仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会(第6回)議事録

  • 日時: 平成19年5月16日(水) 10:00~12:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室

(出席委員)

佐藤
会長
植本
委員
岡島
委員
鹿嶋
委員
勝間
委員
上手
委員
紀陸
委員
小室
委員
杉山
委員
永木
委員
羽入
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 基本的方向についての中間報告(案)について
  3. 意見交換
  4. その他
  5. 閉会

(配布資料)

第2回専門調査会議事録

佐藤会長
それでは、少し時間も過ぎましたので、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」に関する専門調査会の第6回会合を始めさせていただきます。お忙しい中、ご出席いただき、ありがとうございます。
 お手元の議事次第に従いまして、本日の審議を進めさせていただきます。本日は、前回、御議論いただきましたこの調査会の中間報告(案)、再度、前回の専門調査会の議論を踏まえて事務局で整理していただいていますので、それについて御説明いただいた後、また、御意見を伺うことにしたいと思います。よろしくお願いします。
池永調査課長
資料1-1をご覧下さい。前回の御議論を踏まえて修正したものでございます。主な修正について網かけをしていますので、その部分を御説明させていただきます。
 まず1ページをごらんください。目次でございます。構成につきましては、「2」の「取組の方向性」で、原案と「1」と「2」の順序を逆にして「社会基盤づくり」を先にして「企業・組織のマネジメント改革」を後にいたしました。
 次、2ページをごらんください。
 「はじめに」でございますが、2番目のパラグラフで、原案は、個人の希望と現実の乖離といったものを専ら述べていたのですが、前回の御議論でパラダイムシフトであるとか、これまでの働き方がサステイナブルでないといった御意見がございましたので、この2パラでは、個人の問題に限らず、時代の大きな流れの中でこれまでの働き方のままでは、個人、企業・組織、ひいては社会全体に対して様々なゆがみが生じて、それぞれが持続可能でなくなるといった趣旨の文章に修正をいたしました。
 さらに、男女共同参画とワーク・ライフ・バランスに関してですが、原案では観念的な記述だったのですけれども、修正案では、4パラで、男女共同参画会議におけるこれまでの検討の経緯、すなわち少子化と男女共同参画に関する調査・検討においてワーク・ライフ・バランスが重要であるといったことを示しまして、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)専門調査会でさらに調査・検討が進められたといったことが書かれております。
 前回の御議論で、ワークやライフのとらえ方をどうするのかとか、ワーク・ライフ・バランスというのが大変幅広い概念だということですので、本専門調査会での守備範囲だとかアプローチを明らかにすべきではないかという御意見がございましたので、最後のパラで、佐藤会長からのこれまでの御発言にもありましたように「現状として職業生活上の制約がワーク・ライフ・バランスの妨げとなっていることが多いとの認識から、まず最初に、企業・組織における働き方を軸を検討を進めた」というアプローチを明記いたしました。続きまして3ページをごらんください。
 ポイント1で、ワーク・ライフ・バランスは、前は全ての人のためのものと書いてあったのを「あらゆる人」、ほとんど変わらないのですけれども、すべからくというよりは様々な人といったようなニュアンスに少しはできたのかなと思っております。「老若男女」という言葉につきましても、確かに違和感を感じられた委員もいらっしゃったのですが、子育て世代に限らず様々な世代の人々ということを言うためということで、一応まだ残してございます。
 様々な活動の例につきまして、原案では頑張る感じの活動が多かったのですけれども、リラックスするものとか、健康関連といったものを御指摘を踏まえて入れております。
 ポイント3では、より文言を補ったということと、原案では仕事と仕事以外の生活が相乗効果というようなことを言っていたのですけれども、ポイント3では「好循環」と言っておりますので、あまり様々な表現で印象が分散するのもどうかと思いまして、ここは「好循環」という言葉で統一をしております。
 続きまして、4ページをごらんください。
 ここでは、最初のパラで、委員からの御指摘がございましたように、これまでの働き方のままでは個人も社会も企業もサステイナブルでないといった趣旨の、持続可能なものではなくなるといったことを追加をしております。
 下の方で、男性希望に反して仕事中心になる、優先と書いてあったのを「中心」としたのですけれども、その中で、既婚男性に焦点が当たっているということだったのですけれども、前回、委員から、未婚から結婚への移行が難しいといった御指摘がございましたので、独身男女のワーク・ライフ・バランスについてもここの場所に追加してございまして、併せて関連図表も追加してございます。
 続きまして、5ページをごらんください。
 前回の御意見を踏まえまして、家庭責任というところにつきまして、「男女がともに担うものであるが」ということを追加してございます。続きまして、6ページをごらんください。
 ここの健康の問題のところで、「不慮の事故や疾病」というところでドライな記述だという御意見がございましたので、そこを改めさせていただきました。
 続きまして、7ページをごらんください。
 生産性の低下で、前は日本経済の衰退となっていたのですが、若干大げさな感じもしますので、「活力」というふうに変えました。また、前回の御意見を踏まえまして、「日本の労働生産性が現状として高くない」といったことを記述いたしまして、併せて追加のデータも入れました。
 7ページから8ページにかけましては、少子化の深刻化と地域社会の希薄化というのが1つになっていたのをそれぞれ分けて書きました。さらに8ページのところで、少子化のところにつきましては、少子化と男女共同参画に関する専門調査会で検討してきたという内容もございますので、その関連の図表を追加してございます。
 (3)の「個々の企業・組織にとっての必要性」のところですが、前回のときには、企業にとって、原案だとあまり必要性が感じられないという御指摘がございましたので、ここのところは少し膨らませてございます。ここは必要性ということで、「ワーク・ライフ・バランスの推進によって、個人の様々な希望や必要性(ニーズ)に対応した就業環境を提供するとともに、意欲や満足度を高めることが、優秀な人材の確保・定着にとって極めて重要となる。」ということを書いてございます。
 また、(3)のところも、明日への投資というところよりは「人材確保が死活問題」と書いてございます。
 そこで、「個人の様々な希望や必要性に対応」というところなのですが、ここで従業員の人生の各段階において、ニーズへの対応や意欲、満足度、向上が求められるという旨を記述しております。すなわちますます貴重になる若年層のニーズの尊重であるとか、子育て世代の両立の必要性、介護を担う世代への対応。また、これにつきましては、原案では労働力不足のところで介護の必要な人が増えるというようなことを書いてあったのですけれども、ここは企業・組織のところに移しました。
 それとあと高齢者につきましても、人生の各段階ということで高齢期のことも書いてございまして、高齢者の能力の活用における無理なく働ける環境の提供ということもニーズということでここに書いてございます。
 それに伴いまして、関連データも、大学院・院生の意識であるとか、ライフステージ別の「短時間正社員」に対する希望などのデータを追加してございます。
 続きまして、9ページでございますが、ここは原案では、主としてワーク・ライフ・バランスの企業にとってのメリットというような内容を、そこをワーク・ライフ・バランスの取組が企業に与える影響というような形で書いていたのですけれども、修正案では、こういったメリットと関連づけて、ワーク・ライフ・バランスが「明日への投資」であり、経営戦略として重要な柱というように明記をしておきたいと思います。
 その具体的なメリットの内容なのですけれども、最初の「・」で、委員からも御指摘もございましたように、せっかく育てた人がやめてしまうのは損といったような趣旨のことをつけ加えてございます。
 続きまして、中小企業ということで、原案では、その後に、行政機関にとってのワーク・ライフ・バランスという記述があったのですけれども、企業・組織にとっての必要性というところで、行政機関を特に特記する意味がないのではないかということになりまして、修正案では落としております。
 9ページから10ページにかけて「ワーク・ライフ・バランス推進による目指す社会の姿」ということですが、原案に比べて記述を簡潔にしてございます。ここでの内容は、一人ひとりが能力を十分発揮し、豊かさを実感できる社会、企業・組織が生産性を高めて活力に満ちた社会といった柱としてはそういうことを言っています。また、こうした社会の姿がバラ色ばかりではないというニュアンスを込めまして、2行目のところで、「一人ひとりが、職場、家庭(子育て、介護を含む)、地域社会での責任を果たしながら」という記述を入れております。
 ここの最後のところで、「ワーク・ライフ・バランスの推進が、多様性を尊重した活力ある社会を目指す」、まとめてそのように言っております。
 この多様性を尊重した活力ある社会というのは、表紙に今副題みたいな形で仮置きで置いてございますけれども、本日はどういった副題をつけるかについてもぜひ御議論をお願いしたいと思います。
 続きまして「2 取組の方向性」です。
 先ほど申し上げましたように、順番として、最初に「社会基盤づくり」という順番になっております。冒頭、ワーク・ライフ・バランスの実現に当たって重要なのは、多様で柔軟な働き方と支援体制というふうにしています。
