男女共同参画会議基本問題専門調査会

  • 日時: 平成22年3月10日(水) 13:00~15:00
  • 場所: 永田町合同庁舎第1共用会議室

(開催要旨)

  • 出席者
    会長
    羽入 佐和子 お茶の水女子大学学長
    会長代理
    鹿嶋 敬 実践女子大学教授
    委員
    石川 哲也 神戸大学大学院教授
    伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
    大熊 由紀子 国際医療福祉大学大学院教授
    河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
    五條 満義 東京農業大学准教授
    桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会理事
    山田 昌弘 中央大学教授

(議事次第)

  1. 日本経団連からのヒアリング
  2. 起草ワーキング・グループからの報告
  3. 自由討議

(配布資料)

資料1
第3次男女共同参画基本計画の考え方(案) [PDF形式:224KB] 別ウインドウで開きます
資料2
第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的考え方骨子案 [PDF形式:134KB] 別ウインドウで開きます
資料3
今後の専門調査会のスケジュール(案) [PDF形式:79KB] 別ウインドウで開きます
羽入会長
皆様、お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
 それでは、「第56回 基本問題・計画専門調査会」の会合を始めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 本日は、経営者団体の方から御意見をいただけるということになりました。これは以前、私どもの方で、事務局にそのようにお願いしていたことが、今日、実現するということでございます。
 そのお話を伺ってディスカッションを少しいたしまして後で、ワーキング・グループから御報告いただき、今回は総論の部分の議論をしたいと考えております。
 早速でございますけれども、本日おいでいただいております日本経済団体連合会の労働法制本部の主幹でいらっしゃいます布山祐子さんにお願いいたします。よろしくお願いいたします。
布山氏
今、御紹介いただきました日本経団連の布山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、お招きいただきましてありがとうございます。専門調査会の方から、経営者団体の立場から男女共同参画についてどういう考えを持っているかということで、あらかじめ関心項目を3ついただいておりますので、それを踏まえてお話をさせていただきたいと思います。
 1つ目にいただいているのが、企業経営に当たって、男女共同参画、あるいは女性の活用についてどう考えるかということでいただいている件でございます。
 企業を取り巻く環境は、非常に激変して厳しくなる中で企業が存続、成長していくためには、これまで以上に多様化している市場にきちんと目標を定めて、また、多様化の傾向を正しく把握してビジネスに反映させていくことが重要ではないかと考えています。
 また、御承知のとおり人口減少に伴い、労働力人口の減少に対応するためにも、より一層多様な労働力を生かしていく必要があると思っています。
 私どもは、全員参加型社会と呼んでおりますが、あらゆる方々がきちんと社会に参加していくことが重要だと考えていまして、その中で、男女という性別についても多様性の1要素だと考えています。
 企業の中で男女が同様に生かされていくことがますます期待されるところでありまして、つまり、性別ということにかかわらず意欲と能力のある方、そういう従業員の方が持てる能力を発揮していただくことで企業の成長にも結びつくだろうと考えています。
 本日、御参考に資料として経営労働政策委員会報告をお配りさせていただいておりますが、この報告書は、いわゆる春の労使交渉時期に私ども経営側の考え方をまとめたペーパーなんですが、そこの中でも毎年それぞれの多様な人材をどう生かしていくかということもこの中に盛り込まれているところであります。
 今回は、38ページ辺りからになるんですが、第3章の将来の成長に向け取組みという中で、若干、関連している部分があるのかなと思って御照査をさせていただきますが、今、申し上げたように、企業を存続させて更なる発展を遂げていくためには、こういう逆風の中においても将来の成長に向けたような布石を積極的に打ち出すことが必要だということを考えています。
 また、そういうかぎを握るのは人だということを前提にして、その中で、この39ページの将来の成長に向けた取組みということで私どもが調査したアンケートにつきましても、圧倒的に多くの経営者の方々が、従業員の育成、確保等における人材の強化というのを挙げておりまして、企業経営にとって全人材、人的な資源というものが発展の決め手になると考えています。
 そういうことから御質問に、例えばということで生産性の向上など、企業にとってのメリットをどう考えるかという御質問があったんですが、生産性の向上につきましてはさまざまな要素が組み合わさって出てくるという見解でありますので、ストレートに言えるかどうかということは別にして、少なくとも男女を問わず従業員の成長こそが企業の発展につながるという思いを持っているところであります。
 そういう意味で御質問に戻ると、女性ということに限らず、きちんと意欲と能力を持った人が生かされていくのが企業経営にとっても非常に大きなメリットになると思っているところであります。
 次に、2つ目の御質問のところで管理職への女性の登用をはじめとする女性の活用、活躍推進、ワーク・ライフ・バランスなど、男女共同参画の実現に向けた取組状況、今後の方針ということであります。
 まず、女性の活躍推進ということに関しましては、過去を振り返ると、例えば厚生労働省さんの方が事務局をなさっている女性の活躍推進協議会です。これはポジティブアクションをより推進していくというもので、企業経営者が集まって行っている協議会でございますが、そこにおきましても私どもの役員が委員に就任しています。
 それだけではなくて、この協議会の中で各種啓発資料等も作成してまいりました。その際、ワーキング・グループにも私ども事務局で参加するなど、積極的に協力してきております。
 企業の中の男女共同参画推進という意味では2004年になるんですが、企業における男女共同参画と題するパンフレットを私どもの方で作成しまして、会員企業をはじめ、企業の方々に男女共同参画の重要性を啓発する活動も行ってきたところであります。
 また、先ほど御紹介いたしました経労委報告におきましても、これは毎年出している報告書なんですが、毎年のように女性の活躍推進について記述をしてまいりました。
 今年の報告書につきましては、昨今の経済状況等から雇用問題がクローズ・アップされてきたということから、雇用問題の対応を中心に記述したため、ここ数年のように女性、高齢者、障害者といった属性での記述は特にないんですけれども、雇用の多様性という切り口でとりまとめております。当然、雇用問題は男女共通したものと考えているところであります。
 なお、本日はお持ちしていないんですが、この報告書の内容を補完的に解説する実務所としてだしている春季投資交渉協議の手引きという本におきましては、女性の活躍支援、あるいはその活躍支援を行う企業事例の掲載もしていて、企業の皆様に周知をしているところであります。
 それから、ワーク・ライフ・バランスにつきましては、2009年になるんですが、少子化という観点からワーク・ライフ・バランスに関する提言を行いました。
 その他、その課題についての意見交換を実施したり、あるいはシンポジウムの開催、それから、改正労働基準法、改正育児介護休業法等、ワーク・ライフ・バランスに関連するだろう法律の関連セミナーを開催するなど、周知・広報活動を行っているところであります。
 経労委報告においても、先ほどに引き続き43ページ以降にワーク・ライフ・バランスの推進についてきちっと記述をしております。そして、推進企業の取組事例も紹介をしながら周知をしているところであります。
 この件については、今後も引き続き、その重要性について周知していく予定であります。
 先ほどの管理職の女性の登用も含めて、3番目の取締役など、役員の女性の登用促進ということについて一緒にお答えしたいと思います。
 まず、これは女性だからとか男性だからということではなく、男女にかかわらず適任の人がきちんと就任することが重要だと思っています。
 通常、会社で考えたときに、ヘッド・ハンティングをされた場合は別にして、通常、企業であれば入社をして、日々実績を積み上げて管理職、役員へと登用されていくものであると考えています。これは企業に限らず、組織の役員になる場合も同様であると思っています。
 その中でこれまでの慣行、あるいはしがらみから、実力があって男性であれば管理職になっているような方がなってないとしたら、それはポジティブ・アクション等できちんと是正をしていく必要があると思っておりますが、これはあくまでも女性を優遇的にということの違和感を考えると、きちんと実力がある人が認められるような環境づくりをしていくことが重要だと思っています。
 それによって、管理職、管理職の上は役員というふうに登用されていくことになっていくのかなと思っているところであります。
 ちなみに、先ほど申し上げたポジティブ・アクションについては、あくまでも各企業の実情において自主的に取組むものです。その中で、企業がどれだけ人材というものを大事にして、どう考えていくのかというのがキーになるのではないかと思うところであります。
