仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会(第4回)議事録

  • 日時: 平成19年4月20日(金) 13:00~15:30
  • 場所: 永田町合同庁舎第1共用会議室

(出席委員)

佐藤
会長
植本
委員
岡島
委員
鹿嶋
委員
勝間
委員
北浦
委員
紀陸
委員
小室
委員
高橋
委員
永木
委員
牧野
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 「ワーク・ライフ・バランスの取組」について
  3. 意見交換
  4. その他
  5. 閉会

(配布資料)

山極氏提出資料

資料1
ワーク・ライフ・バランス塾の活動概要 [PDF形式:60KB] 別ウインドウで開きます
資料1-1
WLB実現に向けての指標の開発と活用 [PDF形式:75KB] 別ウインドウで開きます
資料1-2
添付資料 [PDF形式:486KB] 別ウインドウで開きます
資料1-3
ワーク・ライフ・バランス塾定例会(2004~2007) [PDF形式:14KB] 別ウインドウで開きます

紀陸委員提出資料

資料2
ワーク・ライフ・バランス推進に関する日本経団連の基本的考え方 [PDF形式:54KB] 別ウインドウで開きます

植本委員提出資料

資料3
ワーク・ライフ・バランスの推進について [PDF形式:19KB] 別ウインドウで開きます
資料3-1
「ワーク・ライフ・バランスの実現」関連のこれまでの取り組み資料 [PDF形式:17KB] 別ウインドウで開きます
資料3-2
キリンビール労働組合でのWLB実現に向けた取り組み(分科会資料) [PDF形式:760KB] 別ウインドウで開きます
資料3-3
キリンビール株式会社育児支援制度の概要 [PDF形式:331KB] 別ウインドウで開きます

岡島委員提出資料

資料4
埼玉県におけるワーク・ライフ・バランス促進の取組 [PDF形式:760KB] 別ウインドウで開きます
資料4(別紙)
ワーク・ライフ・バランス推進員・子育て応援宣言の取組事例 [PDF形式:16KB] 別ウインドウで開きます
資料5
第1回専門調査会議事録

1.開会

佐藤会長
それでは、時間がまいりましたので、仕事と生活の調和に関する専門調査会の第4回会合を始めさせていただきます。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただき、ありがとうございます。
 それでは、お手元の議事次第に従いまして、本日の審議を進めさせていただきます。
 今日は最初に、民間企業の連携の取組の1つとして、ワーク・ライフ・バランス塾について、資生堂の山極様からお話をしていただく。続きまして、委員の中から紀陸委員、植本委員、岡島委員の順に御発表いただいて議論するというふうにしたいと思います。
 進め方ですけれども、まず最初に山極様の御報告をしていただいて、それについて質疑応答を行いたいと思います。その後、お三方に御報告いただいて、これは続けてご報告いただいて、まとめて議論するというやり方にさせていただければというふうに思います。
 委員の皆さんには事前に質問をお送りしていますが、それは皆さんの机の上に置かせていただいております。
 一応、時間が限られていますので、できれば15分程度でお話しいただければということで、御用意していただいたのを無理に詰めて15分ということではありませんので、必要なことはお話ししていただければというふうに思います。
 それでは、山極さんの方から御報告いただければと思います。よろしくお願いいたします。

2.「ワーク・ライフ・バランスの取組」について
ワーク・ライフ・バランス塾の活動概要

山極氏
はじめまして。御紹介いただきました資生堂の山極でございます。貴重なお時間をちょうだいいたしまして、こういう機会を設けさせていただきましたことに感謝を申し上げます。
 私からは、自発的に行った3年間のワーク・ライフ・バランス塾の活動について、御質問をいただき、それに対して御報告させていただきます。
 まず、本日のプレゼン資料のご確認です。「WLB実現に向けての指標の開発と活用」という報告書と、それを補足する資料、個人調査票と企業調査票というのがございます。
 また、ワーク・ライフ・バランス塾に参加している企業は、資生堂の他、ニチレイ、セイコーエプソン、東京電力、リコー、損害保険ジャパン、東芝、凸版、トヨタ、日産、日本公文教育研究会、日本テレビ、日本ヒューレット・パッカード、日本郵船、ベネッセ、松下電器、ヤマハ、UCC、IBMなど34社(当初35社)です。その他オブザーバーとして、日本経団連、船橋市役所、港区役所の人事関係の方が入っておられます。
◎ワーク・ライフ・バランス塾開設の背景と目的
 WLB塾を開設した前年に、国は次世代育成支援対策推進法を制定して、少子化対策として企業に次世代育成の行動計画を策定することを義務づけました。WLB塾を立ち上げた2004年度は、この行動計画を各企業が作らなくてはならない年だったということです。私たち企業にとっては初めてのことであり、これまで以上のアクションプランを策定し取り組まなければならず、ハードルが高かったのです。そうした背景のもとにワーク・ライフ・バランス塾を開設したわけですが、次世代育成の行動計画のように1社だけではなかなか難しい取組も、企業が連携して情報の共有や意見交換を進めれば実現可能になるのではいか、そしてワーク・ライフ・バランスについての理解を深めることができるのではないか、というのがワーク・ライフ・バランス塾を始めた一番の目的です。
 もうひとつは、塾に参加した34社はそれぞれの業界のリーディングカンパニーですので、ここでワーク・ライフ・バランスが実現できれば日本の企業全体のワーク・ライフ・バランスへの意識が変わっていく。ムーブメントが起こせれば、それを受けて企業はワーク・ライフ・バランスをさらに推進しやすくなるという目的もありました。
◎ワーク・ライフ・バランスの取組の意義
 ワーク・ライフ・バランス取組の意義は、育児期の仕事が継続できるようになるほど社員一人ひとりの生きがいや成長にとって重要であることはいうまでもありませんが、会社の成長にとっても不可欠であると確信しています。
 その理由は、成熟した市場で企業が存続・発展するためには、新しい価値を伴う商品・サービスが提供できるかどうかにかかっています。仕事だけの会社人間は新しい価値を生み出すことはできません。家庭生活に責任をもつ、生涯学習に取り組む、あるいは、地域活動に参加するといった時間を通して、会社にいては作れない人とのつながりや、会社にはない価値観にふれる機会を持つことができる。そこから新しい価値が生み出されるのです。
 また、時間当たりの生産性を向上させることにも大きく貢献します。例えば、10時間かかっていた仕事を8時間でこなし、個人生活に使う時間を創出するには、相当仕事のスキルを上げ集中力を高めなくてはなりません。このことは社員の仕事の質も高まります。
 2つ目は、女性社員が活躍しやすくなるというものです。日本特有のM字型カーブがありますけれども、ワーク・ライフ・バランスが実現できれば結婚、妊娠、出産をする女性の就労継続が可能になり、キャリアを積むことができます。そうなれば管理職に登用される女性も増加し、経営・管理の場に参画をすることもでき、一層の活躍が期待できます。
◎ワーク・ライフ・バランス塾の運営体制
 運営体制は、資生堂の「カンガルーム汐留」(事業所内保育所)をご利用していただいている日本アイ・ビー・エム、ニチレイ、電通と当社の4社が幹事となり、持ち回りで年4回を目処に定例会を運営しています。参加企業は、34社(当初は35社)で、幹事が定例会の案を作成し、塾長の岩田喜美枝株式会社資生堂取締役執行役員(現常務)と塾頭の大戸武元株式会社ニチレイ代表取締役会長の指導を仰ぎながら進めてきました。
 企業の他は、自分たちの職員のためにどういう行動計画が必要か、使用者責任として取り組みたいという目的で自治体や国立大学などがオブザーバー参加しています。
◎2004年度の活動
 次世代育成支援の行動計画を作成することが求められていた時期でしたから、各社は塾で学んだことを参考にしながら計画の策定に取り組みました。講師を呼んで勉強したり、事例を紹介し合ったりと、行動計画を作るうえで有益な活動内容だったと思います。これは、PDCAサイクルのP(プラン)あたる段階です。
◎2005年度の活動
 各社が行動計画を実現するうえで難しい課題をいくつか選び、課題ごとに分科会を設けて、各社の経験を交換しながら、行動計画に盛り込んだ事項を実践しました。PDCAのD(do)の位置づけです。
 行動計画目標を達成し参加企業皆で認定マークをもらいましょう、と思って各社取組んでいくうちに、いろいろな課題が出てまいりました。
 1つは、男性の育児休業取得促進です。
 2つ目は、育児休業の代替要員ですね。これがなかなかうまくいっていない。育児休業の代替要員だけではなくて、育児時間もそうです。
 3つ目は、育児・配偶者の転勤。仕事と育児の両立をしている女性たちが夫の転勤などによって退職しなければいけないという現状への防止策。
 4つ目は、時間外労働の削減。これは私たちも3年間取組んでいるのですが、今でも目に見えた成果はあがっていません。
 5つ目は、年休取得促進。企業によっては90%以上年休を取得している企業もあれば、50%にも満たない企業もありました。
 それから、同じ企業の中でも、営業の分野であるか、スタッフ分野かではかなり違うんですね。企業間というよりも、企業の中の分野によっても違うというところの方が大きかったように記憶しております。それが5つの分科会です。
 特に「働き方の見直し」というのは、企業の規模や業種に関わらず、日本の企業共通の課題であり、特に長時間労働についてはどこの企業も悩んでおりました。どうやって解消するのか。それと、男性の育児参加については、参加したくてもできない現状等議論を深めました。
◎2005年度に実施した実験工房
 定例の分科会以外に実験的に対応策を展開してみようじゃないかということで、実験工房と呼称し企業訪問等行動的な活動を行いました。その活動のテーマは、在宅勤務、短時間勤務、ノー残業デー、学童保育・企業への子ども招待の4つです。目で見て、肌で感じて、実際にその場でノウハウを学べる活動でした。
◎2006年度の活動
 最終年度にあたる2006年度は、PDCAのC(チェック)の段階として、ワーク・ライフ・バランスの進捗状況を各社が自己評価するための指標を開発することにしました。ワーク・ライフ・バランス塾と学習院大学経済経営研究所との共同研究によって、この春にできたWLB指標がそれです。
 ワーク・ライフ・バランスを実現するための適切な政策や制度を実施するには、ワーク・ライフ・バランスの管理サイクル、PDCAを構築する必要があると考えました。その際に、政策や制度を計画し、それを実施した結果であるワーク・ライフ・バランスの実現度・経営に与える影響を正しく評価することが必要であり、評価するためのツールの開発が重要だと考えたわけです。そのためのツールとして開発されたのが「WLB指標」です。
◎WLB評価指標の有効性と活用 (1)有効性について
 WLB指標の構成は、政策や制度の構築、現場でのリーダーなどによる政策と制度の適用、社員によるワーク・ライフ・バランスの制度利用や社員のワーク・ライフ・バランスの実現までの一連のプロセスを評価できるように開発されています。
 仕事と育児や介護との両立度を測る指標としては21世紀職業財団の両立指標がありますが、それは両立支援の制度やプログラムの整備状況を評価する指標です。今回開発したWLB指標は、仕事と育児・介護との両立領域以外すべての社員の働き方の問題に拡大したこと、それにとどまらず、制度やプログラムがどのように社員に周知され、利用されているか、そして社員の意識や実生活のワーク・ライフ・バランス度は上がっているか、一連のプロセスをいくつかの指標で見られるようにしたことが大きな特徴です。
 WLB指標は、基本的には各社が自発的にこれを使いながらワーク・ライフ・バランスの進捗状況をチェックしていくためのツールです。1年に1回、あるいは2年に1回という頻度でチェックしていくと、時系列で会社の変化がわかってくると思います。
◎WLB評価指標の有効性と活用 (2)活用のための課題
 プレゼン資料の14ページに課題を書かせていただきました。WLB指標は現時点では人に焦点を当てていますから、パフォーマンスの評価ができるといっても、「プロセスの視点」と「顧客の視点」に関わる指標の整備が不十分です。さらに調査協力企業数が大手企業を中心に9社と少ないことも課題です。大手企業の中には小規模のグループ会社も入っていますが、できるだけ中小とも多くの企業に使っていただいて、説得力のあるものにしたいのです。それには体制の整備が必要です。
◎WLB指標と経営パフォーマンス
 ワーク・ライフ・バランス実現と経営のパフォーマンスについては、ワーク・ライフ・バランスが実現すれば会社の業績があがり、社員のモチベーションも高まるということを証明できればどこの企業も真剣に取組むに違いないのです。
 今回の調査では、「人材の確保」「定着性」、それから、「従業員が疲れない」など経営とのパフォーマンスにおいて正の相関関係があることを証明できたのです。ただし、「能力を高めるよい機会」というのはワーク・ライフ・バランスとの相関がないんですね。ですけれども、制約の中の時間、その中で最大限に効率をこなすということになると、相関関係はあるといえます。もう1つは、新しい視点や価値観、これはすごくこれからの企業にとっては大事なのですね。これが次世代のヒット商品つくりにつながると思います。
◎行政に期待すること
 そういうことで、行政に期待することとしましては、ワーク・ライフ・バランスの共通定義を日本の企業社会の中に浸透・定着させていただきたいのです。「ワーク・ライフ・バランスというのはお金がかかる施策だね」とか、「子育て社員だけの支援」さらには「従業員がゆとりを求めるわがまま施策」といったように誤った解釈をしています。ワーク・ライフ・バランスの周知をぜひお願いいたします。そうすれば、日本の企業はもっと成長すると思います。
 それから、政府も本気でワーク・ライフ・バランス実現に取り組んでいくのだということをぜひしめしていただきたいのです。
◎ワーク・ライフ・バランスを促進する企業・組織を社会的に育てる取組としては何か
 ワーク・ライフ・バランスに取り組んでいる企業、団体に対する診断と評価ですね。塾でつくった評価指標のように企業の中での位置づけや、強み・弱みを診断し、アドバイスしたり、よくやった企業には、認定マークを付与する等認証ができるような第三者の組織を設置していただきたいです。そうすれば、もっと広がるんじゃないかと思います。認証マークの例では、行動計画を達成できた企業は子育てマークが取得できるというものがありますが、このような方法でも企業の意識は変わってきます。
 それから、私たちが開発したものをもっと大規模にやっていただけるような後押しをしていただければと存じます。
 お時間がまいりましたので、私の方からのご説明はこれで終わりにさせていただきます。