 ここで意義、重要性等について、社会全体の共通理解を形成するための枠組みを構築するとともに、企業の取組を後押しし、個人の選択に対する支援体制が必要ということで、4つの戦略という流れにつなげております。
 戦略1の中の<ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標の開発>とございますけれども、これは1つのわかりやすいキーワード的なものとして、ここでは「ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標」といった言い方を打ち出してございます。
 続きまして、11ページをごらんください。
 産学連携のところなのですが、原案では、経営学をはじめとする多様な学問領域を始めとするといったようなことを書いてあったのですけれども、この辺の書き方をもう少し全体的にシンプルにいたしました。また、研究拠点を設けるといった何かハード的な印象ではなくて「研究拠点の形成」といった、必ずしもハードというよりはソフトも含めたより広い言い方にしております。
 飛びまして、13ページをごらんください。
 原案では、ワーク・ライフ・バランスに関する教育と言っていたのですけれども、「教育」という表現は押しつけがましいし、よろしくないといった御意見ございましたので、「啓発・情報提供」と改めてございます。
 また、男性に関しても、「育児休業等の関連制度の理解」といったような内容をつけ加えてございます。
 下の地域の活動のところにつきましては、情報提供に加えて、「働く男女が参加しやすい時間帯の活動を行う」といったような点を追加してございます。
 14ページをごらんください。イノベーションでございますが、原案では、時間場所の制約を克服するといった修飾がついていたのですが、時間場所の制約の克服ということになると、後で企業のところで出てくるマネジメントの区別がつきにくくなるという御意見がございましたので、「ワーク・ライフ・バランスに関連するイノベーション」と直してございます。
 また、新たな技術やサービスの開発や利活用といったイノベーションということをより表現するような内容を入れてございます。
 <テレワーク>のところでは、原案では場所や時間的制約を持つ者とあったのですけれども、それに限らずテレワークによって多様な選択を持つようになるといった御意見ございましたので、「起業・再チャレンジ機会」といった表現を入れてございます。
 またe-ラーニングにつきましては定義が狭いのではないかという御意見ございましたので、<情報通信技術〔ICT〕を活用した学習等>としてございます。
 それで、イノベーションのところですが、ワーク・ライフ・バランスに関するイノベーションというものが、どのような新しい技術やサービスがあるのか、また、ICTの活用によって、どのようなサービスが可能になるのかとか、そのために、誰がどのような取組をすべきかいったところはイメージが乏しいところがございますので、もし委員の皆様のそれに関する御意見がありましたらぜひいただきたいと思います。
 15ページでございます。(関連する法制度の柔軟な見直し)というところでは、原案では法制度の例示ということで、次世代育成支援対策促進法や育児・介護休業法が入っていたのですけれども、子育て支援・育児支援が重点との印象を与えるという御意見がございましたので、この例示としての法律の名前は落としてあります。
 続きまして、2の「マネジメント改革」のところですが、まず、ワーク・ライフ・バランスが企業自身にとって重要であるということと、社会全体として推進していく上で企業・組織の取組が重要なカギであり、その役割は大きいのだといったことを最初に明記をしてございます。
 次のパラでは、ワーク・ライフ・バランスの推進に当たって、多様な取組方法があるということ。資料でもお配りしておりますように、資料1-3で、「ワーク・ライフ・バランスに取組む企業におけるマネジメントの工夫の例」、こういった既に先進的に取り組んでいる企業でマネジメントの工夫の例というのが見られております。単に制度を導入するというだけではなくて、十分にうまく機能させるためのマネジメント改革を推進していることが、こうした事例からもわかるといったようなことを言っております。
 そのマネジメント改革というのは、具体的には「時間管理」改革「人材活用」改革、「組織の在り方」改革と言っております。
 15ページから16ページにかけて1から3で、それぞれの改革について書かれているのですが、これは、これをすべからくというよりは、改革の例といった整理の書き方をしてございます。
 16ページをごらんください。ここは(経営者・管理職の意識改革)ですが、原案では、経営者と管理職を分けずにいっぺんに書いてありましたが、ここでは経営者はどうだ、管理職はどうだというふうに分けて書いてございます。経営者については、「意識や取組姿勢の重要性」ということを言っておりますし、管理職につきましては、管理職の姿勢が重要だということと、それは本人の意識のみならず、ワーク・ライフ・バランスを管理職がちゃんと実践しているかということが管理職のマネジメント能力評価においても、積極的に評価されることが重要ではないということを言っております。
 原案ではPDCAサイクルだとか、行政機関の率先垂範ということで書いていたのですけれども、この修正案では、その辺のところを「マネジメント改革の着実な推進」ということで1つにまとめてございます。行政機関についても、原案では、柔軟な働き方の試行を行うなど、モデルを示すべきというようなことが書かれていたのですけれども、より現実的な表現といたしまして、「大企業や行政機関は、けん引役として率先してワーク・ライフ・バランスに取り組んでいくことが期待される」というような言い方になっております。
 また、「おわりに」では、「ワーク・ライフ・バランス憲章や」や「働き方を推進する行動指針」といったものについて、前回、原案でちょっとおさまりが悪いということもございましたので、この「おわりに」のところで、それに触れております。
 主な修正点については、以上でございます。
佐藤会長
どうもありがとうございました。前回の議論と、その後もメール等で御意見いただいた委員の方もいらっしゃるのですけれども、骨子を生かしながら、当然必要な修正意見を盛り込むというふうなことでお願いしました。
 一番大きな変化は、1ページの目次にありますけれども、「取組の方向性」、これは紀陸委員の方からありまして、まず「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた社会基盤づくり」を全体として書いて、その中に、今回は働き方の見直し、特に制度だけではなくて、マネジメント改革も必要だということで2をその後に持ってくる。ただ、2のところも、今御説明ありましたように、こういう取組があることを例として紹介するというような形にしてあります。
 それともう一つ、「はじめに」のところで、なぜワーク・ライフ・バランスを取り上げるのか。特に男女共同参画会議の中で取り上げるかということを、この前の専門調査会での議論を踏まえて、その中で必然的に出てきたということがわかるように書かせていただいています。
 本日は、細かいところも含めて御意見を伺いたいと思いますので、1つのまとまりごとに御意見を伺って、最後に全体の構成と確認と、あと副題をつけるならばどうするかということについて御意見伺えればと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、まず「はじめに」のところについていかがでしょうか。ここでは、なぜワーク・ライフ・バランスを議論する必要があるのかということと、それとこれまでの経緯ですね。特に今回は企業・組織の働き方をなぜここで取り上げたのかということをわかるように書いたというふうになっています。
永木委員
追加いただいて、すごくわかりやすくなって、なぜ重要なのかというところが伝わってくるイントロになったと思います。もともとあった言葉ですが、他がよくなったので、この言葉が目立ってきたと思うのですが、第3パラグラフの一番最後に「この言葉が用いられ取組が始まりつつある。」とあるのですが、「言葉が用いられ」というのは少し消極的というか、「議論され」とか「検討され」とかにした方が前向きかなと思いました。
佐藤会長
わかりました。
紀陸委員
一番最後の方の順序を入れ替えて大分直していただきました。ただ「はじめに」の4行目、「長時間労働や柔軟性に乏しい就業環境などにより……心身ともに疲弊する状況が見られる」というのは、長時間労働の問題の指摘であり、これを是正すればすべてハッピーになるのかとか、そういう予断を持たれやすいですよね。ここまで暗く、現状認識をとらえる必要があるのか。
 私ども、これも後ほど申し上げたいと思いますが、この問題は、個々人が本当に希望する社会が実現できれば本当にハッピーかというと、そうではないと思うんですね。これはあくまで「仕事と生活の調和」ですから、まさに仕事の場、自分の生活の場をどうやって調和させるかというのが非常に実は大変なチャレンジが要るわけですね。そこで企業と個人が出てくるという、そういう流れになるのだというふうに思うのですけれども、自分がいろんな仕事の面でも生活の様々な面でも願望が満たされれば、それがハッピーか。実はそんな甘い状況ではないと思うんですね。いろんな形でもって様々に調和をとれるような努力を個人がしないと、あるいは企業も社会も全体として、それをしないとこれは実現できないのだと。そのために何をこれでねらうのだというメッセージが非常に大事だと思うので、これはそこにとどめるべきだと思うんですよ。
 様々に個人のニーズが違いますし、会社のニーズも違うわけでありますが、そういうことにチャレンジしていこうではないかというところなんでしょうけれども、いきなり長時間労働とか、こういうことが悪いので「心身ともに疲弊する状況が見られる」、これは問題の現状認識としてあまりにも暗くて、かつ偏りが甚だしいのではないでしょうか。
勝間委員
そこが私は逆に反論でして、もちろん書き方はもう少しモデレートした方がいいかもしれませんが、まさしくここを削ると骨抜きになってしまうと思います。いろんな指標ですとか、すべての統計がこれが問題だということを示唆しているのに、そこをあえて「調和」という言葉でごまかすのはよくないと思います。ですので、私はぜひこれは残していただきたいと思います。
