仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会(第9回)議事録

  • 日時: 平成19年11月5日(月) 15:00~17:00
  • 場所: 永田町合同庁舎第1共用会議室

(出席委員)

佐藤
会長
植本
委員
大沢
委員
勝間
委員
上手
委員
川島
委員
北浦
委員
紀陸
委員
杉山
委員
高橋
委員
武石
委員
永木
委員
羽入
委員
牧野
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の在り方について
  3. 企業におけるWLBのコスト・メリットについて
  4. その他
  5. 閉会

(配布資料)

資料1
当面のスケジュール(案) [PDF形式:12KB] 別ウインドウで開きます
資料2
ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の考え方(案) [PDF形式:17KB] 別ウインドウで開きます
資料3
ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の全体像(案) [PDF形式:18KB] 別ウインドウで開きます
資料4
個人の総体でみた実現指標の候補案 [PDF形式:22KB] 別ウインドウで開きます
資料6
専門調査会の当面の調査検討方針について(案) [PDF形式:14KB] 別ウインドウで開きます
参考
仕事と生活の調和に関する数値目標(厚生労働省関係)(案)について [PDF形式:32KB] 別ウインドウで開きます
佐藤会長
それでは、ちょっと遅れましたけれども、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」の第9回会合を始めさせていただきます。
 お手元の議事次第に従いまして本日の議事を進めさせていただきます。
 本日は、検討会の脇坂教授も参加していただきましたので、御紹介させていただければと思います。
 それでは、まず議論する前に、当面のスケジュールについて事務局から御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
神田課長
では資料1で御説明したいと思います。本日は左側の中央に書いてあります11月5日、第9回専門調査会ですが、きょうの審議の内容を11月14日の行動指針作業部会に報告をさせていただきたいと思います。
 具体的には指標の考え方、具体的な指標について御報告をさせていただくことになっております。
 その後、行動指針の作業部会での議論を踏まえまして、再度検討会また10回の専門調査会を開催させていただくということです。
 その内容をもとに行動指針の作業部会の取りまとめに反映させていただきたいと思います。ということで、作業が当初予定していたものよりもかなり前倒しになってしまいました。短い時間での御審議となりますけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
佐藤会長
こちらはこちらで時間で進めてきたのですけれども、政府全体のワーク・ライフ・バランス憲章なり行動指針とセットで、こちらで作成しますワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標も併せて1セットとして決めるということになりますので、詳細は別として大枠はきちんと他とのスケジュールに合わせるということですので、その辺、御了解いただければと思います。その辺について、また後で少し御説明させていただければと思います。
 それでは、ワーク・ライフ・バランス社会実現度指標の在り方について議論したいと思いますので、前回の専門調査会の議論と10月17日に行いました検討会の議論を踏まえて、指標の考え方、全体像、指標の候補案について検討したもの、あと関連データについて御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
神田課長
資料2のところを見ていただきますと、「ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の考え方(案)」とございます。
 基本的にこれについてはほぼ変更はございません。今のところ二段組になっていまして、「ワーク・ライフ・バランスの実現度指標とは」とありますが、仕事、家庭生活、地域生活と5分野の視点から、我が国社会全体で見たワーク・ライフ・バランスの実現の状況及び官民の取組状況を数量的に示すものであるということは変わっておりません。
 2ページ目の一番最後のところ「実現度指標の作成」とございます。ここを追加させていただきました。「把握したい事項と関連性のある指標を抽出し、それに一定のウエイトを乗じて実現度指標を作成する。ワーク・ライフ・バランスの実現の状況については、5分野の合成指標を、また、官民の取組状況については、取組全体をまとめた合成指標を作成する。」とあります。
 5分野をさらに1つにまとめるかどうかということについては、5分野全体の中でも、特に仕事以外の分野は5年に1回の更新という指標が多いものですので、そこはあえてまとめる必要もそうないかと思っております。とりあえず現時点ではP(ペンディング)ということでございます。何か御意見ありましたら、これについてもお伺いできれば助かります。
 資料3は特に変更はございません。
 ちょっと時間がありませんので、資料4の具体的な指標について御説明をしたいと思います。資料4については、きょうここでできれば、合意していただきたいのですけれども、もし無理ということであれば、専門調査会の一応審議状況として策定部会に報告するという観点からある程度合意をいただければと思います。
 また、本日資料4と資料4-2という資料を出させていただいていますが、これについては、まだ各省との協議が全く進んでおりません。ということでその旨御留意ください。若干その辺の意見も御紹介させていただきながら御説明したいと思います。
 また、資料5については、具体的な指標のデータの動向がありますので、随時御参考にいただければと思います。
 まず資料4、これはお手元に前回の資料を参考までに出ていますが、若干変更点を中心に御説明をしたいと思います。
 まず「1.仕事・働き方」ですが、「希望する働き方を実現する機会が設けられているか」ということです。これについては主に企業の取組を見ています。
 ①「個人の希望に応じて働き方を選べる機会が設けられているか」ということですが、ここについては、短時間正社員制度導入の企業の割合、フレックスタイム制の採用企業の合が入ってきます。
 それと前回から変更点としては、裁量労働制の採用企業割合を落としました。趣旨は裁量労働制によって時間が逆に長引いてしまうというようなこともありますので、あえて柔軟という指標としては不適切だという判断でございます。
 そのほか、勤務時間短縮の措置ということでは、育児、介護の措置。あと育児休業、介護休業、看護休暇制度等を採用している事業所割合を入れています。
 また、保育の観点では、保育サービスを提供している割合、これは実際の保育所で何歳の子どもを預けることができるかという定員のほうですけれども、それと放課後児童クラブのサービスを提供している割合ということでございます。
 また、勤務先の配慮ということでは、労使が話し合いの機会を設けている。あるいは自己啓発を支援している事業所割合というものを設けています。
 次、「2.柔軟に働き方を選択できるか」ということですが、これは利用者側、労働者側がどのように、そういう制度の下で働いているかということです。柔軟性という観点ではテレワーカー、フレックスタイム、短時間労働者比率等を入れています。
 また、育児、介護のための勤務時間の短縮措置。
 また、休業ということでは、育児休業の取得率、介護休業取得率ということです。介護休業の取得率は難しいという意見もいただいていますので、ペンディングでございます。
 あと従業員の自己啓発の実施率。
 家族等の転職・転勤等を理由にした離職率です。
 それと次が現実と希望のギャップということですが、仕事を優先したいと希望する人と、あと実際に優先をしている。どうしても実際に仕事を優先してしまっている人が希望より多いわけですが、その部分を入れていきたいと思っています。
 あと公平性です。公平性の観点では、正社員とそれ以外の労働者の賃金格差(男女別)。もちろん賃金格差は産業の差、勤続年数、企業規模等ありますが、なるべく調整をしたものを入れたいと思っております。
 「3.多様な主体が希望に応じて働けるか」ということでは、女性の就業希望率、これは年次で区切っていまして、その年代の人々が25~45歳の人々で、働いていないけれども、働きたいと思っている人、これを全体の人口で割ったものです。実際に働いている人は就業率で入れます。また、再就職率、一たんやめたが、どのぐらい再就職ができているかということで入れる。
 あと高齢者ということでは、60歳代のみをとります。同じように就業希望率と就業率です。
 また、正社員につきましては、正社員でやはり高齢者、女性の参加が増えたほうがいいという判断で、正社員の男女別・年齢別で見たときの偏り度合いを入れたいと思います。
 ただ、一方で非正社員をどうするかということがあるのですが、非正社員については、あえて非正社員が増えることがワーク・ライフ・バランスの観点から望ましいかどうかというのはいろいろ議論があると思うんです。自ら選んでいる場合と選んでいない場合がありますので、そういうことからなかなか議論が恐らくはまとまらないという判断で、非正社員については今回は落としています。ということで、正社員の部分の偏り度合いだけにしたと、そういう説明です。
 そのかわりに、非正規から正規への移動率、移動の状況を入れていくということです。
 あと平均勤続年数の男女差。
 正社員の男女の給与格差。
 また、女性の管理職等の比率ということです。
 ここについて、男女の公平性、要するに男女差を入れていることについて、ややワーク・ライフ・バランスの観点からどうなのかという話がございます。ただ、ワーク・ライフ・バランスというのは多様な人たちが同じような立場で、同じように共同参画をするということが1つの大きな目的でありますので、そういう意味ではこういう質の問題、男女の平等の問題を入れたいと思っております。
 また、次の②出産・育児に関して、第1子出産後の継続就業率。
 あと、子どものいる、いないによって就業率の差がありますので、そういうものを入れる。
 あと待機児童数というものを考えております。
 また「4.過重な負担となったり、生活が維持できないような働き方になっていないか」という場合ですけれども、これについては、まずフルタイム労働者に占める週60時間以上の割合。
 あと通勤時間です。
 所得の状況はどうかということでは低所得者。これは前回まで所定内時間当たり給与を入れていました。要するに勤労者の平均の所定内給与であったのですが、これを低所得者層ということで25%のところ、第1四分位のところの賃金の変化率を入れることにしてはどうかと思っております。
 また、これは1人頭で見たものですが、世帯で見た合計という意味で絶対的貧困率と、世帯で見た収入の合計がある一定の貧困ライン以下の人たちの率をとっていくということです。
 また、第Ⅱ分野ですが、「家庭生活」では、「1.家庭で過ごす時間はとれているか」ということでは、有職者の在宅時間。
 親子の対話に関する満足度。
 「2.家庭内での男女の家事・育児等への関わり方はどうか」ということでは、家事、育児、介護等の総平均時間の男女比率、どのように分担しているかということを示す指標です。
 その次に、性別役割分担意識に男女差はないか。これは前回、検討会で議論になったのですが、男は外で仕事、女が家庭ということであれば、そういうことが男性の育児休暇の取得を妨げている。あるいは女性の社会進出を妨げているということで関係がありますので、やはり意識改革は重要だということで入れてはどうかと考えております。
 次に「Ⅲ.地域・社会活動」です。
 これは前回、地域活動になっておりましたが、これはもう少し広くとらえようということで、「地域・社会活動」に変えさせていただいています。そこでは、時間という意味ではボランティア、社会活動に参加している平均時間。
