仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会(第7回)議事録

  • 日時: 平成19年7月13日(金) 10:00~12:00
  • 場所: 永田町合同庁舎第一共用会議室

(出席委員)

佐藤
会長
大沢
委員
岡島
委員
鹿嶋
委員
勝間
委員
川島
委員
北浦
委員
紀陸
委員
小室
委員
武石
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 基本的方向についての報告の取りまとめについて
  3. 今後の調査検討方針について
  4. その他
  5. 閉会

(配布資料)

資料1
男女共同参画会議における意見 [PDF形式:13KB] 別ウインドウで開きます
資料2
男女共同参画推進連携会議企画委員会における意見 [PDF形式:15KB] 別ウインドウで開きます
資料3
「ワーク・ライフ・バランス」推進の基本的方向(中間報告)に関する意見募集の結果について [PDF形式:14KB] 別ウインドウで開きます
資料4
経済財政改革の基本方針2007におけるワーク・ライフ・バランス関連部分抜粋 [PDF形式:228KB] 別ウインドウで開きます
資料5
専門調査会の当面の調査検討方針について(案) [PDF形式:12KB] 別ウインドウで開きます
資料6
当面のスケジュール(案) [PDF形式:11KB] 別ウインドウで開きます
資料7
ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の考え方(メモ) [PDF形式:11KB] 別ウインドウで開きます
佐藤会長
それでは定刻でございますので、ただいまから「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」の第7回会合を始めさせていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただきありがとうございます。
 まず、事務局の人事異動について報告がございます。7月6日付で飛田大臣官房審議官が異動をされましたので、新しく来られた竹林大臣官房審議官から簡単にごあいさつをお願いします。
竹林審議官
7月6日付で男女局担当の審議官になりました竹林と申します。よろしくお願いいたします。
佐藤会長
それでは、お手元の議事次第に従いまして本日の審議を進めさせていただきます。
 まず、基本的方向についての中間取りまとめについて御意見をいただければと思います。先般、5月24日に公表しました中間報告に対して、男女共同参画会議での議論と、一般の方々から意見募集を経て事務局で整理した資料がお手元にありますので、事務局から説明していただいた後に御意見をいただければと思います。それでは、よろしくお願いします。
池永調査課長
中間報告につきましては、お手元に印刷した冊子がございます。5月24日の男女共同参画会議で佐藤会長から御報告をいただき、その後、1か月間、一般からの意見募集を行いました。本日の資料の報告(案)が、各種の意見を反映した案でございます。
 資料1は、「男女共同参画会議における意見」です。
 資料2は男女共同参画推進連携会議、これは情報や意見交換を目的としたネットワークでございまして、その企画委員会が6月20日に開催されましたが、そのときにこの中間報告を説明したところ、そこでいただいた意見でございます。
 資料3でございます。これは、一般からの意見募集を事務局でまとめたものです。全体として89件寄せられました。本日の資料の参考1という横のエクセルの細かい表は生の意見ですが、ご覧のとおり大部でございますので資料3にございますように事務局の方で類似する内容を集約したり、また長い御意見の場合はポイントをまとめるなどして概要ということでお示しをしております。
 資料3の2に「意見の概要等」とございます。ここの部分は御意見を踏まえて報告書の文章の修正をしております。その下に「以下の意見については、今後の取組を進めるにあたって参考とすると」ありますが、これは報告書の文言そのものを修正するというより、むしろここでいただいた御意見を今後の取組に生かすべき内容なのではないかと整理をしております。それでは、お手元の報告案の修正箇所を網かけしてございますので、そこの部分について御説明をいたします。
 まず「はじめに」の1ページをごらんください。「不安定な雇用状況などの問題により」ということを付け加えております。これは、一般からの意見の中で賃金格差や非正規雇用など、不安定な雇用形態の存在に対する問題意識が見えないのではないかといったことがございましたので、ここにそういった問題意識を追加いたしました。
 次に「EU諸国では」というところがございます。これは、海外の例としてアメリカとイギリスを書いたのですが、むしろこの例より北欧とかがいいのではないかというような意見もありました。アメリカ、イギリスについてはワーク・ライフ・バランスという呼称を用いているので例として掲げていますが、ワーク・ライフ・バランスについてはこの2か国の専売特許ではないので、柔軟な働き方を通じてワーク・ライフ・バランスを進めているEU諸国についても例として挙げることにいたしました。
 続きまして、2ページをごらんください。「ポイント2」のところでございますが、これは資料2の意見の中の下から5つ目の意見を踏まえたものです。原文では、「人生の段階に応じて仕事に最も重点を置くことも、家事や子育て、学習など、仕事以外の活動に重きを置くこともあり得る」という書き方をしておりました。この書き方が、男女の固定的分業を是認する表現ととられかねないといったような御趣旨の意見がございました。もちろんそういうつもりで書いたのではありませんが、より本来の趣旨をわかりやすく、バランスが人生の段階で変わり得ること、また人によって多様であることがわかるような形で修文をいたしました。
 続きまして「ポイント3」の部分です。これは、仕事の効率が高まり、仕事の成果が高まるということが、直接仕事以外の生活の充実につながるというのはちょっとわかりにくいといったような一般からの御意見がありましたので、ここは意味のわかりやすさを重視して、「働き方を見直して仕事の効率が高まることで、時間的な余裕が生まれるとともに、仕事の成果も高まる」としました。
 続きまして3ページでございます。資料1の男女共同参画会議の上から4番目、5番目辺りにありますが、議員の方から健康管理ということの重要性、特に企業にとってもこれは意識すべきだというような意見がございました。後でまた御説明しますけれども、企業にとっての必要性というところで健康についても触れることにしましたが、個人にとっての必要性のところでも同じく強調したということでございます。
 続きまして4ページでございます。ここはタイトルが、もともと「家庭責任が重く希望する形で働くのが難しい・・・」というものでしたが、「希望する形」というよりもっと切実なものである「両立可能な」とすべきではないかという一般からの意見がございました。この「希望する」という表現が、他の部分でもちょっと夢を与え過ぎるのではないかというような御意見もあったので、ここのタイトルには「希望する」ということではなくて「継続就業や希望する形での再就職が難しい」という事実に基づいた表記にいたしましたのと、本文の中でも就業環境の柔軟性が乏しいなど、現実の厳しさも追加してございます。
 続きまして、6ページにいっていただきます。全体的に男女平等の社会をつくるといったことが重要であり、その辺の視点を入れるべきではないかという御意見がありました。我々としてはその趣旨は随所に入れていたつもりなのですが、文言で工夫できるところとして、ここでも「男女」という文言を入れました。
 続きまして、7ページから8ページにかけての部分ですが、先ほどちょっと申しましたように資料1の男女共同参画会議の御意見の中で健康の重要性についてのものがございましたので、7ページのところは従業員が健康を害することは企業にとっても深刻な問題であるといったことや、就業環境の中に心身の健康が維持できるといったことを付け加えました。
 また、8ページの「ワーク・ライフ・バランスは「明日への投資」」という内容の中で「自ら能力の向上に努めること」とか、従業員が仕事以外の活動に関わるということが企業の競争力を決定づける新しい価値創造力が養われるといった修正があります。これも資料1の男女共同参画会議での下から2番目に人材育成の重要性に関する御意見がありまして、社員の自己啓発の話であるとか、新しい価値創造力といったようなことの重要性について入れさせていただきました。その後、飛びまして12ページをごらんください。個々の職場のところで「個々の職場においてワーク・ライフ・バランスを推進」とあります。これはもともとの原文が「効率的な仕事の進め方等を推進するためには」という言い方をしていて、この個々の職場ごとに効率化のための目標というのはいわゆるノルマ達成みたいなイメージを与えるじゃないかというような御意見がありました。もともとそういう趣旨ではございませんので、ここはワーク・ライフ・バランスを推進するための目標という表現に修正をいたしました。
 また、その下の個人の多様な選択を可能にする支援やサービスの展開の部分の中で、「その前提として、どのような働き方をしても、公正に処遇され」というようなことがございます。これは「個人の多様な選択」とありますが、一般からの御意見をごらんいただきますと、労働条件や環境の改善に関する意見が大変多く、それを踏まえて、個人の多様な選択の前提として多様な働き方であるとか、公正処遇のための条件整備が必要だということをここでも書かせていただきました。
 次に、13ページでございます。「若年層を含め」というのは、若い世代に対する啓発が必要だといった御意見が一般の方からございましたので、それを入れました。
 続きまして、次世代育成支援対策推進法に関する記述でございます。これも、資料1の男女共同参画会議の中で議員から御意見がございまして、計画の公表といったような趣旨のことを述べられましたので、それを入れた形にしております。
 続きまして、14ページでございます。これも男女共同参画会議の議員からの御意見の中で、先ほど人材育成のことに触れましたけれども、この中で社員がそうした活動をするような時間が取れなければいけないというような御意見もございましたので、企業・組織が自己啓発・能力開発支援のための支援に努めるというようなことを入れております。
 その次の「女性の再就職・起業等を支援する」というのは、もともといきなり「女性の再チャレンジ支援プラン」という書き方をしていたのですが、それだけではわかりにくいといったことでこの文言を追加いたしましたのと、合わせて脚注も付けました。
 その次の15ページでございますが、ここは関連する法制度のところで、中間報告の段階では働き方の多様性や処遇の均衡をめぐる状況に対応して、今後必要に応じて関連する法制度等柔軟に見直しを図られることが必要と、割とあっさりと書いていたのですが、ワーク・ライフ・バランスの推進に当たっては法制度面の対応が必要という一般からの御意見が多くあり、また資料1の男女共同参画会議の一番下に長時間労働の是正については法律による規制を含め実効性のある政策を求めたい、という御意見もありました。
