仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会

  1. 日時: 平成13年4月27日(金) 10:00~12:00
  2. 場所: 合同庁舎第4号館特別会議室
  3. 出席者
    樋口会長、島田会長代理、河野委員、櫻井委員、佐々木委員、田尻委員
  4. 議事
  5. 議事内容
    樋口会長
    それでは、時間になりましたので、ただいまから男女共同参画会議仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会の第5回会合を開催いたします。皆様、お忙しい中御参加いただきまして本当にどうもありがとうございます。
     いろいろと変化の中でございますけれども、子どもが育っていく、それから母親が、父親が働いているという状況は、常によりよい状況にあるべきだと思っています。総理大臣もこの問題について是非頑張って取り組んでいただきたいと、私どものメッセージをこの会議の中からもお伝えしていくようにいたしたいと思います。
     皆様のお手元には事前にお届けしたと存じますが、去る4月3日に開催されました男女共同参画会議におきまして、私から本専門調査会で取りまとめた検討状況を御報告いたしました。同会議には総理をはじめ、官房長官及び各省大臣を含めて21名の議員が御出席になりまして、検討状況の報告の内容について各省大臣も含めて活発な御意見や御議論をいただきました。内容は、議題2の中で御紹介させていただきます。
     このような検討状況報告をまとめていくに当たり、島田会長代理を始め、委員の皆様方にいろいろ御協力いただきましたが、本当に改めて感謝いたしますとともに、6月の最終報告に向けて今後とも精力的に御協議のほどをよろしくお願いいたします。
     本日の議題は議事次第にございますとおり、まず本専門調査会の検討状況報告を受け、施策としてどのように対応していくか、あるいはどのような課題が考えられるかなどの観点から関係省庁に対するヒアリングを行い、その後、引き続き最終報告に向けた検討をお願いしたいと考えております。
     それでは、議事に入ります。まず議題1が検討状況報告に関するヒアリングとして、厚生労働省と文部科学省に御説明をお願いしてございます。質疑応答は両省お済みになってからということにしたいと思いますので、まず20分から25分程度厚生労働省から御説明をお願いいたします。
    厚生労働省
    厚生労働省の皆川と申します。よろしくお願いいたします。それでは私の方から、若干宿題もありますので宿題と、それから論点整理に関する私どものスタンスのようなものを御説明させていただきたいと思います。
     お手元にお配りしております「厚生労働省説明資料」、資料1-1でございますが、その11ページをお開きいただきたいと思います。これは島田会長代理から保育費用の概念を整理してほしいという御意見があったことから急きょ作成をさせていただいたものです。制度としては13年度予算ベースでは約1兆6千億円の保育費用がかかる見込みとなっており、そのうち国、都道府県、地方公共団体が約半分、残りの半分が保護者負担ということになっています。それぞれの額についてはお手元の資料のとおりでございますが、国としては4,500億円の予算計上をしています。
     一方で、保護者負担は大体半分の6,900億円ですが、これは御案内のようにこの場でも出てまいりましたが、地方公共団体による保育料の減免ということがありまして、黒枠で書かれてございますが、恐らく2,200億円ぐらいが減免されているのではないかと思っております。
     これが私どもの保育料算定の基準で、こういう額になるわけですが、そのほかにもよく話題に出てまいりますが、地方公共団体で職員の配置をするとか、あるいは給与を高くする等上乗せをしている所が現実にあります。ただ、この費用は人件費等が入っており算定するのが難しいのですが、研究者に言わせますと数千億、例えば4千、5千億円とか、3千、2千億円とか、そういうオーダーではないかと推計される方がいます。
     今のは毎年の運営費でございまして、施設整備の金額につきましては、13年度では全体として400億円程度、国がそのうち半分、設置者が4分の1、都道府県が4分の1となっております。それで、設置者が市町村の場合は市町村が見るということであります。これは全体の構図でございます。
     12ページは、待機児童が150人以上いる市町村に対するヒアリングの日程表です。これについては現在、実施をしており、4月9日の静岡市から始まって、つい最近横浜市まで終わりました。全体で57あります。そのうち56が150人以上で、さらに問題となった無認可保育所があった大和市を特別にヒアリングをして57ということでございます。
     ただ、各市町村から出していただいた資料自体がかなり異なった基準で出てきているので、この連休中にもう一回フィードバックをして、最終的には連休明け、5月の半ばぐらいには何とか全体の係数把握をしたいと思っております。
     ただ、一言で言いますと、例えば12年、13年の2年度間弱でも、これらの57地域で当初計画よりも6千人ぐらい増やしておりますが、待機児童の数は減ってはきていますが予想していたほど減らない。それは、やはりこの市町村の中で6千つくっても更に1万以上の新たな需要が出ているという状況です。私どもは一番最初に資料で御説明しましたけれども、5万人入所者が増えても3万人の待機が減らなかった。こういうのがミクロでも出てきているということです。
     それからもう一つ、私自身も幾つか出させていただきましたが、待機は島田会長代理がおっしゃるように3万3千人ではなくて無認可の話などいろいろあるので、そちらの待機児童の数をどうやるか、研究する必要性を感じます。と同時に、これは私個人の感じですが、この3万3千人の中にもいろいろある。例えば今、厚生労働省は保護者に1番、2番、3番というように保育所優先順位を出してくださいと言っております。1番はやはり結構人気があるところがあって、特に需要が多い都市部では1番に入れないところが当然出るわけです。それが待機児童になるわけですが、この場合、2番目は空いていますと御紹介するケースが多いです。例えば1番に比べて通うのに5分か10分ぐらい余分にかかりますが、2番目にどうぞと。しかし、やはりどうしても1番に行きたいということで2番目を御紹介してもなかなか行ってくれない。これは市町村の担当者の実感ですが、そういう方はその3万3千人の中でも決して少なくない。決してというのはいろいろ見方はありますが、直観的に多いところで2、3割ぐらいはいるのではないか。少ないところでも2割とか1割ぐらい、そういうミクロの待機の中身というのもやはり職業との関係で少し私ども見ていかなくてはいけないのかなという気がいたします。以上、最終的な宿題に対するお答えになっていないのですが、次回のこの会までには何とか概略でも御説明できればと思って作業を進めております。
     それから、論点整理をいただきまして、これは先ほど樋口会長がおっしゃった参画会議の場で、私どもの大臣も、この専門調査会には貴重な具体的御提案をいただいていますと発言しております。それで、この御提案の中には一部将来の課題として検討することが適当なもの、それから既に着手しつつあるものもありますが、早急に着手すべき多くの重要な課題を御指摘いただきました。ただ、その際、相当な予算措置を伴うものがあることもまた御理解いただきたいという発言もさせていただいております。論点整理に関して私どもの基本的な姿勢は大臣の発言のとおりでございますが、更に事務方としてこの場を利用してお話をさせていただきたいという点が幾つかありますので、お許しいただければ発言させていただきたいと思います。
     1つは全体の話ですが、大臣も申し上げましたように、御提案を現実化するためにはかなり予算措置が必要であるということです。例えば一番予算の多くかかるのは待機児童ゼロ作戦や、あるいはここの中で御指摘の放課後児童クラブであります。
     ちなみに、少子化対策臨時特例交付金というのが11年度に始まりまして13年度に終わるわけですが、大体この措置で現実に4万人の定員が増えます。それで、4万人増やすために幾ら使ったかということですが、1,200億円使っているわけです。1,200億円使っているということは、1人当たり300万円ぐらいの費用がかかっている。今回はいろいろなほかの設備も設置していただいていますから300万円かからないとして仮に200万円だとしても、今の待機児童は3万3千人いる。それをかけると、やはり600、700億円かかります。ただ、これもここの御議論にありましたけれども、定員を3万人増やしてもまた3万人増える可能性があるから、本当にゼロ作戦にするならば仮に倍にする。6万人にしても、そうするとやはり1,200億円かかるというふうになります。
     ただ、我々としてはこれを全国おしなべてやるよりも、集中的に待機児童がある都市部あるいは市町村でやるべきだと思っております。それからこれも経済財政諮問会議などでも御議論がありますが、公設民営のような形のやり方をしないと、仮にお金を積んだだけではなかなかこれも進まない。具体的に申しますと、3年間で1,200億円、この市町村で使ってやりますが、現実にはお金を使うのにとても苦労している。ようやく3年度間でこのお金を使って設備整備が終わる。ですから、単にお金を用意しただけでは、土地の手当てから、経営者をどうするかとか、実際の運営の形態をどうするかというのはそんなに短時間ではなかなか進まないということがございます。今のは保育所で、放課後児童クラブも非常にあいまいな非常勤という形でやらせていただいていますが、本当に保育所並みの5歳児、6歳児対応の保育士さんを配置いたしまして、そこで仕組みとしてきちんとしてやるとすれば国費ベースで、これは運営費ですが、毎年750億円かかる。これは国費ベースですから、そのほかに市町村負担が更に750億円にもなる。
    島田会長代理
    放課後児童クラブは何か所でしたか。
    厚生労働省
    それは今1万1千か所くらいにしていますが、それをここの場での御議論もありましたけれども、都市部における学校に1か所つくる。そうすると約2万か所程度になります。
     それから、過去の1万か所程度のものには、うちは今50億円ぐらいしか出していませんが、それをきちんとした基準をつくってやるということと、今の1万か所増やすということを合わせて考えるとそうなるということです。
    島田会長代理
    50億円ですか。
    厚生労働省
    国費ベースでは現在は50億円ぐらいしか出していないです。
    島田会長代理
    さっき750億円と言われたのは。
    厚生労働省
    750億円というのは、整備してかつ2万か所にしますとですね。今は1万か所で非常勤という形でやっているわけです。それで50億円ぐらいです。ところが、常勤の職員で整備するとか、あるいは箇所数を都市部の学校に1つとすれば750億円。この750億円というのはあくまで国費ベースですから、プラスその場合の市町村負担がある。それから、お母さん方が当然市町村と国が合わせた分を負担すると1,500億円。
     そういう意味では3千億円の事業になる。もちろんその場では雇用は結構確保されるかもしれませんが、かなり大きな本格的な事業になる。
    島田会長代理
    市町村の負担は大体同額くらいになりますか。
    厚生労働省
    同額で国と同じです。それで、更に国と市町村を合わせた額が保護者負担ということで、これは今、政府の仕組みです。それで、現在国は3分の1しか持っていませんが、保育所並みにといったら2分の1にするということです。そういう意味で、保育所は特にハードの面、それから放課後児童クラブはむしろ運営費の面では非常に大雑把な見当ですが、かなりの予算が必要だというのことです。
