第1回男女共同参画基本計画に関する専門調査会議事録

  • 日時: 平成16年10月8日(金) 10:00~11:45
  • 場所: 経済産業省別館1012号会議室
  1. 出席者
    岩男 壽美子
    会長
    石川 哲也
    委員
    鹿嶋 敬
    委員
    桂 靖雄
    委員
    神田 道子
    委員
    五條 満義
    委員
    桜井 陽子
    委員
    佐藤 博樹
    委員
    庄司 洋子
    委員
    住田 裕子
    委員
    竹信 三恵子
    委員
    林 誠子
    委員
    原 ひろ子
    委員
    広岡 守穂
    委員
    古川 貞二郎
    委員
    古橋 源六郎
    委員
    山口 みつ子
    委員
    渡辺 三枝子
    委員
  2. 議事
    • (1)開会
    • (2)委員あいさつ
    • (3)運営規則について
    • (4)現行男女共同参画基本計画の概要等について
    • (5)本専門調査会における議論の進め方について
    • (6)自由討議
    • (7)閉会

    (配布資料)

    資料1
    男女共同参画基本計画の改定について [PDF形式:18KB] 別ウインドウで開きます
    資料2
    男女共同参画基本計画に関する専門調査会委員名簿 [PDF形式:12KB] 別ウインドウで開きます
    資料3
    男女共同参画社会基本法
    資料4
    男女共同参画会議令
    資料5
    男女共同参画基本計画に関する専門調査会運営規則(案)
    資料6
    男女共同参画基本計画(リーフレット)
    資料7
    男女共同参画社会の将来像検討会報告書 [PDF形式:27KB] 別ウインドウで開きます
    資料8
    男女共同参画基本計画改定に係る審議スケジュール(案) [PDF形式:10KB] 別ウインドウで開きます
    資料9
    各委員ご担当分野 [PDF形式:9KB] 別ウインドウで開きます
    資料10
    新しい男女共同参画基本計画に関する当面の論点について(男女共同参画会議有識者議員提出資料) [PDF形式:9KB] 別ウインドウで開きます
    資料11
    男女共同参画基本計画推進状況調査
    資料12
    男女共同参画基本計画に関する施策の評価等について(様式) [PDF形式:11KB] 別ウインドウで開きます
  3. 議事内容
    名取局長
    それでは、時間になりましたので、男女共同参画基本計画に関する専門調査会の第1回会合を開催させていただきます。
     私は、この専門調査会及び男女共同参画会議の事務を担当しております内閣府男女共同参画局長の名取と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
     しばらくの間、議事の進行を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。審議に先立ちまして、初めに林田副大臣からごあいさつをいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
    林田副大臣
    おはようございます。この度内閣府の副大臣を拝命いたしました林田でございます。委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
     男性も女性も性別に関わりなく、その個性と能力を発揮できるようにという社会は、これからの21世紀の我が国の最重要課題であるというふうによく言われております。ここに書いてありますが、女性が元気になれば、これにつられて男性もというようなことがよく言われるようでございますけれども、このような最重要課題である男女共同参画社会の実現を推進するため、平成11年に男女共同参画社会基本法が制定され、その基本法に基づきまして、平成12年に現行の男女共同参画基本計画が策定されました。この基本計画におきましては、平成17年度までに実施すべき具体的な施策を定めており、期限までに新たに基本計画を策定するために、先般総理から諮問があったところでございます。
     委員の皆様におかれましては、新たな基本計画が世代や性別を越えて、広く国民の理解を得られるものになるよう自由闊達なる御議論をお願いいたします。また、今回は男女共同参画会議の設置後初めての計画改定でございます。私も担当副大臣として一生懸命頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。今日は誠にありがとうございます。
