仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会(第2回)議事録

  • 日時: 平成19年4月3日(火) 13:00~15:00
  • 場所: 内閣府5階特別会議室

(出席委員)

佐藤
会長
植本
委員
大沢
委員
岡島
委員
鹿嶋
委員
勝間
委員
上手
委員
川島
委員
小室
委員
杉山
委員
高橋
委員
武石
委員
永木
委員
羽入
委員
牧野
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 「企業におけるワーク・ライフ・バランスの取組」について
  3. 意見交換
  4. 女性のライフプランニング支援に関する調査報告書について
  5. その他
  6. 閉会

(配布資料)

資料1
永木委員提出資料 [PDF形式:1610KB] 別ウインドウで開きます
資料2
牧野委員提出資料 [PDF形式:159KB] 別ウインドウで開きます
資料3
上手委員提出資料 [PDF形式:137KB] 別ウインドウで開きます
資料4-1
女性のライフプランニング支援に関する調査報告書説明資料 [PDF形式:79KB] 別ウインドウで開きます
資料4-2
女性のライフプランニング支援に関する調査報告書概要 [PDF形式:223KB] 別ウインドウで開きます
(参考)
当面のスケジュールについて(案) [PDF形式:25KB] 別ウインドウで開きます
佐藤会長
それでは、ただいまから「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」の第2回会合を始めさせていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただき、ありがとうございます。
 それでは、本日の審議を進めさせていただきます。あらかじめ御連絡させていただきましたとおり、本日は企業におけるワーク・ライフ・バランスの取組について、永木委員、牧野委員、上手委員の順に御発表いただきます。
 お三人の御発表に続いて、まとめて質疑応答、意見交換をさせていただくという進め方にさせていただければと思います。
 発表者の方には、事前に委員の皆様の席上に配付してあります質問事項をお送りしております。ただ、それぞれすべてお答えしなければいけないとお願いしているのではなくて、可能な範囲内で御説明させていただければという趣旨でお願いしております。
 御発表や意見交換の際に御参考にしていただければと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。
永木委員
松下電器の永木です。お世話になっております。
 それでは、松下電器の取組について、御報告させていただきます。
 本日は、「1.多様性推進の取組み」「2.仕事と家庭の両立支援」「3.e-Work(テレワーク)」「4.その他の取組み」という順で御報告させていただきます。
 まず「1.多様性推進の取組み」ですが、弊社は2001年より専任組織をつくりまして、多様性あふれる松下の実現に向けて取組みを進めております。特に経営戦略として、女性の登用を進めております。
 昨年からは、経営戦略としてダイバーシティ、性別や年齢、国籍等にかかわらず活躍できる組織風土の実現を目指して、多様性推進本部という専任組織を新たに設置し、進めております。
 また、働き方の多様化につきましても、e-Work推進室を新設し、取組みを始めたところです。
 弊社の取組みの特徴は、まずトップの強力なコミットメントの下、重要な経営施策ということで進めているところであります。こちらは、昨年多様性推進本部とe-Work推進室が設立されるに当たって、年に一度の経営方針発表のときに、中村当時社長が発言した内容であります。
 年に一度の経営方針だけではなくて、本日もございましたが、経営責任者を集めての社内の会議といったところに、ほとんど必ずといっていいほど多様性に関する発信がトップの方からなされます。一度切りということではなくて、何度も何度も常に継続してトップが発信しているといったところが推進力となっております。
 2001年にかがやき本部を新設するに当たりまして、少し経緯を紹介させていただきたいと思いますが、かがやきプロジェクトというものをまず設置しまして、どういった取組みをしていこうかというのを検討しました。12名の女性がいろいろ検討しましたが、私もその中のメンバーの一人でありました。女性ばかり12名集まったんですけれども、その12名で最終的にこちらにあります答申「みんなが"わくわく"かがやく松下の実現をめざして」をまとめました。女性だけではない、「みんながかがやく」というところが、プロジェクトのメンバーのこだわりでもありました。
 その後、女性かがやき本部/女性躍進本部の取組がスタートするわけですが、取組のポイントは3つあります。
 1つ目は、社員の能力を最大限に生かすというところ。
 2つ目は、お客様の視点に立つといったところです。
 3つ目は、グローバル企業として多様性を受け入れる企業風土をつくり、多様な人材、価値観が生かされる会社にしていくといったところ。これらを基本的な考え方として進めております。
 この取組みは、女性を保護するといった福祉施策という位置づけではなく、極めて重要な経営施策ということで、全社挙げて推進しています。
 取組の柱としては、多様性を認める風土を醸成する。それから、女性の経営参画を加速させる。そういった取組を通じて、新規事業だとか、ヒット商品を創出していくという3つになっております。こちらは、多様性推進本部となりました現在でも、同様の考え方で進めております。
 多様性推進本部の現在の組織ですが、社長直轄で推進しております。具体的には、多様性ということで、特に性別、年齢、国籍、この3つの点においてダイバーシティを推進しているところです。
 具体的な取組の内容ですが、まず「多様性を認める風土の醸成」というところで、経営幹部を巻き込んだ活動を展開しております。このように、いろんな機会で幹部の方と社員が語り合う、いろいろ意見を交換する機会をつくっております。
 また、女性の経営参画を加速するといったところでは、ロールモデルを紹介し、男女双方の女性のキャリアに対する意識を向上させて、女性社員の計画的な育成と経営幹部等への登用を推進しております。
 エグゼクティブメンター制度では、経営幹部がメンターとなって若手の女性幹部候補者を指導するといった取組もあります。
 このような活動を通じまして、こちらにあります、ななめドラムの洗濯乾燥機など、女性の関与する商品がヒット商品となって世に出ていくといったところが、少しずつ出てきております。家庭で使う製品だけではなくて、パソコンやテレビ等の開発、設計等でも、女性の活躍が広がりつつあるという状況であります。
 このように、女性の登用をどんどん進めていっていますが、その中で育児とか介護といったところがネックになってくるかと思います。女性の活躍を支援していくという考えで、仕事と家庭の両立支援というのがスタートしております。ただ助けるだけではないというところが、弊社の特徴かと思います。
 松下におけるワーク・ライフ・バランス支援というのは、経営のニーズと個人のニーズ、そして社会のニーズに対応し、多様な人材のワーク・ライフ・バランスを支援するための取組みであります。
 考え方ですが、「Work&Lifeサイクル」ということで進めておりまして、これは仕事の時間当たりの生産性というものを向上させて、創出された時間で社外生活、仕事以外の時間を充実させる。そして、社外の生活から得た感性や価値観を仕事に反映し、仕事でまた成果を出していくというサイクルを回していき、一人ひとりの生活と仕事と社外の生活の好循環、これによって世の中と呼吸する松下電器を築き上げていくことをコンセプトにしております。 具体的なプログラムですが、ワーク&ライフサポートプログラムと総称しております。大きく3つありまして、休業・勤務制度、情報・コミュニケーション、育児・介護支援の3つになります。
 詳細を少し御紹介しますと、休業・勤務制度につきましては、各社とも多様な制度を導入されているかと思いますので、詳しい説明は割愛させていただきたいと思いますが、育児休業につきましては、小学校に上がるまでの間に、2年間取得できることになっており、分割で取得することも可能です。
 また、チャイルドプラン休業という、不妊治療のための休業制度も昨年から設置しております。
 また、家族の介護や子どもの学校行事などに参加するために使うことできる、ファミリーサポート休暇制度も導入しております。
 休むという選択肢以外に、働くという選択肢の中で、ワーク&ライフサポート勤務という柔軟な勤務制度も6年前から導入推進しております。
 こちらは事例ですが、産休・育休を取った後、しばらくの間は10~15時を勤務する。それから少し勤務時間を長くして、全体として2時間短縮で勤務する。また、一段落ついたら1時間短縮といったような形で、徐々に職場に復帰していく方法ですとか、半日勤務、あるいは隔日勤務も選択できるようになっております。
 一番多く使われているのは短縮勤務です。1時間か2時間ぐらいの短縮勤務というのが、非常に活用度が高い勤務形態です。
 次に情報とコミュニケーションですが、各種の制度を導入しておりますので、その制度の内容を利用者本人だけではなく、上司、職場、同僚等にもきっちり理解してもらうように、ホームページ等による情報提供を進めています。子育てしながら働く男女のための、左側にあるワーキングペアレンツ・ナレッジ集というのをホームページに掲載しておりまして、例えば仕事の悩みであるとか、育児の悩み、いろいろな面で先輩のワーキングペアレンツからノウハウを伝授してもらう形で情報提供しております。
 右側は最近開設しました、男性の育児参加応援コーナーで、男性も育児参加していく。そして、実際にこういう人がこんなふうに使いましたという実例を挙げて紹介しております。
 こちらは、育児や仕事などについて意見交換できるチャットのコーナーです。例えば小学生の夏休みの過し方はどうされていますかといったところを、職場を超えて、いろんな人と意見交換しながら進めています。
