第12回男女共同参画基本計画に関する専門調査会議事録

  • 日時: 平成17年7月11日(月) 13:00~15:10
  • 場所: 経済産業省別館825号会議室
  1. 出席者
    岩男 壽美子
    会長
    古橋 源六郎
    会長代理
    鹿嶋 敬
    委員
    桂 靖雄
    委員
    神田 道子
    委員
    佐藤 博樹
    委員
    庄司 洋子
    委員
    竹信 三恵子
    委員
    林 誠子
    委員
    原 ひろ子
    委員
    広岡 守穂
    委員
    古川 貞二郎
    委員
    山口 みつ子
    委員
  2. 議事
    • (1)開会
    • (2)報告書案について
    • (3)その他
    • (4)閉会
  3. 議事内容
岩男会長
大変お忙しい中、また、お暑いところお集まりいただきましてありがとうございました。ただいまから男女共同参画基本計画に関する専門調査会の第12回の会合を開催いたします。
 それでは、まず資料について、事務局から御説明をお願いいたします。
定塚推進課長
それでは、本日の配布資料でございますが、資料1「自民党過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム会合(7月7日)提出資料」です。これは先週7月7日に同会合が開かれまして、その際配布されたもので、専門調査会の先生方にお伝えして御検討いただくと申し上げた資料でございます。後ほど説明をさせていただきます。
 次に「報告書(案)」ですが、前回の先生方の御議論、前回以降、委員の方々から提出していただいた意見を踏まえた修文をつくっておりますので、まずこちらを御説明したいと思います。
 まず、修正部分ですが、報告書の3ページの一番下の部分です。こちらは数値目標について記載を加えております。「なお、男女共同参画の施策の前進を図るためには、次期基本計画に可能な限り数値目標を盛り込むことが重要である。このため、数値目標を本文中において設定するとともに、文末の資料において数値目標をまとめて掲載しているが、この他にも、次期基本計画の策定に向けて、数値目標の設定について積極的に検討することが望まれる。」としております。
 これは後ほど御説明しますが、数値目標として考えられるものという一覧表資料として、こちらの報告書に載せることとしております。しかしながら、その数値目標は必ずしも十分でないということから、このほかにも「積極的に検討することが望まれる」という記述をしてはどうかということで、事務局で追加をしたものでございます。
 次に28ページ、雇用の部分でございます。(1)の【施策の基本的方向】の中の部分です。こちらは前回の会議の際に、林委員、その他の方からポジティブ・アクションのことだけしか書いていないので、男女間の格差を解消するためにはポジティブ・アクションしかないのか、例えばそのほかにも間接差別とか、そういったものがあるのではないかという御意見が出されていたかと思います。そうした意見を踏まえ修文をさせていただきました。「男女労働者間の格差を解消するための施策が必要である。このため、企業のポジティブ・アクションを促進するための施策等を積極的に展開する。」ということでございまして、以前の文章ですと、「男女間の格差を解消するための」ということで、すぐポジティブ・アクションに結びついていたので、それしかないように見えたのですけれども、こちらの方でいったん文章を切りまして、「企業のポジティブ・アクション」、「施策等を」という形で広がりを持たせる書き方とさせていただいております。
 それから、そのページの【具体的な取組】の3つ目の「●」でございます。「メンターの設置」と書いてありましたが、こちらも前回何人かの委員から御意見がありまして、「メンター制度の導入」という形で書きかえさせていただいております。
 次に右側の29ページ一番下の【具体的な取組】のところの「●」です。こちらは従来の文章ですと、「末子の年齢上昇」と書いてあったのですが、この言葉について、より適切な語に改めるべきという岩男先生の御意見がありまして、「子どもの成長とともに」という形に書きかえさせていただいています。また、その文章の中で「同一企業に」、あるいは一番下の行の「再雇用制度等の企業への普及」と書いてございますが、こちらについて、企業に限らず、例えば団体、諸団体であるとか、公務部門なども含むだろうという御意見が岩男先生からございまして、上の企業の方は「同一事業主」、下の方の「企業への」は、これは特に載せなくていいだろうということで削除いたしております。
 次の30ページの一番下の「●」です。こちらは「多様な就業ニーズを踏まえた雇用環境の整備」の具体的な取組ですが、従来「情報通信ネットワークを使った働き方であるテレワークについて普及促進を図る。企業における在宅勤務については適正な労務管理の下で行われるよう普及を図る。」としておりました。こちらも「企業等」ということで「等」を加えて、先ほどの前のページと同じように幅を広げたということ。それから、関係各省からの御意見もありまして、このような文章に改めさせていただきました。
 続きまして32ページでございます。農山漁村の項目ですが、32ページの表題について修正を加えております。32ページの表題は、後の方で出てきます目標の表題ともなるもので、実際の計画の各分野の表題となるものです。こちらは前回の御議論の中で、農山漁村における男女共同参画の確立というだけではやや短過ぎて、もう少し意味がわかるような内容を書き込むべきではないかというような御意見をいただきました。そのような御意見を踏まえ、【活力ある農山漁村の実現に向けた男女共同参画の確立】という題にとりあえずさせていただいております。
 同じページの(2)の【計画期間中に実施した主な施策】の2つ目の「●」でございますが、「全国農業会議所」と書いてありましたものを「農業委員会系統組織」ということで表現の適正化を図らせていただいております。こちらは関係省庁の意見によるものでございます。
 次が36ページでございます。こちらは前回、御指摘ありましたが、「〈評価と問題点〉」の中の3つ目の「●」で「家庭経営協定」とありましたが、これは誤字でございまして、「家族経営協定」と改めさせていただいております。
 37ページの〈目標〉の4.これは先ほど御説明したのと同じ文章でございまして、「活力ある農山漁村の実現に向けた男女共同参画の確立」という表題に改めております。
 また、〈目標〉の中の下から3行目、これも目標の表現の書きぶりを修正したことと相まって修正をしたもので、「持続的な農林水産業の発展と活力ある農山漁村の実現に資するため、女性の社会参画及び経営参画の促進等、農山漁村における男女共同参画の確立に向けた総合的な施策の推進に努める。」という形でまとめさせていただいております。
