男女共同参画会議基本問題専門調査会

  • 日時: 平成22年3月16日(火) 15:00~18:00
  • 場所: 永田町合同庁舎第1共用会議室

(開催要旨)

  • 出席者
    会長
    羽入 佐和子 お茶の水女子大学学長
    会長代理
    鹿嶋 敬 実践女子大学教授
    委員
    伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
    帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
    勝間 和代 経済評論家・公認会計士
    加藤 さゆり 前全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
    河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
    辻村 みよ子 東北大学大学院教授

(議事次第)

  1. (株)ヤマシタコーポレーションからのヒアリング
  2. 起草ワーキング・グループからの報告
  3. 自由討議

(配布資料)

資料1
第1分野「政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」 [PDF形式:234KB] 別ウインドウで開きます
資料2
第2分野「男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革」 [PDF形式:172KB] 別ウインドウで開きます
資料3
第4分野「雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保」 [PDF形式:173KB] 別ウインドウで開きます
資料4
第10分野「男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実」 [PDF形式:205KB] 別ウインドウで開きます
資料5
第11分野「科学技術・学術分野における男女共同参画の推進」 [PDF形式:170KB]別ウインドウで開きます
資料6
第13分野「地域における男女共同参画の推進(地域生活、まちづくり・観光、防災、環境)」 [PDF形式:217KB] 別ウインドウで開きます
羽入会長
年度末の貴重なお時間をいただきまして、皆様お集まりいただき、ありがとうございます。57回の基本問題・計画専門調査会の会合を開催いたします。
 今回も、前回に引き続きまして、経営者団体の方をお招きしております。そのお話を伺いました後に、起草ワーキングの議論を御報告いただき、皆様の意見を伺いたいと思います。
 本日は、株式会社ヤマシタコーポレーションの代表取締役山下一平様、常務取締役の久保田輝様においでいただいております。経営者団体のお立場から、男女共同参画についてお話しいただければ、大変幸いでございます。
 それでは、早速でございますが、山下様よろしくお願いいたします。
山下氏
ヤマシタコーポレーションの山下と申します。よろしくお願いします。
 東商の方の関係で、どちらかというとあまり専門ではないのですけれども、お話をしろということですので、御参考になるかどうかわかりませんが、担当の役員の久保田も来ておりますので、その中で御説明させていただきたいというふうに思っております。
 まず、ヤマシタコーポレーションについて、ちょっとお話をさせていただきたいと思います。
 当社は昭和38年に設立されました。これは、病院寝具について、医療保険の中で、医療施設が入院の寝具を用意するという法律ができたときに、これは当然医療施設そのものがやるわけではなくて、外部委託がオーケーという法律ができまして。そのころ、我々のような事業者が全国にいっぱいできたわけですけれども、その中の1つとして当社も設立されました。そういった意味では歴史は創業50年というところです。
 病院寝具で始めましたが、やがて、研修所とかホテルとかのリネンサプライ、それから、皆さんは多分ダスキンの方が御存知の方が多いと思いますけれども、リースキンといういわゆる玄関マット、科学ぞうきん、そういう仕事を加えまして、1985年ぐらいから、今度は高齢化ということの中で、福祉用具、介護用品のレンタルという事業を始めました。一貫して言えることは、我々の事業は貸し物業ということで、いわゆる物をお貸しして、その付加価値を付けてサービスをするという仕事でございます。病院寝具についても、シーツ類とかは必ず洗濯が必要でありますし、そういったものをお貸しして、洗濯のサービスを付けて提供をするという仕事でございます。介護用品についても、高額な商品を購入されても、不幸にしてすぐ亡くなってしまったり、体の状況が変わることによって次の違った別の介護用具が必要だということを考えますと、レンタルは非常に合理的ではないかなというふうに考えまして、そういう事業を始めました。こういった事業を始めたのは、もう1社おりましたけれども、フロンティアに近いということでございます。これが、2000年の介護保険がスタートして、そのマーケットが非常に急拡大したということがございます。
 当社は、現在、社員数は1,600名おります。実際は、その中の正社員は1,025名、あとはパートでございます。これは、リネンサプライの工場を持っておりまして、そういったところの社員は、どうしてもパート比率が高くなってしまうということがございます。ホームケアの方は、ほとんどが福祉用具のレンタルですけれども、これは正社員がほとんどでございます。そういった中で事業を始めました。
 女子社員は、1,025名のうちの320名で、7対3という正社員の比率になっております。まだまだ男性の方が多い会社になっております。当社は、どちらかというと、スタートのころはもっと男性比率が多かったのですが、福祉用具を始めるようになって、パイオニア的な部分もありまして、全国的にある意味ではこの業界ではかなり影響力のある会社ということになりまして。今でも懐かしいんですが、25年ぐらい前に新卒の募集をしまして、会社説明会をやりました。そのときに、当社は本社は静岡ですが、東京で会社説明会をやりまして。私はたまたま東京へ来る用事がありまして、担当者が説明会をやるホテルで、ちょうど今説明会をやっている真っ最中ぐらいかなという時間にそのホテルを訪問しました。そうしたら、その担当者が本を読んでいまして。「あれ、どうしたんだ」と言ったら「いや、誰も来ない」という話だったんですね。それぐらい、ある意味では人の採用については苦労をしていた時代だったんです。
 ところが、今の福祉用具をやるようになって、比較的一般にも知名度がある程度出てきまして。そんな中で新卒もかなり買手市場というか、割と望むような人材がかなり確保できるようになりました。昔と比べると本当に隔世の感がありまして、今はそういった意味では胸をなでおろしております。景気が悪いということもあるのかもしれませんが、そういった状況になっておりまして。
 そんな中で、男女(共同参画)ということになりますと、まだまだうちの会社は、ヤマシタという同族企業でもあるのですけれども、私の母が副社長でいて、実質、本当の女性の役員はまだ1人もおりません。ただし、そういう兆しは少しずつ見えているのかなと。役員まではまだまだ先の話かもしれませんが、福祉用具をやるようになって、本当に優秀な女性の人材がかなり入るようになりました。福祉用具でも、スタート当初は、ベッドを届けたりするということで、かなり重労働な部分がありまして、そういった意味では現在の営業所長から、採用については、新卒は男性をという要望が結構強かったんですが、昨今の新卒の採用試験を私どもがやりますと、本当に女性が優秀なんですね。男性が上場企業とかそういったところに行ってしまうのかとも思うんですが、優秀な女性の人材を会社の力として使いたいなという思いが私どもも非常に強くなりまして、何とかそういう定着を図るような努力をしたいなというふうに思いながら、どうしたらいいだろうかということで、例えば重たいものを運ぶのでも、2人ペアにするとか、そういうような工夫によって業務の負担を減らすというような工夫をすることによって、女性が我々の業務をできるようになるのではないかと思いましたし、実際なっております。
 ただし、難しいのは、女性の方で男性に迷惑をかけちゃいけないというような、割と気遣いの中で退職していくとかということが最初のころはございました。ようやく最近はそういう部分も解消されてきましたし、女性の働く環境もかなり整備されてきたというふうに考えております。介護の福祉用具という業務の性格上、女性のそういう細やかな気遣いだとかそういったもの、あるいは、採用当初の優秀なそういう能力とか、そういったものは我が社にとって今非常に力になりつつあるなというふうに思っております。
 当社の福祉用具の事業所は、茨城から兵庫まで1都2府20県にわたっているのですけれども、営業所ごとに小さく単位で分かれているんですね。そういった中には大きな営業所もありますし、小さな営業もあります。新卒でかなり優秀な方が女性で入っても、男性が多いところで1人だけ入ると、なかなか勤務がしづらいというようなことがありまして。そういうところは定着がなかなかできなかった経緯はあります。私どもで言えば、京都の営業所辺りは、京都の学校から複数で女性が同期に入ってきて、そういった人たちがかなり勤務について情報交換等をしながら、やはり仲間がいるというのが非常にいいのか、成績も非常に優秀な成績を上げている状況です。だから、そういうような規模によって難しい部分もありますが、できるだけそういう女性同士のコミュニケーションがとれるような環境が定着には必要なのかなというふうに思っております。将来的には、残念ながら、今は一番上のポジションが課長なんですね。次長、部長、それから、役員へと、早くそういった状況になってほしいなと思っていますけれども、先ほども申し上げたとおり、新卒でかなりの数が要望どおり採れるようになってまだ久しいので、トップは10年もうちょっとになっていますけれども、そういった人たちが上がっていくんじゃないかなと私は期待しております。
 男女(共同参画)の問題になると、いつも感じるのですけれども、こういったものがなかなか進まない中には、よそはやってないと。女性の場合はどうしても産休・育休とかという問題があったりして、本当は男性も育児休暇を取ればいいのですけれども、そうではないと、やっているところとやってないところのハンディができてしまうのではないかなと。だから、一律数値目標と言うといろいろ問題がありますし、企業の活性化に逆にマイナスの影響を与える場合もありますので難しい部分もありますが、できるだけみんなでそういうような体制になるような仕組みづくりが、男女共同参画の状況をつくりやすい社会になるんじゃないかなというふうには思っております。
 これは余談ですが、我が社の場合は、社内結婚が非常に多いんですね。福祉サービスという関係で、まじめな社員が多くて、その状況がよくわかって、いい人だなと思ってするのか、よっぽど外で使う時間がないのかと逆に心配もしたりするんですが、それが我が社の傾向なので、そんな中で、できるだけ2人とも会社に残るような、そういうシステムをつくっていきたいなというふうには思っております。
 あとは、常務の方から。
久保田氏
当社の場合につきましては、例えば新卒を採りますと、テストから面接からやっていきますと、女子社員の方がどうしても多くなるわけですね。女子社員が大体55で男子が45という、そんな割合になるわけです。20代の男女比を見ますと、大体半々ぐらいだったんですね。それが30代、40代になると、例えば社員の中に占める女性の割合が、30代になると、それが一気に20%、40代でも20%50代でも20%と。その女性がどこへ行ってしまうかというと、これは大体どこの会社でもそうだとは思うんですが、結婚、出産、育児、あるいは配偶者の方の転勤に伴って会社を辞めざるを得ないと、こういった部分があるんですね。これはどこの会社でも多分同じだと思います。しかし、そういった部分で、それがどんどん減っていく中で、数はそれほど多いわけではないのですが、私が実際に気をつけていますのは、「退職したいですよ」という話がよく出てくるのですが、そういった中で、それぞれの所長の意識が、ただ単なる事務手続で受けて、ポンと本社へ回ってくるわけですね。「なぜ退職するんですか」と。「実は、夫が転勤になりました」と。「だったら、うちの営業所へ行けばいいじゃないか」と。行くと、うちの方の営業所で受け入れたことも実際にあるんですよね。だから、そういう意識の部分を変えていけば、数はそれほど多いわけではないのですが、そういった部分でもそれが途切れてしまうということがないと。あるいは、うちの営業エリアを越えて、例えば北海道に転勤になってしまいました、あるいは九州になってしまいましたといったときには、うちは「エコール協議会」という全国ネットがありますので、そちらの方へ「うちの社員で、こういう社員がおりますが、どうですか。住まいはここになりますよ」と、そういった部分で、お互いにこちらの方から情報を流したり、逆に向こうの方から、当社ではないのですが、その協議会のメンバーの方から「ヤマシタさんの方で実はこういう人が旦那さんの転勤に伴って退職したんですけど、結構質のいい子ですからどうでしょうか」という、そういう情報のやりとりはしております。それが数が多いか少ないかというと、さほど多いわけではないのですが、そういった細かい部分で、そういう意識を持ってやっていくのが随分違うのかなというふうに思っております。
 うちも、育児休暇とか、特別なことをしているかどうかといいますと、そういったことは、特に誇れるようなことはないのですが、うちの中身を見ますと、育児休暇を取るであろうというふうな対象の女子社員、そうすると、大体20代、30代になると思うんですね。20代、30代の女子社員が265人ほどおります。そのうちの62人の既婚者がおります。今、そのうちの10名が育児休暇の取得中になっております。私は全体のそういったことは全然わかりませんので、それが多いか少ないのかわかりませんが、取りづらい雰囲気では決してないと思っていますね。
 育児休暇以外に、短縮勤務ということもありますけれども、これも今データを見ましたら、8人ほどおりますから、学校の先輩が、職場の先輩がそういうのを実際に取っているのを見たとか聞いたとか、そういった部分で、制度であれこれをするという部分も当然必要だとは思いますけれども、そういう雰囲気といいますか、当たり前のことを当たり前にできるような、何かそんな環境といいますか、気兼ねなく取れるような、あるいはそれを取ったときに、会社の方で、緊急の場合でしたら、例えば派遣で入れてくれるとか、そういったこともできているといった部分が、私から思うところ結構効いているのかなというふうに思っております。
 そんなふうなことで、うちの方でも、これからもっともっと考えてやっていかなければならないということもありまして、うちの会社でも、6公益法人に出向社員がおりまして、出向から2年たって帰ってくると、「ちょっと一休みしたいです」という話がありまして。いわゆるリフレッシュ休暇みたいな形でやっているわけですけれども、その辺りも、昔は、社長も率先してレフレッシュ休暇を取ったりしたんですけれども、制度としては当然まだ残っているのですけど、結局、運用の部分で、上の人が取らないと取りづらいといった部分があるものですから、実際の運用の部分をリフレッシュ休暇については、今後、うちの方では十分考えていかなければならないのかなというふうに思っております。