 それらを踏まえまして、男女共同参画基本計画であるとか、これまでの各種成果、労働市場改革専門調査会であるとか、子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議であるとか、さまざまなそういう成果も踏まえながら、より具体的な内容を記述したということでございます。
 最後に17ページでございますが、これは中間報告が出た以降の動きを踏まえまして「経済財政改革の基本方針2007」が出たとか、そういう状況を留意したという記述になっております。
 報告書の修正については以上でございますが、本日は資料の中に参考の2として「「取組の方向性」に関連する取組例」といった資料がございます。この参考2は、男女共同参画会議において議員より言及があった取組であるとか、本専門調査会において委員の皆様から御報告された取組のうち、この報告書の取組の方向性の部分に関連するものをまとめたものでございまして、報告書をまとめるに当たって報告書の参考資料としてこれも追加しようと考えております。修正に関しては以上でございます。
佐藤会長
どうもありがとうございました。5月24日に、この専門調査会での「ワーク・ライフ・バランス」推進の基本的方向の中間報告を出させていただいたわけですけれども、中間報告というふうにしたのは、それについて一般から意見を求めるとか、男女共同参画会議でも御意見を伺うとか、男女共同参画推進連携企画委員会等々、御意見を伺ってから最終の報告書をつくるという趣旨でしたので、資料の1、2、3の御意見を踏まえて事務局で修正の案をつくっていただきました。
 そこで、その修正について皆さんの御意見を伺いたいと思います。修正する必要はないという判断もありますでしょうし、修正の仕方についてこういうふうにした方がいいとか、入れていないものについても修正した方がいいとか、3つくらいあると思います。ですから、それについて御意見を伺えればと思います。
 まず9ページまでの修正の御提案について、先ほど御説明した修正の必要なしですね。もう少し別の修正の仕方、あるいはこれでいいとか、まずそこからで、あとは追加的な修正、もっと大事な意見を踏まえていろいろいただいた意見を踏まえるとほかにもというのはまた後で伺いますが、まずは事務局の修正提案について御意見を伺えればと思います。9ページまででいかがでしょうか。どうぞ。
北浦委員
細かいことかもしれません。7ページで健康の問題を両方に入れるというのは私も大賛成ですが、企業のところの入れ方です。7ページに「従業員が健康を害することは」云々と書いてありますが、こういうふうに書きますと、実は企業の中で健康を害するというのは個人的な事情だけではなくて会社の方の事情でなったり、労働災害みたいなものも入ってくるわけですね。
 ここで言わんとしていることとして、恐らく無理な働き方をしてとか、長時間労働とか、そういうようにした方がいいのではないかという感じがします。入れ方も唐突なような感じもいたしますし、もう少しそういったような事情を入れて健康を害するというふうに説明された方がわかりやすいかと思います。その点が1点でございます。
佐藤会長
一般的な健康を害するまで入っていてはあれですけれども、普通病気になってしまうと……。
北浦委員
企業で健康の確保というと、いろいろなものが入りますよね。精神的健康も含めてですね。
紀陸委員
本体の論議に入る前に、まさに来週からワーク・ライフ・バランス推進のトップ会合が始まり、それに合わせて幾つか立て付けが変わってきますね。そういう中でこの委員会の役割とか、特に憲章とか、具体的な指針づくりの作業がこれから始まる際に、この委員会と、どういう関係になるのか。そのつながりですね。
 我々もトップの方においでいただいたり、指針づくりとかで企業の人に出ていただくことがありますので、それとこれとどういう関わりになるのか。ここの委員会は従来からやっているんですけれども、回りの状況が変わってきた場合にどういうつながりになっていくのか。その辺の考え方の整理をお聞かせいただけませんでしょうか。
佐藤会長
では、それは後で御説明いただこうと思っていたんですが、今、御質問が出ましたので、この委員会の進め方とか、ほかとの会議等々の関係について御説明を先にいただけますか。
板東局長
詳細な点は後で調査課長の方から説明させていただきますけれども、まだ御存じない方もいらっしゃると思いますので簡単に御紹介させていただきます。
 来週の初めの時点で新しい会議が内閣府に設けられることになっておりまして、ワーク・ライフ・バランスを推進していくために官民のトップに集まっていただこうという官民のトップ会議が開かれることになっております。これは先ほどの修正案の中にも入っておりましたけれども、6月末に経済財政諮問会議の議を経てつくられました骨太方針の中でワーク・ライフ・バランス憲章、それから行動指針をつくっていくということが盛り込まれたわけでございますので、これから具体的に憲章、行動指針を策定し、ワーク・ライフ・バランスの推進に政府全体あるいは官民を挙げて本格的に取り組んでいこうという取組がスタートするということで、先ほど申し上げました会議がスタートするということになっております。
 その中にも恐らく作業部会のようなものが設けられて、行動指針などをどういう形でつくっていくかという検討が行われることになるわけでございますけれども、こちらの専門調査会と同じようなことを重ねてやってもということもございます、後からちょっと御説明させていただきますが、この専門調査会の成果も憲章、行動指針の検討の中に当然反映していくということも基本方針の中に盛り込まれております。必要に応じてこちらの成果を伝えていただくといったつなぎを果たしていただくためにも、関係の委員に御参加いただく形にもなっておりますし、我々としても具体的にこちらの検討状況、その他について必要な反映をさせていただくよう、検討作業への参加をさせていただくということになろうかと思います。
 それで、こちらの方の専門調査会としては後で御議論いただきますけれども、社会全体のワーク・ライフ・バランス度を測っていくような指標の策定・検討ということを考えていく。その辺りの作業を検討グループなどを設けてやっていこうということを後で御相談させていただこうと思っております。同じことを重ねてやるというのではなくて、それぞれの会議などで必要なものを検討して持ち寄っていき、反映をさせて進めることを考えているところでございます。
佐藤会長
追加はございますか。後でよろしいですか。
池永調査課長
はい。
佐藤会長
紀陸委員が御指摘のように、政府全体としてワーク・ライフ・バランス憲章なり行動指針が動き始めますし、こちらとしても重複することを避けながら、しかし連携がとれるような議論を後半でやろうと考えていますので、それについては後でもうちょっと詳しく御説明するときにまた御意見をいただくという形でよろしいでしょうか。
紀陸委員
はい。
佐藤会長
それでは、まず北浦委員の7ページのところは「従業員が健康を害する」の前に、例えば長時間労働などと少し説明を加えるということですね。
 ほかには、9ページまでの修正について、今のように少しこの修正では誤解を招くとか、意見の趣旨をうまくくんでいないのではないかということがあれば御意見を伺えればと思います。大体よろしいですか。
 では、後半も含めていかがでしょうか。17ページの「おわりに」のところは多少、来週以降の動きに合わせて事実関係の変更があり得る。17ページの「おわりに」のところの書きぶりは今、御説明があったようなことが入ることになると思います。
紀陸委員
早速で恐縮ですけれども、特に13ページの次世代育成支援対策推進法のところですが、ここで書いてあることは、例えば現在は300人以上のところに義務がかかっていて、厚労省のつくったメニューに丸を付けて出すというんでしょうか。それで、300人以下のところは努力義務ですね。これは法改正をねらおうというわけですか。現行の推進法を改正して全部に義務をかけるとか、そういうお考えですか。
板東局長
参画会議の方で御意見がございましたのは、行動計画を策定したところも今は公表を義務づけられているわけではないということがございまして、策定した計画をもっと世の中に積極的にその中身を明らかにしていくべきではないかという御意見がございましたので、全般的に義務づけろというところまでの御意見ではなかったかと思います。
 ただ、ここで直接触れているのは今、申し上げました策定をしたものを国民に公開することを積極的に進めたらという話です。より幅広いところに策定自体をしていただくための努力ということは必要だと思いますが、ここで直接触れているのは公表の問題だけということでございます。
佐藤会長
この書き方は「見直すことを検討する」とかなり幅があるということで、男女共同参画会議でも議員の方からそういう意見が出ていましたし、子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議の方でも検討の必要性があるのではないか。例えば規模の小さいところまでというような議論はあります。ただ、それについて法改正するとかということは決まっているわけではありません。ただ、いろいろな意味でもう少し、例えば公表で議論をしていただくようなことを進めるとか、そういう議論はあるので、ここでも検討をするということで幅はかなり広いと思います。
紀陸委員
私ども、例えば個別企業でどういうことをやっているのかを明らかにしていくことになった場合、企業はそれにこたえなければいけないとかということになってきますね。こういうのを法律で義務づけるのではなくて、既に例えば御自分の会社で認定マークを受けたい。そういうところはまさにいろいろなことの中でやっていて、それを世の中に認知してほしいという制度もあるわけですね。私などはそれで十分だと思います。
 特に、そもそもワーク・ライフ・バランスというのは何かというような理解にすごく関わる問題だと思うんです。いろいろな企業があって、いろいろな業務工程も違う。女性の割合も高齢者の割合も違う中でとり得るメニューというのはまさに個別企業の労使で決めることですね。それを、あまねくいろいろな企業に開示してくれ。では、開示してそれをどうするんだ。外からとやかく言われて評価を云々されるべき筋合いのものではないですね。あくまでも我が社のワーク・ライフ・バランスはこうだというものをいろいろ労使で考えていただいて、それに基づいた施策を打つ。本来そういうものでなければいけないと思っておりまして、それでなければ一律に上から義務をかけていっても根付かないと思うんです。 簡単に私どもこの理念が広がるとは思っていませんし、根付くためにはきちんとした論議をやっていって、目に見えないような努力もやっていくということが一番大事でして、そこは施策をただ外に評価してというようなことで促進が進むとか、そういうことをここで考えているとしたら、これは非常に問題だと思うんです。