 また、交際・つきあい。あと地域活動については満足度がとれますので、それを入れたいと思います。
 「2.多様な主体が地域活動に参加できているか」ということでは、有業、無業によってボランティアの参加状況は随分変わってきます。それですので、ここでは有業者、無業者に分けてそれぞれとっていく。男女別にとれますので、男女別でとる。
 「Ⅳ.学習や趣味娯楽等」ということでは、同じように、平均時間がどうなっているかというのを学習・研究、趣味・娯楽で分けてとる。
 一方で、多様な主体という意味では、有業・無業、これによってもかなり違ってきますので、職業の有無で分けてとりたいと思っています。「Ⅴ.健康・休養」というところですが、ここは「1.仕事を通じて心身の健康を害することはないか」ということですが、仕事を理由に強い不安、悩み、ストレスを持つ人の割合等が入っています。きょう間に合わなかったのですが、精神疾患による病休の人の割合も入れたいと思っております。
 あと、「2.休養のための時間はあるか」ということですが、これについては、年次有給休暇取得率を入れるということを考えています。
 あともう一つ、これが個人の実現度指標というものです。
 官民の取組指標ということですけれども、もう一つ、説明をさせていただきたいのですが、これは、済みません、ちょっと前後になりますが、先ほどの資料3を見ていただきたいのですが、A3の横です。
 今までもずっとこれで説明してきたのですが、あまりうまく説明できてないようですと、問題ですので、もう一度説明させていただきたいと思います。
 今、申し上げた指標は、個人の総体で見た実現度指標の上のほうになります。これを5分野で見ると。私どものほうで考えていますのは、官民の取組指標として、官や民の取組がどうなっているのか。また、それによって社会環境がどのように変化しているのかを別途とらえたいと思っています。
 その社会環境の中で、個人がどのようにワーク・ライフ・バランスを実現できているのかを見るのが上で、その全体の器である社会環境自身は「官民の取組指標」という名前をつけて別途見たいと思っています。
 これから官民の取組指標について御説明をします。資料4-2です。これは今回初めてですので、済みませんが非公表の取扱いにしていただきたいのと、あと各省とどういう整理をするのかというのは全く調整できていませんので、そういう意味で取扱注意です。
 ここではどういうものかということですが、官民ということですので、民間の行動も入っています。例えば一般事業主の行動計画の策定事業者数、あるいは「くるみん」の認定企業数などが入ります。また、働き方の改革プラン、これは中小企業などで総時間労働を削減するためのプランをつくって、それを実施した場合に助成金が出るということですが、若干この辺、予算との関係で必ずしも民間の取組の意識があっても予算がないとここは伸びないものなので、そこはどういう取扱いにするかはいろいろ議論あるところだと思っていますが、一応今のところ入れています。
 それと民間独自という意味ではフレックスタイム、育児の短時間勤務制度、育児休業、介護休業、子の看護休業制度、短時間正社員制度、労働時間等の課題について労使が話し合の機会を設けているかということになろうかと思います。
 また、保育関連では保育サービスを提供している割合。放課後児童クラブのサービス。また、マザーズハローワーク、これは女性の再就職支援をどう政府が支援しているかということの代理指標でございます。この辺、また、もし何かほかにいい指標があればご示威いただけると助かります。
 また、1年間に中途採用者を採用した企業割合、年齢不問求人の割合、65歳以上の定年企業数というものを採用したいと思います。
 また、自己啓発関連ですと、労働者の自己啓発を支援している事業所割合。あるいは公共職業訓練などの修了者における就職率。あと教育訓練給付金受給件数なども入れてはどうかと今のところ考えております。
 またリフレッシュ休暇・ゆとり活動に対する支援・援助制度がある企業割合。夏季連続休暇のある企業数割合。ボランティア活動に対する支援・援助制度がある企業割合などがどうか。
 また、健康では、そこにありますように、定期健診を実施する事業所割合、産業医を配置する事業所割合、定期監督等の実施件数、指導・助言を実施した事業所数、健康づくりに取り組んでいる事業所割合、メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業所割合ということでございます。
 広く民間の取組がやや多いのですが、それをサポートする政府の取組もあるということで、こういうことで環境がどう変わっているのかということを取り組む指標としたいと思っています。
 ちょっと早足ではありますけれども、あとデータ集のほうは、ちょっと時間がややありますので。資料5になりますが、フレックスタイムの採用企業割合など2ページに入れてあります。
 例えば、ちょっとわかりにくいところでは11ページのところで、「仕事を優先したいという希望と現実との差」と先ほど申し上げましたけれども、これは世論調査でございまして、この中で、希望としては「仕事を優先したいか」というのを聞いていて、下のほうは「現実はどうか」というのを聞いています。この中で男性・女性それぞれ現実と希望とのギャップ・差を数値化する。これがなくなればなくなるほどいいというような指標でございます。
 あと17ページですけれども、偏り度合があります。正社員だけで見て、性別・年齢別に見たものですが、前回はというのか、非正社員も入れますと一方的に下がるのですが、正社員で区切った場合はこういうことになっていまして、景気が悪くなると、97年に金融危機があったわけですが、それ以降、リストラなどがあって、女性の就業も難しいということになりまして偏り度合が増えているというような姿が出ているのではないかと考えています。
 それと20ページ、いろいろありますが、一番上の表を見ていただきたいのですが、これは妻の年齢ごとに見て、子どもがいない結婚している有配偶女性の有業率を見ています。下が、18歳未満の子どもがいる有配偶女性について有業率を見ています。そうしますと、やはり20代前半から40代になるまで、子どもがいると就業率が下がっているということでございまして、ここの25~40歳までの数字を入れたいと。これが差がなくなればなくなるほどよいというものにしたいと思っています。
 あとは、大体ざっと見ていただければわかる指標ですので、あえて御説明はよろしいかと思います。
佐藤会長
ちょっと駆け足でしたけれども、資料3にあるように、我々はワーク・ライフ・バランス社会の実現度を測定するインジケーターを開発するということで、やり方としては5分野を設定して、これは目標というわけではなくて、政府のほうでワーク・ライフ・バランス憲章なり行動指針ができて、行動指針、取組を進めていったときに、2年後、3年後、5年後と見たときに、実際上ワーク・ライフ・バランスが実現したときに国民一人ひとりから見たときに、仕事・働き方、健康、休養という点でワーク・ライフ・バランスが実現できているかというのを測定するようなものをつくろうと。5分野を設定して、それを幾つかの領域に分けて、そこでの実現度を測定できる指標を設定しようという議論をしてきたわけです。
 一応中項目、小項目まではある程度合意できたと思うのですが、具体的にどういう小項目を代表する指標として何が適切であるかどうかということでやや広めに挙げていただいていますので、これはちょっとどうかなとか、これよりも別のものがあるかというようなことを少し伺いたいということと、もう一つは、官民の取組、これはワーク・ライフ・バランスの行動指針ともかかわるわけですが、どういう取組が行われているかということをモニターできるような指標をつくろうということで、一応資料5で例示されています。
 まず前半の資料4について御意見を伺えればと思います。
川島委員
前回までのディスカッションの確認になるかと思うのですが、今、我々がディスカッションしているのは、指標の候補をつくるということで、その具体的なイメージとして資料5があるわけではないですよね。と申しますのは、資料5に挙げられている統計資料は、個人がどのようにワーク・ライフ・バランスを実現したかという数値では全くなくて、現状として何%だというだけの数値で、これに対して個人の価値観は一切入っていないので、答えとしてこれが出るというのは非常に違和感を感じるのですけど、ただ、こういった指標で将来的に個人が実現できているか、現状はどうかということの乖離を見るというのであるととても納得がいくのですが、この資料5のデータ自体がある意味答えとなって、我々が言っている指標そのものだといったような考えをされているのではないでしょうねというものの確認が1つ。
 あと非常に細かい瑣末な点で、すぐ言ってしまいます。高齢者の定義が60代と書いてあるのですが、65歳からにしておかないと多分現状の高齢者の定義に合わないので、60~64歳の方々を高齢者とするのは多分一般的に間違っていますので、ここは65歳以上と考えられたほうがいいかと思います。前半が特に。
神田課長
趣旨間違っているのかもしれませんが、実際に指標に使うのはこのデータになりますということ。
川島委員
このデータなのですね。
神田課長
これらのデータをアグリゲートするということです。
川島委員
そうすると、例えば、資料5の2ページの一番最初で言ってもいいのですけれども、フレックスタイム制の企業のパーセンテージという現実の統計資料がある。これを見て、我々はどのようにして、これが個人のワーク・ライフ・バランスを実現できているかという判断できるのでしょうか。少なくとも私には全く判断できません。フレックスタイム制を100%の企業が採用するのが正しいという答えを持っているのか、それとも10%で十分実現できているとしているのか、そういった基準が全くないがままに統計の値だけ出してもある意味無意味だと思うのですけれども。
神田課長
ここのところは、あえて機会が設けられているかというところの指標としてまずとらえるというところで、それでこの8という今1桁台ですが、これがどうなのか、何%になればいいのかどうかというのは、私たちも正直わかりません。ですので、そこは目標は設けない。ただ、このトレンドが増えていることをあえて選択肢が高まっている指標だと考えて、社会全体で見たときに、フレックスの採用している企業の数が増えれば増えるほど、恐らくそこで働く労働者にとっては、時間を選べる選択の余地が高まっているだろう、社会全体で見てということなんです。
川島委員
そこは誰が見てもわかる話なのですけど、そこに一体個人が、個人ということが非常にこの場合重要で、個々人が実現できているかということが一番大事なことなのですけれども、それに全く答えてないんですよ。
神田課長
そこは一方で、個人がそれをどのぐらい使っているかというのも同時に指標として入れたいと思っていまして、そこは7ページの下に「フレックスタイム制の適用労働者割合」とございます。
川島委員
とれているかですよね。これも現実であって、本来的にここで将来的に私たちが出さなければいけないのは、フレックスタイム制をとりたいと思っている労働者が何%いて、そのうちの何%が現実問題としてとれているか、とれてないかというのが実現度というものであって、そこからこの数値から実現度を類推するのは無理だと思います。
神田課長
そうですね。そこは実際どのぐらいの人がほしいかという統計は、私が知る限りは余り見たことがないわけです。
川島委員
ですよね。ですから将来的にこれを指標に、これから調べていきましょうということを私たちは話し合いをしているのか、それとも現状でこういう統計資料があって、それを世の中に突きつけるという話をしているのか、それによって話が物すごく変わってきて、この資料だけで物を言うのであれば、ある程度基準はないと言いつつも、やっぱり理想はどうだということがないと実現度というものは推し量れない。でも個人の意思が入っていれば、それは実現度というまさに言いたいところが出てくるわけですから、そこの基本コンセプトは物すごく重要ではないかと思います。
神田課長
実際に数値としてつくったときに、これをどう解釈するか。これが伸びてないのをどう解釈するかというのがございまして、そこは評価をする場で、単なる数字だけではなくて、これが伸びてない理由は何か。利用者側にニーズがないのか、あるいは企業側の問題なのかというのは議論をした上で、では次の政策は何かと、ニーズがなければ、これは広げる必要がないわけですから、次の政策は何かというのを議論しながら見ていくということです。
