(開催要領)
- 日時:平成13年10月19日(金)15:00~17:10
- 場所:内閣府3階特別会議室
(出席者)
- 会長
- 古橋 源六郎 (財)ソルト・サイエンス研究財団理事長
- 委員
- 鹿嶋 敬 日本経済新聞社編集委員兼論説委員
- 同
- 庄司 洋子 立教大学教授
- 同
- 野中 邦子 弁護士
- 同
- 広岡 守穂 中央大学教授
- 同
- 深尾 凱子 埼玉短期大学教授
- 同
- 松下 倶子 独立行政法人国立少年自然の家理事長、聖徳大学教授
- 同
- 山口 みつ子 (財)市川房枝記念会常務理事
(議事次第)
- 開会
- 行政相談制度について総務省からのヒアリング
- 人権擁護委員制度等について法務省からのヒアリング
- 閉会
(配布資料)
- 資料1
- 総務省説明資料 [PDF形式:606KB]
- 資料2
- 法務省説明資料 [PDF形式:606KB]
- 資料3
- 第5回苦情処理・監視専門調査会議事録
(概要)
○行政相談制度について総務省からのヒアリング
総務省より「行政相談制度の概要」について説明が行われ、これに対する質疑応答が行われた。
○人権擁護委員制度等について法務省からのヒアリング
法務省より「人権擁護委員制度等」について説明が行われ、これに対する質疑応答が行われた。
(1)総務省説明に対する質疑応答
- (山口委員)
- 相談の処理結果は掌握しているか。
- (総務省)
- 掌握している。相談の内容に理があり関係機関に通知・連絡した結果、改善されたかなど。改善されない場合であっても、申出人に対して説明している。
- (山口委員)
- 行政相談実績が横ばいとなっているが何故か。
- (総務省)
- 正確な分析はできていないが、相談制度が色々できており、窓口が増えたということが1つあると思う。従って、相談が色々な所へ分散しているということがあると思う。
- (山口委員)
- 女性行政相談委員の増加は10年間の推移で見るとわずかであり、頭打ちか。
- (総務省)
- 上がり方が高いかどうかという問題はあるが、数ポイントずつ確実に増えている。行政相談委員は基本的に市町村長の推薦を頂いて委嘱しており、我々が一方的に女性を何%にするのだという形ではやっていない。しかし、女性委員を増やすべく、市 町村への依頼の際は女性委員の推薦を願いしている。
- (山口委員)
- 「男女共同参画に関する施策」は基本計画に沿った柱で整理されていると思うが、国と地方公共団体で分けがたい項目がある場合はどうしているか。
- (総務省)
- 基本原則で言うと、説明資料に整理分類しているのは国の行政に関する相談である。地方公共団体がやるべき事務であれ ば、それは対象外事案になっている。
- (古橋会長)
- 男女共同参画に関する行政相談は以前ほとんどゼロと聞いたが、ここに54件ある。これについての意見があれば教えてほしい。
- (総務省)
- 従前はなかったのではなく、男女共同参画の施策がはっきりしてきたので、今年から統計システムを改め、そこに該当する半 年間の件数を挙げた。しかし、今挙がっている多くは要望であったり、意識改革が必要な問題である。これらの要望等をつなぐ 先がない。今後どういう形でつなぐかのルールづくりが必要である。今後、男女共同参画の問題を整理し男女共同参画局へ提 供していく。
- (鹿嶋委員)
- 行政相談委員は専門家ではなく経験から対応するとしているが、行政相談委員が国の制度として男女共同参画にかかわる 問題を受けることについて、迷惑がかかっているのではないか。そのあたりのことを伺いたい。
- (総務省)
- 男女共同参画に関する問題については、既存制度の活用ということで、これに対応するため、行政相談委員の研修をしてき たところであるが、重荷だという話は聞いたことがない。男女共同参画の問題も行政施策の1つにすぎない。ただ、なかなか扱 いにくいのは、行政施策が非常に見えにくいと言うか、形になってあらわれていないという部分がある。例えば具体の行政施策 について苦情があるのならいいが、今講じられていない行政施策を講じてほしいと言われた場合など、それを行政施策として受 け止めるべきかを判断するのは非常に難しい。