    島田会長代理
    今、児童クラブとして学校を使っているのは何割ぐらいですか。
    厚生労働省
    学校は結構多いですね。
    島田会長代理
    半分ぐらいですか。
    厚生労働省
    半分弱でしょうか。余裕教室が26.5%と、学校敷地内の専用施設が15.7%、合計すると41%ぐらいです。
    島田会長代理
    あとは公民館とか児童館とかですね。
    厚生労働省
    そういう感じでございます。いずれにしましても、私どもの児童関係予算というのは1兆円ですが、何ら手当て措置がなされない限り、この1兆円に食い込んでやるということになると、逆に言うと児童虐待対策とか母子家庭対策の予算がなくなってしまうということもございます。検討中の事項で御提案される施策を実現するための予算の特別な配慮という検討事項がありますので、今後引き続きよろしくお願いを申し上げたいと思っております。
     以上が全体の話です。それから、個々の項目につきましては大臣も申しましたように、できるだけ早期に着手したいという意識でおるわけですが、若干幾つかの点で少し私どもの立場で申し上げさせていただきたいと思います。
     1つは、大きな項目の「職場が変われば両立できる」という項目の中で出産休暇5日間を制度化するというお話がありました。これは後ほどまた資料にも出てまいりますが、今も妻の産後、それから産前も実はありますが、産後8週間はすべての男性が育児休業を取れる。これは権利として取れるとなっております。それで、そこは事業主に申し込めば拒むことのできない権利になっておりまして、8週間以降は事業主が労使協定で適用除外にできるわけですが、8週間以内にある限りは全くその申込みを拒めないという状態になる。既にこういう制度がありますので、これと別に、あるいはこれと合わせて5日間を制度化するというのは、現行制度との関係でどう調整するのかというのは非常に悩ましいと思っております。そういう意味では少し長期的な課題かなと思っておりますが、いずれにいたしましても私どもとしましてはこの8週間を積極的に取れるような形の施策の推進をしてまいりたいと考えております。
     それから、「待機児童ゼロ作戦」は先ほど申しましたように費用の関係が主なものですが、3番目の「多様で良質な保育サービス」につきましては私どもとしても全体としてはこうした方向で進めておりますし、今後ともこの方向で進めたいと思っております。それで、1回目の御説明のとき以降、この数か月で状況が変わってまいりまして、設置主体の緩和の効果が表れております。例えば市町村、社会福祉法人以外の設置が現在27になっております。そういう意味では民間企業、個人あるいはNPO法人を含めて急速に増える状況が見てとれるのではないかと思っております。公表はまだしていませんが、その中身は個人が5、有限・株式会社が6、NPO3、宗教法人6、学校法人6などです。これもやがて公表させていただきますが、結構そういういろいろな団体がこの分野に出てきている。この傾向は今後とも続くのではないかと思っております。
     それから、認可外保育所もかなり認可保育所化されていまして、この1、2年ではもう50か所、認可外から認可になっている。それから、公立保育所の運営委託もこの1、2年で41か所ほど増えました。ただ、今のところ専ら委託先が社会福祉法人ですから、ベネッセさんのようなケースはまだ少ないけれども、傾向としてはこういう傾向がどんどん進んできている。そういう意味では、できればこうした運営主体の流れや、あるいはもちろん公立公営の保育所の中でも、ここで記述されているような多様で良質な保育サービスをという方向では私どもとしても積極的に規制緩和の面、あるいは予算措置の面で関わってまいりたいと思っております。
     ただ1点、保育所利用者が保育内容を十分把握できるよう、経営主体に対して十分な情報開示を義務付けることにつきましては、平成10年の法律改正で、少なくとも実施主体である市町村に対しては各保育所の保育内容について、これを地域住民に公表するという義務付けをまず行っております。それから、経営主体に対して我々はまだどういう内容を義務付けるかというのを検討しなければいけないので、その時点では努力義務として法律上規定をいたしております。
     ただ、民間の経営主体に本当に義務付けをするとすれば何を義務付けるか。義務の中身をかなりきちんとしなくてはいけないということと、それからもう一つは施設と言っても保育所だけではなくていろいろな施設がございまして、なぜ保育所だけがこの時点でこういう義務付けをするか。これは法制的な議論も相当あろうかと思います。その辺は、少なくとも我々はまず着実に市町村の開示義務を履行させる。ただ、しばらくは努力義務がありますので、この努力義務でどの程度やっていただけるか。あるいは、市町村を通じてやらせるかということを是非検討させていただきたいと思っております。
     そういう意味では、そのほかいろいろ情報提供を今、進めております。i-子育てネットということを始めておりまして、もうアクセスされた方も多いかと思います。今は7割ぐらいの全国の保育所をカバーしておりますが、全保育所カバーを目指して今、がんばっておりますし、私自身も見てみると特徴ある保育サービスを提供しているというような保育内容の情報公開もそれぞれでやっていただいておりますので、そのネットを活用していきたいと思っております。
    島田会長代理
    i-子育てネットについてはパンフが入っていますか。メールアドレスも入っていますね。
    厚生労働省
    そうですね。それから、本当はそこからまた個々の保育所のホームページにリンクできればいいのでしょうが、個々の保育所のパソコンの取扱いについてはいま少しといったふうです。ただ、これは時間の問題だろうという気はいたします。いずれにしましても、この大きな第3の項目はこういう方向で是非やらせていただきたいと思っております。
     それから、4番の「地域に学童保育を」ということですが、私どもとしてもお金があるのであれば本当にやりたい仕事の一つであります。ただ、先ほど申し上げましたように従来、ある意味ではあいまいな仕組みの中でやってきたということで、本格的にどう制度化するかということになると、全体で事業規模としては3千億ぐらいの規模になるのは確かでございまして、これをどうやって政府として踏み切るかというのはものすごい決断と政治的リーダーシップがいるのかなと思っております。
     ただ1点、私どもは別に本格的にやるやらないにかかわらずこの事業を進めていきたいと思っているわけですが、私ども事業名としては放課後児童健全育成事業、放課後児童クラブという言葉を使っております。これは若干長い歴史があり、いろいろな議論があって放課後児童クラブという形になったものです。そういう意味では、これから一般的に使っていきたいという名称で、是非御記述いただければと思っております。
     そのほかについては是非私どもとして検討を単年度予算になるのか、本格的に一つ少子化対策ということで枠をつくっていただけるのかはわかりませんが、いずれにしてもやるべきことはやっていきたいという事項ばかりでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
     最後に、検討中の事項でパパクォータ制につきましては私どもの内部でも随分議論がありまして、具体的な仕組みの問題もありますが、やはりパパクォータ制を実施する以前に我々の仕事としてはとにかく男性の育児休業が促進されるような環境づくりの方がまず大事なのかなというふうに思っております。先ほど申しましたように育児休業の8週間、それから別に小さなお子さんがいる場合は産前の6週間も取れることになっております。その権利の行使を何とかしてほしい。これがまず先なのかなと思っておりまして、そこに是非重点的な力を投入して、企業の理解がないとまたこれも難しいとは思います。一方で私個人もここにきて初めて産後8週間と、産前の6週間の育児休業があるというのを知ったような状況ですから、結構知らない人が多いのではないかと思っております。ですから、それを何とか活用させていただいて、それをもってパパクォータ制などの御議論を進めていただけないかと、私個人も、それから局内でもそういう議論をさせていただいているということでございます。
     それから、最後にフォローアップの議論が出ました。政策を実効あらしめるためにはフォローアップというのは必要であると思っております。ただ、もしフォローアップをするのであれば、政府全体としてこのいただいた御意見に対する何らかの正式なコミットメントをさせていただかなければ、このフォローアップのまさに実効が上がるのかどうかという点が最大の危惧でございます。具体的にはいろいろな形式があるのでしょうけれども、本当にきつい形であれば是非内閣府が中心になって音頭を取っていただいて、例えば閣議決定をしていただくとか、あるいはその代替措置も含めて決定をしていただくというのであれば、我々も本当に元気を出して前倒し、前倒しでやらせていただきたいと思いますので、是非よろしくお願いします。そうしないと、どういう形になるかはちょっとわかりませんが、フォローアップと言われてもなかなかそのツールが我々としても持てないし、あるいはそのフォローアップに対してなかなか責任を持てないという状態がつくられてしまう。これを危惧しておりますので、是非その辺の御検討も併せてよろしくお願いしたいと思います。
     以上、言いたいことを言って大変申し訳ございませんが、なかなかお願いできる機会がないものですから、この際いろいろ言わせていただきました。よろしくお願いいたします。
    樋口会長
    どうもありがとうございました。いろいろ御質問はあると思いますけれども、一応文部科学省の方が済みましてから御一緒にと思います。
    厚生労働省
    すみませんが、2点ほど追加いたします。資料の1ページと2ページを後でも御覧いただきたいと思いますが、先ほど申しました妻の出産時の育児休業の取得について、特に1ページの下の方ですが、産前6週間と産後8週間、これはとにかく権利ですから申し出ていただければ取れるという実態でございます。
     それから、この場ではかなり前に出ましたが、2ページのパートタイム労働者の育児休業、これは最後の段階ではあまり議論にならなかったかもしれませんが、基本的には取れるということでございます。それで、適用除外対象者としては、期間雇用者については取れないということになっておりますが、ただ一番下の下から4行目で、こういう方についても実質上期間の定めなく雇用されているかという実態に着目して育児休業制度、介護休業制度を適用すべきだということに建議されていますので、私どもとしてはなるべくこの建議に沿うような形で指針を出して、こういう方々に対しても権利としての育児休業を保障するようにしたいと思っております。
    樋口会長
    どうもありがとうございました。それでは、文部科学省の方からお願いいたします。
    文部科学省
    男女共同参画学習課長をしております有松と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
     資料1-2として関連施策の主なものについて挙げておりますので、これを御覧いただきながら御説明申し上げたいと思います。文部科学省はこれまで施策の御紹介をする機会もなかったものですから、それも含めて検討状況報告の中で関連して出ているものに関わるものとして順番に御説明させていただきたいと思います。
