少子化と男女共同参画に関する専門調査会

  1. 日時 平成18年4月12日(水)15:00~16:58
  2. 場所 経済産業省別館1014会議室
  3. 出席委員
    佐藤会長、岩男委員、奥山委員、杉山委員、高橋委員、武石委員、橘木委員、布山委員、藻谷委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. ワーク・ライフ・バランス分析について
  3. 少子化と男女共同参画に関する提案について
  4. その他
  5. 閉会

(配布資料)

資料1-1
働き方とワーク・ライフ・バランスに関する分析
資料1-2
子どもの有無、および本人及び配偶者の働き方別分析
資料1-3
働き方分析に用いた設問と単純設計少子化と男女共同参画に関する提案
資料2
少子化と男女共同参画に関する提案
少子化と男女共同参画について(第22回男女共同参画会議 有識者議員提出資料)
資料3
第10回専門調査会議事録

(議事内容)

佐藤会長
それでは、時間もまいりましたので、ただいまから「男女共同参画会議少子化と男女共同参画に関する専門調査会」の第12回会合を開催させていただきます。お忙しい中御参加いただいて、ありがとうございました。
 本日も、お手元の議事次第に従いまして、議論を進めさせていただきたいと思います。 本日、2つ議事がございます。1つは「ワーク・ライフ・バランスの分析について」と、もう一つは「少子化と男女共同参画に関する提案について」です。
 まず、最初の議題について、アンケート調査のワークライフバランスの分析について、まず三菱総研から御説明をお願いします。
三菱総研
では、ワークライフバランスの分析について御報告いたします。クリップを外していただきまして、資料が1-1から1-3までございます。
 まず、今回、ワークライフバランスの分析ということで、これまで御議論いただいておりました国内指標の分析のための質問の後ろに、幾つかワークライフバランスを知るための設問を入れておりまして、それが資料1-3の方に質問と選択肢の方をお出ししております。問6というのは国内指標の方で用いたものを、こちらでも使わせていただいております。あと、問18以降少し飛んでおりますけれども、ざっと見ていただきますと、仕事の内容ですとか、従事時間、通勤時間、帰宅時間、職場において目的意識を持って働いているか、あるいは子育てにやさしい職場かどうか、さらには効率を意識して働いているかどうか、配偶者の就業状態、家庭内での役割分担、家事分担です。あと子供の有無といった項目を入れておりまして、この情報に基づいて分析をいたしております。
 今回どのような分析をしたかということで、問題意識の方をまとめて申し上げておきたいと思います。資料1-1の表紙のところをごらんいただきまして「働き方とワークライフバランスに関する分析」ということで、個人のワークライフバランスの実現というのには、2つの要因がどのように関係しているかということで、1つは、その人の職種や働き方、家庭内での家事分担の状況、働き方の中には就業時間、通勤時間といったものが「働き方・家庭要因」と名付けておりますけれども、これがどのように個人がワークライフバランスを実現していると感じているところに関係しているか。
 また、職場環境・社会環境という要因。つまり、子育てにやさしい職場かとか女性が昇進しやすい職場かといったもの、あるいは柔軟な働き方が得られやすい社会環境か、こちらがワークライフバランス実現にどう影響しているか。こちらの関連をまずひとつ見てみたいということです。
 そのワークライフバランスが実現している状況にあるということが、仕事に対して意欲とか積極性、効率的に進める意識といったものに関係しているのかどうか。こちらも確かめてみたいということです。
 職場環境、社会環境というものが直接仕事に対する意欲にも関わっているかどうかも、併せて確かめることによって、下の図の関係ですけれども「働き方・家庭要因」あるいは「職場環境・社会環境」「仕事に対する意識」とワークライフバランスの実現度の全体の関係によって、結果として個人がそれぞれ希望する働き方や家事分担の在り方を実現して、職場環境・社会環境を整えることは、個人の満足度とか仕事の質が高まって、結果的には企業の生産性、効率のアップに寄与したり、経済的にプラスの効果をもたらすとつながっていくのだろうかというところを検証するという目的で調査をいたしました。
 こちらの方で、分析結果は結構分量が多いのですが、少しずつ御説明していきたいと思います。
 まず、ワークライフバランスが実現しているという意識なんですけれども、これから実現度と申し上げますけれども、3ページをごらんいただきますと、仕事と生活のバランスがうまくとれていますかということについて、「そう思う」というのが一番実現しているととらえまして、4段階で聞いておりますので、これを実現度としてそれぞれクロス分析をしております。
 この先から、属性については、未婚男性、未婚女性、既婚男性、既婚女性の4種類で分析しておりまして、必要に応じて、女性については正規、非正規を分けて分析しております。
 4ページをお開きいただきますと、ここからワークライフバランスの実現度といろいろな状況をクロスで分析しております。グラフの方で、母数群が非常に少ないものについては、今回、分析の検討からは外しておりますが、グラフには出ておりますので、かなり飛び出た数値が出ているところは、無視してお考えください。今後、外して最終的には御報告はする予定でございます。
 ワークライフバランスの実現度というのは、先ほど3ページの方で全体像を見ていただいたと思うんですが、既婚女性が高く、未婚男性が低いという傾向が全体としてはあります。
 4ページに入りますと、従業上の地位ですが、こちらの方ではワークライフバランス実現度は相対的に高いというのが、既婚女性の場合では非正規が高い。既婚男性の場合は2番目のグラフになりますが、自営、会社の経営者といった仕事の裁量性が高いところがやや飛び出ておりまして、色が濃いところを境目として見ていただきたいと思います。仕事の裁量性が高いところを従業上の地位の方が既婚男性はやや実現度が高い。未婚女性では、自営・家族が高くなっておりますけれども、非正規の方が正規よりも実現度が高くなっております。
 一番下が未婚男性ですが、こちらは無職や非正規というところが低くなっておりまして、雇用の安定性の低いところは実現度も低くなっているという傾向が見られます。
 今のように、既婚女性、既婚男性、未婚女性、未婚男性という順番で大体並んでおりまして、場合によっては正規、非正規が女性のところでブレークダウンしているところの情報としてお出ししております。
 5ページの方ですが、職種について見てみますと、一番上の既婚女性ではサービス職業従事者が実現度が高く、それ以外の既婚男性、未婚女性、未婚男性については、事務従事者が実現度が高くなっております。
 6ページにいきますと、次は勤務時間について実現度とのクロスが入っております。勤務時間に関しては、かなり相関が見られまして、勤務時間が長くなるほど実現度が低くなるという傾向が全体的に見られております。既婚女性では6時間を越えた辺り、既婚男性では10時間を越えた辺りから実現度が低下しております。
 7ページの方で御参考で出しておりますが、ワークライフバランスが実現しているのとしていないのと両極の「そう思う」「そう思わない」の実際の勤務時間を比較してみまして、大体2時間程度のギャップがありまして、未婚女性の非正規だけがちょっと違うのですが、それ以外は大体、実現している場合には、実現していない場合よりも2時間短く働いているといった傾向が見られております。
 では、8ページの方ですが、通勤時間についてです。こちらは選択肢の幅を非常に粗くしてしまったために、明確な相関の傾向が見えないのですが、既婚女性の場合は1時間を越えたところで実現度が低下しています。
 先ほどの勤務時間と通勤時間を足したものが9ページでございますけれども、これとワークライフが入った実現度を見てみますと、こちらの方は実際の仕事に従事する時間として的確なものだと思いますが、実現度との相関がはっきり確認されております。
 10ページも同様に、正規、非正規で女性の方を細かく見ておりまして、これも相関関係が見られます。
 11ページは帰宅時間ですが、帰宅時間も細かく選択肢を設けたことによって、相関がきれいに出ておりますけれども、やや非正規の場合には帰宅時間にばらつきがあるので、実際には勤務時間と通勤時間を足したもので観察した方がよいかと思いますが、およそ相関関係は見られるということは言えると思います。
 12ページですが、夫婦の家事分担比率でございます。既婚女性と既婚男性を大まかに比べてみますと、余り夫が家事分担をしたからとかしないからという明確な相関がよくは見えないのですけれども、12ページの下のグラフですが、男性の自分の分担比率というのが高まっても、実現度が低くなるというわけではなく、むしろ部分的に高い部分も見られるという傾向がわかります。
 更に女性について13ページの方で細かく見ておりますが、2番目のグラフは専業主婦で、3番目が正規従業員、4番目が非正規従業員で見ております。そうしますと、専業主婦のところは、わずかですが、下から2番目の棒ですが「すべて妻」というところよりも、もうちょっと上の夫が1割、2割、3割と。2割、3割と夫が分担をする方が妻の実現度は高まっているとされています。
 正規従業員の場合ですが、今度は逆に「すべて妻」である場合よりも、夫が1割、2割、3割となったときに、妻の実現度が低下している傾向がちょっと見られまして、これについて、後でもう少し細かく別のデータを用いて御説明したいと思います。
 4番目については非正規ですが、非正規の場合は、下の方の4~5人が有効な母数になっておりますけれども、「すべて妻」であるよりも、夫が1割、2割、3割、多少なりとも分担した方が、妻の実現度は高くなっております。
 正規従業員について、夫が分担しても妻の実現度が低くなってしまっているところの背景を見てみますと、14ページをお開きいただきますと、夫が1割あるいは2割、3割と分担を増やしている場合に、妻の従事時間というのを平均値で見てみますと、妻の従事時間及び通勤時間を足したものは長くなっているということで、妻の従事時間が長いほど夫は家事協力をしている傾向が見られまして、夫の家事分担と妻の従事時間は相関しております。
 ここで妻のワークライフバランスはどうですかと聞かれたときには、妻の方は仕事や通勤に費やす時間の負担の重さの方で答えてしまっているということで、夫が分担したから下がるということではなく、ある程度負担感のところでそちらの方に回答がいっていると見られます。
 逆に、非正規の方では夫が少しでも分担すると、妻の実現度は高まっているということから見ても、妻が生活の中で非正規のようにある程度余裕を持った働き方をした上であれば、夫の家事分担というものはきいてくるのですが、ここで正規の場合には、妻の従事時間の負担の重さの方が、ワークライフバランスの実現度には影響してしまっていると出ています。
