仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会(第15回)議事録

  • 日時: 平成20年12月25日(木) 13:00~15:00
  • 場所: 永田町合同庁舎第1共用会議室

(出席委員)

佐藤
会長
植本
委員
岡島
委員
鹿嶋
委員
勝間
委員
川島
委員
川本
委員
小室
委員
杉山
委員
高橋
委員
武石
委員
永木
委員
羽入
委員
牧野
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 「多様な人々の能力発揮を実現する仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)推進のあり方」について
  3. その他
  4. 閉会
佐藤会長
ただいまから「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」の第15回の会合を始めさせていただきます。年末のお忙しい中、御出席いただき、ありがとうございます。
 初めに、今回から、紀陸委員に代わりまして、川本委員に新しく御参加いただいておりますので、一言ごあいさつをお願いいたします。
川本委員
日本経団連の川本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
佐藤会長
よろしくお願いします。
 それでは、本日の議事を進めさせていただきます。
 7月に開催されました前回の専門調査会では、事務局の素案を基に、今後検討する新しいテーマについて議論をしていただきました。
 本日は、今後検討する新しいテーマについて、前回の皆様の議論を踏まえて修正していただいたものを用意していただいていますので、それについて、まず事務局から御説明していただきます。
 その後、新たなテーマの検討に必要な企業ヒアリングやアンケート調査の進め方について、また皆さんの御意見をいただきたいと思います。
 それでは、説明をよろしくお願いします。
調査課長
それでは、御説明をさせていただきます。
 最初に、資料の確認ですが、議事次第をごらんください。本日は、資料を6点用意しております。最初の資料は、本調査テーマにつきまして、考え方を整理したものです。
 資料2といたしまして「ワーク・ライフ・バランス」と「能力発揮」につきまして、既存の調査・研究の結果から簡単にまとめたものを用意しております。
 資料3といたしまして、企業インタビュー調査について。
 資料4と5は、こちらで企画しております意識調査の関係の資料であります。
 資料6といたしまして、雇用者以外の就業者のデータをまとめたものを御用意しております。
 参考資料といたしまして、最近、内閣府で作成いたしましたワーク・ライフ・バランスに関しますパンフレットと、ワーク・ライフ・バランスの実現度指標の検討のためのワーキング・グループが作業を開始しておりますので、その関係の資料を参考で付けております。
 では、資料1~3につきまして、御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、資料1ですが、こちらは、新しい調査テーマにつきまして、考え方を整理させていただいたものでございます。
 1ページ目に、趣旨といたしまして、まず確認までに、専門調査会におけるこれまでの検討の経緯を簡単に書いております。ワーク・ライフ・バランスの取組みの大きな方向性につきまして、昨年の7月に「ワーク・ライフ・バランス推進の基本的方向」という報告書をまとめていただいております。これの内容も受けまして、同年12月に「ワーク・ライフ・バランス憲章」が策定されまして、その後、専門調査会といたしましては、今年の3月になりますが「仕事と生活の調和」実現度指標を公表いたしまして、また、4月には「企業が仕事と生活の調和に取り組むメリット」といったものを公表しております。
 以上のような経緯でありまして、これによりまして、ワーク・ライフ・バランスの考え方でありますとか、推進の方向性については、既に整理されたということかと思います。
 こういう状況を受けまして、男女共同参画会議として何をしていくかというところを(2)のところに簡単に書いてございます。
 基本的な視点といたしましては、仕事と生活の調和の推進が、実際に社会の各分野における女性の参画につながっているかどうか、そういった観点から検討していく必要があるのではないかと考えまして、こうした問題意識を受けまして、今年の6月に、新たなテーマを参画会議の方に御提案をさせていただいております。「多様性時代において様々なニーズを抱えた男女がそれぞれ持てる能力を存分に発揮できる男女共同参画社会を実現するために、仕事への意欲向上、能力発揮を促すことに留意した『仕事と生活の調和』の取組推進について」調査検討を行うこととされています。ちょっと長いんですが、キーワードとしては「能力発揮」というものを実現するためと考えております。
 資料の2ページ目に移っていただきまして、こちらは7月1日の専門調査会で一度御提案させていただいたものを、同日の議論を踏まえまして、整理させていただいたものでございます。大きく2点について整理させていただいております。
 最初のものは、「企業・組織における能力発揮と仕事と生活の調和」ということなんですが、この問題を考えていくに当たりまして、重要な視点としては、仕事と生活の調和の推進が、すべての人を対象として、人事評価も含めた働き方全体の見直しとなっているかという視点が重要ではないかと考えております。これは、ワーク・ライフ・バランスの推進が、すべての人ではなくて、特定の人のためのものということで進められるケースもあり得るということで、①②と書いておりますが、その場合、ワーク・ライフ・バランスは実現できるけれども、なかなか責任のある仕事はできないと。そうしたグループが組織の中にできてしまう可能性もあるのではないかということであります。これは、以前から、両立支援、雇用均等は、同時に推進しなければいけない問題として既に提起されていたわけでありますけれども、そうした問題意識に沿ったものでございます。
 こうした状況を避けるために、例えばどういうところを見ていくかということなんですが、男性や管理職、そういった立場の人もワーク・ライフ・バランスが実現できるのか、働き方全体の見直しがなされているか、適正な人事・評価というものがなされているか、そうした視点を考えていく必要があるのではないかということであります。また、正社員などの負荷の高い働き方に消極的な方々もいると思いますが、そうした方々も、ワーク・ライフ・バランスの展望があれば、積極的な視点に変わると、そういった可能性もあるのではないかという問題意識も持っております。
 2点目が「雇用者以外の就業者の仕事と生活の調和」ということでありますけれども、専門調査会でまとめていただきました基本的方向におきましては、やはり問題の重要性ということで、企業・組織に属する雇用者の問題を中心に検討をしていただいたわけでありますけれども、多様な人々の能力発揮ということを考える際には、企業・組織に属さない就業者の問題も考えていく必要があるのではないかと考えております。ここでは、自営業者、それから、農林水産業に従事されている方々といったところを考えているわけでありますけれども、こうした方々は、生活時間のコントロールは自ら行いやすいという印象もありますが、実際に女性の起業家の方が、家事や育児・介護などを理由に就業をやめる確率は男性よりも高くなっているとか、農家におきましても、農業経営に参画していくためには、子育ての支援が必要ではないか。こういった問題は幾つかの調査からはわかっております。そうした立場によった多様な課題が存在することを整理していく必要があるのではないかというのが2点目の問題意識でございます。
 3ページ目をごらんいただきまして、以上のような問題意識を踏まえまして、調査テーマとしては、2つに整理をさせていただいたということでございます。少し補足をさせていただきますと、7月1日の段階では、地域におけるワーク・ライフ・バランスの提案もさせていただいたんですが、これは今回は落としております。それは、7月1日の議論では、地域社会に男性がどうやって参加していくかと、そうした問題が重要ではないかという議論になったかと思うんですが、最近、男女共同参画会議の基本問題専門調査会におきまして、「地域における男女共同参画推進の今後の在り方について」といった報告書をまとめていただいたんですが、そちらの問題意識と重なるところもございまして、今回は、その問題は取り上げないという形で整理をさせていただいております。
 2.は、作業項目について、整理をさせていただいたものでありますが、まず、企業・組織におけるワーク・ライフ・バランスの検討のために、作業といたしましては、既存の調査・研究のサーベイを行うということ。それから、後ほど御説明したいと思いますが、企業に対するインタビューを行いたいと。そうした材料を整理いたしまして、課題の整理をしていきたいというふうに考えております。
 4ページ目をごらんいただきたいと思うんですが、(2)として書いておりますのは、これも後ほど御説明させていただきたいと思いますが、こちらで「男女の能力発揮とライフプランに関する調査」という意識調査を企画しております。この調査は、ワーク・ライフ・バランスだけではなくて、幾つかの調査課題を併せて調べたいと考えているんですが、この中で、ワーク・ライフ・バランスに関しましても、幾つかの問題について分析を試みたいと考えております。具体的には、ワーク・ライフ・バランスや能力発揮の可能性というものが、結婚・出産に際しての女性の就業継続・中断の判断にどう影響しているかということ。それから、基幹的な働き方に対する積極性などにどのように影響するか。こういったところの分析を試みたいと考えております。
 それから、雇用者以外の就業者については、既存の調査・研究の整理、少しインタビューなどもさせていただいて、そうしたものを通じまして課題の整理を行っていきたいと考えております。
 作業スケジュールについては、目標といたしましては、例年5月~6月ぐらいにかけて男女共同参画会議が開催されますが、そちらに成果を報告できるような形でとりまとめていければと、専門調査会といたしましては、数回程度の検討でまとめていければと考えております。
 資料2といたしまして、ただいま申し上げたうちの企業・組織の問題について補足させていただくという意味で、既存の調査・研究について簡単にまとめたものをごらんいただきたいと思います。
 資料2の1ページ目ですが、これは調査課題について、少し考え方を整理させていただいたものでございます。
 ワーク・ライフ・バランスの制度につきまして、今、さまざまな制度の整備の取組みが行われているわけでありますけれども、制度整備につきましては、それがあるだけではなくて、実際に利用できる環境整備が必要であろうと。そのためには、職場の雰囲気づくりでありますとか、代替要員の確保でありますとか、そうしたところが重要なのではないか。それから、多様な人材の活用につなげるためには、そのための取組みも必要であろうと。それから、職場の効率化でありますとか、残業を減らすといった効率化自身の取り組みが必要であろうと。こうしたものが組み合わさりまして、さまざまな効果が出ると、最終的には、多様な人材の能力発揮でありますとか、意欲の向上、企業組織のパフォーマンスの向上といったものにつなげていきたい。こういう効果が期待されているわけですけれども、これを実現するには、実際には様々な課題があるのではないか。好影響を引き出すためのポイントは何か、それから、何が課題となっているのか、この辺りを今回の調査を通じましてまとめていきたいというふうに考えております。
