男女共同参画会議基本問題専門調査会

  • 日時: 平成22年2月24日(水) 15:00~17:30
  • 場所: 永田町合同庁舎第1共用会議室

(開催要旨)

  • 出席者
    会長
    羽入 佐和子 お茶の水女子大学学長
    会長代理
    鹿嶋 敬 実践女子大学教授
    委員
    家本 賢太郎 株式会社クララオンライン代表取締役社長
    石川 哲也 神戸大学大学院教授
    伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
    岩井 宜子 専修大学大学院教授・副院長
    岡本 直美 日本労働組合総連合会会長代行
    加藤 さゆり 前全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
    河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
    五條 満義 東京農業大学准教授
    坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
    辻村 みよ子 東北大学大学院教授
    松井 忠三 株式会社良品計画代表取締役会長(兼)執行役員
    山田 昌弘 中央大学教授

(議事次第)

  1. 起草ワーキング・グループからの中間報告

(配布資料)

資料1
第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての考え方 [PDF形式:308KB] 別ウインドウで開きます
資料2-1
第3次男女共同参画基本計画の考え方(案) [PDF形式:265KB] 別ウインドウで開きます
資料2-2
第3次男女共同参画基本計画の考え方(案)(IV、V部分) [PDF形式:451KB] 別ウインドウで開きます
羽入会長
こんにちは、お忙しいところおいでいただきましてありがとうございます。
 それでは、55回の基本問題・計画専門調査会を始めさせていただきます。
 今回の目標は、参画会議で御報告いただいたことについての御報告、それから、起草ワーキング・グループからの御報告をいただき、そしてディスカッションをしていくということにしたいと思います。まず初めに、2月18日に開催されました第33回男女共同参画会議で鹿嶋委員に御出席いただきましたので御報告をいただきたいと思います。続けて前回の専門調査会で議論いただきました資料2-1の第3次男女共同参画基本計画の考え方についても、修正点などについて御説明いただき、その後、質疑応答ということにさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
鹿嶋会長代理
それでは参画会議の内容について報告いたします。参画会議は三党連立政権になってから2回目です。私がまず冒頭に、今回の第3次基本計画の考え方について報告いたしました。その後、岩田議員が雇用状況の問題、いまだに日本はM字カーブになっているといったような問題、勝間議員がワーク・ライフ・バランスの視点からの発言、さらに神津議員がDV、夫婦間暴力の問題についての発言、山田議員からは選択的夫婦別姓の早期導入について意見が表明されました。
 私どもの意見は別としまして、実は今回、閣僚の皆さんからかなり注目すべき発言がありましたので、その点を報告いたします。
 まず冒頭総理の発言ですが、総理は、今までは男性本位に政治が動いてきた。女性の時代、さらに「女性性」という言葉を使いまして、女性性がこれから重要になっていくという表現がありました。女性性の時代であれば、世の中、女性が活発に活躍できるようになり、非常に望ましいといった発言、さらにはM字カーブの解消にもつながっていくということを指摘されております。総理は男女共同参画について、昨年11月の参画会議でもそうでしたが、大変熱心に考えておられるなという印象を持ちました。
 私は閣僚の皆さんに、男女共同参画社会基本法が制定されて以降、あまり進捗がなかったのは政治の責任でもあるとも申し上げました。要するに政治に明確な強い意思がなかったからだと申し上げましたところ、何人かからの大臣から、私の説明に対してかなり厳しい指摘がありました。第3次基本計画の中間整理案の概要を説明したのですが、これで本当に5年間で日本は変わるのかといったような趣旨のことを言われたわけです。もうちょっと具体的に申し上げますと、国家戦略担当大臣からは、第3次計画は本当に5年で事態が進展するのか。全然エッジがきいてない。こんなことを100回繰り返しても事態の進展はないと。極端なことを言えば、大企業にも女性の管理職を何%やらないときには、障害者雇用促進法のような話で賦課金を取るといったような、極論すれば、そのくらいエッジがかかったことを5年間の数値目標とともにやるべきではないか。公務員の世界、組合も一緒だと。日本だけが何で先進国の中で女性の管理職が少ないのか。もう理屈を述べている時代ではないと、かなり厳しい指摘がございました。
  もう一人の大臣は、私が生産年齢人口の減少について申し上げましたので、このあたりで決定的に労働力不足というのが到来してくるわけだから、ここから先は具体的に本人は語っていませんので、ここは私の表現ですけれども多分良質な労働力確保として女性の活躍、推進というものを積極的にやれと。そういうようなことを言いたかったのだろうと思っております。
 総務大臣はビジョンを数値化し、そしてモニタリング機能を働かせよと。ビジョンの数値化、モニタリング機能というのはここでも議論しましたし、羽入会長も再三指摘したことですので、この点については、私どももその中で十分説明はしきれたと思うのですが、いずれにしても、要するにパンチ力がないということでしょう。ですからその意味ではそのパンチ力をどうきかせていくかということについて考える必要はあると思います。
 起草委員会の中でも少しそのパンチをきかせるかを話し合っております。今から私のほうで、この説明の後に総論部分についての説明に入りますので、その中でどういうふうにきかせるかということのまだ試案段階ですけれども、もちろん起草委員全体で共有してもらっておりますが、それを報告したいと思っております。
 現在の参画会議は閣僚と民間議員とのやりとりがかなりあります。私どもの報告に対して議員もそれについて意見を述べてくるといったことです。だからこそ、男女共同参画に対し、これまでは政治にやる気が見られなかったという私の指摘に対して反発も出るのだろうし、その意味ではやる気があると考えられますが、ただ、はしごはおろされたくないという思いも一方でありますので、やる気の確認は再度行いたいと思っております。
 そういう意味で参画会議でのやりとりは、大変厳しいことを指摘された分、ある意味ではなるほどと思うような点が多々ありましたので、今後の起草委員会を開催する上で、さらには基本問題・計画専門調査会での議論はそういう意向に沿ってかなり実質的にこの5年間で日本がどう変わっていくのか。それを私なりに解釈すると、特に政策決定部門、意思決定部門で女性の数をいかに増やしていくかだと思うんですね。そこにかなりポイントを置いたもの。これは数値目標だけでは多分足りないのだと思うんですね。どうしたら増えていくのかという装置を組み込む必要があるのだろうかということを今から議論し、コンセンサスを得ていくことになると思います。
 一応、参画会議の報告はそういうことでございます。
羽入会長
ありがとうございます。もし、今の御報告に対して御質問など、よろしいですか。
鹿嶋会長代理
福島担当大臣の発言を紹介するのを忘れていましたが、福島大臣はメモを提出してくださいまして、ジェンダーの主流化を目指すのだという表現、このことをおっしゃっておりました。それから、これは今後企業の女性管理職を増やすことにもつながると思うんですが、公共事業に入札に対する男女共同参画推進企業への加点制度、このことについても福島大臣が報告しておりましたので申し上げますと、まず「足元から」というような表現で、まず内閣府のほうで男女共同参画の推進にかかわるもので必要なものがあれば、その加点制度を持っていく。具体的に言いますと、男女共同参画やワーク・ライフ・バランスに関連する調査の委託先の選定に当たって、一般競争入札で入札を行う際に、男女共同参画を積極的に推進している企業を加点していくと。いわゆる公共調達に監視、この4月から実施するという報告がございました。これも女性の管理職比率を上げるという意味では一種のポジティブ・アクションにつながってまいりますので、その意味では効果があると考えています。
羽入会長
ありがとうございます。今の鹿嶋委員の御報告にございましたようなことを踏まえて、引き続いて総論の部分の御報告いただきますが、続けて皆様と議論していただきたいと思います。よろしくお願いします。
鹿嶋会長代理
資料2-1をごらんください。これはこの間の参画会議の中で報告したものですが、基本問題・計画専門調査会で報告したものとは大幅に中身が違っております。その点も併せて御説明いたします。
 まず1ページの「目指すべき社会」については変わっておりませんが、「第2次男女共同参画基本計画策定後の社会情勢」、この赤字の部分は前回の専門調査会でお出したものと変わっているところであります。Ⅱのほうは第2次基本計画の策定後、ですからちょうど5年間の社会情勢の変化についての認識をどのようにしているかという私どもの考えです。
 下の矢印については、基本法は1999年に施行されたわけですが、昨年で10年を迎えました。その間にどのようなものが進んだのか、何が不足していたのかということなのですが、特に不十分だった点をそこに書いてあります。10年間の反省で言いますと、固定的な性別役割分担がいまだ根強いという点を列挙いたしました。それから、男女共同参画が、働く女性の支援という印象をどうも与えてしまったのではないか。3番目の「・」は、男女共同参画社会基本法の趣旨を実行するための強力な推進力が不足していたため、制度や枠組みの整備が進まなかったというようなことを入れております。その意味で、この1ページは大分変わったという印象でごらんいただけるかと思います。
 2ページに行きます。2ページも、当初お出ししていたものは、「基本的な考え方」の3つだけでありまして、矢印の下にある括弧内のものはありませんでした。当初お出ししたときは左端の括弧はありました。そして真ん中の括弧については、これは矢印の下のほうが入っていた。右のほうはそのとおりあったのですが、男女共同参画社会というのは、私たちにとってどういうような社会なのかといったことをもう一度考えるという意味で、男女共同参画社会の推進が、社会を活性化して、現在の日本社会が直面する様々な課題の解決につながるのだということを矢印の下に入れたというわけです。これはなかなかいいのではないかと自画自賛していて参画会議に臨んだのですが、かなり厳しく言われましたので、多少ショックもあったということでもありますが、ここでもこれを推進するに当たっては固定的役割分担を前提とした制度・慣行の見直しを積極的に行うということです。
 問題はそこから先です。「新たな視点」、「喫緊の課題」ですが、その次に3ページは「重点分野」です。まず「重点分野」と「推進体制」を説明しておきますが、重点分野には見出しをつけました。要するに5つの見出しで括っております。そのほうが見やすいであろうということです。そしてクローズアップしてきたのが③の「男性・子どもにとっての男女共同参画」です。男性にとっての男女共同参画、まだ男性は意識が遅れていると、これは総理も言っていましたので、これをどう変えていくかということで③に入れてあります。
 それから、多少最初のものと違うのは、赤字全部を見ていただければわかると思うのですが、特に⑦「人々が安心して暮らせる環境の整備(高齢者、障がい者、外国人、生活困難者)も入れてこれで括ってあります。今、申し上げましたように5つの見出しで括ったのですが、今度2ページに戻っていただきたいのですが、2ページの「新たな視点」と「喫緊の課題」というのは、従来の第2次基本計画の重点事項に当たるものであります。これを重点事項という言葉を使わずに「新たな視点」、「喫緊の課題」としたのですが、先ほど紹介しましたように、この中間整理が生ぬるい、パンチ力に欠ける、エッジがきいてないと言われた原因は、このあたりの見せ方に私は問題があるのだろうと思います。
 女性の管理職比率等々を高めていくための装置を組み込んで、ここに特徴を列挙していきたいというのが私の今の考えでありまして、どういう装置を組み込むのかというと、ポジティブ・アクションです。これは企業だけではなくて、政治の分野にも、例えば女性の候補者比率、これについても一種の割当制のようなものがあってもいいのではないかという議論をしております。クオータ制については、辻村議員から後で補足していただきますが、急遽、辻村議員にお願いしまして、いわゆるポジティブ・アクションの世界の現状、そして今後、日本で取り入れるとすればどのような方法が可能かといったレクを昨日の起草委員会でしていただきました。いろいろ示唆に富む話でした。これは後で辻村議員から補足してもらいますが、実は私はこのクオータ制まで含めたポジティブ・アクションを導入したいと思っています。単なる数値目標だけ掲げても、5年間では変わらないような印象があります。とにかく参画会議では5年間でどう変わるのか。これでは変わらないのではないか。きれいな文章を並べてもだめなのではないかという指摘があったわけですから、そういう装置を入れたいと思っております。
 となってきますと、ここの「新たな視点」、「喫緊の課題」は、このあたりの5年間で、今後女性管理職比率、意思決定部門での指導的地位の女性たちを増やしていくための装置、そのほかもろもろのことを列挙したほうがいいのではないか。例えばほかには「推進体制」の強化がそうです。それから、ジェンダー・バジェットについてもまだ研究段階ですけれども、これについても私が所属している監視・影響調査専門調査会で少し研究・勉強していますので、これについても入れていってもいいのではないか。いかにしたら、5年間で指導的地位の女性を増やせるかというような、そういう仕組みづくりを「新たな視点」、「喫緊の課題」のところで議論してもいいのではないかと思っていますので、ぜひ今日皆さんからそのあたりの御意見をいただければと思っております。