 そんなふうなことで、育児休暇にしましても、いろいろな休暇にしましても、知っている人は知っている、そういった部分で、うちも今度社内報を整備しましてね。そういった部分で、私はこういう形で育児休暇を取ります、あるいは、それを取って、これから会社の方にまた復帰してきますと、そんなふうな情報なども、これからもっと会社のいわゆる刷り物として、そんな形でもやっていきたいなというふうに思っております。
 大まか、そんなふうなことであれなんですが、先ほどうちの山下から話がありましたように、女性の管理職の登用ですが、意図的に特に女性を引き上げようというふうなことは正直やっておりませんが、実際に、女性のやった仕事の成果を正しく評価して、それを処遇した結果として役職者がどんどん増えているということで、全社では180人ほどの役職者が、主任以上は役職ということで規定しますと、180人ほどおりますけれども、約16名がそのうち女子社員なんですね。その女子社員も20代30代の若手の女子社員が16名ほどおります。約1割がなっていますので、これからは本当に期待できると思います。その16名の役職者のうちでも、今、産休を取っている女性もおりますし、その人も必ず会社へ戻ってくれるというふうなことですので、今後10年20年の中では、部長、役員みたいなことも考えられるのかなというふうに思っております。
 おおよそそんなところでございますが、よろしいでしょうか。
羽入会長
たいへんありがとうございました。とても興味深いお話を伺わせていただきまして。
 私どもは、第3次の基本計画を策定中でございますけれども、とにかく実現可能なものにしたいということで進めてまいりました。そのときに、実際に経営者の側の方は、御自分の社、あるいは経営の視点からこの男女共同参画はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのかという、その具体的なお話を伺いたいと考えまして、お呼びいたしました。きょうは、たいへん貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。
 委員の方々から、せっかくの機会ですので、どうぞ御質問を。
伊藤委員
どうもありがとうございました。
 1つお聞きしたいのですけれども、育休は特別なことはされていないということですけれども、法的な育休制度以外のものはつくっておられないという認識でよろしいですね。
山下氏
はい。
伊藤委員
もう一つですけれども、介護休業をとっておられる方の数はどのくらいですか。この辺はどうなのかちょっとお聞きしたいんですが。
久保田氏
私どもは介護保険のこういったサービスをやっていますから、社内でも、介護休業についてもちゃんとという話がありましたが、今現在、特別なものはございません。これも今後の検討課題というふうな形になっております。役員の中でも、うちがこういう仕事をしているのだから、そういった部分もそれこそ率先垂範すべきだというふうな意見もございましたけれども、これは本当に今後の課題というふうに考えております。
山下氏
それに関してですが、休みはないのですけれども、例えば勤務地が、親元から離れて勤務していた者が、介護の必要が生じたときには、その親元に近いところに異動するとか、そういったものは積極的にやっております。勤務の継続ができるように配慮をしているケースは何回かあります。
鹿嶋会長代理
大変ありがとうございました。
 中小企業の場合、様々なポジティブ・アクションとか、ワーク・ライフ・バランスとか、いろいろ取組はあると思うんですが、さっき山下社長の話ですと、「よそはやっていない」というのがやらない大きな理由になっているというのは、大変おもしろく聞いたんですけれども、そんなものなんですかということですね。これはどうすればいいんですかね、ということがまず第1点。
 それから、優秀な男性が多い中で1人の女性では定着しないということもおっしゃっていました。山下さんの会社ですと、20代は男女半々、だから、女性も半分ぐらい採っているわけですね。しかし、それが30代が2割で、どんどん減ってしまっていると。多く採っても、少なく採っても、いずれにしても女性は育たないという話になってきますね。じゃ、そこでどうすればいいんだろうかということをお伺いしたいと思います。その2点。
山下氏
まず、後の方からなんですけど。30代は女性の比率が下がっているというのは、先ほど私が申し上げたように、新卒でかなり採れるようになってきたのが割と最近ですので、その当時、同じように採れていたのが減ってしまったということではございませんので。割と近くなってから、20代の優秀な女性がかなり入ってくるようになったので、そこで女性の比率がかなり増えたということですので、あくまでも20代と30代と同じような比率で採れたのがそういうことになったということではございませんので、その辺はちょっと御説明させていただきます。
 もう一点、いわゆる「よその企業が」と。これも一般論でして。私が考えるに、そういうような部分がある意味では勤務日数を考えますと、それは企業にとってはマイナス要因になってくると思うんですね。人を余分に抱えたりするとか、そういった部分がありますので、そういった部分については積極的に進めたいとは思っていても、なかなか他社との競争の中でできないところもあるのではないかというのが私の考えで、具体的にここがそうだとか、うちがそうじゃないとかという話とはちょっと違うんですけど、なかなか進まないという世間のいろいろなお話を聞いていると、そういったところに原因があるんじゃないかなと思って、ちょっと発言させていただきました。
伊藤委員
お話の中で、最近、女性の方が優秀だということですが、入社テストをやると、やはり女性がたくさん入って来ると。これは15年ぐらい前から、大企業の方に聞いても、入社試験は女性が優秀だけど、最終的には、やっぱり男性を採ってしまうということを聞いているのですけれども、実際にどうですか。入社試験は女性の方が優秀ですか。印象としてで結構なんですけど。
 もう一つは、1,000人台の大規模会社だとは思うのですけれども、中小企業の男女共同参画とか、ワーク・ライフ・バランスの話をしていて僕が感じることなんですが、大企業の場合は、制度化しながら動かしていけるのですけれども、逆に、1,000人規模ぐらいが限度かなと思いますけれども、今のお話のように、事情に応じて配置換えをしたり、いろいろな工夫が中規模会社の方がやりやすいというところがあるように思うんですね。がんじがらめの制度とは違う形の男女共同参画とか、ワーク・ライフ・バランスみたいなものの工夫は恐らく積極的にやれるのではないかなと思うんですけど、その辺のところはいかがでしょうか。
山下氏
具体的にいろいろ柔軟にやれるような状況はあるかもしれませんし、特にオーナーの考え方で柔軟にその辺はできる可能性はありますので、おっしゃるとおり。ただ、具体的にどういった形があるかというのは今後の問題じゃないかなというふうに考えております。
 もう一点、先ほど言われたのは何でしたか。
伊藤委員
入社試験の成績の印象ですね。
山下氏
それは確かに。当社では、最初に説明会をやって、そのときに、もし継続してうちの会社を受けていきたいと思われる方にはその場で試験を受けてもらうんです。それが一応170点を合格点にしてやるんですが、東京・静岡・名古屋・大阪・京都、この辺で何回もやるんですけれども、大体200点以上を成績優秀者と呼んでいるのですけれども、200点以上になる人は、男性の場合には1回のテストでせいぜい2、3名、女性は10~20人とかそういう数字で結構200点以上が出たりするんですね。それがすべて優秀だとは言えないかもしれませんが、そういうことを取ってみても、やはり女性は優秀だなと。特に我々の企業に来る人がそういう形です。
帯野委員
私ちょっとさっき聞き逃したかもしれないんですが、役職者比率は。
久保田氏
約1割ですね。
帯野委員
どの役職以上を役職者と。
久保田氏
主任以上を一応役職というふうに考えていまして。今そのうちの1割が女子社員になっています。
帯野委員
その1割というのは、女性の採用そのものが比較的近年ということでしたが、女性の採用者が増えて、その時間の経過とともに、女性の役員も増えてくるというような見込みでいらっしゃるのでしょうか。
久保田氏
はい、おっしゃるとおりです。
帯野委員
中堅企業の場合だと、最初から管理者養成コースとか、そういうふうなのは特に設けられずに、日々の仕事の中から優秀な人を引き上げていくというような視点で、今後、女性の役職者も採用数の多くなった年次とともに増えてくると、そういう理解でよろしいのでしょうか。
久保田氏
当社の場合、総合職と一般職ということがありまして、例えば女性でも男性でも総合職・一般職がありまして、今後、多分部長とか役員になる人は、総合職で入って来た方ですね。入社試験にしましても、そういう意欲にしましても、そういう意欲も持っているし、実際会社へ入っても、それだけの能力、それから、実績もあるというふうなことで、そういう入口の部分で、総合職の人が多分対象になるのではないのかなというふうに思います。
 それから、一般職で入りましても、途中で総合職に切り換わりたいといった部分では、当然その切り換えについて、こちらの方でも容認しておりますので、一般職で入って、総合職に切り換え、それから、役職になっていく。それから、例えば部長、役員というコースもあると思いますが、普通に考えますと、多分総合職の方が部長とかそういった重職に就いていくのかなというふうには思っております。
山下氏
あと追加で言わせていただければ。我々は福祉サービスの特殊な事情もありまして、福祉系の学部を出た優秀な社員というのは現場に出たがるんですよね。そういった人たちは、我々も介護保険が始まってから現場に結構人を送り込まなければいけないので、本当は本部で管理職にしたくても、とりあえず現場を知らないと困るので出すのですけれども、現場から戻って来ないんですよ。現場も欲しくて、優秀な人間を確保してしまうと、なかなか戻してくれないというようなことがありまして。どっちかというと現場中心で今まで来たのですけれども、これからはやはり変えていかなければいけないなというふうに思っておりまして、直接そういった優秀な人材は本部とか、あるいは管理部門に置くような形をできるだけとっていきたいというふうに思っております。
 それと、結構現場が好きで入った人は、おまえ優秀だから、管理職で上に上げるぞと言うと、辞めちゃったりするような可能性も出てきてしまって、その辺が特殊な会社なのかなというふうには思っております。
伊藤委員
例えば一度辞められた方が復帰するような仕組みづくりとか、そういうのはやっておられるのかなというふうに思うんですが、その辺はどうなのかということと。
 あと、これは聞き漏らしたのですが、非正規社員の数と男女割合はどれくらいなのか。
久保田氏
例えば復帰といいますと、多分2、3あったと思いますが、介護のためにちょっと国に戻りますということで、介護ということですので、例えば半年、1年で終わりましたと。本人からもそういった報告を受けたものですから、だったら、どうでしょうというようなことで、先方もそういうことでこちらに連絡をよこしてやっぱり元に戻りたいと。介護の方は、最初から例えば半年とか1年とか2年とかわかっているわけではないものですから、たまたま半年で終わってしまいましたといったことで、そういったことで帰るケースというのはままあります。
山下氏
それと、まだシステムにはなっていませんけれども、介護だけじゃなくて、せっかくいろいろな専門性を身につけている人が、何らかの事情で辞めた人に対しては、是非、私の方針としては、そういうチャンスがあれば勤務をしていただきたいと。たまたま東京で何らかの事情で離れたけど。転勤した先で、そのときは主婦として忙しかったから、行った先での営業所には勤めなかったけど、手が空いてきて、ちょっと勤めたいという人には、是非、そこの営業所で勤めてもらったらいいんじゃないかと、そういうスタンスではあります。ですから、社内の人間と辞めた人間とのコミュニケーションの中で、「今、手が空いたみたいですよ」というような情報が入れば、是非、そういう人たちには仕事をしてもらいたいなというふうなスタンスでおります。
伊藤委員
例えば辞めた方に対して、それこそ社内報が行くとか、何らかの形のコネクションをつなげておくようなことはまだやっておられないわけですよね。
久保田氏
はい。
伊藤委員
もう一つ、正規・非正規のお話は。
久保田氏
すみません。ちょっとその辺りの数字を把握しておりません。申しわけありません。
羽入会長
ありがとうございました。
 非常に細かくいろいろの努力をしていらっしゃるように伺っておりましたけれども、1つ興味深かったのは、私が先ほどちょっと聞き逃したんですが、協議会のようなものが全国ネットであって、例えばどちらかが転勤するようなときには、そちらに一緒に異動が可能というのは、それはどういうふうな形でつくり上げたネットワークでいらっしゃるのでしょうか。
山下氏
ちょっと誤解があるといけないのですが、我々は「エコール・ネットワーク」という北海道から沖縄まで全国の事業者関連のネットワークをつくっていまして。ですから、同じ目的と同じ質を担保するような、そういう福祉用具のサービス事業者の連合体なんですね。だから、独立した会社なんです。ですから、採用の協定があるとかそういうわけではなくて、こういう優秀な人材がいるからどうだというような個別の案件でそういったことができるというお話をさせていただいたところです。
羽入会長
私はそれをとても興味深く伺ったんですけど。
 もう一つ、途中で一度退いて、もう一度復帰するというようなことが割合として多くなると、企業の活性化の問題が生じるのではないか,、そこをクリアすることがすごく重要ではないかと思うんですけれども、その方策は何かございますか。つまり、最初から訓練するよりも、一時は退いたけれども、それを復帰して働いていただく方が、コストメリットの点でも優れているんだというようなことを言う方法というのは何かありそうでしょうか。
山下氏
それは社内ですか。
羽入会長
ヤマシタコーポレーションの例を一つのエビデンスとしてこういう計画に盛り込むということができたらと思うんですけど。つまり、もう一度復帰しても、そこでのスキルが非常に高いまま保たれ得るとか、もう一度ブラッシュアップするのに非常に短時間で済むとか。
山下氏
それは数値で確認したわけでもなくて、テストもやったわけではないのですけど、それは明らかに言えると思います。昨日今日でそういったものを徹夜で覚えた人と、長年そういったものに携わった人と。勿論、携わる姿勢もあります。一生懸命やる人と何となく会社に来て時間を過ごした人とではかなり違うと思いますけれども、その辺は会社側が判断してやるということになると思いますけれども、一生懸命やられた方でしたら、十分それは短時間で元のスキルを取り戻すことはできると思いますし、ずっと効率的になるとは思います。
羽入会長
ありがとうございました。
久保田氏
私の方から質問をしてよろしいですか。
 鹿嶋先生。例えば20代で、当社の男女比が半々で、30代40代になると、20、20で、ずっとこうなってしまいますね。当社のそういうパターンは、普通の会社から見ますと異常といいますか、そこら辺に何か問題点はあるのでしょうか。
鹿嶋会長代理