 次は、育児休業を取る人と職場の上司とのコミュニケーションのためのツールです。ワーク&ライフプラン、これは将来的にどんなふうに仕事を進めていきたいかといったところをコミュニケーションするためのツールです。ワーク&ライフレポートというのは、実際に育児休業に入っていて、どんな状況ですかといったところを確認しながら、では復帰に向けてどんなことをしていったらいいかとか、職場のサポート体制をどんふうに準備していったらいいかといったところを検討するために使われております。
 育児関連制度の利用が進むということは、非常に大切なことですが、職場でいかにうまく運用していくかが、何よりも重要であり、またそれが課題となっているかと思います。上司や管理職を巻き込んだ活動を展開するということで、パンフレットやガイドラインブックを作成しております。特に女性のキャリアアップや、部下育成に関するノウハウの共有を行っておりますが、こちら、真ん中にありますのが、妊娠・育児中の部下育成ガイドブックです。これは、例えば女性社員が妊娠したときに、必ず実践しなければならない母性保護の観点からの取組みや、妊娠中、育児中の部下がいる職場のマネージメントに関する制度と、その活用のためのノウハウやアドバイスを提供してまとめております。
 性別にかかわらず、メンバーの長期不在といったこと、時間に制約のある働き方を選択するというケースは、育児以外の理由でも起こり得ることですので、こういったさまざまな背景を持つ多様な部下をうまくマネージメントし、チームとして最大限の成果を発揮していくというのが、まさにリーダーの腕前次第だということを、このガイドブックの導入の部分で説明しています。
 経営環境の変化を踏まえ、多様性あふれる風土の変革の必要性を示し、管理職に対しては、さまざまな人材を生かす職場、マネージメントとコミュニケーションの強化を重点ポイントとして啓発を進めております。
 次にテレワークの展開ですが、こちらは「e-Work」ということで、情報通信技術を駆使したユビキタスでフレキシブルな働き方を推進しております。在宅勤務が、非常にスポットライトを浴びておりますが、弊社の取組は決して在宅勤務だけではなくて、ITを駆使して、いろんなところでスムーズに仕事ができることによって、生産性を上げていこうというものです。生産性が上がることによって、いろんな意味でワーク・ライフ・バランスが実現できますねというところで進めております。
 ですので、会社にとっても生産性の向上や事業への展開、あるいは人材の確保といったところのねらいがありますが、従業員にとってもやりがい向上、ワーク・ライフ・バランス実現、スキルの向上につながり、また社会へもできれば良い影響が出るように取り組み、社会と会社と従業員のWinを同時に実現していきたいと考えております。
 2010年には、そういった形で、だれでもがe-Workできるような環境とスキルを身に付けておくことを目標に、具体的には、在宅勤務、スポットオフィス、テレコミュニケーション、フリーアドレスという5つのメニューで進めておりますが、今日は在宅勤務中心に御紹介させていただきます。
 在宅勤務については、全社で1,000 名を目標に実施しておりまして、このようなねらいでやっております。今年、制度化して本格導入の段階に入っていきます。
 在宅勤務といいますと、月曜日から金曜日まで毎日家でやっているというイメージがあるかもしれませんが、弊社で取り組んでおりますのは、週に1回とか2回の頻度で行う在宅勤務で、典型的なスタイルとしては、担当する業務の中から自宅で自己完結で行える業務、集中して取り組めば効率の上がる文書作成などを中心に実施しているケースが大半です。
 運用基準については、こちらのようにしております。基本的には、会社で勤務しているのと全く同様の考え方です。職種も余り限定しないで、できる業務があればやっても構わないとしております。
 実際の勤務のイメージですけれども、各種IT革新の取組をこれまで進めてきまして、部長職であっても、経理処理、自分の出張旅費精算ですとか、自分のことはITを使って自分でやることになっておりますので、ほとんどの間接の業務は自宅からでも可能になっている状況です。
 今後、本格導入にあたり、多様な働き方を認める組織風土を醸成していくというのが一番重要ですが、それに加え、コミュニケーションとセキュリティーの2つの面でサポートしていきたいと考えております。
 在宅勤務については、会社として提供できるツールというのは、ある程度限られていまして、やはり個人がどれだけ自立性を持って働けるかということになるかと思います。
 個人として在宅勤務を成功させるためのポイントとしては、自立性とかモチベーションを維持できるか。業務に専念できる環境が確保できるか。円滑なコミュニケーションが取れるかといった点になるかと思います。
 その他のe-Workの取組としまして、スポットオフィスといいまして、会社の出張先で、自分のオフィスにいるのと同じように仕事ができる施設の設置を進めています。
 自分のオフィスについても、職種によってはフリーアドレス等を導入し、機動的な働き方ができるように進めております。
 このような取組を御紹介しますと、評価についてはどうされているんですかといった御質問をよく受けます。評価について、例えば育児中だから評価方法を変えるとか、あるいは在宅勤務だから評価方法を変えるとか、そういったことはしておりませんで、全体として取り組んでおります。評価については、コミュニケーションプログラムといいまして、スキルをベースにした経営貢献に基づく評価を導入しております。スキル評価は、本人が持っているいろんなコミュニケーションのスキルとか、人と調整していくスキル、仕事を進めていくためのプロセススキル、あとは専門分野のテクニカルスキル、そういったものを数字で表して評価するものです。
 ターゲットプランは、1年とか半年といったスパンの中で、目標を決めて、それに向かって年間の仕事を進めていく。最終的に1年経って、当初目標に対してどれだけ達成できているかを測るものです。
 更に長期スパンになりますと、キャリアアッププランといいまして、3年後どうありたいとか、5年後に何をしたいといったコミュニケーションも取れるフォーマットがありまして、上司と部下が半年に1回ぐらいはしっかりとコミュニケーションを取るようにしております。
 また、スキルチャレンジ制度は社内での転職制度になっています。自分が違うスキルに挑戦したいとか、今のレベルよりもっと高めたいといったときに、こういった制度を利用できます。スキルe-チャレンジというのは、社内公募でこういった職場職種で募集がありますというのに対し、自由に応募することができるものです。
 スキルe-アピールというのは、募集はないけれども、自分から売り込んでいく。あなたの職場で仕事がしたいということをアピールできるものです。
 変身大学というのは、自分はその分野での経験は全くないけれど、例えば知財の仕事をしてみたいといったとき、変身大学というところを利用して、要は住み込みで学ぶみたいな形で、1年間その職場で、実際に仕事をしますが、基本的には必要とされるスキルがないので、研修という位置づけでスキルを磨いた上で、その後職種転換するようなこともやっております。
 以上、雑多になってしまいましたが、松下電器の取組みについて御報告させていただきました。
佐藤会長
どうもありがとうございました。質問は後でまとめてという形にさせていただきたいと思います。
 それでは、牧野委員に御報告いただければと思います。
牧野委員
それでは、私の方からP&Gの取組みに関してお話をさせていただきたいと思います。P&Gの牧野と申します。よろしくお願いいたします。
 本日は、弊社のワーク・ライフ・バランスの取組みに関しまして、企業の方針、あるいは理念及び包括的な人材育成の観点からお話をさせていただこうと考えております。 本日は、主にこの5点に関してお話させていただきたいと思っております。
 お話に入る前に、簡単に私どもの会社の説明をさせていただきます。皆様のお手元に冊子をお配りしておりますので、詳細に関しましては、この会社案内の方をごらんいただければと思っております。
 私どもは、創業1837年、アメリカのオハイオ州シンシナティというところで創業しました。世界的には、各国の現地法人として、現在80か国以上に拠点がありまして、約十四万人の従業員が働いております。ブランドの数は約三百あり、それらの製品を世界160 か国以上の消費者にお届けしています。
 扱っている商品等に関しましては、こちらの方に写真が載っております。主にシャンプーとか化粧品を含めましたビューティーケア製品、生理用品、紙おむつ、ティッシュペーパー等を含む、ファミリー&ヘルスケア商品、こちらの方には医薬品も含まれております。
 それと、最後に洗濯用洗剤、住居用洗剤、食品、飲料などのハウスホールドケア製品。 それと、2年ほど前に、ジレットという会社と統合いたしまして、男性用かみ剃り、電気かみ剃り等のブランド等も現在取り扱っています。
 我々は、6月を決算としておりまして、2005年7月~2006年6月までの売上高は、約六百八十二億ドルということで、1ドル120 円換算にしますと約八兆円ほどの売上規模になります。純利益に関しましては、86億8,000 万ドルということで、約一兆円ということになっております。
 簡単に日本の状況を御説明させていただきます。
 日本におきましては、1973年、昭和48年に事業を大阪の方で開始いたしました。当時は、日本の企業との合弁会社としてスタートいたしました。20年後、1993年に神戸市の東灘区六甲アイランドというところに本社を建てまして、そちらにテクニカルセンターを含めて、このようなビルに現在本社を置いております。
 現在、4つの工場、高崎、茨城、滋賀、明石に工場があり、日本における従業員は約四千六百人になります。
 その中で、本社とテクニカルセンターがあります神戸におきましては、約千五百人の社員が働いておりまして、そのうち約三百人は外国人社員です。これらの社員の国籍は、現在27か国に及んでいます。
 海外の人が働いているとお聞きになりますと、経営陣に外国人が集まっているのではないか思われるかもしれませんが、多くの外国籍の社員は日本で学んでいたり、育ったりし日本で採用された人々です。
 それでは、ワーク・ライフ・バランスに関しまして、弊社が取組を始めました経緯及び事例についての説明に入らせていただきます。
