仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会

  1. 日時: 平成13年5月21日(月) 16:30~18:40
  2. 場所: 総理官邸大食堂
  3. 出席者
    樋口会長、島田会長代理、猪口委員、岩男委員、河野委員、佐々木委員、島田(祐)委員、田尻委員、福武委員、八代委員
  4. 議事
  5. 議事内容
    樋口会長
    それでは定刻になりましたので、ただいまから男女共同参画会議仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会第6回会合を開催いたします。皆様お忙しいところ、本当にありがとうございます。
     議事に先立ちまして、この度の小泉内閣の発足に伴い、副大臣と大臣政務官が交替されましたのでごあいさつをいただきたいと存じます。
     まず、坂井副大臣の後任として就任なさいました松下副大臣からごあいさつをちょうだいしたいと思います。
    松下副大臣
    松下忠洋でございます。本当に今日は御苦労様でございました。
     今、参議院で予算委員会の審議を朝9時からやっておりまして、総理も官房長官もそちらに出ております。私も午前中はそちらに出ていましたが、今こちらに回って抜けてまいりました。そういうことで総理、官房長官は6時ごろお見えになると聞いていますので、よろしくお願いをいたします。
     その国会の審議で今日、円さんの質問の中で男女共同参画社会をつくり上げていくためのいろいろな議論、やりとりがありました。総理も官房長官もきちんと力を入れてやるというやりとりがありましたから、この問題は確実に小泉内閣が取り組んでいく課題になっております。そういうことを受けて、私たちもしっかりやっていきたいと思っております。坂東局長とも相談して、中央にはこういう組織がしっかりできましたけれども、1府12省のそれぞれの省に何もそういうものができていない。調べたら、1つの省のどこかの課のどこかの一部でやっているという男女共同参画の取組ですから、それではせっかくいい議論をしても政策として展開していく実効性が保てないんじゃないか。そこに気がつきまして、副大臣会議で1府12省にそれぞれこの中央でできているのと同じようなものを省につくるべきだと提案する。大臣か副大臣を本部長にして、官房長かあるいは担当の局長を事務局長にして横並びで全府省を挙げて取り組む。
     そして、例えば農林水産省でしたら農村社会の6割は女性が農業をやっていますから大変大きな課題になっていますので、そういう人たちも入ってもらってこの問題に取り組んでいくということをすべきだという提案をして議論をすることになりました。官房長官は、大変いい提案なので是非やろうということになって、副大臣を本部長にして1府12省で同じような仕組みをつくっていこう。そして自分の役所の中はもちろん、その傘下にあるいろいろな団体、民間も含めて指導していくという仕組みをつくっていこう。予算要求の前の段階にはそういう会を開いて、自分の省の中でどういうふうに施策が展開されているのか。また、その後にはそれが実際どのような実効が挙がったのかを検証していくものも含めてやっていくようにしたいと思っていまして、官房長官の了解もいただきました。ですから、今度の木曜日に副大臣会議がありますので、そこで確認した後、各省にそういうものをつくってもらおうと思っております。既に農林水産省は17日に副大臣を本部長とした組織ができました。文部科学省もできておりますけれども、少しまだ弱いので強化しなければいけないと思っています。これにつきましてはよろしくお願い申し上げたいと思っております。以上でございます。
    樋口会長
    ありがとうございました。本当に内閣府に男女共同参画局ができて、そして男女共同参画会議が発足して、そういう意味では大変体制は強力になったと思って私ども喜んでおりましたけれども、確かに各省庁にそうしたフォーカルポイントができて進めていただきますと、本当に私どもも心強いものがございます。どうぞ是非よろしくお願いい申し上げます。
     それでは、西川政務官の後任として就任されました阪上大臣政務官からごあいさつをいただきます。
    阪上政務官
    皆さんこんにちは。この度の内閣大臣政務官に拝命いたしました阪上善秀と申します。歌劇のあります宝塚が出身でございまして、女性は美人が多いんですが、男はこんなのがそろっているところでございます。
     私には1人の妻と5人の子どもがおりまして、選挙の度に子どもを授かってまいりましたので、うちの家内のおなかが大きくなりますと、また選挙ですかとよく言われたものでございますが、仕事と子育ての両立というものを身に染みて体験してきたものの一人でございます。猪口先生が先だっての会合で小泉総理の所信表明をラジオで聞いて涙を流して感動した奥様のインタビューを聞いたということでございました。今まで内閣総理大臣の所信表明を聞いて涙を流すような方はいなかったのではないかと思います。今日も朝日新聞のトップに「待機児童ゼロ作戦」というような形で保育所空き待ち5万人解消、学童保育1万5千か所増というのが早速出ておりまして、やはり政治というものは具体的に数字を出して、具体的にスピーディーにやっていくものではないかと思っております。
     先ほど副大臣がおっしゃっておられましたけれども、政治というのはえてして富士山の雪の積もった頂だけをよく見て評価をされるのですが、私はやはり1合目から2合目、3合目と裾野から着実に進めていかなければならないのがこの大きな課題ではないかなと思っております。先生方のなお一層の御精練を心から期待をいたします。どうもありがとうございました。
    樋口会長
    ありがとうございました。両立支援に誠にふさわしい政務官のごあいさつをいただきましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
     本日の議題はお手元の議事次第にございますとおり、いよいよこの私どもの報告も中間報告を受けいろいろなところから反響がありつつ、また先ほどから御案内のように所信表明演説にお取り上げいただき、新聞もこの問題に大変注目しており、ちょっと先走られたかなと思うこともありますけれども、話題になるだけ結構なことではないかと思います。具体的な方策について皆様の御協力で、今ちょうど8合目まできたところだと思います。あと2合目のがんばりをどうぞ皆様よろしくお願い申し上げます。
     今日は前回の議論を踏まえて、私と会長代理で作成いたしました最終報告の私案を御説明申し上げます。引き続きまして、前回の専門調査会で議論になりました地方や農村などでの仕事と子育て両立支援策について関係省庁及び委員からの御説明をお願いした上で、これらを踏まえて最終報告に向けた検討をお願いしたいと思っております。農林水産省に来ていただいておりますし、委員からも何人かお話をいただきます。
     それでは、議事に入ることにいたします。今お配り申し上げましたペーパーは、私と島田会長代理とで御相談の上、作成いたしました本専門調査会の最終報告のたたき台でございますので、事務局から説明していただきます。では、坂東局長よろしくお願いします。
    坂東局長
    それでは、御手元の資料につきまして御説明いたします。
     後から配られた資料の前に資料1がございますが、呼びかけは、なかなか各界をアピールをする名文ではないかなと思っておりますので中間報告のときと同じものです。その次に、2の「仕事と子育ての両立支援策に関する提言」、これが一番エッセンスで今日お手元に配ったものがここに相当するかと思います。それから第3章といたしまして「専門調査会における議論の経過」、合わせて参考資料を付け、各委員からのメッセージを付けるという、前回御確認いただいたものと同一でございますが、この2部の「仕事と子育ての両立支援策に関する提言」について今、会長、会長代理私案を説明させていただきます。
     まず一番トップでございますが、当専門調査会の検討結果として、以下の施策を基本的には平成13、14年度に開始し、遅くとも16年度までに実施するよう提言する。予算措置が伴うものについてはどうしても来年度開始ということになりますが、例えば指標の開発ですとか、規制緩和についての検討ですとか、13年度からすぐに着手できるものもございますので、基本的には13、14年度に開始し、遅くとも16年度までに実施するというふうに達成期限を明確に打ち出しております。これらの事業については必要な予算を確保し、緊急に実施する。それにつきましては今、御存じのような財政状況ですので、我々事務方から積み上げてというよりは、かなりの政治的な御判断があり得るべきではないかなと思っておりますが、必要な予算を何とか確保していただきたいと考えております。
     それで箱の中のまず第1の柱、「職場が変われば両立できる」。これにつきましては、中間報告のところで出しました柱立てと同様でございます。まずこれに対して、既に制度的には実現しているんだけれども、例えば父親の産休などは取る人がいない。なぜ普及していないんだとか、いろいろな御意見、後から説明等がありましたので、その枠の下に具体的に何をするかということについて新たに補足するような形で説明をしております。
     それから、黒丸の上3つは既に中間報告のところでも出しておりましたが、4つ目の丸は新たに労働契約上の形式上、期間雇用者であっても実質上、期間の定めなく雇用されているものについては育児休業の対象となることを明確化する。もう既にそういう制度はあるということは厚生労働省の方からの資料で御説明がございましたが、やはりまだ明確に認識されていないのではないかということで、こういう形で得出しし、新たに付け加えております。
     それから具体的に何をやるのか、その枠外の部分ですが、まず「各企業の取組に対する支援」といたしまして最初のポツは、事業主がフレックスや短時間勤務等を導入できるよう積極的に支援を行う。それについてのいろいろな御意見はまた改めてお聞きしたいと思います。先に説明をいたします。
     2つ目は、待遇面や仕事の内容は正社員と同じで勤務形態が短い、短時間正社員の制度導入に努める。これについてはオランダモデルとか、いろいろな国でこういう短時間の労働者にきちんとした社会保障、フリンジベネフィットの方も正社員と格差をつけないでやっていこうということが行われているのに比べますと、日本の場合は正社員と非正規社員との待遇格差が余りにも大きいのではないかということが議論されておりますので、短時間正社員の制度の導入というのは非常にプラスなのではないか。5月17日、先週の木曜日、産経新聞を御覧になったかと思いますが、厚生労働省の方でそうした制度を検討するということもあって、これは書かせていただけるのではないかと思います。
     3つ目は、法定福利費の考え方を見直し、企業の両立支援への取組にかかる経費、例えば企業内保育所、ベビーシッター派遣業等について損金計上を認める。そういった企業の取組に対する支援。
     2つ目が「育児休業制度と出産休暇の十分な活用」ということで、先ほどもちょっとコメントいたしましたが、育児休業制度の広報を一層積極的に行い、男性の育児休暇取得を奨励する。また、配偶者の出産時における父親の出産休暇について、育児休暇の制度を活用して取得が可能であることを広くPRする。まだ事業主も働いていらっしゃる方々も、こういう制度を利用できるんだということを御存じないのではないかということで、一応広報についてもふれております。
     「企業の評価・研修」につきましては、この3番目のポツですが、両立指標の開発に着手し、できるだけ早く結果を公表する。それと、両立支援に積極的な企業に対して総理大臣表彰を実施する。それと、各企業のトップあるいは幹部に対して両立支援の風土を育てるための事業を実施する。この事業の具体的なものとしては、セミナーなのか、こういうトップの方たちの会議といったようなものをつくるのか、いろいろな方策があり得ると思いますが、先生方の御意見の中でもやはり企業の風土を変えるには上の方から変えていかなければいけないという御意見が多かったと思いますので、これは間接的なようではありますが、重要な施策ではないかと思います。