 また、3ページに戻っていただいて「推進体制」についてですが、推進体制についてはそう大きく変えてはおりませんが、文言等々を少し変えました。国内本部機構の強化、女子差別撤廃委員会最終見解を十分に考慮した監視・推進体制の機能の強化、地方公共団体や民間団体への取組の支援といったようなものをここで挙げております。
 この後、辻村議員からも、今、私が申し上げましたポジティブ・アクションについて、簡単な補足をお願いできますか。
辻村委員
辻村でございます。昨日、起草ワーキング・グループにおきまして、このポジティブ・アクションの実効性のある措置といいますか、具体的なやり方についてどういうものがあるかということについて議論をいたしました。その際に、まず日本ではポジティブ・アクションと称していますけれども、男女共同参画社会基本法2条では、「積極的改善措置」という言葉を使っております。第2次計画では「ポジティブ・アクション」という言葉も使っておりますが、今回、女子差別撤廃委員会から勧告がありましたところでは、「暫定的特別措置」となっておりますので、どういう概念でポジティブ・アクションを捉えているのかということを明確にしていかないといけないと思っております。数値目標もポジティブ・アクションですし、クオータ制もポジティブ・アクションであり暫定的特別措置なのですけれども、どういう種類があって、どの種類が我々にとってふさわしい、適切でかつ実効性のあるものかということを明確にしていく努力が必要だろうと思っております。
 その背景には、これまで第2次基本計画などを進めてくる中で、なかなかクオータ制が書き切れなかったのにはこれに対する誤解があるということです。クオータ制などといいますと、強制型のクオータ制で逆差別を必ずや生むものだという誤解といいますか、認識があったためになかなか社会全体のコンセンサスが得られなかったのではないかと考えております。この点はきちんと細かく見ていきまして、どういうポジティブ・アクションであれば憲法違反でもないし法律違反でもないし逆差別にならないもので、かつ有効だということを明確にしていかなければいけないと考えました。
 そのような前提に立っていろいろ提案できることはあるのでございまして、後ほど第1分野の提案のところでも出てまいりますが、例えば世界的に見ますと、政治分野については、これは憲法で割当制をとっている国もあれば、選挙法で決めている国もあれば、政党の内規でやっているところもあるということで、世界的には延べ150か国ぐらいが何らかの形でクオータ制を入れている。ただ重複している国もありますから、まだきちんと数えてはおりませんが、100か国ぐらいはこういう取組をやっている。ところが、例えばフランスやイタリアなどでも、25%を女性候補者にするという法律をつくると、1982年のフランスで憲法裁判所が憲法違反だという判決を出してくる。そういうふうに様々な問題があります。でも外国では、それを憲法改正したり法律を改正したりすることによってクリアして実践してきている。
 日本の場合、どこまでやる気があるかということにかかっていると思います。すなわち韓国がやったように比例代表に50%クオータ制を入れるためには公職選挙法を改正しなければいけないだろうし、政党法も改正するだろうし、政治の世界のほうがやる気があれば何でもできるわけです。ところがそこが必ずしも十分な社会的なコンセンサスが得られていないということであれば、比較的穏健であるけれども、実効性があると思われる手段を考えていくことになろうかと思います。例えば政治分野については、候補者比率がまだ16%という段階では、2020年までに議員が30%になる訳がないのです。まず候補者比率を30%より上に持っていかなければだめでしょう。最も簡便な方法で、政府与党が本当にやる気があれば、自発的に政党の内部で女性候補者について30%クオータとか40%クオータ制を入れていただければいいかと思いますし、その背景としては、現在民主党の女性の党役員が0%になっておりますので、そういったところを改めていただいて、非常に見える形で女性が政界で活躍しているという環境をつくり出していくということ、それを促進するということであろうかと思います。
 公職選挙法の改正を伴わない場合でも様々な、例えば女性のための立候補支援でありますとか財政支援でありますとか、このためのNPOやNGOの活用とか様々な措置ができようかと思います。
 行政分野については、もちろん採用・登用については積極的に目標をつくってやっていかなければいけないと思いますし、あと企業や大学などについては、このポジティブ・アクションを推進するために様々なインセンティブを付与するというやり方をしています。例えば大学などでは女性教員を増やすために北大方式ですけれども、女性教員を採った部局には本部からなにがしかの予算をつけるとか、あるいは文科省の女性研究者支援プログラムで国からも採用の予算が出るとか、そういったことで、女性を増やせば何かいいことがあるというインセンティブが望ましい。これは先ほど福島大臣が説明された公共調達における男女共同参画推進、まさに公契約におけるポジティブ・アクションは非常にいい例でございますので、そういったことを行えばよろしいかと思いますし、また企業についても、今、文科省が大学について行っているような女性支援プログラムを企業についても展開すればよろしいかと思います。いくつかモデルケースを選抜して、そこに管理職を増やす試みを考えていただいて、それがうまくできたところをモデルとしてほかの企業にも頑張っていただくといった具体的なシステムづくりをしていけばよろしいのではないかと思っております。
 その他にもいろいろありますけれども、差し当たりこのあたりで。あと、補足させていただきます。
羽入会長
ありがとうございます。議論をしてきたことの熱気が伝わってくるような気がいたしました。大変心強いのですけれども、鹿嶋委員が御紹介くださいました資料2-1の2ページと3ページですが、これを参画会議にお持ちくださる際に、私も拝見しておりました。それで前回の基本問題・計画専門調査会から変わった点もございますけれども、考え方としては齟齬はないと思っております。先ほど鹿嶋委員から御提案がありました2ページの新たな視点というところの5つの項目ですが、これはここでの議論全体をいわば抽象化したものとして要素として挙げたわけですが、今の御提案はむしろここには具体化するための方策を盛り込もうという御提案だと思います。つまり、これは非常に抽象化したものをここに要素として書いたわけですけれども、そうではなくていわば装置として仕組みを設けることをここに具体的に記述しようという御提案かと思います。
 そのことについて、皆様の御意見を伺いたいと思います。それとそのときに考えるべきことは、5年間でこれができるのかというお話があったそうですけれども、5年間で実現可能なものをここに書くべきではないかという気もいたします。先走って、私が申し上げてはいけないのかもしれませんけれども、仕組みを具体的に書く、でも実現可能なものにすることが私は必要ではないかと考えておりますが、どうぞ皆様の御意見を、まず「新たな視点」のところについて伺いたいと思いますが、いかがでしょう。
 恐らくこれは全体の各分野の状況を把握した上で、さらにお考えいただくということでも可能かと思いますので、また御意見伺いますけれども、今の時点で御報告に対して御質問や何かがございましたら、どうぞおっしゃってくださいませ。
鹿嶋会長代理
今から仮にこういう加速する装置をこの中に盛り込むとすれば、例えば3ページの「政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」の中にも、そういう文言を1つひとつ書き込んでいく必要も出るんですね。そういう作業が今から出るということと、そして特徴として、2ページのほうにそういうものを書き込んでいくということなので、今から作業が出るということなんですよね。
羽入会長
それでは、ひとまず鹿嶋委員からの御報告についてはここまでということにさせていただき、そしてそれぞれの項目についての議論を進めていきたいと思います。資料2-2をごらんいただきますと、重点分野について起草ワーキング・グループで延べ10時間、恐らくそれ以上の時間だと思いますが、御検討いただきましたので、その御報告をお願いいたしたいと思います。ひとまず1分野から7分野までを一区切りにしたいと思います。それでは大体5分ぐらいで御報告をいただけますでしょうか。まず第1分野が辻村委員ですが、引き続きお願いします。
辻村委員
第1分野のペーパーをごらんいただきたいと思います。先ほどの鹿嶋委員のポジティブ・アクションをもっと入れたらどうかという御見解、及び私が先ほど報告しました内容は、実はこのペーパーをつくった後に出てきたものでございまして、そういう観点からこのペーパーを見ますと、少し生ぬるいかなという感じがしますので、早急に少し表現を強くしたらよろしいかと考えております。
 まず「なぜ進まなかったのか」という現状認識でございます。これはたくさんありまして、この言葉で尽くせているとも思えませんけれども、上から順番に言いますと、性別役割分担意識の打破ができなくて、従来の広い意味での役割分業の枠組みの中に女性を押し込んでいった。男女の働き方を根底的に変えるような男性の働き方なども含めて、それを見直すような大きな枠組みを提示できなかったのではないかということ。それから、政治的リーダーシップ、先ほど政党のことも申しましたが、政府・与党その他地方自治体・首長なども含めて、まさに政策・方針決定過程に女性を参画させなければいけないというリーダーシップが不足していた。審議会については、目標値を設定して取組みをしてきたけれども、政党や民間企業などへの働きかけが不十分であったとか、それと同じことではありますが、政党や企業や大学など既存の組織において意思決定や人事権を持っている人たち、中間管理層の理解が不足していたのではないか。あるいはロールモデルの不足ということから、女性の側にも様々な不十分な状況があった。最後にちょっと書いておりますけれども、指導的地位に立つことを敬遠するような傾向すら見られたのではないかということです。ここについてはもっとたくさん御意見をいただいて豊富にしていくという必要があろうかと思いますが、とりあえずそういった前提に立って、目標としては、多様な人材の活用、多様な視点の導入、政策・方針決定過程への女性を増やすといったことを目指して、中間目標として何%にするかというふうな議論をしていかないといけないと思います。
 これは細かく見ていかないと、「2020年30%」を目標にしても、例えば公務員の管理職率などは恐らくは2020年にそのまま30%にはならないと思いますので、2015年のまさに第3次計画は5年間でということですから、この5年間で何%までアップさせるのかということを細かくこの分野ではこのパーセンテージまでといった形で今後細分化した目標を出していく必要があろうかと考えております。大体そういったことですね。
 次のページにまいりますが、基本的な方向としては、今、申しましたように、ポジティブ・アクションの観点を入れるのであれば書き方をずっと変えていく必要があると思います。例えば第2次計画では、ポジティブ・アクションについては調査し検討するにとどまっておりました。ですから第3次計画では、それを実行するということにしないといけないので、1行目からクオータ制について検討するのでは生ぬるいということになります。要するにできるところから適切な、「クオータ制」と書くとまだコンセンサス不足の点がありますから、割当制などの積極的改善措置をとるという形で議論をしていきたいと考えております。
 また、国・地方はお読みいただければわかりますが、企業の点でもポジティブ・アクションの自主的取組が促進されるように、協力要請を行うという、ただ生半可な協力要請ではなくて、ここにインセンティブを付与していく。例えば一番いいのが、うまくやったところは、さっきの公契約を結んでもらえるし、税制の優遇措置ももらえるとか、いろんなインセンティブがあれば変わっていくのだろうと思いますから、社会のコンセンサスを得ながらそういった仕組みづくりをしていかなければいけないと考えております。
 大体5分で、よろしいでしょうか。
羽入会長
ありがとうございます。続けてお願いします。では第2分野の鹿嶋委員。
鹿嶋会長代理
さっきのクオータ制ですが、この言葉が果たしていいのかどうかということも議論しなくてはなりません。国民の皆さんが受け入れられやすいような言葉があると思うので、クオータ制という言葉自体にアレルギー症状を出す人もいると思うので。
辻村委員
強制型クオータだけではないと。クオータにも、50%クオータとか30とか5%とかいろんな割り当てがあるわけですから、そんなに過激なものばかりではないというようなことを一応きちんと書き込んでアレルギー対策をしたいと考えます。
鹿嶋会長代理
第2分野ですが、そこをざっとごらんいただければおわかりと思うのですが、第1、第2分野に限らず、全分野に盛り込まれているものは、1つは皆さん方のワーキング・グループで議論したことを原則落とし込んでいます。またワーキング・グループで落としたものだけでは足りないので、さらに第2次の基本計画の答申のときの内容も落とし込んでいるんですね。ですからその意味で必ずしも十分な議論をして、この分野ごとに落としているわけではありません。時間の都合上、1分野につき十数分しか議論の時間がありません、超特急の議論をやって、そして事務局に頼んで第2次基本計画の中から一部落とし込んだものもありますので、今からの作業としては、これを各ワーキング・グループでもう一度精査して本当にこれでいいのかということの再検討が必要になってきます。
 なぜ社会制度、慣行の見直しが進まなかったのかということについて、辻村委員の第1分野ともかなり似ているようなところもあるのですが、これも固定的性別役割分業の問題です。同時に政治的リーダーシップの問題。私どもの努力不足もさることながら、政治のリーダーシップは非常に大事だと思っています。これは鳩山総理も参画会議で折に触れ強調していることですので、そういうことも含めて「なぜ」という中に書かせていただきました。
