少子化と男女共同参画に関する専門調査会

  1. 日時 平成18年8月29日(火)13:00~15:00
  2. 場所 永田町合同庁舎第1共用会議室
  3. 出席委員
    佐藤会長、岩男委員、網野委員、大沢委員、奥山委員、杉山委員、高橋委員、武石委員、橘木委員、布山委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 国内分析の取りまとめについて
  3. その他
  4. 閉会

(配布資料)

資料1
国内分析報告書(案)
資料2
国内分析報告書概要(案)
資料3
第12回専門調査会議事録

(議事内容)

佐藤会長
それでは、時間もまいりましたので、ただいまから男女共同参画会議「少子化と男女共同参画に関する専門調査会」の第14回会合を始めさせていただきます。
 お忙しい中、御参加いただきまして、どうもありがとうございます。
 本日は、議事に入る前に、内閣府におきまして、人事異動がありましたので、ごあいさついただければと思います。異動は、板東男女共同参画局長、飛田審議官、長谷川総務課長、池永調査課長の4名の方が代わられましたので、それぞれごあいさついただければと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。
板東局長
今、紹介いただきました、名取局長の後任で局長を拝命させていただきました板東と申します。よろしく申し上げます。
 この調査会におきましては、男女共同参画と少子化との関係という非常に重要なテーマを御審議いただいておりますので、これから御指導いただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
飛田審議官
審議官でまいりました飛田と申します。よろしくお願いいたします。
 男女共同参画の分野は初めてでございますけれども、大変重要なイシューがいっぱいあると感じておりますので、精一杯努めさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
長谷川総務課長
7月11日で総務課長になりました長谷川でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 国土交通省から出向でまいりまして、私もこの分野は初めてでございますが、是非この機会にいろいろ勉強していきたいと思っておりますので、御指導よろしくお願いいたします。
池永調査課長
調査課長を拝命しました池永でございます。よろしくお願いいたします。 私は、かつて総理府男女共同参画室から内閣府男女共同参画局に移行する時代に一度おりまして、そのときに比べて、当専門調査会で進められているような調査の部分は先生方に御支援をいただいて、格段に充実したと感じております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
佐藤会長
かなり変わりましたが、よろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の議事次第に従いまして、本日の議事を進めさせていただきたいと思います。
 本日の議題は「2 国内分析の取りまとめについて」です。これまでに国際比較についてまとめたわけですけれども、その続きという形で、国内分析についてもまとめていただきたいと思います。基本的に今日で最後の議論にしたいと思いますので、御協力いただければと思います。
 お手元に資料がありますが、それを説明していただきながら議論したいと思いますが、分量が多いですので、一応ブロックごとに御説明いただいて議論したいと思います。
 まず初めに、全体の構成と「はじめに」及びI章、II章の1、II章の2について、事務局から御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
矢島分析官
よろしくお願いいたします。お手元の資料1-1の「少子化と男女共同参画に関する社会環境の国内分析報告書目次案」を御確認ください。
 目次案でございますけれども、構成といたしましては「はじめに」のところで「1.調査目的」と「2.国際比較報告書で示された日本の特徴」を確認してございます。
 「I.我が国の出生と女性の労働をめぐる状況の変化」ということで、合計特殊出生率や女性労働力率に関連するデータについて、時系列の推移を見ております。
 「II.我が国における少子化と男女共同参画に関する社会環境」ということで、社会環境指標に関しまして、以下の3つの点でまとめております。
 「1.国内社会環境指標の設定」は、皆様にこれまで何度か御議論いただいたものでございます。
 また、2番目にこうした社会環境指標のデータにつきまして、時系列変化を見るということで「2.我が国における社会環境の時系列変化」となっております。
 「3.都道府県データを用いた社会環境比較分析」でございます。
 「III .テーマ分析」で、武石委員の方から就業構造基本調査の再集計によります「女性有業率(M字カーブ)の変化と地域別にみた特徴」を、本報告書に関連づけたテーマとして、まとめていただいております。
 最後に「まとめ」という構成になっております。
 まず最初に「はじめに」とIとIIの途中までを、説明させていただきたいと思います。資料1-2でございます。
 「はじめに」でございますけれども「1.調査目的」のところには、少子化と男女共同参画に関する専門調査会におきまして、平成17年9月に国際比較報告書をとりまとめたことを確認いたしまして、この報告の結果を踏まえ、日本国内に関して、社会環境の時系列変化や都道府県の状況などに着目して分析を行ったものが、本報告書であるとしております。
 なお、本報告書においては、後半で都道府県データを用いた分析を行っているが、本調査研究は、都道府県ごとの課題を検討することを目的としたものではなく、日本国内の少子化と男女共同参画に関する社会環境の構造的な課題を検討するために都道府県データを用いているものであるとしております。
 こちらは皆さんに後で御意見をいただいた方がよろしいかと思いますけれども、何度か都道府県の個別のデータの取扱いについて注意が要るのではないかという御議論がありましたので、それを踏まえて、こうした書き方をさせていただいております。
 「2.国際比較と国内分析との違い」でございます。
 図表1は、国際比較報告に取り上げましたOECD加盟24か国における女性労働力率と合計特殊出生率の変化で、1970年、1985年、2000年のものでございます。こちらの結果を基に、本報告書におきましては、女性労働力率と合計特殊出生率の関係が変化してきている。このことは、言わば仕事と子育てとの両立を支える社会環境が一部の国で整ってきたことを示すという分析をしておりました。
 2ページにまいりまして、同じく都道府県のデータを用いまして、国内においての女性有業率と合計特殊出生率の関係を示しております。
 国際比較では労働力率を用いておりまして、国内では有業率を用いておりますが、こちらにつきましては、脚注を付けております。内容についても、後ほど御意見いただければと思います。
 国内では、1971年の時点では国内ではほとんど相関がないものの、1987年、2002年の2点におきましては、国内でも女性有業率と合計特殊出生率の間に正の相関が見られるということでございます。
 ただ、国内の場合、女性有業率が低い都道府県において、合計特殊出生率が大きく低下して、女性有業率が高い都道府県で比較的低下幅が小さく抑えられたことによって、傾きが変化してきたと説明しております。
 国際比較との違いは、すべての都道府県で合計特殊出生率が低下傾向にある点であります。この点が極めて重要であるとしております。
 各年単位で見れば、近年一時的にわずかに持ち直した都道府県もありますが、国際比較のような回復傾向が見られる都道府県はないとしております。
 国際比較では、1970年に女性労働力率が低かったアメリカ・オランダ・ノルウェーなどが、女性労働力率を大きく伸ばしながら、出生率も回復してきましたが、国内の都道府県では、全般に女性有業率の水準は余り変わらず、出生率が落ち込む傾向にあるとしております。
 国内分析を行う際には、単に都道府県間の差違のみに着目することは、国内において相対的に出生率の低下幅の小さな地域をもって成功モデルと見てしまうことにつながり、こうした見方では、日本全体の出生率が下がり続けている状況への対応を考える際に有益な情報が得られないと考えられる、としております。出生率の低下幅が小さく抑えられている地域には、他の地域よりは仕事と子育ての両立を支える社会環境が整ってきていると考えられるが、その地域の中にも、まだ、出生率が下がる要因が残っていることを、国際比較の視点、日本全体の時系列変化の視点などから、見つけ出していく必要があるとしております。
 こちらも、先生方から何度か強調していただいた点でございます。
 したがって、本国内分析の報告書におきましては、まず国際比較報告で把握された日本の女性労働力率及び合計特殊出生率の変化の特色や、社会環境の特色を再度確認するということで、そうした上で「I.我が国の出生と女性の労働をめぐる状況の変化」で社会環境の変化を把握するということでございます。こちらは、目次の方では、IIの1となっております。
 日本の状況が過去20年~30年の間にどのように推移してきたかを把握することで、さまざまな指標のうちの何が女性有業率や合計特殊出生率を引き上げるような方向で変化してきているのか、あるいは引き下げるような方向に変化してきているのかを把握するとしております。
 「3.都道府県データを用いた社会環境比較分析」におきましては、出生率の低下幅が比較的小さく抑えられている地域と、出生率の低下幅の大きな地域との差はどこにあるのか、出生率の低下幅の小さな地域に残る課題はどこにあるのか等を把握するとしております。
 「3.『国際比較報告』における日本の特色」でございまして、こちらは国際比較報告の方でとりまとめた内容をおさらいしておりますので、説明は省かさせていただきます。 資料1-3にまいりまして「I.我が国の出生と女性の就労をめぐる状況の変化」でございます。
 まず最初に合計特殊出生率と女性労働力率の推移で、国際比較のときにつくりました変化のグラフを、今回は各年でデータをとっております。そして、以前は1970年~2000年をとっていたんですが、直近の2005年までに伸ばしたものでございます。
 こちらを見ますと、1970年~1975年にかけて合計特殊出生率、女性労働力率とも減少傾向にあったことがわかります。また、1990年以降については、特に労働力率の伸びが鈍く、依然出生率が傾向として下がり続けているというような書き方をしております。
 6ページは「図表I-2 合計特殊出生率の推移」でございます。こちらは、皆様よく御存じの出生率の推移のグラフでございます。
 6ページの下は「図表I-3-1 各都道府県の合計特殊出生率」の下がり方でございます。こちらは、若干都道府県を折れ線で結んであるので、違和感があるかもしれませんけれども、1971年、1987年、2002年と下がって変化してきていることを示すために、こういった形のグラフにしております。
 7ページ目のI-3-2のグラフは、合計特殊出生率の変化を見ております。
 国際比較でも20年間で見ていたわけですけれども、今回も国内分析では、1982年~2002年の20年間の変化で都道府県の分類をしております。
 ここのグラフは、1982年2002年と、その前の20年間である1960年~1982年の比較をしております。点線の方が1960年~1982年の変化率でございまして、1982年~2002年の変化率が実線になっております。これを見ていただきますと、1960年~1982年は、都道府県によってかなり落ち方にばらつきが大きくございまして、余り下がっていない都道府県もあるのがわかりますが、1982年~2002年につきましては、ほとんどの都道府県でかなりの割合で落ち込んでいて、そのばらつきは小さくなっている。こうしたことから、近年の方が低下幅は大きくなっていることを示しております。
