第9回男女共同参画基本計画に関する専門調査会議事録

  • 日時: 平成17年4月8日(金) 16:00~19:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室
  1. 出席者
    岩男 壽美子
    会長
    古橋 源六郎
    会長代理
    石川 哲也
    委員
    猪口 邦子
    委員
    鹿嶋 敬
    委員
    桂 靖雄
    委員
    神田 道子
    委員
    桜井 陽子
    委員
    佐藤 博樹
    委員
    庄司 洋子
    委員
    林 誠子
    委員
    原 ひろ子
    委員
    広岡 守穂
    委員
    古川 貞二郎
    委員
    山口 みつ子
    委員
  2. 議事
    • (1)開会
    • (2)中間整理案について
    • (3)閉会
  3. 議事内容
岩男会長
まだ、おいでになっていない方がございますけれども、今日は盛りだくさんの議事をこなさないといけないということもございますので、定刻でもございますし、始めさせていただきたいと思います。
 本日が、専門調査会の第9回の会合になります。大変お忙しい中を御参集いただきましてありがとうございます。1月6日付で猪口邦子委員が御就任されておりますけれども、まだお見えでございませんので、お見えになりましたら一言ごあいさつをいただこうと思います。
 また、4月1日付で、事務局において人事異動がございまして、前の土肥原審議官が大臣官房審議官、経済財政分析担当に異動なさいました。その後任に、原田正司審議官が新しく御就任になりましたので、ごあいさつをお願いいたします。
原田内閣府大臣官房審議官
原田でございます。今後、格別にお世話になりますが、よろしくお願い申し上げます。
岩男会長
こちらこそよろしくお願いをいたします。
 また、男女共同参画局の組織改正によりまして、これまで参事官室と言われていたところが、調査課としてスタートしたということでございます。
 それでは、本日は、前回に引き続きまして中間整理案について検討を行います。分野ごとに事務局から御説明をいただいて、御議論いただくというようにしたいと思います。
 前回は、第II部の第4分野まで終了しておりますので、今日は第5分野の「男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援」というところから始めます。
 それでは、御説明をお願いいたします。
定塚男女共同参画局推進課長
それでは、中間整理案の41ページからごらんいただきたいと思います。第5分野、「男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援」でございますが、この評価の部分は説明を省略させていただきます。
 目標でございますが、41ページの下の方からございます、「男女が共に社会のあらゆる活動に参画していくためには、仕事、家庭生活、地域生活等の活動にバランスをとって参画できる環境づくりが重要である」、この部分を追加をいたしております。
 また、5行目以下でございますが、従来、冒頭にあった部分ですが、順序を入れ替えて若干後ろの方に下げております。少子・高齢化とともにグローバル化、情報化ということを追加をいたしております。
 また、右ページの方でございますが、枠の中の最後から3行目でございますが、「仕事と家庭生活の両立支援を進め、働き方の見直しを大幅に進めるとともに、家庭、地域社会における男女共同参画を進め、男女が共に職業生活と家庭生活、地域生活等を両立することができる基盤を整備していくこととする」といたしまして、特に働き方の見直しを大幅に進めるということを今回のポイントとして追加をいたしております。
 次の各項目でございます。(1)は「仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し」としております。従来の現行計画では、(2)であったものを順序を入れ替えて(1)といたしました。
 また、従来は「仕事と育児・介護の両立のための雇用環境の整備」としていたところですが、「仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し」と題を修正させていただきました。
 この中では、基本的方向といたしまして、各活動のバランスを図ること、また、特にこれまで家庭への参画の少なかった男性が積極的に参加することができるようになったこと、働き方の見直しを大幅に進めること、具体的な取り組みとしては、働き方の見直し等を進めるための意識啓発。
 ●の3つ目でございますが、育児休業取得中の所得保障を含めた子育て家庭の経済的支援の在り方について検討する必要がある、ということなどを記載をいたしております。
 次のページでございますが、一番上の行、短時間正社員など公正な処遇が図られた多様な働き方の導入を目指す。
 (2)につきましては、従来の(1)、順番を下げて(2)といたしましたが、標題は同じで多様なライフスタイルに対応した子育て支援策の充実といたしております。
 「施策の基本的方向」としては、「少子化社会対策大綱」、「子ども・子育て応援プラン」における子育て支援策等に沿って、子育て相談支援体制の充実等に努めること、などを記載をしております。
 「具体的な取組」としては、「待機児童ゼロ作戦」や、就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した「総合施設」についての本格実施。
 4番目の●でございますが、母子家庭の母等の生活の安定と自立の促進に向けた取組の積極的な推進、などを掲げております。
 (3)につきましては、「地域社会への男女の共同参画の促進」で、従来、「家庭生活・地域社会への男女の共同参画の促進」という項目でございましたが、家庭生活については、前の(1)で整理をいたしまして、ここは地域社会ということで、タイトルを変更させていただきました。
 「施策の基本的方向」としては、地域社会への男女の参画の促進、この際、生涯にわたる学習機会の確保にも配慮すること。
 また、ボランティア、NPO活動などについて記載しております。
 「具体的な取組」でも、ボランティアやNPO等の活動等について記載をいたしております。
 なお、申し遅れましたが、前回御説明したとおり、この資料の下線部分、あるいは当方の事務局原案、ワーキングチームの際に御検討いただき、会長代理から御意見をいただいてまとめた事務局案に対して、各省庁から出てきた意見を見え消しにしております。
 したがいまして、この中では適切と思われる修正も、また、委員から御意見をいただくべき点もあろうかと思いますが、御審議いただければと思います。
 それから、事前に委員の方から提出いただいたメモについて御紹介をいただきます。
 机上の方に中間整理案の追加意見ということで何枚か置かさせていただいております。第5分野につきましては、庄司委員から出ておりまして、ごらんいただきますと、とりわけ若年未婚で出産する女性及びその母子家庭に対しては、妊娠、出産段階からの総合的な生活支援を行うという意見を出していただいております。
 以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。それでは、御意見をいただく前に、猪口委員が来られましたので、一言ごあいさつをお願いいたします。
猪口委員
今日はいろいろ改めて勉強させていただきます。以前から男女共同参画会議について大変心を寄せておりましたので、また、よろしくお願いいたします。
岩男会長
それでは、御意見、おありの方、どうぞ、お手をお挙げいただきたいと思います。
古橋会長代理
まだ佐藤委員が来られていないので、42ページの「具体的な取組」の3つ目の●で育児休業の適用基準と休業給付の支給基準が異ならないようにするため、育児休業取得中の所得保障を含めた子育て家庭の経済的支援の在り方について可能とする仕組みを、雇用保険だけでなく一般財源で確保することを検討する必要があるということについて、各省の意見をまずちょっと言っていただけますか。
 これは、一般財源で確保することが、非常に新しい検討方向として私はいいことだと思って、佐藤委員がおっしゃったので、1つの検討なんですね。1つのサゼスチョンなんですね。それが、これを検討まで行けないと言われてこういうふうに言ってくることについて、ちょっと説明をいただけませんか。
(事務局)
こちらは厚生労働省からの御意見でございまして、育休中の社会保障につきましては、育休の権利と育休給付の要件が異なることを理由として検討すべき問題ではないという意見が出されております。
古橋会長代理
育休を認めるときに、所得保障として雇用保険の方では、育休よりもちょっと基準が厳しくなっているんですね。それはなぜかというと、やはり雇用保険の方だと雇用主の方が大分保険料を払わなくてはいけないというようなこともあってそういうふうになっているんだと思うんですけれども、雇用保険をやるのが嫌だということで、この育児休業についていろいろな制約があるということであるならば、今、こういう子育ての非常に大事であると言うならば、一般財源でそういうもの全部検討するというようなことも含めて、その正否は別ですよ、そういうことを検討するということがあっていいのではないかと思うんですけれども、ここいらについては、皆様の御意見をちょっと伺いたいと思いますが。
 佐藤委員は、前のときに、特にこの点については所得保障の問題については、特に言ってほしいということを言われたような気がするんですけれども。
定塚推進課長
この記述については、佐藤委員の意見に基づいて記述をしておりまして、数日前に委員に確認しましたところ、このとおりの記述でなくてもいいが、雇用保険で現在出しているということは少なくとも残して記述をしていただきたいという御意見を承っております。
岩男会長
佐藤委員の御意見で、今おっしゃった雇用保険でなくという、雇用保険ではない可能性ということを残してほしいという、こういう御趣旨。
定塚推進課長
現在の所得保障が雇用保険で出されているということを何らかの形で記述を残してほしいという御意見がございました。
岩男会長
今、古橋会長代理がおっしゃったように、一般財源化を検討するという、そこは入れないということですか。
定塚推進課長
佐藤委員、今日遅れていらっしゃる予定なのですが、まだ見えておりませんので、後ほどまた。
岩男会長
そうですか、では、ちょっとここのところは後ほど。
古橋会長代理
私は、一般財源を確保することを検討する必要があるけれども、一般財源を確保するということが非常に強く出て困るなら、ここのところは、一般財源を確保することを含め、検討する必要があるというような形に少し弱めるということであるならば、もっと取りやすいなと思います。それも含めて検討すると、「所得保障を含めた子育ての家庭の経済的支援の在り方について、一般財源を確保することを含め検討する必要がある」というふうなことで、佐藤委員の了解が得られればと思いますけれども。
岩男会長
よろしゅうございますか。それでは、今の点は後ほどということで、特に御意見がなければ。
古橋会長代理
もう一つ、43ページの「具体的な取組」の2つ目の●で、「総合施設」ですね。「17年度に施行事業を先行実施するなど」というふうに書いてありますが、この計画は18年度からの計画ですから、間違っておりますので、「就業前の教育・保育を一体として捉えた一貫した『総合施設』については、平成17年度に先行実施した施工事業を踏まえ、必要な法的整備を行う」というふうに変えないといけませんよと、細かいことですけれども。
岩男会長
どうぞ、原委員。
原委員
この43ページの「具体的な取組」の4つ目の●のところの庄司委員からのメモが来ておりますね。そこにとりわけ若年で未婚で出産する女性及びその母子家庭に対しては妊娠・出産段階からの総合的な生活支援を行うというところで、未婚と書かず、とりわけ、若年で出産するというふうにすることで、庄司委員が今度いらしたときに御了解いただければ、そういうことで是非これを入れていただきたいと思うんですけれども。
岩男会長
では、これは後ほど確認ということで。
 ほかに何か御意見ございませんでしょうか。
 それでは、先に進ませていただきたいと思います。第6分野の御説明をお願いをいたします。
定塚推進課長
では、第6分野の方も、48ページ以降、「目標」から御説明をさせていただきます。
 第6分野「高齢者等が安心して暮らせる条件の整備」でございます。こちらの項目につきましては、従来の目標では、最後の負担のことを先に書き、高齢社会の積極的な位置づけの方を後に書いておりました。その順序を入れ替えた方がいいという御意見がございましたので、まず、最初の3行で実態を述べた後に、「高齢社会を豊かで活力ある社会としていくためには、高齢期の男女を単に支えられる側に位置づけるのではなく、年齢や性別に基づく固定的な見方や偏見を除去し、他の世代とともに、自立し誇りを持って社会を支える重要な一員として、積極的にとらえる必要がある」と記述をしております。
 その後に、要介護状態になることを防止する予防措置、介護の負担のことを記述をいたしております。
 次のページでございますが、(1)「高齢者の社会参画に対する支援」でございます。こちらの方も項目の順序を入れ替えておりまして、従来、(3)であったものを(1)に、最初に上げました。また、高齢者の社会参画に対する、従来は「社会参画の促進」としていたものを「社会参画に対する支援」ということで、文言を修正しております。
 「施策の基本的方向」としては、高齢期の男女が意欲・能力に応じて、社会とのかかわりあいを持ち続け、他の世代とともに社会を支える重要な一員として働き、楽しみ、地域社会に貢献するなど、さまざまな形で充実した生活を実現できるよう、社会参画の機会、環境の整備を図ることなど、具体的な取組としては、いわゆる団塊の世代が定年を迎えることを踏まえ、高齢者の社会参加に対する男女共同参画の視点に立った支援を促進することを記載しております。
 (2)でございますが、「高齢者が安心して暮らせる介護体制の構築」としております。こちらは、介護負担を要介護者の家族、とりわけ女性に集中することなく、社会全体で支える仕組みとして創設された介護保険制度を確実に実施していく必要があることなどを述べており、具体的な取り組みとしては、現在、国会に法案提出中の介護保険法の改正の内容を中心に記載をいたしております。
 (3)でございますが、「高齢期の所得保障」といたしておりまして、この中では、低所得の女性への配慮を重視することを追加しております。
 「具体的な取組」としても、「低所得の女性のニーズへの対応に配慮しつつ、公的年金制度を始めとする各種施策を推進する」ことを期待しております。
 (4)は、「障害のある者への配慮の重視」でございまして、あらゆる場面で、障害のある女性への配慮を重視すること。
 「具体的な取組」としても、そのことを記載しております。
 (5)は、「高齢者及び障害者の自立を容易にする社会基盤の整備」でございまして、ともすれば、障害のない成人男性を前提としがちであった施策の立案、実施等に関し、女性や高齢者、障害者等のニーズが十分に反映されるよう努めること。
 「具体的な取組」としては、高齢者及び紹介のニーズへの対応に配慮しつつ、各種の社会基盤の整備を推進することを記述をしております。
 以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。それでは、御意見がございましたらどうぞ御発言をお願いいたします。
 低所得の女性への配慮を重視するというふうになっておりますけれども、私は併せて男女共同参画の視点を入れる、つまり女性が高齢期に低所得にならないような人生設計をするということが私は非常に大事なのではないかというふうに思うんですね。
 つまり、働いて所得をしっかりと手にすることができるような人生設計を考える。既に低所得である方への配慮というのは当然ですけれども、社会保障費の多くの部分が使われることのないよう、低所得の女性を生まないようにすべきだという、書き方はちょっと工夫をする必要があると思いますけれども、そういうことに触れておく必要があるように思うんですね。
 いかがでしょうか、ほかに。
原委員
今、岩男会長がおっしゃったことは50ページの(3)の「高齢期の所得保障」のところの「施策の基本的方向」の2行分の文章をちょっと手を加えればもっとはっきりするということでしょうか。
岩男会長
ここに入ることだというふうに私は思っておりましたんですけれども、あるいは具体的な文章の御提案があれば是非お願いしたいと思います。
原委員
この公的年金制度を始めとする各種の制度の維持安定だけでは不十分だということですよね。
岩男会長
そうです。
原委員
考えます。
岩男会長
いかがでしょうか。御意見がないようでしたら、佐藤委員がお見えになったので、先ほど宿題になっているところに戻りたいと思いますが、42ページのところなんです。ここで、見え消しで厚生労働省の方から消されて、書き直されているところなんですけれども、先ほど古橋委員の方からの御提案で、「雇用保険でなく、一般財源で確保することを含め検討する」というような表現だったら比較的受け入れやすい、あるいはもっと違った御提案があれば。
佐藤委員
基本的に、今、雇用保険でやっているということがいろいろなところにひずみで出てきているので、そのことがわかるように書いていただければと思いますので。
岩男会長
ここは佐藤委員の御意見を取り込んで。
佐藤委員
そうです。そういうふうにしていただければということで、今、古橋委員が言われたような形にしていただければ。
古橋会長代理