 次に38ページの一番下の「●」でございます。家族経営協定の項目のところですが、従来の書きぶりの「また」以下のところを削除し、そのかわりに、次の39ページの一番上の「●」を追加させていただきました。これは前回、五條先生から国民の意見募集を踏まえての御意見がございまして、共同経営だけではなくて、経営者ということも踏まえて書いたらどうかという御意見を踏まえての修文です。「経営者や共同経営者としての女性の社会的地位を明確化するため、女性が農業経営を担っているケースの実態把握や、家族経営協定の仕組みも活用した関連制度の整備等の支援を進める。」という書きぶりにさせていただいております。
 次が40ページでございます。40ページの一番下の「●」です。高齢者の項目でございますが、こちらも前回、五條先生からの意見がありましたものを踏まえて修文をしました。「男女がともに同等の老後生活を確保することができるように、現行農業者年金制度の周知徹底等、各種社会保障制度の普及・定着を図る。」という文言にしております。
 次に47ページでございます。(3)の【具体的な取組】の1つ目の「●」の2行目でございます。「職場中心の」と書いてありましたが、こちらは岩男先生の御意見で「職場優先」の方がよろしいのではないかということで、「優先」という表現に改めさせていただいております。
 次に58ページでございます。(2)の【具体的な取組】の1つ目の「●」、こちらは性教育のところの書きぶりでして、前回、竹信先生、その他、皆様の御意見があったところでございます。その後、石川先生及び竹信先生から文書にて意見を提出いただきまして、そうした御意見を踏まえて、ここに書かれているような形で修文をつくっております。「学校における性教育については、学習指導要領にのっとり、児童生徒の発達段階を踏まえて行うよう、学校関係者等に対し周知徹底を図る。さらに、適切な性教育の内容や進め方等については、学校関係者、父母、専門家等、現場の意見を踏まえつつ、国において検討を進め事例集を作成・配布するなどの方法により、各教育委員会に周知を図る。」という文章となっております。
 次に62ページをご覧ください。メディアの項目でございます。こちらは〈目標〉の中の下から3行目、下から2行目について、「人権」という言葉に「女性の」と付いていましたが、これは岩男先生の御意見を踏まえまして、「女性の」をとりあえず削除をいたしております。
 その下の(1)の【施策の基本的方向】の5行目の「女性の」、こちらも同様でございます。
 なお、63ページの【具体的な取組】の中の2つ目の「●」と3つ目の「●」、こちらは「女性の」を除いておりますが、こちらは誤記でございまして、こちらの「女性の」という部分はそのまま生かすということで、この二重線はなかったものということで訂正をしていただければと思います。
 また、少し上に戻りますけれども、63ページの上から3行目、「自己発信」と書いてありましたが、こちらも岩男先生の御意見により、「自ら発信」の方がわかりやすいのではないかということで修正をいたしております。
 次が71ページでございます。(1)【具体的な取組】の2つ目の「●」の部分です。こちらも前回御意見をいろいろといただいたところです。それらの御意見を踏まえ、このようにいたしております。「男女共同参画は生物学的な性差があることを前提としており、男女の中性化を目指すものではないことにつき、教育関係者等に対し周知徹底を図る。」としております。
 次が77ページでございます。【具体的な取組】の上から5つ目の「●」で、最後から2行目のところ、「国際規範・基準の翻訳・普及を積極的に検討し」だったものを「行い」の方がいいと前回御意見ありましたので、「行い」と改めさせていただいております。
 次に78ページでございます。【具体的な取組】の2つ目の「●」で、「ジェンダーの視点を盛り込んだODA関連施策の推進のため、ODAにおけるジェンダー関連分野の割合に配慮する。」ということで、「予算」という二文字を削っております。これは関係各省の意見によるものです。
 次に、そのページの一番下から2つ目の「●」、「研修の内容は国内外における議論も踏まえつつ改善する。」といたしております。これは、前回「国際的な潮流も意識しつつ改善する」という文章になっておりましたが、その表現ですと、よく趣旨がわからないという御意見もありましたので、「国内外」ということで、国外のことだけではなくて、国内のことも踏まえてということで、このような文章に改めさせていただいております。
 次が79ページの上から4つ目の「●」でございます。前回の案では、「女性及び男女を問わず男女共同参画に深い識見を有する者」と書いてございましたが、この「男女を問わず」というのがわかりにくいという御意見等を踏まえ「女性及び男女共同参画に深い識見を有する者」、この表現は中間整理の文章そのままですが、もとに戻させていただきました。
 次に82ページをご覧いただきたいと思います。科学技術の最後のところの「●」(2)というところの1行上の部分です。こちらは書きぶりがややわかりにくいということもありまして、「男女共同参画の推進のためのネットワーク形成支援、メンター制度の導入及び相談窓口の活用促進等」ということで、「メンター制度」ということを書き加えるとともに、「相談窓口」を後の方に持ってきまして、文章を整理させていただきました。
 最後に89ページでございます。89ページの推進体制の整備・強化の部分ですが、真ん中より少し上、「男女共同参画関連予算の取りまとめ」のところで、前回の御意見を踏まえ、「男女共同参画の推進の見地から当面特に留意すべき事項と、それ以外の事項に区分して行う。」という形に文章を改めさせていただいております。
 修正しました点は以上でございます。
 それから、修正をした部分以外に、林委員からは、机上に「林委員提出意見」と書いてございますけれども、27ページ、雇用の部分の〈目標〉のところに文言の順序の入れかえをしてほしいという御意見がございましたが、こちらの方はなかなか難しいのではないかということで、修文はいたしておりません。
 それから、前回の御意見の中で、12ページですが、常勤の国家公務員の短時間勤務制度の導入につきまして、「定員管理のあり方も含めて検討する」という内容を加えてはどうかという御意見もございましたが、これらはなかなか関係省庁と調整がつきませんでしたので、今回は入れないということで整理をさせていただければと思っております。
 報告書の修文はとりあえず以上でございます。
 続きまして、その次に置かせていただいています数値目標というものを御説明させていただきます。こちらは報告書に別紙という形で付ける予定の資料でございます。新しい基本計画ではできる限り数値目標を入れるべきという御意見をいただいておりまして、そうした中で考えられるもの、とりあえず当面考えられるものということで整理を各省庁と協議しながらつくったものがこちらでございます。
 前回、既に幾つかの政府の計画の中で出されている目標ということで資料を出させていただきましたが、そのほかに今回追加したものは、2の制度慣行「『男女共同参画社会』という言葉の周知度」、こちらを追加してはどうかということで入れております。
 それから、4の「農山漁村、地域における女性の経営・社会参画目標の設定割合」を増加させること、こちらも追加をさせていただいております。