- (山口委員)
- 男女共同参画社会基本法の理念から考えて、これは新たな行政を見る視点である。男女共同参画の視点とは何かということ を行政ベースできちんと整理をしておく必要がある。
- (古橋会長)
- 男女共同参画の視点というのは、大体ほかの視点とダブっている。例えば育児と保育の問題がいろいろ出てきた時、男女共 同参画の視点もあるということで二重に分類をして統計をとっていただくことが必要なのではないか。
- (総務省)
- 今年の4月から、こうした形にしたが、これで十分かどうかという点も含めて、さらに検討していきたい。
- (深尾委員)
- 行政相談委員の年齢が60歳以上が過半数である。男性は定年退職をした方が多いと思うが、職業の分類をしたものはある か。
- (総務省)
- 地方公務員が多いが、自営業者やお坊さんなど千差万別である。
- (野中委員)
- 業務遂行に必要な専門的知識としての事例研修というのはどういう内容か。
- (総務省)
- まず、国の職務を処理する上で必要な手続などの初任者研修を行う。次に苦情の申し出に理があるかどうかを確かめるため の制度の勉強をする。また、この苦情の場合にはこういった手続を踏むというようなことなどを事例研究としてやっている。
- (松下委員)
- 市町村に行政相談委員の推薦を依頼した時、市町村は広報などで募集をするのか。
- (総務省)
- 広報で公募している例はない。市町村が、この地域でどなたにお願いするのか相談し、推薦してくる。
- (山口委員)
- 市町村に行政相談委員の推薦を依頼する時に、各都道府県の女性センターなどでリーダー養成を受けた人たちを人選してもらうよう依頼することを要望する。
- (総務省)
- 承りました。
- (庄司委員)
- 相談件数の少なさは、既存制度への期待が薄いことが原因と思われる。人数を増やすことだけでも、いろいろな面で活性化してくるのではないか。
- (古橋会長)
-
男女共同参画の視点の徹底は行政相談委員にはなかなか困難だから、別の制度をつくるという問題について、総務省はどう考えるか。行政相談委員とは別の男女共同参画の問題だけを担当する専門家がいていいというふうに考えるのか、それでは 困るから、行政相談委員の中でもう少し特定の人数を増やして、男女共同参画に関係する専門相談員を要所要所に置くという ことなのか、そういったことが、我々の頭の中にある問題である。
あくまでも行政相談委員というのは制度の問題なので、その制度の中で改善の余地があるか。行政相談委員の中で特別に 必要なところは、男女共同参画行政についての苦情というものを、特に受け付けてくれる人をつくるというのはどうか。また、別 の制度として、私どもの方は都道府県の女性センターなどと手を結び、そして国はこのラインで一括的に処理することが考えら れる。
それについて、総務省の方でどうお考えなのか伺いたいので、また今後とも御相談をさせていただきたい。
(2)法務省説明に対する質疑応答
- (古橋会長)
- 人権擁護委員が相談を受けて、その処理の状況がどうなったかといったデータはあるか。
- (法務省)
- 相談を受けると、人権相談票をつくることになっている。そこにどういう対応をとったかということを書くことになっている。
- (古橋会長)
- 課題別の相談件数の推移といったデータはあるか。
- (法務省)
- 相談については、非常に大括りの統計をとっていたが、使い勝手がよくないということもあって、救済の対象とする侵犯事件に合わせた統計のとり方に変えた。
- (鹿嶋委員)
- 子どもの人権相談に係る専門委員というのは何人ぐらいか。また、どういう基準で選んでいるのか。
- (法務省)
- 子どもの人権専門委員は、現在全国で568名おり、基準としては、子どもの人権問題に造詣が深いということでかなりの部分を教員のOBの方が占めている。そのほかに弁護士、お坊さんなどがいる。
- (山口委員)