質疑応答

佐藤会長
どうもありがとうございます。非常にユニークな試みで、企業の方が自主的に集まって行動計画をつくるというのが1つきっかけだったわけですけれども、ワーク・ライフ・バランスを進める上でどういう取組が必要かということを実質的な情報公開を進めたという非常にユニークな、そして最後はワーク・ライフ・バランス指標をつくる。これは後でよく見ていただければ、よくできていると思うんですけれども、どなたからでも御質問なり、追加的な説明をしていただきたいということがあれば、出していただければというふうに思います。
山極氏
研究報告などについては、WLB評価指標の共同開発者である学習院大の今野先生と脇坂先生のところに御質問いただければ、詳細を答えていただけますので、今日は全般的な質問についてお答えします。
佐藤会長
最後の認証なんですけれども、今日、午前中、21世紀職業財団の会議で、認証をつくろうというので、岩田さんも、脇坂さんもいたんだけれども、子育ての次世代法もあります。ワーク・ライフ・バランスのこういうものをつくったとき、企業が手を挙げて受けようと思うインセンティブというのは何なんだろうか。企業が受けようと思ってもらわないと、つくっても受けてもらえません。そうすると、いろいろな認証マークがあるんだけれども、これを受けよう、受けて何かプラスになると思わないと、なかなかやらないと思うんですけれども、その辺、どうなんだろうか。どういうものであれば企業が受けたいと思うか。その辺はどんなふうにお考えですか。
山極氏
自社だけでは診断できないのが、企業全体の中での位置づけです。その中での弱みや強みがわかるレーダーチャートなどがあり、弱みに対しての解決策をアドバイスしていただければ、企業にとってのインセンティブになると思います。
佐藤会長
今のは診断ですよね。
山極氏
ええ。そしてさらに、これが企業評価、例えば、日本企業の中での位置づけを第三者評価者が発信することによって、お客様が商品を買ったり、株式投資を行う際の判断材料や目安にもなると思います。
佐藤会長
そうすると、ある程度ワーク・ライフ・バランスについて取り組む必要性を理解していて、さらに、水準を高めようとか、うちが高いわけだから認めてほしいという企業になりますよね。そうすると、逆にある程度ハードルが高くてもよいと。
山極氏
当面はですね。
佐藤会長
ハードルが高くても、とることに意味があるような指標にした方がいいということですかね。
山極氏
そうですね。
佐藤会長
指標というか、認証にね。
山極氏
ええ。インセンティブが高ければ全体へと広がって行くに違いありません。
小室委員
今のところの、佐藤先生のに思ったことが1点と、質問が1点なんですけれども、1つは、診断ですか、認証ですかというお話をされたんですけれども、認証以外に診断はやはり必要となるというふうに思っていまして、診断を認証の本番の前に受けられる機能が必要だなというふうに思っていまして、それはいろいろな企業の人事部の方が、自分の会社はこんなに低いのではまずいですということを役員にプレゼンしなければいけないことが、今とても多くて、うちの会社は客観的に見てひどいという事実をつかまないと、社内的に危機感をあおれないという企業さんが大変多いので、その企業のため、でも、それが社会的に公表されたらまた困るんですね。公表する前にまず診断してもらえて、それを社内的なデータとして説得に使えて、アクションを起こすためのきっかけにするような診断というのも認証以外に必要なのかもしれないなというのを、日々、ニーズを聞く中で感じましたというのが1点。
 かつての上司なんですけれども、質問させていただければと思っていまして、ワーク・ライフ・バランス塾の実際の指標をもし今後企業さんが使わせていただくとして、私は今、多くの企業さんはこの指標を使いたくてしようがないんじゃないかなと、実際に、今すごくニーズがあるのではないかと思って、あしたにでも紹介したいと思ったんですけれども、そういった場合には、ワーク・ライフ・バランス塾の方たちの負荷も増えますし、どういった形があり得るのかなということ。
山極氏
今、検討しているんですが、この知的所有権というのは、当社とニチレイと学習院が持っているんですね。ですので、三者が合意すれば、いかようにも使っていただけるんです。ですから、お申し出いただければ、どの道、会議を開く予定です。
小室委員
分析もしていただけるというような形ですか。
佐藤会長
資料1の1の21ページに書いてあります。どなたかに連絡すればいいそうです。
山極氏
ただ、分析するだけのマンパワーがないんですよね。それで、今、整備をしていかないといけないかなということなので、小室さんからお手伝いいただくのもあるかもしれないですね。
小室委員
ぜひ。
佐藤会長
ワーク・ライフ・バランス塾も一応3月31日で解散だったんですね。ですから、そういう意味では、この後続けるところがあるわけではないので、塾長もいろいろなところで使っていただければというふうに今日話されていました。
小室委員
一般の企業さんにとって非常に使いやすいような気がするので、そこの負荷が増えないのであれば、多くの企業に告知したいなというふうに思いました。ぜひまた具体的によろしくお願いいたします。
佐藤会長
ほかにはいかがですか。
高橋委員
16ページのところなんですけれども、政府からの支援をお願いしたいと書いてあるんですけれども、あまりにも抽象的なので、どういうことなのか。例えば、今質問があった、診断に対する補助金ができる制度があってほしいとか、あるいは、認証を受けた企業にとっては、税制上の若干の優遇があるとか、具体的に支援の内容があればお聞きしたいんですけれども。
山極氏
まず、実際、今お申し込みがあっても、それをやる人がいないんですね。ですから、その体制がまずないので、それが今一番困っています。実は35の企業の中でも、それをやりたいと申し込んでいても、動けない状況なんですね。それが一番ですね。
 その後は、できれば、多くの方に使っていただけるには、どういうやり方がいいのか検討中ではあるので、塾としての意見はまとまっていないので、申し上げられないところもあるんですけれども。
佐藤会長
特に政策的に、お金とかそういうことがあるわけではないと。
山極氏
今のところは考えていないんですけれども。
勝間委員
人事評価についてのつながりについてお伺いしたいんですけれども、アンケートをパッと見たところで、年休取得率と、休職時の身分をどうするかという話はあったんですが、ほかにワーク・ライフ・バランス塾でも、評価を設定するところでもいいんですけれども、どうやって強制的にやらせるフォースをつくるかということはどのような発想なんですか。
 例えば、外資系の企業ですと、有給休暇を残すとバランスシートのライアビリティになりますから、使い切れというのが至上命題なんですね。
山極氏
なるほど。そこまではいっていないんですね。実態を調査するだけで精一杯だったのかなという。でも、将来的にはそういうことは必要だなと思います。
勝間委員
ありがとうございます。
佐藤会長
アメリカなんかだったら、財務上の負債なんだよね。
勝間委員
そうなんです。2週間の連続休暇を外資系の金融機関はみんなとるんです。これはレギュレーションで決まっていますので。
佐藤会長
あれは保険の関係なの?
勝間委員
保険と不正の関係です。
佐藤会長
不正のときの保険が、休ませないと保険が下りないのです。
勝間委員
そうです。
板東局長
パワーポイントの資料の8ページのところでいろいろ挙げていただいている中で、先ほど、代替要員の問題は非常に難しいというお話がございましたけれども、実際、企業で比較的先進的な取組をしておられるところ、うまくいっておられるというところの取組はどういうような感じでやっておられるのか、お聞かせいただけますか。
山極氏
これが本当に成功しているというところはまだないんですね。育児時間も含めての話ですね。育児時間と育児休業代替要員。例えば派遣ですとか、パートの方たちをその時期に、その方がいないときだけにというようなことはあっても、それが成功かどうか、まだ判断できない状況ですね。うちの場合、とても困ったのは、店頭に立つ美容職は、特に育児時間を取りたくても取れないということで、夜の営業を有期の社員を入れまして、今600人が登録されたんですが、それでようやくこの4月から全国導入でやる。まだ成果は出ないんですよ。一応テストでやった限りはいいんですけれども。
板東局長
例えば、本部的なところが、人事部なら人事部というところが全体を目配りしながら要員を回すとか、そういうようなこともやっておられるところがあるのか。
山極氏
やっています。玉突き人事をやりますよね。1人抜けると、その後すぐ派遣は入れられませんから、重要な仕事をしたんだったら、それに代わる人とか。だから、結構人事にも異動にも時間がかかってやりますね。そういうスキルみたいなものも上げないといけないんですが、まだまだ人事ローテーションの組み方も、ですから、このワーク・ライフ・バランスをやろうと思うと、人事スキルも上げなければいけないし、いろいろな評価も上げなければいけないし、あらゆるところか、よく言えば、質の方も上がってくるんですね。ただ、まだ目に見えてこれだというのがちょっとないので。
佐藤会長
よろしいですか。
 では、大体予定の時間になりました。お忙しいところをおいでいただいてありがとうございました。

(山極氏退室)