特に今、佐藤委員の言うことを強調するならば、育児休業適用基準と雇用保険による休業給付の支給基準が異ならないようにするため、育児休業取得中の所得保険を含めた子育て家庭の経済的支援の在り方について一般財源で確保することを含め、検討する必要があるというようなことになれば。
佐藤委員
適用基準がやや具体的過ぎるから、そこに表れているということで。
古橋会長代理
そうしたらもっとここのところを簡単にするとどうしますか。育児休業。
佐藤委員
育児休業中の所得保障について現状は雇用保険で担保されているが、一般財源で確保することを含めて、経済的支援の在り方について検討する、という形でいいと思うんです。
古橋会長代理
それで、いいですね。
佐藤委員
例えば男性の育児休業取得促進と言っても、雇用保険だと保険システムですから、支出が増えるということについては、料率どうするという議論にすぐつながっちゃうんです。そのことが少しわかればいいと思うんです。
岩男会長
それでは、高齢者等の6の方に戻りたいと思いますが、ほかに御意見ございませんでしょうか。よろしいですか。とりあえず先に進ませていただきます。
 次のセクションの御説明をお願いをしたいと思います。
定塚推進課長
第7分野につきましては、暴力でございますので、第8分野「生涯を通じた健康支援」ということで53ページをごらんいただきたいと思います。
 53ページ、「8.生涯を通じた健康支援」と書いてございます。こちらは従来女性の健康支援としておりましたが、御意見を踏まえて、「女性の」を落として、「生涯を通じた健康支援」という標題といたしております。
 また、内容でございますが、「女性も男性も、各人が互いの身体的特徴を十分に理解し合い、相手に対する思いやりをもって生きていくことは、男女共同参画社会の形成に当たっての前提と言える。そのためには、身体及び健康について正確な知識・情報を入手し、主体的に行動し、健康を享受できるようにしていく必要がある」と書いております。その後に、「特に、女性は」ということで、女性のことを書かせていただいております。
 また、次の段落ですが、1994年、カイロの国際人口/開発会議においても、というところのくだりでございます。現行の計画におきましては、リプロダクティブ・ヘルス/ライツという片仮名だけが記載をされておりますが、こちらの方ではまず日本語訳の性と生殖の健康・権利というのを前に出しまして、その後に括弧で「(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)」といたしております。
 これに関し、「すべての人々が身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態にあることを求められたところである。このことについては、第4回世界女性会議で採択された行動綱領においても、女性の人権、として確認されたところである」としております。
 この「リプロダクティブヘルス/ライツに関し」の後の部分でございますが、こちらの方も現行計画とは内容を改めております。
 その次でございますが、「国連特別総会『女性2000年会議』においては、『北京宣言及び行動綱領実施のための更なる行動とイニシアティブ』を採択し、その中で、多くの場合、男女の力関係が平等でなく、女性が安全で責任ある性習慣を主張することが困難なことや、特に女性の健康を守るニーズに関する男女間のコミュニケーションや理解が欠如していると指摘している」という部分を引用しております。
 こちらは、現行の方では、女性2000年会議においてHIV/エイズのことを取り上げておりましたが、HIV/エイズのことよりも、こちらの内容を取り上げた方が適切かということで、引用部分を変更をいたしております。
 その下の項目でございますが、(1)は、「生涯を通じた健康の保持増進」といたしております。従前の計画の(2)に当たるものを(1)に順序を変えたものでございます。ただ、従前の計画では、従前のと言いますか、現行の計画では、「生涯を通じた女性の健康の保持増進対策の推進」としておりましたので、この「女性」を落としております。
 「施策の基本的方向」の中身につきましては、男女がその健康状態に応じて的確に自己管理を行うことができるようにするための健康教育・相談体制を確立するとともに、性差に応じた的確な医療である性差医療を推進する。特に女性については思春期、妊娠・出産期、更年期、高齢期と人生の各ステージに対応した適切な健康の保持増進ができるよう対策の推進を図る。また、スポーツ活動を通じた健康の保持増進を図るということで、新しく性差医療という項目を盛り込んでおります。
 「具体的な取組」といたしましては、1番目の●で、自己の健康を適切に管理・改善するための教育・学習を、学校は勿論、家庭においても積極的に推進すること、また、心の悩みについて記載をしております。
 2番目の●では、思春期、妊娠期・出産期、更年期、高齢期等の女性の生涯を通じた健康保持対策を推進する必要があること。
 3番目の●では、生涯を通じた健康の保持のために、性差医療を受けられることが必要であり、性差医療についての知識を普及すること。
 次のページでございますが、4番目の●では、スポーツ活動の推進を掲げております。
 (2)につきましては、「妊娠・出産等に関する健康支援」といたしております。従来の(1)は、リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する意識の浸透としておりました。こちらの(2)では、「施策の基本的方向」として妊娠・出産期は、女性の健康支援にとっての大きな節目であり、安心して安全に子どもを生むことができるよう支援する。また、不妊に悩む男女が多いことから、その対策を推進するとしております。
 「具体的な取組」の1●といたしましては、「望まない妊娠の増加などが見られる今日、性と生殖に関して健康であることの重要性について、男女ともに正確な知識をもち、自ら判断して、健康管理を行うことができるようにするとともに、相手の健康についても思いやることができるようにすることが重要である。そのため、学校において適切な性教育を実施していくとともに、家庭においても、性と生殖に関して健康の重要性について教えることができるよう、家庭教育を支援する学習機会の充実が必要である」。
 2●でございますが、不妊で悩む男女に対して、気軽に相談できるようにするとともに、生殖補助医療等に関し、正確な情報の提供を行うことが必要である。また、不妊治療に当たっては、男女が思いやりをもって接することが必要であることなどを記載をしております。
 (3)については「健康をおびやかす問題についての対策の推進」でございます。こちらの方も「女性を」という文言を取っております。
 「施策の基本的方向」の中身でございますが、下から3行目、過度な飲酒や喫煙も健康を損なうこととなりやすく、特に女性は、生殖機能や胎児に悪影響があることなどから、健康被害に関する情報提供と対策を推進するという部分を追加をいたしております。
 「具体的な取組」の1番目としては、性感染症、こちらは従来から挙げておりますが、その内容の記述を詳しくしております。
 次のページ2番目でございます。薬物とともに、喫煙、飲酒について記載を充実いたしまして、健康被害に関する正確な情報の提供が必要である。特に女性については、胎児や生殖機能への影響を及ぼすことなど、また、未成年者の喫煙、飲酒については、家庭、学校、地域が一体となって、予防を推進する必要があること、を記載をしています。
 この分野については、石川先生から、意見ということでペーパーを提出していただいております。こちらの方は説明を省略させていただきます。
 以上です。
岩男会長
ありがとうございました。それでは、御意見を。
鹿嶋委員
多分、地方の公聴会でも質問が出るだろうし、私も是非聞きたいんですが、現行計画は、リプロダクティブ・ヘルス/ライツという言葉がかなり出てくるんですが、今回はほとんど消えていますね、これはどういう理由ですか。確かに、条例等を地方でつくる場合に、この言葉をどうするかでやはり相当時間を費すということもあったんですが。
岩男会長
この言葉を残すべきだという御意見もありましたけれども、私自身も含めて、こなれていないというか、これだけ時間が経っても一向に浸透もしていないし、むしろ誤解を招く恐れがある言葉だというふうに考えて、使わない方がいいのではないかという判断なんですけれども、違う御意見の方もございました。
 どうぞ、桜井委員。
桜井委員
ワーキングチームの時には意見を申し上げたんですが、それを文書の形でちゃんと出せなくて申し訳ないと思っています。そのときには、生涯を通じた健康支援というところから、ここは「女性の」というのが削除されましたので、そこについても、やはり健康については中身を読んでも、とりわけ女性がというような表記が多くなっておりますし、やはりリプロダクティブ・ヘルス/ライツではありませんけれども、女性の体に対しての人権というところでの視点でこういったテーマが出てきているのではないかというふうに理解しておりますので、やはりこの部分については、生涯を通じた女性の健康支援というところで、「女性の」というのを入れた方がいいのではないかというふうに私は思っておるんですけれども、そこのところについてもう一度、皆さんの場で御議論いただきたいというのと、それから、次の9のところでも、前回は、「女性の人権の尊重」というのが、メディアにおける男女共同参画の推進と、これは意味合いが変わってきたかなというふうに思うんですけれども、そういったことも含めて、全体のタイトルから「女性の」という、大分変わってきたのではないかなというふうにありますので、そこのところを、一度この場で整理をしていただければというふうに思います。
鹿嶋委員
果たしてリプロがなじんでないという説明で、地方に行って納得が得られるのかどうか、要するに、どんどん消えちゃうのではないか、一体どうなるんですかという質問が出るかもしれない。そういうことに対してどういう答えをすればいいのかなと。個人的には、これでもいいのかなと思ってはいるんですけれども。どうですかね。なじんでないというそういう表現だけで説得性があるんですかね。
古橋会長代理
なじんでないということだけではなくて、リプロダクティブ・ヘルスはいいけれども、ライツについては、何人子どもを生むか生まないかというのは女性の権利であるというふうに取られていると、私はそれについては、これは夫婦の間で相談をして決めるべきことであると、それを女性だけの権利ということについては、一応我が国においても、いろいろなところで議論のあるところで、そんなに議論は固まっていないと私は思います。
 しかし、その場合、いろいろ議論した結果、そういう、例えば、男性が非常に乱暴を働くとか、アル中であるとか、そういうような場合においては、女性がそれを拒否できないというような問題もあるので、そういう問題については、排除する必要があるというようなことで、こういうふうな文章になったんですけれども。
鹿嶋委員
母体法の方は、私は夫婦で相談して決めると思うんですが、基本的なカイロ会議などの流れというのは、やはり子どもを生むというのはそれは女性の権利だというふうな流れでしょう。
古橋会長代理
カイロ会議のときというのは、人口問題を取り上げ、アフリカなどの地域においては増えるから、それについて子どもだけがどんどん不健康なままに生まれるというようなことを防ぐために、女性側のちゃんと生む権利というものはある程度認めようという、低開発国援助における問題点だと私は思うんですけれども。
鹿嶋委員
時間がないので余り議論するつもりはないんですが、ただ、この辺りのことで、これを地方などに持っていった場合に、すんなり理解してもらえるのかなというのが、どこか気がかりです。もうちょっと説得力のある説明があれば納得するんですが、というそれだけです。
岩男会長
今、古橋委員が言われたとおり、ライツについては、意見がかなり分かれる部分があるように思うんですね。先ほどのジェンダーについては、私はきちんと議論をして、それをここの記録に残しておく必要があるように思うんですね。つまり、いわゆるジェンダーフリーと混同されて非常に否定的なネガティブな誤解に基づいたさまざまな状況が生じているという、そういうことに対しては私はきちんとここで意見を述べる必要があるように思います。
 もとに戻って、リプロダクティブ・ヘルス/ライツについて、現在、書いてあるような形でよろしいでしょうか。ワーキングチームでも意見が分かれたところでございまして、ほかの方々で御発言がございましたら。
 どうぞ、林委員。
林委員
私はやはりリプロダクティブ・ヘルス/ライツ、特にライツという言葉は、女性の立場から考えるときに、極めて重要なことだと思ってきたわけです。自己決定をすることができるということが尊重されなかった歴史というのがあってこのような考え方が生まれてきているというふうに理解します。
 その上で、桜井委員が言われたように、8のタイトルのところは、「生涯を通じた女性の」ということを入れる必要性があるというふうにあえて思います。そのことが、実は、「施策の基本的方向」の中に出てくる性差に応じた適切な医療である性差医療というところに着目をし、そこを推進する必要性、重要性が、今の時代にとりわけ重要だということにつながっていくと、そのような理解を私はしておりますので、是非、「女性に」というのを入れていただくという、桜井委員の御意見に賛同します。
山口委員
私も、桜井さんの意見に賛成です。鹿嶋さん言われるように、やはり非常に後退の感じがするので、リプロダクティブ・ヘルス/ライツという言葉はあるわけですから、こことしての考え方を出さなければいけないと思います。
 第2点に、女性特有のというのがなければ、そこは生涯を通じた健康の保持増進ということの意味がないと思います。リプロダクティブ・ヘルスの1つは(3)の「健康をおびやかす問題についての対策の推進」の具体的な取り組みですが、女性特有の乳がん、子宮がんに対し、予防の強化と増進が必要です。若い人たちに増えているんですね。これが進行してしまうと子どもも生めなくなる。乳がんとか子宮がんの医療費は相当かかるんですね。
 今、乳がんの方ではマンモグラフィー検査があり、これは予防にとってはすごく大事なので、具体的な取り組みの中でも、女性特有の乳がん、子宮がんの予防に対して強化をし、かつ予算的措置を付けるぐらいのことは私は入れたいと思います。
猪口委員
私は、以前のこの議論を踏まえていないんですけれども、今、議論をお伺いした範囲で、桜井委員の御意見が非常に重要な点ではなかったかと思います。生涯を通じた健康支援だけ書きますと、男女共同参画会議の議題としてこういう表題の打ち方をするという必要がないのではないかという感じがいたします。これはほかの省のいろいろな計画の中にもこういう題名で入ってくるようなテーマではないかと思いますが、男女共同参画会議として、このテーマをこの角度から扱うときには、女性特有の、と今おっしゃったような含意があると、しかし、それとの関係で、男性の方々のことも勿論考えるわけだけれども、やはり男女共同参画会議の中で生涯通じた健康支援ということをなぞっていくときに、「女性」と入った方がわかりやすいのではないかというふうに思いますので、落とさなければならない理由というのがないのではないかということです。
 それから、リプロダクティブ・ヘルス/ライツのことは、鹿嶋先生のような方からちゃんと発言していただけて本当にありがたいことだと思うんですね。やはりこれは国際的に概念化されたものなので、それに対する適切な日本語があるべきだと思いますので、今回は、こういう形で表記されたんですが、やはりもともとの概念としてはなかったということなので、この言葉を常に併記して、わかりやすくしておくということが重要ではないでしょうか、日本語を付けた方がいいと思いますけれども、括弧の中で片仮名書きにするというよりは、毎回、そういうふうにかなりしつこくと言いますか、皆さんがそういうことに理解を示しやすいように引き続き顕示した方がよろしいと思います。
 それから、四角の中の1994年のところのパラの書きぶりなんですけれども、要するに、日本政府としてはどうだったんだということだと思うんです。日本政府としては、これを支持したのではないんですかと、つまり、政府としてコミットした立場ではないんですかということを押さえなければならないんですね。これは世界ではこうですと、世界で女性の権利として、人権として確認されましたと、そして、日本政府はどうだったんですかということですね。私たちは、政府としてコミットしたのであれば、もうそれで国としての立場が政策変更しない限りは明確なので、議論に付す必要がないわけなんですね。もしそこから明確に後退するというときには、それは政策変更になるので、大きな国民的議論をしなければならないんですね。ですから、これはもう政府としてコミットした立場であるので、そのように概念として扱っていくべきであるというふうに私は思います。
岩男会長
ということは、その後の方でおっしゃった政府としてコミットしているということがはっきりわかるような。
猪口委員
書きぶりにしていただき、そして我が国もそれを支持したと、行動綱領を支持しているわけですよね。
岩男会長
それからもう一つは、この「性と生殖の健康・権利」とそして片仮名で括弧しての表記なんですが、実は、51ページの方の(1)のところは日本語の方が入っていないんですね、標題に。ですから、そちらもそうすると同じようなことが必要だというふうになりますか。
名取局長
先生、それは現行計画の部分なので。
岩男会長
現行には入っていないからですね。では、そこはいいですね。
猪口委員
すみません。鹿嶋先生がおっしゃったとおり、現行計画と比べると、やはり非常にリプロダクティブ・ヘルス/ライツの概念が頻繁に出てきているという印象ではないので、その辺は少なくとも現行計画よりも後退した印象を残すことは絶対によろしくないというのが私の一委員としての意見です。
岩男会長