 下のほうにある具体的な取組とか、5ページに入っていく様々な指摘なのですが、まず4ページの中で、「男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し」の中で一番大事なのは、4つ目の「・」のライフスタイルの多様化です。核家族化や未婚・離婚の増加、高齢化の進展によって様々な形の家族が出てきて、そして経済の状況も高度経済成長期とまるで違う形になってくる中で新たなセーフティネットも必要なわけです。セーフティネットも高度経済成長期型のセーフティネットではだめだと思うんです。ライフスタイルの多様化を視野に入れた新たなセーフティネットの再構築、それを構築するのと同時に制度・慣行の見直しも必要だといったこと。
 同時に税制、社会保障についても、女性の就業活動に対して影響を及ぼすことを中立的になるようなもの。これは第2次基本計画でも指摘してきたわけですが、なかなか実現できなかったわけですが、今第3次基本計画では切実な課題ですので、きちんとした議論が必要です。
 5ページについては、「(4)の男女共同参画にかかわる調査研究、情報の収集・整備・提供」ですけれども、まず指摘しましたのは、制度・慣行が男女に与える影響の違いを明らかにする調査研究等を行うということで、これは監視・影響調査専門調査会でも何度も指摘しましたように、いわゆる男女別の統計をきちんと実施して、そしてその中から格差等を浮き彫りにしていくということです。
 新たな考え方としては、諸外国で実施されているジェンダー予算です。この手法についての調査研究を進めるということですが、これについてはまだスタートしたばかりでありまして、具体的なところまでは行っていません。これについては専門家の先生をお呼びしてヒアリングをしたりしておりますが、ジェンダー・バジェットに近い考え方があえて日本になかったかということを自問自答すれば、あります。影響調査ですね。監視・影響調査というのはもともと別々の組織だったのですが、監視機能と影響調査機能が一緒になったわけで、影響調査はこのジェンダー・バジェットとかなり似ているんです。いわゆる国家予算を投入してそこでどのようなアウトカムが出ているかということを分析する。その結果次第では制度を変えていくということもあるわけで、ジェンダー予算に近いような考え方ですので、それは監視・影響調査でも機能として持っているのですけれども、これをもうちょっときちんとしたものとして行うためにはどういうような手法が必要なのかということ、これは今から私の所属している監視・影響調査専門調査会でも少し研究していきたいと思っておりまして、ここに書かせていただきました。
 大体そういうようなことで、制度・慣行というのはなかなか難しい問題でありますが、少しずつその研究、歩みを進めていきたい。そして同時に加速もしたいと思っております。以上です。
羽入会長
ありがとうございます。それでは、第3分野、伊藤委員、お願いします
伊藤委員
第3分野は、これはお手元の資料1の4ページにありますように、「新たに着目すべき対象者」という形で、「男性」と「子ども(女児・女子)」という取り上げ方をしている部分です。その意味で、ほかの分野以上にまだ十分には煮詰まっていないところが多々あるのではないかと思っております。
 最初に、今回のこの考え方の案ですけれども、なぜ進まなかったのかというのをきちんと総括するということが入っているところが大変重要なのではないかと思っております。特に男性の分野で男女共同参画がなぜ進まなかったのかというのは、この問題を考えるときに大変重要な課題であると思います。ここでも書かせていただきましたように、性別役割分業からなかなか脱出できないということもあるわけですが、と同時に、男性たちの多くは、これは自分たちの課題ではないと思ってきたのではないかということがあります。
 もう一つは、男女共同参画というと、男性たちにとって小さな課題として認識されてきたことがある。基本法の前文にありますように、実は21世紀、我が国社会を決定づける最重要課題であるわけですけれども、そういう認識はほとんど男性の中にはなかったということも大きな問題だったのではないかと思っております。
 《目標に盛り込むべき事項》ですけれども、1つはこの男女共同参画の問題が男性自身の問題でもあるということをはっきりと認識していただくような仕掛けが必要だろうと思っております。過労死の問題や自殺の問題なども出てくることになるのではないかと思います。と同時に、これは文章にまだしていませんけれども、今、申し上げたように、日常生活にかかわる問題、これは例えば家事の問題、育児の問題は大変重要な問題でもあるわけですが、そういう問題の重要性と同時に、それが社会全体の重要課題であることをどうやって男性に伝えるのかということが大きな課題になってくるのではないかと思っております。
 もう一つ、「子ども」のほうですけれども、ここでも書かれていますように、次世代の問題は大変大きな問題で、今までの男女共同参画のプランだと、子育ての対象者としての子どもという認識だったわけですが、子どもを特別に取り上げて男女共同参画の1つの重要な分野として対応していくという意味はかなり大きいのではないかと思います。持続可能な社会形成のために必要ですし、次世代が健やかに育つことのできる社会をどうつくるのかということがここでは盛り込むべき課題ではないかと思っております。
 具体的な取組については、これはまだまだ書き込み不足かもしれないと思っておりますが、男性の家庭・地域参加をどう進めるのかということ。また、男性にとっての男女共同参画の観点からの男性たちに対する働きかけ、健康の問題、自殺等々の問題含めて、ここでちょっと書かせていただいている男性に対する相談の問題なども含めて対応していくということも大切です。
 「子ども」については、ここで3つ挙げさせていただいております。「子どもの健やかな成長と安全で安心な社会の実現」ということで、特に子どもの貧困の問題というのが最近クローズアップされておりますけれども、そういう問題も視野に入れながらということでございます。また、「次代を担う子どもにとっての教育・啓発」、これは教育の部分と一部かぶると思いますが、ここでも位置づけるということです。さらに「子どもの頃からの将来を見通したエンパワーメント」ということを3番目のところで現在では書かせていただいているところでございます。以上です。
羽入会長
ありがとうございます。
 これまで御報告いただきました3つが、先ほど鹿嶋委員の御説明にありました5つの大きな括りの1つです。エンパワーメント、多様な視点を活かすということで、今回の1つのまとまりとして取り上げたものです。特に今、伊藤委員が御説明くださいました「男性」、「子ども」というのは、今回強調すべきことであり、男性、子どもをいわば主体として男女共同参画の基本計画の中に盛り込もうということであるかと私は理解しております。
 それでは、続けて第4分野、岡本委員、お願いいたします。
岡本委員
第4分野について提案させていただきます。第3次基本計画で充実すべき課題として、雇用分野における男女共同参画の推進が挙げられております。また政府の新成長戦略の中でも雇用が内需拡大と成長力を支えるとして2020年までにM字型カーブの解消などを掲げています。
 雇用労働者が8割以上である日本において、雇用分野で男女の均等な機会と待遇の確保が実現すれば、男女共同参画が大きく前進することは間違いのことだと思います。なぜ男女の均等な待遇が進まなかったのかという分析については、あらゆる分野でも既に書かれていることですけれども、第1には働き手・稼ぎ手は男性であり、女性は家を守る。子育てが一段落したら家計を補助するためのパートで働くという固定的性別役割分担意識が強いことが挙げられると思います。非正規の労働者の問題についても、これまでもあったわけですが、男性の非正規が増えたことでクローズアップされたことからも、この意識の一端が見てとれるのではないかと思います。
 進まなかった要因については、ほかの分野よりも多く記述をされているのですが、多分これだけでは足りないということも御意見としてあるかと思います。書き込んでいけば切りがないぐらいなのかと思っています。
 その上で目標に盛り込むべき事項として、この以下の4点を掲げています。以下、第2次に加えた箇所とより強化をさせた部分についてのみ補足をさせていただきます。男女の均等な機会と待遇の確保について、現状の雇用環境の厳しさを踏まえて、女性学生の新卒就職支援、高齢者雇用の推進を意識した年齢制限の撤廃などによる女性の就業機会の確保を掲げております。それから、間接差別について、現行の均等法の省令で定められています3点の措置以外の拡大の検討も今回掲げています。それから、看護師など女性労働者が占める割合の大きい職種の処遇の改善。コース別雇用人事管理制度の是正というものを今回掲げさせていただいています。
 「非正規雇用などに対する雇用環境の整備」の部分では、正社員との均衡処遇をまずすべてにおいて前面に打ち出しています。同一価値労働同一賃金に向けた均等・均衡処遇を推進すること。また、そのための職業訓練の支援を掲げさせていただいています。
 「ポジティブ・アクションの推進」においては、第2次よりも踏み込んで、先ほど鹿嶋委員のほうからも話がありましたが、公契約において男女共同参画に積極的に取り組む企業を評価するなどの積極的な取組を掲げる施策の検討ということで、ここでは検討を深めるというふうになっていますが、多分これまでの議論の中でもう一段踏み込んだ書きぶりをするということもあるのではないかと思っております。公契約については、既に内閣府のほうで取組が始まるようですし、先ほど来、議論にありましたポジティブ・アクション、この後、議論になると思いますけれども、ここにどこまでこの分野でも書き込むことができるのかが課題ではないかと思います。
 「女性の能力発揮促進のための援助」の部分では、これは第2次でも書かれておりましたけれども、メンター制度についていくつかの企業で既に取り組んでいるところもございますので、導入というところから普及を推進するという部分に今回一歩進めさせていただいています。
 それから、「多様な生き方、多様な能力の発揮を可能にするための支援」として、これはまさにM字型カーブの解消の部分にもかかわる女性の再就職の支援体制の充実であったり、M 字型カーブというよりも、ここは多分賃金格差の解消の記述、それから起業の部分。それとこの後の分野にも入りますが、仕事と生活の両立を可能とするテレワーク、そういった分野についての書き込みをしております。
 引き続き、第5分野よろしいでしょうか。
 第5分野は「男女の仕事と生活の調和」についてです。2007年末に仕事と生活の調和憲章と仕事と生活の調和推進のための行動指針が取りまとめられて、2008年度はワーク・ライフ・バランス元年と言われたのですが、残念ながら厳しい経済情勢の中で、男性の働き方は変わらず子育て世代の5人に1人が週60時間以上働いているという結果が出ています。憲章ではワーク・ライフ・バランスを推進することは未来への投資だと書いてあるわけですけれども、企業や社会経済の活性化に役立つという理解は不十分なままに今の経済不況の影響が先に立ってなかなか進まなかったのではないかと思っています。
 その上で、《目標に盛り込むべき事項》として、以下の5点を掲げています。仕事と生活の調和の推進については、この間、育児・介護休業法が改正されましたが、父親も子育てをすることが当たり前の職場の制度、社会環境の整備というものがなお一層求められていくのではないかと思いますし、また、何といっても男性の働き方を変えるということと、長時間労働を是正するための制度のあり方の検討も必要だと思います。この分野では勝間議員が男女共同参画会議の中でも、労働時間規制というものをもっときちんと打ち出すべきではないかというような御発言などもされていました。ここではそこまでは書き込んでおりませんけれども、制度の検討ということを提案をさせていただいています。
 それから、「多様なライフスタイルに対応した両立支援策の充実」のところでは、これは民間の力も活用した多様な保育サービスの充実、幼保一体化の推進というものをここでは掲げております。
 3番目の「妊娠中及び出産後の健康管理対策の推進」については、相変わらず「育休切り」などの相談がまだまだ多くございます。法律的にはきちんと整理されている部分はあるわけですけれども、この妊娠・出産を理由とする不利益扱いをなくしていくための様々な施策をきちんと織り込んでいく必要があると思っています。
 最後に「家庭生活、地域社会への男女の共同参画の推進」についてですけれども、ここは第3分野にあるように、実は高齢男性の孤立とか日常生活の支援ということも議論は行いましたが、重複を避けるためにこちらの部分ではそこのところは第3分野のほうに譲っております。ただ、少子高齢化と雇用の不安定な社会状況の中で、血縁・地縁、会社との縁を失った人たちの問題がかなりクローズアップをされるようになりました。男性の家庭・地域への主体的な参画を促進するための働きかけは非常に重要だと思います。
 実はワーキングでの議論をもとに取りまとめているのですが、私自身もワーキングのメンバーではあったのですが、後半のほうずっと参加できませんでしたので、もしこの後の議論の中で、ここの参加をされている委員の方から補足があればしていただければと思います。
 以上です。
羽入会長
ありがとうございます。それでは続けて、第6分野、伊藤委員、お願いします。
伊藤委員
ご覧になったらおわかりになるように、第6分野はほかの分野以上にかなり書き込みがされていて、熱心に整理されている分野になっております。農業分野はかなりの部分が女性によって担われている分野です。また、農水省はかなり熱心に男女共同参画を政策的に進めてこられたわけです。実情はここで書かれていますように、古い体制が変わらないという状況にあるわけです。その理由は、ここでも書かれていますように、古い因習・習慣みたいなものが、まだまだ根強く存在しているということ。組織やシステムの変革ということをかなり手をつけておられるわけですが、なかなかこれがうまく進んでいない。さらにこの問題についての周知が不十分である。