佐藤会長
全員がそうだと言っているわけではなくて、少なくともいろんなデータ見ても、週60時間以上の人をとると明らかに、みんな短くしたいというのが8割ぐらいですし、いろんな問題が出ているのは間違いないので、ただ、全員だとは言い切りませんけれども、ちょっとその辺、表現は考えさせていただきます。特に「疲弊」のところ、それは全員だといえばそれは間違いだと思います。
紀陸委員
いろんなステージで長時間労働があり得るというのは、これは個人の能力を上げる場合には必須で不可欠でして、それがいけないというのはちょっと。
佐藤会長
いや、そういうふうなことを言っているわけではないですけれども。
紀陸委員
そう受けとめられかねないと言っている。
勝間委員
もう一度確認させてください。私、長時間労働を実際していて、すごい疲弊した人間の一人なので、そこをごまかさないでほしいですね、ある意味。若年層は能力アップのために長時間労働が必要だというメッセージを出さないでほしいんですよ。それを私たちがしたくてやっているのだったらいいんですけれども、したくなくてもやらされていましたので、そこはぜひしっかりとしたスタンスをとりたいと思っています。
紀陸委員
だからやらされるというところが問題で、受験勉強だってそうですよね。ある程度、一時期やらなきゃ、自分のレベルというのは上げようがないじゃないですか。ただ、自主的にやるのか主体的にやるのか、そこを押しつけでやらされるのか、その辺によって全然個人の意欲とか疲れ度合いとか違うじゃないですか。そういう状況を説明するかという話だと思うんですね。
小室委員
非常に、私、ここで重要だなと思うのは、個人が疲弊することは企業のリスクであるということが入るのが重要だなと思っていまして、個人が疲れて、その集約として企業が健全に成り立っていくわけはないので、それが一言入れば、個人が被害を受けているだけではなくて、それは日本経済にとって大きなリスクを抱えているということが入れば、双方にとってのリスクになるのかなというふうに思います。
杉山委員
それに関連してなんですけれども、長時間労働で一番しわ寄せを受けているのは家庭と地域社会なわけで、家庭とか地域社会が成り立たないで、長時間労働とか仕事だけが元気になるわけがなくて、そこの調和が一番大事な問題で、ずっと気になっていたのですけれども、自分のやりたいようにやるという調和をみんながやっていくときに、誰かが誰かの犠牲になるようなことがあってはならないし、それは自分では主体的にやっているつもりなんだけれども、実は見えない圧力のようなものとか、枠組みの中でそう思わされている事実みたいなこともないとはいえないので、バラ色のところにも多分かかってくると思うのですが、誰かの犠牲の上で自分のバランスが成り立っているというありようはよくないということはちょっと付記していただけたらなと思います。
佐藤会長
長時間労働のところは、確かに残業するのはいけないということではなくて、基本的に定時で終えるような仕事の仕方をしても、もちろんどうしてもやらなければいけないときは残業やるというのは当然あるわけですし、ですから、それがいけないというわけではなくて、ある一定層の人たちに、恒常的に長時間残業が長く続くのは望ましいわけないということです。
植本委員
多分ここの入り口の概念整理のところがすっといけば、全体いくのだと思うんです。そういう意味で、前回も申し上げた労働のあり方みたいなものが共通認識になっているというところが大事だと思って、前回「ディーセント・ワーク」という言葉を申し上げましたけど、本当に人間らしい働き方をする。そして、それが保障されるという、そういうものがあることが、逆に長時間働いた場合に自発的に長時間に結果としてなる場合もあるかもしれませんけど、通常は人間らしい労働といった場合には、働いている場と生活をしている場とのバランスがちゃんととれるということが裏打ちされているから人間らしく働けるというところがあると思うので、入り口のところにそういうことになっていないということ。
 それは制度の問題でもあるだろうし、個人の意識の問題でもあるだろうし、企業の問題でもあるという、そのことが地域への影響も含めて与えているのだみたいなところが、多分入り口のところで、どういう姿勢で議論しているかということが大事だと思うので、そういうものがしっかりと入っている必要あるのではないかと思います。
佐藤会長
では、2パラ目の書き方、紀陸委員の御趣旨も……
植本委員
ごめんなさい。そういう意味で、「これまでの働き方・働かせ方を放置したままでは」へつながるのだと思うので、そこのところでお願いしたい。
紀陸委員
今までのはやり方は全部だめで、放置するというのは何か変でありません?
杉山委員
放置してなかったんですか。
紀陸委員
放置というのは、これがすべてあってね……。
杉山委員
努力があったのだと、それはちゃんと書いた方がいいと思うのですけど。
紀陸委員
今までのがすべて悪でというのも何か。
植本委員
むしろ「放置」という言葉は、言葉としてということでいえば、これまでの働き方・働かせ方を進めていくのではだめだと、それを今までどおり進めていくということではだめだということだと思うんですね。だから働き方・働かせ方の見直しが必要だと言った方がすっと入りやすいかもしれないと思います。
紀陸委員
見直しが必要なんですね。
佐藤会長
上の長時間労働のところの疲弊の書き方もちょっと調整させていただきます。よろしいですか。
紀陸委員
それから、2ページの一番下のところですけれども、墨がかかっているけど、「本専門調査会では、現状として職業生活上の制約がワーク・ライフ・バランスの妨げとなっている……」というのがありますね。
佐藤会長
制約のところですか。
紀陸委員
そうではなくて、職業生活が、これは働き方・働かせ方ということになるのでしょうけれども、私どもワーク・ライフ・バランスというのは、個人の生き方、働き方、個人の問題と企業の問題と両方あるわけですね。個人だって、まさに自分の意識改革が足らない部分というのはあるわけですね。「職業生活上の制約」というのは。恐らくイメージとしては、あまねく長時間労働ということをイメージされているのでしょうけれども、もっと広げたこの言葉を使うことによって、これがワーク・ライフ・バランスの妨げになっているのか、本当にそうなのかですよね。
佐藤会長
その要因だけではないけど、それが多いという結果は大体出ているんじゃないですか。
紀陸委員
だから、企業・組織における働き方、軸を検討する、そういうことになるのかなという感じなんですよね。大体日本人は、まさに自立的に働こうというところが非常に弱いじゃないですか。みんな、どういう仕事が適任か、わかりませんよね、何がいいか。そこで戸惑っているというような状況があって、何の仕事かわからないけど、まず入ってみる。それでいろいろやってみる。気にくわないからやめる人がいっぱい多いとか、自立・自助とかというのが乏しい中で、企業の方だけ変えてくれという、そんなトーンになるのは、そこが偏りがあると我々は申し上げているんですよ。
勝間委員
済みません、紀陸先生の言われることは非常によくわかるんですけれども、ただ、必要以上に現状を美化することは必要ないと思っております。
紀陸委員
美化じゃなくて、全然美化してない。
勝間委員
必要以上に企業に責任を押しつける必要はないと思いますが、ただ、各種統計分析調査が、企業の中でこういう問題があるということが出ておりますので、それを、こういういいところもあるのだからといって、下手にメッセージをやわらげるよりは、事実に基づいてしっかりとした議論をする方が望ましいと思いますし……
紀陸委員
統計というのはどういう選択肢をつくって質問するかによって全然出て来ることが違ってくるんですね。統計上こうなってというのはいろんな分析が必要だと思うんですよ。統計の解釈、そもそも選択肢をどういうふうに設けるかから論議しなければいけない話でありましてね。
勝間委員
それを言い出すとこの議論終わってしまいますので、とりあえずある統計をもとにお話をつくる場合にはこのメッセージを出したいと。
紀陸委員
我々企業が責任があいまいだなんて、全然そういうことは言いません。このまま放っておくと個人の負荷が高まる、家庭責任が重くなる、だから今両方でこういうことにチャレンジしましょうというのが私ども本当に思っているメッセージですから、決して企業責任がないとか、個人の問題だけですと言うつもりはありません。だけど、軸足は両方にあるということだけは、そこを本当にスタートの点にしないと、恐らく企業の人は、これ、何?と言いますよ。特に大多数の中小事業所の人たちはこの問題の意味すらよくわかってない、失礼ですけど、そういう言い方はいけないのかもしれませんけれども、そういう状況ですから、見ただけでノーだといったら、普及しようとか、理解を深めようとかという意図が達成できないじゃないですか。多くの人たちに理解してもらうためには、どういうメッセージがいいか、私は大事だと思っているんですよね。
小室委員
私、多くの企業をコンサルティングさせていただいていて非常に感じるのが、この問題について、紀陸先生のおっしゃっているように、企業も既に深刻に受けとめていると。その上で、企業に対して何か行動を求めるという形ではなくて、企業が取り組むときにどうしたらいいのかという、どういった方向に行ったらいいのかという軸は非常にほしかっていると思うんですね。ですので、ここの書き方としては、個人の妨げになっている部分があるので個人も見直すというのと、企業に必要な情報提起をするのであるとか、あくまで企業がこれに取り組めるためのサポート、せっかくやろうとしているのだけれども、方向性が、おっしゃるように、どの企業さんもわからなくて模索をしているので、そのための、何て言ったらいいのでしょう、企業も困っているので助けるのだというような視点が入っていけばいいのかなと。
 逆に企業さんの方は、こういう情報が入ってきて、どうするべきだと言ってもらわないと困るような状況に今あるのだと思いますので、そういった意味だというところが入っていけばいいのかなと思います。非常に向かう方向は一緒なのに……。
佐藤会長