 一応、簡単ではありますが、もともといただいた御質問については、基本的にそんな考えを持っております。以上でございます。
羽入会長
ありがとうございます。せっかくおいでいただきましたので、是非、皆様の方から御質問などをしていただければと思います。今、お話してくださいましたけれども、今回、3つの点について事務局から、おおよそのお話の内容を依頼しておりました。
 私たちが経営者側の方々の御意見を伺いたいと思いましたのは、今回の計画をつくるに当たって生産性を向上させるということと、男女共同参画というのがどのような文脈でつながり得るか、あるいは今回の第3次計画はすべての人が関われるものと考えておりますので、その場合に雇用の問題を抜きにしては考えられないだろうというようなこと、あるいは高齢者の問題というようなこともあったものですから、経営の側からはどうお考えなのかという御意見を伺いたくてお呼びさせていただきました。
 皆様の方から、どうぞ御質問などをお願いします。
鹿嶋会長代理
幾つか聞きたいことがあります。
 1つはポジティブ・アクションですけれども、直近の調査を見る限り、ポジティブ・アクション自体が5~6年前の実施状況と比べて非常に落ちているわけですね。これは非常にと言っていいぐらいで、6~7ポイントぐらい落ちています。
 多分、推測はつくんです。落ちている理由は、ポジティブ・アクションが出てからもう久しいですので、かなりの大企業が実施しているんですね。実施しているんだけれども、非常におざなりというか、ただ、やったというだけであって、それで、もう終わりましたという報告をしているだけですが、実態として女性の管理職比率はそんなに上がってないわけです。まだ全体を通して見ても1割にいってないという状況です。
 そうなってきますと、なぜこれほど落ちているのかという分析などをなさっているのかどうかです。
 落ちているとすれば、本当に私が言っているように一巡感、一服感があって、今、休止状態なのか、何かもう一つこれを推進するインセンティブが必要なのかどうか、それから、ポジティブ・アクションで本当に女性管理職が増えるのかということもあって、ここをどう突破していけばいいのかというのが1点です。
 第2点は、とにかく政府目標として2020年に3割と指導的地位の女性をつくるんですが、経団連としてという質問はちょっと大げさですね。個人的にどうお考えになるのか、本当にいけるのか、では、どうすれいいのかということですね。
 さきほどおっしゃったように、性は多様性の一貫として見ている、これは非常に力強い言葉だと思うんですね。ですから、ジェンダー・ダイバーシティーとか、いろいろなダイバーシティーがあると思うんですが、多様性の一貫だとおっしゃったし、男女に関わる適任の人ということもそのとおりだと思うんですが、しかし、実態はやはり男女に係っても男性の方が管理職に登用されている比率が多いわけですね。ここをどうするのかということ。この2点をお聞きしたいんです。
布山氏
まず初めに、ポジティブ・アクションに関してということで、データ上のもので、昨今、私どもが何かとっているというものがないので、どちらかというと企業のこういう担当をされている方とお話をしている中での、私の個人的な意見ということも大きくあるという中でお聞きいただければと思います。
 まず、ポジティブ・アクション自体の位置づけを、これは先ほどちょっと御紹介をしている協議会の中でも、女性全体の底上げを考えるのか、そもそも実力がありながらこれまでの慣行等々でそこまでに至っていない人を何とかするのかと、まず2とおりあるのかなと思っています。
 そのときの協議会の中では、底上げ自体も重要だけれども、まず、もし男性だったらばそれなりのポジションにいる方が女性だからということでそこにとどまっているんだったら、それはまずかろうということと、企業にとっても非常に損失になるということで、まず、そこを行うような啓発パンフ等をつくりました。
 そういう意味では、少なくとも均等法前に企業にお入りになって、それまでの慣行で生かされてこなかった、こられなかった方々については、本人の意欲さえあれば少しは救えたのではないかと思っているところであります。
 目に見える形の成果というものがあります。それで少しポジティブ・アクション自体の実施というものが、企業の中で少し弱くなっているのかなというのが、何となく気持ちとしてある部分です。あとはもう一つ、女性全体を全体的に底上げしていくという中でのポジティブ・アクションはこれから行っていく必要があると思うんですが、では、その際には具体的にどんなことをするかというのがなかなか難しいかなと思っています。
 よく企業の方にお聞きしても、女性型、御本人もそれに意欲がある方というのはある程度、例えばコース別の管理をしているところであれば転換等をなさって、ある程度そこの処置はできているようです。あと問題なのは、管理職に上がってほしいと思っている方々がいても、御本人がそれをなかなかよしとしないとか、そういうものもあるということで、これは引き続きポジティブ・アクションを行っていくに当たっては、その企業の取組みの中に、御本人がどう意欲を持っていただくかということで、それをどうするかというのもかなり重要なことなのかなと思っているところであります。
 あと、管理職比率の件です。これはまたポジティブ・アクションとも関連するかと思うんですが、これも均等法が努力義務から義務化された99年以降は、少なくとも同じスタート・ラインに乗って、男女ともに企業の中に入ってきていると思うので、これから管理職になる方々については、これまでよりは同じような形で上がっているのかなと期待をしているとこであります。
 このときに重要なのは、評価する管理職の方々、御自身の考え方は別として、企業の中ではきちんと男女にかかわらず生かしていくという観点が重要で、それに基づいた評価を行っていくような評価者訓練みたいなものを会社の中でしていくということです。
 すごく細かいことかもしれませんが、それを各社でやっていくことで、随分、違ってくるのかなと思っています。
 また、女性特有の問題についてです。出産については女性しかできない話なので、少なくとも出産の時期にはお休みします。それがいつまでも響かないような形で、どういう措置をしていくかとか、そういうことも今後、同じように生き生きと働いてもらうためには必要なことなのかなと思っています。
 この件については、今回、6月30日に改正育児介護休業法も全例施行になりまして、今回は男性の育児休業の促進等も含めて、男性とともに、いわゆる男女共同参画で言われる、仕事も家庭のことも男女それぞれ一緒にというような形になっていくのかなと思っています。
 ちょっと直接的なお答えになってない部分もあるかと思いますが、私が個人的に思うところはそんなところです。以上です。
羽入会長
山田委員どうぞ。
山田委員
中央大学の山田昌弘でございます。いつもお世話になっております。
 どういうふうに考えているかということに関してお聞きしたいことが2点あるんですが、1点は、間接的な慣行は結果的に女性差別に結びつくというところをどう考えるのかというところでございます。
 つまり、直接的な差別というのはほとんど少なくなっていると思います、まだ一部の企業には残っているのかもしれませんが、それは意識啓発をすればいいだけの話だと思っています。
 やはり問題は、間接的な雇用慣行というものが結果的に差別をつくり出している部分があるのではないでしょうか。それは女性だけの問題ではないんですけれども、私が最近、問題にしているのは、新卒一括採用、年功序列で、1つの企業の中で階段を上がっていくというモデルがもう合わなくなっているのに、かつ、それが女性差別的に働くのに、それに固執し続ける日本の企業の姿というものを、私は憂いております。
 つまり、一旦そこから脱落してしまったら、新卒で採用されなかったり、結婚、出産や転勤等でやめざるを得なかったりすると、もう戻れなくなりますし、欧米では管理職を外から募集するなり、そういう流動的な雇用機会というのが、特に管理職において非常に少ない、それが結果的に女性に不利な状況をもたらせているということがあると思います。
 これは単に女性だけの問題ではなくて、1度漏れてしまったら、幾ら有能であっても復活の道がなくなるという意味で、日本企業ならびに日本社会全体の損失だと思うのですが、その点について、直すというか、改革するというような危惧というのが多くの企業経営者団体にあるのかどうかということを、まず1点お聞きしたいと思います。
 私は逆に、ここを突破口として雇用システムを変革できるのかなとも思っております。特に大学の先生も多いと思いますけれども、今の新卒合切は3年の半ばに決まってしまうので、大学の専門教育をする前に企業がとってしまうという、非常に不合理なことをおこなっていると思いますので、大学教授の立場からも言わせていただきたいと思います。
 その結果、優秀な、特に女性を中心として、一旦、漏れた女性というものが日本企業に戻ってこない、私は今度、それを調査しようと思っているんですが、外資系に行ってしまったり、海外の大学院を出た女性が日本企業に帰ってきても、どこも採ってくれないといったような自体が起きています。
 経産省や労働研究機構等の調査に置いても、女性が活躍させるきぎょうほど、成長率が高いというデータが厳然としてあるんだと尾もんです。そういう形での、いわゆる中にいる女性への差ベルをなく、昇進して管理職に続くとうのは当たり前だと思います。
 そういう意味で、外から人材をいろいろな形で受け入れるというようなことをしていかなければいけないと思うんですけれども、それについての積極的な取組みはなされているんでしょうか。どういうふうに議論がなされているんでしょうか。その2点についてお伺いしたいと思います。
布山氏