 農山漁村の固有の問題でもありますけれども、人口減少等々農山漁村の社会が持っている固有の困難みたいなものがこれにかぶさってくるというところが、この領域の難しい部分なのではないかと思っております。 いろいろ工夫はされているわけですけれども、なかなか進んでいない。
 その中でどういう方向が必要かというときに、ここでも書かれていますように、意思決定への女性の参画は盛り込むべき事項の重要課題として挙げる必要があります。それともかかわりますが、農業経営という問題と男女共同参画というのをどうやって結びつけながら進めていくかということが重要になると思います。さらにここで書かれていますように、農山漁村における女性の経済的基盤をどうやって確立していくかということも盛り込むべき事項としては重要な課題になっているのではないかと考えております。
 そういう中で、5つの具体的な取組が整理されているわけです。1つは、ここで書いていますように、「あらゆる場における意識と行動の変革」ということです。これは先ほど申し上げた古い意識や女性のそういう参画を支えるような基盤になる部分だと思います。
 (2)の部分においては、実際に政策・方針決定過程に女性が参画できるような仕組みづくりということがまとめられています。農協の女性役員も10年ぐらい前から複数役員みたいなことを提案されているわけです。あるいは農業委員の問題等々含めて意思決定への参画をどうするかということの提案がここでされています。
 3番目に、先ほど申し上げました「女性の経済的地位の向上と就業条件・環境の整備」ということがここで挙げられている。この問題は、農山漁村における男女共同参画というときに大変重要な部分になろうかと思います。
 (4)は「女性が住みやすく活動しやすい環境づくり」ということで挙げさせていただいております。(5)は、先ほどちょっと申し上げました人口減少や高齢化の問題、農山漁村が抱えている固有の問題と男女共同参画をどうつなげていくかという形での書き込みです。そういう形で、先ほど申し上げたように大変熱心に整理されています。
 また、つけ加えますれば、この問題、しばしば農水省マターという形で限定されて考えられがちなんですけれども、これは農水省マターというだけではなくて、内閣府や総務省を含めた関係省庁も巻き込んだ形での問題解決が必要ではないかという意見もあったということをつけ加えておきます。
羽入会長
ありがとうございました。ただいままでの4、5、6が、いわば働く場における男女共同参画ということでまとめることができると思います。
 引き続いて7分野の鹿嶋委員。
鹿嶋会長代理
第7分野、16ページは、タイトルが「人々が安心して暮らせる環境の整備(高齢者、障がい者、外国人、生活困難など)」と書いてありますが、ひょっとしたら違和感をお持ちになるかもしれません。高齢者、障がい者、外国人と人がずっと来ていて、生活困難と出ていますので違和感があるかもしれません。これにつきましては、この「生活困難者」というのはまたおかしな表現ですが、例えば母子家庭とか、高齢単身世帯、高齢者に入るのですけれども、高齢単身世帯等々も読み込んでおりますし、それから、福島大臣がペーパーの中で読み込んでおられますマイノリティーもこの生活困難の中に読み込んでおります。生活困難といった場合、貧困という問題だけではありません。偏見の目にさらされることも生活困難ですし、生活者としての自立、例えば男性などは生活者として自立してない、なかなか厳しいと指摘されるわけですが、そういうこともこの「生活困難」という中に読み込んでおります。
 まず、それを前提としてお聞きいただければと思うのですが、「なぜ進まなかったのか」ということは、第2分野と多少似通った説明になるかと思いますけれども、雇用とか就業の変化、家族、地域、そういう大きな変化に対して、ライフスタイルの変化に対してセーフティーネットが欠如していたということであります。それについてこれからはきちんとした構築が必要なんだということです。
 大きな問題は、生活困難(障がい者、外国人、高齢者)に直面した場合に、それが固定化して、さらに連鎖、例えば子どもの世代にも生活困難が連鎖するといったような問題。ここの問題に対して私たちは何らかの打破するような対応をしていくことがこの中での大きな課題です。
 生活困難は農業に比べると、いま一つ、書き込みが少ないなという印象を改めて農業と比較して見ていまして、(1)高齢者、(2)障がい者の自立した生活の支援、(3)高齢者及び障がい者の自立を容易にする社会基盤の整備、(4)外国人、(5)貧困等様々な困難を抱える人々への対応となっていますが、これなどももう一度この括りの順番でいいのかどうかということは議論しなくてはならないと思っております。
 障がい者については、ノーマライゼーションがポイントになっておりますが、果たしてそれだけでいいのかという問題もあるかもしれません。外国人については、今後外国人労働力の問題は議論をせざるを得ないということになります。生産年齢人口が減れば、当然外国人労働者の問題は非常に切実な課題になってきますが、そのときまで視野に入れた議論としてこのままでいいのかどうか。当然のことながらトラフィッキングのような問題もこの中に入っております。ただ、人身取引の被害者といったような問題は性暴力のほうに入れていったほうがいいのかどうかなど、外国人の中身についてもいろいろ議論をしなければならないと思っております。
 貧困の問題では、今、相対的貧困率が15%を超しておりますので、ここをどうするかということで、これは私ども監視・影響調査専門調査会が既に報告書を出し、男女共同参画会議で意見決定もいただいております。様々な施策についても提言しておりますので、それをどのようにこの基本計画の中で取り込み、いわゆる対応策として提示するかというのが1つの課題になると思っております。これは高齢者、障がい者、外国人、生活困難とかなり広い分野にまたがっておりますので、課題もそれだけに複雑だということになりますが、基本は固定化と連鎖をいかに断ち切るかというのがポイントになってくるのだろうと思っております。
 以上です。
羽入会長
ありがとうございます。多くの分野について御報告いただきましたが、どの分野でも結構ですので、どうぞ御意見、御質問、御提案などありましたら。では、石川委員どうぞ。
石川委員
私は第9分野のワーキング・グループ担当していたのですが、第3分野のところにも「子ども」と「男性」の健康のことをたくさん入れていただきましてありがとうございます。同様にこういった取組は必要だと思っているのですが、そして、これからまた議論になってくるのでしょうが、1点気になっていますのは、7ページの(2)の「子ども」の「次世代を担う子どもにとっての教育・啓発」で、「適切な性に関する教育を推進する」ということなんですが、この文言を、私いろいろ考えていまして、従来は「性教育」という言葉をずっと使ってきたのですけれども、ここでいきなり「性に関する教育」という言葉が出てきて、その文言に若干とらえ方に違いがあるのかどうかとか、あるいは英語でいうと全部セクシュアリティー・エディケーション、あるいはセックス・エディケーションとかという言葉になるのですけれども、こういった言葉を使うときに、私自身は結論からいえば「性教育」という言葉をきちんと使ったほうがいい。それは世の中にも普及している言葉ですし、誰が見てもそう思うんですけれども、「性に関する教育」というと、何となく口がもごもごして言いにくいので、もう一回、定義が必要ならもう一回定義をする必要があると思いますし、そこのところをきちんとして議論していく必要があるのではないか。表に出たときにそういった言葉にも注意する必要があるのかと思っています。
羽入会長
ありがとうございます。伊藤委員、何かありますか。
伊藤委員
ごもっともだと思います。もともとは「性教育」になっていたのですけれども、多分いろいろな配慮の中で「性に関する教育」という文言に変えられたのではないかと思っております。書く場合に関してはきちんと定義をして書いていかないと誤解を招くというのはおっしゃるとおりだと思います。
坂本委員
今、第3分野のところのお話があったので意見を言います。この「男性」と「子ども」もそうですけれども、「男性」は特に新しい分野ということで、これを機に徹底的な男性の調査というものが必要ではないかと思います。今までいろんな課題の中で男性に関するデータを寄せ集めたというところなので、性別役割分担意識みたいなものが男性をどうしばっているのかというものを総合的に徹底的に集中的に調査するような場面を今回設定していただきたいなと思います。そのことによって男性の共感とか支持というのが男女共同参画の推進に寄せられるような方向づけができればいいのではないかと1つ思いました。
 以上です。
羽入会長
ありがとうございます。伊藤委員、ありますか。
伊藤委員
大賛成です。ただ、国連の動きの中で男性・男児についてのデータについては、原ひろ子さんたちが一回まとめて整理したものがございますし、これから調査するというのは多分時間間に合わないと思いますので、あるだけのものを整理しながら、それを分析しながら対応を考えていくというのはすごく重要なことだと思います。
坂本委員
それと今後の推進期間の間でそういう調査の期間を設けるというようなことも提案していただきたいと思います。
羽入会長
ほかにいかがでしょうか。
山田委員
今の点についてですけれども、自殺率が高いとか過労死率が男性に多いとか、これは入っていると思いますので、調査をしなくてもジェンダー統計的に拾えて書き込んでいただければというのが第1点でございます。
 あとは、先ほど鹿嶋委員も辻村委員も管理職比率の点について強調したいとおっしゃっていましたので、その点について1点意見を述べさせていただきたいと思います。辻村さんは第1分野の中の、「なぜ進まなかったのか」というところの下の2点、「男女共同参画に向け、採用は力を入れ始めたものの、年功序列的な人事慣行」という点と、「女性自身も指導的地位に立つことを敬遠する傾向が見られたこと」、この2点が私は重要だと思っております。その中で、女性の管理職を増やせ増やせと言っても、本人たち、いわゆる女性自身が意欲を持ってチャレンジしないといけないですけれども、それは何か抑圧するものがあってチャレンジしないということではなくて、そもそも管理職になって一体何があるのというようなことが大きいのではないか。つまり本人にとってのインセンティブ、企業にとってのインセンティブや日本社会全体にとってのインセンティブは非常に高いと思います。活躍する女性が増えなければ、社会も企業もうまくいかないというふうになっているのですが、特に最近若い人見ていますと、これは男性も含めてですけれども、上昇志向というのが非常に弱くなっている。
 言わせていただくのは、ここにいらっしゃる皆様は、いろんな意味で上昇志向が高い人が多いし、そういう人と触れる機会が多いと思うんですけれども、私が調査をしたり出会ったりする人たちは上昇志向はそれほど高くない人が多いし、特に若い女性ではあまり高くない。先日、公務員をしている卒業生と会ったら、「管理職試験に応募する女性なんてほとんどいませんよ。あんなのなって一体どうなるんです。責任だけ増えて、大して給料も増えないのにどうしてなるんですか」というような意見もありました。つまり管理職になるということに期待するインセンティブをもっとつくってくる。これは言っていいかどうかわかりませんが、アメリカでは、管理職とヒラ社員の給与格差があまりにも甚だしいので、ならないのはばかというふうになるわけですけど、日本は責任だけ重くなって、それほど収入は高くない。しかし男性の場合は、これもここで述べるのは何かといいますが、家族を養うなり、男として評価されるという意味で非常にインセンティブが高いのですけれども、女性にとってのインセンティブは何かというところをもう少しはっきりさせていただけたらと思っております。
 これも余談ですが、先日体育の先生と話したときに、男性は勝つのが当たり前だからいくらでも頑張るのだけれども、女性を頑張らせるのは非常に大変なんだというような話も聞きました。
 2番目は雇用システムで管理職に誰かを持ってこなければいけないわけですね。私、地方などに行きますと、とにかく審議会の女性教授とかが、複数の審議会にかけ持ちしているというような状況があります。もちろん長期的にいえば解消されるのかもしれませんが、辻村さんが書かれたように、年功序列的な人事慣行、さらに横入りしにくい、つまり中途で管理職を採用してくる。つまり欧米で女性管理職の活用が進むのは、中途で管理職が別の企業や別のところへ入って来るのは何の抵抗もないからなんですが、日本ではそれに対してすごい抵抗があって、10年、20年下積みしないと管理職になれないという条件では、たとえ目標を設定したとしてもうまくいくかどうかはわからない。その方法として新卒一括採用とか年功序列的な人事慣行等を見直すというのをもう少し強調していただければと思います。というか、それをやらない限り、この2点、管理職についてのインセンティブというものと、日本的な雇用システム、雇用慣行というものを根本的・抜本的に見直さないと目標自体が無理なことになってしまうのではないかと懸念しております。
羽入会長
何かありますか、辻村委員、今の御発言に対して。
辻村委員
重要な御指摘ありがとうございました。山田先生にお伺いしたいのですけれども、そういたしますと、5年間のような短期的な何か計画で成果を出すためにはどのようにすればいいのでしょうか。今の御指摘のように、雇用慣行や人事慣行をすべて改めないと成果が出てこないということですと、相当時間もかかりますし、根底的な改革を必要とするわけで、これまた社会的なコンセンサスを得るのは大工事になるわけですね。
 そうしますと、3次計画あたりの短いスパンですと、どういうことを掲げればよろしいかということですが・・。
山田委員
公務員の世界から、もし始めるとすると横入りですよね。
辻村委員
中途採用ですね。
山田委員
中途採用が一番だと思いますし、ここにも教育関係者が多いわけですけれども、教育関係者や例えばNPOで活動している人に、中高年の女性で優秀な人材が多いと思いますし、さらに若年で抜擢するということを、まず公務員あたりからやっていただいて広げていくというのが、私はもし可能だとしたら、それが一番いいかと思います。
辻村委員