ここでは、もちろん個人の自己管理みたいなことは触れていますから、両方変わらなければいけない。2ページの下のところは、確かに「現状として職業生活上の制約」という言葉はおかしいので、上の方からいえば、「現状の働き方・働かせ方が」と直す方がはっきりすると思います。それもちょっと検討させていただきます。
 3ページの1、考え方のところはいかがですか。
植本委員
ここの会議で議論することの意義みたいなところが入り口であったと思うので、最初の(ワーク・ライフ・バランスとは何か)というところで、先ほど老若男女というのが文の途中のところは変わっているんですけど、ここは1つ検討いただきたいと思います。結論のところで、「多様性に富んだ活力ある」、ここに「男女共同参画社会を創出する」という言葉が一言入っているのが入り口のところとしては必要なのではないかなと思うんですが、そうではないのでしょうか。目指すべき社会の、創出する社会の基盤のところで……。
佐藤会長
ここに入れるということね。
植本委員
ええ、この「社会」の前に「男女共同参画」という言葉が入っていて、それでその後、「あらゆる方々」とか、男性も女性もというところにつながっていくのではないかと思うんです。
佐藤会長
その辺いかがですか、ここで言うかどうかですね。
鹿嶋委員
私はこれは言わなくてもいいと思うけど、全体として男女共同参画社会というニュアンスがにじみ出ていれば、これは定義の部分なので、だから、そこで限定しちゃうのがいいかどうかとなると、このままでいいような気もするんですね。ただ、これ、10ページと比べるとこの定義自体が非常に軽いんですね。むしろ10ページの上の段で見るような定義の方がむしろしっかりしていてね。
植本委員
最後の3行のところで、また、同じ表現として出てきますね。
鹿嶋委員
1つは「自らが希望する活動ができる状態であり」というところに、例えば、「自らが希望する活動に調和のとれた形でかかわることができる」とか、何かそういう言葉が入った方がいいんじゃないか。時間配分が一番ぴったり来るのだと思うんですが、時間配分だと、例の1992年の「生活大国構想」というのはみんな時間配分で書いていますから、あれと似ちゃうので、「調和のとれた形でかかわることができる」というふうにした方がいいような気もするのですけれども。
佐藤会長
初めはもともとそうなっていたのだけれども、私、落とすように言ったのはなぜかというと、そこに「調和」という言葉を入れちゃうと、みんなそれぞれ何かやるというようなイメージになるんですよね。だから、希望する活動やれば、結果としてそれはバランスがとれる。
鹿嶋委員
ただ、ワーク・ライフ・バランスの定義として引用される確率が一番高いので、バランスのニュアンスを入れるとすれば、「調和」が入った方がいいような気もするんですけれども、それは最終的には事務局に任せますが。
佐藤会長
自分が希望するような活動ができていればいいので、「調和」と入れちゃうと、それぞれ何か、私だけなのかもわからないですけど、仕事はこのぐらい、これもやらなきゃみたいな、バランスだ、特に入れるちゃうと。というようなニュアンスがあったので、ある人は、ある時期はこれがなくてもいいわけですね。ゼロでも、極端なこといえば。
鹿嶋委員
だからアンバランスな状態なんでしょう。例えば仕事偏重とか、家庭へこもりっきりとか、だから、そういうことを何とかして、お互いいろんな希望があるわけだから、となってくると「調和」は必要じゃないですか、どうですか。
勝間委員
ポイント3にある「好循環」みたいなポイントが、ポイント1と2についてはよく含まれていると思うんですが、ポイント3が含まれてないので、何か「好循環」に近い言葉を定義上に入れたらどうでしょうか。
佐藤会長
それは多分後ろの方の活力のというところなんだろう。本人にとっての好循環みたいなのね。
勝間委員
本人にとっても社会にとっても好循環という形で。
紀陸委員
これは前回申し上げた仕事と生活のバランスですよね。バランスというのは、個人が希望する形で活動ができる状態なのか。個人の目からバランスを見るのか、私は違うのではないか。要するに個人が希望する社会が実現、仕事の場でも生活の場でもそれで満足できるのか、それがワーク・ライフ・バランスというのか、別にそれはワーク・ライフ・バランスでも何でもなくて、個人がいろんな面で自己実現ができる社会というだけの話であって、もっとこれは深刻の話だと思うんですよ。だって、個人というのはお金がなければ生活できないので、お金をどこで得るか。仕事をしているわけですね。仕事をして自己実現をする。そうすると仕事と全然かかわりなくて生きている人は自分でやってくれという話ですよね。多くの人たちが組織の中に入って、企業という組織なり、NPOなりいろんな組織がある。全体と個の問題のコンフリクトが後ろにあるわけですよ。
 そういうことがなくて、自分が希望する状態をいうのか、ちょっと違うんじゃないかという感じがするんですね。すごい後ろにいろんな大きな問題があって、それを通して、個人がという認識が出ていればいいけれども、これ、ただ、並列的に、仕事、家庭、地域、個人て並べて、様々な分野で自ら希望する活動ができる、それをワーク・ライフ・バランスというのか。恐らくいろんな人たちがこの定義を見た場合、感じることなんじゃないでしょうか。別にそれはワーク・ライフ・バランスでも何でもないんじゃないの。あらゆる場で自己実現ができる状態、言いかえれば、そういうことですよね。問題は仕事とそれ以外の部分で、仕事というのは組織の中で会社の中でやることですから。
佐藤会長
多分今までも自己実現できるというときに、かなり重なっていると思うんです。それは自己実現するために、時間配分が重要になってきたんです。だから言い方が変わったと言ってもいいかもわからない。それが大事になってきた。それぞれ仕事だけ見て自己実現考えるときに、あるいは地域、家庭生活で自己実現考えたときに、時間配分上制約があるということが大事になってきた、認識が変わったんですよ。だから違うことだとは言いませんけれども、世の中の認識が変わった。
紀陸委員
3ページ目の下から4行目にあります「仕事以外の活動に割く時間が増えることで」、そういうことによってハッピーになるような書き方していますけれども、時間の長短じゃないんですよ。
勝間委員
実際に、私たち若年層はハッピーになるんですよ、それで、やりたいと思っているんです。それはもう……
紀陸委員
だから、そこはその会社の中でやればいいじゃないですか。
勝間委員
それを会社で許さないので、それを何とか仕組みも含めて、私たちがハッピーになることは、会社側の実績にも、これからのサステイナブルにもつながりますよということを言いたいわけです。
紀陸委員
世の中、一律に長時間労働全部規制かけてこれをやめましょうと。
佐藤会長
そんなことないですよ。長時間残業できる人しか受け入れられない働き方を変えましょうと言っているわけなんですよ。
紀陸委員
何を直したらいいかという答えは、その会社の中で労使が話し合って解決するよりないじゃないですか。
佐藤会長
そのことですよ、書いてあることは、基本的には。
紀陸委員
例えば、典型的に有給休暇取得、有給休暇取得というのは、休んでお金を得られる仕組みですよね。休んでお金を得られるというのはその会社がお金を出すだけのゆとりがなければだめですよね。生産性向上を達成している企業じゃないと、実は有給休暇の取得は確かに法律では義務になっているけれども、会社として与えられる義務の履行ができないですよね。ゆとりのある会社じゃないと。休んでもいいけど、お金は払えない企業はいっぱいあるわけですね。現実はそういう話ですよ。有給休暇とってくださいという場合には、会社として休暇をとらせて、しかも休んだ時間に見合ったお金を払えるだけの力がないと実はその権利は保障されないですね。
 両方に、個人にとっては権利、会社にとっては義務、両方一緒に果たせるだけの生産性がないとだめなわけです。それは裏に隠れていて、わかった上で言わないだけの話かもしれない。
佐藤会長
そういうよう取組をしようと、それができるような取組を変えていくということですから、別に言っていることはそんなに違うとは思わないですけど。
羽入委員
これは定義ですので、ここでどういうスタンスになるかということを考えたときに、今の書き方というのは、個人から発しているということがあると思うんですね。私はこういう取りまとめ方針というか、これで個人から発したメッセージを送るというのは非常に重要なことだと考えます。ただ、今議論になっているのは、恐らくそのときに社会あるいは企業というものが、個人から発したメッセージにおいてどういう位置づけにあるかということが不明確ではないかと思います。
 前半は個人から書いているんですけれども、後半、「多様性に富んだ活力ある社会」というところで、突然「社会」が出てくるのですね。ここのアンバランスがちょっと理解に苦しむところがあるのかもしれないという気がします。この書き方の出発点として、これで私はいいと思います。ただ、「多様性に富んだ活力ある社会」としか言っていませんので、この形容が少し軽いと思うんですね。この辺のバランスをとればいいのではないか、つまり個人と社会のバランスをとった形というのがここで我々が言いたいことなのだということがわかるような表現にするのがいいのではないかと思います。
 もう一つですけれども、「自らが希望する活動」というのは非常にあやふやな表現で、希望するというのは知らないうちに希望させられているということが先ほどの議論からもありましたように、むしろ自立的に判断できることが非常に大事なので、個人は自立的に、つまり自らの判断で、自らがその状況とは別に判断できるような状況をつくらなければいけないんだということからどこかに「自立」という言葉を入れるのがいいのではないかと思います。
 まとめますと、個人のスタンスということは非常に有効なメッセージだと思いますが、そのときに社会はどうあるかもこの中に盛り込めたらいいのではないかということと、それから「自立」という言葉を入れていただきたいと思います。
佐藤会長
前半の方は、鹿嶋委員が言われた10ページで書いてあることをここに持ってくる。
鹿嶋委員
10ページはかなりあるかもしれないですね。
佐藤会長