     4つ目は、現実に大変増えております事実上期間の定めなく雇用されている者が育児休業を取得しやすくなるような指針を策定する。この事実上というのが問題でして、期間の定めがある、例えば3か月とか6か月とかで雇われている人たちは育児休業が取得できないんですが、現実には繰り返し繰り返しで事実上は期間の定めなく雇用されている方たちも、私はパートだから、私は非正規だから取れないと思っている、あるいは取らせなくてもいいと思っている事業者の方が多いので、そういった方たちが取得しやすくなるような指針を策定するということです。
     次のページにまいりまして2つ目の柱、「待機児童ゼロ作戦」、ここでは最小コストで最良・最大のサービスをということを中間報告から付け加えております。中の3つのポツは同一ですけれども、この付け加えた部分については皆様すぐ御理解いただけると思いますが、大変財政が厳しい中で今までの予算の単価、策定をそのまま伸ばしたような形で何万人というのをふくらませるという手法はもう取れないであろう。一番効果的な最大な効果を生むにはどういう工夫があり得るのかということで具体的な目標、施策を達成するように考えようということです。
     まず「待機児童ゼロ作戦」の箱の中で、これについては本当に総理からもいろいろなところで言及していただいておりますので是非何とか実現させたいと思っておりますが、保育所、保育ママ、自治体におけるさまざまな単独施策等を活用し、潜在を含めた待機児童を解消するため、待機児童の多い地域を中心に平成14年度中に5万人受け入れ児童数を増やし、平成16年度までに10万人の受け入れ児童数の増大を目指す。施設の整備に当たっては民間を極力活用し、最小コストで最大の受け入れの実現を図るという数字と達成時期を明らかにして、ここまでまとめていただいております。
     2つ目は「待機児童の解消を促進する措置」で、基準を満たした施設の設置認可が迅速に行えるよう、引き続き地方公共団体に対して指導を行う。強力にやらなければなかなか設置許可が迅速に出てこないというお話でしたので、それを明確にしております。
     それから、公設民営方式による保育所の実施を促進するため、公有財産の利用並びに会計処理の柔軟化等の環境整備を進めるとともに、待機児童のいる市町村に公設民営化移行計画の策定を義務づける。ここの手法につきましては、今日の福武委員のお話等々も合わせていろいろな御意見があり得るのではないかと思っております。
     それから、質の高い認可外保育施設の認可保育所への移行を促進する。
     その次は、学校の空き教室などでの保育のために利用可能な公的施設の利用を促進する。定員の弾力化、調理室の必置規制の見直しなど、規制緩和の一層の推進を図る。
     保育所の利用については、利用者の適正な負担を求める等々が付け加わっております。
     次のページ、3のところは「多様で良質な保育サービスを」で、中間報告と柱立ては変わっておりません。
     その箱の外側の「具体的な目標・施策」の方にいきまして「1.保育所等のサービスの多様化」は、病児、病後児保育を推進するため、地域における関係者間の協議を促進する。
     現在8%の公立保育所における延長保育について私立並みの実施を目指し、一時保育、休日保育と多様なサービスの実施の倍増、維持を目指す。また必要に応じて民間とも協力した実施を促進する。
     これにつきましては、病児、病後児保育についても何とか数字が出せないか。診療所とか病院などを活用した目標数値を出せないかといろいろお話し合いをしたんですが、どの程度の協力が得られるか不明であるということで、残念ながら今のところ数字は原案では書き込んでございませんが、この席でもいろいろまた御発言等があり得るべきものと考えております。
     それから現在、先日の福武委員からの主張だったと思いますが、公立は延長保育をやっているのが8%、私立56%、この数字については厚生労働省の方ではほかの調査もあるということではありますけれども、公立と私立では非常に格差があるので、せめて公立が私立並みの実施を目指す。
     それから一時保育、休日保育、これについては現在どの程度のサービスが行われているか、現在数を把握しないで倍増以上を目指すとかなり無責任な書き方をしておりますけれども、数字は把握をしておりませんが画期的に増やすと、ここら辺につきましては表現はいろいろあり得るかと思っております。
     2つ目は「地域の実情に応じた取組の推進」。駅前や商店街等における各種保育サービスや、郊外の保育所への送迎サービスの提供等、地域の実情に応じた保育を発展させるため必要な助成を行い、地域に即した取組を促進するため、特に重点地区でのモデル事業を支援する。これにつきましては、もう既に厚生労働省の方で駅前保育所のサービス等々のメニューを持っていらっしゃいますし、現に埼玉県辺りでもやっておりましたので、モデル事業ではなくもう一般に普及する段階だというような御意見もいただいております。
     3つ目は「保育に関する情報の提供」。保育に関する各自治体の好事例について広く情報提供をする。これは既に何度も話し合いに出ていたことです。
     i-子育てネット等を活用し、提供される保育サービスに関する内容、第三者評価や各種子育て支援情報をユーザーの立場に立った、わかりやすい形で情報提供をする。この第三者評価につきましては実現は難しいかなと思っておりましたが、5月17日の日経新聞で福祉施設、保育所だけでなく介護施設等も含めて第三者が評価をするということを厚生労働省の方で御検討という情報が出ておりましたので、ここにも盛り込ませていただけるのではないかと思います。中間報告のときは、この情報開示につきましては難しいのではないかというふうな御意見でしたが、何とか御協力をいただけるようです。
     次のページにまいりまして、「必要な地域すべてに放課後児童対策を」。これも箱の中は変わりませんが、「具体的目標・施策」といたしましては、特にこれはゼロ作戦と並んでもう一つの目玉ということですが、放課後児童クラブや地域のすべての児童に居場所を確保する事業などの放課後児童の受け入れ体制を大都市周辺部を中心に整備し、平成16年度までに全国で1万5千か所とする。受け入れ体制の整備に当たっては公的施設を活用するとともに民間主体を極力活用し、最小コストでの最大のサービスの実現を図る。一番最初の部分はここでもまた繰り返されております。
     市町村は民間主体やコンペ方式などを活用し、子どもの発育に役立つ内容とプログラムを提案してもらう。民間主体の参加によって地域の人材を活用し、高齢者等の雇用も促進する。市町村は民間のプログラムの募集と審査を行い、適切な実施を確保する。公設民営方式による柔軟な運営を推進する。学校の空き教室など、保育のために利用可能な施設の利用を促進する。保育サービスの利用者に適正な負担を求める。
     2つ目が「情報の提供」で、施設に関する必要な情報のユーザーの立場に立った、わかりやすい形での提供を促進する。取り分けこうしたいろいろな主体がということになりますと、この情報提供は不可欠かと思われます。
     次のページにまいりまして「地域こぞって子育てを」ということで、箱の中は中間報告と同様ですが、「具体的目標・施策」としては家族支援サービスの充実ということでファミリーサポートセンターの整備を進める。2つ目、良質なベビーシッター探しを支援する。3つ目、保育ママについてのバックアップ体制を確立しつつ推進する。親に対する子育て支援サービス、子育て学習や、相談体制の整備などを充実させる。また、地域の多様な人材を子育て支援に活用する仕組みづくりを進める。希望のあるすべての幼稚園でも預かり保育を実施できるよう推進をする。
     2つ目が「子育て体験機会の拡大」ということで、保育所や放課後保育の現場体験を地域における体験活動の大きな柱として位置付ける。
     3つ目が「まちづくりに関するコンペの実施」ということで、仕事と子育ての両立のためのまちづくりについてコンペを行い、優秀作品に対して内閣総理大臣が表彰する。
     以上でございます。数値目標が明確に出せたものと不十分なものとございますが、是非、また今日、次回の御審議を通じてインパクトのある象徴的で効果的ないい報告書になればと思っております。どうもありがとうございます。
    樋口会長
    どうもありがとうございました。これは皆様のこの前の御意見などを取り入れながら島田会長代理と、やはり坂東局長を始め事務方がいろいろな府省と交渉しながらまとめ上げたのがこの部分でございますけれども、また今日これをたたき台に皆様方から御意見をいただきたいと思います。
     今日は議題は2つございまして、やはり関係省庁からの御意見を伺うということを先に済ませましてから今のたたき台に対する御意見をいただきたいと思います。各委員からも御意見をいただきたいと思います。
     では、最初にヒアリングということにいたしまして、地方における仕事と子育ての両立支援策などについて、まず農林水産省から「農山漁村・農林水産業における仕事と子育ての現状について」の御説明をいただきたいと思います。恐れ入りますが、15分以内でよろしくお願いいたします。
    農林水産省
    この度は、仕事と子育ての両立支援策に関します専門調査会にこのように御説明する機会をいただきまして本当にありがとうございます。私、農林水産省女性就農課長の斉藤でございます。よろしくお願いいたします。
     お手元に2種類資料を用意いたしました。1つはデータがたくさん入っている資料でございます。もう一つが、カラーのパンフレットでございます。最初に、簡単にデータを追いかけながら現状を御紹介させていただきます。
     初めに、女性が農業就業人口でどのくらいを占めているかということでありますが、先ほど副大臣の方からもお話がありましたが、この表の上から2行目ですけれども、約5割以上女性が農業の中で働いている。55.8%という数字が最新の農林業センサスの数字になっております。その下の方でございますが、農林水産業で林業水産の方はどうでしょうかということですが、農業は5割以上ですけれども林業が14.2%、漁業が16.9%というような数字になってございます。
     続きまして2ページです。就業人口では5割以上を占めているわけですけれども、それでは社会参画の状況はどうでしょうかということです。例えば農業委員、これは地域の農業の方向を提言したり、あるいは農地の権利移動の仕事をしている方々ですけれども、まだまだ女性の割合は少ない1.64%ということになっておりますが、人数で見ますと単年度で倍増しております。各地域で女性の農業委員が誕生してきております。
     また農協の方ですけれども、昨年の10月に第22回のJA大会の中で正組合員が今13.7%ですが、これを倍の25%にしようとか、農協の役員も今、合併を進めておりますが、合併農協につきましては理事を2人以上出しましょうというような目標をきちんと掲げて取り組み始めたところでございます。漁協の方は若干少ない、ここにあるような数字になっております。
     続きまして3ページです。そういった仕事でも頑張っている農山漁村の女性ですけれども、それでは家庭の中での男女の役割分担はどうなっているかということを総理府の実施いたしました世論調査で見てみますと、まず子育ての関係ですが、農林漁業、上から二番目にございますが、子育ては妻が行うものだというような数字がほかの職業に比べて最も高くなっておりますし、しかも妻が行うという中身が、妻が主、夫が従という数字もございますけれども、専ら妻だという数字が28.6%ということで、ほかの職業に比べて多くなっております。
     その下の、それでは子育て以外の家事というようなことで、炊事、洗濯、掃除など家事全般、これは育児、介護を含んでおりませんが、これもやはり妻が行うというのが圧倒的な高さの数字になっておりまして、専ら妻というのも54.4%という極めて大きい数字になっておりまして、農山漁村の女性は仕事も家事も育児もというような実態がこれから浮かび上がっております。