 考え方の方向性、普及のための方向性としてどういう手段がいいのかということを考えた場合、こういう部分は私どもは非常に問題だと思います。行動の開示の是非という単純な話ではなくて、そこにおける方法論において、非常に方向性において問題ありというような気がしてならないんです。
 特に私ども重ねて前から申し上げていると思いますが、4つの理念が出されています。、そしてここには、企業のやるべきこと、国がやるべきこと、自治体がやるべきことが余りはっきりしていません。要するに、これはいろいろ書いてあるけれども、主語がはっきりしませんね。どこがやるのか。12ページの公正処遇もそうだけれども、企業がやるべき課題というのは既に明らかですから、そこに光を当てるのは容易なことなので、それであちこち企業が、企業がと出てくるわけです。
 企業がやることをもろちん避けて逃げるというわけではありませんけれども、個別企業のやるべき程度はさまざまですので、そこは放っておいてもやるときはちゃんとやる。そうしないといい人が集まらないということに気付けば、もうやらざるを得ない話であって、それはとやかく外から言われる筋合いでないし、法制度改正でこれからいろいろ義務づけるのは反対です。
 法制度改正などというのはもう十分ではないか。それよりも、インフラ整備が大切で、働きたくても子どもさんを預けられなければそれっきりですね。もう目に見えているわけです。保育所とか、預ける場所をちゃんとつくる。それが本当のインフラ整備であって、それに企業が乗れるようなもの、今はそれがないわけでしょう。そういうところで最低限やるべきことに焦点を絞ってやっていただければ、あとは自覚すればどんどん動いてくるような状況であろうし、それが一番健全だと思うんです。法律で措置化をしていろいろな義務化をやっていくというのは、全然違うんじゃないかという気がしてならないんです。確実に人が減っていきますから、どの企業も真剣に人の構成とか、確保とか、育成とか考えざるを得ない状況に既にきているわけです。ワーク・ライフ・バランスというのはどういう意味なのかということをだんだん考えざるを得ない状況にいきますから、その入り口のところでああだこうだということをやる必要はない。かえってやるよりも自然の市場の状況に任せておいて、競争がどんどん激しくなりますから、おのずからその中でやり得る範囲、企業が生き残る範囲と、従業員がちゃんと育っていける範囲というのはさまざまなバリエーションが出てくると思うんです。それは恐らく法制度とか何かで予測し得る話ではないんです。
 方向として逆にいくのであれば、そういう体系制度とか法制度というものは必要でしょうけれども、それがなくてもいかざるを得ない状況だと私どもは客観的に思っています。
板東局長
参画会議では義務づけるべきだという御意見が出たのですが、この報告書の表現自体の意味としては開示を求めることを促すとか、いろいろな方法があるわけでございまして、今、紀陸委員がおっしゃったような必ず法律によってどうこうということをここで積極的に書いているというわけではないんです。それはいろいろな選択肢があります。
 例えば、企業の間での自主的な努力をもう少し促していくという方法もあるかと思います。この辺りの話というのは、これから憲章や指針などを検討していく会議などにおいても、どういう方法でどういう企業の取組を進める方策があるのか、あるいは政府の施策や制度としてどういうツールがあるのか、こういったところについての御議論があるんだろうと思います。
 ただ、方向性としては、やはりどういう取組をしているのか、そのこと自体がなかなか外から見えないということで、もう少し公開を促していく必要がある、これは労使間の問題だけではなく、これから企業に入る方々も含めてもっといろいろな情報が欲しいということはいろいろな御意見として今までも出てきているわけでございます。方法論のところはこれからの御議論であろうかと思います。
紀陸委員
実際に、例えば今年とか去年辺りの労使交渉の中で子育て支援の施策を我が社でどういうふうに充実させようか。結局、それは賃金問題などと絡む問題ですね。そうすると、そういう論議は既にいろいろな会社で起きている。去年、今年以上に来年とか再来年はそういうような労使の交渉の協議が広がってくるんじゃないかと思うんです。
 しかも、今いろいろな意味でさまざまなステイクホルダーに企業がちゃんとでき得る情報を開示しないと、というような状況になっているわけです。だから、そこはその会社とその関連するステイクホルダーの間で情報を発信していって、それが外に出るというのはいいけれども、そうではなくて何をやっているのか示してくださいとか、そういうのはちょっと変だろうと思えてならないんです。そういう社会というのは健全ではないのではないか。何となくすべてオープンとか、そういう筋ではないだろう。ワーク・ライフ・バランスというのは本来そういうものではないんだというところから出発するというのが仮に抜けていたら、全然違うなという感じがしてならないんです。
佐藤会長
今、局長から御説明があったように、手段について別に法改正をすると言っているわけではなくて、それも検討の中にはあり得ると思いますけれども、それは検討してくださいということですから。
 それからもう一つ、紀陸委員が言われたように、確かに企業が自主的にワーク・ライフ・バランスを推進するような状況になってきていることはあると思いますけれども、では放っておいて本当に進むのかというと、やはり実質的に進むことをサポートする仕組みをつくる必要もあるという判断もあるわけで、極端なことを言えば何もしなくて済むのであればこういう議論はしなくていいんです。
 でも、実際はそうじゃない。例えば、今度の認定を取っているところでも認定を取ったこと自体を公表しない企業は結構あるんです。
紀陸委員
いいんじゃないですか。
佐藤会長
公的に認定されているんですよ。それで公表しないというのは、普通に考えればおかしな話ですね。
紀陸委員
ワーク・ライフ・バランスをどういうふうに使うかということに関心があるところと、ないところがあるわけでしょう。それだけの話です。
佐藤会長
例えばそういうことです。でも、それはおかしいじゃないですか。だって、認定を取ること自体おかしいですよ。
紀陸委員
そんなことはないですよ。
佐藤会長
認定は、社会的に認めてくださいと言っているわけです。だけど、公表しませんという企業が結構あるわけです。今、紀陸委員が言われたように、自主的に進むということであればそういうことはないでしょう。
 もう一つは、ここでは求職者と言っているわけです。働く人たちがワーク・ライフ・バランスを実現しやすい会社はどこかという情報を得やすくしましょうということです。
紀陸委員
認定申請や認定マーク取得・公表の可否のいずれを選ぶかというのはまさに従業員と会社が考えることであって、認定を外に言おうが言うまいが自由ですよね。我が社は別にそんなことは当たり前にやっているので、そんなことをやっているなんて言わなくてもいいです。
佐藤会長
でも、先ほどのステイクホルダーといったときに、労働市場で働く人たちにも情報開示というのは一つの考え方ですから、それを何もしなくていいか、少し進めるかというのは議論する余地はあると思うんですけれども、紀陸委員は進めなくていいという話で、それは一つの考え方としてよくわかりますけれども。
勝間委員
今のお話に絡みまして、純粋に今までのやり方でうまくいかなかったので、できることはなるべくやっていこうという方がいいと思います。いわゆるプリンシパル・エージェント問題を考えますと、完全にいろいろなステイクスホルダーのコンフリクト・インタレストが出ているわけですから、それをはっきり指標という形で今回表そうとしたり、いろいろな改正をしようとしているわけですので、それを今までの市場原理だけに任せようというのを余り推進するのは、会長のおっしゃるとおりやや無責任な議論かと思います。
 あくまでも中立的なステイクスホルダーたちの指標がわかるようなものを、より開発してモニタリング機能を高めるという方向の話をもう少し強めるとわかりやすいかと思います。今回おっしゃっているディスクロージャーの話はあくまでもその一例にすぎないという理解なんですけれども、それでよろしいのでしょうか。
佐藤会長
そうだと思います。会議での意見は資料1の3つ目の丸のところの意見で、それを踏まえてそういう意味ではかなり幅広に書いていただいているということですので、紀陸委員のような御意見があるのも事実ですし、しかし他方でもっと公表を義務づけろという議論もあるので、その辺の両方がある面では入るような書きぶりにしていただいているということだと思います。
板東局長
ちょっと補足でございますけれども、今までいろいろな政府関係の会議で、例えば総合科学技術会議が昨年末に公表されている意見具申などにおいてもこの行動計画の公表の問題というのは取り上げておりまして、その他いろいろなところで今、公表をできる限り進めていくことは必要なんじゃないかということが提言をされているという状況でございます。
佐藤会長
ですから、紀陸委員の御質問で、ここの内容は法改正を考えているかと言えば、それを前提にして当然そうだということで書いているわけではない。ただし、見直しの検討はかなり幅広ですから、ここでの書き方は入っていないかと言えば入っている可能性もあるということだと思います。ですから、今度立ち上がるものには経営者団体の方とか労働組合などが入るようですので、そこで多分そういう議論も出てくるのではないかと思います。ほかにはいかがですか。
武石委員
ほかの議論でよろしいですか。ちょっと重複感があるかなと思ったのが12ページの最後なんですけれども、「どのような働き方をしても、公正に処遇され」ということと、最後の15ページの先ほどの法制度の見直しのところに処遇の均衡といったような話があって、15ページの方が多分法的な措置というかっちりした制度に言及している部分で、12ページはもう少し違うのかなと考えると、先ほど紀陸委員もおっしゃっていたんですけれども、主語がわかりにくいという気がしました。ですから、例えば12ページは今の法律の中で、より働き方の多様化を進めるということであれば、「企業が」とか、そういうふうに入れた方が15ページとの差別化ができるかと思いました。以上です。
佐藤会長
主語を入れるということですね。企業、組織、趣旨は現行のルールをきちんと適用して公正な働き方というようなことがわかるように前半はして、法改正どうこうの話ではないので、それは検討していただけますか。ほかにはいかがですか。
北浦委員
さっきの主語の議論なんですけれども、それとの関係で言うと1のところは社会基盤づくりという大きなタイトルですね。それで、前文を読むとかなり国の果たす役割が大きいとか、政府が主語になるような印象を与えて後が読めるんです。事実、大体そういうふうに読めるんですけれども、中には企業自身の取組を促している。それもある意味では社会規範の一つなのかもしれませんが、企業内の取組だけを促すようなものというのは本当はここの中なのか、もっと自主的な動きなのかということはありますが、これは書き方の問題なので取り分け申し上げません。