 「図表I-4 平均初婚年齢」のグラフは、特に女性の晩婚化が著しいこと。例えば1990年~2000年の10年間で、女性は1.1 歳上昇ということで、過去に比べましても、近年の方が早いスピードで晩婚化が進んでいることを示しております。
 8ページは「第一子出産時の母親の平均年齢」でございます。こちらは説明を割愛させていただきたいと思います。
 「有配偶者割合の推移」は、図表I-6でございますけれども、こちらでは男女間の有配偶者割合の差が拡大していることを示しております。
 「図表I-7 男女別生涯未婚率の推移」では、特にここ10年間で、急速に男性の非婚化が進んでいることを示しております。
 10ページにまいりまして、今までは出生率関係のデータを見ていただきましたが、労働力率関連のデータを見ております。
 最初に「図表I-8 男女別有業率の推移」でございます。こちらを見ていただきますと、15~64歳と30~39歳子育て期の男女を見ておりますが、女性の場合は、15~64歳、30~39歳に余り差がございません。男性の方は、30~39歳の有業率が高くなっている状況でございます。
 図表I-9では、先ほど見ていただきました出生率と同じような形で、女性有業率の推移を見ております。こちらは、点線の方が1971年ですけれども、もともと有業率が低かった地域において、かなり伸びている。ただし、伸びても、もともと高かった地域に比べると、いまだ低いままである都道府県が多いことを示しております。
 雇用者割合の推移のデータにつきましては、以前国際比較でも紹介したところでございまして、女性の就業者全体に占める雇用者割合が増えていることを示してございます。
 12ページでは、男性の雇用者割合も参考までに示してございます。
 13ページ「図表I-11 男女別正規有業率、非正規有業率(15歳~64歳)の推移」を見てございます。こちらは、真ん中の2本が女性でございまして、近年は、非正規女性有業率の方が、正規女性有業率よりも高くなっていることを示しております。
 13ページの下のグラフにつきましては、注が次のページにいってしまって大変申し訳ないんですが、ワーク・ライフ・バランスの提言のところでも紹介いたしました、武石委員に集計していただいたデータでございます。
 14ページは、今のデータの中から、正規雇用比率だけを取り出して変化を見ているものでございます。こちらの方で一番太い線が2002年になりますけれども、特に20代のところで、正規雇用比率ががぐっと下がっていること。そして、40代、50代につきましても、比較的低いところにあることがみていただけると思います。
 「継続就業率の推移」も、図表I-14でお示ししてございます。こちらも2002年が一番太い線でございまして、30代は比較的高いんですが、20代、40代になりますと、過去に比べまして、2002年の方が低くなっている状況でございます。ただし、こちらの継続就業率については、以前、武石委員からも御説明いただきましたけれども、前職がないという意味での継続就業ですので、40代、50代になって新たに就職した方も入っているという理解であります。
 15ページは「図表I-15 男女別未婚労働力率、有配偶労働力率(15歳~64歳)の推移」でございます。
 こちらは、下の方の薄い線が女性でございまして、女性の場合、1990年~2000年にかけて、未婚女性労働力率と有配偶女性労働力率が少し開いてきているということが見てとれます。
 男性の方は、1985年以前は、こういった分け方でデータをとっていなかったわけですけれども、1990年から後はデータがとられていまして、男性は未婚労働力率、有配偶労働力率にかなりの差があることが見てとれます。
 16ページでは、男性、女性の未婚、有配偶の労働力率の違いを年代別に見ておりますが、女性の方は、かなりいろいろなところでも御紹介されているものでございますけれども、今回は参考までに男性の方も紹介しておりまして、若年層は勿論なんですけれども、40代以降でもかなり未婚の労働力率が下がっている、低いという状況が見て取れます。
 17ページの上のグラフは、以前ワーク・ライフ・バランスの関係でも集計を出していただいたところでございます。若干、今回武石委員の方から御説明いただきまして、以前示していたものと定義に違いがございまして「無配偶」のところに、一部「子どもあり」の人が含まれてございまして、一番下の山は「子どもあり」の山であることは変わらないんですが「有配偶・子どもあり」の有業率でございます。
 その部分だけを取り出しましたものが、図表I-18でございまして、一番太い2002年のラインで、特に20代、30代の若い部分で、以前よりも有業率がかなり低くなってきていることが見てとれます。
 18ページは「図表I-19 結婚年次別出産前後の女性の就業状況の変化」でございまして、以前ワーク・ライフ・バランスの検討のときにも用いたグラフでございます。
 その後の図表I-20は、今年発表されましたデータでございます。ただ、I-19とI-20では定義が異なっておりまして、I-19の方は結婚年次別で出されているものでございますが、I-20は子どもの出生年別で出されております。ただ、これは紹介される年次が違いますので、一応ここでは両方紹介しております。
 図表I-20の方を見ていただきますと、2000年~2004年のところまで出てございますけれども、こちらでも就業継続をする女性の割合は、全体的に余り増えていないことが見てとれます。
 19ページは「図表I-21 第一子出産前後の女性の就業状況の変化」で、7割の女性が辞めている状況でございます。
 20ページは「3.出生率と労働力の変化の要因」でございますが、こちらは合計特殊出生率と女性労働力率の変化につきまして、未婚要因とそれ以外、結婚行動とそれ以外の要因に分けております。
 図表I-22は、高橋先生の本で御紹介されているデータで、1975年~2000年を見ています。1975年~1980年代のところは、「結婚行動の変化に起因する変化量」が大きいのですが、1990年~2000年にかけては「夫婦の出生行動の変化に起因する変化量」が大きい。ただ、1975年~2000年を通じて見ると、やはり「結婚行動の変化に起因する変化量」が大きいところでございます。
 21ページからは「図表I-23-1 女性労働力率の変化の要因」で、こちらも今回の調査の期間となるべく合わせるように、事務局で1972年~2000年の計算をしております。1972年~2000年を見ますと、20代後半、そして30代前半の辺りで「未既婚比率変化要因」が大きいところでございます。
 次のページへいっていただきまして、1990年~2000年でございますけれども、こちらは若干折れ線のグラフがずれてしまっていて申し訳ないんですけれども、1990年~2000年で見ますと、20代前半と30代後半で労働力率の変化要因、マイナスの要因が大きくなっていて「未既婚比率変化要因」ではなくて「労働力率変化要因」が大きくなっていることが見てとれます。
 こうしたデータを基に「4.まとめ」では、出生関連データから言えることは、女性の晩婚化・晩産化が進展しており、特にここ数年その速度を増して進展している。また、非婚化については、特に男性において顕著に見られ、これも最近速度を増しながら進んでいるところでございます。
 就労関連データからの傾向といたしましては、労働力率、有業率は1970年代後半以降上昇したが、それは雇用の増加という形態で進展しているところでございます。また、男女ともに非正規化が進展しており、特に女性で多く、急速に非正規化が進んでいるところでございます。
 また、M字カーブの底の上昇につきましても、非正規雇用女性の増加、配偶関係・子どもの有無別で見ると、無配偶の女性の増加によって上昇しているところでございます。依然、出産を期に7割の女性が辞職している状況でございます。
 こうした状況を踏まえまして、非正規化等の問題を整理しております。
 最後に「なお」ということで、本報告では、女性の就労を中心に状況の変化を見ていますが、今までのデータを見てきますと、男性の有配偶率の低下や生涯未婚率の上昇が著しいなど、男性特有の傾向も見られるということで、一応こうした男性の状況についても、今後の検討課題ではないかといったところを指摘しております。
 以上が資料1-3でございます。
 少し長くなってしまいましたけれども、ここまでのところで、一度御意見を伺えればと思います。
佐藤会長
それでは、ただいま御説明いただいたところで、何かございますか。
 目次は最後にまた戻ってくることにしまして「はじめに」についてでございます。国内分析の位置づけは、いろいろ議論したわけですけれども、これについて、御意見あれば伺いたいと思います。
 国際比較で、日本は全体的に女性の労働力率が余り伸びない中で、出生率が大幅に落ちている。女性が働きながら、子育てしにくい状況がある中で、国内の状況を見ていくことで、相対的にいい都道府県があっても、それだけでいいと言える状況ではないということは、誤解を得ないような形で少し書くようになっています。
 あと、都道府県も都道府県比較自体に目的があるわけではないことがわかるように書かさせていただいていますが、いかがでしょうか。
 また戻ってくることにして、ここは大体よろしいですか。
 それでは、Iの1970年以降、30年ぐらい女性の出生と就労をめぐる状況の変化のオーバービューについては、特にまとめ方が問題かと思います。この辺は、データと全体のまとめ方等について、御意見があればお願いいたします。
橘木委員
これは高橋さんに質問したいんですけれども、非婚率が男女で違うのは、男女のアンバランスが大きな要因ではないですか。1対1ですね。
高橋委員
大もとは団塊の世代のところから発生した未婚者の正非の不均衡があって、それが順繰り世代送りされているということです。
橘木委員
ということは、男性の非婚率が高いのは、あぶれた男がいっぱいいるという解釈でよろしいんですか。
高橋委員
はい。それと生まれたときそのものにも、もともと男と女には比率の差がありますから、それが上乗せになっているということです。
橘木委員
男性の非婚率の高さが出生率にどういう影響があるかというのは、子どもを産むのは女性ですから、なかなかわからないですね。
高橋委員
出生率そのものは、女性を単位としてはかっていますから、男性はある意味では、再生産から見ると関係ないです。
橘木委員
無駄ですね。
高橋委員
ですから、どれぐらいのレベルで、女性の再生産が行われているかが、出生率にとっては意味があることです。
佐藤会長
最後のところは、別に男性の未婚率と、直接少子化がどうこうという話ではないので、その辺は平気かと思います。
高橋委員
女性の未婚化現象というのは、相当深刻な状況で、6月に国勢調査の1%抽出が出ましたけれども、それを見ると20代後半女性の未婚率は6割です。30代前半も33%になっていますから、そういう意味でいうと、要するに出生率と女性の就労との間に、結婚がもう少しうまくきれいに見えるような形にしておかないと、直接結び付けるのは、やはりやや問題かなとは思います。
岩男委員
1つ伺ってよろしいですか。
佐藤会長
岩男委員、どうぞ。
岩男委員
有配偶率というときには、調査時点での配偶者の有無が問題になっているわけですから、離婚していれば、当然離婚としてカウントされるわけですけれども、国勢調査などでは、当然別居というのもとれるわけですか。
高橋委員
離別人口です。
岩男委員
なるほど。死別とは別に離別ですか。
高橋委員
死別と離別があります。
岩男委員
分けてとっているのですね。離別の場合に、例えば法律的には配偶者がいることになっていて、婚姻を維持していることになっていても、実際には夫婦関係が破綻しているわけで、子どもを産むような状況にないんだろうと思うんですけれども、そういうのはどういうふうに扱っているのですか。
高橋委員
国勢調査は自己申告ですから、法律婚とは関係ないんです。法律的な離婚とも関係ありません。ですから、本人が実際に離婚していると思えば、離別というところに丸がついています。
橘木委員