例えば女性の採用比率は半々までいっていないのが大方の企業、特に大企業ほどいっていません。特に総合職になってきますと、総合職ポストに占める女性比率は極めて低いわけですね、統計ですと1割にもいきませんので、まずそこが違う。
 それから、仮に女性が入ったとしても、国のデータですと、出産を契機に、10人中67~68%辞めていくんですね。ということは、女性の育児休業取得率は8割ですけれども、実質は残り3割の人たちの8割ですから、非常に少なくなってきますね。ですから、出産というハードルが非常に高いと。なぜ高いかは、子どもができてからのワーク・ライフ・バランスとか、いろいろな問題があると思うんですね。結局、妻が家庭に入った方がいいというような選択をしてしまうのだろうなということと。勿論、そのほかにもたくさんいろいろな問題があると思っています。そのときの女性の就いている仕事の質が、辞めても惜しくなければ、すぐさっと辞めてしまいますのでね。そういう問題も諸々あると思うんですね。
 ですから、ヤマシタさんのところのケースは別にレアでも何でもなくて、大体多くの企業もそういう問題を多かれ少なかれ抱えているということですよね。ですから、ワーク・ライフ・バランスとか、それから、積極的なポジティブ・アクションをやって、なるべく女性を配置の段階から、なるべく男性と同じような均質のものに近づけていくという努力があれば、もう少し女性が労働市場において働くことにつながる。それが大事だと思うし、特に生産年齢の人口が少なくなりますから。私も日本生産性本部でもう一つの会合を持っているのですけれども、そこでは、そうしたことが将来への投資であるというふうなことで、そういう問題には取り組むんですけどね。
久保田氏
ありがとうございました。
羽入会長
予定の時間を大分オーバーして申しわけございませんでした。
 本日は、山下社長、久保田常務取締役においでいただきまして、たいへんありがとうございました。

(山下氏、久保田氏退室)

羽入会長
それでは、起草ワーキングから御説明をいただいて、議論をしていきたいと思います。
 まず、資料の1~3まで御説明いただいてよろしいでしょうか。お願いします。
鹿嶋会長代理
資料1と2と3について話をしたいと思っております。
 資料1は「政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」ということで、これにつきましては、今度の第3次基本計画の中の1つの目玉であるという見方もできるかと思っております。
 まず、「政策・方針決定過程への女性の参画」ですけれども、「2020年30%」に向けて着実に進んできてはいるんですが、しかし、実際にその数字どおりにするには相当な努力が必要だということです。さらに、国際的な指標を見ても、日本の女性の参画状況は不十分な状態にあるということが言えるだろうと思っております。
 その原因としては、2に書きましたように、これは前々からこの会議で強調しておりますが、一つには政治的なリーダーシップが不足していたからだと思っています。
 それから、「2020年30%」に向けての政党や民間企業などへの行政からの働きかけが非常にまだまだ不十分ではなかったかということ。それから、理解も不足していた。同時に、取組も不足しているということであります。さらには、企業の中では、きょうも話が出ていましたが、女性を積極的に登用するにしても、辞めてしまうとかというケースもありますし、大企業ですと、まだまだ年功序列的な人事慣行があります。そういう中では指導的な地位に立つ女性の候補者がまず少ないということも言えるのだろうと思います。さらには、そういう中では、男性モデルが会社の中にかなり強く残っていますので、そういうモデルに合わせないと、なかなか女性の登用をしないということもあるかと思います。同時に、女性自身も指導的な地位に立つことを敬遠する傾向が見られる。これは前回、山田委員からも指摘があったと思うんですが、要するに、指導的地位に立つインセンティブが不足しているのではないか。女性自身が本当に指導的地位に立ちたいと思っているのかどうかといったような指摘もありましたが、その問題も含めますと、働く女性に対しても、指導的地位ということでいろいろ情報提供などをしていくことが必要だろうと思っています。
 2ページを見ていただきたいのですが、このような状況を改善するために、上から3行目ですけれども、ポジティブ・アクション(積極的改善措置)を積極的に推進するんだということであります。エッジを効かせるという意味では、この点に尽きると思っております。ポジティブ・アクションにはクオータ制があるわけですが、クオータ制が非常に強制的な割当制度と同時に、さらにはインセンティブを付与するもの、あるいはゴール・アンド・タイムテーブル方式ですね。現在の日本のポジティブ・アクションはゴール・アンド・タイムテーブル方式ですけれども、このような主体がありますが、このポジティブ・アクションを政治の分野にも積極的に行政に働きかけてもらうということを考えております。ポジティブ・アクションについては、仮にこれを導入するとすれば、さらなる検討が必要になるかと思います。
 辻村委員の報告ですと、フランスでは、パリテ法(男女同数法)があるわけですが、それについては、フランス憲法院の中で、当初はその割当制が憲法違反であるという判断も出たと。フランスのすごいところは、その判断を覆すために憲法を改正してしまったということで、その割当制が導入されていくということの報告がありました。
 日本でも、そういうような政治の分野で割当制とまではいかなくても、ポジティブ・アクションというのはあったことはあったんですね。例えば直近の例では、昨年9月の衆議院の総選挙でありまして、民主党で女性の候補者を大量に当選させたというのは、あれも一種のポジティブ・アクションというようなことが言えるのだろうと思うんですが。ただ、あれは無定見なポジティブ・アクションでありまして、ポジの理論的な解明なり推進なりというのはまだ行われてこなかった。とすれば、仮にポジで行くのか、あるいはクオータ制のようなものを導入するのかということについては、さらなる議論と理論形成が必要であるし、それが日本にとって憲法に抵触しないような議論も必要であろうというふうなことは辻村委員から報告を受けておりますが、一応私どもとしては、これを2ページに表現してありますような形でこの中に盛り込んであります。
 3ページですけれども、こういう問題は司法も然り、それから、行政もそうです。行政は、?[1]のところに書きましたように、各省庁ごとに中間目標。「2020年30%」ではなくて、「2020年15%」でも結構ですので、その中間目標のための工程表を作成してもらうということを書いております。言葉だけですと、なかなか進捗状況は芳しくないと思いますので、そういうような工程表を作成してもらうということにします。それから、中途採用とか人事交流も積極的に行う。それから、ワーク・ライフ・バランスも実現しやすい柔軟な働き方を推進するということであります。
 ?経済活動を行っている団体(企業、経済団体、労働組合、協同組合等)も、管理職とか役員における女性の登用について目標設定ですね。これについても働きかけをしていきたいと思っております。これも、参画拡大に向けた取組をどう推進するのかにつきましては、情報提供もするし、それから、参画拡大を積極的に推進している企業に対しては表彰も行う。さらには、福島大臣が報告しましたように、公共調達における男女共同参画に積極的に取り組む企業の評価。要するに、入札での加点制度も、そのようなインセンティブ付与の一つということです。そして、[4]ですけれども、家庭責任を有する労働者が公平に評価されて、意欲を持って働き続けられるようにする。要するに、仕事だけをしていればいいのではなくて、家庭責任というのがある。それがきちっと果たされているかどうか。そして、それを果たしていることが評価されるんだということ。また、そのようなことが評価されるような人事体系。それが評価されて、かつ、そのロールモデルも身近にいること。そのような人たちについても発掘していきたいというのが[4]です。
 以上のようなものをもとにして、政策・方針決定過程への女性の参画の拡大を考えておりますが、ただ、「2020年30%」はもう間近に迫ってきています。あと10年ですので、果たしてこの方法でエッジが効いているのかどうかというのはまた疑問がありますけれども、といって、私は個人的な考え方としては、ここであんまりエッジを効かせると、特に企業にとっては裁量権の問題と抵触してきます。それから、政治については、憲法の問題に抵触してきますので、なかなかエッジの効かせ方は難しいなと考えておりますけれども、ただし、ここは、これを今回の大きな柱といいますか、目玉商品にしたいと個人的には考えております。
 次に、資料2です。資料2は「男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革」です。皆さんのお手元にあるⅠの1に、これまでの施策の効果が書いてあります。2が進まなかった理由なんですね。Ⅰの1が、どういう効果があったかということで、そこでは、これまでにどういうことが行われてきたかということが書いてあります。税制関係では、「平成22年度税制改正大綱」において今後の方向性が示されたということであります。それから、年金制度に向けて、今後、具体的な制度設計を行うことが示されております。そういうことで一定の取組はあるのですけれども、配偶者控除とか、第3号被保険者問題、この廃止・縮小を含めた見直しですね。それから、さらには、選択的夫婦別氏制度を含む民法改正などは実現に至っていないということを書いています。
 じゃ、なぜそれが実現に至っていないのかというのはその2番であります。?は、日本社会は男女共同参画を進めることが不可欠だと。少子高齢化の進展など、そういう変化に対応するためには、それが不可欠なのだという認識がどうも醸成されていないのではないかということです。その背景には、これは第1分野の反省とも絡むんですが、わかりやすく男女共同参画の到達する姿を身近なものとして、わかりやすいものとして示せなかったということがあると思います。そして、私たちが抱えている身近な問題ですね。それと男女共同参画が密接に絡んでいるということが伝えられなかったということです。?は、政策実施主体といったようなところへの働きかけが十分ではなく、かつ、固定的な性別役割分担意識の解消に向けた世論の形成、それから、理論付け、働きかけも不足していたということであります。2ページをごらんください。
 今後どういうようにしていくかというのがⅢ以降に書いてあります。まず、男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行を見直していくということです。具体的な取組としては、配偶者控除の縮小・廃止を含めた税制の見直しを検討する。[2]は、社会保障制度について、新たな年金制度が男女の社会における活動の選択に中立的な制度となるよう検討する。
 といったようなことが書いてありますが、今気がついたんですが、「検討する」が多いですね。「検討する」は、「やらない」代名詞だとも言われますから。皆さんの意見を聞きたい。「見直しを行う」とか、そういう言葉の方がいいかもしれません。「検討する」が3つ続いています。といったようなことを検討すると書いてあります。
 [4]は、政府の施策及び社会制度・慣行が女性と男性に実質的にどのような影響を与えるか。その影響調査も進めると。この影響調査は、既に、監視・影響調査専門調査会にそういう機能があるわけですけれども、特に影響調査の機能を拡大していくということにもこれはつながるし、さらにはジェンダー予算といったようなことにも発展していく可能性があります。
 2番目は、国民的な広がりを持った広報・啓発活動ですが、国民に対して、男女共同参画の認識を深めてもらうため、そして、定着させるための広報・啓発活動を積極的に展開することが大事なのだということです。
 その具体的な取組としては、3ページですけれども、固定的な性別役割分担意識の解消、特に男性の意識を変えるための広報・啓発活動に取り組む。それから、男性、子ども、若年層などを含めた男女共同参画が必要であることをあらゆる人が共感できるよう、地域に根ざした身近な情報発信を進める。また地方公共団体、NGO、経済界、マスメディアといったような男女共同参画社会の形成に大きな影響を及ぼし得る団体と連携した広報・啓発活動を進めるということです。
 3番目は、人権尊重の理念と法律・制度の理解促進のための救済・相談の充実です。いわゆる人権尊重の理念に対する理解を深めていく。権利の侵害を受けた場合には、対応についての正確な知識が得られるような制度をつくる。拡充するということであります。具体的には?のところですけれども、教育・啓発を通じて人権に関する正しい理解の普及を進める。それから、法令や条約のわかりやすい広報などによって周知を進める。人権救済の救済体制・相談体制。これも既にできているわけですけれども、その拡充を図る。外国人のための通訳を配置した人権相談所の充実等を行うということであります。
 4番目は、男女共同参画にかかわる調査研究、情報の収集・整備・提供ということで、これについては、将来への投資ということにもなると思うんですが、具体的な取組の方を見ていただきたいのですけれども、国民の意識、苦情処理等からその実態を把握しておくということです。[2]は、大変大事だと思うんですけれども、調査とか統計における男女別情報(ジェンダー統計等)の充実を図っていくということです。[3]は、これも前々から何度か申し上げましたが、ようやく着手した「ジェンダー予算」の実現に向けた調査研究活動ですね。これももうスタートしましたが、行っていくということであります。④は、家事、育児、介護、ボランティア等の無償労働の把握や家庭で担われている育児・介護などの経済的・社会的評価のための調査・研究を行うということを書き込んでいます。
 もう一つ、資料3。ここまで報告いたします。資料3は「雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保」です。まず、これまでの効果と進まなかった理由ですけれども、これまでの効果は1番に書いてあります。M字カーブも多少ですが、なだらかになっていっております。それから、これも多少ですが、女性の管理職の割合も増えてきております。男女間の賃金格差が多少あるけれども、一定の改善は見られます。しかし、M字カーブは基本的には解消しておりませんので、いろいろな統計データを見る限りは、日本と韓国は必ずMになっております。欧米先進国は台形になっておりますが、そういうのが現状であると。均等法が施行されて20年以上たっても、そういう現状だということです。もう一つ大きな問題は、女性の非正規雇用者の割合が半数を超えております。それから、賃金格差の縮小も本当に小幅な縮小でしかありません。女性管理職比率は1割にも達していない現状です。さらには、管理職などを増やすためのポジティブ・アクションについても、最近は減少が顕著です。というようなことで、効果というような感じに書きましたが、やっぱりいろいろな問題点が1番では指摘されております。