 今はそのための材料として実現度指標をつくるということをしております。
川島委員
ですからこの指標がこれで完成ということを世の中の人に出すと、多分私と同じ感覚を持つ人いっぱいいると思うんですね。これは個人の実現度でも何でもないんですよ。現状を解析しただけであって、それに対して個人としての価値観は含まれない。社会としての価値観は入っても個人としての価値観は含まれないわけですから、この観点でワーク・ライフ・バランスのとれた社会かどうかを見直していきましょうと。評価はこれからしていきましょうという提言であれば、非常に素直に受け取ることができるのですが、現状のこの数値だけで、今我々はこうなんですよということは100%言えないと思うのですけれども。
佐藤会長
非常に大事な点で、資料4の「仕事・働き方」のところを見ていただくと、中項目が、1つは「希望する働き方を実現できる機会を設けられているかどうか」、多分これについては、このレベルでいうと、ワーク・ライフ・バランスを実現できるというのは非常に大事だろうと。2番目の「柔軟に働き方を選択できるか」。
 中項目の「希望する働き方を実現する機会はもうけられているか」ということを小項目の2つに分けてみたと。多分小項目の抽象的なレベルではこれは大事だというのは、例えば個人の希望に応じて働き方を選択する機会があるかどうか。これは多分誰も否定しないと思うのですが、問題なのは、個人の希望に応じて働き方を選べる機会が設けられているかということをどう測定するかということで、現状でいうとそんな調査ないわけです。
 先ほどフレックスというのは、フレックスが伸びるのがいいと言っているわけではなくて、我々は指標としてとろうとしているのは、個人の希望に応じて働き方を選べる機会が増えれば、例えばフレックスをとっておけば、フレックスが伸びるのがいいと言っているのではないんだけれども、個人の希望に応じて働き方を選べる機会が設けられているかということが、それが拡大していけば、多分フレックスも増えていくということであれば、フレックスをとるのは間違いではないんです。これは比率をとるわけではないので、指数化しますので、ですからあくまでも代理指標でとらざるを得ないものはたくさんあると。
 そうしたときに、小項目の①を測定する尺度として、フレックスが不適切であればこれはとってはいけないんですね。つまりフレックスが増えれば導入率が増える。比率という意味ではなくて。連動して①が、つまり拡大するということが言えれば、フレックスで測定するのは間違いではない。そういうものをとろうと言っているので、ここはほかのところの、フレックスを入れることが目標という意味でとっているわけではない。
川島委員
フレックスだけにこだわっているわけではない、すべてがそうなんです。
佐藤会長
そういう意味です。
川島委員
個人がどう実現できているかということが重要だという、この専門調査会の考えなのであれば、これは非常にプレリミナルな話で、ここから次に行くという提案しかし得ないと思いますし、現状でどう解析し得るかということだけで非常に甘い線でいいのであれば、これでいたし方ないというか、目つむってくださいという話なのですけど、余り建設的な感じがしないということです。○佐藤会長 非常に大事な点なのはよくわかります。
川島委員
多分一番イメージに合うのは、11ページのまさに「仕事を優先したいという希望と現実の差」というのが、この専門調査会で言いたい実現度に一番近い指標だと思うんですね。これが差がなければないほど人々ハッピーな人が多いというのが恐らく全体の考えでしょうから、これに近い指標をどのようにしてつくっていくかという。
佐藤会長
今、川島委員が言われたのだと、機会があるかどうかはいいにしても、できているかということですね、とりわけ問題なのは。
川島委員
そうですね。フレックスタイムなんて要らないという人もたくさんいるわけで、そういう人たちはないことに何のストレスも感じてないので、ワーク・ライフ・バランスとれているというのがここの調査会での考え方ですよね。
佐藤会長
ですから機会のほうはいろいろあるのは、いろんな測定があるにしても、それを選べているかどうかはまた別だろうと。
川島委員
社会のインフラがどうかということはわかっている。それが個人としてどう実現できているかということをこの調査項目というか、今の少なくともこの資料では見取ることはできない。現状としてもないだろうと予測しているので、恐らくそこはつくっていくべきだという提案をこの調査会でするというのが一番建設的かと私は考えています。
神田課長
済みません、今のとちょっとずれてしまうかもしれないのですが、柔軟性をここではあらわしているものとして、テレワーカーとフレックスと短時間労働がどういうふうに増えているか。恐らくその3つで人々のニーズを把握するものかと思っています。1つのフレックスタイムだけですと、それが本当にニーズなのかどうなのかというのはわからないし、実際にそういうのをはかった指標も今のところないので、限界にぶち当たっているわけですけれども、人々のニーズを探るという意味でこの3つを合わせて、どっちの方向に人々が動いているかというのを多分トレンドをとればわかる。そっちの方向をもっとプッシュするように政策も変えていきましょうというような話になるのではないかと思うんです。だから1個だけでどうのこうのというと、恐らく間違うと思うので、幾つかをセットで人々の意思というものを探っていくというような指標にならざるを得ないかなという気はしています。
川島委員
ただ、これはニーズではないですよね。現実問題として、社会のシステムで、こうした働き方を選択できた幸運な人が何%いるかというだけの話で、ニーズというのがわかれば、ニーズというのはまさに実現度指標そのものの指標ですから、これをニーズと読み替えるのは危険だと思います。要は今の社会の枠の中で、運よくこれが実現化できた人がどれだけいたかというだけの数値で、本当はもっともっとやりたい人がいたかもしれない。やりたくないのにフレックスにされちゃった人もいるかもしれないということは全く含まれてないわけですから、これでニーズのトレンドが見えるという考えは私は危険だと思います。
神田課長
そういう意味で、社会がどういう受け皿というのでしょうか、企業がどういう制度を導入していて、その制約の下でどれだけそれを使っている人が増えたか、両方見ていくということだと思うんですね。それで何が問題、受け皿のほうに問題があるのか、人々のこっちのほうにニーズがないのかというのをその指標の動きを見ながら、パラレルかどうかという動きを見ながら、そこは評価をしていくということになろうかと思います。
川島委員
それが現状でやり得るところだと私も認めるのですけれども、ただ、本当の意味でワーク・ライフ・バランスの実現度指標ということを言うのであれば、それで実際に一般の人たちは、本当にテレワークを何%の人がしたいのか、フレックスタイムを何%の人が利用したいのか。その人たちの何%が利用できているかということを出さないといけないだろうと、一般人の感覚としてはします。
佐藤会長
川島委員の言われるのは、上のほうの機会のほうで、例えば①にこれはないですけれども、例えばテレワーカーの仕組みを導入している企業の比率をとるのは別に問題ない。
川島委員
全く問題ない。
佐藤会長
ただ、2のほうで、テレワーカー比率が挙がっているけれども、これはとりたい人がとれていればいいので、今、3割なのが適切かどうかというのはわからないという話ですよね。
川島委員
これもこれでいい指標なんです。あとプラスどのぐらいの人がこのテレワークをしたいと思っているかということが入っていればパーフェクトだと思います。
佐藤会長
いいということですね。そういう意味で、多分小項目のところについて疑問があるというわけではなくて……
川島委員
違います。
佐藤会長
小項目をあらわす指標として適切かという関係ですよね。
川島委員
総論賛成、小項目自体は賛成なんですけれども……。
佐藤会長
それが表として適切かどうかという御意見。
川島委員
特に資料5で出てくるものだけで物を言うのは無理ではないかということを言っています。
大沢委員
同じ資料5の8ページですが、「正社員に占める短時間雇用者比率」が出ていますが、この解釈もこの中にはレギュラーの短時間労働者も含まれれば、有期契約のパートタイマーも含まれるので、これは短時間労働者の比率が多いから選択肢が増えているという解釈はちょっと無理かと思います。どういう意図でこの指標が出たのか、ちょっと説明をお願いしたいと思います。
佐藤会長
上の「正社員に占める短時間雇用者比率」のところですか。
大沢委員
これは実現度指標の1つですよね。
佐藤会長
一応事務局の案としては、柔軟に選択できているというものに挙がっているんですけれども。
大沢委員
これはちょっと解釈が難しくないですか。今、パートタイマーとかアルバイターは増えていますが、若者の特に男性の場合は非自発的な短時間雇用者多いと思いました。正確な数字はありませんが、90年代、私がフォローした限りでは非自発的、正社員になりたいけど、なれないという人が増えていたので、ここはちょっと気をつけて指標づくりをしたらいいのではないかと思います。
佐藤会長
これはどうつくるかですが、希望をどのぐらい満たしているかというのを全部とれればいいのですが、例えば育児休業取得率も、取得率自体はデータでとれると。別のデータで現状よりもとりたい人がいるというのは、当面は取得率をとっておいてもおかしくはないわけですね。それが増えていくほうが望ましいということが、他のデータで確認できれば。ただ、それは川島委員が言われたように、そういうのがないときに、その数字だけ見るのはどうかというのはそれはそうだろうと思うので、例えば男性の育児休業取得率は今0.5%ぐらいですか、いろんな調査とると、とりたいという人がそれより多いわけですから、そういう意味ではこれは伸びるということを、現状は希望は多分実現できてないという判断は、それはおかしくないので、多分そういう意味で、例えばテレワーカーについても、現状よりなりたい人が多いようなデータがあれば、多分それを希望実現度指標にとるのは問題ないということなのかもしれませんが、そういのがないのに挙げると、実は既に希望が満たされているということもあり得るのではないかという御意見だと思いますので、それはよくわかります。
杉山委員
資料4の2枚目のところの「多様な主体が希望に応じて働けるか」の女性のところの、女性の再就職率なのですけれども、恐らく再就職するときに正社員とか派遣とかパートとかいろいろな働き方をすると思うので、そのあたりを細かく見ていただいたほうがいいかなという気がしています。
 もう一点が全然違う観点なのですが、配付していただいた資料の中に(参考)ということで、厚生労働省から「仕事と生活の調和に関する数値目標(厚生労働省関係)(案)」についてというのが配付されているのですが、私たちが議論しているところでは、特に指標は出ていますが、目標は出ていなくて、それでこちらでは目標があって、ここの取扱いはどうなっているのか、ちょっと説明していただけますでしょうか。
神田課長
ごめんなさい、御説明すべきでした。これは数値目標で厚労省がワーク・ライフ・バランスを実現するために政策的に取り組むべき指標ということで、具体的に目標値を設定するものということで数値目標として掲げようとしているというのか、現在行動指針の作業部会で議論しているものです。
 そこを見ていただきますと、例えば一番上ですと就業率で、後ろのほうに具体的な数値目標が出ています。フリーターとか、第1子出産後の女性就業率。フリーターは、私たちのほうは入っておりませんが、それ以外のものについては、基本的には私どもの実現度指標あるいは取組指標の中に入っています。ですので、この数値目標は、私たちの実現度指標、取組指標の一部ではありますと。一部ではあるが、その一部は達成度、達成すべき目標を掲げて、それに向けて政府の資源を注入していくという目標値ではあります。
 ただ、実現度指標というのは、実際にワーク・ライフ・バランスがどう実現しているか、あるいは社会環境がどう変わっているのか、とらえる上で、これだけでは不十分でしょうと。これだけでワーク・ライフ・バランスを語ることはできないでしょうということで、私どものほうではそれに関連した補完的な指標を集めて指標群としてワーク・ライフ・バランスの社会の実現度指標ということで、主に進捗度合い、どのように進んでいるのかというものをとらえていきましょうというものでございます。