    名取局長
    どうもありがとうございました。副大臣は御公務のために、ここで御退席されます。お忙しい中、貴重なお時間を割いていただきまして、本当にどうもありがとうございました。
    林田副大臣
    失礼します。

    (林田副大臣退室)

    名取局長
    次に江渡大臣政務官からごあいさつをいただきます。よろしくお願いいたします。
    江渡大臣政務官
    皆様おはようございます。この度内閣府大臣政務官を拝命した江渡でございます。委員の皆様方におかれましては、常日ごろより男女共同参画社会の実現のために御尽力をいただいていることに対しまして、衷心より御礼申し上げる次第でございます。
     今現在、経済の方におきまして、明るい兆しが見え始めていると言われておりますけれども、しかし、まだまだ社会情勢等をかんがみますと厳しい状況にあります。本格的な少子高齢化社会を迎えまして、政府はそのことについて全力を挙げて構造改革に取り組んできているわけですけれども、皆様方、御承知のとおり、2006年から総人口が減少していくと予測されているわけです。私は常日ごろ自分の選挙区では、2006年から人口が減りますものですから、ある意味、女性の方々が今まで以上に社会の貢献に努めていただかなければ、日本が大変な状況になると。まさにこれからが、真の意味での女性の時代、ではないのかなということで訴えているところですけれども、そのような流れの中において、活力ある経済、あるいは社会というものを維持していくためには、やはり女性の活躍というものが今まで以上に必要であるということは言うまでもないと、私はそのように考えているところであります。
     今後、政府を挙げまして、この重要課題に取り組むための道標となるのが、新しい男女共同参画の基本計画であると、私はそのように考えております。この専門調査会が実効性を上げまして、すばらしい基本計画が策定されますよう、委員の皆様方の御協力をお願い申し上げまして、誠に簡単ではございますけれども、私のあいさつにさせていただきたいと思います。どうぞ皆様方よろしくお願いしたいと思います。
    名取局長
    どうもありがとうございました。それでは、本専門調査会の設置について御説明させていただきます。
     資料1を御覧くださいませ。平成12年に閣議決定されました現行の男女共同参画基本計画におきましては、平成17年度末までに実施する具体的施策について記述しております。このため、平成17年度末までに新しい施策を検討し、これらを盛り込んだ基本計画を定める必要がございます。
     このような状況を踏まえまして、本年7月28日の男女共同参画会議において、小泉内閣総理大臣より、政府が基本計画を策定する際の基本的考え方について諮問がなされ、同時に本専門調査会の設置が決定されました。そして、本専門調査会に属すべき委員として、内閣官房長官より13名の専門委員及び8名の男女共同参画議員の計21名の指名並びに本専門調査会長として岩男壽美子男女共同参画会議議員の指名をいただいたところでございます。
     昨日、17時から開催されました男女共同参画会議の席上で官房長官より報告がされました。また、昨日はこの基本計画につきまして、有識者議員を中心としまして大変活発な御議論がされたことを御報告いたします。今回は、現行計画が策定されましてから初めての計画改定作業となります。皆様の御学識と御経験を十分御審議に生かしていただきますようお願い申し上げますとともに、私ども事務局といたしましても全力でお手伝いをさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
     それでは、以後の議事の進行につきましては、岩男会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
    岩男会長
    ただいま局長からお話のございましたとおり、官房長官から男女共同参画基本計画を策定する専門調査会の会長を務めるようにという御指名をいただきましたので、大変非力でございますけれども、皆様の御協力をいただいて男女共同参画社会の実現に向けて、実効ある基本計画をつくり上げていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
     座って進めさせていただきます。それでは、初会合でもございますので、委員の皆様方お一言ずつごあいさつをお願いしたいと思いますが、まず皮切りに私から改めてごあいさつを申し上げます。