 2ページ以降は、関連の既存の調査等の抜粋でありますけれども、2ページ目の表は、先進企業の取組みとして、どのようなものがあるかと。これは今まで行われてきましたインタビューを抜粋したものでありまして、イメージとしてごらんいただければと思います。
 3ページ目は、支援制度としてどんなものがあるかというところで、これは個人に対するアンケート調査でありますけれども、導入されている制度、実際に利用したかった制度というような聞き方をしておりまして、実績が多いものとしては、短時間勤務などが多いですが、ニーズはあるけれども、なかなか使えないという点では、フレックスタイムでありますとか、在宅勤務などを見ますと、利用したかったという人はかなり多いんですが、実際に使っている人は余り多くないといったところがわかります。
 4ページ目は、多様な人材の能力発揮という点で、既存のインタビューから抜粋したものであります。これも参考でごらんいただければと思います。
 5ページ目以降は、女性の登用の拡大について、何が重要なのかということを聞いたアンケートが幾つかございますけれども、同じようなデータだと思いますが、調査の中では、例えば人事考課が重要であるというような結果が出ております。
 5ページ目は、21世紀職業財団の調査でありますが、公正な人事考課を実施した企業が48.2%といった数字になっております。
 6ページ目は、厚生労働省が行いました調査でありますが、ポジティブ・アクションに取り組んだ企業の具体的取組みといたしまして、今まで行ったこととしては、人事考課基準を明確にするということが一番多いとか、今後行うべきこととしましては、上から6番目になりますけれども、教育訓練を積極的に実施するといったところが35%と、一番多くなっているということがわかります。
 7ページ目は、これも21世紀財団の調査でありますが、女性管理職を増加させる取組みとしまして、昇進・昇格基準の明確化、評価・査定基準の明確化といったことが上位になっております。
 8ページ目は、こども未来財団の調査でありますけれども、末子誕生時の休暇・休業取得に対する復帰後の評価に関する意識ということで、評価に影響することはないと考えている人が、女性では35%、男性では27%といった状態で、影響ないと思っている人は、不安も少ないという結果になっております。下の帯グラフを見ていただきますと、不安を感じている方につきましては、男女差はかなりありまして、女性の方が不安を感じている人が多いということがわかりますが、これは、休暇取得期間の違いもあるかと思いますので、その辺りも注意して見る必要があるかなと思います。
 9ページ目以降は、就業中断・就業継続に能力発揮というのがどの程度影響しているか、それを見るためのデータを幾つか集めております。
 9ページ目は、就業構造基本調査でありまして、こちらは能力発揮にかかる選択肢はないんですが、理由としては、結婚とか育児が多いというところがあります。
 10ページ目は、男女共同参画局で以前に行いました調査でありますが、第1子の出産・子育て時の離職理由といたしまして、やはり家事・育児とか、体力・時間的に厳しいといった選択肢が多いんですが、4番目に「両立の努力をしてまで続けたいと思える仕事ではなかったから」、これが仕事のやりがいに関係すると思うんですが、15.8%と、それほど高くはないという結果になっております。
 11ページ目は、辞めなかった理由という聞き方をいたしますと、やはり経済的に必要だというような理由などが多くなるんですが、「仕事にやりがいを感じていたから」というのも3番目に高く、25.2%というような結果になっております。
 12ページ目は、21世紀職業財団の調査でありますけれども、「会社を辞めずに踏みとどまれた理由」につきまして、やはり「生活のため」というのが一番高いんですが、やりがい、それから、仕事に対する責任感、使命感、仕事から得るものが多いといった選択肢が、特に総合職の方では高くなっているということがわかります。
 13ページ目は、これも21世紀財団の調査ですが、就業継続に必要な事項といたしまして、やりがいがかなり高く出ていることがわかります。やりがいについては、一番重要であるということではないわけですが、これは、調査の設計におきまして、選択肢の設定の影響もあるのではないか。生活のためとか育児のためという選択肢がありますと、それが高く出るでしょうから、この辺りを少し工夫すれば、将来の能力発揮に関する展望の影響というものがうまく分析できるのではないか、という問題意識を持ちまして、意識調査を企画したいと考えております。
 14ページ目は、先ほど申しましたワーク・ライフ・バランスが実際の効果にどう影響するかという関係なんですけれども、これは内閣府の以前行いました調査を使っておりますけれども、そのワーク・ライフ・バランスがとれているほど、仕事への意欲が高いという結果が出ております。
 15ページ目は、こども未来財団の調査でありますが、時間の柔軟性が高いほど満足度は高いということが出ております。
 16、17ページ目でありますが、これは、ワーク・ライフ・バランスと男女共同参画を同時に推進していくことの重要性ということで、今回の調査テーマにおきましては重要な視点だと考えております。16ページ目は、これも内閣府で以前行いました調査でありますけれども、子育て、女性登用ということで、子育てをする人が働きやすいかというところと、女性の登用に積極的であるかというところで企業を分類いたしまして、それぞれについて、仕事への積極性というものを調べたものでありますけれども、両方に積極的な企業、○が両方付いている企業におきましては、仕事への積極性が高いということになっております。女性登用だけに積極的な企業も、意欲は高いですが、よく見ますと、両方取り組んでいる方が、例えば独身女性とか、独身男性においても高くなっておりまして、やはり施策を組み合わせていくことの重要性ということが出ているのではないかと思います。
 17ページ目、こちらは実証分析を簡単にまとめたものですが、引用させていただきました文献は、18ページ目に並べておりまして、佐藤先生や武石先生の御研究から抜粋させていただいたものでございますけれども、例えば文献の1で申しますと、インプリケーションといたしましては、両立・均等を重視する企業におきましては、女性の活躍の場の拡大が実現できている。それから、妊娠・出産を契機に退職する女性が少ないといったような効果があるということ。
 それから、2番目の調査で言いますと、「ファミフレ度」「均等度」。これはそれぞれ指標を作りまして、そうしたものと経常利益の関係を見ますと、経常利益に正の影響を与える。
 そういうような結果が出ておりまして、全体としては、こうした施策を組み合わせていきますと、企業業績には良い影響が出るのではないかと、そうしたことが実証されていることを御紹介するための資料でございます。既存調査につきましては、まだ体系的には整理できておりませんが、この辺りを手がかりにしまして、今後も作業をいたしまして、少し体系的に整理したいというふうに考えております。
 資料3でございますが、調査のもう一つの内容といたしまして、企業インタビューを考えております。
 1ページ目に、趣旨とか、問題意識を書いておりますが、これは先ほどと重複いたしますので、簡単に御説明いたしますけれども、この企業インタビューの視点といたしましては、2.の3つ目と4つ目の○でありますけれども、先ほど少し申しましたように、ワーク・ライフ・バランス、それから、均等の促進といったような取り組みが、企業業績などにどういう影響を与えるのか、それを期待しているわけですが、実際、そうした効果を出すためには、いろいろな創意工夫をしたり、いろいろな壁にぶつかって、それを解決するための取り組みをしなければならないのではないかと考えております。そうした成功の秘訣でありますとか、その解決すべき課題に着目して調べていきたいと考えております。今までは、ワーク・ライフ・バランスにつきましては、好事例の収集という趣旨で、かなり沢山の調査が行われてきていますが、それから少し観点を変えまして、今、何が課題になっているのかといったところを整理できるような調査にしたいというふうに考えております。
 2ページ目は、調査方法ですが、余り沢山聞くことも、作業的な負担もございまして、数社と書いておりますが、5、6社くらいにつきまして、まず考えてみたいというふうに考えております。
 インタビューの対象といたしましては、人事担当者でありますとか、ワーク・ライフ・バランス推進の担当だけではなくて、実際にマネジメントをされている管理職の方でありますとか、制度を利用した社員の方でありますとか、そうしたところへのインタビューというものも試みてみたいと考えております。
 インタビュー項目につきましては、まだイメージの段階ですが、3ページ目以降、簡単に書かせていただいております。今後、適切な質問としていくためにどうすればいいかということを更に考えていきたいと思っております。
 その次に、非公表として、資料を1点お配りしておりますが、企業インタビュー候補のリストなんですけれども、これは、この中から必ずインタビューしたいというものではありませんで、一応企業選定のイメージとしてお示しするという趣旨でございます。インタビュー先については、もし、ここに聞いたらいいというような候補先がありましたら、是非、御紹介いただきたいと考えておりまして、小室委員から、すでに何社か御紹介いただいておりますけれども、他にも何かいいものがあれば、是非、御紹介いただきたいと考えております。ここで示しましたものは、少し単純な基準で選んだものでありまして、「くるみんマーク」を取得しているということと、均等・両立の表彰を受けているというふうなところで選んだものが候補リストになったということであります。
 候補リストの2としまして、2ページ目にありますが、これは、やはり「くるみんマーク」の取得に加えまして、ファミリー・フレンドリー企業部門の受賞でありますとか、ファザリング・ジャパン、第一生命が行いましたアンケートの結果ですとか、そうした情報を加味して選んだものであります。こうして選んだものですが、ワーク・ライフ・バランスに関して、有名な企業が入っていないのではないかという印象をお持ちかもしれませんが、1つは、これまでインタビュー調査もかなり行ってきておりまして、そこで対象になった企業は、今回は除いた形で考えております。
 3ページ目に、これまでにインタビューを実施しました企業のリストを御参考までに付けております。
 これは、あくまで、現段階の選定のイメージということでお示しさせていただいたものでありまして、その他の委員の皆様から御紹介いただいた企業を含めまして、どこを聞いていくかというところは検討していきたいというふうに考えております。
 資料1~3の説明につきましては、以上でございます。
佐藤会長
どうもありがとうございました。
 資料1~3までですけれども、まずは、資料1のこの専門調査会でこれから新たに何について検討をするのかということを、前回の議論を踏まえて整理していただいていますので、まず、これについて御質問なり、御意見を伺えればと思います。
