仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会(第12回)議事録

  • 日時: 平成20年2月20日(水) 10:00~12:01
  • 場所: 内閣府3階特別会議室

(出席委員)

佐藤
会長
植本
委員
鹿嶋
委員
勝間
委員
上手
委員
北浦
委員
紀陸
委員
小室
委員
杉山
委員
高橋
委員
永木
委員
羽入
委員
牧野
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 「仕事と生活の調和」実現度指標について
  3. 企業におけるワーク・ライフ・バランスのコスト・メリット等について
  4. その他
  5. 閉会
佐藤会長
それでは、時間もまいりましたので、あと数名、遅れて御出席という御連絡をいただいていますが、ただいまから「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」の第12回会合を始めさせていただきます。
 お手元の資料に従いまして審議を進めさせていただきます。
 まず初めに、昨年12月18日に「官民トップ会議」で「憲章」及び「行動指針」が決定・公表され、本年1月8日に憲章等を推進する中核的な組織として、内閣府に「仕事と生活の調和推進室」が設置されております。その点について、御説明いただければと思います。
神田調査課長
今、お手元の資料にパンフレットが配付されていると思います。その一番後ろのページをごらんいただけますでしょうか。このパンフレットは、ワーク・ライフ・バランスということで、男女共同参画局の方でつくったものです。一番最後のページの下の方に、「仕事と生活の調和の推進体制」という図がございます。
 その中で書かれておりますのが、「官民トップ会議」というものがございましたが、その下の事務局として、内閣府の中に「仕事と生活の調和推進室」というものができました。これは、共生社会担当の柴田統括官が室長を担当しております。男女共同参画局としても協力をするということで、私と、あと、課員の吉野と2人、ここに入っております。何をするかということですが、ネットワークということで、経済界、労働界、県の方々、各省の連携を取っていく、その中の1つの軸になっていきましょうということでございます。
 私からは以上です。
佐藤会長
どうもありがとうございました。推進室ができたということですので、いろんな活動をこれから始められるんだと思います。
 それでは、最初の議題に入りたいと思います。まず最初は、仕事と生活の調和実現度指標です。これは、行動指針の中でも実現度指標をつくるということで、基本的な考え方がそこに示されたわけですけれども、具体的につくるというのをここでやるわけですので、その進捗について御説明いただければというふうに思います。
神田調査課長
ちょっと間隔が空いてしまったので、行動指針の中に書かれました「『仕事と生活の調和』実現度指標について」という2枚紙をお机の上に配付させていただいております。全体像はこういうものですけれども、今日は、この考え方にのっとって試算をしました数値について、まだこれから若干データの入替え等ございますけれども、暫定的なものをお示ししたいと思います。私からまずお伝えして、あと、みずほさんの方の説明に移りたいと思います。
 私の方から、1つ、資料1の後ろに参考というものが配付されていると思います。「『暮らし指数検討委員会報告書』より抜粋」と書いてございますけれども、これは何かと申しますと、ちょっとおめくりいただくとわかるんですが、以前、内閣府の中にあります国民生活局の中で、「暮らし指数」というものをつくりました。これは、小泉改革のときに、構造改革が進んだことを指標で測るようにということでつくったものです。平成14年ぐらいから16年にかけてつくったものです。この指標と私どもの考え方がかなり似ている。4ページに具体的な指標等ございますけれども、考え方が似ているものですので、試算に当たっては、技術的な部分はこの「暮らしの改革指標」を参考にさせていただいております。
 では、どういうふうに指標をつくっているかということを、山上さんの方から御説明いただきます。
みずほ情報総研(山上)
みずほ情報総研の山上と申します。指標の作成方法につきまして、資料1に沿って御説明させていただきたいと思います。あと、今、課長の方から御紹介のありました「暮らしの改革指標」の要約の後ろに別紙として幾つか図表が載っておりますので、それも適宜参考にしながら御説明いたします。
 まず、指標の作成の仕方の大まかな流れといたしましては、「1.合成指標の作成方針」の「(1)作業の流れ」に書いてございますように、まず元データを収集いたしまして、中には毎年取れない、5年ごとの調査等もありますので、欠損値の処理をして、それを標準化した後に個別要素を合成して、合成指標をつくるというような流れになっております。
 まず、欠損値の処理でございますけれども、別紙1を御参照いただければと思います。単純な話でございますけれども、元のデータの方で毎年数値が得られるとは限りませんので、それにつきましては、数値が、例えば、金額ですとか、人数とか、そういう実数の場合は幾何平均で補間をする。あと、構成比みたいな割合の場合は、変化幅が一定になるように、算術平均で一定になるようにするというようなことでございます。そのようにデータの抜けているところを補って指数化するというような作業をしております。
 あと、データとしましては、間が抜けている以外に、直近のデータが取れないというようなこともございまして、それにつきましては、適宜、補外をして数値を入れる方法と、データがない部分については、それを見ないというような2つの方法で指数をつくっております。
 それでつくられた指数につきましては、これは結果でございますけれども、別紙2の方に別途ありまして、左側が補外をしていないバージョンで、右側が補外をしたバージョンでございまして、結果的にはそれほど大きな差はありませんけれども、補外をしていない方ですと、例えば、2番目の家庭生活の1の「家族で過ごす時間はとれているか」について、2006年の値が得られていないということがあります。
 データの標準化といたしましては、データを標準化した上で、基準年を100として指数化しているわけでございますが、比較的データが取れている2002年を基準年として、そこを100としております。
 具体的な標準化の方法としましては、資料1の2ページに暮らし指数検討委員会報告書の抜粋がございますが、まず、対称変化率の算出ということで、元のデータが実数レベルのものは対称変化率を算出、これはケース1になります。元のデータが構成比の場合は単純に差を取る、これがケース2になります。
 そのようにして変化率を出した上で、この変化率は指標によって大きさが異なりますので、それを標準化するということで得られた変化率の絶対値の平均を取って、それで割ることによって標準化する。その後に、今度は、一番最初に変化率を出した逆の演算をして、元の指数に戻してやる。指数といいますか、元のデータに戻してやって、基準年を100として指数化するというような形になっております。
 あと、今回、ワーク・ライフ・バランスの進展を見る指標をつくっているわけですけれども、データによっては、ワーク・ライフ・バランスの進展と正の相関があるもの、あるいは逆行するものがありますけれども、そこら辺のプラスマイナスを判断しまして、マイナスの場合は200から引いて、だんだん減っていくというような形を取っております。
 あと、実際に指数を算出するときに、そのウェイトづけをするわけでございます。別紙3に書いてございますけれども、こちらにつきましては、個人の実現度指標の合成ウェイトでございます。個人の実現度指標につきましては、大きく5つの分野に分けて指標をつくっておりまして、一番左の四角にありますように、「仕事・働き方指標」「家庭生活指標」「地域・社会活動指標」「学習や趣味・娯楽等指標」「健康・休養指標」とあります。それぞれがまた中項目、あるいは小項目に分かれておりますけれども、その中項目、あるいは小項目がそれぞれ同じウェイトになるように重みづけをしているということでございます。
 一方、環境整備指標の方でございますけれども、こちらにつきましては、環境整備指標1本で指標をつくっているんですが、一番最初に御紹介のありましたA4横の資料の2ページ目に環境整備指標がございます。一番左に「環境整備指標」という四角がありまして、それが右の方の大きく5つの視点に分かれております。それぞれにつきまして、一番右の四角の中に、どういう指標を使っているかというのがありますけれども、これでごらんになっていただければわかりますように、上から4つ目の「働き方・生き方を選べる機会が設けられているか」というところが、かなりデータが豊富にありまして、単純に平均してしまいますと、ここら辺もちょっと過重に出てしまうというような懸念もありますので、単純に平均した場合と、真ん中の5つの四角がそれぞれ5分の1ずつのウェイトになるような2つの方法で指数を試算しております。
 3ページ目の一番上でございますけれども、2002年を100として指数をつくっているんでございますけれども、2002年のデータがない場合、基準となる2002年の値がありませんので、その場合の処理の仕方ということで、別紙4の方に書いてございますが、基本的には、データが得られないところは、その上位の指数と同じ動きをするというような考え方でやっております。別紙4を見ていただきますと、例えば、2004年以降のデータしかない場合は、そのまま変化率を出しまして、指数化するときは2004年の値は上位の指数の値と等しいと置きまして、その後、2005年以降は指数をつくるというような形でつくっております。
 ちょっと駆け足になりましたけれども、指数の算出方法は以上でございます。
佐藤会長
もう一度思い出していただく方がいいかと思うんですけれども、別紙3を見ていただければと思うんですけれども、まず、実現度指標は目標ではない。行動指針の中に幾つかの数値目標があるわけですけれども、例えば、長時間労働の人が半分以下とか、有休消化率完全消化、留保分を含めてですけれども、これは数値目標になっているんですけれども、これはそれとは違って、進捗度を測っていくものだということが1つです。
 もう一つは、別紙3にありますように、小項目指標の下には、具体的な、いろんなデータが入っているんですけれども、それは、小項目の、例えば、「個人が人生の各段階における希望に応じて、柔軟な働き方を選択できているか」と、これを測定するために使ったデータで、それ自身の変化を追うわけではない。そういう意味では、小項目指標なり中項目指標なりが基本的には実現度指標として公表されるというものです。
 それと、小項目指標の下にいろんなものが入っているんですけれども、小項目をつくる段階ではウェイトをかけないという考え方だったと思います。ただし、小項目がウェイトかけないでできた後、それを積み上げていくときのウェイトがここに決まっているということで、その段階でウェイトがかかる。つまり、小項目をつくる中のものについて、例えば、労働時間とか、有休の取得率とか、それ自体にはウェイトをかけていないで、同じものとして積み上げているということです。
神田調査課長
引き続き、どういうふうに試算の結果がなったというのを、別紙5-1のグラフでお示しをしたいと思います。もしデータが御必要であれば、別紙2の方に数値もございます。
 この別紙5-1は、補外なし、補外をしていないケースでございます。まず、上のグラフを見ていただきますとわかりますように、一番下に斜めに下がっているのが、合成指標(Ⅲ)とありますが、これはⅢ分野という意味で、「地域・社会活動指標」です。それが悪くなっている。下から2つ目が「学習や趣味・娯楽等」のⅣ分野の指標がトレンドとしてはマイナスです。その一方で、ほかの3分野は徐々にトレンドとして上がっているという結果になりました。
 中でも、「仕事・働き方」のところを見たものが、その下のグラフになります。合成指標(Ⅰ)というのは、「仕事・働き方」になります。それを更に中項目で分けてみたものが、その下に3本に分かれているものです。一番上に出ています黄緑色の線ですけれども、これが柔軟な働き方が選択できているかということです。これは特に待遇面での公平性が押し上げ要因に聞いていまして、上に来ているということです。「柔軟な働き方」というのは中項目ですが、その更に下が2つに分かれていまして、小項目として、いろいろ希望に応じて選択できているかというのと待遇面での公平性が図られているかの2つの小項目から成るもので、公平性の方がプラスに効いている。