佐藤会長
それでは、後でぜひこの資料を見ていただければというふうに思います。サンプルは少ないと、そんなことはなくて、個人は3,000も集めているので、研究者から言えば十分なサンプル数だというふうに僕は思っています。
 それでは、続きまして、お3方から発表していただいて、続けて御発表いただいて、意見交換というふうにしたいと思います。
 それでは、まず最初に、紀陸委員の方からお願いいたします。
◎ワーク・ライフ・バランス推進に関する日本経団連の基本的考え方
紀陸委員
お手元の資料2をお配りいたしておりますので、これをごらんいただきたいと思います。お手元の資料に沿って説明させていただきまして、ところどころ補足もさせていただきます。それによりまして、いただいている質問項目、1から5までございますが、それぞれ完全にというわけにはまいりませんけれども、項目的には、御説明いたすことによってほぼお答えができるのではないかというふうに思っております。
◎日本経団連とは
 早速ですが、資料2の1ページ目をお開きいただきまして、2ページ目になりますが、「日本経団連とは」とありますけれども、真ん中にございますように、一見、従来から日本経済の大企業だけというふうに言われておりますけれども、業種団体とか地方の団体、こういうところには中堅中小企業も多うございまして、そういう意味では、大企業さんだけではない、中堅中小企業のいろいろな御意見も承っている、というようなことを活動の内容に載せていただいております。
 具体的には、下にありますように、委員会活動を中心にして動かしております。
◎日本経団連の委員会活動について
 3ページ目でございますが、今申し上げた委員会活動が基本でございますけれども、国際的な仕事もやっていますので、全部合わせて61の委員会があるということでございます。特に、下にございますように、ワーク・ライフ・バランスにつきましては、経営労働政策委員会、略して経労委と称しておりますけれども、経営と労働に関する委員会でございますが、そこで大きな方向を論議して、その下に具体的に少子化と労働法規と、それぞれ名前が示すとおりの活動をいたしております。
◎ワーク・ライフ・バランスに関する基本的考え方
 そこで、4ページ目でございますが、日本経団連としてワーク・ライフ・バランスを経営と労働という大きな問題に絡めて経労委で取り上げたのは、ここに2007年と書いてございますが、2006年版の報告、2005年でも実は取り上げております。その段階ではどちらかというと、男女共同参画に絡めてちょっと取り上げまして、今年は委員長が岡村さんに代わられたものですから、ワーク・ライフ・バランスを深堀りをして、しかもこれを全体の報告書の軸に据えようということで、4に書いてあるように、まず、ワーク・ライフ・バランスは何なんだと。何を本当に意図しているんだというと、私どもここの真ん中のところにございますが、2ポツのところでけれども、「ワーク・ライフ・バランスの基本は、人生の目標を達成するための多様かつ柔軟な働き方」、これは単に労働時間、休暇取得に関することではなく、要するに時短の問題だけでなくて、企業労使が新しい自律的な働き方を目指して、それに挑戦するための取組であると。それによって生産性が上がるだろう。それを期待し、かつ、従業員は自己の生活ニーズを満たす。ここが本当の核になるのではないかというふうに思います。
 抽象的にはこれなんですけれども、これのために何をやるかということが、それこそ企業さんによってさまざまな応用動作が出てくるというふうに思っております。
 ただ、ここの下に書いてございますが、これをやるためには、私ども、1つは処遇の公平性。さまざまな働き方と言うからには、さまざまな働きに応じて、それぞれのきちんとした働き方の評価を処遇に結びつけなければいけない。ここが実は非常に大事な問題で、これがセットになっていないといけないだろう。これがないと、理念だけでは広がらない。そういう意味で、中堅企業さん、中小企業さんにそこをどうやって現実具体的にサポートしていくかというのは、非常に難しい問題であろうと思います。
 同じく、従業員の心身の健康への配慮、これもあわせてやらないと具合が悪いだろう。これが同時に重要な事柄になると思います。
◎少子化問題とワーク・ライフ・バランス推進について
 そういう基本認識を受けまして、5ページ目でございますが、今年の3月に、少子化委員会の中で具体的に総合的な対応を求めようということで、実は少子化委員会で第2弾目の報告の取りまとめなのでございますが、国とか自治体に求めることだけではなくて、企業がどういうことをやるべきだということが1つの核になっております。ここでは少子化問題とありますけれども、少子化時代の社会づくりということですけれども、企業は、そういう社会づくりに向けて、ワーク・ライフ・バランスを主体的に推進して、労働力人口減少化での良質な人材の確保と生産性向上とイノベーション、この創出を実現する。
 基本認識は、前のページで申し上げたことを少子化の問題に重ね合わせて、同時に、ワーク・ライフ・バランスの実践が少子化問題の対応、対策にもなると、こういうような認識をいたしております。
◎ワーク・ライフ・バランス推進に向けた企業の行動指針(全10項目)
 そのために、今申し上げたように、企業が何をすべきかということが1つ大きな柱になりますが、6ページ目で、ここでは10の行動指針というものを掲げております。抽象的ではいけないので、10項目の行動指針を提起させていただいております。
 まず最初に、何といってもトップのリーダーシップがきちんと上から下まで浸透していないとだめだということ。かつ、新しい働き方へ挑戦するということは、先行き、企業としての投資というような認識が大事だと。人に対する投資を不可欠だと考える経営トップの認識が大事だ。
 2番目が、メリハリのある働き方の実現。これは、特に仕事の進め方だとか業務配分の見直し。これは時短のこともありますけれども、要するに働き方であります。特に、人事考課・人事評価、従来に比べて効率的な時間管理をちゃんとやっているのか、仕事の効率化ということについて、働き方の見直しも含めてですが、そういうことも評価要素に入れて人事評価を組み直そうという努力をしなければいけないであろう。ここで、さっきちょっと申し上げました処遇制度の改善とか、具体的には、賃金体系の適切な運営。そういうことを頭に置いている内容であります。
 一番下のところが、職場の意識醸成。実はこれも非常に重要で、いろいろな制度をつくっても、大きく職場の中で全体が、仕事のやり方を変えようだとか、長時間労働じゃいけないねとか、そういう意識が共有されないと、絶対無理ですね。大体どの企業でも、あまねく忙しいというのではなくて、特定の部署に偏って長時間労働の波がくるわけでありまして、それをどうやってうまい具合に、波が長期間にわたらないように工夫するとか、基本的にはBPRとよく言いますけれども、そこのところまで踏み込まないとだめなので、よく言われるように、割増賃金を上げたからなくなるという問題ではないだろうと私どもは認識をいたしております。基本的に仕事のやり方を見直すという、そこを徹底的にさまざまな視点を入れてやるということがやはり大事だということであります。
 それから、7ページ目。指標の4になりますが、職場というのは、職場のリーダー、マネジメントがどういう人かということに相当左右されます。非常に保守的な従来の仕事のやり方しかやらないという人と、どんどん違うやり方をやろうという部長、課長とは全然違いますので、核になるのはマネジメントの意識、認識でありまして、ここに対してどういう教育を行うか。これはトップの方の指示もありますけれども、また改めて最近言われております360度評価ではありませんけれども、さまざまな観点からマネジメントの意識改革をやり続けないとだめだろう。
 トップがいくら重要なことを言っても、聞く意欲がないマネジャーとか、聞いても半分ぐらいしか聞けないとか、そういう人は実際はたくさんいるんですよね。これは大事だから聞いてくれといっても、実際に聞いていない人というのは山ほどいるわけでありまして、これを繰り返しやるということによって、現実に職場の意識改革がここの層から始まるのでありまして、ここのところの教育が大事だということであります。
 それから、主体的なキャリア形成。これは個々人の問題になりますけれども、仕事のやり方の見直しというのは、今現在、現時点でどうするかという話ではなくて、自分のキャリア形成を将来的にどうしていくかということに重ね合わせないと実は長続きしない。これはマネジメントもそうですけれども、若い人も女性も皆そうなんですけれども、今やっている仕事をどういうふうに変えていけば、それが具体的に長時間労働の抑制になり、あるいは自分の職業レベルを上げていけるか、そういうこととつながっていかないと、各個人の育成も職場環境の改善も本当に一過性に終わると思うんですね。これをどうやってうまく組み合わせるか。東芝さんはかなりキャリア育成ということに視点を置いてやろうとされておりますけれども、日本の人事管理でこういう点が抜けていると思います。要員管理だとかキャリア育成というのは取り組み課題として抜けておりまして、これからどんどん人が減ってきて、個人の重要性が増してくる時代に、こういうところをもっと意識的にやるような、これこそ会社にとって大事な課題であろうという指摘であります。
 6番目が女性の就労継続支援と再雇用の推進。これは、いろいろなところでお取組みでしょうけれども、これも要するに、単に子育てということだけでなくて、上のキャリア形成とも絡みますけれども、女性についてもさまざまな働き方を推進して、それを全体でサポートする、そういうような仕掛けが重要だろう。
 その下は、次世代推進法の行動計画が具体的に動き出しておりますので、認証マークもかなり皆さん意欲的な感じでございますので、こういうことをてこにPDCAのサイクルをきちんと回していきましょうと。これは大企業さんはある程度仕掛けがつくりやすいでしょうけれども、これから、今、努力義務の世界になっている中小企業さんにこれをどうやって広げていくかということが大事だろうと思っています。
 8ページ目でございますが、8番目が社会全体にということで、これはまさに国民的な運動ということになるかもしれませんけれども、ここのところは我々もそんなに知恵があるわけではないんですが、基本的には、企業が自らやることが核になりますので、それをどうやって外から支援して、企業自体も自分のやっていることを外に発信していくかということですね。発信していくことによって社員もついてくるとか、そういうような関係になります。
 9番目は、創意工夫を生かした取組。ここは改めて全体をくるんでおりますが、特にマネジメント職に対して、ここは各社さまざまでありますから、メーカーさん、非メーカーさん、非メーカーさんでも労務構成が相当に違う業界がございますので、時間管理を効率化するといっても、言葉ではこうなんですけれども、どうやってその中に創意工夫を取り組むか、あるいは職場のコミュニケーションもそうですけれども、組合のあるなしによって全然コミュニケーションのやり方も違います。こういう仕掛けを、結果として生産性向上が後からできるわけでございますけれども、教育の問題でもそうですが、本当にここはいろいろな誘導策が必要なので、まさに創意工夫を生かせるのが、今後、統一標語のワーク・ライフ・バランスだろうというような認識が背景にあります。
 10番目が企業間の連携推進。これは1社1社でできませんので、具体的には、企業グループがあれば、その中でということもありますし、グループを超えて、あるいは地域の中で幅広いネットワークをつくる。いろいろな異業種交流の世界が今既にありますが、そういうところを通じてネットワークをつくっていく。さっき山極さんが言われた35社のネットワークも、そういうのがだんだん広がっていくとか、35の会社はそれぞれ大きいですけれども、その下にもまた企業グループがあるんでしょうから、そういうところを通じて宣伝をしていくということだと思います。
◎行政等に期待すること
 ちょっと時間がオーバーぎみですから、最後、9、10、11は、行政に対する期待でございますが、基本的に私ども、国民的な運動を言っておりますけれども、上のところにありますように、これは当然でしょうけれども、規制を強めて法律によって一律的に云々ということじゃないだろう。やりやすくするということが目的なので、あくまでサポートが行政の役割であろう。
 ただ、労働時間にかかる規制改革の推進とありますが、ここで、実は私ども、裁量労働とかフレックスとか変形とか書いてありますが、ホワイトカラーエグゼンプションが抜けている。これは仕切り直しをして論議をいただきたいと思いますが、自己管理型の制度を1つ選択肢の拡充として入れる。これはこの中にワーク・ライフ・バランス的な意図を込めております。さっき申し上げた評価ですとか健康管理だとか、そういうものをセットにして、いわゆる労働時間規制のない働き方を目指す。これは個人の自立とかそういうことにもつながりますので、こういう仕掛けはぜひとも必要なので、ここは行政にお願いしたいということでございます。
 あとは補足的に、御質問があれば答えさせていただきたいと思います。
◎日本経団連としての当面の活動について
 こういうようなことを目標にして、私どもとして、10ページ目でございますが、各界に働きかけをする。当然ながら、会員企業・団体に粘り強く、いろいろなチャンネルを通じて重要性の認識を深めていただくよう働きかけていきたい。
 国民運動として、これも繰り返しですけれども、そういう認識を広げてさせていただく。
◎ワーク・ライフ・バランスを推進する企業・組織を社会的に育てるには
 11ページ目は、全体の締めくくりでございますが、やはり個人一人ひとりがどこまで認識していただくか。これが最重要なことでありますので、企業が、あるいは政府が、あるいは地域がということになりますが、それぞれ構成員に対して意識改革をやり続けることだというふうに思います。そんなことを全体の締めくくりにさせていただいております。