 2番として、その理由は何なんだということですが、?は、その前提になっているのは、働き手というのは男だと。女性が働くのは家計補助の目的であるということで、相変わらず高度経済成長期型の固定的性別役割分担が根強いことだと思っています。そのような状況が、出産を機に女性が退職するケースが多い背景にある。結婚、出産、子育て期に就業を中断する女性と、就業を継続する女性を比べると、実は昭和の後半よりも就業継続者は減っているんですね。そのようなことを考えますと、今後、ここをどうするかというのは大きな課題だろうと思います。?は、稼ぎ手は男性で、女性が働くのは家計補助だということは、これは言葉を変えれば、固定的性別役割分担意識ということです。この国ではこれが強固なんだと。ですから、女性が非正規雇用従事者になりやすいという現状があるわけです。そして、一旦、出産等で退職してしまうと、再就職が大変厳しいというような状況があるわけです。再就職ができても、非正規雇用という形が多いのです。
 というふうなことで、?は、税制、社会保障制度の中にも、女性が自由に働き方を選択することを阻害し、非正規雇用化を促進するような社会制度が存在しているのではないかということで、今後の目標としては、性別にかかわりなくその能力を十分に発揮できる社会づくりこそ大事なのであって、そして、それが経済社会の活力の源なんだと。そういう点からも、大変これは重要な意味を持つということです。
 次のページです。そのために必要な、施策の基本的な方向と具体的な取組ですけれども、まず、雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保対策の推進であります。まず第1点は、男女の均等な機会と待遇の確保の徹底を図ると同時に、ILO第100号条約(同一価値労働・同一賃金)の趣旨を踏まえた男女間の賃金格差の解消を図るということです。これだけ非正規雇用者が増えてきますと、同一価値労働同一賃金の原則は切実味を持って私たちに迫ってくるのではないか。これは労働基準法の第3条と4条に読み込まれているんだということで言われるのですけれども、単にその言葉で片づけることはできないのではないかと個人的に思っていますので、この問題を、同じ価値の労働であれば、賃金も同じなんだということを、これを一つのキーワードにしたいと思っております。
 具体的な取組としては、?の①ですけれども、募集・採用での年齢制限の禁止の徹底に向けた指導・啓発。それから、女子学生の新卒者の就職支援。[2]は、男女間の賃金格差の解消に向けて、これから労使が積極的にその取り組みを行うということ。そして、「男女間の賃金格差解消のための賃金管理及び雇用管理改善方策に関するガイドライン」は既にあるわけですが、その周知とか啓発を推進するということであります。間接差別は、省令で現在3項目上がっているわけですけれども、その3項目以外の措置も今後拡大していくということ、これも検討をしていきたい。[4]は、コース別雇用管理制度の人事管理制度の問題点です。コース別人事管理制度は、一方で男女別管理ですね。男性別・女性別の管理、実は隠蔽されているのではないかと私は思っているんですけれども、だから、そういうようなコース別雇用管理制度を是正していくということですね。これについても大変大事な視点だろうと思っております。[5]は、相談体制の充実などの職場におけるセクハラの防止。これもまた積極的に展開する。均等法の改正によって配慮義務から措置義務へと変わり、セクハラ防止に向け、事業主は措置を講じなければなりませんが、それでも職場でのセクハラは減っていないのが現状です。
 2は「非正規雇用における雇用環境の整備」を書きました。先ほどから申し上げていますように、1,700万人以上の非正規雇用者が出ているわけです。それは雇用労働者全体の3割強も占めているわけですが、そういう中で、同一価値労働同一賃金の実現に向けた、パートタイム労働者と正社員の均衡の推進などを積極的に行っていくということです。
 具体的な取組としては、パートタイム労働法に基づいて、パートタイム労働者と「通常の労働者」と書いてありますが、これはかぎ括弧を付けてあります。かぎ括弧を付けているのは、パートタイム労働法に書いてはあるが、「通常の労働者」という言葉自体がおかしいのではないかという疑問がありまして。ただ、法律に書いてあるので、とりあえずかぎ括弧を付けております。またパートタイム労働法には、「均衡」と書いてありますので、「均衡のとれた待遇を推進する」としてあります。
 [2]は、不安定な身分とかキャリア形成の困難さなど非正規雇用を巡る問題の解決を図るんだということ。そして、スキルアップができるようにするということですね。非正規雇用から正規雇用への転換を希望する者に対しては、その相互乗り入れ制度など。これは一部実施している企業もあるんですけれども、全体から言えばまだまだ少ないわけです。相互乗り入れ制度も実施していく。それから、短時間正社員制度など公正な処遇が図られた多様な働き方の普及。それから、派遣労働者などの非正規雇用労働者の保護のための施策の充実。有期労働契約の在り方について、正社員との待遇の均衡の問題を含めて検討をすると、書きましたが。ここも今読んでいて気がついたのですが、同一価値労働同一賃金も?の「具体的な取組」の中で明記する必要がありますかね。多分、同一価値労働同一賃金は大きな課題だと思っております。
 次に3はポジティブ・アクション。これも「2020年30%」に向けて欠かせない視点です。具体的な取組としては、企業においては、女性の採用や管理職・役員における女性の登用について、「2020年30%」、これも実効性のある計画を策定するように、それを企業に働きかけるということです。それから、CSRの視点からもポジを推奨すると同時に、ポジを導入して、積極的な女性登用を進めている企業に対しては、何らかのインセンティブを付与していくということを書きました。
 4番目は、「女性の能力発揮促進のための支援」として、例えば具体的な取組としては、誰もが目標にすることができる身近なロールモデルの発掘で、活躍事例を積極的に発信する。[2]は、女性が働き続けていく上での悩みや心配事についての相談にのり、助言などを与えてくれるメンター制度の普及ですね。それから、女性を継続的に育成するための育成モデルの提供。女性と仕事の未来館においては、働く上で女性がその能力を十分に発揮できるよう、能力発揮セミナー、起業支援セミナー、学生向けセミナーの開催などを行っていくということです。
 5番目は「多様な生き方、多様な能力の発揮を可能にするための支援」ですね。これは多様な生き方が前提である。私は男女共同参画もダイバーシティだと思っていますが、各人がそれぞれ選択した生き方の中で、その能力を十分に発揮していくことができるような支援、体制整備を行っていくということです。具体的には、[1]育児・介護等により就業を中断する女性が多い現状を踏まえ、再就職の支援体制の充実を図っていく。[2]は、短時間正社員制度、テレワーク等の在宅勤務等の、仕事と生活の両立を可能にする多様な働き方についてマニュアルとかガイドラインを作成していくということですね。起業については、そのために必要な情報提供。起業後のフォローなどもして、支援体制の充実を図ると書いています。
 以上が、ざっと起草ワーキンググループで議論してきたことなんですが、率直な御意見を是非お伺いできればと思っております。
羽入会長
ありがとうございました。
 資料1の第1分野から行きましょうか。
帯野委員
書きぶりについてなんですけど、Ⅰの1に、「女性が占める割合は各分野において着実に進んでいる」でよろしいですか。あまり着実に進んでいるようにも見えないんですが、一定進んでいるのかどうか。それは言葉遣いだけの問題なんですけど。あまり肯定的に私はとらえてないので。
鹿嶋会長代理
そういうふうに厳しく、どんどん言ってください。
羽入会長
ほかにはございませんでしたら、第2分野に行きます。
伊藤委員
これはそのまま直接第1分野ではないんですけれども。3ページのところで司法が入っているんですが、これは司法の分野での女性の参画ということです。むしろ広報というか、司法分野にもうちょっとこの問題を知ってもらうような、周知してもらうような工夫というのが1つ要るんじゃないかなというふうに思っています。
 日本政府の対応は、例えばこの間のCEDAWの勧告については、法的な拘束力がないという解釈なんですけれども。ただ、あの勧告を裁判官や警察官の方が知っているかどうかは大きな問題です。それを知らせているかどうかというのは僕はすごく重要な問題だと思うんです。恐らく御存知ないんじゃないかと思うんですね。こうしたことを知っていただくような工夫も、司法分野では必要なのではないかなとちょっと思っています。第1分野のところではないのですけれども、啓発というか、周知の対象として、司法分野はかなり考えておいた方がいいのではないかと思っております。
帯野委員
それから、これは質問というよりも相談みたいなものなんですが、3ページの?経済活動を行っている団体について、その①のところで、「具体的な目標を設定するよう働きかける」。これは働きかけるという以上のことは、一歩踏み込んではなかなかできないものなのでしょうか。例えば商店街の組合とか、何回も話に出ていますけれども、旅館組合とか、少なくとも公的資金が入っているところについては、もう少し強く何か行動が起こせないものか、ちょっとこれは御相談みたいなものなんですが、どうなんでしょうか。これは働きかけるのは、ずっと働きかけてきたとは思うんですけど、そこの比率がわからない以上、なかなか地域における女性の活躍が期待できないというところがありますので。
鹿嶋会長代理
各論ではいろいろあると思うんですよね。そのように、働きかける以上の強めるというふうなこともあるとは思うんですが、今、一般的な表現としては、経済団体とか、企業とかということは、これは法律で規制するということもなかなか難しいんですが。やっぱり「働きかける」が妥当なのかなと。
羽入会長
そうですね。
鹿嶋会長代理
参画会議でのある大臣の発言は、もうちょっと強いんですよね。障害者雇用促進法のように、女性の管理職が一定の水準に達しなければ付加金を取るというようにしたらどうかというものでしたから。非常に強い表現をしていました。そこまで行くかどうかとなってくると、それは議論の余地はあるとは思うんですが、私は個人的には、そこまで強い規制はかけにくいと思っています。
帯野委員
はい。
鹿嶋会長代理
一方で、規制をかけないとなかなか進まないということがありますが、そこは公共調達なんかでじわじわとやっていくしかないんじゃないかなという気はしますけどね。
帯野委員
2次計画でどのような働きかけをしたのでしょうか。あと委員会として、どのような行動をされたのか。
鹿嶋会長代理
多分、2次計画は、「働きかける」と書いただけなんですよ。
 これを見ると、「協力要請を行うとともに、社会的機運の醸成を図る」と書いているんですね。要するに「協力を要請する」という表現です。
帯野委員
実際に何ができるかによって、ここの書きぶりが変わってくると思うんですけど。
鹿嶋会長代理
今、帯野さんがおっしゃったことは、もうちょっと深く考える必要があるのかな。何かいい知恵ないですかね。
帯野委員
それはちょっと研究しないといけないと思うんですけど。もし、何かアクションをもうちょっとだけでも起こすなら、例えば「強く働きかける」ではないですか。本当に、計画を策定した後でも、何ができるのかということをもう少し具体に考えていった方がよいのではないかと思うんですが。
鹿嶋会長代理
1つの方法は、行動計画があるわけですよね。少子化とともに、2005年の4月から実施されている、従業員が301人以上の事業者に対して、ワーク・ライフ・バランス等も含めた行動計画を出すように義務づけられているでしょう。こういうふうな中身にしましたという内容は提出する必要はないのですけれども、「行動計画を作成しました」という届出義務は事業主はあるんです。都道府県労働局に出すんですが、そのようなものが法律に基づいてできるのかどうかですね。そうすると、その法律を書かなくてはならないですよね。そうすると、どういう法律があるのだろうかということなんですね。あれは次世代育成支援対策推進法ということで、少子化をバックにして、このままでは日本の人口が減ってしまうというので、行動計画を出すことになったのですが、女性管理職比率を増やすための、そういうような強制的に出すような法律が何かできるのかどうかという検討を、今後する必要があるかどうかですね。何か見通しがつけば、ここがもうちょっと強まってくると思いますね。
羽入会長
例えば、目標を設定することを働きかけるだけではなくて、それを実行するように働きかけるというふうにまで書くことはいかがでしょう。目標を設定し、実行するように働きかける。
鹿嶋会長代理
?も、国家公務員の方は、基本計画は国の行政マスタープランですから、要するに工程表を出せと書いてあるんですね。行政にはこう言えるんですが、企業に対して工程表を出せと言えるのかどうか。工程表をつくって、都道府県労働局に提出となると、やっぱり法律を作らなければならない。
河野委員
次世代は先生がおっしゃったとおりだったんですけれども、これはちょっと難しいような気が。実質を考えたときに。
 まず、私の質問です。例えば2015の中間目標は、何かイメージがあるんでしょうか。ここって、数字を決めたんでしたっけ。2015年に何%と。
羽入会長
決めてないですよね。
河野委員
そうすると、ちょっと難しい。
鹿嶋会長代理
30%の半分の15%とかね。
河野委員
目標値は今議論があって、女性活躍推進だけじゃなくて、ダイバーシティも定性的に進めるか、定量的に進めるか、トップの意見が大きく分かれているんですよ。役員の中でも分かれていて、定量的に数値を設けないと進まないとおっしゃる方も少数ですけどいらっしゃるんですけど。具体的な工程プランがないということで、立ち止まってしまっているところが、今3月末なので多いですね。なので、ちょっと帯野さんがおっしゃることがわかるだけに。でも、かえって苦しめちゃう気がして、少し機を待つ方がいいのかなと思うので、今おっしゃった、文章上で前と少し差をつけておくくらいで。
帯野委員
そうですね。
 ただ、私は一番強く望むのは組合ですね。個別の企業はなかなか難しいとは思うんだけれども、恐らく経産省からかなり資金の入っているような商業組合というんですか、そういうところにも少し働きかけることができたら、かなり改善される可能性はあるのかなと思いますので。
鹿嶋会長代理
帯野委員の指摘はいい指摘で、実はエッジを効かせるとなってくると、ここにエッジ効いてないじゃないかと言われる可能性はあるんですよね。「働きかける」では、エッジなんかどこに効いているんだと言われる可能性はある。でも、どっちかな。
岡島局長
検討してみます。
鹿嶋会長代理
検討しますかね。
羽入会長
はい、お願いします。
鹿嶋会長代理
もう少し検討してみましょうね。
 ありがとうございました。
 あとはどうですか。
伊藤委員
