(開催要領)
- 日時:平成15年11月28日(金)10:00~12:00
- 場所:内閣府 3階特別会議室
(出席者)
- 古橋
- 会長
- 庄司
- 会長代理
- 岡谷
- 委員
- 鹿島
- 委員
- 神田
- 委員
- 桜井
- 委員
- 佐藤
- 委員
- 田中
- 委員
- 広岡
- 委員
- 深尾
- 委員
- 山口
- 委員
(議事次第)
- 開会
- 平成14年度監視「地球社会の「平等・開発・平和」への貢献」に掲げる施策(国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透)女子差別撤廃委員会からの最終コメントに対する取組の方向性について
- 閉会
(概要)
厚生労働省から産休終了前における労働者の異動について、内閣府から女子差別撤廃委員会からの最終コメントに対する取組の方向性について説明があり、意見交換が行われた。審議の概要は以下のとおり。
<1>産休終了前における労働者の異動について
- 桜井委員
- 産休終了前後における異動について、不利益な扱いを受けたと各都道府県の雇用均等室に相談した場合、均等室は本省に相談して回答するのか。
- 厚生労働省
- 均等室は、本省の方針と一致するようと意思統一が図られているが、本省に照会するケースも考えられる。
- 古橋会長
- これまで、産前産後の休暇中に降格されたまま原職に復帰したことで苦情が出た事例はあるか。
- 厚生労働省
- 具体的にはそのような事例は把握していない。
- 山口委員
- 休暇中に組織が変わった場合はどうなるのか。
- 厚生労働省
- 総合的に比較衡量して判断することになるだろう。
- 佐藤委員
- 育児休業を申し出た場合、その時点の原職というより産前産後も含めて幅広く原職を考える必要がある。育児休業をとると、職場も組織変更されている可能性があるため、能力、適性をいかせる職場に戻すという原職復帰の本来の趣旨を踏まえ、幅広く原職を採るべきである。
<2>女子差別撤廃委員会からの最終コメントに対する取組の方向性について
- 古橋会長
- 雇用分野における間接差別について、現在の検討状況について教えてほしい。また、パブリックコメントを求めていくことは考えているか。
- 厚生労働省
- 研究会を開催し、具体的にどのようなものが間接差別に該当するか検討を進めているが、結論は出ていない。間接差別を禁止するかどうかについても、方向性などは出ていない。パブリックコメントについては、現在開催している研究会では考えていないが、その後、均等分科会で審議することになれば状況に応じてパブリックコメントを求めていくこともあるかもしれないが、いずれにしても具体的には何も決まっていない。
- 古橋会長
- メディアにおける男女共同参画の意識啓発について、新聞社、放送局は努力していると思うが、雑誌は問題である。
- 鹿嶋委員
- 業界内部で自主規制を行うか、NPOによる告発くらいしか解決策はないのではないか。
- 山口委員
- 女性団体などが申入れを行っているが、表現の自由も大事であることから、自主規制を求めている。
- 鹿嶋委員
- 各自治体でつくられている男女共同参画条例に盛り込んでいくという手段も考えられる。
- 桜井委員
- 横浜の場合は、条例で定められている苦情処理制度を活用し、街頭のポスター等について苦情が寄せられると、市が作成元の企業に対しそれを伝えることで企業に理解を求めている。
- 古橋会長
- 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の見直しについて、暴力の範囲を性的暴力まで拡大することは慎重に検討するとのことだが、性的暴力は身体的危害ではないのか。
- 法務省
- 拡大するように勧告されている性的暴力としては、例えば見たくもないわいせつビデオを見せる行為等を念頭に置いているようであり,そのような行為は現行法の暴力には含まれない。
- 古橋会長
- 女子差別撤廃委員会のコメントに、「近親姦を個別の犯罪として刑罰法令に含める」とあるが、これは、近親姦の刑罰を特に重くする趣旨ではないのか。近親姦について、特に刑罰を重くすることを考えていないのであれば、そのように記載すべきである。
- 法務省
- コメントの趣旨は必ずしもはっきりしないが、委員会の審査においては、配偶者間における強姦が処罰から除外されているのではないかという指摘があり、それが、このコメントの背景にあるのではないかと認識している。
