男女共同参画会議基本問題専門調査会

  • 日時: 平成22年5月27日(木) 18:00~20:00
  • 場所: 合同庁舎4号館共用第4会議室

(開催要旨)

  • 出席者
    会長
    羽入 佐和子 お茶の水女子大学学長
    会長代理
    鹿嶋 敬 実践女子大学教授
    委員
    石川 哲也 神戸大学名誉教授
    伊藤 公雄 京都大学大学院教授
    岩井 宜子 専修大学大学院教授
    岡本 直美 日本労働組合総連合会会長代行
    加藤 さゆり 前全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
    河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
    五條 満義 東京農業大学准教授
    坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
    桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会理事
    辻村 みよ子 東北大学大学院教授
    林 陽子 弁護士
    松井 忠三 株式会社良品計画代表取締役会長(兼)執行役員

(議事次第)

  1. 公聴会及び意見募集の結果について
  2. 起草ワーキンググループからの報告
  3. 自由討議

(配布資料)

資料1
「第3次男女共同参画基本計画策定に向けて(中間整理)」公聴会及び意見募集の結果(概要) [PDF形式:19KB]別ウインドウで開きます
資料2
「第3次男女共同参画基本計画策定に向けて(中間整理)」公聴会及び意見募集のまとめ) [PDF形式:130KB]別ウインドウで開きます
資料3
「第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」(案) [PDF形式:357KB]別ウインドウで開きます
資料4
基本問題・計画専門調査会 (第48回49回50回52回53回54回)議事録(案)
資料5
答申に向けた今後のスケジュール(案) [PDF形式:10KB]別ウインドウで開きます
羽入会長
皆様、貴重なお時間お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。それでは、ただいまから第60回「基本問題・計画専門調査会」の会合を開催させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の会議は調査会でとりまとめました中間整理について、公聴会やパブリック・コメントをいただいておりますけれども、こういった御意見の概要を報告し、そして、それをどのように反映するか議論いただきたいと思います。
 まず4月から5月にかけて実施しましたパブリック・コメント、それから、公聴会に寄せられました意見の結果、今後のスケジュールについて事務局から御説明をお願いします。
藤澤推進課長
御説明いたします。資料1をごらんいただけますでしょうか。公聴会とパブコメでいただいた意見の件数についての結果を書いております。
 公聴会は上の方に書いてございますが、6か所で7回開催いたしました。会長を始め、起草WGの委員の方々には御出席いただきまして、どうもありがとうございました。会場にもよりますけれども、大体100~350人を超えるところまでいろいろありましたが、限られた時間の中でいろいろな御意見を多くいただきました。
 意見募集と書いてありますパブコメにつきましては、表とグラフとそれぞれ示しておりますけれども、全部で1万3289ということで非常にたくさんの御意見をいただきました。各分野ごとの件数をお示ししておりますが、グラフで見ていただくと特にわかりやすいかと思いますけれども、特に意見をいただいた分野が第2分野、第8分野、第10分野、第12分野辺りになります。
 第2分野というのは上の方で見出しも書いておりますけれども、社会制度・慣行の見直しや意識の改革について書いていただいている分野でございますが、選択的夫婦別姓の法制化反対とか、男女の違いを尊重すべきではないか、専業主婦の立場から特定の生き方を押しつけるものではないかという御意見が特に多かった分野です。
 第8分野は暴力についての分野でございますが、性・暴力表現についてのメディア規制について反対という御意見が多かった分野です。それはメディアに関して書いていただいている第12分野についても同じです。
 第10分野は教育についての分野でございますが、ジェンダーフリー教育反対ですとか、男女の違いを尊重した性差に応じた教育を行うべきという御意見が多かった分野です。
 資料2は公聴会での意見とパブリック・コメントでいただいた意見を合わせた形で、分野ごとに一覧表にまとめたものです。一番左側に項目という欄がございますが、それは中間整理では各分野ごとに中項目がございますので、その中項目を並べているものですので、その中間項目に沿って、いただいた意見も整理いたしました。いただいた意見の御趣旨を損なわないように、同じ趣旨の意見は少しまとめて整理しております。ここで全部説明するのは時間が足りないので、修正案を御議論いただく中で必要に応じて見ていただければと思います。
 こうした公聴会、パブリック・コメントでいただいた意見も踏まえて、先日起草WGで修正案を御議論いただいたところであります。
 資料5で今後のスケジュールをお付けしております。当初より6月ごろ答申という予定で進めていただいていたわけですが、来月6月中旬くらいに参画会議で答申いただくことを念頭に、こちらの調査会では今日と次回6月7日に答申に向けての御議論をいただければと思います。
 以上です。
羽入会長
ありがとうございます。御質問はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、早速資料3の答申案について議論を進めていきたいと思います。いただきました御意見の概要を踏まえて起草WGで答申案を議論し、今、お手元の資料3のように現段階ではいたしております。これにつきましては鹿嶋主査から御説明をいただきますが、5分野ずつ区切ってまいりたいと思います。まず最初に第1部の基本的考え方から第5分野までにしたいと思います。鹿嶋先生、よろしくお願いします。
鹿嶋主査
1ページの「はじめに」についても説明をします。この「はじめに」の部分は、中間整理では福島大臣が「中間整理に寄せて」という文章を添付してありました。それを踏まえた上で「はじめに」という形で答申案の中に取り込んであります。これを一々読むのは大変ですが、1ページは今までの男女共同参画社会の実現に向けての取組みの経緯といったものが書いてあります。
 2ページにつきましては、特に一番最後のパラグラフですが「女性、男性にかかわらず、『男女共同参画は、私のことだ』と思ってもらうとともに、真の男女共同参画社会の実現に向けた取組を一層加速させるため、できるだけ数値目標を盛り込むなど本答申の考え方を踏まえた実効性ある第3次男女共同参画基本計画を策定することを政府に対して期待するものである」ということでまとめてあります。
 「第1部 基本的な考え方」ですが、4ページの朱書してある部分が公聴会、パブリック・コメント等々を踏まえた上で改めて検討し直し、加筆した部分です。
 1つは4ページの4「継続して就業することを望んでいるにもかかわらず、出産・子育て等により離職せざるを得ない女性も多いといったM字カーブに関する問題」云々と書いてあります。もとの原稿は「M字カーブの解消」でしたが、公聴会に私も3か所出ましたが、M字カーブの問題は解消する必要はないといった指摘もありました。
 その辺のことを踏まえてM字カーブの解消というのではなくて、M字カーブに含まれている、あるいはM字カーブが含有する諸問題ということで、「M字カーブに関する問題」という表現にしてあります。以下は全部M字カーブ問題となっております。M字カーブの説明は脚注1にあるとおりです。
 5ページは「女児」を「子ども」と直しています。
 7ページにつきましては、今、申し上げましたように「M字カーブ問題の解消」となっております。そのほか脚注で3と4が付いております。ちなみに3がジェンダー予算、4がジェンダー統計です。
 8ページは「大学などあらゆる分野で」という言葉、9ページはⅡの2の「意思決定権者を始めとして」というところ、それから「なお、意思決定の各段階において女性の参画が拡大されるよう配慮すべきである」という表現にしております。
 10ページは司法の分野で「また、女性弁護士がゼロである地域をなくすための取組を行うよう日本司法支援センター、弁護士会等に働きかける」。
 [3]は「様々な働き方やキャリア形成に応じたロールモデルの発掘や、活躍事例の提供、女性が働き続けていく上での悩みや心配事について相談に乗り、助言するメンター制度の導入を促す」という文言が入っております。
 11ページは[3]「様々な働き方やキャリア形成に応じたロールモデルを発掘し、活躍事例を提供するほか、女性が働き続けていく上での悩みや心配事について相談に乗り、助言するメンター制度の導入を促す」。同じような文言がここにも入っております。
 [4]は「育児休業取得を前提とした人事配置など仕事と生活の調和を実現しやすい環境整備を推進する」となっています。
 12ページは「家庭責任を有する労働者」の前に「男女を問わず」と入れてあります。
 第2分野は15ページ「人権尊重」の前に「男女の」と入れております。これは基本法第3条を踏まえてのものです。
 17ページの第3分野については、これは男性、子どもにとっての男女共同参画を初めて特出ししているテーマでありますが「固定的性別役割分担意識が女性にも残っているが、男性により強く残っている」という表現にしております。また「固定的性別役割分担意識が強い企業もあることもあいまって」という表現も加筆しています。
 「Ⅱ 今後の目標」ですが「国連婦人の地位委員会においても、男性が、男女共同参画社会の形成に向けて積極的な役割を果たすべき存在であると指摘されている」という文言が入っております。