ポジティブ・アクションは検討していただいているわけで、何らかの形が出てくればそれでいいんですけれども、分野別のある種のものさしみたいなものが、具体的な方法として必要になってきているのではないかと思うんですよ。例えば、企業別で管理職はどれくらいいるとか、例えばそういうのをちょっとチェックしてみようみたいな感じのときの何か基礎的な枠組み作りを、ある程度工夫してやらなければいけないと思うんですよ。定量的・定性的という議論も必ず出てくるので、数が多ければいいわけではない。、質も問題だという形になってくるとは思うのですけれども、目安になるようなものさし的なものをつくっていくことがあっていい。これは多分同一価値労働同一賃金も同じで、この間、学術会議のシンポジウムをやったんですけれども、そこで朝日新聞の竹信さんが言っていたのですけれども、EUではものさしができている。つまり、同一価値労働は何なのかということについてのある程度のものさしができていて、そのものさしに従って同一賃金の方向が出されているわけです。日本の場合は、そのものさしがはっきりしてない。ものさしみたいなものをある程度いろいろな分野でつくっていきながら対応していくことが必要なんじゃないかなと思うんです。同一価値労働の場合は厚労省のマターだと思いますし。これについても書き込む必要はないのかもしれないと思うんですけれども、施策として、ちょっとそういうことを考えていってもいいんじゃないかなというふうに思います。
鹿嶋会長代理
欧米と日本の決定的な違いは、賃金の決め方が欧米は外部市場なんですよ。日本は内部市場でしょう。
伊藤委員
全くそのとおりですね。
鹿嶋会長代理
だから、日本の内部市場というのは、逆に言うと、同一価値労働同一賃金という原則が確立しにくいわけです。向こうだったら、靴屋さんの職人だったら、大体全国で一緒だということで外部市場ができていますから、それで決まりやすいんですよね。だから、日本の内部市場の中での日本の決め方が非常に難しい。だからこそ、これは進んでないんですね。そこをどういうふうに突破していくかというのは、今から議論もする必要がありますね。
伊藤委員
言うのは易いんだけど、本当にどうしたらいいかというのはすごく難しいんですよね。その点では、ある程度の日本型のものさしみたいなものを整理しておかないと、やろうと言っても、やりようがないんですよね。
河野委員
今の先生のおっしゃるとおりで、すごい共鳴してしまいまして。先ほどポジティブ・アクションのところで御説明があったロールモデルの私たちは「見える化」と言っているのですけれども、そこがかえって重要で。ただ、この今の文章に手を入れられるかというのはちょっと別かもしれないんですが、以前にも一度申し上げているんですが、例えばメーカーだと、研究所であればというモデルは、多分計算すれば出るんですよ。国立出た人で、企業にどのくらい勤めていて、このくらいだと例えば3割いってもいいんじゃないかとか、あと、場所の異動がない営業職というのも男女のところもありますし、何か裏になっちゃうかもしれないんですけど、幾つかの形の中で何割ぐらいいけるはずだろうというのは、何となく実は持っているものがあるんですよね。そういうものを企業が見ると安心できる。かえって、おじさまたちが本当にわかってないんですよ。ですので、何だ全員この人たちはナントカ大学を出ているから一緒となってしまうよりは、先生がおっしゃったように職種ごととか、何か業界ごととか、そういうもののモデルがある方が本当の推進にはなると思うんですけど。ちょっと今のここでの回答にはなってないので、セットでポジティブ・アクションはちらっと見えるようにした方がいいかなとちょっと思いました。
鹿嶋会長代理
山下さんがおもしろいことを言っていたのは、隣もやってないからうちはやらなくていいやという考えがあるのではないかということ。そうなってくると、逆に、管理職比率が隣は何%かぐらいは、そういうのはつくっておく必要はあるかもしれませんね。それをどこかに入れましょう。?のところで。
推進課長
ちょっと元に戻ってしまうんですけれど。2次計画に基づいてポジティブ・アクションとしてどういうことをしているのかというのは、この分厚いファイルの3の6ページ辺りにあるんです。ここで幾つか企業の取組状況を紹介するサイトの設置とか、表彰とか、いろいろあります。ものさしの話が出ましたけれど、ポジティブ・アクションに関しても、その進捗状況を個々の企業がわかることができるベンチマークというか、ものさしとなる値の構築とか提供というのは一応しているんです。
伊藤委員
それは気がついてはいたんですけれども。
羽入会長
鹿嶋先生が今言い出しかけたのは、どこかに入れましょうというお話でしたが。
鹿嶋会長代理
検討するとすれば、?の辺りにね。もう既にやっていても、何かそういう文言を1つ入れておくのはあるかなと。隣じゃこうなんだということを改めてまた認識してもらうということですね。
羽入会長
それが一番効果があるという話も聞きますしね。
伊藤委員
そうですね。さっきのは本当にいいことをおっしゃっていますね。ほかのところもやってないからうちもやらないんだという感じですね。あと、雰囲気ということをおっしゃっている。かなりその辺が効いているというのはわかっていますけれども、あんなふうに生に言われると、そのとおりなんだなと。雰囲気がそうなってないということですね。多分、この雰囲気の問題は、第2分野の広報のところとすごく絡んでくる部分だろうとは思うんですけれども。
羽入会長
河野委員がおっしゃったように、到達可能な数値というのが参考になると思うんですね。それをどういうふうにここの中に入れたらいいのかがちょっと難しいです。
伊藤委員
自分のところの企業で、例えば20代の女性社員がどれくらいいて、管理職の割合はどれくらいで、将来的にこうやったら大体計算できるとかね。そういう計算の仕方の提示の仕方だと思うんですよね。そういうのがもう一度具体的にものさしとして提供されていくと対応しやすいというか、その事業別に、ここのところはこうなっているよという情報も含めてそういうのがあると、大分違うということになっていくのだろうと思うんですよね。
羽入会長
例えば、先ほど伊藤先生が広報のところとかとおっしゃっていましたけれども、全体的にそういうことを書くところができるといいですよね。数値目標を単純に書くというよりも、状況別、質に沿った書き方がどこかでまとまっているとよりいいですけど。
 第2分野にいってよろしいでしょうか。資料2の方はいかがでしょうか。
 例えば鹿嶋先生がおっしゃっていた2ページの具体的な取組の「検討する」は、また検討すればよろしいですね。
伊藤委員
検討ではなくて、「進める」とかでいいんじゃないですか。
羽入会長
そうですね。「努めて税制を見直す」とかいうふうにしてもいいのでしょうか。
鹿嶋会長代理
見直しですからね。「見直しを行う」と。排除しろじゃないですからね。「見直しを行う」ぐらいがいいんじゃないのかな。
羽入会長
[2]は「中立的な制度とする」ですか。
鹿嶋会長代理
ここは「検討する」でいいと思います。
伊藤委員
[3]はもっと「検討する」じゃないかと思います。
羽入会長
これは「課題を明確にする」とかそういうのはどうですか。「明確にし、実現可能にする」とか、そんなことでしょうかしら。これを検討いただくということでよろしいでしょうか。
鹿嶋会長代理
はい、そうですね。この3つですね。
羽入会長
ほかは。
伊藤委員
これも広報のところですが、今回のこの計画の中では広報が一つのポイントだという形で認識していただく必要がある。これはメディアのところなのかもしれませんけれども、メディアの無関心がすごく大きい課題だというのは事実だと思うんですよね。例えば、この間の3月8日に「国際女性デー」に、国連を中心のシンポジウムがあり、僕もパネリストで出たんですけれども、どこにも報道されなかったですね。女性団体の運動もほとんど報道されてないですけれども、国連のものさえほとんど報道されてないという状況です。ただ、『毎日デイリーニューズ』がかなり大きな記事を書いているんですね。海外向けには結構大きなニュースなんだけれども、国内のジャーナリストの人たちにとっては全然ニュースに見えてないという状況はすごく問題です。政治家の方とか、あるいは企業の経営者のトップの人だって、テレビは見てないですけれども、新聞は読んでいるんですよ。テレビも含めてなんですけれども、メディア関係に少なくとも情報を提供するような回路はもうちょっと積極的につくってもいいんじゃないかと思うんです。
 例えば、内閣府で福島大臣が記者クラブの方たちに説明される。でも、記者クラブの方たちは男女共同参画に関心がないので、男女共同参画の問題は耳に入らない。全然知識がないですから。逆に言うと、男女共同参画に関心を持っているジャーナリストに情報を流すような回路づくりというのをもうちょっと積極的にやってもいいんじゃないか。それは新聞記者やテレビ関係で、内閣府の記者クラブにいない方も含めてピックアップしながら、そういう人たちと懇談会を開いたり、例えばCEDAWの勧告が出たときに、情報がスーッと流れるような仕組みを作る。あるいはこういう催し物があるという形の情報が流れるような回路をつくっていく。日々新聞を見て、新聞に毎日男女共同参画というのがどこかに出ていたら、企業の経営者あるいは政治家の方たちも何か考えなければいけないと思うんですが、紙面に出てないわけです。その辺の仕掛けというか、積極的な広報活動は、今後、2のところなのか、メディアのところなのかわからないですけれども大切です。その辺はもうちょっと戦略的にやってもいいんじゃないかなと思うんですけれども。
羽入会長
例えば2ページから3ページにありますけれどもね。
河野委員
メディアの方かしら。
伊藤委員
メディアの方かもしれないですね。
鹿嶋会長代理
メディアの方にありますね。
岡島局長
ちょっとだけ御説明させていただいてもいいですか。すみません。本質的なことじゃないんですけど。3月8日の関係ですと、福島大臣のメッセージを出しましたし、それから、今回、ミモザの花を贈りまして。総理大臣も官邸の記者なんかにお配りになって「3月8日は女性の日ですから」という、それでいろいろPRもしました。
伊藤委員
でも、あんまり効いてはいなかったようですが。
岡島局長
ミモザの話はありました。
伊藤委員
そうですか。気がつかなかった。僕全紙見ていたつもりだったんですが。
岡島局長
直接関係なくて申しわけありません。
鹿嶋会長代理
3月8日は、僕のゼミ生が連合の大会に出るんでね。それから、伊藤さんがシンポジウムをやっていたのは日本経済新聞主催だから、『日経』には書きますよね。
伊藤委員
『日経』も翌日は出てないんですよ。僕言ったんですよ。「『日経』は明日出るんですよね」と言ったんですけど、『日経』は翌日には出なかったですね。
帯野委員
つまらないことですけど、シンポジウムのことは記事にはならなくても、どこかの市長が育児休暇を取ったというのはすごいニュースになりましたよね。だから、ああいう瞬間をとらえて、啓発するだけではなくて、サクセスストーリーを何かすてきなロールモデルを示していく、そういう戦略は結構効果があるのかなと思います。
羽入会長
それはいろいろなところに書いてもいいと思っていますけれども、2ページから3ページにかけての広報とか、啓発活動の中に、1つ[3]のところにマスメディアが書いてありますけれども、それと別にメディアに働きかけるということもありえますかしら。
鹿嶋会長代理
要するに、男女共同参画自体はよほどのことがないかぎり、ニュースバリューはあまりないんですよ。どこかの区長が育児休暇を取るのはニュースバリューはあるんですけれども、どこでニュースバリューができるかというと、まだきちっとした記者発表はしていませんが、例えばクオータ制とか、そういう話が出る場合は、これはあるでしょう。多分1面か政治面に出るかもしれない。どこで書けばいいかというと、生活・家庭面で書いても、日本は変わらないのだそうです。1面か、政治面か、経済面で書き出すと変わると、ある人に言われましたよ。私は生活面を中心に記者生活をしてきたので悔しかったですが、そういう現実があることも確かですね。
羽入会長
この計画を具体的に実行する際の手法として考えなければいけないということかもしれないですよね。
伊藤委員
そうですね。書き込みをするのはいいと思います。
羽入会長
ありがとうございます。
 ほかに、第2分野についてはいかがですか。
 あんまり大きな問題ではないのですけれども、1ページから2ページにかけて、「今後の目標」がありますが、その2ページ目の頭に書かれていることが、ほとんどその後のところにも展開しているようで、ここに書く必要があるかなと思いました。「我が国の社会経済の急速な変化に対応するため」と同じ用語が下の方にずっと展開していますので、なるべく読みやすくするには、ここは検討をしていただけるといいと思います。
鹿嶋会長代理
はい。
羽入会長
ありがとうございます。
 それでは、第4分野に行かせていただきます。雇用の分野です。どうぞ。
 先ほど、3ページのところで、下の2行目ですが、「女性を継続的に育成するため、育成モデルの提供など」というところで、鹿嶋先生が「これって何だっけ」とおっしゃっていましたけれども、これは働き続けていくことでしょうか。
鹿嶋会長代理
育成モデルって、これは何か言葉が変だね。
羽入会長
何となくはわかるんですね。
岡島局長
キャリアパス的なものというか、入ってこのくらいのときに研修をしてという、そうすると少し上に上がって、また、今度別の経験をすると上がりますとか、そういったような。
鹿嶋会長代理
それがわかるように書き直しにしたほうがいいですね。そこを変えましょう。中身は非常にいいことですからね。
羽入会長
はい。
鹿嶋会長代理
もう一つ、非正規雇用の同一価値労働同一賃金の実現に向けてというんですが、具体的な取組として、これはいいのかなと、改めて読みながら気がつきました。同一価値労働同一賃金というのは、言葉としては出ないけれども、これが[1]~[6]でどこかそこにつながっていれば勿論いいんですが、そこはどう思いますか。同一価値労働同一賃金を入れた文章を1つ添えた方がいいのかな。
羽入会長
最初のところに書いておくと、その[1]~[6]がそのまま適用されることになるかと思って、さっき言ったんですが。
鹿嶋会長代理
同一価値労働同一賃金の実現に向けて、何をどのようにすればいいかを、また、「検討する」じゃおかしいな。
羽入会長
「実現に向けた具体的な取組を推進する」として、[1]~[6]ですか。
鹿嶋会長代理
そうですね。
 「同一価値労働同一賃金の実現に向けて、具体的な取組方法を検討する」
羽入会長
「具体的な取組を行う」というのはありですか。そうすると、きつくなるということですか。
鹿嶋会長代理
具体的にどうすればいいか自体がまだわからないと思うんですよね。特に日本のような内部市場賃金の中では。
羽入会長
「具体的な取組を検討する」
鹿嶋会長代理
ええ。もうそろそろ掛け声だけじゃなくて、具体的にしたいですよね。
羽入会長
ほかに、帯野委員、河野委員、いかがでしょうか。第4分野を今は。戻っても結構です。
帯野委員
2番ですけれども、これは「雇用等の分野における」になっていまして。要するに、雇用というのは、企業で働く人たちを対象にしているわけですよね。起業も入れていただいているんですが、あと、自営業の人はどこに盛り込まれるんですか。すごい単純な質問なんですが。農業はどこかに入っていると思うんですが、商業の方ですね。
岡島局長
「等」で。
帯野委員
ただ、そこのところはこの委員会でもあまりやって来なかったところだと思うんですが、実はすごく大切なことで、観光、地域とも絡むかもしれないんですが、商業の中に女性と経済のかかわりの深い可能性があって、しいて言えばそれが地域の経済の活性化、さらに言えば、日本経済全体の再生にもつながってくると思うので、商業の問題を考えてみたらやってこなかったんですね。
鹿嶋会長代理
入れなかったですかね。
伊藤委員
それをどこかで議論した記憶は僕はあるんですけれども。
鹿嶋会長代理
第2次のときは、入れたんですよ。そのときは入れたんだけど、今回は忘れていた?