     私、武蔵工業大学で社会心理学を教えております。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、どういう順番に……。
    名取局長
    名簿の順番がよろしいかと思います。
    岩男会長
    それでは、名簿の順番で石川委員からお願いをしたいと思います。
    石川委員
    神戸大学の石川でございます。健康教育を専門にしております。どうぞよろしくお願いします。
    岩男会長
    鹿嶋委員お願いします。
    鹿嶋委員
    日本経済新聞の編集委員をしています鹿嶋です。女性の労働問題とか、共同参画の問題等々を取材しております。どうぞよろしくお願いします。
    桂委員
    松下電器の東京支社を担当しております桂でございます。今年の7月から東京支社勤務になっておりますけれども、それ以前は旧松下通信工業という会社がございまして、主に携帯電話の事業を担当いたしておりました。女性のパワーには大変助けられて事業ができるよう今回参加させていただきました。どうぞよろしくお願いします。
    神田委員
    神田でございます。現在、独立行政法人国立女性教育会館の理事長を務めております。今年の3月までは東洋大学で32年間教育社会学、女性学などを教えてまいりました。昨年9月まで3年間東洋大学の学長を務めました。よろしくお願いいたします。
    五條委員
    東京農業大学の五條と申します。見てのとおりの駆け出しの者でございます。ただ今、若い人とか、女性の方々が農業を魅力ある職場として一層実感できる、そういう状況をどうすればつくり出せるだろうか。この問題を課題にして家族農業経営のことを研究しております。各地の現場で農業者からのたくさんの教訓を賜りました。そうした現場の思いを訴え申し上げることができればというふうに感じます。よろしくお願いします。
    桜井委員
    おはようございます。横浜市女性協会という横浜市がつくりました外郭団体ですが、そこが管理運営しております横浜女性フォーラムという男女共同参画センター、そこの館長をやっております。女性センターは全国で300 近くあるんですけれども、地方自治法の改正によって指定管理者制度などが導入され、大変厳しい時代になっております。来週は全国女性会館協議会というものが国立女性教育会館で開かれますが、やはり、女性センターがどうあるべきかということについて考えながら、この場に参加させていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
    佐藤委員
    東京大学の佐藤です。専門は人事管理で、最近は企業の中で性別に関係なく、それぞれの能力に応じて活躍できる場をどうつくるか、仕事をしながら子育て等をどう両立を図るか、そういうことについて研究させていただいています。よろしくお願いします。
    庄司委員
    立教大学社会学部の教員をしております庄司でございます。専門は家族とか、社会福祉の領域でして、特にジェンダーの視点からの研究や教育をしております。よろしくお願いします。
    住田委員
    弁護士の住田裕子でございます。現在は獨協大学の方で民法を中心として講義をしております。また、弁護士になりまして10年足らずですが、その前に20年近く検察庁におりまして、法務省等の勤務をしておりまして、そういう意味では役人経験もございます。よろしくお願いいたします。
    竹信委員
    朝日新聞の竹信と申します。学芸部のデスクとか、シンガポール特派員とか、いろいろやってまいりまして、経済部の記者もやっていましたので、ジェンダー経済とか、女性の雇用といったことでお役に立てればと思います。また、CSテレビが朝日新聞にございまして、そこのキャスターで解説委員もやったことがございますので、メディアの方も恐らく、そのあたりの経験が生かせるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
    林委員
    連合の林と申します。男女平等が最も遅れた労働組合のナショナルセンターで仕事をしておりまして、アジア太平洋地域の女性委員会の議長も務めておりますが、男女共同参画の進みにくさを日々実感をしております。皆様方のお力並びに国際的な動きが、私どもの運動の支えでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
    原委員
    原ひろ子と申します。今、放送大学に勤めておりまして、生活と福祉という専攻に属しております。もともとは文化人類学を専攻しておりましたが、女性学とか、ジェンダー論というようなことをさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