 そのほか、既に子ども・子育て応援プランにあったものですが、両立支援のところの2つ目の「小学校就学の始期までの勤務時間短縮等の措置の普及率」、それから、そのページの下から5つ目の「ショートステイ事業の推進」、「トワイライトステイ事業の推進」、母子家庭等の関係事業ということで、一番下の5つの欄は追加をさせていただいております。
 それから、逆に前回出した資料から削除したものということでは、裏側の新たな取組の下から2番目の「女性研究者の採用の促進」のところです。こちらは、前回はもう少しいろいろと書いてあったのですが、現状で書けることということで、今、ここにお示ししているような形のものに限定させていただいております。
 以上、この数値目標でございまして、これを別紙として付ければと考えているものでございます。
 引き続きまして、報告書の副題につきまして、我々事務局もあまり知恵がないのですが、とりあえずたたき台として先生方に御意見をいただけたらということでいくつか考えてみましたので、後ほどお時間があれば御議論をいただきたいと思います。
 まず、資料1と書かれた資料をご覧いただきたいと思います。「自民党過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」は、座長が安倍幹事長代理、事務局長が山谷えり子議員でございます。議員の先生方、およそ20名程度がお集まりいただいて、過激な性教育や学校現場でのジェンダーフリー教育について調査を行っているプロジェクトチームです。このプロジェクトチームで、男女共同参画基本計画の改定につきご検討がなされ、7月7日の会合には男女共同参画局も呼ばれまして、御意見を多々いただいたところです。見直しのポイントということで資料のその1、中間整理のポイントにつきまして、このプロジェクトチームのメンバーの先生方がお持ちの意見を書き込まれた資料がその2でございます。
 7月7日のPT(プロジェクトチーム)会合におきましては、先生方からは、過激な性教育やジェンダーフリー教育の暴走は現場で勘違いをして起こっているだけではなく、根底にはジェンダー概念があるのではないか、そういう意味からジェンダー論を基本計画に入れるのはおかしいというご意見がございました。また、「ジェンダー」という語は世界的にも定着をしたものではないだろうというご意見。基本法には、「ジェンダー」という言葉は書かれておらず、そうであるならば、基本計画に入れる必要はないだろうというご意見。ジェンダーという名のもとに性差を否定するような思想がばらまかれて混乱を招いているといったようなご意見など多々ございました。
 「見直しのポイント」においては、「ジェンダー論によらない基本計画を」ということで、1つは家族否定につながる表現は不適当ということで、「家事は無償労働」という表現、「家族経営協定」の記述。それから、苦情処理とかメディアの取組について問題点が上げられています。
 また、「ジェンダー」という言葉についての削除、「あらゆる分野」という言葉の表現について、また、性教育については、従来からいろいろ議論されているように、過激な性教育が非常に問題である、という御指摘でございます。
 2つ目としては、党として方向性が定まっていないことは載せるべきではないということで、例えば、個人単位の考え方に偏りすぎるということ。税制、夫婦別氏制度などは特定の考えに誘導しているのではないかという御意見がございます。
 一方で、「推進すべき政策」としては、【労働政策】の中での再就職支援、男性も含めた働き方見直し。
 【子育て・家族支援】では、0歳児の育児休業中における所得保障のあり方、児童手当、出産一時金前倒し等の支援策、働く母親だけでなく、あらゆる母親の子育て支援。
 【まちづくり】については、地域活動への参加。
 こういったものは男女共同参画施策として推進すべき政策である。このような御意見でございます。
岩男会長
ありがとうございました。それでは、まず最初に、この報告書の案について、皆様方から、前回及びその後寄せられた御意見に基づいて事務局で修文をしてくださった、その部分について、あるいはそれ以外でもよろしいのですけれども、この報告書について、何か御意見がございましたら、どうぞ御発言いただきたいと思います。
 それが終わりましてから、この自民党のプロジェクトチームの御意見についての議論をしたいと思っております。
原委員
報告書そのものではなくて、数値目標のことでもよろしいですか。
岩男会長
はい。
原委員
目標のところに年が書いてあるところが、2020年と22年とか、これが混ざっているのですけど、それは仕方がないのでしょうか。
古橋会長代理
平成と西暦が混ざっている。
定塚推進課長
関係省庁と相談させていただきます。
岩男会長
統一をしていただければと思います。
原委員
もしどうしても西暦と何とかと混ぜなければいけない場合は、平成22年度みたいに書いていただいた方が間違いない。
岩男会長
そうですね。
原委員
ありがとうございます。
岩男会長
いかがでございましょう、ほかに。
佐藤委員
12ページのところの、いわゆる国家公務員の短時間勤務制度、もう少し詳しく書いてとお願いしたのだけど、だめだったということなんですけれども、多分これだけだと公務員の人はわかるけれども、それ以外の人はわからないのではないかということでお願いしたわけなんですね。現状でも部分休業という制度はあるわけです。2時間まで短縮できる制度。それがあるから入れる必要ないではないかと普通民間で勤めている人は思うんですね。
 短時間勤務制度を入れればというよりか、現行の部分休業制度にも問題があるということが問題で、そのことがわかるようにしないと、多分国民の理解を得られないのではないかということなんです。これは総務省ですか。
定塚推進課長
担当は総務省でございます。
佐藤委員
ちょっと説明させていただきますと、現行、公務員が育児休業をとると定員から外れるわけです。ですから、その後、雇えるんです。部分休業の場合は定員として残っている。例えば2時間短縮すると6時間になりますから、給与だと8分の6ですね。
 民間であれば、減った2割で、例えばアルバイト等を雇えるのですけど、公務の場合人件費こないんです。民間が短時間勤務等が3歳まで義務化されたときに、公務員ももちろん民間準拠でそういう制度入れるわけですけれども、公務員の場合は育児休業を3歳までとれるようにしたんですね。
 これはなぜかいうと、先ほどのような部分休業制度ですから、これは3歳までとられると職場が困るわけですね。育児休業とれば定員から外れますから、それであればやれるだろうということで、ですから国家公務員は育児休業を3歳までとれるようになっているんです。
 もちろん制度として部分休業があるから使えば使えるわけですが、先ほど言ったように職場としては、とられる側として非常にやりにくい。ですから、例えば部下が部分休業とりたいというと、育児休業を3年とればいいよということが起きかねないですね。実際上、公務員の方で3年育児休業をとっている人は少ないです。それはなぜかというと、やっぱり3年も職場離れたら続けられなくなりますので、ですから基本は育児休業+短時間勤務というのが、子育てしながら仕事を続けるという非常に大事なわけです。ところが公務員はできないです。ここに問題があるわけです。