「自立」は非常に難しい。基本的に希望する人ができるようになると、持ってない人についての状況が変わってきますから、私はそこに潜在的にあるのだと言い出ちゃうと結構難しいのかなと。
植本委員
自立的に判断できると、そういう趣旨の部分と希望というのは随分言葉として乖離があると思うんですね。希望というのは、最初から少し読んでいて,何となくここ違和感があるというのは、希望といった場合の漠然とした、漠然とした希望と、それから本当に切実な希望という部分、「希望」という言葉にすごく幅があって、なおかつバラ色的にあるのが希望みたいな印象を受けるんですよね。むしろもっとシンプルに考えれば、選択可能というような、個人が選択可能なというシステムがあり、中身がありというようなものの方が、まだシンプルに誤解を持てずに済むのかなという感じはするんですけど。
飛田審議官
定義の記述については御意見を踏まえて、修正させていただきたいと思いますけど、もともと(ワーク・ライフ・バランスは何か)というのは、御議論の中でそもそも出発はどういうところから始めたらいいのかという、その始めがわからないね、そこをしっかりおかなくては、ということだったと思います。方向性について、どんどん盛り込んでいくと、定義としては収拾がつかなくなるような気がするものですから、少し整理して、なるべく私どもとしては簡潔に、定義の部分ですので簡潔したいと……。
佐藤会長
加えるにしても、定義の下に書くような形の方が形がいいと思うんです。定義だけが長くなっちゃうというふうにはしない方がいいと思うので。
永木委員
私もあまり長くなるのはよろしくないと思っていまして、社内でもワーク・ライフ・バランスとは何かということを説明するのに、だらだら書いていると何のことかわからなくなります。できましたら、○○とは何かとあったら、「○○することである」というふうに書いていただいたらいいのではないかと思います。
 たとえばの案ですが、ワーク・ライフ・バランスというのは、自らとっていくものであって、それをいろんな環境なり支援策なりでサポートしていくということだと思うんですね。ですので「老若男女誰もが、仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など、様々な分野において、自立的に活動しながら、仕事の充実と仕事以外の生活の充実の好循環をもたらすことである」と。ただ、それだけでいいのではないかと。
佐藤会長
後ろは確かにその結果の説明だから。
池永調査課長
好循環をもたらすものという定義なのでしょうか。
佐藤会長
結果だから、「希望する」言葉を使うかどうかにしても、やりたいことをやらなければいけないこと、それをやれるということだね。
勝間委員
その結果、好循環が生まれ、多様性に富んだ活力ある社会を創出されると。
佐藤会長
できるだけ、結果のところは切り離すようにはして、もしやるにしても、結果は後で書くような、社会だけでなくて、企業のことも少し書いた方がいいかもしれませんね。
杉山委員
先生がおっしゃった時間配分というのは。
佐藤会長
入れるかということ。
杉山委員
あまりに漠然としている。
鹿嶋委員
私もさっき言ったように、92年の「生活大国」というのは、最初に出てくるのが個人の実現なんですよ。今、紀陸委員がおっしゃったことですよ。そして時間配分なんです、基本は。これはまた、それとは違うものなので、あまり時間配分、時間配分と、あのときは余暇時間創出ということがあったので、今、時代がちょっと違っていますから、だから、あまり時間配分でやると昔と似ちゃうなという感じがちょっとあるんですね。
勝間委員
通過点で、気持ちの配分と時間の配分が狂っているので、それを直しましょうに近いようなニュアンスを感じているんですけれども。
佐藤会長
ちょっと大事な点なんですが、今、永木委員が言われたことなども参考にしながら案を送らせていただくような形にさせてください。ちょっといろいろまだあるので、4ページからの2のところは。
紀陸委員
3ページの下から4行目、今、お話の、鹿嶋先生言われた「仕事以外の活動に割く時間が増えることで」というのがありますね。ここをわざわざ墨を入れましたけれども、これが本当にその時間を増やすことがバランスをとることなのか、そういう問題でもないんじゃないのという気がするんですね。前のとおりの方がいい、時間を増やすということだけじゃないという感じが強くしますね。
佐藤会長
ここは取ってもいいかもわからないですね。
 では2のところではいかがですか。ちょっと長いですけれども、9ページの下ぐらいまでで。
鹿嶋委員
4ページの(1)のところの「基幹的な労働者の働き方」という定義になっているのですが、「基幹的」ということで限定しちゃっていいのか。要するに一般的な補助的な労働者だって非常にワーク・ライフ・バランスという点で問題があるので、「基幹的な」というのが特に意味があるのか。確かに言っている趣旨は、基幹労働者は家庭生活省みずに働いているのだということなんでしょうけれども、どうなんですか、ここは。
勝間委員
おっしゃるとおり、全部にかかってくると思います。特に少子化の問題で明らかに、女性の働き過ぎの少子化になっているという統計も出ておりますし、女性のすべてが基幹的な働き方をしているとも思えませんので。
佐藤会長
どこですか、「基幹的」というのは。
鹿嶋委員
「(1)個人にとっての必要性:希望するバランスの実現」というところがあるでしょう、4ページに。そこに、「これまで、我が国における基幹的な労働者の働きにおいて」と書き出しているでしょう。そこで、基幹的な労働者に限定することが妥当かどうかですよ。
佐藤会長
そうですね。ここ前ぶりのところだから「基幹的」取ってもいいですね。
池永調査課長
すみません、入れた経緯なのですが、確かに働き方全般について「基幹的」と限定する必要ないかもしれませんが、正規、非正規で違いがあり、雇用の安定はあるものの、長時間労働を要求されたり、仕事に関してかなり責任を求められたりして、それが他の活動の制約になるというのは、いわゆる正社員、基幹的労働者が典型的ではないかといった指摘があったものですから、一応事務方としては入れたわけです。
鹿嶋委員
正社員でも基幹的労働者ばかりではありませんから、ここは限定されすぎていませんか、検討してください。
佐藤会長
ほかには、9ページのところまででいかがですか。
紀陸委員
ここの「自らの希望するバランス」、この辺もさっきの定義に合わせて、希望するバランスというのはね。
杉山委員
4ページの<希望に反して仕事中心になる男性>とあるのですが、<仕事中心になる男性と独身女性>と。調査結果でここが出ていたので。
佐藤会長
「なお」以下でも書いてある。見出しでやるかどうか。
飛田審議官
まさに内容は杉山委員御指摘のとおりなんですけど、この見出しで、「男性」で、後ろで「女性」と対比しているものですから、独身男女を見出しに入れると複雑になっちゃうから。
紀陸委員
希望に反して云々のところで、「しかしながら、現実には、子育て期の男性は長時間労働で帰宅は深夜といった状況にあるなど仕事優先となっている」という、こういうのは何か、こういう書きぶりで、世の中全体がこうですよという、そういうのはいいんですか、これ。
杉山委員
だって、本当だもの。
勝間委員
「海外等のベンチマークにより」みたいなことを入れるのは可能ですが……
紀陸委員
4ページ目の統計があるでしょう。下から2番目、未就学時の父親の多くは深夜に帰宅している。14%の人が、平日23時以降に帰宅しており、南関東ではその割合は約2割以上。そのほか、図表をしっかり見ているわけではないですけれども、14%とか2割とかいう話ですよね。多くというのは、大体半数とか過半数を超えているとか。
勝間委員
少子白書で見ていただければわかるんですけれども、5歳未満児の家庭の夫の育児・家事時間が海外に比べて大体10分の1ぐらいです。それは全部統計出ておりますので。
紀陸委員
家事に対する男のサポートが少ないというのはわかりますけれども、言っているのは、「子育て期の男性は長時間労働で帰宅は深夜といった状況にあるなど」というのは、すべて……
勝間委員
通勤時間の長さと労働時間の長さで立証されておりますが。
紀陸委員
そうですかね。
勝間委員
そうなんですよ。もし疑問があれば、事務局なり何なりに、統計データをお求めになればよろしいと思います。
佐藤会長
紀陸委員が言われるのは全員だというふうに読まれるのは困るということでしょう。
紀陸委員
困るとか、困らないとか……
佐藤会長
いやいや、それは実態として合ってないのではないかということだから、2割ぐらいだということがわかるように書いてほしいという趣旨ですよね。だから「状況にあるなど」と書いてあるから、全員がそうだと書いてあるわけではない。データ資料載りますから、それは確かに全員だというふうに読まれるのであれば、それは。
植本委員
その続きの5ページの次の見出しの<大きな家庭責任を担い、希望する形で働くのが難しい女性>となっているのですけど、「難しい女性」というのは、難しい現状にあるということを足しておいていただかないと決めつけふうになる。「難しい現状にある女性」というふうにしていただいた方がわかりやすい。
佐藤会長
それはそうですね。
杉山委員
<大きな家庭責任を担い>ではなくて<家庭責任の負担が重く、希望する形で働くのが難しい女性>ぐらいの方が。
勝間委員
それも確かに希望と現実の違いのところが大きいと思いますので、結果として担ってしまっているけどということだと思います。
佐藤会長
それもちょっと。いかがですか、9ページのところまでで。
鹿嶋委員
つまらないことだけど、7ページの(2)本文の3行目、「地域社会の希薄化」、8ページを見ると「つながり」と入っているから。
佐藤会長
ないというのはおかしいから、確かに。
鹿嶋委員
つまらないことですが、「つながり」と入れましょう。
佐藤会長
「つながり」と入れた方がいいですね。
 あと、8ページのところで、特に紀陸委員の御意見あって、かなり大きく直してありますので、8ページ、その辺でもう御意見あれば。
勝間委員
ワーディングの部分で、少子化の深刻化というのはちょっと言葉として変ではないかと。「少子化の進展」、あるいは「少子化の問題」でも何でもいいんですけれども。
岡島委員