法律的には夫婦でも、別居していても、私は離婚したんだということですね。
高橋委員
ですから、国勢調査を厳密に調べると、結婚している人の数が、男性と女性で違うんです。
岩男委員
男性の方が結婚していると、報告する人が多いわけですね。
高橋委員
そうです。そういう面白いことがあります。
 しかし、出生率との関係でいいますと、年齢層の高いところの離婚も結構多くなっている傾向があって、そこのところは、ダイレクトに出生率には影響していないんだろうと思います。
佐藤会長
武石さんがやられた、17ページの図表I-17の「無配偶」のところは、お子さんがあるということは、離別と死別が両方入っているわけですね。無配偶の子どもありというのは、例えばそういうようなものでいいんですね。
武石委員
ここでややこしいのが、子どものありなしは、就調、世帯単位でしかわからないんです。
 私もこの後申し上げようと思っていたんですけれども、自分の子どもかどうかが特定できないんです。だから「有配偶・子どもあり」というのも、配偶者がいて、その世帯は子どもがあるという世帯なんですが、確実にこの女性の子どもかどうかが特定できないんです。
佐藤会長
子どもが独立してしまっていると、どうなるんですか。
武石委員
世帯主にとっての子どもです。
 例えば60歳のおじいちゃんが世帯主だったとして、息子とか娘が同居していると、それは世帯主にとっての子どもになるんです。そこに娘の夫婦が同居していて、例えば5歳ぐらいのおじいちゃんの子どもがいた場合に、その5歳の子どもは、実はおじいちゃんの子ども、世帯主の子どもなんですが、就調だと、だれの子どもかわからない。女性の票からは、その女性の子どもかどうかが、特定できないんです。だから、正確にいうと、子どもあり世帯の有配偶女性です。
佐藤会長
その人の子どもかどうかはわからない。その世帯に子どもがいるということですね。
武石委員
ということで、厳密にいうと、子どもあり、なしというのが、就調の場合に分離できないというのがあって、そういう意味で無配偶というのは、完全に本人にとって無配偶なのでわかるんですけれども、子どもあり、なしというのは、いろんな意味が入ってきてしまっていることを注意しないといけないです。
佐藤会長
Iのところで、ほかにはいかがでしょうか。網野委員、どうぞ。
網野委員
今の議論にも関係していたんですが「4.まとめ」の最後で、男性に関係することが出ているんですが、例えば団塊の世代の推移も含めていろいろ見ていった場合、例えば9ページの図表I-6は、15歳~64歳ということで、結婚適齢の時期で考えると、正非が当然あることも含めて、男性の方が有配偶者の割合が低いということで、その差がものすごく広がるとか何かあれば別なんですが、このことも検討の課題とされる内容なのかが、私にはよくわからないんです。
 つまり、男性の出生行動とかいろんなことで、どこまで関わるかということを検討した場合に、どれを問題なり課題と考える部分が少ないのかなと思います。全体の説明をいただいた中では、夫婦出生行動の要素は、有配偶者とか未婚、既婚に関係ない、夫婦出生行動というときに、何らかの現代の時代の反映の中で、男性の影響力があるのかが余り出てこないんですが、やはり検討課題にすべきと明確に書いた方がよろしいんですか。
矢島分析官
前回も読み方について、余りよくわかっていないのが実情なのではないかということも含めて、今後、少子化だけではなくて、男女共同参画の問題としても、こういったデータの読み方、背景については、出生率に直接ではない可能性もありますけれども、分析する必要があるのではないか。この報告書の中でという意味ではなくてです。
佐藤会長
ここは「少子化」というのがくっ付いてしまっていると、さっきみたいな議論が出てくるかもわかりませんね。先ほどあったように、やはり出生率は女性の方だから、もしかしたら、男女共同参画を考える場合はあり得るかもしれない。「少子化」というのをくっ付けてしまうと、今みたいな議論が出てくるかもわからない。最後の4行をどうするかというのは、あると思います。初めてこれが出てきたので、今まで余り議論してこなかったんですけれども、どうですか。
大沢委員
感じだけなんですが、男性でも非正規化が進んでいると出てきたので、この数字から何が言えるのかは難しいと思うんですが、今後の検討課題として、将来的に生活に対して不安を持っている人が増えていることが結婚の在り方を変えているとか、そういったことについて、今後検討することは必要なのではないかなと思います。
 例えば雇用形態間で子ども数が違うとか、男性の雇用形態と子ども数の関係とか、そういうところは、今後見ていく必要があるのではないかなと思います。それが結婚を変えていく可能性があって、それがここに反映されているかどうかということは、まだわからないのではないかなと思います。
佐藤会長
男性の非正規率が高くなって、それが未婚化に影響するという議論はあります。だから、そういうのはわかるんだけれども、男性の有配偶率と未婚率の上昇と取り上げてしまっているから、ここでは、それはないんだよね。
矢島分析官
傾向としては、非正規化のところも取り上げているので、そうしたことも含めてであればいいと思います。
佐藤会長
最後の4行に、男性の非正規化というのも入れるかどうかですね。その方がまだわかりやすいかもしれません。
 ここは男性の非正規化の進展も入れるというのでは、どうですか。
池永調査課長
ここを追加した趣旨は、女性を中心に見ているわけですが、やはり男性の非正規化もございますし、有配偶、未婚といった、男性にもちゃんと目配りすることで、男女共同参画を考えていくという視点を入れたいと思ったからです。もしかしたら、言葉が不十分だったかもしれませんが、そういう趣旨です。
佐藤会長
1つは、少子化と男女共同参画を考えれば、落としてしまうんです。こうした男性の状況についても、今後検討の課題だと言ってしまう方が、いろいろ言われたときにも議論しやすいかもわからないです。
岩男会長
その方が素直ですね。
佐藤会長
私たちも十分そこがよくわかっていないので、非正規化も入れて、かつ少子化と男女共同参画を考える場合は落とす。もうちょっと広目に検討する。それは大事だと思うので、そういう含みがわかるような形にまとめていただくことにしたいと思います。 ほかにはいかがでしょうか。布山委員、どうぞ。
布山委員
「4.まとめ」の真ん中のパラグラフですが、前章までのデータの出し方からすると、このような書き方になるのかもしれませんが、M字カーブのイメージは通常、出産・育児期に労働市場から退出するということであると思いますので、「また、配偶関係・子どもの有無別で見ると」のところに書かれている文章が先にきた方がいいのではないでしょうか。現在の文章のように非正規のことがはじめに書かれていて、そしてM字カーブの底の上昇も、継続就業の女性が増加したのではなくて、非正規雇用の女性が増えたという記述になっていると、M字カーブの意味自体がそういうものだと誤解されてしまうように思います。この「まとめ」でまず言いたいことは、M字カーブの底の上昇は出産・育児期にも退職せずに働き続ける人が増えたからというよりも、主に30代の無配偶女性の増加によって上昇しているということだと思いますので、まずそれを書いて、なおかつ、その内容を見てみると、継続就業している人ではなく、実は非正規の人も増えているという順番の方が、読んでいて違和感がないかなと思います。
佐藤会長
今の布山委員の御意見は、その方がわかりやすそうですので、入れ替えるということで、いかがですか。そうさせていただきます。
 ほかにございますか。全体をやって、また戻ってくるということでもよろしいですか。 それでは、続きまして、II以降についての一まとまりを御説明いただければと思います。それでまた全体をやるという形にいたします。
矢島分析官
続きまして、資料1-4でございます。
 IIの「1.国内社会環境指標の設定」としております。
 社会環境指標につきましては「(1)指標分野の設定」で、ここの分野設定は、国際比較の報告の枠組みを用いるということで、同じ形になっております。
 次のページにまいりまして、枠組みの中で、国内の場合は、国内の統計でより的確なものがあれば、そういったものを国際比較で使ったもの以外でも使って、この指標項目を設定することにいたしまして、図表II-1-2にあるような項目を設定いたしましたということでございます。
 ここでまた御意見をいただきたいのですが、表の中に*と◆のマークが付いておりまして「*は『国際比較報告』から変更された指標データ」で「◆は追加された指標データ」としております。ただ、変更されたという意味が難しくて、ほとんど同じデータなんです。 例えば保育などは、国際比較では0~2歳をとっていましたが、国内の都道府県データでは、データの制約上0~4歳をとっているとか、そういったことも変更と言うのかと内部で議論しました。こういった形で示すのがよろしいのかどうかといった辺りも、後ほど御意見をいただければと思っております。
 「図表II-1-3 社会環境指標と仮説」でございまして、これは以前にも皆様方に御議論いただいたところですので、基本的には説明を省略させていただきます。
 28ページでは、指標項目の設定をした考え方ということで「①国際指標との比較を重視する」「②合計特殊出生率および女性有業率との関係が明確な指標を重視する」「③各分野の趣旨に合致すると考えられる指標を重視する」でございます。
 その後は、具体的な指標項目ごとに意味合いを示したものでございまして、こちらも以前、簡単に説明させていただきました。一部指標項目が変わったところがございますけれども、後ほど結果のところを見ていただいてから、御意見をいただければと思っております。
 こうした指標項目を設定したことを説明した上で、32ページからは「2.我が国における社会環境の時系列変化」を見ております。
 今、御確認いただきました指標項目の中で、時系列で把握可能なものにつきまして、データを見ております。時系列でとれないものにつきましては、最新時点でのデータのみを示してございます。また、ここでは国内指標では用いていませんが、参考になるようなデータも一部紹介してございます。
 「(1)仕事と生活の両立可能性」の「1)適正な労働時間」につきましては、男性の1日当たりの就業時間のデータをとっております。こちらの推移を見ますと、1981年~1991年の間に41分増加しておりまして、そこからはほぼ横ばい状態でございます。
 次のページでございますけれども「②通勤時間の短さ」は、図表II-2-2でございまして、こちらは若干下がっております。グラフのつくり方で、かなり下がっているようにも見えますが、7分ほど下がってございます。
 「③帰宅時間の早さ」につきましては、1970年~2000年の「図表II-2-3 平日19時在宅比率」がございます。1970年には79.3%、2000年で66.5%と減少してきているところでございます。
 「2)働き方の柔軟性」につきましては、今回「①正規・非正規間の移動のしやすさ」という数値を計算で出して、用いておりますけれども、図表II-2-4で示しております。こちらは計算方法について、まだ注を示してございませんが、後の方のデータ一覧のところに出典、定義が書いてございますが、この下にも書くようにいたします。
 「②育児休業取得率」は、参考データとして、推移を示しております。
 「③フレックスタイム制適用労働者数」も参考データでございますが、こちらもわずかですが、増加してございます。
 35ページにまいりまして「(2)子育て支援の充実度」です。
 「1)地域の子育て環境」で「①保育利用の容易さ」は、先ほど申し上げましたように、国内では0~4歳でとっておりまして、保育サービスの利用割合を見ております。こちらも上昇してきてございます。
 ただ、保育利用の容易さにつきましても、国際比較報告では日本の水準か分析対象国と比較して、低いスコアであったというコメントを入れるようにしております。
 「②子育て支援施策の進捗状況(参考データ)」ということで、基本的な保育サービス以外にも、さまざまな子育て支援サービスが、一応拡充されてきているところを示してございます。