 今回の次世代の中で、子育て支援の仕組みをつくる中で、いわゆる認定制度が入りましたけれども、民間の場合、認定マークをとるためには短時間勤務等を6歳まで入れなくてはならない。6歳まで短時間も入れないと認定マークとれないわけです。公務員はどうするかですが、本当に育児休業を6歳までにするつもりなのかというと、とてもそれは無理な話だと思います。
 そういう意味でも何らかの形で、短時間勤務をとった場合、予算上、人を雇える形にしないと、育児休業があるからいいやということでは、公務員の子育てしながら仕事をすることを阻害するので、短時間勤務制度を入れてほしいと考えているわけですけれども、多分そういう趣旨が伝わらないのではないか。
古橋会長代理
総務省から企画官から来ているから、企画官。
(総務省)
総務省でございます。いずれにしましても、我々は男女共同参画の重要性に関して理解してないわけではないですし、そのために新たな勤務制度を設けることについても全く異論ないのですけど、それに伴いまして、定員制度をどうするかというのは、その新たな勤務制度をどうするかというのを見ないとなかなか判断できませんし、それから定員のことを非常に重点を置かれておっしゃっていただいていますけれども、定員以外にも給与だとか共済だとか、いろんな条件を整える必要があると思いまして、そういうものとともに、我々も検討はしていきますので、まず制度を見た上で、我々としても検討させていただきたいと思います。
 部分休業制度の拡大とかその他につきましては、我々行政管理局では担当しておりませんで、公務員制度を担当する人事院あるいは人事・恩給局の方で検討することになっています。
佐藤委員
確かに現行の部分休業制度にも問題あるんですね。実際上非常にとりにくい、あるいは職場でとらせにくい仕組みになっているということで、その課題は認識されているのかどうか。そういう問題があるということは理解していたのか。
(総務省)
部分休業でございますか。
佐藤委員
部分休業についても。
(総務省)
部分休業がとりにくいというのは、我々は定員を担当しておるわけで……
佐藤委員
そういう話なんですね。ですから6時間になっても定員は1なんですよね。
(総務省)
それはそうです。
佐藤委員
ですから民間であれば給料は減っているわけですから、その分が現場で使えるわけですけど、使えない。例えば非常勤の方を雇うこともできないんです。
(総務省)
非常勤を雇うかどうかは、我々は常勤の恒常職になっている定員というのを管理しておりますので、非常勤を雇うかどうかは、また別途、予算とか、そういう話になってくるかと思います。
岩男会長
前回、佐藤委員から修文を出していただいわけですよね。それはどういう文言であったのでしょうか。
定塚推進課長
私どもで事務的に御相談させていただいたのは、この12ページの文章、「早期に検討する」の後に、「その際、現行の定員管理の方式を短時間勤務者について、要員数の管理から時間数の管理に変更することを検討する」という、ちょっと違うかもしれませんが、そういう趣旨の文章でございまして……。
古橋会長代理
定員管理を時間数に変えろということはできないんですよ。だから、それを直した案を管理局に提案したでしょう。
定塚推進課長
「現行の定員管理の方式について、短時間勤務者の時間数を加味したものとすることを検討する」という修文を……。
古橋会長代理
そういうことで出したのですけれども……。
岩男会長
それでもぐあいが悪いということですね。
古橋会長代理
それが悪いということが返ってきたのでしょう。
佐藤委員
定員制度自体見直すのは、そういうふうに言われちゃうと困るというのを……
古橋会長代理
定員の管理の問題ではなくて、「常勤の国家公務員に短時間勤務制度の導入について早急に検討するとともに、現行の部分休業制度の運用についても改善する」ということなんですか。
佐藤委員
いや……。
古橋会長代理
現行の部分休業制度の運用が悪いんですか、どこが悪いんですか。
定塚推進課長
佐藤先生のおっしゃっているのは、部分休業の運用でなくて制度で、部分休業自体が定員に全く反映しないので、結局使いにくい制度だということです。
佐藤委員
育児休業をとると定員から外れるんですね。そうすると新しく雇える。ところが部分休業というのは、6時間になっても8時間いるというふうに解釈されるんですね。6時間勤務というのはないんです。だから8時間というふうにみなされるために、その人はもらう給与が減るんです。
古橋会長代理
それだったら、部分休業制度について検討すると書いたらいいじゃないですか。
佐藤委員
多分これは部分休業じゃ……。定員の中なんです、部分休業。
古橋会長代理
部分休業だけ。
佐藤委員
定員の中です。それも2時間までしか短縮できないんですけれども、定員の中なんです。ですから6時間でも1人いるというふうにみなされるので。
(総務省)
育児休業ですと、まさに業務に従事しないので定員外とされるわけですけど、部分休業ということで6時間働くわけですが、そこはもちろん常勤で恒常職に充てるべき定員ということで、カウントさせていただいています。
 それで、先ほどからおっしゃっています非常勤を雇うかどうかという場合は、また予算をつけるかどうかという話になろうかと思いますので、また定員管理とは違う話。
佐藤委員
実際8時間やっている仕事の人が6時間になるわけです。物理的にいうと、2時間仕事が残っちゃうわけです。だけど、定員は増やせられないですね。そうすると、当然6時間の部分休業もとりにくい。ですから育児休業とりなさいということになりがちなわけです。
古川委員
それは定員の議論でなくて、賃金職員とか、そういう予算措置をやって職員を雇えば、その問題ではないかと言っているのでしょう。
(総務省)
まさにそうです。
佐藤委員
そういう予算措置はないです。
古川委員
ですから、そういう予算措置をひっくるめて検討しろというような御提言ではないかという、そういうことですね。
佐藤委員
そうです。
林委員
ここに短時間勤務制度の導入と公務員について書かれているのは、必ずしも育児休業に関することから出ているだけじゃないですよね。こういうふうに入れてしまえば、様々な必要性・ニーズによって短時間勤務制度というのを検討することが必要だという立場で書かれていると思うんですね。
佐藤委員
そうです。
林委員
そうですね。そう理解しています。
佐藤委員
一番わかりやすいのはそこですね。
林委員
だから、ここのところで、別の調査会の方で出ていたこともよく似ていることですけど、人員管理ではなく時間数管理というやり方を考えていく必要があるという議論をした経過があると思うんですよね。それというのは、民間にも国家公務員の中でそういう制度を導入していけば、かなりな影響が出てくるというのか、1つのモデルになるだろうという私は受けとめをして聞いていたし、そうだと思ったんですね。その短時間勤務制度という、正社員というか、正職員として短時間勤務するということを入れていくならば、社会保障の仕組みだとかということにも大変重要な変化が生まれるというふうに思ってお聞きしていたわけです。
岩男会長