先生の御指摘が幾つかあったかと思うんですが、その間接的な慣行というのはどういうものを意味しているのか、私の中できちんと理解しているかどうかわかりませんけれども、まず、一括採用をして年功的に処遇をしていくということに関しては、まず、昨今の雇用情勢、特に若年者の雇用状況が非常に悪いということで、本日、御欠席ですが、連合さんとも御一緒に、この1月に日本経団連と連合で若年者の雇用に関する声明を出し、その中で新卒ということにこだわることなく、ある程度、若い方をもう少し採用してほしいということであるとか、新卒のときに就職ができずに能力がつかずに何年かきている方々に関しては、きちんと自立するつもりで採っていただきたいというような提言をしているところであります。
 また、年功的な雇用慣行ということで言えば、勿論、会社の中で人を育てていくという1つの重要点というのはあるかと思いますけれども、例えば中途採用がしにくい1つの理由は、その処遇の問題です。新卒から入って、年々上がっていくような賃金制度の下で、途中から採用しようと思っても、その年に見合ったような賃金を払えないということで断念をするということも踏まえて、私どもは何年か前から処遇に関しては、仕事、役割、貢献度を機軸に処遇をするような見直しをしてほしいというような提言を出しております。
 そういうことをすることによって、例えば先ほど先生がおっしゃった、途中で1回労働市場を退室してしまった方々、あるいは入るきっかけをなくしてしまって入りにくい方々にも、企業の方で採用しやすいような1つの土壌はできるのかなと思っているところであります。
 それをどのように積極的に行っていっているかという御質問に対しては、具体的にこうですということをお答えできるような状態にありません。ただ、私どもとしてはそういう問題意識を持っており、その中で企業に対しても提言等で周知、あるいは問題提起をしているところであります。以上です。
羽入会長
ありがとうございます。桜井委員、どうぞ
桜井委員
横浜市男女共同参画推進協会の桜井と申します。よろしくお願いします。
 今、布山さんのお話を伺っていて、なかなか難しいな、厳しいなというふうに思いました。つまり、大企業の女性の在り方が大変厳しいなと思ったんですが、それは何かというと、先ほどおっしゃったのは、均等法が成立して99年以降は同じスタート・ラインに立っているんだから、そこから後は入った人の尾、女性に限らず意欲と能力のある人が上がっていくと、いとも簡単におっしゃったんですけれども、そうなってない現状があるわけですよね。
 国際比較をすると、女性の管理職というのがまだ12~13%というところで、例えば欧米で先進国と言われているところは40重数%という半分ぐらい、あるいは36%とかときているんですけれども、それが全然増えていないというところがあります。
 それで、日本の雇用環境、例えば男女の均等体系ですとか、それからあとは女性が働きやすい制度とかというのは、最初は公務員とか学校の先生辺りから始まって、それから大企業が導入して、それからしばらく経って中小というような段階を踏んで入っていくというのがあって、それを大企業がお集まりになっている経団連のところで、まだ日本の管理職が13%ということについてどう考えていらっしゃるのか、それに対して経団連として何らかの手を打たなければいけないとか、そういったことは考えてらっしゃらないのかということを伺いたいと思います。
 そのときに、最初に申しましたスタート・ラインが同じだから、つまり制度をつくればそれで平等になるのかと、なってないからこういう状況だろうと思うんですね。女性、男性に限らず意欲と能力のある人が処遇されているとすれば、女性と男性とを比べるときに、女性の管理職になる力のある人が13%しかいないということはないだろうと思います。
 13%とかにとどまっていると申しましたけれども、おかしいのではないかと思います。この辺りについて、軽暖点としてはどう考えていらっしゃるのかということを伺いたいと思います。
布山氏
経団連として直接雇用についてお答えするというのはなかなか難しいので、私の個人的な思いということでよろしいですか。
桜井委員
では、個人的に。
布山氏
済みません。まず、先ほど申し上げたように、先生の御指摘だと制度はきちんとできているけれども。
桜井委員
きちんとまではいってないです。
布山氏
少なくとも均等違反でない限り制度自体は、男女、同じような機会が得られるような形で制度づくりはしているはずということを前提に、ただ、実際はそうなっていないでしょうという御指摘だったと思うんですけれども、これについては、昨今だと私どもも女性にという特化の仕方のアプローチではなくて、ワーク・ライフ・バランスという形で少しアプローチができないかなと考えております。
 それは恐らく、女性の就業継続していく、これはその会社で就業継続していただかないと、その会社で管理職というのはなかなかなりにくいということを考えると、どれだけやめずに働いていただけるかというのは1つ大きな観点だと思っています。
 そのときに女性が途中でやめてしまう、これは先生方からだといづらいような雰囲気だとかがあると思っていらっしゃるのかもしれませんが、通常を考えたときに、結婚でおやめになる方というのは周りでお見かけしませんけれども、例えば出産おきにというときに、きちんと会社の中で継続できるような状態であれば継続したかったという方がいらっしゃるのであれば、その方々というのを継続できるような施策というのは、会社の方でも考えています。
 それがワーク・ライフ・バランスという考え方の下に推進していったらどうかということは、この中で、私どもの中でも言っています。例えば保育園、お子さんの送り迎え等のために定時で帰らなくてはならないという方々は、このワーク・ライフ・バランスなどで労働時間を考えると、きちんとその時間に帰らなければいけない方というのは、それだけ効率のいい働き方をしていらっしゃるのではないかということを考えると、その方々を生かしていくようなものというのは必要かなと思っています。
 業種、業態、あるいは各社それぞれでいろいろ考え方というのはあるかと思いますが、少なくとも、きちんと働いていただける方が少なくなっていくというのが現実としてある中で、その中で企業を成り立たせていくためには男女ということではなくて、きちんと仕事ができる人を育てていくというのはどこの企業でも考えていらっしゃることなのかなと思っているところです。
 これもなかなか直接なお答えにならなくて申し訳ないんですが、今、個人的に言えるようなことはそういうことです。
桜井委員
今、企業に入ってからのことをお答えいただきましたが、そもそも大企業の採用といったら、まだまだ男性の方が圧倒的に多いわけですね。ですから、入るところも形は男性・女性なく、力のある人を採りましょうと言いますが、結局男性が何割、女性が何割という隠れたバランスみたいなものがあるのではないかと思います。それが先ほどおっしゃった、見えない慣行というようなものの1つだろうと思います。
 ですから、そもそも男性に比べてスタート・ラインに立てない女性たちの方が多いわけですよね。今、大卒だけではなくて、高卒の人たちもこういう時期ですから就職が決まらない人たちも多いんですけれども、やはり男子高校生よりも女子高校生の就職が決まらない人の方が多いわけですね。
 ですから、入ってからはワーク・ライフ・バランスの制度をちゃんとやっているということであれば、採用のところから男性も女性も同じようにちゃんと採用して大丈夫なんだということを推進していかないといけないと思います。ワーク・ライフ・バランスをやっていくんだ、だから意欲のある人を男性女性関係なく採るというように全体がなっていかないと、日本の働き方は変わらないのではないかと思ったんですけれども。
布山氏
少なくとも、例えば仕事というか、ある程度の職務、コースにおいて採っているような事業であれば、そのコースの中での男女というのは特にどちらを採ろうということで採っているわけではないということと、企業の採用の担当者に聞く限り、優秀な女性というのは非常に多くて、その方々を採っていると伺っています。
 それと実態ということを考えると、例えば技術系の会社であれば、その学部というものが非常に重要になっていって、特に技術者が多い会社のお悩みなんですが、女性を採ろうと思っても、そもそもそれに関連している学部の卒業生が圧倒的に男性の中で、ここのところの女性を増やせというのは、まず女の人の方がそういうところにも目を向けてほしいというようなこともありますし、採用前の話になると、企業の中だけでできる話というのも難しいのかなと思っています。
 あと、もし企業としてアピール少ないところがあるとすれば、男女にかかわらずきちんと働いていけますよというものをもう少し見せられるような形にするということは確かに先生がおっしゃるとおりで、まず選んでもらうということがあるのかなと感じます。
羽入会長
ありがとうございます。半までというお約束だと思いますけれども、先ほど布山さんがおっしゃっていらっしゃいました男女共同参画ということを企業側で実現するためには、能力と意欲のある人を評価するということと同時に、底上げということも先ほどおっしゃっていましたけれども、底上げするに当たって、やはり女性の働く意欲が発揮できるような雰囲気というか、そういうことをもし今度の計画に盛り込むとすれば、その1つにはワーク・ライフ・バランスが充実するというようなこともあるかもしれません。
 意欲さえあれば、自分の働く場が得られるんだということを具体的にイメージできるといいかなと思うんですが、そういう場合に、社会構造として何かを計画に盛り込んでおくとすれば、何かアドバイスをいただけたら大変ありがたいんですけれども。
布山氏
私は均等関係を担当していて、企業の中でこういう意見を推進しているという立場から言うと、まさにその部分が一番悩ましいところです。
 ただ、少なくとも雇用というのは社会全体の中の1つの機能であるということを考えると、本当にどれだけ社会全体で、それを盛り上げていくかということなんだと思うんです。