この点は、実は私がご説明したポジティブ・アクション・プランの中にも非常に重要な要点として入っているのですけれども、公務員の場合、採用比率が上がっておりますから、何年か待っていれば、やめなければ恐らくは上がってくるだろうということは考えられるのですが、ここの5年で成果を見せろと言われるとちょっと無理ですね。そういたしますと、5年で見せるためには、各省庁がそれぞれ中途採用であるとか、いろいろ併任だとか、いろんなことを工夫して比率を上げるために、今どういうことが可能かということを各部局に考えていただいて、行動計画をお出しいただくとか、そういったことも1つのポジティブ・アクションかなと考えております。 年次報告書の中にそれをきちんと書き込むということも重要かもしれないですね。
鹿嶋会長代理
山田委員の話も非常に大事ですと思って、私聞いていましたのですが、もう一つ、さっきのポジティブ・アクションの話をして、多少頭にひっかかっているのは、要するに非正規雇用なんですよね。非正規の女性があまりにも多くなっているわけですね。5割突破しているわけです。新卒非正規というのもかなり出ているわけですね。そういう中で、例えば従来の統計に基づいて女性管理職比率の上昇と就業継続というのを言っても、これは基本的には正規雇用の話なんです。いずれ公聴会開いたりなんかするのですけれども、ずっと第1次、第2次と指摘されたのが、「エリートのための男女共同参画」という指摘のされ方なんですね。となってくると、女性管理職比率の増加という問題という装置をもちろん組み込むのですが、一方で今の雇用破壊の問題ですよね。特に女性にとっての雇用破壊の問題は非常に深刻ですから、そちらについてもどの程度の比重をかけるか、パラレルというわけにはいかないと思うんですが、何らかの形で言及しないと。そういう問題で悩んでいるのは一部の人たちだけよと。あるいは東京に住んでいる人たちだけよという言われ方を地方に行くとされかねないという懸念はどこかであるんですね。だから、ある意味ではこういう問題も非常にデリケートな微妙な問題かと、そういうような視点でお聞きしていました。
羽入会長
ありがとうございます。どうぞ、河野委員。
河野委員
ポジティブ・アクションについて、私は企業というステージの上での実務的な分野なのですけれども、今の御指摘、本当にそのとおりだと思って伺っていました。本当に日本を代表するようなところがトップダウンで進めている中で、まさに今の御指摘いただいたところも出てきてはいるのですが、あえて便宜的に女性のポジティブ・アクション、女性本人のことを考えると、便宜的に「キャリアの開発」と「キャリアの継続」というテーマで分けます。キャリアの開発については、今、おっしゃったとおり、リーダーとして活躍されるマネジメント系の方は非常に少ないですが、そこで私たちが今全員対象に考えているのは専門性リーダー、非常に重要だと思っていまして、同じことをこつこつ研究開発する人は非常に重要で、その人たちの、私の言葉ですが、専門性の高いリーダー、これは決してマネジメントに行く、行かないは別です。最後に一番大きいのが専任性のプロフェッショナルです。これはあえてわかりやすく言うと、例えば窓口業務であっても、営業のアシスタント業務であっても、どんな仕事でも生涯プロとしてやっていくという人たちの層が比較的多いので、全部の層についてポジティブ・アクションが必要ではないか。もしポジティブ・アクションという言葉の使い方を間違っていたら御指摘いただければと思うんですが、管理職の数を増やすというだけだと5年ビジョンだと間に合わないということも含めると、今、企業の実態でも5年目標をつくっているので、この辺を今の実情でお話を申し上げました。
 あと、先ほど申し上げた便宜的に分けているキャリア継続については、今、社会的には、「子育てとの両立支援」がクローズアップされていますが、働く女性の中には、シングルの方やDⅠNKSの方もおられるため、親の介護とか自分自身の病気・健康もテーマにあがります。もちろん、男女共通のテーマかもしれませんが、キャリアを継続する、というのがまず第一歩なので、生涯働き続けることのできる環境づくりや支援もポジティブ・アクションのひとつではないかと思います。
 以上です。
羽入会長
ほかにいかがでしょうか。
河野委員
すみません、言い忘れてしまいました。具体的なことで恐縮ですが、先ほどの第4分野で雇用の分野に関するご発表をいただきました9ページのところなんですが、具体的なことなんですが、「ポジティブ・アクションの推進」のところの下から4行目に「取組のためのノウハウの提供」とあります。済みません、細かくて。例えば取組のためのノウハウの提供の中で非常に大きい分野が男性管理職に対する意識の問題とか、そこのマネジメントノウハウの問題だと思うんですが、ここにもしそういうことを意味として含めるとしたら、男性のほうにも同じ受け皿として書く必要があるかなと思いまして、今のはほんの一例なんですけれども、セットで動いてくるところがあると思うので、そこだけ書きぶりを一緒にしたほうがいいかなと考えました。
 以上です、済みません。
山田委員
今の河野委員に触発されて考えたのですけれども、管理職といった場合に今までの管理職のイメージが強すぎるかもしれない。管理職自体も考え方も変える必要があるのかもしれません。私、オランダに取材に行ったときに、パートタイムの管理職がきちんといるんですね。週3日や4日の管理職というのがごろごろいます。そういう意味で、管理職自身の働き方自身を多様にしなければ管理職をモデルにしたいという女性とか、男性も含めてなのですけれども、増えないかもしれないというところまでもし書き込んでいただければありがたいと今思いました。
羽入会長
ありがとうございます。第1分野では「指導的地位」という言葉が随分多く語られておりますけれども、管理職もさることながら、「指導的地位」、あるいは「指導者」と使いますと、河野委員が先ほどおっしゃいましたような、それぞれの専門性の中での指導的な役割を果たす人ということで少し層が厚くなってくる可能性もあるかなという気がいたしました。五條委員、済みません。
五條委員
今の議論に関係するところですが、この第1分野のところで、「指導的地位」という言葉はいろいろな認識を現場では持たれる可能性があると。特にこの基本計画をつくると、例えば1時間ぐらいかけて基本計画の内容を詳しく説明するという場は必ずしも多くなくて、この基本計画自体を広報したり説明する場というのは往々にして、例えば10分とか15分ぐらいの中で議論される。そうすると基本計画の中でどこをピックアップされるかというと、一番象徴的なものとしてこの「指導的地位」に女性の比率を30%という目標のこと、あるいは、一般的には恐らくM字カーブの解消であったり、ワーク・ライフ・バランスの問題であったり、この点が特に議論される可能性が強いと思うんです。
 それから、先般、政務官がお越しになったときにお話に出た中で強調されたのが理工系の女子学生を増やすという議論があって、恐らくこういうところがどこの場面でも強調されて、特に今の議論で言うと、「指導的地位」という言葉がひとり歩きするし、基本計画の一番象徴的なものだと思われる可能性がある。現にこの2次計画をつくるときの地方公聴会の中でも、会場からの意見で「共同参画の基本計画というのはエリートの計画なんですか」とおっしゃられたことがあったんですけれども、そういうことで、特に私が強調したいのは、10分や15分の説明という形で集約されたときに極めて象徴的な用語としてピックアップされる可能性のある言葉を、そこの使い方について十分留意する必要がある。例えば「指導的地位」という言葉をやめることはできないのだろうか。例えばですけど、「多様な要職や意思決定の場」にとか、一定の議論の合意のもとに、この辺の特に「指導的地位」というところの使い方については、従来から課題があるのではないかと感じてきたところです。それが1点目です。
 それから、もう一点なんですが、第1分野の関係で、今回の基本計画の中で、やはり意思決定の場に女性の参画を促すことのためには、社会構造から変えていく。それも旧来から形成されてきた現場の感覚を変えていくことが非常に大事ではないか。特に政治分野でいえば、国会議員の女性を一定の政党の選挙戦略として増やされるという、そういう可能性は割と容易に達成される可能性があるのですが、そこで選出されてきた女性の方が、必ずしも男女共同参画について認識があるとは限らないんですね。 また一方で、地方の現場で、特に例えばですけれども、市町村議会で選挙で上がってくる。農業委員で特定枠の推薦枠からの選任委員ではなくて選挙で上がってくるということになれば、まさにこの人は従来の社会構造を打ち壊して共同参画を実現していく非常に重要な旗頭に現実的になっているわけです。
 そうなっていくと、政策・方針決定過程のこの部分でもう少し地縁的な組織が慣行的に行ってきたことを変えていくとか、旧来からの団体、そういうものの体質を変えていく、そういうこととの関連で政治分野の女性の参画ということを強調していかないと、単なる一過性の選挙戦略で出てきた人が増えたということでは、根本的なところからの改善につながっていかないのではないか、そういうふうに思います。
 特に、第1分野の説明の中で、「地縁的組織が希薄化」という言葉がありますけれども、そういうこと以上に、旧来からの地縁的組織をバックにして、事実上の立候補者の絞り込みが行われているという場合もあって、それは地方へ行けばそういう傾向がおしなべて出ているということで、その点について特に第1分野の議論をもう少し要するのではないかということです。
 それから、先日、第6分野のことについて大変つたない検討メモを私は起草ワーキングのほうに恐縮でしたが、送らせていただいたのですけれども、第6分野に関して、それを踏まえて何か不備だとか、そういう部分がもし指摘されたようなところがもしあれば、議論の状況をちょっと教えていただきたいんです。
羽入会長
先ほど随分細かく御説明をいただいたのですけれども、ございますでしょうか。
鹿嶋会長代理
農水からいくつか指摘あったりしましたが、それは第6分野に限らず、各府省にもお見せしていろんな意見いただいていますので、それは第6分野に限ったことではありません。私は率直な印象としては、ほかの分野に比べて書き込みが随分多いなという印象で、これは五條委員がいろいろメモを出していただいたからだろうと思っておりますが、これについて異論は今のところは特にありません。これからどの分野もそうですが、いろんな人に意見聞いたり、府省にも意見聞いたりしますので、その時点では出る可能性があります。
羽入会長
ありがとうございます。ひとまずよろしいでしょうか。
辻村委員
「指導的地位」の文言について、局長にでも回答していただければいいと思うのですが、この目標自体は2003年の推進会議で出てきて閣議決定をされましたね。それで第2次基本計画に入って、そこでまた閣議決定をされていますね。ですから、この言葉自体は所与のものだと受け取って、その言葉を今から消し去ることはできないのだという認識でしょうか。この基本問題・計画専門調査会になる前の基本調査会で、ずっと、どういう人が指導的地位に入るのか、薬剤師さんはどうでしょうかとか、新聞記者はどうでしょうかという議論をずっと何年かやってきたと理解しておりますけれども、そこはどういうふうにお答えすればよろしいのでしょうか。
岡島局長
考え方としては、意思決定の場に出る女性の数を「2020・30」ということで、2020年までに30%というのを大きな目標で掲げてやっていますけれども、別に言葉につきましては、決して過去のことにそれほどこだわる必要はなく、必要な議論をして、変える必要があれば変えるということでやっていくということです。ただ、一番誤解がなく、わかりやすい言い方はどういうことか、あるいは実態と一番合っているものはどういう言い方という観点から議論はする必要はあると思います。
辻村委員
その点で、以前に議論になったことですけれども、これは政策・方針決定過程だけの話ではなくて、もともと出てきたときは、「あらゆる分野における指導的地位」ということでしたから、本日の分野でいえば、すべての分野に関係することであったはずなのです。けれども、時として第1分野だけの話であるといったことがあって、そこの理解も、これまでいろいろなところでずれがあるという認識をしておりましたので、どこかできちんとまとめないといけないかなと思っております。
岡島局長
そこはまた起草ワーキングでも少し御議論をしていただきながら、私どもとしても、過去の閣議決定で打ち出したものとか、あるいは今後進めるべきものはどういうところかということで議論をさせていただければと思います。
鹿嶋会長代理
第1分野は、これはあらゆる分野で読み込んでいるんです、政策・方針決定過程というのは。それぞれの自治会、そういうものを含めているという解釈の仕方。もう一つは、民間の団体、例えば企業であれば、肩書でいえば、どのあたり以上を想定しているかというと、課長あるいは課長相当職以上、そうでないと方針決定過程に組み込まれないわけです、下級管理職とか何とかのリーダーでは。だからそれは文言になっているかどうかわかりませんが、1次、2次ではそういうような理解の仕方をしてきました。
 今の意見聞いていても、管理職になり手がいないとなれば、「指導的地位」という言葉を変えて、ということは議論としていいのですが、ただし、私は個人的な考え方として、下級管理職女性をたくさんつくってしまうことにならないか。管理職における女性職のような問題が次のステップとして浮上するのではないかといった心配はありますね。上級管理職はみんな男性が独占して、女性はグループリーダーで、その人たちはうじゃうじゃいるということではいかがなものか。これをどうするかはもう少し議論を詰める必要がありますね。
羽入会長
おっしゃるとおりで、少なくとも文言によって誤解が生じるということがないようにすることが第一に重要なことで、ほかの言葉についても、先ほど辻村委員おっしゃっていましたけれども、明確に定義する必要があれば定義するということを進めていかなければいけないかと思います。それと先ほど五條委員がおっしゃった、10分で説明されるかもしれないということも十分あり得るので、それも注意して、この会議の一番最初のときにどういうふうに広報するかということを前提にして私たちは議論を進めてきたと思いますので、その中でもまた解消し得るかと思っています。