 資料1の初めの方から、これは、前の専門調査会の少子化と男女共同参画に関する専門調査会のときに、女性が働きながら、結婚や子育てを希望する場合、その両者を実現するためには、働き方の見直し、ワーク・ライフ・バランスの推進が非常に大事だということを提案し、それは今回のワーク・ライフ・バランスの「仕事と生活の調和推進のための行動指針」に結びついて、それで整理されたわけですけれども、要するに、男女共同参画を進めていく上でも、ワーク・ライフ・バランスが必要だという形で議論してきたんです。他方、そのワーク・ライフ・バランスを推進していけば、自動的に今度は男女共同参画が進むかというと、実はそうではないということがありますので、今回の専門調査会は、男女共同参画会議の下に設置されている専門調査会ですので、「仕事と生活の調和推進」ということが他方で進みながら、その中で、女性の活躍の拡大を進めていくためにどういう取組みが必要かということに少し焦点を絞って検討をしようかということのようです。
 3ページにありますように、1つは、雇用セクターと雇用セクター以外に分けて、雇用セクターについて言えば、ワーク・ライフ・バランスが進んでも、例えば女性が特定の仕事だけで能力発揮できる、これでは困るわけであります。ですから、ワーク・ライフ・バランスが実現できる働き方になると同時に、女性も活躍できるというような、ここでは多様な人材という、勿論、女性だけじゃなくてですけれども、コアは女性になると思いますが、そういうことを考えていくということ。
 もう一つは、雇用セクター以外で、農業・自営業セクターのワーク・ライフ・バランスについてと、女性の活躍の拡大と、両方考えていただくとありがたいですけれども、そういうことを議論しようということのようです。
 資料1について、御質問なり、御意見をまず伺って、その後、資料2について御疑問があれば、インタビューというふうに進められればと思います。
 まず、資料1について、こういう整理でいいかどうかということで、入口のところですので、どなたからでも。わからないということで、もうちょっと説明してほしいということでも結構ですし。
勝間委員
確認ですけれども、ワーク・ライフ・バランスが整って、かつ男女共同参画の推進が行われれば、この日本は明るくなって、企業業績が良くなるというストーリーにしたいのでしょうか。どうも、その流れがよくわからなかったのですが。
佐藤会長
それはいかがでしょうか。一応、企業業績や生産性との関係も検討しようということなのでしょうか。
調査課長
ワーク・ライフ・バランスと男女共同参画が両方実現できれば、自動的に企業業績も上がると考えているわけではないですが、ただ、そこに結びつけていくために、何を工夫すればそこに結びついていくのだろうかというのが問題設定でありまして、そのための視点でありますとか、どういう課題があって、それをどうクリアしていけばいいのかというところをできれば整理したいということです。自動的にすべてがハッピーになるということを前提として議論をしているわけではないですが、そこを期待しているということです。
勝間委員
その場合、提案ですけど、中途半端な書き方をするぐらいだったら、そこははっきりと言ってしまって、ちゃんと課題も含めて道筋を示すということでポジションを取りませんか。何かそこでもやもやとすると、またもやもやとしてしまう議論が、何かワーク・ライフ・バランスと男女共同参画があると、企業業績も良くなって、いいなというメッセージだとよくわからなくなります。
佐藤会長
勝間さんは、そういうふうになるよと書いた方がいいということですか。
勝間委員
ええ、それは実証研究ではっきり出ているので、それはなりますよというメッセージの方がいいのではないかということです。
佐藤会長
実証研究の場合は、他の条件が同じならば、ですね。逆に言うと、ワーク・ライフ・バランスがとれて、女性が活躍できても、経営戦略が間違っていたら企業は成り立たないので。だから、そこは難しいところで、やれば自動的にパフォーマンスが良くなるわけではない。ただ、他の条件が一定であればよくなるだろう、やっぱり人材活用が大事だと思いますので。そういう意味では書いてもいいと思うんですが。ただ、そうなると会社が良くなると思われても困るので。多分、勝間さんもそういう趣旨だと思います。いかがでしょうか。
高橋委員
3ページのところで、今回2つの軸に分けられていると思うんですけれども、となると、一般生活者の層というのは、先ほどおっしゃった地域社会の問題で、そちらの方で議論をされるという理解でよろしいのか。
 2ページの中段のところの「消極的な層」という書き方があり、一方で、「正社員などの負荷の高い働き方に消極的な層も存在すると思われる。」と書かれていますが、その中間のマージナルな部分の人たちというのがどこで扱われるのかなという、ちょっと疑問があるんですけれども、それはここでは議論はしないとしても、全体の流れの中ではどういった位置づけになってしまったのかなということをお聞きしたい。
調査課長
一般生活者の問題ということを御指摘いただいたんですが、最初の提案からは少し焦点を絞っておりまして、そこは別途審議するというわけではなくて、今回の調査では、ここに絞ってやりたいということで考えております。前回、地域の視点ということで少し御議論いただいたときは、ワーク・ライフ・バランスとの関係でどう考えるべきかというところは、実は余り明らかにならず、地域社会への男性の参加とか、そうしたものを進めるにはどうしたらいいかというような問題になっていったような印象を受けておりまして、少しワーク・ライフ・バランスとはずれてくるのかなという印象を持ちましたので、今回は、別途調査するというよりは、少し絞ったという形で整理をさせていただいております。
 消極的な層というものをどこに位置づけるかということなんですが、2ページ目にこれを書かせていただきましたのは、後ほど御説明したいと思うんですが、意識調査を1つ企画しておりまして、その中でこうした問題を分析できないかという問題意識を持っております。それも広い意味では能力発揮の展望といったものとかかわってくるだろうということで、分析から何か有益な結果が出れば、反映させていきたいと思っているんですが、調査全体の位置づけとしては、そのような形で考えております。
高橋委員
ということは、今までの議論の中には、ライフコースというのは人生とともに姿形を変えるので、あるときには消極的なことがあるだろうし、あるときには非常に労働市場に積極的に出ていって、ワーク・ライフ・バランスも非常にハードなバランスのとり方をする人もいるだろうし、そうでない人もいるだろう。そういう意味で言いますと、今回のこの考え方というのは、相当絞り込んだライフ・ステージのある段階を切り口にとらえようという視点と理解してよろしいんでしょうか。
佐藤会長
私の理解でよければ、まず、政府の「仕事と生活の調和憲章」は、国民すべてということで、当然、無業者の人なども入っているわけですけれども、今回は、まずは現時点で言えば、働いている人を対象にする。但し、その人が、ある時期休業を取ったりして働かなくなることも勿論それは想定している。ただ、まずは今働いている、それは雇用者の人、非雇用の人を含めて考えるということ、1つの整理ですね。今は無業、あとは高齢者でリタイア、その人たちは対象になってないというのが1つの整理です。
 もう一つは、前者の消極的というのは、ここでは、多分結婚して、子供が生まれて、好きな仕事を続けたいと思っているという人でも、仕事との両立が大変で、長時間労働もあり、それをだんだんあきらめる。夫もですね。自分が子育てと仕事の両立というと、やっぱりほどほどの仕事でというように、本来の希望と異なってくる人については、希望する方向に移れるような仕組みを考える。ただ、今は積極的に短時間でいい、それは否定するわけではなくて、多分そういう人も入るのではないか。ただ、本人はそう思わなかったけれども、結果としてそうせざるを得ないような人たちについては、そういう能力発揮したいという人が、本来の希望を活かせるような働き方にしようということを検討されているのかなと私は理解しています。とりあえず、そのぐらいでいいですか。
高橋委員
はい。
川本委員
2ページ目ですけれども、2つ目の「・」のところです。「例えば」ということで①②に分けられているんですが、ここの中の表現で「責任のある仕事には就かない」あるいは「就ける」ということなんですけど、どんな仕事でも、それぞれ責任はあるので、こういう出し方をすると、そういう仕事をされている方から見ると、我々は責任のない仕事をやっているのかというイメージになって、外に文章が出るとすれば、余り好ましい表現だと思わないので、「責任の範囲が広い仕事には就ける」とか、少し工夫された方がいいのではないかと思います。以上、意見です。○板東局長 何か形容詞を付けさせていただきます、重いとか。○鹿嶋委員 私もそこが引っかかっていたんですけれども、これは単純な2分類でいいんですかね。仕事と生活の調和は実現できないし、責任ある仕事にも就けないというグループが今出ているわけで、要するに、今のような状況になると、ワーク・ライフ・バランスは、かつてこれがスタートした時点のワーク・ライフ・バランス論と技術的に変えていった方がいいと思うんですよね。今は、これはちょっとのんきな発想になってしまうんですよね。今の時節柄を見てみると。どう証明できるかというと、複合職業がかなり出てきているわけですよ、ダブル・ワーカーがね。となってくると、彼らはワーク・ライフ・バランスはできません。責任云々は別としてね。やはり生きがいを感じられるような仕事に就いてないわけですよね。そうすると、この二項対立だけでいいのかなという、この金融危機の前なら、これはいいと思うんですよ。今はちょっと違うかなと感じて読んでいたんですよね。
佐藤会長
実際は、組み合わせというのは4つあるわけですよね。4つの中から2個書いただけなので、両方実現できてない層もあるわけで、検討していただきます。
 今みたいになってくると、労働時間だけで言うと削減されて少ない、ある面では、表面上ワーク・ライフ・バランスが実現できるような状況が出てきてしまうという問題もあるんですよね。それで取組みしなくていいという議論が出てくると、また困るところもあって、中身は変わってないんだけれども、働き方とか、考え方は変わってないんだけれども、従来のような過度の長時間残業がなくなるような職場も出てきているという問題もある。そういう意味ではワーク・ライフ・バランスを推進しなくてもいいという議論も出かねないような状況もある。ほかにはいかがでしょうか。
杉山委員
鹿嶋委員の御意見にも共感するんですけれども、これだけ状況が悪い中で、今、ワーク・ライフ・バランスと言ったときに、ちょっとぼんやりした感じになってしまうともったいなので、だから今、ワーク・ライフ・バランスなんだというぐらいの何かここからメッセージが発せられるようなものを打ち出せたらいいのかなと思っていて、その分労働時間が短くなったというところを押さえてどうなるのかということを見るとか。
 あとは、2ページの②のところなんですけれども、どちらかというと継続就業のことを例えば女性の場合もイメージしていると思うんですけれども、一旦仕事を辞めて、子育てが一段落ついてからもう一回仕事に戻るというような人たちの能力発揮というのも忘れられていたんですが、もう一回見直していただいてみるとか、今までと少し違う視点なども入れてみていただけたらいいかななんて思ったので、以上です。
永木委員
よく似た意見なんですけれども、仕事と生活の調和が実現できるかということと、責任ある仕事に就くか就かないかというのは、2つ対比してしまった段階で、もう既に、仕事と生活の調和というのは、何かすごくレベルの低い話になってしまって、福祉政策というか、助けるためのものというような形で、仕事と生活の調和というのは本来もっと違うもので、充実したワーク・ライフ両方をエンジョイするというか、実践していくということだとすれば、この2つを並べることがちょっとおかしいのではないかなと思います。