    広岡委員
    広岡守穂と申します。中央大学で政治学を教えています。先ほど内閣府に行きまして会議の場所を探したんですが、見つかりませんでした。ときどきこういうことを起こすので大変困っております。どうぞよろしくお願いします。
    古川委員
    古川と申します。平成7年の2月村山内閣のときに官房副長官になりまして、昨年の9月に退官をさせていただきました。行政の出身ですが、厚生省に入っておりました。よろしくお願いいたします。
    古橋委員
    古橋源六郎でございます。現在はボランティアで日本交通安全教育普及協会の仕事をしておりますが、そのほかに森林整備の関係の仕事もやっております。長いこと公務員生活をやっておったのでありますけれども、その後、この男女共同参画の仕事に参画するようになりまして、もう長いことになってしまいました。早くいい後任の方ということをお願いをしておりまして、私もこの参画会議の議員は1月で辞めるというふうに考えております。平成12年9月26日に現在の基本計画についての答申をつくるときに、基本的な考え方というのを男女共同参画審議会でいろいろ検討いたしました。それはもう侃侃がくがくの議論をしたんでありますけれども、それはついこの間のような気がいたします。今回、この計画の作成をもって、私はこの男女共同参画会議の仕事から離れたいと思っております。いろんなことを、また勝手なことを思いつきで申し上げますので、お耳触りのことも多いかと思いますけれども、よろしく御容赦のほどをお願い申し上げます。
    山口委員
    財団法人市川房枝記念会の山口みつ子です。市川房枝と書いてありますように、女性参政権に関することを受け継いで、そして現在では政党に中立の立場で女性の政治教育、女性問題、調査出版、国際交流ということを仕事としておりますが、もう一つの特色としては、超党派で国際婦人年以降、全国組織の女性団体と女性活動を進めておりまして、政府にいろいろなことを提言したりしております。また、これも国際的な団体に広がりまして、現在、国連NGO国内婦人委員会と、そこの事務局長ということで仕事をしております。そういう立場で、いろいろこれから考えていることを述べさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
    渡辺委員
    筑波大学の渡辺と申します。よろしくお願いいたします。筑波大学も今変化しておりまして、4月から私が属しているのは、人間総合科学研究科とやっと言えるようになりました。専門はカウンセリング心理学です。カウンセリングというと、日本ではすぐに不登校と引きこもりというふうになってしまいますが、私はアメリカで教育を受けたので、そうならないようにもっと子どもたちを発達させていくという視点に立って仕事をしておりますので、結果的にキャリアカウンセリングとか、これもまた日本で不思議な状態になっているわけで、余り使いたくない言葉ですが、やっておりまして、主に小学校から大学におけるキャリア教育がどうあったらいいかということに焦点を当てて仕事をしておりますし、特に国立大学におけるキャリア教育はどうあったらいいかというので、今取り組み始めたところです。その中で男女共同参画の方では、当然、中核的な要になる問題ですので、よろしくお願いしたいと思います。
    岩男会長
    どうもありがとうございました。政務官は御公務のために、ここで退席されます。大変お忙しい中、貴重な時間を割いていただきまして、ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。

    (江渡大臣政務官退室)

    岩男会長
    それでは、お手元の議事次第に従いまして、本日の審議を進めさせていただきます。皆様方のごあいさつをいただきましたので、次は議事次第3の運営規則についてでございます。
     本専門調査会の運営規則につきましては、事務局の方で案を用意したということでございますので、御説明をお願いをいたします。
    定塚推進課長
    それでは、資料3を御覧いただきたいと思います。
     資料3では、男女共同参画社会基本法の条文を御用意しております。この4ページを御覧いただきますと、男女共同参画会議の設置、所掌事務等につきまして、男女共同参画社会基本法の第三章でございますが、規定をされているところでございます。
     続きまして、資料4でございますが、「男女共同参画会議令」におきまして、この専門調査会の委員となっていただいております専門委員の方々について規定を置いております。これらの法律と会議令に基づきまして、局長から説明しましたとおり、去る7月の男女共同参画会議におきまして、本専門調査会議の設置が議決されたわけでございます。