 後ほど言いますが、賃金のところは、これから推計をかけて調整を行いますので、ここは次回のときに御紹介をしたいと思いますが、若干数字は変わるかもしれません。これは生の、単純に加工していない賃金の格差の数字を入れているということでございます。
 その次に、赤いのは合成指数ですが、その下にあります群青色の点線は、多様な主体が働けているかということです。これも、90年代後半から見ますと、徐々にかなり上がってきています。これは、景気が回復することによって女性、高齢者の就業が増えたことがあらわれて、多様な主体が働けるような環境になってきているということでございます。
 また、一番下で、やや横ばい気味に推移しております、これは、労働の負担が過重な負担となっていないだろうかということでございます。これが横ばいなのは、時間的な拘束がなかなか改善をしていないということがあらわれています。
 次のページ、裏のページをめくっていただきますと、上のは、今の「仕事・働き方」の中を小項目で見たものです。下に判例がございますが、「Ⅰ-1-①」が何かということが気になる方は、A3の別紙2の左の欄に、「仕事・働き方」がⅠになっていて、中項目1で「柔軟な働き方を選択できるか」になっていて、更に小項目が①と書いています。この枝番号がここのグラフの判例の枝番号と対応しています。ユーザーフレンドリーなグラフでないので申し訳ありません。そういうふうに見ていただきたいと思います。
 ここは小項目ですので、余り御説明しませんが、先ほどと同じように、一番上に強く出ているもの、ベージュのバツはプラス印、待遇の公平性が強く出ているもの。次の赤い四角で一点破線が、柔軟な働き方、制度の利用とかが進んでいるかというものでございます。一番下に赤く、最も低い水準になっているのが、先ほど申した、過重な負担の中で、時間の拘束がどうであるかということです。仕事のために拘束時間が長くなっていないかということで、長くなっているというような結果になっています。
 下のグラフに移りますが、「家庭生活」の分野では、徐々にトレンドとしては改善している姿になりました。特にそれを押し上げている要因は、青い点線ですが、家庭面での男女の役割分担というものが割と改善をしてきている。男性が割とかかわるようになってきているというようなことです。下の方で、一方で押し下げているのは、家庭での過ごす時間です。ただ、これは時間は回復はしているんですが、対話が満足できているか、そういうような指標がちょっと下がっているので、満足度が低くなっているというところが出ています。
 次が、合成指標Ⅲ「地域・社会活動」で、これをごらんいただきますと、落ちています。5分野で見たときに悪くなっている要因、分野でございます。何かというと、時間がどのぐらいかけているかというのが黄緑色です。青い方が、多様な主体が参加できているかという頭数の方。どういう人かということ。これは両方とも悪化しているというものです。また後で触れますが、これは一方的に下がっています。これは、統計が5年に1回の社会生活基本調査を使ったものに依存している比率が随分高いということで、先ほど御説明しました補間を5年の1回の調査でしますと、その間、4年間、同じ変化率、あるいは変化幅で補間をしますので、このような直線に近い形にならざるを得ないということがございます。
 次に、合成指標Ⅳ「学習や趣味・娯楽等」が下にあります。これも今と同じような状況で、直線になっているのはそういうことです。青い丸印の方が、多様な主体が働いているか。黄緑色が、時間が増えているかということ。これも2001年の調査年に回復していましたが、2006年調査ではやや悪くなっているというようなことです。
 最後のⅤ分野の「健康・休養」ですけれども、これもやや緩やかながら回復をしています。これの仕上げ要因は、青い三角ですが、休養の時間がどうかということで、休養、くつろぎが取れているという話です。一方で、黄緑色で下がっているのが心身の健康状況が余りよくないということで、過労死のようなものが増えているということがあらわれています。
 別紙5-2は補外をしたケースで、これはほとんど同じでございますので、説明を省略させていただきたいと思います。こういう状況になりましたということです。
 またメモの方に戻っていただいて、今後、何を検討すべきかということですが、資料1の3ページ目のところです。幾つかありますけれども、1つは、個別指標。構成要素の相関度を私どもの方でチェックをしました。なぜチェックをしたかというと、構成要素の中で非常に相関が強い変数がある場合には、要するにコインの裏表を見ているようなものであれば、コインの表が入っていれば、裏の指標は要らないんではないかということが理屈の上であるわけなんです。そういう関係にあるような指標がないかどうかということでチェックをしました。
 相関がかなり高かった指標は以下の4つぐらいが挙げられるんですけれども、いずれを見ましても、例えば、女子の休業取得率、あるいは就業率がトレンドとして上がっている。そういうことで、かなり見せかけの相関が強くなってしまうんですが、必ずしも休業率が増えていることが今の就業率には結び付いていない、独身の方が増えているというようなことがございます。
 また、女性の就業率、就業希望率などもそうなんですが、今回はまさに女性の就業希望、現実と希望のギャップを見るということが1つの指標の目標ですので、こういうものも入れるべきだろうと思います。
 次の週労働時間の動きと低所得の賃金も、週労働時間は労働の量ですし、低所得の賃金は、最低賃金でどれだけの1時間当たりの賃金を確保するかという、どちらかというと労働の質の問題でございますので、ここもやはり別々に見る必要があるだろうということです。
 あと、親子の対話の満足度と有休の取得率も関係がありますけれども、必ずしも有休を取得する人は親子の関係にある人だけではないので、そういう意味で、4つ書き出しましたけれども、特にこういう指標が入っていても問題がない、比較的見せかけ的な相関のものが強いのではないかというふうに考えております。
 あと、先ほど山上さんの方から御紹介させていただいた環境整備指標の合成ウェイトを変える必要があるのではないかという点でございます。別紙2のA3の下の指標を見ていただきたいんですが、環境整備指標が2つ並んでいます。上が、すべての構成要素を単純に平均をしたものの結果、下が、5つの小項目を2割ずつアグリゲートしたものです。特に90年代から2000年初頭にかけての動きが逆の動きになっていることがわかると思います。
 これはなぜかというと、90年代、景気が悪くなったのを背景に、構成要素で言いますと、職安の求職者の就職率ですとか、あるいはメンタルヘルスとか健康づくりに取り組んでいる事業所の割合がマイナスに動いていたというところが、2分の1ずつにしますと、そういう生活自立に関する指標のウェイトが上がりますので、そういうことが反映されているということでございます。
 ただ、単純に足すと、主成分分析などもやったんですが、多様な働き方、育児だとか介護だとか、そういう制度導入、あるいは政府の保育サービスの提供という数が多くて、それは情報トレンドでありますので、どうしてもそのウェイトが強く出てきてしまうという問題があります。ですので、構成要素ごとの差は出てきますけれども、それは2割ずつにして、バランスよく取っていくのが1つの案かなというふうに思っております。ここについて、御意見を後ほどいただければと思います。
 3点目ですけれども、賃金の属性は、今回は統計からそのものを入れさせていただいていますが、次回の3月の専門調査会までに属性を調整したものを併せてお示しをしたいというふうに考えております。済みません。ここはまだ宿題をこなせておりません。
 あと、4つ目の検討課題ですが、データの更新ということです。今回は全部の指標をお示しました。専門調査会でも、取りまとめで毎年更新をするということになっておりますけれども、「仕事・働き方」は問題がありませんが、それ以外の分野については、先ほどもちょっと紹介しましたが、5年に1回の調査に依存している部分が高い。今回、5年間やりましたが、そういうものを更に補外をしていきますと、最長で9年間、同じトレンドが続くわけです。先ほどの「地域・社会」も、次の調査までずっと続くわけです。ということで、かなりそこはバイアスがかかったものになりがちになってしまうということです。ですので、ここの御提案としましては、「仕事・働き方」以外については、毎年は更新しない、5年に1回にするというのはいかがかなというふうに思っています。現状です。将来、統計が出てくれば、また考え方を変えてもいいと思いますけれども、現状の統計の入手情報ですと、「仕事・働き方」以外は5年に1回。あと、「環境整備」については毎年データが取れますので、毎年ではいかがかということでございます。
 プレゼンの方法が一番最後ですけれども、これは別紙6を見ていただきたいと思います。別紙6にグラフがございます。これをどういうふうに次回、公表していこうかということですけれども、1つは、時系列の動きを強調しまして、5分野ごとの動きを見ますということです。確認ですけれども、この5分野を合成することは考えない方がいいのではないかということが私どもの考え方です。というのも、人によって、その5分野のウェイトはかなり違うと思います。それを20%ずつアグリゲートしてしまうことは、やや危険かなと思いますので、これは5分野ごとで出したいと思っています。
 こういう5分野のトレンドを出したもの、あと、環境整備指標を一本にしたもの、あるいは、次のページをめくっていただきまして、5分野ごとのバランスがどう変わっているのかということです。これは、100という2002年のバランスを基に、2002年のバランスからどう変わったかということを示したものです。こういうレーダーチャート的な示し方もあるでしょうということ。3番目は、基準年2002年と比較したときに何がどう動いているかということで、こういう形です。これのいいところは、環境整備指標の動きも一緒にあらわせるというところかと思っています。
 その次は、やや要因分解的なものですが、3ページ目です。それぞれの指標の寄与度を出していくということで、例として、「仕事・働き方」の中項目で分けたものです。トレンドとしてはこうなっていますが、これによりますと、「柔軟な働き方」、白い部分が押し上げていることがおわかりいただけますし、また「多様な主体が働いている」というのも大きなマイナスからプラスに転じている、ここも大きいということがおわかりいただけると思います。あと、小項目でそれぞれ出したときにどうかということです。このような出し方があろうかと思います。
 先ほどの補外をする、しないですけれども、別紙2の方ですけれども、今回、このように出させていただきまして、それほどの大きな差が出ていないという結果になっています。ちょっと追加でコメントさせていただきますが、補外の考え方としては、1つは、補外することによって、欠損値が少なくなる。要するに、アグリゲートする指数の対象が増えるということが勿論いいことなんですけれども、それによって、何年間補外をするのか。余り長期の補外というのが非現実的、せいぜい1~2年ぐらいの補外であれば許していただけるのかなということを考えております。
 あと、もう一つ、景気の動向によって指標がある程度動きますので、景気の転換点によっては上方バイアスになる可能性もある。今回、女性の再就職率などがかなり押し上げ要因になるわけですけれども、景気が悪くなると、ややトレンドを重視した補外ですと、それは過去に遡及して訂正したときに、上方バイアスで、やや下方修正をしなければいけないというリスクもあるのかなというふうに思っています。ただ、補外あり、なしを見ていただきまして、このぐらいであれば、お許しいただけるのであれば、そういう景気の転換点で、ある程度補外をするという考え方もあろうかとは思っております。その辺も含めて、もし御意見いただければと思います。済みません。長くなりました。
佐藤会長
先ほど途中で、この実現の指標は何かと説明したんですけれども、まずは、今の御説明について御質問があったら伺って、その後、資料1の3ページ以降、御検討いただきたいというところについて、一つひとつ、できれば今日、決めていきたいというふうに思います。
 先ほどの続きになってしまうんですけれども、2002年を基準にして、そこからの変化を見ますから、公表の方法のところの絵にありましたように、例えば、「働き方」の方は改善していて、ほかは改善していないというのが出ましたけれども、項目ごとの絶対水準の比較になるわけではないので、ある基準から変化だということなので、変化が大きいところが絶対水準で改善しているかということはまた別の話です。もともとそういう形でしかつくれないので、その辺は御理解いただければというふうに思います。