 いずれにしても、ここ全体としては政府全体がこういう社会基盤をつくっていく。そういった中において、企業自身の自主的な取組を促せることも大事であるというのが前文のところであって、その主語論のところについて、まずここは基盤づくりだ。しかし、基盤をつくるんだけれども、企業自身が自主的に取り組むという姿勢がないとこういう基盤が生きてこないというような趣旨を書いていただいて、ここはいわば法制度論というか、そういう枠組みづくりの議論をしているところなんだとしていただくと、先ほど言った企業の中でどうこうという議論はまたその枠組みづくりとしての議論があるわけですから、その中で解釈できるのかなという気がいたしました。これは感想までです。
佐藤会長
10ページの「取組の方向性」の1の2番目のパラグラフのところでは、全体として主語は何かということで中間報告で議論がありましたので、一応一括して書いてある。だから、企業の取組を後押しする。それは国や地方自治体や団体が連携してやるんだという書き方にはなっていますが。
北浦委員
もう少しアクセントをつけるとわかりやすいのではないかと思います。
佐藤会長
では、考えさせていただきます。ほかにはいかがですか。
勝間委員
この先のまとめ方の問題だと思うんですけれども、インターネット上で皆さんからいろいろいただいた御意見とか、その内容をぱっと見たときに思ったのが、やはり私たちは疎外要因をもう少しはっきり表した方がいいのかなという感覚を受けました。
 正規雇用と非正規雇用のバランスの問題であるとか、長時間労働の問題であるとか、最初の方に四角内で、例えば3ページ、4ページ、5ページ目に書いてはあるんですけれども、具体的に特にここ10年、20年で時間的経緯とともに何が悪化してきたことによってこのワーク・ライフ・バランスが崩れてしまったのかという問題提起が少しあいまいなまま結果のみが書かれているので、いろいろな意見などを見る限り、私たちの問題認識が甘いのではないかといったような意見が読み取れましたので、別に議論をしていないことはないのですが、そうした内容をもう少しクリアに示した方がわかりやすいかなという印象を受けております。
佐藤会長
具体的には。
勝間委員
例えば、図表の中ではいろいろ入っているんですけれども、長時間労働の問題とか、非正規雇用が増えている問題であるとか、あるいは少子化の問題、仕事優先との関わりの問題といったような形で、結局経済環境の変化と労働環境が悪くなったということについてもう少ししっかり言及をして、それを今、国としても企業としても食い止めようとしているという意思を示す必要があるかと思いました。
 インターネット上その他の意見を見ますと、結果だけを見てこんなことをしよう、こんなことをしようと言って、理想論みたいなものを語っているような印象の意見が多かったような気がするんです。
 ただ、その問題認識としてなぜワーク・ライフ・バランスが必要かというところにすっと飛んでしまうのですが、その前になぜワーク・ライフ・バランスが必要な状況になったかということをもう少しこれくらい意識しているということを言った方がいいのかなと思います。いわゆる問題の指摘の仕方の手法なんですけれども、その上でその指標の開発というところにつながってきて、だからその問題となっている指標をこのようにモニタリングするんだという話の中で、実際に企業も国の方の施策もこういうふうにモニターしていくというような枠組みの方がきれいかと思ったのですが。
佐藤会長
一応必要な背景は3ページからずっと書いてあるんですね。
勝間委員
書いてあるんですが、これは結果の方しか書いていないんです。ワーク・ライフ・バランスが整えられなくなった結果、どういうことになっているか。原因はなぜかということについてちりばめられてはいるんです。ただ、やはり正規雇用、非正規雇用の問題により、正規雇用の人たちはすごく厳しい働き方をしなければいけなくて、非正規雇用の人は低賃金に悩んでいる話であるとか、あるいは全体的に超過時間労働が増えてきている話みたいなものがもう少し明確に入った方がいいかなと。労働分配率の問題もここでは入っていませんけれども、継続的に上がってきて、最近ちょっと景気の回復で下がってきましたが、そういう背景の問題をちゃんと私たちが認識しているということをもう少し示すことができないかという印象を持っております。
池永調査課長
これは書き方が不十分だったのかもしれませんが、ここでデータ等で示しているのは、ワーク・ライフ・バランスの結果というよりはどちらかというとこういった現状があるからワーク・ライフ・バランスを意識的に進めていかなければならないという問題意識ということで書いたつもりです。
 ただ、なぜ長時間労働や非正規雇用が増えたかというのは大変重要な視点ではあるのですが、そうすると景気動向であるとか、多分働き方以外のさまざまな要因がかなりあり、それらに触れると報告書が膨大なものになってしまうのではないか、ということもあって、ここではワーク・ライフ・バランスにかなり直接的な部分である時間の状況であるとか、働き方ということに焦点を当てています。その働き方がどのような原因でそうなったかというとちょっと遠くなってしまって、かえってわかりにくくなるかなと事務方としては考えました。勝間委員の御意見ですとそこは長時間労働とか非正規の原因なども記述すべしということなのでしょうか。
勝間委員
私もそこは要らないかと思っていたのですが、やはり意見を見ますとそこの議論を飛ばして話に入ったことに対してややアレルギー感みたいなものが全体的にインターネット上の意見で見受けられたので、私たちはわかっているんですけれども、私たちがわかっているということがわかられていないので、それをもう一度、多少冗長になるかもしれませんが1ページでも2ページでも入れた方がいいかなと。
 別に膨大な資料を5ページ、10ページつけろというわけではないんですけれども、実際にそこの問題意識はそもそもどういう現状認識からきているかということで結果のみを示すのではなくて、なぜワーク・ライフ・バランスがとりにくくなったかという原因分析についてもわかってやっているということを示したいということです。
紀陸委員
別のところでよろしいですか。11ページの戦略2の「企業の取組を社会が評価し、一層の取組を促す」で、特に一番下のポツの「ワーク・ライフ・バランスの実現に理解ある投資家・取引先・消費者等による選択に資するため、様々な民間団体等により、企業・組織の評価・格付けが行われることが期待される」ですが、こういうのはちょっとひどいんじゃないかと思います。
 要するに、評価・格付けを行う場合には何らかの物差しが客観的にないといけないんでしょうし、そういうものをさまざまな民間団体で、あなたの会社はこうですよとか、そういうことは本当にいいんでしょうか。この「期待される」というのはどこが期待されるというんですか。ここの委員会が期待しているんですか。
勝間委員
私はこの専門なんですけれども、実際にアンケートの開発もしておりますし、具体的な指標は海外でも進んでおりまして、SRIの問題その他については本当に努力をしている会社が何社もありますので、それは是非適当にやっていないということをくみ取っていただければと思います。
長谷川総務課長
参考の2にも取組例を付けてございますけれども、民間団体の企業組織の評価・格付けの例として、参考2の2番目の上から2つ目のところですが、財団法人21世紀職業財団の取組ということでワーク・ライフ・バランス企業診断認証事業とか、そういったようなことも例示として挙げておりますが、こういうものが期待されるのではないかということです。
紀陸委員
自己診断をするとかというのは我々も主張していますので、それはいいんです。ところが、そうではなくて第三者が勝手にああだこうだと言われた場合の話をしているんです。
勝間委員
繰り返しになりますが、勝手にやっているわけではなくて指標も全部開発をして客観指標でやっておりますので。
長谷川総務課長
やってくださいというところに関してこういうものを……。
紀陸委員
ここは、そこが自分たちで正しいという判断で評価されるわけですね。
勝間委員
それは投資家のための情報提供その他として行われていますので。
紀陸委員
それはそうだけれども、そういう場合に会社の中身が本当にわかっている場合と、そうでない場合といろいろあるわけです。
勝間委員
でも、それは債権格付けでも全く同じで統計的確率論に基づいて行っておりますので、外部評価を否定するというのは問題があると思います。
紀陸委員
外部評価といっても、ある程度の合意性がなければ困りますね。
勝間委員
ですから、各社ともやっていると言っているじゃないですか。
紀陸委員
自分たちでやっていける会社が努力の結果、これは出していいですよとか、まさに努力していますよというのはもちろん許されます。まさに望んでいるCSRの世界はそうです。
 そうではなくて、私が言っているのは、こういうものが取組が遅れているところとか、容易にできないところについて外部的な揺さぶりをかけるようなものに使われはしないかということです。いい意味で、まさに利害関係者がその会社を理解するために資する開示だったら、それはノーとは言いません。そうじゃなくて、もっと違った形で使われる可能性が中にはあるだろう。しかも、これはさっき申し上げたように労使交渉に関わる問題だとか労使協議に関わる問題を内容的に含んでいますね。こういうものを簡単にぽっと書いて果たしていいのかという感じがしてならないんです。
佐藤会長
ただ、一般的に勝間委員が言われたように、SRIとか、既にそういうものが進んできていますし、それはいろいろなところがやっているわけです。企業としてそれが違うと言えばそれを言えばいいだけの話であって、利用者もそれぞれいろいろな評価を判断して使えばいいわけです。アメリカでも、グッドカンパニーの働きがいのある会社を『ビジネスウィーク』に載せていたり、日本でも日本能率協会が始めて『日経ビジネス』に載せるようになっていますけれども、そういうものが幾つも出てきて、それはそれぞれのNPO法人なりがやり始めているわけですから、それがいけないということはないのではないか。
紀陸委員
私が申し上げているのは、いろいろな団体・組織がいっぱい出てきていますよね。しかも、地域の中でさまざまな紛争などが増えてきて、特に個別的な紛争は先生も御承知のとおり相当多いわけです。そういうものに絡む問題というのはあるんです。そういういい意味の利用ではなくて、余りこういう場で言いたくもないですけれども、まさにマッチポンプ的なことで会社の中に入ってくるものは現実問題として結構多いんです。
 だから、そういうことは言わずもがなの話であって、あえてそういうものの評価・格付けをどんどんやりましょうという必要があるか。私の申し上げているのは、そういう意味です。
佐藤会長
企業が出さないからそういう団体が出てきて、出すところは積極的に出すし、出さないところは淘汰されていくということを進めようということですね。企業は出さないといけないと言っているわけではないです。
紀陸委員
その場合に、それを使おうとしている機関の意図とかがありますよね。そういうことで、そういう問題がトラブっている例というのは結構あるんです。
勝間委員