 それから、ただいまの議論を伺いまして、それぞれの分野がすべて有機的に関連しているということを十分意識して進めていけば、恐らく全体が非常に見やすいというか、読みやすいものにでき上がってくるのではないかと考えております。
 加藤委員。
加藤委員
五條委員がおっしゃられたことはとても大事なことだと思います。私、地域における男女共同参画の進展というのも遅々として進んでいない現状をつぶさに見ておりますので、ここはぜひ各分野でも考慮していただきたい点だと思います。それが1つ。
 それから、ポジティブ・アクションの件につきましては、先日開催されました参画会議におきましても、私ぜひ積極的に進めていただきたいと発言をいたしました。これは公契約のあり方、審議会の委員を増やす、これはある意味、国の意思において進められる分野であろうかと思います。一方で、ポジティブ・アクションにつきましては、今日、辻村委員から御報告をちょうだいいたしました分野のところの3ページにも、約10行にわたりましてポジティブ・アクションについて記載がございます。ここの記載の仕方につきまして、これを見るだけでもいかにポジティブ・アクションを進めることが非常に難しい問題であるかということが、これを読んだだけでもよくわかるかと思います。第2次の基本計画のところにおきましても、ポジティブ・アクションにつきましては、「協力を要請する」とこういう書きぶりでございましたが、辻村委員が、先般の大臣等のエッジのきいたつくりにしろという、こういう御発言もあったりしましたので、ここの書き方については再考していただけるという御発言がございましたけれども、国の意思ではなく、ここに並べられているような組合、経営者団体、PTAをはじめとした自治会組織なども含めてでございますけれども、ここに書かれているように情報交換、意見交換などを通じて働きかける協力を要請する、こういうような丁寧な取組を進めていかないと進まないのだろうと思いますけれども、地域のレベルも含めて、今、ポジティブ・アクションを導入するということは極めて大事なことだろうと思います。
 ただ、これが3次の計画のところに、私は先週参画会議で発言しておきながらではございますけれども、計画のところに果たして間に合うのだろうかという内心気持ちはありつつ、でもやはりここを導入していただかないことには本当に強固な岩盤を崩していくことはできないかという思いがございます。それは地域のところを見ておりますと、例えば集落の寄り合いのところに、夫を亡くした女性の世帯主が参加をしたときにはいいですけれども、まだ世帯主が父親あるいは夫がいるにもかかわらず、女性が寄り合いに出たときに何と言われるかというと、御主人はどうしたのと。それに対して誰もそういうところで、私では悪いんですかみたいなことは絶対言えないわけですよね。言った途端に次の日々の暮らしが成り立たなくなるような現実があるわけです。こういうところを、その地域に住む人が自ら勇気を持って変えられればいいですけれど、変えられない厳しい現実があるわけで、そういうところを変えていくためにも、こういう丁寧なプロセスを経て、しかし、そのポジティブ・アクションのような仕組みを導入しながら変えていかないと現実はなかなか思うようにも変わっていかないのではないかと思いますので、大変難しい問題だとは思いますけれども、ぜひ私は地域のレベルでの男女共同参画を変えていくためにもポジティブ・アクションの導入はとても大事だと考えております。
 それから、「学校教育や社会教育における法令等によって保障される人権に関して正しい知識の普及を図る」ということが第2分野の5ページのところに書かれておりましたけれども、ここはもう少しかみ砕いた表現の仕方をしていただけるとわかりやすくなるかなと思います。
 それから、男女共同参画における、学校における教育、社会教育を通した男女共同参画の教育、とても大事なんだろうと思いますけれども、御案内のとおり、今、新しい学習指導要領がスタートし、それに基づく教科書づくりというのが順次進んでいるわけです。そこの各小・中・高、書かれている男女共同参画の記載は非常に丁寧に書かれているかと思いますけれども、男女共同参画がどういう教科で教えられているかというと、これも御案内のとおり家庭科という教科で教えられているわけです。しかし、その記載がいくら充実したところで、家庭科教育に割かれる時間数が増えたのかというと、減らされなかったからよかったではないかという議論もあるかもしれませんけれども、時間数自体は増えておりませんので、しかし家庭科の中に盛り込まれているのは、食物、被服はもとよりですけれども、男女共同参画は入ってくる、地域のつながりは入ってくる、消費者教育も入ってくるということで、家庭科というのはとても大事な教科であるにもかかわらず非常に多くのことがそこの中に盛り込まれているわけですけれども、学校並びに社会教育における男女共同参画の推進については、こういう学習指導要領のことも頭に含めながら、どう書きぶりをしていったら、よりそういう現場で進められるのかということを念頭に置く必要があるかと思いました。
 それと最後でございますけれども、7ページ、第3分野、「男性・子どもにとっての男女共同参画」でございますが、7ページのところで、「子ども」、「子どもの健やかな成長と安全で安心な社会の実現」で」、2つ目に、「子どもが健全に育つための情報環境を整備する」ということでございますけれども、仮に子どもの健やかな成長と安全で安心な社会を実現するとなれば、整備すべきことは情報環境だけではないのではないかと思います。ここももう少し幅広に整備すべき環境についてはお取り上げいただけるとありがたいかなと思います。
 以上でございます。
羽入会長
ありがとうございます。多分野にわたって貴重な御意見いただきましてありがとうございました。
 それでは、ひとまず7分野までの議論をここでおしまいにさせていただき、9~14、推進体制という御報告をいただきたいと思います。8分野は専門委員会で議論していただいております。それでは、第9分野を岩井委員、お願いいたします。
岩井委員
私は健康ワーキング・グループには一度傍聴させていただいただけなんですけれども、健康ワーキング・グループでまとめていただいた論点に起草ワーキング・グループでまとめたものについて御報告させていただきます。
 「生涯を通じた女性の健康支援」がなぜ進まなかったのかということについては、性差医療はまだ緒についたところであり、とりわけ女性に対する医療のサポート体制は十分とはいえない状況であるということ。低出生体重児の出生率や高齢出産が増加する一方で、小児科・産科医をはじめとする医師不足や医療機関における緊急医療体制不足の問題が深刻化しているといった状況等によって、後退したといったところを挙げております。
 《目標に盛り込むべき事項》としまして、女性も男性も各人が身体的性差を十分に理解しあい、相手に対する思いやりをもって生活していくということを挙げておりまして、女性の「健康支援」と題を挙げているのですが、むしろここでは「男女の性差」を認識した上で健康支援を男女に対して行っていくという、そういうことを目標にいたしております。男女の心身及び健康についての正確な知識・情報を入手し、健康を享受できるようにしていく必要があるということと、リプロダクティブ・ヘルツ/ライツの視点から、男女の生涯を通じた健康を支援するための総合的な対策の推進を図るということを目標に取り組むべき事項として挙げております。
 それから、具体的な取組についてですけれども、「生涯を通じた女性の健康の保持増進」という部分では、男女が適切に自己管理を行うことができるようにするための健康教育・相談体制等を充実するということや、寝たきりにならず健康に過ごすための成人期、高齢期の健康づくりの支援、心のつながりや命の尊厳も重視し、児童生徒の発達段階に応じた適切な性教育の推進。思春期の女性の健康を守るという点では、過食とか拒食などのような問題がありますが、結局これは女性だけではなくて若い人たちの共通の問題として食に関する知識の普及、それを守るための知識の普及啓発を進めるということです。
 科学的根拠に基づいた健康情報の収集・分析・提供を行うということと、HⅠV /エイズを含む性感染症に関する情報やデータの収集を行い、予防教育・啓発を進めるということを盛り込んでおります。
 それから(2)の「妊娠・出産等に関する健康支援」ですが、周産期医療や救急医療体制の充実、不妊専門相談サービスの充実、妊娠・出産までの一貫した健康支援ということを入れて、ここでは特に女子差別撤廃委員会の最終見解の人工妊娠中絶に関する法制度などに対する改正の勧告に従って、その点や生殖補助医療に関する法制度について検討を行う必要があるという項目を入れております。
 それから(3)の「健康を脅かす問題についての対策の増進」の部分では、薬物等に関する予防教育・啓発や喫煙に関する正確な情報提供というような項目を入れております。
 (4)の「性差医療の推進」のところでは、男女の精神的(心理的)身体的特性を踏まえた調査・研究を充実するということや、性差医療に関する拠点病院の指定・整備と連携体制の構築を挙げ、(予防施策)としまして、「女性特有の」と書いていますけれども、男女の問題としまして、それぞれのがん検診やメンタル支援等を推進するということ、男性についても、男女の心身の健康維持、生活習慣病の予防施策を進めるということを挙げております。
 それから、「(5)医療分野における女性の参画の拡大」を特に取り上げて、女性をはじめとする医療専門職が働きやすい環境を整備する。特にワーク・ライフ・バランスの確保や勤務体制の見直し等を行い、医師が働きやすい環境の整備を進めることによって、女性が医療専門職として働きやすい環境の整備ということを挙げております。
 以上でございます。
羽入会長
ありがとうございます。
 それでは、恐縮ですが、辻村委員、10分野と11分野続けてお願いいたします。
辻村委員
まず10分野から始めさせていただきます。これは第2次基本計画でも第10分野にありました「教育・学習の充実」ということでございます。ここでは学校教育のみならず社会教育も念頭に置いております。
 「なぜ進まなかったのか」というところでは、これまでと重複しておりますが、固定的性役割分担の問題、ロールモデルの不足、理工系などが女性にとって低いということで、テーマ別の偏在の問題。それから、教育関係者の意識啓発が不十分であったために、教育機関において方針決定過程に女性が少なかった、そういうような論点を指摘してございます。
 《目標に盛り込むべき事項》としては、全般的に人権尊重、男女平等の理念の浸透ということだろうと思います。また生涯にわたる学習機会の保障ということ。それを通じて女性のエンパワーメントを促進するということではなかろかと思います。
 「具体的な取組」といたしましては、学校教育の分野で、上記の点を書き込んでおりますので、例えば家庭生活に資するような教育ということだろうと思いますけれども、男女ともに家庭科であるとか、道徳、特別活動などということを書いておりますが、男女ともに実践できるように指導の充実を図るということです。それから、学校現場における男女共同参画教育、これについては随分議論をいたしまして、「ジェンダー教育」という言葉を使っていいのだろうかとか、そういった問題ありましたけれども、一応男女共同参画に関する教育をする。高等教育機関においては、ジェンダー研究を含む、同じように男女共同参画社会の形成に資する調査・研究を充実させるといったことを書いております。
 21ページの一番下、読み直しまして、文章が舌足らずで何を言っているのかわからないという感じがいたしますけれども、これは国際化に対応した教育を行うということで、これは実は見え消しで消してあったのが、他文化教育の実施を進めるとなっていたのですが、これではわからないというので消したのですけれども、これは様々な人種や国籍の方が学校現場にいることを踏まえて、国際的視野に立った他文化教育ということでしたけれども、共生についての教育を行うという趣旨でございます。ただ、言葉が少し練れておりませんので、このあたりはもう少し検討したいと思っております。
 (2)では、これは学校教育のみならず社会教育を念頭に置いていますので、キャリア教育ということで、仕事と生活の調和の重要性の理解、そういったことについての研修や能力開発といったことを促進するということです。それとの関係で担い手としては、PTAやNPOなどの活動を重視するということ。それから、国立女性教育会館のさらなる充実・深化ということを書いております。また、大学等がそういった教育プログラムを作成することを促進したいということですね。
 大体はそのようなことでございます。
 第11分野を続けてさせていただきます。これは第2次の計画におきましては、第12の新たな取組を必要とする分野ということになっておりまして、独立項目には挙がっていなかったことでございますが、それにいたしましても、第2次計画で既に具体的な数値目標として、第3次科学技術基本計画に書かれておりますような理系分野全体で25%の採用目標であるとか、こういったことが第2次計画で既に書かれておりますので、今後、もう少し先ほどのポジティブ・アクションの導入ということを踏まえて、もう少し強く書いてもいいかなと思っております。
 「なぜ進まなかったのか」ということでは、理工系が非常に少ないという、男女の隔たり、ロールモデルが少ない。人事についての男性優先登用のような慣行が残存しているといったことも一応書いてございますが、いずれにしても、企業の研究機関、そういったところで女性の登用が非常に遅れているといった現状があるということがここに書いてございます。
 また《目標として盛り込むべき事項》としては、これは科学技術、学術が果たす役割は、これはこれからの世界、日本にとって非常に重要なもので、ただ、女性研究者の数を増やすとか、そういう問題だけではなくて、科学技術分野自体を先に進めていかなければいけないわけですから、そのための重要な担い手として女性を位置づけるということであろうと思います。また、学術会議などで取り組んでおりますけれども、科学者コミュニティの相互交流の中に女性をしっかり組み込んでいくということです。これには両方あると思います。学術分野の男女共同参画ということと、科学技術を進めていくために女性が必要だという視点、これをしっかり書き込んでいかなければいけないと考えております。