 では、議論していただく前に、山田審議官に来ていただきましたので、簡単に所属と、何でいるかというのだけ。
山田審議官
内閣府の共生社会担当の審議官をやっております山田と申します。昨年末までワーク・ライフ・バランス憲章と行動指針について作業部会に携わっていた、そういう状況でございます。どうぞよろしくお願いします。
佐藤会長
それでは、まず、作業していただいて、御説明いたたいたところについて、ここがわからない、もう少し説明してとか、御質問を伺って、その後、検討すべき課題で、少し決めていかなければいけないこともありますので、そこを1個1個端からやっていきたいと思います。まず初めに、御質問から伺えればというふうに思います。どうぞ。
高橋委員
別紙5-2の図中の折れ線が折れ曲がっている、3ページ目のところをもう一度確認させていただきたいんですが、上の図も下の図も、結局は時点が3点で、途中を補間したという理解でいいわけですか。
神田調査課長
はい。例えば、合成指標Ⅳとかでよろしいですか。
高橋委員
はい。
神田調査課長
であれば、そうです。2006年と2001年がデータとしてありますので、間の4点を、平均の変化、幅とかで同じになるように補間をしたということです。
高橋委員
合成指標Ⅲ-1、2、3も同じですか。
神田調査課長
基本的にはそうですね。ただ、必ずしも5年に1回だけではなくて、若干別の指標も入っていますけれども、基本は大体同じです。
高橋委員
わかりました。ということは、この3点を使ってやるよりは、例えば、移動平均のような形で、偶然変動を除去した方がまともなトレンドになるんではないかなという印象がしたんです。
神田調査課長
移動平均ですか。過去の。滑らかにですね。
高橋委員
結構、偶然変動に引っ張られた数値のトレンドになっているんではないかなという気がします。これは意見です。
佐藤会長
論点にないんですけれども、補間のところは後で議論した方がいいと思って。毎年調査があればいいわけですけれども、ないところをどうするかで、1つは、ある時点の前にあれば、例えば、2000年と2005年があれば、間は直線でつないでしまえば、これは割合わかりやすいんですけれども、そういう補間と、入れていないのもあるんだよね。問題は、先に伸ばすかどうかで、伸ばすところを、過去の延長で、移動平均取るか、そこだけ取るか、あとは、伸ばすのも、トレンドで伸ばすか、実数で伸ばすというやり方、それはやっていないんだよね。
神田課長
横ばいです。
佐藤会長
横ばいで行ってしまう。そっちのやり方もあって、これはやっていない。今、過去のトレンドで伸ばしているということね。今、高橋先生は、過去のトレンドを少しさかのぼって幾何平均から取れと、そういう話ですね。
高橋委員
この下の図は2001年が余りにも値に引っ張られ過ぎているんではないかという気がしたものですから。
神田調査課長
要するに、過去の伸びているというトレンドと、2001年から2006年にかけて下がっているというトレンドを足しながら、2002年の数字を出すべきだということですね。そこは、補間の1つの考え方だと思います。
佐藤会長
ですから、2つあって、間で抜けているところを入れるか入れないかで、私は入れた方がいいのではないかと思うんです。そこを今、ここで議論して決めた方がいいのかな。
神田調査課長
はい。
佐藤会長
ですから、抜けているところで、例えば、さっき言ったように2000と2005があるとき、間は抜く場合か、入れるかといったときに、2000と2005をつないでしまったのを入れるやり方の方がいいのではないかというふうに思うんですが、そこも1つです。
 もう一つは、伸ばすところの伸ばし方で、トレンドで伸ばすか、2005年の数値を2006、2007、2008、2009と入れてしまうというやり方もある。これも決めた方がいいんですね。
神田調査課長
そうですね。移動平均という考え方も。
佐藤会長
移動平均というやり方もある。過去のトレンドをずっと先まで持っていったので伸ばすかという、その辺、いかがですか。御意見伺って、ここはもう少し、幾つか出してもらって、最終的に決めるというやり方でいいと思うんです。ここは高橋先生のを踏まえて少しやってもらいますか。
神田調査課長
ちょっと試算をさせていただいて、どのぐらい差が出るかを見て、またお示しします。
佐藤会長
それはかなりテクニカルに幾つかのパターンを出していただいて、見ていただいた後、また選んでいただく。
 ほかに御質問があれば。どうぞ。
北浦委員
先ほど参考でお示しいただいた「暮らし指数」は、今も生きているんですか。つまり、検討委員会は出ているんですが、まだつくられているんですか。
神田調査課長
もう更新されていないんです。16年から。ただ、指標に問題があったわけではないと聞いています。
北浦委員
というのは、働きやすさというところが、これは過去の話なんですが、これでいくと、余り改善しないという数字になっているんですね。こちらの方は、2000年まで、少しずつですけれども、緩やかなトレンドで上昇している。勿論、項目が全然違うんですが、もし出されるとすれば、意味合いは全然違うと思うんですけれども、やはり誤解を招いてはいけないんでと思ったんですが、特にそれは公表はない。
神田調査課長
していないです。
北浦委員
わかりました。
佐藤会長
紀陸委員。
紀陸委員
「地域・社会活動」は特異な動きで、資料4によると、総務省の社会生活基本調査が基本になっているんですね。要するに、これしかないということで、しかもこれが5年に一遍。要するに、データをどう補整するかという問題のほかに、1つしかないデータで幾ら補整していっても、本当に実態がつかめるものになり得るのかという、質問かたがた意見です。感覚的に本当に減っているのかなという感じもします。このデータだと、たまたまそういうふうに出てきて、どういうふうにつないでも、5年に一遍のデータで、多少の動きがあって、それが大きくぶれるというようなことであれば、指標として、これに依存して、こういうものを出すのが意味があるや否やということです。
神田調査課長
私どももいろんな指標を探したわけなんですが、総務省の社会生活基本調査は最も信頼性の高いデータで、いろんなところで使われているので、5年に1回なんですが、そういうトレンドが出ているということだと思います。これはカバレッジからしても最も、信頼性が高いデータがほかにないというものだと思います。
佐藤会長
5年に1回というのは、最新は何年ですか。
神田調査課長
2006年のデータが比較的最近のものです。
佐藤会長
2006と2001年。
神田調査課長
そうです。
佐藤会長
2001と2006をつないでいるのだから、そういう意味では、最新データは使えているということね。
神田調査課長
そうです。ただ、そこは、さっき高橋委員がおっしゃったように、2次転換だけでいくと、かなり固定されて、情報としては非常に狭い情報なので、それのもう一つ前の情報も入れて、その間、補間するのがいいんではないかという御指摘だったんですね。
佐藤会長
だから、2001と2006があって、そこの間をつなぐとき、前を使うのも変なので、これは真っ直ぐつなぐことで、今の補間の仕方はおかしくないとは思うんです。2006が出ているわけですから。
紀陸委員
社会生活基本調査というのは知らないんですけれども、対象者はどうなんですか。それによって全然話が違ってきますね。
佐藤会長
個人調査です。かなり大きなサンプルを取っているもので、信頼度は高いと思います。
紀陸委員
そうですか。だけれども、どう考えても、これは減るのかな。増えるんではないですか、これだったらば。感覚の話ですけれどもね。
勝間委員
調査はNHKが5年置きにやっていたものがあると思いますけれども、これと併用するとか、あるいはビデオリサーチさんも調査を毎年公表していたり、電通さんの調査もあったと思うので、そういうような民間調査を併用するということはあり得ないんでしょうか。
神田調査課長
どういう指標を取るかというのは、役人的な答弁で申し訳ないんですが、実は12月の段階で決まっていまして、これがまさにここで決まっているんです。ただ、おっしゃるとおり、ほかの調査で見て、トレンドとしてどうなのかというのはチェックはしてみたいと思います。そういうので、参考として、今回、勿論これを代表として取っているんですけれども、ほかの調査で見て、トレンドが大体合っているかどうかというのはチェックしたいと思います。
佐藤会長
ただ、この前の国民生活白書でも、つながりというのが特徴で、全体として見ると、地域のつながりが落ちているのは事実なんですね。だから、それほどおかしなデータではないのではないかなという気がします。ただ、入れるデータは決まっているんですけれども、ほかので少し見て、ほかのがすごく改善しているにもかかわらずというとあれなので、その辺は紀陸さんが言われることもあるので、少し見ていただければというふうに思います。
紀陸委員
高齢者の方が増えるとかいうような状況になってくると、こういうのは変わってくるんではないかと、感じですけれどもね。実態はよくわかりません。
佐藤会長
ほかに御質問ございますか。そうしたら、補間については高橋先生から御指摘があったようなやり方も含めて、新しいパターンも追加していただくということで、あと、社会生活基本調査の動きと、ほかのデータでどうかというようなことですね。それもやっていただくことにして、資料1の3ページ以降で、わかりやすいところから行きますか。データの更新からいきましょうか。これは趣旨は。
神田調査課長
要するに、「仕事・働き方」については毎年更新をするけれども、それ以外については毎年の更新をしない。
佐藤会長
つまり、今度出した2006年のが2007年のところに入っていく。
神田調査課長
そうです。だから、今回、2006年を出しますが、「地域・社会活動」については、来年になって2007年を出すかというと、出さないということです。
佐藤会長
ただ、問題は、2006年のをつくるときに、伸ばしたのも入っているんだね。2006年に公表する数値は、伸ばしたものが入って2006年の数値ですよね。
神田調査課長
補間ですけれども、2006年のデータはちゃんとあるわけですね。5年に1回で。
佐藤会長
ほかのところ、ないところは、伸ばしているのも入っているんですね。
神田調査課長
はい。
佐藤会長
だけれども、2007年になったら、やらないというふうにするということね。
神田調査課長
はい。一部だったら補間はいいと思うんですけれども、ほとんどその分野が補間でしか推計していませんというのはまずいということです。それがⅡ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴがかなりウェイトが高いということなんです。補間する割合の問題なんです。
佐藤会長
つまり、2006年は何もない。
神田調査課長
そうです。何もないのに、補間でトレンドを伸ばしたらこうなりましたということでいいのかなということです。しかも、次の調査が出るまであと4年間、要するに9年間補間し続けたので、ずっと下がり続けるわけなんですけれども、そこは厳しいんではないか。
佐藤会長
そこは、そうすると、2006年のをずっと入れていくということですね。
神田調査課長
はい。そのトレンドで。
佐藤会長
トレンドを、そのままいく。
神田調査課長
それはやはりちょっとバランスがあるんではないか。
佐藤会長
そういう趣旨だそうです。
勝間委員
これは、公表しないということですか。Ⅰ以外のものについては。
神田調査課長
今回は公表します。
勝間委員
その次の年からですか。
神田調査課長
その次の年です。
佐藤会長
公表するんだけれども、追記のところは、2007の段階で2006の数値が表計されるというような感じです。
勝間委員
そうすると、再掲はされるんですか。
佐藤会長
再掲はされる。
神田調査課長
再掲しても、勿論、それは。
勝間委員
再掲をされるとおっしゃっていなかったんで、その確認を取りたかったんです。
神田調査課長
再掲というのは、2006年時点でこうでしたみたいなことですね。
勝間委員
そうです。
神田調査課長
そこは出してもいいと思います。
勝間委員
いえ、ごめんなさい。出してもいいとは思うではなくて、出した方がいいんではないでしょうかという意見です。
神田調査課長
情報としてはそうだと思います。
佐藤会長
趣旨は今みたいなことなので、これも公表の仕方は今日決めなくてもいいと思うんですけれども、確かに全部落ちてしまっているので、過去のトレンドを伸ばしていいかどうかというのは確かに御指摘なのでということのようです。