 「③児童福祉費の高さ」ということで、保育所措置費などを含む児童福祉費の高さを見ております。37ページの「図表II-2-10 17歳以下人口一人当たり児童福祉費」は、伸びてきているところでございます。
 こちらは、国際比較で用いました「④児童・家族関係給付費の社会保障給付費に占める割合(参考データ)」を示しております。これは児童福祉費が地方財政で取っておりますので、こちらの方は、国全体の給付で、参考までに示してございます。給付費は伸びてきておりますけれども、社会保障給付に占める割合が下がってきていることを示しております。
 「⑤地域活動への参加度」は「図表II-2-12 ボランティア活動への参加率」ということで、これもわずかですが、伸びているところでございます。
 38ページの下の「図表II-2 -13 『育児においての助け合いがよくおこなわれているか』」は、図表番号が切れてしまって申し訳ありませんが、39ページにございます。
 こちらは、今回の報告書のために実施いたしました意識調査の結果でございます。
 こちらでは、地域社会の協力体制が整っているかというところで、こちらに同意する割合を見ますと、女性の方が男性よりも低い状況になっております。
 「2)子育て費用の軽減」につきましては「①教育費の公的負担の高さ」というところで「図表II-2-14 人口1人あたり教育費」で見ております。こちらは、1970年~1990年ごろにかけて増加し、その後、漸減している状況でございます。
 「②子育て費用の負担感」につきましては、同じく今回の意識調査の結果をお示ししてございます。こちらは、一般的に見て、1人の子どもを育てるための金銭的負担でございますが、わずかですが、女性の方が同意する割合が高くなってございます。
 「③家計に占める教育関係費の割合(参考データ)」を示してございます。41ページにグラフがございますけれども「図表II-2-16 『家計に占める教育関係費の割合』」が30年間で増加していることを示してございます。
 「3)家族による支援」でございますが「①世代間同居割合の高さ」ということで「図表II-2-17 三世代同居率(三世代世帯割合)」を示しております。1970年~1975年までは、まだ増加しておりますが、それ以降3世代同居率が低下傾向にあることを示しております。
 「②近居割合」については、直近の構成比のみを示しております。こちらを見ますと、表の中で「一緒に住んでいる」「同じ建物又は同じ敷地内に住んでいる」を同居率と見ますと1.5 %。「徒歩5分程度の場所に住んでいる」「片道15分未満の場所に住んでいる」の近居が7.3 %ということで、同居世帯の約五倍程度の割合になっております。
 「(3)ライフスタイル選択の多様性」につきましては「図表II-2-19-1 家事や育児に占める男性の時間の割合」を見ておりまして、こちらもわずかですけれども、増えているところでございます。
 次のページに参考でお示ししましたのは「図表II-2-19-2 夫の家事・育児時間(共働き世帯、夫が有業で、妻が無業の世帯)」で比べると、余り変わらず、むしろ妻が無業の方が近年わずかに多いぐらいであって、共働き世帯の男性が家事をしているわけではないところも、参考までに示しております。
 「②性別役割分単意識の解消度」は、内閣府の世論調査の結果を示しておりまして「図表II-2-20-1 夫は外で働き、妻は家を守るという考え方について(男女計)」に同意する割合は、近年減ってきていることを示しております。
 45ページ「③女性が職業を持つことに対する考え」でございますけれども、これにつきましても、内閣府の世論調査でございます。
 見にくくて恐縮ですが、最初のグラフが男性でございまして、下の方から薄い線になってしまっていますけれども「子どもができてもずっと職業をつづける」と答える人の割合が近年大きく伸びて、最も多い割合になっております。
 女性の方も「子どもができてもずっと職業をつづける」と答える方の割合が多くなっていることを示しております。
 「2)社会の多様性寛容度」では「①働く場における多様性」を見ておりましたけれども、これは「図表II-2-22 正規従業員の男女・年齢構成の偏り度合い」を見ております。時系列で三菱総研さんに推計を出していただきましたところ、1992年以降、偏り度合いが強くなっていることが見てとれます。
 「②社会における多様性」の方は、同じような考え方で「図表II-2-23 ボランティア活動参加者の男性比率」を見ておりまして、こちらも近年男性の比率は、減ってきているところで、もともと女性が多いということで、偏りが大きくなっていると言えるかもしれません。
 48ページ「3)雇用機会の均等度」では「①女性正社員比率の高さ」を見ておりまして、こちらは女性正社員の比率を30~49歳で指標をとっておりましたが、減少してきているところを見ております。
 「②男女の賃金格差の解消度」で、49ページの上の方のグラフは、今回指標で用いました一般労働者とパートを合わせた賃金格差の解消度でございます。こちらの方も、解消の方向に向かっているところですが、依然30%以上の格差がございます。
 下の方は、参考までに、通常よく用いております一般労働者とパートタイム労働者を分けたグラフでございます。
 「③女性管理職割合の高さ」。今回指標では「女性管理職・専門職・技術職」を併せて用いております。この割合が上の方に示したグラフでして、1970年の24.1%から2000年39.1%と伸びてきております。
 下の方には「うち女性管理職」だけを示しておりますが、これは4.6 %から10.8%と微増ですが、これはかなり低い水準になっておりましたので、今回は管理職・専門職・技術職を併せて見ております。
 次のページは「(4)若者の自立可能性」でございますが、こちらは若年の失業率の全体と男女別を見ております。失業率は1990年以降高まっておりましたが、近年、若干持ち直している状況です。
 「②若者の雇用安定度」につきましては、男女の非正規割合を示しておりますけれども、これも若干見にくいグラフで恐縮ですが、男女ともに非正規化が進んでいるところでございます。
 53ページ「③親からの独立度」につきましては、成人で親と同居している割合は、1995年と2000年のデータだけですけれども、2時点間の比較ということですが、一応割合が増えておりまして、独立度が低下しているところでございます。
 「④若者の就業形態(参考データ)」としては、フリーター数と無業者数の推移を見ております。
 「(5)社会の安全・安心度」。
 「①凶悪犯罪の少なさ」「②自殺増加率の低さ」「③雇用不安の低さ」で、男女計の失業率を見ておりますが、こちらにつきましては、ごらんいただいているような傾向で、どちらかというと環境が悪化しているところでございます。
 58ページの「④生活地域の安全・安心感の高さ」も、少子化と男女共同参画に関する専門調査会」の中で行いました意識調査の結果でございます。
 「図表II-2-36 『生活地域が安全で安心して暮らせるところだと思いますか』」という問いに対する回答ですが「そう思う」という答えが多いんですが、やはり女性の方が若干同意しない割合が高いということでございます。
 参考データといたしまして「⑤幸福感の高さ」で、直接のデータではないんですが「悩みや不安を感じている」「悩みや不安を感じていない」というデータの推移を御参考までに示しております。こちらは、悩みや不安を感じている割合が高まっていることを示しております。
 「(6)まとめ」でございますけれども、時系列で指標の動きを見てみますと、適正な労働時間については、労働時間の長時間化が進み、通勤時間は依然長く、帰宅時間が遅くなるなど、環境はより厳しくなっている。
 家庭内役割分担の柔軟性につきましては、男性の家事・育児負担割合は、依然低い水準であるが、徐々に増えつつあり、性別役割分担意識の解消や女性が職業を持つことに対する理解も進みつつある。
 雇用機会の均等度については、女性の正社員比率は低下し、環境がより厳しくなる一方、女性の専門職・管理職割合などは、徐々に改善に向かっている。
 ほかの社会環境指標に比べると、水準が高い分野でありました家族による支援における3世代同居率は、低下傾向にありまして、若者の自立可能性における若年失業率の上昇、非正規比率の上昇、社会の安全・安心度における指標の上昇傾向などにより、これまで日本が比較的めぐまれていた社会環境もより厳しさを増してきている。
 このように、少子化と男女共同参画に関する社会環境の時系列的な変化を見ると、国際比較報告において低いと指摘されている適正な労度時間は、厳しい状況が続いており、家庭内役割分担の柔軟性は改善の方向に向かっているものの、依然水準は低い。
 また、国際比較報告において比較的高目、平均より低いスコアであった家族による支援は、若年の自立可能性、社会の安全・安心度においては、むしろ厳しさを増す変化が見られるところでございます。
 続きまして、お時間もありませんので、都道府県データの方も説明させていただきたいと思います。
 「3.都道府県データを用いた社会環境比較分析」でございます。資料1-5になります。
 資料1-4の最初に説明いたしました、国内社会環境指標の設定につきまして、都道府県別にデータを収集いたしまして、分野ごとに想定した社会環境を比較検討できるように、標準化しているところでございます。この辺りの作業は、国際比較と同じ形でございます。 A3の紙の裏表に「図表II-3-1 社会環境指標一覧表(実数データ)」を示しております。
 64、65ページの裏表では、偏差値のデータをお示ししてございます。
 3枚目の66ページにつきましては、少子化と男女共同参画に関します基礎的な統計データの一覧を示しております。
 こうしたデータの傾向を、67ページから「(4)指標項目にみられる傾向」で確認しておりますが、今日は説明を割愛させていただきます。
 傾向がどういった方向性なのか簡単に見てとれるように、小さいんですけれども、69ページから簡単なグラフを参考までにお付けしてございます。
 75ページ「(5)都道府県の類型化」でございます。
 76ページに一覧表がございますけれども、こちらの類型化は、国際比較と同じ考え方で行いまして、まず合計特殊出生率の変化率を見ております。そして、2002年の直近の水準と女性有業率の水準を見ております。
 こちらの形で分類しました結果、合計特殊出生率が余り低下していなくて、水準が高く、女性有業率の水準も高いタイプ1がちょうど16県で、出生率の減少率が大きくて、水準も低く、女性有業率の水準も低いタイプ7も16都道府県という形に分かれました。そして、間のグループが細かく分かれたんですが、併せて15件という状況になっております。
 合計特殊出生率の変化・水準、有業率の水準が密接に関係していることは、この分類からも見てとれると思います。参考までに◆と網かけと※で、正規女性有業率や雇用女性有業率との関係を見ております。
 77ページ「(6)タイプ別分析」では「1)分野別のスコア」を示してございます。傾向については、後ほどまとめてございますので、そちらで説明いたします。
 78ページには「図表II-3-8 各都道府県における社会環境指標の分野別スコア」を載せておりますが、こちらの方は、分野別のデータのみを示しておりまして、平均などの一本化はしておりません。
 79ページから「2)主な類型の基礎統計データと社会環境指標:タイプ1とタイプ7の比較」をしております。
 「①出生と女性の就業に関する基礎統計データの特徴」を示しております。こちらも一覧表で示したものをごらんいただいた方がわかりやすいと思いますので、83ページをごらんください。
 83ページは、タイプ7とタイプ1の特徴を整理してございます。
 タイプ7は、出生率・有業率の水準が低くて、出生率の低下幅が大きいという、東京などを含む16都道府県でございます。
 「出生・就労関係の基礎的な統計」の特徴ですが、これはタイプ1との比較で示しております。25~44歳の男女有配偶率が低い。第一子出産時の母の平均年齢、平均初婚年齢がやや高いということで、晩婚・晩産化傾向がある。