- 内閣府
- 委員会からの話合いの流れからすると,勧告は,近親姦について重く処罰しろという趣旨ではないかと考えているが,御指摘を踏まえて,再度調整したい。
- 庄司会長代理
- 一般的に、非親族間の強姦罪と近親姦は性質が違い、近親姦は訴えにくいという特徴がある。したがって、女子差別撤廃委員会のコメントは、非親族間の強姦罪と近親姦を分けることにより、近親姦の犯罪性を意識させることを期待しているという趣旨ではないか。
- 山口委員
- 女性、子どもが被害者となる犯罪等について、刑罰法令に抵触しない事案についても対策を講じているという警察庁の積極的な姿勢は評価している。実態として、刑罰法令に抵触しない事案はどのくらいあるのか。
- 警察庁
- 平成14年中に相談、援助要求、保護要求、被害届等を受けた総数は14,140件である。検挙措置を採ったものもあるが、多くは、関係機関の教示や、配偶者暴力支援センターを紹介する等のアドバイスを行った事案である。
- 桜井委員
- 性暴力被害支援の専門看護職の養成が、被害者のケアとして今後重要になると考えている。婦人相談所の医療職ではなく、病院の看護職が、性暴力被害者支援の視点を持って対応することが必要である。
- 岡谷委員
- 看護職で、この分野のケアを専門的に行っている人はまだ少ない。精神科などの看護師は、そのような専門看護師を養成しているようだが、体制的に整備は進んでいない。
- 山口委員
- 従軍慰安婦問題について、政府は解決済みであるという認識だが、解決されていないという人もいる。その場合、選択議定書の個人通報制度を利用することも考えられるが、そのような観点からも、選択議定書の批准が必要ではないのか。
- 外務省
- 従軍慰安婦問題についての政府の対応は、法的には解決しているが、名誉と尊厳を傷つけた問題であると認識し、アジア女性基金により対応しており、何もしていないわけではない。選択議定書については、いわゆるB規約にも同様の選択議定書があり、実例等について研究を進めており、その結果を見極めてから、女子差別撤廃条約について、選択議定書を批准することが妥当かどうか研究していきたい。
- 神田委員
- 「家庭内の仕事の平等な分担の促進、女性の役割についての固定観念の是正」について、文部科学省は、「一層充実してまいりたい」とあるが、どのような具体案があるのか。そして、その評価はどのように考えているのか。
- 文部科学省
- 既に、家庭教育手帳、家庭教育ノートというものを配布しているが、この内容を更に充実させ、新家庭教育手帳として配布することを予定している。また、家庭や地域における男女共同参画の促進に関する学習をモデル事業として実施している。評価は、非常に定量化しにくく、例えば、家庭の役割についての意識調査の推移を見るような方法が考えられる。
- 古橋会長
- 評価法に基づいて、今後、男女共同参画に関する施策の政策評価について議論することが必要になってくると思うが、その中で検討する必要があるかもしれない。
- 岡谷委員
- 次世代育成支援推進法に基づいて、301人以上の事業所は、育児休業等について行動計画を提出する必要があるが、行動計画の内容について、評価や指導は行われるのか。
- 厚生労働省
- 新たに、次世代育成支援対策推進センターを指定し、個々の事業主に対して相談、支援を行いたいと考えている。
- 深尾委員
- 「理由のない男女の固定的な役割分担意識を是正し・・」という文章について、理由のある固定的性別役割分担は存在しないはずなので、表現として不適切ではないか。
- 古橋会長
- 最終コメントの周知について、内閣府は、審議の概要や最終コメントの内容について、報告する会を設けているが、報告会のフォローとして、NGOからの意見をもう一度聴く会を開催した方がよいのではないか。
- 内閣府
- 4年後の審査を念頭に置きつつ、中間年においてはそのような会の開催も検討したい。
- 古橋会長
- 議定書は、条約本文を補完し、明確化するものと理解しているが、選択議定書の効力は、政府への拘束力、あるいは加入への期待感ではどのような効果を持っているのか。
- 外務省
- 条約は、署名して、批准した国を拘束するが、選択議定書は、国がそれを選択して加入、批准することで条約と同じ効力を持つ。したがって、署名して批准すれば、その効果は条約と同じであると考えられる。
(以上)