 ですから1つは、こちらのほうは達成の数値目標、あるべき姿、数字を出している。我々は過去のトレンドを見ていくと。それによって現在がどういう状況にあるのかというものを客観的に把握するものという意味で趣旨が違うと。
杉山委員
もう一点だけなのですが、過去から今までの進捗度はこれで見る。こういうものを見ていく予定なのでしょうか。
神田課長
基本的にはこれからワーク・ライフ・バランス行動指針ができて、それが今後どのようになって、現実がどのように変わっているのかという、どちらかというと今後を見るためのものです。
杉山委員
これもどこかに書いておいていただけたらというのと、でも現状の指標は、データの限りもあって、これになっているけれども、今後は、先ほど川島委員もおっしゃられたように、ニーズをきっちり調べるためにはこの指標ではないものを使ったほうがいいかもしれないとか、そういう議論もしていかないといけないということでしょうか。
神田課長
まだワーク・ライフ・バランスに関する指標は不十分な状況でちょっと指標づくりを始めているのですけれども、今後、各省、あるいは内閣府の可能性もありますけれども、それに適した指標が出てくれば、それにどんどん差し替えていくことはやっていきたいと思います。
佐藤会長
先ほど川島委員言われた、ここは候補案なので、不適切なものは当然落とすということはあり得るということで、挙げたものを全部入れなければいけないと言っているわけではないので、今言ったような川島委員の御意見は非常に大事な点だと思いますので、その辺は、例えばニーズがあって、それよりか現状は低いから、とりあえず希望と現実のギャップがわからなくてもそれぞれ別にあって、これは当然増えていくほうが、現状はそれよりも低いということがわかれば入れると。ただし、これはどう考えてもわからないのではないかということであれば、落とすというのはあり得ると思いますので、それはまだオープンです。
 それと、(参考)のところにあります数値目標、今、杉山委員が言われた、ちょっと御説明させていただくと、別のところというと変ですが、ワーク・ライフ・バランス憲章をつくり、行動指針をつくるという議論の中で、一応ワーク・ライフ・バランス社会を目指す、ワーク・ライフ・バランス社会は何かというのを議論し、それを実現するために官民ともに取り組んでいくと、それは行動指針なわけですけれども、その結果として、ワーク・ライフ・バランス社会が実現できたかどうかということを見ていこうといったときに、ワーク・ライフ・バランス社会とは何かというのを少しちゃんと考えなければいけないという議論をしていまして、現状では、そこの数値目標が載っている「みんなが仕事があり自立できる」と「みんなが生活のための時間があり、健康で豊かな生活できる」、一番左側ですけれども、「みんなが働き方・生き方を選べる」と、そちらでは、ワーク・ライフ・バランス社会というのをどうとらえるか、いろいろあるわけですけれども、この3つの柱というのは大事ではないか。この3つの柱がきちんと中身が実現できるということがワーク・ライフ・バランス社会が目指すべき方向だろうということで、今そういう議論しています。
 3つの「みんなが仕事があり自立できる」、「みんなが生活のための時間があり、健康で豊かな生活ができる」、「みんなが働き方・生き方を選べる」、これを実現するためにどういう取組をしたほうがいいかという行動指針を議論しているわけですけれども、そのときに、一応数値目標も大事なのではないかという議論がされていて、それぞれの3つの柱に即して目標を立てるというふうに今議論がされています。そこで挙がってきているのが、そこに挙げられているものだということです。
 それで我々のほうで議論していますのは別に目標ではなくて、実現度指標です。これは5分野になっているんですね。なので、どう整理するかという議論をしていまして、一応我々は5分野でワーク・ライフ・バランス社会の実現度を見ていくということなのですが、我々が議論している実現度指標の幾つかは、この3分野の実現度を測定することもできるものがあるということで、一応我々は5分野でもちろん見ていくわけですけれども、ワーク・ライフ・バランス憲章との議論の兼ね合いでいえば、この3つの柱ごとに幾つか我々で取り上げている指標が当てはまれば、つまり3つの柱の進捗度を測定するものにも使えるのではないかという議論をしているということになっています。ちょっとわかりにくいのですが、我々は初めから5分野で議論してきましたので。
 ですからこちらに挙がっているのは数値目標という意味では本当に目標にすると。これ期間は5年なのか3年なのかというのは、またこれから議論ですが、我々は目標ではないというところです。我々は数値目標で取り上げたものが指標の中に入るとしても、我々は加工してしまうので、指標の一部に入るという形になります。我々が考えているのはこの小分類で、あくまでも個人の希望に応じて働き方を選べる機会が設けられているか、これをはかることですので、ですから中に入っているもの1個1個意味があると考えているわけではないということです。ちょっとわかりにくくて済みません。
植本委員
今との関連で、厚生労働省関係のこの指標と、この実現度指標の資料4との関連の部分で、考え方として整理をしていただきたいと思うのは、1の小項目の4の「仕事のための拘束時間……」の次の「所得の状況はどうか」と厚生労働省の関係の、「みんなが仕事があり、自立ができる」というところと連動する話だと思いますが、自立というところに私はすごく意味があると思っていまして、自立ができるというところが厚生労働省の数値目標の中にはフリーターのことしかないわけですね。賃金レベルとか、要するに生活できる賃金になっているかどうかということが厚生労働省のところにはない。
 一方で、実現度指標の候補案のところでは、「所得の状況はどうか」ということで、低所得層がどれぐらいいらっしゃるかと。ここが少なくなっていくという、どの程度になっていくのかということが、一人ひとりが自立をした働き方をできているのかどうか。それがフリーターを選ばざるを得ないかどうかというようなこととも影響を与えてくると思うので、中身としてこの実現度指標が数値目標のチェックも果たす役割ができるということとの関連でいえば、ここのつながりをむしろ自立という小分類のところの所得の状況はどうかということよりは、自立をした働き方ができているかどうかという小分類のところの考え方も整理をするほうがいいのではないかと思うんですけど。
佐藤会長
ですからここの「所得の状況はどうか」というネーミングはちょっと誤解を招くかもわかりませんね。そういう意味では、今言われたような収入を得るために過度に働かなくていいかという意味ですから、適切な労働時間で、別にたくさんという意味ではないですけれども、適切な収入が得られるような状況があるかという意味でとろうとしているということですので。
羽入委員
先ほどからの議論で少し私自身が整理させていただいたのですけれども、特に1の働き方のことですが、私たちがここでやるべきことは、それぞれの小項目が2つに分かれていますけれども、①のほうではどういう可能性があるというか、つまり一番最初が典型的だと思うんですが、機会が設けられているかということが上の段にあり、下では、それに対して自分の希望がかなっているか、そういう形がこの指標の作成の仕方なのかと考えられます。そうすると①のほうでなすべきことは、我々がこの調査会でどういうことが選択肢として用意されるべきがということを考える必要があり、下のほうでは、それが個人の一人ひとりに選択されているか、実現されているかということを考えるといいのかなと思います。
 例えばⅠの3と4ですけれども、働けているかというのを上の段に持ってきてしまうと、それは現状の調査になってしまうので、働ける状況にあるか、下のほうで実際に働けているか、として、4の場合にも、仕事のための拘束時間が長くなるような状況になっていないか、とする必要があるのかと思います。そういう基本的な方針として、上の段ではこういうことが項目として挙げられているかということで選択肢がどれだけあるか。下は希望がかなえられているかということにしていくと、個人がどれだけ希望に応じた働き方ができているかということをもっとクリアに示せるのではないかという気がいたしました。
佐藤会長
中項目の整理の仕方ですね。
羽入委員
ええ。
高橋委員
関連でいいですか。私どもの研究所で定期的にですけれども、理想とするライフコースと現実になりそうなライフコースという調査で、この10年ぐらい5年間隔でやっているのがありますので、それをやるともう少し希望実現度というようなものが指標として取り組めると思いますので、これを情報としてぜひー活用していただきたいと思います。
武石委員
資料4-2のほうに入ってしまうのですが、つまりどういう機会があるかということは重要だと思うのですけど、今、仕事・働き方に関しては機会が設けられでいるかというⅠが、環境整備がされているかどうかの状況だと思うんです。これが家庭生活とか地域・社会生活というのはすぐに実現度といいますか、個人のライフスタイルを直接はかるような指標になっていくんですね。「仕事・働き方」のところに機会がまとまって入っているのと、あと官民の取組指標の後半のところが1つは重複感があるということと、例えば短時間勤務の措置があれば、家庭で育児がしやすくなって、家庭生活のところにも波及効果があったり、地域でボランティア活動がしやすくなるという仕事の時間が動くことによって、それ以外の領域がまた変わるのだと思うんです。
 そうすると「仕事・働き方」の1にある機会は、仕事・働き方の中に入るものなのか、外出しで、今、官民取組指標と書いてあるのですけれども、こちらで整理するものかというと、ここは整理がうまくできてないように思うんです。私は全体にかかわっていくとすれば、「官民の取組指標」という言葉が余りしっくりこないんですけれども、環境整備という意味で全体のところに機会があるかどうかというものを置いてはどうかなという感じがしています。
板東局長
今、武石先生がおっしゃいましたように、まず官民取組指標のほうと併せてごらんいただいた方がいいかと思います。特に1の①のところは確かに重なっている部分があるということと、官民取組指標をどういうふうな位置づけにするのかという問題がもう一つあるかと思います。今のお話しのように、「官民取組指標」という名前がよくないのかもしれないんですけれども、ある枠組み、環境ができているとかということになります。そのことを現実にワーク・ライフ・バランスの実現ということでどのように使えているかというのが、片一方の実現度指標の話という整理の仕方もあるのかなと。つまり官民取組指標のほうは実際の枠組み、環境のところで整理をして、こちらの実現度指標を今ごらんいただいた資料4のほうはもう少し、同じフレックスタイムを取り上げるにしても、①、②に分けた形ではなく、例えば実際それの対象になっている人たちはどれぐらいいるのかというほうだけでとるということもあり得るのかなと。
 ここは正直申しまして、我々も十分に整理しきれてない部分でありますので、資料4-2と併せてどう位置づけていくのか。資料3のほうも併せてですけれども、それをご議論いただければありがたいと思っております。
永木委員
私も4-2と資料4の重複というのが気になる感じがしまして、4-2のほうで環境整備であるとか、そういった取組の基本的な枠組みは述べるべきであろうし、この資料4の個人の総体で見たというところに関しては、個人が望んでそれが実現できているかというところにきっちり焦点を絞ってやっていかないと、ちょっとわけがわからない印象があります。
 (川島委員退室)
 それぞれ既存の統計で見ていくにしても、既存の統計で希望がわからないとか、実現度がわからないというのは、ブランクにするなりして、ちょっとここは課題なんですとか、わかってないんですというような形でまずは見ていって、そこは足りないのだけれども、とりあえずここはあるから、これでやっていくというような整理をまずしてはどうかなと思います。
佐藤会長
