少子化と男女共同参画に関する専門調査会

(開催要領)

  1. 日時 平成16年11月22日(月)13:30~15:30
  2. 場所 内閣府3階特別会議室
  3. 出席委員
    佐藤会長、岩男会長代理、阿部委員、大沢委員、奥山委員、玄田委員、杉山委員、高橋委員、武石委員
  4. 議題
    (1)
    開会
    (2)
    働き方の変化と結婚・出生行動の変化
    〈報告者〉国立社会保障・人口問題研究所人口動向研究部長、
    少子化と男女共同参画に関する専門調査会委員 高橋重郷 氏
    (3)
    統計分析指標の仮説について
    (4)
    アンケート調査実施案について
    (5)
    その他
    (6)
    閉会
  5. 配布資料
    資料1
    高橋委員説明資料「働き方の変化と結婚・出生行動の変化」[PDF形式:321KB] 別ウインドウで開きます
    資料2
    統計分析指標関係資料
    資料2-1
    仮説設定のための検討資料-キーワードの整理 [PDF形式:23KB] 別ウインドウで開きます
    資料2-2
    仮説設定のための検討資料-軸の整理(案)[PDF形式:18KB] 別ウインドウで開きます
    資料2-3
    少子化と男女共同参画に関する実証分析について-指標(案) [PDF形式:12KB] 別ウインドウで開きます
    資料2-4
    基礎データに関する分析例 [PDF形式:12KB] 別ウインドウで開きます
    資料2-5
    統計分析関連作業スケジュール(案) [PDF形式:328KB] 別ウインドウで開きます
    資料3
    アンケート調査実施案
    資料3-1
    新規アンケート調査の実施について [PDF形式:39KB] 別ウインドウで開きます
    資料3-2
    管理者を対象とした両立支援策に関する意識調査 調査へのご協力のお願い [PDF形式:20KB] 別ウインドウで開きます
    資料3-3
    管理者の方へお願い [PDF形式:15KB] 別ウインドウで開きます
    資料3-4
    管理職を対象とした両立支援策に関する意識調査 調査票(案)[PDF形式:49KB] 別ウインドウで開きます
    資料3-5
    アンケ-ト調査実施関連作業スケジュ-ル(案)[PDF形式:11KB] 別ウインドウで開きます
    〈参考〉

概要

(1)働き方の変化と結婚・出生行動の変化について、高橋委員から報告があり、質疑応答・意見交換が行われた。主な意見は以下のとおり。

○男女の働き方を誘導する様々な制度を変えていかなければ、出生率回復と男女共同参画という2つの課題が解決しないのではないか。

○サービス産業化で、女性の労働力の需要は高まっているが、それは主に未婚の女性に対しての需要となっている。高度経済成長期に設計した様々な制度を変えていかないと、少子化対策で育児支援策を行ってもそれを利用する人が増えない。

○出生率低下の要因が変わってきて、カップルの出生率も落ちてきているというが、未婚率が高くなるという傾向も続いている。結婚したいという希望は多いという調査結果もあるが、種々の事情で結婚できない。このことについて政策的な手当てはあり得るのか。

○結婚そのものに対してダイレクトな政策は難しいが、フランスのように、結婚したカップルに対して税制上有利なシステムを導入し、結婚のインセンティブを高めるという方法もある。

○教育水準と学歴の関係では、女性に関しては高学歴の女性の未婚率が高いが、男性の方は、学歴が低い方が未婚率は高い。

○伝統的価値観は根強く、結婚した後の規範も世代であまりブレない。意図的に生まない人は少数ではないか。

○結婚年齢が上昇してくると、不妊確率が高まる傾向にある。子どもが持ちたくても持てなくなってしまう。

○90年代に入って夫婦の子ども数が減少してきた背景については、平成不況が影響していることが推測されるが、まだ十分な分析が行われていない。夫婦2人の所得があって一定レベルの生活水準が維持できているため、妻の所得を失うことが非常に大きく、平成不況になって、そのことがより鮮明になってきたのでは。