それから、原委員に伺えばよろしいのかと思いますけれども、この性と生殖の健康・権利は、かぎ括弧に入れる必要はないんですか。
原委員
それをかぎ括弧に入れるか入れないかは、この会議で決まることかと思います。
岩男会長
それまでの正式文書で、例えば、カイロ会議に言及するようなときの扱い方がどうであったかということだと私は思うんですけれども。
原委員
そうですね。
岩男会長
もう定訳として、使われているのであれば、むしろ括弧をつけた方がよいと思います。
原委員
カイロ会議の行動計画の外務省の訳があります。そこがどういう表現になっているか確認する必要があるかと思います。
 外務省のあの訳のときには、94年の文書の翻訳のときにリプロダクティブ・ヘルス/ライツを、性と生殖に関する健康と権利としたと、その後、厚生省で「生涯にわたる女性の健康」という表現で、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ、そしてカイロ会議の精神で、特に女性に注目することを含意するということになさったようです。厚生省の予算なども「生涯にわたる女性の健康」というキャッチフレーズができたように私は記憶しています。
 カイロ文書(カイロ行動計画)のリプロダクティブ・ヘルス/ライツという部分については、当時UNFPA、そのUNFPAの事務局長だったナフィス・サディックさんが繰り返しおっしゃっていましたが、リプロダクティブ・ヘルス/ライツは、女性だけのものではなくて、男性でも女性で、それから男性でも女性でもないタイプの方、すべての人間が持ち、尊重されなければならない権利であるとおっしゃっていました。とりわけ今までいろいろな方が発言なさっているように、女性の自己決定権が多くの場合ないがしろにされる傾向があり、そのため、女性の健康が踏みにじられてきていることが多いというので、カイロ文書は、女性に特に着目しているが、それは何も男性を排除するものではない、と強調しておられます。そのことも常に意識しておくことが大事だというふうに私は思っています。
 それと同時に、日本政府は、カイロ行動計画を留保なしで採択したのではないでしょうか。確認して下さい。ほかの国々の中には留保ありの部分がございましたが。
 したがって、猪口委員のおっしゃるように、そこの文書を入れていただきたいと思います。
 それからもう一つは、これはどうにもならないことだと思うんですけれども、54ページの94年のカイロでのところの3行目、「すべての人々が身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態」の部分ですが、これは、WHOの健康に関する定義の厚生省による政府訳が「完全に」となっているので、ここでは完全にと言わなければいけないんですが、原文はcompleteなんです。perfectではない。completeとperfectは大違いで、これはすごく議論があったところで、日本語で「完全」と言ってしまうと本当に何か欠点が全くない、でも、completeという場合には、欠点があってもともかく一定水準に達していればcompleteなんだそうです。
 だから、そこのところが、特にこれは慢性疾患などを含む障害をお持ちの方にとっては、「完全に」という日本語は、大変こだわっていらっしゃる語なんですよね。英語で言えば、それは説明がつくということなんだそうですけれども。
岩男会長
かぎ括弧で引用しているわけではないので、「完全に」というのは、取っても私は構わないのではないかと思うんですけれども、完全に良好な状態というのはちょっと考えられない。ですから、別にこれは取っても問題はないと私は思います。
原委員
外して問題がなければ。WHOの健康の定義を翻訳して翻訳に従えば、「完全に」が伴うんです。だから、一番いいのは外すことに私は賛成なんです、それができれば。
岩男会長
ほかに。どうぞ、石川委員。
石川委員
既に修正意見を出していますので、その中に理由が書いてありませんので、理由を少し重要なところだけ述べさせていただきたいと思います。
 1点は、一番最初の「目標」のところの8の枠組の中の3行目ですが、「身体及び健康」というところは、これは心の健康というのは今非常に大事になっていますので、その辺の理解も含めて、ここは「心」ということも入れていただきたいということです。
 それから、あと「具体的な取組」のところに行きまして2行目ですが、「家庭においても」となっていますが、家庭だけではなくて、社会でもこれを取り組んでもらうようにということを是非入れていただきたい。当然、こういったのは家庭だけではなくて、自己管理も当然ですけれども、家庭と社会が一緒になるということだというふうに認識しております。
 それから、55ページの(2)の「具体的な取組」ですけれども、「学校において適切な性教育」というふうになっていますが、この適切という意味が非常にいろいろな意味がありまして、今、マスコミとかいろいろなところで話題になっておりますので、具体的に少しそこのところを書き込んでいった方がいいのではないか。以前、岩男会長もおっしゃったように、人間関係というのはこの性教育が非常に大事だという認識を私も持っておりますので、具体的にそれを書き込んでいくということと、それから、以前のものに関しましては、発達段階に応じてというのが文言に入っていまして、この言葉を是非生かしていただいて、適切という表現に変えていただけたらと、あるいはそれも加えて適切なことをやるというなら別の言葉をそれにプラスして入れていただいたらどうかというふうに思っています。
 それからあと喫煙問題ですが、「過度な飲酒や喫煙も健康を損なう」という文言が「施策の基本的方向」の中に入っていますので、これを逆にしていただいて、「喫煙や過度な飲酒」という表現にしていただきたいと思います。この表現だと、「過度」という文言が喫煙にもかかってくるような。
岩男会長
まるで少しは吸ってもいいみたいですね。
石川委員
事務局は苦労されているでしょうけれども。その後ろに出てくる文言も常に「喫煙・飲酒」という、喫煙が前に来ている表現になっていますので、「喫煙」を前に持ってきて、「過度の飲酒」を後ろにしていただきたい。
 そのほか細かいところがありますけれども、あと「協力」というところが訂正になっておりませんけれども、これはあと文言、よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
岩男会長
それから、ついでに細かいところで1つ気がついたんですけれども、同じ55ページの不妊の相談の件で、「気軽に相談」というのは、おっしゃろうとしていることはわかるんですけれども、不妊の方たちの調査をした経験から言うと、気軽にというのはちょっと適切ではなくて、もっと別の表現、どういう表現がいいかすぐ思いつかないんですけれども、ここはちょっと変えた方がいいように思うんですね。要するに、いつでもどこでも相談が受けられるようなという意味だと思うんですけれども。
古橋会長代理
もう一つ、55ページの下から2行目のところの母子感染を除いたのはなぜですか。
岩男会長
これは厚労省。
(事務局)
性感染症について母子感染は想定されないという意見が来ております。
古橋会長代理
性感染症という言葉の中にはHIVは感染症の中に入らない。
岩男会長
厚労省の方ちょっと御説明いただければと思いますが。
古橋会長代理
リプロダクティブ・ヘルス/ライツということは、児童の健康も含むということが通説ですね。したがって。母子感染というのは、子どもに対する感染なんだから、リプロダクティブ・ヘルスに行く重要な要件の1つなんです。だから、これを除くというのは。
定塚推進課長
現行計画でも、HIVが性感染症に含まれるかまた調査いたしますが、現行計画でもこの書きぶりでもHIV/エイズと性感染症は、及びという形で。
古橋会長代理
梅毒は入るでしょう。梅毒はまさに母子感染するわけでしょう。
原委員
厚生労働省に確認いただきたいんですけれども、日本語で、5、6年前は性感染症、国際的にもSexually Transmitted DiseaseでSTDと言っていたんですね。それがSTI、つまりSexually Transmitted Infectionsと言うようになりました。これは日本語で今何と言うんでしょうか。この「症」が付いちゃうと、HIVに感染している状態が入らないで、エイズが発症した場合にしか出てこないので、そういう潜伏期間の状況も含めて考えなければいけないということで、Sexually Transmitted Infections(STI)となったと理解しています。
 そのときは、母子感染の重要性を非常に真剣に考えていたと私は理解していたんですけれども。ですから、古橋委員と同じように、どうしてこの母子感染という話が削除されたのか、質問しようと思っていました。
岩男会長
ここは御確認いただけますか。
定塚推進課長
はい。
古橋会長代理
そうすると、今のところでHIV/エイズ及び性感染症はというふうに書いてあると、HIV/エイズを含めて感染症になって、ここのところの「及び」がどうなるのか、論理的にもう少し詰めてください。
定塚推進課長
はい。
原委員
もう一つ、先ほど石川委員がお飛ばしになった部分のコメントのところなんですけれども、石川委員のコメントの中に、「生涯を通じた健康の保持増進」の「施策の基本的方向」、54ページのところの、「男女がその健康状態に応じて的確に自己管理を行うことができるよう」を「適切」にと直すようにという御提案を、私よいかなと思ったんですが、的確というのはなかなか難しいからと思ったんですが、次のところの「性に応じた」というのは、もとの文章は「性差に応じた的確な医療である性差医療」となっていますが、これはやはり、要は的確さを目指していただきたいので、ここの文章を、性差医療が何かを説明する上で、外さないでおいた方がいいかなと思ったんですけれども、いかがでしょうか。
古橋会長代理
「的確」と「適切」というのはどういうふうに違うかというのをよく考えてみたんだけれども、「的確」というのは、非常に目的が具体的にあってそれに応じて進めていくというときには「的確」であって、それでは、余り目的が具体化していないので「適切」としたのかと私は思ったんですけれども、そこは先生、どうなんですか。
石川委員
私もそう思いました。したがって、先ほどの性差のところは「的確な医療」ということでいいのでしょうが、ここは「適切」の方がいいのではないかと、その下の「具体的な取組」のところにも「適切に管理」ということが出てきていますので、用語としても、後ろの文章とも齟齬はないのではないかという気がしてます。
 それから、もう一点、今、原委員がおっしゃいました性差に応じ的確な医療である性差医療という、これは修飾文が付いているのですけれども、性差医療がそういう概念を含んでいるのであれば必要ないのかなということで私は削除したらどうかと。特に、性差医療ということについての説明が後ろに書いてありますので、必要ならばそこのところに書いておけばいいのかなという気がしたので、削除してはどうかと言いましたけれども、ここはそんなに固執しません。
岩男会長
ほかに。
猪口委員
すみません。もう一度。
 55ページと56ページのところなんですけれども、まず、真ん中の2つ目の●の子どもを持ちたい、これは不妊症のことなんですけれども、これで結構なんですが、「不妊治療に当たっては、男女それぞれ互いに思いやりを持って接することが必要であり」こういう文書というのは必要なんですかね。つまり、これは国の基本計画で国として政策を推進するというための基本文書になるときに、男女が思いやりを持たなければいけないというようなこと、以前にもちょっと出てきて、以前のところはいいと思ったんですけれども、ここの場合は、本当に重要なのは次のところですね。
 職場においてもこういうことに理解が求められるという、そういうことに例えば、治療のために欠勤するというようなことがやりやすいようになると、それが国として政策として推進することで、男女がお互いに思いやりを持たなければいけませんよという気持ちはわかるんだけれども、それをこういうふうに同列に書いてしまうと、つまり国レベルの政策としてやるということと、何か倫理の教科書のようなことと、その辺は少し整理する必要があるのかなと、国というのがどこまで個人的なそういうことに入って、計画の中に言葉として残していくのかということについて、もう一回考えていただいた方がいいかと思うんです。
 それからもう一つは、喫煙のところなんですけれども、受動喫煙でも相当な被害が出るというのを、私は専門家ではないんだけれども、報道で読んでいる限りそう最近はよく書かれている。それで、施策の基本方向のところにもそのことは書いていないし、56ページの●のところの具体的な取組としては十分な情報提供に努めると、この段階で情報提供に努めるだけでは到底弱いのではないかと思うんです。
 私の希望としては、公共空間における禁煙化の推進ですね。ほとんど義務化してほしいとぐらいに思うんですけれども、推進ぐらいは明確な具体的な取り組みの方向としてもらいたいと思うんです。公共空間で、政府とか自治体等は全部そうであるということですね。そして、更に、現在の日本は、民間企業でも、職場でぷかぷかされていて、力関係においてどうしようもない、もし、女子社員の人がいるとしたら、そういう人の健康への権利というのはどういうことかしらということもやはり考えなければいけない社会発展の段階ではないですか。これは以前から非常にしつこく言っている点なんですけれども、今度こそ、完全禁煙化を社会としてやってもらいたいと思いますので、何らかの工夫した文言を入れてもらいたいと思うんです。
 だから、男女共同参画会議の計画だから言えるので、国のまた別の観点からの省庁のお考えとしてはまた別の考えもあろうけれども、やはりこの会議としてそう入れてほしいと思います。
岩男会長
最初に御指摘のあった倫理の教科書的な部分、これは取った方がいいと私も思うんですね。
猪口委員
取った方がいいですよ。
岩男会長
私も全く同感でして。それから、2番目の、喫煙のことは、私も実は前回もそういう御指摘があったと言ったところですけれども、もう少し強くしてもいいと私も思いますので、特に反対の御意見がなければ、この点はもう少し強くさせていだきたいと思います。
桜井委員
先ほどの思いやりのところなんですが、53ページから54ページにもかけて。
岩男会長
こちらの方は私はいいと思うんです。こちらは残すべきだと思いますけれども。
桜井委員
そうですか。ほかを読みましても、こういう何というんですか、割合気持ちを表現したような表現というのはほとんど出てこないんですね。それで、やはりこういうところは、例えば、人権を尊重したとか、そういったことではないかというふうに思うんですが、ここだけがこういう何というんでしょうか、非常に情緒的な言葉でというのは、これはやはり人権を尊重したとかという形の方が、こういう計画にはふさわしいのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
猪口委員
それでは、それは支持しまして、しかし、消してしまうと御意見もあるかもしれないので、両方入れたらいかがですか。互いに人権を尊重し、思いやりを持って生きていくと。
原委員
今、猪口委員のおっしゃったことに賛成なんです。
岩男会長
それでは、そのような形で直したいと思います。
原委員
もう一つ、しつこいみたいで済みませんけれども、54ページの先ほどの石川委員がおっしゃった「性差に応じた的確な医療」というところを、本文の中に入れないで、注のところに入れるとすれば、性差医療のところに「性差に応じた的確な医療」としておいて、1980年以降というふうに、そこにやはり入れておいた方が、まだ、性差医療って何だと言ってわからない方がたくさんいらっしゃるので、そんなふうに思います。
岩男会長
いかがでしょうか。
古橋会長代理
私は本文に入れた方がいいと思ってこういうふうにしたんです。
原委員
私もどちらかと言えば、その方が、余りにもわからなすぎているからと思ったんですけれども、お任せいたします。
岩男会長
石川委員、御意見ございませんか。
石川委員
私も拘泥しませんので。先ほど申し上げましたので。
岩男会長
では、お任せいただくということで、それで、タイトルには、「女性」を復活すると、こういうことだと思います。
古橋会長代理
私ども、児童は男子でも女子もあるし、かつまた具体的な取組のところで、若年層のところについて男女ともに正確な知識を持つというふうに書いてあるので、私は男女ともに正確な知識を持つというふうに書いてあるので、私は男女ともだと思っていますけれども、いろいろなところで講演したときに、必ずこのことを聞かれるものですから、特に女性というものを入れなかったんですけれども、皆さんがおっしゃることであるならば生涯については女性と健康支援、主にそういうことを言っているわけですから、それで結構です。
岩男会長
それでは、先に進ませていただきます。
 第9分野の「メディアにおける男女共同参画野推進」に移りたいと思います。御説明をお願いします。
定塚推進課長
第9分野「メディアにおける男女共同参画の推進」でございます。59ページから説明をさせていただきます。
 タイトルでございます。先ほど御指摘ありましたけれども、現行計画では、メディアにおける女性の人権の尊重となっております。新しい題は、男女共同参画の推進としております。これは勿論、女性の人権の尊重ということは男女共同参画基本法上の理念にもなっておりますので、それを含んでいると、更に、メディアにおける女性の参画ということも両方含むという意味で、このようなタイトルととりあえずしているところでございます。目標の内容の中身といたしましては、第2段落でございますが、情報通信技術の革新は、女性が情報発信を行うことを容易にしたという、正の側面、一方で、一部のメディアにおいて性別に基づく固定観念にとらわれた表現などに加え、女性の性的側面のみを強調したり、女性に対する暴力を無批判に取り扱った情報が見受けられる、というところ。