 最初にお断わりしておきますけれども、あくまでも我々が何を信じて、どのように取り組んでいるのかという一企業の考えですので、ご参考になるかどうかわかりませんけれども、少しでもお役に立つことができれば幸いだと思っております。
 まず最初に、いきなり「PVP」と3文字の英語が出てきたんですけれども、冒頭に企業理念、企業方針、あるいは包括的な人材育成の観点からと申し上げましたが、我々すべてのP&Gの社員は、当社が掲げる企業方針のもとに業務に当たっております。こちらがその冊子になるんですけれども、これを世界の14万人の全従業員が持っておりまして、そちらの中に今からお話を簡単にさせていただきますけれども、企業理念、価値観、理念が書かれております。
 PVPとは、こちらに書いておりますように、企業方針(Purpose )、価値観(Values)、それに伴う理念(Principles)のことで、この3つの頭文字を取りまして、PVPと呼んでおります。
 かいつまんでそれぞれの内容を説明させていただきます。まず、すべての頭に来る企業目的ですけれども、私たちは世界の消費者の生活を向上させる、すぐれた品質と価値を持つP&Gブランドの製品とサービスを提供する。こちらを我々の企業方針(Purpose )として全世界の従業員が認識しております。
 そして、社員が大切にするべき価値観(Values)というところでは、誠実さ、リーダーシップ、オーナーシップ、勝利への情熱、信頼という5つの項目がありまして、そこから派生した理念(Principles)を8つ掲げております。
 この中で、後ほど出てきますけれども、私たちはすべての個人を尊重しますというところが、理念の第1番目に掲げられているところが注目すべき点かと思っております。
 第2に、会社と個人の利害は分かち難いものである。
 第3に、私たちは戦略的に重要な仕事を重点的に行う。
 第4に、革新は、私たちの成功の礎です。
 第5に、私たちは、社外の状況を重視します。
 第6に、私たちは、個人の専門的能力に価値をおきます。
 第7に、私たちは、最高を目指します。
 第8に、相互協力を信条とします。
 これらが、我々の理念(Principles)、8つの原則として成り立っております。これらがすべてのよりどころとなる不変のものであるということは、言い方を変えると、これ以外のことは不変なものはないということです。
 例えば我々は常にこの理念(Principles)を重視して物事の選択をしております。よく企業の中でルール、規則があると思うんですけれども、我々は規則よりも、できるだけ原則にのっとって物事を決定していくことを考えています。
 ですので、例えば出張した場合に、宿泊費は部長は幾らとか、そういうものは全くありません。そのときの状況に応じて、そこで必要がある状況であるならば、こういうホテルに泊まってください、あるいはどうしてものぞみで帰ることができない場合は、飛行機で帰って結構ですとか、あるいはタクシーに乗って云々とか、それはその状況、状況に応じて、適切な対応をすることが求められています。オーナーシップというのがさっき出てきたと思うんですけれども、社員一人ひとりが会社のオーナーとして、それが本当に重要であるのか。あるいは無駄であるのか、プリンシプルに立ち戻って、そこで決めてくださいということで、基本的に細かいルールは最小限にする。常にプリンシプルで物事を判断していくということが、全社員の認識であると考えていただきたいと思います。
 取組を始めた背景になりますけれども、その中におきまして、ワーク・ライフ・バランスに対して取組を始めた背景として、主に5つの要素を挙げることができます。
 まず最初に、背景として、先ほどごらんいただきました企業理念(Principles)のところで第1番目に出ている、会社がすべての個人を尊重しているというところが、まず1つの大きな背景になります。2番目に、先ほど永木委員からもございましたけれども、我々もダイバーシティ、多様性の推進というところに注力しております。ビジネス戦略の1つとして、ダイバーシティに対して力を入れているというのは、同じ状況であります。ダイバーシティの推進が、経営戦略の一部として位置づけられているということが、第2番目に挙げられます。3番目の背景といたしましては、すべての社員がその最大限の能力を発揮できる組織をつくっていこうと考えている。前回、私が簡単に言いましたけれども、皆さんのグラスがあったときに、そこに50%しか水が入っていないのか、あるいはそれが70%入っているのか、そうではなくて我々の会社として皆さんが最大限100 %能力が発揮できるような環境をつくっていきたいと考えているというのが挙げられます。
 4番目に、すべての社員が、フルフィルメントと呼んでおりますけれども、充実感を持って働くことができる環境を目指している。
 5番目に、多様な社員、それぞれの個性を持った社員は、それぞれに違ったニーズを持っている。そこに対しては、多様に反応していく。あるいは会社として柔軟な対応を提供していく必要があると考えております。
 それぞれの個性を組織の中で活かしていく、つまり個々の違いを尊重して、それを活かす組織づくりを目指していく上で、ワーク・ライフ・バランスを奨励する。あるいは柔軟なワークスタイルを提供していくということは必然的であったと考えられます。
 弊社は、企業方針、先ほどのパーパス(Purpose)を達成するために、全社員が最大限の能力を発揮できる組織をつくることに確固たる決意を持って望んでおります。
 こちらが、全社員が最大限の能力を発揮できる組織を構築していくための人材育成システムと考えております。例えば先ほど私がご説明しました、こちらのPVPになるんですけれども、一番下の方に書いてございますが「企業理念に基づく言動の周知徹底」、これも人材育成システムの1つであるとか。あるいはその中でダイバーシティを活かす組織というのも人材育成の1つであります。
 外資系といいますと、例えばヘッドハンティングであったりとか、役員ポストに外部からの人材を置くんではないかというイメージが持たれがちなんですけれども、我々は内部からの登用・昇進ということを重視しております。ですので、内部から優秀な人材を育て上げていくという意味で、人材育成もしくはトレーニングを非常に重視しています。あるいは個人の成果に基づく報酬、英語でいいますと、ペイ・フォー・パフォーマンス、要するに個人が頑張った、個人の成果に対して報酬を払っていきますというところも重要視しています。すべてのところに触れますと時間がかかりますので、大体そういうところがメインになりまして、ダイバーシティを活かす組織というのも、このシステムの中での重要な要素の1つだと考えているというのが現状です。
 それでは、ダイバーシティを活かす組織。先ほど中核にありました、全社員が最大限の能力を発揮できる組織をつくるために、弊社の日本におけるダイバーシティ戦略としまして、このようなものを挙げております。
 まず左の方は、ダイバーシティトレーニング、あるいはネットワーク、ハラスメントトレーニングとありますけれども、年に一度、ダイバーシティフォーラムというのを会社で開催しております。これは社長のスピーチも含めて1日をかけまして、ダイバーシティに対して会社としてどのようなことを取り組んでいるか。あるいはそれに対して、どのように考えているのかというところのスピーチ、もしくはワークショップ等を行いまして、ダイバーシティの認識を高めていくというものです。
 あるいはいろいろな組織から有志が集まりましてネットワークをつくり、継続的に勉強会を開いたりしてダイバーシティを推進していくといった活動もあります。またハラスメントのトレーニングもその一つだと考えております。 それとは別に、真ん中に書いておりますけれども、公正な社員比率の促進、性別・現地採用者等の社員比率を適正にすることを考えております。
 あるいはスコアカードとありますけれども、やはりダイバーシティを認識していく上では、上司のコミットメント、経営層のコミットメントが非常に重要だと考えております。ですので、そういうものをスコアカード化しまして、それに対して評価していくということも考えてやっている状況です。
 私ですけれども、ダイバーシティの専任のマネージャー職を設置しまして、それに対しての取組みを推進していくということも挙げられます。
 あるいはダイバーシティ貢献度の評価、アサインメント、採用、昇進の公平化、あるいは公正な人材育成等もあります。
 一番右にありますのは、主に柔軟性、フレキシビリティーのところに入るんですけれども、それぞれの個性を尊重していく、個性の違いを否ではなく是として考えて、それをどう活かしていくかという意味では、柔軟な対応というのが、会社として必要になってきます。
 その中で、柔軟な勤務体系、そしてここにワーク・ライフ・バランスというものを認識して入れております。あるいは両立支援制度、こちらの方が日本におけるダイバーシティ戦略の大きな根幹、戦略になっております。
 具体的な勤務体系に関しまして、簡単に御説明させていただきます。具体的に柔軟な勤務体系になるんですけれども、多様な社員の多様なニーズを満たしていくためには、柔軟性、フレキシブルなワークスタイル、すなわち柔軟な勤務形態も有効だと考えております。具体的には、フレックスアワーを採用し一定のルールの中で、個人のニーズも考慮して始業時間・就業時間を決めることができることになっております。ですので、1日の勤務時間、7時間40分を月で換算しまして、それを月の中でどのようにとっていくかということは、一定のルールのもと、個人の裁量に任されているということが1つとなります。我々の会社は、海外にも拠点を置いておりまして、例えば電話会議等で夜の11時にする必要があるということもあります。その場合は、柔軟に、そのときに遅くなった場合は、次の日は昼から出勤していいですよとか、そういう個人の状況に任しているというのも1例として挙げられます。
 もう一つが、時間短縮勤務なんですけれども、これに関しましては、1日当たりの短縮可能な幅を広げたり、短縮の仕方にも柔軟性を持たせることも考慮できます。
 現在、時短制度に関しましては、最大40%ですので、60%の勤務時間で対応できるような形になっております。こちらに関しましては、1日のうちの60%という取り方も結構ですし、週に3日勤務するというような時短体制も取得可となっております。