 以上であります。
佐藤会長
質疑応答は後ですけれども、幾つか追加的な情報で、経労委報告でワーク・ライフ・バランスがタイトルというか、副題に入ったということですよね。表紙に載るような形で出ているという意味ではかなり画期的なんですね。
紀陸委員
そうです。新たな働き方の推進をということです。
佐藤会長
そこに入っているんですよね。そういう意味で、岡村委員長は東芝で社長のときに、基盤整備をやられという経緯もあったのだと思います。
 あと、少子化の10の行動指針ですが、ここも少子化問題だけれども、子育て支援とか少子化対策じゃなくて、ワーク・ライフ・バランス推進というふうに言われたところも僕はなかなかよかったなと思っているんです。その辺はまた後で議論させていただければというふうに思います。
 それでは、続きまして、植本委員から御報告をお願いできればというふうに思います。
◎ワーク・ライフ・バランスの推進について
植本委員
御報告の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 実は、5月の末であればもっとよかったなと思っておりまして、といいますのは、今、さまざまなところでワーク・ライフ・バランスについて議論が深められようとしているんですが、それぞれのところで少しずつ考え方についてずれているのか、いないのかということも含めて、そして私たち労働組合サイドとしてどのように考えていくのかということを、今ちょうどその考え方をまとめる骨子案をそれぞれの構成組織に投げかけて、5月22日の中央執行委員会のところで考え方の整理をしたいということを考えておりまして、そういう意味では、今はまだ連合としては、議論途中の考え方を御紹介をさせていただくという前置きをさせていただきたいと思います。
 1番目のワーク・ライフ・バランスについての連合としての考え方とこの間の取組みということは、そういうことを前提にお読みいただきたいと思います。
◎1.ワーク・ライフ・バランスについての連合としての考え方とこの間の取組
 今申し上げましたように、働き方の二極化の中で、仕事と生活の調和ということが非常に求められている。しかし、それが少子化対策とか子育て支援に集中するような狭い意味でのやり方になってはならないと考えております。もう1つは、ワーク・ライフ・バランスについての考え方の整理の仕方いかんでは、部分的な、それぞれの切り分けられた個別の政策で整理されていけば、現状の二極化の中でのアンバランスを助長することにもなりかねないと考えていまして、そういう点で1、2、3と考え方を整理させていただいています。
 すなわち、トータルな働き方の見直しや全体の仕組みを変えていくということが大事で、個人の自助努力の支援に矮小化されるようなことがあってはならないと考えています。2つ目には、ワーク・ライフ・バランスについては、少子化対策に強い動機づけがありましたが、そこから派生して、仕事と生活の調和を追求していくということが必要ではないかと発展をさせていく考え方、そして自律的な働き方が必要であるというお話がございますけれども、もう一方で、労働時間管理や労働時間規制の適用除外をさらに拡大するということ、このことを今御紹介がありましたワーク・ライフ・バランスの問題も含めて、ここは自律的な働き方というところとはほど遠い現状があるということをしっかりと見据えた対応が必要でないかと考えております。
 そういう意味で、対比表的に、狭い意味での調和と広い意味での調和というところについて、広い意味での調和というところに整理がされていくように期待をしているということを図式的にお示しさせていただいているのが1ページ目でございます。
 そして2ページ目の一番上の(2)で、この間の連合の取組でございますが、後ほど資料で運動方針等や要求内容の抜粋をした一覧を資料につけておりますので、お時間のあるときに見ていただけたらと思います。1つは、均等法の改正要求として、働き方の問題が重視されるのではないかということで、目的や理念、そして基本方針のところに、仕事と生活の調和ということをしっかりと盛り込む、そういう法改正であるべきだということを2004年のときに考え方を整理をし、この間の均等法改正の審議会等への意見反映を行ってきたところでもございます。
 それから、春季生活闘争のところで、これが集中的に企業との関係でさまざまな議論をする場でございますから、そこの基本要求の項目に仕事と生活の調和を設定して、各構成組織での取組を要請したということがございます。
 さらに、連合組織内での取組として、次世代育成支援策の行動計画の手引書を連合として作成して、それぞれ労使で交渉するときに、この手引書に基づいてしっかりと計画をつくるようにということを連合として進めました。それを活用してしっかりと交渉したところは3分の2ぐらいにとどまっていまして、すべての構成組織でできたということではないので、今後の課題としても考えているところでございます。
 それから、男女平等参画を推進するための行動計画を連合としてもつくっているわけでありますが、そこの中にもしっかりと仕事と生活の調和の観点からも男女平等参画の必要性、そしてまた、各交渉組織、単組での取組の必要性を説いているところでございます。
 それからもう1つは、支え合い基盤の拡充でございまして、NPO事業の活性化とか、その支援策や、地域におけるワンストップサービスの支援事業などをこの間強化をしていくという形で、地域における生活の大事さを訴えているところでもございます。地方連合の中の地協というところに専従者を置いて、地域でのワンストップサービスを対応できるような、そんな仕組みを今努力をして、計画的にやっていく初年度が経過したところでございます。
 もう1つは、これから働く、時代を担う若者への働きかけということで、大学への寄附講座を設定いたしておりまして、これは2時間ですから2単位ですか、その分の予算を寄附をして、そしてその講座をやっていただいて、その講師に我々がなるわけであります。その大学から出していただく費用を逆にこちら側から寄附をしてやっているという寄附講座を開設して、東京と京都でそれぞれやらせていただいているところであります。
 以上が連合としての取組のこの間の一端でございまして、そういう連合トータルの取組の中で、その提起を受けて、またそれぞれの労働組合の必要性というところから2.のところで産別と単組における取組の例、2つについて事例報告をさせていただきたいと思います。
◎2.産別・単組における取組例 (1)フード連合とキリンビール労働組合
 1つは、フード連合とキリンビールの労働組合の例でございます。
 フード連合というのが産別組織で、2003年からの運動方針の中で明記して、男女平等推進委員会などの啓発事業を毎年産別としては実施されてきていると。そういう中で、その傘下のキリンビール労働組合の取組を資料に紹介させていただくということで入れさせていただきました。
◎キリンビール労働組合でのWLB実現に向けた取組
 資料3-2、キリンビー労働組合でのワーク・ライフ・バランス実現に向けた取組でございます。
 1つは、単組の運動方針の重点課題に位置づけたということと、取組の事例として、長時間労働の課題解決と仕事と育児・介護の両立に向けた環境づくり、そして風土の醸成というこの3つの視点から取組がされているということで、3ページ目のところに、その重点課題としての具体的なワーク・ライフ・バランス、とりわけ長時間労働の課題解決と仕事と育児・介護の両立との環境づくり、この2つの重点で労働組合として取り組まれています。とりわけ実労働時間短縮に向けた取組というのが4ページと5ページにございます。
◎事例その1:長時間労働の課題解決
 5ページのところに、Work Life Balance45分というのがあります。こういう工夫の仕方もあるということでの御紹介でございますけれども、1日45分短縮をさせよう。これは実労働時間であります。平均45~50時間、所定労働時間超え、いわゆる残業があるという営業部門において、まず30時間にしよう。30時間にするためには、1日45分を切り詰める仕事のやり方をやろう。そのことによって生活を豊かにしていこうという呼びかけをして、その取組が、これは実際に実労働時間の短縮として、傾向として出てきていますが、この取組の成果かどうかというところまでの検証はまだできていないということでありますが、一定の短縮の努力は行われております。
◎事例その2:仕事と育児・介護の両立
 そして、仕事と育児の両立に向けた環境づくりについては、6ページのところに労使委員会の設立ということがございます。労使でそこのところをしっかりと議論をして、次世代の行動計画の策定についても、労使委員会のところで考え方をまとめて合意をしてやっていくという取組が行われております。
◎キリンビール株式会社育児支援制度の概要
 それがキリンビール株式会社育児支援制度の概要と3-3で出ております。さまざまな制度が整理されていまして、そこで注目していただけたらというのが、真ん中の右の方のところに、会社、上司と総務と本人と三者面談で、育児休業で休むということについての具体的プログラムについて議論をして、そしてそのことの実効性が上がるにはどうしたらいいのかという話し合いがしっかりと行われているという事例の御紹介をしておきたいと思います。
◎事例その2・3:仕事と育児・介護、広報
 そして、パワーポイントの印刷分7ページのところで、組合と企業のトップから、双方から発信をしていくという形で、従業員、組合員への呼びかけを、「WLBな組合って?」と、委員長と社長の対談を組合として呼びかけて、推進をしていっている取組の事例を御紹介を申し上げたいと思います。
 したがって、長時間労働を解決するための具体的な取組と、仕事と育児・介護の両立、この環境づくりが労使で進めていくということについての成功事例として御報告を申し上げておきたいと思います。
 (2)電機連合と松下電器労働組合連合会
 あわせて、2番目に、電機連合と松下電器の労働組合連合会の取組でございます。
 これは資料をおつけしておりませんで、概略だけ申し上げておきたいと思います。電機連合は、2005年の10月に「21世紀ビジョンに関する研究会」というのを立ち上げまして、そこで仕事と生活の調和に関する調査が行われました。ビジョン研究会報告が2007年4月に出されて、大変長大なページ数なもので、きょうはお持ちすることができませんでしたが、ここに参加いただいております武石先生もこのチームの中に加われて、一緒に研究されたとお聞きしております。
 その中で、この調査結果を踏まえて、今、21世紀ビジョン案を策定されて、ワーク・ライフ・バランス5カ年プログラムを電機連合として作成する予定がされていまして、この2つを合わせて今年の7月の大会で方針化をしていくというスケジュールを描いておられるというのが産別としての電機連合です。その傘下の松下電器労働組合連合会の取組については、具体的な実施内容については、先般、到達点については永木委員の方から御報告をいただいたわけでありますが、そういう到達点を迎えることができたということについても、労働組合として2000年から労使協議を行ってきて、そして労使で進めていこうという取組のもとに、直近では今年の4月1日、労働協約化で在宅勤務の問題についても整理が行われて、労使で進めていく、そして点検、チェックをしていくというスクラムの組み方ができているところが、いい実践例として御報告ができるところです。キリンビールと松下電器労働組合が、それぞれ労使のスクラムで実践をしていただいているということを御報告申し上げておきたいと思います。
◎3.仕事と生活の調和の取組の意義と視点、連合の基本的考え方
 そういう産別・単組、幾つもいい取組があるわけですけれども、その一端を御紹介させていただいた中で、今議論中の考え方でございますが、1つは、男女両性の権利としての調和の問題、働き方の基準づくりとしての調和の問題、経営メリットとしての調和、そして社会関係としての調和という、4つの点での整理をしていくことが重要なのではないかと考えて、今、その中身について議論をし始めている最中であります。
 3ページ目のところに少し書かせていただいておりますように、このワーク・ライフ・バランスの実現については、単なる時間配分の見直しだけではなくて、個人と企業、地域、家族など、さまざまな社会生活のバランスの見直しということが不可欠ではないか。そのためには、支え合いのネットワークの再構築ということについても必要なのではないかと考えているところであります。
 とりわけ、男女双方にとっての調和ということでいけば、男性の働き方の見直しということが大変重要でございますので、そこのところで社会の仕組みや企業の慣行、個人の意識などの変革ということが大変重要ではないかと考えております。こういう点での考え方の整理をしていきたいと考えています。
◎4.行政等への期待すること:狭い意味の「子育て支援」「少子化対策」を超えた取組
 4点目に、行政等への期待することであります。これは冒頭申し上げましたように、狭い意味での子育て支援と少子化対策というところを超えた取組が重要であると考えていまして、9点、項目としては、生活時間の問題。生活時間をどう拡大させていくのかということでの労働時間法制等への具体的な考え方を整備をしていくことが大事だと考えています。
 2つ目に、暮らしに合わせた柔軟な働き方。これは労働時間の選択権ということも含めて、柔軟な働き方についての選択権がそれぞれの労働者が行使できるような環境整備が必要ではないか。その中で議論にも出ております評価基準の見直しなども大変重要になってくると考えています。
 3つ目に、労働条件の均等待遇、底上げ。この点についてのルール化ということも重要な課題であると考えています。
 4点目には、税・社会保障制度の見直しの問題。そしてさまざまな諸施策のさらなる推進と、5点目に子育てや介護などの社会化を推進していくという、そしてその中には6点目の地域のネットワークの整備の問題も含まれているだろうと考えています。