佐藤会長
川本委員が言われた、表現は別として、この2つがよくないということなので、これを変えるということが多分事務局の提案だと思います。ですから、そういう意味では、充実した仕事もできるようなワーク・ライフ・バランスというのは大事だから、①と②と両方ともだめという趣旨で提案されていると思います。ただ、確かにそういうふうに受け取られない可能性もあります。
勝間委員
先日、山口和男先生とか、パク・ジョアン・スックチャさんとかと、年末にずっと話をしていまして、1つ大きな結論に至ったのは、ワーク・ライフ・バランスが福利厚生としてとらえられている面が非常にまだ高いので、その点については、はっきり日本の戦略であるし、企業の戦略であるというメッセージ性をもっと打ち出せないかという話をしていました。今回、私が望むのは、是非そういうこの1の(2)の話も含めまして、メッセージ性を出してほしいなと思います。
佐藤会長
勝間委員の言うのはよくわかるんですが、多分それは、この前の報告ですでに書いているのかなと思っていて、確かにまた言うということは大事かもわからないですが。○勝間委員 そうなんですね。皆忘れますし。『日経新聞』の一面のタイトルになるぐらいまで。
佐藤会長
手続的に、ワーク・ライフ・バランスの推進は一応流れができたと。それは今、勝間委員が言われていることを含めてやっていただかなければいけないんだけれども、その上で、ここは男女共同参画ということで、その中で、男女共同参画という視点が忘れられては困るので、今度そっちの点に少しシフトを置いて、ワーク・ライフ・バランスを進めながら、同時に女性の活躍や拡大をどう進めていったらいいのかというと、少し重点を移したらどうかなという御提案なんですね。こっちを忘れろという意味ではないし、今、勝間委員が言われたこともすごく大事で、それはそうなんですけれども。こっちのことをもう一度ちょっと言った方がいいということですね。
勝間委員
はい。そうしないと必ず出てくるのが、女性が好きで短時間労働をしているんだろうとか、女性が好きでそういう責任がなるべくない仕事をしているんだよという議論が必ず出てくるんですよ。なので、それを避けたいということですね。
佐藤会長
特に今みたいな経済情勢だと、また福利厚生だからやれないんだとか、経営状況が悪いからやれないし、やる必要もないんだみたいな議論になってしまいますので、確かにその点はもう一度、状況が変わってきますので、踏まえた方がいいかもわかりませんね。
 いかがでしょうか。2ページのところは、いわゆる正規の職員と働いている人だけでなくて、一旦辞めて、パート等として復帰して、初めはそれでよくても、だんだん正社員の方に移っていきたいという人も含めてね。今は短時間で確かに子育てはしやすいけど、次の仕事に移るのはどうしたらいいかみたいなことも当然入ってくるだろうとは思っています。
岡島委員
今の観点ですけど、この前のセッションのときの議論としては、正規・非正規の問題とかいろいろあるけれども、企業におけるワークライフバランスに絞ってやったと思うんですが、今の状況ですと、非正規雇用の問題がものすごく大きくなっていると思うんです。そういう方たちも含めて考えていくと、多分、働き方のそもそものワークシェアリングとか、制度的な話ともつながると思うんですが、今回は、そういうところまで踏み込むということを考えているのかどうかというのを一つお聞きしたいと思います。
 私も、最初に勝間委員が言われたことと同じ問題意識から発しているんですけれども、今回、会長が言われたように、単なるワーク・ライフ・バランスということだけじゃなくて、男女共同参画社会を実現するための一つの手法として、ワーク・ライフ・バランスというのをどういう形で進めていったらいいのかという、その視点が今回は大きいということだと思います。雇用者以外の就業者の 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)については、課題の整理を行うということですが、男女共同参画社会ということから言ったら、相当大きな問題があると思うんですが、ここは、できればもっと処方箋まで含めて踏み込むけれども、現時点では、まずは課題の整理をしようというお考えなのかどうか。その2点を教えていただければと思います。
調査課長
最初に、非正規雇用者の問題につきまして、制度的な問題、提案まで踏み込むのかということですが、今日お示しした資料1の趣旨としては、企業・組織の問題については、基本的には企業向けのメッセージのようなものを出したいというような趣旨で考えておりまして、あまりこういう制度をつくろうという踏み込んだところまで提案するところまでは考えておりません。
 雇用者以外の問題につきまして、まだ我々も、どういう問題があって、それに対してどういう処方箋が書けるのかというところまで、問題意識が整理されておりませんものですから、課題の整理という書き方をさせていただいておりますけれども、もし、そういう具体的な処方箋まで見えてくれば、是非そういったところも盛り込んで書ければと考えております。
佐藤会長
ほかにはいかがでしょうか。
 資料2について、データについての質問でも結構ですし、あと、ヒアリングですね。インタビュー。一応候補については、同じところに何度も聞くようなことにならないようにということで、一応問題意識の項目がありますから、その辺も少し広げて御意見を伺えればと思います。
羽入委員
資料1のところなんですけれども、先ほどから、勝間委員の御発言以来、議論になっていることですが、佐藤先生のお考えですと、ワーク・ライフ・バランスが男女共同参画社会の実現にどう影響するかというか、そこのつながりを考えていくということが今回のテーマだと思います。男女共同参画社会がいかに日本において重要かということを見通した上での今後の議論にするという必要があるのではないかと思うんですね。それが1つですので、先ほど勝間委員がおっしゃったようなことは、非常に重要なことだと思いますので、忘れないようにということ以上に、その先を見通して委員会で意見をまとめるということが必要ではないかと思います。
 それから、もう一つ、雇用者以外の就業者についてのお話も今ちょっと出ていましたけれども、現時点でとても大きな社会問題になっているわけですので、そこを、仕事と生活の調和という視点から、我々はどういうスタンスをとるのかということは、ある程度ははっきりしておく必要があるのではないかと考えます。
 意見だけですが、以上です。
佐藤会長
もともと、先ほど、今の経済状況とか、非正規の人で議論が出たんですけど仕事と生活の調和憲章の中で、ワーク・ライフ・バランス社会の3つの柱というのは、1番目は経済的自立なんですよね。ですから、当然働く意欲、能力の人はちゃんと働けて、それで食べていけるというのは、ワーク・ライフ・バランス社会の基本と書かれていますから、当然、それは議論していくということになります。その上で、単に食べられればいいわけではなくて、例えば食べられても、すごく長時間労働でも困るわけで、ある程度仕事以外に必要な生活を割ける時間をちゃんと確保できる。それが2番目なんです。
 3番目は、そのときにそういう確保できるというのは、いろいろな働き方が選択できる。それが3番目なので、この3つがワーク・ライフ・バランス社会ということですから、当然、その土台のところは、経済的自立というのがありますので、そのことは当然念頭に置きながら議論をできればとは思っています。
武石委員
資料2、3に関してなんですが、先ほどから出ている非正規の問題が、この全体の中で弱いかなという感じがして、こども未来財団の調査も、佐藤先生と私などがやりまして、これは全部正規社員のデータなんです。ポジティブ・アクションなども全部正規だと思うので、非正規の例えば均衡処遇とか、そういう部分もきちんとこの中に取り込んで、調査をしていった方がいいかなというのは大きな意見です。
 ですから、資料2の2ページのところの取り組み事例のところも、正社員の柔軟な考え方というところだけなので、非正規から正規への転換の仕組みとか、均衡処遇というのも入れるべきであるし、それから、それと関連して、企業インタビューの企業の中にも、そういうことに取り組んでいる流通関係などは積極的にやっていると思いますので、そういう業種も是非入れていただいたらいいのではないかなということです。
佐藤会長
いろいろな調査や研究は正規のところがメインなので、1つは、ワーク・ライフ・バランスを考えるときに、正規のところの働き方が変わらないことにはまずしようがないという。それだけやればいいという議論ではなくて、そこを変えていくということが大事で、そうしないと、非正規から正規に移れる場合とか、特にパートの人とかですね。そういう趣旨で、そこだけやればいいというわけではなくて、そこがわかるような形で議論ができればいいかなというふうには思います。
植本委員
まず、区分けの責任のある仕事・責任のない仕事と、これは分類を4つにしていただけるということで、そこを是非お願いをしたいと思います。傾向として、皆認識をしているというか、ここに2ページのところに書かれている問題意識は、皆それぞれいろいろなデータを見ながら、そうだなと理解をしていく。では、それを改善するためにどうするのかということが具体的にわかるためのことだと思いますので、先ほど、どなたかありました、ライフ・ステージを見つめながら、そういう意味での選択肢で、正規・非正規の場合もあるのと、それから、やむを得ず非正規にならざるを得ないというのと随分違うと思うんですよ。だから、このヒアリングというよりは、個人のアンケート調査をしていただくときの設計などのところで、そういう自立に当たっての基本スタンスみたいなものがはっきりする方が、後々活用するときに道筋が見えやすいなと思います。
 正規のところで考えていくと、実は、ここのデータにもありますが、制度はあるけれども、活用の仕方がわからなかったり、活用を進められないためにさまざまな制度が活用されていないという事例がやっぱりかなりあるんですよ。そのときに、そこの管理者の立場性みたいなものが随分変わってくる。具体的に、例えば私などの職場での経験でいけば、例えば、妊娠をしたということがわかったときに、周りの人にいついつから休むんですなどと申し出ますよね。そして、自分に子供ができるんだと男性が言ったときに、そこの職場の管理職が「君にはこれだけの権利があるんですよ」と説明する。要するに、配偶者が出産をした後の具体的ないろいろな取り扱いについては「あなたにはこれだけの選択肢があります。あなたがこれを選択するときには、私はそれを実現するための責務があるんです」ということを管理職が必ず言うということを実は取り決めた職場があるんです。そうすると、男性の育児休業の率が少しは上がりました。そういうことも含めて、管理者の自覚を促し、それを進めていくのが自分の仕事なんだということの徹底の仕方みたいなものを、例えば企業ヒアリングのところで、具体的に進めていくためにどんなことをやっているのかというのをちょっと深堀りして、根掘り葉掘り聞いていただけるようなヒアリングをしていただけると、とても有り難いなと思います。
佐藤会長
大枠については、こういう方向でということだと思いますが、ただ、もう一度ワーク・ライフ・バランスの必要性なり、意義みたいなものをもう一度きちっと押さえた方がいいだろうということ、それから、男女共同参画の視点、どういう社会を目指すのかということもきちっと踏まえた上で、両者の関係について議論をする。そのときに、今回は働いている人たちですけれども、当然、非正規の人たちも視野に入れて議論をするということ。それから、ライフステージが変わっていきますから、そのことも視野に入れた方がいいだろうというようなお話もありましたので、事務局で、その辺をもう少し整理していただくというふうにしたいと思います。