資料3の上のほうの5分野ごとのワーク・ライフ・バランスの実現度をはかる指標と、下の官民の取組、一応実現度指標と両方見ているのですけれども、まずは実現度指標という具体的なところで上なわけですね、5分野で見た。ですからこれは独立して1つあると考えていただいて、それともう一つは、それを実現するために、今度は国や企業が取り組んでいるか。特に仕事・働き方のところが大事なので、取組のところは大体それにかかわることになっているのですが、それを取り出してみたのが下で、私は重なっていて構わないと。あくまでも働き方なりの見直しなり改革の取組が、国なり企業でどのぐらい進んでいるかという側面で見たのが下なんですね。ですからあるものは重なっているというのはそれは別に構わないのではないか。
 ですから官民の取組という点で見たときの指標と結果としての実現度指標というのは別に同じものであっても構わないといったつくり方が現状です。
永木委員
多分いたし方ないところもあるのだと思うんですけど、それにしても、例えばテレワーカー比率に関していえば、ほとんどのケースはモバイルなど社命でテレワークしているわけですね。在宅勤務したいからテレワーカーになっている人はその中の非常に限られた部分になってくるかと思うんですね。果たして営業社員がモバイルワークをしたことが、彼らのニーズというか、やりたいことになっているのかというと必ずしもそうではないと。
佐藤会長
ですから、そういう意味では、川島委員言われていたように、資料4の中項目の2の①のテレワーカー比率をとるのは適切がどうかという議論はあり得ると。例えば、Ⅰの1にテレワーカー導入比率が上にあるならいいけれども、下で比率をとるのがいいかどうかというのは議論の余地ありだとは思います。
 ですから、今挙がっているものについて、そういう御意見をいただければありがたいなと。例えば、どこかでもう少しこういうものをやりたい人があって、現状低いから、この数値をとるのはいいというような御意見、でも、これはこの比率をとること自体に実は意味ないのではないかというようなことがあれば、そういう御意見を伺えればと思います。
上手委員
育児休業の取得率、これは入れるのは問題ないと思うんですが、ただ、現実、例えば女性であれば、これはとれないから、結局会社をやめちゃった人というのは数字に見えてこないんですよね。女性の取得率でいったら、あともちろん介護もそうですね。結局とりたいけれども、とれない会社だから、やめちゃった人は数字に入ってこない。そうするとちょっと離れたものになってくるのかなという気がいたします。
 あと男性も、これも逆にいうと、希望するけど、とれない人ととりたくない人も結構いるわけであって、この数字だけ持っていってもどうなのかという気はしないでもないですね。
北浦委員
これは私も指標のほうにかかわっているので余りいえないのですけれども、先ほど来の議論に出ているように、本当はズバリ1つの調査で表と裏が出るのが一番いいと思うんです。希望があって実現度、そういうパーフェクトな調査というのは意識調査のごくごく一部でしかないので、結局代理指標という考え方はどれとってもみんな不十分である可能性は高いのだろうと思います。それを前提にまず考えないといけないだろうと。
 ただ、そのときに、片方だけとれて片方がとれないというのが大いに発生するわけで、とりわけその場合にどうするかというのは悩ましいところだろうと思うんですが、先ほど議論されていたように、そこは他の状況をもって確認するということで、それはそれでいいのではないかと思います。
 そのときに1つの判断で、先ほど例が挙がっていたのは、フレックスタイム制度問題であるとか、あるいは育児休業の問題、確かに言われたとおりにフレックスタイムが全員が希望したのかどうかわからない。それから育児休業だって、確かに結果としての育児休業取得ではないか。それは全く御指摘のとおりだろうと思うのですが、しかし、これもう一つ考えますと、政府の施策なり、あるいは民間の取組として、今ここでワーク・ライフ・バランス実現のために何をやっているかということを考えると、中項目、小項目の考え方に沿って考えれば、労働時間はなるべく柔軟にしていこうということと、その手法としてフレックスタイムがあるのだと、こう位置づければ、フレックスタイムというものの進みぐあいというものがある程度それに目安になることは否めだろう。
 それから、育児休業であっても同じことであって、育児休業をとる制度を取得率を高めることによってワーク・ライフ・バランスというのが進められると。このように進めてきているわけですから、その限りではない。ただ、そのことがやはりどこかにおいて無理がある、問題があるというふうになれば、この指標自体は変えていくことになると思うんですが、現状において、ここはやはり中項目、小項目というところの理念。ここは先ほどの書き方の問題はあるかもしれませんけれども、大筋としては、私はこれは合意できるところではないかと思うので、そこから演繹されるようなところの指標をとったと、このように考えればいいのではないかと思うんですね。
 その意味で不十分であれば、その不十分であることは、今後それは変えていくのか。あるいは先ほど言って慎重に他の根拠をもって、例えば進むということが正しいという方向であれば、そこが納得できれば、その裏打ちをもってこれを代理として使うのだと、そういうような検証をやっていくしかないのだろうと思っていますので、いずれにしてもパーフェクトに実態をあらわすものということにはならないのだろうと思います。
 したがって、「実現度指標」というこの物の言い方を今後どのようにするのか。むしろそこのところのお考えを整理していただいたほうがいいのではないかと思います。これをもって何十点とか何十点と言い切れるのかどうか。そうではなくて、いろんな動きが実現に向かって進んでいることをあらわす意味の実現度という動きをあらわすものであれば、これはこの程度ということで了解できるのでしょうが、ある水準線を考えて、どのぐらい足りる、足りないというような議論になってしまうとこの実現度というのが、だから、その実現度の解釈の問題が結構あるのかなと思うので、この辺は整理をいただければと思います。
佐藤会長
何度も目標ではないというお話ししたので、実現度といって、100%実現の状態の目標があるかというと、そういうものをつくろうとは思っていないので、名前は確かに議論したほうがいいかもわかりません。
 今言われたように、つまり機会のほうは割合いろんな指標をとり得ると。問題は選択できているかのところについて言うと、今挙がっているものについて、やや、どうかなというのがあるということですね。多分皆さんの御意見伺うと。ですからフレックスでも、フレックスとりたい人が、例えば5割とかという数字がどこかにあって、現状が3割であれば、これを選択できているかのほうに入れてもいいのだけれども、そういうのがないところで、適用労働者割合をとるのがどうかという話ですよ、テレワーカーについても。ですからすべてがだめという意味ではなくて、多分機会のほうはいいけど、選択できているかというところについて検討してほしいというのが、結構皆さん出た意見だと思います。
 ほかに。
板東局長
先ほど上手委員の御指摘の点は、ほかの項目で、例えば2ページ目の3の②のところに「第1子出産後の継続就業率」というのがあるのですが、同じ出産前後どういう状況なのかという話も、2の①のほうに育児休業取得率が出ていたり、こちらのほうにやめた方の割合がこういう形で出ていたりします。ちょっといろんな項目にまたがっているものがあるので、御指摘のように、1つだけを見ると、ほかにもあるのではないかという話になるのですけど、全体として見るといろんな指標を拾っているという形になるかと思います。ただ、項目特に小項目が細かすぎるという話なのかもしれませんけれども。
勝間委員
今、どのぐらい正確なものをつくろうという議論しても余りできないと思うので、どちらかというと、走り出した後により修正するような仕組みのほうが大事だと思うのですが、それはどうなっているのでしょうか。
神田課長
この指標は、とりあえず専門調査会で決めていただいて、その後、毎年リバイスをしたいと思っています。そのリバイスも指標が単に更新されるだけではなくて、この指標でなくて別の指標にしようとか、やっぱり指標の動き見ながら、その都度その都度変えていけばいいかと思います。
勝間委員
わかりました。ありがとうございます。
佐藤会長
働き方のところが4つあるのは、働き方のところが、逆にいえばネックになっているので、ここが変わらなければいけないということで、そういう意味で割合4つの側面で見ていると。何で全部4つでないのではないかと言われたときにはそういう意味にあります。ここは働き方の機会と選択と、その結果として3はあくまで結果なのですが、女性や高齢者の働きたい人が働けるかどうかということと、適切な労働時間かというのを4でとっているという組み合わせで、例えば3の②の、先ほど局長言われた第1子出産後の継続就業率は、皆さん御存じのように、やめている人の3割ぐらい続けたいと言っているので、現状でいえば、比率が高まるほうが望ましいというふうにとってもいいだろうと。ただ、これが10年後たったときには、これ以上伸びなくていいのかもしれないということで、当面は入れるのはいいだろうと。多分それは合意できると思うんです。ですから、それを1個1個見直していくということが大事なのかなと、伺っていて思います。
 4つがどうかということももちろんあるのですが、4つをまた2個ずつ分けるのかどうかということもありますが、3は女性と高齢者、あと正規、非正規ぐらいで大きくとっているというふうに、そのときに、これはちょっと細かすぎるということはもちろんあると思います。
武石委員
合成指標にするときは、分野ごとに、要は5つの指標が出てくるということで、中項目、小項目ごとには出さないのですか。
神田課長
これからの検討課題ではあるのですが、少なくとも5分野ごとには出すと。恐らく中項目、小項目ぐらいでは出すことになるのではないかと思います。柔軟性の問題なのか、多様化が進んだのかということは重要だと思いますので、せいぜい小項目ぐらいでアグリゲートできればなと思います。
武石委員
佐藤会長が、さっきダブってもいいとおっしゃったのですけど、そうなると、やっぱり私はダブりが気になるというのはまだあるので、ほかの皆さんのどうかなというのがあります。あと、例えば今の継続就業率と育児休業取得もそうなんですけど、多分継続就業率が高まってたくさんの女性の人が就業すると、もしかして育児休業率が低まるかもしれない。そこは2つの指標を組み合わせて見なければいけないような部分がある。それから例えば女性のところで、勤続年数と平均所得と管理職、専門技術者の女性比率というのがあるんですけど、これ3つとる必要があるかどうか。例えば給与の格差は職種とか勤続を反映している部分も大きいので、1つとっておけばいいかもしれない。ここで、例えばこの3つにウエイトがかかってくると、男女平等みたいなものがこの指標の中で大きなウエイトになっていく可能性があるので、指標のつくり方が問題になってくると思うのですけど、同じようなものを見ているものを一本にしていったほうがいいのか、それとも多角的に見ていってウエイトづけをしたほうがいいのかというあたりがどうなるのかなという気がしたんです。
 もう一個だけ言いますと、介護休業取得率というのがあるのですけど、これは多分労働者に占める介護休業取得した人の割合しかないと思うんですが、つまり高齢化が進めば介護をされる人は増えていく。ワーク・ライフ・バランスの指標になり得るかどうかというのがちょっと疑問あるかなという気がしました。
佐藤会長
基本的には介護休業とらないほうがいいという考え方があるわけね。制度は必要だけど、とらなくて済めば一番いいわけ。そういう意味だったら、介護休業取得率がいいかどうかというのはもちろんあり得る。制度、上はいいけど、下はどうかというのは確かにあり得ると思います。
紀陸委員
資料2の2ページ目の(5)、ここで新しく(5)を追加されているという話をされましたけれども、この指標の作成で合成指標をつくるとかいうことですね。
神田課長
出し方、まさにここでお諮りすることだと思いますけれども、恐らくその5分野ごとに見て、どの分野で進んだかという話、仕事だったら仕事、ちょっと5分野を毎月更新するのは難しいので、仕事だったら仕事で中項目で見て、柔軟性が進んだのか、あるいは今だと機会が進んだのか、多様性が進んだのかというのを見ていくと。変化率ですね、ある時点と。