 7点目に、生活インフラの公的整備。これは介護等を考えてみれば、住宅、医療、その点についてのサービスの問題等についても重要ではないかと考えています。
 8点目に、教育の場での社会性や家族観、この点についての醸成の問題。さらに、9点目に消費者への啓発というのが行政等への期待することでございます。
 これは企業も含めて、また経営者団体も含めて、9つの点をトータルにそれぞれの役割分担を果たしながら、実行していくことが大事ではないかと考えます。
◎5.ワーク・ライフ・バランスを促進する企業・組織を社会的に育てる取組
 そして、ワーク・ライフ・バランスを促進する企業・組織を社会的に育てる取組というのはどういうものがあるのかということでありますが、1つは、インセンティブを与えるためにどうするのかという先ほどの議論の中にもございましたが、公契約について、公契約条例や総合評価システムを導入していく。例えば、公契約や総合評価システムのところで、男女平等参画に関連して、女性の企業の比率を提出書類の中に入れて点数を入れるとか、環境問題についての点数加点をするとか、障害者雇用についての加点制度とか、総合評価について、さまざまに公共入札の中で行われています。それをワーク・ライフ・バランスという切り口から総合評価の加点制度ということを公契約の中に採り入れていくというような工夫が育成のためには必要なのではないかと考えます。
 もう1つは、企業内保育所などの推進企業への促進策が、これは多分先日御報告の中でも補助金の額が非常に少ないというお話もあったかと思います。その辺のところも含めて進めていく。それから、優良企業の公表など、また認定マーク、連合の方で行っています寄附講座は学生にとっては非常に意味があると思いますので、大学の就職支援講座の中で、その点について彷彿させるような講座内容を行っていくことが必要ではないか。
 それから、企業のコマーシャルのあり方の見直しなどもやっていっていただけたらと考えております。
 以上でございます。
佐藤会長
どうもありがとうございます。
 確認なんですけれども、1ページ目の整理は、連合として、まだ確定ではなくて。
植本委員
今議論をしている最中の。これで公表しましょうということではなくて、たたき台として、今構成組織で議論しているところです。
佐藤会長
伺うと、日本経団連とそんなに差はないかなという気もしないではない。怒られてしまうかもわからないけれども、その辺はまた後で議論しようと思います。どこが差かと。
 それでは、最後になりましたけれども、岡島委員の方から御報告をお願いいたしたいと思います。
◎埼玉県におけるワーク・ライフ・バランス促進の取組
岡島委員
それでは、資料の4でございます。「埼玉県におけるワーク・ライフ・バランス促進の取組」について御説明したいと思います。
 1ページおめくりいただきまして、まず、埼玉県の特徴を簡単に御説明申し上げます。
◎1 ワーク・ライフ・バランスの現状
 埼玉県は、比較的若い人が多く、子どものいる世帯では核家族が多い。子育て期の男性は長時間働いていることが多い。東京などへの通勤者が多いという状況がございます。
 それから、県内の企業を見ますと、中小企業が23万6,000事業所ということで、中小企業が大変多うございます。
 次のページへいきまして、それでは、企業におけるワーク・ライフ・バランスの現状はどうかということを調査の結果で御紹介しますと、左上が仕事と育児の両立支援制度の整備状況、その下が仕事と介護の両立支援制度の整備状況です。ここで制度と言っていますけれども、就業規則に定められたものだけではなくて、事実上のものも含んでいます。
 ごらんのとおり、中小企業は大企業に比較して整備、取組が遅れているという状況になっています。
◎2 県内企業の取組事例
 次のページから、幾つかの企業につきまして御紹介させていただきます。中小企業中心でございます。
 まず、A社でございます。製造業でございますが、創業時に男性の採用が難しかったということから、主婦のパートを採用しまして、現在も9割は女性のパートです。ということで、必然的に子育てしやすい環境の整備を図らなければならなかった状況にございまして、子どもの学校行事とか家族の記念日に休みをとるということを奨励するとか、学校帰りの子どもに会社の応接室を開放するといったようなこともしています。現在では、パート社員から役員も出ている状況でございます。
 そして、社長さんは、従業員のそれぞれの能力を見つけて活用することが社長の仕事だということをおっしゃっています。
 次にまいります。B社。菓子製造業です。
 8割が女性ということで、女性が働き続けることのできる環境づくりというものを進めているということで、当然、就業規則で育児休業とか勤務時間の短縮、その他いろいろ規定していますけれども、それだけではなくて、アンケート調査をして、パートについては、午前・午後の選択制にする、可能な部署ではフレックスタイム制を導入するといったようなことも取り組んでいます。家族を大切にするということで、誕生日休暇とか、あるいは1週間の連続休暇を取得できるようにする。それを単に絵に描いたもちにしないために、会社の手帳を出していまして、そこにあらかじめ長期休暇なんかは具体的な名前も書き込んで、そういうことによって制度がきちんと生かされるような取組を進めています。
 そのほか、女性、男性を問わず、残業時間を少なくするといったような働き方の見直し、それから、急に子どもが発熱したということで休んだ場合の対応などで、ここに書いてございませんけれども、1人3役制度、自分の部署だけではなくてほかの部署もカバーできるような仕組みも入れているということです。
 経営姿勢としては、人が生きる経営を追求していくということをやっておられます。
 次のC社でございますが、ここは、平成5年設立のソフトウェア開発の会社です。優秀な女性に長く活躍してほしいということで、枠に書いてあるような取組をしています。
 ここでお聞きしたことなんですけれども、プログラム開発ですと、相手の企業に行って作業をするようなことが多くて、相手先の企業の理解がないと、ワーク・ライフ・バランスを自分の会社でやろうとしてもなかなか進まないということがあると。それから、大変競争が厳しい業界で、非常に短い納期での作業も多いということで、実は非常に苦しいんですよというお話をされていました。そこはチーム制ということでカバーし合える体制を組んでいるというお話でございました。
 次に、D社にまいります。ここは、水道工事とか空調設備といったような建設業です。ここは、社長さんがおっしゃっていますけれども、社員が少ない中小企業だからこそ、人材が経営を左右するんだということで、社員の人材開発といいますか、スキルアップに対して非常に熱心な取組をされています。
 それから、育児休業中の場合は在宅勤務ができるとか、男性の、配偶者の出産の場合に、5日間の休暇がとれるようにするとか、いろいろな取組をされています。女性だけではなくて、男性の働き方の見直しが大事だということなんですが、どうしても親企業、現場職なんかは特にそうだそうですけれども、親会社が導入しないと、下請の方はなかなか難しい面がある。あるいは、下請企業に対するちょっとした配慮によって、もう少し休暇も取りやすい環境になりますというお話をされていました。
 それから、E社。これは、額縁などの販売業ですけれども、ここは、中小企業というのは優秀な人が集まりにくいので、採用した人を大事に育てたいというお考えのところです。
 お産のお世話といったような、非常にプライベートなといいますか、仕事で必要なこと以上ないろいろな配慮をしているということでございます。
◎3 県内企業の取組の特色
 そういったようなことをいろいろ調べたりお聞きしたりしている中で、9ページ目でございますけれども、県内の中小企業の取組の特色をまとめてみました。
 中小企業というのは、男性の新規採用というのが難しいということで、女性とか、あるいは主婦のパートの採用が多くなります。ということで、特に子育て期などにワーク・ライフ・バランスに配慮する。そうしないとやっていけないという事情がある中で進めてきたという経緯がございます。
 それからもう1つは、職住近接ですので、経営者と社員が同じ地域社会にいるということで、今度の金曜日は学校で授業参観があるとか、そういったことがわかるので、配慮しやすい。あるいは、経営者と社員の距離が短いので、家庭の事情まで目が届く。あるいは、社員の個性に応じた能力開発などを進められやすいということがあります。そういう中小企業のいい面も含めてワーク・ライフ・バランスを進めざるを得ない場合と、進めやすい面、両方あるように感じました。いずれにしましても、経営者の方の意識とか経営の理念と相当関連している感じがいたします。
◎4 ワーク・ライフ・バランス推進への課題
 次のページでございますけれども、そういう中で課題はたくさんあると思うんですけれども、特に中小企業の方たちのお話の中で感じたことを言いますと、中小企業ということで、女性が中心ということで、女性の働き方の見直し的なところが多いんですけれども、男性の働き方の見直しということへの働きかけというのをもっとしていく必要があるだろうということ。
 それから、中小企業の場合は、親会社、取引先企業でワーク・ライフ・バランスの取組を進めることが必要ですし、下請などに対する配慮が必要であろうということです。
 それから、経営者などトップの意識改革が重要ということです。
◎5 ワーク・ライフ・バランス促進に向けた埼玉県の取組
 次に、11ページからですけれども、そのような状況も踏まえまして、現在、埼玉県でワーク・ライフ・バランス促進に向けてどういう取組をしているかという御説明をします。
 左側の枠は、個別の企業に対する働きかけを幾つか書いてございます。
 それから、そういう個別の企業でワーク・ライフ・バランスを促進するに当たって、どうしても社会的な環境整備が必要でございますので、それを右の上の枠に書いてございますけれども、保育所の整備をはじめとする子育て環境の整備とか、あるいは介護環境の整備、あるいは社会的な意識の醸成ということで、啓発を進めるということ。
 それから、隗より始めよということで県庁内の取組ということがございます。このうちの企業での取組を促進するためにどういうことをしているかということを中心にこれから御説明します。12ページでございます。
◎企業における整備に向けた働きかけ1
 まず、ワーク・ライフ・バランス推進員をそれぞれの企業の中で、企業の総務とか人事担当の方を推進員として県に登録していただくということをしています。その方たちに向けて、県からはいろいろな情報を発信しますし、いろいろな問い合わせの窓口になっていただくということです。
 それから、ワーク・ライフ・バランス推進員を登録した企業を県庁のホームページでPRしています。
 そして、その推進員の方には、それぞれの企業の中でワーク・ライフ・バランスを推進する取組をしていただくということで、3月末現在で510社登録していただいています。
 次に子育て応援宣言企業がございます。トップの意識が大事だということで、企業の社長さん方に、子育てを応援するための取組を宣言していただくという取組をしています。
 宣言内容は、別紙に書いてありますが、子育てしやすくするための取組から、男性の育児休業とか、年休取得とか、下の方にいきますと、社会参加活動的なことも含めて書いてございます。こういったようなもので幾つか宣言していただくということです。
 そういう企業につきましては、県のホームページでPRもしていますし、幾つかメリット措置も講じていまして、それはまた後で御説明したいと思います。
◎企業における整備に向けた働きかけ2
 それから、次、13ページでございます。
 トップの意識改革が大事だということで、県の経済団体トップと知事の共同宣言というものを昨年の10月にいたしております。その中で左側の枠の下の方の○のところにありますけれども、仕事と育児が両立できる環境整備をしましょうとか、働き方の見直しによる仕事と生活の調和を図りましょうということを経済団体トップと知事で共同で宣言しています。こういうことを受けまして、それぞれの個別の企業が取り組む姿勢もさらに変わっていくものというふうに考えています。
 それから、優れた取組をしている企業に対する表彰制度がございます。さいたま輝き荻野吟子賞というのは、どちらかというと男女共同参画という視点からの表彰制度です。今年度はこれから具体的なところを決めますけれども、仕事と家庭の両立支援をする企業の表彰制度を行うこととしています。
◎企業における整備に向けた働きかけ3
 もう1枚おめくりいただきたいと思います。ワーク・ライフ・バランス促進に向けた取組をしている企業に対しましての優遇措置としまして、入札の参加資格の格付におきまして、ポイントを加算するということをしております。
 それから、制度融資で、中小企業を対象とする運転資金、設備資金に対して低利融資を行うという優遇措置を行っております。
 それからもう1つ御紹介したいのが、?都県市共同キャンペーンというものでございます。これは、東京、埼玉、神奈川、千葉の4都県と、横浜、川崎、千葉、さいたま市の政令市4市の知事、市長が集まって行う会議なんですけれども、昨年の秋のこの会議の場で、私どもの埼玉県知事から、ワーク・ライフ・バランスを促進するためのキャンペーンをしようという提案をしております。埼玉県は、就労者が350万人いるんですけれども、そのうち100万人が都内などに通勤していますので、県内だけの取組では十分ではない。それから、先ほど申しましたように、中小企業が多うございますので、親会社に当たるようなところにももっと取り組んでいただきたいということで、共同でやろうということを提案しています。5月ぐらいになりますと具体策が決まりまして、多分秋ごろに実際にキャンペーンをすることになると思います。
 次は県庁内の取組でございますが、これは説明は省略させていただきます。
 以上でございます。