佐藤先生、現在の書きぶりではぐあい悪いですか。私はこれですっとわかるように思って、そもそも提案したのはこういうことで提案をしていたのでこれでいいような気がするのですけれども。
古橋会長代理
総務省は短時間勤務制度が導入されれば、それに伴っていろんな問題が出たときには検討しますと、こう言っているんですよ。言っているものだから、私はそれじゃしようがないなといっておりたんですよ。
佐藤委員
とれますよ、短時間勤務が、しかしフルタイム扱いでは困るんです。それだけなんです。それ、意味ないんです。
岩男会長
実現ですよね。
佐藤委員
そうなんです。実際は使える仕組みなんです。
岩男会長
ですから、実現に向けて早期に検討するとか。
佐藤委員
それだけの話なんです。
古橋会長代理
それは予算措置のほかにも定員措置も考えられるんですよ。
佐藤委員
だから定員という必要はないと思うんですけれども、導入して、それが活用される仕組みなんですよ。例えば、少なくともそういうことだと思うんですね。
古橋会長代理
導入してからなんですけれどもね。
佐藤委員
まあ……そういう意味では、今、育児のも部分休業というのはあるんですけど、非常に使いにくいですね。趣旨はそういうことです。
岩男会長
確かに使いにくいものはほかにもいろいろありますので、もう一遍検討させていただきますけれども、いずれにしても、これは残すという方向で進めさせていただきます。
 ほかに御意見がございましたら。
古橋会長代理
71ページの直していただいたところの「男女共同参画は生物学的な性差があることを前提としており、男女の中性化を目指すものではないことにつき」と、中性化を目指すということについては、中性化とはなんぞやと。生物学的な中性なのか、言葉遣いが、女性が男性の言葉を遣うのか、あるいは男らしさなのか、女らしさなのか、これがこんがらかっちゃう。中性化を目指すものというものではないということについて、私は男女の性差意識の解消、これは私は非常にいいなと思っていますが、性差意識の解消を目指すものではなくて、性差別意識の解消を目指すものであると、こういうふうに言えば、だれもが納得するのではないか。「中性化」という言葉が非常にわかりにくいのではないかと。
 だから、「性差意識の解消を目指すものではなくて、性差別意識の解消を目指すものである」と言えばだれもが了解する。「性差意識の解消を目指すものではない」と言えば、騎馬戦を男女混合でやるというのはおかしいよということになります。私はいつもいろんなところで議論するときに、「中性化」という言葉に悩むものですから、皆さん方の意見を教えていただきたいなと。
岩男会長
竹信委員、何かおっしゃりそうな。
竹信委員
確かに性差と性差別は違うことだと思うので、おっしゃるように「性差別意識」というのをきちんと入れておくことも大事だと思います。「中性化」というのは、確かに今おっしゃったことを伺ってそう思ったんですけれど、概念が広過ぎて、勝手な解釈が確かにできてしまう。例えば男性が家事、育児を手伝うことが中性化だと言われてしまったら、これは拡大解釈されて、基本計画に中性化だからだめと書いてあると言われると、確かに抵抗できないですね。だから、確かに「中性化」という言葉は解釈が広過ぎるから危ないというのはそうかもしれませんね。
岩男会長
あまり適切な言葉だとは思えないのですけれども。
原委員
ここの文章、もうちょっと練り込む必要があると思います、おっしゃるように。しかし、どうしてこういう表現が出てきたか。だから、これをこのまま使っていいというふうに言うのではないのですが、ジェンダーなどを批判なさる側は、ジェンダーフリー教育を提唱する人たちは、オスとメス・雌雄の別のないカタツムリのような生物に人類をしようとしているのだ、だから人類を中性化しようとしていると、そういう表現をお使いになっているんです。だから、ここにこういう言葉が出てくるのだけれど、その表現を、この中に使わない方がいいだろうという意見に私は今傾いています。
 ここの修文は、この間、私が「生物学的な」というのを足していただきたいというふうに申したのですが、やはりこの「中性化」という言葉は、それこそ幅広く使われるから。
 でも、カタツムリみたいにしようとしているのだという、まずはおっしゃって批判なすったんです。あちら側が。このごろはあまりおっしゃらない。ジェンダーフリー教育は人類をカタツムリにするという言葉は、3年ぐらい前ですか、おっしゃっていたのは。
岩男会長
3年ぐらい前のことであれば、なおさらのこと、この「中性化」という言葉をここに入れない方がよろしいと私も思います。
原委員
そう思いますよね。
岩男会長
ですから、もうちょっと限定的にというか、だれが見ても誤解のないような書き方に、ここはもうひと工夫するということで、御提案あるいは修文案があればぜひいただきたいと思いますけれども。
山口委員
かなり弁解がましいような表現はよくないですね、ここみたいに。調子がここはちょっと違いますね。
岩男会長
ここは少し弁解がましくないように、今回はしたはずだったと思うんですね。前回そういう議論がいろいろとあって、必ずしもここだけではないんですけれども、何となく言いわけがましいのはやめましょうと、私もそのとおりだと思うんですけれども。こういうことをいちいち言わなければいけないんですか。
神田委員
ここのところは、「前提としており、そのことを教育関係者に対して周知徹底を図る」でいけないんですか。
岩男会長
中を消してしまって。
鹿嶋委員
「生物的な性差があることを前提としており」という点では、そこから先が問題なんですよね。だから、「前提としている。」、マルをつけて、「同時に男女の中性化を目指すものではなく、男女の差別意識」、あるいは優越意識等をなくそう」と、何かそういう趣旨のことが入った方がいいのか。
林委員
「前提としている。」とするのは私も賛成です。その後半で「男女の中性化……」というのを残すことはよくないと思うし、もう一つ、その後ろで、「意識」という言葉がありましたけど、その意識というところで周知すべきことはないのではないかと思うんですね。「前提としている。」ということと、そのことが、生き方の選択に影響してはならないということの方が大事なことですね。
岩男会長
ここは教育関係者に対して周知徹底を図るということで、要するに、そこに誤解があるので、誤解がないようにしましょうと、そういう努力をしましょうというのが趣旨だと思うんですね。だから、生き方の選択云々というのは、ここでは別の問題として扱う……。
古橋会長代理
さっきも私が申し上げたように、私は方々へ行ってお話しする時には、男の方々が言われることには、あなたたちは男女混合騎馬戦を認めているじゃないかとか、男女の便所の色分けを同じにしているじゃないかと。そういうことに対して、私どもはそんなこと言っているわけじゃありませんよと、性差意識の解消を目指すものでないから当然男女の便所の色は別々でいいのですよと、性差意識の解消を目指すものでないから、混合騎馬戦は当然排除されるべきですよと言います。我々が目指すものは性差別意識の解消なんですよと言うと、それじゃ結構でございます、と帰られるんです。だから、そういうふうに言うのが私は一番わかりやすいのではないかと思ってそういうふうに言っているんです。