 具体的には23ページの下から取組が書いてございますが、これは実際には現在13%しか女性研究者比率がないということですから、これはどのように高めていくかということで、実際には大学や関係諸機関に積極的な措置をとるように促すということであろうかと思います。ここではポジティブ・アクション、先ほどポジティブ・アクションについてお話しましたときに詳しくは申しませんでしたけれども、ポジティブ・アクションのデメリットというのでしょうか、問題点としては逆差別であるとか、自由な活動を阻害する国家強制になるといったことのほかに非常に大きい要因はスティグマなのですね。ですからポジティブ・アクションを使うことによって、女性には能力がないからポジティブ・アクションを使うのだということになってしまいますと、これは女性にとってもよろしくない。ですから、そういう意味ではポジティブ・アクションが使いにくい場面がいくつかあるだろうと思います。科学技術の分野が、一番使い方が難しいところですね。同じ点数だったら女性の教員を募集しますというようなことを名古屋大学などがホームページで出してやっておりますけれども、これもまたいろんな問題を含んでいますから留保事項が必要です。そういうスティグマの問題をどう克服するかというある程度本質的なことも踏まえながらポジティブ・アクションを進めていかなければいけないということを考えております。
 ここには十分書き込んでおりませんけれども、学術会議であるとか、総合科学技術会議であるとか、そういったところとの連携も強めて、学術という分野での男女共同参画の意義をかなり前面に打ち出せるようなものにしていく必要があるのではないかと考えております。
 理工系の選択などで高校に出前授業をしたり、スーパーサイエンススクールをつくったり様々な取組を既に文科省がしておられますので、そういったことを一層充実させるということも必要かと思います。
 以上です。
羽入会長
ありがとうございます。
 それでは、12分野、伊藤委員、お願いします。
伊藤委員
12分野、「メディア」なんですけれども、メディアも基本計画第1次のときから書かれていながらなかなか具体的な施策が打ち出せない分野だったのではないかと思います。今回も難しいところがあるのですけれども、25ページを見ていただくと、1つ、下のほうに囲みで暴力に関する専門調査会の議論のメモが入っております。御存じのように、女子差別撤廃委員会の最終見解の中で、特に36パラグラフですか、「暴力を内容とするテレビゲームや漫画の販売を禁止することを締約国に強く要請する」という文言が入っておりまして、この分野も取組がこれまで以上に重要な分野になっているのではないかと思います。
 「なぜ進まなかったのか」ということですけれども、ここでまとめてありますように、1つはメディアに対する働きかけが不十分だったということですね。もう一つは、メディア自体がいまだにいろんな性別役割分業の仕組みを内在化させていますし、女性の参加が実はまだ十分でない分野でもあるということもあります。その辺がメディアにおける男女共同参画が進まなかったということの背景にはあるのだろうと思います。 特に考えなければいけないのは、先ほどの暴力のところともかかわりますが、日本のメディアがある種、性差別や性暴力を助長するような形で作用していないかということですね。それについての是正の働きかけはメディア分野での大きな課題だろうと思います。もう一つ。メディアを通じて男女共同参画への積極的な広報を進めるということがこの分野では問われるべきことなのではないかと思っています。
 《目標に盛り込むべき事項》としては、ここに書かれていますようなことがあるわけですが、今、読み直してみて気がついたのですが、実は具体的な取組は書かれているのですが、盛り込むべき事項の中に、メディア業界における女性の参画が書いてないような気がします。これは目標に盛り込むべき事項の中に入れておいたほうがいいように思います。整合性をとるためにということです。もう一つ、目標に盛り込むべき事項の中で、受け手の問題としてのメディア・リテラシーの問題をここでは書き込んでいただいています。これは当然議論になったわけですが、メディア問題はプレスの自由の問題があります。特に日本の場合は戦前・戦中のメディアに対する介入というようなものが民主主義体制を危うくさせたという歴史的な問題もありますので、なかなかメディアに対する規制や介入ということはストレートに出さないほうがいいだろうという判断もありました。その中でいかにしてメディアを男女共同参画と結びつけていくのかということを考えるということが必要なのではないかと思っています。
 (1)は「女性の人権を尊重した表現の推進のためのメディアの取組の支援等」ということで、規制や介入というよりは働きかけという形にならざるを得ないのではないかと思います。
 (2)のところで書いておりますように、先ほど申し上げたように、積極的な形の広報、メディアを通じた男女共同参画の積極的な広報ということについての位置づけが重要なのではないかと思っております。先ほど申し上げたように、「(3)メディア分野における女性の参画の拡大」。特に日本のメディアに関しては、ここで書いていますように女性の管理職割合が大変低い。少し増え始めてはいますけれど、10年ぐらい前だと統計上はゼロという数字が出てこないような状況だった。そういうことも含めて方針決定への女性の参画ということを進めることもメディア領域においては大切なのではないかと思っております。
 大体そんなところです。
羽入会長
ありがとうございます。
 それでは、続きまして、13分野、岩井委員、お願いします。
岩井委員
「地域における男女共同参画の推進」ですが、私はワーキング・グループのメンバーに入れていただいたのですけれども、全然出席できなかったのですが、でもワーキング・グループで取りまとめていただいたものをもとに起草ワーキングでとりまとめたものについて御報告させていただきます。後で御意見いただければと思います。
 「なぜ進まなかったのか」いう部分ですが、地域に住む人々の課題解決のための施策や活動の中で男女共同参画の重要性が十分意識されていない。また地域活動への参加には性別・世代に偏りがあって、PTAや自治会等地域における女性の活躍の場も乏しい。根強い固定的性別役割分担意識によって女性リーダーの育成が困難な状況にある。地方公共団体における男女共同参画に対する重要度に関する関心も低い。そういうところをまだ進まなかった要因として挙げております。
 《目標に盛り込むべき事項》といたしまして、地域社会の様々な活動に男性や若年層など多様な立場の人々が参加できるよう、仕事と生活の調和を進める。ワーク・ライフ・バランスも地域社会の活動の活性化に必要だということも入れております。そして、男女共同参画の視点を取り入れて、地域コミュニティの再生を図り、その考え方を地域活動の基本要件とするという固定的性別役割分担意識を解消するための意識啓発をさらに進めるということ。それから、男女共同参画の視点を踏まえた地域ネットワークの構築ということが地域においては重要なものとして目標に盛り込んでおります。
 それから、具体的な取組についてですが、「地域生活」につきまして、仕事と生活の調和を推進するため、住民、自治体、地域企業、NPO等との連携を図る。官民連携をさらに推進するということと、若年層の参画の促進、意思決定システムへの女性の参画促進。地域活動が特定の性、年齢層等で担われている分野や地域固有の文化活動への多様な者の参加促進。それから男女共同参画の視点を踏まえて、行政や大学、NPO等の地域活動を行っている団体等とのネットワーク構築、連携を促進するということです。多様な家族形態の増加を踏まえた、啓発活動及び関係団体との連携というものを挙げています。
 「(2)まちづくり・観光」を挙げておりまして、地域づくり、まちづくり、観光分野での政策・方針決定過程への女性の参画を拡大するということです。都市計画における男女共同参画の視点について、地域づくり、まちづくり、観光に関する地域活動、そういう分野で男女共同参画を図ることによってネットワーク構築を推進し、異業種間での連携・促進を図ることを挙げております。女性参加による成功事例を取り上げまして、それの普及を行うということです。
 「(3)防災」を取り上げておりまして、地域において必要な防災分野での政策・方針決定過程への女性の参画の拡大や、防災計画における男女共同参画の視点の導入。高齢者の経験を次世代につなげる取組の推進。女性・高齢者・外国人などの視点も踏まえた防災計画の立案、情報提供、平時訓練等を行うことを挙げております。
 それから「(4)環境」については、環境保全分野での政策・方針決定過程への女性参画の拡大。環境問題への官民連携。
 最後に「(5)地域における男女共同参画推進の基盤づくり」としまして、先進事例、ノウハウ等の情報収集・提供・共有を行うということと、地域活動の表彰、リーダー研修、ネットワーク形成支援。そして地方公共団体職員、それからいろいろなセンターの職員などの専門性を高めるための研修の充実を図る必要があると、そういう項目を挙げております。
 以上でございます。
羽入会長
ありがとうございます。
 それでは、続きまして、辻村委員、14分野お願いします。
辻村委員
第14分野、29ページでございます。「なぜ進まなかったのか」というところは、少し上のほうの文章はおかしいなと思っておりますが、「・」の下の2つ、女子差別撤廃条約等の国際規範を推進する体制が弱かった。これは、監視体制はあったのだと思いますけれども、推進体制が非常に明確でなくて、推進主体がよくわからなかったということ。それから、「国際規範に履行義務があるという認識が足りなかった」という言葉になっておりますけれども、これまで政府リポートいろいろ出しておりましたけれども、なかなか勧告の内容を実施することが十分ではなかったという認識でございます。
 これに対して《盛り込むべき事項》としては、これも指摘されていることを緊急に取り組むという改善策が必要だということをここに書いておりますが、恐らくはこれプラス貢献というか、アクティブなほうも書かないといけないでしょうから、それを書き足していくという積極的に国際機関の男女共同参画化であるとか、これから出てきますODAの男女共同参画的視点からの見直しとか、そういったことを進めていくといったこともここにも書いておいたらいいかと思います。
 29ページの下半分の取組のところでございますが、これは実は第2次計画では「国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透」となっておりましたものですが、少し表現が弱いのではないかということで「条約等の積極的遵守」、「国内施策における実行」、あるいは「国内への周知」という書き方にしました。特に今回の第3次計画には、昨年のCEDAWの最終見解の勧告を盛り込んでいく必要があるだろうということで、特にフォローアップ項目とされているものは2年以内に返事をしなければいけないわけですから、民法改正の18パラと暫定的特別措置、先ほどのポジティブ・アクションですが、28パラについては何らかの形で具体的に書いていかなければいけないので、優先的に取り組むということでございます。
 そのほか、女子差別撤廃条約だけではなくて、自由権規約とありますが、国際人権規約のA規約、B規約、あるいはその他のⅠLO条約でありますとか、まだ未批准のものもございますし、もちろん女子差別撤廃条約の選択議定書の問題も入ってまいりますけれども、今後積極的にその条約の推進というのでしょうか、履行の推進をしていかなければいけないということです。
 (2)は、これに対して今度はアクティブな国際貢献のほうでございまして、現在行われているGADイニシアチブ等の活動にいかに男女共同参画の視点を反映させていくかという問題です。効果的に実施していかなければいけないということを書いております。
 「(3)対外発信機能の強化」で、これは第2次計画のときには書いてなかったことですが、実際国際会議というと、CEDAWは国際会議とはいえないので、国際機関などで積極的に活動するという趣旨ですけれども、ネットワークであるとか、我が国の取組を国際的に発信していくアピールをしていくということを掲げております。いずれにしましても、国際的なジェンダー主流化の中にあって日本が率先して重要な役割を担っていきたいという趣旨を書いていったらいいかなと思っております。
 以上です。
羽入会長
ありがとうございます。以上で14分野ですが、最後に推進体制について、鹿嶋委員からお願いします。
鹿嶋会長代理
推進体制は大きく3つの柱になっています。まず「国内本部機構の強化」ですが、国内本部機構は閣僚と民間議員で組織する男女共同参画会議、閣僚で組織する男女共同参画推進本部、民間団体等が入っている男女共同参画推進連携会議、この機能、それから同時に連携を強化していくことを盛り込んでおります。
 次が「基本計画の実施状況や女子差別撤廃委員会最終見解等の実施状況についての監視・影響調査機能の強化」ですが、これが監視・影響調査専門調査会が担っている機能です。監視・影響調査専門調査会については、2008年の男女共同参画推進本部の決定で、あらゆる分野において男女共同参画の視点に立って関連施策を立案・実施する観点から、体系的・実質的に各施策を評価できるよう、その機能を強化するということが決定されております。その意味で監視・影響調査機能は機能を強化しなければならないのですが、それは何をするか。まず第1は、基本計画に書かれているマスタープラン、基本計画は男女共同参画のマスタープランですから、それがきちんと推進され、かつ効果を上げているのかといったことと同時に、そこに書き込みましたのは、直近の例で女子差別撤廃委員会の最終見解の実施状況についての監視・影響調査もやるのですが、仮にポジティブ・アクションをこの中に強く入れ込んでいくとすると、監視・影響調査専門調査会でいわゆるボジについて、政治の世界までどういう形で浸透させるのか。それから、辻村委員が言ったようにスティグマの問題もどのように解決すればいいのかといったようなところまで含めて、監視・影響調査専門調査会で取り組むことになるのかなと。これはまた私的意見でしかありませんが、そういう議論はまだしていませんので、目下、考えているところです。その意味では、先ほど申し上げましたように、ジェンダー予算の問題もこの監視・影響調査のほうで、特に影響調査という機能と似ているようなことですから、そういう中ではやっていく必要があると思っております。