質疑応答

佐藤会長
中小企業の取組、県としての支援、非常に興味深いもの、どうもありがとうございます。
 それでは、質疑応答ですが、しかし、もう一個議題もあるので、できれば20分ぐらいで質疑応答というふうに思いますので、質問が多ければ、少しまとまって出していただいてというふうにしたいと思いますし、どなたからでも質問があれば。
鹿嶋委員
私の方も、昨年、運動体としてワーク・ライフ・バランス推進会議というのができて、北浦委員のところに事務局があるんですけれども、定期的に幹事会を開いているんですけれども、この間、そういう会合があった席で、ワーク・ライフ・バランス、これだけ言葉としても周知していろいろな会議ができてくる中で、むしろ埋没してしまうようなこともあるのではないかという議論が出て、運動にならないと。どうすればいいのかと、大ざっぱにそういう議論をしたんですが、そこで紀陸さんにお伺いしたいんですけれども、企業の理解というのが一番大事だと私は思っているんですが、山極さんは、企業のインセンティブの1つの手段として、もうかるということの強調ということをおっしゃった。
 もう1つは、紀陸さんの資料の中にもあるように、少子化の問題ですね。この間の幹事会の議論の中でも、少子化がこれだけ深刻でなければ、こういう動きというのは出なかったんだろうという議論が出たんですが、少子化という問題をクローズアップしたほうがいいのか。これについては、組合の植本さんの方は、そうじゃないんだという趣旨のことも言っていたんですが、それが第2点。
 それから、そのほかに考えられるのは、今それが社会的な使命なんだとか、さらには、男女共同参画の理念と、これは経団連の昨年の報告は、男女共同参画の理念を踏まえて、ダイバーシティ云々というふうな文言がありました。ワーク・ライフ・バランスというのも広い意味でのダイバーシティの一環だと思うんですが、そのあたりは経済団体としてどういうふうに考えるのかということをお伺いしたいのと、もう1つは、トップの理解というのは非常に大事だと思うんですね。ただ、あの資生堂も2003年時点では、ワーク・ライフ・バランスといっても、君たちが単なるゆとりが欲しいんじゃないかといったような経営者層の理解でしかなかった。これは経済団体としてどういうふうに特区に落としていけばいいのか。その2点をお伺いしたいんです。
佐藤会長
関連して伺いたいのは、今回の経労委報告に入ったわけですけれども、入る経緯、かなり中でも議論があったようだというお話を伺っていますので、その辺のどんな議論だったかということですね。それともう1つは、少子化対策の委員会ですが、少子化対策と言わずに、かなり広くワーク・ライフ・バランスというふうに最終的にはまとまったようですが、その辺の中での議論ですね。その辺も関係して伺えればというふうに思います。
紀陸委員
これはまさに原理原則の論議のところですけれども、ワーク・ライフ・バランスというのは日本語じゃないわけでありまして、ファミリー・フレンドリー企業からワーク・ライフ・バランスという言葉へ、アメリカからイギリスへ渡って、ヨーロッパで広がって、またアメリカがそれを受け取って、言葉の動きとしてはそうですよね。それが政府の施策として日本の中に入ってきた。次世代育成なんかもそれをバックボーンにしています。
 ワーク・ライフ・バランスという言葉をどういうふうに企業として受けとめているか、何のためにこれをやるんだという、一番はそこなんですね。これは、連合さんとも温度差があるというのは、この言葉をどういうふうに受けとめて、それを何に使うか。まさにそこにかかっているんですよ。大きく言うと、男女共同参画。基本はつながっているんですけれども、大きな方向としては男女共同参画、それから、少子化対策、長時間労働、これが基本的な、どっちかというと企業でない方々の受けとめ方から始まっているんじゃないかと思うんですね。
 ところが、企業にとっては、企業というのはそもそも考えてみると、少子化対策を何かやろうとか、企業というのはどう考えたって、会社の仕事をやっていて付加価値を上げるというのが最大の目的ですよね。その付加価値増大のために何か裨益するところがあれば、何かというか、裨益するところがあれば、この考え方を採り入れよう。当然そうなりますよね。
 では、どこにつながるのか。少なくとも順序としては、男女共同参画というのは、男女を問わず職場の効率性を上げるという観点から、一昨年、我々はそれを取り上げたんですね。今年は、さっき佐藤先生おっしゃられたように、考えてみると、男女というだけじゃなくて、別に男だ、女だと言わなくて、社員全体の効率性を上げるために何をしたらいいんだろう。これは先ほどのキャリア形成ですとか、仕事のやり方のBPR見直しの点だとか、いろいろなものが入ってくるわけですね。だから、ワーク・ライフ・バランス化ということを言って、その下にいろいろな施策がついてくる。しかも、その行き着くところは、一言で言うと生産性向上ですよね。ワーク・ライフ・バランスと効率向上の間にいろいろな仕掛けがついているわけですね。そこのどこに軸足をというか、重しを置くか、それが企業の応用動作もいろいろあるわけでして、だから、入口と出口は同じなんですよ。入口は、ワーク・ライフ・バランス、出口は、ねらいどころは効率性アップ、向上。この間にいろいろなことがあるから、そこは大企業であれ、中小企業であれ、メーカーさんであれ、非メーカーさんであれ、この中でいろいろなことがあり得るだろう。会社で、さっき申し上げた男女共同参画、これはいけませんよ、企業はやらなくていいです、それはよけいなことですが、やりたい企業はやってもいいでしょうし。でも、それをやることによって生産性向上ができると思う会社さんは、それを標語に掲げるのも結構。私どもはそういうつながりになるんじゃないかと思っているんですよ。
 それがゆえに、トップなりその会社の従業員が、我が社のワーク・ライフ・バランスは何をねらってやっているんだと、そこのコンセンサスがないと、バラバラになってしまう。そこのメッセージをトップが出して、さっきのマネジメントの中間管理職の方々とか従業員の方々がそれをどうやって受けとめて、何のためにこれをやるんだと。そこの共通理解がないと、実はやりようがない。やってもすぐ瓦解してしまうんだと思うんですね。
 だから、そういう意味で非常に難しいけれども、便利な言葉であるわけですね。だからみんな飛びついていて。これをくるむ、何かいい……。本当を言うと、これを使いたくなかったんですね。だけど、だんだん膾炙してきて、最初は、仕事と生活と調和というので、経労委報告も書いていたんですけれども、できるだけカタカナ語はよくないというのが前からありまして、途中からは、もうそんなことを言わなくもいいだろう。ワーク・ライフ・バランスも相当に流布しているから、最初にカタカナ語で、括弧で日本語でいけとか言う方もおられて。
 でも、片方では、これは要するに時間短縮の改革だという受けとめ方が非常に多いんですね。もう1つは、少子化対策。それは企業がやることじゃないだろう。全体にやるにしても、これを従業員管理だとか、経営の姿勢の中に、キーワードの標語として入れる必要が本当にあるのか。今でもかなりありますね。
佐藤会長
そこはある程度整理がついたわけですね。別に企業はワーク・ライフ・バランス……。
紀陸委員
経労委のメンバーの中では、あまねくほかのすべての会員企業が中堅中小企業も含めてイエスかというと、そうではないだろう。そのところをどうやってこれから理解を広げていくか、まだこれからというふうに思っておりまして、PRを続けていきたいと思います。
鹿嶋委員
行動指針の中にないけれども、頭のどこかには少子化というのはあるんでしょう。
紀陸委員
もちろんそうです。
佐藤会長
途中段階の報告を聞いたときは少子化対策でした。ところが、途中、やっぱり落ちたんですね。
紀陸委員
少子化対策というのは、私ども、国民運動としてやるべきだということですから、その中で企業がやるのは、こういう活動を通じて少子化対策に資するといいますか、そういうつながりだと思っています。これをやることによって、国民運動の一環としての企業の役割を果たす。それがまさに国全体としての、社会全体としての少子化対策を推進する手立てだろうというつながりで理解しているんですね。
北浦委員
対策としてはやれないと。そのとおりだと思うので、ただ、少子化というバックグラウンドに対してやらざるを得ない、それはあると思うんですね。そことの違いじゃないかと思うんですね。
佐藤会長
僕、かなり大きいと思うんです。ワーク・ライフ・バランスを企業として取り組むことは、結果的にそれが少子化問題の解消に役に立つというふうにかなり変わったら大きいことかなというふうに外から見ていて思っていました。
紀陸委員
特区の話は、いろいろな意味で規制改革を調べていますから、ただ、さっき言った理解なんです。それぞれの地域地元の企業さんでどういうふうな受けとめ方をするか。ある特定の地域でこれが必要だという問題じゃありませんのでね。ある特定の地域で、例えば、私どもこの仕掛けとして、これは連合さんと大分違うんですけれども、まさに企業の自律なんですよね。個人とか企業の自律がないと、これは本当に根づかないですよ。これをやってうまく成功するとか、そういう成功例をつくるという意味での1つのテストをやって、それこそホワイトカラーエグゼンプションの制度をある地域でやってみて、ああ、これはうまくいくね。私どもはかなりそういう企業さんはあるんだと思うんですね。比較的小さい企業でも、全員がホワイトでクリエイターみたいな肩書の会社だってあるわけですよね。そういうところは、在宅勤務でやろうが、会社へ行こうがいいので、そういうところはきちんと労使の信頼関係があれば、長時間労働の是正とか、健康管理の企業体系の管理もできるんですよ。そういうところが、これはいいね。まさに両方満足して生産性が上がって、処遇保障もきちんとできたら、それは非常にハッピーな話なので、そういうのを実現するための特区は我々は諸手を挙げて賛成しますけれども、そういうピンポイントのものができれば、ねらいますけれども、そういう意味の特区ではちょっと趣旨が違うだろうと思うんです。もうちょっと広い意味で、大きな仕掛けとして、労働基準の柔軟化だとか、働き方の柔軟化ということを目指したことに絡めてでないと、特区のあれはなかなか出にくいと思いますね。広げて、その中の一環として、今言ったようなものを入れた形であれば、大いにねらいたいと思ってはいますけれども、こっちの都合だけではいかない部分もありますので、究極はそういうところを期待しております。
北浦委員
1つだけに絞りますが、先ほど植本委員の中にも、地域の支え合いが大事というのは、非常に大事な点だと思うんですが、そのときにワンストップサービスというお話があって、ちょっと中身はわかりませんが、確かにそういったような、これは地協単位と言っていますから、かなり細かいレベルのところで考えられている。これは非常に大事なことだと思うんですね。
 それで、実はお聞きしたいのは岡島委員に対してで、県の取組というのが大変立派で、これは本当にすばらしい取組だと思うんですが、そういった意味で、先ほどのを見ると、中小企業でも職住近接であるとか、社員との距離であるとか、そういうことを考えると、市町村の段階での取組というのを県はどういうふうにお考えになっているのか。あるいは、そういったようなかなり近い地域住民的なところに県と市町村の役割の違いというのはあるのかどうか。そこをひとつお願いしたい。
佐藤会長
植本委員にも1つ伺いたいのは、考え方として、ワーク・ライフ・バランスには自律的働き方が必要だと考えているのか、考えていないのか。考え方としてどうなのかというのを伺いたいんですね。
 ほかにあれば、少し先に質問を出していただいて、最後、お答えいただく方が。
勝間委員
やはり皆さんにお伺いしたかったのが、すごくいい話が多いんですけれども、ぜひ企業の皆さんは逆にどうやって反対してきたのかという、反対意見の方とか、さっきの愚痴の話とか、そういったものをもう少しお伺いできればと思います。どうも自主的に出ていないような話が多いような気がしましたので。
板東局長
岡島委員に対する御質問で、推進員について、それに対して行政の方ではどういう支援とか情報提供とかをしているのかそれをどういう形で行政と関係づけているのか、お聞きしたい。
小室委員
岡島委員に質問なんですけれども、託児所の設置だとかそういうことを民間の企業がする場合に、埼玉県さんとして何か支援をされているのかといったことでお願いいたします。
佐藤会長
よろしいですか。それでは、岡島委員。
岡島委員
まずは、市町村の取組と県の違いということなんですけれども、そんなに違いはないというふうに思っています。ただ、例えば社会的な条件整備と言った場合に、介護関係ですと市町村が中心になるとか、保育所ですとむしろ県が中心になるとか、そういう条件整備の部分でのそれぞれの役割分担はあると思いますけれども、それ以外で社会的な意識を醸成する、PRするというようなことについては、基本的にはそれほど変わらないと思っています。
 ただ、企業への働きかけというのは、産業施策全般はどちらかというと県が持っておりますので、県の方がやりやすいと思っておりますし、まず一義的にやるべきだというふうに思っておりますので、進めているというところでございます。
 それから、推進員への情報提供ですけれども、いろいろな県の施策とか、あるいは国からの情報とかをメールで知らせたり、いろいろな研修がありますよとか、あるいは、10月はワーク・ライフ・バランス推進月間なんですけれども、それでこういう行事をしますとか、そういうことを基本的にメールとか、いろいろな形でお知らせするというのが中心になっています。それから、アンケートをする場合に、お願いをするとか、県からじゃないですけれども、いろいろなお問い合わせがあって、どこそこの企業さんはどこにというお知らせをするということをしております。
植本委員
「自律的働き方」のところにかぎ括弧をつけているのは、まさに御指摘のところでして、本当の意味での自律的働き方というのは当然求めるべきものですけれども、そのことを言いつつ、そこに付随される、これが自律的働き方だと今迫られてきている内容は、これは自律的ではないと考えておりまして、そこのすれ違いが現実的に起こっていることだと思います。
岡島委員
保育所などの助成とかですけれども、これは実は待機児童が大変多うございましたので、解消するという計画を立てまして、15年度から18年度までで計画8,200人分の保育所等の整備を行うということで、実際は9,600人分の保育所の整備を、助成をするというふうな形で行いました。ただ、待機児童については、保育所ができると、また需要が出てくるので、これはなかなかイタチごっこの状況です。
 そのほか、放課後児童クラブの充実とか、お金でやる部分と、お願いをしてやる部分と、両方いろいろな条件整備を進めています。
小室委員
そうすると、8,200人分の待機児童がいたというカウントに対して9,600人分をつくったけれども、その時点でまた増えて、今はどういった形ですか。
岡島委員
今、数字を持っていませんけれども、18年4月1日の段階で1,300人の待機児童ということです。
小室委員
支援の仕方というのは、実際に県主導で施設をつくるというやり方ですか。
岡島委員
私立幼稚園に対する設置整備費の助成と、企業内保育所の、オープンにして地域の方を受け入れてくださるところに対して助成事業をするという形です。
小室委員
具体的にはどういった助成ですか。
岡島委員
手元に資料がありませんので、また後ほど。
小室委員
ありがとうございます。
佐藤会長
今までにも、社内での反対をどうするというようなことは幾つかお話しいただいたり、確かに進んでいる企業ばかりではなくて、なかなか動かないところがあるのも事実なので、そこをどう動かすかということはもちろん考えないといけないですけれども、何かあれば。
牧野委員
もう一回確認させていただきますけれども、そういうところで従業員の方で反対……。
佐藤会長
社内ではということですか。
勝間委員
社内に限らず、どうしてもあるべき論としては正しいんですけれども、何か埼玉県でいろいろな中小企業さんですごく実質的なニーズからわき上がったもので、あるべき論というのは多分これっぽっちも考えていないと思うんですね。それに比べて、ほかの話というのはあるべき論でやっているんですが、実際にはどういう受けとめ方をして、本音はどうなんだろうと。
佐藤会長
地方の経営者協会なんかへ行くと、大分温度差があって、その辺の話。
紀陸委員
そこは説明が足らなかったんですが、先ほど経営労働委員会の中でも、大企業のトップの方もおられますし、中小企業の方もおられますが、要するに、ワーク・ライフ・バランスとは何か。時短をやるのか、子育ての育成をやるのか、それがなんで経営と労働のポリシーの柱になるのか。カタカナ語に安易に飛びつくなという批判は、委員会の中でも相当当初多かったですし、今でも、反対は結構あるんだと思います。
佐藤会長
どうもありがとうございました。確かにまだ理解してもらえないし、反対もあるというのも事実なので、我々が何か出すときにも、そういうところも想定して検討したいと思います。
 それと、あと、大都市圏と地方でも、先ほど通勤問題というお話がありましたけれども、ワーク・ライフ・バランスであまり議論されないのは通勤なんですね。都市部を考えると、通勤問題、長時間通勤がなくならないと、ワーク・ライフ・バランスというのは、企業が幾ら長時間残業をなくしても、通勤でとられているという側面はすごく大きくて、職住接近だと、地方に行くと、定時に帰れれば、別に短時間議論は要らないし、保育園も延長保育をやらなくても十分迎えに行けたりするわけですよね。ですから、通勤問題など、あとは都市部と地方の問題も少し分けて考えなければいけないかなというふうには思っています。
 それでは、まだまだ議論したいんですけれども、次の議題がありますので、一応中間的な取りまとめを出すということになっていますので、その論点整理的な検討用のメモを事務局で御用意いただきましたので、それについて御説明いただいて、御意見を伺うというふうにしたいと思います。それではよろしくお願いいたします。