コンプライアンス・トラブルについては私たちの議論というよりは、これはあくまでも先ほどから申し上げているように利害関係者のコンフリクト・インタレストをディスクロージャーによって解決しましょうという議論をしているわけで、まさしくそこについても逆にコンプライアンス・マターについてディスクロージャーがはっきりしていればリーガルに持っていっても勝てるわけですから、そこであえて躊躇するのは逆に本末転倒かなという印象を正直言って受けてしまいますが、いかがでしょうか。
紀陸委員
それこそやっているところはやっているので、やっていないところがたくさん世の中にあるわけですね。そこのところをこれからどういうふうにしていこうかということが問題なので、その場合にそういうところを評価・格付けしましょうというようなことまであえて言う必要があるか。そういう趣旨で申し上げているんです。
勝間委員
やっていないところの動機づけをするためにこそ、やはり皆さんがそれを見ているということで株価と同じ話だと思いますので、CSR、SRIに関してはディスクロージャーをもう少し強化した方がいいという意思を示すことは私たちは必要だと思っております。
紀陸委員
この問題はそういう問題だけじゃないんですよ。
板東局長
先ほど総務課長の方からも御説明させていただきましたが、これはどういうような取組がグッドプラクティスとしてあるのかということを先ほど参考例でも示させていただいておりますけれども、例えば21世紀職業財団ではそういう診断指標の開発を今、検討していて、これを企業診断・認証事業としてスタートさせようとしております。そういったところは自発的に企業の方から診断を求めて認証してもらうというものでございますけれども、さっき勝間委員からお話がありましたように、もう既にいろいろなところで評価をし、格付けをし、投資に絡めてやっているところはあるわけでございます。社会全体としていろいろな観点からいろいろなところがこのワーク・ライフ・バランスの問題も企業を評価する重要な一つのポイント、指標であるということで認識をしていくことについて推奨していくこと自体は、皆さん御賛同いただけるのではないかと思います。
紀陸委員
それはそう思っていまして、それがだめだと言うのではなくて、自発的にやるということとか、そういうものに取り組むことが社会的にその会社の評価を高めることになるんだということでいいわけでして、そういう書きぶりならばいいんです。
 ところが、そうではなくて格付けはどんどんやってくださいとか、それこそさっきの次世代育成と同じで、どんどんこれはやらなきゃだめだ、あなたの企業は全然やっていないじゃないかとか、やらなければだめだとか、時短の対策は何もやっていないじゃないか、全然だめな会社だと、そういうことまで……。
 しかも、そういうところが実は圧倒的に多いわけですから、そこのところをこれからどういうふうにしていこうかという話をしている先で、これをやらなかったらだめになるんですよというところまで言うのがいろいろな普及促進のためのやり方として妥当かどうかという話だと私は思うんです。
板東局長
ただ、やり方の問題はここはほとんど触れていないかと思います。いろいろなやり方があり得るので。
紀陸委員
でも、13ページも11ページもまさにやり方の問題じゃないですか。
板東局長
11ページのところは、まさに民間団体などで、よりいろいろな取組が行われていくということが期待されるという言い方でございますし、その評価の仕方、格付けの仕方については、ここのところでは特定のやり方、方向を出しているというものではないと思います。
鹿嶋委員
かなり幅広に解釈できる文言じゃないかと思うんです。それで、既にファンドなどもSRI基準でいろいろやっているわけですから、もう一つ私はそういうもの以外に、例えば消費者というのはむしろ消費者運動みたいなものの中で独自基準を今から設けようなどということも出ているわけです。それだと、SRIとはまたちょっと違う視点というものがありますね。既にアメリカはそれがあるわけです。そういうもので幅広く解釈できるということで、この文言でいいんじゃないですか。
 そういうふうなことはこの冒頭に書いたようにインセンティブ付与という大きな要件があるので、そういうものがなければなかなかもうからない。ワーク・ライフ・バランスがもうかるということになればもう少し積極的に企業も腰を上げるので、その動機づけのためにこのくらいは、このくらいの文言を私は入れておいた方がいいんじゃないかと思います。
佐藤会長
見出しは「企業の取組を社会が評価し、一層の取組を促す」。これのやり方としてそう書かれている。ですから、進んでいるところはほめてあげましょう。先に出るところは先に出てもらってそれをほめてあげる。その仕組みを促すことが書いてあるわけですね。
 例えば、東洋経済がやっている女子学生のための就職四季報などもそうで、女性が仕事を継続しやすい企業を載せているわけです。あれが悪いのか、あれをやってはいけないか。ああいうことは私はすごくいいことだと思うんですけれども、そういうものを進めてもらえば、企業としてもやっていることが例えば学生さんにわかる。そういういろいろなものがあるわけですから、そういう取組はいいことだと思います。つまり、ワーク・ライフ・バランスの取組を社会的に進めていく上で進んでいるところを評価するいろいろなやり方が進むということは悪いことではないのではないかということだと思います。
紀陸委員
しかし、世の中にはいろいろな団体があって、いろいろなトラブルが現実に起こっているんです。さっき先生が言われたようなことはいわずもがなのことであって、さっき申し上げたように取り組まないと社会的な評価が企業としても得られにくいですよというようことを言っていくのは私どもとしてもやぶさかでないんです。でも、こういう機関としてどんどん民間のいろいろな団体がその企業を評価して格付けまでしていいですよということまで言う必要があるのかどうか。それによっていろいろな個別トラブルだって起こり得るし、起こる可能性もあると思うんです。
勝間委員
繰り返しになりますが、コンプライアンスの問題と評価制度の問題は切り離して考えるべきであって、正直言いましてそこまでの配慮はこの委員会では必要ないと思います。
紀陸委員
だけど、その限定がつかないでしょうから。
勝間委員
でも、コンプライアンスに配慮してそれは書きませんでしたとはここで書けませんよね。
紀陸委員
だから今、私が申し上げような書き方をすればいいわけです。さまざまな団体が格付けを一生懸命やりましょうということまで言う必要があるのかという意味です。
勝間委員
私はあると思っていますし、ほかの委員の方もあると言っているという意見で御理解いただければと思います。少なくとももちろんそういうプロスコンスは……。
紀陸委員
「さまざまな民間団体等」の中にいろいろな団体があるんです。いろいろな組織がある。
勝間委員
もしそこが引っ掛かるのでしたら、「さまざまな民間団体」という表現を変えればよろしいんじゃないですか。いわゆる企業に対していろいろな脅しをかけるような団体であるとか、いろいろなものがあるのは存じ上げておりますが、例えば女子大生就職手帳を書いたり、CSR相談を出したことによって、あるいは何かSRIの団体が格付けをしたことによって、それをネタに何か脅しをかけるとか訴訟をされる、あるいはクラスアクションを起こされるという事態は正直言って考えづらい。逆にもしそういう事態があったとしたら、実際にその問題解決をしてどうすればそれがなくなるかということを解決するのが趣旨であって、ここであくまでも格付けを政府が推進してはいけないということにはならないと思いますが、いかがでしょうか。
板東局長
ここで「さまざまな民間団体等」という表現にしましたのは、実は政府が一律に判断をして評価するというのはおかしいのではないか。あくまでもいろいろな角度からの評価があり得るだろうし、民間団体でも一つのところだけがやりなさいという話でもないだろう。多様な主体、多様なプレイヤーがここに参画していくことは当然あり得るのではないかということで「さまざまな民間団体等」という形になっております。
紀陸委員
個別の労働紛争が今でも起こっておりますし、これから審判員の制度ができたら逆に増えてくるんです。働く女性の割合が増えてくるとか、さまざまな問題が逆に起こり得る可能性があるわけです。そういうものを煽ることになりはしないか。そういう可能性が全くないのであればということでしょうけれども、もしあるんだったら、要するに書きぶりを変えてくれというだけの話です。
板東局長
実は、経済財政諮問会議の分科会の方でもその評価や格付けの推進という話が書いてありますので、多少表現は違うかと思いますけれども、既に政府の他の会議などでも提言されているので、これが非常に突出した意味合いで理解をされる、あるいは危険性を持っているというのではないと思うのですが。
紀陸委員
私の申し上げているのは、そんなに一生懸命格付けをしなさい、しなさいと言わなくてもやっているところは自然にするだろうからいいでしょうという趣旨です。
佐藤会長
「行われることが期待される」という書き方ですから、どんどん格付けをしろと言っているわけではなくて実際上そういうものがあるのはいいことじゃないですかと言っているだけの話なんです。
板東局長
むしろ逆にもっと積極的に書けという御意見もあったことはあったんですけれども。
北浦委員
ここは、「民間団体」というのを取ってはだめなんですか。抜いてしまうとまずいんですか。
池永調査課長
今、局長が申しましたように、やはり行政による画一的なものというのを避けたいと思ったものですから、「団体」というところをもし気にされるのであれば、「民間を主体に多様な視点から」とかという形はいかがでしょうか。
佐藤会長
さっきの話は、全部主語を落としてしまうと何だかわからなくなってくるということもあったわけですね。日本では行政が格付けとか認証をやっていたんです。ほかの国を見ればいろいろな民間の団体がやるのが普通で、国が画一的にやる方が問題じゃないかという議論をずっとしてきたわけですね。民間のいろいろな角度からの評価の仕方が出てきて、その中で働く人とか、消費者の方とか、いろいろな多様な評価をというのは大事な方向だと思います。そういう意味では、民間団体をというのはそんなに違和感はないと思うんですけれども。
北浦委員
民間を主体にというのはそのとおりで、おっしゃったとおりだと思います。多分、民間団体というのはこの文章の中で1つしか使われていないので、それの解釈が難しい。しかも、やっているのが団体だけではなくて党の中の企業も結構やっているわけですね。ですから、民間企業も業としてやる場合もある。そういうものを含めると、何か民間団体という言い方にやや違和感がある。
佐藤会長
その辺は検討させていただきます。
 先ほど、働きやすい会社はアメリカのグッドカンパニーと提携して、あれは日本能率協会がやっていますが、企業ですね。企業が手を挙げてお金を払って認証してもらうというような仕組みで、エントリーする企業は結構多いみたいですから、それも一つの認証で、働きやすさの中にはワーク・ライフ・バランスも入っています。ですから、そういう意味では民間企業もありますので、そういうことが入るような形ですね。