 18ページについては特に説明を要するのは[7]と[8]です。「男性の育児参画・家庭生活への参画を促進するため、情報提供等の支援を行う」。
 [8]「家庭や地域において生き生きと活躍する男性のロールモデルの発掘を行い、活用事例を積極的に発信する」。
 20ページは第4分野、雇用の部分です。「しかしながら、継続して就業することを望んでいるにもかかわらず、出産等により離職せざるを得ない女性も多い等の現状もあり」と、かなり詳しく書いたのは、やはり公聴会等の意見で全員に働けと言っているのではないかといった指摘もありました。そういったことで「働く」という言葉を「継続して就業することを望んでいるにもかかわらず」と、パブコメ等を踏まえて入れてあります。
 その隣はM字カーブ問題で、先ほど説明したものです。
 その下ですが「継続就業を望んでいる女性が」ということで、これも詳しく誤解のないような表現にしています。
 21ページは「女性が貧困に陥りやすい背景の1つとなっているほか」と、非正規雇用の問題をそういう表現にしてあります。「このため、非正規雇用の雇用環境の整備に向けた一層の取組が必要であり、また、公務部門における非正規雇用についても同様である」と入れてあります。
 22ページは[7]「男女を問わず家庭責任を有する労働者への公正な評価を確立し、育児・介護休業取得者の代替要員を確保するなど」とあります。
 23ページ[6]「有期契約労働者について正社員との待遇の均衡を、派遣労働者について派遣先の労働者との待遇の均衡を検討する」。
 [7]「非正規労働者に対する均衡処遇等について、パートタイム労働者、有期契約労働者、派遣労働者など各労働者間で」という文言が入りました。
 4「働き手や稼ぎ手は男性で、女性が働くのは家計補助の目的であるという、固定的性別役割分担意識の解消を図る。さらに」という文言を付け加えてあります。
 24ページ[1]「固定的性別役割分担意識にとらわれずに、生き生きと活躍する身近な女性のロールモデルの発掘を行い、活躍事例を積極的に発信する」。
 具体的な取組みとしては「マニュアルやガイドライン等により就業条件の適正化を図りつつ」短時間正社員等の普及促進を図るということです。
 企業については「低利融資制度などの資金面での支援」を行うということです。
 6はM字カーブ解消問題ですが、(1)「女性が出産、子育て、介護などにより就業を中断することなく継続できるよう支援するとともに」という文言を入れました。
 26ページ以降は第5分野ですが、27ページは「公正な処遇を伴う多様な働き方」という表現が入っております。
 「子育てへの参加」は「参画」という表現にしてあります。育児・介護もそうです。
 28ページ(2)「幼保一体化を含む新たな次世代育成支援のための包括的・一元的な制度の構築に向けた検討を行う。その中で以下の取組を実施する」ということで、今まで[2]、[3]という形で特出ししていたものをポチで整理しました。保育関係はポチで整理してあるということです。
 「就業の有無にかかわらず」ということですけれども、これも保育の問題が要するに専業主婦にとっても利用できるものなのだという意味を含めて「就業の有無にかかわらず、一時預かり、幼稚園の預かり教育など」という文言に続けてあります。
 [2]は「介護負担の軽減に向けた介護支援の充実と良質な介護基盤の構築や安定的な医療提供体制の整備を進める」としております。
 「3 働く男女の健康管理対策の推進」。(1)は「職場において健康が確保される環境を整備することは、男女ともに能力発揮の促進に加え、生涯を通じた健康確保の観点から重要な課題である。特に」という続き方をしております。
 (2)は「長時間労働の抑制によるメンタルヘルスの確保等、職場における健康管理を進める」という表現にしてあります。
 第5分野までは以上のようなことですが、御意見をいただければと思っております。
羽入会長
ありがとうございます。それでは、最初から第5分野までどうぞ御意見を。どこからでも結構です。
伊藤委員
これは確認でもあるんですが、第1分野の2(3)の行政ところですけれども、新しい[7]「地方公共団体及び政府関係機関等も含め、行政全体として積極的に女性の参画拡大を推進」なんですが、たしか充て職等々の条例絡みのものについての柔軟な運用という議論があったと思うんです。それはもう制度化されたんでしょうか。制度化する方向だということまでは聞いていたんですけれども、されたのでしょうか。
鹿嶋主査
何ページですか。
伊藤委員
11ページ(3)[7]で、いわゆる地方公共団体の審議会、委員会等々の女性の割合が低いというところで、これはたしか条例等々で職務指定によりかなり絞られていることから、柔軟に対応しようという議論があったと思うんです。制度的にも変えようという動きになっていたはずなんですが、その辺はどうなっているのかなと。制度が変わったのか、変わる途中にあるのか。もしそうでなければ書き込んだ方がいいのではないかと思いました。
鹿嶋主査
監視・影響調査専門調査会でかつてそのような報告書を出し、かつ、各府省から都道府県に通知を出してもらっています。ただ、強くという表現が足りなかったかどうかは別として、そういうことはすでに行っています。
伊藤委員
書き込まなくてもいいかどうかということなんですけれども、ある種の条例等々の柔軟な運用等によりとか、一言入れてもいいのかなというのが個人的には思います。
鹿嶋主査
条例等の柔軟な運用により、ではないんですね。要するに弾力的な解釈なんです。何々の長という職務指定に関し、市民代表でもそれに準ずるという解釈をすべきだといった議論をして、自治体に徹底してほしい旨、参画会議にも報告しました。
伊藤委員
だからそれを改めて[7]で書き込んでおいた方が、よくないかという意見でございます。
鹿嶋主査
どうでしょうか。改めてここに職務指定の問題も書き込むかどうかですが、皆さんの御意見があれば。報告書は4年も前のことなので。ただ、出した割にはまだ余り浸透していないことは確かです。
伊藤委員
何らかの形で喚起するという意味合いも含めて、そこは何らかの形で書いてもらった方がいいのではないかなと思います。
鹿嶋主査
事務局はこの点何かありますか。
竹林企画官
若干補足として、監視・影響調査専門調査会で御議論がありまして、例えば都道府県の教育委員会の教科書選考審議会、校長を職務指定していたんですけれども、そういう校長という職務指定をどうするのかという議論はありました。ただ、条例ということになりますと、国が条例を変えろというのは、なかなか今は地域主権という観点からも言えないというのがありますので、各省からの指摘で何らかの形でやったところもあると伺っております。それをやっていないところもあると思いますが、そこをどうするかはまた御議論になると思います。
伊藤委員
もちろん、地方自治の原則をきちんと踏まえた上での書き方にならざるを得ないと思いますけれども、例えば後で出てくる防災の問題等々に関してはものすごく職務指定が多くて、女性が入り込めないところがたくさんあるわけです。その辺を考えるならば観光の分野もそうなんですが、ここで地方公共団体における職務指定制度等々による女性の参加が十分でない状況を転換するような一言があってもいいのではないかと思います。
鹿嶋主査
岡島局長、どうぞ。
岡島局長
専門調査会の御報告を受けまして、かつて法令で職務指定を義務づけしているものにつきまして全部見直しまして、政令、省令等を改正したことがございます。その段階でかなりのことをしたとは思っておりますが、あるいはまだ不十分なことなのかもしれませんので、そこはいずれにしましても検証といいますか、今後の計画を立てた上で見直しはできればしていきたいと思います。
 ただ、条例でということよりは、むしろ国の法令の問題の方が大きいのではないかと思いますので、もし書くとしたら法令だと思うんですが、現時点ではそこが必要かどうかも含めて全く検討しておりません。このため、それが本当に必要があるかどうか今の段階でははっきりわかりませんので、できれば具体的に詳しくお書きいただくというよりも、しっかりやるという方向にさせていただければありがたいと思います。
伊藤委員
わかりました。
鹿嶋主査
要するに監視・影響調査専門調査会も条例までは踏み込んでいないんです。今、言ったような趣旨のことは一応議論をして、報告書も参画会議に上げて、各府省を通じ各自治体に下ろしてもらったんですが、だからその辺りのことは預からせていただけますか。
伊藤委員
私の理解も条例の弾力的運用というのは言い過ぎだったかもしれません。つまりそれを縛っている法令の整理についての議論が進んでいたはずなので、それを確認させていただきたいということがあったわけです。それについては了解いたしました。
 もう一ついいですか。第3分野なんですけれども、公聴会で出てきた意見で国連の婦人の地位委員会の男性、男児の役割についての議論という形で何人の方が発言されたわけですが、男性についての議論はあるけれども、男児の議論が出ていないという指摘もあったように記憶をしています。
 その辺のところを何とか書けないかなというのが個人的には思っていることなんですが、例えば19ページ(2)[1]「ライフコースを見通した総合的なキャリア教育」という形で設定されている部分の前ぐらいに、例えば子どものころから、あるいは発達段階、社会状況に対応した形で男児、女児への男女共同参画への理解を進めるというのがあってもいいのかなと思ったりもするんです。
鹿嶋主査
それはどこに入れるんですか。
伊藤委員
19ページ[1]の前、つまりキャリア教育の前に、子どものころから発達段階や社会的条件に対応した形で、男児、女児への男女共同参画の理解を進める。国連の動きというのは、社会的条件を一緒くたにするのではなくて、男の子の置かれている条件、女の子の置かれている条件に対して、ジェンダーセンシティブに、ジェンダー平等の教育を与えるという方向だと思います。そういう項目があってもいいのではないかなと考えています。
羽入会長
ありがとうございます。伊藤委員は以上ですか。
 今の2番目のことについてですけれども、WGで何かお考えはありますでしょうか。
伊藤委員
前回出られなかったので。
羽入会長