     続きまして、資料の5です。「男女共同参画基本計画に関する専門調査会運営規則(案)」でございます。
     本調査会の運営につきまして、8条からなる運営規則を定めようとするものでございます。 第1条は趣旨、第2条は調査会は会長が招集すること。第3条は調査会に欠席する場合は、代理出席や他の専門委員への議決権行使の委任はできないこと。ただし、意見があれば、書面により提出することができること。第4条は調査会を開くには、会長が出席し、かつ委員の過半数の出席が必要なこと。また、議事は過半数で決すること。第5条は議事要旨についての規定でございますが、議事要旨は発言者の氏名が記載されておりませんので、こちらは会長のみに御確認いただいて公表する予定としております。第6条は議事録についての規定でございます。議事録につきましては、発言者の氏名を記載させていただきますので、御出席者に確認いただいた上、調査会にお諮りして公表することとなります。第7条は会長に事故がある場合の代理の規定、第8条はこの規則に定めるもののほか、必要な事項は会長が定めることができるという規定でございます。
     以上、男女共同参画会議の下の他の専門調査会の運営規則と同様の内容となっております。以上でございます。
    岩男会長
    ありがとうございました。運営規則案につきましては、ただいま御説明があったとおりでございますけれども、このように決定をしてよろしゅうございますでしょうか。よろしいですか。

    (「異議なし」と声あり)

    岩男会長
    それでは、そのように決定をさせていただきます。ただいま決定されました運営規則第7条において、会長は会長代理を指名することとなっておりますので、会長代理としては先ほどごあいさつの中にありました通り大変長い経験、豊富な経験をお持ちで、私ども大いに期待をしております古橋源六郎委員をお願いをしたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
     続きまして、議事次第の4、現行男女共同参画基本計画の概要等についてに移ります。事務局の方で資料を幾つか御用意いただいておりますので、これを御説明いただくことして、その後に質疑応答という運びにさせていただきます。
     それでは資料の御説明をお願いいたします。
    定塚推進課長
    それでは、まず資料6「男女共同参画基本計画」の青いリーフレットを御覧いただきたいと思います。
     男女共同参画基本計画については、本体の方は机の方の上の参考資料の中に白表紙で「男女共同参画基本計画」という冊子がございます。こちらの方の概要版が、このリーフレットです。
     現行の基本計画につきましては、ここにありますとおり、平成12年12月に基本法に基づく初めての計画として閣議決定されたところです。計画の基本的考え方につきましては、こちらに書いてあるとおりでございまして、男女共同参画社会の実現に向け、政府として取り組むべき施策を総合的、体系的に整備し、推進することとしているものでございます。また、あらゆる社会システムへ男女共同参画の視点を反映させるということを重視いたしまして、施策の各論に踏み込む、また、計画推進の体制の中に仕組みとして組み込むことに留意しているところでございます。
     計画の対象期間です。男女共同参画基本計画の中で施策の基本的方向を示している部分、こちらは平成12年から10年間の平成22年まで見通した長期的な施策の方向性、具体的な施策につきましては、5年間の平成17年度までに実施する具体的な施策を記載しているものでございます。
     次のページを御覧ください。基本計画の構成です。2ページ目の左上に書いてありますが、第1部は「基本的考え方」、第2部は「施策の基本的方向と具体的施策」ということで、11の分野についての基本的方向と具体的施策をお示ししております。第3部は「計画の推進」ということで、推進体制そのほかのことを記載しております。具体的内容については、追って、このパンフレットあるいは計画の内容を御覧いただきたいと存じます。
     続きまして、資料7「男女共同参画の将来像検討会報告書」を御説明させていただきたいと思います。
     白表紙の冊子の中に概要というコピー刷りの資料が入っていますので、こちらを御覧いただければと思います。この検討会は官房長官の私的懇談会として設置をされまして、本年6月に報告書を公表したものでございます。