 我々は「ジェンダーフリー」という言葉は使っておりませんけれども、ジェンダーフリーというのは、本来は性差意識の解消じゃない。しかし、それをまさに性差意識の解消を目指すがごとく一部の人々が使っておるということは非常にいけないことであるということを私は言いたいためにいろんなことを方々で言っておるんですけれども、「性差別意識の解消」、そのことを言えば、大体おさまるのではないかという気がしているんです。「中性化」というと、また「男らしさ、女らしさ」の議論に入っちゃうんですね。私は、男らしさ、女らしさは曖昧な言葉ですが、個人が内心それをどう思うかは自由だと思うんですよ。男らしさ、女らしさの中で、男は仕事、女は家庭というような、現代にふさわしくない男らしさ、女らしさを強制するということは困りますよということを私は方々に言っております。女の人が男のような言葉を使うということを私は非常に苦々しく思っていますし、全く女らしいような行動をしない大学生というものについても、私は大変苦々しく思っております。
林委員
私が言ったことはばらばらなことを言ってしまったけど、ここの「前提としている。」というところまではそれでよしとして、その次のところ、どこを引っ張ってくるかというときに、女子差別撤廃条約の前文のところの「固定的な役割分業の変更なくして平等を達成できない。」と、その部分だとか、第1条の「女性に対する差別とは」というところがありますよね。そのあたりから引いてくるような文言を入れることの方が無難といいましょうか、いいような気がするんですけど。それが混合名簿なんかのところで、けしからんと言われていることに対して、そうではないでしょうというふうに、そういうところ使って理解を求めているところですよね。
岩男会長
ここは具体的な取組、つまり男女共同参画に関する教育・学習の具体的な取組を述べているところなのですね。ですから、非常に直接的なわかりやすいことを言った方がいいような気がするんですね。
林委員
そうだと思うんです。わざわざマイナーなものを教育関係者に周知徹底するというのが最初だったんです。
古橋会長代理
具体的に騎馬戦なんてやっているところ、まさかないと思っていましたが、具体的な調査をしたら、あるようですね。
岩男会長
でも、それは別に男女共同参画と思ってやっているわけではないと思いますよ。
原委員
この話は後で議論した方がいいと思います。
竹信委員
騎馬戦が一緒とか、それから着替えを一緒とかという現象が一部にあるのは取材して知っていますけど、それはジェンダーフリー教育が原因ではないんですよ。
古橋会長代理
それだったら、すぐに反論すべきなんですよ。
岩男会長
でも、その人たちは男女共同参画などと関係ない世界でやっている……。
竹信委員
学校で男女生徒が着替えを一緒にする現象はあります。議会で質問があったり。お母さんたちから、男女別更衣室がほしいという声があったので取材しました。取材してみたら、それはジェンダーフリー教育のせいじゃなかったんですよ。予算がなくて、昔から更衣室が作れないことが最も大きな理由です。ですから、反論するのはもちろんいいと思うんですけど、事実自体がない、というという点がポイントではなく、ジェンダーフリー教育のせいではないんだということをはっきりさせなければいけない。
 この文言は、ですから「前提としており、性差別の解消を目指したものであることを教育関係者に周知徹底」で、これはよろしいかと私は思いました。
鹿嶋委員
ジェンダー要らないということになりますね。
岩男会長
そうですね。社会的な、文化的に形成されたものが含まれない。
鹿嶋委員
それでさっき「優越意識」というのもつけ加えたんですよ。
古橋会長代理
性差別ということの中にはジェンダーの差別もあるわけでしょう。
鹿嶋委員
性差別以外にもあるわけでしょう。性差別の解消というだけでは解説できなくなるわけでしょう、たくさん。固定観念とか偏見とか優越とか、それは差別じゃないでしょう。
岩男会長
どうしますかね……。
鹿嶋委員
簡単に、さっき神田先生の言ったような形が一番いいかもしれない。「前提としている。」として、「男女の性差を否定しているわけではないということにつき、教育関係者に対して周知徹底を図る。」、それだけにしちゃう。「性差があることを前提としている。男女の性差を否定しようとしているわけではない」というと言いわけになってしまうか。「男女の性差を否定するものではないことにつき、教育関係者等に周知徹底を図る。」と。
原田審議官
参考までに17ページ、これは政策的な部分ですが、「●」の4つ目に同様の内容のものが入っておりまして、今、御議論いただいている部分は教育場面でそれを再度記述しようということで、両方セットで議論していただく必要がある。
岩男会長
こちらもどうでしょう。「中性化を目指すものではないことなど」というのはとってしまった方がよろしいですね。
古橋会長代理
とった方がいいんじゃないですか。
岩男会長
こちらもとってしまうということで。
佐藤委員
「男女共同参画に対する正確な理解し」、この方がいいのではないですか。
岩男会長
「……対する正確な理解の浸透に努める必要がある。」
竹信委員
「正確な理解をし」。
佐藤委員
「正確な理解」と言えば。
岩男会長
「教育関係者等に対しても正確な理解の浸透を図る」、そういうふうに両方合わせることにいたしましょう。
原委員
この「中性化」というのも外すわけですね。
岩男会長
外してしまう。
定塚推進課長
文言について、今のところを確認させていただいてよろしいですか。ちょっと最後のまとめがわからなかったのですけれども、71ページの方は、「男女共同参画社会は生物学的な性差があることを前提としている。」、その後はどのようにいたしたら。
岩男会長
その後は、「男女共同参画に対する正確な理解、教育関係者等に対し、男女共同参画に対する正確な理解の浸透を図る。」と。
定塚推進課長
1つは、「前提としていることなど」の方がよろしいんですか。それとも一たん切ってしまってよろしいですか、文章として。
岩男会長
「前提としている。」で切りましょうという御意見だったと思うんですけれども。
定塚推進課長
それで、すいません、17ページの方は、「男女の中性化を目指すものではないことなど」を……。
岩男会長
「など」というのを削除する。
定塚推進課長
その前の文章の「否定するものではなく」というのはそのままでよろしいということ……。
岩男会長
これはこれでよろしいんじゃないかと思いますけど、何の文句もないと思いますけど。
定塚推進課長
「否定するものではないことなど、男女共同参画に対する正確な理解……」
岩男会長
「ものではなく」でいいんじゃないですか。そのままで。
定塚推進課長
わかりました。
岩男会長
ほかに何かございませんでしょうか。よろしければ、自民党のプロジェクトチームの方に行きたいと思いますけれども。