 それは、何かこれをすれば、すぐにみんなの気持ちが変わるという話しでもないですし、あと、各人がそれぞれにいろいろな思いを持っていることは前提としてあるべきなで、もし、会社の中で言うとしたら、あなた自身はどう思っていようとも、きちんと会社で働きたいと思っている人がいる中で、それを邪魔するようなことをしてはいけないというような意識醸成を会社の中では図っていくのかなと思います。そういう意味では、社会全体も同じように、個人の気持ちはいろいろあってしかるべきだけれども、こう思っている人がそれぞれ、自分の思いが生かされていくようなものをどう社会全体で醸成するかというところだと思うんですけれども、それがこういうことをすればいいのではないかということは私の方でもなかなか見つかりません。
羽入会長
ありがとうございます。漠然とした質問をいたしました。お二方とも時間は大丈夫ですか。
布山氏
はい。
羽入会長
では、河野委員から。
河野委員
遅刻しましたのに申し訳ございません。もし、ダブった御質問でしたら途中で切ってください。キャリアネットワークの河野と申します。いろいろお世話になっています。
 先ほども出ていたんですが、意欲と能力のある人は多く、本人も企業側も認めていると思っていまして、具体的にはキャリアを継続するための生活環境などを本人が整えられて、会社側が支援できるかだと思うんですが、特に管理職の道を考えると非常に重要なのが、日本のキャリア人生構築のロールモデルだと思うんですね。
 例えばメーカーだと、やはり地方の工場を転々としてやり、本社の中核になるとか、営業は支店を転々としてというのが継続的にある、私たちの中に入っているんですけれども、その管理職のロールモデル、キャリア構築のモデルというのが今までと同じであると、そこには歩みにくいという実態の声がたくさんあります。
 いいとか悪いとかではなくて経営の問題ではあるんですが、非常に大きな問題だと思うので、簡単に海外のマネジャーの数と日本の数とは比べられないと、私は思っています。
 その上で女性がということを考えると、当然、同じところで場所の移動を伴わないということですが、そうすると昔に戻ってしまうのではないかとか、その辺りで、日経連さんの方で、女性だけに限らず管理職のキャリア構築についてとか、何か御議論があれば教えていただきたいですし、何かその辺を何でもいいんですが、個人のお考えを伺えれば大変うれしいです。よろしくお願いします。
布山氏
今日、お配りをしている経労委報告の中の40ページになるんですが、中堅リーダー職を軸とした人材力の底上げという表題で、この中堅リーダー層をどうやって育てていくかというような中身は書いています。
 おっしゃるように、いわゆる大企業、全国展開、海外展開をしている会社においては、先ほどの御質問も役員に登用というようなお話もありましたが、やはりそこに行き着くにはそれなりの経験を積んでいただくというのが会社としてしかるべき方針としてあるのかなと思っています。
 ただ、一方で、そういう幹部候補の職についている女性の方々を見てみると、本当に転々と全国転勤をしているのかというと、必ずしもそうではないのかなという気がしていて、やはり会社はそのときのライフステージ、ライフステージで、男女にかかわらず配慮はしているのではないかなと思います。
 ただ、先ほどの入る前のという御質問もあったんですが、やはり企業側のアピールの仕方も悪いかもしれませんが、女子学生さんの方も、例えば総合職で入れば転々と転勤をするんだろうということの前提で、だったらできないという思い込みもあるのかなという気がしているんです。
 先ほど申し上げたように、きちんと優秀な人はちゃんと生かしていきたいという思いがある中で、その事情、事情は個別な話になるので、全体的に行う労務管理と、また個別の受容というのがあるとは思うんですが、それは会社それぞれ配慮をしているのかなという気がしております。
 ただ、それにシステムを背負って流れとしてきちんとできているのかというと、多分それは個別の話なので、なかなか表に見えない部分はあるのかなと思うんですけれども。
羽入会長
ありがとうございます。五條委員どうぞ。
五條委員
東京農業大学の五條と申します。今日はありがとうございます。私は女子学生の多様な職業選択という観点に関して、少し御意見をお聞かせいただきたいと思うんです。
 私が指導している学生の中にこれまでにも、例えば鉄道の車掌の職で入った人がいます。それから、今年4月からもある私鉄に車掌職で入るという学生がおります。そういう女子学生たちの話をよく聞いていると、ある鉄道の企業は物すごく積極的に女性を採用している、そもそも説明会などでの発信の仕方もそういう観点に沿って採用しているということですけれども、そういう企業の中にはその取組みについての差があるわけです。
 今、なぜ鉄道の車掌職の例を挙げたかというと、今まで女性が固定的な性別役割分担意識の下で、なかなか進出していなかったところに入っていく、そういう多様な選択を促すということが非常に大事なんですが、そういう職種において、特に企業側が説明会の仕方1つ、どういう発信の仕方をするかによって女子学生の受けとめ方も、随分、違ってきてしまうと思うんです。
 そういう中で、採用行動の中で企業が発信することというのは、学生たちが最も現実に職業選択をどうあるべきかということを考える非常に大事な場面なんですが、これまで性別の役割分担意識が割りと強くて、女性が余り進出していなかったところに女性が入っていく、そういう状況を作っていく上で、企業側の発信の仕方、その点について、この共同参画の視点を踏まえた発信の仕方をしていくような議論というのは、経済団体の中ではどういう状況にあるのか、その点について御意見をお聞かせいただければと思います。
布山氏
私どもの関連している委員会で直に関連するテーマについて議論をしたことはないです。ただ、少なくとも将来を見据えて企業が考えていったときに、当然、冒頭から申し上げているように、きちんと能力が発揮できる人を採用し、育成したいという気持ちはどこの企業も同じなので、その中で、先ほどアピール不足でというところもあったんですが、これは企業として、これから考えていかなければいけない状況なのかなと思います。
 特に今、先生から御指摘をいただいたように、多分、発信の仕方1つで、これまでなかなか応募をしなかった女子学生が入っていくということを考えると、むしろどういう議論をしているかというよりも、そういうことを観点に企業の方が、これから採用活動等を考えていかなければいけないのかなと思います。
 労働力が少なくなっていくことは、本当に喫緊の問題なので、これは企業自身が5年目にしてみてこれから考えていくところなのかなと思います。ですから、お答えすることはちょっとできないんですが、逆に本日いい御指導をいただいたので、私の関連する委員会では報告をさせていただきたいと思います。
五條委員
ありがとうございます。一言だけ、今までは女性が観念的に女性だから余り入らないといっているような観念を持っていた職種のところでこそ、企業側が説明会の実施内容をこれから改善していくというようなことがあると、これは単に雇用の場面だけではなくて、ほかの場面にも物すごく波及していくと思うんです。
 もっとも学生たちが職業を選ぶときの一番現実的な場面で、どういう説明を受けるか、そういうところが変わると、職業選択に対する考え方も幅広く変わっていくという波及効果を持つのではないかと思っておりまして、そんなことで、3年生の秋から続く就職活動の中で、また大学側も共同参画を意識したもので活動するということを発信していきたいと思うんですが、企業側も是非、そういうような視点に立って、女子学生への発信をお願いしたいと思っております。以上です。
布山氏
ありがとうございます。
羽入会長
大変お忙しいところ、時間を超過いたしまして申し訳ございません。本当にありがとうございました。
 本日いただきました御意見、議論の内容をできる限りさまざまなところで反映させていきたいと思っております。どうも本日はありがとうございました。
布山氏
こちらこそありがとうございました。

(布山氏退室)

羽入会長
それでは、続きまして資料1と2を参考にしていただいて、総論部分について、まず起草ワーキング・グループから御説明をいただきまして、その後、自由な討議に移りたいと思います。
 鹿島先生、よろしくお願いします。
鹿嶋会長代理
それでは、資料1と新しく提示する資料2を中心に、それを比較しながら起草ワーキング・グループでの進捗状況も含めて説明をいたします。
 かなりの頻度でワーキング・グループを開いているんですが、大変時間との戦いです。特に重点分野が14項目ありますので、その中にワーキング・グループの議論を落とし込んで、そこで議論をするというのはなかなか大変で、非常に時間がないなという思いが強いんで、今日は総論の方ですけれども、是非、何か御指摘があればお伺いしたいと思っております。
 まず資料1、資料2を見ていただいて、まず1ページですけれども、目指すべき社会については変わりません。
 それから、Ⅱの第2次男女共同参画策定後の認識ですけれども、これも資料1の黒い四角の見出しも変わっておりません。そして、そこに詳しく説明を入れたということであります。
 例えば資料2-Ⅱ―1ですが、少子高齢化の新店と人口減少社会の到来につきましては、(1)として、労働力人口の減少、それについて説明を入れているということですので、それは資料1と比較しながら見ていただければと思っております。
 次に、資料2の2ページの方にいきます。2ページは、まずⅢですが、基本法施行10年間の反省です。
 これについては資料1の1ページの矢印の書いてあるところも文言が入っております。まず、資料2の方ですが、固定的性別役割分担意識が未だに根強くて、解消に対する取組みが不十分であったというようなことで、その理由を説明してあります。