     データ的にはその次でございますが、資料の一番下の欄を御覧いただきますと、農水省で初めて実施しました農村における男女共同参画に関する意識調査でございます。面白いところは、パートナーの意識の違いがわかるということで、自営農業に専ら150日も従事している65歳未満の女性とその配偶者、夫の両方をセットで聞いたということで、パートナーの意識の違いが表れているということでございます。
     最初の5の<1>を御覧いただきますと、女性の農業経営の参画と子育ての両立のために必要なことは何でしょうかというのを聞きますと、それほど差はございませんが、母性を保護するための知識、その次の経営参画、やはり経営していく上で女性の能力開発向上が必要だと。と申しますのは、農山漁村の女性というのは大部分が、たまたま好きになった方が農業をやって農村に住んでいる方だったということで、やはりそういった家庭に入ってそれで自分も農業をやってみようかということで勉強を始める。そういった勉強を始めようとする20代後半から30代にかけてが、やはり出産育児期にちょうどがっちり重なるという時期であります。したがって、その農業経営と子育ての両立というところでは母性の保護と経営参画に向けての研修というようなことが高い数字になっております。また、合わせまして農業ヘルパーとか近くに同じ年ごろの子どもがいないということで、悩みを相談できる体制などが必要だということが出てきております。
     その下に、男女共同参画社会を形成する上で女性農業者に対して必要な支援、施策はどんなものであるかということを聞きますと、男性、女性の意識の違いがかなり出ていまして、左側の濃く塗りつぶした方が女性の声でございますが、この一番端にやはり配偶者や家族による家事、育児の分担というのを5割近い女性の方が挙げております。それで、男性の方も自覚していただいておりまして、4割の方がそういうことだと。また、今度は男性の方が多いわけですけれども、女性がやはり農業技術などをしっかり勉強するためのセミナーなどをやってほしいというのが出ております。
     また少し飛びますが、真ん中から少し右に男女共同参画に関する普及・啓蒙の推進というのが出ていまして、これは男性の方々は21.7%で女性よりも高い数字で、農山漁村の男性もやはりこういったことが大事なんだということに気が付き始めてはいるというようなデータが出ております。
     最後の5ページになりますけれども、今こういったことを受けまして、農林水産省として女性農業者の育児と農業経営との両立への支援ということで、このような新規事業を平成13年度から立ち上げております。その中身が地域段階、全国段階に分かれております。地域段階では、例えば出産・育児期の女性が経営に参画するための農業の技術なり経営の勉強ができます。例えば、妊娠中に大きなおなかをして牛の搾乳をしたり、あるいは機械の振動のあるトラクターなどに乗っているという実態がございます。そういった意味で地域段階では市町村とか農協が事業実施主体になりまして、母性保護のためのセミナーとか、あるいは妊娠中、産後の働き方、そういったものの研修も必要ではないかということで、こういった内容の研修会が開催できるような経費を予算で取っているところでございます。
     また、全国段階でやはり経営作目なり地域、都市近郊、中山間、もっと山村の奥深いところでは随分違うということで、その辺の情報を交換するための全国の女性農業者子育て会議というようなものも開催する中で、女性の仕事と育児の両立のさまざまな情報を交換し、また快適に働き子育てができるような方向に向けてのマニュアルもつくっていこうというようなことにしているところでございます。
     では、こういったデータに基づきまして昨年検討を開始し、まとめられました少子化対策推進ビジョンについて御紹介させていただきたいと思います。これは一番後ろにございますように、昨年9月に私的懇談会を立ち上げまして、若い女性農業者、青年農業者、幅広い学識経験者などにお願いいたしまして懇談会を開催し、その間パブリックコメントも募集しております。この結果を踏まえまして今年の3月19日でございますが、各県知事あてあるいは団体あてにこういったことを決めましたので各県あるいは団体も推進方よろしくお願いしますという趣旨の公文を施行しております。
     それでは、中身を御紹介させていただきます。まず、「みんなで少子化について考え、みんなで一緒に取り組みましょう」ということですけれども、少子化と言うと農村は子どもがたくさんいるのではないかというイメージがあったりしまして、余り少子化というのは関係ないんじゃないかというような印象を持たれておりますが、実際に数字を見ていただきますと最初のグラフでございますが、32年ごろの数字では農林漁業を職業とする夫婦の子どもの数は5.4 人ということで大体5人以上いた。ところが、今ほかの職業に比べれば若干高い2.64人ということで、ホワイトカラーが2.17人、ブルーカラーが2.26人ということで若干多くはなっておりますが、極端な減少をしております。
     その下は、上の方は夫婦当たりの子どもの数ですが、農村で深刻なのは、若い夫婦、カップルが非常に少ないということを反映しまして地域、例えば面積当たりに占める子どもの数というのを考えてみると非常に少なくなっている。それをおわかりいただけるデータということで、赤く濃い線の方が農家における14歳以下の人口の比率、上が総人口ということで、昭和40年くらいには農家で14歳以下、中学校、小学校の子ども、それ以下が大体3割はいたのが、今は12.8%ということになっております。これは言い換えれば面積当たり、地域当たりにめったに子ども、赤ちゃんの泣き声がしないというような現実を起こしているということになります。
     次に「男性農業者の未婚率が高いって本当?」というところを見ていただきますと、20代の中で見ますとサービス業なりも非常に高い数字になっておりますが、30代以降ほかの職業に比べますと男性農業者の未婚者比率が高くなっております。こういったことを踏まえまして、パブリックコメントなどでいただいた答えを若干御紹介させていただきますと、農業は環境には恵まれているけれども教育関係の整備が不十分とか、保育所はありますけれども4時ぐらいまでであったり、保育所が遠いので農作業をやめて迎えに行かないといけないというような実態がある。あとは農村での女性の地位は低いが、女性は農作業、家事全般をこなす。夫婦で家事を分担している家庭は少ないのではないか。だから女性の負担が多くて、農家に嫁ごうとする人が少ないのは当然だ。これは女性の公務員の声ですけれども、代表されているのではないかということで載せております。
     その下は30代の女性の声ですけれども、実際に今、農家が自信を持って職場である畑に子どもを連れて来ないということが子どもの農家離れの原因になっているのではないか。農業は非常にやりがいがあって面白いんだよというのを親も自信を持って語っていないんじゃないかというようなことがあります。また、子どもなりの役割を持たせて小さいうちから農業という生き物を相手にする職業の面白さを伝えることが重要ではないか。
     あとは、後継者を育てたいと思うならばいつまでも年齢の上の方が居座らないで経営を移譲すること。息子夫婦も独立した一家族として生活することが望ましいというか、多世代家族で住んでおりますのでなかなか若夫婦、親夫婦というものの関係が離れ難い。若い方がいつになっても独立しにくいという現状が表れております。
     現状は今、見ていただいたような出生率の低下、若い人が農業、農村に残らないで都会に行ってしまう。翻って高齢化がどんどん進んでいるというような実態が浮かび上がってきまして、これを3つの理念で考え直そうということで提言をしたところでございます。子育てのゆとりと働きがいのある農林水産業、住みやすく子育てしやすい農山漁村、農山漁村の持つすばらしい自然を都市の子どもも含めて子どもの健やかな成長に活用していこうというようなことでございますが、その方向としましてはまず一番上を御覧いただきますと、子育てのゆとり、働く喜びというのは、例えば雇用されている女性から見て今日の提言にもございますが、やはり職場が変われば変わるというようなことで、農林水産業においても職場優先を見直して仕事と家庭を区別していきましょうという観点から掲げたところでございます。例えば、作業条件を改善、職場と家庭の分離というのがありますが、きちんと何時から何時が働く時間で原則として土日はお休みだとか、あるいは農薬の付いた作業着で家庭の中に入ってこないで家庭着と作業着を分けるというようなこととか、あるいは子どもたちに農業の楽しさを伝えるとかというようなことで進めていきたいと思っております。
     特にポイントとしましては真ん中の住みやすく子育てしやすいということで、固定的な性別役割分担を見直して、女性が一生懸命生き生きと活躍できる農業農村をつくっていくということが先ほどの配偶者対策にもつながってくると考えております。まずその具体的なところでは仕事と出産、育児の両立実現というところで、今回の子育て支援サービスなり子育て相談体制、そういった母体保護に関する情報、この辺を一生懸命進めていって地域こぞっていろいろな方々が農山漁村でも子育てに参画できるような、そういった体制をつくっていきたいというふうに考えているところでございます。
     簡単でございますが、以上で御紹介させていただきます。どうもありがとうございました。
    樋口会長
    どうもありがとうございました。農村の子育ての現状というのは非常によくわかりました。御質問もあるかと思いますけれども、時間も少し押しておりますので、まず御説明を伺いましてから全体討論のときに、是非私どもの報告が農山漁村にもよい影響を及ぼすような、そんな形にしていきたいと思います。
     続きまして、福武委員からお話をお伺いしたいと思います。
    福武委員
    今日のこのイメージに関しては大変いいイメージのように思ったんですが、今日お話させていただきますのはこれを具体的に実施していくための幾つかの法とか制度とか、その辺の部分まで入り込んでいっていただきたいなと。その辺のことについても、どちらかというとこの報告ができた後の対応の仕方という部分になりますが、ちょっとお話させていただきます。そのことによって、この答申がより現実化するのではないかというような視点でお話をさせていただければと思います。
    樋口会長
    福武委員の御説明の資料は資料3でございますね。
    福武委員
    はい、資料3です。「待機児童ゼロ作戦 多様な主体の保育園を増すための具体案」ということで、今日もお話の中で最小コストで最良最大のサービスというキャッチコピーが入っておりましたが、それを実現するために民間企業の参入等も大変重要だというようなお話もありました。
     それで、このA3の資料を御覧いただきたいんですが、待機児童ゼロ作戦、公設民営認可園や認可外の自治体独自の制度園、これはまた後ほど説明しますが、ここを中心に多様な主体の保育園を増すための具体案ということでお話ししたいと思います。小さな字で書いておりますが、待機児童が3万3千人 、あるいは認可外の利用者が22万7千人という数字は前々回、第4回のときにも御説明させていただきました。このような待機児童ゼロ作戦という中で民間企業参入が進まない根拠について私ども調べてまいりましたので御説明させていただきたいと思います。
     まず1点は、投資と回収の展望が見えない現状があるということであります。御案内のように民間企業というのは利益を上げ、配当とか役員賞与とか、役員への報酬であるとか、当然利益を上げることによってこうしたコストを賄っております。