7ページの真ん中あたりの<生産性の低下・活力の衰退>というところに、これは例示ですので入れ方はお任せしますけれども、女性、非常に高学歴化して能力の高い女性が結局仕事を家庭の負担ということでやめざるを得ない事情というのは、これは個々の企業や社会全体にとっても損失であるというような趣旨のことを少し入れていただけるとありがたいと思います。
佐藤会長
「・」で1個入れろということですね。
岡島委員
はい。あるいはどこかにくっつけてもいいですけれども。
佐藤会長
はい。「有能な人材」のところにくっつけるというのはどうか。
永木委員
7ページの少子化の深刻化ですけれども、これは8ページに行きまして、上から3行にやるべきこと、施策の話が入ってきています。ほかの生産性の低下とか労働力不足の深刻化といった項目は、「こうなっています」といった事実関係の記載だけなので、こちらの少子化についても事実関係だけにされてはどうですか。
佐藤会長
書き方がここだけは異質ということですね。
 いいですか。そうすると3のところで、「ワーク・ライフ・バランス推進により目指す社会」のところはかなり短くして、10ページの上ですけれども。
岡島委員
9ページでもう一つ。
佐藤会長
どうぞ。
岡島委員
9ページの(中小企業にとってのワーク・ライフ・バランス)の2行目に、「有能な人材を確保」とあるのですが、ほかのところは「確保・定着」という言葉を使っていますので、できれば「定着」ということも入れていただければと思います。
勝間委員
図表30の日本労働生産性、アメリカに比べて71%、OECDに比べてもかなり低いということはいつも理解しているのですが、この数字をどこか文章の中で入れることは可能でしょうか。やはり結構知らないんじゃないかと思うんですね。一般の方々は、その数字自身を。長時間労働がなぜいけないかと言っていると、根本的にはここの数字があるわけですので。
佐藤会長
7ページのところでリファーしているので、そこに入れられるかどうか。高くないと言っているところ。
勝間委員
高くないんじゃなくて、かなり低いということを。
佐藤会長
これ、本文に図が入るんじゃないんだね。後ろに図がくっつくんだよね。
池永調査課長
本文はメッセージであり、数字は四角囲みの中に入れることとしています。
佐藤会長
7ページの四角の中には「最低水準である」とは書いてある。
勝間委員
最低水準で、どのくらい低いかというのを自覚した方がいいんじゃないかなと。
池永調査課長
この四角の中に数字を入れるということですね。
勝間委員
お願いします。
鹿嶋委員
ワーディングの話ですけれども、さっきの少子化の深刻化、今回のレポートは経営者の皆さんに読んでもらうことになると思うんですね。そうすると客観性とインパクトだと思うんですね。だから、少子化が深刻化だというようないろんな議論もあるかもしれませんが、ある程度、こういう言葉を使った方がワーク・ライフ・バランスを経営者の皆さんに促すという意味ではね。
佐藤会長
深刻化と言った方がいいということですね。
勝間委員
少子化の問題、ええ。
佐藤会長
深刻化の問題、「化」、「化」が続くのが変だと言っているだけです。「少子化の深刻化」という、日本語として。
鹿嶋委員
何かそういうようなものはなるべくですね。
佐藤会長
深刻な少子化。
勝間委員
「少子化の深刻な進展」でもいいですけれども。
佐藤会長
言葉遣いというか、表現ぶりということです。
小室委員
鹿嶋委員のお話にあったように、日本のHDIと女性のGMの乖離というようなデータも、もし先ほどの言葉を「・」で入れるのであれば、裏づけのデータとして、HDIとGMの国際比較なんかも、非常に企業に話したときにいつも反応のあるものなので入れられればなというふうに思っています。
佐藤会長
それでは、10ページのところから、15ページの上まで、2の1、社会的基盤の初めのところで、なぜ、そういうことが必要かと書いていただいて、ここはあまり御意見なかったので、ただ、出していただいたものについては対応していただいているという形になっています。
植本委員
結局構成の問題とのかかわりになるかとは思うんですが、15ページの最後の(関連する法制度等の柔軟な見直し)をどういう書きぶりにするかということで変わりますが、それぞれの戦略で分析で出てきているところで進める体制が一緒に書かれているわけですね。国・自治体でこういうふうにする、企業でこうだというのがそれぞれの項目ごとに散りばめられていて、国・自治体で、そういうことをすることが必要であると書いてある場合と、考えられると書いてある場合で、この濃淡がどのように違うのかというのは、誰が希望するのか、誰が考えるんだみたいな、考えられるということと、そういうふうに実施をすると書いてあるところのバランスの違いみたいなものが統一されているのかどうかということの疑問と、それぞれのところで推進をしていくということをもう少し明確に、推進体制をどうとっていくのか必要なことは書かれているので、それを進めるために再掲の形になるかもしれないですけれども、国が推進をするときどういうものかを書いてほしい。それから、企業や経営団体での推進体制、それが二重書きにたとえなったとしても、この情報提供というのは国なり自治体なり、経営者団体なりそれぞれが役割分担してするよみたいなことがイメージとして特出しの項目で必要と思う。そういうものがないと、先ほど施策が書いてある項目とそうでない項目があるみたいなところがありましたけど、むしろ「関連する法整備等」のところに、「等」という中には施策の見直しが入ってくるわけなのでしょうから、どういう施策を推進するのかみたいなものを、例えば施策として全部特出しをするようなことをする。私は法の例示を消すというよりは、関連する法はこれだけあるよということが逆にわかった方がいいのではないかと思いまして、基盤づくり、枠組みづくり、推進体制という、そしてその関連する施策と法がどのようにあるのかみたいなところが、全体にわかる書きぶりにならないかというのがこの項目を通しての意見です。
飛田審議官
今回委員会で御議論いただきましたのは大きな方向性について、どういう考え方で、各主体はどういうことをやるのかということがまずあって、もちろんそれだけではなくて、そういうことが合意が得られるというか、大きな方向性が示されれば、それに応じてワーク・ライフ・バランスを進めていく上でどういう手段が有効であるかと、今、そういう整理しているという状況にあるかと思います。
 したがいまして、今、委員が御指摘になったように、どれどれをいつまでにやるとかというようなスケジュールに関しては、まだそこまで具体的になっておりません。まだ、こういうメニューがあるよと……
植本委員
スケジュールというところまで言っているつもりはないですけれども。
飛田審議官
まだ精粗まちまちなところがあると思いますので、今後委員会で、施策の点検というところまで行けるのか。今回はどういう主体がどういうことをするのかということを中心的に書いているつもりでございますので、委員、御質問のようなところまでまだ行ってないというのが実情でございます。
杉山委員
ちょっと印象として総花というか、言いっぱなしという印象がちょっとぬぐえないかなという気がしていて、こちらの報告書の参考の76、77あたりに、結構求められる施策ということである程度は出ていると思うんですね。特に(3)の関連する法制度の整備に係る施策ではというので、こういうふうに具体的な施策に関しても、私たちは昨年出していて、できれば、それは押さえていただかないと、国は何をするんですかみたいなところがちょっとあって、それとずっと個人でスタートしてきて、ここになったら個人が後ろに回っているというのもちょっとだけ私は違和感を感じていて、個人が自立してとか、理解をしてとか、意識転換が必要であるということを、この流れでいくならば最初に押さえて、例えば戦略3あたりが前に来てもいいのかなというか、私は誰かにワーク・ライフ・バランスの環境を整えてもらおうとは思っていなくて、自分からやりたいというふうに思っていますので、そういうスタンスでここの会議も、できれば私たちもやりますよということを会議としても、ある程度国の制度に働きかけるとか、言っていかないと、企業にばかり変わって、変わってというのもおかしいのかなという感じがするんですけれども、これはスタンスの問題だと思うんですが、以上です。
佐藤会長
ここはもちろん個人が出発点ですけれども、ただ、そのためには、まず、ここは環境をつくるという言い方になっているので、そういう意味では、個人の方は後ろに来ていると。特に働き方のところで働き方を先に出すというつくり方ですけれども。
羽入委員
もちろん今のことと関係しているのだと思いますが、10ページの2の1の一番最初の、今回、直していただいた部分ですけれども、2番目のパラグラフのところにあります「枠組みを構築するとともに」というのと、その下の行の「取組を後押しし」というのがありますが、これは主語は何なのでしょうか。つまり誰が構築し、誰が後押しするのかということがここにないような気がするんですけれども、自分が構築するのか、社会が構築するのか。
佐藤会長
それは戦略1で特別につくるとか、戦略2がやっているようなことですね。後押しするところには出ていますので。
羽入委員
主語のない文章はやっぱりおかしいのではないかと思うので、ここで明確にすると、今の御発言がより明確になってきて、社会がする、企業がするのか、国がするのか、私たち委員会がするのかというようなことがはっきりしてくるのではないかと思います。ここを少し御検討いただければと思います。
佐藤会長
そのための「関連する各主体」だから、関係する人はみんなやってくれということなんですね、これは。
羽入委員
そうですね、きっと。
佐藤会長
この切り方は、後ろの方で主体が出てくる。
羽入委員
日本語としておかしいような気がします。
勝間委員
関係主体が一丸となって後押しするんですか。それとも何かもう少し関係主体というのが具体的にいくのでしょうか。
佐藤会長
もう少し。
植本委員
そういうところで国の役割、自治体の役割や地域の地域力をアップするようなものとか、それから企業とか経営団体とか、そういうところのそれぞれの役割分担みたいなものを持ちながら総合的にやっていくみたいなことが少しわからないとというふうに思います。
佐藤会長