 15ページについては、家事時間です。こちらの方は明確な傾向はよく見られませんでした。というのは、多分聞き方なのですが、生活時間の全体量というのを踏まえた上で聞いたわけではないので、時間のはかり方は個々人で結構異なってしまったのかなというところでございます。
 17ページにまいりますと、子供の有無及び末子の年齢です。こちら18ページをお開きいただきますと、女性の中の比較になっております。専業主婦は子供が成長するに従って実現度は順次高まっている傾向が見られます。
 また、既婚、非正規の女性は、末子の未進学の場合、実現度がちょっと低い状態にあります。既婚、非正規もそうなんですけれども、末子が小中学生に上がっていると、逆に子供がいない場合よりも実現度が高くなっています。
 次の19ページですが、子育てしやすい職場はワークライフバランスの実現度とどういう関係があるかということは、およそグラフの傾向をごらんいただきますと、大体実現度との相関が見られ、男性においても変わらない傾向がある。つまり、子育てしやすい職場というのがワークライフバランスの実現度とある程度関係していると見られます。
 ワークライフバランスの実現度というのをずっと申し上げておりますけれども、実際に実現していると思っている人は、属性別にそれぞれどういったワークライフバランスにあるかということを確かめてみますと、20ページです。実際のワークライフバランスの状態というのがそれぞれ属性別に書いてあります。
 例えば、20ページの上から2番目ですが、既婚就業男性は仕事優先というのが黒いべたになっておりますけれども、こちらの割合が大きくなると、ワークライフバランスの実現度も大きく低下しているという傾向が強く出ておりまして、これを右側の21ページに、既婚専業主婦の方で見ていただきますと、専業主婦の家事優先を今の男性の仕事優先に置き換えても、非常に似た形をしております。
 こういった形で、ワークライフバランスにいろいろな条件がどのように影響しているかというところで、属性別に関係しているもの、そうでないものというのが幾つか見られたということです。
 次に、22ページからは、ワークライフバランスの実現度と仕事への意欲が関係しているかどうかということについてです。
 22ページでは、仕事への意欲についてですが、余り直接的に強い関係は見られていませんが、例えば23ページの一番上の既婚の正規女性では、実現度と意欲がやや相関をしているように見られます。そして「ワークライフバランスがとれている」ところに「そう思う」と答えた人の中では、かなりの割合で積極性を持って42.9%と書いたところですが、つまり実現していると強く思っている場合に、仕事への意欲も持っているという傾向が見られまして、ちょっと戻りますが、この傾向が22ページの上から2番目の既婚の就業男性の傾向と似ているところがございます。それに対しまして、23ページの上から2番目の既婚の非正規の女性ですが、こちらは余り関係が見られません。
 ということで、仕事に対する意欲については、ワークライフバランスの実現度とは余り関係が見られないところがあるのですけれども、女性の非正規については、そもそもワークライフバランスの実現度がほかの属性よりも高いということがありまして、ワークライフバランスを実現する目的で非正規を選択しているということが前提としてあるので、なかなかその部分を観察しにくいのではないかと考えられます。
 24ページは、ワークライフバランスの実現度と仕事の満足というものを見てみますと、ほぼどの属性でも似ておりますけれども、満足とは相関が見られると言ってよいと思います。つまり、ワークライフバランスの実現度というのは、仕事の満足には直接つながっておりまして、意欲については既にワークライフバランスをとった働き方を選択している。非正規では関連性は余り観察されないものの、正規の女性とか非婚男性というのはかなり似た状態で、ワークライフバランスを実現していることと意欲的に仕事をしているということが結構密接であると理解しています。
 次に26ページですが、効率への意識というのがございまして、あなたは仕事に対して効率的に取り組んでいますかという質問なんですけれども、こちらの質問については、相関というのは全く見られませんけれども、別々の傾向があるといいますか、一番上の既婚女性でも「そう思う」という場合と「まったくそう思わない」という場合の両方において、仕事の効率を意識しているというところが見られます。
 これは、既婚男性また未婚男性についても多少その傾向が見られまして、二極化と表現しておりますが、これがどういった意味を持っているのかというのが、右側のページで多少ブレークダウンして分析しております。
 傾向としましては、上の2つの円グラフは既婚女性ですが、ワークライフバランスが実現していて効率を意識しているという場合には、仕事の自分の評価をもうちょっと高めたいという意識がかなり高いです。逆に、ワークライフバランスがとれていなくて仕事の効率を意識しているという場合には、もっと自分の時間を割きたい。ですから、ともにないものというか、足りないものについて意識を持っていると考えられます。
 逆に下の2つは既婚男性ですが、ワークライフバランスがとれていて仕事の効率を意識している場合は、ほぼ半々の理由になっておりまして、逆にとれていなくて意識している場合、多少自分の生活にという意識がありますが、女性ほどではないと思います。
 少し飛ばしていただきまして、31ページに従業上の地位の変更意向という項目がありますが、ワークライフバランスがとれているということが、今の働き方を変えたいかどうかというところにどういうふうにつながっているか、継続していたいのかどうかというところを今回、現状と希望の従業上の地位を聞いたところで、現状と希望が同じ場合は「現状維持」、現状と希望が違って無職でない場合には「変えたい」と置き換えまして、学生・無職を希望している場合は「辞めたい」と置き換えてグラフをつくってみました。
 そうしますと、32ページの方で見ていただきますと、正規、非正規の方で、1番目と3番目は既婚、未婚で正規ですが、2番目と4番目が非正規ということで、傾向が異なっております。つまり、非正規の方はワークライフバランスが実現していないと「変えたい」「辞めたい」という意識が強く相関として出ておりまして、正規の場合はそこが出てこないということで、ここではそれ以上の情報は得られないんですけれども、正規の場合はワークライフバランスが実現していないと、そこの地位にとどまる理由が非常に薄くなってしまって、正規の場合は何か別の理由、例えば収入とかといったもので、一律の地位にとどまる理由が立っていると見られると思います。
 33ページから就業環境が仕事の意欲にどう影響するかということで、ここはざっと申し上げますと、柔軟な働き方が選べる社会環境が既婚女性、既婚男性で感受性があったり、子育てしやすい職場は正規、非正規を問わずに満足に寄与していたり、既婚女性の正規にとっては積極性にも差がない。
 女性が昇進しやすい職場というのは、正規、非正規を問わず、仕事の積極性に寄与している。そして、男性にとっても柔軟な働き方を選べる社会とか、子育てしやすい職場、女性が昇進しやすい職場といった条件は、自らの満足ややる気にプラス効果としてきいているということがわかっております。
 こういった形で、資料1-1のところは分析をいたしました。
 では、資料1-2の方の分析に移らせていただきますが、今度は夫婦の働き方を子に合わせた分析をしておりまして、配偶者の働き方も聞いておりますので、夫が正社員で妻が正規または非正規の場合にどういった形で夫婦の役割分担や意識、あるいは就業時間がとられているのかというところを見ております。
 めくっていただきまして、2ページですけれども、夫婦が正社員の場合ですが、ここで小さい子供がいる場合に限定して見ておりますけれども、いない場合と比べまして、男性の場合はほとんど帰宅時間が変わらないのですが、女性の場合はいる場合に非常に早く帰っているということがわかっております。
 そして、その妻の側の方なんですけれども、3ページにいきますと、効率意識のところで見ますと、ほかの属性よりも子供のいる妻の方は、効率に対する意識が非常に高くなっています。逆にほかの子供のいる男性よりも高くなっていることが見られまして、この効率意識というのはどういう意味での効率意識なのかというのが、下のグリーンとブルーの合わさったグラフですけれども、子供のいる女性というのは、特に時間の確保、つまりもっと自分の時間を割きたいというところを意識して効率を高めているという傾向がわかります。
 さらには、4ページはワークライフバランス意識ですが、ここはそんなに大きな違いは見られません。就業時間や日数の不満は、もう少し柔軟にしたいというところが大きな意見としてあり、短くしたいというところは、逆に男性の方が強いということが出ております。
 5ページ目は、母数が全体として少ないんですけれども、本人の帰宅時間と本人の家事分担の割合を見ているグラフでして、四角で囲ったところだけが母数がある程度あるというところです。例えばオレンジの線ですと、子供のいる女性は帰宅時間が遅くなっている場合には、家事分担割合が下がっているという傾向がやや観察され、男性の場合は子供がいる場合は、若干下がりぎみというところは見られますが、もう少し母数があると明確なところが言えると思います。
 次に、今の同じような中身で、妻が非正規について見てみますと、小さい子供のいる場合は、妻の帰宅時間が相当早くなっておりまして、子供のいない男性というのがいる男性よりもかなり遅いという傾向が見られます。
 次に7ページの効率の方ですが、子供のいる男性というのが結構意識しているのですが、余り変わりはありません。その中身というのが、逆に先ほどとは違いまして、7ページの下の方ですが、時間の確保ではなくて、成果や評価の方を目的としている効率意識となっています。これは、女性についても言えることで、妻が非正規の場合には、既に時間は確保済みであって、それ以外の目的で効率を意識していると見られます。
 妻が非正規の場合は、子供がいない男性というのは、特に効率意識とか帰宅時間や実現度といったところで、かなり仕事中心であるという傾向が見られまして、この辺りが妻が専業主婦である場合に近い夫婦の在り方というふうに観察されます。時間的にも長く働いていたり、ワークライフバランス意識が、子供がいない男性の場合は実現度が低くなっている。
 それを補う情報としまして9ページですが、夫婦の家事分担というのを、妻が専業主婦、妻が非正規、妻が正規、子供ある、なしで一応見てみますと、真ん中が妻が非正規の夫婦で、子供なし、ありの場合ですけれども、色の傾向から見てもわかると思いますが、専業主婦とかなり分担の傾向が近いということで、専業主婦の家庭と妻が非正規の家庭というのは、意識的に近いものがあると見られます。