 こちらの方、固定観念にとらわれた表現などという文言を追加させていただいております。
 また、下から3行目でございますが、「メディア界における男女共同参画の推進を求め」という文言を追加いたしております。
 項目の方ですが、(1)として、「女性の人権を尊重した表現の推進のためのメディアの取組の支援等」、これは従来とおりの表現でございます。施策の基本的方向の中では、5行目でございます。「固定的な性別役割分担にとらわれることのない表現を行うよう」という記述を追加いたしております。
 「具体的な取組」でございますが、1●は、女性の参画の拡大についてメディアの実質的な取組を促すこと、これは従来から書いてございました。
 2●は、「メディア表現等についてのチェック機能を有するメディア全般についての第三者機関の在り方に関し、諸外国の例について研究する」と記述をしております。これは従来書きぶりよりも一歩進めた表現でございます。
 そのほか、一番下から2番目の●では、職場を離れ、長い時間を経た女性に対し、情報通信技術の習得の機会を広げるということも追加をいたしております。
 (2)でございますが、「国の行政機関の作成する広報・出版物等における性差別につながらない表現の促進」といたしております。これは現行計画では、性差別につながらないという部分が、性にとらわれないとなっておりました。性にとらわれないという表現は、誤解を生じる可能性もあるということで、性差別につながらないという表現に改めております。
 「施策の基本的方向」としては、ほぼ従来と同様でございまして、性別に基づく固定観念にとらわれないものとなるよう配慮する。また、この点に関する地方公共団体や民間のメディアにおける実質的取組を奨励するということにしております。
 失礼いたしました。従来の取組では、ガイドラインを策定するなどという文言が入っておりましたが、ガイドライン既に策定をいたしておりますので、こちらの方を具体的な取組の方に落としております。
 具体的な取組では、引き続き公的広報の手引きの周知普及を図るとともに、必要に応じてこの手引の改定について検討を行うこと、また、政府広報等において積極的にテーマを取り上げていただくことを記述をいたしております。
 以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。
 それでは、御意見ございましたら御発言をお願いいたします。
 1つ鹿嶋委員に伺いたいと思うんですけれども、60ページのところで、「具体的な取組」の2番目の●なんですけれども、「チェック機能を有する」という表現ですね。これはいかがなんでしょうか。メディアとしては非常に引っかかるのではないかと思うんですね。ですから、ここはもうちょっと違った書き方にする必要があるように思いますけれども。
鹿嶋委員
おっしゃるとおりかもしれませんね。ですから、これはチェックという言葉が。
岩男会長
これでやったらとても通らないと思うんですね。
鹿嶋委員
先生の言うとおりかもしれません。とにかくチェックは外した方がいいと思います。
岩男会長
文章は直させていただきます。
古橋会長代理
苦情処理にしますか、どういうふうにしますか。苦情処理。
鹿嶋委員
何かそういうものでチェックというと文章自体が権威づけるという感じでしょう。そちらの印象が強いんですよね。
古橋会長代理
言いたいことは苦情処理なんですよ、専門調査会ですから。
鹿嶋委員
そうですね。そしてそれを受けて改善するとか、そういうような第三者機関ですね。
古橋会長代理
苦情を処理し改善を促す。
鹿嶋委員
そういう文章がいいかもしれません。
古橋会長代理
これは、どこがやるか、どこもこれは反対してこなかったので私は非常に驚いたんですけれども、どこがやるかといったらこれは総務省なのか、具体的にどこがこれをやるのでしょうか、内閣府がやるのでしょうか、法務省がやるのでしょうか。
岩男会長
媒体によって違うんですね。ですから、テレビを考えておられるのか、それとも紙媒体でとらえておられるのか。テレビについては、実は、ある種の第三者機関が既に存在しているんですけれども。
古橋会長代理
全体を通じて何か第三者機関的なものがある、これはずっと前にお話ししましたように、日本弁護士会からも要請が出ている話なんですけれどもね。
桂委員
ただ、この段落は、最後の諸外国の例について研究する、にかかってくる部分ではないですか。
鹿嶋委員
そうですね。
古橋会長代理
諸外国の例に研究するんですよ。
桂委員
だから、日本でどうするかというよりも、こういうことの諸外国の例をという話ですね。
古橋会長代理
だから、研究するのはどこですかということなんですよ。決めなくちゃいけないんですよ。担当の役所はだれもみんなこれは自分のところではないと思って言ってこなかったのか。
猪口委員
今のところを、でも女性への人権侵害につながるような表現について言っているわけですから、やはりこれはチェックしてもいいんじゃないですかね。特に、反対がないというときに、こちら側から引き下がることもなくて、それは人権侵害につながるような表現というのは、やはりこれは意見を申すべきではないかと思いますので、あまりはっきりわからないような表現にはしていただきたくないと思うんですね。勿論、ちょっと検討していただいて預かっていただいていいんですけれども。
古橋会長代理
苦情処理ならいいんじゃないですか。
猪口委員
苦情処理でも十分ですかね。
古橋会長代理
それに表現等で、人権侵害だけでなくて、私の考えていることは、この間の朝日とNHKの問題とか、そういうこともいろいろとあるんですよと、これは男女共同参画ではありませんよ、しかし、そういうことを含めて、言論界がもう少しいろいろなことの苦情処理も扱っていいと思うんですよ。
 「表現等」ということの「等」の中で、いろいろ諸外国でやっておりますから、そういうことについてまずとりあえず勉強をしたらいいでしょうと、勉強するところはどこでしょうかというと、これは政府、どこなんですかね。
林委員
質問なんですが、よろしいですか。
岩男会長
どうぞ。
林委員
議論をお聞きしていて自分で理解できないのは、チェック機能というのと、苦情処理とか改善を促すことというのは同じだという受けとめで話が進んでいるんでしょうか。
桂委員
いや、違うでしょう。チェックは検閲だということなんでしょう。
古橋会長代理
ゆるめたんですよ。
林委員
それで、チェックする機能というのと、苦情処理というのは救済ということも含めて私はあると思うものですから、今まだ問題になっている人権擁護法案の中に、人権の救済機関というものをどうするかというようなことの中で対応できるという範囲のことなのか。救済機関というものとチェック機能というところとは、少し違うという理解で言っているんですけれども、それはどうなんでしょうか。ゆるめるとかゆるめないのレベルの問題ではないような受けとめを私はしてしまっているんです。
岩男会長
チェック機能というと普通は、恐らく検閲というか、どういう言葉を使ってはいけないというような形のチェックを皆さん思い浮かべられるのではないかと思うんですね。そこでメディアがすごく反対するわけですけれども、現在機能しておりますのは、人権侵害、テレビの場合には苦情を申し立てる人がいて、それに対して第三者機関が救済のための、改善のための審議をするとか、あるいは青少年の場合には、意見を出して、それによって自主的に報道機関が自分の番組を変えていくというようなことも実際には起こっているわけですけれども、これはあくまでも自主的になんですね。そういうプロセスなんですけれども、そして、恐らくそういうものはほかの国ではどういうふうに存在しているのかということを研究しましょうという話だと思いますけれども。
 このメディアの場合、法的な意味での人権侵害、法廷に持ち込むようなものではないケースが非常に多いわけですね。そういうメディアの特殊性だと思うんですけれども。
鹿嶋委員
過去のメディアの人権侵害と言った場合は、局限によっての侵害だと思うんですね。いわゆる事件報道などに特にそういうケースが見られるんですが、では、どういうふうに改善したかというと、やはり日弁連とかNPOとかいろいろな人からの苦情を受け付けていくことによって事件報道の姿勢というのはだんだん改善していくんですね。だから基本は苦情、要するに世論ですね。その後押しによって、マスコミの方も変わっていくということなので、だから、やはり私はチェックではなくて、そういうものを受付けることによって、そして改善につなげていくというのが、一番、過去の例から言うとつながると思うんですね。
岩男会長
そうですね。特に問題がなければ、今、鹿島委員が言われたような形でここは直させていただきたいと思うんですけれども。
原委員
小さなことですが、60ページの「具体的な取組」の●の下から2つ目の職場を離れて長い時間を経た女性というので、時間、どのぐらいだろうと思ったんですよ。ここはどうなるか、年月かしら。
岩男会長
期間でしょうね。
原委員
期間か年月か、年月がいいかもしれませんね。やっぱり30分離れていたって大丈夫なんだから。
佐藤委員
内容ではないんですけれども、ちょっとデータのことで、57ページから58ページに、それぞれ女性の比率が出ていて、それを受けて多分58ページの「評価と問題点」で「メディアの方針決定の場への女性の登用が進んでいない」と書かれているんですね。これを見ると、ただ、新聞社だけが、役職に占める女性比率が載っていなくて、民放とNHKは載っている。なぜなんだろうと思って、これは聞かなかったのか、出してくれなかったのか、なぜ新聞社だけ管理職に占める女性比率がないんだろうと。57ページの下なんですが、ほかの民放とNHKは載っている。
岩男会長
いかがですか、事務局の方で。
佐藤委員
すごく低いから出してくれないのかもわからないけれども。ちょっと不自然だなという感じなので。
岩男会長
新聞社の立場から御意見があれば。
鹿嶋委員
いやいや、それはやはり出せないんですね、きっと。
岩男会長
だと思いますね。
鹿嶋委員
女性記者比率は出ているんですがね。
佐藤委員
多分、すごく遅れているんだろうなということなので。これはお願いして出していただいているんですか。向こうが公表したものを集計しているんですか。
鹿嶋委員
編集員、論説員は出ているんですよ。
定塚推進課長
いずれにしても、我々の手元にはこれしかないのですが、あるかどうか更に確認をさせていただきたいと思います。
山口委員
用語上のことで伺いたいんですが、57ページの目標の●の3ですが、「有害環境対策」という言葉は、これは用語として決まっているのかどうか。
 それから、58ページの「主な政策効果」のところで、「性別に基づく固定観念」、これは次にも出てきますけれども、さっきの有害環境対策という言葉は決まっているんですか。つまり、メディアのことですよね。そして、こういう言葉は、お役所の言葉として「有害環境対策」と言っているんですか。
岩男会長
文科省からお答えいただけると思いますけれども、私が前に関係していた総務省の委員会もこういうような表現を使っていましたね。
山口委員
これは、何だか回りくどい表現でわからないですよね。
定塚推進課長
現行計画ではそのような文言ですけれども。
山口委員
それから58ページの「性別に基づく固定観念」、これは私などがずばり言えば、男女の役割分担意識に基づく、というふうになるんですけれども、何かちょっと回りくどいなと思います。そして、この言葉をずっと引きずって、次の59ページの「目標」9の中にも、性別に基づくと書いてあって、そして、「施策の基本的方向」の中では、固定的な性別役割分担という表現になっていますけれども、これも、前もこう書いてありましたか、性別に基づく固定観念と。もっとずばり役割分担意識とか慣習があるわけですから、どうなんですか、これは前の言葉と同じですか。
古橋会長代理
何ページですか。58ページ。
山口委員
まずはっきり言えば、58ページの「主な政策効果」の中に、「性別に基づく固定観念」と書いてあって、59ページも、この「目標」の中に、「性別に基づく固定観念」と書いてあるんですね。
 私が言いたいのは、もっとはっきり性別に基づく男女の役割分担という固定観念というふうにした方がはっきりすると思うので、そう申し上げているんです。だから、前にこう使っていたのかどうか、その記憶がないので。
定塚推進課長
現行計画では、現行計画の94ページ(2)の部分で「性別に基づく固定観念にとらわれない」という言葉を使っておりました。それから、今言われた59ページの目標の方は今まで入れておりませんで、今回新たに加えたものでございます。
山口委員
では、はっきり書いた方がいいと私は思います。
定塚推進課長
加えた方がいいという御意見がありまして加えたものでございます。
原委員
結果的にどういう文言にするかというのは別にして、性別に基づく固定観念というのはすごく幅が広くて、役割分担のことは、そういうものの中のある一部分であると思うんですね。だから、それをそういうふうに限定して、今回、文章にするのか、それとも、もう少し役割分担よりももうちょっと幅広い性別に基づく固定観念ということで行くのか、というのがあると思います。数学は、女は頭が悪いからできないというのは、これは役割分担ではないわけです。だから、幅の広さが違うと思うんですね。
猪口委員
そうしたら最初のところで、両方書いたらどうですかね。「性別に基づく役割分担や固定観念にとらわれない表現」、両方入れてみる。
 それから、それとの関係で、1つ、59ページの四角の中のちょうど真ん中で、「一方」から始まるパラグラフで、ここに「性別に基づく固定観念にとらわれた表現などに加え、女性の性的側面を」云々と、こういうのだけでやるのはメディアでだめだよと書いているんだけれども、私が思うには、やはり日本のドラマとかそういうものは、表現だけではなくて、女性の役割、その中で演じる役割、これが非常に固定的なんですね。歴史物でも、確かに昔の女性はそうだったのかもしれないけれども、しかし、また現代の目から見れば、その時代にあって、非常に果敢な役割を果たしたり、時代を切り開くような役割を果たした女性もいるわけですよ。しかし、そういうふうには全くとらえないで、役割を非常に固定的に表現していくというのが多いので、そこで、ここも簡単な修正でお願いしたいのは、表現や役割、というような言葉を入れていただければ、一部のメディアにおいて、性別に基づく固定観念にとらわれた表現や役割。
古橋会長代理
固定観念や役割にとらわれた、というふうに。
猪口委員
表現だけではないんですね。表現ではなくて、要するに、役回りと言いますか、女性の演じる役、例えば、ニュースでも、メインが男性で、女性が補佐とか、それから、歴史劇でも、時代劇でも、女性が常に何かすごく優柔不断で弱いように描かれていたり、そういうことも含めて、見直していただきたいと思うんですけれども。
 それから、60ページの下の方の施策の方向なんですけれども、これは教科書はどうですか。教科書で女性がエプロンで、男性が新聞読んでいるというような絵が、しつこく言っていたので最近はなくなったと思うんだけれども、しかし、しつこく言わないで済む時代になりたいなと思うんですが、公的広報や教科書等と入れていただければ、更によろしいのではないかと思います。
 それからもう一つ、60ページの「具体的な取組」で、ここに書いてあることすべてよろしいんですけれども、私が感じるのは、やはり女性に発信する機会が少ないと思うんですね。何か女性の発信力をもう少し重視して、例えば、番組の出演者、何か討論するというときに、ほとんど男性だけで画面をつくっている、あるいは新聞の座談会を組むときに、日本の未来を考えようというときに、男性だけで討論をして日本の未来を考えるんだなと読者はみんな潜在意識にも刷り込まれてしまいますので、女性の発信力に、特別に何か配慮してもらえるような●を入れていただければありがたいです。
定塚推進課長
今の表現という文言なんですけれども、この表現という文言、次の表現の自由という言葉もありますけれども、単なる文言上の表現といったことではなくて、そうした役割とかいろいろなことを引っくるめての概念として表現と使ったつもりなんですが、もし、何かほかに適当な言葉があれば。
猪口委員
そして、みんなが、そうかと気がつくような一言、お任せしてもいいので、考えついたら入れてくださいと。
定塚推進課長
あと、教科書でございますが、教科書をもし記載するとしたら、ここではなくて教育の部分かと思うんですが、教科書については既に進んでおりまして。
猪口委員
わかりました。では、それでいいです。解決した問題と。
鹿嶋委員
性別に基づく固定観念と役割分担、あれは原先生が言ったように、パラレルではなくて、固定観念という広い大枠の中に固定的役割分担が入るので、だから、ここの表現は、58ページの「主な政策効果」のところの表現は、固定的な役割分担など性別に基づく固定観念とか、そういうふうにしないと。
岩男会長
よろしいでしょうか。それでは、先に進む前に、庄司委員のメモで1点だけ確認をさせていただきたいんですけれども、第5分野のところでつけ加える文章を書いていただきましたが、その中で、「若年、未婚で出産すると」、こういう表現をお書きになっているんですけれども、この「未婚」を取った方がいいのではないかという御提案なんですが。
庄司委員
私が言いたかったことについて御説明させていただきます。
 特に、若年出産というのは、最近少し年齢の切り方が変わってきているかもわかりませんけれども、未婚ないし非婚と言われる、特に法的に守られた配偶関係を持たない若年の女子が妊娠、出産するということは決して珍しくないんですが、それがやはり日本の社会の中では妊娠、出産を経験する女性の中で一番ひどい状況になっている。どうしてかというと、単に、若年で既婚で妊娠出産している場合に比べますと、学校・家庭・地域社会にとどまれなくなるというケースが非常に多いんですね。