 その変化率が伸びたら、その部分で何が効いているのかというのを効果分析をしていくというイメージかなと思います。そのレーダーとは、ちょっと進捗なので、レーダーというのは1時点におけるバランスですね。ちょっと違うのかなとは思っているのですけど、それはまさにここで、どのように出していきますかというのをお諮りする内容だと思っています。そこは重要だと思っています。
紀陸委員
どういうふうに合成するかによってイメージがかなり変わってきます。もう一つは、資料4-2の官民のほうですけれども、官民といいながら、ほとんど企業が何をしているかということなんです。ここの出し方の技術開発したというのはわかりますけれども、国民的にこの課題に取り組むといいながらも、政府の役割はどこにどういうふうに出ていくか。この後ろにみんなあるわけですね、物によっては。
 だけど、本当に今企業とか国民が国に望んでいることは何か。いろんなインフラ整備がありますね。保育所のところなんか全然出てない。待機児童のゼロのところがほとんど手つかず状態といったら言い過ぎですけれども、つくればまたニーズが増えるというイタチごっこでしょうけど、もう少し自らがやるべきことというのをテーマ設定していただけませんか。それでないと、これ官民といいながらも、国・地方自治体は全く……ということですね。
 私、資料3の全体のデータをつくるときに、この実現度指標のお話というのは、個人のニーズ、わがまま勝手なものがどのくらい満たされているか、それははかるものではない。総体で見たという表現にして指標をつくるのだというお話がありました。ところがだんだん聞いていると、それはちょっと違うのではないか。例えば「健康・休養」の「休養のための時間はあるか」で②のところで、「十分に睡眠をとっている人の割合」、休養はあなたは十分ですか、十分でないかと言われても、これはどうするのだと。こういうのはちょっと対応のしようがないですね。
 例えば組織に勤めている人に対して、組織対応が可能なものとそうでないものとが事柄によって違います。特に企業経営者の方で、この言葉自体になじみがない方々がいっぱいおられる。そういう方が、従業員の勝手なニーズに自分が対応しなければいけないのか、それはできる範囲は限られているので、あとは協力不可だよとなってしまったら、何のためにこれを出すのか、それを考えないとぐあいが悪いと思います。
 これはここだけではなくて、目標値のところでも同じようなことを述べているんですね。いろんな従業員がいて、いろんなニーズがあるから、それをほとんど満たすというのは個別企業にとっては非常に困難です。やりたくてもできない客観状況があるという企業さんも非常に多いと思うんです。そういう中で、これはどちらかというと、従業員のというか、働く人の側だけからのニーズで見ていますからバランスがとれてない。
佐藤会長
川島理論の関係で言うと、別に先ほどの、例えば第1子出産後の継続就業率について言えば、妊娠・出産でやめるということを積極的に選択する人もいるし、続けたいけど、やめざるを得ない。あるいは続けるということで続ける、いろんな人がいるわけですね。ここは一人ひとりという意味ではなくて、マクロでどうかといったときに、現状でいえば、続けたいけどやめざるを得ない人が2~3割いるというのがいろんな調査データ見るということがありますので、個人をどうしろということではなくて、その人たちについて、ある程度その希望が満たされるようになれば、少なくとも現状よりかは増えるのではないかという意味でとっているということで、そういう意味ではニーズを見ているという言い方もできなくはないですけれども、別に企業に一人ひとりのニーズを見るようにという意味ではなくて、しかし、他方で働きたいけど働けないというところについて、もちろん保育関係の問題もありますけれども、勤務先の両立支援のところもありますので、ですからそこはやれるところはやっていただければ、結果としてみれば、個々の企業でやれという意味ではないですけど、そういうことをちゃんとやっていけば、これは増えていくだろうという指標だと、ちょっと説明が難しいところですけど、そういう姿勢をとっているということです。
植本委員
資料4のⅤの「健康・休養」との関連なのですけれども……
佐藤会長
最後ですか。
植本委員
最後の。今の指標の候補案について、こういう内容というのも当然あると思うんですが、逆に言えば、例えば私たちの職場で議論するときに、24時間体制の交替制勤務でやっている職場の人とそうでない方とで年金の取得年限、要するに24時間交替制勤務をずっと続けられた方のほうが早くお亡くなりになって、年金を受給する年数が短いというのが、これは私たち職場のデータではあるんですね。本当に働くこと、働き方の問題との絡みで影響を与えるようなものというのはどういうものがあるのかということも、十分に睡眠をとっているかどうかということよりは、要するに睡眠が細切れであったりとか、睡眠そのものが強制される睡眠であったりとかいう、月単位でシフトが変わってという形での働き方をする中で、長年のそういう生活をすることによって健康に重要な影響があったりするので、そのような仕事と健康と寿命、そことの関連のところで何かうまい指標はないのかというのをこれを見ながら思っていたのです。
佐藤会長
もちろんそういう質と量を組み合わせたような睡眠についての指標があればとりますけれども、そこはなかなか難しくて、つまり睡眠の質に問題があれば、多分十分に睡眠をとっているというふうには答えてないだろうというふうに考えてつくるしかないような、基本的にはすべてそうなんですけれども、これ自体がすべて正しく課題を捕捉しているのではなくて、先ほど言いましたように、比率でなくて指標化してしまいますから、先ほど交替勤務で、時間は長くても十分眠れないような人は、多分これで十分睡眠をとってないと答えている可能性が高いだろうと考えてマクロをとるというとり方だというふうに御理解いただくしかないかなと。もちろんいいものがあればいいんですよ。すべてについてそういう考え方です。
 もう一つ、小項目について、ここは1個か2個しかないので、上のほうが確かにやや多いなという気はするので、その辺のバランスは考えたほうがいいかもしれない。後ろのほうへ行くと1個か2個しかないので、上のほうも1個か、2個で代表させるという考え方もあり得る。
杉山委員
資料4-2のところなんですけれども、先ほども政府の役割をもうちょっと出したほうがいいのではという御意見がありましたが、私もそのように思います。やはり待機児の解消に関して官としてやるべきことというのはあるわけで、そのところを出すとか、指標で出すのがいいのか、そこはわからないのですが、官のところでも、皆さん働いていらっしゃるわけですから、そのときの各自治体の行動計画の策定、進捗状況であったりとか、そういうのも企業と同じように見ていくことは必要だろうと思います。
 あとは、育休取得等々の取組をするときに、企業にどれぐらいバックアップができるのかというか、そのあたりの行政・官としてやるべきことというのがあるわけで、それに関してもやはり取り組んでいこうというのを打ち出していったほうがいいのではないかなと思います。
 もう一点は質問なのですが、今、資料5を見させていただいたときに、例えば25ページあたりで、「家事、育児、介護等の行動時間の男女比」とかが今グラフで出ているのですが、これだと本当に何だかよくわからなくて、このあたりは参考で今出ていて、今後はもう少し説明の加わったものになっていくという理解でいいのでしょうか。
神田課長
この資料は、実際に出すときはもうちょっと説明を加えます。また、年齢別にこれはなっていて見にくいのですけれども、25ページ、年齢別なのですが、それほど年齢によって差がないので、これも1つにしてまとめて男女比だけで出したいと思っています。
杉山委員
個人的には子育て中の男性と女性の時間の使い方などを突っ込んで見ておいていただきたいなという気がしておりまして、育児負担にかかわるものなので、それこそワーク・ライフ・バランスのライフのほうに専業主婦と呼ばれている人たちは偏っているわけで、それがバランスを欠いている状況はありますので、そこら辺もデータで見れるようになっているといいかなという気もします。
 以上です。
植本委員
官民の取組指標のところで、最初にワーク・ライフ・バランスの議論をし始めたときに、鹿嶋先生のほうから御提起をいただいていた推進をするための企業へのインセンティブをどう与えていくのかということの取組として、公契約の問題などの御提起があったと思うんですね。各自治体の入札に当たっての公契約条例についての総合評価で、こういう様々な指標を総合評価点にして企業へのインセンティブを与えていくという、そういう工夫が幾つかの自治体で始まっているのです。自治体が進めていく官の側の、とりわけ自治体や政府の側が進めていくところで公契約に当たってのワーク・ライフ・バランス指標を総合評価指標の中に入れていくような、そんなものが、逆に官の側の取組としてあったら、具体的に企業に対するインセンティブというところにも、企業にばかりお任せをするというよりは、励ます立場としてどうしていくのかというところが出てくるのではないかと思います。
北浦委員
官民の取組指標なのですけれども、これは民間のほう、ダブるところがあると言いましたけど、これは別に目標をつくるわけでもないということであれば同じなわけですね。ただ、再掲といいますか、同じものが出てくるんですね。これをよく見ると、官の部分というのは、例えば「くるみんの認定企業」であるとか、あるいは下のほうへ行くと定期健診、これはみんなやらなければいけないのだけど、ちゃんとやっていますかとか、あるいは産業医の設置数とか、法令等に基づいて、それで行うかどうかということです。はっきりと目標が見えているもの、あるいはやらなければいけないものが見えているもの、それの実施状況とこんな感じになるわけで、それがごちゃごちゃになっているものですから、ある意味でちょっとわかりにくいかなと。官の部分はやってもらわないといけないし、これは上の実現度指標ですと、これは民間の状態をつくるための環境整備のために官はこれだけのことはやっていますかということを新たに出す。極端に言うと、同じダブっているのだったら、官だけ出してもいいのではないかという感じもしなくもないわけです。
 ただ、そのときに保育所等を入れるかどうか、これは御議論があると思いますので、それはいろいろありますから、少なくともここの中においては完全にダブってしまっている部分と、それを除いた部分とでは性格が全然違うと思いますので、そこは整理をしたほうがいいかなと思いました。
神田課長
そこについてちょっと混乱させてしまうと申し訳ないのですが、官民の取組指標を特出しせずに、全部個人の総体の中に入れてほしいという話があります。私どもは当初から官民の取組という名前にするかどうかはあれとして、社会環境がどう変わったかというのを1つのセットで、官も民もないわけです、ワーク・ライフ・バランスは、両方にやっていきましょう、同時に一緒にやっていきましょうという取組なので、そういう意味では社会環境が1つあって、その中で個人がどうやっているかというので分けたほうが分析はるかにしやすいのです、中に入れるより。ということで分けているのですけれども、そこについて、もし皆さんの御意見がいただければありがたい。
 その上で、やっぱりダブリ感というのは、先ほどから気になる部分というのはあることはあるので、その辺はまた御議論いただければなと思っております。
佐藤会長
次世代法なんかで、認定なんていうのは確かに官の取組で企業の子育て支援を促進させる取組で、それは今でいえば実現度指標に入ってない。それは出せる。だけど、そういうものだけ取り上げるというのはもちろんあり得るとは思うんですけれども、ですから育児休業の導入率ではなくて、育児休業を導入させるような取組というふうにやれば、そうすると官のだけの取組になっちゃうということはあるかもしれないですね。それを企業がやったのは機会だといえば上のほうに入れちゃうという1つの整理の仕方もあるとは思うんです。そうすると官の取組、その結果としての民の環境整備は中のほうに入れる整理の仕方はあるかもしれない。
上手委員
質問なんですけど、資料4の「Ⅴ.健康・休養」のところ、真ん中辺にある自殺率なんですけれども、今現状の自殺率、これはすべて入った自殺率ですよね。もうちょっと仕事に絡んでの指標みたいなものはないんですか。
神田課長
勤務を原因による自殺率というのはあるのですけれども、倒産とか自己破産とかそういうのが入ってしまうので、それも随分アバウトな数字なので、いっそのことアバウトだったらもっとアバウトにというふうになっております。そこはおっしゃることは非常によくわかります。