 在宅勤務に関しましては、得意先回りをしております営業社員には、直行・直帰をさせ、得意先訪問時以外は、自宅でも仕事ができるように認め、整備を整えております。
 本社勤務の社員に関しましても、一定期間に限ってなんですけれども、在宅勤務を認めることもあります。弊社では、週に2日までの在宅勤務を現在、認めております。
 正式に申請をして、有期にはなるんですけれども期限を決めて、在宅勤務している社員もおりますが、それ以外にも先ほどのフレキシビリティー、柔軟性に入るんですけれども、上司の許可を得て、単発的に自宅で仕事するようなケースもよくあります。
 今回、当社の評価システムについて、特に御関心がおありという御連絡をいただきましたので、社員の評価の仕組みについて、少しお話をさせていただきたいと思います。
 当社の人事効果は、基本的に全社員が最低年に1回は行うワーク・アンド・デベロップメント・プラン(W&DP)のプロセスが基本となります。
 こちらに書いておりますが、上司と1年間の業績の確認、今後1年間の業務計画と達成目標、研修プランや仕事の優先順位について最低年1回話し合い、署名をします。W&DPで合意したワークプランに基づいて成果が評価される形になっております。
 先ほどもお話しましたが、弊社とその社員は、多様性に価値を見出しております。また、すべての個人を尊重しております。採用、業績の評価、昇進の機会などにおきまして、業績に必要な評価項目や職務能力以外の個人の好み等などで評価が反映される余地はありません。
 例えば残業が多くなりがちな場合は、時間をかけずに効率よく目標を達成できるような仕事のやり方を、上司と考える。あるいは業務の優先順位や仕事の進め方について、積極的に上司と話をするという習慣ができております。
 ユニークなのは、上司と本人の間で必ず長期的なライフプランに関しても話し合いがされるというところです。例えば本人が近い将来子どもを産み育てたいと考えていれば、上司はそれを尊重して、最大限にサポートする責任があります。
 もう少し簡単に具体的なところに対して話をしていきたいと思います。
 内容に関してですけれども、所定のフォーマットを使いまして、まず重要なところなんですけれども、過去1年間に上司と合意した仕事のプランをどのぐらい達成できたかを、本人が記入し、その後1年間の仕事のプランに関しましても、本人が記入するところがかぎになっております。そのためには、向こう1年間、会社がどのような目的、あるいはゴールを定めて会社として仕事をやっていくのかというところは、全従業員が理解しておく必要があるというところが重要です。
 それに基づきまして、落とし込まれてきた部署、部署での目的に対して、個人、個人がどのような仕事をやっていくのかというのを、認識、理解をして、自分でプランをつくるというところがキーになってきます。
 同時に、自分のキャリアに対する希望や制約事項等で、上司に理解しておいてほしいこと。例えば転勤、配偶者が転勤になる可能性がありますとか、自分の配置換えの希望、出産、育児、育児休暇等の予定とか、介護等の家庭の事情によって勤務への影響が出る場合には、パーソナルコンフリクトというんですけれども、個人でそちらの方を書き込んで、上司と話し合いをすることも可能です。文書として書くというところが、1つのかぎになるかと思います。
 上司は部下が書いた、その草案をもとにしまして、部下の長所、改善すべき点、あるいは部下を成長させるための育成プラン、トレーニングプランを記入した上で、部下と直接話し合いを行います。先ほど言いましたけれども、年に1度行っておりますが、半年に1度レビューを行い、大体の状況におきましては、3か月に1度、その進捗状況とかを上司と話し合いする機会が設けられております。
 また、こちらの方に第三者からのフィードバックと書いておりますけれども、同じ仕事をしている同僚や関係者から、その人がどういう成果をあげたかというフィードバックを、上司が部下の合意の下で取ることができます。
 最終的な評価に際しましては、上司はこれらの第三者からの評価、フィードバックを考慮して判断することが求められています。
 上司と部下の話し合いの結果、必要に応じて調整、修正された、このワーク・アンド・デベロップメント・プランの最終のものに双方が署名をし、またその上司の直属の上司、本人からすると上司の上になるんですけれども、その上司も内容を確認して、書面にサインをすることが求められております。
 このように、人事考課におきましては、まず明確な基準が周知された上で、本人、上司、その本人と仕事をしたほかの社員、そして上司の直属の上司といった多くの人が、何らかの形で関与しますので、上司の個人の印象等で評価が決まることがない仕組み、要するに、透明性が確立されています。
 「取り組みの効果」です。ダイバーシティ、ないしはワーク・ライフ・バランス施策の効果のみを取り出して、ビジネスの影響を具体的なデータではかることは、非常に難しいことで容易ではありません。しかし、多くの女性が実際に組織の中で活躍していること、ビジネスの慎重度合い、業務規模の拡大などを総合的に考えると、功を奏していると言えるのではないかと考えております。
 当社では、全社員に占める女性の割合は62%。総合職に占める女性の割合は33%、課長相当職に占める女性の割合は25%、部長相当職に占める女性の割合は26%になっております。これは、平均に比べまして、非常に高い数字ではないかと認識しております。
 また、先ほどのフィードバックと同様に、年1回、多くの社員に対して、満足度調査を実施しております。100 近くになる項目を社員に聞いて、満足度調査をし、そこから改善するべき項目を見つけ出して、改善を行っていくということをやっております。
 最後になりますけれども「取り組みの成功要因」として考えられるものは、こちらに書いております2つと考えております。
 1つは、全従業員に対して、すべての個人を尊重し、多様性を尊重するという企業理念を周知徹底しているということです。
 採用、評価、人材育成の人材マネージメント上の尺度の1つとして、組織においてダイバーシティを活かすということを徹底して浸透させております。その結果として層にとらわれず、新入社員から経営層まで、全従業員がダイバーシティを活用するカルチャーを形成し、ワーク・ライフ・バランス施策を積極的に活用する風土があります。
 ワーク・ライフ・バランス施策を含め、ダイバーシティを推進することは、人事などのある特定部署のみの仕事ではなくて、全従業員の責務として認識される必要があると考えております。
 2番目に、特定の属性を持つ従業員のためのワーク・ライフ・バランス施策ではなく、全社員の活性化を目指して取り組んでおります。施策を社員一人ひとりが活用することで、それぞれの個性が発揮され、最大限の能力を発揮できると考えています。
 ベターワーク・ベターライフというふうに、我々はこのワーク・ライフ・バランスを呼んでいるんですけれども、その言葉が示しますように、我々はダイバーシティの活用、そしてワーク・ライフ・バランス施策は、会社と従業員の双方の成功につながると考えております。
 ダイバーシティやワーク・ライフ・バランスを推進することは、経営者が明確に全従業員に機会あるごとに伝えることが必要で、従業員が施策に共感して、理解して、活用するということが重要かと考えております。
 組織として休業制度や柔軟な勤務体制を導入し、従業員が働きやすい環境をつくり、個々人は制度やカルチャーを最大限に活用して、自己管理を図る。最大限の能力を発揮することを目指し、その成果に応じた評価を受けることが重要であると考えております。
 以上が、簡単ではございますが、弊社の取組み内容の説明とさせていただきます。ありがとうございました。
佐藤会長
どうもありがとうございました。
 それでは、時間もあれですので、続きまして、上手委員から御報告をお願いいたします。
上手委員
株式会社カミテ代表取締役社長の上手です。どうぞよろしくお願いいたします。
 私どもの会社は、1988年に秋田県小坂町に誘致企業として設立されております。秋田県小坂町というのは、十和田湖のある町でして、十和田湖というのはほとんど青森県というイメージがあるんですが、半分は秋田県になっておりまして、そこに小坂町がございます。 プレス金型の設計・製作及びプレス加工を主な業務としておりまして、従業員は男性15名、女性15名で30名の小さな会社です。
 沿革といたしまして、ソニー様、十和田オーディオ様、小坂町の勧誘により、1988年に設立されましたけれども、その後ずっと来まして2000年の3月に事業所内託児所、カミテチャイルドハウスを開所しまして、翌年秋田県より働く女性支援優良企業として表彰されております。
 その年の10月にはファミリーフレンドリー企業として、厚生労働大臣賞をいただきました。
 経営理念が、少数精鋭主義により、お客様の成長発展に貢献することを第一としております。
 社員と会社の双方の発展、幸福を追求し、明るく楽しい職場づくりを目指しております。 堅実と誠意を持って、地域社会の発展のために貢献することを心がけております。
 次が私どもの両立支援の施策なんですが、まず事業所内託児所を持っております。これは、2000年3月にできまして、約30坪ちょっとの建物なんですが、保育士が常時2名おります。このほかに、1名兼任で、普段はプレス加工しているんですが、人が足らなくなったときとか、手伝い用にもう一人抱えております。
 保育の定員数は10名、保育時間は勤務時間中ずっとという形で、定時が8時~5時までなので、大体7時45分ぐらいから開けて、残業がある場合はそれに合わせて保育士も残ってくれるということですが、基本的に定時で仕事を終わらすのを目標にしておりますので、ほとんど残業することなく定時で子どもたちは帰れるようなスタイルを取っております。 保育料金は無料になっております。
 この建物を建てるのには、1,700 万円ほどかかったんですが、21世紀職業財団さんからの助成金で半分の850 万を助成していただいて建てました。それと年間の運営費という形で、これは保育士の給料なんですが、大体500 万ぐらいかかっておりますが、その半分も21世紀職業財団さんから助成を受けてやっております。