     まず、学童クラブとの関係で学校の余裕教室活用促進のことがあると御指摘をいただきました。そこにこれまで申し上げたことも含めて説明をしておりますが、一言で申し上げれば法律上の定めはありますが、文部科学省としては余裕教室の転用が進むように手続の簡素化あるいは明確化をここのところずっと図ってきております。現状で申し上げれば、平成3年から学童保育や児童館に転用する場合、またあるいは平成9年からは保育所に転用する場合は、特に本来の承認という手続ではなくて、転用することを文部科学大臣に報告をするということでもってできるというような簡素化が図られております。
     それで、そこに御参考までに挙げておきましたけれども、余裕教室を保育所とか学童保育施設等へ転用した実績が平成5年度から11年度までで合計921という数でございます。その活用促進のための取組についてもその下のところに表でまとめておりますけれども、今、申し上げましたような簡素化や明確化に加えて、もちろんこのようなことでできるんだということを広く広報するということが大事だと思います。現場と申しますか、市町村でなかなか進まない。おっしゃっていただいていることは本当にそういうこともある部分ではあるのだろうと思いますので、文部科学省としては積極的にその活用を図るというような観点から広報に努めているところでございます。その際には、厚生労働省とも共同しておりまして、パンフレットやら手引書、または質問集などもつくって広報をしております。
     ちなみに、先ほど御紹介が出ましたi-子育てネットに、今年の2月に余裕教室が保育園の分園などに転用された事例も紹介されております。3例ほど載っておりますので、もし機会がありましたら御覧いただきたいと思います。
     それから次のページ以降の話ですが、保育との関係で幼稚園のお話が出てきておりましたので、幼稚園についての子育て支援との関係の施策を御紹介したいと思います。もちろん幼稚園本来の基本というのはあるわけでございますが、今、幼稚園をそれだけではなくて地域の幼児教育のセンターとして機能させていこうということで進めております。これにつきましては、5ページに当たりますが、ちょっと絵を付けておきましたのでそれも御参照いただきながらお聞きいただきたいと思います。地域地域で少子化とか核家族化とかということで、子育て支援の重要性が高まっているということを踏まえて、幼稚園はもちろんそうですが、幼児教育の専門機関を大いに地域の幼児教育のセンターとして機能させようということでございます。
     その際に、私どもが今、言っているのが、親と子の育ちの場として幼稚園が機能していこうという観点で進めたいと思っております。具体的には下の方に幾つかありますけれども、子どもにとっては未就園児の親と一緒の登園ですとか、交流の場とか、それから地域の高齢者やボランティア団体などとの交流ということもございますし、更には保護者への支援として保護者の悩みの相談に答えるとか、子育てカウンセリングとか、あるいは子育て情報の提供をしたり、またシンポジウムをしたり、子育て講座をしたりというようなことも幼稚園が積極的にしていけるようにと考えているわけでございます。
     そのための施策ということでございますが、1つには幼稚園における子育て支援活動の推進という名前の予算がございます。これは、地域を指定して調査研究という形で先ほど申しましたようなさまざまな活動を実施していただくという事業でございます。
     併せまして、そのようなことをする私立幼稚園に対する私学助成の特別補助という形の措置もやっております。
     それから、その中の一つではありますが、預かり保育の推進をするための経費というのも私学助成の方に措置がされております。
     それから、これまでのお話にも出ました幼稚園と保育所の関係でございますが、もともとそれぞれの目的によって立っているものではございますけれども、もちろん同じような年齢層の子どもを対象とする施設でございますので、弾力的な保育園と幼稚園の運営を目指して、地域の実情もございますので各地方公共団体などが施設の共用化とか、幼稚園の先生と保育士さんの合同研修とか、先ほど申しましたものも含めて子育て支援事業を連携して実施するとかというような形で連携を推し進めているわけでございます。今後とも、これらにつきましても厚生労働省と検討しながら進めていきたいと思っております。具体的なわずかなものではございますが、研究協力施設を指定して実践的に今のようなことについて行うというような項目も予算にはございます。
     4番目に挙げておりますのは、満3歳になった段階での幼稚園の入園に対する対応でございます。幼稚園は満3歳になった後の4月から入園することが慣例でありましたが、もうちょっと早い段階から遊び相手とか集団生活を求めて入りたいというような御要望が高まってまいりました。現実に3歳児の就園率も上がってきたことも踏まえまして、3歳になってから4月を待たずに入園できるというような形になっております。そのための、これも地域地域で例えば望ましい保育形態などについて研究してもらうための調査研究費用というようなことも措置をしております。
     それから、3番目から始まります「地域で子どもを育てる教育環境の整備」という項目で御説明をしておりますが、検討状況報告の中でも「地域こぞって子育てを」という項目を挙げていただいております。これはまさに私ども文部科学省が今、考えておる一つの大きな施策の柱でもございます。と申しますのは、ここに施策の名前として全国子どもプランというのを挙げさせていただいておりますが、これ自身は2002年度から完全学校週5日制が始まることに備えて、11年度から13年度までの緊急3か年という名前を付けて進めてきたわけでございますが、子どもの学校外の活動を大いに振興して、休業の土曜日、日曜日を中心に学校だけではなくて地域ぐるみで子どもを育てる。子どもの活動の場、生活の場を充実していこうというようなことで緊急的に進めてきたものでございます。
     これについては6ページにちょっと細かい表で、しかも横になって恐縮でございますが、全国子どもプラン全体のいろいろな事業がこの中に入っておりますが、状況をお示しした表がございますので御覧いただきたいと思います。3つほどに分類できると思いますが、子どもの体験活動についての情報提供をする機能、それから活動の機会や場を広げようということ、それから子どもや親への相談体制を整備していこうというものでございます。一番左の情報提供のためには子どもセンターと申しまして、これはボランティアの人たちの運営ですが、親と子どもが活動するための情報を入手する場ということで、全国で1千か所ぐらいの設置を目指して進めております。
     それから、子どもたちの活動の機会と場の拡大ということで言えば、随分たくさん名前を挙げておりますが、子どもが地域で活動をするためのさまざまな体験活動を地域で実施するための事業とか、2番目の親しむ博物館づくり事業というのがございますが、博物館でただ展示物を見るだけではなくて、ハンズオンと言って自ら触ってみるような活動を博物館で進めるための事業ですとか、専修学校や大学を開放する。下の方には、各省庁のそれぞれの施策と連携をいたしまして、子どもの活動の場を広げていこうというような施策を盛り込んでおります。
     右の方では電話相談とか、それから後ほど御説明申し上げますが親のための情報提供という意味で、家庭教育手帳とか、ノートか、家庭教育ビデオを作成して配布するということを進めております。
     このように、地域で子どもを育てるということにつきましては、従来ともすれば学校が地域に開かれていないと言われていたことを大いに改めていこうということで、先ほどの余裕教室の活用、学校以外の目的への転活用ということも含めて、学校を大いに地域に開いて、学校の運営にも地域の方々にいろいろ御協力をいただき、また学校も地域に活用してもらうというような考え方で進めたいと思っているところでございます。
     それから、(2)に挙げておきましたのは、今まさにできたばかりのものでございますが、独立行政法人に国立オリンピック記念青少年総合センターというのがございますが、そちらの方に新しく子どもゆめ基金というものを基金として100億円、運営交付金として20億円ということで、120億円で創設をいたしました。民間団体がいろいろ子どもの体験活動などを行うときに支援をする、補助をするというような形の基金を創設したところでございます。
     それから、3番目にございます地域ふれあい交流事業というのがまさにもう少し子どもと、それから地域の大人も巻き込んだ形で交流事業を始めようという新しい事業でございます。13年度から取り組み始めたばかりでございますが、これも7ページの方に図を挙げさせていただいております。学校の余裕教室とか、公民館とか、地域のいろいろな場を活用する形で、地域の大人と子どもが年齢も超えて触れ合うモデル的な事業を全国で実施してもらおうというものでございます。例えば高齢者と子どもの触れ合いですとか、異年齢の子どもが通学合宿をするというものもございますし、その図の右下の方には大学生など地域のお兄さんお姉さんが子育て体験をするような活動もこの中ではできるというような形で進めたいというふうに思っております。
     (4)にございますのは、青少年の社会性を育むための体験活動というような名前の、これも新しくモデル的に実施する事業でございます。全国の国公立、青年の家とか、少年自然の家というような青少年施設がございますが、そういうところでいろいろ悩みを抱えている、例えば引きこもりがちな青少年とか、そういう青少年の自然体験活動や生活体験活動を実施していくような、これはモデル的にやる事業でございます。
     今、3の中で御説明しましたのが全体というよりは新しく取り組み始めております事業中心でございますが、このような事業を地域で子どもを育てるというような基本的な考え方で広く進めていきたいと思っております。
     それから次に家庭教育のことでございますが、検討中の事項の中で仕事と子育ての両立が必要な親のための教育啓発というような項目が挙がっておりますし、検討のお話の中でも親が親としての基礎的なものが身に付いていないというようなお話もあったかと思います。私ども家庭教育の支援につきましては従来から、例えば親のためのいろいろな家庭教育について学ぶ機会を提供するですとか、情報を提供するですとか、相談体制を整備するというようなことをずっとやってきているわけなのでございますけれども、難しかったのは、家庭教育について学びたいと思う人がやってきてくれる講座しかできなかったというようなことだったわけでございます。
     すべての親に向かって家庭教育について考え直してもらうきっかけをまずは持ってもらい、関心を持ってもらうというようなことを考えまして、先ほど子どもプランの中に出ておりました家庭教育手帳、家庭教育ノートの作成配布というようなことで平成11年度から配り始めております。すべての小中学生の親向けのものが家庭教育ノート、それから乳幼児を持つ親向けのものが家庭教育手帳と申しますけれども、それぞれにこういうもので1部しか持ってきませんでしたが、これはもちろんやりなさいというようなものではありませんが、家庭教育のヒントというような形でいろいろなことが書いてあります。例えば、子育てはゆっくりしましょうとかというようなことも含めていろいろなことが書いてありますので、これを何かの折に学習会で活用するようなこともあるし、手元に置くことでもってちょっと家庭教育について考え直してみるというようなきっかけになればということで配っているものでございます。