 そうすると、13ページの紀陸委員が言われたところも、ここは少し幅がありますので、それがわかるような形を考えさせていただきます。
 ほかは大体よろしいですか。
武石委員
今の議論を聞いていて、13ページの先ほどの次世代法を入れている位置が求職者に対する企業等の提供でかなり限定的なんですが、こういうことを公表していくことは別に求職者ではなくていろいろな人、今のSRIにも関係していくと思いますし、消費者からも見えるという意味ではここの位置が余りにも限定し過ぎていないかという気がしたんですけれども、いかがでしょうか。
板東局長
これも、入れ場所に困っているところだと思うのですが。
佐藤会長
11ページの方に入れるかどうかという議論があったことはあったんですね。どうですか。広目でというと11ページのさっきのところに移す。
勝間委員
表と裏ですから、両方あってもいいんじゃないかと思います。企業や国が提供して、それを消費者や雇用者が見るという話ですので、提供と利用という面において。○板東局長 御説明を補足させていただきたいと思います。紀陸委員の先ほどからの開示の問題なんですが、実は規制改革会議の関係で6月22日に閣議決定されている3か年計画がございます。規制改革推進のための3か年計画ですが、この中に一般事業主行動計画の情報開示の問題も盛り込まれておりまして、これについての文言を読ませていただきますと、「各事業主に対して原則として一般事業主行動計画の開示を求めることや、都道府県労働局に行った届出について、その記載事項のうち一般への開示が有意義と考えられるものについて労働局がその届出内容を開示することなどにより、一般事業主行動計画の内容について広く国民が知り得る制度に見直すことを検討する」ということがございまして、「平成19年度中に結論を出して逐次措置をする」ということで、「などにより」ということではございますが、かなり具体的な例示も挙げながら、少なくともこれは検討をし、措置をしろという話になっております。
 それに比べますと、この13ページの表現はむしろ弱いくらいではないかと思うんですが。
佐藤会長
場所的には11ページに動かす方がいいかもわかりませんので、それも含めて検討させていただいてよろしいですか。
 では、どうぞ。
大沢委員
15ページに「関連する法制度等の柔軟な見直し」というところが付け加えられていますが、これをもう少し最終的には拡充する方向を検討した方がいいかと思います。と申しますのは、このワーク・ライフ・バランスというのは主に正社員の働き方を見直すという観点で議論されてきましたが、そこだけで働き方がよくなったとしても、正社員の数が減ってしまってむしろ非正社員が増えてしまうような形になってしまうとインパクトというのは非常に少なくなって、国民全体としてこういった取組のメリットを享受するという形にならないと思うんです。
 育児休業制度の問題にいたしましても、育児休業に対しては効果があったとする研究がありますが、結果として正社員のみの制度でありましたので、そのメリットを受けた人というのは非常に限られていたということなんです。もし同じことが起きてしまうと、やはり出生率ということも非常に重要なここでの配慮になると思いますが、そこに対してもインパクトがないということにもなりかねない。そしてまた、勝間委員の最初の御指摘の、なぜ30代の男性の正社員の労働強化が起きたかというところでも、やはり正社員の採用が減ったということが非常に大きな要因になっているわけですね。
 ですから、ワーク・ライフ・バランスというのは2つの側面があって、1つは働き方がもう少し効率よくなるという目的と、もう一つは要員構成が適切であるか。十分に正社員がいてうまく仕事を割り振られていくかという点で、要員構成の問題というのはこの報告書の中で余り意識して取り上げられていないと思うんです。
 そういう点から言って、それをすべてに書き加えるというのではなくて、そういうことが起きた一つの原因として、やはり税制度、社会保障制度の問題というのは無視できないのではないかと考えております。そういう点から、この柔軟な見直しというところはもう少し非正規、正規との間の処遇の格差ということを意識して今後制度が変わる必要があるということを書くのはいかがでしょうかという意見でございます。
佐藤会長
具体的内容は議論していないので、やはり働き方にある面では中立的な税とか社会保障にするというようなことを入れる方が、働き方は密接に関係するというところを今までは男女共同参画会議の基本計画等に書かれているような書き方でもやっていたと思います。
大沢委員
そうですね。影響調査でかなり提言が出ているので、その部分をここに入れるという程度で十分だと思いますが、御検討いただけたらと思います。
佐藤会長
それでは、大体よろしいですか。
鹿嶋委員
1つだけ、2ページのポイント2の網かけの文章がいまひとつなんです。大したことではないんですが、「仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など様々な活動について、人生の段階に応じてバランスの形は変わり得る」というのは論文みたいなんです。これは「仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など様々な活動間のバランスの形は、人生の段階に応じて変わり得る」とした方がいいんじゃないか。
佐藤会長
「人生の段階に応じて」を後ろに持ってくるということですね。引っくり返すと。
鹿嶋委員
そうですね。「様々な活動間のバランスの形は、人生の段階に応じて変わり得る」と、その方がすっとくるかもしれません。
佐藤会長
それでは、まだ十分議論していないところもあるかもわかりませんが、御意見を踏まえて再度修正案といいますか、最終報告の案をつくっていただきますので、それを皆様にお送りして御意見をいただく形にしたいと思います。その後、調整は事務局と私の方でさせていただくという形でよろしいでしょうか。もう一度見ていただく機会がありますので、よろしくお願いいたします。
 それで、これは参考で本体ではありませんけれども、参考の2が後ろにくっ付くんですか。報告書に入るんですか。
池永調査課長
入ります。中間報告にも各種資料を付けていたのですが、それに更に追加的にこういうものも加えますということで一度お目通しをということでお配りしました。○佐藤会長 では、その段階でまた修文の御確認をいただければと思います。紀陸委員の言われることも、そういう意見があるのはよくわかりますので、それはそれで少し検討させていただきます。
 それでは、最初に紀陸委員からもこの後、ほかにいろいろ政府での検討が始まる中でこの調査会はどういうふうに検討するのかということがありましたので、今後の調査検討方針について事務局から御説明いただいて御意見を伺えればと思います。よろしくお願いします。
池永調査課長
それでは、資料4以降になります。
 まず資料4をごらんください。これは経済財政改革の方針、いわゆる骨太方針のワーク・ライフ・バランスの関連部分でございます。この中に、諮問会議の労働市場改革専門調査会第1次報告、当専門調査会の中間報告、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略会議中間報告が相次いで公表されたのを受けまして、政府として、この「具体的手段」というところの真ん中辺に書いてございますが、平成19年内を目途にワーク・ライフ・バランス憲章と行動指針を策定するといった旨が盛り込まれています。この基本方針については、6月19日に閣議決定されています。
 そして、以下の内容を含めた行動指針を策定すると書いてありますが、その中にはワーク・ライフ・バランス社会の実現度を把握するための指標の在り方といった当専門調査会の提案も盛り込まれております。
 こういった政府全体の方針を受けまして、専門調査会の今後の調査検討方針について御議論いただくための資料を作成いたしましたのが資料5でございます。当面の方針といたしまして、2つ掲げております。
 まず1としまして、「ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の在り方について」というものがあります。この指標についてはまたこの後、更に詳しく御説明をしますが、相当技術的な議論とか作業を必要とされますので、佐藤会長の御指導を仰ぎながら、本専門調査会の委員の一部の方にも御参加いただき、またその他、研究者の方に参加いただく作業グループなるものでまず御検討いただき、整理したものを本専門調査会で御議論いただくようにしたいと存じます。
 本専門調査会で取りまとめていただいたものは、今後憲章や行動指針に反映するようにしたいと思います。この後、またスケジュールもお示ししますが、こちらがまずかなり時間的にすぐというものでございます。
 2番目に挙げておりますのは「企業・組織にとってのメリットやコストの考え方について」です。これは、企業等がワーク・ライフ・バランスに取り組むメリット、コストについての考え方や、代表的な例を整理して、企業等がワーク・ライフ・バランスのメリットを認識するのに役立つような具体的な材料を提供していただければありがたいと思っております。
 「例えば」とございますが、小室委員が発表された際に、企業が採用や人材育成にせっかく投資をしたので、それはやめないでもらった方が得だとか、そういったことを企業に示すとワーク・ライフ・バランスへの取組が進むといったような御説明がございました。そこで、ワーク・ライフ・バランスに取り組むのに必要なコスト、取り組まない際に生じるコストなどについて考え方を整理したり、企業の状況に詳しい有識者や協力企業から情報をいただきながら、代表的な例を整理して企業にとってのメリットというものを検討したらいかがかということをお示ししております。
 続いて、資料6をご覧下さい。これは、今後のスケジュール案でございます。報告書につきましては、本日の議論を踏まえまして7月中を目途に取りまとめて公表させていただければと思っております。
 指標については、作業グループで最初にもんでいただいてと申し上げましたが、早速7月から検討をお願いしまして11月までの間に数回御検討いただき、専門調査会ではそちらの作業グループからの報告を受けて、9月から11月にかけて1、2回御検討をいただくということでいかがでございましょうか。
 それで、指標の在り方の取りまとめですが、これはワーク・ライフ・バランス憲章や行動指針策定の動きをにらみながらではございますが、11月上旬を目途に取りまとめの議論をいただき、その後、憲章、行動指針といったものへの反映につなげていきたいと思っております。これは、まず現段階の目安ということでお示しをさせていただいております。
 続きまして、資料7をご覧下さい。ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標ということで、今後作業グループで御検討いただいたらどうかと申し上げましたが、それに先立ちまして大きな考え方について事務局でたたき台のメモを作成しましたので、本日御意見をいただければと思います。
 まずワーク・ライフ・バランス社会実現度指標の「目的」ということですが、さまざまな視点から指標を整理し、時系列的な推移を見ることにより実現度を測り、課題を把握するとしております。