4.その他

調査課長
お手元に「議論の整理に向けて(検討用メモ)」とした資料がございますので、それをご覧いただきたいと思います。
 この資料は、5月ごろに議論の整理ということをお願いしていたわけでございますけれども、そのための検討用資料として活用していただくべく、前回までの専門調査会の御発表、御議論を踏まえて用意したものでございます。
 第1回専門調査会で御説明しましたように、当専門調査会では、ワーク・ライフ・バランスの意義、重要性や取組の大きな方向性等に関する調査検討をしていただくことになっております。「議論の整理に向けて」のこの検討資料もそれに沿った構成になっていまして、1ページで「1」 仕事と生活の調和の意義・重要性。また、3ページ以降で「2」で取組の方向性となっております。
 1ページの「1」 仕事と生活の調和の意義・重要性では、まず1.で、ワーク・ライフ・バランスとは何かとして、目指すべきワーク・ライフ・バランスの概念について整理しています。
 まず、ワーク・ライフ・バランスは、さまざまな活動について、自らが希望するバランスで展開とした上で、よく言われる疑問に答える形で考え方を整理しています。
 (1)でワーク・ライフ・バランスが特定の人の特定の期間のものではなく、すべての人の、また生涯にわたってのものではないか。
 (2)で、誰もが天秤のようなバランスをとれというのではなく、個人によって、また人生の段階に応じてバランスが異なるのではないか。
 (3)で、仕事と生活は対立するものではなく、相互に好影響をもたらすものではないかとしています。
 また、ワーク・ライフ・バランスが多様な価値観の尊重を目指す上で重要としています。
 次に2.で、なぜ今ワーク・ライフ・バランスが必要かについて整理しています。
 そこで、旧来の働き方・働かせ方が、仕事、家庭、地域への関わり方の変化に対応できていないので、多くの人にとってバランスの選択が困難であると言っております。
 お手元の資料で、参考データとした資料がございます。困難な状況の例として、こちらの参考データでお示ししていますので、併せてご参照いただければと思いますが、(1)で、多くの男女が仕事と家庭の間で苦悩していると書いてございます。これは、女性が働くことに対する意識、共働き世帯の増加といったライフスタイルの変化、男性の長時間労働、男女の生活時間、希望する形で働けない女性といったことがございます。
 検討用資料の2ページにいきまして、高齢化が進む中で、急増する介護ニーズと対応の難しさ、(3)時間がなくて自己啓発や地域活動が難しい、(4)長時間労働による健康問題があるといったことを挙げております。
 このような状況の克服のために、ワーク・ライフ・バランスが不可欠であること。その推進によって、豊かさを実感できる社会が実現できるのではないかとしています。また、社会全体で総力を挙げてワーク・ライフ・バランスを推進すべきではないかとしております。
 3.では、ワーク・ライフ・バランスの実現には、まず働く現場である企業・組織の積極的な取組が不可欠として、個々の企業・組織が取り組む意義を示しています。
 ワーク・ライフ・バランスに取り組むことが、例として書かれてありますように、人材獲得、ニーズや環境変化への対応、従業員の満足度、意欲、健康などの点から、企業・組織の競争力を高める、特に中小企業では、取り組まないと人材獲得が困難ではないか、などを記しています。
 3ページ以降は、取組の方向性です。ここでは、1.で企業・組織によるマネジメント改革の重要性、2.で企業・組織の改革を促進するための取組を挙げています。
 1.の企業・組織自身の取組については、(1)にありますように、限られた時間の中で成果を生む、これは仕事の見直しなどによる時間管理の改革、(2)人材育成や積極登用。先ほど紀陸委員のお話にもございましたキャリア形成なども含むと思われますが、それにより、個人の能力を最大限引き出す人材活用の改革、(3)人や仕事の配分の柔軟性などにより、従業員の時間制約や希望に対応できる組織のあり方の改革といった、いわゆるマネジメント改革が期待されるのではないかとしています。そのためには、意識改革やリーダーシップ、組織風土の変革の必要性を述べています。
 マネジメント改革については、お手元にもう1つ、「ワーク・ライフ・バランスに取り組む企業におけるマネジメントの工夫の例」という資料を用意しております。これは、委員からの御発表や文献資料をもとに、ワーク・ライフ・バランスに取り組む企業がどういった取組をしているかということと、それがうまく機能するためのマネジメントの工夫の例を集めたもので、暫定的なものでございますが、資料ですので、適宜御参照いただければと思います。
 2.で企業・組織の改革を促進するための取組について書いています。
 これは、企業・組織のマネジメント改革が重要だと、そういうことが期待されるとしていますが、では、その改革を促進するためには何が必要かというものです。特にワーク・ライフ・バランスを推進する余裕に乏しいと考えられている中小企業に対しては、きめ細やかな対応が必要ではないかとしています。求められる取組の例として、(1)では、社会全体の総力を挙げた後押しということで、目標設定とモニタリングとか、様々な主体の連携、これは先ほどのワーク・ライフ・バランス塾のような企業間連携や協力といったことも書いてございます。
 経営者への普及。職場での身近な取組。先ほどキリンビールの例で、キャンペーンロゴの御紹介がございましたけれども、そういった身近な取組を推進するといったことが挙げられています。
 (2)で企業間の取組の競争促進とありますが、これは企業間でワーク・ライフ・バランスの取組を競争する。そういった競争を誘発するようなものとして、多方面からの評価を挙げています。これは、求職者への情報提供だとか、表彰や公契約での優遇措置、また、民間団体等の評価・格付、また、企業等が自己診断できる指標といったことを挙げています。
 (3)では、企業等のワーク・ライフ・バランスの取組に資する情報の蓄積・提供ということで、情報の収集や提供・相談体制といったことを挙げています。
 4ページにいきまして、個人のさまざまな選択の支援とございまして、これはワーク・ライフ・バランスに関する教育や情報提供、両立支援と再就職支援の拡充といったことを挙げています。
 また、(5)では、イノベーション推進ということで、技術的な面といったことにも焦点を当てまして、テレワークの普及や職場の情報化推進のための環境整備、e-ラーニングの活用促進といったものを挙げております。
 議論の整理に当たっては、できればわかりやすいキーワードなども御提案いただけると大変ありがたく思っています。ここでは、マネジメント改革とか、時間管理の改革とか、人材活用の改革といった、これがキーワードと言えるのかはともかくとして、出来る限り人々にわかりやすい、アピールしやすいような、そういった概念をあらわすようなキーワードといったことも御提案いただければ大変ありがたく思います。
 以上です。
佐藤会長
中間的取りまとめということですので、そんなに長いものをつくることを想定はしていません。ただ、文章になって、ワーク・ライフ・バランスの必要性なり、それを進めるためにどういう取組が必要かということをまとめようと。そういうことで2部構成です。1部が、ワーク・ライフ・バランスは何か。いろいろ議論があると思いますので、疑問にも答えるようなことで何かということを共通理解が得られるような説明になっています。その上でなぜ必要なのか。これもいろいろ経営者の方でも温度差があるということですので、必要性を理解していただく。その上で、当面、日本の場合ですと、企業、働き方のところが変わらないことにはなかなか進まないだろうということを3で言って、2の大きな取組は、基本的には組織なり企業なり働き方のところを変えていくということを今回の中間取りまとめでは書く。特に、両立支援の制度というよりは、実はそれの土台にある、まさに組織のマネジメントとか時間管理とか、そこにメスを入れないと、実はその上に乗っかっているさまざまな、狭い意味での両立支援の制度は使えないという発想があって、そういう整理になっています。
 そして、それは企業にとっても効率性にも結びつきますし、働く人からすると、いろいろな選択肢が広がり、自律的な働き方、キャリア選択もできるようになる。大きな構成とか、論点で大事な点が落ちているとか、これは要らないんじゃないかとか、その辺について御意見を伺えればというふうに思います。
勝間委員
しつこいんですけれども、2章か3章に入ると思うんですが、誤解についてぜひ触れていただきたいんですけれども、ワーク・ライフ・バランスの問題というのが、休日増やしや時短や育児支援や少子化対策ではないという話で、サバイバルに必ず必要なんだということを強調して……。
佐藤会長
1の1に書いてある点ね。誤解のところをもうちょっとという感じですね。
勝間委員
そうなんです。1の1でも2でもいいんですけれども、とにかく誤解の内容として、お金がかかるんじゃないかという感じで、かからないとか、パフォーマンスにつながらないんじゃないかという話は、つながるといったような、実証データも含めて、これは賛成している人たちはすごくスッと入ると思うんですけれども、反対している人たちだと、読み流されてしまうので、そこをじっくりと事実をもって説明していただけるとありがたいと。
佐藤会長
それはすごく大事な点で、確かに我々はこういうことがわかる人たちといつも議論しているので、全然わからない人にもわかってもらえると。それは確かに大事な点なので、それは少し考えてみます。
勝間委員
逃げ道を残さないということです。
佐藤会長
つまり、いろいろ反応を想定しながら考えると。大事だと思います。
 ほかにはいかがでしょう。
岡島委員
考えがまとまっていなくて、結論も出ていないことを申し上げるんですけれども、先ほどから議論が出ていますけれども、子育て支援とかワーク・ライフ・バランスの関係というのをもうちょっと詰めた方がいいのではないかと私は思います。といいますのは、これはワーク・ライフ・バランスとしてずっと議論が進んでいますね。それは非常に先進的なというか、理解のある方々はわかると思うんですけれども、一般の方から見ると、やはり子育て支援が大事ですと。別に女性じゃなくて、父親が家庭を大事にするということも含めて大事ですと言う方が理解しやすいし、入りやすいという気が一方でするんです。そこをどういう切り口でどう進めたらいいのかとか、ワーク・ライフ・バランスと子育て支援の関係をもう少しここで議論していただければありがたいと思います。
佐藤会長
今日は伺っておくということでよろしいですね。
鹿嶋委員
今の延長なんですけれども、ワーク・ファミリー・バランスからワーク・ライフ・バランスへの流れみたいなものがないと、突然ワーク・ライフ・バランスが降って湧いたような感じになるから、一応制度的にも行政的にもそういう流れがあるわけなので、そのあたりをちゃんと説明しておいた方がいいんじゃないですかね。
岡島委員
思いつきみたいなことを言って恐縮ですけれども、ワーク・ライフ・バランスと言った場合に、仕事とそれ以外という切り口にするのか、例えば、また子育て期の女性の話になってしまいますけれども、自分自身のこととそれ以外の仕事や家庭のことという切り口もあると思うんですけれども、どこでどういうふうに切るかという整理も必要ではないかと思うんですけれども。
植本委員
1番の意義のところで、1の(1)で「子育て期の女性のためのものか」というところで、そうではないという。それで、人生の節々でというところのライフステージのそれぞれのところでどういうものがというのを例示的にある方が、今の御意見で、子育て期が非常に大事であることは確かなんですけれども、子育て期というのはある程度期間限定期でもありまして、逆に、介護期の方がワーク・ライフ・バランスにとっては大変厳しい状況というところでいけば、介護を理由に仕事をやめる人もまだまだいらっしゃるという状況でいけば、そこも含めて全体に人生の節々ということがわかる方がいいと思います。