 いかがでしょうか。よろしいですか。
小室委員
資料3の具体的にヒアリングする内容について、ちょっとざっと見させていただいたんですけれども、もう一点ポイントとして加えていただきたいなと思ったのが、こういった取組みをしたことが、業績面でと言うとちょっと大きくなってしまうんですけど、何かしら職場にプラスがあったか。非常に多いのは、労働時間の削減のための工夫をしたことでコミュニケーションが深まったということはよく言われるんですけれども、仕事と生活の調和という取組みをしたことで、仕事にどうプラスが出たか。できれば、これを取り組んでも、業績は変わらなかったのか、下がったのか、上がったのかぐらい大きいことでもいいんですけれども、そこまで連動して聞いてきていただけると有り難いのかなと思いました。
佐藤会長
特にヒアリングについては、これはまた後で御意見を伺うという形でいいんですが、もし、今、気づかれたことがあれば。
勝間委員
もし今回、ワーク・ライフ・バランスを男女共同参画に絡めるのであれば、日本は、GEMもジェンダーギャップ指数も非常に低いんですけれども、それに対しての絡みというのは何か提言しますか。GEMが54位、ジェンダーギャップ指数が98位ということですので。しかも、これは毎年毎年下がっていますね。
板東局長
GEMについては、最新のものですと、108か国中日本は58位だったんですが、その中で企業の管理職に占める女性の割合を見ると99位ということになっているというのがありまして、賃金差とか以上に、やはり管理職になっていないという辺りに非常に問題があると。ですから、今から男女共同参画、ワーク・ライフ・バランスという問題の分析をしていただく中で、先ほどから責任云々というお話もありましたけれども、上の方のポストに行くときのいろいろなネックという問題があるし、そういうところが我が国全体として、国際的に見たときの相対的な男女共同参画推進という地位という意味では非常に低くしていると、その辺りの話は、当然それに関連して提言はしていかなければいけないとは思っております。
勝間委員
わかりました。是非、その足を引っ張っている仕組みとその構成要因とワーク・ライフ・バランスの関係について、メッセージを出していけるよう希望します。
佐藤会長
管理職が増えていくと、当然、その管理職のキャリアにつながる仕事に乗れるか。今は、当然それはスターティング情報から始まるわけだけど、それが止まってしまうか、上までつながっているかどうか、つながる仕事に入れるかどうかですね。それができれば、賃金差も当然縮小していくと思いますので、そこが一番大事な点だろうとは思います。
 よろしいですか、インタビューの項目。そうすると、インタビューについては、1月9日までに事務局に出していただくという形でよろしいですか。
調査課長
インタビューの方法でありますとか、インタビュー先についての御提案でありますとか、もしおありでしたら、ちょっと短くて恐縮なんですが、1月9日までに事務局あてに御連絡いただければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
佐藤会長
それでは、テーマの方は、本日の皆さんの御意見を踏まえて、資料1のところを直していただくということと、インタビューの方は、今日の御意見、あるいは9日までに出していただいたものを踏まえて、インタビュー項目と、インタビュー先を決めていただくというふうにしたいと思います。では、それでよろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題に入りたいと思います。
 先ほどの御説明がありましたように、内閣府の男女共同参画局では、この調査会だけではなくて、全体の局として関心を踏まえてということになると思いますが、来年の1月に「男女の能力発揮とライフプランに関する調査」と題するアンケート調査を実施する予定だそうですので、この調査について御説明いただきます。ここの専門調査会だけのためにやるわけではなくて、それも入っているということですので、そういう意味では、テーマは少し広めになっています。ただ、こちらの調査会でかかわるテーマも入っていますので、御説明いただいて、御意見を伺うという形にさせていただければと思います。
 それでは、御説明をお願いいたします。
調査官
それでは、お手元の資料の4を基に御説明をしたいと思います。
 この調査ですけれども、これから結婚や子育てといったライフイベントを経験する層、それから、現在経験されている層ということで、20歳~45歳未満までの男性・女性、若年・中年層を対象に実施をしたいと思っております。それまでの働き方、就業経験とか、就業状況が、能力発揮とか、ライフプランに関する意識に与える影響、それから、家庭内での役割分担に対する意識の現状といったものを分析する目的で実施したいと思っておりまして、インターネットによるモニター調査という形で、回収数1万件を予定いたしております。
 資料4の2ページ目からは、この調査を通じて調べたいと考えていることのポイントを大きく4点挙げております。今お話がございましたように、この調査会の関連テーマ以外の部分もございまして、私どもの局の業務に関連します複数のテーマの中で、これまでやって参りました調査から、もう少し踏み込んで伺いたいという論点を挙げております。
 ここで御議論いただいていますテーマと関係の深いところからお話をいたしますと、まず第1点目、「女性の能力発揮と就業継続」ということで、これまで女性が働き続けるかどうかの判断などにつきましては、子育てと仕事の両立に関して、どういった支援策が利用できたかとか、子育てがどういう環境で行われているかといったこととの関連の調査をしてきたわけですけれども、今回の調査では、それまでの経験された職場での仕事のやりがいであるとか、将来の見通しであるとか、そういったことが就業を継続するかどうかの判断、あるいは一旦就業を中断された後でも、その人の働き方への御希望であるとか、そういったものに対してどのように影響しているかといったことを調査したいと考えております。
 お手元に、資料5と右肩に打ちましたものをお配りしておりますけれども、これが今、考えております質問票の素案になっております。その最後の9ページに、これからお話しすることをまとめているんですが、このテーマの関連でいいますと、幾つか関係する場所を御紹介しますと、この質問票(素案)、資料5の2ページ問1-16で、学校を卒業して初めて就かれた職業を辞められた理由、初職を辞められた理由を1-16で聞いております。ここで、結婚・出産というのもあるわけですけれども、それ以外にも、その職場についてどのように感じておられて、その関係でどういう理由があるかといったことを詳しく伺ってみたいと思っております。
 それから、この素案の6ページに飛んでいただきたいと思うんですけれども、そちらでは、2-12で、初めて就かれた職業と、それから、現在の職業で、仕事のやりがい度といいますか、例えば責任ある仕事をまかされていると感じておられるかとか、自分のアイデアや企画を提案する機会があると感じていらっしゃるかどうかといったようなことを詳しく伺いたいと思っております。
 ここの回答の状況と、子供を持って、最初の職業を続けていらっしゃる方との関係でありますとか、あるいは、一旦就業を中断された方も含めて、将来どんなふうに働いていきたいかといった御希望、これは2-4、2-5ということで、4ページの方で伺いたいと思っておりますけれども、どういう希望を今持たれているかということと、最初の職業でどういう経験をされたかといったこととの関係とかといったことを調査したいと思っております。
 第2点目は、ワーク・ライフ・バランスが、仕事での能力発揮に対する意欲にどのように影響するかといった論点でございまして。これも幾つか関係することを御紹介させていただきますと、この質問票(素案)の5ページ、これは問2-8になりますけれども、その中で、どのような環境(職場)であれば、管理職として働いてみたいか、あるいはより働きやすいとお考えになりますかといったようなことを伺いたいと思っております。その中には、管理職であっても、家庭生活や自分のための時間が確保できる職場といった選択肢も入れておりまして、1~9まで、どのような層、どのような属性をお持ちの方が、どのような条件を選ばれるのかといったことを詳しく分析をしたいと思っております。
 これは6ページになりますけれども、2-13、2-14では、現在、職業に就いていない方、あるいは正規職員ではない方についても、その理由について詳しく伺いたいと思っております。これについても、性別や年代、あるいは未・既婚、お子様の有無といった属性との関係を調査したいと思っておりまして、その中には、選択肢の4や5になりますけれども、育児や介護との両立、あるいは仕事以外にやりたいこととの両立できるような働き方、そういった条件が満たされないからといったような選択肢も入れております。
 資料4に戻っていただきたいと思います。資料4の3ページでございます。その他に、2つ程、この調査の柱と考えている点がありまして、3点目は、教育や就業経歴がキャリア形成に与える影響、あるいは、今、仕事に就いていらっしゃらない方、非正規雇用の方をめぐる状況の分析、その男女差といったことが一つの柱です。
 4点目が、男女共同参画をめぐる意識を規定する要因ということで、女性が職業を持つことについて理想と考えるライフコースであるとか、配偶者の方との役割分担に関する意識などについて、若い層・中年層がどのような意識を持っていらっしゃるのかということを、属性ごとに詳しく分析をしたいと考えております。また、そうした意識を持つに至った背景、例えば男性だけで世帯の家計を支えることに対する負担感がどの程度あるのかといったようなこと、1例ですけれども、そういったことについても調査をしたいと考えております。
 以上でございます。
佐藤会長
どうもありがとうございました。
 そういう意味では、この専門調査会でのテーマと重なっている部分が多いですので、御意見を伺えればと思います。
 1番目は、法律上も企業も、仕事と子育て両立支援の仕組み、制度はどんどん充実していますが、依然として、結婚・出産前ぐらいに辞める方も非常に多いということで、それはなぜかと。単に制度が使いにくいということかということだけでなく、多分そこを頑張った後、育児休業をとった後続けられるような職場環境なのかとか、あるいは頑張っただけのキャリアが開けているのかどうかとか、そういうことも影響しているのではないかというようなことを、そこをきちっと把握しようというのが多分大きなテーマだと思います。
 2番目は、ワーク・ライフ・バランスを推進することが、女性のキャリアアップ志向とどう影響するかということを少し調べようと。
 3番目は、今日ずっと出てきた非正規のことも含めて、学校卒業後、無業なり、非正規の仕事に就くと、その後のキャリアに影響するのではないかとか、あるいは、中間でも、無業期間が長いとか、非正規が長いと、その後のキャリアですね。履歴効果というやつですけれども、それがどうかということを調べようと。
 4は、従来、これは変わってきていますけれども、まだ日本の場合、男女における分業意識等強いので、その背景を調べようということだと思いますが、そういうテーマを挙げたときに、どういうことを調べた方がいいかということだと思いますので、その辺いかがでしょうか。