 2は、男女共同参画=働く女性の支援という印象を与えてしまったということで、主婦などあらゆる立場の人々にとって必要なものだという認識が広まらなかったとしております。
 3は、男女共同参画社会を実現しようとする強い意思と推進力が不足していたせいで枠組みの整理が進まなかったということで、その中には各分野の政治のリーダー・シップのほか、取り組むべき主体、これは企業、民間の団体等も含まれますか。そういうところのリーダー・シップが不足していたと指摘しております。
 3ページの方ですが、男女のセーフティネットや女性のライフコースへの配慮が不十分であったために、制度や約組みを整備しても成果につながらない場合があったとして、その状況を少し詳しく書いたというのが3ページです。
 次、3ページの4に移ります。第3次基本計画の策定に当たっての留意点ですが、これは資料1の2ページの矢印の下に当たる部分ですね。上記の取り組みに当たってはということを明朝で書いてありますが、そこの部分の文言を少し変えてあります。
 1ですが、基本法施行後10年間の反省を踏まえて、実効性あるアクション・プランとするということを新たに書き加えてあります。このため、できる限り具体的な数値目標や好定評を設定した上で、その達成状況について、定期的にフォローアップを行うということが、資料1の2ページの、5ポツのところの文言も合わせて、この中に入っています。
 2については、既に政府はワーク・ライフ・バランス憲章や行動計画を出しております。それから、子育て支援政策、人権政策などがありますが、既にそういった横断的に取り組んでいる関連施策と密接な連携を図っていくということを書きました。
 3、これは前回と変わりません。女子差別撤廃委員会からの最終見解における指摘事項について、計画の策定に当たって点検するなど、国際的な規範や基準の積極的な遵守、国内施策における実施などによって、国際的な協調を図るということです。
 その次は、新たに書き加えました。国際的な概念や、考え方を重視するという文言が新たに書き加えた文言です。
 4番目ですけれども、計画の策定過程の透明化を進めると同時に、策定過程でNGOを含めた国民の意見を反映するなど、計画策定のプロセスを重視する。すなわち、国民の意見の取り入れということを重視するんだということ4に落としてあります。これは新たに書き加えた文言です。
 次に5ですが、第3次男女共同参画の基本的な考え方ですが、これは資料1の2ページの基本的な考え方を落としてあります。
 まず1番目は多様な生き方を尊重して、すべての人が職場、地域、家庭など、あらゆる場面で活躍できる社会にするためというふうに書きまして、そこにくわしい説明をつけてあります。
 そこで大事なのは、これを自分の問題であると考えてもらうということですね。他人の問題でも第三者のものでもありませんので、まず、自分の問題なんだということを国民に認識してもらうことを強調しました。
 2は、男女共同参画の実現を加速するために、積極的に意識改革、制度改革を推進するということで、説明文としては、強力なリーダー・シップによって、その男女の社会における活動の選択に中立的に働く枠組みや制度の整備を進めるということです。強力なリーダー・シップという言葉を強調しております。
 3は、すべての人が安全で、安全・安心に暮らせる社会にするために、男女共同参画の視点を重視した雇用・セーフティネットを推進ということで、それについての説明を入れてあります。
 4ページにいきます。その結果どうなるんだというのが4です。男女共同の推進が社会を活性化するんだと。そして現在の日本社会が直面するさまざまな課題の解決や経済成長につながるんだということを書いています。
 その下ですが、そこから少し文言が変わってまいります。資料1の2ページの新たな視点というものに当たるものは、資料2-4ページの6に当たる、改めて強調すべき視点というところです。
 新たな視点というのを、改めて強調すべき視点に表現を変えました。ということは新たな視点として資料1で出した5項目ですが、これは特に新たにということでもないわけですね。ですから、これは第3次基本計画では改めて強調すべき視点なんだということで、5項目を出してございます。
 見出しは資料1の新たな視点と基本的に変わっておりません。そこに詳しく説明を入れたということです。
 1は、女性の活躍による社会の活性化を図ると。2番目の男性にとっての男女共同参画は非常に大変大事な問題であり、、これも改めて強調したということです。
 3は、子どもにとっての男女共同参画、4が生活困難を抱える人々への対応、5は地域における身近な男女共同参画の推進ということです。
 次、5ページの喫緊の課題ですけれども、ここも少し変わっております。資料1の喫緊の課題は併せて5項目ございましたが、これが4項目に落としてあります。ここが多分、第3次の基本計画の文章としては、目玉的なものになるんだと思いますが、1つ変わっていることは、5項目を4項目にしたということです。
 では、何か減ったかというと、③女性に対する暴力の根絶です。ここは皆さんから御意見をいただきたいんですが、この女性に対する暴力の根絶は、喫緊の課題のほかの4項目と比べて、個人的に違和感がありました。
 というのは、ほかはポジティブ・アクション、セーフティネットの構築、社会システムの実現と、かなり大状況のものなんですが、この女性の暴力だけかなりピンポイントで、ぽんと出てきているんです。
 これについては、ほかのところに取り込んだ方がいいのではないかということで、後で説明しますが、セーフティネットの中に女性の暴力を取り込んであります。これがいいかどうかということも皆さんから御意見をいただきたいし、また、女性の暴力に関する報告が、まだ専門調査会から出ていませんので、そちらの調査会の意見なども重視しまして、これについてはまた戻す可能性もあります。
 まず、喫緊の課題ですけれども、1ですが、実効性あるポジティブアクションの推進ということで、前回の専門調査会で説明しましたように、果たしてこの5年間で日本社会は変わるのかという問にに対する、私たちワーキングループの回答です。
 2020年までにあらゆる分野における指導的地位の女性が3割になるように、取り組みを相当強化し、加速する必要があるというふうに答申する予定です。これは皆さんの意見を聞きながら、また少し変えるかもしれません。
 そのためには、具体的な手段として、実施主体の特性に応じて、クオータ制ですね。括弧で強制的、非強制的、割当制ということを書きましたが具体的にはクオータ制とかインセンティブの付与とかです。インセンティブの付与の方式の1つに公共調達等があります。それから、ゴール・アンド・タイムテーブル方式、いわゆるポジティブ・アクションですね。さまざまな手法がありますので、その後そういう実施主体をどういうふうに補足していくかによって、その使い方がまた変わってくるんですが、それによって、その義務づけとか努力目標、さまざまなバリエーションも出てきます。
 ですから、多種多様な実施主体に合わせて、このポジティブ・アクションも硬軟取り混ぜて運用していくというようなことを考えております。
 ということで、そこの文言としてクオータ制(強制的・非強制的・割当制)なども含めて実効性あるポジティブ・アクションが重要なんだということです。
 それと同時に次のポツですけれども、政治、行政、雇用、教育等の分野における女性の参画促進のためのポジティブ・アクションの実施について、女子差別撤廃委員会の最終見解で2年以内のフォローアップが義務づけられておりますので、効果的なポジティブ・アクションを行っていく必要がある旨のことを書きました。
 2の雇用・セーフティネットの構築ですが、これについては従来の説明とそう変わりませんが、そのセーフティネットの中の最後のポツですけれども、先ほど申しましたように、女性に対する暴力は重大な人権侵害なんだということで、このセーフティネットの方に女性に対する暴力の根絶を読み込んであります。
 6ページ、最後ですけれども、そこの見出しは特に変わっていません。より多様な生き方を可能にする社会システムの実現ということで、それについての説明をして入れてあります。
 4は、推進体制の強化ということで、これも見出しは変わっておりませんが、3と4も大変強めております。3についてはジェンダー予算について研究会を立ち上げましたので、これについての検討を行うということと同時に、ジェンダー統計です。とにかく男女間格差是正のためには、このジェンダー統計が基礎資料になるわけですから、これについても積極的に活用を推進するということです。
 それから、そこに書きましたように、男性片働き家庭を前提とした世帯単位の制度・慣行から個人単位の制度・慣行への変更を促すということも書きました。
 推進体制としては、前から皆さんに説明しておりますように、特に監視・影響調査機能を調査したり、地方公共団体や民間団体への取組への支援等も考えていきたいということです。
 以上のようなことですが、大きく変わったのがどこかといえば、特に4ページ、5ページの辺りです。特に5ページの喫緊の課題、実効性あるポジティブ・アクション等々を入れたということです。
 それから、4ページの方は改めて強調すべき視点だということでくくったということです。その2つと思っております。
 是非、皆さんから御提案をいただき、ワーキング・グループで反映すべき点は反映していきたいと思っております。
羽入会長
ありがとうございます。非常にタイトな時間で朝に夕に議論してくださっていますけれども、今の御報告に沿って自由なディスカッションを、まず全般の4ページ、5ページの上まで喫緊の課題の前までで行きましょうか。
 まず4ページの上の、改めて強調すべき視点というところの前の部分で何か今、質問とか御意見、確認などがありましたら、どうぞ。