伊藤委員
今回も議論はしたんですよ。ヒアリングの中では議論はしているんですけれども、書き込みがないというか。これはなかなか難しい。商工会議所等々の税の問題とか、いろいろな問題でなかなか抵抗が強いところであるのは事実なんです。「検討」でもいいから、僕は書き込みたいなと思うんですけれども。
鹿嶋会長代理
書かなければだめですね。自営業。
羽入会長
雇用の分野でしょうかしら。
鹿嶋会長代理
雇用等の「等」の方に織り込んで。
羽入会長
ありがとうございます。
河野委員
中身ではないですが、雇用のところの5番の「多様な生き方、多様な能力」のところなんですが、全体を通じてなんですが、今どうでしょうね。ダイバーシティの言葉は使わない方がいいでしょうか。いつもすごく悩むんですけれども。
鹿嶋会長代理
どこですか。
河野委員
今の雇用のところの一番最後の4ページの5.「多様な生き方、多様な能力の発揮を可能にするための支援」。ほかにも「多様な」という表記はあるんですが、ダイバーシティという言葉はあえてここでは使わない形ですかね。
 たまたま企業などでは、今、ダイバーシティのテーマで動かしていって、そちらから女性が。今日本におけるダイバーシティは今プライオリティ・ナンバーワンが女性であるということで動いてきているので、かえって、ダイバーシティの方がひっかかりやすいと思うんですが、ここのところはどうでしょうか。
伊藤委員
ここよりも、むしろ、僕は「今後の目標」の中に書き込んだ方がいいんじゃないかと思うんです。1.2.3.を書いていますけれども、雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保がダイバーシティにつながるわけで。それは企業社会の活力につながるぐらいの書き方を、「今後の目標」の中にはっきり書いた方がいいんじゃないですかね。書き方がディフェシィブというか、もうちょっと前向きに女性の参画が社会に対してすごくプラスになるんだというような書き方をここはもう少し書いてもいいような気がしますね。
河野委員
かつて日経連では、プラスの戦略であるという書き方をしていたので、ちょっときつい表現かもしれないんですけれども。
鹿嶋会長代理
入れましょうか。
伊藤委員
入れた方がいいと思います。
鹿嶋会長代理
入れるとすれば、どこだろう。
伊藤委員
雇用の分野における男女共同参画は、日本の社会のある種の社会的な活力につながるという書き方を、前の方で目標の中に書いていくという方がいい。後ろの方にも、それをちょっと項目立てて書いていくというのが大切じゃないかな。
羽入会長
そうすると、「今後の目標」の一番最初とか。
伊藤委員
そうかもしれないですよね。
鹿嶋会長代理
「極めて重要な意義を持つ。」の次辺りに、ダイバーシティについての表現で、企業はダイバーシティを積極的に推進すべきだというふうな趣旨のことを入れますか。
岡島局長
ダイバーシティの意味をもうちょっと明確にしていただけると有り難いんですが。いろいろな理解の仕方があるのかもしれません。ダイバーシティと言うと、人の多様性みたいな感じがするんですが、ここでおっしゃられているのは、働き方の多様性という意味でのダイバーシティということなんでしょうか。
河野委員
それはいろいろな段階が。御専門の方がいらっしゃると思うんですけど。今私が申し上げたのは、日本におけるダイバーシティは、働き方の差になるのではないかという、今行われているビジョンの上で話させていただいたんですが、アメリカだと、御存知のとおり、人権の方から来て、いろいろな色とか言語になっているんですけど。今、日本の特に企業はというところで、実は働き方というののその前に、女性だとかいろいろ、ワーク・ライフ・バランスも入ってくるので、一つには、働き方の差というのも入ってのダイバーシティなんですが。単に女性・男性だけではなくて、人々の価値観から来ている働き方の差というのがよく出てくることです。
伊藤委員
それだと、今のお話だと、5のところですよね。
河野委員
そう、最後のところで。
伊藤委員
5のところにも入れたらいいと思うんですけれども、ただ、一方で「今後の目標」のところにも、今度は男女の方のダイバーシティというのを書き込んでもいいのではないかなと思います。
鹿嶋会長代理
要するに、ジェンダー・ダイバーシティとか、エイジ・ダイバーシティとか、いろいろあるわけですよね。ここで言うのはジェンダー・ダイバーシティなんですよね。意訳すると、男女間の格差を取り除いていくというのがジェンダー・ダイバーシティなんですね。もう一つ、かなりいろいろな年齢層が来ているから、エイジ・ダイバーシティがあるわけですね。確かに、ダイバーシティもそういうふうに書き込んでいくと、ちょっとややこしくなっていくかもしれないよね。だから、どうするかな。
河野委員
プラス思考で動いているのがあるので、もったいないなと思って。
岡島局長
ジェンダー・ダイバーシティは一番近いですね。
鹿嶋会長代理
一番ですよね。ジェンダー・ダイバーシティなら、これはわかるはずですから。
伊藤委員
5のところも、働き方のダイバーシティのところをどう書き込むかというのは、まだちょっと一工夫だと思いますね。
河野委員
いろいろありますから。定義づけになってしまうところですよね、今局長がおっしゃっていたのは。
鹿嶋会長代理
男女間の格差を是正するジェンダー・ダイバーシティなどに積極的に取り組むことが必要であるとか書けばいいんですよね。この1ページの今後の目標の中の「極めて重要な意義を持つ」の後にね。そうすると、各論の中にもダイバーシティを書いておいた方がいいのかもしれません。
羽入会長
各論でいくと、どこでしょうね。
鹿嶋会長代理
Ⅲの1のところでしょうね。あるいはポジティブ・アクションのところですね。
伊藤委員
これをやれば、ジェンダー・ダイバーシティはするわけですから。
鹿嶋会長代理
ダイバーシティは1つがポジですからね。だから、ポジに入れた方がいいのかな。3ページの3.のところに。各論としてはここに。「ポジティブ・アクションを含めたダイバーシティを積極的に推進する」とかね。
羽入会長
ただ、そういう意味では、これは全体的にダイバーシティを進めるということですよね。ですから、考えようによっては、目標の1.のところにだけ書いておいてもいいのかもしれませんね。
鹿嶋会長代理
勿論そうですね。それでもいいと思いますね。
伊藤委員
これが進めば、ダイバーシティなわけですから、目標の中の1.に書いておけばいいかもしれないですね。ただ、さっきからおっしゃっているように、5.のところはちょっと御意見を伺いながら書き加えた方がいいのかもしれない。働き方のダイバーシティ。
河野委員
そうすると、こっちはこのままの方がわかりやすいですかね。ところどころにダイバーシティのワードがちゃんと入るといいなと思ったんですけど。
羽入会長
5.の「多様な生き方」というのは、働き方というよりも、生き方の多様化なんですよね、と私は理解していたんですけど。だから、働かなくてもいいわけで。
鹿嶋会長代理
そうですね。
羽入会長
多様な生き方を認めるということで、?も出てくるんじゃないかというふうに思うんですが。先ほどのところでダイバーシティという言葉を入れておけば。
鹿嶋会長代理
ダイバーシティは最初のところに入れておいた方が無難ですよね。生き方となってくると、先生がおっしゃったように、働かなくたって生き方ですからね。企業の取組のダイバーシティは、働き方を前提にしたダイバーシティですから。その意味では、この5.に入れるのは無理があるかもしれませんね。
羽入会長
ええ。
 ありがとうございます。
 少し先に進めてもよろしいですか。
 資料4、5、6をお願いします。
鹿嶋会長代理
資料の4、第10分野の「男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実」ですが、これも、まず、施策の効果と、施策の問題点、進まなかった理由が1と2で書いてあります。施策の効果ですけれども、女子学生の進学率の上昇を書いてありますが、一方で、女子学生の進学の分野が非常に偏りが見られるということです。それから、学校教育機関における政策・方針決定過程への女性の参画が不十分だということが書いてあります。
 なぜ、あまり効果が出てないのかということの理由ですけれども、?進路選択において、男性向け・女性向けとされる職種にとらわれることなく、主体的に進路を選択するための職業意識の醸成や意識啓発が十分ではなかったということです。それから、ここもやはり固定的性別役割分担ですが、根強い固定的性別役割分担意識に基づく職業のイメージが、男子及び女子の職業の選択に影響を与え、かつロールモデルも少ないということであります。
 今後の目標としては、そこに書いてあるように、男女がともに個性・能力が十分発揮できるような、そういう社会にするために、その基礎となるのが教育・学習なんだということであります。そのためには、女性の能力や活力を引き出す女性のエンパワーメントを促進する必要があるとして、基本的な方向性と具体的な取組ですけれども、まず1番としては、学校教育や社会教育において、思いやりとか自立の意識、個人の尊厳、男女平等の理念、これらを推進する教育・学習の一層の充実が必要なんだということであります。具体的な取組としては、初等中等教育において、児童生徒の発達段階に応じて、社会科、家庭科、道徳、特別活動など学校教育全体を通じて、人権の尊重とか、男女の平等とか、男女相互の理解と協力の重要性、そういうものの指導と充実を図るということです。そこにずらずらと書いてありますが、例えば③は、高等教育機関におけるジェンダー研究を含む男女共同参画社会の形成に資する調査・研究の充実を促す。それから、[4]は、学校長を始めとする教職員とか教育委員会が男女共同参画の理念を理解して、男女共同参画を推進することができるようにするんだということです。
 そして、2ですが、「多様な選択を可能にする教育・能力開発・学習機会の充実」ですけれども、まず?として、「施策の基本的方向」としては、男女がともに、生き方、能力、適性を考えて、固定的な役割分担にとらわれないで、自分の進路を主体的に選択できる、そういうような能力、態度を身につけると。そのためにキャリア教育を含む生涯学習・能力開発を推進するということであります。特に、多様化、高度化した学習需要に対応するとともに、女性のエンパワーメントに寄与するため、生涯にわたる学習機会の提供や社会参画の促進のための施策を一層充実させることが必要だということです。
 「具体的な取組」としては、[1]は、子どもの頃から男女共同参画の視点に立った総合的なキャリア教育を推進すると。それから、[3]は、男女がともに希望するときに希望する場所で能力開発・生涯学習に参加できるような体制づくりを推進する。[5]は、職業におけるキャリアだけではなくて、PTAやNPOなど多様な社会的活動をキャリアとして積極的に評価する。要するに、そういう活動がキャリア形成における評価の1項目になるということです。その手法についても検討をする必要があるんだということであります。
 次のページに行きます。「学校教育の分野における政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」ですけれども、「施策の基本的方向」としては、「学校教育機関における政策・方針決定過程への女性の参画拡大に向けた取組を促進する」として、具体的には、女性の能力発揮が、それぞれの組織の活性化に不可欠という認識の醸成を図る。[2]は、校長・教頭、教授などにおける女性の登用について、「2020年30%」に向けた具体的な目標を設定する。それから、[3]は、高等教育機関における女性教員比率の向上を働きかけるということを書き込みました。
 資料の5です。4と5で、理系という場合はちょっとダブリが出ます。資料の5ですけれども、「科学技術・学術分野における男女共同参画」の今までの効果と理由。効果としては、1番に書いてあります。第2次の男女共同参画基本計画、それから、第3期科学技術基本計画で、女性研究者の採用目標値(自然科学系が全体の25%)が明記されたということです。ちなみに、現在の大学教員の自然科学系全体における女性研究者の採用比率は24.3%ですが、分野によって大きなばらつきがあります。これは図表1を見てください。研究者に占める女性の割合ですけれども、13%。これは図表2でわかりますが、他の先進国と比べると大変低い状況であります。
 なぜ、科学技術・学術分野における男女共同参画が進まなかったのかというのが2番目です。これは先ほど申し上げましたように、第10分野の書き込みと多少バッティングしますが、?のいわゆる性別役割分担意識が強い中、ロールモデルがいない中で、女子学生の進学の割合が理工系分野において低い。そういったような専攻分野の偏りが見られると。それから、研究機関における意識改革が不十分だったために、男性をそういうところでは優先的に登用するなどの慣例が残っていると。研究者として女性が活躍できる、そこに登用される機会が不十分だったということであります。次に、大学や公的研究機関における女性研究者支援の取組は一部で始まりつつありますが、なお、研究と育児等の両立支援環境が不十分だということです。?は、理工系分野に多くみられる、実験等による長時間の研究活動が、女性の参画の障壁になる側面があるといったような趣旨のことが書いてあります。
 「今後の目標」ですけれども、科学技術は我が国の将来の発展のための基盤ですから、そういう中に男女を問わず多様な研究者を質・量ともに育成・確保していくことが不可欠だということです。しかしながら、我が国の研究分野への女性の参画は、他の先進国に比べると非常にお寒い状況だということです。
 2ページは、では、そのためにどうするかということを書き込みます。1番としては、「科学技術・学術分野における女性の参画の拡大」で、この施策の基本的な方向としては、科学技術・学術分野における多様な視点や発想を確保して、研究活動の活性化によって新たな知見の創出、国際競争力の向上等を図るために、女性研究者を質・量ともに育成・確保していくことが必要なんだということが書いてあります。
 「具体的な取組」としては、[1]ですが、研究者の女性割合などについて、「2020年30%」の目標の達成に向けた取組が促進されるように、研究機関に対して、女性参画のための自主的な取組の奨励及び支援を行うようにする。[3]はポジティブ・アクションの推進などによって国及び地方公共団体における科学技術・学術に係る審議会委員等の政策・方針決定過程への女性の参画を拡大する。こういったような趣旨のことが書いてあります。