 「実現度を測る目安について」でございますが、報告書における考え方を反映する形で「1 仕事・働き方」、「2 家庭生活」、「3 地域活動」、「4 自己啓発や趣味・娯楽等」、「5 健康・休養」、こういった分野に設定したらどうかと書いてございます。これはあくまでも国全体というか、全体的な指標なのかと思っていますが、全体の指標から見えてこない課題というものもあると思いますので、そのためには特定の業種であるとか、企業規模等に着目した状況把握に努めるといったこともこれから出てくるのではないかと思います。
 次に実現度で、どうしたら実現していると見るかといったことです。
 働き方につきましては、多様で柔軟かつ過重な負担とならない働き方ということです。また、それ以外の活動につきましては、これまで仕事に押されぎみだったということがございますので、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発等については現状よりも充実するといったことで実現度が高まるということがひとつ考えられるかと書いてございます。
 なお、時系列的に進捗度を見ていくと最初に申し上げましたけれども、指標につきましては既に数値目標などがあるものもございます。また、個人の希望といったものに関する指標もあります。既にそういうメルクマール的なものがあるものについてはできる限り採り入れていくのがよろしいのではないかと考えられます。また、今ある数値目標がそれで十分なのかという数値目標の在り方についても検討していただくこともあり得るかと思います。
 続きまして、仮に5つの分野ということで置いておりますけれども、5つの分野について考え方を示してございます。
 まず「仕事・働き方」のところでは、多様、柔軟、過重な負担とならない働き方が実現しているか。そのための取組が進んでいるか。そういう考え方で指標を見ていくということがございます。
 「家庭生活」につきましては、充実した家庭生活が送られているのか。そのための支援は進んでいるかということが考えられます。
 「地域活動」につきましては、自ら希望するバランスで地域活動に参加する時間が確保できているかとか、多様な人材が参加しているのか、そのための支援は進んでいるかというようなことが考えられます。
 「自己啓発や趣味・娯楽等」につきましては、自ら希望するバランスで自己啓発等を行う時間が確保できているか。そのための支援は進んでいるかといったことが考えられます。「健康・休養」では、働き方との関係で心身ともに健康に過ごせているか。そのための支援が進んでいるかということを挙げております。
 それで、指標ということなのですが、参考にお示ししておりますのは、少子化と男女共同参画の専門調査会でまとめていただきました国内分析に関する社会環境指標と、国民生活局の方でまとめました国民生活選好度調査です。個人の生活や社会に関する指標として、イメージにつながる先行のものとして、このようなものがあるということでお示ししておりますので、御議論の参考にしていただければと思います。
 とりあえず事務局からは以上です。
佐藤会長
御説明いただきましたように資料の5ですね。1つはワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標を検討せよということです。それで、今回のワーク・ライフ・バランスの基本的方向が確定すればですけれども、先ほど鹿嶋委員からも発言がありましたように、「取組の方向性」の1が「ワーク・ライフ・バランス実現に向けた社会基盤づくり」で、この社会基盤ですね。ワーク・ライフ・バランスを実現できる社会基盤、日本社会全体として社会基盤ができる方向に動いているかどうか、改善してきているかどうかを測定するような指標をつくって、政府、自治体、個々の企業がいろいろ取り組んでいただくわけで、その成果が出てきているかどうかということをモニターできるようなものを開発しようということです。
 イメージとしては、お手元にカラー刷りのものがあると思います。もちろんこの内容は違いますけれども、ワーク・ライフ・バランス実現度の幾つかの次元を設定して12ページにレーダーチャートがありますが、例えばこれが5年ごとに見てどう変わってきているか。どこが遅れているかというようなことが領域ごとにわかるようなものを少し開発できないか。それで、国なり自治体として、ここは割合うまくいっているけれども、ここは遅れているということがあれば、それをいろいろな施策に反映しよう。そんなものをイメージしています。その考え方について、御意見なり御質問を伺えればと思います。どうぞ。
岡島委員
資料4に閣議決定がございまして、そこに就業率向上や労働時間短縮などの数値目標というものと、それからここで御説明がありました社会の実現度を把握するための指標の在り方とありますが、その両者の関係がどうなるのかということをまず1つお伺したいと思います。
 2つ目が、資料7の参考3で御説明いただいたことなんですけれども、これは基本的にはマクロ統計とか、あるはアンケート調査とか、そういう形で把握されたものだと思います。個別の企業とか、そういう調査ではなくて、これは既存の統計調査などがあると思うんですけれども、そういうもので取れるデータを用いるのか、あるいはまた別途いろいろなデータを取っていくことになるのかということを教えていただければと思います。
佐藤会長
まず後半の方は、基本的にこれは時系列ということですから単年度調査では困るので、これは検討ですけれども、ある程度公的な統計で時系列を取るものから、直接欲しいデータが取れなくてもそれに近いようなものを取っていくということをやらざるを得ないかと考えています。今後については、足りない部分はこういう調査が必要だというようなことをどこかに書くということはあり得ると思いますが、時系列で取ろうとするとやはり既存のものを活用せざるを得ないかと思っています。
 では、前半の方をお願いします。数値目標と今回の関係ですね。
池永調査課長
今後の憲章や行動指針の中で数値目標がどのような形になるか今のところは未定でございますけれども、この専門調査会の指標との関係でいいますと、そのような数値目標が議論されていく中で、こちらの指標のメルクマールとしてふさわしいものについては、むしろその数値目標を採り入れていくことがあり得ると思います。逆にこちらから御提案することもあり得ると思います。すなわち、指標のメルクマールとして数値目標というものを積極的に採り入れ、またこちらとしても提案していくという形になるのではないかと思います。
佐藤会長
数値目標を入れる部分もあるかもしれない。あるいは、こちらから向こうにこういうものを入れたらということもあると思うんですが、それは今後の議論ということで、労働市場改革専門調査会に出した労働時間短縮は、たしかパートタイマーを入れて全体ではなくて、いわゆる常用労働者の時間短縮というものを目標にしているんですけれども、今回我々はどういうふうに考えていくかということは作業委員会で検討していただくことになると思います。
 ほかにはいかがでしょうか。
川島委員
「自ら希望するバランスで」という言葉がどうしても気になってしようがないんです。
 例えば、この全体の考え方にもなるんですけれども、自分は1日に18時間働きたいんだ。家庭も関係ない。地域など関わりたくないという人が18時間働いた場合、それはワーク・ライフ・バランスがとれていると考えるのか。極論ですけれども、そこのところがすごく気になります。結局、これまでの全体の流れの中でも社会がどうする、企業がどうするというディスカッションがされてきて、それに対してどう評価するか。でも、一番の根本は個人がどう考えるかというところで、個人の生活に不干渉という立場はわかるんですけれども、そこをどうも迂回し過ぎていて、今回のこれからの指標の考え方でも自分がよければそれでいいという指標を取るのかというところは是非討議いただきたい。
 それと絡むと、先ほどの中間報告でもどうしていくかということの後半部分で社会がどうするか、企業がどうするかという提案はなされていたけれども、では個人がどう考えるかという提案が一切なされていないというのも、実は触れたくないところだろうと思ってはいるのですが、触れなければ一番いけない点を皆さんで迂回している気がします。
 そういう中で、今回どういう指標をとるかということで、自ら希望するバランスというところをばしばしと強調されている心はいかにということを是非問いたいと思います。
佐藤会長
どうしましょうか。私の個人的な意見としては、私は18時間働くということを悪いとは思っていない。ただし、そのことが例えばカップルで見たときのワーク・ライフ・バランスにマイナスがあるという場合はもちろんあるわけです。そこは考えていくところはあると思うんですけれども、私は基本的には個人が希望するかどうかが問題です。
 ただし、今、問題になっているのは特定の働き方しか認められないような状況が問題で、そこは変えていこうということなんです。その結果、本人が希望するものとが乖離していない。18時間働きたいという人は私はゼロだとは言いませんけれども、データ的に見ると長いのを短くしたい人が多いわけです。ですから、そこは希望と現実との乖離といったときには短くしたい人が大多数で、もちろん今の長さでいいという人はゼロだとは言いません。ですから、それを否定するわけではない。ただ、今、長く働いていて短くしたい人が実現できないところは変えていこうというのが私の考え方です。
川島委員
全体の考え方がそうだというのはわかるんですけれども、例えば私たち大学人として考えると、ワーク・ライフ・バランスをとれ、家庭や地域に関われと言われと逆にストレスになる人たちが大半なんですね。先生もそうだと思うんですけれども。
 そこで、全体を考えたときに自ら希望するバランスというところをどういうふうに具体的に考えるのか。個人がよければいいんだということが本当に中心なのか。先ほどおっしゃられた家庭の中のバランス、社会の中のバランス、実質的には社会をどう実現するかという話をしている。社会の実現から考えたら、労働をしている方々が地域と関わらないと大きなマイナスだというのは当然書かれている。でも、そこに触れようしていないわけです。
 そこら辺は、企業なり社会なりを改善しながら労働時間を短縮するところは具体的に目に見えて常に手がつけやすいというロジックはすごくよくわかるんですけれども、本質から逃げていいのかという気がちょっとしたのでこういう意見を申し上げました。
小室委員
今のことに追加してというか、確かに希望するバランスというところに関しては意図はすごくよくわかっているんですけれども、希望する基準になるときに知識として、自分が長時間労働をするとどういうことになるかを知らなくて長時間を希望している人が結構多い。特に学生にも多いわけですけれども、そのままベンチャーで若手で働いている方たちだったりすると、自分の生活の行く末を知らずに、気付いたらうつ病という方がとても多いんです。