 休業制度ですけれども、私ども育児休業制度は、子どもが3歳の誕生日の前日までになっております。これは何で3歳なのかという話があるんですが、託児所を持ったことによって、逆に産休が明けたら、すぐ子どもを預けて働かなければいけないのではないかという風潮になるのも困るということで、会社が3歳まで認めておけば、仮に1年ぐらい育児休業を取ってもいいかなという、個人個人の考え方に合わせて、いろんな形が取れるようにということで、人によってはもう6か月ぐらいで帰ってきて、子どもを預けて働く人もいますし、丸々1年という方もいますけれども、ほとんど育児休業給付金が今、1年間しか出ませんので、財政的な面から1年が最長です。3年取った人は今のところおりません。 介護休業制度も、3か月という1つの区切りはありますけれども、取得の回数に制限を設けておりません。
 続きまして、特別休暇制度なんですが、妊婦特別有給休暇といたしまして、女性従業員が妊娠がわかってから産休に入るまでの間に、5日間の有給休暇を与えております。私どもの特徴といたしまして、有給休暇はすべて1時間単位で取れるようになっておりますので、5日ということは正社員であれば掛ける8時間で40時間、パートの方ですと掛ける6時間で30時間という計算の仕方になっております。これは、女性従業員が通院とか、つわりがひどいようなときに使ってもらうような制度になっております。
 それと配偶者特別有給休暇としまして、これは男性従業員で、奥さんが妊娠してから出産するまでの間に、従来ありました出産時の2日のほかに5日間、これも40時間という形で与えております。これも私どもの小坂町というのは、公共の交通機関がないものですから、ほとんど車で奥さんをつれていったりしなければいけないものですから、病院につれていったりするのに使ってもらっております。
 それと看護休暇制度といたしまして、小学校に入る前の子ども一人につき年5日、与えております。ですから、子どもが2人いる家庭は10日という計算の仕方になります。
 それと、小学生から高校生までの子どもがいる従業員一人に対して年2日という形で与えております。
 なぜ、私どものような小さな会社が、これだけの両立支援策を取っているかということなんですが、まず1つは一から育てた従業員に、育児や介護で辞められてしまうのは、単純に損だという考えです。経営理念の中に、少数精鋭という言葉があるんですが、私ども人材育成には力を入れているつもりです。大企業さんのように、初めから優秀な人材が集まるわけではありませんので、地元の高校を卒業した子どもたちを預かって、一から叩き上げていく、そういう中でせっかく育ったのに、育児や介護でやめられたら、それは損だというのが第一にございます。
 それと、せっかく辞めずに済んだのに、やはり育児や介護が精神的、肉体的負担になって、能力を100 %出せないというのもまた困るということで、やはりその辺でしっかり能力を出してもらうようなシステムづくりが必要ではないかという考えです。
 例えば子どもが熱を出しましたというのが、例えば保育園とか幼稚園から連絡が来て、それに対して従業員に休ませない経営者というのは、いないと思うんですけれども、ただ、多くの企業が、例えば上司が小言を言うとか、無駄な精神的な負担を与えて休ませる。それと私どもの会社のように、とにかく仕事のことはいいから早く行っておいでと、子どもが一番だという形で送り出した場合に、次の日どちらの従業員が働いてくれるかと考えると、多分私どものような会社のシステムの方が、働いてくれるんではないか。どうせ休ませるなら、そっちの方が得ではないかという考えでございます。
 それと、ここには書いてないんですが、従業員からニーズがあるということです。女性だけではなくて男性も含めて、仕事だけではなくて家庭も大事にしたいという強い要望がございます。こういった要望を私の場合の場合は年間3~4回、個人面談という形で、全従業員と1対1で話し合うんですが、勿論仕事のことが主なんですけれども、その中にこういう家庭のことであるとか、いろいろな要望を聞き出しております。
 そこに今の若い男性なども、一概に昇進するのが目的ではなくて、うまくバランスを取って生きていきたいということがありまして、まさに今のワーク・ライフ・バランスをそのまま取りたいといいますか、そういう形で仕事をしたいということが多くて、それに応えることが従業員のモチベーションを上げるためには必要ではないかと考えて、このようなことをしております。
 そうは言っても、多くの中小企業というか、多くの現場で聞かれるのが、休まれたらその代わりだれが仕事するんだというのがあります。結構、一般の従業員向けのアンケート、これはうちだけではなくていろんなところでやりますと、従業員の休めない理由の一番が、カバーしてくれる人がいないというのが真っ先に上がってくるんです。
 その辺を、私どもは多能工というシステムでどうにかしております。多能工というのは、一人の従業員が何種類もの仕事ができるように育てるということでして、逆に言いますと、会社の中の仕事は、必ず複数の人間ができるように常にしております。
 これは、もともと小さな会社ですので、仕事の量的なものに波がございまして、忙しい部署があったり、そのときは暇な部署があったり、いろいろと波があるんですが、すべての部署がピーク時に合わせて人数を抱えていたら、とても会社がもたないものですから、忙しいときに、忙しいところに人が集まれるように、ある程度多能工として育てたということがあります。
 もう一つ、小さい会社のくせに、私どもプレスの金型をつくるという仕事があって、その金型を利用してプレス加工して、そのできた品物を検査して出荷するという流れがあるんですが、それぞれが自分のところが一番いいと思って、例えば不良品を出したときに、それは見逃した検査が悪いんだとか、いやそれはつくったプレスが悪いんだとか、いやそういう品物ができてしまう金型をつくったものが悪いんだとか、そういうものがございまして、だったら、いろんな部署を経験させれば、その辺の垣根がなくなるということで、多能工というのもやったんですが、結果、急な欠員が出ても、すっと人がカバーしてその辺をやれるような体制を整えたということが1つです。
 それと育児と介護をセットにというのは、私ども地方にございまして、うちで働く従業員ではほとんど親の面倒を見るために、地元に残ってくれたり、東京からUターンしてくれていますので、介護という問題が必ず最終的に乗かってくる。会社としては、常に育児と同じように介護に関しても、皆さんの意見をきちっと聞いて対応しますということを話して、やはり育児期を終わった人に対しても、いずれあなた方が介護で休むとき助けてくれるのは、今の若いお父さん、お母さんなんですということを常に言って、みんなで力を合わせましょうということを常に話しています。
 ですから、そうじゃないと、よくよその会社で聞く話ですけれども、今になって育児ばかりやりますと、年配の、特に女性の方から、昔はこんなことなかった、今の若いお母さんは甘いとか、そういう話が聞かれるようですけれども、うちの方はこういうことを常に介護とセットで話すことによって、不公平感をなくすということをしております。
 その結果、制度利用といたしましては、平成13年4月からなので人数は少ないんですが、女性が1名で1名取っております。男性が対象者5名のうち2名が育児休業を取りました。あとその他はもう100 %使っております。
 子どもが病気のときに使う看護休暇などで、男性の部長クラスも子どもが病気のときに使うという形で、全員が使えるような感じです。
 託児所も、現在1歳が2名、3歳が2名、4歳が1、6歳が3名の計8名使っておりますが、このほか小学校1年生、2年生ぐらいまでは学童保育という形で、夏休み、冬休みのときとか、臨時休校のときとか、そういったときはいつでも連れてきていいよという形で使ってもらっております。
 今、男性従業員が子どもを連れてきております。父親が朝連れてきて、また一緒に帰るということもやっております。
 あと変わった使い方といいますか。小さな会社で、ルールはみんなで決めるということなんですが、例えば奥さんが専業主婦で、普段家にいても、ちょっと病院に行きたいとか、買い物に行きたいというときに、託児所にふっと来て、1時間、2時間預かってくださいといって預けて、用を足してまた帰ってくるとか、そういったこともすべてOKにしておりますので、そういった意味では非常に使い勝手のいいような託児所になっていると思っております。
 最後に、男性の育児休業者が今のところ2名出ております。これは、もともと逆に取れなかった人たちは、子どもが産まれて、これからお金がかかるときに、育児休業給付金が4割程度ではとても食べていけないという理由があったんですが、一昨年、2年ぐらい前に秋田県の方では男性の育児休業を促進するという形で、男性の育児休業者本人に対して、1人5万円の支給をしてくれるようになりまして、20日が最低の育児休業の規定になっているはずなので20日間取って、それに対しては会社としてお金を払ってないんですが、4割の給付金とプラス秋田県からの5万円を足せば、そんなに目減りしない、いい経験だということで、一昨年に2名取ってもらいました。実は、その2人も今、第二子が産まれたのと、もうすぐ産まれるのということで、また育児休業を取るということですが、男性の働き方を見直すと、本当に子どもは増えるのかなという感じもしました。
 ただ、男性に育児休業を取らせて会社に何かメリットあるんですかということを聞かれるんですが、私どもとしては、直属の上司とかを含めてみんなには、これは業務を見直すいい機会になるんではないかということで、20日間でも引き継ぎをしますので、そのときに業務を見直して、本当に無駄なことしてないのかとか、そういったことを見る機会にしたり、あとは育児休業者が出たその仕事を、若手にチャレンジさせて、その期間を人材育成のチャンスにしようとか。
 あと管理職がたまたま1回目を取ったんですが、その人間が戻ってきてから、休み時間に女性従業員と話しているんです。よくよく聞いたら、どこのおむつが安いとか、ミルクはこれがいいとか、結構楽しそうに話しているんです。そこでコミュニケーションが取れたことによって、仕事上でも何でも相談に乗れるような上司になってくれたということで、それが結果いい方向に行ったんでないかと思っています。
 それと、育児休業を取った男性は、その後も早く帰って育児をしたいということで、かといって仕事を途中でやめられては困るので、やはり効率のいい仕事を心がけると。会社は、常に効率いい仕事をしろとは言うんですが、やはり上から言われるのと、本人が帰りたくてやるのと大分違うみたいで、その辺が効果として表れていると思います。