 自営業等女性有業率、雇用女性有業率、正規女性有業率、女性正規職員・従業員比率が低い。非正規女性有業率が高い。既婚女性労働力率が低く、未婚女性労働力率が高いという特徴でございます。
 「社会環境指標」は、各分野を通じて、全般的に指標のスコアが低いのですが、社会の多様性寛容度、社会の安全・安心度、適正な労働時間などは、特に低い水準になっております。
 お戻りいただいて、80ページでグラフを示しております。下の方のグラフで、タイプ1と7を示しておりますが、余り偏った形ではなくて、全般にタイプ7の方が低いことになっております。
 16都道府県ございますが、この中で14都道府県が共通して平均を下回る分野がございまして、これが地域の子育て環境と社会の安全・安心度でございます。
 合計特殊出生率との相関が高い適正な労働時間、家族による支援、社会の多様性寛容度で、7タイプ中、最もスコアが低いという特徴もございます。
 タイプ1でございますが、各分野を通じて、全般的に指標のスコアが高くなっております。
 合計特殊出生率との相関が高い適正な労働時間、家族による支援、社会の多様性寛容度、有業率との相関の高い社会の多様性寛容度、社会の安全・安心度、地域の子育て環境で、全般にスコアが高い。
 こちらは、16県中15県で平均より高いスコアを示すという共通の分野は、適正な労働時間、家族による支援、社会の多様性寛容度となっております。
 7タイプの中で、タイプ1が最も高いスコアを示す分野は、適正な労働時間と若者の自立可能性であります。
 82ページには、東京都のグラフを参考までに載せてありまして、東京都の地域の子育て環境などは、タイプ7の平均よりはやや高いのですが、タイプ7の中でも、適正な労働時間、家族による支援、社会の多様性寛容度が極端に小さくなっている。こちらは、タイプ1が共通して高い分野であるところに一致しています。
 以上が都道府県の分析でございます。
佐藤会長
それでは、国内分析のメインのところですけれども、基本的に分析の枠組みは国際比較の枠組みを踏襲することです。ただし、国内について、社会環境を時系列で見ていくことと、都道府県間を比較することですので、そのときに、国際比較と違って、国内については、より指標に合ったデータがとれるということです。そういう意味では、データを入れ替えて分析しています。その辺について、25ページ、26ページの表示の仕方、するかしないかということを、御意見伺えればと思います。
 前半は、国際比較で見た特徴が、国内で30年間どう変化しているのかを見る。そういう意味で、比較的よかった分野も悪化している。一部改善しているけれども、それほど改善が進んでいないこともわかっています。
 後半は、国内分析です。
 まず、一番最初の設定の枠組みのところ、25、26ページのマークを付けるかどうかというところについて、御意見ございますか。これは全部変えたみたいに見えるんですけれども、どうですか。
岩男委員
例えば◆の方に「国内分析に新たに追加された指標データ」とすれば、もう少しはっきりするのではないかと思うんですけれども、私はここに注釈を付けるのはいいと思います。
佐藤会長
変更をやめてしまうというのは、どうですか。
岩男委員
でも、若干修正というか変更しているわけですね。
佐藤会長
追加というのは、もともと「3 帰宅時間の早さ」という項目がなかったということですか。
矢島分析官
はい。変更の方にかなり幅がありまして、先ほど言いましたように、保育の利用割合で0~2歳が0~4歳になったというようなものとか、国際比較では、3世代同居を世帯人員で見ていたというような違いもあれば、意味合いが違うものになっているのも中にはございます。
佐藤会長
あるいはこのままいくかですね。枠組みは変えないで、具体的なデータだけは、より指標を示す代理変数として適切な実データをとっています。変えたのは、よりいいものをとったんだという趣旨だとすれば、きちっと書いておくとことで、いかがですか。書きますか。
岩男委員
その方がいいと思います。
佐藤会長
前半の30年間の変化と、60ページ「(6)まとめ」のところで、御意見があればお願いいたします。それほど違和感ないですか。
 橘木委員、どうぞ。
橘木委員
1つ質問なんですが、若年を15歳~24歳でずっと統一してやっていますね。これは明確な根拠でもあるんですか。若年のことをいうときは、20代後半もそれと同じような状態にいると考えていいと思います。何か有力な根拠があれば、これで結構です。
佐藤会長
いかがですか。
矢島分析官
若年は、逆に国際比較と同じ年代でとっていました。
佐藤会長
フリーターの方は、34歳まであるんですね。
橘木委員
だから、そのConsentireが心配なんです。24歳なら、大学生まで入っているのではないですか。就学年齢の人が相当入っていますね。
佐藤会長
在学者は除かれますね。
橘木委員
除いていると思うけれども、ただ、日本でいう若年層の問題といったら、繰り返しになりますけれども、先ほど言った34歳までですね。
佐藤会長
内閣府に若年の対策とかありますね。若者といったときに、あそこはどういう定義になっているんですか。
岩男委員
あれは、青少年ではないですね。
佐藤会長
青少年何とかという対策はありますね。確かに国際比較のときには、余り考えなかったです。34歳ですか。
三菱総研
はい。
佐藤会長
どうしますかね。これは事務的に検討してもらえますか。そういう形で、いいですか。
橘木委員
結構です。何か明確な根拠があったらいいと思いました。
佐藤会長
これは国際比較のときは、なぜ24歳だったんですかね。
矢島分析官
何度か多分定義を変更している。もう一度確認してみますけれども、たしか国際比較のときに議論して、年齢を決めました。
佐藤会長
ただ、私は34歳までというのは、高過ぎるような気もしないでもないです。34歳で若者という感じはしませんね。
岩男委員
ちょっと高いですね。
佐藤会長
後ろのフリーターも、やや上まで取りすぎという気もしないでもないです。
橘木委員
労働経済白書が若者の問題をやっているときは、何歳なんですか。
佐藤会長
多分、フリーター等のときは、34歳までやっているんです。
橘木委員
やはり34歳の若者ということですか。
佐藤会長
若者というか、若年問題は34歳でやっているのではないですか。どうですか。
定塚推進課長
若者の労働力問題などをやる場合には、34歳です。
佐藤会長
その辺は、テクニカルに御検討ください。
 ほかにはいかがですか。まとめはそんなに違和感ないですか。
岩男委員
まとめはいいと思うんですけれども、全くほかの知識なしに、これだけをお読みになることを考えますと、若干、説明があった方がいいところがあるように思います。 例えば「②子育て費用の負担感」などは、私に聞かれても、子育てはとうに終わってしまっているものですから、大体いい加減な答えしかできません。つまり、どういう人が答えているのかという明示した方がよいと思います。
 「図表II-2-23 ボランティア活動参加者の男性比率」も、例えばフルタイムで働いている男性なのか、それとも退職者なのか、一体どういう人が答えているのかによって、納得いく部分が変わってくるような気がしますので、そういうところだけでも、付けられた方がいいのではないかなと思います。
矢島分析官
はい。資料1-5の一番最後に一覧がございます。
佐藤会長
どういう対象の調査かとか、余り一般的でない調査は、本文でもわかるようにしていただきましょう。
矢島分析官
各項目の注のところに書くようにいたします。
佐藤会長
よろしいですか。
 そうしたら、今度は後半の国内分析のところの類型化についてです。特にタイプ1とタイプ7の比較という形で、勿論タイプ7についても、国際比較で見れば低いわけですけれども、その中で相対的に、国内で落ち込みが低いところと、両方とも落ち込んでいるところを比較するということですが、まとめ方と前半の分析はいかがでしょうか。タイプ7とタイプ1に分かれて、かなり特徴は出てきたと思います。
武石委員
済みません。細かいことなんですが、今、会長のおっしゃったところで、83ページは、既婚労働力率と未婚労働力率がタイプ7とタイプ1の中で出てくるんですけれども、未婚労働力率、既婚労働力率が、女性人口に占める未婚労働力人口なので、結局これは、未婚者が多いか少ないかを言っているだけで、未婚労働力率、既婚労働力率が高い低いというのは、議論する意味がよくわからないんですけれども、未婚労働力率、既婚労働力率は、どういう意味があるんですか。
佐藤会長
どこでもいいんですけれども、一応79ページの図表II-3-9の16と17ですね。
武石委員
既婚労働力率がタイプ1は高いということですか。
佐藤会長
既婚労働力率は、タイプ1で高いです。
武石委員
未婚労働力率は、タイプ7が高いんですね。
佐藤会長
そうです。
矢島分析官
既婚女性に占める労働力率ではないということですか。
武石委員
そうなんです。既婚労働力率は、女性に占める労働力率ではないので、ここの意味合いでいうと、既婚者などにポストを当てたということと、何か関係があるんですか。
佐藤会長
これは既婚者の中での労働力率ですね。
武石委員
定義を見ると、そうではないんです。
佐藤会長
違うんですか。
武石委員
女性人口に占める既婚率です。84ページです。
矢島分析官
既婚労働力率は、既婚者に占める労働力人口ですね。
佐藤会長
もしこうだったら、間違いですね。
三菱総研
そうですね。定義の方を確認してみます。
佐藤会長
多分こちらの表記が間違いだと思います。
武石委員
ただ、未婚労働力率が18%というのは、低過ぎます。
佐藤会長
これは比率かもしれません。
武石委員
何かこれは低いなと思って定義を見たんです。
佐藤会長
これは、もしそうだと大変なので、チェックしてください。
矢島分析官
はい。
佐藤会長
確かにそうですね。よかったです。それは見ていただきます。未婚労働力率は、もう少し高くないとおかしいですね。 ほかにはございますか。まだ先がありますので、よろしいですか。
 それでは、武石委員にお願いしているところを御報告いただきます。それで、最後にまとめをやりたいと思います。では、よろしくお願いいたします。
武石委員
前にここの調査会で、こうった任務をまとめたもの等ですので、頭には残っていると思います。
 ただ、先ほど申しましたように、子どもありという意味合いが世帯全体としての子どもありなので、全体に子どもの有業率が低いところについては、きちんと注意した形で有業率を書き切れていないので、注意していこうと思っております。
 最後のまとめは、100 ページのところになるんですが、1つはM字型カーブが時系列でどう変化していくのかということで、先ほども矢島さんから御説明があったように、配偶者がいない女性の増加というのは、M字を非常に引き上げていて、子どもがいる女性は余り変化がない。
 あるいは非正規雇用率が非常に高まっていて、正規雇用率が減少している。特に若年層で、そういう傾向は顕著です。
 前職のない有業者が減って、前職あり有業者、つまり転職経験者が増えているというような、M字カーブの中身を分析すると、いろいろな変化が見られているのが前半部分です。 後半部分は、地域間の違いということで、10の都道府県を選びまして、先ほどのタイプ1、タイプ7でいうと、タイプ1から3地域、タイプ7から5地域、それ以外が2地域で、一般的に女性の有業率の高い地域と低い地域で比較をしました。
 そういう中で、2つの地域の違いは何であるのかということで、親の同居ですとか、本人の学歴、あるいは夫の収入といった多様な属性で分析してみたんですが、確かに女性の有業率の高い地域というのは、親との同居はやや高い。夫の収入が全体的に低い傾向はあります。
 例えば女性の有業率の低い地域で親と同居している人と、女性の有業率の高い地域で親と非同居の人を比べてみても、やはり有業率の高い地域で親と非同居でも有業率が高い。かなり地域の要因が大きいということで、親の同居や夫の収入だけでは説明し切れない要因があります。
 結局、要因は明らかになっていないんですが、例えば山形県は親と同居しているから女性が就業しているということだけではない、地域の構造的な女性の就業を引き上げている要因がありそうだということでございます。
