令和元年度 男女共同参画社会づくりに向けての全国会議 開催報告

男女共同参画週間の中央行事として、令和元年6月25日(火)に東京国際フォーラム(東京都千代田区)において、令和元年度「男女共同参画社会づくりに向けての全国会議」が開催されました。

<主催者挨拶・基調講演>

池永肇恵内閣府男女共同参画局長による主催者挨拶と基調講演により幕開けとなりました。

池永局長からは、2012~2018年の6年間で女性の就業者数が288万人増加(就業者数全体の増加384万人の75%)するなど、近年の取組により女性活躍が確実に進展してきている一方で、女性に対する暴力やハラスメントなどが女性の活躍の大きな妨げになっていることを述べられました。また、女性活躍推進法の一部改正や政治分野における女性の参画拡大、女性活躍関係の国際会議の開催など、政府の取組について説明がありました。

基調講演写真

<特別応援メッセージ>

続いて、定年間際にパソコンをはじめ、アプリ開発で注目を集めた若宮正子さんから、男女共同参画社会を目指すための応援メッセージをいただきました。若宮さんは、「一人一人が輝く社会になれば、(性別も含めた)差別がなくなる。そのためには、あらゆる機会をとらえて自ら勉強し、新しい時代に必要な存在となることが必要。輝く、たくさんの個人の力で、日本を元気にし、世界に貢献するようになることを期待している。」と会場のみなさんを勇気づけました。

特別応援メッセージ写真

<取組事例紹介>

取組事例紹介では、地域おこし協力隊として東京から十日町市に移住しブルワリーを開設した『妻有ビール(株)』代表取締役の髙木千歩さん(新潟県)、復興まちづくりの担い手としての女性の人材育成・社会進出を支援している『特定非営利活動法人石巻復興支援ネットワーク“やっぺす”』代表理事の兼子佳恵さん(宮城県)、女性のキャリアアップの機会を支援している『(株)シードハウス』代表取締役の小林コトミさん(神奈川県)にご登壇いただき、それぞれの取組についてご紹介していただきました。

取組事例紹介写真

<多様な選択を可能にする学びに関する調査報告>

平成30年度に内閣府が実施した「多様な選択を可能にする学びに関する調査」について、調査報告が行われました。

報告は、内閣府男女共同参画局の宮崎千晶調査官が進行役となり、調査検討委員会の委員を務めた立命館大学産業社会学部教授の筒井淳也さん、リクルートワークス研究所調査設計・解析センター長の萩原牧子さんにご意見を伺う形で行われました。

国内に住む男女6,000人を対象とした調査結果について、進路選択で重視した点や家族からの影響(性別を理由にした発言があったかなど)、社会人になってからの学び直しの状況、性別役割分担をはじめとするジェンダー意識など、報告の内容は多岐にわたりました。

調査報告書写真

<パネルディスカッション「多様な選択を可能にする学びの充実」>

立教大学社会学部教授の萩原なつ子さんをコーディネーターに迎え、日本大学薬学部薬学研究所上席研究員の大坪久子さん、昭和女子大学ダイバーシティ推進機構キャリアカレッジ学院長の熊平美香さん、大和総研研究員の是枝俊悟さん、大阪市立男女共同参画センター中央館(クレオ大阪中央)館長の沢田薫さんの4名のパネリストにご登壇いただき、「多様な選択を可能にする学びの充実」をテーマにディスカッションを行いました。

男女共同参画社会の実現に必要な教育(アンコンシャスバイアス、ライフプランニングなど)や、女子学生の理工系教育、リカレント教育、学び直しなどについて意見交換を行った後、議論のまとめとして、4人のパネリストの方々に、キーワードを考えて発表していただきました。

沢田さん『セルフ・エフィカシー』

「自己効力感」と言う。チャレンジして失敗しても、そこから得られるものがある、と考え、それを積み重ねていきながら、「自分はできる」という自己効力感を高めていくことが大切。

是枝さん『男の子も家庭づくりを学ぼう!』

家庭のことというと女性、というふうに思われてしまうが、男の子に対しても、どうやって自分の家庭をつくっていくか、そのための働き方・子育てのあり方はどうなのか、教えていくことが重要。

熊平さん『誰もが自分らしく生きる・学ぶ・貢献する社会が人を幸せにする』

男性か女性かというのも確かに個性の一部として存在するが、一人一人というところにもっと目を向け、性別も関係なく本当に自分らしく、そんな社会を皆で一緒に作っていきたい。

大坪さん『“無意識のバイアス”5W1Hをみつけよう』

「いつ・だれが・どんなときに・どこで・だれに対して・どうやってバイアスが出てきているか、いつも気を付けて見つけましょう。

最後に、コーディネーターの萩原さんから、社会とどうつながっていくかのソーシャルキャリア、男女が協力して生きることでお互いが幸せになること、可能性を広げるための教育の機会が平等であることが、結果として一人一人の多様な働き方や生き方に結び付いていく、と締めくくりのお話がありました。

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