     そのことが商法にも保証されているのが民間企業であります。ですから、民間企業の参入ということになりますと、ここにも書いてありますように、利益と言う概念が認められるはずであります。上の段で「運営費の利益処分が自由化されれば民間企業もどんどん出てきます」と書いているのは、会計処理の柔軟化の促進をしていただきたいということ、即ち先ほど申し上げました利益及び配当、役員報酬、納税等を自由化していただきたいということです。それで、これを阻害しているものを調べてみました。これは添付資料にもございますが、認可保育所への企業参入を促進する対策として児童福祉法50条の6の2を改正していただきたい。それから、厚生省の児童家庭局長通知の第299号というのがございますが、それを撤廃していただきたいと思います。
     現在企業は認可保育所に参入してもよい。しかし、利益を出すなという通知があるわけです。ここは書いておりますように、厚生省もいろいろ御苦心して検討していただきまして、平成10年3月31日に橋本内閣で閣議決定された規制緩和の推進3か年計画に基づいていろいろ検討いただきました。それで、平成12年3月30日に児童家庭局長通知の295 条というのが保育所の設置認可についてという通達で民間企業が認可保育所で事業をすることを解禁したわけですね。これは私たちにとってみれば大変画期的なことだと思ったんですが、しかし、同じ日に出された局長通知第299 条において、それをしちゃだめだということを書いているんです。これはお手元の添附資料の次のページですか、待機児童ゼロ作戦関連法案通知書の中の2番の一番下の括弧のところです。運営費の支出を認めていない経費、配当、役員報酬等々について、これへの支出が行われている場合、この改善計画を撤収する等により速やかに当該事由の解消が図られるまで強力に指導するということですから非常に矛盾するわけですね。こういった通知というものが、民間企業の促進というものを言っておきながら我々の進出を阻害しているということはよくあります。
     また、その2段目の待機児童解消に向けた緊急度の高い施策の欄の下に、中長期的には今年度から導入の検討が始まった、利用者と保育園の直接契約に基づく利用者補助方式、保育の利用券方式等がもう一つの考え方として私はあると思うんです。事業者の観点からは業者補助方式で、現在東京都認証方式のように保育料に裁量を与える直接契約がいいのではないかなといったことです。この辺については、ここに書いてある以外にも児童福祉法の改正も必要だというようなこともあります。
     それから次に、初期投資が抑制できれば民間企業もどんどん進出をさせていただきますということについてちょっとお話ししたいと思います。1つは賃貸方式への補助を創出していただきたい。企業、NPOと社会福祉法人とが同等の競争条件で切磋琢磨できる改革をすべきではないか。イコールフットというようなことが必須条件だと。ここでお示ししたのは、賃借料等の補助を国庫から支給する制度を創設できないか。御案内のように、社会福祉法人は施設整備の4分の3が公的資金であります。賃貸方式というのは企業、NPO限定でやるという形にしていただいたらどうでしょうか。そのために賃借料の家賃相当分の補助金は企業、NPOに限定して、認可または認証等の自治体独自の制度、優秀な認可外園に対する自治体独自資金による補助、それに加算させる施策を講ずる等です。
     それから、今日もお話がありました公設民営の賃貸保育園にも、あるいは民設民営の賃貸保育園にも同等の家賃補助も出すべきではないか。上記いずれの場合でも自治体独自の認証方式においても家賃補助を出してはどうだろうか。これは保育園の設置主体いかんを問わないということです。
     それからもう一つは、是非各省を挙げてということは冒頭に副大臣からもお話がありましたので申し上げます。国土交通省にも企業向けの補助制度を待機児童ゼロ作戦に合わせて再構築していただけないものだろうか。例としては、集合住宅とか駅テナントの容積率の緩和で保育所を設置しやすくする。これは、例えば容積率が10階建てまでだと。しかし、あとワンフロア、ツーフロア出すことによって保育施設とか介護の施設なら特別に作ることができるという、そういう意味での容積率の割増しということです。そんなことを検討していったらどうかということです。
     ただ、この問題は賃貸方式の補助制度の創出ということで、下にちょっと小さな字で地方自治法の改正問題というのも書きました。制度と整合性をとるために、今後公設民営をより普遍的なものにするためには、その障害となる行政財産の管理と処分とか、公の施設の設置とか、管理及び廃止に関する規制を改正する必要があると思います。これも添附資料の2枚目ですか、地方自治法238 条の4の<3>とか、地方自治法244 条の方でいろいろ規定、縛りがあります。行政財産の管理処分の問題とか、特に地方自治法244 条の2に関しては公の施設の設置管理及び廃止というのがありますが、これは今回三鷹の例で旧厚生省と旧自治省の解釈を弾力化していただいて3月30日に保育課長通知児保第10号が出て、実現できたというところであります。そのような解釈の弾力化ということもできるのであればしていただきたいし、更に法の改正もすることによって本気で待機児童ゼロ作戦を進めていただきたいと思うわけです。
     もう一つは今、申し上げました企業の委託方式、いわゆる三鷹方式と、それから施設整備を公がして、民が設置する民設民営の奨励推進などもありました。これは自治体が運営主体、設置主体の企業あるいはNPOが手を挙げるのをどんどん推奨して妨げないようにしていただきたいなと思うんです。そういう制度でないと、ここは我々も必ずしも積極的でないなと。まず公立園の企業運営委託方式を推奨していただく。これは廃校になった幼稚園とか既存の遊休施設、こういったものを改修して認可保育園を可及的速やかに設置をしていく。あるいは公募方式、いわゆるプロポーザル方式ですけれども、これを導入して民間企業、NPO等々参加をして、そこでいろいろ競わせるというようなことも必要だと思います。
     次に公の土地、建物を無償で企業に貸与する、あるいは低廉な価格で貸与させるPFIの位置方式の方法もとれないかということ。こういう企画は、自治体においても縦割り行政が廃止されて、例えば教育委員会あるいは主管部門のところが一体化して推進していく。これは先日もこの会からいただいた資料で、文部科学省もそういう通達はきっちりできているけれども、しかし現実的にはそれがなかなか推進をしていない。補助金等に係る予算執行の適正化法の縛りがあるので、民間企業とかNPOがそういった公の施設を積極的に使えるということもほとんどできていない。そこの阻害要因も是非取っていただきたいなと思ったんです。
     それから一番右の欄を御説明させていただきますと、自治体に対するインセンティブということで書きました。先ほどもお話がありました延長保育とか、そういった部分に関して民間企業も、あるいはNPO等もどんどん出させていただきたい。
     それからもう一点は、認可園は自治体と現実的には利用者が契約をするということで、自治体の財政負担が大きいわけですけれども、そういった自治体主体の場合に自治体の財政負担を軽減する方法は何かないだろうかということで考えたんですが、現実にこれは以前も申し上げたと思うんですが、保育関連に占める費用が自治体の一般会計の10%を超えているところが東京の場合49のうち34自治体もある。これは自治体にとってみてもコストが大変かかっているということです。それで今、財政が厳しい折、自治体としてもなかなかおいそれとはいかないという状況にあります。そういった面でも、公設民営というようなことをどんどん進めていただきたいと思います。
     それから、自治体独自方式の制度園の施設整備について自治体への国庫補助を実施してもらいたい。これは東京都の認証制度とか横浜の保育室というような制度がありまして、各自治体が新たな基準を設けていらっしゃる。これはどういうことかと言いますと、今、認可園と認可外という2つの区分けがあります。認可園というのは、基本的には国が認可をしているということですね。だから国庫も出すことができる。しかし、認可外の保育園に行っている園児が今約23万いるというお話がありました。その認可外に行っている待機の児童も相当カウントされる部分があると思うんですが、それよりも各自治体が認証とか、そういった独自の制度の園を新たにつくることによって、認可外を認可との中間的な園にすることもできるはずなんです。東京、横浜のように民間企業とか、NPO等にそういったいろいろな補助ができるという制度をすべての自治体につくるというようなことも是非国が指導して進めていただきたいと思いました。例えば、自治体独自の制度園でも待機児童の解消を目指すというようなことで横浜、東京の例を書いております。そうすることによって国と地方自治体が一緒になって積極的に待機児童ゼロ作戦を展開できるといったことができるのではないかと思います。そのために短期的に平成13、14年の問題と16年以降というお話がありましたが、例1、例2で書いたのは加速度をつける方策です。積極的にやるとすればこういうやり方もあるのではないか。100 %国の負担で施設整備をするとか、あるいは国有地の無償貸与をするというようなこともあるのではないかということも書いてみました。
     以上、御説明をさせていただきました。よろしくお願いいたします。
    樋口会長
    大変詳細な御説明をありがとうございました。国の法律でいろいろなネックがあるんだということは聞いておりましたけれども、通達299号と295号なんて、本当にこんなややこしいものがあったのかということで、できますれば関係官庁から御説明を、また御回答をいただけるようにいたしたいとは思います。
     では、皆様お待たせいたました。時間も少し限られておりますけれども、5本の柱の1つずつについて言いますか。順番はあった方がいいですよね。それとも、今日はいっせいに出していただいて、そして今日の皆様からの御意見をまた踏まえながら、次回またたたき台の修正などをもってもう一度お集まりいただけると思うんですけれども、どうしますか。順にやっていると総理がいらっしゃったりするとちょっと時間はないですね。
     では、八代委員はペーパーを出していらっしゃるので、それではどうぞ。
    八代委員
    それでは前回欠席いたしましたのでダブる点もあるかと思いますが、コメントさせていただきます。
     まず、この最終報告のイメージというのは非常によくできていると思います。それで、私のコメントは単にそれに若干追加が必要な面があるんじゃないかということです。まず第1の「職場が変われば両立できる」という点ですが、ここでは4つの柱がございますが、私は最初の1がかなり重要ではないか。それが余りにも抽象的な段階に終わっているので、もう少し具体的な面が大事ではないかと思います。それで、企業にこうすべきだというのがありますが、政府もそれに対応して企業ができるように制度を変えていく必要があるのではないか。そのときに規制緩和というものを考慮していただきたいと思います。これは前に旧厚生省でやったいろいろな有識者会議等の場で、子育てをしている最中の特に女性社員は、時間を湯水のように使う男性社員と比べて1分1秒が惜しい。そういう意味では、時間と厳密に関わったような働き方というのはやりにくい面がある。裁量労働制というのがいろいろ今、議論されておりますけれども、例えば子育て中の労働者が自ら希望した場合には、今の非常に厳しい適用要件を緩和するというようなことができないだろうか。
     それからもう一つは、ここでは歯を食いしばって仕事を継続しながら子育てをする女性というのを暗黙のうちに想定されていると思うんですが、大部分の場合は一たん子育て中は退職して、子どもが手を離れたらもう一度正社員として復帰したいという方も多いと思います。そういう人のためには再就職機会を拡大させる手があるんですが、そのときになかなかミスマッチの問題が起きる。それを防ぐためにはここには書いておりませんが、派遣労働のより規制緩和ということも大事です。また、有期雇用契約という終身雇用とパートの中間的なものがあるわけで、今60歳以上の高齢者ではかなり適用が緩やかです。それを例えば子育て後の再就職機会をねらっている女性の方にも同じような扱いをするということで、より再就職機会を拡大させるような規制緩和というものを考える必要があるのではないか。これが第1点でございます。