 最後は、将来のことなのでわかりませんけれども、小さいうちから育児に携われれば、きっと安定した家庭ができて、それが将来いい仕事としてまた会社に戻ってくるのかということを考えて、男性が育児休業を取るのもいいんではないかと考えて進めております。 以上でございます。
佐藤会長
どうもありがとうございました。
 それでは、これから議論なんですが、もう一つ議題がありますので、一人ひとりに質問を出して御回答いただくのではなくて、まずはまとめて質問を出していただくという形にしようと思いますので、御発表についての御質問、あるいはこういうことについてどう取り組んでいますかということも含めて、どの方への質問かということを明記して手短に質問を出していただければと思います。
 ずっと出していただいて、ある程度区切りが付いたところで、まとめてお答えいただく、また時間が残ればもう一回ぐらいやると。できれば2回ぐらい回れればいいと思っていますので、まずは質問を伺いますので、どなたに、どうぞ。
羽入委員
まず永木さんに質問なんですけれども、e-Workのことですけれども、今回は在宅勤務ということの御発表でしたが、それは全社的に何割ぐらいが理想だというふうに考えてらっしゃるんでしょうか。恐らく100 %在宅というのはあり得ないと思うんですけれども、どのぐらいが理想かということをまず伺いたい。
 お二方には、同じe-Workのことで、そういう勤務形態をお考えになっていらっしゃるかどうかということを伺いたいと思います。
佐藤会長
武石さん、どうぞ。
武石委員
松下さんとP&Gさんにお聞きしたいのが、カミテさんが多能工化を進めて時間短縮の社員が出ても大丈夫にしているという業務の改善の部分で、特に松下さんなどは最近いろんな勤務形態を導入されていると思うんですが、そこで要員管理と業務の仕方の改善のところは、人を増やしたのか、今までの要員のまま仕事の仕方を見直したのかということをお聞きしたいというのが1つです。
 それから、P&Gさんの方にお聞きしたいのが、ダイバーシティ、スコアカード、ダイバーシティ貢献度の評価というお話があったんですが、ここをもう少し詳しくお話いただければという、その2点をお願いいたします。
佐藤会長
ほかにはいかがですか。どうぞ。
植本委員
永木さんに伺いしたいんですが、これによって女性の在職年数に変化があったのかどうか。要するに、効果のところで、どういう効果の中に、在職年数のところの効果がどうだったのかを教えていただきたいと思います。
佐藤会長
どうぞ。
勝間委員
皆さんに伺います。1つが、上場会社さんの場合、株価への影響をどのように投資家さんがごらんになったかが1点目です。2点目が、反対勢力があって大変だという話をいろんなところからよく聞くんですけれども、反対勢力にどういうふうに対応したのかというのが2点目です。
 3点目が、いろんな制度を試行錯誤されたと思って、今までワークしたものをたくさん聞いたんですが、ワークしなかったものを教えてください。
 その3つです。
佐藤会長
杉山さん、どうぞ。
杉山委員
上手さんに質問なんですけれども、上手さんはいろいろなところでこの取組みを御紹介くださっているかと思うんですけれども、中小企業の方たちで参考にして、うちでも取り組みたいという企業が既にあったのか。私の印象ですと、上手さんだけみたいに見えてしまうんですけれども、もしそうであるならば、なかなか取り組めない要因、理由などを、どのように分析されていらっしゃるか教えていただければと思います。
佐藤会長
どうぞ。
小室委員
永木さんに質問なんですけれども、上司向けの部下育成ガイドブックの中で、理解度確認テストが非常に面白かったんですけれども、この内容が法律的なものの○×を問うものが例で出ているんですが、それ以外に具体的にどういう項目があるのか。できるだけ具体的にお聞きできるとうれしいというのが1点です。
 あとは残業の削減ということが、この結果として行われたのかとか、何年から何年でどれぐらいという数値を取ってらっしゃるのか。永木さんと牧野さんにもお伺いしたいと思っております。
佐藤会長
どうぞ。
鹿嶋委員
永木さんとP&Gさんに聞きたいんですけれども、いわゆる育休取得後の評価ですね。永木さん、そういう質問をいろんなところでされてうんざりしているようなことを言っていましたけれども、いま一つよくわからなかったんです。本当に、例えば長期の育休を取って、それが本人の昇進とか評価、松下の評価がどうなっているかわかりませんが、そういう評価に本当にフェアに反映されるのかどうか。育休を取るということが、子どもは公的な財産でもあるわけですから、そういうことでマイナス評価が全くないのかどうか、それはP&Gさんにも聞きたいんですけれども、いろんなところでこの質問はされるとお聞きしておりますが、改めてわかりやすく説明してください。
佐藤会長
今のは、つまり育休を取ったこと自体がマイナスになるかどうかということと、基本的には育休を取れば当然職業能力が落ちたのが、そのとおりマイナスになるのは別に不利益扱いではない。そういう趣旨でいいですね。
鹿嶋委員
はい。
佐藤会長
一応、今のお三方で、勿論答えられないことは結構ですので、永木さんから順に、もう一度時間があればまた御質問を伺うことにしたいと思います。
永木委員
たくさん質問をいただきましてありがとうございます。在宅勤務ですが、全社的に何%の人が実施しているのが理想だと考えているかというご質問については、設定はしていませんが、試行の結果から月に約半分以上やるか、やらないかというところで、効果のマージナルポイントがあるように感じております。ですので、導入段階ということもあり、回数については半分ぐらいが理想かと思います。勿論、全員が在宅勤務してしまいますと、仕事が回らないのは当然のことですので、その辺りは何%がいいかというのはまだわからないです。
佐藤会長
この上司のアンケートの本人というのは部下ですね。
永木委員
そうです。
 育児休業時の業務の改善と要員管理で、人を増やしたのか、仕事を見直したのかという御質問については、基本的にはケース・バイ・ケースです。人を増やす場合もあります。ただ、短期間ですので、よそから人を異動させてくると、復帰後はまた今度その人を異動させることになりますから、派遣の方に来ていただくというのが多いと思います。
 ただ、その人の仕事をすべて派遣の人が代われるかというと、そうではなくて、いろんな判断業務とかがありますので、そういったものは職場の中で、この仕事は上司、この仕事は別の人がやってという形で、仕事を分割して分担していくということで、一人の人に負荷が著しくかからないように配慮しております。それはもう職場の仕事ありきということでやっております。
 女性の在職年数の変化ですが、伸びています。退職率もここ10年間ぐらいで見ますと、ほぼ男性並みになりつつあります。ただ、最近は男性の退職率も増えてきております。その辺りは両立支援が不十分だから女性が退職しているのかというと、そうではなくて、私の身近な例でいきますと、転職で辞める人が男女とも多くなってきている。男女の中の退職率の差というのは狭まってきていると言えるかと思います。
 在職年数もざくっとですが1年に1年ぐらいずつ伸びてきているんではないかと思います。 株価への影響ですけれども、この取組だけで出ないんです。CSRという観点からも、例えば環境の取組1つやっただけで、CSRが○かというとそうではなくて、いろんな人権の問題だとか、本当に複雑に絡み合っていますので、これは出す意味もないと思って計算もしていませんし、多分難しいと思います。
 反対勢力への対応ですが、基本的には総論賛成で各論は?という人は多いかと思います。弊社の場合も、考え方は理解できるけれども、いざ実際の自分の職場となると、というところがあると思いますので、その辺りは本当に先ほどの上司のガイドみたいに、実際のケースで、どんな対応をした人がいるのか。そうしたらどうなったのかというところを見せることで対応していく。加えて、トップの継続的な発信になります。
 取組の中で今までワークしなかったものですが現在e-Workの取組としまして、在宅勤務をやっておりますが、これまでにも在宅勤務は制度としてはあったんです。ただ、6年間ぐらいで余り利用されてこなかった。だから、やり方だと思うんですけれども、どういうふうに制度をつくるか。つくるのは簡単なことだと思いますが、そこをワークさせていくのは取組次第だと考えます。
勝間委員
それは制度の内容を変えたのですか。それも取り組み方を変えたのですか。
永木委員
制度の内容も若干変えました。それはなぜ利用されなかったのかというところの理由をいろいろヒアリングして、その観点で制度を自体を見直しておりますし、より大きくプロモーションしているところもあります。
 残業削減については、ご質問の観点でのデータはとっておりません。
 評価の件は、先ほどのとおり、やはり1年休んでいるということに対する、普通に評価が下がる部分、それは当然のことだと思います。ただ、彼女は育児休暇を過去に取ったことがあるから、昇進を遅らせようとか、そういう判断は決してないかと思います。
 ただ、半年とか1年休んでしまうことで、同期の男性と比べて昇進が1年ないし2年遅れてしまうことは、場合によってはあります。
 例えばちょうど妊娠がわかったときに、昇格の年度になっていて、本人の判断と上司との話し合いによって、体のことが大事だからということで見送られるケースもありますし、そういうものではなくて、あなたは頑張れるとうことで、妊娠中でも昇格にチャレンジされて、見事に通った人もいます。それは本人の価値観とかにも関わってくることかと思います。
佐藤会長
それでは、牧野さん、よろしくお願いいたします。
牧野委員
いろいろ御質問ありがとうございました。まず、産休を取られたときの多能工のところのお話になるんですけれども、人を増やしたかどうかというところですが、基本的に先ほど申し上げました、ワーク・アンド・デベロップメント・プランと付随するのですが、人それぞれのワークプランの中に優先順位を付けるところがまず重要かと思っております。
 それがチーム、あるいはワークグループの中に入ったときに、その人間が抜けたことによって優先される順位がどこに入るのかというのを、そのチームの中で話し合っていき、例えばCランクに入るものに関しては、本来3月までにやるべきことを7月までに延ばそうではないかということが行われて調整される場合もあります。あるいはコアでない、中核ではない仕事に対しては、外部に委託する場合もあります。