 正社員同士の場合には、先ほど申し上げたように、妻が仕事を効率的に進めて、帰宅時間を調整して子育ての時間を何とか確保するように努力しているというところが観察されたというところです。
 以上で分析の方は終わります。
佐藤会長
どうもありがとうございました。
 それでは、ワークライフバランスが実現していると思っている人の働き方と家庭要因と、そういうふうに思っている人の職場の状況。ワークライフバランスが実現できている人が、仕事への取組み意識がどうかということを分析していただきました。
 御質問なり、追加にこういう分析をしたらということ、わからないことがあればお願いいたします。
橘木委員
1点だけよろしいですか。
 ちょっとチャレンジングなこと言いますが、これをアンケートしたときに、ワークライフバランスという言葉を、みんなどの程度知っていた上で答えているかということを知りたいんです。
 というのは、回答する人によっては、全然意味が違うし、例えば仕事と余暇を両立しているか、家事を両立しているか。余暇をずっと寝ている人もいれば、パチンコ屋に走ってパチンコばかりやっている人だっているだろうし、その人々によって評価は違うだろうし、アンケートを配られたときにどういう質問をされたのですか。
三菱総研
ワークライフバランスという言葉は使っておりませんで、今回は、資料1-3の真ん中辺のところに問19がありますが「あなたにとって、仕事と生活のバランスは、うまくとれていると思いますか」という質問を挙げて、これを今、軸にしてみますけれども、その上の設問で問18がありまして、それが直前で聞いているのですが「生活の中での、仕事・家事(育児)・プライベートな時間(趣味など)の優先度について」と聞いておりまして、この辺で仕事と生活のバランスというイメージを持ってもらっているんです。
 その結果として、資料1-2の一番最後のページなんですが、これが妻が専業主婦で夫が正規の場合と、妻が非正規で夫が正規と、いろいろ分けておりますけれども、例えば一番上の左上のところですと、妻が専業主婦で夫が正規の場合の妻の現実と理想です。ブルーが現実でピンクが理想になります。専業主婦の妻は理想が3つを両立しているのが形、次が家族とプライベートが優先といった形で回答してもらっておりますので、それぞれのバランスというのが属性ごとにとれている状態というのは違うということはあります。
橘木委員
答えを引き出すときに、ワークライフバランスがとれているのがいいという価値判断の下でやっておられるのですか。人によっては、仕事オンリーの人が自分にとってはものすごい満足な人生の人もいるかもしれないし、そうでない人もいるかもしれないしというような、人の考え方のばらつきはどういうふうにコントロールされたか、そこはどう考えたらいいのでしょうか。
三菱総研
量的なものというのは、本人の中で、ほとんど仕事であってもバランスがとれていると認識する場合もあると思うので、そこは任せてしまっているといった感じです。これが仕事も生活も時間を十分にとった方がいいんだと決めているわけではないんです。
三菱総研
ですから、イメージ的には、今、ごらんいただいたピンクが理想なんです。例えば仕事と家事とプライベートの3つを両立するというものが理想だと答えた人が、多分それがワークライフバランスがとれていると思っている状態なんだと思うんです。ですから、回答している人は、それぞれ自分の思い描いているワークライフバランスがとれている状態というのを前提に答えていると考えております。
橘木委員
そうすると、私は仕事しか生きがいがない、余暇などは要らないという人は、これはどういうふうに答えるのですか。
三菱総研
それは、多分仕事の方が優先で、それが成果が出ていれば、ワークライフバランスがとれていると思うのではないかと思っている。
橘木委員
そういう解釈もできるんですか。
三菱総研
実際、分析上はそういうふうに読めるところが出ています。
矢島分析官
わずかですけれども、仕事優先を理想としている人もいますし、それでワークライフバランスがとれていると答えている人もいますので、いなくはないです。
橘木委員
逆に、仕事は飯食うための手段で、最低働いてレジャーをものすごく優先するという人がワークライフバランスへどう評価しているというのもわかりますか。
矢島分析官
例えば、専業主婦なんですけれども、いい悪いは別にして、プライベートな時間優先が理想なんだという方も結構いらっしゃいますし、それでワークライフバランスがとれている、とれていないと分散してきますので、それぞれイメージは分かれていると思います。こちらが仕事と生活と家事がバランスよくなければとれている状態ではありませんというふうに押し付けて受け止められているとは思わないんです。
佐藤会長
今、橘木先生が言われたのは大事なことで、ワークライフバランスがとれているというのは、両方同じようにやらなくてはいけないということではないんですね、先生が言われるように。例えば客観的に見て非常に仕事時間が長くて、それ以外なしにしても、その人にとってはそれがバランスとれている状態というのが十分あるわけなので、その辺がわかるような書き方をした方がいいと思うんです。
 例えば、18と19のクロスなんですね。18と19の現実を見ると、ワークライフバランスがとれているというので仕事が優先だという人もいておかしくないわけです。ですから、多分18の理想と現実の差が少ない人が、ワークライフバランスがとれているとなっていれば、その人にとっての理想に合った時間が出ていれば、ワークライフバランスというのがとれていると答えているということがわかればいいと思うんです。
 橘木先生が言われる点はすごく大事だと思うので、確認をしていただいてよろしいですか。
矢島分析官
そうですね。それは可能です。
 理想と現実のギャップがない人が、ワークライフバランスがとれていると答えている割合が高いということを確認するということは。
佐藤会長
それが1つあるといいと思います。それで、その中には仕事の時間を優先しているという人は、勿論入っていておかしくはないわけなので、その辺を見ていただくようにします。
 ほかにはいかがでしょうか。
布山委員
私も今、両先生が御指摘されたことを、実はご説明を伺っていたときにずっと思っていました。ワークライフバランスを仕事と仕事以外の生活は半々がいいというようなことを前提にしてしまっているのは、多分違うと思うのです。仕事優先の人も家庭を優先の人も、自分の中でバランスがとれていると思うのであれば、ワークライフバランスがとれているというのではないでしょうか。ことであると、既婚か未婚というところでいろいろ分析されていますけれども、各自がワークとライフのバランスをどう考えているのかわからないと本当は分析がしにくいのではないかなと思っているところです。
 例えば、未婚の就業女性は、19時を境にワークライフバランスの実現度に変化が見られるとあるのですけれども、ただこの未婚の就業女性の中でも、仕事を優先にしたい人とそうでない人がいらっしゃるのであって、それがうまく盛り込まれて分析をされているかどうかによって、中身が随分違ってくるのかなと私も思っていました。
 ワークライフバランスの基準は各自異なるにもかかわらず、何か特定の基準を前提にしてしまうと、せっかくの分析が初めからずれていってしまうのかなと思っています。
佐藤会長
例えば、資料1-1の9ページでも、通勤時間と勤務時間が14時間以上でもバランスがとれているという人が3割いるわけです。これが悪いというわけではなくて、傾向的には長い人で減らしたい人は勿論いるわけですけれども、今の状態でいいという人も勿論いるわけなので、みんな減らさなければいけない、長過ぎる、ある時はやはり一生懸命働くというのが大事な時期もあるわけですから、その辺は書き方ですね。
布山委員
書き方だと思うのです。
佐藤会長
ですから、14時間以上が100 %とれていないというふうになっていればそれはいいわけで、3割はそれがバランスとれている状態だと思っている人もいるわけで、それがいけないというわけではない。
布山委員
前提が極端なのがいいということは勿論思ってないんですけれども、ただ、あまりにもあるものを前提にものを言ってしまうのはいかがなものかという気はします。
橘木委員
武石先生、御専門なんですから、何か言ってください。あなたはワークライフの消費者ですから。
武石委員
消費者ですか。ありがとうございます。
 ワーキングでもこのデータを見て、2回目なので余りあれなんですけれども、確かに今、おっしゃったことは、労働時間とか長くてワークライフバランスがとれているという人もいれば、短くてもとれていないという反対の人たちもいるので、この短くてとれていない人たちというのは、本当にどういうことなのかなという、私もっと仕事したいということなのかどうか、そこら辺の構造を明らかにしていく必要があるのかなという気がします。 しかし、全体に割りと予想をしている方向での結果が出ているのかなという感じを持ちながら見ておりました。
佐藤会長
ほかにはいかがですか。
 あとは、56ページのプロビットがあるんですけれども、この前もちょっとお話したんですけれども、もうちょっと仮設に即して説明変数を選んだ方がいいのではないかと思う。家族と時間が十分にとれるとか、生活に満足は、何か唐突な質問のような気もしていて、この説明変数の方にゆとりがあるなどというのがここにあってしまうと。
三菱総研
今回、ゆとりは外したんです。
佐藤会長
ゆとりは外しているんですか。
三菱総研
あと、帰宅時間を外して、仕事と通勤だけにしたりしています。
佐藤会長
ほかもどうですかね。
 例えば、仕事のやる気があるとワークライフバランスがとれているとか、それも説明しにくい。
三菱総研
ここは、関係ないんです。
佐藤会長
入れてあるんですけれども、なぜ入れているのかと聞かれたときに、意識的に時間管理をしている人は、例えばワークライフバランスがとれているという仮説があるとすれば、その代理変数として効率への意識を入れるというのはいいと思うんだけれども、何のためにこれを入れているんだろうというのが説明つかないようなものもあるなという気がするんです。
 子供に優しい職場というのは、正社員は全然効かないんですか。
三菱総研
そうですね。
佐藤会長
子育てに優しい職場というのを全然効かないというのは、どう理解するかということもあると思うんです。
 ほかにはいかがでしょうか。
三菱総研
あと、データでお出ししているもので、先ほど申し上げなかったところだけ補足して、資料1-2です。
 先ほど、10ページのところで性別役割分業意識というものを、夫婦の組合せで見ていただいたと思うんですけれども、これが一応夫婦ではないんですけれども、一時的に夫婦のようにして並べております。夫は外で働き、妻は家庭を守るべきという意識について、専業主婦の家庭では子供があり、なしではどうかというところを見ておりまして、どの組合せでも、この場合子供があると男女の夫婦間の意識ギャップが大きいというのが見られております。