 2番目は、「女性研究者の参画拡大に向けた環境づくり」で、具体的には、取組としては、研究機関の管理職等を対象とした男女共同参画のための意識啓発活動を行うとともに、男女共同参画の推進のためのネットワーク形成支援、メンター制度の導入、ロールモデルの提供、相談窓口の活用促進等に努める。それから、女性研究者及び女性若年層に対して、研究を継続するための支援や公募を含む採用などについての情報提供の利便性を図るなど、科学技術・学術分野における情報ネットワーク環境の整備に努める等々のことを書き込んであります。
 3ページですが、「女子学生・生徒の理工系分野の選択促進」ですけれども、「施策の基本的方向」としては、女子学生・生徒の理工系分野への進学状況は他の分野と比較して低い。このため、理工系分野の人材育成の観点から、理数好きの子どもの裾野を拡げる取組の中で、女子学生・生徒の興味・関心の喚起・向上にも資する取組を強化するなど女子学生・生徒のこの分野への進路選択を支援するとしています。
 具体的な取組例としては、企業を始めとする研究機関の研究者の身近なロールモデルの発掘を行い、活躍事例を積極的に発信していく。女子学生・生徒の理工系分野への関心・理解を高めるため、本人及びその進路選択に影響力のある保護者・教師をも対象にした女性研究者等のロールモデル情報の提供、科学技術・学術の理解増進のための事業を推進するということがこの中に書き込んであります。
 最後、資料6です。「地域における男女共同参画の推進」ですけれども、まず、Ⅰ番の1。いわゆる効果ですけれども、効果では、第2次基本計画には、防災、地域おこし、まちづくり、観光、環境分野における男女共同参画の推進が入ったわけです。防災分野については、男女共同参画の視点が各地方公共団体レベルで盛り込まれつつあることは評価できるわけですが、これを定着させるにはまだまだ努力が必要だということです。地域おこしとか、まちづくり、観光分野については、実践的な活動を通じた人材育成、ネットワークの構築等女性の活躍の推進について様々な取組が必要なんだということです。どちらかといえば効果には、今後こういうようなことが必要なんだということばかりが並べられている感じです。
 2番は、進まなかったとすれば何が理由なのかということなんですが、これは地域に行きますと難しいことだとは思うんですが、地域とかそこに住む人々の課題解決のための施策とか活動の中で、必ずしも男女共同参画の重要性が十分に認識されていません。それから、地域活動は、地域へ行けば行くほど性別・世代の偏りもあります。さらに、PTA・自治会等地域の方針決定過程において女性の活躍の場が乏しくて、事実上閉ざされている場合もあります。根強い固定的性別役割分担意識によって、女性リーダーの育成が困難な場合もある。
 そのような状況から、今後、何をどういうふうに目標として掲げていけばいいかということなんですが、地域は家庭とともに私たちにとって最も身近な暮らしの場です。そこでの男女共同参画の推進は、男女共同参画社会の実現が重要なテーマです。地域においては、人間関係の希薄化や単身世帯の増加等の様々な変化が生じておりまして、男女が共に担わないと立ち行かなくなる状況になっています。こうした中で「新しい公共」を創造して、地域力を高める。そのためには男女共同参画という視点が不可欠だということを書き込みました。
 2ページへ行きます。そういうような目標に向けての「施策の基本的な方向と具体的な取組」ですけれども、1番として「地域における男女共同参画推進の基盤づくり」ですけれども、具体的な施策の基本的な方向としては、男女共同参画センター、女性センター等の機能の充実・強化を図ると同時に、地域ネットワークの構築や地方公共団体における男女共同参画の積極的推進を促すなど、男女共同参画の考え方があらゆる地域活動の基本要件となるように基盤づくりを推進するということで、具体的には、先進事例、ノウハウ等の情報収集・提供・共有の促進。地域活動の表彰等の広報・啓発活動。女性リーダー等の人材育成のため、研修等の支援、それから、動機付けの仕組みの検討。[4]は、男女共同参画の視点を踏まえた行政、大学、NPO活動を行っている団体とのネットワークの構築。地域団体職員への研修の充実等を図っていくということです。
 次に地域生活ですが、この地域生活の基本的な方向としては、固定的性別役割分担意識を解消するための意識啓発をさらに進める。そして、課題解決型実践的活動への移行を推進していく。この課題解決型というのは、基本問題専門調査会の報告書のときに、今後のセカンドステージの男女共同参画は課題解決型なんだということがこのことの背景にあります。また、地域社会の様々な活動に男性や若年層など多様な人々が参加できるように、仕事と生活の調和を進めるということが書いてあります。
 具体的な取組例としては、地域における多様な政策・方針決定過程への女性の参画拡大を図る。多様な経験を有する高齢女性の活躍や若年層の参加を促すなど、地域活動が特定の性、年齢層で担われている分野、地域固有の文化活動への多様な者の参加促進を図る。男女共同参画の視点を踏まえて、行政、大学、NPO等地域活動を行っている団体とのネットワークの構築等を推進する。
 3番は「まちづくり・観光」ですが、この基本的な方向としては、いわゆる地域の文化・産業を男女共同参画を踏まえた視点で見直して、活性化し、そして、それが地域おこし、まちづくりにつながっていく。それを行うためには、例えば観光を通じて国内外の人々との交流を深めることで、地域の活性化、暮らしの改善を実現するということです。
 具体的な取組としては、地域づくり、まちづくり、観光分野における政策・方針決定過程への女性の参画を拡大するとともに、まちづくり等の計画策定や活動等に男女共同参画の視点が反映されるよう、働きかける。それから、特定の性、年齢層等で担われている分野、地域固有の文化活動への多様な者の参加を促進するということです。
 防災は、被災時には、増大した家庭的責任が女性に集中することなどの問題が明らかになっております。災害(復興)対策は、男女のニーズの違いを把握して進める必要があります。これら被災・復興状況における女性をめぐる諸問題を解決するため、男女共同参画の視点を取り入れた災害(災害復興)体制を確立する。
 具体的には、災害分野における政策・方針決定過程への女性の参画を拡大するとともに、防災計画等に男女共同参画の視点や、高齢者・外国人等の視点が反映されるようにする。次に、消防団員・警察官・自衛官等について、防災現場に女性が十分に配置されるよう、採用・登用の段階を含めて留意する。また、平時訓練などその職業能力の向上についても配慮する。
 環境です。地球環境問題を解決し、持続可能な社会の実現を目指していくためには、環境保全に関する女性の高い関心や経験等を活かしながら、自らのライフスタイルを環境への負荷がより小さいものへと変えていくとともに、環境保全の取組に積極的に参加していく。具体的には、環境分野における政策・方針決定過程への女性の参画を拡大するともとに、環境保全活動等に男女共同参画の視点が反映されるよう働きかける。また、男女共同参画の視点を踏まえて、行政、大学、NPO活動等地域の環境保全活動を行っている団体とのネットワークを構築する。それから、環境分野における女性の人材育成を支援するということが書き込まれてあります。
 以上ですが、最初に議論してきました資料1、資料2、資料3に比べれば、この4、5、6は、それほどの時間はかけなかったと思います。その意味では、皆さんから御指摘があればお伺いしたいと思いますので、帯野委員、是非よろしくお願いします。
帯野委員
質問なんですが、まず資料4の2ページの上から②初等中等教育において、広い視野を持って異文化を理解し、そのために国際理解教育を推進するということなんですが、これは具体的にはどういうことなんですか。男女共同参画の先進的な取組を行っている海外の様子などを教育するということですか。
羽入会長
男性・女性が生活の仕方も違う文化がある。だから、全く同じにするということではないような国際的な理解を進める必要があるだろうということがここに書かれているんですが、やはりこれだけ書いただけでは分かりにくいのかもしれないですね。
帯野委員
私は、そういう先進国の日本がこの問題ではまだ途上にあるというようなことを教育に盛り込むのかなというふうに理解したものですから、そういうことではないんですね。
鹿嶋会長代理
これは辻村委員の強い指摘もありましてね。要するに、グローバル化する中での異文化理解なんですね。世界に様々な国があり、様々な生活習慣の人たちがいるわけです。そういう人たちを教育の中で早いうちから理解することが、将来大きくなってからの国際貢献とか、あるいはグローバルスタンダードとか、この辺は私の意訳解釈ですが、そういうものにつながってくるのではないかというふうなものが背景にあるんだと思うんですね。だから、そういうことで国際理解教育を推進する。でも、おっしゃるように、ちょっと言葉足らずなのかもしれないので、もうちょっと補足するようなことは考えた方がいいかもしれませんね。
帯野委員
それも勿論重要な視点だと思うんですが、私が読んだときは、男女共同参画とのつながりがよくわからなかった。特にイスラム圏の女性の問題がありますので、それをどういうふうにここに盛り込んでいるのかなというのがわからなくて御質問をさせていただいたんですが。
鹿嶋会長代理
イスラム圏の女性までの議論はしていません。
帯野委員
そういうことでちょっと何か誤解を与えないのかなと。
鹿嶋会長代理
ただ、国際理解というのは、男女共同参画基本計画の重点分野の1つでもあります。例えば第2次基本計画で言うと、地球社会の平等開発・平和の貢献というのがあるし、我々の方としては、国際社会というのがありましたね。多分そっちの方につながってくるものですので。でも、イスラム女性については議論していませんが、もうちょっと分かりやすい表現は考えた方がいいと思いますので、これはちょっと検討をしたいと思います。
伊藤委員
僕は、この教育のところは、起草ワーキングで参加できてなかったところなんですけれども、第10分野は、ほかの分野と比べると、すごく書き込みが弱いという印象がどうしてもあるんですよね。例えば11分野の方は、同じ教育・学術の分野という点でかなり書き込まれているのに、初等中等教育部分を中心の第10分野は、社会教育もそうなんでしょうけれども、やっぱりちょっと書き込みが弱い感じがどうしてもあるんですよ。
 例えばⅢの1の?「思いやりと自立の意識を育み、個人の尊厳と男女平等の理念を推進する教育・学習の一層の充実を図る」はいいんですけれども、ここには男女共同参画という言葉が入ってないんですね。男女共同参画の理念や施策について子どもたちに周知させるみたいな、そういうイメージの言葉がもうちょっとあってもいいんじゃないか。それは同じように?の具体的な取組の[1]もそうなんですね。社会科、家庭科、道徳、特別教育はいいんだけれども、男女共同参画の理念や施策について、子どもたちにきちんと学習を進めるような書き方はするべきなんじゃないでしょうか。確かに、個人の尊厳、人権、男女平等ということに加えて、男女共同参画についての理念や学習みたいなところは付け加えていかないと、どうしても弱い印象がある。本気でやってないみたいな感じの印象の書き方になっちゃっているような気がするので。もうちょっと書き込んでいけないかなというふうに思うんですよね。
羽入会長
ここで難しいのは、例えば小学校の児童にどうやって男女共同参画の理念を教えるのかというようなことが念頭にあって、そのときに、思いやりとか自立とか、お互いに尊重し合うとか、そういう用語として書かざるをえないということも同時にあるのではないかと思うんです。
伊藤委員
ただ、1ページの下の方に「児童生徒の発達段階に応じ」と書いてありますから、それは男女共同参画はこうだというふうな固い理念を小学校の1年生2年生にやっても無理でしょうけれども、発達段階に応じる形で、男女共同参画というもの、国際的な動きであるとか、そういうことについての周知みたいなものをある程度子どもたちに提供していくということが必要なんじゃないかと思うんですね。その書きぶりが、従来の男女平等教育の水準でしかない。言ったら悪いけれども、今までの文科省の男女平等教育というのは、ここに書いてあるように、男女の違いを理解し合いながら助け合いましょうというレベルの男女平等論が割と目立っていたんですよね。だから、もうちょっとだけでいいから踏み込めないかなという思いがあるんですけどね。その辺、ちょっと書き込めないかなというように思います。それは国際理解教育のところもそうだと思うんですよ。
鹿嶋会長代理
なかなかその辺は難しいところですが、確かに伊藤委員がおっしゃったように、私も改めてこれは目を通していて、ちょっと軽いなという感じがあるんですよね。
羽入会長
そうなんですけどね。
鹿嶋会長代理
どうしたらいいかな。
 伊藤さん、これに何を書き込むか、メモも提出してもらえると有り難いけどね。
伊藤委員
どういじるか難しいところなんですね。
 逆に、ほかのものと比べて見て、ここだけ浮いてしまっている印象があるんですよ。それは第10分野そのものにとって印象を悪くしちゃうんじゃないかと思って、それもあって、もうちょっと書き込みをして、具体的なものをつくっていくべきじゃないかなと思うんですね。
鹿嶋会長代理
私も感じているのは、第10分野のⅠの1で、理工系の分野で男女の偏りが見られると書いているんだけれども、こういう問題がありますよと書いているんだけれども、それについての解決策は全部第13分野に入ってしまっているんですね。ここもちょっとつながりが悪いかなという感じは確かにある。
羽入会長
これをここに書く必要があるかどうかというのは考えた方がいいかもしれないですね。
鹿嶋会長代理
おっしゃるとおりですね。13分野に全部まとめてしまってもいいかもしれませんね。
羽入会長
この「しかし」以降のところを11分野にね。
鹿嶋会長代理
ごめんなさい。11分野にね。
伊藤委員
11分野の方かもしれないですね。
鹿嶋会長代理
そうすると、さらに第10分野は薄くなってくるんですね。これを取っちゃうとね。
河野委員
私は、今のところは、逆に置いておいてもいいかなと思ったのが、今のところのⅢの1.の?の[4]で「学校長を始めとする教職員や教育委員会が男女共同参画の理念を理解し」というのがあるんですけど、ここのところで学校の諸先生方のことをうたっていて、私は、この先生方が本当に理解して、学校教育の中で、例えば理科や数学のおもしろさをもっともっと女性にもというか、女性に伝えるような工夫をすることというのはすごく重要だと思っているので、初等教育などでも重要だと思っているので、[4]のところをさらに強調すると同時に、ここのところで少ないというのもちょっと置いておきたい気がするんですよね。ですので、ここで置いておいて、後ろでも別立てするというのを私は是非お願いしたいことです。