勝間委員
実は、これは事前に説明をいただいたときに、強くリクエストしたんですが、1万人の定量調査というのは、仮説作りには決して向いてないんですよ。仮説の検証には向いていますが。これは佐藤先生に言うのは釈迦に説法ですけれども。ですので、その前に、なぜグループインタビューをしないんですかというのが、私の強い質問です。
佐藤会長
私はある程度仮説はあるという前提でやると理解して、例えば4の(1)について言えば、幾つか既存研究で、こういう要因がある程度あるということでつくられているのではないか。仮説ゼロではないのではないかと。
勝間委員
もし、そうでしたら、いただいた今日の資料2ですか、既存の先行研究とどれぐらい違いが出てくるかが見えないんですよ、この定量調査では。1万人の定量調査は、お金も時間もかかりますので。繰り返しになりますが、なぜグループインタビューを飛ばすのか、あるいは、もし、グループインタビューを飛ばすのであれば、仮説の提示から行ってほしいと思います。
佐藤会長
それは、ある程度きちっと仮説を立てて、そういう意味では先行研究を調べていただいて。わからない点は、専門家の人に聞きながら調査票を作っていただきたいということだと思います。
勝間委員
繰り返しになりますけれども、グループインタビューをするというのは、内閣府、その他の調査において、定量調査の前に、普通は余り行わないんですか。
調査課長
今までのやり方で言いますと、グループインタビューを踏まえて、仮説を整理して、それから、定量調査をしたというのはちょっと経験がなくて、仮説は一応あらかじめ作った上で、それに対する調査票を設計して行ってきています。
勝間委員
通常は、グループインタビューを30~50人ぐらい行って、調査票も何回も何回も作り直して、ぐるぐると仮説検証を繰り返して、ようやく証明したい仮説があって初めて定量調査をやるというように、今まで私はマーケットリサーチもそう習ってきましたし、やってきたので、今回の設計を見たときに、ちょっとびっくりしたんですよ。
鹿嶋委員
いろいろあるのでしょうけれども、この中身は、私たちが生産性本部で、今年9月にワーク・ライフ・バランス会議というのを立ち上げたわけですね。ワーク・ライフ・バランスと一緒に両輪でやっていくんですが、それとほとんど似ているのでね。これは、今、勝間委員は仮説がないと言ったんですが、あえて言えば(1)なんていうのは、一種の仮説ですよね。ワーク・ライフ・バランスだけという形では、男女共同参画という視点では、不十分ですよ。ですから、女性が働き続けるインセンティブというのは、その背景にあるのは、仕事へのやりがいとか、そういうものだと思うんですよね。それはやっぱり一つの仮説になるのではないかということで、私は、これは非常にいい調査だと思うし、是非出してほしいと聞いていましたね。
佐藤会長
勝間委員の意見はよくわかって、普通は仮説があって、調査票を作って、普通はすぐやるわけではなくて、プレサーベイはするわけね。そのプレサーベイのやり方はいろいろあって、グループインタビューでやる場合もあれば、一応正規・非正規の人が答えられるかどうかということで、周りを探して、アルバイトで働いている、パートの人を10人とかね、そういうのはやる。それは多分やった方がいいと思います。職場の中でもいいので、それは少しお願いします。
調査課長
お話しいただいたアドバイスを十分理解していなかったかもしれないんですが、実査に入る前に、少数のプレ調査を実施して、実際に回答が正確に答えられるかどうかというところは一応チェックしたいと思っておりまして、そこを作業の工程として入れていきたいと考えています。
勝間委員
もう一つだけお願いがあるのは、早めの段階で、証明したい仮説レベルの項目を列挙していただけますか。こういう仮説が出るのではないかではなくて、こういう仮説について、先ほど鹿嶋委員がおっしゃっていただいたような、こういう仮説を調べたいという。
佐藤会長
もっと明確にね。
勝間委員
そうなんです。その仮説の深みがないと、先行研究のそういうのが出てきてよかったねという話になってしまいますので。
調査官
それは、そうさせていただきたいと思います。
佐藤会長
ですから、仮説検証の部分と、問題発見の部分がある程度あればいいと思うので、一応その辺は整理いたしましょう。
勝間委員
もし、問題発見を増やしたいのであれば、逆に、自由記入の欄を増やすかといったようなことが必要になると思います。
佐藤会長
はい。いかがでしょうか。
武石委員
ちょっとテクニカルな話になるかもしれないんですけど、1つは、私が、前に、女性のライフプランの調査の再分析をして、3,000人ぐらい、同じぐらいの年齢でやったときに、初職継続者がものすごく少なかったんです。出産・育児の段階で、やっぱりもうすでに転職している人などがいて、初職の離職理由を聞いただけで、つまり出産とか育児とかそういう理由で辞めた人が、どれだけ取れるかというところはちょっと心配だなというのがあって、この辺、どのタイミングの離職で、そこら辺の理由を聞くかというのは、ちょっと私も今にわかにあれなんですけれども、考えた方がいいかなというのが1つ。
 資料5の9ページに、ワーク・ライフ・バランスの推進というのを、どの指標で取るのかなと見ていて、2-11辺りなのかなと思うんですが、違うのかな。ワーク・ライフ・バランスというのは一つ重要な指標だと思うんですけど、それをどういう質問で取っていくかということは、この2-11だとしたら、これでいいのかなというのがあるので、少しこの辺は大事な指標になってくると思うので、丁寧に考えた方がいいのではないかなということを。
佐藤会長
武石委員の最初の質問は、多分、初職も大事なんだけど、女性の場合、正直言って、結婚・出産前に、もうすでに転職してしまっている、男性もだけど、男性以上に女性は高いので、そうすると、多分、出産なり結婚のときに勤めていた職場の最初のところなんだよね。そこを聞いておいた方がいいだろうと。初職が、出産時に勤めていた会社ではない可能性が高いので、そうすると、ちょっと分析しにくくなるだろうということですね。ちょっとそれを工夫していただこうと思います。
高橋委員
今の関連なんですけれども、私どもの研究所の調査ですと、第1子出生時前後の就業状態の変化を聞いて、どういう状態からどういう状態へと変化しているかをみると、やはり出産が一番大きな転職、退職の理由になっていますから、そういう変化のところをきっちり押さえるといいのではないかと思います。
佐藤会長
あと、2ページの4の(2)のところの「ワーク・ライフ・バランスと能力発揮」だけど、先行研究で言うと、ワーク・ライフ・バランスだけでは女性の意欲は高まらなくて、ワーク・ライフ・バランス、プラス均等なんだよね、先行研究はね。均等がないとだめだというようなのが出ているので、先行研究は。ちょっとそれも踏まえて。だから、ワーク・ライフ・バランスだけだと、別にそんなにキャリアアップしようとは思わなくて、均等もあると、能力発揮というような感じだと思いますので。そうすると、均等の指標をどう作るかということがあるので。
 いかがでしょうか。
 勝間委員が言われた、もう少し整理したものは、どこかでメールなりで見ていただくような形にはしたいと思います。
勝間委員
取れるかどうかわからないんですが、時間が、どのぐらい働いていて、どのぐらい残業があるですとか、あるいは、その収入はどのぐらい上がっているといったような、せっかく1万人も取るんでしたら、数字的なものを取って、統計調査をしないとつまらないと思うんですよ。その辺の設計も是非お願いします。
川本委員
今の数字をとった方がいいのではないですかというのは、同じ意見です。
 それから、もう一つは、いろいろ御意見が出ていましたけど、結局、これはかなり幅広にいろいろな切り口で聞いているんですよね。資料4の「設計の視点」を見ても、結局、(1)から(4)まで、少し欲張りな視点で聞いているので、どうしても絞りにくくなっている。ですから、仮説というのも、余り立て過ぎても、誘導するような形になってしまう。では、一方で、いろいろ問題点を調査するんだということであれば、先ほど私も言いましたけれども、数字も把握しておくとか、もう少し工夫が要ると思います。いずれにしても、どっちかで行くしかないのではないかなと思います。これはこれで意義があることなので、かなり幅広に聞くのであれば、もう少し細かく丁寧に選択肢を作ってあげた方がいいのかなと。
 それに絡めてですけど、この初職を辞めた理由というのは、いろいろな御意見がございましたけど、定義は難しいですよね。これは、出産・育児だけで聞いている質問ではないので、どういう切り口で聞くかというのは難しいので、御検討を賜ればというのが1つ。
 それから、辞めた理由の中ですけれど、人間関係が良くなかったとかはないですよね。現職の方では、人間関係がいいからというのはあるんですけど、多分、人間関係というのもかなり影響は一般的には多いので、人間関係が良くなかったというのも選択肢に入れておいていただければと思います。
 以上です。
植本委員
先ほど、ライフ・ステージのことを少し申し上げましたけど、6ページ、7ページ辺りのところに、「ライフコースや配偶者との役割分担など」というところがあります。結婚と出産については書かれているんですが、仕事を辞めたりとか、その次の段階とか考えていったら、介護の問題とか、そういうライフコースの中で、とりわけ中高年になってきてぶつかりそうな課題についても、やっぱり課題としては必要なのではないかということ。
 それから、結婚を決めたきっかけというのがあるんですが、逆に、今、シングルライフが一方で選択肢としてあるというところでいけば、一人で自立して行きたいと考えている人たちが、それは男性も女性もどういうふうに思っているのかということと、結婚はしたけれども、やっぱり一人がいいよということで一人になられた方とか、このライフコースとの関係というところでいけば、そういう多様なライフコースに合った選択肢の中で、どのように考えているのかみたいなところが出てこないと、現実を反映しないのではないかなと思います。
佐藤会長
今回は20~45歳未満までなので、介護はぎりぎり、介護の問題はゼロではないですけど、45歳未満までなので、一部の人をちょっとどうするか。
板東局長
介護も入ってはいるんです。
佐藤会長
一部入っていることは入っているんですね。ですから、そういうことで、メインになる層ではないだろうと。ちょっとそれも検討させていただきます。これが難しいのは、テーマが広いのと、ライフイベントごとに追っていくので、45ぐらいの人は、学校を卒業して、最初の仕事を転職して、こういうのを全部聞かなければいけないので、結構膨大な調査票になるんですよね。ですから、その辺も踏まえて整理して、もしかすると、少し絞らなければいけなくなるかも。あんまり膨大な調査票を作れませんので。
岡島委員
細かいことではあるんですが、気になりますのが、仕事を皆したいんだということを前提の設問になっていると思うんですが、例えば2-7とか、あるいは2-13とか、そもそも積極的に仕事はしないという選択をした人の問が必要なのではないかなと。
 それから、2-9で、これは管理職のところが1つだけあるんですが、専門職の中での管理職と、そういうこともあるのだろうと思います。
 それから、7ページの3-5なんですが、「結婚を決めたきっかけ」というのは、何かちょっと読んでいて、非常に功利的な理由が書いてあるんですけど、こういう理由なのかなという気がしたので、この辺りはプレ調査で出てくるとは思いますけれど、ちょっと気がつきましたので。
佐藤会長