     それから第2点の「待機児童ゼロ作戦」というのは、御承知のように数値目標というものを明確に示してやるという点で極めて大事だと思いますが、問題はこの待機児童という定義が非常にあいまいでありまして、福武委員のおっしゃっているのは当然ながら潜在的な待機児童が入っているんですけれども、厚生省の言っている待機児童はどうも今、登録している人だけが待機児童であって、それさえ解消すれば問題はなくなるというようなイメージが強いと思います。あくまでもこれは潜在的な待機児童ゼロ作戦でなければいけないということを明記していただきたいと思います。
     そうなると、今の既存の公立保育所の機能を前提とするかどうかという点が大きく関わってくるわけで、今の既存の公立保育所を前提としても予算さえふんだんに付ければ5万人を減らすことは十分可能だと思いますが、それは問題の本質的な解決にならない。やはり休日保育とか延長保育とか、そういうものを前提とした働き方をやむを得ずしている方も多いわけで、二十何万人という最初から無認可保育所に依存しておられる方へ対応するということが大事ではなかろうかと思います。
     そのためには今、福武委員がおっしゃったような児童福祉法の改正が必要なんですが、これは別に児童福祉法に限らず、規制は細部に宿るということがまさにこういう規制問題の典型でありまして、新聞で大々的に報じられる規制緩和の裏側には必ず規制緩和の効果を妨げるような通知とか通達というのはほかの分野でもあるわけなんです。そういう意味では、規制緩和というのは細部に至る点まできちんと見なければいけないかと思います。
     何と言いましても今の無認可保育所の問題というのは、認可保育所の受益者にはある公的援助が無認可には全くない。往々にして無認可の人の方が貧しい人が多い可能性があるわけでして、そういう意味ではこれは法の下の平等に反するものだといえます。今まで全くやっていない無認可保育所の対策ということをしなければいけないかと思います。それで地方自治体がいろいろ支援しておられるわけですけれども、それに対して国に何ができるかというときに、1つはマッチング方式というのがあるんじゃないか。これは地方自治体が無認可保育所に対して一定の支援をしたとき、それと同額を国がやるということによって、ある意味で最小のコストで最大の効果を図るというような、そういう趣旨にもつながるのではないかと思われます。
     それから「多様で良質な保育サービスを」というときにはまず情報開示が大事でありまして、現実の公立保育所の延長保育がわずか8%であるのに対して民間が56%もやっている。こういうことは一般の国民は知らないわけでありまして、いかにそういう意味では公立保育所だけにお金を注ぎ込むということがコストベネフィットの面から見れば非常に問題があるのではないかということがわかるという一つのいい資料で、これは是非もっと情報公開で出していただきたいと思います。
     それから、延長保育をやっているか否かだけでは実は不十分でありまして、公立保育所でも1時間ぐらいやっているところは結構多いわけであります。問題はそれ以上であるときということでありますが、やはり延長時間数も大事であり、そうした情報開示も大事だと思います。
     ただ、一方ではそうして公立保育所で限りなくサービスを拡大していくとまたそのコストもかかりますし、本当に公立保育所でそこまでやるのかという批判も当然出てきます。ですから、サービスはどんどん拡大する必要があるんですが、それに見合った受益者の負担というものも必要であって、そういう弾力的な配慮が公立保育所でどこまでできるのか。それが公立保育所のある意味で基本的な問題点でありまして、もともと公立保育所というのはごく限られた貧しい人のためにできた、公的福祉の枠組みでできた制度でありますから、それが一般のサービス、一般の人が自由に使えるようなサービスに適用しようというときには基本的に問題点がある。だからこそ、民間の保育所サービスを育てなければいけないということになるわけです。ですから、大事な点はまさに目標がたかだか5万人の見かけ上の待機児童ゼロ作戦なのか、それとも33万人の潜在的待機児童ゼロ作戦なのかということを明確にするということが、いかに政策上重要であるかという点だと思います。
     それから最後に、児童の安全性確保の観点から保育内容についての事後的チェックが必要である。今は事前の認可さえやっておけばあとは放ったらかしという状態でありますが、これは認可、無認可の保育所を問わず、ある意味で立ち入り検査を自由にできるようにする仕組みが必要である。地方自治体に余裕がなければ、その委託を受けたNPO等が随時やるというか、そういうような法的設備を行うということが、ある意味で児童の安全を守ると同時に、無認可だから悪いサービスをしている。認可だからいいサービスをしているという非常に硬直的な形式論を廃止するためにも非常に重要ではないかと思います。以上でございます。
    樋口会長
    ありがとうございました。大変ある意味では刺激的で、かつ明快な問題提起をいただきましたけれども、そんな具合に皆様どんどんおっしゃっていただけませんか。どこの部分からでも結構でございます。
    田尻委員
    今、八代委員がおっしゃったように、やはり1番の「職場が変われば両立できる」という部分はすごく大事だと思います。私自身企業におりまして、それほど特別理解がある会社ではない普通の会社なんですが、男女共同参画社会基本法ができて2年経ちますけれども、職場はほとんど変わっていないという実感があります。ですから、やはりここはもう少しインパクトの強い提言を望みたいと思います。
     私から言わせれば「職場が変われば両立できる」は、職場の男が変われば両立できるぐらいの、そういうイメージがすごく強いんですね。それで、ポツの1なんですが、今、八代委員もおっしゃったんですけれども、女性が頑張って働きながら子育てをする。もしくは、やめて再就職する。いずれも女性というイメージなんですね。ですから、ポツの1のところですけれども、各企業が男女ともに仕事と子育てが両立しやすい、男性と女性で分かち合いながら仕事もやり子育てもやるという、そういう形態をスタンダードに持っていかない限り変わらないと思うんです。ですから、そういうような言葉にしていただきたいということです。
     それと、ポツの2に関してはこの間も意見を言いましたけれども、育児休業法ができて10年近くたってもなかなか男性の育児休業の取得が伸びないという事実があるわけですから、これは奨励するという裏付けをしたい。具体的に言うと今12か月育児休業がありますけれども、1か月ぐらい父親の育児休業、クォータ制というのは必ずしも1か月取らなければいけないわけではなくて1か月割り当てるというか、分かち合うということです。ある党は7か月ずつ女性と男性が取るのを原則として6か月までは譲り合え、残りの1か月は譲り合えないということにしています。現実に我々の仲間でも4月から保育園は入りやすいということを含めて、なかなか12か月では足りない。もう何か月かあって3月末までという場合、やはり1か月程度延ばせば男性も取る可能性はすごく高い。ですから、育児休業の1か月の割増しですね。分かち合うクォータ制、これはメッセージとしても非常にいいのではないか。
     それともう一つですが、やはりトップが変わればというところはあるんですけれども、非常に今リストラが進んでおりまして、とにかく目立ったことをするのが非常に職場ではきついわけですね。ですから、そのときにトップの方が男性も女性も育児休業を取りやすいようにするためには経営者の方たちの理解を得るということがすごく大事だと思うんです。それで、私が思うに、男女共同参画ということに対してはなかなか前向きではない方も、少子ということに関しては非常に前向きなんです。ですから男女共同参画、いわゆる我々のメッセージで男と女と働いてもそれほどしんどくない社会をつくるということが少子化の対策になるんだという、その点の御理解をもっとトップの方にやっていただく。現実に、例えば社長がポスターか何かで育児をしましょうというようなことを呼び掛けるだけで職場の雰囲気が大分変わってくるんですね。ですから、そういう意味でやっていただきたいということです。
     それと、有期労働者の方がこうなったというのはポツ4で増やしていただいて、これは現実的で非常にいいですし、短時間正社員の動きも今にかなって非常にいいことだと思います。以上です。一応職場の部分だけに限って意見を言わせていただきました。
    樋口会長
    ありがとうございました。それでは順々にいきましょう。
    島田(祐)委員
    今の父親の産休に関することなんですけれども、10年間ずっと奨励ということでやってきてだめだったのだから義務化というのはだめでしょうか。この間は、男性からすごく抵抗があるからやめた方がいいということをおっしゃいましたけれども、一生のうちで自分の子どものためにたった5日間お休みを取るということに、それを嫌がる方が私などはとてもわからないと思うんです。もしだんだん若い人達の意識が育児休業を取りたい方向に変わってきている気がするので、法令化されていれば取りやすいということがあるんじゃないかなと思うんです。教育改革国民会議のときに、ボランティアをお勧めしますではなくて義務化をしたというところで世の中ががやがやときて、そういうところまで子どもたちの心というのはきているんだなという現実を直視できたわけです。だから、国民の新しい価値を浸透させるという意味でも過激かなとは思いますけれども義務化、5日間ぐらいはいいんじゃないかなと思います。
     もう一つ、ちょっと情緒的なことかもしれないんですけれども、今日の『AERA』に働く母のおびえ、子どもたちのしっぺ返しが怖いという記事があったんですけれども、私も育児中に子どもたちに対する育児のマイナスの影響というのはどのくらいあるかというので相当おびえていたんですね。それで、いまだに子どもは3歳まで母親が見るべきだという母性神話みたいなものはあるんですよ。この間、福武委員に持ってきていただいた資料に、アメリカの子育てスタイルは発達にどう影響するかというのがあって、その中でNICHTの研究の結果があったんですけれども、それを見ますと、専業主婦と両立主婦による育児に認知的発達とか社会感情の発達に違いはない。むしろ働く母親に育てられた子どもの方が優れているというような結果が出ているんですね。だから、はっきり育児にかける時間が問題なのではないということで、母親の資質によるものが多い。働いていても子どもに悪影響はないよという精神的な支援がちらっとどこかに光が当たっても安心するかなという思いがいたしました。
    樋口会長
    ありがとうございました。私もこの記事を見て、見出ししか読んでいなかったんですが今週の『AERA』にあったようです。それで、この会が始まったころ私も何度か申し上げたと思うんですけれども、3歳までは母の手でとか、共働きは非行の温床と言われた時期すらあったわけでございまして、私は十数年前はそれに触発されて『共働きの子育て』という本をかなり力みかえって書いたんですけれども。
     だけど、今もう一度、共働きだって悪い育児もあるし、逆に一緒にいたって悪い育児もあるし、それから社会の構造的な変化の中では家庭保育が密室化していく傾向がどっと出てきて今こういう状況になっているわけで、これはどこへ入れればいいのか。要するに、地域こぞっての中で両立型子育てのためのノウハウとか研究とか調査とか、あるいは情報収集とか、それで保育所はどこにありますよという情報と、それからどの保育所がいいか、駄目かという情報ももちろん必要なんですけれども、どうすれば父も母も両立しながらよい子どもが育てられるかという情報提供も、これは第5ですね。