佐藤会長
ここは難しい。何度もお話しするように、つまり小項目をあらわすものとして、100%じゃないけど、7割ぐらいその動きを見れるものをとるという趣旨なんですね。自殺率自体が問題ではなくて「仕事に起因し、心身の健康を害する状況は生じてないか」というのを見るときに、自殺率が上がれば、多分そのことも動いているのではないかというふうに挙げているんです。でもそれがそうじゃないと、つまり相関がないと思うと挙げちゃいけないんですね。ですからそういうものがほかにあるかどうか。小項目の動きと相関するような指標が何かという取り上げ方なんですよ。それが皆さんがおかしいといえば取り上げない。でも大体同じような傾向を示すということであればとるという、なかなか難しいところで、基本的にすべてそういう考え方なんですね。皆さん多くの方が、これはおかしいということになれば、それはだめということになります。
 2つあって、1つは今お話したことで、小項目ぐらいまでは、それは大事だろうと。ただし、取り上げていた指標が、小項目の意味をちゃんとあらわしているかというのが何人かの方から出てきたような項目は、すべてではないけど、一部あるということと、もう一つは、官民の取組をどうするかですね。民の取組は上のほうに入っているんじゃないかと。そういう意味ではわざわざ特出ししなくていいのではないかということと、もう一つは、取組だけは別にという考え方もあるし、あるいは官だけの取組にするかどうかというのが一番大きなところだろうと思います。
 ワーク・ライフ・バランス憲章と行動指針ができますので、ですから行動指針の進捗というのは、多分いろんな形での政策評価の中には入っていくと思いますので、わざわざここでやらなくていいというのも1つ議論あり得るかとは思います。ですから先ほど言った社会環境整備というものが中に組み込まれないものを下で拾う必要があるかどうか。それを官民の取組というかどうか別として。
神田課長
その点は非常に重要だと思っていて、行動指針での取組、あるいは環境整備が今後どういうふうに動いていくのか、どこまで指標化できるのかというのはある程度、この会議で議論をして詰めておくということが、今後の行動指針のフォローアップの上でも重要だとは思っています。その上で、5分野の中にそれを入れる、あるいは民間の部分だけを入れて、官だけを取り出すというのは、環境整備という指標としては不十分だと思うんですね。やはりこれは官と民、どういう制度が個人から見て使えるかというのは官も民もないわけですね、個人からすれば。それは民間企業の取組であれば、それはそうだし、保育園がどれだけ使えるかというのは別に個人にとってはどうでもいい話なので、そういう意味では環境整備として官と民両方を入れるというのが恐らく指標としてはわかりやすい指標、分析しやすい指標、意味のある指標だとは思いますけれども、皆さんのまた御意見をいただければと思います。
佐藤会長
武石委員は官と民の環境整備というのは5分野に入り込んでいるだろうという話ですね。今、課長が言われた取組は5分野の中に入っちゃって、機会の提供に入ってしまえばわざわざ取り上げなくていいだろうという、そういう話ですよね。
神田課長
しつこいのですが、官民の取組というのは、実は仕事だけでなくて、武石委員おっしゃったように、家庭とか地域活動とか、学習、短時間労働にも関係するんですね。それなので、必ずしも仕事だけの分野に片づくものでもないかなとも、先ほどちょっとお話を聞きながら思っておりました。
紀陸委員
繰り返しになりますけれども、まさにそういうことだと思いますので、要するに国の様々な政策課題がありますね。そういうものを官民の役割分担の中にどうやって入れていくか非常に難しいことだと思うんです。例えば典型的に非常に通勤時間が長いとか、それによって個人の生活負担は非常に重いですね。ところがその後ろには、土地・住宅政策を直さなければいけないとか、税制を直すとか、非常に難しい課題があるわけです。実はそこをきちんとやっておれば、個人の負担、あるいは企業の負担も様々に変わってくる問題いっぱいあると思います。
 それはこの中に余り出てこなくて、さっきの待機児童もそうですが、個人なり企業ができないことを国・政府や自治体がちゃんとやっていれば、こんなことにならなかったという問題が実はいっぱいあるのだと思うんです。それが全然出てこなくて、何となく法律に基づく制度、今、北浦委員が言ったけれども、法律をつくって企業に、言葉は悪いけど押しつけている、そういうのが結構あるじゃないですか。
 国、自治体がやるべきことは手つかずのままで、それでワーク・ライフ・バランスと言われても、ちょっと話が違うのではないのかなという面か多々あるのです。少なくともこの5分野だけに政府の役割分担が全部収斂するとはとても思えないですね。
 だから、そういう意味で、もう少し国のやるべきことを芽を出してくださいというお願いをしている次第です。それでないと、まさにバランスを失する話で余り評判がよくない可能性がある、そういうふうに思います。
佐藤会長
そうすると官民の取組を残して、もう少し官の取組がわかるようにしろという御意見ですね。
紀陸委員
そうですね。官民がまさに合同してやるべきことと、民でできないことは官でやっていただくという意思をこういうところに表明してくれという話です。
杉山委員
資料4の働き方と若干ずれるのですが、「学習や趣味娯楽等」というところで、可能であれば、もう少し膨らませていただきたいなと思っているのですけれども、働く人が趣味・娯楽等を行っているかといって、出ているのは平日のグラフなのですが、多分どう頑張ってもそんなにできない、平日働いているので。そういう意味では、休日にできるかというか、それこそ、例えば文部科学省が言っている生涯学習みたいなところのデータなどを調べれば、土日にどれぐらい開催しているかみたいなことで調べようがあるのではないかと思うんですが、結局高齢者であったり、専業主婦で子育ての手を離れた方たちが平日に相当学習していらっしゃるわけですよね。その部分のコストというのが、実は税金であったりすれば、働いている方たちが見ているというような現状もあるわけで、このあたり、細かく見ていってもいいのかなというか、こういう機会があるのだから、働いている人はもっと使えばいいのにというようなことがちょっと伝えられるようなものだといいかと思うんですけれども、これだとどうしても趣味や娯楽になかなか時間が割けていませんよねといって終わってしまうのではちょっと残念かなと思います。
 以上です。
佐藤会長
いろいろ御意見を伺ったので、1つは、中項目、小項目を代表する指標をとるときに、特に機会については、ワーク・ライフ・バランスにかかわる選択肢が広がるものをとっていくというのは、そんなに御異論ないのか、もちろんそういうものがとれているかどうというのはもちろんあるわけですけれども、問題は選択できているかというところについてはもう少し精査してほしいという御意見があったので、そこは事務局と検討させていただくようにします。
 今、幾つも挙がっていますけど、これを全部入れるという意味ではなくて、この中で、例えば選択できていると考えたときに、それが増えることが選択できるような機会が広がっているかどうかわからないというものがあれば、それを落とすという趣旨ですので、そういう意味で精査させていただくことにしたいと思います。
 問題は官民の取組で、多分官のいろんな取組を挙げるのは多分それほど重複感ないのかなと思いますけれども、問題は民のところで、民の取組を入れると、武石委員言われたように中に全部入っているじゃないという部分もかなりあるので、そこをどうするかは検討させていただきます。例えば官の次世代法の「くるみん」の認定なんていうのは、そのことからすれば、民間企業の様々な両立支援の仕組みが進むという点ではここで取り上げていいと思うのですけれども、ただ、民の様々な制度導入というのは上のほうに入るんじゃないかという議論がありますので、そこは検討させていただこうとか思います。ですから幾つかの分野にまたがっているものというような考え方はあると思うんですけれども、そこは確かにどうするかというのはあるかと思います。
 もう一つ、先ほどお話しましたように、今、ワーク・ライフ・バランスの憲章なり行動指針の議論の中で3つの分野が挙がって、最終的にどうなるかわかりませんけれども、何らかの数値目標があると。それに合わせて3つの柱の実現度を測定するときに、こちらの5分野の中から幾つかを3つの柱に即したものをそこにのせるということがあり得るということです。どの柱にどれが入るかというのは、今、詰めなければいけないのですが、一応我々は5分野で見ているのですけれども、分解したときに3つの柱の進捗度を測定できる指標として使えるものは、ワーク・ライフ・バランス憲章なり行動指針の一覧表の中に数値目標とは別に、進捗度指標というかわかりませんけれども、3つの柱の進捗なり、実現度を見るものとして、こちらで5分野で取り上げた指標が入る可能性があると。今そういう議論をしています。ただ、どこに何を入れるかというのは、そちらのほうでも議論していただかなければいけませんので、ですから我々はあくまで5分野で整理しますけれども、そちらのほうに一部が取り上げられる可能性があるというのを御理解いただければと思います。
 そういうことでいいんですね。
神田課長
そうです。
佐藤会長
官民の取組についていいアイディアありますか、武石委員。
武石委員
官の取組、今、お話聞いているとレベル感が2つくらいあって「くるみん」とか入札でやるというのは、そういうグループが1つあるとすると、もう一つ、この法律の定着とか、働き方のそういうものを進めるために、それを考えられれば結果として民のほうの数値に挙がってくるというのとあって、私は後者のほうは、民のほうの機会を見ておけばいいのかなという気がして、前者のほうで官の中で努力しなくちゃならないようなものをここで挙げておけばいいのかなという、そうすると、紀陸委員から、官が少ないと怒られちゃうのかもしれないですけれども……。
佐藤会長
業界団体とか、そういうのがあればいいわけ、経営者団体であるとか、地域でやるとかというのがあれば。
武石委員
でも、それが最終的に民のところの取組につながるようなものは民のところで見ておけばいいような、何かダブルカウント感がちょっと気になるんです。ですから具体的には、例えばマザーズハローワークの就職件数とか、こういうのがここのワーク・ライフ・バランスの指標として要るかどうか。私はそこまで細かいのは要らないだろう。それは再就職の機会があるということが個人のところに入れればくて、そういう印象を持っております。
佐藤会長
本当は時間があれば十分議論していきたいのですけど、いかがですか、大きくその点は少し検討しなければいけないかと思ったのですが。
紀陸委員
数値目標は5年後とか10年後というタームで出ているわけですね。
佐藤会長
数値目標のほうは一応ありますね、向こうの議論で。
神田課長
5年後にはまとまるかもしれませんけど、数字自体は、別に私たちは達成度をチェックするわけではない。
紀陸委員
極端に言えば5年間はやり続けるけど、その先はやめちゃうとか。
佐藤会長
ただ、いろんな調査が3年のもの、毎年のもの、5年後ありますから、一応毎年発表していくというのが一番望ましいと思うんですね、5分野ごとに。そうすると、これは少しさかのぼるということもあると思いますから、2000年頃と今、そこはやるわけですね。今後、過去の、そうするとどこかの分野の進捗は遅いとかというようなことはわかると。ただ、別に目標というわけではないので、これから5年たったときにワーク・ライフ・バランス憲章ができ、行動指針やっても、5年後どうなるかというと、働き方のところは余り進んでなくてとかというのがわかるようなものは出せると。
紀陸委員
部分的にここに出てくる指標と数値目標がダブっていますね。そうすると余計ですよね。こっちは5年、10年でチェックするけど、こっちはどういうチェックの仕方をするのか。PDCAの話が常に両方に入ってきますでしょう。その場合に、このメンテナンスをどうするのだという話が出てくるのでは。
板東局長
