第36回 苦情処理・監視専門調査会 議事要旨

(開催要領)

  • 日時:平成15年12月15日(月)10:00~12:00
  • 場所:内閣府 3階特別会議室

(出席者)

古橋
会長
神田
委員
田中
委員
深尾
委員
山口
委員

(議事次第)

  1. 開会
  2. 平成14年度監視「地球社会の「平等・開発・平和」への貢献」に掲げる施策(国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透)
    • 男女共同参画の推進にかかわるILO条約の状況等(厚生労働省からのヒアリング)
  3. 平成14年度監視「地球社会の「平等・開発・平和」への貢献」に掲げる施策
    • 調査検討結果の取りまとめに向けた議論
  4. ESCAPナショナルマシーナリー会合について
  5. 閉会

(概要)

厚生労働省から、ILO第111号条約、第175号条約、第183号条約について説明があり、意見交換が行われた。その後、調査検討結果の取りまとめに向けて意見交換が行われた。 審議の概要は以下のとおり。

<1>ILO条約の状況等について

深尾委員
ILO第183号条約について、母性保護施策に取り入れられるものについては取り入れたいということだが、具体的にどのような点が取り入れられる可能性があるのか。
厚生労働省
現在、研究会で検討しているが、具体的な結論には至っていない。16年春までには研究会の報告を取りまとめたいと考えている。
古橋会長
ILO第111号条約は、その批准に当たって国内法制との整合性等につき更に検討する必要があるとのことだが、人権擁護法案が国会で成立すれば批准可能と考えてよいか。
厚生労働省
人権擁護法案が国会で成立しても、即、批准できるわけではないが、批准の検討に向けた作業が前進すると考えている。
古橋会長
条約の批准に当たって、留保条項を付けることは検討しているのか。
厚生労働省
ILO条約は、基本的に条約自体に留保を許す規定がある場合以外には認められないため、難しいのではないかと考えている。
山口委員
出産手当金を従前所得の3分の2とすると、給付増は約100億円とあるが、少子化対策という意味でもこのような制度を整備していくことが望ましいのではないか。
古橋会長
児童手当の増額よりも出産手当金を増やす方が、少子化対策には効果的でないのか。

<2>調査検討結果のとりまとめについて

古橋会長
国際協力と国際規範は、それぞれ取りまとめに時間を要するため、2回に分けて報告書を出した方がよいのではないか。
田中委員
「政府開発援助の諸形態」については、JICAやJBICだけでなく、各省庁の比重もかなり大きいため、その部分を強調してほしい。
山口委員
途上国の女性たちの人権保護や経済援助のレベルが上がらないと真の平等とは言えないのではないか。
古橋会長
政府開発援助を通じて国際的に積極的貢献を行うことが日本の利益になる。このことが「政府開発援助の目的と重要性」に含まれるべきである。
田中委員
「国際機関の動向」では、UNDPだけでなく、世界銀行やADBの取組についても記述すべきである。また、ODA大綱を策定した後に、ODA中期政策も策定されると思うが、その中で も男女共同参画の重要性を盛り込むべき。
古橋会長
「援助の内容」について、どのような問題点があるか指摘していただきたい。
田中委員
援助案件の事前審査を行う際に、ジェンダーインパクトについての分析が行われていない。また、中間評価の段階でも男女共同参画の視点がない。事後評価においても同様で ある。無償資金協力においては、少額の草の根無償資金協力については、WID案件がいくつかあり、高く評価されているが、大型の無償資金協力案件については、やはり男女共同 参画の視点はほとんどないのが現状である。
技術協力に関しては、女性の専門家が圧倒的に少ないことが問題である。
古橋会長
「政府開発援助の推進体制の現状と問題点」では、男女共同参画の視点からODAの推進体制を整えることが重要であると盛り込むべき。「総合的対応策」では、ジェンダー主流 化の観点から、中期政策、国別援助計画を見直すことを盛り込みたい。
田中委員
援助の世界的潮流として、貧困削減戦略の策定が重要なテーマとなっているが、ジェンダーの視点を盛り込むことが重要であることを指摘したい。他にも、ミレニアム開発目標で も男女共同参画と女性のエンパワーメントが含まれているため、推進する必要があることを盛り込みたい。
古橋会長
外務省とNGOの懇談会等で、ジェンダーについて協議することはほとんどないということなので、ジェンダーの視点を入れた検討の枠組みを作るよう提言すべきである。
古橋会長
苦情処理・監視専門調査会の下部機関として、政府開発援助の実施について、男女共同参画の視点から監視する小委員会を設置することは問題ないと思うが、検討してほしい。

(以上)