確かにそういう御意見がありましたけれども、今回ここで男性、子どもというのを特出しいたしましたが、ここで子どもを男児、女児それぞれに区分しながら書いていくというのは、子どもをまとめていった方が、全体としては落ち着くのではないかと個人的には思っております。
伊藤委員
最近ヨーロッパなんかでは、男児教育というのはすごく意識的にされ始めているわけです。それは男性が成長してからいろんなジェンダー問題を起こす。DVの問題あるいは性差別の問題を含めてです。そこに子ども時代からある程度ジェンダーセンシティブな見方で、男の子を教育していくという議論があると思うんです。
 これは日本の場合、これからどういけるのかというなかなか難しいところなんですけれども、男女を平等に扱うという議論を進めつつ、他方で男の子たちがマスメディアの影響や社会的な影響の中でジェンダーをすり込まれてしまうという状況に対して、男児についてのジェンダー教育の議論は、意識的にそれを改善するような方向性みたいなものが同時に求められると思います。それがうまく書けないかなという思いなんです。
羽入会長
ありがとうございます。
鹿嶋主査
ちょっといいですか。先ほどの説明で、1つ漏れていましたので付け加えます。
 24ページ、多様な生き方の(2)[4]「商工業等の自営業における家族従業者の実態の把握や税制の在り方の検討など就業環境整備に努める」を入れさせていただきました。これは中小企業の家族従業者の皆さんから所得税法の見直しを大分指摘されておりますので、それについては[4]の形で文言を入れさせていただきました。
羽入会長
ほかにもお手が挙がっていたのは五條委員と桜井委員ですね。順番にどうぞ。
五條委員
20ページの雇用に関する分野ですけれども、2か月前までの調査会の議論と明らかに変わっている議論すべき論点として「M字カーブの解消」を「M字カーブの問題」に切り替えて、かつ、ここに「継続して就業することを望んでいるにもかかわらず」という表現になっている点なんですけれども、これまでの議論は継続して就業することが望めるような職場づくりとか、先ほどのような適正な処遇ということを実現していくことが、雇用分野における男女共同参画の最も中心的なポイントではなかったのかなと思います。
 そもそもM字カーブの解消に向けて男女共同参画の取組みを通じて、どう基本計画で方向づけをしていくのか、そのために経済団体の方もお招きして、そこの議論をしたかと思うんです。
 私は東京会場の公聴会を傍聴させていただいたんですが、最後の佐藤先生のとりまとめのコメントは非常にわかりやすくて、雇用分野において女性がM字カーブの状況の中で、それを解消して辞めないということが、企業にとってどういうメリットがあるのか。そもそも女性が採用されるときに一定の能力を持っているんだけれども、結果的に就業することを望まないようになってしまうような雇用環境とか、あるいは働き方があるのではないか。そこを解消していくと結果的には人材が活用できて、企業にとってもメリットがある。その辺の説明を非常に明解にされたのではないかなと感じております。
 そういうことで、ここは継続して就業したいにもかかわらずということをもし書くならば、同時に違うところに継続して就業することを望むような働き方だとか、適正な処遇だとか、諸制度の積極的活用ということを意識した文言を加える必要があるのではないかと考えます。
 一方で、多様な生き方を尊重するということをほかのところで強調すれば、決して就業することを無理に強制するものではないという説明にもなると思いますので、M字カーブの解消から問題という形で言い換えたことについての趣旨も含めて、一連のパブリック・コメントと公聴会を受けて、ここまで変えないといけないのかどうか。その点についての議論をさせていただきたいと思います。
羽入会長
ありがとうございます。桜井委員、どうぞ。
桜井委員
私も第4分野のM字カーブの問題については、五條先生と同じ意見を持っています。それが1つ。
 もう一つ、基本的考え方の部分ですが、ここが第2次基本計画とかなり違う部分だろうと思います。私自身の印象では第2次基本計画で後退した部分が、現在の社会状況、経済状況を踏まえての記述になったと大変喜んでおります。
 その上で2点ありまして、1つは6ページの6「地域における身近な男女共同参画の推進」のところで、生きにくさとか困難を抱えるといったときのキーワードとして最近よく使われるのは、誰もが出番と居場所のある地域社会という言い方です。「地域における男女共同参画の推進」の箇所で、女性も男性も誰もが出番と居場所のある地域社会の形成が必要であるとか、出番と居場所というキーワードをどこかに使っていただけると、第3次基本計画を策定している今の時代状況にふさわしいものになるかと思っています。
 もう一つは、これは少し大きいところなので申し上げて可能かどうかがわかりませんが、3ページ「Ⅰ 目指すべき社会」に今3つ入っておりますけれども、その4つ目に例えば国際的に尊敬される社会というようなことが入らないかなと思っています。それは第15分野に国際規範の尊重と国際社会の「平等・開発・平和」への貢献とありますが、ここの見出しは第2次は「国際社会の『平等・開発・平和』への貢献」だけだったと思いますが、第3次の基本計画では「国際規範の尊重」という言葉が新たに入ったわけです。
 そして、そういうことはやはり私たちが国際社会の中で、尊敬されるという立場を得ていかないとまずいわけです。女子差別撤廃委員会からの最終見解でここができていないということを言われるばかりではなく、もう少し積極的に国際的に尊敬される社会を目指していくんだということを、基本的考え方のところで記述するのはどうかと思った次第です。ですけれども、この最終段階でここのところはちょっと難しいのかもしれませんので、御議論をいただければと思います。
 以上です。
羽入会長
ありがとうございます。今、桜井委員がおっしゃったのは6ページの真ん中辺りの6でしょうか。出番と居場所のことはWGで検討していただくことにして、基本的考え方についてもう一つ増やすかということと、M字カーブについての記述の仕方の2点について皆さんの御意見を伺いたいのですが、まず鹿嶋先生、どうぞ。
鹿嶋主査
五條委員の言った20ページ「継続して就業することを望んでいるのにもかかわらず」は大変大事な視点だと思うんですが、入れ込んではあるんです。それは24ページの6「M字型カーブ問題の解消に向けた取組の推進」(1)に加筆して、朱書が出て下の方になってしまったんですが、「仕事の質の向上」というのがそれです。
 ワーク・ライフ・バランスだけで女性が働き続けるようになるかというと、そんなことない。要するに女性の仕事の質を上げていく必要があるということで、先ほど五條委員の言ったようなことにつきましては、「仕事の質の向上」という言葉を入れたつもりですし、これは参画会議でも仕事の「質」の向上を入れた旨、説明をしました。
 出番と居場所については私も異論はありませんが、国際関係についてはどうするのか、皆さんの御意見をお聞きしたいと思います。3ページの目指すべき社会の中に入れるかどうか。
羽入会長
今回の第3次については、特に国際的な観点を重点的に私たちは考えていきましたけれども、ここに書くのがよいかどうかということで皆様の御意見を伺いたいと思います。林委員、どうぞ。
林委員
私も今の桜井委員の御意見に基本的に賛成なんですが、基本的考え方のところで国際的な協調であるとか、もう少し対外的な発信についての姿勢が出る表現があった方がいいのではないかと思います。と言いますのも、今回新しく国際規範の尊重と国際社会の「平等・開発・平和」への貢献という2本立てにしたことについて、御批判もNGOの方々から受けるんです。これは委員の方にも御意見が届いているかと思いますけれども、そういうふうに書いてしまうと国際規範の尊重ということが、最後の第15分野だけに係る問題だと誤解をされないか。女性差別撤廃条約を始めとする国際規範というのは、第1分野からすべてをカバーするものなのに、それをなぜ15に入れたのかという御批判があります。
 だから、私は15のタイトルはこのまま規範の尊重と国際社会への貢献でよいと思うんですけれども、逆にそういう御批判あるいは誤解があるのだとすれば、基本的考え方の冒頭のところにそういったことも、意識しているんだということを出せればよいのではないかと思います。国際社会で尊敬されるというよりは、協調していくというような国際協調主義の視点が出ればよいのではないかと思います。
 ほかのことに論点がずれて申し訳ないですが、五條委員から御指摘があった「継続して就業することを望んでいるにもかかわらず」という記載を一々入れていくことについては、私は五條委員と同じ意見で賛成できません。
 例えば4ページの4でM字カーブ問題が定義されています。これは大変結構なことだと思います。私はM字カーブ問題にできればかぎ括弧を付けた方がよいと思います。「M字カーブ問題の解消」とだけ読んでも何のことだかわかりませんので。
 なぜM字カーブになっているかというと、それは望んで離職する人と、本当は継続したいんだけれども、就業できない人と両方いると思うので、だからこそM字カーブが起こっていると思います。「継続して就業することを望んでいるにもかかわらず」というのを入れてしまうと、かえってM字カーブ問題を正しく表現することにはならないのではないか。つまり、継続して就業することは望んでいなくて離職する人もいるので、この枕詞は要らないと思います。
 何か所か出てきますけれども、例えば20ページⅠの1でも「継続して就業することを望んでいるにもかかわらず」という枕詞は要らないと思います。というのは、「離職せざるを得ない」という日本語の中に既にagainst her willという、本人の意思に反してという意味は入っているわけですので、そこでわざわざ「望んでいるにもかかわらず」という表現を入れる必要はないと思います。
羽入会長
ありがとうございます。M字カーブ問題にかぎ括弧を付けるというのについては、わかりやすくなってよいかと思いますけれども、鹿嶋先生いかがでしょうか。
鹿嶋主査