北浦委員
よろしいですか。それでいいんだと思いますが、予測はできませんので、景気指標みたいな形の予測というわけにいかないので、それで固定するというんでいいんですが、多分、時間が5年スパンだと、3年、4年くらいたってくると、かなりずれが出てきますね。各指標間。そこのところでちょっと違和感は出るかなという感じはするんで、この辺はしようがないのかなとは思うんですが、当面は大体1年、2年の違いならいいんですが、だんだん3年、4年になると、年数の違いがばらばらと出てくると、個別に見るんでしょうけれども、比較可能かとか、そういうところはちょっと気になるところではありますね。ただ、これはデータ上の制約で、しようがないかなという感じはいたします。さっき言ったように、予測はできないんですが、ほかの指標でもって少し補っていくとか、何かやらないといけない。より根本的には、こういう社会生活の政府統計がいかに少ないかという問題だと思うので、そこは何か工夫をいただくというか、今後、考えていただく必要があるんではないかと思います。そこはいけないというわけではなくて、そういうことは若干あり得るということです。
佐藤会長
ですから、少なくとも、2006の後、2011年があれば、さかのぼってデータが出ることは出るんだけれども、そこを伸ばしていっていいかどうかということです
北浦委員
そもそも伸ばせないでしょう。
神田調査課長
済みません。先ほどのを若干修正させていただいて、確かにデータをどこから取るのかというところについては、100%フィックスされているわけでもないので、ちょっと修正します。状況を見ながら、もしほかにいいのがあれば、くつろぐ時間とか、別にいいデータがあれば、データは新しいものにどんどん差し替えていくということはやるということですので、チェックしながら考えていったらいいというふうに思います。
紀陸委員
短時間就労の人が増えてくるとかということになりますと、社会参画とかボランティアをされる人は多いんではないかと思うんです。どう考えてもね。それが減っているということは、何となく変だなという感じがして、一般の人がそう思うと、全体の信用にもかかわることがありますよね。実態をよく知らないで言っている話なんですけれども、特にデータが限られている場合ね。そこは、さっきお話出ましたけれども、少し広げていただくとか、追加してということが可能であれば、そういうふうにしたらいいかなと思います。
佐藤会長
地域のところ、小項目を含めたトレンドはどこかに載っていましたか。表を見ればいいのかな。この横のを見ればいいのかな。両方とも落ちているのか。
神田調査課長
上が時間的なもので、下がどういう人が参加しているかというもの。上の時間の方は、ボランティアと交際・つき合いという2つが入っていますので、どちらかというと交際・つき合いの方が割とトレンドとして落ちてきて、特に20代、30代、若い人たちが落ちてきているということになっています。
佐藤会長
だから、ボランティア活動だけではなくて、人と地域とのつながりみたいなものを取っていますから、そっちは希薄化しているというのが大きく引っ張っている可能性がある。今の点、少し確認させていただくということと、伸ばす点については、公表の仕方は最終的に決めればいいと思います。あと、データについても、基本的に統計まで行っているわけではないですので、ただ、こういう項目を入れるということですので、それを別のデータで取るということは可能だと思います。ただ、この項目を入れるというのを別の方で入れてしまうのは、一度決めたことなのでできないという理解でいいかと思います。
 あと、賃金はいいですね。これをやるということですね。
神田調査課長
はい。
佐藤会長
そうしますと、2番目の環境整備指標の合計ウェイトです。どういうことかといいますと、つまり、環境整備指標にすごくたくさんのものが入っているんですね。一番最初に何も書いていないものの指標の2枚目を見ていただきますと、これは1つのものをつくるわけですけれども、いろんなものが入っていまして、例えば、「働き方・生き方を選べる」というところはたくさんあるんですね。ですから、ここに上がっているものを、これは幾つあるのかな、みんな同じウェイトで足し上げたのが何もしないというものです。あとは、ここにくくってあるブロックごとに、それぞれのウェイトを20にしてくくっているというのがウェイトをつけた、そういう意味です。
 一応、事務局案としては、全部積み上げてしまうと、「働き方・生き方を選べる」というところだけがやたらに全体に影響するので、それぞれ幾つにするかというのも結構議論はあるわけですけれども、こういうふうに分けてありますので、一番わかりやすいのは、それぞれの塊ごと20、全部が100というような感じに分けたらどうか。それがウェイトをつけたという意味です。ですから、1個1個の政策にウェイトをつけているわけではない。ブロック単位でつけている、そういう趣旨です。この辺、いかがでしょうか。
 環境整備指標は、基本的に1個で出すというふうに決めてありますので、最後にまとめたのを出すと決まっているんですけれども、やや領域ごとの施策の数がアンバランスなので、全部まとめてというのはちょっとあれかなと思います。ただ、どう分けるかも、余り恣意的にやるのもあれなので、いいかどうかは別として、一応、こういう対応関係があるので、5つのブロックごとにというのはいかがですか。
北浦委員
5つのブロックの推移というのはどこに出ているんですか。
神田調査課長
出していないんです。
北浦委員
ああ、出ていないんですか。
神田調査課長
先ほど申しましたように、「収入面での自立機会が設けられているか」というのが、比較的有事的に、初めが落ちて、どんどん上がっていくということで、そこはあらわれているということです。あと、3つ目の「健康を維持するための機会が設けられているか」も90年代後半に落ちてきて、2000年になって上がってきているというトレンドになっています。
佐藤会長
どうですか。それぞれ一長一短あるんですけれども、相当これは差があるので、80から90あるようなのを全部同じウェイトというと、1か所が高くなる。ただ、どうこれを組み直すかというのは、議論し始めるとなかなか説明がしにくいので、であれば、行動指針をつくるときに分かれていた対応で行く方がいいのではないかという提案なんですけれども、それでよろしいでしょうか。
羽入委員
ちょっと確認させていただきたいんですが、これで見ると、社会の姿で3つ要素がございますね。その3つの要素のうちの経済的自立というのが、これのままですと20%ということになり、それぞれ20%、40%、40%ということになります。そうすると、仕事と生活の調和の中で「経済的な自立」が20%でよいのかどうかということがちょっと気になります。
北浦委員
よろしいですか。この構成要素を見ると、政府の政策によって実現がかなり進むものと、民間の努力をかなり促さないといけないものと、いろんなものが混じっていますので、それぞれの項目間においての違いというのは、ここからにじみ出てくるんだと思うんです。同じ環境整備といっても、意味合いが随分違う。そうすると、1本で出すのも結構だと思うんですけれども、それと並列して5つのものを出しておけば、それを後でどうアグリゲートするかは人によっても。
佐藤会長
基本的に5つは出せないということがこれは決まっているのです。
北浦委員
でも、参考的に出せないか。
佐藤会長
参考も出せない。基本的にはまとめるというふうに行動指針をつくるときに決めたので、そこはちょっと難しいところで、済みません。
北浦委員
そういう縛りがあるんだったら、どうなんですかね。それだけの数字ということになってしまいます。
佐藤会長
ですから、基本的には、どういうものでつくっているかは出ますけれども、くくったものの数値も公表されないというふうに考えていただければと思います。ほかの小項目も同じで、小項目の中のトレンドは、勿論、個人が調べればわかりますけれども、それは基本的には出さない。つまり、それを見るものではなくて、指標を見るということなので、指標のトレンドを見る。
北浦委員
これは公表の仕方かもしれませんが、それでは、数字が出せなくても、何かそういったような、さっきのU字型であるとか、そういう性質ですね、どの分野が効いているのか、効いていないのかとか、何かそういう特徴だけでも解説でもしていただかないと、同じ100が101.2とか101.3とか言われても、何だろうと、こうなってしまうんで、それは公表の仕方の問題かもしれませんが、数表ではなくて、定性的にあらわすというやり方もあるのかなと思います。
神田調査課長
ここはグラフを書いた横に、どういう背景があってこうなっているかというのは解説したいと思っています。
佐藤会長
中でのウェイトのつくり方はここで議論できると思うんですが、公表の仕方は決まっているという、変な感じなんです。ただ、ウェイトの仕方も、やり始めると非常に大変なので、正直言って、私が言ったのがベストかどうかというのは非常に難しいのはよくわかります。今、御指摘のとおりの点もあるんです。
勝間委員
代替案として、例えば、この横軸を3分の1ずつ取って、それぞれの3分の1ずつを更にまた2分の1とかということの指標もやって、どちらが実感に即すかということを比べられないでしょうか。
佐藤会長
それも1つだと思います。つまり、縦、3分の1、3分の1、3分の1ですね。だから、33ぐらいにして、その中を2つに分ける。両方試算してもらいましょう。多分それほど違わないと思います。そうすると、経済のところのウェイトが高くなる。3割になる。33%になる。縦と、2割ずつにするのとで、両方やっていただくのはいいですか。
神田調査課長
はい。
佐藤会長
では、それは両方やっていただくということです。
 それでは、もう一つ、4ページ目の、これも確定にする必要ないんですけれども、つくっていっていただかなければいけませんので、これは今日全部決める必要があるんですか。まだいいんですよね。
神田調査課長
はい。まだ、引き続き議論してください。
佐藤会長
もう一回ぐらいですね。それでは、公表の仕方です。別紙6で、一応、事務局案としては、領域ごとのトレンドを出すという形。環境の方は1つという上で、その中での情報の出し方として御提案いただいている、こういうものでいいかどうかです。あるいは、こういう出し方もあるのではないかとかあれば、御意見伺います。別紙6です。どうぞ。
杉山委員
済みません。質問なんですけれども、この公表というのは、どういう形で公表になるのか。何かと一緒に公表になるとか、どのタイミングでなるのかとか、想定されているものがありましたら教えていただければと思います。
神田調査課長
現時点では、当専門調査会で公表するということを考えています。ですので、タイミングは、次回の専門調査会に無理して合わせるか、あるいは、その次、1週間後か10日後か、できるタイミングでこういうものを出すかということはありますけれども、基本的には簡単な説明資料を外に対して公表するという形になります。
佐藤会長
ですから、まずはこの専門調査会で公表する。その後、わかりませんけれども、仕事と生活調和推進室の方でそういうものを情報提供するということがあるかもしれない。つまり、これは行動指針の中にこういうものをつくるというのが上がっていますから、推進室の方での公表も多分していただけるのではないかと思います。どうですか。割合いろいろ工夫していただいているとは思うんですけれども、こんなような形で公表していく資料というのでよろしいですか。はい。
 それでは、幾つか宿題があるわけですけれども、1つは、補間の仕方、補外の仕方のところを、高橋先生の御指摘も踏まえて考えていただくということと、あと、それにかかわるわけですけれども、全くない領域をどうするか。確かに伸ばすのも難しそうなので、そうすると、どんな感じで公表されていくかというイメージがわかったわけでございます。2006の後はないというか、どんな感じで公表のときもなっていくのかというような。その辺も踏まえて、幾つかパターンを考えていただければと思います。
 それと、ないところについて、もしかしてほかにあるかもしれないというようなこともありましたので、どういうデータを入れるかは決まっていますけれども、何で取るかについては、取り得るものがあるかどうか御検討いただくということ。
 あと、出てきた結果と実感と違うようなこともあるのではないかという御意見がありましたので、その辺は確認させていただければというふうに思います。
 あと、環境指標について、全部足し上げるのはやや乱暴なので、領域ごとに分けようといったときに2つの案がありますので、5つごとに分けるか、縦の3つで分けるか、両方出していただいて、どっちが割合実感に合っているかということで見ていただくというようなことをお願いするのでよろしいですか。