 そこの部分で、自分の行く先、長時間労働の行く先には家庭がどんなふうになるかとか、自分自身の健康がどうなるかということを情報発信してあげることは、少なくとも正しい希望が持てる。自分で正しい選択をするための知識が足りないというところは大分あるかと思って、知識が十分にある人はちゃんと希望するんだと思うんですけれども、その前段階の人においての情報発信ということが報告書の方では確かに若干薄いかとは思うんですけれども、この指標づくりのところで何かそういう意識が高まるような指標をつくっていくのはいいような気がします。
佐藤会長
その辺はこの報告書の方でも13ページに「ワーク・ライフ・バランスに関する啓発・情報提供の指針」というものは書かせていただいています。地域活動などをすることによって個人も変わっていくと思うんです。しかし、その人にこうするべきだということは書けないだろうということで、私は変わっていくための情報提供はすべきだと思います。
鹿嶋委員
今の川島委員の発言を聞いていると、確かに誤解を招くことはあり得ますね。2ページにまた戻るけれども、ポイントの2は「自ら希望する「バランス」を決めることができる」とあるわけでしょう。だとすれば、仕事18時間、家庭生活4時間でもバランスだと思えばそれでいいというのが許されるかという話になってきますね。そうではない、それはアンバランスなのだということを気付かせるということも非常に大事なんだけれども、「自ら希望するバランス」というと、そうした曲解は出てこないですか。ワーク・ライフ・バランスというのは、そういう生活が非常にアブノーマルなんだということを気付かせるという側面が私はあると思うんです。
佐藤会長
ただ、ワーク・ライフ・バランスの幅が広いのも事実なんですね。一方で、これが唯一望ましいワーク・ライフ・バランスであるという話ではないんです。
 確かに極端な例がいいかと言えば、普通はそれでうまくいくケースがゼロではなくてあり得ると言われている。ある段階ですよ。いつもそうするのはあり得ないと思うけれども、ある段階でそういうときが……。
 一方で、人材活用からある時期、非常に仕事に打ち込む時期があるのは悪いことかと言われると、私は結構大事だと思うんです。
鹿嶋委員
ただ、これは基本的には私は男性の働き方へのメッセージだと思っているんです。だから、そこで自らの希望するバランス、今まで通りの働き方がいいんだという是認であれば、それはやはり問題だと思うんです。さっき言った川島委員の仕事十数時間というのはそういう部分も多少入っているのかなと思うと、そこで何かちょっとした歯止めはかけておく必要があるのかもしれないですね。
勝間委員
代替指標になると思うんですが、カラーの方の17ページに統計データがありまして、少なくとも男性においても2.3%とか2.8%の人しかそういう働き方はしたくないと書いてあるように読めるので、そこを過度に心配するよりはそこは統計上の取り方で、後でセグメンテーションできるようにして、できれば経年変化も取れるようにして、そういう人たちが後々後悔しているかどうかとか、そんなことまで取ればいいデータ指標になるかと思います。
北浦委員
実現度指標ということで言うと、先ほど川島委員の言われたような考え方でいくと、個人によってワーク・ライフ・バランスの価値概念が違う。こうなると、実現というのは一体何だということで分解しちゃうわけですね。
 そういった意味で言うとなかなかこの指標はつくりにくいだろうと思うんですけれども、ここで出てきているのはいろいろな人たちがいるけれども、いろいろな選択をするということが前提になっているわけですから、その選択が可能な環境ができているかということをまず聞く。
 そういった意味では制度整備なのか、制度の利用なのかというのは微妙なところがあって、まずは制度整備の状況あるいは環境が整っているということが基本なのかなという感じがちょっとしたんです。かといって、では制度の利用が要らないのかというと、育休の取得がほとんどないというのはほかの要因で妨げられるものもあるわけですから、利用状況も取らないといけないんですが、基本的にはいろいろな考えの方がいるという人に対しては制度の整備をとるということで、環境が整っているかというところが実現度なんだというふうに解釈すれば、そこはいろいろな考え方とも矛盾はしないんだろうと思います。なおかつ制度の利用状況のどこまでとり得るかというのはこれからの議論かという感じがします。
佐藤会長
今回は社会全体としてのワーク・ライフ・バランス実現度で、個人からするともちろん極端なケースの、私は今までの男性の働き方がいいなどというつもりはないんですけれども、意識啓発もそういうことをやっていくことはあると思うんですが、いろいろな選択がある。それで、結果として積み上げたとき、労働時間も短くなればいいのか。ある水準まではあると思うんです。やはり週60時間の人が3割も4割もいるというのは異常だと思います。ですから、この指標のつくり方というのは結構難しいかと思っています。
鹿嶋委員
ただ、誤解なきように言っておきますが、個人が希望するバランスという前提は崩してはだめだと思います。夫婦が希望するバランスというのは極論をすれば、お父さんは働いてお母さんは家を守るということも含まれます。そうした夫婦内の固定的な性別役割分担をワーク・ライフ・バランスは志向するのではない、個人が希望するバランスなのですよ、ということが大前提としてあるということは大事だと思います。
佐藤会長
ただ、そこは何も変えなくていいんだということだと困るということで、それはちょっと考えながらやらせていただきます。川島委員が言われることはよくわかります。
 確かに非常に難しいので、17ページのように希望と現実のギャップみたいなものがなくなる。ただ、こういうものが既存の統計で時系列で取れるかというのもなかなか難しいところがあって、その辺も検討したいと思います。
 ですから、今回時間があればですけれども、今後こういうデータも必要だということも少し中で議論があればメモをしてどこか最後の方に書ければとは思っています。しかし、実際上は既存のものでやらざるを得ないところが大きいですので。
 ほかにはいかがでしょうか。
勝間委員
そこを確認したいんですけれども、既存のものを利用した上で足りないものは生活時間調査であるとか、国民生活選好度調査において追加していただけるという理解だったんですが、それは難しいのでしょうか。
佐藤会長
国の統計、指定統計というのはなかなかすぐ変えるとか増やすというのは難しいので、こういうものが必要だということは書けるとは思いますが、すぐ実現するかどうかというのは結構手続が難しい。
 ただ、重要性を指摘することは大事だと思います。いかがでしょうか。
鹿嶋委員
この指標の利用者となると、どの辺を想定しているんですか。自治体ですか。これは個人が利用してもなかなか難しい問題でしょう。
佐藤会長
まずは政府ですか。
板東局長
そうですね。政府としてその実現度を見て、政府の施策その他を含めてそれとの関係でどう考えるかというのが1つあると思いますし、それぞれの自治体もある意味ではこれから地域のワーク・ライフ・バランス推進ということに取り組んでいく。それぞれ参考にしながらいろいろな指標をつくられたり、そして施策をどう組み合わせていくかということかと考えております。
佐藤会長
今回は日本社会全体というものをつくります。それができれば、自治体によっては自分のところの都道府県単位でつくるというものも出てくるかもわかりませんね。それは波及効果はあるかなと思っています。
 ただ、当面、日本社会全体として企業の取組が結構進んでいるとか、地域の取組等々がわかるような情報を出していくというのに当面は使うということになると思います。
板東局長
確かに目標というのも設定はされるんですけれども、目標は恐らくそんなにたくさん数値目標を掲げるということも難しいと思いますので、それ以外にもワーク・ライフ・バランス度の指標を開発してその状況を見ていくということにより、施策に反映していくという方法も重要なのではないかと思います。
小室委員
こういったものは国際的なものではあるんでしょうか。日本と比較できるようなものというのは、ダイレクトに同じというのは無理だと思うんですけれども、どういうものがあるのでしょうか。
佐藤会長
ほかの先生方、いかがですか。私が知る限り、ワーク・ライフ・バランスの企業向けのものは幾つかありますけれども、社会全体としてというのは子育て支援とかはOECDがつくっていて、そういうものはありますけれども、ワーク・ライフ・バランスというふうに言っているのは……。
武石委員
私も具体的には知らないんですけれども、国際指標をやっていたときに事務局の方がドイツにあるとおっしゃっていたような……。
大沢委員
去年、そう言えば国際会議で言っていましたね。ドイツでやって、結果はかなり生産性が上がったといういい結果が出た。だけど、全部ドイツ語で書いてあるのでと聞いて、それでコンタクトが途絶えたんですが、韓国で開かれた国際会議ですが、多分プログラムを見てみればコンタクトをとることは可能かと思います。
佐藤会長
一部重なるようなものはOECDなどもつくっていますので、ほかの国の情報を少し集めてみるようにしましょう。
 ほかにはいかがでしょうか。大体よろしいですか。
 そうすると、この専門調査会の後半は、作業委員会を設定してそこで議論していただいたものを先ほどのスケジュールだとここに挙げていただいて、また御意見を伺ってというようなことになると思います。あとは、前半でやりました中間報告のもう一度修正版をお送りしますので御意見を伺うということにして御確認いただければと思います。
 では、事務局から連絡事項があればよろしくお願いします。
池永調査課長
ただいま佐藤先生から言っていただきましたように、今日また修正いたしまして、一度皆様にお送りして更に意見をいただきます。その後、佐藤会長と御相談をして7月中には取りまとめ、公表ということにさせていただきたいと思います。
 本日の資料の取扱いですが、資料1から資料7は公表でございまして、報告書(案)はまだ途中段階でございますし、参考につきましては非公表ということでお願いをしたいと思います。 あとは、お手元に先ほどから何回か触れていただいたのですが、少子化と男女共同参画に関する専門調査会の成果をまとめたパンフレットをお配りしておりますので御利用いただければと思います。また、御要望がございましたら事務局に言っていただければ送らせていただきます。
 今後の日程でございますけれども、9月から11月ということでかなり立て込んでまいりますので、お配りした予定というか、紙があると思いますので、大変申し訳ないのですが、この場で書いていただいても結構ですし、19日、来週の木曜日ぐらいまでにファックス等でお送りいただければありがたく思います。
 どうも今日はありがとうございました。
佐藤会長
今、御説明がありましたが、これは前の専門調査会の3つの報告書をまとめて杉山さんが一生懸命つくっていたもので非常にわかりやすくなっていますので、是非いろいろなところで御利用いただければと思います。
 それでは、特にワーク・ライフ・バランスの基本方向についての修正版の御確認、追加意見があればまた出していただければと思います。
 それでは、どうもありがとうございました。またよろしくお願いいたします。

以上