難しいですね。言葉が確かにこなれていないことはたしかなんです。M字カーブに関する問題ということで苦しいような表現ではあるんですが、いろんな意見があれば苦しいけれども、しようがないかなと私は思って了解しているわけです。かぎ括弧を付けることについて異論はありません。ありませんが、「継続して就業することを望んでいるにもかかわらず」はそんなに引っかかりますか。
羽入会長
もう少しほかの方、御意見いただけますか。
伊藤委員
ちょっといいですか。「継続して就業することを望んでいるにもかかわらず」についての議論というのはわかるんですけれども、やはり公聴会の反応なども含めて、現行は選択の幅を広げるという意味合いで書かれていると私は理解しています。それはもちろんわかるような書き方があれば工夫してもいいかなとは思いますけれども、これがあることによってマイナスになっているとは、思わないんです。
 もう一つは国際の方も大賛成なんですが、私は基本的に男女共同参画が進んでいない、ジェンダー平等が進んでいないというのは、日本社会の名誉を傷つけていることだと思っています。ただ、公聴会などの議論では、ほかの国がやっているとか、国連がやっているから日本もやれと言うのかという形の議論が出てきてしまう。だから、その辺のところについて上手な書き方ですすめていただきたい。国際協調とおっしゃいましたけれども、国際というのはここで入れていいのではないかと思います。
 そうなるんだったら、目指すべき社会の順番は[3]を[1]にしたらどうか。つまり多様性に富んだ活力ある社会というのを、前に出していくという手もあるのではないかと思うんですけれども、その辺はまた後で議論していただければと思います。
羽入会長
ありがとうございます。先ほど五條委員から発せられた20ページのことですけれども、一番最初にM字カーブについて説明をしたところに「継続して就業することを望んでいるにもかかわらず」ということがございますが、ここでは雇用の問題として書いているわけで、その場合にここに書いておいた方がインパクトがあるかどうかということではないかと思います。
 先ほど出産等により離職せざるを得ないという表現で十分ではないかというのが、林委員の御意見だったかと思いますけれども、ここについては皆様の御意見をもう少しお聞かせいただけますでしょうか。
坂本委員
私は第4分野には残ってもいいと思うんです。最初の4ページ4はむしろ外れた方がいいのかなと感じました。M字カーブという言葉に必ずこの文言が付いて回っているので、余計強調されている印象が付いてしまう気がします。
 第4分野はちょっと強調してほしい気はしますが、4ページで入る必要は林委員、桜井委員、五條委員がおっしゃったように、私も特段ないかなと。最初に出てきているM字カーブで、ここで言っておいた方がという構成上のことはわかります。
羽入会長
鹿嶋主査、どうぞ。
鹿嶋主査
この赤字部分は、起草WGでは合意を得たものです。それを前提に議論していただきたいと思います。
 ただ、今、御意見を聞いていて繰り返しみたいに「継続して就業することを望んでいるにもかかわらず」と毎回付けるのはいかがなものかというのは、確かにその通りかなと思って聞いていました。
 伊藤委員の目指すべき社会で[3]を[1]に持ってくるという考え方は、私は反対です。男女共同参画社会の形成の最大のポイントは[1]、すなわち固定的性別役割分担の否定だと思いますので、これは[1]でいきたい。だから、ここでの議論は[4]として国際的な問題を入れるかどうかということなのですが、林委員はどういう文言がいいとお考えか是非お聞きしたいと思います。桜井委員は国際的に尊重される社会ということをおっしゃっていましたが、それとは違う表現をしていましたけれども、もう少し具体的に言ってもらえますか。
桜井委員
男女共同参画については、ジェンダー・エンパワーメント指数なども見ても大変低く、国際的に見るとまだまだ開発途上国であるというのが現実だろうと思うんです。
 しかし、だからこそ、これから目指すべき社会という項目に、グローバルスタンダードに近づける努力をして、経済だけでなく、男女共同参画においても大国と言われる国になっていく必要があるのではないかと思います。そういう意味で、男女共同参画に関して国際的にも尊敬される社会ということを出しておいたらどうか。意気込みを示す意味もあります。
羽入会長
先ほど林委員が別の表現をしていらしたんですけれども、協調ということですか。
林委員
そうですね。ですので男女共同参画に関する国際的な潮流と協調し、繰り返しになりますが、男女共同参画政策において指導的な地位を目指すような社会。だから単に協調するだけではなくて、むしろこれからは日本がそういったものをリードするくらいのことを目指すという、高い目標を掲げてもいいのではないでしょうか。
羽入会長
ここに国際ということを入れることでは、皆様の合意があるのではないかと思いますが、表現については起草WGで御検討ください。坂本委員、どうぞ。
坂本委員
17ページの第3分野Ⅰの2(2)ですけれど、赤字で修正していただいている「固定的性別役割分担意識が強い企業もあることもあいまって」とあるんですが、ここは企業と限定せずに職場としていただいた方がなじむ気がします。
 その1つ上の(1)の結びですが「『大きな意味をもつもの』との認識がない」と断定されると、きつい気がする。若いお父さんたちは決してそういうことは思っていらっしゃいませんので、認識が低いとか、そういう表現にしていただいた方がいいと思います。
羽入会長
ありがとうございます。鹿嶋主査、いかがですか。
鹿嶋主査
職場の方がいいですかね。
坂本委員
企業と書かれると、やはり民間のイメージが先に出てしまう。職場と言われると割と幅広く働く場面すべてを指すので、ここであえて民間は余り強調する必要もないのかなと。
羽入会長
岡本委員、どうぞ。
岡本委員
今の御意見もよくわかるんですけれども、職場というとかなり狭い範囲の捉え方をされないでしょうか。この前に書いてある、まさに職場における男性の意識であったりというところも考えられるわけです。企業か事業体というか、もう少しそのことで幅広い言い方があるかと思うんですけれども、そういったところのリーダーの方たちの考え方であったり、そもそも企業の人事制度の運用や福利厚生みたいなものが固定的役割分担意識に基づいている例もあり、その意味では、私は職場と言うと余りにも小さいイメージになり過ぎるなと思います。今の御意見に合わせて企業と言うと民間のイメージになるとすれば、また違う言葉で書いてもいいと思うんですけれども、職場はちょっと小さ過ぎる気がします。
羽入会長
坂本委員、どうぞ。
坂本委員
決して大きな組織ではなくて、例えば家族経営の商店もあるわけです。何か大きな組織をイメージする言葉は、逆に雇用分野などであればそういう表現がいいのかなと思うんですけれども、第3分野では家族経営のようなところも含めて言っていただける方が、分野としてはなじむ気がします。
羽入会長
伊藤委員、どうぞ。
伊藤委員
企業・職場にしたらどうだろうということなんです。ただ、おっしゃるところはよくわかるんです。企業として方針を持って性差別をやっているところはなかなかないと思うので、企業とすべて書いてしまうと、今度はまたいろんな問題が出てくるかなという気もしますし、企業全体でなくても坂本委員がおっしゃるように職場、部署によってそういう意識が強いところも出てくると思います。両方活かすような企業・職場としたらいかがでしょうか。
羽入会長
鹿嶋主査、どうぞ。
鹿嶋主査
企業・団体という表現もあるし、団体だと今度は自治体なんかも含みます。ただ、職場というイメージはなくなります。職場については岡本委員がおっしゃったような問題はひょっとしたらあるのかもしれないので。
羽入会長
組織とはまた違いますね。
伊藤委員
やはりマクロなレベルでの企業としての体質もありますけれども、ミクロな部分での性別役割分担意識の問題もかなり大きいと思うんです。マクロ、ミクロ両方が表現できるような言葉の方がいいのではないかと思います。
鹿嶋主査
企業・職場でいいのかな。
羽入会長
ほかにはいかがでしょうか。加藤委員、どうぞ。
加藤委員
3ページの基本的考え方の「最近の社会情勢についての認識」なんですけれども、2点。
 1つは1「少子・高齢化の進展と人口減少社会の到来」と書いてあるんですが、日本の出生率というのがどのくらい世界的に見ても低いのかということを、もっと強調した書きぶりの方がいいのではないかと考えております。ここのところは日本での少子化が結婚や、子どもを産み育てることに関する人々の希望がかなえられないために起こっているとか、1のところをもう少し出生率が世界最低クラスなんだということを、強調していただきたいなと思います。
 2点目なんですが、次の「経済の低迷と閉塞感の高まり」なんですけれども、やはりこれは自殺率がトップレベル。12、13年続いて年間3万人もの方が亡くなっているということを、今の社会情勢ということであれば、強調する必要があるのではないかと思います。
 今回、公聴会及び意見募集の意見のまとめというところで、第3分野の男性、子どもにとっての男女共同参画でも、男女共同参画に係る施策において、主に男性に生じている自殺やホームレス等の問題に取り組んでいないという御指摘もございます。つきましては3ページの社会情勢についての認識では、自殺の死亡率をもっと強調すべきではないかと思います。
 第3分野につきましては17ページで男性の自殺率等ということで、1か所だけ記載がございますけれども、これ以外は今、見た限りではないかなと思いますので、もう少しこの辺りに危機感を持って、今の社会情勢がどうなんだということを書き込んでおく必要があると私は考えております。
 以上でございます。
羽入会長
ありがとうございます。鹿嶋主査、いかがですか。
鹿嶋主査
自殺者が3万人を超したのは1998年からで、最近ということでもないんです。だからその辺りはちょっと検討させてください。ここは一応最近の社会情勢についてなので、自殺者がずっと3万人超ということも含めて書くのか、その辺はちょっと考えます。
羽入会長
ありがとうございます。ひとまずこれで第5分野までの議論をおしまいにさせていただき、第6~10分野までの御説明をお願いできますか。
鹿嶋主査