- 人権擁護委員と行政相談委員の役割というのがオンブズマン制度にかかわる重要な役割を果たすだろうと期待している。行政相談委員と人権擁護委員との連携について伺いたい。
- (法務省)
- 1つの機関だけでは解決できない問題が非常に多くなっており、それぞれ関係する機関と緊密に連携・連絡をとるように法務局などに対して言っている。委員あるいは委員の団体である協議会、法務局の方でそういった各地のネットワークに加盟して、 その中でいろいろ連携をとっている実例はたくさんある。
- (山口委員)
- 基本法ではっきり人権擁護委員と行政相談委員の役割というのが書いてあるので、当然双方は連携し合わないとうまく機能しないと思うので、是非、工夫をしていただきたい。
- (古橋会長)
- 人権擁護委員は個別案件を通じて、この制度或いは運営の仕組みをこういうふうに直したらいいのではないかということは当 然出てくると思う。問題意識を持っていただき、それを行政相談委員の方へ上げていくということが必要なのではないか。
- (法務省)
- 人権擁護委員への相談案件が人権侵害の疑いがあり、しかも行政の制度自体が原因になっている場合は、一般的には事件として立件する。そして、職員と委員の両方で調査をして、その結果、この制度がおかしいということになれば、その場合は、行 政相談というルートを使わずに、法務局の方から、自治体等に直接申し入れをする。あるいは必要があれば中央レベルで各省 にお願いをするなどして、行政の運営なり制度なりを変えてもらうことになる。
- (松下委員)
- 子どもの人権の専門委員が設置されているが、子供達にカードを配って、困ったときに電話で連絡するようにといっても、顔が見えないと人に助けを求めてというのはなかなか大変だと思う。子供の人権専門委員という機関があることの啓発をどのように しているのか。
- (法務省)
- 子どもの人権専門委員が各学校を訪問して、そこで例えば1時間ぐらい子どもたちに人権の話をする。その際にカードを配って、いじめを始め、悩んでいることがあったら電話をするようにということで、PRをしている。そういう活動を行った後は電話の件 数がかなり増えるということがある。
- (古橋会長)
-
以下の問題点を指摘した。
- 人権擁護委員制度の改革の方向であるが、「論点項目」から推察をすると、今の人権擁護委員制度は独立性の点において 不十分である。人権擁護委員の果たすべき役割、救済手続への積極的な関与をもっとすべきであると考える。また、適任者確 保の方法については、選任方法が特に現在のやり方については問題があるとの意見がある。
- 人権擁護委員の研修は、もっと専門的なことをやるべきであり、活性化をもっとすべきである。
- 待遇については、独立にすれば、ボランティア的なものから、ある程度報酬をやるべきではないかとの考え方がある。
- 人権擁護委員協議会、都道府県は独立の話になっていくのか。市町村等との連携協力は独立になったときにどういうふう になっていくのか。
- (法務省)
-
今ご指摘の問題点は、まさに審議会の方でやっていただいており、これから結論を出すところである。問題点については両方向の御意見があり、必ずしも今の時点でどっちの方向に行くのかということを申し上げられる状況にない。
なお、これまで法務省の人権擁護機関のうち、職員で構成する部分はまさに政府の一部局であり、そういう意味ではオンブズ マンとしては光が当たらなかったのは当然かと思う。ただ、今度は人権委員会ができて、これが第三者機関的なものになる。そ うなると、この男女共同参画の関係で言われているオンブズマンの仕事を我々の関係で果たすのは、単に人権擁護委員だけ ではなくて、そもそも人権委員会自体がオンブズマン的な機能を果たしていく訳で、その中で人権擁護委員の方と事務局職員 がそれぞれ応分の仕事をしていくということなのだろうと理解をしている。 - (古橋会長)
- それがまさに国際的な慣行であり、我が国の場合にもそれが望ましいと思う。
(以上)
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