神田調査課長
はい。
佐藤会長
それでは、実現度指標についての議論はこの辺でよろしいですか。
 それでは、まだ議題がありますので、次の議題として、「企業における仕事と生活の調和のコスト・メリット等について」を検討していただいていますので、事務局から説明いただいて、その後、企業ヒアリングの結果について、みずほ情報総研から御報告いただくようにしたいと思います。よろしくお願いします。
栗田調査官
資料5、6、7を通して、私と、あと、みずほ情報総研さんの方から御紹介させていただきます。
 「企業における仕事と生活の調和のコスト・メリット」につきましては、前回12月の専門調査会の際に、コスト・メリットの分析の方法、それから、企業ヒアリングの項目等について御議論いただきました後に、1月にメールでも御報告させていただきましたが、コスト・メリットについては、シミュレーションの計算をしますということで、計算をしておりました。あと、1月に実際に企業ヒアリングにそれぞれ行かせていただきました。一部、委員の先生方のご所属の企業にも御協力をいただきました。この場をかりて厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。
 そういった中身を基に、今、資料5としてお配りしていますのが、シミュレーションの結果、それから企業のヒアリング結果を参考にしまして、企業がワーク・ライフ・バランスに取り組むメリットをどのようにこの専門調査会の方で取りまとめていくかというイメージを整理した資料でございます。まず最初にこの資料5をざっと御紹介させていただきまして、その後にシミュレーション結果の資料6の方の御紹介をしたいと思います。
 資料5でございますが、「企業がワーク・ライフ・バランスに取り組むメリットとりまとめのイメージ」とございますが、まず、1としまして、企業がワーク・ライフ・バランスにどのような取組みをしているのかというようなところを御紹介を考えております。企業インタビューなどで得てきました情報、先進企業の事例も基に、企業ワーク・ライフ・バランスに関して取組みにどのようなものがあるのかということですとか、そういった取組みが企業にどのようなメリットをもたらして、そのための取組みの課題が何かといったようなところにつきましても、シミュレーション結果なども踏まえまして、定量的なコスト情報も含めて紹介をするといったような形で考えております。
 具体的には、まず、両立支援の促進ですとか、柔軟な働き方の促進、業務の見直しや効率化、従業員のメンタルヘルスの向上等、幾つかケース分けをしてございますけれども、まず(1)で両立支援の促進という取組みの中で紹介をするということで考えております。まず、両立支援策にどのようなものがあるのかということで、育休制度ですとか介護休業、短時間勤務制度ですとか、事業所内保育所を設置しているようなところ、いろいろなものがありますので、そういった支援策を御紹介して、企業インタビューの中で、先進企業の取組みとして御紹介できるものを幾つかピックアップをして御紹介したいというふうに考えております。
 例えば、短時間勤務制度で、かなり従業員のニーズに応えて、1時間短縮、2時間短縮、半日の短縮ですとか、あとは週に2日とか3日だけ勤務をするといったような、いろいろな勤務形態を設けているといったところを御紹介したりですとか、女性の従業員が子育てと仕事を両立でき人材が定着する効果として、女性とか生活者の視点を生かしたヒット商品が生まれたような例もあるといったことは、ヒアリングの方で情報をいただきました。
 その次に、取組みをしたことによるメリットといったものを幾つか整理をしておりまして、例えば、従業員が離職しないようになった、優秀な人材が定着するようになったというようなことですとか、従業員の満足度ですとか、意欲の高まりが見られるといったようなこと、幾つか挙げてございますけれども、そういったメリットがありますよというメリット情報を御紹介するということでございます。
 ただ、取組みを推進するためには、当然課題もございまして、周囲の従業員に対して負荷がかかるというような懸念もありますので、そういった方々の理解の促進ですとか、現場の管理職の方が、業務の振り分け等、マネージメント能力がきちんとないと、なかなか取組みがうまく進まないだろうといったような課題も併せて御紹介したらということでございます。
 それから、メリットに関連しまして、コスト情報を御紹介したらどうかということで、後ほど御紹介します資料6のシミュレーション結果の方から引用してくる形になりますけれども、例えば、女性の従業員が出産時、平均年齢29歳ですけれども、出産をしたときに、退職してしまうので、その後、中途採用者を補充するという場合、ワーク・ライフ・バランスの環境が整っていない場合と、同じ従業員が出産をした後に、育児休業を、法定の1年間にプラス産前の6週間ぐらい取りまして、その後、短時間勤務を3年ほど行う場合といった、ワーク・ライフ・バランス施策が整っている場合を比較したらどうかということで、それぞれのコスト項目に応じまして、数値的な情報を御紹介したらどうか。
 こちらの企業規模、大企業なのか、中級の企業なのかといったようなところですとか、お休みされたり、短時間勤務をしている間、どなたかに業務を代替してもらう必要が出てきますけれども、周りの同僚によって代替をするのか、それとも、例えば、派遣ですとかパートといったような代替要員を確保してやっていくのかといったようなところも、少しケースを考えまして、どのような御紹介の仕方がいいのかということを考えていきたいと思っております。
 あと、1ページ目の一番下に書いてございますのは、そもそも従業員が辞めてしまうと無駄になってしまうコストといったものにどういった物があるのかというのを御紹介するのも一案かということで、採用費ですとか研修費といったものが無駄になってしまうということですとか、離職してから一定の期間、代替要員を採用するまでは、同僚の方などが業務代替をしますので、そういった費用が余分にかかってくるといったような情報を御紹介したらいかがかということでございます。
 2ページ目でございますが、(2)としまして柔軟な働き方の促進ということで御紹介を考えております。こちらも、柔軟な働き方を促進する取組みはどういったものがあるか。時差出勤制度ですとかフレックスタイム、裁量労働制、在宅勤務、テレワークといったようなものがございますという御紹介を最初にさせていただきまして、あと、先進企業の取組みの紹介ということで、e-Workを推進されている企業さんの例などを御紹介したらいかがかということでございます。
 それから、そういった取組みをすることによるメリットということで、従業員の離職の低下ですとか、満足度や仕事の意欲の高まり、業務の見直しとか効率化の促進といったような部分ですとか、サテライトオフィスを設けたりですとか、在宅勤務するということですと、オフィス賃料等のコストが削減されるのではないかといったようなメリットをまとめて御紹介したらいかがかということでございます。
 当然、こちらも取組みを推進するために課題がございまして、周囲の従業員の理解を促進したりですとか、管理職のマネージメント能力が向上しないと難しいだろうといったような問題があろうかと思います。
 それから、(3)でございますが、こちらは業務の見直しですとか効率化の方に焦点を絞って御紹介したらどうかということでございます。こちらの促進の取組みとしましては、業務の見直し、いわゆる棚卸しをするといったことですとか、業務分担を見直しをするといったようなこと、あと、残業を削減したり、休暇の取得を促進する等、いろいろな方法がございますが、長時間労働を是正するといったような取組みが挙げられようかと思います。
 こちらにつきましても、先進企業の取組みを御紹介するということで、企業ヒアリングの中で、残業を21時までにしましょうといった形で、残業の削減に取り組んでおられる企業がありました。また、別の企業ですけれども、忙しい時期には勤務時間を少し長目に、そうでもない時期には勤務時間を短目にもともと設定しまして、それほど忙しくないときには、そもそも早く帰れるような体制にするというような取組みをしたことによって、結果として残業を4割以上削減したといったような例がございます。そういったものを御紹介したらいかがということです。
 こちらも、取り組むことによるメリットとしまして、生産性が向上するといったようなことですとか、不良品率がかなり下がったというようなお声も聞かれます。それから、残業代などのコスト削減が図れる。当然、従業員の満足度といったものも上がってきますし、長時間労働が是正されるということで、心身の健康を害するリスクも減ってくるのではないかといったようなところをまとめたらいかがかということでございます。
 こちらにつきましての取組みを推進するための課題も併せてきちんと御説明しなくては、なかなか理解を得られないのかなということでございますが、きちんとした推進体制を置くということですとか、現場の方々の意識改革、マネージメントの仕方を変えるといったことが非常に重要になってこようかと思います。
 あと、取り組む企業の中だけということではなくて、取引相手なども理解を促していくといったようなことも必要となろうかと思っております。
 こちらもコスト情報としまして、シミュレーション結果の方から御紹介をしたらということで考えておりますが、例えば、残業時間が1時間短くなると、どれぐらいのコストが削減されるか。こちらは金額的にはかなり大きなものになっておりまして、例えば、従業員が1,000人規模のところですと、1時間短くなれば数億程度のコストが削減されるのではないかといったような御紹介になろうかと思います。
 3ページ目に移りますが、(4)の従業員のメンタルヘルスの向上でございます。こちらにつきましても、メンタルヘルス対策としてどのような取組みをするのかということで、カウンセリングをしたり、管理職の方の部下に対する対応ということで研修を行うといったようなことです。
 先進企業の取組みの御紹介としましては、企業インタビューの中で、健康診断結果に基づきまして、余り健康状況がよろしくない方は就業制限をかけるといったような取組みをしているところがありました。こちらは残業削減の取組みと併せてやっているということなんですけれども、そういった取組みを行った成果としまして、罹患率が減少している。直近の半年で7割ぐらいまで減りましたといったような情報をいただいております。そういったものを御紹介したらどうかということです。
 取り組むことによるメリットでございますが、メンタルヘルスの向上、周囲の社員にもかなり負担が行きますので、そういったものがなくなる。あと、極端なケースでは、企業イメージダウンになるようなケースもございますので、そういったデメリットがなくなるといったようなところも大きいのかと思います。
 こちらも、取組みを推進するための課題ということで、推進体制の構築ですとか、意識改革、マネージメント改革が必要となってこようかということでございます。
 その次に、コスト情報の御紹介ということでございます。こちらもシミュレーション結果の方から引用ということですけれども、具体的に、例えば、従業員は30代後半の男性の方がデータ上、一番多いようなんですけれども、メンタルヘルス上の問題で、半年ごとに休職する、その後、復職するというようなケースを想定しまして、コストを出してみたらどうかということでございます。当然、休職する前後の期間にも、仕事が思うようにできない期間というのもございましょうし、カウンセリング料などもかかってくるのではないか。結果的には予後が思わしくなくて辞めてしまうケースも考えられますので、そういったところも含めて御紹介できればということでございます。
 こういった形で、企業の取組みと、それに関連するメリットといったものを、定量的なもの、先進事例の紹介も含めましてさせていただいて、2としまして、企業がワーク・ライフ・バランスに取り組むことによるメリットといったところを、メリットの項目ごとに最後に総括をするという形で御紹介したらいかがかということで、そこはずらっと並べてございます。
 企業ヒアリングの中で、特に企業側の方でメリットを感じているという御回答が多かった項目としましては、企業イメージや評価の向上ですとか、優秀な人材の確保、採用ができるようになっているといったところが実際にメリット感として感じられているということもございました。あとは、既にご紹介してきたメリット項目ですので、御説明は省かせていただきます。