 3番目の推進体制の強化としては、「地方公共団体や民間団体等における取組への支援」です。大分列挙しました。第2次基本計画はこんなにたくさんなかったのですが、地方公共団体、国立女性教育会館、女性センター・男女共同参画センター、民間団体、NGO、NPO、地縁団体、大学、企業、労働組合等の連携を図っていくということです。これは当然といえば当然の話ですが、必ずしも連携が十分ではなかったという印象もあります。
 では、どのように連携を図るかというのはまた大きな課題になってまいりますが、いずれにしろ、特に女性センターなどとはもう少し連携があってしかるべきだろうと思っております。
 というようなことで、監視・影響機能の強化、その推進機能の核として、そういう機能を強化していきたいと考えております。
羽入会長
ありがとうございます。駆け足で御説明いただきましたけれども、9分野から、今の御説明に対して意見、ご議論どうぞ。
岩井委員
私は起草ワーキングにも入っていたのですけれども、推進体制のところの3で、「地方公共団体や民間団体等における取組の支援」で、女性センターや男女共同参画センターの活動の支援というのが入ってきていますよね。これは推進体制の問題というよりも、地域とか、暴力の分野ではDV被害の救済でありますとか、性被害者への支援などで、こういう地域におけるセンターにかなり中核的に働いてもらわなければならないという部分があるのですけれども、そういうところがどういうものを管轄するかとか、そういうのがいろんなところに分散してしまうと非常に相談の体制というものが弱化してしまうというところがあるので、こういう機能を統合的に女性の総合的な問題に対処できるように機能させるといったことを、暴力とかそういうところで盛り込む必要があると思うのですが。
鹿嶋会長代理
この中に暴力とかそういうことですか。
岩井委員
女性センターや男女共同参画センター、民間団体、NGOというものへの支援というのは推進体制の問題としてだけではとらえられない問題だろうと思っているんですけれども、それはどうなんでしょう。
鹿嶋会長代理
おっしゃるとおり、そちらの側面も当然あると思いますが、推進体制はこの主語は国ですが、具体的には男女共同参画局がやはり中心になると思うんですね。例えば地方の男女共同参画センターなども、この5年間で様々な、いわゆる国との協力体制がほしいというような声は結構あるんですよね。ただ、国と地方の男女共同参画センター、国がどこまで支援できるかというと、これはまた非常に微妙な問題でして、情報提供と好事例などの発信とかそのレベルしか多分できないのかなという感じはあるのですけれども、情報提供については多くの女性センターに対して、例えば内閣府の委嘱事業でNWECなどが調査していますが、そういうところで出てくる女性センターのマジョリティーは、ほとんど金もない、理解もない、非常に情報もないというような中で頑張っているんですね。そういう中に国が何らかの情報発信をしていくという形でいわゆる支援が成立するのだろうと思っているんですね。
 だから、今、先生のおっしゃったのはもちろんそうですが、これはこの書き方でいいのではないかと思っているんですが。
羽入会長
よろしいですか。
岩井委員
はい。
羽入会長
ありがとうございます。それでは山田委員、どうぞ。
山田委員
まず細かいところなんですが、第9分野、20ページの最後の「男性に関わる問題への対応を進める」というところで、(メンタル面で孤立しやすい男性の相談、若年男性の自殺予防等)、よく知られているように、自殺を活かすのだったら中高年の男性が多いので中高年でしょうし、予防等で逸脱行動、いわゆる犯罪であるとか、ひきこもりであるとか、逸脱行動の面を強調するのだったら若年男性の逸脱行動になるのではないかというのが気づいたところです。
 あとは地域における、私は地域のワーキング・グループに参加していたのですけれども、ここでも管理職の問題と同じような問題が起きていまして、リーダーになったからといって何もいいことがないというようなことが結構共通認識になっておりまして、私も地域社会にかかわるなりしている中で女性がリーダーになる。加藤委員いなくなっちゃいましたけれども、陰口、悪口をたたかれてしまうんですね、上に行くと。PTA会長になると。男性がなるとそこはおさまるみたいなんですけれども、そういうのも1つあるので、何らかのインセンティブというのでしょうか、インセンティブなり、ディスインセンティブを取り除くなり、そういうところを入れていただきたい。私も発言した中で、地域活動を担う人材を盛り立てなくてはいけないということで発言させていただいたのですけれども、それが28ページの下から3行目の「評価を行う」になってしまっていて、評価を行うというのはニュアンスが違うような気がしますので、そこら辺をご考慮いただけたらと思います。
羽入会長
ありがとうございます。そのほか、いかがでしょう。あるいは今の御意見に対するお答え。
鹿嶋会長代理
山田委員の意見、そのとおりだと思うんですが、むしろ女性が引いてしまうという、男は落下傘のように自治会長になるのが当然だと思って定年退職するとぼんぼんおりてくるわけですね。女性のほうがむしろ、「どうぞ、どうぞ」と言って引いちゃうようなところがあって、それは地域のリーダーになることが、責任がのしかかってどうのこうのという以前の問題として、常に後方部隊のほうに女性が謙虚というか、役割分業の中で多分そういような生き方をずっとしてきたわけですね。ちなみに私が住んでいるところの自治会は、夫がほとんど参加しないんです。自治会長から役員まで全部女性でやっている。それはそれでまた問題があると思うんですが、自治会長さんからすべて女性であっても、やることは積極的だし、成果も上げているわけですだからどうなんですか。そういうところのインセンティブももちろん必要なのですが、逆に女性に対する啓発といいますか、そこでどういう啓発が必要かというと、男とけんかしろという話でもないだろうから、そうなってくると非常に複雑な問題もいろいろ絡んでいるのかなという感じでお聞きしていました。でも山田先生がおっしゃったことはよくわかります。
山田委員
ぜひインセンティブのようなことも盛り込んでいただければと思います。
羽入会長
どういう形のインセンティブにするかということもデリケートの問題のように思いますけど。
山田委員
地域グループの中で結構、桜井委員とやり合ったのですけれども、桜井委員は質的インセンティブがなければという話ですし、私は心理的インセンティブを必要だということだと思います。
羽入会長
ほかにはいかがでしょう。五條委員、どうぞ。
五條委員
1つ目は、第13分野の地域のところですけれども、ページの28ページで、「防災」のところがあります。特に「消防団への女性の参画を拡大する」という文章になっていて、防災分野のことについてのフォローアップをしたときにも議論をしたわけですが、防災分野への女性の参画をめぐっては性別間の固定的な役割分担意識に基づいた活動方式が依然として強いということが問題なのだろうと思うんです。例えば消防団があって、その消防団の協力組織として女性部や婦人部という形で位置づけられていたりということがあって、往々にして一生懸命そこの女性部の方が火災報知機の普及をやったりとか、何か災害が起きたときの煮炊きを担当するのだとかということを初めから役割分担意識として持っておられたりするという場合がありますので、ここは実質的に女性が消防団活動に参画するということだけではなくて、消防団活動をめぐる性別間の役割分担意識の是正や女性の位置づけや女性の参画を促すというような考え方で書いていくと、実際に消防団活動を現場で担っている女性も含めて、この意味というのが伝わっていくのではないか、そういうふうに1点思っております。
鹿嶋会長代理
具体的にどう直せばいいですか。
五條委員
例えば「消防団活動をめぐる性別間の固定的な役割分担意識の是正や、女性の位置づけの明確化、参画の拡大を図る」といったようなことではないかと思います。それが1点目です。
 2点目なんですけれども、前のページで「まちづくり・観光」という表題で、それで始まっているところが「地域づくり、まちづくり、観光分野での」というのが書いてあって、一体何を指しているかというのが人によって伝わりにくい場合があるということで、ここは少し明確にしておく必要があると。恐らくここで議論しようとしている課題として、今までの論点の経過をいえば、地域の資源や人材を活かした内発的な地域づくりのことだと思うんですね。そういうような意味合いの言葉を補足して、地域の資源とか人材を活かすということと、現場からの内発的なそういう取組に関する活動で共同参画の取組を進めるという趣旨を1行目に補足することによって、2行目以下、ずっと続いていますけれども、どういう分野なのかということについての内容が明確になっていくのではないかと思います。
 それから、あと推進体制のところですが、どうしても議論に、以前からワーキング・グループでも時折そういうことが話題になったことなんですが、例えば32ページの「2.基本計画の実施状況や女子差別撤廃委員最終見解の実施……」、この表題の最後の行で、「全ての施策について企画段階で男女共同参画の視点を浸透させ、実績や効果を把握することによって、次の施策に反映させる」ということですが、効果ということがどうしてもさらっと書いてあるわけですけれども、ここの部分がどうしてもこうした種の課題を議論する現場では、共同参画を進めて、それではどういう効果があったのかという議論がひとり歩きする場合がある。それで効果をきちんと測定して、今まで共同参画がこれだけ日本が抱えている政策課題を動かす上で非常に重要な意味があるということを数値で示していく、これはもちろん大事なことだと思うんです。例えば雇用慣行を見直していって、M字カーブのところをしっかり是正していくとか、それによってどれだけ企業が活性化してきているかというようなことを、例えば示すということが非常に大事ですし、どうやって効果を測定するかという研究も非常に大事だと思うんです。
 だけど、一方で効果ということを強調するがあまり誤解される可能性がある。例えば要職に登用された女性自身がどれだけのことができるのか、そういうことばかりを問われる。登用された女性がいわば上に上げられてはしごを外されてしまう。それで女が入って何ができたのだということを従来の社会構造のまんまの状態の男性の地域社会でそういう発言が出てくる。それがあたかも男女共同参画の効果としてどういうことができたのかということと併せて議論として使われてしまう可能性があるということで、この効果の検証ということについては十分考えていく必要があるということで、どのような効果を明確化するのか、その辺の検証が必要であるといったような内容を意識して入れていくようなことが大事なのかなと思います。
羽入会長
ありがとうございます。
伊藤委員
効果の測定の話はすごく重要だと思います。先ほど27ページの地域づくり、まちづくり、観光分野ですけれども、これ内発的な部分も大切だと思うんですけれども、私は同時に制度化された組織、例えば観光協会とか、制度化された組織も含めて考えていかないといけないのではないかと思っています。書くなら、そういう内発的な部分と同時に制度化された組織内での女性の参画の拡大というのを、ちょっと書いていただきたいなと思います。
羽入会長
ありがとうございます。鹿嶋委員ありますか。
鹿嶋会長代理
今、五條委員のところは、「実績や効果を検証・把握することにより」ぐらいの形で落とせるのが一番いいかなと思っているんですが、いずれにしても持ち帰って検討いたします。
羽入会長
ありがとうございます。時間が大分押してしまいまして申し訳ございません。ほかに、もし御意見がおありになりましたら、事務局にメール等でお寄せくださってもよろしいでしょうか。まだ、この検討は続きますし、ワーキング・グループはさらに御苦労いただくことになります。
 それでは、今日の議論はここまでにいたしますが、まだ全体に対しての議論をする機会もございますので、引き続きご留意いただきたいと思います。
 それでは、事務局から最後にお願いいたします。
企画官
本日の調査会から机上にピンク色のファイルを置かせていただいております。こちらは昨年地域のワーキングからの提案により3次計画策定に当たり、各都道府県を通じ御意見や御要望を綴ったものとなりますので、今後の議論の参考としていただければと思います。また今後、中間整理がまとまりましたら、4月下旬から5月中旬頃にかけて全国6か所で広く国民の皆様から御意見を伺う公聴会の開催を予定しております。専門調査会の委員の皆様には御出席をお願いすることがありますので、その際にはどうぞよろしくお願いします。詳細が決まりましたら、また御連絡させていただきます。
 次回の調査会につきましてですが、3月10日(水曜日)13時から本日と同じこちらの会場で開催予定です。次回は日本経団連からのヒアリング及び中間整理取りまとめに向けた議論を予定しております。ヒアリングにつきましては、日程の都合上、次回とその次の回、2回に分けて行うこととなり、1回にまとめられず申し訳ございませんでした。
 以上でございます。
羽入会長
ありがとうございます。今、少し御案内ございましたけれども、以前に委員のほうから提案がありました経営者の側の御意見を伺いたいということでご準備いただきました。それから、今後さらにワーキング・グループで詰めていただきますけれども、最初に鹿嶋委員のほうから御報告がありましたような、エッジのきいたというのでしょうか、我々が最初につくってまいりましたものの中で、新たな視点というふうにしておきましたものを具体的な目標が定められるような形で御検討いただくということになろうかと思います。
 それでは、本日の調査会をこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

(以上)