 それでは、少し御説明いただきました4ページのⅥ、改めて強調すべき視点、それから喫緊の課題、その両方について。これまで新たな視点としておりましたけれども、今回改めて強調する必要があるということを5点にまとめたということがございます。その点と、それから喫緊の課題というところでは、むしろここには体制の整備という観点からの項目立てがしてありますことから、女性に対する暴力の根絶というのをその中にはめ込んだということが、現在の作成状況でございます。その女性の暴力について、岩井先生は今日お出でになりませんが御意見いただけましたらと思います。後自由にお気付きの点からどうぞ。
鹿嶋会長代理
一言付け加えますと、やはり議論していてこれでいいのかなという思いはまだまだあるわけです。要するに、第3次基本計画を今までのものと本当に差別化できるのかどうかということと、やはりもう一つは、参画会議で指摘された、本当に5年間で変わるのかということです。
 だから、それについてはまだどこかで私の思いのこの辺でちらちらしているのですけれども、そういうことも含めて御意見をいただければと思っております。特に、先ほどの女性の暴力をセーフティーネットの方に読み込んでしまいましたので、御意見をいただければと思います。
羽入会長
石川委員、どうぞ。
石川委員
喫緊の課題のところでもよろしいですか。1つ入れた方がいいのではないかと思っているのは、少子化が原因でさまざまな先行きが懸念されるわけですけれども、私自身どこに入れたらいいのかというのはちょっとわからないのですが、文章を読んでいたら、少子化の視点で何かやらなければいかぬという観点がないので、どこに入れたらいいかというのは、何とするのか悩ましいのですけれども、例えば喫緊の課題の3ところ辺りになるのでしょうか。どこに入ったらいいのかと考えていきたいと思います。
鹿嶋会長代理
少子化のために何とかというのはなかなか難しいですね。少子化のためのワーク・ライフ・バランスということは書けませんね。少子化のためにというのではなくて、やはりこういうものを分析する最後は、時代背景ですね。少子化のためにというのは、結局は産む、産まないの問題になってきまして、これは女性が決定すべき問題になってきますので、それについて云々という表現がなかなか難しいのですが、もし、何かその辺りで今、言ったような懸念が払拭できるような表現があれば是非お伺いしたいのですが。
羽入会長
例えば、1ページですけれども大きい2番で第2次計画後の社会情勢についての認識というところに少子高齢化ということがございますけれども、ここでどういう問題意識の下にこの計画がつくられているかということを強調していくことによって、それぞれの分野にまたそれが反映するということは言えるかと思います。個別の項目としてそれを取り上げると、恐らくそれに付随したもっとほかのものも取り上げてこなければいけない状況が生じてくるのではないかと個人的には思います。
 どうぞ。
桜井委員
前回2回欠席してしまったので、うまく追い付いていかれないかもしれませんが、今、資料1、資料2を拝見させていただいて、全体の印象。まず資料2のⅡ番、つまり第2次男女共同参画基本計画策定後の社会情勢の認識というところは、大変うまく書き込んでくださったと思っています。
 それから、2ページのⅢの基本法施行後10年の反省:男女共同参画の推進が不十分というのも、1点を除いてはいいと思ったのですが。そこのちょっと気になるというところが、2番の男女共同参画イコール働く女性の支援という印象を与えてしまったというのは、私はそういう印象では受け取っていないので。
 それから、そのことが男性や専業主婦などあらゆる立場の人々にとって必要なものであるという認識が広がらなかったとも思っていなくて、特に、例えば専業主婦などは生涯学習センターですとか、男女共同参画センターというところで学習はすごくしたのです。ですけれども、それが自分の暮らしを変えるというか、男女共同参画という視点を獲得するというところにつながりにくかった。そこは社会制度の問題ではないかと思っているので、この部分の記述に違和感があると思いました。
 それから同じく資料2の3ページ、Ⅳ番のところですが、ここも書いてくださっているのですが、結局、第2次基本計画を策定してからこれまでの間に十分に進まなかったというのは、社会制度に手を付けるに至らなかったというところが1番大きいのではないかと思いまして、例えばライフスタイルに中立的な税制など社会制度、あるいはもう少し言えば社会構造に手を付けるような影響力を持ち得なかったというのが進まなかった大きなところではないかと思うので、留意点のところに是非そういうところについて問題意識を持っているのだないということを私はやはり書いていただいた方がいいと思いました。
 ですから、3ページのⅤ番の2の1番下に、男女の社会における活動の選択に中立的に働く枠組みや制度の整備を進めることが必要とありますが、この辺りを入れていただくといいと思います。ここがないと結局個人の意識を変えましょうなどではこれまでと余り進み方が変わらない、促進はできないのではないかと思います
鹿嶋会長代理
留意点のところにそれを入れるのですか。
桜井委員
留意点の方の、例えば。
鹿嶋会長代理
要するにⅣの方にそれを入れた方がいいというわけですか。
桜井委員
Ⅳの方の1、2、3、4番とありますね。そこの例えば2のところで入れたらどうかと。施策の密接な連携を図るという言い方をしているのですけれども、もう少し大きい問題だろうと思っています。
羽入会長
例えばそこに、社会構造に手を付ける、あるいは社会構造を変化させるような形に変えるという。
 今、桜井委員がおっしゃったことは、1つのストーリーが成り立っているかと思うのですけれども、大きいⅢ番の2のところで男女共同参画というのが、結局生き方とか社会へ展開しなかった、あるいは社会制度に展開しなかったということを指摘しておくと、第3次での留意点につながっていくと理解できます。
桜井委員
そうですね。中立的に働く枠組みとか制度が不十分で、そこが解決しなければ男女共同参画の推進は難しいと思うわけです。
羽入会長
ありがとうございます。鹿嶋先生から何かありますか。
鹿嶋会長代理
本当にそのとおりですね。
羽入会長
それでは、ほかにどうぞ。山田委員。
山田委員
全体的に肯定するところが多いのですが、やはりもう少し私は危機感をあおれないかと思っているのです。最近、海外のメディアの取材をいろいろ受けるのですけれども、これだけ少子化が進んでいて財政赤字があるのに、日本人は危機感がないように見えるのだけれどもというような話をよく聞きますので。ここ20年の間に1人当たりのGDPの成長がほとんどないとか、多分、データを挙げれば将来は懸念される危機感が多いのに、なかなかうまく行っていないというところをここにも入れられたらと1つ思っております。
 そして結局、男女共同参画の推進が不十分というところがあるのですけれども、その後に不十分だから少子化が進んだとか、不十分だから経済が活性化しなかったみたいなところを私は本当は入れて欲しいです。よく統計であるように、子育て期に働く女性が多いところは出生率が上がっているとか、あと私はこれを入れればいいかなと思ったのは、先ほどの経団連の話でもないですけれども、女性管理職が少ないから経済が成長していないではないかという国別経済の成長率と女性の管理職率の割合比較などを、反論はされるかもしれませんけれども、そういうのを入れながらもう少しその点を入れてやっていって欲しい。難しいかもしれませんけれども、表現するところに入れて欲しいというのが1つの点です。
 あと、先ほどの社会意識制度改革のところで、やはり具体的に雇用制度慣行と、社会保障制度のところは入れておいて欲しいのです。勿論、中では書くと思いますけれども、柱の中で、その2つのことは私としては入れておいて欲しいと思います。
鹿嶋会長代理
何ページの、どこのあれですか。
山田委員
桜井委員のおっしゃったところです。積極的な制度改革、特に雇用敢行。
鹿嶋会長代理
3ページのローマ数字Ⅳの2ですか。
山田委員
そうです。そのところです。特に雇用敢行、社会保障制度とか。桜井さんの言ったのはそういうことでございますね。
桜井委員
そうです。
山田委員
単に制度と言うと、男女雇用機会均等法があるからいいではないかとか言われることも多いのですけれども、私が先に言ったとおり、結果的に間接的に女性を差別するような慣行制度になっていたら困るということです。
羽入会長
ありがとうございます。今、山田委員のおっしゃったことは確かにそうだと思いますが、危機感をどう客観的にここに記すかというのはすごく難しいかもしれません。そのときに恐らくデータが意味を持つのかと思いますし、余り因果関係を語ると、裏付けのない議論を書いているのではないかという印象になるのもやはり避けなければいけないのではないかと私は思います。
 そこの表現の仕方なのかもしれませんが、鹿嶋委員はいかがでしょうか。
鹿嶋会長代理
山田委員の話はなるほどと思って聞いてはおりました。ただ、これはあくまで答申のためのまだ素案ですので、参画会議などで閣僚にお見せするものはまた別の仕掛けが必要だろうと思っていますが。これはその意味ではちょっと地味ですけれども、ただ、中身は、特に5ページのⅦの喫緊の課題などはかなり踏み込んで書いたと自画自賛しているのですが。
山田委員
そこはもう十分わかっていますので、頑張ってください。お願いいたします。
鹿嶋会長代理
山田委員の趣旨はよくわかりました。
羽入会長
では、河野委員どうぞ。
河野委員
まず先に鹿嶋先生からお問い掛けの答えが1つ。それから感想を言わせてください。まず改めて強調すべき視点と変えられたのは、これは小さいことなのかもしれませんけれども、これの方がいいと思います。それから、女性の暴力については、実は私も専門ではないのでずっと申し上げずにきたのですけれども、ちょっとピンポイントとおっしゃいましたが、この課題が少し大きく見えてしまって、かえって全体が引いてしまわないかと個人的には思っていましたので、逆にこのテーマについて国民的な視点かもしれないのですが、中に入れ込んでいただいた上で、重大な人権侵害を書かれたのは私は大賛成です。