 続きまして、資料6と、その後の参考を基に、コスト情報のシミュレーション結果につきまして簡単に御紹介させていただきます。
 まず、コストモデルの設定ということで、これは昨年の12月に既に御紹介をしておりましたが、ケース1が育児休業を取得するケース、ケース2が短時間勤務を利用するケース、ケース3が長時間労働の是正ですとかメンタルヘルス対策をするケースということで、3つのケースを設定しまして、ワーク・ライフ・バランス環境が整っている場合と、整っていない場合のコストの差をメリットととらえまして、定量的に計算を試みるということでございます。
 このときに、業務量、売上げですとか利益というのは、とりあえず同じということを前提にしております。ケース3は一部違う前提を置いております。
 あと、基本的には既存の統計ですとか調査で参考にできるデータがあれば、そこを参考にしまして前提を置くということで、ただ、なかなかないものもありますので、参考にできる既存の統計等がない場合には、企業インタビューの方で聞いてきました結果を基に前提を置いたりといったことをしてございます。
 具体的にケース1から、2ページ目の表を基に計算結果を御紹介します。まずはケース1の育児休業取得のケースでございますが、29歳の方が、平均の出産年齢ということですので、出産を機に退職をするというケースでございます。表の中に「共通仮定」と書いてございますが、29歳の方ですと、大卒の方が一番多いということですので、従業員の学歴というのは、それぞれの性別とか年齢層の最も比率の高い学歴を想定しておりますが、この場合は大卒で29歳の方を想定している。ただし、企業規模ごとに3種類試算しておりまして、小規模のところは高専、短大卒というふうに仮定を置き換えています。
 あと、共通仮定の2つ目でございますけれども、残業が代替業務を行えないほど長時間に及ぶ職場でありますと、同僚による代替というのがなかなか難しくなりますので、そもそも長時間にそれほど及ばない職場だということを前提に考えなくてはいけないということがあります。
 個別の仮定のところで、左側のAという箱のところでございますが、これは、出産を機に従業員が退職して、中途採用者を採用するというケースです。欠員補充までの期間を3か月、その間の業務は同僚が代替をするとしてございます。同僚の時間生産性比は、辞めてしまわれた方の0.8ということで、これはニッセイ基礎研さんの2年ほど前のデータでも同じような形の生産性比を置いてございました。
 それから、中途採用の経費、これは募集広告などにかかる経費ということで、10万程度積んでございます。
 それから、中途採用者が採用されました後、OJTとしまして、同僚の方が1日1時間、研修というか、ガイダンス等をするという想定を置いております。あと、仕事に慣れるまでの期間を4.5か月、こちらの企業インタビューの方で、平均的には大体このぐらいの期間かなということで想定しています。それから、中途採用者の時間生産性比というのが、4.5か月間の間にだんだん上がり、その間、同僚の方が残業により業務を補完をしているという想定を置いております。
 あと、中途採用者の給与ですとか賞与というのは、辞められた方と同じものを想定しているということです。
 真ん中のB-1のところでございますが、こちらは、育児休業を取得するんですけれども、その間、同僚の方が代替をする、そして復職をされるというケースであります。
 個別仮定の欄のところですけれども、まず、休業期間につきましては、1年と6週間ということで、これは法定の育児休業期間に産前の6週間を足した期間にしてございます。
 その間の同僚の時間生産性比でございますが、こちらも大体4.5か月で業務に慣れるという、先ほどの企業ヒアリングの想定をそのまま使わせていただきまして、最初の4.5か月間は休職者の0.8、残りの9か月間は少し効率が上がりまして0.9というふうに仮定を置いておりますが、基本的に残業による代替をするということですので、0.9は超えないという仮定にしてございます。
 それから、復職をした後でございますけれども、復職者の時間生産性比というのが、1か月で勘が全部戻るということで、最初は0.7から、1か月後に1.0にという形にしてございます。1か月という期間は、企業ヒアリングの方でも、大体平均的に1か月だったかなというところと、あとは調査の方で、10~12か月ぐらいお休みをされた方は1~3か月で勘が戻るという答えをしたのが一番高い。その次が、復職後すぐに、そのまま働けるという回答をした方が高いという調査結果と、両方を参考に、こちらの1か月という期間を想定を置いております。
 それから、同僚の方は、やはり残業により業務を補完するということで、休業期間中に既に慣れた状態で、そのまま補完して差し上げるということですので、時間生産性比は0.9と想定しております。
 一番右側の箱のB-2でございますが、こちらは、育児休業を同じように取得するんですけれども、その間、派遣社員と同僚によって代替をするという想定をしたものでございます。
 こちらも個別仮定の方ですけれども、休業期間は同じく1年6週間ということで、その間、フルタイムの派遣社員を1人雇い入れるということです。その時間生産性比はやはり0.7ということです。ただし、こちらは有期雇用で、人も入れ代わるかもしれないということも考えまして、業務に慣れるということではなくて、期間中ずっと0.7という仮定を置いております。
 業務を補完する同僚の方は、B-1のケースと同じように、最初の4.5か月が休業者の0.8、残りの9か月は0.9という仮定を置いてございます。
 派遣社員料金は、調査を見ておりますと、1日平均1万5,000円ぐらいというものがございましたので、1万5,000円という仮定を置いてございます。
 それから、復職者の時間生産性比でございますが、この部分は、先ほどお話ししましたB-1と同じ想定を置いているということでございます。
 3ページ目にお移りいただきまして、このような想定を置いて計算をした結果というものが真ん中にグラフで書いてございます。従業員規模、企業の規模ごとに3パターン計算しましたので、左側が1,000以上規模、真ん中が100~999人の中規模、一番右が10~99人の小規模の企業ということで、それぞれコストを出してございます。
 そこをごらんいただきますと、下に◎で総括した文章をつくってございますが、Aのケース、従業員が出産を機に退職をして、同条件の中途採用者を採用、育成するというケースよりも、B-1、従業員が育児休業を取得して、その間、同僚従業員が業務代替をする方が、押しなべて、どの企業規模においてもコストが少なくて、企業にとってメリットになるというふうに考えられます。
 ただし、B-2のケース、育児休業期間中に派遣社員と同僚従業員に業務代替をする場合、休業規模が小さくなるにつれまして、コスト面で現実的でなくなるといったところが見られると思います。表の方で言いますと、AマイナスB-2というところ、下から2つ目の数字のところでございますが、1,000人以上規模のところでプラスの数字、19万ほどになっておりますが、中規模の休業になりますと三角が立ちまして、同じく19万ほど赤字になる。小規模の企業ですと68万ほど赤字になるといったような試算結果になっております。
 続きまして、ケース2の短時間勤務を利用したケースの御説明をさせていただきます。Aのケースは、退職をしてしまって、中途採用者を採用、育成する場合ということで、Bのケースは、29歳で出産しますが、育休を取った後、30歳ぐらいから復帰されるということですけれども、その女性従業員が3年間短時間勤務をして、B-1は同僚従業員が残業で業務代替をする、B-2は派遣社員で業務代替をする場合を比較したものでございます。
 ちなみに、B-2の派遣による業務代替というのは、短時間勤務者が1日に2時間短時間勤務をするということで、週に10時間分の業務を代替するということになります。例えば、週2日ほど派遣の方を利用するということを想定しまして、同僚従業員も含めまして業務分担の見直しを行って、派遣社員の方にいわゆる非中核的業務の方を集中させる。同僚従業員の方では、短時間勤務が行っていた中核的な業務といったものも勤務時間内に行うといったような見直しを行うということを想定して計算してございます。
 こちらも4ページ目のところに計算結果を入れてございます。◎の方に文章で整理をしてございますが、まず、企業規模にかかわらず、辞めてしまって中途採用するというAのケースよりも、B-1とかB-2の方がコストが少ないということは言えるということでございます。企業にとってメリットとなるということでございまして、同僚従業員が業務代替する場合に、その傾向が著しいということでございます。B-1のコストに三角が立っているというのは、計算上はマイナス、何もしないよりも少しお得になるというぐらいの計算になるということでございます。
 次に、(3)のケース3でございますが、こちらは長時間労働とメンタルヘルス対策を行うということで、結果として休職者の発生率が低くなるというものを比較したものでございます。
 まず、ここは、長時間労働の是正といったところとメンタルヘルス対策といったところを分けて御紹介した方がいいかなということで、①~?ということで分けてございます。
 ①の長時間労働是正によるコスト比較というところで、まず、休暇取得が少ないものを、残業を削減して休暇取得を促進するといったものと比較をするということでございます。仮定を置きまして、残業時間を平均してならすと、Aのケースで120分するというものを、Bのケースですと36分ぐらいになるというところで計算をしてみました。そうしますと、こちらは、コスト的にはBの残業削減をした方がコストは少なくなるということで、1000人規模の企業では億単位の金額が削減されるということで、非常に大きな金額が削減できるという形になっています。
 ②の休職者の減少によるコスト比較ということでございますが、いろいろな対策をしたことによって、休職者の発生が低くなったことにより、コストがどのぐらい浮くかといったところを計算しているものです。Aが平均的なケースを想定していまして、従業員規模で、注7のところの調査結果を参考にしまして、それぞれ発生率を想定をして計算をしてございます。それに対しまして、Bの方の休職者の発生率を10分の7というふうに想定してございますが、こちらの企業ヒアリングの方で、いろいろワーク・ライフ・バランスの施策に取り組んだことで、10分の7まで減りましたという御紹介をいただいたところがありましたので、その10分の7という想定を入れてございます。こちらもコスト的的には当然Bの方が休職率が低くなったということでしたので、コストが削減されているということでございます。
 6ページ目にお移りいただきまして、メンタルヘルス対策にかかるコスト自体にはどのようなものがあるかということでございますが、こちらは、例えば、従業員1,000人に対しまして、産業医が月に2回ですから、8掛ける2日ということで、16時間メンタルヘルス対策を行うことを想定しています。こちらも参考になる調査を見つけてきまして、そういった場合、報酬が1か月当たり25万程度という想定を置いております。それぞれコストが、従業員1,000人規模ですと330万ぐらいといったような数字がございますが、②の休職率が減る場合のコストと比べてみますと、?のコストの方が小さいということが言えます。
 それから、④は、長時間労働の是正、休職率が減りますというところと、メンタルヘルス対策にかかるコスト全体を足し上げますと、どういう状況になるかということでございますが、長時間労働の是正によるコスト削減は非常に大きいので、当然全体としてもプラスという形になっています。企業規模にかかわらず、長時間労働是正ですとか、休暇取得の促進、メンタルヘルス対策の促進によりまして、休職者発生率が低くなるということで、コストが削減できまして、企業にとってメリットとなると考えられる。特に長時間是正により削減できるコストは多額に上るということですので、削減できれば、企業にとって大きなメリットとなると考えられるということが言えるかと思います。
 引き続きまして、企業調査結果につきまして、みずほさんの方から御紹介お願いします。
みずほ情報総研(植村)
そうしましたら、お手元に資料7を御用意いただきたいと思います。資料7の1ページ目が、今回、委員の方に御協力いただきましたり、委員の先生方に御紹介いただいて、我々の方で訪問させていただいた企業の一覧でございます。従業員規模が大きいところが上の方で、製造業、サービス業、情報・通信、金融という形で、企業規模と業種と、あと地域もばらけるような形で訪問させていただきました。