 幾つか大きなポイントがあると思うんですね。例えば「ジェンダー」とか、「ジェンダーに敏感な視点」というものを削除せよと、こういうような御意見であるとか、あるいは自民党の方で、まだ賛否、固まっていない多様な意見があるようなものについては書かないというような、例えば選択的夫婦別氏制についてとか、個人単位化とか、そういったところについてのご意見とか、それから、男女ではなく、女性、女性と言うと。もっと男女を視野に入れるべきではないかといったようなこともあると思うんですけれども。どこからでも結構ですけれども、御自由に御意見を。
神田委員
ちょっとよろしいですか。
岩男会長
はい。
神田委員
先ほどお話の最初に、これを専門調査会で御検討いただくと回答してきたというような意味のことをおっしゃった、そういう意味ですか。
定塚推進課長
7月7日のPTの際に、このような意見を示されましたので、私どもの方からは、これを専門調査会の先生方にきちんと伝えて御議論をいただく予定ですということでお話を申し上げております。
古橋会長代理
全体を議論していく場合に考えていただきたいのは、指摘の中で、男女共同参画社会の理念を誤解しているもの。それについては誤解として、きちんと言わなければいけないということが1つですね。
 それから、現在において、国内世論が割れているもの、夫婦別姓であるとか、そういうような問題。しかし、それについて政府と党との関係。それから政府の中における専門調査会と政府との関係、これをどういうふうに考えるかということを考えた上で、この専門調査会としての考え方を決めていくということが必要だと思うんですね。政府として、これを取るか取らないかというのは政府の裁量なんですよ。ただ、男女共同参画会議に出す専門調査会としての意見はどうあるべきか。それを踏まえて男女共同参画会議がどういうふうに決定するか。さらにそれを踏まえて自民党がどうするか。そして、さらにそれを踏まえて国民がその後どういうふうに選挙等を通じて判断するかと、こういう問題があるということを前提の上において議論をしなければいけないと私は思います。
 まず第1に、この中において、議論として、我々の理念と違っている点、これだけは早くきちんと事務局の方で明らかにして、それについては、違っていますよということを早く決めなければいけないと、こういうふうに思います。
 それから、選択的夫婦別氏制のような問題について、この会議としてはこういうけれども、あとはそれは男女共同参画会議、本会議の方でどういうふうに議論するか、あるいは政府与党がどう考えるかということは、それは政治の世界において任せる問題。しかし、専門調査会としてはここまで言いますよと。
岩男会長
例えば、ジェンダーフリーについて随分記述が多いように思いますけれども、これは私たちとは関係がないというか、そういうものもたくさん入っているということなんですね。ですから、考慮しなければいけないものと、そうでないものというのが非常にたくさんあります。
古橋会長代理
そうですね。男女共同参画は家族制度を破壊するという意見があります。その家族制度は何かというと、旧来における家族制度のようです。しかしそのような制度は、新憲法下ではないわけですね。しかし、現代における家庭生活を家族制度というならば、それについては男女共同参画はまさに家族というものを大事にしているということは大前提なわけですね。それで憲法においても、家庭生活における個人の尊厳と両性の平等を24条に書いてあるわけです。
岩男会長
まず、この「見直しのポイント」というところに対して、私たちはどういうふうに考えるかというところを御議論をいただければと思います。
古橋会長代理
もう一つですけれども、苦情処理の問題点はここを読んでみるとよくわからないのです。5ページのところ、「『苦情の処理部分』が、地方自治体発行のパンフなどへの行き過ぎたチェック機能を果たしている。」、そんな行き過ぎたことやっているんですか。そういうようなことで、この苦情処理が出てきているんですか。
定塚推進課長
これは地方公共団体の苦情処理機関のやり方が一部行き過ぎているのではないかと、そういう趣旨ではないかと思います。地方公共団体の苦情処理機関によっては、パンフレットへの意見などを述べていることも多々ございます。県によっては、県が発行しているパンフレットに対して、県の苦情処理機関が苦情を受けて苦情処理を行っています。
古橋会長代理
これは地方公共団体が言っていると、こういうことなのか。
定塚推進課長
そのことだと思います。
鹿嶋委員
苦情処理とメディアの取組と違うんですよ。
古橋会長代理
地方公共団体の苦情処理機関があれこれ言い過ぎるよと、こういうことですか。
定塚推進課長
そういう趣旨だと思います。
古川委員
ジェンダーのことについては、私の理解するところ、ここでも大分議論されて、ジェンダーフリーとジェンダーは全然違うし、誤解されているので、ジェンダーの正しい解釈はこうですよとか、外国のいろんな、認められた機関などで使われている言葉を紹介されたらどうでしょう。
名取局長
これはPTでもご説明申し上げております。
原委員
このジェンダー及び女性学について、今ここにある日本学術会議の6月23日の、これは「対外報告」という種類の文書だと思うのですけど、日本学術会議では「ジェンダー」という言葉とか「ジェンダー学」というのは当然大事なことであると考えているということなわけですね。これはこの中に委員会の委員の名前の一覧表がございますけど、これらの方たちが文章をつくって、運営審議会で審議されて、日本学術会議全体として、これを認めて対外報告として位置づけたというものです。ですから、そこもちょっとお心得いただいて。
岩男会長
ですから、それも1つ提出する資料というか、ぜひ、使わせていただくということだと思うんですね。
原委員
ここでは「ジェンダー」という言葉は、この当該専門調査会としては削除しないで、ともかく報告書として出すという方向で説明をするということでお願いしたいのですけど。
神田委員
私も、ぜひお願いします。
岩男会長
ほかに御意見ございますか。
古橋会長代理
それ以外の、党として方向が定まっていないことは載せないという問題については、今、世の中の見直しをやって変革をやっているわけですね。変化に対応して改革は必要です。改革に対しては抵抗があるわけですけれども、抵抗に対してはちゃんと説明をし、恐れずに、侮らずに、そして地道に説明して行く必要があります。その場合において、個人単位の考え方とか、税制、夫婦別氏制度の考え方というものは、今、我々が意見を言っているのであって、党が反対だったら専門調査会が意見を言えないというところは私はおかしいと思う。そうだったら、世の中いつまでたったって直らない。そういうような問題については適切に整理をして、言うべきことは言うべきであると、こういうふうに私は思います。
原委員
夫婦別氏制度というのではなく、選択的夫婦別氏と言っているわけですから、全然違うんですね。
古橋会長代理
ただ、表現の仕方に変えられる部分はあるかもしれないけれども、選択的夫婦別氏制については、専門調査会としては書いておかなければ、私はいけないと思いますね。
岩男会長
無償労働は、私は言いかえてもいいけれども、家族経営協定は絶対に落とせないというふうに思います。
竹信委員
無償労働は落とさない方がいいと思うんですね。
岩男会長
それほど周知された言葉でないということなんじゃないんですか。
竹信委員
ジェンダーもそういう理由でおっしゃっていますよ。周知されていないというのは主観ですから。