     それに加えまして、3ページの4(1)の「子育て学習の全国展開」というものを13年度から始めたいと思っております。これについては8ページに絵を付けておりますので御参照いただければと思いますが、2本柱になっておりまして、1つには就学時健診というのがございます。次の4月から小学校に入る子どもたちが大体秋ごろに、多くは今度行く小学校に集まって健診を受けるというような学校保健法に基づいた制度がございますが、従ってその就学時健診はすべての幼児と親が集まる機会になります。そのときをとらえて、その親たちにそんなに長いものはできませんけれども、学習機会ということで講演なり話し合いの機会なりということでやろうというのがこちらの方でございます。また、そうでなくても市町村によっては乳幼児健診を集団でやるような機会の方がいいというところであれば、もっと早い機会にも実施できるようになっております。
     右側の柱は今、非常に子どもたちにいろいろなことがありますので、特に思春期の子どもを持つ親向けの緊急子育て講座と申しまして、これはモデル的に県主催で1県に2か所ぐらいで実施しようというものでございますが、両方合わせて子育て学習の全国展開ということで新たに13年度から実施しようというものでございます。
     1枚めくっていただきますと、先ほど出てまいりました電話相談、子どもからの相談と、それから親からの相談、どちらについても、24時間対応できるような体制づくりを、これも11年度から実施をしてきております。
     4番目に子育て支援ネットワークの充実というのがございます。こちらも12年度から新しく始まった事業でございますが、子育てサポーターといったような名前の、これは預かって見てあげるというではありませんが、気軽に日常生活の中で相談に乗れるような子育ての先輩の人たちに市町村がお願いをしまして、全国の地域地域で子育て支援をするようなネットワークをつくってもらおうという事業ですとか、あるいは父親が家庭教育に参加することを促進するためのさまざまなフォーラムとか、企業に出かけていく家庭教育出前講座とか、子どもの職場参加などを実施しております。
     (5)は家庭の教育力の低下というようなことが言われて久しいものですので、その実態ですとか意識のようなものについてここで改めて調査し、またその成果を踏まえてシンポジウムなどの開催をしたいということで今年度考えているものでございます。
     一番下に載せておきましたのは本来の文部科学省としての施策とはちょっと性格が違うかもしれませんが、かすみがせき保育室についてはこれまでお話も出ております。チラシを一緒にお配りさせていただいておりますので御参照いただければと思います。これは文部科学省共済組合の事業として実施しておりまして、文部科学省職員を中心に乳幼児を預かるということでこの10月開園を目指して準備中でございます。
    樋口会長
    4月じゃなくてこの10月ですね。
    文部科学省
    改修などございまして、10月開園の予定でございます。どうもありがとうございました。
    樋口会長
    どうも短い時間で有松課長、それから皆川課長、本当にありがとうございました。これから11時5分までぐらいしか時間がありませんが、質疑をどなたからでもどうぞ。
    島田会長代理
    今日は非常に詳しく、貴重な情報をいただいてありがとうございました。ちょっと4つぐらいのポイントについて、非常に重要なところにきているものですからコメントを申し上げたいと思います。
     1つは、数値目標を確実に示して実現のための約束とするということです。もう1つは予算ですね。それからもう1つは、さっき皆川課長がおっしゃったフォローアップの担保の措置をどうするか。担保の措置を厚生労働省からやってくれと言ってもなかなか動けないというのはよくわかります。ですから、総理大臣直属の機関としてコミットしていただくという形をどうするか、工夫する必要があります。それから、情報開示の問題ですね。
     数値目標については今、待機児童3万人という話があります。全国各地でお調べいただいて3万人、仮に定員を増やしたとしてもまた3万人か5万人出てくるだろう。そこまで政府がやる気ならば本気でお願いしようという人が出てくるに決まっていて、それはいいことだと思います。それで、仮に3万人増やすとすると700億円だというお話がありましたけれども、私はこれについてはやはり前回、今の3万数千人から、あるいは5万人ぐらい、あるいは無認可のところへ行っている方を数えると20万人というお話がありましたけれども、3万人か5万人は確実に増やすと、やはり数値目標を掲げるべきだと思います。それを、予算措置をどうするかというところまで踏み込んだ提案を私どもはすべきだと思います。
     そのときに、さっき国で600億円、700億円というお話がありましたけれども、そこはよく精査をして考える。そのときに、やはり待機児童が多いのは大都市ですから、大都市は徹底的にやる。ただ、この前の会議でも地域や地方でもいろいろな問題があると御意見があり、それはそのとおりなので、前に福武委員がここでおっしゃられましたけれども、地域特性をもっとフレキシブルに生かせるようにするということでこの問題はかなり対応できるんじゃないかと重います。だから、数量的な力点というのはやはり大都市だと思います。けれど、質的にいろいろな形で地域の特性を生かすことをやるべきではないかと思うんです。
     そのときに、その量を増やすときにどういうことでそういう予算になるのかというのは精査する必要がある。というのは、施設費は高いですから、新たに土地の買収なんてやろうものならばえらいことになる。全国各地に大都市といえども学校関係の施設も含めて、国民の立場から使おうと思ったら随分いろいろな施設があります。省庁の立場から見ると別の省ですから使えないけれども、国民の立場からは随分あると思います。
     小泉総理が今度組閣をするに当たって皆さん驚いたでしょうと平気でおっしゃっている。そういう総理に今まで目的外使用というできなかったことを是非実現してもらいたい。そうすると、そんなに莫大な予算にならないでできると思うんです。皆川課長は一番よく知っていると思うけれども、あれが使えればという施設はあるわけでしょう。現実的で、しかし大きな規模のことができるという工夫をすべきだと思います。
     そのとき、1つ非常に重要なことをおっしゃられた。それは、そうは言うけれども予算というのは結構使えないものですよという話です。実際に新しく施設をつくって人を雇って運営して何だかんだやったら、これはものすごく大変な仕事です。ですから、財政事情もある中で当事者は足がすくみます。それを超えなければいけない。そこで、やはり私は地域の特性を生かすということも含めて、施設は公的なものを徹底的に使うけれども、運営はできるだけ多様な民間主体の力を借りる。民間主体でやりたい人はたくさんいるけれども、アクセスがないんですね。それから許可もされない面もありますから、アクセスと許可を付けてあげれば民間パワーは活用できる。政府の厳しい財政制約の下、人々を幸せにするためには、中期的な措置として民間を活用せざるを得ないというふうに私は思います。
     ただ、それと連動するのが情報開示です。今まで基本的に民間に対する信頼感が薄いのは、一部の優良な有名会社は別として、そうでないいろいろな事業者についてはやはり不安を感じます。そういうものについての情報開示がなければ、自由化はできないんです。だから、自由化すると言ったら情報開示。では、情報開示でどこを調べればいいのか、難しいというお話がありましたが、一度この調査会を使ってどういう情報開示になっているのか、十分サンプルを示してもらいたいような感じもします。ここへパソコンを持ち込んで数件見ればいいんでしょうが。
    樋口会長
    ここに出ていますね。
    島田会長代理
    出ていますけれども、ここに出ているものでは私は情報開示と言っても不十分だと思います。というのは、ユーザーの立場から見ても不十分だし、経営は大丈夫なのという面から見てもこの情報では不十分ですよ。
     ですから、私はまず市町村が何を出しているのかを詳しく知りたいですね。こういう施設がありますというだけでなく、生活者から見たら使えるか使えないかの判断ができるような情報が欲しい。情報化時代ですから。情報を徹底的に公開するというのが電子政府であって、針金を引いたり、パソコンを持たせたりするというのは本当の電子政府じゃないんですよ。情報公開が電子政府の基本なんですね。
     先ほどあった保育所の第1希望、第2希望の話でも、市町村、行政庁は第1希望がだめなら第2希望に行けばいいじゃないかと考えるでしょうが、ユーザーから見ると10分、15分余計時間が掛かるというのは決定的な制約になることがあるんですね。
     だから、ユーザーの観点からの使いやすさの情報というのを示す必要があり、その指導を厚生労働省はすべきです。今までの日本の社会というのはお上が認めたらOK。お上はいいところしか認めませんから。しかし、それはいいけれども、多様なものについてはちょっと扱いにくいという発想がお上の方にあったわけです。今は全く事情は違うので、多様なものはまずどんどんやらせる。しかし、それにふさわしい情報は徹底的に開示させることが必要です。
     そこのところを私は会長にお願いしたいのですけれども、情報開示についての議論を一回まとめてやっていただきたいと思います。情報開示が十分でなければ、多様な民間主体はやはり入れにくいですよ。ですから、そんな過大な予算ではなくて、公共の施設を徹底的に使って、情報開示は徹底させて、そして多様な主体にやらせる。やらせてまずかったら営業停止にするというチェックができるようにしておくということですね。それがあって初めて公的なサービスの補完を民間にさせられると思うんです。そこまで書き込んだものを作るべきです。今度の内閣は新たな発想を持っており、フレキシブルに様々なことに対応できる可能性があると思います。
     またフォローアップの担保措置でこうしてくれればありがたいというのは、これも事務局にちょっと知恵を出していただいて、これは我々全力で取り組みたい。
     それから、放課後児童クラブはとても重要ですけれども、放課後児童クラブについてさっきおっしゃった数字は過大だと思うんです。今50億円出していて1万1千か所をとりあえずやっているわけでしょう。2万か所にしたら750億円になりますと、そんなことを言われても困りますね。常勤ベースでとおっしゃいますが、常勤としては総合管理の人が必要なのであって、放課後児童クラブは常勤である必要はない。その代わり、むしろ民間の能力のある人を現場で使う。その費用は親が応分に負担するのは当たり前ですよ。むしろ基本的には親負担です。しかも現実には親は負担したくても施設やプログラムがないんです。ベビーシッターしかない。ベビーシッターは1時間で千何百円も取る。これはかなわない。
     政府の関連部局はすぐ予算を取りたい。予算を取りたいのが見え見え過ぎてよくない。これについて国は100億くらいで大丈夫ではないか。市町村に200億くらい出してもらって、親が残り全部出す。親はそれでもこのサービスはどうしても欲しいんだから。
     そういうことで、そんな過大な予算ではない。ただ、実現だけは絶対するということでやってもらいたいと思います。
    樋口会長
    ありがとうございました。今日は御出席の委員の方も余り大勢でないので、皆様お一人ずつ御発言いただきたいと思います。御質問等、御意見をどうぞ。
    河野委員
    島田会長代理がマクロの御意見を言ってくださったので、逆にミクロの点から入りたいと思います。
     まず私は、企業からすると最低限の、または与えられた予算で最大限の効果ということを視点にして全部見てみました。それで、幾つも今あるものに工夫と知恵を加えることで活用できるものがあるということが改めて分かって勉強になりました。例えば、先ほど私は保育園の第1志望、第2志望、そして第2志望になると2割、3割行かない方もいらっしゃるようなことを初めて伺ったんですが、また逆に島田会長代理の方からもユーザーからの観点というのがありました。