  それから、あともう一つ喫緊の課題について。これは、入れ込む言葉がないままに発言してしまったのですが、私はやはり実行性のあるポジティブアクションは大きな目玉だと思っていまして、ここは待っているという気がするのです。特に、この3行目、そのための具体的な手段として、の辺りから少し例を挙げて何々などみたいなところが非常にクローズアップされて受け取られるという気がするので、ちょっと答えめいたものはないのですけれども、もう少し個人的にはあと二、三行増えてここで刺激剤になってくれるといいと思いました。
 それから、正直、この30%というのは本当に厳しいというのは私も毎回申し上げていて、自分でも残念だと思うのですが、ただ、職場の管理職の男性たちもいろいろな意味でこうなってきたからやらなければと思うきっかけを待っているようなところもありますから、何かもう少し具体的に、やらなければならないような形のさまざまな展開をしていくと、私は30%に行くかどうかはわかりませんが、近いところまでは行くような感じがいたしますので、是非プッシュするような文章にしていただければと思います。
 済みません、ちょっと代案がなくて。
羽入会長
ありがとうございます。では、五條委員。
五條委員
私も5ページのポジティブ・アクションのところですけれども、30%程度の達成ということを書いた上で、その中でその下に具体的な手段としてという中で、その代表としてクオータ制だけを載せる形で、クオータ制だけが割と目立つ形になっているわけですけれども、もう少しこの調査会で議論してきた論点を盛り込んでいく必要があるのではないか。
 1つは、さんざん議論しましたさまざまな要職や意思決定の場に就く女性を増やすためには、その背景になるあるいは重層的な関係にある部分を変えていかないといけない。例えばの例ですが、課長職を増やすには係長を増やさないといけない。あるいは、採用時点からそこを考えていかないといけないといった重層的な関係にある部分の女性の参画を促していくということでありますとか、それからもう一点は、30%から非常に水を開けられている分野も勿論あるわけですが、これについても基本計画を意識した活動が行われるということが大事であって、各分野の実態に応じた目標の設定も含めた対応を図りつつ30%に近付けていくといったような具体的な手法、取り組み方を盛り込んで、クオータ広く基本計画を意識した取り組みにつなげていくことが大事ではないかと考えているのが1点目です。
 それからもう一点ですけれども、最後の推進体制のところですが、1次計画、2次計画にも増して省庁間の連携ということがどうしても問われることになるだろうと思うのです。これは、これからこの後、3次計画の後の中身を具体的に書き込んでいくときに、2次計画までの描き方の書式、いわゆる一番右に担当部署が来てそれを提示するという形を従来どおり取るのかどうかということとも非常に関係してくると思います。
 前回までにもいろいろ議論したように、各分野で非常に共通項の部分があるのです。例えば、高齢者の対応というのは、高齢者の分野の中で出ているものもあれば、農山漁村の分野にも出ているし、学習の分野では生涯学習の分野にも出ているし、そういう形で非常に多岐に課題が各分野にわたることが数多くあります。それから意思決定の場合の参画ということも第1分野で取り上げていますけれども、各分野に多分に関係してくるところです。
 そういうものについて、各分野のことだからといってその分野はこの省庁が対応するという書き方で果たして妥当なのだろうかということです。それは各省庁がこれから連携で進めていくということにもなっていくのだろうと思います。それから、実際の行政の予算措置もそのことを考えていくことがどうしても迫られるのだろうと思います。
 そういうことで、各省庁がどう連携していくかということの書き方を含め、推進体制の書き込み方について議論を行っていく必要があるのではないかと考えております。
鹿嶋会長代理
河野委員、五條委員が幾つか指摘されたことなのですが、第1分野が政策方針決定過程の女性の参画の拡大なのですが、これは皆さんにまだペーパーを出していませんが、この中にはかなり各論として入れているのです。今日出している資料の2というのは基本的な考え方なので、どのぐらいまで細かく書くかということにもつながって、かなり省略して書いてあるのです。
 今、おっしゃったように、特にポジティブアクションについてはもう少し、クオータ制以外もあるわけですから、それについて少し書き込んだ方がいいのかどうかは改めて検討させてください。この辺が今回の目玉商品とすれば、やはりもう少し具体的にこの基本的な考え方の中にも落としていった方がいいのかという感じも、今の話を聞いていてしないではありません。とにかく検討いたします。
 それから、五條委員のおっしゃったことはまだ議論していませんので、従来どおり各省庁というのは基本計画の中には書いてあるわけです。ここはどことちゃんと書いてあるのですが、今のはそれだけでいいのかという趣旨だったのですね。どう連携を図るかということですが、そこまでの議論はまだしておりませんので、これも検討材料にいたします。
 同時に、先ほども申し上げました予算等々については、今、やっと研究がスタートしたジェンダー予算などは、いわゆる予算の中で女性のエンパワーメントにどの程度の効果があるかということです。そういうところまで配慮した予算設定にするわけです。そういうことは、やっと検討を始めた段階ですの、それについても何らかの成果が出れば、今回の基本計画の中には落とすのは難しいかもしれませんが、検討していきたいと思っております。
羽入会長
ありがとうございます。桜井委員、どうぞ。
桜井委員
資料2の4ページの言葉の使い方なのですが、ここに女性の活躍という言葉があります。それから、女性のエンパワーメントという言葉があったり、それから男性にとっての男女共同参画の推進といういい方があったりしますが、これらは、これまでさんざん聞いている言葉で、そういう従来から言われていることが最初にたくさん出てしまうとせっかくの第3次基本計画にもかかわらず、これまでと代わり映えがしない印象をもたれてしまうのではないかと心配します。もっと積極的に世の中を変えるのだぐらいの気持ちがあるにもかかわらず、ずっと使われてきた言葉をそのまま使うというのは残念な気がします。言葉の選び方にもうちょっと慎重であってもいいのかと思うのですけれども。
 それから5ページの喫緊の課題のところで、ポジティブ・アクションは改めての視点というところで確かに最初に女性の活躍によると出ていますから、ポジティブ・アクションが喫緊の課題の最初に出てくるというストーリーになっているのかと思うのですが、実感から言えば、今の時代を切り取るというところからいうと、2番目の雇用セーフティーネットの構築というか、そこにある女性が当たり前に働き続けることができ、また暮らしていける賃金を確保できるようにというこの辺りが1番の肝になるのではないかと思います。
 これが社会構造の変革というところにも結び付いていくのではないかと思うのです。
 これはそれぞれの方のお考えがあると思いますが、ポジティブ・アクションを最初にすると、結局先ほど第2次基本計画の反省のところで出てきましたが、働く女性のための男女共同参画とまたもや見られないかという恐れもあります。つまり、正規で働いている男性、女性の労働者についてはポジティブ・アクションというのは効くかもしれませんが、しかし、そういう働き方でない非正規雇用の人たちの方が多くなっているわけですから、基本計画を2010年の今つくるのであれば、そういうところの方が先かと思った次第です。
 それからもう一つ、暴力については、やはり女性の人権侵害の1番基本的なところなので、ここのところは人権侵害というところでちゃんと出しておいた方が私はいいと思っています。ですから、ちょっと書き方が難しいかもしれませんが、どこかに入れないでちゃんと1項目立てておくことが必要だろうと思います。まだまだ日本ではこの対策は緒に付いたばかりで、これからもっともっと進めていかないと更に子どもへの影響ですとか、それから母子家庭のお母さんの大半がDVの被害者とかなり重なっているというところもありますし。ですから私は、これは何らかの形で出ししておいた方がいいと思っています。よろしくお願いします。
羽入会長
ありがとうございます。例えば女性の暴力をどこかに入れ込まない場合に、喫緊の課題のところの1項目にしておくのか、例えばこれは全くの案ですけれども、改めて強調すべき視点というところのどこかに置くということも考えられますか。
桜井委員
ちょっと考えさせてください。今すぐには。
羽入会長
恐らく鹿嶋委員がお考えがあるのかもしれない。
鹿嶋会長代理
実は喫緊の課題とは何かという議論もしたのです。ここに挙げている項目で喫緊というイメージに1番近いのは、多分、桜井さんがおっしゃったように雇用セーフティーネットの問題だと思うのです。ポジとかその後ろの推進体制というのは、それはやはり5年間の中でいろいろ変えていくのだろうと思うのです。ですから、その喫緊という言葉自体の議論はこの間ちょっといたしました。それについてのまだ明確な結論は出していません。
 今、羽入会長がおっしゃったように人権という意味で括るのであれば、改めて強調すべき視点の中に入れることも可能かと考えておりました。もう一つポジティブ・アクションが最初に来るかどうかということなのですが、実はこれは政治まで含めているのです。企業の話ではないのです。ただ、これは男女共同参画行政のプランですから、果たして政治の方までポジとして踏み込んで言ってしまっていいのかという疑問は当然出るのですが、あえて入れていきたいと思っているのです。