第6分野です。活力ある農村漁村の問題ですけれども、30ページにつきましては「女性農業委員や認定農業者数、女性による起業等が徐々に増えている」という表現にしてあります。
 「家事・育児」とあったんですが、介護も入れるようにしました。
 「農山漁村地域の維持・振興に貢献している女性の参画が不可欠である」と、女性の上にそういう形容詞を付けています。
 31ページはⅢ(2)[3]に「ゼロからの脱却、複数選出を強く働きかける」という、これは農業委員のことです。
 「農業委員等各種委員・役員の選出」という言葉も補っております。
 (2)[2]は「女性指導農業士」ということで「指導」という言葉を入れております。
 32ページは[8]、[9]の言葉を補っています。
 33ページからが今日、大きな議論になる個所かもしれません。第7分野、37ページの第8分野ですけれども、これは1つの見出しを2つに割っております。第7分野につきましては貧困など生活上の困難に直面する男女への支援ということで、生活困難の問題をそこに書き込んでおります。
 これについて起草WGでどういう議論があったかといいますと、Ⅰでこれまでの施策の効果と貧困など生活上の困難に直面する男女への支援が十分に進まなかった理由として、1のこれまで我が国において云々というところですが、起草WGでは、みんなマイナスのことしか書いていないのではないか、効果がどこにも書いていないといった指摘がありまして、それを踏まえて書き直したということです。
 なお書きで「なお、第2次基本計画には『ひとり親家庭等に対する支援の推進』のための施策が盛り込まれていなかったが、貧困などに直面する男女への支援について」云々、要するに第2次基本計画ではこの問題は盛り込まれていなかったわけです。
 というようなことで、文章全部は読みませんが、これについての意見をいただきたいということ。そしてもう一つ重要なことに関し、皆さんに御意見をいただきたい。
 それは貧困など生活上の困難に直面する男女への支援という問題ですが、見出しに関して、貧困を前面に出してほしいというのが大臣の意見です。つまり、生活困難ではなく貧困に直面するということなんですが、そうはいっても、34ページⅢの2「雇用・就業の安定に向けた課題」ですけれども、この問題については特に貧困について言及しているのではないわけです。いわゆる雇用・就業の安定に向けた課題ですから。均等処遇といった問題は、貧困問題ではありません。
 これについて、皆さんの御意見をお聞きしたいと思っております。
 次に、37ページの第8分野。第8分野は生活困難を貧困を除いた高齢者、障害者、外国人等が安心して暮らせる環境の整備という問題を書き込んであります。
 Ⅰですが、障害者施策については、平成21年12月には障害者の権利に関する条約の締結に必要な国内法の整備を始めとする我が国の障害者制度の集中的な改革を行うため「障がい者制度改革推進本部」が設置され、障害者施策の推進に関する事項について意見を求めるため「障がい者制度改革推進会議」が開催されています。なお、外国人等については第2次基本計画において明確に位置づけられていないという文章を入れてあります。
 Ⅱ(1)ですが、未婚や非婚の急増や地域社会における人間関係の希薄化など、高齢者の生活を支える家族・地域のネットワークが弱まっているが、それらに代わる生活支援体制の構築が十分ではなかった。これは反省です。
 (2)若いころからの働き方が高齢期の経済的自立に大きな影響を与えるが、非正規雇用の増加によって老後の生活設計を描きにくい層が増加したということがあります。
 脚注はその説明として入れてあるものです。
 38ページは「困難な状況に置かれている」という表現をぽつぽつと入れ込んであります。
 (2)[5]は介護負担の上に「現実として女性の側に偏っている」という形容詞を付けております。
 39ページ(1)は今、言ったような説明です。
 (2)[2]は「男女別の統計データの整備など」という表現を入れています。
 外国人は「外国人女性は、言語の違い、文化・価値観の違いや、地域における孤立などの困難に加え、女性であることで更に複合的に困難な状況に置かれており、その状況に応じた支援を進める」という表現にしてあります。
 40ページの4は「女性であることで複合的に困難な状況に置かれている人々への対応」として、(1)は「人々が安心して暮らせる環境の整備を進めるためには、障害があること、日本で働き生活する外国人であること、アイヌの人々あること、同和問題等に加え、女性であることで更に複合的に困難な状況に置かれている場合がある」と補ってあります。また、性的指向の前には「男女を問わず」という表現を入れてあります。「性的指向(異性愛、同性愛、両性愛)に関して困難な状況に置かれている」。これは「困難を抱え」ではなく「困難な状況に置かれている」という表現に直してあります。そのためには「人権教育・啓発等を進める」という文章も付け加えました。
 以上が第8分野ですが、41ページから第9分野、女性に対する暴力です。
 42ページ「女性に対する暴力は、犯罪となる行為を含む重大な人権侵害」という表現にしてあります。
 (2)[3]「女性に対する暴力に関する理解を深め、被害者の置かれた状況に十分配慮できるよう、司法関係者に対する研修等の充実を図る」。
 [4]「電話相談や窓口相談についてサービス向上を促進するため、民間団体等も活用した夜間・休祭日を含む開設時間の拡大、各関係機関の相談窓口の電話番号の全国統一化や、24時間ホットラインの整備などの方策を検討する」という文言を入れております。
 43ページは「被害者の保護から自立支援に至る各段階にわたり」という表現を付け加えております。
 44ページ[4]に「研究」が入っております。その次に「性犯罪等の発生を防止するための効果的な対策やこれらの者に対する」という表現を織り込みました。
 [7]「盗撮については、女性の性的尊厳やプライバシー保護に十分配慮し、厳正に対処する」という文章を入れております。
 45ページは児童ポルノのところですけれども「表現の自由に配慮しつつ検討する」という文章を入れ込んでおります。
 46ページは7のセクシャル・ハラスメントについても「研究」という表現が入りました「セクシャル・ハラスメントの行為者に対して厳正に対処し、再発防止策を講じるとともに」という再発防止策についても入れ込んであります。
 そのことは(2)の[2]でも同じです。
 8メディアにおける性・暴力表現への対応。なかなか難しくてここはいろいろ起草WGでも議論が出たところでありますが、「女性をもっぱら性的ないし暴力行為の対象として捉えたメディアにおける性・暴力表現は、男女共同参画社会の形成を大きく阻害するものであり、女性に対する人権侵害となるものもある」ということで、もともとは「女性に対する人権侵害であり」としていたんですが、それは男女共同参画社会の形成を大きく阻害するものであって、女性に対する人権侵害になるものでもあるという表現に直してあります。
 その下が「表現の自由に配慮しつつ」という文章にしております。
 (2)は「女性をもっぱら性的ないし暴力行為の対象として捉えたメディアにおける性・暴力表現は、男女共同参画社会の形成を大きく阻害するもの」という表現に直しました。
 [3]は「インターネット上の児童ポルノ画像や盗撮映像等」ということ、「児童ポルノ画像」という言葉を補っております。
 [4]にも「表現の自由に配慮しつつ検討する」という表現にしております。
 48ページ、第10分野、生涯を通じた健康の支援ですが、2の生涯を通じた女性の健康支援のところですけれども、(1)「子どもを産む・産まないにかかわらず、女性には、乳・幼児期、思春期、妊娠・出産期、更年期、高齢期等人生の各段階に応じた健康上の問題がある」という言葉を補いました。
 「『リプロダクティブ・ヘルス/ライツ』(性と生殖に関する健康と権利)の考え方が認識されてこなかったため、女性の健康は子どもを産み、育てるという観点から、主に妊娠、出産、授乳期を中心に捉えられ、生涯を通じて重要な問題であるとの認識が普及してこなかった」という表現があります。
 今後の目標ですけれども、そこに書いてあるとおりのような言葉を補っております。
 49ページ、これは「子どもを産む・産まないにかかわらず、また年齢にかかわらず、すべての女性の生涯を通じた健康のための総合的な政策展開を推進する。さらに、男女の性差に応じた健康を支援するための総合的な取組を推進する」としてあります。
 2妊娠・出産等に関する健康支援ですけれども、そこには「性に関する商業的、不正確な情報が氾濫する中にあっては、望まない妊娠」云々としました。そういう「性に関する健康問題について、正しく理解し適切に行動を取れることが必要である」として、そのためにはどうするかという文章に続けてあります。
 50ページ(2)、喫煙のほかに飲酒も入れてあります。
 51ページ、性差に応じたがん検診として括弧内に入れたような文言が入っております。
 (2)[4]「助産師を一層活用するため、医療機関との連携、研修の充実等を促進する」という表現にしてあります。これについてはなぜ助産師が突然出てくるんだという指摘もあったんですが、そうした疑問をそのままにしておりましたので、皆さんからここに入れることが適切かどうかということで、御意見があれば伺いたいと思っております。
 以上です。
羽入会長
ありがとうございました。それでは、まず今回かつての第7分野が7と8に分かれました。そのことに伴い皆さんの御意見を伺いたいのと、先ほど鹿嶋委員からの御意見でございました第7分野のタイトルのことが大きな論点かと思いますが、まず第6分野で何か御意見がございますか。五條委員、どうぞ。
五條委員
第6分野を最初に議論していただけるということなので、第6分野についてはすぐパブリック・コメントを踏まえて思いつくところなんですが、31ページの赤で入れていただいた「女性リーダーの経営管理能力向上等に向けた」は、明確に研修の中身を書いていただいたということで大変ありがたいと思っています。