調査票の最終段階の前のものを見ていただく機会はあると思いますので、いかがでしょうか。
 そうしたら、とりあえず今日伺ったような、勝間委員の仮説整理をしろということと、グループインタビューである必要はないけど、プレサーベイをちゃんとやって、調査票が答えやすいかとか、趣旨をわかってもらえるかということは、当然やらなければいけないと思いますので、その辺はやっていただければと思います。
 あと、事務局から何か。いつまで意見をいただくとか。
調査官
どうも、いろいろとありがとうございました。
 この機会に限らず、また、何かお気づきの点がありましたら、ちょっと時間が短くて申し訳ないんですけれども、1月9日までに事務局の方にいただければと思っております。よろしくお願いいたします。
勝間委員
その前に、整理し直した調査票は、いついただけますか。それによりますが。この調査票のまま1月9日までに言うのだと、意味がないと思いますので。
調査課長
1月9日と申しましたのは、今の現段階の調査票に対してということでして、作り直したものはもう少し時間がかかりますので、そこはまた別途御連絡させていただきたいと思います。
佐藤会長
そうすると、その後の調査票についてコメントをいただくのでもいいわけですね。
勝間委員
ただ、これは、1月にやると書いてあるので。いつまでに調査票を確定するんですか。
佐藤会長
ネット調査の場合は、1週間あればいいんですよ。だから、23日ぐらいまでにできれば、1月の終わりには。2月の初めに調査をやるぐらいでしょう。調査期間は1週間ぐらいだから、1月23日か25日に決まっていれば、大体いい。スケジュール的には大体そんなものです。
勝間委員
まだ間に合いますね。
佐藤会長
間に合います。
小室委員
さっきの御指摘で、せっかく1万人とるんだから、いろいろなデータを取った方がいいのではないかという中に、労働時間をというのは、私も取っていただきたいなと思って、残業時間とか、労働時間とかということも取れればと思います。ただ、どうしても、暇な人しか回答しませんね。取った人の残業時間の平均というのは、結構現実とはかけ離れてしまうんですけれども。でも、それは、もし取れたら、せっかくなので、取っていただければと思います。
佐藤会長
では、今の段階の調査票に御意見をいただく場合は9日までということで、その後、修正したものにコメントということでも構いませんので、それはそれで別にお願いすると思いますが、それでいいですか。
勝間委員
例えば子供の人数とか、何歳時点で子供を一人ずつ産んでいるとか、そういう大事なものが抜けているように見えるので、そういうものも是非きめ細かく入れていただけますでしょうか。
佐藤会長
それでは、御検討いただくことにして、もう一つだけ議題がありますので、それに移らせていただきます。
 最後になりますが、雇用者以外の就業者のワーク・ライフ・バランスについて、これは難しいテーマですけれども、事務局が既存資料少し整理していただいていますので、それについて説明していただいた後、御意見を伺えればと思います。
 では、よろしくお願いします。
調査官
それでは、お手元の資料6につきまして御説明をいたします。
 まず、1ページ目から、労働力調査のデータを中心にしたものが続きますけれども、就業者の中で、雇用者以外の方の分布としては、そこにございますように、大きく自営業主の方と、家族従業者の方に分かれておりまして、自営業主の中には、従業者を雇っている方も、雇っていない方も含まれておりますし、自宅で内職をされているという方も含まれてまいります。そこにありますように、男女別で見ると、自営業主については男性の方が多い。女性の割合は25%程度ですけれども、家族従業者については女性が多いということで、約8割は女性ということでございます。
 2ページにまいりまして、こちらはここ20年間の推移を見たものですけれども、雇用者以外の就業者の方、実数、割合のいずれも、また、男女とも低下傾向にあるということでございます。
 3ページ目にまいりまして、自営業主、それから家族従業者、それぞれ産業別に女性の割合などを見ておりますけれども、自営業主の方は、女性の割合、教育・学習支援業、それから、飲食店・宿泊業などが高くなっております。下の方の家族従業者になりますと、どの産業でも、女性の占める割合が大変高くなっているという状況でございます。
 4ページ、5ページにまいりまして、年齢別の割合を雇用者として比較して見たのが4ページでございます。5ページの方は、配偶者の状況を比較したものでございます。どちらも、農林業が上、下が非農林業でございまして、まず、年齢の方から申し上げますと、どのセクターでも、年齢層が高いということが見ていただけるかと思います。ただ、男性の家族従業者につきましては、ちょっと例外でございまして、15~24歳という一番若い年齢層が、男性の従業者の場合は雇用者よりも高くなっているということでございます。
 配偶者の状況を見ますと、これも自営業主、家族従業者の方、これは雇用者と比べますと、未婚の方の割合が少なくなっているわけですけれども、例外がやはり男性の家族従業者の方でして、この場合は、未婚の方の割合は、雇用者よりも高いということでございます。これは、先ほどの年齢構成も勘案しますと、男性については、結婚して独立される前の若い年代で、家族従業者となっていらっしゃるケースが多いのではないかなと。一方、女性の家族従業者の方については、結婚されて、その配偶者の方がしていらっしゃる事業に従事するケースが多いということが背景にあるのではないかというふうに考えております。
 6ページにまいりまして、農業につきましては、経営主さんとの続柄を直接見たデータがありますので、こちらで御紹介しております。ご自身が経営主であるというケースは5%に満たないわけですけれども、8割以上が、妻(配偶者)であるという状況になっております。
 下の方は、妻が働いている世帯の世帯構成。これは、子供の状況によって、それぞれ見たものでございます。
 7ページからは、就業時間の状況になっております。これも、上が農林業、下が非農林業になっておりますけれども、1点御説明させていただきたいのが、非農林業の方では、自営業主さんの中を、雇用者がいる方と、いらっしゃらない方、雇用なし、雇用ありで、両方挙げておりますけれども、自営業主全体で見ますと、家族従業者もそうなんですけれども、例えば週40時間以上という割合で見ますと、雇用者の方が割合が高いわけですけれども、さっき申し上げましたような細かい内訳で自営業主さんの方を見ますと、男性・女性とも、雇用がありの自営業主の方、ふだん1人以上有給の従業者の方を雇ってその事業を営んでいる方というふうになって参りますと、40時間以上の割合が、雇用者と同程度か、それ以上というふうになって参ります。一方、従業者がないと、雇用なしの自営業主につきましては、逆に、1~14時間の割合が、雇用者の3倍程度かそれ以上となっておりまして、両者の状況に大変大きい違いがございます。就業時間の状況も多様になっているということでございます。
 8ページからのデータなんですけれども、これは内閣府で実施しました「ワーク・ライフ・バランスに関する世論調査」によるものでございます。
 まず、8ページ、「ワーク・ライフ・バランスの認知度」ですけれども、名前も内容も知っている、あるいは、名前は聞いたことがある方で見ますと、雇用者や家族従業者と比べると、自営業主については、その割合が若干落ちるという状況です。
 9ページにまいりまして、これは「仕事」「家庭生活」「地域・個人の生活」のどれを優先したいかの希望優先度と、どれを現実に優先しているかということをそれぞれ聞いたものでして、上が希望、下が現実になっております。仕事優先を希望される割合は、雇用者が最も少ないのに対しまして、自営業主の方は、一番高いということで、雇用者の3倍に近い約15%になっております。一方、現実を見ますと、仕事優先になっているというふうに答えられた回答者の割合は、自営業主の方と雇用者の方で、ほぼ同率、35%程度となっております。それから、「仕事」と「家庭生活」、「地域・個人の生活」いずれも優先させたいと希望された方、これは、自営業主、家族従業者、雇用者のいずれも2割前後いらしたわけですけれども、実際は、現実にそれができているとされた方は、現実の方を見ますと、いずれも10%を切っておりまして、特に雇用者については5%程度となっております。
 10ページにまいります。10ページは「家庭生活」のための時間、それから「地域・社会活動」のための時間が取れているかどうかということを伺ったものです。「家庭生活」につきましては、「十分取れている」、「まあ取れている」の合計で見ますと、家族従業者の方が一番高いわけでございますけれども、「地域・社会活動に参加する時間」ということになりますと、自営業主の方が一番高いということになっております。
 11ページにまいりまして、これは同様に「学習・研究、娯楽・趣味、スポーツなど」のための時間と、「休養」のための時間について伺ったものでございます。こちらについても「十分取れている」と「まあ取れている」の合計で見ますと、いずれも家族従業者が一番高いという状況になっております。ただ、この調査につきましては、サンプル数が限られていることなどによりまして、これ以上の細かい分析、例えば雇用者とそれ以外の方での年齢構成の違いであるとか、回答者の性別による違いといったもの、それがコントロールできておりませんので、そういった違いも考慮する必要があるというデータでございます。
 12ページにまいりまして、雇用者以外の就業者の方ですと、雇用者に比べて、自分の裁量で仕事ができるという印象がありまして、起業された方にその理由を伺っても、上位に来る回答ではあるわけですけれども、家事・育児と仕事の両立に関する状況というのは、雇用者以外の就業者の場合も、男女で差がありますので、ここからはその関連するデータをまとめております。
 まず、農林業以外の分野ですと、農林業以外の分野全般をカバーするデータがちょっと把握できませんでしたので、12ページでは、経営者に対して、配偶者との間の役割分担について伺った結果を挙げております。男性について見ると、家事や育児について、大体8割は配偶者が主に行うという回答ですけれども、女性の経営者については、自分ですべて行う、あるいはほとんど行うとされた方が約57%(6割)になっております。
 13ページにまいりまして、家事や育児の負担が、事業経営をする上でどの程度ですかと伺ったものですけれども、やはりこれは「大変負担に感じる」あるいは「多少負担に感じる」を合わせますと、男性は大体36%(約4割弱)ですけれども、女性は約59%(6割)が負担に感じるというふうに回答されております。
 それから、14ページに参りまして、こういった男女差は、離職の理由にも表れておりまして、自営業主の離職理由を見ますと、このグラフの下の方になりますけれども、「結婚のため」「育児のため」「家族の介護・看護のため」といったような離職理由で、女性の方が男性と比べて大分多くなっているという状況でございます。
 15ページにまいります。これは、起業された男女に対して、起業された時点と現在、必要とされるサービスとか、支援策を聞いたものです。これはちょっと小さくなっておりますけれども、中程にあります保育施設や家事支援、介護支援サービスの拡充というものを選択された方、これは男女で10%以上の差が見られまして、女性からの要望が強いと。特に、起業後について、男女で大きな差が見られるという状況です。