 女性の有業率を決定する要因分析などをすると、地域によって女性の有業率を引き上げる要因が異なっているんですけれども、特に都市部においては、配偶者の就業状況や配偶者の労働時間が、女性の就業に割と効いてきている要因で、親の同居以上に、夫の働き方や夫の労働時間が重要なのではないかという指摘をさせていただいております。
 細かいデータがいろいろ付いておりますけれども、以上です。
佐藤会長
今の御説明で、特に100 ページ、101 ページはいかがですか。先ほどやはり地域の社会環境が非常に大きい、大事な発見だということで、よく親と同居しているから就業率が高いのではないかと話がありますけれども、コントロールしても、高い地域は女性の有業率が高いということです。そういう意味で、国内分析は今まで議論してきた部分とかなり重なる部分なので、非常に重要かなと思います。ここはもう何度か御報告いただいていますので、いいですかね。
岩男委員
働きたくても仕事がないことがあるわけで、つまり、地域によっては、失業率とか職のアベイラビリティーが異なり、それが全く示されていないままで議論していていいのでしょうか。
佐藤会長
有業率の水準自体にはかなり影響すると思うんですけれども、ただ、その中では、親の同居とは関係ないと出ていますけれども、そういう意味では、労働市場の状況は一緒でも、親の同居だけで説明されるわけではないと思うんですけれども、武石さん、どうですか。
武石委員
雇用機会でいうと、一般に都市部の方が雇用機会はありそうなんですが、逆に都市部の方が女性の有業率は低いわけですね。だから、雇用機会というよりは、やはり本人が置かれている状況の方が大きいのかなという気はします。大沢先生、いかがですか。
大沢委員
多分、雇用機会というよりは、どういうタイプの雇用機会かということなのかなと思います。
 もう少し詳しくいうと、両立がどの程度できやすいかということが、詳しく見ていくと関わっていて、例えば自営業だと家で働けることの指標みたいなに考えると、それなどが働きやすさにつながるかなという感じがしました。
佐藤会長
どうぞ。
奥山委員
以前、資料を見せていただいたときに、都道府県別の保育園と幼稚園の割合に、かなり差があると思いました。網野先生もよく御存じだと思いますが、長野県のようなところだと、本当に保育所がたくさんあって、雰囲気として預けて働くことができる環境だったり、横浜のように幼稚園志向が高い地域は、社会環境がすごく効いているというお話を聞かさせていただくと、本当にそうだなと思いました。やはり周りの子育てをしている人たちが、幼稚園なのか保育園なのか、それも都道府県で政策的に、多分比率が違うことも、何となく効いてきているのではないかなという気もします。感覚的な話ですけれども、どうなんでしょうね。
佐藤会長
今回は、特にそういう他のデータをくっ付けた分析をしていないので、それも確かに大きな要因かなと思います。
 ほかにはよろしいですか。
 140 ページから一番大事な「まとめ」が残っています。ここは少しゆっくり見ていただいて、御意見を伺えればと思いますので、よろしくお願いします。
矢島分析官
議論の際に、併せて御意見をいただきたいと思いますので、今から申し上げる資料1-7の「まとめ」と、資料2の「『少子化と男女共同参画に関する社会環境の国内比較』報告書の概要」を続けて説明させていただきたいと思います。
 まず「まとめ」でございます。
 「1.合計特殊出生率と女性有業率」は「図表5 合計特殊出生率と女性有業率(15~64際)」の変化のグラフを紹介してございます。変化のところで、すべての都道府県で出生率が低下していることを、もう一度示してございます。
 141 ページのグラフをごらんいただきますと、本文中にもございましたけれども、合計特殊出生率と女性有業率の3時点の変化を、タイプ1~タイプ7までの類型別に並べ直したものでございます。
 こちらを見ていただきますと、タイプ1の方は、合計特殊出生率の低下幅の小さいところで、タイプ7は大きく下がってきている地域でございます。
 これに対して、女性有業率の方を見ていただきますと、今の武石さんのお話にも関係しているかと思いますが、タイプ1はもともと女性有業率が高い水準であって、高いまま維持されているところが大きい。
 タイプ7はもともと女性有業率が低くて、この30年の間に女性有業率が大幅に上がってきているんですが、それでもタイプ1に比べると、女性有業率が低いところでございます。 そういったタイプ1と7の関係をお示ししてございます。
 142 ページの図表8では、同じくタイプ1~7までの並び順で、1960年~1982年、1982年~2002年の出生率の変化のグラフを見ております。これは、もともとがタイプ1~7までの類型化を1982年~2002年の変化率でやりましたので、1982年~2002年の変化率が一番きれいに出ているというか、タイプ1の方は低下幅が小さくて、タイプ7の方は1982年~2002年の低下幅が大きい。ただ、1982年~2002年の変化の幅、各都道府県間の差は、ばらつきの小さいことを示してございます。
 1982年から20年間の方がばらつきは少なく、全体に低下幅が大きい。この20年間には、全国的に出生率が低下する共通の環境変化があったのではないかということを示しております。
 これらのことから、都道府県間の差異に着目しつつも、我が国全体の少子化傾向の背景にある共通要因を検討することが重要であると考えられるとしております。
 「2.都道府県の類型化からみえる特色」につきましては、類型化の表をもう少し簡略化したものを紹介してございます。
 143 ページの上の方で、類型化の結果、合計特殊出生率の変化と女性有業率の水準には緊密な関係があり、47都道府県は合計特殊出生率の減少率が小さく、合計特殊出生率と女性有業率の直近の水準も平均より高いタイプ1と、逆のタイプのタイプ7に大きく分かれることを示しております。
 「3.タイプ1とタイプ7の社会環境指標の比較」につきましては、図表10にタイプ1とタイプ7、タイプ7の中でも特に出生率の水準が低い東京を参考までに重ねたグラフをお示ししてございます。
 この中の特色を示した表は、本文中と同じものでございます。
 「4.社会環境指標の時系列変化」の特色でございますけれども、ここの読み方について、先生方にまた御意見をいただきたいんですが、144 ページのところに書いてございますのは「合計特殊出生率や女性有業率と社会環境指標との関係は、相関をみているのであって、直接的な因果関係をみているのではないが、仮に、合計特殊出生率と正の相関がある指標データが、時系列的にみて上昇傾向にあるのなら、出生率も回復に向かう可能性が高まるが、他方、低下傾向にあるのであれば、出生率も下がる方向に向かう可能性が高くなろう。
 そして、実際に各指標データの時系列的な傾向をみると、女性が働き、かつ、男女が子どもを産み育てやすい両立支援環境を改善させると期待される方向に推移してきたものと、厳しくすると考えられる方向に推移してきたものとがある。
 ここの辺りの書き方が非常に難しいと思われるんですが、また御意見をいただければと思います。
 145 ページには、上の方に「表 両立支援環境を改善させる方向に推移していると考えられる指標」。つまり「5 保育利用の容易さ」「7 地域活動への参加度」「1 家庭内役割分担の柔軟性」の各項目や「3 雇用機会の均等度」は、一応両立支援という視点から見れば、よい方向に向かってきている。ただ、国際比較の視点で見ると、いまだ水準が低いところのデータでございます。
 下の方の表でございますが、こちらの数値も、基本的には合計特殊出生率、有業率に正の相関がございますけれども、両立支援環境として期待される方向とは逆の方向に推移してきているところでございます。
 「1 労働時間の短さ」「2 帰宅時間の早さ」などの「1 適正な労働時間」。「11 世代間同居割合の高さ」「18 女性正社員率の高さ」。「IV 若者の自立可能性」の項目。「V 社会の安全・安心度」のところでございます。
 ただ、ここは済みません。私が書ききれなかったんですが、上の表の「13 男性の家事・育児への参加度」は、出生率には正の相関があるんですが、女性の有業率とは相関がないんです。その辺りで、外すことも検討した方がいいかと思います。
 下の表では「21 若者の雇用不安の低さ(若年失業率)」が、有業率とは正の相関なんですが、出生率とは相関が見られないので、これももしかしたら外した方がいいかもしれません。
 こういったところで、下の表に関していいますと「『家族による支援』や『若者の自立可能性(『若者の雇用不安の低さ(若年失業率)』)、『社会の安全・安心度』(『雇用不安の低さ(失業率)』)などは、先進国の中でも、日本の水準が比較的に高かった分野であるが、これらの水準が低下していることは留意すべき点であろう。また、『適正な労働時間』や『雇用機会の均等度』のように、国際比較で見ると先進国の中でも日本の水準が低い分野であり、さらにその水準が低下する傾向がみられることは深刻な問題である。これらの分野についても、これまで対策がとられてはいるが、こうした社会環境の悪化がみられることから、対応の充実や見直しが求められる」としております。
 「5.国際比較と国内分析における社会環境の違い」ということで、国際比較と国内分析は同じ枠組みで分析を行ったわけですが、指標の項目が示す傾向が異なるものが幾つかあったということで、そのことを書いております。
 146 ページの中ほどに、家族による支援は、国際は世帯人員の多さで、国内は三世代同居割合の高さで見ておりますが、国際データでは、女性労働力率と負の相関を示しておりまして、合計特殊出生率とは相関がなかったわけですが、国内では三世代同居率は合計特殊出生率、女性有業率ともに正の相関でございます。これは世帯人員でも同じ傾向を示します。保育やボランティアなど、社会的な子育て支援環境が他国と比較して低い水準になっている中で、国内においては、三世代同居による家族間の子育て支援を得ることが可能な地域ほど、出生率や女性有業率は高い状況がある。家族の支援を得られることも重要であるが、逆に言えば、家族の支援を得られない環境では、社会的な支援環境を充実しない限り、子育てや両立は困難であることを示していると考えられるとしております。
 家庭内役割分担の柔軟性は、先ほど申しましたとおり、男性の家事・育児への参加度が、国際指標では、合計特殊出生率、女性労働力率ともに正の相関ですが、国内では、女性有業率とは、ほとんど相関していない。先ほど見ていただきましたデータで、日本の男性の家事・育児の統計データは、妻の就業の有無によって差がないことが示されており、働く女性が仕事も家事・子育ても担っている現状が見てとれることを示しております。
 社会環境指標とは別に、国際比較では参考で示し、国内分析では基礎的データの中に示しておりましたが、サービス産業化(第3次産業就業率)も国際データでは、合計特殊出生率、女性労働力率ともに正の相関を示していますが、国内データでは、負の相関を示している。サービス産業化が進んだ国ほど、OECD諸国においては、出生率も女性労働力率も高いのですが、国内においては、逆の社会構造になっていることがあります。 「5.おわりに」ですけれども、国際比較での国の間の差違と比べまして、国内分析では地域間の差異が小さいこと、いまだ中長期的に見て出生率が回復してきている地域がなく、全体に低下傾向が続いていることから、都道府県間の比較という視点だけでは、日本全体の問題を見過ごすのではないかとの問題意識が示された。この報告におきましては、都道府県ごとの分析に加え、日本全体の時系列変化に着目して分析を行ったとしています。 都道府県の社会環境の比較におきましては、女性有業率・出生率ともに比較的高い地域と低い地域を比較した結果、10分野の指標全体に差が見られ、総合的な社会環境の整備が重要であるという、国際比較と同様の結論が得られた。これに加え、日本全体の時系列変化に着目した分析では、合計特殊出生率や女性有業率と正の相関を示す社会環境指標の中には、近年環境がむしろ厳しくなっている項目もあることが示されたと書いております。 具体的には、下の方に3つの項目にまとめておりまして「① 各地域の社会環境の現状を踏まえ、両立支援環境が総合的に整備されるよう取組を進めることが重要である」。 「② 社会環境指標のうち、改善傾向がみられるが国際的に見て依然として水準の低い分野(『地域の子育て環境』、『家庭内役割分担の柔軟性』、『雇用機会の均等度(男女の賃金格差の解消度、管理職・専門職・技術職割合の高さ)』については、今後も、着実に環境整備を進めることが必要となる」。