 11ページの方は、女性が職業を持つことについての意識ということで、こちらの方は、「子供ができてもずっと職業を続ける」「子供ができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業を持つ方がよい」という意見が大半を占めているんですけれども、妻が正規の場合には、夫も妻もずっと職業を続けた方がよいと思っていて、子供がいる場合には意識ギャップが小さく、いない場合にはギャップがあるといったようなところが見られています。 12ページの方は、生活満足と仕事満足について同じように夫婦の形で比較しておりますので、御参考にごらんいただければと思います。
佐藤会長
橘木先生、布山先生の御指摘があったように、初めの3ページの方で、ここでのワークライフバランスは何かというのを少し書いておいた方がいいのかもわかりません。調査はこうしたということと、解釈の仕方とか、18と19とか満足度とのクロスを見ながら、少し中身が何かということを、別に労働時間が短くてこちらが長い人というわけでもないという、本人にとって、今の時間配分は適切だと思っている人がそう答えているとか何でもいいと思うんですけれども、一応説明した方がいいと思います。ですから、勿論労働時間を長くしたいという人も中にはいるだろうし。
 ほかにはよろしいでしょうか。どうぞ。
原田審議官
今のお話との関連で、先ほど説明していただいた資料1-1の7ページで、一般的には勤務時間の差がワークライフバランス実現度の中で大変重要なファクターだと。ただ、それで100 %決まるのではなくて、橘木先生がおっしゃったように、長時間勤務しておってもワークライフバランスの実現を感じている人もいるし、あるいは逆に短時間しか勤務していない人の中にも、その他の要因でワークライフバランスを実現できていないと感じている人がいるという関係を、まさに適切にまとめないといけないなと思いました。
 もう一点。同じ資料1-1の4ページなんですけれども、上の既婚女性で、非正規と正規で、正規に比べて非正規の方がワークライフバランス実現度が若干高い。男性は逆なんです。ちょっとラフな言い方をすると、女性はこの意識調査全体で見れば、非正規の方が正規よりもワークライフバランス実現を感じ取っている人が多い。それはハッピーな状態だというふうにそこだけは言えるのですが、一方で当然のことながら、非正規の中にはいろんなタイプがあって、同じ資料1-1の32ページを見ますと、対比で正規の場合はワークライフバランスが全くとれていないという人は、さすがに変えたいという方が結構多いのですが、次の2つ目の非正規の女性の場合は、ワークライフバランスの実現度合いと関わりなくというか、変えたいという人が相当のウェートを持っているようです。とすれば、女性の非正規の中にもいろいろなパターンがあるという感じを受けておりまして、非正規問題を議論するときに、そこは非常に重要なポイントかもしれないなと思いました。
佐藤会長
ですから、非正規の、時間の面では、例えば子育てと仕事両立できているけれども、働き方という点ではいろいろ不満もあるということだと思うんです。そうなのか、例えば典型的に多いだろうと思います。
原田審議官
それともう一点だけ追加です。
 これは打ち合わせ会でも申し上げたんですけれども、今はオールジャパンで定性的な分析をしていただいているんですけれども、私が前々から関心を持っているは、大都市圏域で何かの指標を選び出して、大都市圏域と地方圏域との対比も可能な範囲で加えていただくと、要はワークライフバランスの実現度合い、勤務時間、あるいは正規、非正規の状況は都市圏と地方部でどういうふうに差が出てきているのかというのを浮き彫りにするといいのではないかと思います。
 今後、可能な範囲でお願いします。
佐藤会長
昔から言われていることですけれども、都市部は労働時間の問題もあるけれども、通勤時間の問題も結構大きいんです。労働時間が短くなっても、通勤時間のところでかなり。それは一方で長くなって、ある時期は労働時間が短くなっても、通勤時間が延びてしまって、トータル変わらなくてなかなか改善したいという問題もありました。その辺も御検討いただければと思います。
 ほかにはよろしいですか。今日は本当に大事な点を御指摘いただきましたので、それを踏まえて、また分析し直していただければと思います。
 それでは、今日のある面では本題ですけれども「少子化と男女共同参画に関する提案について」御説明いただいて、それについて御意見をいただいて、その後の取扱いについてまた議論をするとさせていただきたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。
矢島分析官
皆様のお手元の資料2の方でございますけれども、前回の専門調査会で少子化と男女共同参画に関する提案ということで、有志の先生方からの御提案をとりまとめさせていただきまして、専門調査会でも御意見をいただきまして、このような形でとりまとめさせていただきました。これを男女共同参画会議の方で橘木先生と岩男先生の方から御発表していただきました。この提案につきまして、資料2の後に付いております「『少子化と男女共同参画に関する提案』について」ということで、参画会議の有識者議員の方から、また御意見をいただいておりますので、今日は少しその辺りを御紹介して、また皆様にさきに出した提案について、もう少し特にどういった点が重要であるかといった辺り、御議論をいただきたいと思います。
 まず、資料2の1ページ目の下の囲みをごらんいただいて、御確認いただきたいんですが、御提案いただきました提案内容は3分野にわたっております。
 1つ目が、仕事と生活の調和(ワークライフバランス)が可能な雇用環境整備。
 2つ目が、多様なライフスタイルに応じた男女共同参画型子育て支援システムの構築。
 3つ目が、女性の就業選択等に中立な経済的支援の総合的検討でございました。
 まず、有識者議員の方の御意見で、最初、八代先生の御意見がございます。これが、仕事と生活の調和が可能な雇用環境の部分についての御意見でございました。ここでは「女性の就業機会拡大にも少子化対策にも、過去の高い成長期に形成された夫婦の固定的役割分担に基づいている日本的雇用慣行の見直しが必要とされている」というような現状認識と、後半の方では、提案にある「長期休業・短時間勤務に対応したマネジメント・評価システムのモデル事業の実施」といった取組みにつきまして、こういったものが重要ではないかと。こうしたモデル事業で具体的なノウハウが企業に提供されることが有効ではないかといったような御意見がありました。
 また、再就職の可能な環境を整えることも、非常に重要であるという御意見をいただいております。
 次に、もう一つ仕事と生活の調和が可能な雇用環境ということにつきましては、西京銀行の大橋議員の方から御意見をいただいております。
 ここでは、済みません、今日は参考資料をお付けしておりませんが、21世紀職業財団が行った、女性の活用と企業の経営パフォーマンスについての調査というものがございまして、こちらの方を例にいたしまして、女性を活用している企業ほど経営パフォーマンスが高いのではないかというようなこと。
 女性の就労支援というと、子育て支援の面ばかりが注目されるが、やはり女性が働きやすい環境を整備するには、男性の働き方を変える必要があるという認識は共有される必要があるのではないか。
 ワークライフバランスの推進ということにつきましては、少子化対策という文脈のみではなくて、男女共同参画の流れで取組みを進めることが有意義ではないかということ。
 昨年の12月に日本経済団体連合会経営労働政策委員会から出された報告でも「男女共同参画の促進とワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」という項目が掲げられておりまして、このような考え方が示されているということで、官民一体となった取組みを進めていく必要があるというお話がありました。
 次に、林議員の方からは、同じくワークライフバランスが可能な雇用環境につきまして、2つ目の○のところが非常に重要かと思いますが、今回のワークライフバランスが可能な雇用環境の提案施策の書きぶりを見ますと、正社員を中心とした働き方と評価・処遇の問題のみを言っているように受け止められるおそれがある。日本では、労働時間の長短が正規、非正規など大きな処遇格差のある雇用形態の差につながることが問題であるということで、こちらの資料2を1枚めくっていただきまして、2枚目のワークライフバランスが可能な雇用環境整備のところの、下の方の「提案施策」を見ていただきますと「働き方に中立な税制・社会保障制度の検討」ということが書いてありまして、ここに「(短時間労働者の年金適用 等)」と書いてあるのですが、この書き方ですと、非正規の処遇の改善の問題が入らないと受け止められるのではないかということが、問題意識として御指摘されていたと受け止めております。そういったことがきちんと重要であることをこの中で表現してもらえないだろうかという御趣旨であります。
 次のページにまいりまして、鹿嶋議員からの御提案は、こちらの方の御提案とは別なんですが、未婚者の増加についての御意見でして、少子化の議論の中では、最近、未婚者の増加が問題という意見が聞かれ、結婚という選択をしない非婚者が今後、増えそうだという指摘もあるということで、この未婚の増加についてどうするのかということがありました。
 ただ、2つ目の段落で言っていることは、晩婚化の克服と夫婦の出生力の低下というのが、要因としては両方あるけれども、対策について考えると、未婚者への支援と結婚した人の支援が必ずしも異なるわけではないのではないか。仕事と生活の調和が可能な雇用環境整備なども、共通の対策ではないかというようなことが指摘されています。
 下の方では、未婚の人にも職場の内外で、仕事以外の人的ネットワークを持つ機会が必要である。そのための最も基本的な社会的支援として、まず仕事以外の時間を持つことができるような雇用環境を整備することが必要ということでございます。
 未婚者が結婚に踏み切れない理由としては、結婚後、子供を持つことまでを考えたときに、現在の子育て世代の生活と子育ての両立が困難な状況も大きく影響しているということで、そういった点からも、子供を持つ人の両立を支援することが間接的に晩婚化対策になり得るのではないかということが言われています。
 次の住田議員の御意見は2点ございまして、1つは「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)が可能な雇用環境」についてでございます。ここでは、特に再チャレンジ支援プラン、再就職の支援ということが非常に重要ではないかということで、御提案がありました。
 2つ目のところは「多様なライフスタイルに応じた男女共同参画型子育て支援システムの構築」につきましてで、最初は保育サービスは依然不足しており、引き続き「待機児童ゼロ作戦」を継続していただきたいということ。
 一方で、共働きでも専業主婦でも利用できる子育て支援サービスの充実は急務であるということ。再チャレンジプランの取組みと子育て支援の取組みが結び付き、女性のライフステージに即した支援が、連続的に提供されることも期待される。