 まず、本来であれば教育をもっと受け続けなければいけないのに、未婚の状態で妊娠、出産していることで学校にとどまりにくくなる、あるいは家族からもこういう人間を自分の家の中で守っていくこと自体が恥といいますか、それで、家族内での葛藤が激しくなって、追い出してしまったり逃げてしまったりということ、結局、特に若年のこれからの自分の生活基盤を確立して、成長していかなければいけない、その途上でいろいろなものをすべて剥奪して、かなり経済的に厳しい状況の中で医療を受けなければいけないとか、そういう問題を私はどこかでちょっと取り上げていただきたいと思います。この母子家庭の母の問題が、これ自体もいろいろたくさん問題があるんですが、本当にわずか1行、積極的に推進するとあったんですが、その中でも、やはりこの問題にもう少し関心を持って、総合的な生活支援を行う必要があるということの芽を出しておいていただくと、今後につながっていくのではないか。ですから、表現が具合が悪ければ、もう少し工夫できると思うんですが、私は、非婚ないし未婚ということについては、むしろこだわりたいと思っております。
原委員
「未婚」を取ったらと発言したのは私です。今、庄司委員がおっしゃったような事実、これは厚生省から樋口プロジェクトでお金をいただいて調査したときのがたくさん出ていまして、特に大阪の病院などでは、そうやって駆け込んでくる未婚、非婚の女性が経済的にも大変だから、医療サポート以外に経済的な総合的な生活サポートが必要であるというようなことを、厚労省の調査のときも結論で報告しています。それは私の班で書いたんですけれども、それはよくわかるんですが、若年で出産するの中に、含意としては未婚も非婚も既婚も入るというふうに、この際時節柄というか、しておいて、それを具体的な施策としてしっかりとどのようにしていただくかをお役所の方にお願いしていくというふうにすることかなと思ったということです。
庄司委員
ちょっと補足しますと、私もこの問題にこだわって調査をしてきたことがあるんですが、特に若年で未婚の女子の場合、本当に駆け込みで出産をするというそこの直前まで医療にもつながっていないというケースが少なからずありました。これは既婚の場合とはやはり状況が相当違います。既婚の場合ですと、相手の健康保険とか、いろいろそういうところからの手当、祝い金、その他いろいろ出ますので、出産を乗り切ることは比較的条件がまだあると、ところが、未婚の場合ですと、多くの場合本人には全く何もない。それから、何か問題があっても、親の健康保険を使うことを非常に嫌がる。家族のだれだれが産婦人科でどういう医療を受けたと記録に残りますので。そういう実態を産婦人科の先生に協力いただいていろいろ調査したときに、大変深刻に感じました。
 それから、やはり若年ですと、いろいろな意味での生活力の未成熟さがあるのに、妊娠中からどこかでサポートを受けられるような施設サービスというのも日本にはほとんどないので、2例だけ私どもがよく知っている施設のことを書いたんですが、そういう点では、できれば、そこを強調点にしていただくことができないものかと、どこかで一度そういうことを申し上げたいというふうに思っておりました。
 以上です。
岩男会長
両方、このまま残すという、基本的に。原委員、何か。
原委員
それでしかも、仮に病院で出産に至るそのような女性たちは、未婚・非婚で妊娠した女性のうちのごく一部、しかもそこで出産した後、しばしば、本当に、病院の看護婦さんなどの目を盗んで赤ちゃんを置いて病院から逃げ出しちゃうことがあるんです。だから、置いてけぼりにされている赤ちゃんも増えているのではないでしょうか。
 このことの中身を私は本当に重要性、深刻に受け止めているので、表現についてはまた、起草委員の方にお任せします。
岩男会長
佐藤委員、どうぞ。
佐藤委員
庄司委員のに少し範囲を広げた方がいいかなと思っていて、若年で妊娠して10代後半と20代前半で結婚する人の相当の割合は結婚時期より前に妊娠しているそうで、その層というのは生活基盤が非常に不安定で、結婚する人たちについても、その後、子育て等あるいは夫婦関係がうまくいかないケースが結構多いんですね。若い人たちの生活基盤ができないところで結婚する人たちのところを少し広めに書いていただいた方がいいかなという気がするんですけれども。
岩男会長
では、そのような御趣旨を含めた表現に直させていただきたいと思います。
猪口委員
私は、庄司さんの意見を支持したいと思ったんですけれども、新しいテーマなので、やはり若年、未婚ということで、すごくイメージがしっかりと典型例を思い起こすことができると思うんですね。メインストリーム化していなかった議論ですので、イントロデュースするときは、やはり具体的な典型例をイメージできるような表現がいいのではないかと思うんです。ですから、若年、未婚という表現を残すべきだと思うんです。
 それで、次の文章に確かにより広くとらえるべきものがあるので、その未婚、既婚にかかわらずとか何とかという文章をつけ加えるのはいいけども、この庄司先生がお書きになったその文章はこのままの方がいいと思いまして。
岩男会長
では、そのようにさせていただきたいと思います。
 ほかに御意見がなければ、先に進みたいと思います。
古橋会長代理
未婚について生活支援を行うということについては、まだ、この日本社会においてコンセンサスが得られるかどうか。まだまだ私が保守的なのかもしれないけれども。
 総合的な医療に対する支援であるとか、そういうことなら私はいいと思うけれども、生活支援ということについては、私はちょっと疑問に思います。
庄司委員
この問題をきちんとしないと、生活保護を受ける層になったり、子どもの養育がうまくいっていないとか、そういう状況が起きています。私も実は、いろいろなことを考えて、●1つ増やすとよけいに突出するのではないかとか、あと、リプロの方の項目の中に、むしろ妊娠・出産の中で非常に困難があるという、そこを扱うべきなのか、いろいろ考えて、むしろ少し控え目に、こういうふうにしたつもりではあったんですけれども、それでも、逆にいろいろな問題を招くというのであれば、その辺は起草の段階での御判断に委ねます。
古橋会長代理
必ずそれやれば、またフリーセックスを助長するというふうに取られちゃうから、そういうふうに取られないような文言で書くならば私はいいと思います。子供が生まれるというときには、その医療の指導とか、そういうようなことを行うという趣旨ならばいいと思います。そもそもセックスをすることについて今非常に議論になっているのは、自制すべきかすべからざるかと、そういうところからの教育が大切になって、いろいろ議論されているわけでしょう。そういうときに、未婚でというふうになったときに、将来のことも考えないで、セックスをするということに対する一般からの批判がありますから、これらのところは、ちょっと総合的な生活支援を行うと書けば、あなた方は、それでは、フリーセックスを援護することに結局なるというふうに言われたときにどうするかというのがあります。ちょっと文言を考えた方がいいのではないかと、私は思います。
 したがって、私は、若年で出産するということの中で、全部、そういうものが入るよという解釈にしておいた方がよいと思います。
 それで意見が通らなければ、皆さんの意見でいいんですけれども。
庄司委員
少子化だと受けがいいからということで、そういう形で少子化問題を入れることはちょっと疑問です。
岩男会長
それでは、最終案をまとめた後でもう一遍ごらんいただくことになっておりますので、一応お任せいただいて、こちらで検討して、まとめるということにさせていただきたいと思います。
 それでは、次の10の教育・学習のところに移りたいと思います。
定塚推進課長
では、10の教育・学習でございますが、66ページの「評価と問題点」から御紹介をしたいと思います。
 「評価と問題点」のところでございますが、まず第1の●で今後とも男女共同参画に関する教育学習を推進していくことが重要としております。
 その後ですが、原案では、そのためということで、画一的に男女の違いをなくし、人間の中性化を目指すものではないにもかかわらず、学校教育においては現場で男女共同参画を男女を中性化するものとしてとらえている事例があるとの苦情があることの踏まえ、としておりますが、こちらの方は意見の方で見え消しにしております。
 その後、男女共同参画に対する正確な理解の浸透に努める必要がある。また、家庭教育を含め、社会教育においても、男女共同参画の意識を高める学習機会の提供を推進していくことが重要としております。
 次の●においては、4年制大学学部においては、女性の在学者数は増加しているが、一部の学部分野別に偏りが見られる等の記述をしております。
 それから、その下の●ですが、放送大学について、こちらの方も削除意見が出されておるところでございます。
 その下の、今後の「施策の基本的方向」でございますが、10分野について教育・学習の充実ということで記述をしております。
 従来のものに加えまして、冒頭の部分、「少子・高齢化等人口構造の変化、国際化、情報化など変動する時代・社会の中で」という部分を追加をいたしております。
 次のページでございますが、(1)は「男女平等を推進する教育・学習」でございます。「施策の基本的方向」としては、ほぼ従来どおりの中身でございますが、1行目のところ、「家庭教育や職場における教育を含め社会教育」という形での修文を加えております。「具体的な取組」では、まず、初等中等教育において、児童生徒の発達段階に応じ、学校教育全体を通じ、人権の尊重、男女平等、男女相互の理解と協力の重要性などについて指導の充実を図るとしております。
 その次の●でございますが、こちらの方は、3つ下の新しく下線を引いた部分に説明を移行しておりまして、高等教育において、男女共同参画に対する正確な理解の浸透を図る、とともに、大学教育等における女性学に対する教育の充実を促すとしております。この下線部分の後段部分は、その上の●の大学教育等における女性学等の講座の充実に努める。1の2つを併せているものでございます。
 それから、上に戻りますけれども、3つ目の●につきましては、国立大学の達成目標について、これは第1分野に記述を移動した方がいいのではないかという意見が出ておりまして、ここからはとりあえず見え消しで落としまして、第1分野に記述を加えております。それから、あとは現行計画にあるものも多いんですが、一番下のところで、女性学・ジェンダー研究の成果を社会に還元するため、国立女性教育会館の事業の成果を研修・交流事業に活用する等を記述をしております。
 また、学術会議の対策について記述をしております。
 次の(2)、「多様な選択を可能にする教育・学習機会の充実」でございます。
 「施策の基本的方向」ですが、前半部分は、大体従来と同様でございます。下から3行目の「2000年のミレニアム国連総会で合意された2015年までにすべての教育レベルにおける男女格差を解消することを達成目標としている『ミレニアム開発目標』に留意する」、これを新たに加えております。
 「具体的な取組」の中では、従来から記述がありますが、リカレント教育の機会の充実や、放送大学の整備を促進することなどを記載をしております。
 新しいものといたしましては、女性のチャレンジを支援するということ、それから、国立女性教育会館における事業の充実。
 各都道府県における中学校を中心とした一定期間以上の職場体験の実施など、キャリア教育の推進。
 4年制大学や、ここは意見が出て、修正をしておりますが、大学院の在学者数・進学率の男女差、選考分野における男女の偏りも踏まえ、固定的な性別による考え方にとらわれず、生徒一人一人が主体的に進路を選択する能力・態度を身に付ける。
 また、女性の進学・進出の割合が低い理工系、社会科学分野等も積極的に選択できるよう、進路指導の改善・充実に努める、と記載をしています。
 また、理工系分野についての推進のことを記載しております。
 その次でございますが、「大学等が、将来のキャリアに関連付けた専門教育を展開するよう促す。また、就職指導を大学等の教育の中に適切に位置づける」、インターンシップ等について記述をしております。
 大体以上でございます。この分野につきましては、本日御欠席でございますが、五條先生から意見が出ておりますので、五條先生の意見の1の説明をさせていただきます。
 記の1と書いてある部分でございます。下から3行目ですが、大学において専門教育の修得が男女共に学生にとって多様な職業選択を可能にする有力な条件の一つであることを重視しつつ、経済団体等に対し実績な就職採用の活動開始や内定の時期等が大学教育への十分な配慮となるように要請する、こちらの方を修正案文としていただいています。
 以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。
 それでは、御意見ございましたら、どうぞ御発言下さい。
 山口委員、どうぞ。
山口委員
この分野で不満を言いたいんですが、これは全く文部科学省の領域ですね。教育基本法では学校教育、社会教育、政治教育というけれども、一番欠けているのは政治教育なんですよ。これは男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育学習の充実ということになると、やはり政治教育というのは落とすことはできない。この分野というのは総務省の選挙管理部で、やはり選挙とか政治教育というのはやるべきことなんですね。
 そういう分野を加えていかなければならないのではないかと。文科省は社会教育なのでやらないですよ。私は総務省が政治教育として政治啓発や選挙啓発をすべきで、政治教育はどこかに入れていかなければいけないと思います。
 今までも議論が出たんですが、女性の政治参画の分野は立法府のやることだということですけれども、土台となる分野を広げるには、政治教育の分野を入れていくべきだと思います。
 それから、初等中等教育というのは高校教育は入るんですか。
頼本男女共同参画局推進課企画官
はい。
山口委員
入るわけですね。そうしますと、68ページの具体的な取り組みの中で、「児童生徒の発達段階に応じ、社会科、家庭科、道徳、特別活動など」と書いてありますが、私はここの中には当然歴史が入るべきだと思うんです。
岩男会長
社会科というものの中に歴史は入らないんですか。
山口委員
何となくは歴史というのはあるのではないですか。
(文部科学省)
大きく社会科の中に、中学校ですと歴史、地理、公民で分かれておりまして、高等学校になりますと地歴・公民ですけども、また公民の中には現代社会、倫理、政治・経済といった形で、項目は非常に増えますけれども、ここではそれを全部まとめていまして、社会科というような形で表現はさせていただいているというところでございます。
山口委員
そうですね。それは全部含まれているということですか。では、今言われたことはそれを含まれているのですね。
岩男会長
どうぞ。
猪口委員
山口委員のおっしゃっている内容の意味というのは、非常に重要ではないかと思います。表現がどういうふうになるかということは別としてですね。つまり、おっしゃっている含意というのは、もともとその人間社会はそんな社会正義に満ちた社会ではなかったと。一歩一歩多大な犠牲と努力を積んで、今日の男女平等社会と人権が守られる社会というものが築かれていると。その履歴についての教育と啓発と理解が必要なんです。そのことがわかれば、今日、男女平等と言えば空気みたいに思う世代もあるわけだけれども、そういうことでなくて、これだけの多くの人の努力と犠牲と志によって、ついに正義ある人間社会が築かれており、今日もまだその途上であるという現代の課題につながっていくわけですね。だから、そういう部分の歴史がもう少し強調されるべきだということではないかと思うんです。
 ですから、この中に例えば、歴史と入れてもそういうふうになかなかみんな理解できないので、もう少し●の続きを書いていただいて、男女平等、そして人権が守られる社会がいかに人間社会の中で成立してきたかということについての理解と洞察を深めるということが、今日更にジェンダーの問題を推し進めていくときに重要な出発点となるということですね。
 だから、何かそこがわかるような表現、つまり、この文章にもう一つ付け足す必要があるのではないですかね。この今の文章だけですと、人権が重要です、平等が重要です、思いやりを持ちましょうという、現在のことについてがんがん教えるということかもしれないけれども、履歴がわかれば、もっと迫力を持ってみんながそれを理解できるようになるということではないかと思うんです。
山口委員
猪口先生は非常に説得力があります。私が言いたいのはまさにそのことであって、そういう歴史的事実を知るということと、もう一つさっきの。
 私は総務省の意見を聞いていないんですが、総務省の選挙部というのは選挙管理と選挙啓発の仕事で、選挙啓発は大きな政治教育ですね。今何をやっているかを、私は総務省からも聞きたいですね。地方分権時代にあっては、政治参加の重要性を抜くことはできない。投票率だって上がっていくし、例の人間開発指数だって上がっていく要因にもなるので、総務省から、どういうふうな政治教育に取り組んでいるのか、その事実と同時にどこかにこの記述を入れたい。文科省だけでは不十分だと思います。
岩男会長
山口委員に文案をつくっていただきたいと思うんですね。
山口委員
是非、総務省に。
岩男会長
総務省からヒアリングをするのはもうちょっと無理だと思います。
山口委員
ヒアリングはいいんですけれども、どういうことをやってきているか、毎年そのために予算を取って仕事をしているわけですから。いかなる選挙啓発、政治教育をやっているかということを書面でください。それを踏まえて書けますから。数行でいいと思いますので。
岩男会長
では、そういうふうに事務局の方で。
 それでは、神田委員、どうぞ。
神田委員