戦略の中との兼ね合いで、もう少し整理して書ければ考えさせていただきます。
 14ページの上まででは。
岡島委員
今の御意見を聞いていて、今思ったことなんですけれども、確かに取組の方向性というのはどうやって支援するかということが中心に書いてあるのですけれども、その初めのところで、それぞれそういう意識を持つことが大事なんですよという部分が確かにちょっと抜けているのかもしれないので、それが入って、それでそれを後押しをするための枠組みとかいうことに入るのかなという気がしますので、10ページの最初のところか中にちょっと入れる必要があるのかなという気がいたしました。
佐藤会長
はい。それでは、15ページの2の最後のところ以降はいかがでしょう。ここは、この前の紀陸委員の御意見もありましたので、かなり絞り込んだということで、ここで書いてある趣旨がわかるように。
小室委員
14ページの後ろにありましたICTのところなんですけれども、ここで、先ほどここがまだ薄いので御意見があればということを言っていただいていたので、あった方がいいかなと思いますのは、なぜ休職中に職場情報にアクセスできる方がいいのかということで、理由というか、そこのところが入った方がいいのかなと思っていまして、1つは、もちろん会社の職業上必要な情報に触れ続けることによって即戦力化して復帰するという会社にとっての利点もあると思うのですけれども、もう一つ、私どもがやっていて、離職する大きな理由が、休業中に会社と接点がなかったことによって復帰のモチベーションが落ちてしまうであるとか、自信喪失によってモチベーションが落ちてしまうというような部分、これは留学される方も同じなんですけれども、復帰をされないということにつながりやすいのがそういったところの隔離感というのがありますので、そういった、なぜそういうことが必要なのかというニーズの部分を入れてから、これが来ると必要性がわかるのかなと思いました。
勝間委員
ICTに関して、テレワークと割とe-ラーニングに近いところに偏っていますけれども、生産性の違い、1990年以降かなりICT投資とそのリテラシーでもたらされているということは明らかな統計幾つかあると思いますので、ICTを活用することで労働生産性が上がって、短時間労働でも同じぐらいのアウトプットが出るみたいなことをどこかに盛り込んでいただけるといいかなと思います。
小室委員
確かに生産性向上をもっと書いた方がいいと思います。
佐藤会長
学習だけに限定しないでということですね。
勝間委員
今、テレワークと学習に限定されているのですが、まさしくオン・ザ・ジョブの職場でのICTの活用というので挙がっていますので。
佐藤会長
そうすると、最後の15、16、ここは先ほどお話しましたように、企業・組織の取組が大事で、それは社会的にサポートするわけですけれども、もちろんこれを全部やるという意味ではなくて、多様な取組があって、先進企業でこういうものが進んでいますと。ですので、制度だけでなくて、こういうことも参考にして取り組んでいただければというような書き方にしてあります。
紀陸委員
前に戻って、「取組の方向性」の戦略1から4まであるんですけれども、並びの順ですね。これはさっきお話も出ましたけど、主語がはっきりしてないという点がある。確かに「関連する各主体がスピード感をもって……」から始まっているから、全部ということなんでしょうけれども、現実には、例えば待機児童0歳まで上がっていますけど、国がやることと、企業がやることと、自治体がやること、やっぱりあるわけですよね。それをはっきりさせていこうではないかということは、今、既に、例えば保育所なんていうのは典型的に国がやらないからしようがなくて自治体がやっている。自治体も不十分だから、しようがなくて企業がやっている。それは現実に見えているわけですね。
 そういうところで、こういうふうに漠然と言われても企業の意欲喚起になるのか。逆にこういうことをやるから自治体はこうだと、企業もこうやってくれという、そういうメッセージでないと、何というか、全然現状認識が甘いなんていう批判も出かねませんよね。だから、戦略を平板に4つ並べるというのでなくて、優先順位を置いて、かつ主語を、ここはこういうふうにやりますよという、そういうのがないと、それこそ進まないんじゃないですか。みんなでやりましょうということは、みんながやらなくてもいいということですよ、逆に言うと。必要に迫られたところだけやって全体は進まないという、今までそうだったわけでしょう、日本の少子化対策というのは、それを変えようという話じゃないですか。だから、まず国が、自治体がこうやります。だから、企業はこうやってくださいというメッセージであればがんばりますね。最後、これも前申し上げましたように、企業の中のマネジメント改革なんていうのは、国から言われる筋合いではないんですよね。ほっといたって、企業がやらないと生きていけないのですから、これは私ども、今、現にある戦略2の中にあるところで十分、これだけ言っていただければ、中小企業のオーナーの方だって、もうやらなければならないという気になりますよね。この最後のところは本当におまけで、これは経営者の方から経営者に向かって言うならいいけれども、政府から言われるのは全体主義の国みたいな感じはしますけれども。
佐藤会長
ここはあくまでも取り組んでいる先進企業の取組を整理してということですから、別に我々が考えて言っているわけではなくて。
紀陸委員
そしたらやめましょうよ、こんなのはなくていい。
勝間委員
先進企業の取組を参考にするために載せていますから、これは載せていただきたいと思います。
佐藤会長
載せているんですから。
紀陸委員
問題は時間管理だとか、そういう中身を自分たちで考えるという雰囲気に持っていかなければいけないんですよ。
佐藤会長
ですから、あくまでも例として書いてないですから、それは考えていただければいいんだと思うんですけれども。
池永調査課長
今、紀陸委員から、国は何々をやるからということをちゃんと言うべきではないかと伺いました。私どももそういう問題意識はすごくありまして、今までご意見を伺う際も、行政は何をすべきかということを質問項目で入れさせていただいておりました。紀陸委員からは、余計なことをせずに、自主性に任せよというような御意見もありましたが、皆様から、国とか行政機関はこれをやるべきだという、具体的な御示唆をいただければと思いますがいかがでしょうか。
小室委員
今のところで、もう少しここに入るべきかどうかが確かにちょっと難しいのですけれども、質の高い保育が保障されないと、どうしてもなかなか、企業がどんなに働いてほしいと思っても、託児所が決まらなければ復帰はできませんし、あとは早くに保育所が決まらないと不安で産むこともできないですし、そういう現状を聞いている若い人たちは産む気にもなれないですし、どこかそういった企業とも密接にかかわる部分で、託児の問題というところが、今みたいなゆっくりな速度ではなくて、急速に進んで普及するような、ちょっと大胆な斬新な取組がないと難しいかなというのを思います。
杉山委員
子育てに特化していくと、もうちょっと踏み込んだことを私は言いたくなってしまうのですけれども、そこまであえて言わない方がいいことなのか……
佐藤会長
それはもともとそういう議論で出発したわけではなかったので。
小室委員
ただし、どちらかというと、これは個人のニーズということではなくて、企業が安定して働いてもらうためにどうしても必要なサポートなんですよね。企業はそこにお金をそこに出し切れないんですよね。もしも託児所を国でつくるということでないのであれば、企業がそういうことをやるときにもっとやりやすいように、託児所を自分たちでつくろうというところが大分増えていますので、そこがせっかくやっているのに、意外とそのことは評価されなかったりとか、2社で一生懸命つくろうとしたら、2社でつくるのには助成金が出なかったりとか、妙なことが多いので、せっかくやろうとする企業がそれが楽になるような支援というのは企業は切実に望んでいると思います。
植本委員
今、国の例示をいただけたらという御発言が課長の方からあって、とても意外だったのですが、報告のときにもさせていただいたし、先ほど御紹介のあった参考資料77のところで既に課題として整理をされているわけでありますから、先ほど申し上げたように、推進体制といった場合には国の役割の部分で、少なくともこういうことは課題として解決を国の責任としてやるということと同時に支援体制をどうつくっていくのかということで、そういうものを明確に書いていかないと、多分報告を読んだ人は、何をするの、何から始めるのみたいなところは、別にプログラムを求めているわけではなくて、それぞれの役割分担を明確にしながら、それぞれのところで力を合わせていきましょうということがわかるように、国はこういうことを頑張りますと。実際こういうことを頑張ろうねという呼びかけ、企業はこういうふうにやろうねと、そういうことがメッセージとして伝わる。だから細かい施策まで書く必要はないと思いますけど、こういうものというのは、この枠組みの中に例示的に入っているわけでありますから、それを整理するだけでも違うと思うので、新しいものを書くというよりは、ここに書かれているものをもう一度再構成していただくときに……。
佐藤会長
ですから、10ページのところの1に、少し誰がというのがわかるような形でということで、戦略の中でも、一番最初のところに書けるところがあれば、中に書いてある内容を見ながら、主体が誰というのを考えながらやる。
勝間委員
あと、実際にここまでやっているという例示があってもいいかと思うんですけれども、例えば「放課後子どもプラン」とか、ほとんど浸透していませんし、それがあるということすら、育児手当の倍増であるとか、残業の加算金についても、今度強化されるといったような形で、国としては既に打っている手があると思います。それを一たん整理するのも手かと思いますが。
佐藤会長
わかりました。そういうのを考えます。
紀陸委員
10ページの下から2行目の「『ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標』を開発し」、本当にこういうのをやるんですか。
佐藤会長