○婚前妊娠・できちゃった婚も多いことはわかっているが、背景はわかっていない。

○(ノルウェーなどの出生率が回復した要因について)基本的に男女共同参画社会、つまり女性が働き、そのもとで、様々な社会制度を女性が就業することに対してバリアフリー状態にすることによって、はじめて、結婚し、働き、そして子どもが産めるという社会が実現している。

○フランスには結婚促進策として、結婚に対して税制上の優遇策を設けている。結婚することが重要として制度化されている。

○学歴と出生率の関係については、男性は低学歴の方が、女性は高学歴の方が未婚率が高い。

(2)統計分析指標の仮説について審議された。主な意見は以下のとおり。

○制度のようなものは統計分析のためのキーワードに入っていないように見えるが、どうか。

○ステップ1では、社会環境を指標として表そうとしている。ステップ2で、そうした社会環境の背景にある制度について分析する。

○指標案については、構造的に非常によくまとまっていると思うが、男女共同参画とどう関連しているかがよくみえない。基本法にある社会的役割としての「機会」、「享受」、「責任」の3つの観点から整理してまとめるという手法もある。

○労働力率といっても、雇用者、自営業者、家族従業者等、働き方により性質が異なる。大きな指標を採ると、その差が相殺されてしまう。サービス経済化がどの程度進展しているかということが大きいのではないか。

○ヨーロッパでは、福祉国家の類型化が試みられているようである。出生率が回復したといっても、この類型によってアプローチが違うのではないか。こうしたパターン化も分析に取り入れてはどうか。

○男性の家事時間のみでなく、余暇時間、帰宅時間、家族と食事をとる回数などをみるとよいのではないか。

○分野ごとにいくつかの指標があった場合、技術的にどのように統合すればよいのか。

○それぞれの分野について1つの指標を代表させるのがよいか、複数のものを用いて社会環境全体を表しているという形にするのがよいのか、検討が必要である。

○資料2-4「基礎データに関する分析例」でかなり語られているのではないか。就業率をこのままにして出生率を上げるのは難しいと思われる。決定係数が小さいので、説明力は小さく、他のものも大事だということであるが、80年代、90年代、2000年と徐々に決定係数も大きくはなっている。就業率と出生率は同時決定だから、どちらかがどちらを説明するものではないが、全般からみると、就業率を上げるしかないのではないか。

○出生率と労働力率の相関が負から正に移行した理由を分析することが重要。

○所得の伸び悩みにより、共稼ぎをしないと家族を維持できないことが、働き方が変わる大きな原因ではないか。若い世代の所得の悪化が少子化につながるため、どう改善するかが非常に重要であるが、そういう指標が少し足りない。

○出生率は、もう一人産むことに対する追加的な費用の増加と追加的なベネフィットの増加で決まる。そうしたコストやベネフィットも、厳密には、男女を考慮に入れた相対的な変化で見る必要がある。

(3)アンケート調査実施案について審議された。主な意見は以下のとおり。

○育児休業を取得して、辞めてしまう人もいるが、今回のアンケートは継続就業している人を対象に、比較的良好な就業状況の方の情報を集めて、参考にしていただこうという趣旨である。

○同僚の反応が厳しいとよく聞くが、それに対して、何をしたらよかったのかを知りたい。

○育児休業を取得するのは、出産する女性の2割程度。残り8割が取得できるような方向に向けていかなければ、育児休業そのものの効果は限定的である。人材が積極活用されているかどうかが重要であり、企業が女性を活用することについてどう思うかという問いを追加してはどうか。

○全体として、会社として育児休業を取る人が多いかについては確認した方がよい。

○管理者や家族のプロフィールは重要。また、管理者が、育児休業を取得する前日や復帰初日に利用者に対してどういう言葉をかけたか、その事例は参考になる。

○育児休業取得者が就業を継続するかどうかは、周囲の期待と相関している。

○利用者のスキルが戻ったかという問いについては、戻らない場合に何をすればよいか、企業が利用者にスキル維持のプログラム等を提供できているかを問うことの方が重要。

○全体に問いが多いので絞る必要がある。

次回は1月28日14:00から開催予定。

(以上)