     ここで、例えば企業の方が被雇用者のフレックスタイムの有効利用ということを進めればうまくいく場合もありますし、幼稚園の園バスを保育園に提供することでうまくいくこともあるし、保育園の近くに有料駐車場をつくりまして雨の日とか親が送ってそのままそこに置いておけるとなると、これも便利性が違うんですね。または、送り迎えの代替要員を第2志望になってしまった人にはすぐに与えるとか、そういう工夫をすることで第2、第3も使いこなせるのではないか。よく地域の幼稚園でも、サービス一つでかなり遠くの幼稚園でも行く方が増えたりすることを見ますと、これは一例ですけれども、ちょっと工夫を加えることで先生がおっしゃったように土地を買収するとか、正社員を採るような人件費をかけるとかいうことは必要ないかもしれない。そこで、ちょっと知恵を絞ろうではないかというのが一つです。
     その中でもう一つ、私も今日勉強になりましたが、男性の産前産後の部分で産前も取れるんですか。本当は私が知らなければいけないようなことなので申し訳ないんですが。
    皆川課長
    それはあくまで育児休業ですから、育児対象の児童がいて、そのお母さんが産前の6週間と。だから、もう一人子どもがいることが前提になります。
    河野委員
    初めての子どもを生むときに産前はだめですね。それは誤解を招くかもしれないですね。分かりました。
     というのは、私たち企業人は男でも女でも、休みを取るときにまず開くのは社則なんですが、この件について社則では分かるような書き方にはなっていません。どう見ても産後というと生む本人、女性というイメージが多いですね。例えば組合が配るパンフレットにしろ、社則にしろ、これは書き方一つ変えるだけで全然違うものになると思いました。ちょっとこれをリメイクしてフェイスを変えるだけでかなり有効利用できるのではないかというふうにも思いました。そんなあるものをうまく使うというのも一つにして、最大限の効果ということを考えたいなと思いました。
     それで、これは先ほどの放課後クラブの件で全く別件ですが、今、放課後に関しては塾やお稽古事に通わせる方が本当に主婦の方でも多いので、例えば全部に行き届かせた場合、本当にどのくらい活用されるかというのはすごく大きい課題だと思うんです。今、先生がおっしゃった、臨時の雇い方というか、ボランティアのようなことでやればいいんですけれども。
    島田会長代理
    常勤でなくていいんですよね。
    河野委員
    そうです。逆に言うとスクラップ・アンド・ビルドが必要で、ここは必要、増やさなければというのと、こちらは要らないというのがかなり見えてくるだろうと思うので、まずスタートは最低限の経費でやってみて市場調査するような形がよろしいのではないかなと思いました。とりあえず以上です。
    樋口会長
    ありがとうございました。では、御返事はまたまとめて、要望が多いと思いますから、櫻井委員どうぞ。
    櫻井委員
    こうやって伺っていますと、本当に長い間にいろいろなことが工夫されていたんだなということが改めて認識される部分がたくさんあります。文部科学省さんの方で子育て学習の全国展開ということで、また就学時健診等も使っていただいているということと、それから思春期の子どもを持つ親の緊急子育て講座、これは各学校で家庭教育学級のようなものを実施していただいているんだと思うんですが、ちょうど交通安全教育がこういう形を踏まえてものすごく実績を上げておりますので、こういう点の一層の実施を期待したいと思っているところでございます。
    樋口会長
    ありがとうございました。佐々木委員、どうぞ。
    佐々木委員
    いろいろ情報をありがとうございました。本当にいろいろなことが今、出ていましたが、前から言われているように厚生労働省と文部科学省の二手に分かれているものが、子ども省のようなものができて一緒になればきっと予算やいろいろな面でもっともっと早く進むのになと、聞いていて今まで以上に強く思いました。
     また、同時に、聞いていると何かプライオリティが低いことにいっぱいお金が使われていてちょっと違っているような気がすることもある一方で、国の役割として国民が必要だというものじゃないものだって必要なものがあるわけですから、いろいろとやらなければいけない御苦労があるんだなということも勉強になりました。
     情報の開示についてですけれども、これは私が言うまでもなく、何を開示すればよいのかではなくて「すべてを開示する」という方向の中で、どこは開示しなくてもいいのかということを決めていくというくらいの姿勢で臨まないと、情報開示というのはうまくいかないと思います。
     保育園などに関しては、これはもちろんいろいろな施設があって、保育園だけではないと思いますが、当事者が声を挙げられないということが一番の問題点だと思うんです。子どもたちは自分たちがぶたれたり、あるいは何か悪いことをされたりしたときに、それを訴える能力がなかなかないわけですから、こういった人たち、それは保育だけではないわけですけれども、施設に関しては本当にすべてが開示されていなければならず、そこでは絶対に開示したらおかしいと思うぐらいのところだけが伏せられてもよいわけです。それはプライバシーの保護などで、それ以外のものは開示するという方向性でいかないと難しいんだろうと思います。
     それから、これもミクロの話ですけれども、省庁やいろいろなところで持っている施設を上手に使い合うというのは大賛成で、国民の一母親の目から見れば本当にそれは当然だと思うわけですからやっていただきたいし、今はいいチャンスなんだと思います。私は常々、財務省がお持ちの物納されている土地が民間の不動産屋に余りにも安い価格で売られているのを見て、本当にばからしいといつも思っているんですね。私の住む世田谷区の周りにも南通り6メートルに面した200坪、300坪の非常に美しいきれいな土地がありますが、これはお役所の職員が住んでいた家がぼろぼろになって10年間ぐらいそのまま幽霊屋敷のようになっていていたものですが、母と常々ここが保育園になればいいのにと思っていました。そうしたところ、民間の不動産屋に売られて6軒建ての分譲地となって売り出されて、どうしてこんなに保育園とかいろいろな施設が欲しいのに国は一方で競り落とされるところに売るのか、これを活用すれば本当に建物を建てるだけで、もしかしたら運営は民間の人なんてやれば安くできるのにと思ったところです。ですので、是非今ある施設以外、特に、私たちが保育施設が欲しいと思っているところには物納の空地に多分数多くあるだろうと察するので、あの辺りは上手に活用していただけたらいいなと思っています。
     あとは、先ほどの放課後児童クラブなどに関しましては、河野委員がおっしゃったように毎年対応が柔軟にできるような形がいいと思います。私の周りでも3年生、4年生になったら学童クラブから追い出されたということがよく耳に聞こえてきて、逆に塾に通わせて毎日お弁当を持たせると10時まで預ってくれて勉強も教えてくれて月2万円で安いと、変なところに預けるよりも、塾を学童のつもりで預けているという声を最近聞いて、そうかと思いました。塾に通う子どもは10時に帰ってくるかわいそうな子どもたちと思っていたけれども、あれはみんなのために役立っているのかということで、何か不思議な世の中になってきていると思います。
     そういった親の知恵といろいろな民間の知恵で今、子どもたちがそういうところに行っているとなると、いろいろなことを考えながらスクラップ・アンド・ビルドができるような形でやっていっていただきたいし、と言いながら保育園でずっと育ってきた子どもや、そういうところに預けていた親が1年生になって早く学校から帰ってくるのに学童に入れない、と困ったりしていますので、上手にできたらいいなと思っています。
     うちの子が1年生にちょうど4月からなったものでそういう声をよく聞きますが、保育園から小学校1年生になった子どもたちは今の時期はみんなお昼に帰ってきちゃうんです。そうすると、午後は電話合戦になります。今あなたの家に遊びに行っていいとか、みんな電話でこっちの家にリュックを背負って行ったり、あっちの家に行ったり、こっちは私立に行っているから2時まで帰ってこない、こちらの家は11時だなどと言って、みんな大変な午後の時間を過ごしております。
    樋口会長
    ありがとうございました。それでは、お待たせしました田尻委員どうぞ。
    田尻委員
    御説明は皆川課長、有松課長ともに御自分の言葉でしゃべられて非常によくわかりました。
     それでまず予算ですが、私が思うのはちょっと話は大きいんですけれども、配偶者控除ですね。これは特に女性の方の働き方みたいなものを補助的なものにすると自分で抑制してしまうところがあるので、基本的には廃止して予算を保育とか子育ての方に当てていく。男女共同参画社会をつくるには、その障害になっているような予算をいい方向に移していくというような作業をする必要があるんじゃないかと思いました。
     保育園に関しては島田会長代理もおっしゃったように、基本的には余り箱物をつくらない。今あるものを使う。それはすごい賛成ですね。幼稚園だとか学校だとか、そういうものを使っていく。むしろ保育の質とか、保育士さんの数をそこに手当てしていく。それで、3歳児神話でもないですけれども、あれは母親がというところで私は問題だと思うんですが、確かにゼロ歳児、1歳児というのは非常に重要な時期なんですね。それで、その時期に具体的に都がやっているように子ども2人に1人ぐらいをつけるように、そういうところにお金を使うという発想はきちんとやっていただきたい。現実に私は大田区で子どもを預けまして、やはりいいですね。民間民営も結構で、そういう質に対して目配りしながら民営もやっていくという姿勢でやっていただきたい。
     それと、学童に関しては、これは私の感触ですけれども、本当にある程度の予算で非常に効果が上がるというところだと思うんです。今までは言葉は悪いですけれども、日陰というか、そこにもっと予算を使っていくということは効果がすごく上がると思います。
     それと、ちょっと早足ですけれども、例のパパクォータ制で議論がありました。私が思っているのは産休のその時点だけではなく、むしろ1年間の育児休業に関してやはり母親に非常に偏っている。1年間の育児休業に関して一方の性の独占じゃないというところを出していただきたいんです。現実的にこの間、調べていただいて意見募集が500ぐらいきた中で私はいろいろ見ていましたけれども、病児保育もかなり上位でありましたが、男性に育児休業をもっと取らせるようにというようなことが80近くあったんですね。どうしても男女共同でやっていこうと言ったらここに光を当てないといけない。何らかの育児休業的なものに、例えば1か月ぐらい今のに上乗せするとか、今どこかの党が出している7か月ずつ男性と女性と取って、6か月は譲れるとするとか。実質的な効果というのは非常にあると思います。諸外国の例を見てもそうですね。
     それと、手短に言いますけれども、とにかく企業に勤めていて一番必要なのはやはりトップへの教育ですね。特にヒアリングの説明者などは、非常に熱心に語られるんだけれども、男性の働き方はそのままでいいと話しているように聞こえてならないんですね。それでは絶対100年やっても変わらないです。だから、トップに経団連を含めて男性の働き方も変えていって一緒にやるんだよというメッセージを送るとしたらこの調査会しかないですから、そのことを強くやっていただきたい。
