、今、男女共同参画会議で一応提言が出ている形になっていて、6月の上旬に全閣僚出席の方針が出ると思いますが、そことの関係性はどうですか。それとはまた別立てですか。

A:もちろん、この間発出した会議の中のセクシュアル・ハラスメントのコンテンツを踏まえて、それに肉付けというか、具体策を出していくというふうに考えていただければいいと思います。あとは、総理が本部長を務めている会議も国会開会中にありますので、そこも照準を当てて発出できるかなと思います。だから、リンクはしています。

Q:すべての女性が輝く社会づくり本部の重点方針がゴールだと考えたらいいでしょうか。

A:まだそこまで決めかねていますが、これは本当に由々しきことなので、相当重いメッセージとして伝えることができればというふうに考えています。

Q:あと、今回のヒアリングは今回限りですか。

A:今回限りです。それに基づいて再発防止の強化策を作っていきたいと思います。

Q:今日参加されたメディア関係者、数名の記者とおっしゃいましたが、皆さん記者ということでよろしいですか。

A:そうです。企業に属されている方もいれば、フリーランスも様々。

Q:メディアの業態で分けると。もし可能であれば。テレビも新聞もあり。

A:様々、いろいろ、ジャーナリストとひとくくってお呼びしたのですけれども。

Q:先ほど、男女共同参画会議もありますし、総理が議長の女性が輝く社会づくり本部があるというお話がありましたけども、今回の対策、指針みたいなものは、大臣が男女共同参画大臣として発表なさるという理解でよろしいでしょうか。

A:まだ検討中ですが、これは大変由々しきことなので、内閣の重点項目だと私は思います。だから、誰がというよりは、安倍総理ときちんと相談して、今日の検討状況を御報告しながら、どういう形でプレゼンするかは今後決めたいと思います。総理に指示を仰いで。

Q:そうすると、どうしても議論がいろいろ広がっていってしまう問題だと思うのですけれども、基本的にはメディアと、それから、特に今回は省庁の官僚の方。そこに少し政治家のことも加える形で、だいたい形作っていくようなことになるでしょうか。

A:具体的にどういうケースの場合というよりも、今回起きてしまった、事前に取り組まれていなかったこととか、これを足さなければならないこととか、そういうことを議論できればいいなと思います。