 業績に関してですけれども、直接的に株価にどうかというのは難しいと思うんですけれども、まずダイバーシティを推進することにより、それぞれの個人が能力を発揮することができ、非常に能力がある人間がそこで働いてくれることになり、業績がよくなってくるだろうという二次的な発想でいきますと、ダイバーシティを推進していくと業績は上がって、結果的に株価は上がるだろうということがまず1つ。
 あるいはやはり株主様に対して、こういう取組をしていますよ、サステーナビリティーもしかりですけれども、ダイバーシティに取り組んでいるとか。あるいは個性がある人間が働くことによって、個性のある商品、あるいは個性のあるニーズに対して多様な人材をそろえることによって、応えることができるというメッセージは送れると考えておりますので、そういう結果の積み重ねとして、株価に反映できるのではないかと思っております。
 反対勢力とワークしなかったものというのはリンクしているので、一緒にお話させてもらいます。ダイバーシティもワーク・ライフもそうなんですけれども、重要なのはそれがある特定の人間に甘い、ある特定の人間にやらされているという発想で考えてもらっては困るというところなのです。ですので、それは自分たちも個性を出していくんですよと。要は受け身な、だれかを受け入れるという発想ではなくて、あなたたちの個性は何なんですか、長所は何なんですかというところをもう一度振り返って、あなたの個性は何ですか。あなたの長所は何ですかというところを認識してもらうという環境づくりが重要であり、あくまでもそれぞれ当事者であるんだと、受け身の傍観者ではないというところが重要かと考えております。女性が重要ですと言い過ぎてしまうと、受け身的な発想になってしまうんです。しかし、あくまでも個性を尊重しているんだと、逆に言うと女性を尊重することができない人間に個性が尊重できるんですかというところに立ち返って考えてくださいというのが重要かと考えております。 あくまでも個性があっての女性であるという認識が必要だと考えております。
 残業削減に関してなんですけれども、上手委員がおっしゃったところと似ていると思うんですけれども、やはり育児休暇から帰ってきた人は、非常に時間を効率よく使って仕事をされる。それは我々も認めているところで、そういうことによって非常に優先順位の付け方がうまくなっている人が多いです。結果的にその人たちが上司にいることによって、そういう使い方、先ほど言いました優先順位の付け方は非常にワークしてくるわけです。
 あとは簡単ではございますけれども、トップレベルの人間が金曜日の午後は会議をしないということを訴えていくことによって環境をつくるということも、1つの考え方としてはあります。
 長期の育休は評価されるのか。あるいはマイナス評価にならないのかというところなんですけれども、それまでダイバーシティを認識するまでは、我々も考えていたんですけれども、常に我々が入社して働いていく上で、高速道路で言う追い越し車線を走り続けないとレースに勝てないのではないかという発想があったと思うんですが、そうではなく追い越し車線があると同様に登坂車線もあるんですというところがおそらく重要だと思うんです。
 ですので、やはり人生、あるいは生活の中で、そういう時期において登板車線に入ってゆっくり走っていくと。ただ、帰ってきて、戻れる環境になったときにアクセルを踏み返してくださいという環境をつくることが重要だと思います。
 そういう環境を会社として提供しているということがあれば、必然的にそういうところで一度育児、あるいはそういうところを優先していく時期を取ってもいいんだろうということができるんではないかということが1つです。
 もう一つは、何度も出てくるW&DPです。何を自分でこの1年間やるのか。どういう成果を求めるのかというのを、上司と完全に話しをした結果評価されますので、それ以外のところでは逆に評価されないんです。ですから、W&DPで話し合った期間でどうしたのかというところを上司と理解を共有した上で産休、育児休暇に入ります。あるいは産休に入る前までの成果で評価されて、終わった後はできるワークの中での成果で評価される、つまりその成果が達成できるかどうかというところが重要視されておりますので、実質的にはマイナス評価はありませんし、実際育児休暇を取る前に昇格レベルに達している人間が育児休暇から戻ってきてすぐ昇進している結果もあります。それはあくまでもその成果に基づいて評価されている結果であると思います。
 以上です。
佐藤会長
それでは、最後になりますが、上手委員、どうぞ。
上手委員
1番目に在宅ワークという話ですけれども、うちの会社は託児所もありますし、ほとんど20分圏内に従業員が住んでおりますので、在宅ワークという考えは今のところないんですが、1つ昔からあるんですけれども、都会の人はわからないでしょうけれども、内職というのがあるんです。内職ってもしかして在宅ワークなかというのがあります。 それと業績の方なんですが、私どもの業界は非常に厳しい業界になっております。今、生き残っているだけでも十分頑張っているのかなと思っているんですが、ある意味こういった制度を設けてから品質が非常によくなりまして、実質6、7年前に不良の流出率が1,000ppmといって0.1 %ぐらいあったんですが、昨年の実績で8ppm ということで、100 万個に8個ぐらいのレベルまで一気によくなっているというのが成果かなと思います。
 あと反対意見ということなんですが、私どもの幹部社員のほとんどが小学生以下の子どもを持っておりまして、みんな賛成でございました。反対はいないということです。
 強いて言えば、先ほど言ったように、もう育児期を終わった人から意見が出ましたけれども、それに対しては先ほど言ったように、介護の方とセットにして考えているということです。
 あと中小企業さんでまねするところがないかというお話ですけれども、実は何社か託児所を見学に来て、うちもつくりたいので、そのノウハウをということで聞きに来るようになりました。私もいろんなところでしゃべる機会があるんですが、正直5年ぐらい前までは、行きますと非常に雰囲気が悪くて、みんな腕組みして聞かれるような場面が多かったんですが、近ごろはみんな真剣に聞いてくださいまして、大分世の中も変わってきたのかなという気がしますけれども、なかなか取り組めない理由としては、非常にコストのかかるものだと勘違いされているのかなと。先ほど言ったように、子どもが熱を出して休むときに、文句を言いたいところをぐっと我慢して行っておいでと言うだけでも、随分違うんではないかという気もします。
 あと従業員のニーズをいかに聞き取るかということが大切だと。それをしないと、なかなかこういった制度はつくり上げられないと考えております。
 以上です。
佐藤会長
どうもありがとうございました。
 またさっきと同じぐらい質問を伺うのは無理なので、1人か2人ぐらいあれば、そのぐらいどうにかなると思いますので、追加的にせっかくの機会ですから聞きたいという方がいらっしゃれば、どうぞ。
高橋委員
P&Gさんにお聞きしたいんですけれども、世界共通のプログラムということでやっておられますね。ということは、もともとアメリカの経験が一番大きかったんでしょうけれども、それを日本に適用したときに、何か問題があったのか、あるいは日本流にアレンジしたものは何かあったのか。その点をお伺いしたいと思います。
牧野委員
多様性を推進するという戦略はあくまでも世界共通ではありますけれども、やはり日本においてそのまま持ってくると成り立たないところと、あるいは日本の市場とか考え方というのがあります。そういう面では、日本的なところに置き換えてやっているというのはあります。
 よろしいでしょうか。
佐藤会長
どうぞ。
大沢委員
それでよく言われるのが、欧米ですと職務が中心の給与体系なのに対して、日本は職能、能力とか勤続年数が中心で、給与体系が違うんだということですが、P&Gさんでは、どうなのかということと、それに関連して短時間勤務について御説明がありましたけれども、60%ぐらいまで勤務時間を短くできる。この場合には給与をどういうふうに変えているのか。どれぐらいの人が使っているのか、使い勝手がいいのか。
 最後にインセンティブを与えるというか、管理職もそういう人たちを増やすということを考えると、それがダイバーシティ、スコアカードなのかと思ったんですが、その3つについて教えていただけたらと思います。
牧野委員
まず職のところになるんですけれども、給与に対する考え方は世界共通でペイ・フォー・パフォーマンスという考え方を持っております。時短に関しまして、60%まで取れるというお話をしましたけれども、やはり60%になった場合は、給料も60%になります。ただ、評価に関しましては、60%の中で達成された成果に関して評価がなされます。ダイバーシティスコアカードはダイバーシティの推進を目的として基本的には各部門のリーダーが作成し実施するためのアクションを推進するものです。その中である一定の割合でダイバーシティに対して活動しているのかというところは各部門のリーダーのインセンティブとして確保されています。
佐藤会長
それでは、どうもありがとうございました。また後であれば伺うことにします。1つだけ、先ほど上手さんが、育児休業を取得したときの給付金の話がありましたけれども、一応法定では育児休業は1歳までで、ただ保育園等に入れない場合は半年延ばせるようになっているんですけれども、その場合は給付金も1歳半まで出ますので、ただ初めから1歳半取ると出ないということで、ただ、上手さんの場合、保育園があるからそういう人はいないと思いますけれども、ですから、一応1歳半まで事情があれば給付金も出るということです。それでは、どうもありがとうございました。
 それでは、もう一つ議論があります。次は御説明、御報告ということですか。内閣府男女共同参画局では、先般女性のライフプランニング支援に関する調査報告書をとりまとめております。これには、ワーク・ライフ・バランス、この専門調査会に関わる内容も含まれておりますので、参考にしていただきたいということですので、事務局から概要を御紹介していただきたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。