     あと1つは雇用のところですが、通達で労働者は継続的に働いている場合は適用になるという趣旨のものを出されるのであれば、法律で期間労働者は初めから適用にならないとしているものに関して、やはり前向きにこれは適用除外から外していかないといけない。必ずしも労働者は1年間取るわけじゃなくて1か月の場合もあるわけですから、全くというか、我々の方針には矛盾していると思います。以上です。
    樋口課長
    時間を少しオーバーいたしましたけれども、皆様大変よい御報告をありがとうございました。
    河野委員
    1点だけ御質問をいいですか。先ほどパートタイム労働者の育児休業について期間雇用者は適用除外だと触れていただきました。逆に、パートタイム労働者で育児休業を取られた実態がどのくらいあるのかというのを伺いたかったんです。
     なぜかといいますと、企業側は100%が「なぜパートの人に育休が必要なのか」という反応を示しました。前回私が申し上げてしまったので自分でリサーチしましたら、100%が「なぜ」という声なんですね。その実態がいいか悪いかは別として、実は具体的に人件費は固定費で人事の経費ですけれども、通常パートタイマーは流動費で雑給で落としますので事業部予算になるケースが多いのです。そこで育児休業が発生するなどということは考えられないのです。だから、ここで進めていくのか。逆に、ここはとりあえずということで押さえていくのか。ここはちょっと出し方、方向性をと思いまして質問なのですが、どのくらい取っている実態があるんでしょうか。
    厚生労働省
    正直言って分かりません。調べる手立ても今のところないです。ただ、今の御指摘はむしろ仕組みの問題と、あとはまさに雇用とか給与の体系の問題、実態の問題がやはりかなり狭間があるのかなと伺いました。
    樋口会長
    今のは重要な御指摘で、なぜ今までの施策が効を奏さないかということの一つに、現実にその施策はあって言葉ができて適用するとあっても、そこに準用されない可能性がある。日本のパートタイマーはフルパートという矛盾に満ち満ちた言葉が通用するような実情で、パートは一種の身分なわけですね。それで、期間を定めていわば1年ごとぐらいに雇用契約を更新されていて20年勤めてなどという人がざらにいるわけですね。だから、制度はあっても実際に適用されている人がどのぐらいいるか。こういう制度があったとしても、それが果たして全日本の女性のどこぐらいまでカバーされているのかという図表をモザイクなり円形グラフなりで一つ一つの施策ごとまとめたらいいじゃないかと、最後の提言のまとめ方を今、相談していたところなんです。そういうのはちょっと面白いでしょう。
     それで、もう時間がないのですが、私からも若干のコメントというか、説明を一言ずつ申し上げてよろしいでしょうか。お2方とも大変いいヒアリングをさせていただいて本当にありがとうございました。
     皆川課長のお話を聞いていてみんなそうだろうと思うんですけれども、政局も変わったことですから、幼保一元化なんてあっという間に実現させて、総理をびっくりさせてあげていただきたいと思っております。さっき島田会長代理も言われましたけれども、私はなぜお金が使えないか。使うのに苦労しているというような話は途中で吹き出しそうになってしまったぐらいですけれども、まさに今までの予算の付け方と金の使い方で言うと非常に難しいだろう。昔でしたら予算を取る必要上こんなにお金がかかりますという言葉は大変有効だったんですけれども、今の時代にこんなにお金がかかりますというのは、その政策はやりませんと聞こえてしまうんです。ですから、やりませんではなくて、お金をかけないでやっていく方法をつくっていただきたいと思っております。
     それで、先ほどのパパの育児休業、私もこういう制度があるということはむしろこの座に付いてまとめながら知ったぐらいなんですけれども、せっかく制度があるのならば、整合性をというよりも、あることの上に乗せてできることを考えるべきではないでしょうか。いかに今までこういうことが宣伝されていなかったか。あえて言えば、労働組合などはこういうことをもっともっと主張して父親、労働者に取るように言えばよかったのではないか。こういうことを是非進めた上で、こういうものがあるからこそ父親の産休、これは5日間などというのは非常に簡単にできることではないか。後で局長から御説明があると思いますけれども、こここそが目玉だと言ってくださった参画会議の議員もいらっしゃいました。
     それから文部科学省さんにただ1つ申し上げたいのは、あらゆる施策はみんないいんですけれども、育児の方法をお父さん、お母さんにPRしていくときに、みんな昼間家にいることを前提としている気がします。昼間働くお母さんはその網から漏れるようなPR事業を幾らしていただいても両立支援型には切り替わらない。だから、こういう事業は必ず親の半分は働いているんだということを前提にして時間帯も内容も組み立てていただかないと。外で働いている母親は休んで来るのが当たり前ということになってしまうと、今までの性別分業を進めていた施策と変わらないと思います。また、最後の方での家庭教育や親子関係などに関する研究というところにも、フルタイムでなくてもいいんですけれども、父母が働いている育児の在り方というのを本当に国費を挙げて研究を進めていただきたいと思っております。
    佐々木委員
    私は子どもが小学校1年生に上がりまして、初めて先生との面談があったんですね。私が面談票というのを持っていくのを忘れたということがきっかけだったんですが、先生から「まさかお母さんは毎日働いているんじゃないでしょうね」と言われたんです。それで、もちろん毎日働いておりますと言ったんです。働いているから子どものこういう書類も書けなかったということですか、となってしまうんです。私は学校側にも課題がいっぱいあると指摘したかったんですけれども、初日に闘ってもしようがないので、「すみません、それとは関係ありません」と謝って来ました。学校側で、働いているお母さんに対するものすごい差別が先生側にあるとなると、これはとても大きな問題だなと、改めて実感しました。
    樋口会長
    トップの研修もだけれども、先生の研修もやっていただきたいですね。
    文部科学省
    誤解のないように申しますが、一般にそうだということは絶対ありません。そういう学校があったかもしれませんが。
    佐々木委員
    ですから、教育をしていただきたいということです。
    文部科学省
    その例は私立ですね。別に私立を責めるわけではありませんが、今、樋口会長がおっしゃったように公立の小学校で普通に見た場合、働いているお母さんが多いという現状はどんどん進んでおりますので。
    佐々木委員
    文部科学省でそういうことをやっているというのではないんですけれども、今回のこの中でいろいろやっていくうちに、企業のトップの教育が必要なのと同じように学校側の教育というのがおしなべてどこの学校に対してもすごく必要だということはやはり実感しています。
    文部科学省
    小学校の先生の6割は女の先生です。女性の先生はフルタイムで働いておりますから。
    樋口会長
    私は有松課長のおっしゃることも正しいし、佐々木委員がお遭いになったことも事実だと思います。私立は母親がフルタイムで幼稚園、小学校に協力するということを前提にしていますよ。
    佐々木委員
    私はそこを変革したいと思ってあえて入ったんですけれども。
    樋口会長
    ただ、学校の先生は、御自身は共働きで働いていらっしゃるのに、自分は教育職だからいいけれども、親は学校を第一に考えるべきだと思っているから、子どもの学校のためには母親は休んで来るべきだぐらいに考えている方もいらっしゃいます。やはりそこら辺は両立ライフということを前提にこういう施策を進めていただきたいという要望です。
    島田会長代理
    それは意外な意識構造なんですよね。
     2つだけすみません。さっき会長のおっしゃったことに関係して、パパクォータ制というのは確かにもうやっているんだから、さらにやろうというのは制度的にどうしていいか悩むと、その気持ちはよくわかるんですね。だけど、私はこの調査会としてはそれを十分承知した上で言っていいのではないかと思うんです。というのは、社会が理解していないから。こんなものが堂々と出てくると、えっと思いますよ。そうすると大騒ぎになりますよ。そうすると、もう制度があるじゃないかということに初めて気が付いて、あるのならばやれという形になる。十分知った上でどんと驚かせるというのがこういう調査会の意味であって、そういうロジックは役所の中から出ませんから、私はそれを支持したいですね。
     それからもう一つ、この保育所の情報開示ですが、これは自分が役所に提出する資料を載せている感じがするんです。これはユーザーから見るとかなり無駄なことも載っているし、ちょっと理解できない。要するに、この保育所は使いやすいのかというのをユーザーは知りたい。例えば、徒歩何分というより地図を載せてもらいたいですね。そういう指導はまだしていないんだと思いますけれども、項目ぐらいは共通化させているんでしょう。
    厚生労働省
    地図も別のページでは出てきます。これには付けていませんが。でも、御要望をどんどん出していただければ載ると思います。
    島田会長代理
    佐々木委員はコミュニケーションが御専門だから、わかりやすさというのは何だというのを本格的に一度考えて、使う人の立場から見た表し方の研究を一度やりましょう。
     それからもう一つはこの敷地面積、建物何々とありますが、お上が認めた社会福祉法人ならば絶対大丈夫なんですよ。いざだめになれば土地を取り上げるんだから。しかし、いろいろな民間主体が入ってくるとなると、経営というのはどう見たらいいのかというのがこれだけでは分からないんです。情報開示は必要な判断と選択ができるような開示が重要なんです。
    厚生労働省
    財務諸表も見ているんですけれども。
    島田会長代理
    財務諸表を見てもこの企業はだめになるとかはなかなか分からない。財務諸表なんか見せても普通の人には分かりません。
     では、どうしたら分かるのか。情報開示の内容に関する研究が必要です。ユーザーから見て必要な情報開示です。役所は多様な民間主体の中には信頼できないのがいて、そういう民間にはやらせたくないと思う。そう考えるのは当たり前です。だから、結局絶対つぶれないようにがんじがらめになっているのだけをOKしているわけでしょう。それではだめなんですね。
     では、私に今、代案があるのかと言えばすぐには完成した代案はないが、そういうものは認めないという立場でやってきた役所には発想の転換が必要です。役所から見るとそういうのを認めるというのはかなり大胆な発想が必要になるんだけれども、役所は考えてください。必要なのはユーザーなんだから。
    河野委員
    ユーザーの評価シートをダイレクトに出すという仕組みは不可能ですか。
    島田会長代理
    私ははっきり言うとミシュランのような評価表をつくるべきだと思うんです。財務諸表を見て理解してくださいというのだけではだめですよ。投資信託だってリスクの程度に応じて5から1までランクがある。
    厚生労働省
    第三者評価はほとんどの社会福祉施設に入りました。それは星を付けるか何かを付けるかはよくわかりませんが。
    島田会長代理
    その中身をちょっと教えてください。私は第三者評価のコンテンツを知らないんです。
    厚生労働省
    1年後には多分実施できるような形で今コンテンツを検討しているところです。
    樋口会長
    情報公開については、この調査会でもまだあと何回かありますからお話ししていきたいと思います。
    島田会長代理
    そこは徹底的にやっていただきたいですね。
    樋口会長