 「③ 社会環境指標のうち、両立に対して厳しくなる方向に変化しているとみられる分野(『適正な労働時間』、『家族による支援』、『雇用機会の均等度(女性性社員率の高さ)』、『若者の自立可能性』、『社会の安全・安心度』)は、積極的な取り組みの推進や、対応の見直しが求められる。特に、先進国の中で日本の水準が低い分野である『適正な労働時間』についてさらに状況が厳しくなっていること、女性や若者の非正規化が進展し、雇用が不安定化していることについては、新たな対応策の検討が求められる」としております。
 こうした結果に基づく、概要の案も今回お示ししておりまして、それが資料2になります。
 資料2の1枚目は、3時点の相関図でございます。国際比較もカラーでおつくりしておりますので、タイプ1とタイプ7を青とピンクに分けて示してみました。そうすると、もともと女性有業率が高かった地域で、そのまま出生率の下げ幅が小さいことが明確にわかると思います。
 2ページは、タイプ別分類を示しておりまして、タイプ1と7が大きなグループであることを示しております。
 3ページは、タイプ1、7及び東京都の社会環境指標を示しております。4ページは、最後に言いました両立支援環境を改善させる方向に推移していると考えられる指標と、両立支援環境を厳しくする方向に推移していると考えられる指標をお示ししております。
 以上、こうしたまとめ方を考えておりますが、御意見いただければと思います。
佐藤会長
最後の「まとめ」について、特に社会環境と出生率、有業率は因果関係があるとも言えるわけで、ここはなかなか難しいところです。何か関係はありそうだという形でずっとやってきたので、そこの書き方のところですね。
 145 ページの幾つかの有業率と出生率に異なった相関関係があるものについて取り上げるかどうかというところは、一番大きな点ですけれども、勿論全体のまとめ方について御意見を伺えればと思います。論理の展開の仕方と最後の「まとめ」に違和感がないかどうかということなんですが、いかがですか。
網野委員
資料1-4、1-5、1-7、今の「まとめ」と武石委員の資料1-6にも関連する部分があったんですが、いわゆる家族による支援という部分がいろんなところで出てきます。
 もう一回確かめさせていただきたいんですが、資料1-4の41ページが時系列で見て、当然なんですが「図表II-2-17 三世代同居率(三世代世帯割合)」が逐年低下している。1975年以降低下しているのは、第2次ベビーブームが終わって、合計特殊出生率で見ると、どんどん低下する。
 相関係数だけで見れば、かなり関連するものだと思うんですが、それが資料1-5の62ページ「図表II-3-1 社会環境指標一覧表(実数データ)」で、一番右側の「3.家族による支援」2つの指標項目ですが、例えばある特定の2000年とか2003年で都道府県別の合計特殊出生率とデータとの相関をやってみると、0.4 とか、その程度なんです。
 やはり先ほど来出ていましたように、時系列を通して合計特殊出生率との関連が正である。正の相関があるものについて、こんなに詳しく研究、分析されましたので、まとめで出ている内容は詳しく分析されていると思いますが、例えば家族による支援が、先ほどの同居しているから有業率が高い。必ずしもそれは言えない部分もあって、地域とか環境の問題がありました。
 このような面で、時系列を見ていったときに、指標と合計特殊出生率の相関がむしろ上昇傾向にある。これもものすごく大事だと思うんですが、もう一つは、ほぼ同じぐらいの相関係数を時系列的にずっと見た場合、ひょっとしたら、家族の支援という2つの指標はそれに近いのかなとも思うんですが、やはりある意味で、それもこれからどう考えたらいいか。それなりに関連が高いのではないか。因果関係ではなくて、相関係数を見て必ずそういうふうに見えるのは、何かを抑えているのかもしれませんので、そういうふうに見た場合に、私はいろんなところで家族による支援が出ているのが、1つの典型的な例かなと思って受け止めました。
 ほかにもあるのかなと思いながら、気にして見ましたが、例えば家族による支援は、明らかに出生率にしても、女性の有業率にしても関係する部分が高いと思います。もし、これをいろんな形で公表するときに、今の段階で改めて指摘させてほしいんですが、家族による支援は、実態から見ると、世代間同居と世代間近居です。ですから、家族による支援の場合には、言葉だけが動き出すと、夫がもっと協力すればとか、必ずこの調査結果から見た場合、ずれたとらえ方をする可能性がありますので、親族による支援あるいは世代間の協力なり連携、そういう指標で出した方が、ここで示そうとしているものが出せるのではないかと思います。
 だからといって、またおじいちゃん、おばあちゃんと同居させましょうという話ではなくて、やはりどこかでそういうものがある。特に妻、母親の立場にある人にとっては、影響があるのかなと本当に思わせますので、その辺りは、名称変更も含めて、少し検討していただければと思います。
 こんなにいろんな面で詳しく分析されていて、こういうものが出たということは、私、非常に感銘を受けています。
佐藤会長
そうすると、家族による支援と、1つの世帯内というか、世代間よりは同世帯内、夫なら夫の支援みたいな感じがすごく強くなるのではないか。
 もう一つは、世代間でも、昔のような三世代同居を進めるみたいな話になるのも、またということだと思うんですけれども、後者については、一応無理だろうという議論です。 前者はいかがですか。
矢島分析官
図表の名前そのものを変えてしまうと、国際との関係があるので、指標の説明とまとめのところで、少し言葉を補うような形で対応させていただけたらと思います。
佐藤会長
では、説明していただくということで、よろしいですか。
網野委員
はい。
佐藤会長
趣旨が誤解を受けないような形で進めさせていただくことにします。
 ほかにはいかがでしょうか。橘木委員、どうぞ。
橘木委員
私も非常にいい分析をされていて、感銘を受けたというのは、同じ意見です。 これをあえて政策提言に使おうと考えたときに、私はもうちょっとはっきり言った方がいいように思います。せっかくこれだけのいい分析をされていて、こうです、ああですだけでは、もう一つ魅力がないので、日本の出生率を上げるには、どうしたらいいかぐらいまで、どうですか。
佐藤会長
上げるにはというのはね。
橘木委員
上げるにはというのは、ちょっと言い過ぎだけれどもね。
佐藤会長
矢島分析官、どうぞ。
矢島分析官
この文脈の中は、おっしゃるように少し歯がゆいかもしれないんですが、意図としては、都道府県間のデータも見ているんですが、その差が余りなくて、一様に下がっていて、共通の問題があるのではないかということを見る中で、やはり時系列変化を見ると、雇用環境の問題が特に大きいところを最後に一番強調するような雰囲気では書いているつもりです。
岩男委員
そうなっていますね。この部分は改善が可能ですと頑張ってほしいです。
橘木委員
でも、タイプ1とタイプ7を分けて、出生率の変動は相当違うのではないですか。だから、出生率がそんなに減らなかった方の特色をもっと生かせるような政策はあり得ませんか。全体的に雇用の環境が悪くなっているだけで逃げたのでは、何となく弱いなという感じがします。
矢島分析官
タイプ1と7の中でも、指標を見ていくと結構ばらつきがあって、私としても、先ほどの網野先生の議論もありますけれども、できれば、家族による支援で減少した分を、どれだけ地域の子育て環境が上がったら補えるんだろうかというようなところがわかればというのはありました。同じぐらいの出生率の変化をしている地域で、そういう意味で違うタイプがあれば見えてくるんですけれども、よいタイプが日本でまだ生まれていない。
 東京は家族による支援が低いけれども、では地域の子育て環境をどれだけ頑張ったら、例えば福井並みになるんだろうかとか、そういうことが非常に気になるんですが、そこはなかなか見えてこない。それが見えてくると、今おっしゃったように、本当にいろいろなことが言えるのではないかと思います。
橘木委員
難しいですか。
矢島分析官
あと、できれば高橋先生にも伺えればと思ったんですが、時系列で近居のデータが取れていないんですが、近居は同居率が減った分を、どれだけ補って増えているんだろうかということも非常に気になっています。数的には結構増えているんですが、相関を見ますと、出生率とは同居率と同じくらいの相関があるですが、女性有業率になると、同居率の相関は高いんですが、近居は余り相関がないんです。
 そういう関係もあるんですが、一体割合として、どれだけ同居率の減少分を補う形で近居が増えているのか。あるいは増えていないのかは、余り見えていないところなんです。ですので、家族による支援が減っていく中で、地域の子育て環境で補うというイメージが具体的に示せるだけの材料が足りないかなという気がしています。
佐藤会長
大沢委員、どうぞ。
大沢委員
私も国内分析を見せていただいて、本当によくやられたなと思います。分析全体が丁寧にやられて、すばらしいものだと感じたということを申し上げて、最終的にこれから何を導いて、どういう政策提言をして、世に問うのかが重要になってくるのだという点で、橘木先生がおっしゃったように、同じようなところが重要になってくると思います。
 解釈について申し上げたいんですが、国際分析のところで、女性の有業率が高いと出生率が高いという結果が出ているので、それに引っ張られ過ぎてしまっているところがあるのではないかなと思います。つまり、そういう結果が見られているわけですが、実際に国による違いや両立支援策の違いをコントロールして見ると、まだ女性の有業率と出生率の間には、マイナスの関係が見られることがあって、マイナスの関係がやや緩やかになってきたのが、先進国の全体の流れで、最近の人口学の人たちの研究結果で見られるようです。もし、そうだとしたら、先進国の中で女性が働くと出生率を下げる構造が未だにあるということが言えるのではないか。経済の構造変化の中で、高橋委員からのお話にあったように、サービス経済化によって、女性の就業機会が増えていき、賃金が高くなり、そして出生率を下げるという負の関係は、今までもいろんな国でも維持されてきています。ただ、その関係を緩やかにできた国がある。それは社会環境を整えたからである。
 両立支援策の中でも特に重要で、労働時間とか柔軟な働き方がありました。90年代にノルウェーやオランダ、アメリカは事情が違うんですが、両者の関係のマイナスが緩やかになってきたのが要因ではないかと考える。
 そういう解釈で、国際比較の解釈をとらえると、日本でも同じようなことが起きていて、国内の中でも、両立支援が整っていたり、働きやすいところは出生率の低下が緩やかで、そうではないところで下がっているので、意外と整合的に国内で見られることと、国際間で変化してきたことは、統一的に解釈できる。それで、出生率を上げると考えてしまうと難しいんだけれども、関係を緩やかにするために、何ができるかを、これから考える必要があると報告書の中でいっていて、その中で国内指標で得られた重要な要因について述べていき、労働時間政策や両立支援策、例えば家族による支援が低下しているのだとすれば、それを補い得るような、どのような政策が可能なのかとか、そういうような形で議論していくと、今までの2年間の議論が結構集約していくと思います。
 日本は違いますという話ではなくて、同じ構造変化の中で日本の変化が起きていて、かつ、先進国がやったような政策を用いていけば、出生率の低下を緩やかにすることも可能であるという政策提言に持っていくことができるのかなと感じました。