 1社1社につきましては、お時間のあるときにこの中をお読みいただきたいと思うんですけれども、先ほどの取りまとめのイメージの方で、例えば、先進的なところで、2ページをごらんいただきたいんですけれども、永木委員のいらっしゃる松下電器さんの方で、「主な制度・取組状況」というところで、上から3つ目、短時間勤務につきましては、こういった形で、1時間短縮、2時間短縮、半日、午前の場合も午後の場合もと、いろんな形で、御利用者さんのニーズに合わせた形で活用ができるというようなことですとか、あと、在宅勤務の方も進めていらっしゃって、基本的に自律的に業務が遂行できる状況の方が対象になっているということで、高度なセキュリティーを要する業務以外は、大体すべての業務ができるようになっているという形で、いろんな形で柔軟な働き方ができるような形でお取組みをされているというようなケースでございました。
 あと、特徴的なのは7ページで、日立ソフトウェアエンジニアリングさんです。こちらは、社会経済生産性本部の第1回ワーク・ライフ・バランス大賞も受賞されているので、皆さん、御承知かと思うんですけれども、ここでも、「主な制度・取組状況」のところで、21時ルールというような形で、21時以降の残業を禁止している。変に早い時間ではなくて、本当に効果という意味の実効性のある時間という形で、21時以降の残業を全面禁止している。これが大分浸透しているので、今後、20時に、どんどん早めていこうではないかというようなことをおっしゃっておりました。
 あと、その下の健康管理につきましても、毎年、定期検診をどこの会社でもしているわけですけれども、そこで血圧ですとか、血糖値ですとか、いろんな基準値を設けて、その水準ごとに就業制限をかけているところでございます。例えば、下の血圧が90以上になってしまうと残業の制限がかかって、月の残業時間が何時間以内ですとか、そういった形になってくる。あとは、かなり血圧が高くなると、完全に就業禁止というところまで設けていらっしゃるというようなお取組みでございました。
 こういった形で、多くの企業さんからいろんな情報をいただきましたので、せっかくいただいた情報をきれいにまとめて、今後、先ほど御紹介いただいた取りまとめのイメージの中に適宜組み込んでいきたいなというふうに考えてございます。
 以上でございます。
佐藤会長
それでは、2つ目の議題は、まず、資料5のようなワーク・ライフ・バランス推進を企業が取り組むことによって、どういうメリットがあるのかというものを出そう。その中には2つあって、1つは、事例等や、そういうものから、質的な部分を含めたようなものと、もう一つは、幾つかのテーマを取り上げて、もう少し数量的に出そうということです。両方御意見伺えればと思うんでけれども、まず、数量的な資料6について、先に御意見なり御質問を受けてしまって、時間も限られていますので、その後、まとめ方とか、事例の方でということにしたいと思います。まず、資料6について、御質問なり、はい、どうぞ。
北浦委員
細かいことで非常に申し訳ないんですが、大変精緻な計算をなさったんですが、B-2のコスト、つまり、派遣代替した場合、規模別に数字が出ているときに、規模の小さいところの方がコストが高くなっているんですね。これは、細かく見ればわかるんでしょうが、どういう理由なんでしょうか。
栗田調査官
派遣の費用につきまして、1日1万5,000円というふうに置いておりますが、これは企業規模ごとに参考となるデータがございまして、おおむねみんな39万幾らとか、40万ちょっとということで、企業規模が変わっても、ほぼ1万5,000円前後になってございました。それで、1万5,000円を全部、同じ企業規模で入れています。
北浦委員
それはそのとおりで、書いてあるんでわかるんですが、AとかB-1は多分、賃金の格差でコストの差が出てきてとわかるんですが、B-2は逆になっているんで、何が効くのかなと思って。大したあれではないということなのかもしれません。計算上なのかもしれません。何か動きが逆なので、小規模ほど派遣のコストがと、こういう分析になっていましたから、どこで違いが出るのかなと思って、それでお聞きしたんです。
栗田調査官
小規模の企業になりますと、お休みされたり、同僚の代替をする方の人件費というのもおおむね下がってくる傾向にございますので、派遣の費用、大企業であっても小規模であっても同じという数値を使っているというところで、小規模の企業のところの方が結果が、なかなかコストが賄えないような感じのシミュレーションになっているということかと思います。
 ただ、ここにつきましては、12月のときに御議論いただいて、派遣の方がよろしいんではないかという御示唆もいただいたんですけれども、パートやアルバイトさんを使っていらっしゃる企業も多いのかなというようなところもございますので、シミュレーション結果としては一定で計算はしたんですが、資料5の取りまとめのイメージの方で御紹介するコスト情報としましては、特に派遣社員というふうに限らずに、代替要員として、どのぐらいの金額を見積っても赤が出ないのかというような形がわかるような御紹介の仕方が工夫できればいいのかなというふうに思っております。
 以前、小室委員の方からも、代替要員を企業が考えるときに、300万以上になると二の足を踏むところが多いんですよというようなお話もいただきましたので、例えば、300万で置いても大丈夫だよというようなメッセージが出せれば、それも1つの方法かなと思っています。
佐藤会長
ここは、御存じのように派遣料金というのは規模間格差がないので、中小企業も勿論、給料が高いところはたくさんありますが、平均で見れば、休業を取られる方も代替をする人も低くなる。パートだと、そっちにリンクしますから、パートでシミュレーションすると、多分、こんな差は出ないだろうというふうに思います。現状ではそうなっている。
 杉山さん。
杉山委員
結局、このケースを紹介することによって何が言いたいのかというところになるかと思うんです。結局、休業して、その間、同僚の代替による方法が一番お得でいいですよということが言いたいのかなというふうに思うんです。私がいろんな女子社員とかにお話を聞いて言うのが、同僚に迷惑をかけたくないというふうに皆さんおっしゃっていて、迷惑をかけるぐらいだったら結婚と同時に辞めるみたいなことをおっしゃっているので、これを見ても余り説得力がないかなと思うんですが、その辺りはいかがなんでしょうか。
栗田調査官
おっしゃるような問題意識は私ども事務局の方でもいろいろ議論が出まして、資料6のシミュレーション結果は、あくまで仮定を置いて、計算をとりあえずしてみたらどうかということでございますので、これを公表するといったことではなくて、これは参考まで、とりあえず試算をしましたということで、資料5の方で取りまとめのイメージを出してございますが、こちらの方で御紹介は考えていく、その中のコスト情報の一部に、使えるところを使っていきたいというふうに考えております。
 ちなみに、同僚による代替が一番お得ではないかというような感じ、確かにこのシミュレーション結果を見ると受け取れるかと思うんですけれども、そもそも同僚による代替ができるような、残業が多くない職場でないと代替もできません。あとは、業務効率化によって労働時間が削減されることによって、これだけコスト削減ができるというようなところも含めまして、総体で御理解をいただいていく必要があろうかなと思います。そういった意味でも、シミュレーション結果の数字だけがぱっと出ていくと、やや誤解を生じかねないかと思いますので、そこは取扱いに留意をしたいというふうに思っています。
佐藤会長
確かに、取られる方からすれば、そういう取られ方、一応、メッセージは企業を考えていたので、育児休業を取るとコストがかかるんではないかという議論があるので、それに対して、そうではないというのを出したいというのが一番の目的です。ただ、今みたいなこともあると思いますので、それは考えなければいけない。その辺の出し方は少し工夫したいと思います。
 鹿嶋委員。
鹿嶋委員
しばらく来なかったので、大分議論が進んだんだなと改めて感じていると同時に、ちょっと違和感を感じる部分が幾つかあるんです。さっきの指標の公表の仕方もそうですが、この取りまとめについても、ワーク・ライフ・バランスのコスト・メリットの表現はちょっと違うんではないか。やはり共働きしている家庭の仕事と家庭の両立にかなりウェイトがかかっているなという感じがあるんです。例えば、昨年、ここの専門調査会が出した報告書ですと、ライフというのはものすごく広くとらえているわけです。生涯学習から趣味からね。
 例えば、昨日行ったある大学では、女子学生の再入学を積極的に推進しているわけです。入学金がゼロ、卒業生であれば授業料も半額。例えば、そういうところの授業料の半額の一部を企業が負担するとか、そういうような経済的な支援をすることによって、その女性がその企業で働き続けるインセンティブが働く、そのときのメリットはどうなのかといったようなところは、なかなかシミュレーションは難しいのかもしれませんが、そういうケースも1例か2例ぐらい入れてあげないと、仕事と家庭の両立、ワーク・ファミリー・バランスから一歩も出ていないような印象が強いと思うんです。
 両立支援がワーク・ライフ・バランスのコアの部分だというのは私も十分理解しているんですか、メンタルヘルスといっても、例えば、スポーツ活動に対して企業が積極的に支援して、一部お金を負担するとか、そのことによって社員の健康を維持するとか、あるいは今言ったような教育費の支援とかといったようなところまで入れていってあげることが、逆に企業のワーク・ライフ・バランスの啓発にもつながってくるんではないかというような感じがするんです。
 昨年、私どもで、民間会議の方で企業表彰して、いくつかの企業表彰をしたんですけれども、多くの企業はやはりワーク・ファミリー・バランスで精いっぱいなんです。要するに、中身は両立支援策がほとんどなんです。しかし、それだけではなくて、もう少し幅広くとらえていいんですよというメッセージを、この専門調査会で発信してあげてもいいとなってくると、くどいようですが、例えば、教育費援助によって、どの程度メリットがあるかというのは、なかなか難しいかもしれませんが、1例でもいいから、そういうもので飛び出したケースを出してあげると、大分違うのかなというふうな印象で今の報告を聞いていました。
佐藤会長
どうぞ。
勝間委員
ワークシェアリングのケースがややナイーブな印象を受けておりまして、ちょっとオプティマルなものを出せればいいのかなと思います。要するに、このケースというのは、さっきおっしゃったように、大体、総労働時間がどのぐらいの人たちを前提にしていて、これをやっても残業がこれしか伸びないということを考えていますとか、あとは、職場に、例えば3人に1人とか2人に1人、こんな人が出てきてしまうと、多分もたないと思うんです。そうすると、これは一体、どのぐらいまでが許容範囲なのかといったようなバウンダリーコンディションを設けないと、当たり前ではないかと言われるような気がするんです。なので、そこの前提条件は少し検討していただきたいなと思います。
佐藤会長
鹿嶋委員の言われたことで言うと、前回の委員会が基本的方向を出して、ここからが広いんです。その中に挙げたものの中を取り上げているという形なので、そこだけを見ると狭くなっているという印象があるんだと思います。ですから、打ち出し方は少し広目のことは考えているということは書かせていただければと思います。ここの中で、1つは、実現度指標をつくると言っていたのを取り出したのと、多分、多様な人材、付加価値を増す企業、組織マネージメント改革で、これは少し情報提供しなければいけないというのがあったので、そこを取り出して今つくっているという感じなんです。なので、確かにそこだけ見ると狭い。またこれと同じものをつくるというわけにもいかないので、その辺は出し方のところでは工夫させていただければというふうに思います。
 ほかにはいかがでしょうか。資料6以外でも、全体のことについて、今の資料5の出し方のところは、鹿嶋委員が言われたように、実はもっと広いものがあるというようなことはわかるようにしていただくということは、メッセージとしては大事だと思います。どうぞ。
杉山委員
資料5の方なんですけれども、せっかく男女共同参画の視点から行くので、今までずっとファミリーフレンドリー企業という部分とポジティブアクションの両方を見てきた経緯もあるかと思いますので、女性を雇用して、それで管理職が増えてとか、そういった貢献度の方ですね、女性が働き続けることによって企業に本当にメリットになったというような部分も多々ないと説得力を持たないかなという気がするので、お役立ち女性が増えたみたいなところも出していただけたらなと思います。