     これを私は最初のころ非常に強烈に望んでいたんですけれども、そのうちに落ちてしまったんですが、逆に家庭で子育てをしていらっしゃる方を不安に陥れるようなことはしてはいけないし、ひいきの引き倒しになってはいけないと思いますが、アメリカ辺りで見てもそれはまた年じゅう蒸し返されているようです。この間、私があるところへ行って少し共働き側の肩を持った発言をしましたら、何とかタイムズの英語の資料を手にしたある男性管理職が、樋口さん、そんなことを言うけれども、アメリカの何とか大学の研究によれば共働きとそうでない専業主婦のいる家庭とではIQの発達が5ポイントだか何だかいいんですとか言われましたが、それはやはり教え方によってはそうなる、そういうのもございますでしょうねと言ってきました。
     だから、いい悪いを含めてどちらの子どももメリットを生かしながら育ててもらいたいし、この度は両立支援で両立支援に関する子育てのノウハウがまだしっかり仕上がっていないわけですから、どちらに置かれた親たちも自信を持って育てられるようにこちらの情報もつくっていこうと、そういう意味のことならば私はすごい賛成です。何か司会をしながら意見を言ってしまってすみません。
    島田(祐)委員
    今は仕事をするから子どもが悪くなるというような風潮がありますよね。ですから、同じにでもいいから、心配するなということは是非。
    岩男委員
    今のお話は私の専門の部分でもあるものですから。
     考えてみますと、随分前に『働く母親の時代:母親の就労が子どもに与える影響』という本を出しておりますけれども、それはリサーチをずっと積み重ねていったものなんですが、この問題は私はむしろ今おっしゃったような形では触れない方がいいと思うんです。つまり、基本的に親の就業は関係なく育児に問題のある母親あるいは父親は両方にいます。これをきちんと皆さんが納得いくような形で説明をするとなると多くの説明を要し、結論だけ述べるとかえって混乱させるおそれがあります。そうではなくてやはり働いていようがいなかろうが、父親も母親もゆとりが大事だということを強調し、そのための支援策を提言する。そのゆとりの重要性というところが私はこの中にもう少し強く出てもいいんじゃないかなと思います。3歳児神話に対し心理学ではかなり責任があるんだけれども、むしろこんなものはないという前提で押し切ることにして、それについて議論する時代は過ぎたように思います。ですから、余りここはいろいろとごちゃごちゃ言わない方がむしろよくて、本当に自然の形でゆとりというものがすごく大事だということをどこかできちんと言うべきだと思います。
     それからついでなので、この冒頭に非常に大事なことが3行書かれておりますね。つまり、実施をする時期の問題、それから必要な予算を確保し緊急に実施するということで、先ほど坂東局長もこの予算については政治的な判断が当然必要になりますでしょうというふうにおっしゃって、私もまさにそうだと思うんです。それで、八代委員がおっしゃったように地方自治体とのマッチング方式というようなことも考えられますけれども、地方自治体も既にかなり財政が厳しいわけです。それで、既に例えば保育所の問題とか学童保育の問題などでも、厚生労働省の方で通常の予算である程度の数は当然実施する仕組みになっているんだと思うんですね。
     ですけれども、それ以外の部分というのはどういう方法をとるとか、どれだけやるかということによっても非常に大きな予算が必要になるわけで、これはまさに政治的判断が必要になると思うんですね。そうしないと、今しがた例として虐待のことを申し上げましたけれども、こういうことに振り分けられている予算に食い込むようなことがあってはならないと思うんです。ですから、それはそれでしっかりやっていただかなくてはいけない。それと別にこれがあるんだという、そこだけは明確にしておく必要があると思うんです。
    樋口会長
    ただいま総理は、国会をお出になってこちらにお向かいだそうです。そうしましたら、話をちょっと中断して総理のごあいさつを伺うことになりますけれども、今、岩男委員のおっしゃったことをまさにみんなで声をそろえて言いませんか。是非それは本当にあらゆる予算、今あるこういう女性労働対策とか、それからいろいろなものの中に保育対策の中に埋没してしまってはとてもこれは実現できないことだと思いますから。
    田尻委員
    1つ今、岩男委員のおっしゃったことで関連してなんですが、ニュージーランドで大変私が面白いなと思ったのは、要するに専業主婦、母親といえども子育てはやはり一人じゃできないというか、そういう基本的な考え方があって、保育園みたいなところで専業主婦といえどもそこに入って子育てを習いながら一緒にやる。そして、ある程度の研修か何かを受ければそのまま保育士さんの資格を得られて、その後の仕事にもつながる。そういうような制度があると聞いて、これはなかなかいいなと。大前提として主婦だから子育てはプロでもうできるんだということを基本的に覆して、これだけ地域の子育て力はないわけですから、保育所なりに本当に気楽に専業主婦の方も来て一緒にお子さんを見て、自信を得られるまで一緒にやっていく。そういうような前向きなことに使っていくというこの例はすごくいいなと思っています。
    樋口会長
    今、八代委員もおっしゃいましたけれども、これはとにかく今、歯を食いしばってうっかりするとこぼれそうになって働こうとしている父母を支援していくということに焦点を絞っていますけれども、現実には5月4日に皆様の御了承を得て私は朝日に記事を書きましたが、そうしたら10日後にすぐに「長時間労働に疲れた父と、保育と職場を綱渡りする母たちの息切ればかりが伝わってくるとのくだりにどきりとした。全く我が家をのぞかれたようです」と、本当に綱渡りをしている人達の反応というか、共感の反響がございました。だから、こういう人達にまず焦点を絞るんだけれども、ただ、私たちがどこかで置き忘れてはいけないのは、実は日本の女性はM字型でどかんとここで落ちているんだということですね。それをどういうふうにここに書き込めるか、あるいは今回は歯を食いしばっている人に焦点を当ててそれでいいか。また皆様の御意見を是非伺いたい。私が実は引っ掛かっていることの一つなんですけれども、総理がいらっしゃる前に伺った方がいいと思うんですが、例えば5日間のパパの休日を義務化するとか、あるいは1か月の育児休業を上乗せして育児休業ボーナスにしたら絶対だめですか。厚生労働省さん、もしよろしかったらちょっと一言。まず、だめそうとか感触を。
    厚生労働省
    私のところはだめとかということではなくて、いろいろなコンセンサスベースで制度ができていますから、それをどういうふうにいろいろな場で御議論いただくか。そして、その御議論の下に本当にできるのならばどういう制度になるかという議論が重要だろうと思います。だから、これはいい、これはだめとかということではなくて、長年のいろいろな議論の結果できているのが今の仕組みであり、これは私どもとしては尊重しなければならないと思っています。
    樋口会長
    ということだそうです。
     それでは、官房長官からごあいさつをいただきたいと思います。大変なところどうもありがとうございます。
    福田内閣官房長官
    大変御苦労様でございます。この仕事と子育て両立支援はもう今日で6回目ということで大変精力的に会合を重ねていただいて、また熱心な御討議をしていただき、本当に熱心な会だと思っておりまして、その成果が今朝朝日新聞にでかでかと一面トップで出てございますけれども、これも成果のうちかなと思って本当にありがたく思っております。特に女性の立場で考えた場合、子育てと仕事をどうやったらいいか。いろいろな角度からこの問題は非常に大きな課題になっているということは周知のことでございますので、そのことを中心にしてお考えいただいているということでございます。
     前回、樋口会長に男女共同参画会議に中間報告をしていただきました。いろいろなことをやっていただいて、また私ども想像もつかないような御発言もあったようでございまして、感心したり、なるほどというようなこともたくさんございました。本当に微に入り細にわたり御検討いただいて、いろいろな角度からその御提案をいただいているということについて、私どもはそういう御発言を重く受け止めて、それを行政に跳ね返さなければいけないと、こんなふうにも思っているところでございます。この委員会は大変注目をされている専門調査会でございますので、そういう意味におきましてこれからまたしばらく是非活発なる御議論を続けていただいていい提言をまとめていただきたいということを重ねてお願いするわけでございます。
     今日は小泉総理が初見参ということでさせていただきます。私は大変申し訳ないんですけれども、予定のことがございまして途中で失礼をいたしますが、小泉総理を置いていきますので、どうか独身とかそんなことは関係なしにひとつよろしくおつき合いをいただきたいと思っておるところでございます。お願いを申し上げましてごあいさつとさせていただきます。ありがとうございます。
    樋口会長
    どうも官房長官、お忙しいところ本当にありがとうございました。おっしゃるとおりいろいろこの会議の提言は注目を浴びておりまして、委員一同注目を浴びれば浴びるほど張り切る人達がそろっておりますので、よりよいものにしていきたいと思っております。どうぞ本当に内閣のいろいろ御支持をお願いいたしたいと思いますし、是非最初にまた総理にも重ねて申し上げるつもりでございますけれども、やはり特別にこうした問題につきましては予算を、先ほど岩男委員からもお話がございましたが、今の予算の枠の中に埋没してしまったら、これは花火を打ち上げてということになりかねませんので、ひとつよろしく御配慮のほどをお願い申し上げます。
     では、続きまして議論の方を、猪口委員、佐々木委員、どちらでもどうぞ。
    佐々木委員
    それでは、先に発言させていただきます。ここまでまとめていただいてどうもありがとうございます。
     幾つかあります。1番の「企業が変われば両立できる」というところと4番の放課後の児童対策ともしかすると一致するんですが、先ほどから出ているようにやはり男性が変わらないとというのはいろいろなところで最近聞きます。子育ての話が会社でできるようになった。これは女性の間です。しかし、男性が子育ての話をしようものならばもう昇進に関わる。よく男性から私は訴えられるように最近なりました。ですから、ここの1のところに男性という言葉が入ってくるのは私も賛成です。
     もう一点、1と4の両方にという意味では、企業が社員などのスタッフを、1人1年間にたった2時間で結構なので学童保育でボランティアをするというようなことを入れてもらえないでしょうか。前回も学童保育の延長において費用をかけずにやるというのは企業の人たちが参画すればいいのではないかというふうに申し上げたんですが、どちらに入るのかわかりませんが、そんなようなコメントがもしも入れていただければ幸いだと思います。
     それから2番の「待機児童ゼロ作戦」、いろいろコメントが出ていて賛成なんですが、私は1点、フリーランス、SOHO、起業家など、企業に属さない人たちが増えてきている今、その子どもたちが入園が難しいと言う現実があります。これは内職とみなされてしまうためです。ですから、これはもしかすると来年度から改正できるかと思うんですが、入園基準の見直しとか、それから理想的には同じ施設で今まで1人だったのが、月水金の人と火木土の人とやると2人のSOHOのお母さんが1日おきに助かるので、例えばそんなことも入園基準の見直しのような表現で、企業に属さない女性たちや男性たちの子どもも入園しやすくするというような項目が入ったら非常にうれしいと思いました。
     それから、企業の民営化とか規制緩和というところで、私は以前から駅などでの保育は反対であるというふうにずっと言っていたんですが、自分の子どもと他人の子どもは随分違いまして、一般論で語るときにはそういうところもすごくいいと思ったんですが、自分の子どもはやはり光の当たる園庭の大きいところで育たないと、どうしても子どもの発育上問題が出てくると考えております。
     それで、先ほど福武委員の御発言などは本当にそのとおりだと思いつつ、あえて非常に申し上げにくいんですけれども、企業に対して助成金を出していくということを私はやめてほしいと思っています。