 もう一点。地域の子育て支援に関わる人に、男女共同参画に関する理解が不足していることの問題点を指摘されています。
 次に、山口議員の御提案ですが、こちらはやはり子育て支援システムの構築ということなんですが、男性の地域の子育て支援への参加ということについての御指摘でございました。サービスの受け手も提供側も女性比率が極めて高く、男性の存在が希薄であるということで、子供の育つ環境としても大人の男性が身近に感じられることは重要であるということで、例として保育士の例、男性保育士の割合が極めて低いということが挙げられております。
 また、NPOなどの市民活動団体でも、児童の分野では「女性だけ、あるいは女性が殆ど」という団体が7割を超えているということで、男性の地域活動促進などが重要ではないかということを提案されています。
 最後に、袖井議員の方から「女性の就業選択等に中立な経済的支援の総合的検討」について御意見がございました。こちらの方は、提案の中にある趣旨とほとんど同じなんですが、子育ての費用負担を軽減する施策の検討は急務であるが、検討に際して、経済的な支援が子育ては家庭で母親だけが担うという方向性をとることがないような配慮が必要であるということがありました。
 また、出産・子育てによって、女性のキャリアが中断されたり、そのために生涯賃金が低下することのないよう継続就業支援を行うと同時に、再就職の機会拡大や再就職のための研修訓練、税や社会保障制度上の配慮をするなど「出産・子育ての機会費用」にも十分配慮していただきたいということでした。
 また、後半は提案にはなかったのですが、児童手当の支給年数は延長されたが、高等教育に対する親の負担が日本は高いので、奨学金の拡充が望まれるといった御意見がありました。
 本日は、こうした有識者議員の方の御意見も念頭に置いていただきまして、資料2で挙げております施策の提案につきまして、もう少し先生方の中から優先順位ですとか、あるいは具体的にこういうことが重要ではないかといった御意見をいただければと思います。 よろしくお願いします。
佐藤会長
ちょっとわかりにくい点があったかもしれないんですが、資料2はこの専門調査会の有志の方に、これまで1年間研究してきた「少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較報告書」を踏まえて、少子化と男女共同参画の提案としてまとめていただいたものです。
 これは、橘木先生のものは参画会議で報告していただいたんですね。
矢島分析官
はい。
佐藤会長
そのときの御意見が今、御紹介いただいたもので、資料2についてサポーティブな御意見だったと思うんですけれども、事務局の御提案はこの提案をもう少し議論していただいて、専門調査会としての提案として出したいという趣旨だということです。つまり、今までのこの資料2は、専門調査会としての提案ではなくて、有志の提案という形になっていますので、もう少し御議論をいただいて、できれば早い時期に専門調査会としての提案として出したいということです。
 ですので、それもできるだけ早くということです。一応、次回の専門調査会でできれば詰めたいということ。政府のこれまでの議論の流れに合わせてということだと思います。 そういう趣旨ですので、もしそういう形でまとめるということが可能であればしたい。ですので、資料2について、この外まで広げて議論するというのは、勿論いろんな大事な点が落ちているということがあるかもわかりませんけれども、この中でもう少し強化する点、あるいは短期的ならこの辺を全面的に出した方がいいのではないかということについて、御意見を伺いたい。
 一応、構成は国際比較報告書の枠組みに即した形で3つにまとめているわけですけれども、この3つという形になるか、もう少しどこかに置いておくのかとか、これを追加してほしいとか、ここは不要ではないかということなどもあるかと思いますけれども、そういう趣旨で御意見をいただきたいということなんですけれども、いかがでしょうか。
 進め方についても、御質問があれば、まずそこからでも構いません。ですから、これを専門調査会としての文章にするということですね。
矢島分析官
はい。
佐藤会長
文章にして、そんな厚いものではないですけれども、提言なり、そういうものとしてまとめたいということのようです。
 ですので、そのときに1~3について、少しウェートを置く。議論をできていないところは、逆に落とすということもあるかもわかりませんね。この専門調査会としてまとめるということですから、皆さんの意見が割れたような場合は、落とすということもあり得るということです。
 いかがでしょうか。
 特に、岩男先生と橘木先生は出られていたほかの方の反応などを見ると、やはり仕事と生活の調和のところについての御意見が非常に。そういうふうにまとまっているわけではなくて、そこが多かったんでしょうね。私は出ていないのでわからないんですけれども。
岩男委員
これ、有識者会議の段階で一応の案ができあがり、それを参画会議では読み上げた。
佐藤会長
そうすると、ここに出ているページというのは、それぞれの報告された方の資料ですか。
矢島分析官
済みません。後ろの方にデータを付けたものがございました。
橘木委員
ちょっと事実確認なんですが、資料2の2ページの「第一子出産を機に仕事を辞める女性が7割」というのは、育児休業を取る資格のある女性と、育児休業を取る資格のない女性との比率というのは、どの程度の違いなんですか。
佐藤会長
これは、まず先生御存じの縦断調査のデータで全体です。常用だけもとれることはとれるんです。ちょっと忘れてしまったんですけれども、常用とそれ以外は一応分けてとれることはとれるんですが、ちょっとそれは確認します。これはトータルです。
橘木委員
トータルですけれども、右の方の矢印の方に「育児休業取得だけでは継続困難」と書いてあるから、育児休業の資格のある人と、育児休業をとる資格のない人は、最初から辞める可能性があるではないですか。そこの差を知りたいんです。
佐藤会長
ここの趣旨は、多分育児休業にいく前に辞めてしまうという趣旨で書かれているんだと思います。
 つまり、産前産後休業まで取らないんです。取らないで辞めてしまう人が多いということの趣旨なんです。そこをクリアーして育児休業までいった人について今、7割ぐらいの取得率ですか。
原田審議官
お手元の青パンフレットの11ページの真ん中の表にあるんですけれども、今、お尋ねのことについては、ここではわからないんですけれども、佐藤会長におっしゃっていただいたように、出産前で有職73.5%の方の中に、先ほどの育児休業取得資格でない人がどの程度ここに出るかというのは、今申し上げたようにわからないのですが、矢印のとおり、辞めてしまう方が67.4%、つまり約七割。育児休業を活用する等で職を続けていられる方が32.2%です。
佐藤会長
ですから、この有職で継続された人の中の七割ぐらいが育児休業をとっているということになるんです。ですから、そういう意味では、育児休業制度を幾ら取りやすくしても、勿論取りやすい会社は取りやすくない会社だから産前、産後休業の前に辞めてしまうという関係は勿論ありますけれども、その前のところの育児休業制度以前に、この会社で育児休業をやって続けられるような全体の見直しのようなものが必要だという趣旨で書かれているのが提案です。
佐藤会長
こちらの71ページにあります。常勤だったというのが出ていますので、これでいいんですね。
岩男委員
どれの71ページですか。
佐藤会長
白書です。これでいいんですね。これは後ですね。直後ではないです。1年半後ですから、前のは出てないです。ごめんなさい。
矢島分析官
1年前に常勤だった者と1年前にパート・アルバイトだったものと出ています。
佐藤会長
しかし、直後ではなくて、出生1年半なんです。
矢島分析官
出生1年前なので、妊娠直前ぐらいの感じです。
佐藤会長
このデータでいいのかな。しかし、先ほどの比率と合わない。
 やはり、これを見ると常勤だった人の方が継続率は高いということですね。
武石委員
例えば、第一子に限定していないからではないですか。
佐藤会長
そうですね。第一子に限定していないです。
 ですから、2人目だとパートでという人が多くなるから、こちらの方は第一子の方の話なので、それは確認させていただきます。橘木が言われた御指摘のとおりです。
橘木委員
私は、なぜそれを今、言ったかというと、これは皆さんから猛反対を受けるかもしれませんが、日本の育児休業手当というのは、雇用保険の範囲の中でやっているんですね。雇用保険というのは、失業した人に給付をするというのが最初の目的で、その後、幸か不幸か雇用保険がものすごい黒字のときがあって、多分育児休業にも入れてしまえということだと思うんです。
 私は、雇用保険と育児休業というのは、趣旨が違うように思うんです。それを何とかこの委員会で分けろというような、もので分けるかもしれませんが、会長の御意見はどうですか。
佐藤会長
たしか、基本計画か忘れましたけれども、子育て期間中の所得保障について、雇用保険から出すことは見直せというのは、どこかに書いたような気がします。私も何度かそういう話もしています。
 ですから、企業からは休業を認めるということで、その間の所得保障は雇用保険ではないところから出すような仕組みというのが大事だと私も思っていて、そのことは書かれたのではないですか。書いてないですか。
橘木委員
書くのではなくて、もっと政府の中枢に持っていくとか。
高橋委員
それは、例えば子供保険というようなことですか。
橘木委員
子供保険という名前は何でもいいですけれども。
橘木委員
育児休業というのは、失業ですかという本質的な問いがあるんです。
佐藤会長
一応、役所的には、失業するときは失業保険を払うので、そういう意味では失業しないで済んでいるというのを代替的に出すという考えで説明しているわけです。
 ただ、子育て期間中、求職活動をしているわけではないから失業者で雇用保険をもらうかどうかはまた別なので何とも言えませんけれども、一応この基本計画の47ページ。
矢島分析官
男女基本計画を前の方に積んであります。白表紙の基本計画です。
佐藤会長
47ページの真ん中辺りの○です。一応柔らかな表現で書いてあります。
矢島分析官
47ページのイの2つ目の○です。
佐藤会長
ウの上です。
 ですから、今の現状で言うと、育児休業を男性も含めて取ってくださいと言うと、雇用保険財源上はどんどん出ていってしまうんです。
橘木委員
ですから、雇用保険に入っている人しか資格がないわけでしょう。
佐藤会長
そうです。
橘木委員
私は、これは大きな欠陥だと思います。もし雇用保険制度から賃金保障なり、育児休業を認めているのであれば、日本の社会において雇用保険に入っていない人は、労働者の相当の数いますからね。
佐藤会長
ですから、今度、有期の人たちについても育児休業を一定条件を持たす人は、権利として取れるようになったんですけれども、寄附金の条件はまた別なんです。ですから、育児休業を取る条件と違うという変なことが起きていて、それは確かに矛盾であるのは事実です。