高橋委員
今のお言葉に関連してなんですが、最初のワーク・ライフ・バランス概念の中に、ライフステージに応じたライフバランスが展開できるようにというような言葉を入れてもらえば、人生の節々でバランスの取り方が違うので、それが反映できるだろうというのが1つと、2の取組の構成のところで、1、2があるんですが、3つ目に地域と企業と家庭の連携の問題というのが抜けているので、それをぜひ1つ書き込んでほしいということです。
小室委員
入れる場所は恐らく1のところなのかと思うんですけれども、今後、時間制約を受ける社員は増えるんだという事実が入った方がいいのかなと思っていまして、特に2007年問題を労働力人口の減少の問題としかとらえていない方が多いと思うんですけれども、定年になったその15年後には要介護世代に入る方が非常に増えるわけですので、それを介護する世代は、今、非常に元気に働いている人たちなんだという、これからは、社員が明日会社に来れるということすらも保障されないというような、それぐらい会社の今まで普通に働けていた人が働けなくなるというような危機感というのがもうちょっとここに入ってくるといいのかなと思います。
佐藤会長
1の2のところですね。
小室委員
そうですね。
北浦委員
最初にワーク・ライフ・バランスの定義でも、仕事以外に、家庭、地域、個人の自己啓発等々と書いてあるわけなので、これは読んでみますと、非常に企業のところに焦点が当たっていて、問題は、そこにあることは事実なんですけれども、しかし、それ以外の地域段階におけるさまざまな生活についてのサポートの状況であるとか、そういうようなところが解決しないとできないので、そういったようなところの記述がどこかにもう1つないといけないのではないかと。これだと、企業のところが解決すれば、それででき上がるというような感じになってしまっているので、そこが強調され過ぎているような感じがします。
紀陸委員
改めての確認なんですけれども、この論議の究極の目的は、いろいろな企業にワーク・ライフ・バランスに取り組んでくれということなんですね。そのための手助けをここの報告でしたいという趣旨なんですか。ねらいは。
佐藤会長
2の改革の方向。今回の中間取りまとめは、特に、組織なり働き方のマネジメント改革ですから、読んでいただきたいというか、取り組んでいただきたいのは企業ですね。当面は。
板東局長
これはある意味で多方面に向けてで、政治、経済、行政も含まれていると思います。もちろん企業というのは非常に大きなプレイヤーですけれども、行政でも何かできることがあるんじゃないのということも含めまして、これはかなり多方面へのメッセージになっているのかなと。また、それをしなければいけないのかなと思っております。
紀陸委員
「1」のところでかなりいろいろな整理をされておりまして、3ページの「2」の取組の方向性で、いきなり企業・組織によるマネジメント改革ときますね。いろいろな組み立てをする場合に、例えば、2ページ目の真ん中に3がありますよね。企業・組織の取組、意義というのが。これが言ってみれば3ページ目の1にかかる事柄で、意義論を言っているわけだから、「2」のところには全然なくてもいいというわけじゃないでしょうけれども、組み合わせ方といいますか、どういうふうに組み合わせるか。
佐藤会長
「2」では、組織、働き方のところに焦点を当てているので、実はそれ以外に北浦さんが言われたいろいろなことがあるんですね。もちろんここでは、別に雇用セクターだけではないという議論もありますので、多分そのつなぎとして「1」の3がある。タイトルが、意義というのは、今回、つまり、まずはここから取り組むことの必要性というような、「1」の3のところを工夫させていただきます。ここは「2」につなぎのところなので。もちろんこれだけが課題ではないのですが、優先順位としては、まずここが変わらないと、ほかの取組だけでは進まないだろうということがわかるような、それは考えてみます。
紀陸委員
3ページ目の真ん中の2のすぐ下に、ワーク・ライフ・バランスに関する企業間競争の促進というのは、このワードはよくわからない言葉ですね。
 特にこのほかに、ホワイトカラーエグゼンプションがそうなんですけれども、自律性とかといった場合に、端的に言うと人事処遇制度、評価と処遇のリンク、そこをどうやってきちんとやるか。実はそれがないと、本当に難しいだろうと思うんですね。
 それと、あと、企業も最近は非常に熱心に取り組んで、健康確保といいますか、ああいうものを単に安衛法を守るとか、定期検診を一生懸命やるということではなくて、できないところが現実にいっぱいあるわけです。そこを放っておいていいのかというのもありまして、ここは連合さんとも問題意識が同じ部分だと思うんですけれども、詰めていくと、どうしてもどこかにしわがよるんですね。おそらく。そのしわのより方を、まとめて受けとめていいところと、これはまずいなというところを分けておかないと、運営の面でいびつなところが出てくるんだと思うんです。そこのセーフティネットをはった上で、どうやってやるかという視点がないと、広がっていかないと思うんですね。
佐藤会長
初めの方で、従来の子育て支援との関係は少し書いた方がいいかもわからなくて、ワーク・ライフ・バランスの中にもちろん入っている。僕は、子育て支援が、狭義のワーク・ライフ・バランスが機能するためにも、広くワーク・ライフ・バランスを導入しないと実はうまくいかないだろうというふうに思っていて、その辺は整理した方がいいと思いますし、あと、誤解の解消とか、必要性も少し書いて、あと、大きな「2」につながりのところですね。あと、それが書けると、多分高橋委員が言われたような「1」の3、地域とか家庭とか社会との関係というそれが変わってくる。それは植木委員が言われたような、企業、地域、個人、社会との関係というのが実は変わってくるということだと思うので、その辺も考えて入れさせていただきます。
 ほかにはいかがでしょうか。
小室委員
基本的なことで、私は疎いので教えていただきたいんですけれども、これを中間取りまとめとして発表されると、だれが見ることができるというか、どういう場所に発表されるんでしょうか。
板東局長
最小限は男女共同参画会議という親の会議がございますので、それがおそらく5月中に設定されると思います。そういうところでも改めてこの議論のポイントについて説明をさせていただいて、さらにそこでも議論していただくという必要があろうかと思います。
 それから、経済財政諮問会議においても、今、労働市場改革という分科会の中で、この間新聞にもちょっと載っておりましたけれども、ワーク・ライフ・バランスの推進というのは非常に重要じゃないかということで、分科会の取りまとめは佐藤会長が一番よく御存じだと思いますけれども、ワーク・ライフ・バランス憲章とか、指針とかという問題が議論されているということです。その中でも、男女共同参画会議や少子化についての、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略会議とも連携をとりながら、ワーク・ライフ・バランスの問題について取組の指針なんかをつくっていくべきじゃないかというようなご議論も、経済財政諮問会議の本体、親会議の方でもなされているということですので、そういうところにも当然つながらせていただくということも出てくると思います。
 そのほかにもいろいろな会議でワーク・ライフ・バランスの問題を取り上げているというのを初回に御紹介させていただきましたけれども、そういうところにも逐次こちらの成果もつながせていただくということも必要になってくる。逆に、それらのところから生み出されているものをこちらの方でも採り入れさせていただくということもあって、それは相互作用ということだと思います。
小室委員
個人の方にもこれは発表されると。どういう形でですか。
板東局長
通常、例えば、報告書になった段階では、当然のことながら、もちろんホームページにも載せますし、冊子にもしていろいろ配らせていただくというのもございます。どの段階でどういう形でということでは、中間的な段階ではどうするかというのもあろうかと思いますけれども。よくやる方法としては、例えば、パブリックコメントなどをその内容について求めて、最終的な取りまとめにつなげるとか、そういうようなやり方もございますので、そういう場合には、比較的まだかたまらない段階で外に出すということもあるのかと思います。
小室委員
ありがとうございました。
佐藤会長
きょうは論点の非常に大事な点を出していただいて、働き方の見直しというのは、実は男性の働き方を見直すということなので、鹿嶋先生が言われていたけれども、もうちょっと男女共同参画に重点を置いて書いてもいいかなと思います。事実上、働き方の見直しということは、今までの男性中心の働き方を見直すということになるということをもう少し書いた方がいいかどうか少しまた考えさせていただきます。
永木委員
バランスをとるということから、働き方を見直すというところへ至る思考は一般の人にはちょっとわかりにくいんですよね。社内でもワーク・ライフ・バランスという話をすると、それって育児のことだよねとか、介護のことだよねとか。この言葉を普通に一般の人が考えると悲壮感が漂うというふうに言う人がいるんですね。格好いいワーク・ライフ・バランスってあるのかなと。具体的にどんな感じなの、という素朴な疑問をよく聞くんですね。だから、そのあたりをもう少しクリアに、だれでもが理解できるようにするというのは必要なことだと思います。
佐藤会長
一番最初にワーク・ライフ・バランスという言葉はどうかという話があったんだけれども、ここまできてしまったら、委員会の名前にもついているから、引っ込められないので、もしかしたら副題を考える手があるかもわからないね。はじめ、ベターワーク、ベターライフとか言っていたけれども。確かに育児だ、介護だというようなときでというと、確かにそれはハッピーなワーク・ライフ・バランスという感じじゃないかもしれない。そこは考えた方がいいかもしれない。わかりました。
紀陸委員
3ページにこういうのが出てきて、こういうのが普及すると、目標設定とかの数字が出てきたり、こういうのはぜひともやめていただきたいんですね。
佐藤会長
それはもちろん進める形でどうするかは少し考えたいというふうに思います。
勝間委員
できるかどうかわからないけれども、ロハスのような形で、少しワーク・ライフ・バランスでポジティブな言葉が出せればいいのかなと思うんですけれども。
佐藤会長
何かポジティブなメッセージになるような打ち出し方を考えて、本当はポジティブだと思うんですけれども。
鹿嶋委員
ベターライフなんていうのはやめた方がいいですよ。ベターホーム協会というのがあるから。
佐藤会長
ベターホーム協会というのがありますね。わかりました。大体よろしいですか。
 それでは、今日の大事な御意見を踏まえて、また事務局と相談させていただいて、次回の案をつくらせていただきたいと思います。
 それでは、事務局から連絡をよろしくお願いいたします。
調査課長
本日はどうもありがとうございました。ロハスのようないいキャッチフレーズが思いついた段階で、事務局にぜひお知らせいただければ大変ありがたく思います。
 次回の専門調査会は、5月11日水曜日の10時から12時、会場は今度は内閣府本府の3階の特別会議室です。本日の御議論を事務局で整理しまして、さらにブラッシュアップしたものを出させていただきたいと思います。
 お手元に第2回と第3回の議事録の案がございます。大変お忙しいところ、まことに申し訳ございませんが、5月8日までに修正をいただきますようお願い申し上げます。
 また、本日、資料5としまして第1回の議事録がついてございます。これはいただいた修正をしておりますので、この形で本日公表させていただきたいと思います。
 以上でございます。

5.閉会

佐藤会長
お忙しい中参加していただき、熱心に御議論いただいてどうもありがとうございました。もう少しで中間取りまとめですので、あと少し御協力いただければというふうに思います。どうもありがとうございました。

以上