     例えば、Aという保育園は10万円である。Bという保育園は2万円である。Cというところは50万円であるというふうになったとしても、ユーザーの方に助成金のチケットがあれば、私たちはいいところを選べるんです。でもやはりつくる側にお金が入ってしまうというのはユーザーの視点に立っていないと思います。私などは2歳の子どもがいますので切に思うんですが、そういうところを考えるとどんどん規制緩和で企業や民営にたくさんのお金をあげて運営してもらうのではなく、実際にかかる費用を明らかにしていただいて、ユーザーでそれでもそこに行きたいという人がどんどん増えたら還元されて、結局は企業のところにチケットでいくと思うんです。そういうふうに利用者にチケットがいくというようなことをしていただきたいので、何かそのような表現が入ったらうれしいと思いました。
     類似しているところで定員の弾力化、調理室の必置規制の見直しなど、規制緩和の一層の推進を図るという文章は私はとても抵抗があります。やはり先生が多くて台所が大きくてというのが子どもにとっての必要条件だと思うんですが、規制緩和はあるところは必要だと思うんですが、ちょっとそこに私は抵抗がありますので再検討の話し合いをさせていただければうれしいと思います。
     また、民営化はよろしいんですけれども、情報公開という言葉が余り2番の民営化のところに入ってきてなかったと思います。子どもたちは声を上げられません。ですから、通常のものよりも幅広い、基本的にはすべての情報は公開され、よほどのプライバシーのところだけが伏せられるというぐらいの思い切った情報公開をするということを入れていただければと思います。
     最後です。すみません。5番の地域こぞってというところに是非入れていただきたいと思うことで、上の子が小学校1年生になったんですが、保育園は本当にいいんですけれども、自由に時間を過ごせるというところで規則正しい生活が余り身に付かないでおります。地域こぞってというところで地域の人たちが定期的に保育に参加するプログラムなどを取り入れるというような表現はいかがかなと。例えば、何曜日の10時半から12時は地域の人が来て本を読んで聞くとか、折り紙をやるとか、竹細工を教えるとか、そういうふうにちょっと決まったプログラムですね。これは保育園と幼稚園のいろいろで問題があるのかもしれませんけれども、地域こぞってと書くのであればできれば保育園にそういった地域の人たちの参加プログラムの導入みたいなものが入るとうれしいと思います。以上です。
    樋口会長
    ありがとうございました。調理室の問題は私もちょっと引っ掛かっていることでございますけれども、一体保育待機児童をゼロにしていくときに事業者を支えるのか、それとも、今、佐々木委員がおっしゃいましたように個人にバウチャーのような形でするのか。これはかなり議論の分かれるところだと思うんです。私などもちょっと考え方を決めかねておりますけれども、八代委員何かありますか。
    八代委員
    私は、佐々木委員がおっしゃっていることははっきり言って賛成なんです。問題は制約条件についての評価が違うわけです。もちろん調理室があったらその方がいいと思います。それから、駅型保育なんてよくなくて、みんなが広々と光の当たる園庭で遊べたらその方がいいに決まっているんですが、問題は今23万人という待機児童があるときにそういう理想論を言っていることが本当に解決になるのかどうかということです。私が言っているのはあくまでも格差をまず是正していく。ですから、例えば保母さんの数とか譲れないものと、調理室があるかないかというものを同次元で議論する、あるいは庭の問題もそうでありますけれども、まず今、本当にそういう理想的な保育所に入れない人のことをどこまで考えて議論すべきかということが緊急の課題になっているんじゃないかという点であります。ですから、あくまでも制約条件をもっときちんと議論すべきで、最終的な目標は同じだと思います。
    樋口会長
    八代委員からいただきましたペーパーで、私も議論を挑むほど見識があるわけではございませんが、確かに今、無認可保育所利用者はものすごく負担が大きいんですけれども、これは一定の直接的な援助が必要というふうに第2のところで書いていらっしゃいますが、これはバウチャーですか。
    八代委員
    佐々木委員がおっしゃったのと同じユーザーにチケットをという考え方です。ただ、そのときには一方で施設に膨大に出ているものをある程度何とかしなければ、そのチケットの財源も出てこないのではないか。そのときにやはり調理室とか、そういうもののコストをある程度チケットに回せないかと、そういうことであります。
    福田内閣官房長官
    それでは、申し訳ありませんが。
    樋口会長
    どうもありがとうございました。

    (福田内閣官房長官退室)

    樋口会長
    それでは、お待たせいたしました。どうぞ。
    猪口委員
    今の駅のことは私たちの議論の中で、例えばサテライト方式でというようなかなり細かい議論をしたので、最終報告にもそういう議論が少し反映されるといいかなと思うんですね。
     それから、待機児童ゼロ作戦がいよいよ本格的に動き始めるようで大変うれしいんですけれども、もう一つ、これとセットで推進する何か言い回しを思い付きましたので御披露しますと、待機児の次には放課後児童ないし学童になるんですけれども、ここで待機児ゼロ作戦と併せて待機学童ゼロ作戦というのを考えてはどうかということです。待機学童、つまり学童保育で待機しているのをゼロにするというのが多分この4番のことで、それから施政方針演説でこの間も申し上げた、基本問題専門調査会の方で申し上げた2つの柱に採用されているわけです。これは待機児童ゼロというのと、今度は小学校に上がった段階で放課後学童となってそれが待機しているという状態ですね。ですから、待機児童ゼロ作戦の続きは待機学童ゼロ作戦で、これで全国1万5千か所ということで段階的にやっていくということで、その速度についてはいろいろなことがあると思いますので一気に全部というわけにはいかないことは了解していますけれども、そんなふうにこの2つをセットで考えて、基本的に小学校6年生くらいまできちんと社会の中で受け入れていく、行政の中で受け入れていくという考えが重要じゃないかと思います。
     それから、4番のところで学校を中心に受け入れるという議論をしたと思うんですけれども、そういうことが必ずしも書いていなくて、学校の空き教室などということは書いてあるんですが、この箱の中に基本的には今後少子化が進んで学校が統廃合などをされる場合に、やはり学校で学童自習室のような形で受け入れてもらうのを基本とする。それから既にある学童保育、児童館等、あるいは地域でいろいろボランティア上がりでいろいろやっていらっしゃるようなことは、それも2つの両立できるような形でやるというような議論をしたと思いますので、重点的に今後やるのをもう少し学校の中でということを何らかの形で入れていただけたらいいなと思うんです。この箱の中にもうちょっと入れてもらったらいいんじゃないでしょうか。例えば、具体的にはその1行目で、放課後児童クラブや地域のすべての児童に、放課後の学校を中心に居場所を確保するなどというふうにしていただいたらいいんじゃないかと思います。
     それから3番目は佐々木委員のおっしゃったことと大分重なるので、その御意見を全面的にセコンド申し上げたいと思いますけれども、やはり何と言っても重要な国の柱ですので、当然ながらこれは特別の予算措置をして、財政措置をして大掛かりに進めるという考えで私たちはやってきたんだと思いますので、それは当然そうであって、その際にこの2のところで民間の力を活用しはよろしいんですけれども、「極力活用し」の「極力」というのはちょっと行き過ぎの表現ではないかと思います。それで、最小コストで最大の受け入れ。最小コストというのは子どもにかけるお金というのは国として最小にしたいかというプライオリティの考え方だと思います。もちろんそれは23万人を射程に入れればかなり頑張らなければならないとは思いますけれども、基本的な姿勢として国家が責任を持つという考え方、公的なものが責任を持つという考え方をもう少し出してもいいのではないか。
     ですから、国全体の予算の中で一体このためにどういうプライオリティを与えるのか。ここには副大臣がいらっしゃいますし、政務官がいらっしゃいますので、是非考えていただきたいということで、もちろん現状を前提にすればこう書かざるを得ないだろうけれども、現状をそもそも前提にしないで大胆にこの分野を改善していくんだという考えをとったらどうかというふうに思います。
     それから、田尻委員の方がおっしゃった話は、育児休業法をもし改定できればということではあると思うんです。どちらかのせいで育児休業を独占しないという考え方だったと思います。それは随分出てきた話で、それを入れることができればとてもよろしいと思うんですけれども、今回できなければその議論は十分に残していただきたいと思います。
     それから更に法律改正について考えますと、先ほどから出ている専業主婦の子も本当は預けられる方がいいんだという話も私たちはしました。特に児童虐待との関係で話したわけですけれども、そこでやはり児童福祉法におけます基本的な考え方ですね。保育に欠けるという考え方を改正すべきではないかと強く思います。それが今回できるのかできないのか。そこまでやるとがらっと日本における保育環境が変わる。それから専業主婦として何人も子どもを生んで育てることは職業の1個や2個持つより大変なのかもしれないんです。ですから、専業主婦の方も別に保育に欠けている子どもじゃないんだけれども、やはり上の子は保育園に一時預けられたら、週に1回か2回でも預けられたらどんなにか楽だったかと思いますので、そういうふうな法改正が本当はできることが好ましいと思います。
     最後は、社会規制についてはやはりある程度の規制を残すのが規制緩和の考え方ではないかと思います。経済規制は徹底的に緩和し、しかし社会規制については民主主義と正義の考え方に基づいて、これはある程度きちんと線引きをしなければいけないと思います。公立の保育園の最大1時間ぐらいまでは延長して、あとはどんどん増やすんだという議論もございますけれども、公立は公立なりにいろいろな工夫をしています。例えば、最近ここにもありますファミリーサポートを組み合わせて6時以降は家庭に引き取ってもらってそこで夕御飯も食べてと、そういう方が実際には夜10時までそこの保育園で預かってもらうよりもずっとリアリティのあるいい生活になるわけですね。ですから、公立は公立なりにそういうふうに、では公務員を10時まで働かせるわけにはいかないというのであれば、またいろいろ考えが出てくるわけです。ですから、やはりそういうチャンスを与えるべきじゃないかなというのが意見です。
    樋口会長
    ありがとうございました。議論の経過とか、それから今、残された重要なことだけれどもここの柱に盛り込めないというようなことは、この最終報告のイメージの中の「Ⅲ .専門調査会における議論の経過」というところでも書き込めると思いますし、事務方からお願いがあったと思いますけれども、各委員からのメッセージというのをお願いしてございますので、そこの中に入れてもよろしいと思いますし、重要な論点というのは是非記録にとどめたいと思っております。
     そして特に児童福祉法は、この前の児童福祉法のとき私は臨時委員をしておりまして、是非それが変えられませんか。保育に欠ける児童というのはだめなんですかと言ったんですけれども、やはりだめでした。だめでしたけれども、ここでやっている学童保育、放課後児童クラブなどはあえて言えば専業主婦と地域を結ぶ一つの突破口になるかもしれませんし、本当に地域全体で母親の就労の有無にかかわらず子どもをしっかり育てていこうという時代になっていることを、焦点がぼけない程度に何かデクレアするような方法を考えていきたいと思います。
     最後になりましたけれども、河野委員どうぞ。
    坂東局長