杉山委員
例えば、資料2の3番で「経済的支援の総合的検討」とかと打ち出しているので、ここの財源の問題も含め、幅広く検討するというところを受けて、雇用保険でいいのかどうかも、ここで少し入れてみるとか。
佐藤会長
私が最近言っているのは、育児休業期間中の年金等の社会保険料の免除があるわけです。初めは免除がなくて、次は本人が免除になって、次は使用者が免除になって、いつの間にか3歳まで免除になったんです。
布山委員
年金法改正のときですね。
佐藤会長
ところが、産前産後休業中の社会保険料免除はないんです。ですから、企業からすると、産前産後休業中というのは、働いてもらっていないにもかかわらず、社会保険料を使用者負担分を負担しているんです。すごくおかしな話で、今は産前産後休業を取るまでにいかないで辞めてしまっているからいいんですけれども、勤めると使用者側は社会保険料負担が増えるんです。ですから、何で後ろに3歳まで延ばしてしまって、こちらに戻さなかったのかわからないんです。
橘木委員
外国はどこの財源なんですか。教えていただきたいです。
佐藤会長
所得保障でやり方ですね。どうなんでしょうか。雇用保険というのはどうなんですか。
岩男委員
国によって随分違うのではないですか。アメリカなどは、恐らく国としてはやっていないと思います。
佐藤会長
勿論ないですね。
 基本的には、自己都合で辞めた場合は、本人負担していないから失業保険も出ない。アメリカの場合は、そういうのはないですね。
 けれども、これはすぐにみんなで意見がまとまるという話もなかなか難しいかな。ただ、大事な点なので、基本計画のときでも議論はしています。これも先ほど、いろんな調整の結果、ああいう表現になっているということです。橘木先生のは非常に大事な点だと思います。
 このときに、働き方の見直しがこういうふうにした結果ではなくて、皆さんやはりそこは大事だということで、こういう御意見が出ていたということと考えてよろしいのでしょうか。
岩男委員
というか、私たちの提案の中でカバーされていないこういうポイントがまだありますよという、ご指摘なんです。こういう点にも目配りをしてくださいとか、考慮する必要がありますよという御指摘だと私は理解しています。
佐藤会長
ただ、2に触れた方が住田さんと山口さんで、3の人お一人。これは。
岩男委員
恐らく想像しますと、どういう御意見を割り振りをして発言するかを決めるプロセスの中で、一番意見が多かったところの人数が多くなるということだと思います。
佐藤会長
そういうことでは、御関心が高いところであったというのはいいわけですね。
岩男委員
はい。
佐藤会長
1つは、まとめるときに3つ同じように出すのか、少しこの会議でも仕事成長派に少しウェートをという感じであるとすればそういうふうにする方がいいのか、あるいはその中でも今、橘木先生が言われた難しい問題もありますけれども、もう少しこういう点を書き加えるとか、ウェートを置いてほしいということがあれば、御意見を伺いたいんです。
岩男委員
1つは、男女共同参画と少子化ということで、ここは少子化に特化するのではないかと思うんです。そうすると、中高年の介護時間の確保というのが、現状と課題の中で入っているんですけれども、これは今、93日になって、一応の確保ができているわけで、これはむしろ、今、優先順位で絞っていくというのであれば、中高年の介護の話はまず落とすとか、そういうことで提案を更に、絞り込んでいくということをする必要があるのではないでしょうか。
佐藤会長
働き方を見直すことが仕事と子育ての両立を可能とし、そのことは結果として、介護を必要とする人で仕事を持っている人にプラスになるということで、それは後の方で書くことで、ここには挙げなくていいかもしれないです。それ自体が課題だというよりは、しかしそうすることが働いている人のいろんな各層のワークライフバランスを求めている人にとってプラスになるというようなまとめ方は必要でしょうけれども、初めに挙げなくてもいいかもわかりません。
岩男委員
ちょっと様になる収まりがあるのではないか。
佐藤会長
ほかにはいかがでしょうか。
 奥山委員、どうぞ。
奥山委員
今日の調査を聞かせていただいて、やはり私が一番うーんと思ったのが、どんな働き方の場合でも、子供がいる場合には子供がいない場合に比べて、夫婦間の意識ギャップが大きいということが、やはり子供がいない方がいいのねという背景にあるような気がして、子供がいるというか、そこの幸せというか、そこの部分とワークライフバランスのところというのがどこかに出てきてほしいなというのがある。少子化のことで出すとすれば、そういうこともないのかな。勿論、子育て家庭だけに特化ということではなくて、すべての働く人たちのというところが前面に出てくることに大賛成ではあるんですけれども、今日、このデータを見せていただいて、やはり子供がいる人の働き方というのは、すごく厳しいというのを見ると、そこの部分も本当に出していかないと変わらないなという思いもしました。
岩男委員
今の御指摘は非常に大事な点だと思うんですけれども、だからワークライフバランスが必要なんですということだと思います。
 今のままですと、子供がいる人は夫婦間のギャップが非常に大きい。だけれども、そこで例えば父親が育児休業を取った経験者という変数を入れますと、そこは意識ギャップが低くなる。ですから、こういう状況をつくらなければいけないんですよという話なのではないかと思うんです。
矢島分析官
子供のいる、なしまで比較で並べてなかったんですけれども、既婚と未婚で見ると、既婚の人の方がワークライフバランス実現度が高く出ているんです。それをどう読むかということで、またそれだけだといろんな見方があると思うんですけれども、既婚の正規女性とか、大変なはずなんです。就業時間も大変だし、家事、育児も大変なんだけれども、ワークライフバランス実現度は高いと答える人が多いということが、今、おっしゃったような、もしかしたらそういう目に見えない価値が、充実度のようなものがあるのかもしれなくて、その辺りは、今回、言っているような働き方の効率性には直接結び付かないので、余り突っ込んで見ていないんですけれども、一面ではそういうことも重要なのかもしれないと思います。
佐藤会長
どうぞ。
塩満調査課長
若干、その提案施策につきましては、当時、まだ十分どういう議論が行われるか、また男女共同参画会議の方でもどのような議論が行われるかわからなかった部分もあって、幅広めに施策の御提案をいただいた形になっていますので、ここの部分でもう少し重み付けがあった方が、提案として実効性が高まるのではないかと思いますので、そういう観点の御意見もいただけたらと思っております。
佐藤会長
どうぞ。
布山委員
今回は、ここにあるような施策のような具体的なものを提案するというイメージですか。
 そうであると、現在の案は各委員の興味のあるところでそれぞれアイデアを出し合っているものです。それが、全体を通して委員全員の意見となると、提案する前にもっと検討したいものが出てきます。調査会全体の提案とするのであれば、その辺の工夫をしていただけけるとありがたいです。御調整いただければと思います。
佐藤会長
それは一番最初にお話しましたように、この調査会として、かつ短期に出そうことですので、それほど詰めた議論はできないというところもありますので、そういう意味では、やはりどなたかいろんな理由で納得できないということがあれば、それは納得できるような形で書くということです。抽象化するとかということは、当然やります。そういうふうにしたいと思います。
 そういう意味では、合意できるものを出すという形になる。
原田審議官
2点なんですけれども、以前に岩男先生におっしゃっていただいたんですが、今回、提案でまとめる場面でのスタンスなんですけれども、あくまでも男女共同参画行政という枠組みの中で、結果としてといいますか、少子化問題にも貢献するというアプローチがこの場面ではいいのではないか。別途、佐藤先生も参加いただいている少子化を専門に議論する場が、非常に大仕掛けであります。
 そういうことが1つと、もう一つは、先ほど来お話に出ておりますように、専門調査会という形での意見となりますと、当然、先生方の合意でまとめていくというやり方を考えている。
 もう一つ、これはまだ確たる形でお話できる状況ではないんですけれども、政府として少子化対策をどういうふうに19年度以降具体化していくかという場面で、例えば経済財政諮問会議をどういうふうに活用するかとか、いろんな場面場面をにらんだ動きが出てくると思うんですが、それは少子化についてはそういうことを当然、考えられると思うんですけれども、やはり男女共同参画行政もそういう場面で、その提案なり問題提起をしていくということが重要で、例えば経済財政諮問会議あるいは8月末の概算要求とか、勿論男女共同参画会議というものをどういうふうにどの場面で生かすか、幾つかの場面場面を想定しながら、先ほどの男女共同参画行政の枠組みで少子化問題にも大いに貢献するという重要なテーマ。短期的には、経済財政諮問会議は次いで6月ですので、そのタイミングにも一応間に合うようなタイミング、あるいはその後になれば概算要求にも間に合うようなタイミング。そういうタイムスケジュールで提案をまとめていただければなと。
 そうなると、やはり橘木先生におっしゃっていただいたことは非常に深刻な、重要なテーマではあるんですけれども、短期にまとめないといけないなというのが率直な気持ちもありまして。継続的に検討していくべき点は多々あるんですけれども、別途、先ほどの短期にまとめるという場面で、大変重要なテーマは打ち出していきたいなと思っています。
佐藤会長
そういえば、先ほど布山さんが言われた2ページのところだと、働き方に中立な税制・社会保障制度の検討はいいけれども、括弧の中は取れとかという話になるということですか。
布山委員
細かいところとか、そういうふうになっていきますね。
 例えば、こちらの御意見などを見ると、なかなか簡単にそうだねと言えるものだけではないなと思っている。重要な点だとは思います。そうなってきて、だんだんこれを言えることが縮小して、申し訳ないので、その辺はどういうふうに考えますかということを伺いたかったんです。
佐藤会長
何かありますか。
矢島分析官
やはり、今回、専門調査会から御提案を出していただくということが非常に重要だと考えていますので、この中でまとめていただけることを、できれば少なくても、何か出していただければと思っています。
佐藤会長
ですから、男女共同参画という視点から提案するということと、優先順位が高いもので、かついろんな調整もあるので、大事な点ですけれども、これから議論を可決しなければいけないものは、やはり落とさざるを得ないと思います。
 ですから、方向性を書くものだけのと具体的に書くものというものを、ある程度組合わせていくということになると思います。
塩満調査課長
短期、中期、長期という形で分類もできるかと思います。