 加えて、④であるじゃないかと言うとそこまでなんですけど、具体的な取組の中で、指導的立場の女性を増やすことが強調されているんですが、私は男性の先生が変わらなければだめだと思っていまして。そこのところはまさに男性のテーマなのでここじゃないのかもしれないんですけど、わざわざ今回は男性のワークがあるわけで。この中でも少し盛り込んで、この④のところをもうちょっとふくらませて表現できたらなと思ったりしております。
 加えて、ついでなんですけど。科学技術の方も、ここの先生方は全然別口なので、それを無視してお話しして恐縮ですが、一般的な大学の先生方は、悪気がなく男女共同参画をしていない方が大変多いので、もっともっと特に理工系の現場の先生方が女性に興味をと言うと変ですね。もっともっと興味を持って進めてくださることはすごく大きいと思うんですね。男性の教授の皆様に、もう少し刺激的な言葉が入るといいのかななんてちょっと思いました。
 以上です。
羽入会長
例えば、10分野の[4]ですけれども、[4]は「学校長を始めとする」というところのことですね。つまり、教育者の男女共同参画意識を高めるという形で書いていきましょうか、先に。何かちょっと第三者的な書き方をしているんですが。例えば[4]を先に持ってくるとか。
伊藤委員
そうするといいかもしれないですね。何を我々は要求しているのかというのを理解できるかもしれない。
羽入会長
その際に何を教えるかというと、発達段階に応じた事柄であり、国際性であり、それから、高等教育だとジェンダー研究ということになってくるというふうにすると、少し主張がわかるかもしれませんね。
 あと11分野のところで、今、河野委員がおっしゃったようなことを考えると、高等教育機関に所属する者の意識改革をどこかに入れるといいのでしょうか。
伊藤委員
それはあった方がいいですね。
羽入会長
11分野の2ページにあることはあるんですよね。
伊藤委員
?の[1]が一応そうではあるんですけれども。
鹿嶋会長代理
教育はどのワーキンググループがやったんでしたっけ。
伊藤委員
教育はワーキングはないです。
鹿嶋会長代理
雇用は女性活躍ワーキング・グループである程度カバーできたけど。
伊藤委員
教育は、第11分野がかなり重い構成された部分に浮上してきている。確かに難しい問題ですね。
 学習指導要領の中の男女共同参画分野はどれくらい書き込みがあるんですかね。つまり、結局、教育、学習の分野は、学習指導要領も法律ですので、それに縛られる部分があって、それとの多分整合性で難しいところがあるんじゃないかなと思う。逆に言ったら、学習指導要領に書き込んでほしいというふうにこっちから言うことも必要なのかもしれないなと思うんですね。
鹿嶋会長代理
学習指導要領はないです。家庭科なんかはないです。ただ、民主党政権になってから、運用でかなりやるんだけれども、新学習指導要領は取りました。
伊藤委員
学習指導要領に縛られて書けないというところもかなりあるという気がするんですけれども。
鹿嶋会長代理
学習指導要領に入れるように入れますか。
伊藤委員
国の政策だし、国がつくった法律に従った教育ですから、それは学習指導要領でやっていただくのが筋だと思います。それが落ちていること自体が問題ではないか。家庭科はかなり書き込みがあると思うんです。
鹿嶋会長代理
いや、「新」は家庭科はないよ。
伊藤委員
社会はありますよね。現代社会とか。
調査課長
最近調べたものなんですが、男女共同参画という言葉自体はないんですけれども、それは構成としましては、教育基本法を引いておりまして、教育基本法は「男女平等」という言葉になっています。教科書の検定の中では、男女共同参画の視点は意識しながらやっているということでありまして、表現のチェックなんかはかなりやられてきているというふうに我々は考えております。だから、男女共同参画という言葉はないんですけれども、その中での男女の協力でありますとか、そういう視点自体は各論の中で入っていて、そういうことは考えながら進めているというふうに思っております。
伊藤委員
よくわかるんですけれども。ただ、法律で男女共同参画社会というのはうたわれているにもかかわらず、学校教育の中にその言葉が含まれていない、指導方針にないというのは、そのこと自体結構大きな問題のような気がします。その精神は理解するというレベルの話ではないような気がするんですけどね。
羽入会長
今のスタンスが?の男女共同参画の理念を理解するようにぐらいまでしか書けないということの意味なんですよね。
鹿嶋会長代理
書いてないんですけれども、運用は弾力的なんですよ。だから、家庭科教科書を書く、方向のラインを示すような文科省が出している冊子があるんですがね。それを見ると、男女共同参画については多少自由に書き込めるんですよね。ただ、指導要領の家庭科については、ないことは確かです。
羽入会長
例えば1ページの?も、「教育に携わる者が男女共同参画の理念を理解するよう、意識啓発に努める」を先にしてというのはどうですか。
伊藤委員
前に男女共同参画を書いて、その中で具体的なものはこうなんだという形の書き方ですね。
羽入会長
そういうものがまず理解するというふうに書いていく。そして、教える内容がその次に来ると。少し分かりやすくなる。
鹿嶋会長代理
それはそうですよね。
羽入会長
10分野、11分野も併せてお願いします。
帯野委員
これも質問なんですが、今の10分野の2ページ目の「具体的な取組」の⑦です。「キャリアに関連付けた専門教育を展開するように促す」ここで、キャリアが上にも出てきているんですが、2の?の方のキャリア教育は、これは就職支援というようなキャリア教育ではなくて、生き方そのものを教えるような人生の教育といった意味のキャリア教育を指しているんですね。
 一般的に大学でキャリア教育と言うと、最近は、就職支援のためのキャリア教育のように取られるんですが。
羽入会長
大学では変わっています。
河野委員
両方あるので、それは間違いじゃないと思います。
帯野委員
そうすると、この一番下の[7]の方なんですが、「男女共同参画の視点を踏まえた進路・就職指導」これは具体的にはどういう意味なんでしょうか。
鹿嶋会長代理
これは例えば女子学生であっても、明確なキャリア形成の視点を持って職業を選択するとか、そういうような視点ですよね。「私は結婚するからいいや」ではなくて、そういうようなことだというふうに私は理解していますけどね。
帯野委員
わかりました。
 ちょっと私自身の中にすごく悩みがあって、それで、どういう意味なのかなと思ったんです。その悩みというのは、つまらない話なんですが、私は産業界にいながら、女性の企業における活躍の機会は極めて限定的であるということを日々見ながら、今度大学へ行くと、やはり出口保証のために、学部によっては女子学生の方が多い学部もあり、一生懸命特に大企業に送り込むという、その矛盾に悩んでおりまして。ヒアリングのときに文科省に御質問した、むしろ、女子学生向けのキャリア教育というのは別立てにした方がいいのではないか。例えば起業もそうだし、あるいは専門性を持って生きていくというような、そういう女子学生向けには個別のキャリア教育を行った方がよいのではないかなという、そういう気持ちがあって読んだものですから、ちょっと意味がよく取れなかったんですが。要するに、社会に出よう、仕事をしましょうということを動機付けるための教育ということですね。
羽入会長
ただ、そのときに、多様な職業選択というふうに書いてありますように、それは大企業に就職するということだけではなくて、起業も含めて、あるいは何か新しい働き方というのも含めて、キャリアを見据えた働き方ということが、この⑦には込められていると私は理解しております。
帯野委員
結構です。ありがとうございました。
羽入会長
ほかにはいかがでしょうか。
 11も含めてお願いいたします。
鹿嶋会長代理
第10分野については、もしいい知恵がありましたら、是非皆さんに御協力いただければ。
伊藤委員
協力して。
羽入会長
そうですね。
鹿嶋会長代理
一応第2次の方も参考にするし、あとは答申の中身も参考にしながら、もう一度さらに継続して入れるべき点があれば入れていきたいと思います。
羽入会長
そうですね。
 11分野は、ほぼこれでよろしいでしょうか。
伊藤委員
動いているものですから。
羽入会長
また後でお気づきになったら御連絡いただくとして、13分野の地域はいかがですか。
伊藤委員
前の基本問題専門調査会の時代につくった地域の議論のときに、これは僕がお願いしたのだったと思うんですけど。女性・男女共同参画センターのネットワーク構築の中に、企業という項目を入れている。それをどうするかなというのがちょっと気にはなっています。実際、基本問題専門調査会で出した報告書、これは男女共同参画会議を通過して出されていると思うんですけれども、企業を書いたのは、いろいろ思惑もあったんですが、例えば男女共同参画センターが今後存続していくためにはお金も必要だ。企業が男女共同参画センターの資源を活用できるような関係づけができると、センターの財政面でのバックアップみたいなものにつながるのではないか。労働組合とも言ったような気がするんだけど。それはどうするのかな。入れにくいとは思うんですけれども、すでに提案として出してしまっているということもあって、それとの整合性も考えていただければと思います。地方自治体の男女共同参画側から、「この企業という部分は何を意味するのですか」と聞かれて、ちょっと説明をしたことがあるんですけれども、先ほどの山下さんのお話なども含めてなんですが、企業の人事部門と男女共同参画センターのかかわりとか、地方自治体のかかわりとか、大学とのかかわりとかというようなものも、ちょっと行動的に考えてもいいような気がしています。労働組合もそうなんですけど、その辺何か視野に入っていかないかなと思う。先ほど言った、ここでつくった報告書との整合性もちょっと考えていただきたいと思います。
鹿嶋会長代理
確かにそうですね。男女共同参画センターにとっては企業のハードルは非常に高いけれども、第3次はそこにポイントを入れていく必要はありますね。どの辺に入れればいいだろうか。
羽入会長
どこに入れましょうね。
鹿嶋会長代理
2ページのⅢのところですかね。
伊藤委員
男女共同参画センターが書かれているところかなという気はするんだけれども。
鹿嶋会長代理
その具体的な取組の中にね。
羽入会長
地域ネットワークの構築の辺りに関係させればいいんでしょうか。
伊藤委員
でもいいですね。
羽入会長
企業を含めた地域ネットワーク。
伊藤委員
ええ。そこにNPO、企業と続ければ、それで済む話かもしれないですね。そういう視点がちょっとあってもいいんじゃないかなと思いますよね。お金があるのは企業です。行政はお金がないので、その辺はちょっと書き込んでおいてもいいのではないかと思います。
羽入会長
じゃ、ここに企業を。
伊藤委員
企業をそこに入れればいいような気がします。
羽入会長
[4]ですか。NPO。
伊藤委員
NPOが先かもしれないですね。「NPO、企業等」とやってもいいかもしれませんね。あるいは地域団体というのも入れたりしたんですが。地域活動を行っている団体と書いているからいいですね。
羽入会長
そうですね。
鹿嶋会長代理
「大学、NPO、企業等」ね。それでいいですよね。
羽入会長
ええ。
 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
-
今ので、ちょっと確認というか質問なんですけど。企業とのネットワークは絶対あった方がいいと思うんですね。例えば「もしもし、御社の男女共同参画担当はどなたですか」ということになったとき、その名称は絶対使ってないんですよね。そこがやっぱりネックかなと思っていて、もし、そうなると担当者はきっとダイバーシティ推進室とか、女性何とか、女性対策推進担当とか、そういうところに来ると思うので、そこにどんぴしゃな今ないというのが一番隔たってしまうところかなと思うんですよ。その後何があるというわけじゃないんですけど。企業における男女共同参画なんだなというのを企業の中に埋め込むのがよいのか、ダイバーシティのところで接点を見出しておくのがいいのか、女性のところでがいいのか、そこをちょっと整理しておいた方が進めやすい気がするんですが。企業の中で私が知っている範囲ではないんですけどね。御担当者というか部門としては。そこをちょっとリンクさせるときに、何か少し意識。人事、今おっしゃっていた組合ですかね。
伊藤委員
組合は、それなりに今は動いているところが多い。連合は、男女共同参画の委員会をは各単産でつくっていますよね。
河野委員
国のイメージ。先生さっきおっしゃっていたんですよね。つなぎ方が。
羽入会長
今、[4]のところに入れるとすると、行政(男女共同参画センター等)とありますよね。それと同じように、企業(ダイバーシティ)。ダイバーシティ部門、ダイバーシティ何々とかと入れていく。
河野委員
かもしれないですけれども、どうしたらいいかしら。
羽入会長
ただ、これはネットに載りますよね。そうすると、「ダイバーシティ」で検索をして、ヒットが2つとかだと寂しいかもしれない。
鹿嶋会長代理
だから、先生がおっしゃったように、企業にとって一番身近なのはダイバーシティ担当だよね。多分、それが男女共同参画部署の一番の接点ですよね。
伊藤委員
そうですね。
鹿嶋会長代理
今はね。括弧で、企業(ダイバーシティ担当等)と入れておけばいい。
河野委員
責任を感じるかもしれませんね。
羽入会長
ええ、自分も関係しているんだと。
鹿嶋会長代理
入れましょう。
羽入会長
ありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。
 そうしましたら、特に教育のところですが、御意見を事務局の方に寄せていただいてよろしいですかね。
鹿嶋会長代理
それで、最後に、今3分野の報告をしたのですが、これからの作業として、政務三役の意見も入れながら取りまとめていくということを考えております。多少修文も出ると思っておりますし、いろいろな御意見をいただきたいと思います。三役の意見も入れながら、最終的な着地を図っていくことになると考えておりますので、どうぞ御了解いただければと思っております。
 ありがとうございました。
羽入会長
ありがとうございます。
 それでは、今回の議論は以上にいたしまして、また、ワーキング・グループで引き続いて作業をしていただきます。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 では、事務局から御連絡がございましたら、お願いいたします。
推進課長
次回は、3月25日(木)の3時から6時までで、場所が4号館の共用108会議室です。
羽入会長
これで、第57回の調査会を終了いたします。ありがとうございました。

(以上)