 間違った解釈かもしれないけれども、一言申し上げたいと思います。
佐藤会長
基本的には、社会環境が整っているところは落ち込んでいないという点では国際比較と共通です。ただ、水準は国際的に見ると日本の場合低い。だから、そこは違う。 でも、構造は一緒だと思うので、日本の場合は、相対的に国際比較で見れば、整備が遅れている。そこは違うところです。
大沢委員
勿論違いがあります。
 もう一つ言いたかったのは、日本の今までの議論は、合計特殊出生率と女性の労働力率との間に正の相関があるのか、負の相関があるのかということのみに終始していて、なぜそうした関係が存在するのかがちゃんと議論されていなかったように思います。その点を、もし報告書で触れられるのであれば、高橋委員が既にプレゼンテーションで経済が工業化時代からサービス経済中心の社会になると、女性の就業形態が変わるとおっしゃられたので、その部分を少し入れてもいいと思います。
 日本の問題は、サービス産業化になって出生率が下がるときに、結婚の変化が、ほかの国よりも大きく、つまり晩婚化がものすごく顕著になる形で見られた点が、ほかの国と違うように思いました。それは高橋委員のプレゼンテーションと同じだと思います。
高橋委員
それを議論するには、制度的な問題を議論しなければいけなくなるので、今の統計データから攻めるところではないんです。制度的な問題の議論はとりあえず置いておいて実証分析をしようとあるので、それが結果として、かゆいところに手が届かない部分があると思います。
佐藤会長
大沢さんが言うように、一番最初のところが結構難しくて、一応有業率と出生率は、直接的に因果関係はないと議論をしてきたわけです。
 ただ、勿論、他の条件をコントロールすれば因果関係があるという議論は成り立つと思うんだけれども、それは議論しなかったんです。他の条件を全部コントロールして、有業率が上がれば、出生率が下がるというのが成り立つかもしれないけれども、他の条件はやっていないから、これは基本的に直接的な因果関係がないところから議論したわけです。
大沢委員
わかります。また、後でもいいです。
佐藤会長
初めから議論をし直さなければいけないので、一番最初の議論は難しいかもわかりません。
大沢委員
そうですね。そうかもしれない。
 ただ、言いたかったのは、なぜ関係があると思うのかというと、そこには機会コストという子育ての間接コストが高まった議論があります。そこがないと、ここがなぜこういう指標を使って、女性の労働力率と出生率の関係を見たのかがわからず、かつ、間接コストを下げる要因として、労働時間と働き方が見えてきているので、私は新たに議論を蒸し返すよりは、それによって、この報告書の解釈が変に批判されることを避けたいという意図があったんです。
 つまり、予想される反論としては、結局は女性の社会進出を進めるために、こういう議論をしているというような、簡単な話ではない。経済発展していく中で必然的に出てくる問題であって、女性が働くインセンティブが与えられてくるような社会の中で起きてくる問題です。
 しつこくなるのかもしれないので、また後にしますが、そこら辺をうまく言えたら、この報告書の政策提言が生きるかなと思いましたので、一言つけ加えます。
岩男委員
橘木さんがおっしゃったことに戻るんですけれども、先ほどの御指摘を伺いながら、かつて自民党の部会で少子化の話をしたときのことを思い出していたんです。
 そこでは、これだけ対策を講じてきたのに、何で出生率が上がらないのかとの御指摘がありました。恐らく考えておられることは、少なくとも歯どめをかけたい。できれば出生率を上げたい。最低限歯どめなんだろうと思います。
 そういうニースがあるときに、これがどう応えるかということです。そういう目で読まれるわけですから、それを踏まえて、結論をプレゼンテーションする必要があるだろうというのが1つです。
 もう一つは、都道府県は自分のところはどうかと、そこだけに目を集中させて、これを見ると思います。例えばタイプ1とタイプ7と東京都があるわけです。何で出生率の高い方のは入っていないのかとなると思います。
橘木委員
沖縄ですか。
岩男委員
例えばですけれども、それをどうして選んだかについて、恐らく極めて単純な疑問があると思います。その辺を一応踏まえた上で、プレゼンテーションをする必要があるのではないかなと思います。
 私たちが納得するかよりも、オーディエンスは誰かと考えたときに、組み立てや強調する部分が変わってくるかなという気がいたします。
橘木委員
最終報告は、いつやるんですか。
佐藤会長
国内分析については、一応今回です。ですから、今回が最後の検討会になります。
橘木委員
パブリックは、いつやるんですか。
佐藤会長
9月です。
 岩男先生が言われた前半は少し考えるということにしたいと思います。
 後半は、東京都だけを書くのはどうかなと気にはなっていて、タイプ1とタイプ7だけ通した方が、何で東京なのということになってしまいます。そうすると、今、言われたように、私は東京都を落としてしまう方がいいかなと思います。
橘木委員
私は反対です。東京は人口の10分の1抱えていますからね。
佐藤会長
なぜ東京だけ挙げるのかと言われたときに、困ります。
矢島分析官
理由としては、一応出生率が一番低いからです。高いところを出さない理由は、今回成功モデルと見ないといっているからです。
佐藤会長
そういうことは、書いてありましたか。
矢島分析官
頭には書いてあります。
佐藤会長
わかりました。では、東京都を挙げることについては、いいですか。
 もう時間が過ぎてしまったので、特に145 ページだけ御意見を伺おうと思います。男性の家事・育児への参加度と若者の雇用不安の低さを落すかどうかということですね。
矢島分析官
説明を付けて残すか、取ってしまうかということになります。
佐藤会長
今は、説明文書は入れた形でしたか。
矢島分析官
入ってしまっています。私が片方だけ相関がないとまで書いていないので、書かないといけないです。
佐藤会長
どうぞ。
奥山委員
私は、先ほど網野先生がおっしゃったとおり、前回か前々回のときも、家族よる支援という言葉がぱっと出たときに、どう解釈されるのかなというのがすごく気になりました。家族といったときに、いわゆるおじいちゃん、おばあちゃんの支援よりも、どちらかというと、まずは夫婦関係だろうと思います。夫のサポートがなくて、おじいちゃん、おばあちゃんの支援が出てくること自体が、家族のとらえ方、日本の見方を表していて、それが出てくることについてどうなんだろうということは、大分前にもお話をしたなと思います。
 東京のデータを見ていて、家族による支援、いわゆるおじいちゃん、おばあちゃんの支援は、かなり減っているわけですけれども、家族内役割分担の柔軟性は、それなりなわけです。ということで、おじいちゃん、おばあちゃんの支援がないので、とりあえず夫婦間で何とかしようというのが見てとれるのかなという気がしていて、先ほど家庭内の育児時間は、女性が働いていようがいまいが、差がないんだと話があったと思うんですけれども、それは保育園のお迎えなども、夫ではなくて、きっとおじいちゃん、おばあちゃんが行っている可能性もあって、夫が2番目に出てこないと思います。
 東京辺りで、夫の育児時間が多少多いというデータはないんでしょうか。実感として、保育園のお迎えなどは、朝は妻が行って、夕方は夫が迎えに行くことがあります。それも育児時間に入っているのか入っていないのかよくわからないんですが、通勤時間もカウントすると、かなりの時間を保育園の送り迎えに費やしている気がして、実態として、どうなのかなというのは少しあります。
 また、東京を出したときに、夫婦間で何とかするという芽生えが若干でもあったりすると、今後につながっていくのではないかと思います。私はこういう都会型のデータも大事に分析したらどうかという意味で、入れたらどうかと思いました。
矢島分析官
注を付けて、有業率の方には相関がないけれども、出生率の方にあってみたいにしますか。
佐藤会長
基本的に入れる方向でやりましょうか。
矢島分析官
そうですね。東京都の家事時間割合は、平均よりちょっと高いです。
佐藤会長
難しいのは、43ページの妻が無業か有業かです。妻が無業というのは、ちょうど子育て期の人が結構多かったりするんです。だから、夫の家事時間多くなるというのは、多分年齢が違う可能性があるかなと思いますので、これは難しいなと思います。ちょうど無業時期は子育て期だから、妻は専業主婦でも、夫が家事をやっている可能性があるという気がして、しようがないです。
大沢委員
東京を入れることに異議があるわけではないんですが、どの程度移動があるか。例えば子どもが生まれると東京に住んでいる人が、埼玉や近郊都市に移動することがあるので、それだけは注意して、サンプルに偏りがないかどうか見た方がいいと思います。
佐藤会長
かなり時間が過ぎてきましたので「まとめ」のところのめり張りの付け方は、事務局とも相談させていただいて、個別に先生に意見を伺う形と、あと、幾つかこうした方がいいというところについては、変更するようにします。
 先ほど、今日が最後と申しましたが、一応今日出た議論を踏まえて、事務局と案をつくらさせていただいて、とりあえず私の方でまとめさせていただく形でよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

佐藤会長
伺いたいのは構成なんですが、武石委員のものを中に入れ込むか、出すかなんです。「まとめ」でも、特に触れていないとすれば、私としては、出そうかなと考えています。
矢島分析官
どうしようかと思いまして、今日のものを踏まえて「まとめ」に少し入れさせていただこうかと思っております。
佐藤会長
ここはすごく長い。ずっと読んで「まとめ」がくるよりは、2が終わったらまとめにして、3を後ろにして、後ろをリファーしてもいいんだけれども、これは一応署名入りですね。なので、委員会報告としては、1、2、まとめまでにして、本文で武石委員のものとリファーするけれども、一応切り離して印を付ける方がよくないですか。
武石委員
報告書から外していただいてもいいです。
佐藤会長
報告書はいいんだけれども、基本的には個人責任でやっている形の方が、つまり、ここまでは何だと言われたときに、私は知りませんと橘木先生は言えるようにする。私はそう思います。その辺はどうですか。
 勿論、中でリファーすることは、後ろをリファーすればいいと思うんですけれども、そういう扱いはどうですか。それだと問題になりますか。
矢島分析官
いいえ。
佐藤会長
ここは厚いので、リファーがそれほどたくさんでないとすれば、できたら、そういう構成にさせていただいてよろしいでしょうか。済みません。そうさせていただきます。
 あと、事務局から連絡をお願いします。
矢島分析官
本日の資料につきましては、取扱い注意ということで、非公表とさせていただきます。
 時間がなくて大変申し訳ないんですが、もし今日以外の追加の御意見がありましたら、木曜日いっぱいぐらいまでに、事務局の方まで電話でもメールでもファクスでも構いませんので、お寄せください。佐藤先生と御相談させていただいて、御意見を踏まえさせていただきます。
 また、今後の調査会日程でございますけれども、ワーク・ライフ・バランスのアンケート分析と、そのデータを用いた企業や経済に与える影響の報告をもう一つとりまとめる予定になっておりますので、そのための調査会を開きたいと思います。皆様のお手元の方に、日程表をお配りさせていただいておりますので、そちらの方お返しいただけたらと思います。
 今回の国内分析の報告書につきましては、佐藤先生と調整させていただきまして、とりまとめましたら、先生方に御連絡させていただきたいと思います。公表の時期等もまた御連絡させていただきます。
 よろしくお願いいたします。
佐藤会長
では、貴重な意見どうもありがとうございました。
矢島分析官
済みません。お手元の第12回の議事録は、本日をもって公表とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

以上