 以前議論して案を出させていただいたときには、こうしたことを出してはいたんですけれども、内容が細か過ぎるということで抜けてしまったんですが、あえて今回こういう形で入れていただいているので、もし可能ならばもう一言加えて、パブリック・コメントの中に女性リーダーの研修だけではなくて、女性農業者一般の生産技術習得研修についても推進をしてほしいということが、パブリック・コメントの中に出ています。
 これは非常に大事なことで、農村の現場で共同参画を進める上で改善すべき象徴的な課題の一つとして、農協の部会組織、例えば野菜部会とか米部会とか、そういうところに出てくる人のほとんどが男性である。ですから、産地づくりに女性が日常的な作業の面で重要な役割を果たしていても、なかなか表に出にくい状況があって、是非生産技術研修という言葉を入れていく必要があると思います。
 農林水産業に従事する女性の経営管理能力や技術習得等に向けた研修、情報提供等々という形にして、その後に女性リーダーの育成ということが出ているので、そういう趣旨を入れていただければと思います。
 すぐに取り上げたい点では、もう一点、一番最後の「農業者年金への女性農業者や若い農業者の加入の促進を図る」で、そのままここは特に変わっていないわけですが、今回のパブリック・コメントの中でここに該当する、女性が住みやすく活動しやすい環境づくりの中で指摘されていることの多くが、農業者年金におけるかけ金負担の問題です。それを念頭に置いて以前議論させていただいたときに、農業者年金制度において制度問題が存在する。特に男女共同参画の観点から制度問題が存在するということで指摘をさせていただいたんですが。
 そこで、パブコメも1つの背景にして、できれば農業者年金については女性農業者や若い農業者の加入促進を図るとともに、男女共同参画の視点に立った制度の点検、改善を検討するという文言を入れることができないだろうか。
 具体的に言うと、農業者年金には政策支援で保険料を割引する仕組みがあるんですが、実は後継者の配偶者が適用されないという問題があります。これは農村現場から割と指摘をされている課題でもあります。
 以上です。
羽入会長
ありがとうございます。ほかにこの分野について御意見はよろしいでしょうか。
 その次の第7分野について特に議論をしていく必要があるかと思いますけれども、第7分野について御意見を伺えればと思います。桜井委員、どうぞ。
桜井委員
第7分野と第8分野を分けてくださり、ありがとうございました。第7分野の見出しの「貧困など生活上の困難に」という言葉についてですが、悩ましいのは「男女への支援」と書いてあることです。第7分野のⅠの1の下の方で、「また、根強い固定的性別役割分担意識や仕事と生活の調和が確立されていない現状では、高齢単身男性や父子世帯の男性が、地域で孤立するなど、生活上困難な状況に陥りやすい」という記述があって、これを言うのであれば、やはり生活上の困難という言葉を使わざるを得ないのではないかと思います。
 私はやはり今日本で一番問題なのは、社会構造上、税制や社会保障の制度なども含めて、女性が貧困に陥る社会構造になってしまっていて、そこへのセーフティネットがないというところだと思います。ですから、この分野は、女性の貧困問題にある程度特化して記述することが大事かと思いますが、その一方で、男性もここに書いてあるような、地域で孤立するなど生活上困難ということも裏返しとしてあるわけですから、その両方を言うとすれば、ここは「生活上の困難」という言葉を入れざるを得ない。しかし、その頭に「貧困など」ということで、最初に貧困という言葉を是非残しておいていただきたいと私は思います。
羽入会長
ありがとうございます。ほかの委員の御意見はいかがでしょうか。林委員、どうぞ。
林委員
私も33ページ以下は今日初めて拝見するので考えがすぐにまとまらなかったのですけれども、従前の基本問題・計画専門調査会の議論でも、いわゆる複合差別と言われる高齢者、障害者、外国人の問題と貧困の問題というのは、性質が違うのではないかといった御意見が出されていました。それはそれでわかるんですが、私は若干否定的なのは、ここに書いてある施策というのは結局経済的な自立につながっていくので、その前のところの第4分野の雇用であるとか、第2分野の社会制度・慣行の見直しということと重複するきらいがあるのではないかという印象を持ちます。
 例えば33ページの冒頭で、日本は所得の再分配政策に失敗しているんだということが書かれていますけれども、なぜ失敗したのかというと、それは男性1人の稼ぎ頭モデルで、男女ともにワーク・ライフ・バランスを図りながら家事、育児、介護もやり、働くという社会保障モデルではなかったために、いろんなひずみが生じているということだと思うんです。そのことについては第2分野の社会制度・慣行の見直し、意識の改革で言っていることで、むしろ第2分野のところで貧困の問題であるとか、経済的自立の問題を強調すべきことなのではないかと思いました。
 戻ってしまいますけれども、これを見て今のところを読んで改めて先ほどの「現状認識」、3ページの「最近の社会情勢についての認識」という4つを見てみると、今、日本はさまざまな国難に直面しているわけですが、そのうち最大の問題というのは財政赤字の問題で、税収がないところにいろんな政策をしなければいけない。国の役割がどんどん大きくなっているけれども、それに伴う収入がないということをどうしたらいいか。雇用を創出してみんなが働かないといけないという視点がどこかにないと、セーフティネットの創出ということだけだと反発を受けるのではないか。そんなことをやっている場合かという意見は、どこかから出てきてしまうのではないかという印象を持ちました。
 施策のところでいろんな就業教育をやっていくことは大賛成で、35ページのところの男女の自立に向けた力を高める取組み、一番下の4の(1)、(2)などは賛成なんですけれども、こういった取組みというのは別に暴力被害者だけに対してだけではなくて、もっといろんな人に対して強調していかなければいけない部分ではないかと思います。
 少子高齢化、人口減少社会というのは30年、50年のタームの話ですが、国家がデフォルトするかもしれないという話は3年、5年くらいの話かもしれないので、もう少し危機感というのを出した方がいいのではないかと思います。
羽入会長
ありがとうございます。ほかの方の御意見はいかがですか。坂本委員、どうぞ。
坂本委員
私も初めて読んで、全体の課題もあるのかなと思うんですけれども、細かなところですが、35ページの3「安心して親子が生活できる環境づくりにかかわる課題」という(2)具体的な取組みの[1]の最後に「養育費の確保のための更なる方策を検討する」というのがあります。養育費の不払いの問題が実はものすごい社会的なコストになってきている。2割ぐらいの離婚した父親からしか養育費の支払いが行われていない中で、ずっと生活保護を受け続けている母子家庭というのは本当に多いんです。
 かつてに比べて、離婚した夫の方も就業環境が厳しくなっているところもあろうかと思いますけれども、やはり両性がつくった子どもに対して責任を持つというのは、イーブンで負っていくべきことだと思います。さらっと書いてあるのですが、先ほどどなたかおっしゃったような実態のひどさみたいなところは、数字でとれると思いますので、具体的に書き加えてもらって、更なる方策を検討するということにしていただければと思いました。
羽入会長
ありがとうございました。鹿嶋主査、どうぞ。
鹿嶋主査
私は個人的には生活困難とした方がいいと思っているんです。要するに年収100万、200万の若者をどんどん増やしていいのだろうかということ。それから、15歳から24歳の若者の失業率は、今年に入って10%を超す月もあるわけです。世界の中で、中年よりも若者の失業率が高いという国は、先進国の中では日本ぐらいではないですか。そういうことも考えると、新たなセーフティネットを若者に張り巡らす必要がある。若者の非正規雇用というのは深刻な問題で、だからこそ男の子などは、男は稼ぐ人などというジェンダーバイアスなどがあるものだから、結婚もできない、いや、結婚することに臆病になってきている。ということなので、貧困は生活困難という広い枠内でとらえていった方がいいのではないか。ですから、私は「生活困難に直面する男女への支援」とした方が、見出しとしてはいいのかと思います。
羽入会長
桜井委員、どうぞ。
桜井委員
そうすると、貧困は入れないということですか。
鹿嶋主査
入れます。このままにします。
羽入会長
ありがとうございました。それでは、今回の議論の段階では現在の案のままに、貧困などの生活上の困難に直面するという形でいきたいと思います。桜井委員、どうぞ。
桜井委員
34ページのⅡ今後の目標ですが、セーフティネットの再構築の必要性が書いてありますが、一番必要なことはライフスタイルに中立的な社会制度をつくっていくということではないでしょうか。日本の現行の法制度が女性を貧困に陥れる構造になってしまっているわけで、そこのところを、変えていかなければならないわけですから、セーフティネットの再構築というよりも法制度の見直しというか、そういったことに踏み込まないとだめなのではないかと思います。
 例えば7ページの2の「男女の社会における活動の選択に対して中立的に働くような制度構築が必要である」というような文言を入れていただけるといいと思いました。
羽入会長
済みません、今のは7ページですか。
桜井委員
7ページの2の1つ目の・です。「生き方が多様化する中で、男女の社会における活動の選択に対して中立的に働くような制度構築が必要である」とありますが、そのような記述が必要ではないでしょうか。日本の法制度が女性は補助的に働くことを前提につくられており、いい例が103万円の壁に象徴される控除ですが、主婦でないライフスタイルを選ぶときには本当に貧困に直面してしまうわけで、そこのところの法制度を変えていくことが、一番やっていかなければならない問題なのではないかと思いまして、セーフティネットの再構築とともに、何らかの形で書き込めたらいいかなと思います。
鹿嶋主査
つまり、2の1つ目の・にそういう文言を加えるということですか。
羽入会長
34ページに加えるということですね。
桜井委員
そうです。34ページⅡの3行目「同時に、貧困など」と書いてありますが、ここは具体になっていますから、これをくくる意味で今後の目標の冒頭にライフスタイルに中立的な社会制度の構築という文言が1つ入らないかと思ったんです。