調査課長
貴重な時間をありがとうございます。資料4-1をごらんいただけますでしょうか。「女性のライフプランニング支援に関する調査結果概要」で、左上に説明資料と書いてある10枚ほどの紙でございます。これは内閣府男女共同参画局より、民間調査機関に委託しまして、この専門調査会の佐藤会長、大沢委員、武石委員、杉山委員を含む有識者の御指導を得ながらとりまとめたものでございます。
 これは、30代・40代女性のライフコース選択の希望と現実、その中でも結婚、出産時の選択と、その選択に影響を与えると見られる要因に焦点を当てて、長期的なライフプランニングに関する実態や意識を把握することが目的とした調査です。
 本調査は、女性の就労に関する希望が実現するための課題など、ワーク・ライフ・バランスに関する内容も含まれているので、本日お時間をいただいてかいつまんで御紹介させていただきたいと思います。
 2ページをごらんください。これは、30代・40代女性全体で、有効回答が3,100 ございました。その方たちのライフコース選択の実状でございます。既婚、未婚、子どもがいる、子どもがいない、また継続、転職、離職といった、働き方によって、これだけライフコースが分かれております。
 これは総括表として、全部御説明はできませんが、既婚のグループでは、それぞれ継続、転職、離職という選択に対して、結婚や出産、子育てに面して、仕事を続けた理由や辞めた理由が書いてございます。
 また、四角い部分の中には、これまでの働き方への満足であるとか、それぞれのグループに特徴的な点について記述してありますので、後でお時間があるときでもご覧いただきたいと思います。
 次に3ページをごらんください。これは、ライフステージの変化に即した働き方の希望と現実が示されております。図表2が希望でございまして、働き方の希望は、結婚・出産や子どもの年齢とともに変化しております。子どもが中学生以上になりますと、9割以上の人が働くことを希望しております。図表3は、働き方の現状ということで、希望に比べますと、現実には働いていない人がかなり多くなっております。また、その働き方も、パートやアルバイトに集中しているということで、かなり働き方の希望と現状にギャップがあるということが示されております。
 次に4ページをご覧ください。これは、仕事を辞めた経験のある人に、その理由を聞いたものでございます。図表4は、仕事を辞めた理由ですが、離職理由のトップは主として結婚を理由に辞めたということでございます。
 図表5は、結婚時に離職した人に、その理由聞いたものですが、「体力・時間的に厳しかったから」というのが、トップに挙げられております。 また「辞めるのが当たり前だと思ったから」というのが、それに続いております。
 次に5ページをご覧ください。これは、離職・転職の影響ということで、1年以上の離職前後の年収の変化を見たものでございます。ここで1年以上というのは、出産・子育てで一旦辞めて、その後再就職したようなケースが多く反映されるようにということで、この比較をしております。そうしますと、図表6のように、3割以上で年収が半分以下になったと言っております。また、グループ別に見ますと、結婚して子どもがいる人の収入の減少幅が大きい。半分以下になったという人が43.8%います。
 続きまして、6ページをごらんください。これは、子どものいる継続就労のグループの方の職場の状況の特徴を見たものです。この棒グラフは、回答数が多いのは、そこに書かれてありますような職場の状況にある、すなわち、仕事のやりがいとか両立ということで、その項目がよいという状況を示しております。
 上の棒と下の棒が組になっておりますが、上の棒が全体でございまして、下の棒は既婚で子どもがいて継続しているという人でございます。そうしますと、全般的に見て、継続就労層の職場というものは、やりがいや両立の点でより棒が長い場合が多いということで、全体として比較的よい環境ということが言えます。
 図表8を見ていただきますと、これは子どものいる継続就労者が現在働いている職場において、特に全体との差があるところを見ますと、下から2番目のやりがいのある仕事とであるとか、上から2番目の両立支援の制度が活用できる雰囲気がある、また、仕事と子育てを両立しながら働き続ける先輩が多くいるといったことが、全体に比べて多く見受けられます。図表9の方は、そういった人たちが初めて就いた職場での状況ですが、現在の職場とほぼ同様の傾向が見られます。
 続きまして、7ページをごらんください。これは、夫婦間の家事分担状況を見たものですが、図表10では、ほとんど妻が、家事・育児を担う家庭が7割弱ございます。そういった家事分担と夫の働き方の関係を示したものが右のグラフでございます。ほとんど妻が担うと言っている家庭では、夫の働き方について、残業が多くて勤務時間の融通性もないという割合が高くなっております。このように、男性の家庭への参画にはやはり働き方が大きく影響しているということが示されております。
 次に8ページをごらんください。これは、子育てをしながら働くために必要な環境ということで、家族の状況と職場の環境制度をそれぞれ聞いたものでございます。図表12は、家族の状況ですが、家族面では配偶者・パートナー、すなわち夫が平日も家事・育児に参加すること、また夫の理解といったものが回答として多くなっております。職場の環境を見ますと、一番多いのが、子どもが病気のときや学校の行事などで休みが取れることということです。次いで上司の理解ということが続きます。
 続きまして、9ページをごらんください。これは、先ほどから従業員のニーズといったお話もありましたが、希望と現実ということを見たものでございます。これは、結婚時・出産時の働き方の選択に関する希望と現実ということで、下線が引いてあるのは、結婚時や出産・子育て時に希望していたような働き方が実現したという人でございます。その方たちは、その選択に対してかなり満足度が高くて、特にこれまでどおり働くことを希望し実現したという一番上のグラフは、結婚時では約9割、第一子出産時では8割弱の人が満足という結果が出ております。
 次に10ページをごらんください。女性の場合、結婚や出産、子育てに面しまして、ライフコースの選択を迫られるという状況にございますが、それでは、長期的なライフプランを立てる際に必要だと思われることを聞いたものでございます。そうしますと、一番多いのが、勤務先の会社での情報提供や相談で、右側四角にありますように、特にそう答えた割合が高いグループというのは、子どもを産みたい、末子が乳幼児など、支援を切実に必要とする人たちです。勤務先からの情報提供の次は、自治体の提供する子育て・介護支援の情報提供・相談とか、女性の働き方に関する情報提供というのが続きます。
 11ページは、この調査のまとめを文章にしたものでございます。報告書自体が300 ページにわたるような、大変大部なものであり、本日お配りしています、資料4-2というのは、その概要で30ページほどございます。今、御説明しましたのは、更にそのエッセンスということです。
 これらの調査につきましては、今後のワーク・ライフ・バランスの議論にお役に立てていただければ幸いと存じます。よろしくお願いいたします。
佐藤会長
どうもありがとうございます。30歳代・40歳代を取って、その女性が学校を卒業して最初の職場に就いて、その職場の状況がどうで、その後結婚前後で仕事を続けたのか、辞めたのか、どういう選択をしたのか、なぜそういう選択をしたのか。今度は、第一子が産まれたとき、第二子が産まれたとき、それで今はどうなっているかというふうに、それぞれのライフ面ごとにどういう選択をしたのか、それは希望するものだったのか、そうではなかったのかということをずっと聞いたものです。
 背景には、皆さん御存じのように、厚生労働省の縦断調査をここ20年ぐらい見ると、育児休業制度等々が整ってきたにもかかわらず、多くの人が妊娠・出産、育児休業に行く前に辞めてしまっているんです。ですから、結婚・妊娠、そのプロセスで女性はどういう選択をしているのか。それが希望するものではないとすれば、どういう障害があるのかということを少し基礎データを入れるためにやったという調査です。
 ですから、これだけ見るとわかりにくいかと思いますが、報告書も是非御関心のある方は見ていただければと思います。
 それでは、質問があるかと思いますけれども、時間になりますので、調査のことはまた個別に事務局に問い合わせていただければと思います。
 それでは、事務局から今後の進め方等々について御説明いただければと思います。
調査課長
次回の専門調査会は、4月11日、水曜日の13時~15時半で、会場は第1回と同じ永田町合同庁舎会議室の予定でございます。羽入委員、勝間委員、小室委員、北浦委員から、それぞれのお立場から御意見を発表いただきたいと思います。
 また、日本経団連より、日本商工会議所からも御発表いただいたらという御推薦がありましたので、併せてご発表いただきたいと思っております。その後、皆様に意見交換をしていただく予定でございます。
 発表をお願いしている皆様には、御参考までにあらかじめ質問項目をお送りしておりますので、またよろしくお願いいたします。
 開催通知は、改めて送付させていただきます。
 また、お手元に第1回の議事録の案がございますので、お忙しいところ大変申し訳ありませんが、修正がございましたら、4月9日までにいただければ、大変ありがたく存じます。 事務局からは以上です。
佐藤会長
資料の取扱いはよろしいですか。
調査課長
本日の資料は公表させていただきます。ライフプランニング支援に関する調査も、この専門調査会でのただいまの御説明をもって公表の扱いとなります。
佐藤会長
今後の進め方は御説明がありましたけれども、参考がありますように、一応第5回で中間とりまとめがありますので、論点を整理したものを出していただいて、第6回でいわゆる文章になったものを議論していただくというようなことを考えていますので、いろいろ回数が多いということもありますが、済みませんが、よろしくお願いいたします。
 それでよろしいですか。
調査課長
はい。
佐藤会長
それでは、短時間で忙しい感じで進めてしまいましたが、特にお三方、お忙しい中御報告いただいて、どうもありがとうございました。またよろしくお願いいたします。

以上