67ページの目標のところなんですが、ここのみんなは男女男女と来ますんですけれども、一番最後の段落の「また」というのは、これは生涯学習なんですけれども、ここのところにやはり女性のエンパワーメントというような、女性のことを特立てした方がいいのではないかと思います。
 これについては、施策を講じるという最後に文言を入れるか、あるいは中間で、男女共同参画を推進するためには、特に女性の能力開発、エンパワーメントが必要であり、そのための教育・学習を充実させるというような文言をどこかに入れておいた方がよろしいというふうに思います。
 それから、幾つかあります。68ページ。学校教育及び家庭教育や職場、地域というふうに入れてください、入れる必要があります。
 前にも戻りますし、後からも出てくることですけれども、67ページのこの目標の2段落目に、男女が共に個性や能力を発揮するために学校、家庭、これは地域、職場が入りましたが、並列すると同時にそれらが連携を図りつつ、連携しないとばらばらになってしまうので、ここにその連携を図りつつ、こういう学習が重要なんだというようなことを入れる必要があろうかと思います。
 68ページの一番最後のところですけれども、どうもよくわからないんでございます。国立女性教育会館が出てくるものですから、一生懸命読んだんですけれども、文意がうまくつかめないものですから、ここはどういうことなのか、ちょっと。
岩男会長
68ページの一番下の段ですか。
神田委員
はい。68と69ページにかかっているところの3行目のところ。これは女性学ジェンダー研究の推進なんですか。現行はどうなっていますでしょうか。
頼本企画官
現行計画にもヌエックの記述はございますけれども、この文章とはかなり違いまして、今回のこの部分は文部科学省からいただいたものでございます。
神田委員
女性学の振興ということでございますね。
古橋会長代理
活用するなど女性学の振興を図るべきか。
神田委員
ということなんですね。一生懸命読んだんだけれども、よくわからない。
鹿嶋委員
これはだれがどうしたということが。
桜井委員
それと、今のところなんですけれども、女性教育施設、社会教育施設ということと、男女共同参画センターということの関連がというか、この女性教育施設の中に一般的な女性センター、男女共同参画センターが入っているのか入っていないのかというのがわからなくて、この全体を読むと、ここではこういう女性教育施設、社会教育施設という言い方をして、あとチャレンジ支援のところになる。82ページですか。その辺りからは男女共同参画センターがそういったことを担うという表記になっておりまして、その文科省の所管する女性教育施設と、自治体で言えば、首長部署が所管する男女共同参画センターと役割をはっきり違えているというふうに読めますが、これを読む限りは、そういう理解でよろしいんでしょうか。そこがもう一つわかりにくいところでした。
神田委員
よろしいでしょうか。それはどういう意味かということとは別に、女性関連施設という言葉を使って、統合してとらえようとしているわけですよ。そして、現実に学習事業、教育事業を行っているわけです。だから、むしろ現状に即したような言葉の使い方のほうがいいというふうに思っております。女性関連施設という言葉で。
猪口委員
あえて分ける必要はない。
岩男会長
分けないで、女性関連施設と。
神田委員
はい。それと社会教育施設は別に公民館などがありますから、置いておいていいと思いますけれども。
岩男会長
では、そういうことで何か問題ありますか。
定塚推進課長
今おっしゃった女性関連施設というのは、ここの場面でそれを使うということでしょうか。それともほかの部分の男女共同参画センターでも、それで統一しようということでしょうか。
猪口委員
ここでも使う必要が。
桜井委員
同じものを指しているんだとすれば、どこに出てきても同じ使い方をする必要があるというふうに思います。
定塚推進課長
男女共同参画センターと言いますのは、男女と入っているんですが、女性関連施設というと女性しか入っていないということで、どちらの言葉を使うのが適切かという問題が出てくるわけですが。
桜井委員
例えば、男女共同参画センターと女性関連施設とか、何かそれが含まれているというような。今は割合そういう言い方をしていますね。
神田委員
そうです。
桜井委員
それがいいかどうかわかりませんけれども、何か。
岩男会長
では、両方を。
 原委員、どうぞ。
原委員
1つは、68ページの具体的な取り組みの一番初めの●、ここで最後のところが見え消しになっているところ。男女共同参画の視点に立った食育を充実する。これが消えた理由が私知りたいんです。
岩男会長
では、お願いします。
頼本企画官
これは文部科学省の理由は、ここの記述におきます食育と、今国会の方で食育基本法が議論されているわけですけれども、食育基本法上の食育との関係でありますとか、あと農業分野でも食農教育と食育ということで出ておりましたけれども、その2つの関係でありますとか、そういうような概念をもうちょっと知った上で回答したいというような趣旨でございまして、そういう内容の確認を踏まえて、記述については検討する必要があるとしております。
古橋会長代理
では、文部科学省から専門調査会あてに意見が来るんですか。
岩男会長
要するに、まだ今後これがいいか、あるいはもっとほかの表現がいいかを検討してお返事が来るというふうに理解してよろしいんでしょうか。
頼本企画官
はい。こちらから調整をしていくことになるかなと思います。
岩男会長
どうぞ。
原委員
食育というと本当に幅広く、今いろいろなところの議論があるようで、行政の団体の方たちとか、あと例えば、外国でこの日本における食育現象に関して着目して研究しようとしている人たちが、どういう問題意識をお持ちなのというふうにそういう方に聞くと、この食育は勿論食べ物のことは大事なんだけれども、だから、お母さんが家にいて、温かい御飯を子どもが次々に塾から帰ってくる、そのたびたびにつくってあげて、また夫が遅く帰ってきたら、そこでまた温かいお食事を食べさせてあげる。だから、女を家庭に縛り付けることになるのが目標なのかしら、こういうのを考えているのよという方がいらっしゃるわけです。
 それで、私とすれば、その男女共同参画の視点に立った食育というのは大事だなと思っていたので、なぜ消えてしまったかなと思ったんだけれども、今のような理由があるとすれば、これが外れていることで、私はいいです。質問した理由はそれです。
古橋会長代理
原委員が言われたので、男女共同参画の視点とわざわざ入れたんですよ。
原委員
それが大事だと思っています。
古橋会長代理
だから、これは必ず書かなくてはいけないんですよ。文部省が出てこなかったときに、ちゃんとこのとおり生かしますから。
原委員
もう一つは、小さなことで、69ページの日本学術会議のところの2行目、ジェンダー問題をめぐる積極的なのところに、「積極的な学術的取組」と入れていただきたいんです。それから、その次の下から2行目の児童生徒への学術研究の同位置づけというのは、やはり「学術的研究」で「的」が入っている方が。児童生徒が学術研究するなどできないわけだから、お願いします。
岩男会長
それから、この評価と問題点の66ページの一番下から67ページにかけて記述されているのが消されておりますけれども、これはなぜ消されているのかをちょっと御説明ください。
頼本企画官
文部科学省の理由ですけれども、前段と後段があります。前段の人間の中性化を目指すものではないにもかかわらずという部分につきましては、教育の分野に限った問題ではないので、ここだけで評価するのはいかがかという理由でございます。それから、後段の現場の苦情については、ここまで書かれると、という感じでございました。
古橋会長代理
苦情があるという事実を踏まえて、苦情ということでわざわざ随分やわらかくしたつもりなんだけれども、もしどうしてもいやだったらば、男女共同参画はこの基本法に定める5つの理念を実現するものであり、性差意識を解消するものではないこと、男女を中性化するものではないという正しい解釈に努める必要があるというふうにしたっていいですよ。しかし、現状について何かを判断するところで、こういうことを我々は意識していますよということを言わない限り、現状に対する評価がないと言われてしまうというふうに思えてしようがないので、私どもはちゃんと現状を認識した上で対応していますと言いたいために、わざわざ書いたんです。
 何か意見があるならお願いします。
岩男会長
どうぞ。
(文部科学省)
確かにこういった苦情、批判があるということを否定するつもりはありませんが、学校におけるいわゆるジェンダーフリーといった問題は、ジェンダーフリーやジェンダーの言葉とか、リプロダクティブ・ヘルツ/ライツの言葉とか、地方公共団体における男女共同参画条例などを含め、幅広い分野において、全体的・一体的に言われているといったような認識があったものですから、中間整理全体を見たときに、学校の部分だけこういったことが書かれているのがバランスとしてどうなのかなと思って削っております。
古橋会長代理

 苦情が出てきているのは学校なんですよ。それ以外で出てきているのは、便所の標識で両方とも赤にしちゃうとか青にしちゃうとか、そんなようなことであって、あとは全部学校なんですよ。したがって、これは何も基本計画の本文の中にかかることではなくて、私どもの評価ですから、文部省から特に言われる筋合いのものではないと、こう思いますけれども。この部分は閣議決定ではないのですから、私どもの評価で、苦情があるということを私どもが認識していますよということを世間に言いたいだけなんです。
 ですから、男女共同参画の学習のところですから、社会教育の場を含めすべてのところでジェンダーフリー的な誤解がされているというようなことがあるということとして、何も学校教育だけではないというふうにしてもよいと思うんですけれども。
神田委員
基本法のことをきちんとここに置いてというそれはそれで必要だと思います。それの方がむしろ説得力があるかなと思います。そこで、ちゃんと書いてあるんだというふうに出していただく。
岩男会長
関連して、今消えている部分のすぐ後に、男女共同参画に対する正確な理解の浸透に努める必要があるというのに加えて、例えば、男女共同参画及びジェンダーに敏感な視点とか、ジェンダーに関する正確な理解の浸透というようなことを言う必要がないかどうかなんですけれどもね。
 いかがでしょう。今の点。
桜井委員
ジェンダーに敏感な視点とか、そういう言葉よりも、今、ここに書いてある中性化を目指すものではないにもかかわらずという書き方の方が、ずっとわかりやすいというふうに思うのですが、こういうふうな指摘があるわけですけれども、逆に、文科省への応援というふうに、応援と言ったら変ですけれども、何か、こういうことがあるけれども、こういうふうに書いておけば、これで答えられるというか。
岩男会長
私が言っているのは、復活するかどうかとは別に、男女共同参画だけではなくて、やはりジェンダーに対する理解ということを入れる必要があるのではないかという意見なんですけれども。
猪口委員
会長の意見に賛同します。必要あると思います。全体的に、ジェンダーの表現が後退しているように思うんです。遠慮していらっしゃるわけで、ジェンダーという概念は、しっかりと定着を図る必要がありますので、会長は非常に今適切な提案をされたと思います。
 それで、見え消しになっているところについては、今、古橋先生がおっしゃったとおりなんだけれども、もし、ぎりぎり取るとすれば、学校教育においては現場で、というところだけ取って、それ以外は残すということです。他方で、学校教育の現場におかれましては、やはりこういう非常に私たちにとって辛いバックラッシュが、 誠に不本意な形で発生してしまったということについて、やはりきちっと対策していただかないと、男女共同参画全体が後退していく危険性がありますので、是非学校の現場においてもうちょっときちんと対策していただく必要があるのではないでしょうか。ですから、今日、この場で、ここの文書を消したとしても、やはり課題として文科省はこの問題に社会において不必要な誤解が発生して、結果的に正義ある人間社会が築けなくなってしまうということにならないような対策をしていただかないと困るんだということだと思います。会議としての意見としてそうだと思うんです。
古橋会長代理
そのとおりです。
岩男会長
そうですね。
原委員
賛成です。
鹿嶋委員
水を指すようなことですが。これでいいんですけれども、もし残すとすれば、ちょっとしつこさもあるんですね。中性化を目指すものではないにもかかわらず、中性化云々と、こういうようなところもあるので、もし残すのであれば、「中性化を目指すものではないにもかかわらず」までは取っちゃってもいいかもしれませんね。学校教育においてから始まっても。
古橋会長代理
文科省は学校教育というのは入れては困るというんだから。
岩男会長
それは取ってもいいと思うんです。
古橋会長代理
だから、それは取ってもいいんじゃないのかと。社会教育もあるんだから。
岩男会長
そうですね。
鹿嶋委員
私は学校教育は必要だと思っているんですから、じゃ、だめだ。
猪口委員
ただ、わかってもらうことは重要だったんですね。
原委員
この性差医療のところも、*印で注の4になっていたんですが、この部分は何かちょっと文章を工夫して、*印の注のような形にするということの可能性はいかがなものかなと思ったんです。
岩男会長
何を注にするんですか。
原委員
ここの今の文科省が見え消しになさった部分のことです。
岩男会長
どうでしょう。今の御意見。
古橋会長代理
いや、評価のところで、注までつけることはないんじゃないですか。
原委員
わかりました。
古橋会長代理
それから、あと2つほど、68ページのところで文部省がダブっているから消してくれと言ってきた3番目のところ、国立大学協会報告書これこれ2020年と、これを消す必要は私ないと思う。というのは、これだけ厚い文章になりますと、関係者というのは自分に関係するところだけしか見ないんですよ。だから、ここでも、大学の関係者は、この問題というのは非常に大きいですから、女性教員の割合、これはやはり書いて残す必要があると。
 それから、69ページの一番下のところの4年制大学でというのを削ったのは何で削ったのか私には全くわからないんですけれども。
 理由は何ですか。
(文部科学省)
4年制大学に限定して書いた場合に、高等教育ということで考えますと、短期大学、専修学校(専門課程)といった我が国独自の制度があって、4年制大学のことだけ言及するということはいかがなものかというのがございます。特に、本年1月に取りまとめられました「我が国の高等教育の将来像」 という報告書の中では、高等教育の多様化ということで、大学、短期大学、専修学校がそれぞれの役割を果たすということで、必ずしも上下の関係ではないといったことや、専修学校でも4年制など一定の要件を満たす場合には、大学院入学資格を与えるなどの提言がされておりますし、また、短期大学卒業者にも学士号としての短期大学士を与える内容の学校教育法の改正案が今国会に提出されているとか、そういったようなことで、4年制大学の中で多様性が進む一方で、短大、専修学校と4年制大学といったものは必ずしも上下の関係になっていないということで考えると、4年制大学だけを限定して出して。
古橋会長代理
大学院はいいんですか。
(文部科学省)
大学院はそういう意味では。
古橋会長代理
だけど、現実は4年制大学でも非常に理工系や偏りがあるわけでしょう。それだったら、あなたのおっしゃるとおりそれでは、短期大学から全部書いたらいいじゃないですか。
 要するに、4年制大学を削れというのはおかしいと思うんです。短期大学があるから4年制大学を削れというのがおかしいので、もし、そういうのだったら、役所的だけれども、4年制大学等と「等」を入れるべきという議論になると思いますよ。
岩男会長
あるいは4年制取って。
古橋会長代理
大学や短期大学もすべて。
(文部科学省)
もうちょっと詳しい説明をする手はあると思います。ただ、大学等とか、あるいは大学と使うと短期大学も含みますので、そうすると男女差がないので表現がかなり変わってしまうという問題があります。
岩男会長
そうですね。では、ここのところはちょっと工夫をするということで。
古橋会長代理
だけれども、進学率の男女差があるのは4年制と大学院なんでしょう。
岩男会長
そうなんです。
古橋会長代理
女性の割合というのは、4年制大学と短大を含めれば余り差はないということはわかっているんです。差があるのは、4年制大学なんでしょう。だから「4年制大学や大学院の在学者数・進学率の男女差や」と書いてあるんであって、短大を入れたら間違いになるんではないですかということなんです。
 それをあなた方の方では、短大と大学の間は上下関係がないとか、そんなことでは論議にならないと私は思うんです。
岩男会長
私たちの方は上下関係では全くとらえていないと思うんです。
古橋会長代理
それから、もう一つ70ページのポツの2つ目のところですが「大学等の教育課程の中に」と、この間、五條さんが教育課程の中で非常に大切だということを言われたんだけれども、これについて大学等の教育の中にと「課程」を取ったということと、「教育プログラムの作成に努めると」の「教育プログラム」を取ったということはどういう意味があったんでしょうか。
岩男会長
どうぞ。
(文部科学省)
1つ目の教育課程、正課の中に位置づけていくということは、それを否定するわけではないんですけれども、正規の教育課程以外の就職指導というのも非常に大事だといったことがありますので、教育課程の中に位置づけるということで、教育課程外の就職指導といったものの重要さがなくなってしまうのもいかがなものかということで、少し幅広に教育といった表現にしたというところが1つ目であります。