羽入会長
鹿嶋主査、何かありますか。よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、第7分野は以上でよろしいでしょうか。それでは、8~10全体をまとめてどうぞ御意見をお願いいたします。
石川委員
先ほど鹿嶋主査もおっしゃったんですが、51ページ5(2)[4]で助産師が突然ここで出てきて、少し違和感を感じるという話なので、私も同様な考え方を持っていまして、したがって[1]の中に含めて全体の医療機関の連携とか研修の充実とか、そういったことを書き込んでいけば余りぎらぎらしないのではないかと思っています。
 この医療分野において医師、看護師、助産師、医療関係者というのがあるんですけれども、これで職種を決めていくと薬剤師というのがいなくなってしまいまして、薬剤師は女性が非常に多いので、こういったことを特記して書かなくてもいいのか。私自身は書いた方がいいのではないかと思っています。
 細かい点になるんですけれども、48ページ2(1)の2行目ですが、人生の各段階に応じた健康上の問題があるという表現がありまして、これは非常にいいんですけれども、49ページのⅡの1(1)の3行目に「各ステージ」という言葉があって、これはどちらかに統一した方がいいのではないかという気がします。
 49ページ、例えばほかにも何か所かあるんですけれども、一番下の行に「仕事と生活の調和」という文言がありまして、第7分野を見ると仕事と生活の調和の後に括弧でワーク・ライフ・バランスという文言が付け足してありまして、第7分野はすべてその括弧書きが付いていますので、どちらかでこれは統一した方がいいのではないかと思っています。
羽入会長
ありがとうございます。それでは、第10分野までおしまいにしまして、続けて11から最後まで御説明をお願いします。
鹿嶋主査
第11分野、教育・学習の充実ですが、54ページ(2)[2]には「教科書においても教育基本法や学習指導要領の趣旨を踏まえ、適切な記載がなされるよう配慮する」という文言を入れてあります。[6]はNWECの話ですけれども「顕著な業績を残した女性や女性施策等に関する記録の収集・提供等を行う女性アーカイブ」という文言を付けています。
 [7]は「日本学術会議においては、ジェンダー研究を含む男女共同参画社会の形成」という言葉が入っております。
 2、多様な選択を可能にする教育・能力開発・学習機会の充実ですけれども、そこに書きましたようなミレニアム国連総会で合意された文言を入れ込んであります。
 55ページ(2)[4]「情報通信技術を身に付けるための教育・学習活動など」という形容詞を入れました。
 56ページ、第12分野、科学技術・学術分野における男女共同参画。今後の目標の中に「女性研究者の参画拡大に向けた環境づくり、女子学生・生徒の理工系分野の進路選択促進と合わせて、科学技術・学術分野における女性の参画拡大に向けたポジティブ・アクション等の推進」という文言を入れ込んであります。
 57ページ、具体的な取組みの中には大分消したところもありますが「各機関等が女性の採用に関する数値目標の設定と公表、及び達成度の評価・公開等を行い、各機関における女性研究者の採用・登用及びその活躍を促進するよう働きかける。また、各大学や公的研究機関等における取組状況や職階別の女性割合等を把握し、公表する」という文言を入れています。
 58ページ(2)[3]ですが、支援のほかに成果を普及する。
 [5]「研究期間は、短時間勤務や在宅勤務、柔軟な雇用形態・人事制度の確立、研究サポート体制の整備」云々という文言を入れました。
 [7]「研究者・技術者及び研究補助者等に係る男女別の実態把握とともに統計データを収集・整備し、経年変化を把握する」という文言が入っております。
 59ページ、第13分野、メディアの問題ですけれども「暴力行為の対象として捉えたメディアにおける性・暴力表現は、男女共同参画社会の形成を大きく阻害するものであり、女性や子ども対する『人権侵害』となるものもあるという観点から啓発を行う」という表現にしております。
 「レイティングやゾーンニングなどの情報の隔離を適切に行う」という文章、レイティングやゾーンニングは注を入れなくて大丈夫ですかね。わからない人もいるかもしれません。レイティング、ゾーンニングは注を入れましょう。
 60ページ(2)ですが、具体的な取組みとして「女子差別撤廃条約等の国際規範や女子差別撤廃委員会が勧告している固定的性別役割分担意識に基づく男女像に関する表現の是正など日本のメディアの課題について、その内容をメディア及び国民各層に周知徹底する」ということであります。
 [5]は「表現の自由に配慮しつつ」という表現を入れました。
 62ページ、第14分野、地域、防災・環境その他の分野における男女共同参画の推進ということで「地域、防災・環境その他の分野」という表現になっております。
 「地域おこし、まちづくり、観光分野については、地域活動や文化活動などが特定の性、年齢層で担われている場合があり、男女共同参画の視点に立った人材教育やネットワークの構築等女性の活躍を推進する取組が十分とはいえない状況である」という表現です。
 2「これらの分野における男女共同参画、とりわけ地域における」というつながりにしています。
 (2)「地域活動への参加」が「参画」になっています。
 (5)「地域によっては男女共同参画の推進拠点である女性センター・男女共同参画センターの位置づけが確立していないところもあるなど」としています。
 63ページは「行政だけでなく、一人ひとりが加わって」云々という表現です。
 「地域における方針決定過程(自治会、農業委員等地域住民が担う様々な行政関連の委員会・協議会等)」という文章にしてあります。
 「また、防災、環境等の分野については、地域に根ざした活動から、全国規模、地球規模の活動まで様々なものがあるが、組織の運営や活動の進め方において男女共同参画を推進する」という文言にしております。
 Ⅲ(1)「女性センター・男女共同参画センター等の機能の充実・強化を図るとともに、公民館や自治会等地域活動が行われる場を活用し」という表現を入れ込みました。
 (2)[3]「リーダー等になりやすい環境整備を図る」という表現にしました。
 64ページ2「地域の活動における男女共同参画の推進」。ここは「参加」を「参画」に直しました。
 (2)は商工会の下に「社会福祉協議会、まちづくり推進協議会」という文章が入っております。
 3「男女共同参画の視点に立った地域おこし、まちづくり、観光、文化を通じた地域経済の活性化等の推進」が入っています。
 65ページ4「防災における男女共同参画の推進」。
 具体的な取組の[2]ですけれども「避難場所や災害ボランティア活動などの場において、男女共同参画の視点からの配慮がなされ、女性の安全が保たれるように図る」ということ。
 [3]では消防団員という言葉を入れてあります。
 5「男女共同参画の視点に立った環境問題への取組の推進」。
 (1)施策の基本的方向として「一人ひとりのライフスタイルを環境への負荷がより小さいものへと変えていくとともに、持続可能な社会の実現に重要な課題である環境分野における女性の積極的参画を促進する」としてあります。
 (2)具体的な取組みで[1]環境分野における政策・方針決定過程ですが「問題への取組」という文章が加わりました。
 [4]「地球環境問題を解決し、持続可能な社会実現のための情報の提供や交流の場の提供を図る」としてあります。
 66ページ、第15分野、国際規範のところですけれども、Ⅱ「今後の目標」ですが「ジェンダー主流化の視点に立ち効果的かつ公正に進める」としました。
 67ページ2「男女共同参画の視点に立った国際貢献」ですけれども、「ODAの計画立案から実施、評価にいたるプロセスにおいて」云々です。
 「開発途上国におけるジェンダー主流化の促進を通じて、男女共同参画の推進及び女性のエンパワーメントの達成及び地位向上に積極的に寄与する」という文章。
 「紛争の予防・管理・解決を含む政策・方針決定過程への女性の積極的な参画を促進する」。
 (2)は「ミレニアム開発目標の達成及び北京行動綱領の実現に向けて、ODA大綱に基づき、引き続き男女共同参画の視点を重要なものとして考え、ODAを適切に実施する。[2]「ODA大綱やGADイニシアティブに基づき、我が国のODA政策(国別援助計画等)を実施する際に、男女共同参画の視点を反映させる。特に、女性の地位や福祉の向上を直接の目的としない開発政策においても、男女共同参画の視点をより一層反映するよう努める。また、ミレニアム開発目標のうち、母子保健分野等日本が実績を持つ保健・教育関連の目標達成に向けて取組を強化する」。
 そのほか細かなものが少し入っておりますが、[6]は「ジェンダー研修の実施、ジェンダー担当者の能力向上等により組織の体制整備に努める」という表現にしてあります。
 [8]「人身取引は人権侵害であり、ODAを活用した人身取引被害者のエンパワーメント等、人間の安全保障の観点に基づく被害者支援を進める。あわせて、被害者の出身国等関係国との連携体制を強化し、国境を越えた人身取引の撲滅に貢献する」。
 [9]「草の根・人間の安全保障無償資金協力等を通じて国内外のNGO等への支援を引き続き実施する」。
 [10]「今後設立が予定されている、国連のジェンダー関係の4機関を統合する新たな機関が効果的・効率的に機能するように働きかける」。
 [11]「『ジェンダーと開発』分野の研究体制を強化する観点から、関係研究機関の連携の強化等を図る」としています。
 70ページ、推進体制のところはそう多くはありませんが、まず今後の目標のところに「また、地域における男女共同参画を推進するためには」という言葉が入っています。
 「地方公共団体や民間団体等の積極的な取組が重要である。関係機関がそれぞれの機能を十分に発揮し、関係機関間で連携するとともに、国が地方公共団体、民間団体と有機的に連携し」という表現になっています。
 施策の基本的な方向には、内閣総理大臣の下に女性担当大臣の内閣官房長官が入っております。