どういうものを考えるかですけれども、1つは、今まで少子化と男女共同参画の専門調査会で国際比較と国内比較をやってきたというのは、これに結びつくことも既にやっていますので、つまり何で日本は女性が働きながら子育てしにくい社会なのかというのを国外でも国内でも指標をつくってやっていますので、1つはその上でやろうかなということなんですけれども、既に半分ぐらいはやれているというものがありますので。
紀陸委員
だから少子化の観点だとか男女共同参画の視点というのとワーク・ライフ・バランスの視点というのをどういうふうにミックスして、ただ、混ぜればいいという問題ではないでしょうから、それの実現度指標というと、いろんな指標が並列的に並んでいて、日本は遅れていますというのでは、という感じがしますし、だから、どういう意味で、「分かりやすい形」というふうにありますけれども、それがどういうふうに出てくるんですか、これは。内閣府からぽこっと示されるわけ。
板東局長
まさにこの専門調査会で、次にこの指標の問題なんかも含めまして具体的に分析、御議論いただければありがたいなと思っていまして……
紀陸委員
それはいつ頃のスケジュール。
板東局長
これの一応方向性についてまとめをつくりまして、その後の審議の段階として、そういった具体的な問題についても入っていきたいと思っています。
佐藤会長
ですから、この次の、これは1次、今、とりあえず中間で出してコメントいただいてというので多分1次が出て、2次はそちらをやると、指標づくりを考える。
紀陸委員
全体のこれを見ると、社会全体の取組の進捗度、でこぼこは恐らくあって、ここで、これが遅れているから、それぞれ関係する主体が取り組みましょうということになるわけですか。
板東局長
個々の企業ですとか、あるいは個々の地域、自治体の中でというのはいろんな事情があるかと思いますし、いろんな特殊性もあるかと思います。それを個々に取り上げるというのではなくて、社会全体、我が国全体として目指すべきところを考えながらワーク・ライフ・バランス度というのをどういうふうに社会全体として評価、フォローアップしていくか、その指標をどういうふうに見ていったらいいのかというのが1つ問題としてあろうかと思います。
 それから、後でちょっと出てまいりますけれども、個々の企業が自己診断をしていく指標の問題が12ページにありますけれども、これは個々の企業がそれぞれ規模とかいろんな状況に合わせながら自己診断をしていって、もう少しワーク・ライフ・バランスを高めていこうということで、これは現にいろんなところで今指標開発をしている。例えば21世紀職業財団なんかも今検討しているというお話でございますし、それからワーク・ライフ・バランス塾でもいろいろ検討したというお話がございましたけれども、そういったものも今開発されつつあります。
 この10ページで書いてあるのは社会全体、我が国全体がワーク・ライフ・バランス度を高めていこうと。それをどういうふうにフォローしていったらいいのというところの問題を御議論いただきたいという趣旨でございます。
佐藤会長
国の政策、内閣府ですので、具体的な施策は各府省でやっていただくことになりますので、それぞれの取組のモニターできるようなものを政府全体として使えるようなものをつくろうと思いますので、具体的な施策自体は各省庁でやっていただくことになると思います。
杉山委員
確実にできるというワーク・ライフ・バランス推進ネットワークづくりとか……
佐藤会長
そういうのはもちろんです。
杉山委員
目玉が必要だったら、そこを。
佐藤会長
一応戦略1の一番先頭に出てきますから、それはその次にやるという意味でも、重要度高いというふうに、それはまだ議論していませんけれども。
板東局長
ただ、戦略1のところは、特に内閣府だけに限りませんけれども、政府全体としてかなり旗を振っていかなければいけないのではないかと思っている部分でございます。ただ、紀陸さんのところもそうですし、いろいろな経済団体も既に取り組んでおられたり、あるいはいろんなネットワークができておりますので、もちろんそういったところの活動も非常に重要だと思っておりますので、そういうところで多少遠慮した書き方になっている部分もあるかもしれません。先ほどのお話のように、もう少しそこは主体、特に国の責任・行政の責任をもう少し明確に書いた方がいいのではないかというお話ございましたので、このあたりはちょっと検討させていただきまして、記述を精査させていただきたいと思います。
佐藤会長
最後までいかがですか。
 まず「はじめに」のところで、紀陸委員言われたので、これはやや全体がこうだというのがおかしいのではないか、それはそうなので、「しかしながら」のところは少し直させていただきます。あと最後のところもですね。
 それと、定義のところ、ワーク・ライフ・バランスの定義もわかりやすくということと、定義自体、それが何をもたらすかということを分けた形で説明するようにさせていただきます。
 あと、「取組の方向性」は、主体が少しわかるような形でということも少し配慮することにしたいと思います。
 もちろん、今、ほかにもいろいろいただいたもので、できるだけ入れられるようにしたいと思いますけれども、特に大きな点はございますか。
 そしたら、もし御意見大体出していただけたということであれば、きょうの御意見踏まえて、一応修正したものをつくって、幾つか大きな点もありますので、皆さんにお送りしますので見ていただいて、その後の調整は事務局と私でやらせていただければということでよろしいでしょうか。

(「はい」という声あり)

佐藤会長
それでは、きょうの御意見踏まえて、事務局がもう一度つくりますので、それをお送りいただいて、その後は御意見はまた事務局と私の方で調整させていただくということになります。それでは、どんな手順なのか。
池永調査課長
副題についてはいかがでしょうか。
佐藤会長
副題、事務局ではこういうふうになっていますが、何かありますか。
勝間委員
「多様性を尊重した……」の副題の代案ですか。
佐藤会長
これにするか、入れないか。
 これはワーク・ライフ・バランスを実現することによって、どんな社会を目指すか、そっちの方を副題にしているということなんですけれども。
鹿嶋委員
「多様性」でいいと思うけれども、「男女共同参画」という言葉よりは、むしろ「多様性」という言葉を副題にしておいた方がいいと思います。
佐藤会長
とりあえずこうさせていただいて、もちろんこの点も含めて御意見伺うという形にしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
勝間委員
1つだけ、済みません、代案なんですが、「活力ある」ところを、ちょっと思い切った案なんですが、「好循環」という言葉をどこかに入れられないかなと。「好循環のある」とか、活力だとちょっとわかりにくいので、既にバランス、トレード・オフ関係ではないのという議論があるのですけれども、トレード・オフではなくて、それはウィン・ウィンなんだというニュアンスを含めて「好循環」という言葉を副題に入れると少しインパクトが出るかと思います。
佐藤会長
何と何の好循環かというのがわかるか……
勝間委員
ワークとライフの好循環です。それはワーク・ライフ・バランスですから、それは長さ次第ですけど、副題の。
佐藤会長
その辺も含めて考えさせていただきます。そしたら、時間的なことは、結構後ろが詰まっていたりするので。
池永調査課長
どうもありがとうございました。今後、会長と御相談しまして、それで修正したものを、また皆様にもご覧いただきたいと思います。一応こちらのお願いといたしましては、今週中にある程度の御意見なりをまとめまして、下旬に男女共同参画会議がございますので、できれば今週中にある程度の形はつけられればと思っております。そして、会長から男女共同参画会議に報告をお願いすることになると思います。その後、一般の方から意見募集をしたりして、さらに少し検討したり、事務的に詰めることがありましたら、それをやった上で、6月下旬から7月目途に専門調査会でその辺を含めて、今度は中間報告ではなくて、基本的方向についての取りまとめということをお願いしたいと思っております。
佐藤会長
そうすると、皆さんのところに届くのが来週。
池永調査課長
そこは修正の状況によって、どういうバージョンをというのは、また会長と御相談させていただきたいと思います。
佐藤会長
きょうの御意見を踏まえたものをどこかで見ていただいて、それでまた御意見を伺って、そこは私の事務局でということになると思いますが、そんな遅くならない、後ろがありますので、遅くとも来週の初め、できれば今週中。
池永調査課長
もし意見をいただくのであれば、金曜日のお昼ぐらいまでにお願いします。
植本委員
木曜日に戻ってくるということですか。
池永調査課長
きょうが水曜日ですので、急いで修正案をつくりまして、それをお送りして、金曜のお昼というか、なるべく遅くならない時間にいただければと思います。
佐藤会長
あしたぐらいに届く可能性が高いと。
それでは、きょういろいろ大事な意見いただきましたので、今回のバージョンで、できるだけそれを活かした形でまとめさせていただきますので、忙しいですけど、見ていただいて、副題も含めてコメントいただければと思います。
 どうもありがとうございました。
池永調査課長
お手元に資料3として第2回の議事録、皆様の御修正の御指摘を踏まえて直したものを置いております。本日この形で公表させていただきたいと思います。ご協力ありがとうございました。
 今後につきましては、また、改めて日程調整をさせていただくことになると思いますので、また、そのときはよろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。
板東局長
これ自体はまだ不十分なものだと思いますけれども、先ほど御説明させていただきましたように、さらにいろんなところの御意見を聞かせていただくためのものがまず必要だろうということで、ちょっと中間的にまずつくらせていただいて、さらにいろんな団体やいろんな一般の方々からも御意見を伺って、バージョンアップしたものを最終的に第1次的にまとめということでつくりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 どうもありがとうございました。
佐藤会長
よろしくお願いします。

以上