栗田調査官
(1)の両立支援の促進の中にそこは含まれ得るのかなというふうに思っているんです。女性が定着して、いろんなヒット商品を開発しましたとか。女性の雇用比率自体がこれぐらい増えているですとか、管理職比率がこれぐらい増えているといったようなものももう少し補足的に御紹介した方がよろしいですか。
杉山委員
補足というより、すごく大事だと思います。今まで、ずっとそれで男女共同参画は来ていたと思いますので、そこはしっかり出していただけたらと思います。
栗田調査官
はい。
佐藤会長
どうぞ。
植本委員
企業の調査をすべて見きれていませんが、育児休業の事例や促進策のところで、男性の育児休業の視点が入っていない。シミュレーションや取りまとめのイメージのところでは、男性が育児休業を取って、そしてどのように会社にメリット、貢献度があったのかというところも、やはりアウトプットするときには必要ではないかと思います、先ほどおっしゃった、女性が定着をして、貢献をして、それがまた企業のイメージアップにつながっていっているという、その両方の面が必要なのではないかというのを強く感じたんです。
佐藤会長
今の点も大事だと思いますし、コストベネフィットのところも、両立だけ、女性が単に長く働ければいいというだけではなくて、当然、均等も進めていく。多分、コスト計算のところも、女性がより活躍しているところは賃金がもうちょっと高いはずで、そっちの方がメリットが大きい可能性もあるので、均等を当然進めていくと、逆に言えば、両立の重要性がすごく大きくなるということがわかるようなことを勘案させていただければと思います。当然、女性だけではなくて、今、言われたように、男性にとってのワーク・ライフ・バランス、そういう意味で、絶対的な労働時間のところを変えなければというようなことのメッセージもわかるようにしたいと思います。
 北浦委員。
北浦委員
資料の5でもよろしいですか。これはこれからまとめられるということだと思うんですが、1点、ちょっと細かいことと、それから感想なんですが、まず、細かいことから申し上げますと、3ページ目のところで、取り組むメリットで、自殺等のケースでイメージダウンを防ぐと書いてあるんですけれども、メリットを別に期待しているわけではありませんので、これはいかがかなと、これは細かいことであります。
 あと、全体的に、両立支援と柔軟な働き方、業務の見直し、効率化とあるんですが、業務の見直し、効率化は、実態的には長時間労働の削減を言っているわけですね。となると、この3つというのはばらばらではなくて、結構絡んでいる場合もある。そうすると、柔軟な働き方と長時間労働といったときに、別なのかねという話にもなってしまいまして、裁量労働をやるとかえって長くなると、そんなような議論みたいな感じにもなります。それから、両立支援の基本はやはり長時間労働の削減というのがないと、これは男性の問題も出ましたけれども、やはりそのことが絡んでくる。この書き方のときには、それぞれ視点ということでこれはよろしいんだと思うんですが、まとめるときには、そういったものが個々ばらばらにならないようにまとめていただきたいと思います。これは感想、意見です。
佐藤会長
小室委員。
小室委員
済みません。これはヒアリングの前提のときに入っておくべき視点だったのかもしれないんですけれども、介護で年配の男性が休むというのが、最近、ヒアリングをしていると、企業さんの中の問題意識としてもすごい数が増えてきている。先日、ある企業にお伺いしたら社員が、あと15年後に何人の要介護者を抱えるかと試算したらしいんです。そうしたら、1万人を超えたと言っていて、数万人の社員に対して、1万人の要介護者を抱えるという試算をしたところから、すごく問題意識が高まったというお話をされていて、企業も大分介護の話に目覚めてきているので、ケースで簡単にもう一つ加えられるのであれば、介護、しかも年配、男性という設定で1つあってもインパクトがあるのではないかなと思いました。
栗田調査官
介護のケースで計算を試みたんですけれども、年配の男性ということでやったんですが、大体、管理職になられているぐらいの方だろうということですと、例えば、お休みされるとか、2時間短縮されるということで、だれが代替するのか。代替される方も管理職であるということになりますと、残業によって割増賃金とか、そういった考え方にもなりませんし、そこのところの計算がなかなか難しくて、コスト上の情報をお示しするのは今回ちょっと断念してしまったということであります。あと、現在の比率としては、まだかなり少ないということで、育児理由の短時間勤務ですとか、育児休業の方が多いということがあるので、今回は省かせていただいたんです。
佐藤会長
介護も、休業とか短時間勤務といえば、だれが取るかが違うだけで、育児休業の場合や子育ても、基本的には同じだと思うんです。コスト計算上も、多分、もう少し賃金が高い人たちですが、取れるか取れないかの仕組みは基本的に同じだと思うんです。ただ、違うのは、介護の場合は、余り長期の休業を取るのが望ましいわけではないので、基本的には日ごろの働き方、過度の長時間残業がないとか、有休を取れるか、午前だけ、今日はケアマネージャーが来るので家にいられるとか、そういうのが結構大事で、そういう意味では、割合、働き方のところが大事だろう。残業が少ないとか、有休を取れるとか、それができていれば、長期の休業以外、スポット的に休むとかが結構必要なんですね。そういうのをやりやすいような職場づくりというのが実は大事なのかもしれない。これは直接は関係ありませんけれども。
小室委員
私は、メッセージとして介護ということが入った方がいいなと思ったんですね。コスト試算が難しかったら、それをどういう仕組みで職場で、例えば、ドミノ人事のようなものを取り入れられるような示唆があった方がいいかなと思います。おっしゃるとおり、コストでうまく計算できない問題で、どちらかというと人事的な仕組みをつくらないと、年配の方、管理職の方が休むのは無理なので、何かそういったところの視点が入った方が、鹿嶋委員のおっしゃられたように、育児の問題ということにフォーカスし過ぎないようになるんではないかなと思います。
佐藤会長
1つは、出し方として、これは男女共同参画会議の専門調査会ですので、均等という視点がきちっとわかるような形で入れるということと、ワーク・ライフ・バランスを狭く既婚者の子育て支援ということではなくて、実はもっと広いものだということです。ただ、シミュレーションなどをするところはそういうところを取り上げている部分があるわけですけれども、小室委員の介護の問題のところ、つまり、全体としてワーク・ライフ・バランスをしていくときに、確かに今、現状としては子育て中の人が多いと思いますけれども、それを変えていくということは、介護の問題とか、自己啓発、ボランティア、いろんなことを含めた広がりがあるということがわかるような形で書かせていただければというふうに思います。
 まだまだあるかとは思うんですけれども、時間もそろそろあれなので、今日いただいた、特に、どういう出し方かということを注意してほしいということですので、それは少し考えさせていただきたいというふうに思います。あと、シミュレーションについては、幾つか留意点も御意見いただきましたので、その辺も検討させていただくようにしたいと思いますが、大体よろしいですか。
 そうすると、前回出していただいた質問について、海外の取組みについて、みずほ情報総研から御説明いただけるということですので、よろしくお願いします。
みずほ情報総研(荻田)
それでは、資料8をごらんください。米国の事例につきまして、もともと民間が活動していたワーク・ライフの問題に対して、2003年ぐらいに上院決議があって、何で急に政府が乗り出してきたのかという御質問があって、ちょっと調べたんですけれども、はっきりとこうだというような文献は見つかりませんでした。御参考までに、上院決議の提案趣旨演説、ハッチ上院議員が行ったものの抄訳を御紹介をすることにとどめさせていただきたいと思います。
 ただ、2ページ目の真ん中よりちょっと上ぐらいに「工業化時代の法制下では云々」という文言が見受けられるかと思いますけれども、私見ですけれども、いわゆる工業化から、経済のサービス化であるとか、あるいはポスト産業資本主義というような言い方もされますけれども、そういった形で、知識の集約によって付加価値を生むという時代に移ってきたところで、働き方を変えていかなければいけないなということに、このころになって政府も、それは2000年以降になって動いたことではないとは思いますけれども、政府がお気づきになったということではないかなというふうに考えます。
 あと、済みません。修正なんですが、3ページ目に「アダルトチルドレン」という言葉がちらっと見えるかと思いますけれども、これはいわゆるアダルトチルドレンではなくて、成人した子どもという意味で、訳の確認ミスですので、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
 それから、資料9をごらんください。先ほどの上院決議で、親の働き方が柔軟になると子どもの成績が上がるというような趣旨があって、本当かというお話がありましたけれども、ジョージダウン大学のホームページにこのような資料、「子どものウェル・ビーイングの促進―職場の柔軟性の役割」という資料がございましたので、こちらの抄訳を御紹介させていただきます。
 これは、いわゆるファクトシートみたいなものでして、それに関連する多くの調査を引用して紹介しているというものでしたので、その出典も後ろの方にざっと書きましたので、これを探していただけるとわかる。ちなみに、このファクトシートのURLを書くのを忘れましたので、後で内閣府の方に御連絡しておきますので、必要であれば内閣府さんの方にお問い合わせいただければと思います。
 前回宿題としては、それ以外に、米英におけます地域連携の取組みの話と、ドイツにおけるROIのシミュレーション結果について、財界はどういう反応をしているかという御質問があったかと思うんですが、そこまで調べがついておりませんので、本日は御容赦いただければというふうに思います。
佐藤会長
前回の、特にアメリカの取組みなり、あるいはデータについて、一応、調べていただきましたので、仕事の柔軟性が増すと子どもの学力が上がる、これは結構面白そうで、大事な点でもあるかもわかりませんので、見ていただければと思います。よろしいですか。どうぞ。
勝間委員
川島先生の御質問でしたね。
佐藤会長
川島先生が言われていたので、川島先生にお渡しして、見ていただければと思います。
勝間委員
これは今回の私たちの答申には入れるんですか。外国ではこういうデータが出ておりますということは。
佐藤会長
特にそれは考えていないと思います。
勝間委員
わかりました。
佐藤会長
どうぞ。
神田調査課長
ちょっと追加いたします。資料3と4に、以前、先生方から宿題の出されていました資料を、実現度指標の方で用意をさせていただいております。
 資料3の方は、どういう人たちが調査の対象になっているかということで、雇用主の方、あるいは無業の女性の方がどの調査に入っているかということの一覧表です。
 あと、もう一つは、資料2の方に、実現度指標の個人の指標と、あと、それに対応する環境整備指標との対峙が入っています。インプットとアウトプットという感じで入っていますので、それもごらんいただければと思います。
 あと、資料4の方は、出典について整理をさせていただきました。それも併せてごらんいただければと思います。
佐藤会長
よろしいでしょうか。それでは、まだいろいろ伺いたいこともあるわけですけれども、時間もまいりましたので、議事はここまでで閉めさせていただいて、最後に事務局の方から連絡事項があるかと思いますので、よろしくお願いします。
栗田調査官
本日の資料の取扱いでございますけれども、検討過程のものということでございますので、すべて公表しないという扱いにしておりますので、取扱いに御留意いただければと思います。
 次回が3月18日火曜日10時からということで、既に御案内が行っているかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。次回、指標も、企業のコスト・メリットの方も、再度御議論、御確認をいただき、できれば年度内に公表をするという形で考えておりますので、よろしくお願いいたします。
佐藤会長
まだもう少し議論していかなければいけないんですけれども、よろしくお願いいたします。
 これで今日の調査会を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

以上