岩男会長
ジェンダーの方が周知されてないですか。
竹信委員
ジェンダーはセックスとの兼ね合いがありますので、使わなくては説明しきれないものがあると同じように、無償労働も必要です。しかも、これはちゃんと定義は決まっているものですよね。
原委員
わざわざアンペイドワークを日本語にしているんですよ、無償労働。
竹信委員
そうです、かえているんです。しかも、これについてのイメージが悪いという理由として、「ワーク」は労働だ、労働はいやしいものだから家庭での仕事にふさわしくない、といったニュアンスの発言もある。それはとても差別的ではないでしょうか。
岩男会長
そうですね。確かに昔、職業婦人として見下されましたからね。
竹信委員
地方議会などで、着替えを一緒にしているというのはジェンダーフリーのせいであるという御質問がいくつかあり、実施しているという学校名も上げられたので、チームであたってみたら、全部ジェンダーフリーではなかったんです。ですから、着替えは一緒にしていたところはあったかもしれませんが、ジェンダーフリーではなかったということがわかったものです。
古橋会長代理
騎馬戦はどうですか。
竹信委員
騎馬戦はまだ十分に取材していませんが、少子化で人数あわせのために男女混合で行ったという例は聞いています。とにかくジェンダーフリーが理由でないものに、「ジェンダーフリーによる混合だ」と枕言葉のようにつけているところに非常に疑問があるわけなんですね。
古橋会長代理
だけど、それをちゃんと言わないと、国民はもうそうだと思っている。みんな、そう思っていますよ。そこのところがおかしいということを言わない限り、私はジェンダーフリー教育だと思いますよ。
竹信委員
そこはきちんと調べる調査団をつくってもいいぐらいの話かもしれません。偏見のない超党派の専門家のメンバーで。
原委員
3年ぐらい前でしたか、南日本新聞が、実に丁寧にお調べになっているんです。具体的に学校などに足を運んで調べて、それが違いましたという記事を南日本新聞の記者がおつくりになっています。
岩男会長
いかがでしょう。性教育については、既に私たちの方で直しておりますので、これは特に改めて問題にする必要はないのではないかと思いますけれども。
 それから、簡単なところで、「あらゆる分野」という言葉がなぜいけないのか、私にはなかなか理解ができないのですけれども、各分野がよくて、あらゆる分野がいけないということで、その辺の違いがわかりませんので。
古橋会長代理
ジェンダー主流化というのはあらゆる分野においてということですよね。だけど、それは読み方だからいいと思います。しかし、「あらゆる分野」を削るということは、考え方が、私は基本法に影響調査ということは入れられた意味はあらゆる分野においてということだと思います。
庄司委員
私は「あらゆる分野」もできればそのままの方がよろしいと思っています。「あらゆる分野」を「各分野」にするというのは、分野ごとにやっぱり考えるべきところとそうでもないところとあるからという、はっきりした考え方の違いがあるからで、ここをもし「各分野」にすれば、批判を受けて改めたというような解釈になりかねないとちょっと思いますが、いかがなものでしょう。
山口委員
私もそう思います。「あらゆる分野」という表現で初めてその関係が調整できたりするわけですから、「あらゆる分野」という表現は非常に大事だと思いますね。
広岡委員
これまで議論しているときに、男女共同参画に関して、偏見に基づく誤解でいろんな批判があったということを我々わりかたそれを念頭に置きながら議論していると思うんですね。「リプロ」という言葉をあまり前面に押し出さないようにしたのも、そういうことに対する、いわば暗黙のうちの配慮があったと思うんです。だけど、この「ジェンダー論によらない基本計画を」というと、これはそもそも基本計画でも何でもなくなってしまって、我々は家族否定につながる表現などしている気持ちは全くありません。これは誤解としか言いようがないと思いますね。
 それから「ジェンダー」という言葉を削除したら、そもそも話にならない。ですので、見直しのポイントの最初の「◆」のところは誤解をされているとしか思えない。訂正することはあまりなくて、むしろ理解していただくように説明をすることが大事ではないかと思います。
 それから、「◆」の2番目の「党として方向性が定まっていないことは載せない」というのは、ちょっと筋が立たないと思いますので、いずれにしても、私は今の段階だと、これは直す必要ないと思うんですね。むしろ説明をすることの方が大事ではないかと思います。
岩男会長
説明をするというか、若干書き込むというようなことで誤解がよりなくなるようなことはやはりしてもいいのではないかと私は思っているんですね。御意見があれば、それに対して誤解がないように、誤解を解くような努力は私はすべきではないかと、こういうふうに考えております。
山口委員
ジェンダーに関して、この間のCSWに出た各国のステートメントを房野桂政府代表団顧問が全部分析して、各国はこれだけ使っていると証明しました。基本法の理念には、「国際協調」ということが書いてありますし、これは国際的協調で欠くことはできない。
古橋会長代理
女性学は、最初はマルクス経済学的考え方の人があったけれども、今、こういうふうに変わってきて、今の女性学の内容はこうなんですよということを説明していただけませんか。今の女性学はこういうことを研究しているんですよと。女性が搾取されているというようなことが出発点であったかもしれないけれども、しかし、そんなことでは今ないんですよというふうに言えないんですか。まだ、女性は搾取されているという考え方なんですか、今も。
神田委員
もともと女性問題だったんですよ。だから、そのときにはまさに性差別の問題。それが少し広がって、女性学になったんですよ。いろんな文化的背景やなんかから分析するということで、だけど、基本的な柱はやはり性差別の問題というのは女性学にあった。
古橋会長代理
性差別だけだったら全然問題ないと思います。アメリカにおいても、性差別から発達してきているんだから。
山口委員
もう一つの側面、女性学の、学際的だということを落としちゃいけないと思うんですよ。学際的という部分をこのごろあまり強調されてないことは残念だと思います。
原委員
6月に韓国で開催された国際会議は、International Interdisciplinary Congress on Women (女性学学際的国際会議)で、世界中から3,000人集まってきたのでした。それははっきりしているんです。特定のテーマに取り込むときには、いろんな分野の専門家が一緒になって1つのテーマに取り組んで研究プロジェクトを推進しているという例は多いわけです。
神田委員
それは多くの女性が一人の個人として能力を伸ばしたいという気持ちを持っていたから広がっていったんです。なぜ伸ばせないのか、そこのところなんですよね。
岩男会長
まだ実は副題もあるのですけれども、副題は次回までにご覧いただきたいと思います。
 では、第12回の会合をこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

(以上)