    そう言っているうちにまた思い出してしまったことがあって、教室転用の話ですが、それは地方分権の方を通してお話を聞いたことがありました。これは何も保育所、学童保育に限らないんですけれども、実際に現場で、教室転用が結局なかなか進まないのは教育委員会でノーと言われてしまうことがあるからだというような話を聞いたのです。どういうわけなんでしょうと申し上げましたら、要するに学童保育なんかどんどんやっているんですよと、今日の有松課長のお話のようなことだったんです。ただ、やはり学校長に任せては責任が重くなるから、教育委員会が責任を持たなければいけないと言っていますというお話だったんです。それが地域のNGOや他の部署の人から見ると、教育委員会がなかなかうんと言ってくれないと映るらしいんです。例えば教室開放の場合にどうしたらもっと意思が生かされるのかというのは問題だなと思いました。そこら辺はどうお考えですか。これは質問です。
    文部科学省
    つまり、学校長が学校長限りでできるようになればもっと身近になっていいだろうという御趣旨ですか。
    樋口会長
    はい。あるいは、教育委員会との話し合いでどういう制限が付くのかということなどは私はわからないんですけれども、教育委員会等を通すとそこでちょっと時間がかかったり、いろいろ言われることがあるということだったんですけれども。
    文部科学省
    原則的には学校長の判断で活用できます。たとえば余裕教室活用のためのQ&Aの中で、それぞれの学校の現場でできるだけ地域の声を聞いて、転用できるという教室があればできるだけ活用してくださいということを指導しております。
    樋口会長
    そうですか。またそれも通達が必ずしも現場を変更するには至っていないというのが一つですね。分かりました。
    島田会長代理
    この問題は全国共通なんですね。これは今、当事者、文部科学省がいるでしょう。それから、市町村があるでしょう。それから、第三者の教育委員会がありますね。それから現場がありますね。四者いるんですよね。一番いいのはその四者を同じところへ並べることなんです。今まではお互い全部責任をなすりつけているんですから。大概役所はやっていいよと言っているんですが、現場になると責任を取りたくないから、あそこがこちらがと言う。金融などでも同様の問題があります。一緒に集めたら逃げ場がないから、そういう仕掛けをつくるという提案をするのは面白いですね。
    樋口会長
    それもいいですね。現場会議、四者会議。
    島田会長代理
    責任者を全部一堂に会して決める。別々の会議で責任逃れが起きてしまう。
    樋口会長
    どうも大変いろいろと示唆に富んだお話を皆様からいただきましてありがとうございました。厚生労働省さんも文部科学省さんも本当にありがとうございました。
    厚生労働省
    一言だけ申し上げますが、我々はやらないために先ほどお示しした数字を言っているわけではなくて、本当に改革したいがために言っているんです。特に田尻委員がおっしゃったように、放課後児童クラブというのは今の構造を改革するための一つの域値みたいなものがやはりあるんですね。私個人は、島田会長代理は額をおっしゃいましたけれども、多分その額では構造改革にならないと思います。
    島田会長代理
    それはわかっているんです。だから、本当にやれよというつもりで言っているので。だけど、額が大き過ぎるので難しいというニュアンスに我々に聞こえるから、だったら相手がのみそうな額でまずやれということを言っているんです。
    樋口会長
    それから、放課後児童健全育成事業という名称にしてくれといういきさつは何となく私も理解できるような気がするんですが、今までの学童保育という一つのあるイメージがある。もうちょっといい言葉に新しく変えてしまうのはどうですか。みんなで頭を絞りましょう。
    島田会長代理
    厚生労働省は、700億円を本当に実現したいと思っているんですか。思っているのならばなんとしてでも応援します。
    厚生労働省
    先ほど塾に行けばいいじゃないかというお母さんもいるというお話でした。数字をお示ししませんでしたが、6歳までのお子さんはやはり40、50万ぐらい保育所に行っているんですね。
    島田会長代理
    さっき、払っているのが60億と言ったでしょう。60億から700億といきなり言うから、えっと思うわけですよ。我々素人だって、ちょっと飛び過ぎていると思うわけです。
    厚生労働省
    きちんと仕組みを構築して保育所並みにやるとすればということです。
    島田会長代理
    それはいいけれども、本当にやる気なわけですか。
    厚生労働省
    やれればやったらいいと思います。
    島田会長代理
    その戦略図を聞いているんです。だれをどう動かしてどうやるんだと。本気ならば応援しますよ。会長がおっしゃったのは、ああいうのをかましておくということはアリバイづくりをしているんじゃないかという感じがするということです。
    樋口会長
    やる気がないんじゃないかと。
    島田会長代理
    そういうふうに見えるんですよ。
    佐々木委員
    先ほどお父さんの参画の話があったじゃないですか。私は学童保育の時間という夕方の5時ぐらいから7時までを、例えばそれを企業に強制して社員を各地の学童保育のところに交替で先生として出すということを義務づけるとすると、もっと社会との交流ができて、お父さんも参画できて、企業もできてということになる。そういうアイデアが出れば、予算をそんなに大きくせずに実はよりよいサービスができると思います。
    樋口会長
    9時5時で帰れる近くのお父さんをですね。
    島田会長代理
    佐々木委員が言ったのはものすごい重要で、河野委員も同じことを言われたんだけれども、保育所並みにすればという発想がちょっと悪いけれども古いんじゃないかな。
    厚生労働省
    それは一つの計算ですから。
    島田会長代理
    私たちは知恵を出しているんだから、自分たちばかりが正しいと思わずにこちらの言うことにも耳を傾けたらどうですか。そんなことではこんな会議をする意味はないですよ。これだけ建設的なことが出ているんだから、次回には予算も少なく、かつ質の高いものを出してみますと、それぐらいのことを言わなきゃだめです。そうでなければ何のために我々はこういうことをやっているんですか。国のことを思うからでしょう。
     今日は、すごくいいアイデアが出ているんですから、一緒にやっていきましょう。そう思いませんか。我々のこういう意見をまじめに全部吸収してやってくださいよ。それでなかったら、こういうのは生きないですよ。
    樋口会長
    予算が要ることは確実です。確実でございますけれども、大きい予算をぶん取ってくることだけが政策ではないと思いますので、そこをよろしくお願いします。
    島田会長代理
    工夫をですね。
    樋口会長
    両立型社会に組み換えていくのには一定の予算がかかることは事実ですが。今日は本当にどうもありがとうございました。
     それで、少し時間をオーバーいたしました。皆様御熱心なので長くなりましたけれども、これからは議題2の「最終報告に向けた検討について」ということですが、まず事務局からこの間議員から男女共同参画会議で出た御意見について御説明をお願いします。
    坂東局長
    それでは、お手元に資料2「第2回男女共同参画における意見の整理」がございます。全体としては先ほど会長がおっしゃいましたようにサポートの意見、もっとこういうような視点を入れてほしいという御注文がありました。この「全体に関する意見」のところでは、社会的な啓発も意図したまとめ方にしてほしいとか、国民もそれなりの負担をすべきだという意識を書いていただきたいとか、そういった建設的な提言が多数ございました。
     具体的な内容に関する意見の中で、特に「待機児童ゼロ作戦」の中では農林水産大臣あるいは他の議員の方からも、農村あるいは中小企業零細自営業者の問題等々も含めて、いわゆる大都市の周辺以外にも目配りをしてほしいという御意見が出ております。そこに書いてございますけれども、これを我々としては集中的に重点的にということでまとめたものとの兼ね合いをどういう形でするのか、また御意見をいただかなければならないのではないかと思います。それ以外ですと、例えば保育所の人材確保にコストがかかるとか、あるいは空き教室等の利用についてなぜ進まないのかとか、駅の保育所には特典を付けろとか、いろいろな具体的な話が挙げられております。
     それから「多様で両立な保育サービスを」というところでも、病児保育についてのサポートの意見等々も出ております。それから、保育所、無認可も含めて届出の義務化、立入り検査を行えるようにというような意見が出ておりますが、非常に扱いに難しいというようなものは少なかったと思います。
     それから、「必要な地域すべてに学童保育を」という柱につきましては、この学童保育をすべての小学校区に設置して公的責任の明確化を図るべきだといったような御意見も出ております。それから、その次は自習室ということも挙がっております。
     それから「地域こぞって子育てを」ですが、これはかなり精神的な部分があるせいで応援演説が相次いでいるという感じで、具体的な建設的な提案もございます。
     3ページ目の方へいきまして、上から2つ目のまるです。中でも特にこの実効が上がらないのは文化的な基盤が整備されていないからで、もっとこういった教育をしていかなければならないとおっしゃった議員もおられます。でも、子育て体験については大いに進めよという大臣の発言等もありましたし、これも全体として非常に建設的な御意見が多かったのではないかと思います。
     検討中の課題については、こちらの方も意見を集約するというほどではありませんで、税額控除よりも予算措置でという方がおられれば、その一方で保育料の税額控除をやってほしいという御意見もありまして、我々この調査会の冒頭同様、集約できないなという感じです。
     それから「その他」のところでは幼保一元化についての御希望が出ております。大体こういうことです。
    樋口会長
    そういうことで、この調査会の発足のときには本当に両立のために不足しているサービスを必要な時点で効果的、短期的に迅速にというようなことだったんですけれども、全省庁の長がお並びになる会議ではやはり施策は全国に及ぶように、農村は農村なりに問題があるという御指摘で、それはおっしゃるとおりでもあるんですね。そういう全国的な御要請と、それから特に都市部で今、問題化している状況とどういうふうに、それこそ両立をさせていくかをこれからの御議論で諮っていかなければという辺りが一番強くあって、私たちの今までの中間報告で多少修正があることはそんなことかなと思ったんですが、どうですか。他にありましたか。
    坂東局長
    その問題の扱いについては先生方の御意見をお聞きしたいなと思います。いろいろな在り方がありますので、柱立てそのものは崩さないで、その後はそれこそ留意事項などという感じで将来、中長期的に何とかということで全国に全体に目配りをしていくというようなことを付け加えるなどあると思います。無視はできないと思いますが。
    樋口会長
    そうですね。ちょっと無視できないぐらい複数の議員さんから出ましたので、やはりそう思います。
    島田会長代理
    まとめだけ拝見しているだけでも、その意見は相当目立ちますよね。
    樋口会長
    そうです。あとは、私たちの中でも出ていたことに集約されていけるんじゃないかと思ったんですけれども。
    島田会長代理
    それで、これを拝見していて私は思いましたのは、全国に等しくというのは大原則ですよね。その中で、都市については非常に緊急的に量的なものが足りないでしょう。もちろんその地域、地方で量的なものについては少し余裕があるところも随分ありますよね。