岩男委員
しかし、働き方に中立な税制・社会保障制度の検討というのは、既に大沢眞理さんのところでまとめられたものがもう出ているわけです。ですから、今、布山さんが言われたことを特に意識してというわけではないんですけれども、これは例えば落とす方の優先順位ということで言えば、私は当面は落としてもいいのではないかと思っているんです。
矢島分析官
もしかしたら考え方のところに、このワークライフバランス推進ということに当たっては、正社員の働き方の問題と非正規の処遇の問題があるよということをきちんと示すということで補うとか、いろいろ考えられると思います。
岩男委員
林さんのおっしゃっている点で、それはもうちょっと明確に表に出るような形がいいと思うんです。
佐藤会長
しかし、基本計画にもそれは書かれているんですね。短時間労働制の構成の在り方を検討するとか。
原田審議官
もう既に計画ベースで書いてあることまでは、可能と思います。
佐藤会長
書いてあるわけですね。検討しろと書いてあるんですね。
矢島分析官
そうです。
佐藤会長
いかがでしょうか。
 杉山委員、どうぞ。
杉山委員
3ページの多様なライフスタイルによった子育てシステムのところなんですが、住田先生も御指摘をされていらっしゃったかと思うんですが、地域の子育て支援に関わる人に男女共同参画に関する理解が不足しているという部分が、ここには抜けていたなということを気づきまして、こちらでは男女共同参画を拠点に子育て支援というあれなんですが、今、ある子育て支援に男女共同参画を御理解いただくというような、そういう双方向があってもいいのかなと思いました。
矢島分析官
なかなか今日のこの場で、ここは私はちょっとということも言いにくいかと思いますので、もし今日の場では、特に私ここは重要だと思うという視点だけいただいておいて、また佐藤先生と御相談していただいて、その文案というのを事務局でつくらせていただいて、また個別に先生方に御意見を伺って、調整をして、絞込りこむところをどうするかというところで案をつくらせていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
佐藤会長
ですから、とりあえず文章にしてもらわないと間に合わないので、今日の御意見とこの前のほかの提案の御意見と併せて文章をつくっていただいて、事前に個別に御意見も伺って、そしてほかの省庁等の意見もあると思うんですけれども、そうしてある程度踏まえたものを、次回の専門調査会にかけるという形にさせていただければと思いますが、いかがですか。
原田審議官
事務局の腹づもりということで、先生方の御批判を受けたいと思っているのですが、先ほどのタイムスケジュールを念頭に置きますと、ワークライフバランスをかなり男女行政の観点から強力に進めていくということをメインに据えて打ち出していきたい。勿論、どこまで具体策を言及できるかは、先ほどお話ありましたとおり、先生方の間でどこまで合意がいただけるのか、具体策の言及の程度は今後、調整したいと思うんです。
 2つ目、3つ目のテーマは、例えば税制とか社会保障制度、あるいはその他の働き方の多様性に関する制度マターなどは、ワークライフバランスの観点から言及する部分はあり得ると思うんですが、真正面に経済的支援の問題を今回、短期に取上げるとか、あるいは子育て支援も、実は少子化対策の中で非常に広範に検討が進んでおりますので、その中に我々としても事務的にもあるいは先生方を通じてでも問題提起していただいていますので、我々が短期に取りまとめるテーマとしては、いかがかなと。勿論、男女局として、3つとも当然、継続的に検討を浮かべていくべきテーマだということは重々わかっておりますが、できればワークライフバランスを中心にまとめたいなというのが腹づもりなんです。
佐藤会長
いかがでしょう。審議官の御指摘は、それぞれみんな大事ですけれども、特には今、少子化対策の検討委員会の方で、奥山さんも私も出ていますので、そこでかなり議論しているということと、3のところはもう少し本格的に議論しないと難しいということもあるので、1を中心に。勿論、ふくらませる部分は2と3の部分を掘り込むということはあると思います。
 こういう御提案ですけれども、いかがでしょうか。
岩男委員
今のお話でいいんですけれども、このワークライフバランスという考え方を打ち出すということは、決まっているということでしょうか。つまり、なぜ私が問題にするかというと、ワークライフバランスということは、私は必ずしも望ましくないのではないかと思っています。なぜかと言いますと、仕事と家庭というものを、これはある意味では分断して、両者がトレードオフの関係にあるととらえる考え方だと理解しているんです。
 つまり、各人一日24時間があるわけですけれども、そのうちのある時間、エネルギー、その他を職場に注げば、家庭からはそれが減るということなんです。そういう意味で両者がトレードオフの関係にあると思うわけです。
 したがって、最初はヨーロッパなどでもワークライフバランスということを言ったわけですけれども、既にこの考え方では不十分だ。そうではなくて、仕事と個人の生活を統合するインテグレーションの方向に行かなければ、今、言ったようなトレードオフの関係で、両方、家庭も仕事もそれぞれが自分の方に人を引っ張りたいわけですね。こういう状況では、両方がウィンウィンの関係にならないんです。
 特に、小さい子供を持っている人とか、介護が必要な人には、緊急の課題であるかもしれないけれども、もっと働く人の一生ということを考え、その地域の活動であっても、あるいは学習であってもいいんですけれども、人のライフというものを全部トータルにとらえたときに、もっと今言ったような、個人のインテグレーションという考え方に立たないと、すべての人に関わる問題にはならないと思います。
 実はこのワーク・ライフ・バランスが出てきて以来、私自身は本当にこれを今、推していっていいのかという疑問を持ち続けてきました。
 今だったらまだこの言葉をほとんどの人が知らない思うので、修正可能ではないかと思うんです。
矢島分析官
お伺いしたいのは、今、おっしゃったインテグレーションの考え方というのが、今の日本の段階から一気にそこへ行けるのかというのが疑問で、やはりある程度欧米のようなところで反省点は踏まえて、私どもはワークライフバランスを経過して、やっとその段階に行けるのではないかという気はちょっとするんです。
 なので、今の、例えばワークライフバランスということで提示している考え方の中に、そういう欧米の反省点を踏まえて、私ちょっとよくわからないんですけれども、一歩先を見たような視点をうまく入れることができるのか、あるいはこのワークライフバランスに一旦行ってしまうことがもっと弊害が大きいのか、その辺りどちらなのかなと。
 今の日本の状況を見ると、一旦少しでもここを通らないと難しいのではないかと。その辺の先生のお考えを伺いたいです。
岩男委員
つまり、家庭と職場、あるいはコミュニティーをどういうとらえ方をするかということが基本にあると思うんです。私は、この三者は密接不可分だと思っているわけです。今のバランスという考え方だと、これは分断してとらえるという、基本的にそういう立場だと理解しているんです。
 そこのプロセスをほかの人たちの失敗を、日本も日本流に一つずつこなしていく方がいいのかもしれない。
原田審議官
1点だけ。
 実は、ワークライフバランスを進めることが仕事の成果との関係でトレードオフになるとすると、それは非常に重要な問題、課題を提起するわけですけれども、必ずしもそれは絶対的なことではなくて、例えば経団連でも、ワークライフバランスを進めることで、むしろ仕事の質的な向上が期待できるということもまとめられております。確かに、ワークライフバランスの中身の問題は、非常に注意しないといけないと思うんですけれども、少なくとも時間配分は日本の現状に照らせば、少し考えていかないといけないのではないか。前半の説明でもありましたけれども、それをどうやって人材と仕事の効率性、効果にどこまで注意を払っていくかという問題でカバーしていくべきではないかと思います。
佐藤会長
藻谷委員、どうぞ。
藻谷委員
その件で専門的なことはコメントできないんですが、一般的な産業界の方はどうなっているかということについて言うと、ワークライフバランスは人手不足に対する対処策として、企業がやらざるを得ないという認識に、産業界は急速になりつつあると思います。ものすごく人手不足感が強くなってきているので。
 実は、まだ団塊の世代が退職していないんですが、それにもかかわらず、非常に人手不足感が強くなってきました。昭和22年6月以降出生の人が多いので、来年の6月から団塊の世代の退職が始まります。実は、熾烈な人の取り合いになってくるんです。
 非常に目先の収益だけねらっている若い会社は、パート、アルバイト率を100 %のようにして、言うなれば非正規主婦を使い倒すことで収益を上げているんですが、そうすると店長クラスが育たないので成長が続かなくなってきたんだそうです。逆にそうではなくて、きちんと中心雇用でやってきたら、従業員の年齢が上がってしまって人件費が上がってもうからない。若い人を雇わなければいけない。
 実は公務員もそうなんですけれども、今から2年後ぐらいから、待遇を上げないと本当に人が入らなくなります。メーカー辺りが収益がいいので、どんどん待遇を上げていくということになっていきます。そこで、私はこれを読んでいてつくづく思ったんですけれども、少子化対策ではなくて、男女共同参画のところは労働力不足に対する対処に置き換えると、全部そのまま通ってしまう恐ろしいペーパーで、労働力不足に対する対処策で男女共同参画以外にあり得ないんです。これに反対する財界人というのは、相当ものがわかっていない人で、というようなことなので、追い風ではないかということです。
 ただ、逆に言うと何の話かわからなくなる危険はあります。非常に世の中的な話でありまして、何にでも重要な話なので、このテーマに限らないという点が、若干懸念と言えば懸念です。
佐藤会長
岩男先生、ワークライフバランスの言葉がこなれていないのがあって、先生が言うのも私も読んでいるつもりなんですけれども、先生に言われた趣旨を踏まえながら書くということはすごく大事で、この中でもしようがないハーモナイゼーションですね。これはみんな違うんです。あとは両立なんです。これはみんな違う3つの言葉があるわけです。多分、橘木先生が言う、別に仕事だけするのも悪いわけでもないわけです。ある時期はそういうことがあっても、職業生涯で見れば、いろんな時間配分は取れるということはすごく大事かもしれませんし。
矢島分析官
この言葉を使っていると、やはり岩男先生がおっしゃったように、先ほどのアンケートで見ていただいたような専業主婦にも、いわゆるライフバランスがあるわけで、ワークではないんですけれども、あるんです。