 その意味では日本社会を大きく変える最初の出発点になるようなものなので、私としてはこれを最初に出して行った方がいいのではないかと判断しています。勿論、おっしゃるように今どうするのだという問題はあります。特に雇用の問題はあるのですが、それはその1番の問題に比べると、プライオリティーを付けるわけではありませんがこちらの方に置いてもいいのかという考え方です。
羽入会長
どうぞ。
桜井委員
そうしますと、ポジティブ・アクションが企業に限ってのことではないということをはっきり出していただけるといいかと。
鹿嶋会長代理
これはあらゆる分野におけると書いてあるから、そしてそこに特に政治、行政、それから雇用、教育と書いてあるので、イメージとして何となく企業の管理職を増やすことになってしまうのですが、これはそれも含めた問題ですので。
桜井委員
この基本計画をだれが受け取るのかというと地域で活動している人たちや自治体の人たちであるわけです。そうすると、最初に出てくるのが、ポジティブ・アクションという言葉だとすると、ああこれは企業の問題ねと思わないかと思います。ちゃんと読んでくださればいいのですけれども。
羽入会長
ポジティブ・アクションの前に何か形容詞を付けるということがあるのかもしれません。企業に限定しないポジティブ・アクションとかと考えていくなど。
桜井委員
済みません、それから今、鹿嶋委員のおっしゃった喫緊の課題とは何かというところなのですが、推進体制の強化というのも、今の時点でやらなければいけないということはありますね。第2次のときもずっとそうやってきていたのですけれども、でも今の時点でやらなければいけないこともある。女性に対する暴力の根絶というのも、1990年代に緒に付いたばかりで、そして、そこから今やらなければならないということも新たに出てきているわけです。ですから、そういうことで考えると喫緊の課題のところに置いていただいてもいいかと思います。ほかの方の御意見も聞いて。
羽入会長
今、桜井委員のお話を伺っていて、全体の構造をどのようにつくるかということで、今までは比較的一般的なという意味での重要性があり、それを個々に分けていって問題を見ていくというスタイルできていると思うのです。桜井委員がおっしゃっているのは、何が問題かということをまず言って、そのためにこういうことを考えているのですという、だんだん総論に近づいていくという方向性にするのか、議論の流れがこれまでとは大きく違うことを御提案なさっている気が私はするんです。
鹿嶋会長代理
人権侵害についていえば、男女の人権が侵害されないことは、基本法の大きな柱なのです。そういうことで言えば、人権侵害というのは改めて強調すべき視点なのです。
 それは勿論、喫緊の課題に入っても、改めて強調すべき視点に入れても問題はないのですが、男女の人権が侵害されないという、基本法に書いてある中身は性に基づく人権侵害ですね。だからそれは大きな柱なので、勿論、喫緊の課題として入れても、その辺りも解釈の問題でしかないのですが。どちらがいいかというのは私の判断ではなくて皆さんの意見を聞きながら入れ替えをやりますけれども。
羽入会長
例えば改めて強調すべき視点のトップに持ってくるとか、そういうことが可能性としては考えられますか。男女共同参画ということで、何を我々は求めているのか。人権が侵害されないということを基本的に考えているのだというところから発していけば、一部の女性の問題ではないということをもっと言えるかもしれないという気も。今、思いつきで申し上げておりますけれども。
鹿嶋会長代理
これについては、第2次基本計画の公聴会で男女共同参画基本計画から人権の視点が少し希薄になっているという指摘が、東京の会場で受けた記憶があります。だから、その意味では男女共同参画はいわゆる経済情勢、社会情勢の変化の中でどう男女の関係性を築くかということと同時に、人権侵害の排除というのが、根本に流れる理念ではあるのですね。
 ですから、それは勿論おっしゃることはよくわかるのですが、その当時の印象としては人権侵害が希薄だということを言われて、逆に私の方でえっという感じがあったくらいなので。でも、どうなのか。勿論強調すべき視点であることは問題ないですね。
羽入会長
恐らく、このところの社会情勢の変化は急激ですのでそれを踏まえて考えていくということで。またワーキング・グループで御議論いただいても。
桜井委員
それで、私がそういうところにこだわるのは、やはり地方公共団体などで働く人たちがこの基本計画を受け取って、そして地域で基本計画の改定という作業に入っていくわけです。そのときに地方公共団体がどこに注目して地域の男女共同参画を推進していくのかということをわかりやすく、ここが今、押さえておかなければいけないところだということがわかりやすく、記述されたものであって欲しいと思います。それでちょっとこだわってしまいました。
羽入会長
ありがとうございます。ほかの委員はいかがでしょうか。どうぞ。
山田委員
すごく細かいのですが、30%程度はいいんでしょうか。30%以上ではまずいのですか。30%程度というと、30にすればおしまいみたいな印象を受けるので。すごく細かいのですがその点は、数字も含めて何か議論はあったのでしょうか。
鹿嶋会長代理
ありません。この程度というのはどこから来ているでしたっけ。
羽入会長
今の計画の。
鹿嶋会長代理
そこの議論というのは今、山田先生に指摘されて初めてなるほどと思ったのだけれども。
羽入会長
少し違うかもしれませんけれども、ワーク・ライフ・バランスの部会で議論していたときに、人間開発指数というのが日本は大体10位ぐらいですね。10位ぐらいにGEMを持っていくと30%ぐらいになるのではないかという話をしていたことがありまして、それに見合っただけの数字がもしかしたらできるかもしれないという話はしていたことがありますけれども。何か根拠が。
藤澤推進課長
もっと正確に言うと、今の計画が8ページにありますけれども、少なくとも30%程度ということで。少なくともというのが先に一応入っているんです。
山田委員
わかりました。いずれ直るでしょうけれども、ちょっと気になったものですから。
羽入会長
先ほど五條委員がおっしゃっていたかもしれないのですけれども、それぞれの分野でどのようなタイムスケジュールで何%ぐらいになるかということを書き込む必要があるだろうということ。これはまたもっとそれぞれの分野で検討していくということになる。あるいは、できれば書き込むということになるではないかと思います。
 それと、先ほど五條委員がおっしゃっていた、やはり私も同じように感じていまして、担当、関連する省庁はどこですということは書いてあって、また皆さんの御報告も受けましたけれども、それぞれのところでの進捗状況というのはよくわかりましたが、ではそれをまとめてどうするのかということがもう一歩進められない状況にあるのかと思っていまして、書き方についてはこれからまた更に書いていかなくてはいけないことですか。
鹿嶋会長代理
ええ。
羽入会長
例えば、これは厚生労働省と何とか省と何とか省が関係するけれども、厚生労働省が主にやってくださいということが言えるのかどうかとか。
鹿嶋会長代理
それはちょっと難しいでしょうね。
羽入会長
そうすると、それはきっと全部内閣府というかこちらで取りまとめて実現していくということになるんでしょうね。
鹿嶋会長代理
第2次基本計画は担当省庁の名前が列挙してあるのですね。内閣、厚労省、何とかと関連するものはあるので、ただし、そこだけの問題ではないというのは、もし書くとすれば、むしろ文言の中に落とすしかないと思うのです。そこの省庁を列挙したところでここだけではありませんと書くわけにもいかないから。だから、大きな文脈の説明の中でそういうことは触れるということはあってもいいと思いますね。
羽入会長
ほかにはいかがですか。ワーキング・グループには本当に大変な御苦労をいただいておりますけれども。今日の議論も含めてまた、御検討いただきたいと思います。それでは、これから次の調査会についてなど事務局からよろしいですか。
藤澤推進課長
資料3に今後のスケジュールを1枚お付けしていますので、ごらんいただければと思います。この専門調査会は3月はあと3回予定しておりまして、次回は16日。次、25日、31日と予定しています。今日は前半に経団連の方に御説明をお願いいたしましたが、次回はもう一つ日本商工会議所、東京商工会議所にお願いをして、株式会社ヤマシタコーポレーションの社長様がお出でいただけるということなので、前半はそのヒアリングをさせていただきます。また、今日は総論を御議論いただきましたので、今度は14の分野について、1回では到底終わり切らないので16日と25日に分けてやらせていただきたいと思います。
 そして、暴力についてはずっと別の起草ワーキングで議論いただいていましたが、日程的に言いますと25日の方で報告させていただけると思っております。順調にいけば31日に中間整理案の取りまとめに向けて議論を収束させていただくということをお願いできればと思います。それから4月以降は、その中間整理について参画会議で御報告をしていただくことですとか、あとはその策定過程で、先ほどの総論のところにもありましたようにいろいろな国民の方々の意見を聞くということ、4月中旬ごろから5月中旬ごろにかけましてパブリック・コメントと、それから全国何か所かで公聴会を開きたいと思っております。そのパブリック・コメント、あるいは公聴会の意見も踏まえてもう一度専門調査会の方で最終的な答申案の取りまとめに向けて議論いただいた上で、6月に答申というスケジュールでお願いできればと思っております。
羽入会長
ありがとうございました。それでは、年度末にもかかわらずこれから3回ぐらい予定されております。3回もやる時間があるのか不安でもございますけれども、更に加えてワーキング・グループはその間対応してくださっております。
 それでは、これで56回の基本問題・計画専門調査会を終わりにいたします。本日はどうもありがとうございました。

(以上)