     だけど、地域ごとの質的な生活者のニーズに応えてもらいたいというのが恐らくあるのは当然のことです。だから、そこはその地域の特性を生かせるように工夫するということなんだろうと思うんです。前に福武委員がそのことを相当おっしゃったんだけれども、地方自治体の工夫の余地というのをもっと大きくするということがあっていいのかなと思います。ただ、さっき皆川課長にちょっと説明をいただいたように、とかく地域で工夫の余地というと甘くして上乗せしますよね。それだったら地域の財政もなかなか大変です。そういうことでない、何か問題があるんだろうと思うんですけれども、その辺はどう考えたらいいんですか。
    田尻委員
    都市部ですと、仕事と子育ての両立を阻んでいるものが、待機児童問題などを含めて非常に明確になっています。けれども、そうではない、農村の形態で働いている方などが言う、地域で阻むものというのは、この中に当事者といえる人がお見えにならないから、私自身イメージがなかなかできない。各大臣を含めて、おっしゃるのはすごくわかるんだけれども、具体的にどういう部分に対して目配りをすればいいのか。
    樋口会長
    私は花婿学校などというのをやっていまして、日本青年館の上に乗っているものですから、結構農村部の若いお母さんたちのつながりが深いんですけれども、やはり祖父母がいると保育所はまだなかなか受け入れられなかったりしている。しかし、30年前は孫育てを手伝ってくれた50代、60代の姑さんというのが、今は80代の親の介護に追われてしまっていて家族の世帯形成がまるで違ってしまっている。だから保育所をつくってもらわなきゃいけないし、保育所で預かってほしいし、それからやはり外の風が保育によって入ってくることが大事だというようなことを言われました。
    佐々木委員
    想像するに、やはり都市部だと本当に今、申込みに行って入れないというクリティカルな状況に対応しようとしていて、そこを優先する方が私はいいと思うんですね。それで、勝手な想像ですけれども、農村部とか地方のところはまだ社会とか家族の中で保育園に申込みをするという行為を許してくれるような環境が整わないので、そういうものがどんどん数が増えてきたり、周りに保育園が世の中の風ということで入ってくると、やってみましょうかという一つのきっかけ、後押しになるのではないかと想像するんです。
     ちょっと違う例ですけれども、皿洗い機、食器洗い機の売行きを伸ばすのを拒んでいるのが姑たちだということなんですね。うちの嫁は皿も洗わないのかと、それが怖くて買えない。でも、それが実は水の量も少ないのよとかいろいろなことを言って、これは地球に優しいなどということが理解されると、嫁も買える。ちょっと変な例ですけれども、多分地方都市の保育園の在り方は、保育園に預けるという行為が何か後ろめたいという文化の中の人たちを後押ししてほしいという声に聞こえたんですね。
     ただ、そういった状況と今、都市部で本当に困り果てているのとで若干の時間差があるとすると、先ほど会長あるいは島田会長代理も言っていらっしゃったように、初めに緊急のところはこういう措置をします、あとは何年後までに全国にこういった特殊性を生かしてやっていきます、というような形で時間差を付けての対応を発表するということは提案したいと思います。
    島田会長代理
    都市部はやはり緊急対応が必要なところにきていると思うんです。しかし、本報告で地域の特性に合わせた対応の仕方というのをしっかり触れた方がいいのではないでしょうか。
    樋口会長
    やはりあらゆる省庁の大臣の方がいらっしゃいますから、農林水産省としては黙っていられないと思いますが、それはある意味ではわかりますよ。
    河野委員
    会社で全国に展開する商社やメーカーなどの場合、組合員が地方にいるんですね。そこでライフスタイル的な話がよく出るんですが、両立ということを切り口にすると、例えば同居であるとか、職住接近であるとか、そこで両立がうまくいかないというようなことをよく聞きます。今数字で持っているわけではないんですが、そうすると情報として欲しいのは、さっき佐々木委員もおっしゃったんですけれども、住まい方ですとか、それから三世帯住宅のつくり方とか、かえってそういう家庭に関する部分であって、保育園の問題に至らなくても済むようなこともありますね。都会から見ると一緒に住んでいてここまでやってくれるんだったらいいじゃないのということが精神的な面でうまくいかないことにもなるので、逆に今回の緊急対策の中に入るかというと、メンション的で済んでいくこともあるのかもしれません。例えば、家を建てるときにやはり都会と地方では大分建て方が違う。それは意識が違うからだということを言っていました。その辺も含めて、少し情報を提供していくことでも補えることはあるのかなと。それで、やはり都心が緊急なのかなとちょっと思いました。
    樋口会長
    これは最終報告のまとめ方ですけれども、よびかけはこれを膨らませて、提言もこの5本の柱立てで、1の「よびかけ」は基本的に島田会長代理と御相談した内容で私が書いたのをまた役所が若干の修文を行ったというものなんですけれども、それをまた膨らませまして、2の提言は柱はこのまま。学童保育というのが嫌ならば、言葉を変えるのに何かいい言葉のアイデアを出してください。それはともかくとして、中身としては5本の柱ですね。
     ただし、この際、必要な予算措置とか数値目標というのはやはり入れましょうね。中間報告ではそこまで議論も詰まっていないし、それを出すのは時期尚早と思いましたので何も書いておりませんけれども、それはあとの2回で集中的に勉強いたしまして、また各省庁に必要な資料も出していただきましょう。それが柱でございますね。そして、これは是非この委員会に参加なさった各委員に、御自分たちが是非にと思ったことで、合議の中で消えていったこともあれば、必ずしも100%くみ取れなかったこともあるだろうけれども、もっとここを、あるいはこの全体の柱の中でここを自分は強調したかったんだというメッセージをお1人ずつ書いていただきたいと思っています。何字ぐらいがいいと思いますか。400ないし800ぐらいですか。
    島田会長代理
    それは本報告に付けるんですか。
    樋口会長
    そうです。付けるわけです。
     400字がいいですか。短い方がいいかもしれないですね。1,000字論という言葉もあるけれども、1,000字が11人分になるとちょっとあれですから、400字から多くて600字ぐらいがいいんじゃないでしょうか。
    島田会長代理
    提案を1ついいですか。さっき地域の問題が出ましたでしょう。厚生労働省で随分全国を調べていますよね。待機児童が多いところですけれども。だけど、相当いろいろ実態を掌握されたと思うので、地域の観点で何を地域特性というような形で展開したらいいのかということについて、少し見えてきているのではないでしょうか。
    厚生労働省
    調べているのは都市がほとんどで、57というのは大都市なんです。
    島田会長代理
    待機児童は多いんだけれども、さっき見たら小さいところがあったような気がしたけれども、違いますか。大都市だけですか。
    厚生労働省
    沖縄がそうですね。
    樋口会長
    沖縄と、鹿児島というのはどうしてなんですか。
    厚生労働省
    沖縄はいわゆる沖縄特性というのがありまして。
    島田会長代理
    例えば、高知とか熊本とか八戸市とか聞いているわけでしょう。
    厚生労働省
    そこは一部あるとは思います。
    樋口会長
    だから何か知見があれば。要するにこの委員会は少し都会型過ぎるんですよ。議員の方がおっしゃった中小企業とか農業とか、そういうのは人選からいってそうなっていないですから、それは分かりますよね。
     ちょっと遅きに失するようなことはあるけれども、農村のお母さんたちの要望、意見を一度農林水産省辺りにまとめて話してもらってもいいですけれどもね。
    島田会長代理
    いいかもしれませんね。もしこういう御意見が本当にあるならば。
    河野委員
    岩男委員の方で有識者会議のときに農業代表の方とかいらっしゃっているので、レポートのリメイクで使えるのではないかと思うんですけれども。
    樋口会長
    そうですね。来ていただくというのもちょっと時間がないですし。
    河野委員
    大分まとっていると思います。
    島田会長代理
    それからもう一つは福武委員がこの前、地域の自治体の自由度が必要だということとの関連で大分おっしゃっていましたね。余り我々は意見を聞く時間がなかったんだけれども、あれについてメモに書いていただいたら参考になりますね。
    樋口会長
    是非御指摘いただいて。
    坂東局長
    御出席のときは御説明いただいて、御出席がだめな場合は書面で。
    樋口会長
    というようなやり方で、この次までに今日の皆様の御議論、そして厚生労働省、文部科学省のヒアリングを含めまして、資料3の柱に沿いまして最終報告のたたき台を会長代理と私とで御相談の上、作ってきた方がいいと思いますので作らせていただくということでよろしいですか。
    坂東局長
    ほかの省庁の御協力をいただくことになるかと思いますが、どうぞよろしくお願いたします。
    島田会長代理
    さっき相当詳しい数字のたたき台の参考を出していただいたんだけれども、大変参考になりますので、我々は提言案を書くときにそういう数字を一回入れてみる必要がありますね。それで、そのフォローアップの担保措置もちょっと入れてみませんか。
    樋口会長
    みんなに言われることは、私もこの会長をさせていただいて非常にいい経験をしておりますけれども、期待があると同時に今までもたくさんの報告書をそれこそ厚生省も出してくれれば労働省も出し、文部省も出してきた。それがしかし、余り有効に働いていない。また、新しい子育て中の方々も含めての新しいメンバーで出してくるけれども、結局似たような御立派な作文になって、それが一体どこで担保されてどう実行されるんですかというのが、今のところ少なくともメディアの反応ですね。それは内閣が変わる以前の反応ですから、今度はますます逆に期待を持たれちゃうかもしれないですけれども。担保性も含めて実効あるものにということを、ゴールも限られてまいりましたが、是非ますます御熱心に御討議いただきたいと思いますし、何と言っても行政が動かなければできないことですから、関係官庁の方に本当に是非よろしくお願いしたいところでございます。
     これは宣伝も皆様相努めてください。
     それから、議事録はどうぞ皆様、毎回申し上げないでないでおりますけれども、お声がなければ通過して公表することになりますから、そうお心得いただきますようにお願いいたします。
     次回の専門調査会につきましては皆様との日程調整の上、5月21日月曜日15時から内閣府3階特別会議室で開催する予定でございます。詳細はそのときまでにたたき台が事前にどのくらいお渡しできるか。その日の配布になるか、その辺はまた会長代理と御相談させていただきます。
     では、今日はこれでよろしゅうございますか。ほかに何か御連絡ございますか。
    坂東局長
    特にございませんが、事務局としても是非このアピールが一般の方たちに届くようにしたいと努力はしておりますけれども、まだ十分力が及んでおりませんので、先生方からも今、会長がなさったような形でいろいろ広報に努めていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

(以上)