 16ページからは、農業についての状況ですけれども、16ページは、農業に従事されている女性とその配偶者の方、1日の時間配分を調査した結果ですけれども、上の農繁期、それから、下の農閑期、いずれも「家事・育児・介護」に要する時間は、女性の方が大分長くなっておりまして。その結果、「自営農業」に従事する時間と「家事・育児・介護」に要する時間、この合計は、どちらも女性の方が長くなっているという状況でございます。
 17ページ、最後になりますけれども、農業に従事する女性が、経営参画する上での課題を聞いた結果でも、やはり一番多いものは「家事・育児・介護」などの負担が大きくて、経営に参画するゆとりがないというものになっております。下は、その経営参画のために必要な支援策を聞いたものですけれども、一番多いのは、「女性が参加しやすい各種研修の充実」でございますけれども、介護サービスの充実というのも約34%ございます。託児サービスについては、約1割あるということでございます。
 以上でございます。
佐藤会長
どうもありがとうございました。
 なかなか難しくて、資料の2ページにありますように、雇用のセクターというのは、比率だけではなくて、絶対数も減ってきていて、以前、雇用セクターは増えるのではないかという議論もあったのですけれども、比率だけではなくて、絶対数も減ってきている。
 あと、3ページのところですけれども、中身も伝統的な農業に代表される自営業セクターと、例えば卸売・小売などですと、旧来型の八百屋さんだけでなく、コンビニみたいなものがあったりとか、学習塾のところなどですと、フランチャイズに入って、主婦が家で教えているというような、新しいタイプの自営業も入ってきているということで、多分非常に多様だということで、非常に専門的なものもあれば、医療などは開業医などもありますし、社会保険労務士さんとか、いわゆる資格職業などでも、サービス業に入っていたりとか、かなり多種多様なものがある。そういう中でどう議論するかということで、なかてか難しいと思いますが、とりあえず今まで御説明いただいたもので、質問なり御意見を伺えればと思います。あるいは、このセクターのワーク・ライフ・バランスはどう考えていったらいいかというお話を踏まえて。
岡島委員
資料1で御説明いただいたことが、この資料を見まして、少しわかったような気がしてきました。そういう意味では、非常にいい資料をいただきました。
 多様性ということは、まずおっしゃったとおりだと思うんですが、その中で、何でワーク・ライフ・バランスをこのセクターにおいて推進する必要があるのか、意義があるのかということも、やっぱりきちっと踏まえなければいけないと思います。男女共同参画社会の推進ということが目標にしましても、ワーク・ライフ・バランスをなぜというところをまず議論する必要がある。
 もう一つは、男女共同参画社会の推進ということを大きな目標なりにするのであれば、例えば女性の問題に絞るというようなことも一つはあり得るのかなと。あるいは職種を少し事例的に幾つか選んで、類型化して議論をするとか、何かちょっとやり方にいろいろ工夫をしていただければいいかなと思います。
佐藤会長
確かに女性で最近増えているような、例えば新しい自営業みたいなものに絞るとか、そういうことも考えてもいいのかなということもあるかもわかりません。大事な点だと思いますが、いかがでしょう。
勝間委員
例えば小企業の経営者は、どこに入っているんですか。個人経営主と雇用者しかいないので。
佐藤会長
法人化すると、いわゆる役員の方に行くんです。法人化してないところは、自営業主の方に分類されます。
勝間委員
雇用者というのは、従業員が2人でも3人でも、雇用者なんですか。
佐藤会長
そうです。だから、その会社が法人化していると、こっちには出てこない、雇用者がいても、人を雇っていても。
勝間委員
いわゆるコンビニとかも、結構法人化してしまっているところが多かったりするんですね。
佐藤会長
そうなんです。法人化すると、数が変わってくるんです。
勝間委員
それは、もうしようがないということですかね。
佐藤会長
ですから、本当は、法人でも、小さいところは、普通の事業と同じような分析の仕方もあるんですけどね。統計上はそうなっています。
勝間委員
わかりました。
佐藤会長
ですから、法人化しているところの社長さんも、雇用の方の役員の方に来るという。ただ、本人がそう答えているかどうかはまた別なので、そこはわかりません。
勝間委員
一つ強いメッセージ性を感じたのは、自営業者のワーク・ライフ・バランスが取れていますよね、これ全体的に。雇用者に比べたら、家族従業員の方がまだましだし、更に、自営業者自身の方がよりましだと。逆に1つのワーク・ライフ・バランスを考える上で、自営業者あるいはそれに近い形態を増やすというのが解としてあるのかどうかというのは、一つの視点だと思いましたが。
佐藤会長
例えば独立開業した人のデータを見ると、例えば収入は減ったけれども、やりがいがあるとか、忙しいといっても、自分でコントロールできるとか、そういう調査はあります。そういう点では、自分の意識がすごく大事だと思います、ワーク・ライフ・バランスするという。その点を積極的に評価したという話ですよね。
川島委員
自営業者の方々が、ワーク・ライフ・バランスが取れているというのは、どこから読み取れるんでしょう。このデータを見させてもらいますと、まず、9ページで、希望と現実の差があるというのはありますけれども、果たして、これの2つを比較しても、何も出てこないんですね。仕事優先と希望していた人たちが、果たして仕事優先になっているかどうかということの割合は、この表からは全く見取れないので、もしかしたら、全員が全く違う希望形態で、100%取れてないという解かもしれないと。
 あと、その後ろ、10ページ、11ページ目では、その時間を取れているかという設問なんですけれども,客観的に見て取れているかということに対して、いや、取れてないけれども、自分はハッピーだと言う人たちであれば、その取れてないというのは、実は取れてないんだけれども、個人としてはワーク・ライフ・バランスは取れているという解になり得るので、この資料を通してでもいいんですけれども、ワーク・ライフ・バランスが取れているかどうかということをどう読み取るのでしょうか。
勝間委員
これは多分、10ページ目、11ページ目は、統計的に時間が取れているんだと思うんですよ、雇用者に比べて非雇用者側の方が。それをもって判断しているんですが。あと、これは経験則ですけど、周りで明らかに女性で就業継続ができている40代の人たちというのは、ほとんどが自営業になっています。会計士でも、続けている人は、もうほとんど独立開業していますので、そういう意味で逆におもしろいデータだと思って見ていたんですけれども。
佐藤会長
多分、9ページを見ると、雇用者よりも現実に近い。だから、全員が取れているわけではなくて、希望と現実のギャップは、多分、自営業者の方が雇用者より少ないというような点だろうと思います、ギャップ自体の大きさで。ただ、もう少し調査してみれば、それはクロス表を取ってみればわかります。
川島委員
そうですね。クロスしているかどうかで、読めればいいので。
佐藤会長
確かに、どこに課題があるのか。あるいは、これは全部の層でやるのか。女性が最近例えば増えている事業セクターがあれば、そこに焦点を当てるというのもいいかもわかりませんよね。ちょっとその辺は大事な点だと思います。割合、公認会計士なども、ああいう資格職業も、女性が増えてきていますよね、全体の比率としてはね。
勝間委員
私のころは、1割もいなかったんですが、今は、もう3割近くが女性だと聞いています。
佐藤会長
そういうふうに個人事業主で、女性の比率が高くなっているようなところで、雇用者と違った形で、どういうワーク・ライフ・バランス上課題があるのかというような、議論の立て方があるんだろうとは思います。
 あと、さっきの学習塾などは、多分、女性がすごく多いと思いますね。フランチャイズでやっているようなところは。
勝間委員
そうですね。
佐藤会長
いかがでしょうか。
高橋委員
今のデータに関して、職住近接のデータが1本入ると、全然見方が変わると思います。
佐藤会長
そうですね。自営業セクターの一つの特徴は、職住接近ということですので。そういうのは在宅就業ということになるわけですので。
岡島委員
会議の途中でお配りしていただいた資料がございまして、本当に一言だけ御説明させていただきます。
 埼玉県で、子育て支援の「本音トーク」というのをやりました。一番最後のページに、やってくださった方たちの名簿があるんですが、企業の人事担当の方とか、NPOの方たちです。その方たちに本音で話していただいて、何で進まないのか、進めるためにはどうしたらいいのかということを話していただいたことをまとめたものが、この報告書でして。
 1枚目に、おもしろそうなものを挙げています。例えば○の2つ目ですが、どうも、いろいろやっていると、トップの意識はいいと。下の方もやる気はあると。でも、中間管理層が粘土層のようになって、そこがだめだということで、そこをどうするかというので、例えばホラー物語を作って、管理職は、部下が心身の健康を害して、管理職の評価が下がるよという、そういう管理職の評価というホラーストーリーを作るとか、そんなことで進めたらどうかとかですね。
 一番下にありますけれども、「ファミハラ事例集」。例えば「男がなぜ育児休業を取るのか」と言ったらファミハラですとか、そういうようなのを作ったらおもしろいのではないかという提案がありましたので、御紹介をさせていただきます。
佐藤会長
大変難しいテーマで、議論をしていたんですけれども、ワーク・ライフ・バランスで正面切っては多分初めてだと思いますので。ただ、厚生労働省等は、やはり雇用をされている人たちで、国民全体という観点で「仕事と生活の調和の憲章」などを議論されていますが、多分、正面切って議論をするのはここになると思いますので、課題整理だけでもやった方がいいかなとは思っていますので。
 今日は、ここの部分は、特に最初ということですので、御意見を伺って、また整理していただいて、先ほどの職住接近等々、必要なデータも整理していただく。あと、資格職業などで女性がどう変わっているか、大事だと思いますので、そういうことをやっていただくことにしたいと思います。
 ここの点については、そういうことでいいですか。入口のところで、いろいろ資料を整理していただいてということだと思いますので。
 最後に、事務局から連絡事項等についてお願いいたします。
調査課長
本日の資料についてですが「非公表」と書かれたもの以外は、インターネット上で公開していきたいと思います。議事概要、議事録につきましても、先生方にチェックいただきまして、掲載したいと思います。
 資料1につきまして、アンケート票につきましては、いろいろ御意見をいただきましたので、修正したものを再度御確認いただきまして、その後で掲載するという形で進めさせていただきたいと思います。
 次回以降の日程につきましては、また、改めて調整させていただきたいと思いますが、2月を目途に、少し有識者の方からお話を聴く機会でありますとか、それから、事務局の作業がまとまりましたら、3月ごろになるかと思いますが、再度御報告させていただきまして、また御議論いただきたいというふうに考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
佐藤会長
幾つか調査票等、御意見を伺う必要がありますが、よろしくお願いします。少し間が空きましたけれども、これからは少しまとめに向けて、本格的な議論に入るということのようですので、お忙しいかと思いますが、また出席をよろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。

以上