 それから、プログラム開発につきましては、主体の問題になるわけですけれども、特に大学については、大学の自治を尊重するという観点から教育研究の内容については、やはり大学が独自でやるということがありますので、国とか大学以外の機関が教育研究のプログラムをつくるといったことはなかなか難しいのではないかということで、その部分を削っているということであります。
古橋会長代理
わかりました。それでは、就職支援のことは、あなた方は消してしまったんだけれども、下から2つ目のところに「就職指導において、男女共同参画の視点を踏まえるよう努める」と書いてあるんだから、これを消さなければ両方わかるわけでしょう。上の方は教育課程の問題、それから就職指導の問題は下の方で、両方とも生きるようにすれば、もっと具体的な施策になるんだと私は思うんです。
 それから教育プログラムの作成に努めるというのが、大学の自治に関係するんだったらば、教育課程プログラムの作成に努めるよう大学側に要請するとか、そういうような形にするべきなんではないでしょうか。
桜井委員
支援とか。
古橋会長代理
支援とかね。
岩男会長
どうぞ。
(文部科学省)
今のところは整理をと思いますけれども、ここで考えましたのは就職関係の項目が幾つかございますけれども、「大学が、将来のキャリアに関連付けた」で始まるものと、その後「大学等において、男女共同参画の視点を踏まえた」というところと、それから1つ置いて削っておりますものがあったところなんですが、就職指導の部分は、むしろ2つ目のポツというんでしょうか。大学等において。
古橋会長代理
そこは一緒に書いていいんですよ。
(文部科学省)
ですから、そこは少し整理をさせていただいて、就職指導の部分を削るということではなくて、むしろ詳しく上の方で書いてあるので、そちらに統合するというふうに考えております。
岩男会長
どうぞ。
山口委員
ちょっと申し訳ないですけれども、67ページに戻っていただいて、目標の括弧の中ですが、一番最後のところに「生涯学習社会の形成を促進するための施策を講じる」というのは、厳密には、生涯学習を通じ男女共同参画社会の形成を、ではないんですか。生涯学習社会ではないんだから、そこをちょっと直してください。
岩男会長
はい、おっしゃるとおりだと思います。
 ほかにございますか。どうぞ。
原委員
小さなことですけれども、67ページの上の半分の方の●の下から3番目の放送大学のところが削除された理由を聞きたいと思います。
岩男会長
これはちょっとおかしくないですか、突然かなり細かい個別の話になって。
(文部科学省)
確かに特別な大学ということではあるんですけれども、一大学のことだけを言っているのもいかがなものかと。
古橋会長代理
だけど、66ページに表は載っているんですね。
岩男会長
それから、ちょっとさっきから私は適当な場所がどこだったか見つけられないでいるんですけれども、基本的に国立大学に関連して、例えば教員を何年までにどれだけにするというような記述になっているんですけれども、私は7割が私学で教育をしていることを考えると、やはり私学においても同様の取組が進められることが望ましいとか、何かそういったようなことを書く必要があるように思うんですけれども、それはいかがでしょうか。
神田委員
大学評価も入れてほしいですね。
岩男会長
そうですね。是非大学評価に取り込んでほしいということを書いた方がいいですね。
 ほかによろしいでしょうか。
古橋会長代理
評価まで入れるということになってくると、それはなかなか大議論になるんじゃないですか。それは一つ検討してもらいますけれども。
岩男会長
それから、原先生「大学教育等における女性学等の講座の充実に努める」というのが消えているんですけれども、これは構わないんですか。
原委員
なぜ消えたか。
岩男会長
68ページの「具体的な取組」の中で。
定塚推進課長
それは下の方の線になったところに統合されたものです。
岩男会長
統合されていると、ごめんなさい、では次。
猪口委員
69ページの上の●なんですけれども、これで出産・育児に対する必要な制度・保障、整備とあるので、保育園の設置などが入っているのかなというふうに類推するんだけれども、海外の大学だと、保育園のない大学はないんです。
 なぜかというと、大学院の年齢に達したときには、ごく自然に出産年齢なので、今回の計画では、研究機関における事業所内保育というときには、教育機関も入ったのかどうか、ちょっと覚えていないんですけれども、もしそれが入っていないんであれば、ここの計画の中で保育施設の必要性など、具体的な言葉で書いてくれた方がわかりやすいんではないかと思うんです。
 結局、女性研究者がなかなかそこにとどまれないのも、あるいは女性の大学院生で長く年限がかかるような科目を専攻している場合、なかなかやり切れないのも子どもが産まれてやめるということが多いので、事業所内保育が大学でもあったらよろしいと思います。
定塚推進課長
それは後ほど12分野の方で書いてございます。
猪口委員
書いてあるんですか、失礼しました。
岩男会長
では、11分野をお願いします。
塩満男女共同参画局調査課長
すみません、今のは教育分野ということではなくて、研究分野ということですけれども、もし教育分野だけという教員の方がいらしたら、研究の分野で、教育研究と書くか、表現を工夫しないといけないかなと思います。
猪口委員
だから、女性の大学院生が出産したときどうするかということなんですよ。
塩満調査課長
教育課程にある方と、教育のみを行っている方につきましては12分野では記述がありません。
山口委員
本当に日本は遅れていますね。西ドイツ時代ですが、子どもが産まれる学生寮は30年前からありました。
定塚推進課長
そうしましたら先に進ませていただきます。
 11分野、12分野、それから前に戻りまして重点項目をお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
岩男会長
11分野はそれほど問題ないと思います。
定塚推進課長
「地球社会の『平等・開発・平和』への貢献」でございますが、73ページ以降でございます。
 目標のところは、5年間の進展に伴いまして書き換えております。
 「(1)国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透」でございます。
 特に重要な事項としては「具体的な取組」、74ページの一番上でございますが、女子差別撤廃条約の国内実施強化に努めると。特に、勧告された間接差別について検討を行うということを書いてございます。
 また●ですが、女子差別撤廃条約選択議定書の批准の可能性について引き続き検討を行うということにしております。
 これは、いずれも16年7月の「苦情処理監視専門調査会」の報告書に基づく記述でございます。
 次の(2)でございますが、こちらの方も16年4月の「苦情処理監視専門調査会」の結果に基づいて主に記述をしております。
 最近の情勢を踏まえ、基本的方向の記述の修正をしております。
 「具体的な取組」としては、最近公表されました「GADイニシアティブ」に基づき、ODAのあらゆる段階においてジェンダーの視点を盛り込むことなどを記載しております。後の説明は省略させていただきます。ほぼすべてが「苦情処理監視専門調査会」からの意見を入れたものでございます。
岩男会長
どうぞ。
古橋会長代理
では、これは2つだけ。まず、評価のところで72ページの一番下のところで「政府開発援助の推進についても」と書いてありまして、案件の具体的推進についてもというふうに具体的案件が入らないと、よく文章としてわからないと思います。
 次のページの「取組を進めており」とありますけれども、取組はまだ始めたばかりですので、今後5年間では、まだ進めておりと言えるかどうか、今の段階においては進めておりではなく、始めておりと。
 74ページから75ページのところですけれども、よい統治、人間の安全保障、平和構築、民主化、情報通信技術の格差是正といった新しい開発課題にもジェンダーの視点を取り込むよう検討し、その実現を図るというふうにしないといけないと思います。安全保障、平和構築、民主化と新しい開発課題にどのようにジェンダーの視点を取り込むかが重要で、どのようにジェンダーの視点を取り込んでいくか検討し、その実現を図るとすべきです。
 要するにジェンダーのメインストリーム化ということになれば、すべてそういうことが入ると。取り組むべきかを検討するんではなくて、実現してもらわなければ困るんです。それだけです。
岩男会長
ほかに、どうぞ。
猪口委員
私も今のところで、75ページの2番目の平和構築のところに、軍縮・平和構築と入れてもらえませんか。一番最後の行に「軍縮、紛争地域等」と入れていただけてよかったと思うんですけれども、やはり地雷などが残っていると平和構築はできないわけですから、開発の大前提が地雷がなくて、そして小型武器などもそこらで売っていないという状態にしないといけないので、そういうことのすべてがこの言葉に入ると思うので、軍縮というのを入れていただければと思います。
 それから、これはODAなどを実施するときに対外的にこういうふうにするということでしょう。そのときに、日本の国内として、実施する場面での日本の側の男女平等というのは必要ではないんですかね。その視点というのは、どういうふうに入ってくるのかなと。日本のやる政策として相手国に対しては、ジェンダーの視点を取り込んでいくわけです。でも、例えば実施者が日本の側は全員男性だったり、意思決定者が全員男性だったりする状況があるとすると、それは指導的地位の30%という中に広くは入るんだけれども、特に平和発信のところでは、平等開発・平和貢献というときは、人様にある価値を説いているわけでしょう。人様にある価値を説くときは、自らが実施していない価値を説くわけにはいかないから、結局はODAにおけるジェンダーのメインストリーム化ということを図るとき、日本側でODAの実施主体あるいは政策決定の中での女性の役割強化ということが特筆されてもいいのかなと。二重にはなるかもしれない。
岩男会長
それは74ページの基本的方向の中に入っています。
猪口委員
ごめんなさい入っていましたか。
岩男会長
「援助側及び被援助側」という言葉です。
猪口委員
はい、わかりました。すみませんでした。
岩男会長
どうぞ。
山口委員
75ページの●の4番目のところに入れてほしいのは、「WID基金の統合先のパートナーシップ基金においてジェンダー案件に重点的に配分されるように努める」と書いてありますね。私はもう一つ、国連婦人開発基金(UNIFEM)、あのような草の根の援助をやるということも大事です。それはWIDに入っていないでしょう、どうなんですか。広くは含まれると考えるんでしょうか。
岩男会長
どうでしょう。
古橋会長代理
パートナーシップ基金に入っているかどうかだけ、入っていないでしょうね。
山口委員
私は、草の根の援助ですから、やはりそういうことをやるということが大事ではないかと、ここに1つ入れてほしいと思います。
岩男会長
原委員御存じですか。
原委員
この間、つい最近起こった地震で、ニアス島の地震ではなく、その前のインド洋のときには、日本政府はいち早くUNIFEMに基金を提供したんです。
 ですから、そういうことを今後ともやるということで、UNDPだけではなく、UNIFEMという文言を入れて下さい。それは外務省が材料をお持ちだと思います。
 もう一ついいでしょうか。
岩男会長
はい。
原委員
74ページの、先ほど猪口委員がおっしゃって、会長がここにあるとおっしゃったところですね。 「国際協力に携わる者のジェンダーに関する認識の向上を促進する」。これだけで十分なんだろうか。もう少し強く言ってもらいたいと思ってはいるんですけれども、現実に外務省やJICAなどではそういう研修をいろいろなレベルの方に進めているという事実はあるんです。ですから、それはなさっているわけだから、実際にそれが始まっているんです。
岩男会長
そうしたら、その文案を御用意くださいませんか。
原委員
はい、わかりました。
定塚推進課長
例えば、今、おっしゃったジェンダー研修ということでしたら、75ページの下から5番目の●に「ジェンダー研修の内容を常に改善するとともに、援助関連職員及び援助関係者に対して研修を実施する」とございますが、こちらでは不十分でございますか。
原委員
これでいいかもしれません。つまり、大事なのは職員だけでなくて、コンサルメント会社の方たち、それは援助関係者でいいかもしれません。
岩男会長
それでは、先に進ませていただきます。新たな取組を必要とする分野の御説明をお願いします。
定塚推進課長
76ページ。こちらは新しく掲げた項目でございます。目標のところでは、新たな取り組みの必要とする分野ということで、2段落目ですが、基本法の理念を踏まえ、最近における男女共同参画をめぐる社会経済情勢の変化を見ると、これまでに掲げた分野以外の施策においても、男女共同参画の視点に立って、新たに施策を立案、実施することが求められている分野がある。これらの分野は人々の暮らしの改善に直接つながる分野でありながら、女性の参画が後れている状況にあり、男女が共に参画し多様な発想、活動の活性化、国際競争力の向上を図ることによって、それぞれの分野の新たな発展を期待することができる。本計画に掲げた分野を含むあらゆる分野において、男女共同参画の視点に立って施策を立案、実施し、男女共同参画社会の実現を目指すとしております。
 (1)は科学技術です。学術を含むとしていましたが、この言葉遣いについて、科学技術・学術としてほしいという意見が文部科学省から出されております。
 その次は、現状課題ですが、こちらは省略をさせていただきます。
 77ページの「施策の基本的方向でございます。我が国の女性研究者の研究者全体に占める割合は増加しつつあるが低い。また、女性研究者が上位の職に就きにくい、子育て期の研究継続が難しいなどの課題が指摘されている。女性研究者の採用機会の確保、勤務環境の充実を促進する。また、政策・方針決定過程への女性の参画割合を高める。また、理工系分野の人材育成の観点から、女子高校生等のこの分野への進路選択を支援すると書いてございます。
 具体的な取組としては、科学技術基本計画等に視点を明確に位置づけること。また、科学技術政策・方針決定過程への女性の参画を拡大すること。
 次のページでございますが、研究者の採用、プロジェクト参加等の機会を確保すること。次のポツでございますが、育児休業取得に係る研究中断後の再開のための支援。託児施設の整備など。女子高校生、女性若年層への理工系への関心・理解を高めるためへの授業を推進すること。男女別統計データの収集整備。女性研究者、若年層に対する支援情報等のワンストップサービス化などを記載をしています。
 「(2)防災・災害復興」でございます。施策の基本的方向については、国連防災世界会議のイニシアティブのことを引用し、災害発生時の経験から、男女のニーズの違いを把握して進める必要があること、被災時には増大した家庭的責任が女性に集中することなどの点が明らかになった。
 これら男女平等参画の視点を取り入れた防災・災害復興体制を確立ということで、具体的な取組みとしては基本計画への視点の位置づけ、また地方公共団体に対しての国に準じた措置を講ずるよう要請、防災分野での固定的性別役割分担意識をなくすこと、参画の拡大、高齢者の視点、地方公共団体のマニュアル等への視点を踏まえるよう支援を行うこと、消防職員・警察官・自衛官等への採用・登用段階も含め留意すること、防災協力イニシアティブに基づき援助を行うこと等を記載をしております。
 (3)は「地域おこし、まちづくり、観光」というところでございます。
 次の80ページに施策の基本的方向を書いております。地域の文化・産業を男女参画して、新たな視点で見直し、地域おこし、まちづくりを進め、更にはそれを基礎とした観光を通じて、国内外の人々との交流を深めることは、地域の活性化、暮らしの改善につながる。地域で実際に携わっている女性は多いが、リーダーとして活躍している割合は高くない。しかしながら、成功事例が見られるようになってきているということでございます。
 具体的な取組みとしては、政策・方針決定過程への女性の参画、自主的学習グループへの支援など学習機会、女性の人材育成、優良事例の普及等を書いてございます。
 最後「(4)環境」でございます。
 81ページの施策の基本的方向、こちらの方は原案として出したものに対しまして、環境省の方で全面的に修文ということで、書き換えをしていただいております。書き換え後の文章ですが、地球環境問題を解決し持続可能な社会の実現を目指していくためには、一人ひとりがライフスタイルを環境への負荷がより小さいものへと変えていくとともに、環境保全の取り組みに積極的に参加していくことが重要である。具体的には、女性の高い関心等が広く生かされるように、地位向上にかかる施策と相まって、環境の分野において男女の共同参画を進めるとなっております。
 具体的取組ですが、基本計画等に視点を明確に位置づけること。これは先方から修文意見がありまして、これから検討していきたいと思います。
 環境保全分野での政策・方針決定過程への参画を拡大、意思決定に各種の専門知識が必要となること、NGO、NPO活動の支援を図ること、「アジェンダ21」等を踏まえて配慮、女性の参画を促進すること。こちらの方も修文意見が出ていますが、今後検討してまいりたいと思います。
 それから、この項目につきましても、五條先生の方からペーパーをいただいておりますが、説明は省略いたします。
 以上です。
岩男会長
ありがとうございました。
 それでは、御意見ございましたら、どうぞ御発言ください。
古橋会長代理
まず「科学技術・学術」とした理由を教えてください。
塩満調査課長
科学技術と学術につきましては、定義が違うということで、分けてほしいという文部科学省の方から意見がございました。