 72ページ「国は、地方公共団体や民間団体等とともに一体になって地域の取組の支援や意識啓発の一層の推進を図ることにより、地域における男女共同参画を推進する」という文言。
 73ページ「国立教育会館における取組の推進」ですが「地域における男女共同参画の推進を更に支援するとともに」という文章を入れております。
 以上です。
羽入会長
ありがとうございます。それでは、まず11~13全般についていかがでしょうか。
伊藤委員
第12分野なんですけれども、58ページの具体的な取組みのところで研究機関における男女共同参画の実態把握というか、取組みの状況把握と公表みたいなことを、例えば[1]か[7]に組み込めないかなと思っています。これは実際に科学振興調整費等々の流れの中で、実際に調べて公開したりする動きは始まっています。すごく重要なことで、研究機関に対する刺激という意味でそういう工夫ができないのかなというのが1つ。
 もう一つは悩んでいるところなんですけれども、66ページでジェンダー主流化の議論が出てくるんですが、これは第15分野で限定する形で使っていいのかどうかということです。推進体制の方にも触れるか、前の方で触れるかというところは考えなくてよろしいかということを、いまさらながら見て気がついたんです。
羽入会長
ありがとうございます。前におっしゃった58ページは[7]に更に文言を追加するということですか。
伊藤委員
[7]あるいは[1]の部分でもいいような気がします。研究機関における男女共同参画の取組状況を把握、公表し、研究機関の管理職等を対象とした男女共同参画のための意識啓発活動を行うとともに云々という流れでもいいかなと思います。まず[7]でデータの把握ということでいくならば⑦でもいいかなと思いますが、[1]の方がむしろいいかなと個人的には思います。
羽入会長
ありがとうございます。ほかにはございますか。加藤委員、どうぞ。
加藤委員
第11分野の教育についてなんですが、53~55ページ辺りなんですけれども、54ページ(2)[2]「初等中等教育において、児童生徒の発達段階に応じ、社会科、家庭科、道徳、特別活動など」と教科のことが記されてございますが、公聴会及び意見募集の意見のまとめにも教育に関しましては、家庭科教育の重要性について記述をすべきとか、学校現場における男女共同参画の取組みが進んでいないので、生徒たちが男女共同参画の精神を持たずに卒業することがないようにという記述もございます。
 皆様御案内とは存じますけれども、男女共同参画が学校教育の中でどういう教科で教えられているかというと、中心は家庭科でございますが、この家庭科教育をめぐる環境というのは、やはり少ない授業時間数、それから、受験教科ではないために軽視をされているという状況がございます。しかし、私は家庭科の教科書を見て思いますことに、やはり男女共同参画を含めて家庭科というのは衣食住、地域のつながり、この計画の中にも書いてございますけれども、環境など、極めて暮らしに必要なことが盛り込まれている教科でございます。
 [2]の書きぶりは最終的には3行目「家庭生活の大切さなどについて指導の充実を図る」と言って、その後に特に家庭科の重要性について改めて認識を共有することが大事であるとか、必要だということを追加していただきたいなと思います。
 この教育の中で53~55ページで「社会教育」という言葉が出てまいります。私が懸念いたしますことは、例えば自治会における男女共同参画ですとか、防災における男女共同参画ということもここで議論をしているところでございますが、社会教育における男女共同参画と言った場合に、社会教育法に規定をされている団体だけを考えるということがもし起きるとすれば、自治会や防災等は地方自治法に規定をされている団体でございますので、そこのところが漏れてしまうといけないかなと心配をしております。だから社会教育という書き方で本当にいいのだろうかと思っています。
 55ページ(2)[5]「社会教育、学校教育にかける消費者教育を推進する」と、ここでも社会教育と書かれているわけでございますけれども、同様に消費者教育を推進してもらいたいのは学校教育、大学、地域における消費者教育を推進してもらいたいわけですが、ここでも同様に社会教育という書き方だけですと、広く消費者教育を推進するということが、もしかしたらばどこかで狭まってしまうのではないかという懸念を抱いているところでございます。
 (2)[6]「職業におけるキャリアだけでなく、PTAやNPOなど多様な」と書いてございますけれども、是非PTAやNPOの次に地縁団体の活動などというふうに、地縁団体を加えていただきたいと考えております。
 以上でございます。
羽入会長
ありがとうございます。林委員、どうぞ。
林委員
54ページの一番下に「『ミレニアム開発目標』の実現に努める」が入ったのは大変いいことだと思うんですが、国際のところの定義が67ページに入っているんです。だから定義を入れるのであれば、一番最初に出てくるところに入れるということと、ミレニアム開発目標という1つの文書が2000年の国連総会で採択されたわけではなくて、2000年に総会があって、その後いろいろな90年代の国際会議の成果文書の集大成が開発目標ですので、54ページの書き方というのはいささか不正確ではないかと思いますので、工夫をお願いします。
羽入会長
ありがとうございます。そのほか第13分野までよろしいでしょうか。
 第14分野から最後の推進体制のところまで、御意見がありましたらお願いします。林委員、どうぞ。
林委員
国際のところで幾つかあるのですが、1つは先ほど伊藤委員から提言があった66ページに出てくるジェンダー主流化という概念が、ODAの実施に当たってだけ言うべき話なのかどうかというのは大きな問題であり、検討に値する御提言だと思いました。
 67ページの一番下のところなんですが、私はここに最後「ODA大綱に基づき、引き続き」と加えることには賛成ができません。男女共同参画の理念というのはODA大綱よりも上にあるべきものだと思うんです。だからODA大綱の話は66ページの[2]に出てくるんですから「ODA大綱に基づき」は[1]から削って、これを男女共同参画の視点でやっていくのだということが冒頭でよいと思います。
 68ページ[10]で国連のジェンダー関係の4機関の統合に触れられていて、実際にそのような動きがあるんですけれども、UNIFEMも統合の対象になっていますので、[5]で「国連婦人開発基金等の基金において、資金が重点的に配分するように」と個別の名前を出すことがいいのかどうかは、検討する必要があると思います。むしろいろいろなNGOの方々からの意見ですと、特定の基金の名前を出すとUNDPの基金はどうなのか、これはどうなのかと、かえって出ていないものが目立つという御意見も多々ありました。特にもしジェンダー機関統合の話を入れるのであれば、それとの関係で[4]は表現を工夫された方がよいと思います。
羽入会長
ありがとうございます。そのほかの委員は御意見いかがでしょう。桜井委員、どうぞ。
桜井委員
推進体制の72ページ[2]ⅲですが、「センター等を運営する指定管理者について」ということを書いてもらってよかったと思います。とくに指定管理者は「男女共同参画施策を十分理解していること」が必要だとは入れていただいてよかったと思います。
 問題はその次で、「地方公共団体が期待する施策の事務能力が必要である」とあります。事務能力というと起案をつくるのが上手とかと判断されがちで、今、地域のNPOが指定管理を積極的に取りに行って、いい活動をしているところもありますので、そういうところが事務能力で審査されて不利になるのは困ると。
 ここをこのようにしたらどうかと思っているんですが、「指定管理者について男女共同参画施策等を十分理解していることや、地方公共団体の男女共同参画施策を踏まえた事業実施能力が必要である」。やはり、事業面のことを言っていただきたいと思いました。
 以上です。
羽入会長
ありがとうございます。ほかに御意見はございますか。後半の第11~15分野、そして推進体制についていただきました御意見について、鹿嶋委員よろしいですか。
 それでは、大変貴重な御意見をいただきましたので、これを踏まえて次の専門調査会には答申案をとりまとめてまいりたいと思います。今日いただきました御意見の内容を踏まえて修正をし、今後政務三役への御相談あるいは関係省庁との協議などによって修正をしていくこともあるかと思いますが、皆様にお諮りしたいのはその扱いについて、起草WGの鹿嶋主査に御一任いただいて、次の専門調査会に修正を踏まえて答申案を提出するとしたいと思いますが、いかがでございますでしょうか。よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

羽入会長
ありがとうございます。それでは、鹿嶋主査、引き続きですが、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事録に関係してですけれども、資料4をごらんいただけますでしょうか。1つのまとまりになっているかと思います。調査会の議事録の第48、49、50、52、53、54回の6回の議事録を事務局でまとめていただきました。このとおりに決定してよろしいかどうかお諮りしたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

羽入会長
それでは、内閣府のホームページで公開することにさせていただきたいと思います。
 最後に事務局から御連絡等ございますでしょうか。よろしくお願いします。
竹林企画官
ありがとうございました。次回の専門調査会でございますけれども、冒頭に御案内がありましたように、資料5のとおり6月7日15時~17時まで、場所は永田町合同庁舎共用第1会議室でございます。次回の調査会におきまして会長から御案内がありましたように、答申案のとりまとめをお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
羽入会長
皆様、大変活発な御議論をいただきまして、また、御意見をいただきまして誠にありがとうございました。それでは、これで第60回の「基本問題・計画専門調査会」を終了いたします。ありがとうございました。

(以上)