 それと、やはり過去の調査などを見ていても、働いていることの意味がその人の立場で違ってくると、子育て期の人にとっては働くことがリフレッシュの機会であり、自分の時間と重なってくるという部分がありますし、そういう意味でおっしゃっていることはすごくよくわかって、ワークライフバランスという言葉を使っていることの限界というのも、確かにわかるんですけれども、今、おっしゃっていただいたように、一部に社会的な追い風というか、この言葉で何か一緒に変えていける部分というのが、もしかしたらあるのかなと思います。
佐藤会長
仕事というよりも、もしくは両立はどうするかわからないけれども、ワークライフバランスを使わないという手もあるかもわからないんだね。
矢島分析官
ただ、やはり同じ言葉を使うことで、一緒に動いていける部分が。
佐藤会長
余りカタカナを使わないとかということもあるから、それは検討してください。
武石委員
部分的にいいですか。
 多分、ワークライフバランスはここでおっしゃるいろんな意味合いが入っていて、私は働き方が今はすごく硬直的で、国際比較でもそうだしたけれども、柔軟性がなくて硬直的ですから、すごくいろんなところにひずみが出ていて、そういう意味では、ライフの中にワークも入るので、岩男先生がおっしゃるようにワークとライフを分けるというのはおかしいのかもしれないですけれども、やはり働き方への問題を指摘するということを考えると、ワークライフバランスが目的というか、働き方の柔軟性によってそれぞれが自分なりにワークライフバランスを実現するということだと思うので、働き方の柔軟性というニュアンスが入ってくるといいのかなと思っているんです。
杉山委員
ワークライフバランスを中心に置くというのは、今回の戦略としてそれが必要だったら、それでいいのではないかなと思うんですけれども、2枚目の多様なライフスタイルのところで、こだわるのですが「基本的方針」で、男女のライフステージに応じた切れ目のない支援のようなことが打ち出してあるんですが、これはここで言わないともうだれも言わないのではないかなという気がしていて、少子化とかそちらの方だと多分言えない話だと思うんです。
 なので、できればこれは強調した形で入れていただけると、ライフが光るという気がするんです。
矢島分析官
この視点でワークライフバランスを言うと、先ほどおっしゃっていたインテグレーションになるのかもしれないんですけれども。
岩男委員
それもひとつだと思います。私はこれを見ながら、一番最初の出発点が消えてしまったという感じがしましたのは、「働き方の見直し」だったはずなんです。その言葉が、ここから姿を消してしまったというのは、一体どういうことなのか。つまり、より柔軟な働き方が中心になると思いますけれども、そういった意味での今のがちがちの働き方の見直しなんですね。どうしてそれがなくなってしまったのか。
矢島分析官
雇用環境整備という言葉に置き換わってしまったんですけれども、働き方の見直しでもよかったかもしれないです。途中から雇用環境整備になってしまった。
佐藤会長
ですから、労働条件とかそういう感じにしないでもないですね。
岩男委員
私は、働き方の見直しの方が、もっと多様なものを含むように受け止められるのではないかと思うんです。
佐藤会長
あと、岩男先生が言われた基本法の関係で言うと、第6条ですね。どれでもいいんですけれども、第6条に家庭生活における活動と他の活動の両立というのが、一応基本計画に入っている。
岩男委員
基本法にも入っています。
佐藤会長
ごめんなさい。基本法です。
 ですから、中身は一応理念としては基本法の第6条ということになると思います。これは、広く家庭生活とその他の活動と言う。それで、その他の活動の1つは、働いている人は、仕事。仕事をしながらも子育てをやったり家庭生活をできるということだと思うので、一応6条がそういうことを言う1つの法律的な背景になるだろうと思います
藻谷委員
よけいなことなんですけれども、岩男先生がおっしゃっているは非常によくわかります。どうも、今、何が起きているかということだけコメントをすると、私の世代から下で起きていることだと思うので。
 実は、正社員と非正規社員が二分化していて、非正規社員の世界では、逆に言うと多様な働き方というのが実現をある程度しているように見えて搾取されているので、もっとそれをきちんとした多用な働き方として非正規採用を認めていかないと、全く余裕のない階層としてめちゃくちゃになるという問題が起きていると思います。
 バイトの中に今の学歴社会から外れたけれども非常に優秀な人がいて、そういう人の方が学歴エリートよりいいんだそうです。そういう人を拾い上げるシステムにしなければいけないのに、ひたすらバイトを使い潰しているからだめなんだと。
 逆に、正規社員の場合は、ひどい話なんですが、実は雇用者側はワークライフバランスを認めたくなくて、優秀だから死ぬまでこき使いたいという、24時間戦ってほしいという考え方が非常強くて、そして今、どちらかというと収入が圧倒的に高いのは正規社員なんですが、この人たちが実はほとんど家庭生活を営めていないです。それであるがために、非常に出生率が下がるということが起きていると思います。
 そのときに、非正規社員の人たちに、もっと柔軟な働き方をしなさいという方が効果があるか、もうワークと別にライフの時間を取りなさいという方が効果があるかということが実はあって、ぶっちゃけた話を言うと、ばりばり働く人に柔軟な働き方をしろというふうに企業は絶対に言いたくないんです。そのかわり、休みと労働をめり張りつけろと言った方が通りやすいです。そこで、対応がずれるんだと思います。
 ちなみに、ばりばり働かされている若手にしてみるとどう思うかというと、非正規社員のような柔軟な雇用体制に陥るのは嫌だと思っているんです。ですけれども、そのかわり実は5時から男で、突然ヨットクルーズするような生活を本当はしたいと実は思っている。 つまり、ものすごく火と氷が一緒のような生活をしたいと思っている人間が正規社員には多くて、そうするとワークライフバランスという言葉の方が訴える。彼らにとっては、ワークはライフではないんです。ある意味、ウォール・ストリートのようなもので、ものすごい高密度で割り切ってつまらないことをやっているという人が、どうも多くなっています。私は、決して健全だとは思いません。おっしゃるとおりだと思うんですが、一部スペシャリストになりたい人間の属とサラリーマンというのは、今、ワークライフバランスを取らないと、実際には理想的な個業のような柔軟な雇用体系が取れない。その瞬間にはじき出されるという恐怖感にあえいでいると思います。
 いいと思っているわけではないんですが、そういう二極分化があるということを申し上げたかったんです。
佐藤会長
柔軟なというのは、別にめり張りついた働き方ができるということは入ると思っているので、フルタイムで働くのが柔軟な働き方ではないとも言えるわけではなくて、休むときは休めるというのは、柔軟という働き方なんです。
岩男委員
恐らく、私、非常に大事なことは、本人の意思でどの程度働き方をコントロールできるかということではないのか。実はこの変数が落ちているということに、もっと早く気がつくべきだった。
藻谷委員
非常によくわかりました。
 つまり、コントローラビリティーですね。コントローラビリティーが、実は日本、アメリカもそうですが、いわゆるエリートのワーカーにはコントローラビリティーがないです。要するに、クライアントが来いと言えば、夜中でも駆け付ける。外科医とかもそうだと思います。高収入の人は、コントローラビリティーがないんです。
 実は、コントローラビリティーが比較的あるのは大学教授とか、私のようにものすごい特殊なサラリーマンとか、100 %のコントローラビリティーがあるんですが、ほとんどのエリートと言われる人は、実はコントローラビリティーを犠牲にして、逆に仕事のある状態を選んでいます。ですから、そういう気が狂ったようなワーカホリック状態の人に対して休めというのは、ワークライフバランスという言葉の方が訴えてしまうんです。それで、より彼らはコントローラビリティーを取りたがらない可能性があるんです。要するに、日本がアメリカ化する。そのことが問題だという先生の御指摘は、非常によくわかります。 ただ、企業社会の現実から言うと、このことの方が受け入れやすいでしょうけれども、別に企業社会に妥協する必要はないと思うんですが、こういうことを感じました。
佐藤会長
今日、大事な点をいろいろ議論していただいたんですけれども、この3つのうちに、どういう呼び方をするかは別として、1のところを少し絞るということについては異論はないと思うんです。
 ただ、その打ち出し方で、ワークライフバランスというものについていろんなとらえ方があるので、その言葉を除いて中身については割合合意できているのではないかと思いますけれども、この言葉を使うと、受け取られ方と、例えば岩男先生が言われていることは違うのではないかということが出てくると思います。
 それと、もともとは確かに柔軟な働き方というのはありましたので、それが入るような形も考えながら、工夫していただく。
矢島分析官
もう雇用環境の整備については、もしよろしければ働き方の見直しに変えたいと思います。
佐藤会長
ではその辺、御検討をいただいて、ある程度難しい面もあるかもわかりませんけれども、それを皆さんに見ていただいて、また御意見を伺って、行ったり来たりしながら、次回にはある程度、そこでもう出したもので終わりというわけではありませんが、しかしある程度前段で皆さんの意見をすり合わせたものが出てきて、議論できるとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

佐藤会長
そうしたら、今後の進め方について、事務的な連絡をお願いいたします。
矢島分析官
ありがとうございました。
 本日の資料ですが、こちらの資料2の提案と有識者議員発言につきましては、既に参画会議資料として公表されているものですので、公表ですが、アンケートデータにつきましては、先ほど説明がありましたように、母数の少ないカテゴリーとか、データとして整理しなければいけない部分を残しておりますので、今回は非公表とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 また、お手元に第10回と第11回の議事録をお配りさせていただいております。第10回につきましては、今日をもって公表とさせていただきますが、第11回分につきましては、また御確認いただきまして、右肩の方にございます期日までに、事務局の方に修正意見をお願いいたします。
 また、もう一つ、5月と6月の日程表をお配りしておりますので、こちらの方にできるだけお早めに御記入の上、お返しいただきましたら、次の専門調査会を5月にはもう一度させていただきたいと思いますので、設定させていただきます。よろしくお願いいたします。
 以上です。
佐藤会長
どうもありがとうございました。
 そうすると、連休を挟んでいろいろお時間を割いていただくことが起きるかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。本当に、今日はどうもありがとうございました。