    学童保育を必要な地域すべてにというのは総理が今日の国会でもおっしゃっています。
    河野委員
    やはり企業が変わればのところが一番私も自分のテーマだと思いますので、ここについて少しお話をしたいと思うんですけれども、まず経営者についてというところが一番大きなポイントかと思いますのは、これは意識の部分です。具体的にその意識を変えるに当たって両立指標というのをどういう形にするのか。ちょっとこれは質問なんですが、経営指標というか、「経営品質賞」というものがあり、その審査基準の中に入れられるかどうかというのも一つの手かと思います

    (小泉内閣総理大臣入室)

    河野委員
    単に両立指標というのを別にするのか。または「経営品質賞」のようなもの、グローバル企業であれば、全世界に出先がありますよね。ヨーロッパならばヨーロッパに「経営品質賞」というのはありますので、そういうようなものの中にもポイントとして盛り込んでいくというようなことがあると、かえって企業は動きやすいような気がいたしました。
     それから、おまとめいただいたこちらの中の各論なんですけれども、例えばこれから企業を去ろうとする人と続けようとする人がいた場合、続けようとする人について全面的にというのがもちろん一つだと思うんですが、現状での仕事というものを見ると、去っていく人が出る現状というか、去っていかざるを得ない方々もいるのは事実なんですね。そうなると、先ほどもちょっと出ていたんですけれども、一度辞めた方に対しても再就職の機会をどこかできちんとフォローしていくのも一つかと思います。
     それで、これは一つ質問でもあるんですが、有期雇用者に対しての育児休業の対象になる場合、正社員と全く同じ扱いにするのかどうか。待遇ではなくてその後の職務に関わってくるので、具体的にはキャリアコースの問題があると思うんです。この辺は大きな議論をしておかないといけないのではないかと思うんですけれども。
    樋口会長
    そうですね。書き込むには少し細部まで詰めて、いろいろまたお知恵を貸してください。
     そういうことで今、総理には本当に寸暇を縫っておいでいただきましてありがとうございます。また、私ども男女共同参画会議仕事と子育ての両立専門調査会で中間報告を申し上げましたことなどを施政方針の中に大幅にお取り入れいただき、大変具体的な提案をしていただいてありがとうございます。先日もこの会議でお話が出てまいりましたけれども、猪口委員がラジオを聞いていましたら、総理がそういうふうに待機児童ゼロ作戦なんて施政方針演説で言ってくださって涙ぐんだという若い女性の声もございましたし、朝日新聞の14日付の新聞にも今お手元にございますように息切れしている自分たちの声が本当にようやく伝わってきたようだというような声もございました。
     そういうわけで、大変みんな期待を持って、本当に私は日本の構造改革は今まで仕事と家庭と単立型だったのを、男性も女性も両立型に構造転換していくという一番基本のところでそれがなければ成功しないというのが私どもの意見でございますので、どうぞこのためにきちんと必要な予算を別枠で取っていただきまして実現していただきますよう心からお願い申し上げまして、そしてこの会議の中間報告をまとめる上で島田会長代理に大変中心になってやっていただきましたので、島田会長代理から一言ごあいさついただきまして、そして総理のごあいさつをいただきたいと思います。
    島田会長代理
    先ほどからずっと御議論を伺っていて、猪口委員がおっしゃった保育に欠けるという文言を取ってもっと新しい時代にふさわしくするんだと。別に保育に欠けなくても一生懸命子どもを育てる準備があるんだけれども、それを国で支援するというのは大賛成です。前文にそれを書き込めないかなと思います。
     それから、皆さんの御議論を伺っていて、さっき八代委員がおっしゃったようにベクトルは合っているんです。ただ、制約条件の認識がちょっと違うというところでございまして1つ2つ指摘したいんですが、先ほど企業への女性をどうするかという話で、佐々木委員がおっしゃった本当はバウチャー制ができればいいんだけれどもいうお考え、私も全くそれは賛成なんです。本当はバウチャー制が一番いい。
     ただ、その場合には選択する一般の人たちが保育所や機関が提供している中身、実態がよくわかるような情報開示が必要ですね。その条件の上でバウチャー制度に私は賛成なんですけれども、今回のこの報告はそういうところまでいっていなくて、バウチャー制度の議論というのは大議論になるのでいずれやった方がいいとは思いますけれども、今回はとにかく20万人の潜在待機児童にとにかく場所を提供しよう、サービスを提供しようということですから、厳しい制約の下でそれをやるわけですね。小泉総理も道路財源について、予算がないという前提の下で必死になっておやりになっているので、そのことも我々はよく踏まえた上で考えるということになる。そしてバウチャー制でないとするとやはりユーザーに余り大きな格差のないサービスを提供する、経営主体によっての補助の格差というのはある程度均等化せざるを得ないという意味では民間に補助が入らないとやれないだろうと思うんです。
     ですから、最小コストを除けというお話なんですけれども、これは総理が道路財源もそうですが、やはり最小コストでできるだけ多くの人にサービスを提供しようという必死の試みを今なさっているので、私はやはり最小コストは残すべきではないかなとちょっと思います。
     最後に1つ申し上げたいのは、八代委員がおっしゃった情報ですね。この文言の中でわかりやすく情報を提供するということは2度ばかり書いてありますし、佐々木委員もおっしゃいましたけれども、実はもっと監視を厳しくするくらいのことがあっていいのかなという感じがいたします。
     そして最後に一言、総理がいらっしゃるので申し上げます。私は会長と同じ意見なんですけれども、これは本当に総理が国民に向けて発言なさって、みんながものすごい期待しているので、絶対にこの数値目標は実現していただきたいと思うんです。その観点でこの予算の書き方なんですけれども、この文言には必要な予算を確保し、緊急に実施すると書いてありますが、必要な予算は確保するというだけでいいのかなと思うんです。恐らく総理が時代を変えようという覚悟で臨んでおられる場合、補正とかというのではなくて本予算の仕組みにここで力点をかけるというような考え方があっていいのかなと思います。それで、ここはもちろんみんながお互いにぎっちり信頼し合っていくのならばこの文言でもいいんでしょうけれども、やはりそれはそれなりになかなか予算というのは難しいですから、本当にこの数値目標を実現するための予算措置というのをどうするかというところはもう一言工夫があってもいいのかなと、そんなふうにちょっと思いました。
    樋口会長
    こんな具合に白熱した議論をずっと続けております。ここで小泉総理のごあいさつをちょうだいしたいと思います。
    小泉内閣総理大臣
    連日御苦労様です。今日は、お招きいただきましてありがとうございます。
     樋口会長には、厚生大臣のときに介護保険導入で一方ならない御指導をいただきました。こうして縁あってまた仕事と子育ての専門調査会にいろいろ御苦労いただき、またいい知恵を出していただきましてありがとうございます。
     私は所信表明演説のときに、連休中でありましたけれども、総理に就任して何に力点を置こうかなと、所信表明の準備にかかるときに全省庁の役所の方にいろいろ指導をしていただきました。そのときに、21世紀の社会は景気回復最重点で当面やりますが、構造改革、ちょっと新しい時代に対応した重点で考えたのが自然との共生と男性も女性も家事も育児も仕事もできる社会、この2つに力点を置きたいということで、すべての省庁の前にちょっと教えていただきたいと坂東さんに電話をしました。そうしたら、休み中だったんですけれども早速坂東さんに来ていただきまして、端的に私は聞きました。仕事と子育ての両立で何が一番大事なんだと。それは保育所待機児童をゼロにすることと学童保育、これです。具体論を出せるか。出せます。目標と実施。ではそれを入れようと、それで入れたんです。
     よく私の所信表明に中身がないと批判されています。これほど具体的な中身を盛り込んだ所信表明、総理大臣の演説があるかと私は今でも言っているんです。自然との共生、今まで例外的に一部だけ低公害車を役所は使っていた。原則全部の公用車は低公害車にしろと。これほど具体的なものはないでしょう。保育所待機児ゼロ作戦。30兆円以下に国債発行を抑制する。批判している人たちはどこを見ているのか。マスメディアも野党の皆さんも、まずこの精神構造を変えなければだめだ。
     これから本当に構造改革しなければならない時代になりました。私はこうして現場の意見もよくわかっている方々、そして学問的にも見識のある方々がこのように真剣に政府の施策にいい知恵を出していただきまして心から感謝申し上げます。このいい皆さんの提言、知恵を実現することが私の役目でありますので、今後ともよろしく御協力、御指導をお願いしたいと思います。本当にありがとうございました。
    樋口会長
    小泉総理、本当にありがとうございました。私たちも本当に心を込めて、女も男も仕事も家庭も両立でき、そして次の世代が健やかにみんなの視線を浴びながら育っていく、そんな社会をつくるべく提案を進めたいと思っております。どうぞプレスの方も仕事と子育て両立支援を支援していただきたいと思います。そういうことでございまして、総理には引き続きこの会に御参加いただきます。
    福武委員
    ちょっとよろしいですか。先ほど八代委員からもお話がありました待機児童の数の定義みたいなものはやはり必要だと思うんです。
     それからもう一つは、民間やNPOの新しい主体の参入の目標値も、例えば半数以上はそういう新しいセクターに任せるとか、何かそういう数値目標があれば、より明確な発信力があるのではないかなと思いました。
    田尻委員
    学童のことなんですが、猪口委員から学校の空き部屋というお話がありました。ただ、私の子どもを含めまして学校に残されるという考え方がちょっとあるんですね。ですから、児童館とか別のところに区切って、子どもとしてはその一つの区切りとして別のところで放課後を過ごすということも大事だと思います。この1万5千人という新たにつくられるものに学校がどれぐらい入っているかわからないんですけれども、必ずしも学校にこだわらないで、私としては別のところに空間を区切った方が子どもとしては非常に残されているという感覚から免れられるんじゃないか。うちの子どもがそう言っていましたという話です。
     もう一つは保育園なんですが、八代委員がおっしゃったことで今、無認可の人との格差というのは厳然としてある。私も公立保育園に入れて本当にラッキーだった。格差を縮めるんだということは私は正論だと思います。ただ、やはり特にゼロ歳、1歳ぐらいの保育は本当に慎重にやっていただきたい。特に保母さんの数については子ども2人に1人ぐらいの保母さんはぜいたくかもしれないんだけれども、これをぜいたくと言わない国にしてもらいたいんです。ですから、やはり質を落とさないで数を増やすということですね。これは新たな予算はある程度やむを得ないと思うんです。そういう意味で、私は大枠は猪口委員がおっしゃったようにそこら辺が大事で、余りコストのことをぎりぎり詰めるということは本質を見誤るというふうに言いたいと思います。
    樋口会長
    ありがとうございました。まだほかに御意見がある方はいっぱいいらっしゃると思うんですけれども、ここまでとしたいと思います。
     議事録についてはお声がなければ通過させていただきまして、議事録はホームページ等に載せさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
     本日は本当に活発な御意見をありがとうございました。また6月に入りまして会がございますのでよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

(以上)