 学術につきましては、人文科学及び自然科学並びにそれらの応用の研究ということで、科学の部分は非常に対象領域としては重なるのですけれども、その科学技術の概念について科学技術は特に経済社会の発展等人間生活に役立つものが対象であるという考え方を取っているということで、科学技術と学術と分けてほしいという考えなのですが、ただ、このように中ポツ(科学技術・学術)で分けますと、その後の表現に影響いたしますので、そういう意味では少し検討が必要かと思っているところです。
古橋会長代理
確かに学術というのは学問の応用分野も含めて入るよということは、私は理解できるんですけれども、特に今、必要なのは、科学技術のことを特に言いたかったということをここでは言いたいわけですね。学術というのは社会科学とかそういうものが全部入りますけれども、そうではなくて科学技術の分野を特に言いたいと。
 それから、もう一つ科学技術というよりは、科学と技術の間に中ポツが入るのではないかと。科学というのはやはり学問ですからね。エンピリカルに経験的な論理的なものをいろんな社会科学も入り自然科学も入るでしょうけれども。
 それから、技術というのはまた違うから、科学技術と言うと技術になってしまうから、科学・技術ではないかなという気がします。
塩満調査課長
科学と技術のそれぞれの定義はあるのですけれども、科学技術はお互いが非常に密接な関係があること、科学技術の政策を行うに当たって共通的な手法も用いられているということもあり、また科学技術基本法における定義においても「科学技術」を一体化した全体的な概念としてとらえるという説明も行っております。
古橋会長代理
基本法に科学技術という定義があるんですか。
塩満調査課長
はい。科学技術自体を科学と技術に分けた定義は科学技術基本法の中にはないのですけれども、説明をするときには、科学は、世界と現象の一部を対象領域とする経験的に論証できる系統的な合理的認識、技術は人間生活に利用するわざ等としております。
古橋会長代理
それは学問でしょう。
塩満調査課長
そうですね。それぞれの定義が一般的にあって、その中で「科学技術」については、その全体を包含する概念として科学技術を使用する。特に最近はお互いの関連性が強いということで、科学技術基本法の中では、科学と技術を分ける定義をしなかったということです。また、今も科学技術は一体化したものとしてとらえられています。
古橋会長代理
中ポツではないんですね。
塩満調査課長
はい。中ポツではありません。
古橋会長代理
それでは結構です。
塩満調査課長
それで、表現自体は77ページ以降、具体的な取組みのところで、その科学技術という言葉を書いておりまして、科学技術・学術という形になっておりませんので、そこは少し調整が必要なのかなと思っております。
 最初の案では、学術を含むということで、科学技術の中で学術を含んでいました。
古橋会長代理
学術は要らないんじゃないですが。科学技術の中には社会科学が全部入るんだから。
塩満調査課長
それは当初、原委員の方から御意見もあったかと。
名取男女共同参画局長
科学技術基本法上は、科学技術の中には人文科学のみに係るものは除くと書いてあります。あれはまだ改正されていないですか。
塩満調査課長
そうですね。
古橋会長代理
私どもがやりたいのは、科学技術なんでしょう。人文科学は女性がみんな行く。
原委員
だから、この基本計画において、何に力点を置きたいかということによりますね。この際、混乱しないためには、分けてしまうのも一案かもしれないと思うんです。ただし、統計などがこの77ページの上の方の学校基本調査、これはいろんな領域が混ざっている。
塩満調査課長
今、ちょっと私の説明が悪いんですけれども、その科学技術といった中に、その人文科学、社会科学を含んだ概念で、今は使用されることが多いです。これまで使ってきた行政的な使い方としましては、一応その一つひとつ、科学技術の概念と学術の概念につきましては、使い分けをしてきたんですけれども、その科学という部分が学術と非常に類似した概念が含まれていることから、社会と科学技術の関係が密接になる中で、人文科学、社会科学も含んで科学技術ということが最近は多いです。
古橋会長代理
それなら、もうそれでいいんじゃないですか。
塩満調査課長
では「・学術」を取る形で。
岩男会長
よろしいですか。
桜井委員
すべて含むというふうに言われたわけですか。
塩満調査課長
人文科学、社会科学も含んだ形で考えています。
桜井委員
含んで科学技術と。
岩男会長
どうぞ。
古橋会長代理
79ページの災害の問題ですけれども、ここのところで、これが基本的な方向を書いているんですね。明らかになったなどということを書くんじゃだめなんで、災害発生時の経験から防災復興対策は、被災時に増大した家庭責任が女性に集中することや男女のニーズの違いを把握して進める必要がある、なんじゃないですかね。そういうような考え方で、施策の方向性にしていただきたい。
 それが80ページのところでも同じようなところで、そういうふうに具体的な方向が改善につながるではなくて、つなげとか、その次の地域で実際に地域おこし、まちづくり、観光に携わっている女性が多く、女性が参画した地域づくりの優れた成功例が見られるようになってきているが、リーダーとして活躍している割合は高くないので、それを増やすという方向に書かないと、具体的な施策も方向性もちょっと文章として不十分だなという気がいたします。
 ここは最初のときに余り見なかったので、失礼しました。
岩男会長
よろしいですか。
鹿嶋委員
問題点があったということはやはり書いておいて、その上で施策という方向性を出した方がいいのではないですか。やはりその指摘は読者の方も、受ける側も新鮮だと思います。
古橋会長代理
問題点として書くのはいいんですけれども、基本的方向というところに書くのは、問題点は79ページですか。
鹿嶋委員
いや、78ページで過去の震災時云々とありますね。
岩男会長
問題点があったというのが含まれています。
古橋会長代理
問題点があった、それは基本的施策の基本的方向ですね。
鹿嶋委員
だから、その次何かは付け加えればいいんですか。一応ここでとめて。
古橋会長代理
そうです。
鹿嶋委員
一応ここでとめて、問題点があったということも書いた方がいいのではないですか。
古橋会長代理
問題点があったので、こういうやる方向でやると。それが単なる男女共同参画を取り入れた防災災害対策を確立するということが方向なのでしょうか。男女のニーズの違いを把握して進める必要があるということまでは、施策の方向なんです。
 しかし、家庭的責任が女性に集中するということは、何も施策の方向になっていないんです。両方を含めて男女共同参画の視点を取り入れた防災確立に資するということなので、ここの頭の整理がちょっとよくできていないなということです。
岩男会長
では、ここはもう一遍検討をして、整理をし直すということにします。
 それから、ここで国際的な防災協力のことが書かれているんですが、実は今回の新潟でも、いわゆる外国人のお嫁さんたちに対する援助が行き届かなくて、かなり深刻なパニック状態になったというような問題が落ちているんです。だから、それはどういうふうに扱ったらいいのか、できれば単に国際的に外へ出ていくというような話だけではなくて、そういう国内における問題にも触れた方がいいのではないかと思います。
古橋会長代理
国内における外国人ですね。
岩男会長
はい。
 よろしいですか。
山口委員
今のことです。
岩男会長
猪口委員が先ほどの御発言を、どうぞ。
猪口委員
86ページの最後のところのページでちょっと思うんですけれども、最後の●のところで、APECとかESCAPとか、これは距離的に近いところと近接性ということで特筆しているんですね。だけれども、全体のバランスとして、例えば国際的な動向に関連して欧州評議会等地域とか、OECDとかそういうところの何か表現は要らないんですか。あと国連諸機関とか、その辺の機関を明記する場合のバランスというのは、どうなるのかなと、ちょっともう一回考えていただきたいと思います。
岩男会長
そうですね。欧州評議会等とは入っていますけれども。
猪口委員
等が入っているけれども、普通だったら先進国で民主主義国なので、所属ではOECDがまず基本なんです。あと、国連というのもあるし、いわゆる国連関連諸機関というのがあります。
 さっき11分野のところで、何かちょっと十分に研究してこなくて本当に申し訳なかったんですけれども、まず75ページの2というところ、ここもやはり機関名が記述されているんですけれども、UNHCRとUNICEFに積極的貢献なんだけれども、女性、児童が支援を必要としているというとき、例えばUNDP、国連開発プログラム、そこが相当重要なものではないかと思うんです。
原委員
UNDPは入っていますよ。
猪口委員
ごめんなさい、入っていましたか。
古橋会長代理
75ページの3●です。
岩男会長
国連開発計画(UNDP)とあります。
猪口委員
それでは、それでいいです。
 もう一つは、75ページの下から4つ目のところなんですけれども、先ほどちょっと発言したところの関係なんだけれども、ODA分野におけるというところでODA分野だけでいいんですかね。全体として、国際貢献の分野はODAなんだということだけで仕切ってしまっていて、確かにODAは非常に大事な外交ツールなんだけれども、そこだけでもない時代になってきているんです。ですから、具体的には75ページの下から4つ目の●のところのODA分野におけるというところを、国際貢献分野と置き換えるか、あるいは国際貢献分野を含め対外政策におけるとするのが本当は一番正しい書き方なんだと思うんです。ODAということだけでやらない方が、ここのところはよろしいのではないかと思います。以上です。
岩男会長
これは御指摘のとおりに修文させていただきたいと思います。
古橋会長代理
国際貢献分野ですか。ODAなど国際貢献分野としていいですか。要するに、ODAということが一般の人には一番わかりやすい話なんですね。
猪口委員
ただODAはもうずっと書いてきていますね。
古橋会長代理
そうすると、それ以外の国際貢献分野というのは、何が。
猪口委員
例えば、軍縮なんかもそうですね。あと国連関係でいろいろな国際的なルールをどう決定していくかということが今、重要なんです。ルールを決定していくような外交努力への女性の参画というのも重要なんですね。ですから、実施だけではなくて、国際企画立案への日本の貢献ということを考えると、やはり国際貢献分野を含め、対外政策における政策方針決定云々というふうにした方がいいと思います。
山口委員
猪口先生に伺いたいんですけれども、国際貢献という言葉が広がって、どの分野までを国際貢献というのか、例えばイラク支援なんかに関して、いろいろ意見が分かれるところですね。ですから、ある程度何々などの国際貢献と入れれば、少し明確になるんですが、余りに広過ぎませんかね。
猪口委員
ただ女性が、こちら側として意思決定過程に参画していくというときは、かなり広くどの分野でも女性が参画できるようにしていって、それで女性が参画する場合には、そこの分野での女性、ジェンダーの視点というのが、政策に強く出てくると。例えば、イラク支援でもイラクの女性・子どもの人間の安全保障というのは、どのぐらい重点化されているかということは、もし貢献側の参画がよりジェンダー・イコールであれば、またもう少しウェイトが違ったかもしれないわけです。
 ですから、そういうことも考えると、それは非常に具体的な事例でしたけれども、広く国際貢献分野と言いますか、要するに、対外政策ですね。ですから、対外政策と言ってしまってもいいと思います。ただ、ここはテーマが平等・開発・平和ですから、国際貢献分野ということかなということかもしれませんね。
 もし平等・開発・平和という言葉で置き換えるんだったら、軍縮平和というふうに軍縮も入れてもらいたいんだけれども、タイトル全体はこれでもいいかしらというふうに妥協しても、●でやるときには、平和というときはやはり軍縮というのをちょっと重視していただければ、日本らしい発信になると思います。
古橋会長代理
ODA、軍縮など、対外政策に対する企画立案というふうな形にしますか。要するに一般の人にわからないと困る。
猪口委員
そうですね。
古橋会長代理
例を入れましょう。
猪口委員
対外政策です。
岩男会長
もう時間になりましたので。まだ実は残っているんです。
山口委員
どうしても言わなければならないことなんです。
岩男会長
どうしましょうか。
定塚推進課長
是非お願いします。
山口委員
1つだけ簡単に言います。
岩男会長
どうぞ。
山口委員
81ページのことなんですが、環境ですけれども、1つはこの間参画会議で新たな分野ということで、私は持続可能な環境開発教育の10年、それに対して各省の推進体制、環境省、文部省、農水省は立ち上げてほしいと言ったのです。あれは発言しただけなのかどうか、その行方が知りたいこと。
 第2点は、やはり単なるアジェンダ21で終わってしまわないで、もっと具体的なことをやるべきだ。特にDESDの方は、この4月から10年間なので女性がそこに加わり、基本となる環境教育をやるというのは、すごく重要なので、環境開発教育の10年に取り組むということを入れていただきたいということが第2番目です。
 第3番目に、やはりアジェンダ21だとか、仮にDESDを入れるとするならば、簡単な解説は必要だなと思います。
 以上です。
岩男会長
それでは、まだいろいろと議論あるかと思いますが、もう一回お集まりいただかないで済むような方向にしたいと思うんです。済みませんけれども、3部のところの御説明だけを聞いていただいて、更に御意見があれば、それは文書で案を出していただき、一応こちらでまとめて、もう一回御議論をいただく機会がございます。もう一回この続きをやるということはしないということにしたいと思います。
定塚推進課長
どうも申し訳ございません。
 本日は、あと82ページ以降の3部、それから前の方の重点項目というのがありまして、3部についても見ていただければわかるかと思います。82ページ以降でございまして、新たに入れましたのは「女性のチャレンジ支援」ということで、1項目起こしてございます。2と3は従来ありましたものから、重要なものを書いてございます。
 3部にはもう一つ調査統計というものがあったんですが、こちらの方は第2分野に移しております関係で3部からは落としております。
 むしろちょっと本日できれば若干でも御意見をいただきたいのは、3ページの重点事項でございます。こちらの方は、今まで御説明してまいりました各分野の中から今回の目玉となるような重点事項ということで、8項目を取り上げています。
 簡単に御紹介をしますと、1つ目が2020年までに30%程度になるようというもの。これについて達成状況を検証しつつ施策を進めること。
 2番目がチャレンジ支援策を推進し、指標の開発、普及、再チャレンジの支援策充実。
 3番目が両立支援策推進のために、男性も含めた働き方の見直し、短時間正社員、また特に公務員について短時間勤務制度の導入について検討。
 次のページございますが、4番目として新たな取組みを必要とする分野。
 5番目として性差医療の推進。
 6番目として男性にとっての意義や男性の少ない分野への参画を重視した広報啓発活動。
 7番目が教育の分野で、ミレニアム開発目標の実現に努める。つまり2015年までに教育レベルにおける男女格差の解消をする。
 最後の8ですが、現行の記載に限らず、あらゆる分野の施策に視点に立って取り組むという部分でございます。
 本日でなくても結構なんですが、もしこの場で意見があれば、ちょっと案をいただければありがたいと思います。
岩男会長
では、時間を区切って10分過ぎまでということで、その範囲で御意見があれば、どうぞ。
猪口委員
iiiのところで、非常に的確なことだと思うんです。そもそもこの中に女性がもう少し正社員化する必要があると思います。その考えを何か入れ込んでほしいと。要するにみんなパートあるいは1年ごとの契約でやっているから、子どもを妊娠したらもう契約が得られなくなるからということで、少子化が進んでしまっている実態があるから、正社員になっている方の短時間化というのも重要だけれども、女性が全般的により多く正社員化できる社会というのをつくらなければだめだと思います。
岩男会長
ほかにございますか。
古橋会長代理
細かいことですけれども、公務員について常勤職員の短時間勤務制度の導入について検討すると書いてあります。現在、定年退職公務員については、再雇用の場合に例外的に短時間勤務制度を導入しておりますので、そこをちゃんと書いた方が採用しやすいということで、見出しとともに現在定年退職の再雇用者について例外的に行われている公務員についてもということで、一般化するという趣旨のことがわかればやりやすいと思います。
 あとはviiのところは、これはちょっと文章がよくわからないので、これは私またあとで言いましょう。
岩男会長
鹿嶋委員、どうぞ。
鹿嶋委員
ここは結構大事なところで、多分新聞もここを見て書くと思うんです。
 1つ猪口先生の延長だけれども、均等を含めて非正規雇用の問題も少し触れておいた方がいいのかなと。19ページに書いてある機会と待遇の均等な確保。この問題は均等という言葉をどこかで入れられるような、だから3ページでいうと多分iiiのところに入ってくるんです。iii辺りで簡単に処理できれば、是非ちょっと入れてほしいなという感じです。
岩男会長
ほかにもお気づきのことがございましたら、文書で事務局の方にいただければと思います。
 それから併せて副題を考えていただきたいんです。前回は「21世紀の最重要課題」という副題を付けましたけれども、今回も是非適切な副題をお考えいただきたいと思います。
猪口委員
先ほど高齢者で女性が貧困化する話のときに、そうならない社会が重要だと会長おっしゃいましたね。でも、それを今、私が申し上げた、そもそも正社員化していないから結局そうなるんです。だから、会長が御指摘のことの答えをここにやはり書き込まないとと思います。
岩男会長
よろしいでしょうか。
 また、月曜日までの宿題をどうぞよろしくお願いいたします。

(以上)