例えば、この分野は非常に進んでいるけれども、この分野はなかなか取組、あるいは現実の状況は進んでないね、変わってないね、というのがこれで明らかになってくると思いますので、それではこの分野をもうちょっとてこ入れしていこうとか、あるいは先ほどのようにいろんな枠組み、環境のほうは整ってきているのだけれども、現実になかなか変わらないということであれば、なぜそうなるのかということを分析していって、新しい政策の中につなげていくとか、そういったことはあるのだろうと思います。それは5年、10年というよりも、毎年毎年いろんな状況、進捗度があらわされる、いろんな分野で比較しながら進捗度があらわせることによって逐次進んでいくことができるのではないか。そういうものとして使うことができるのだろうと思いますけれども。
佐藤会長
ですから政策、ワーク・ライフ・バランス憲章、行動指針で、いろんな取組が行われていくわけですけど、それが国民一人ひとりの立場から見て、この5つの分野ごとにどこが進み、どこが遅れているかというようなものに使ってもらって、ここが遅れているということであれば、今度行動指針、そちらのほうに反映させていただくというような使い方かなと。できれば、これは都道府県単位でこれをつくっていただくということが出てくると、それぞれの今度自治体レベルでどうするかというようなことにも使えるかなというふうには思っていますけど。
 そろそろ時間も参りましたので、きょう先ほど実現度指標については、機会の問題と選択できているかというところについて、特に後者、選択できているかについて少し見直してほしいという、全部ではない、幾つか疑問だというような御意見もありましたので、もう一つは官民の取組、重複感があるので、官についてはわかるけれども、民のところを整理してほしいということがありましたので、その辺については、きょうの御意見を検討させていただいて、事務局と実現度指標のあり方について調整させていただきたいと思います。
 それを踏まえて、今月14日の行動指針の作業部会で報告させていただくと。もちろん事前にどういうような検討したかについては皆さんのほうにも御連絡させていただくことにしたいと思います。
 そういう形でよろしいでしょうか。
 それでは、今後の専門調査会の進め方について御報告いただければと思います。
栗田調査官
資料6をごらんください。この夏に専門調査会で当面の調査検討方針についてということで御案内をしたもので、まだ具体的な進め方について御説明をしていなかったものが2つございます。
 まず1.でございますが、「企業・組織にとってのメリットやコストの考え方について」ということでございます。
 こちらは企業・組織における代表的なモデルケースを設定しまして、企業等がワーク・ライフ・バランスに取り組むメリットやコストの考え方を整理、分析をしていきたいと考えております。具体的には企業等がワーク・ライフ・バランスに取り組む場合とそうでない場合のコストの差をメリットととらえて分析をいたしまして、最終的にはその企業等がワーク・ライフ・バランスに取り組むメリットを認識をしてもらうのに資するような、できる限り定量的な材料を提供するということを目標にしたいと考えております。具体的なモデルケースの例でございますけれども、こちらはあくまでも便宜、幾つか整理させていただいたということでございますが、まず最初のケースとしまして、社員が出産、育児期等を迎えまして、仕事と両立ができずに、退職をしてしまうようなケース、そういった場合には、例えば採用のコストですとか、育成のために研修でいろいろな費用がかかっているといったような、かけたコストがむだになってしまうというような場合もございます。それから中途採用で女性の管理職を外部から調達してこようというようなケースを考えれば、それにもコストがかかるといったことも考えられるかと思います。
 2つ目のケースでございますが、社員が過重な負担となる働き方をして心身の健康を害して休業や退職などをしてしまうケースということで、例えばメンタルヘルス上の要因で長期にお休みになられる方がいるようなケースですと、代替要員を雇うコストがかかったり、職場への復帰を支援するためのカウンセリング等の費用等もかかるといったようなこと。それから結果的におやめになった場合には、先ほどの場合と同じですが、採用のコストですとか研修費といったものがむだになるといったようなこともございます。それから、なかなか定量的にはかれない部分ではございますが、ほかの社員に与える影響ですとか、連鎖反応みたいなものも大きなものがあるといったような話も聞いておりますし、最悪の場合、例えばメンタルヘルス上の問題からおやめになったり、自殺されたりといったようなケースですと、企業イメージに与えるダメージも大きいといったような話もございます。
 それから、3つ目は、育児期の社員を支援するケースということで、これは最初のケースと裏返しのような位置づけもとれるかと思います。
 それから、4つ目でございますが、長時間労働の是正に取り組むケース。例えば残業の削減というような取組をしたことによって残業代の支払い、コストや光熱費などが縮減できるといったような幾つか具体的なケースを設けまして分析していけたらということでございます。
 それから、2つ目でございますが、「企業の取組事例調査について」ということですが、こちらはワーク・ライフ・バランスに先進的に取り組む企業を対象としまして、企業の取組事例調査を実施したらいかがかということで考えております。
 対象企業としましては15社程度を考えておりまして、実際には企業規模ですとか、業種にも留意をして対象先を選定したいと考えてございます。主な調査内容でございますが、こちらは子育てや介護等いろいろな事情を抱えた従業員に対してどのような支援をしているか。支援制度等の内容ですとか、その利用状況、支援関連のコスト情報などももし把握できれば、最初に御説明しましたメリットやコストの考え方の分析にも生かしていきたいと考えております。2つ目の企業のワーク・ライフ・バランスに関するマネジメント改革への取組ですが、企業の自発的にできる取組の1つとしてマネジメントの運用を変えていくということは非常に重要でございますので、そういった取組があるのか、ないのか。どういったような取組をしているのかといったことを把握できたらどうかということが2つ目の「・」でございます。
 それから3つ目でございますが、こちらは従業員の地域活動や自己啓発をするといったことに対する支援の取組にどのようなものがあるのか。こちらはまだ具体的にそういった取組をしているという企業はそれほど多くはないというふうに聞いているところですが、そういった支援制度がまずあるのか、ないのか。それから、どういったことを行っているのか、その利用状況等につきましても調査ができたらということで考えております。
 基本的には人事担当部署への訪問ヒアリングを実施するということで考えておりますが、中でも、マネジメント改革への取組につきましては、現場の方の声というのが非常に実態を把握する上では重要かと思いますので、ワーク・ライフ・バランスに関する取組をしている部署の管理職等へのヒアリングも並行して行ったらどうかということで考えております。
 1枚おめくりいただきまして、今後の進め方でございますが、本日このような取組事例とコストメリット分析の検討の方針についてということで御説明させていただきましたので、御了承いただければ、次回11月26日の専門調査会におきまして、有識者からのヒアリング、具体的には、小室先生がきょう御欠席ということなんですけれども、企業にワーク・ライフ・バランスの推進をお勧めする材料ということで、企業のコストやメリットについてお話しをいただければと考えております。
 それからコスト・メリット分析、企業の取組事例調査の内容につきまして、きょうは全体の方針ということで、簡単にさっと御説明させていただきましたが、具体的な内容を詳しく御説明をさせていただきまして、その内容について御審議をいただければと思っています。
 次回の次の回、12月17日にもう一度年内に専門調査会が開催されますので、その回にコスト・メリット分析の内容、企業の取組事例の調査の内容につきまして、御了承いただければと考えております。来年の1月頃に企業の取組事例調査を実施いたしまして、2月から3月にかけまして、コスト・メリット分析、それから、企業の取組事例調査の結果の御報告、それからご審議いただきまして、4月頃に専門調査会で全体の取りまとめをできたらと考えております。
佐藤会長
ここの専門調査会の基本的方向を出しましたけれども、その中で実現度指標をつくるということと、もう一つは、企業の組織のマネジメント改革というお話があったと思いますけれども、後者の部分について、全部ではありませんけど、一部について事例研究をやろうという御提案です。いかがでしょうか。
杉山委員
先進企業15社というのは、私たちがいつもよく聞く15社なんでしょうか。そこらあたりを確認させてください。
栗田調査官
具体的には次回の専門調査会のときに企業名も含めて御説明させていただきたいと思っております。恐らく先生が、ほかの方々もそうだと思うのですが、よくお名前を聞かれている企業も入っているかと思いますが、それ以外のところにも何か新しいところで先進的なといえる企業はないかどうか、少し探ってまいりたいと思います。
杉山委員
それでいうと、随分聞きましたという感じがしておりまして、そこにまた新たにヒアリングに行くというのはどうなんでしょうというか、既にあるのだったら、それを使えばいいので行く必要はないだろうということと、むしろなぜ進まないのかということを知りたいなと私は思います。女性比率の高い企業ほど進んでいるのかとか、サービス業みたいなところがもし進んでいるのだったらそれは聞く価値があるだろうと思うし、業種によって相当違うのであれば、そのあたり、もうちょっと丁寧に見てみるとか、大企業と中小企業で現実問題やりたいと思ってもできないんだよという話があるのだったら、それもやはり押さえておかないと、いいところの話を聞いて、すごいすごいという時代はもう終わったと私は思っておりますので、もうちょっと具体的に何か本当に取組ができそうな素材を拾い上げていってもいいのかなというふうに思いました。
 以上です。
佐藤会長
多分取組のところについては、結構同じような企業にたくさん行って、多分コストベネフィットについてきちんと分析したものはそんなないので、ですから1つはコストベネフィットのところと、もう一つはマネジメントのところも、今なぜ進まないのかということがありますから、マネジメントの改革のところでうまくいっているところは少し取り上げてもいいのかなというふうには思います。
 ほかに何か。
大沢委員
成功事例についてですが、メリット、つまりなぜ成功しているのかというのは、ただ単にワーク・ライフ・バランスが進んだということだけではなくて、実際に業績が上がったということがあるということだと思うんですね。戦略的にそれをとらえて生産性を上げたという企業であって、問題意識として、私が思うには、なぜこのような会合が開かれるのかというふうに考えますと、やはり時代が大きく変化しているという背景があって、その中で、それに対して企業も個人も変わらなくちゃいけないと、そういう意識の中で成功している企業は多分時代にうまく変化できたところではないかというふうに考えるんですね。
 そうするとワーク・ライフ・バランスはもしかしたら1つのかぎになって生産性を上げることにつながっているとするならば、それのヒント、何がヒントなのか。そのときに、ただ単に柔軟な働き方が導入されたとか、働き方が変わったということよりも、全体としての人事システムがどういうふうに時代の流れの中で変わっていけたのか、処遇制度とか評価制度、特に今成果主義について再評価されている時期なので、そういったことも含めて調査されると私たちにとっては非常に勉強になるのではないかと思います。
佐藤会長
ほかには何かございますか。そしたら、きょう出していただいた御意見も踏まえながら調整を進めていただくということでよろしいでしょうか。
 それでは、何か連絡事項があれば、よろしくお願いいたします。
神田課長
当面、来週の14日に向けてちょっと調整をこれからまた始めさせていただきますが、その前に皆様方にどういうもので報告をするかというのはメール等で御連絡をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
佐藤会長
それではちょっと時間延びてしまいましたけれども、熱心に御議論いただいてどうもありがとうございました。大事な点、御指摘いただきましたので、それをできるだけ生かせるような形で事務局と調整させていただければと思います。
 どうもありがとうございました。

以上