     男女共同参画に関して、世代や性別を越えて国民の理解を得るということを目的といたしまして、基本法制定20年後の2020年ごろをおおよそのめどといたしまして、将来の我が国が目指すべき姿として、男女共同参画社会の具体像を書いたものです。この報告書は、これから本調査会で計画改定の御議論をいただくに当たり参考となる報告書と考えておりますので、この概要を簡単に御紹介をさせていただきます。
     まず、一番上の冒頭のタイトルですが、この報告書では「男女共同参画は日本社会の希望多様な価値観の下、個性を生かし、共に生きる社会へ」という副題をつけております。この副題が示すように、男女共同参画社会が順調に形成されれば、2020年ごろには希望の持てる社会が訪れていると結論付けた報告書です。
     1ページ目は全体の構成を示したものですので、2ページ目をお開きください。
     まず、我が国の経済社会の現状と課題を分析するとともに、男女共同参画社会の形成に当たっての障壁、さまざまな障壁を明らかにしております。
     右ページの方にはグラフ等のデータも御用意しております。
     まず、障壁の方ですが、女性が活躍する機会が十分でない国日本ということです。こちらは右3ページの人間開発に関して指標の国際比較という中の右側のGEM(ジェンダー・エンパワーメント指数)という数値がございますが、こちらの指数の数値、日本は38位と大変低い数値でございます。これを見ましても、国際的にも女性が活躍する機会が十分でないことがおわかりいただけるかと存じます。
     障壁の2番目としては、性別による固定的な役割分担意識が強いこと。こちらも右ページのグラフで御紹介しておりますが、我が国の役割分担意識、諸外国と比べるとまだまだ差があるという状況でございます。
     障壁の3番目としては、仕事と子育ての両立困難。長時間労働・育児や地域社会への参加が低い男性、また仕事と家事・育児の双方を担う女性たちという実態があることを述べております。
     次は働く場における男女間格差ということで、女性の就業形態が正社員よりも、むしろ、パートその他の就業形態に限られている場合もあること。また、処遇における男女間格差について述べております。
     そのほか進学率・有業率における男女間格差、ライフスタイルに中立でない制度があることなどを障壁として掲げております。
     1枚おめくりいただいて4ページから5つの分野を提示しまして、各分野ごとに取り組む方向を提示して、取組を進めた場合に実現する将来像を提示をいたしております。
     第1に「政策・方針決定過程への女性の参画の促進」です。現状といたしましては、各分野の女性の参画状況はまだまだ低い状況となっております。
     5ページの方にグラフをお示ししておりますが、各分野での女性の割合、15%をはるかに下回る分野が多くなっております。
     また、政策・方針決定過程に女性が増えた場合の変化についてということで、アンケート調査をとってございますが、人材が豊富になり、社会全体が活性化する、また、国際的に日本の評価が高まる等の回答を得られているところです。
     左4ページでございますけれども、取組の方向としては、2020年までに指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になることを目指すなど、さまざまな分野における女性のチャレンジを促進するためのチャレンジ支援策を講じるということを掲げております。
     取組を進めた場合の2020年の姿としては、現状では大部分を男性が占めている分野や組織も、2020年ごろまでには3割以上を女性が占めるなど、政策・方針決定過程への女性の参画が拡大し、またそうなることによって、新しい視点が提起され、さまざまな人の立場を考慮した政策の立案実施が可能となるとともに、多様な人材の活用による変化への対応力に優れた社会に転換するという姿を提示いたしております。
     次に6ページでございますが、第2の「働く場」の分野についてお示しをしております。
     取組の方向としては、男女の雇用の機会と待遇を確保するなど、性別にかかわらず能力を発揮する環境を整備するということを挙げております。そして、取組を進めた場合の将来像といたしましては、男女ともに能力を最大限発揮でき、日本経済が活性化するとともに、多様な働き方の選択が実現するといたしております。生産年齢人口が、先ほどのごあいさつでもありましたが、減少するということが近々予測される中、日本経済の活力を維持向上していくためには、女性の能力を活用していくことが不可欠の状況となっております。特に子育て期以降、女性の潜在労働力率と実際の労働力率には乖離があり、就労を希望しながら働くことができない女性が存在するため、この状況を解消していくことが望まれます。
     また、企業における男女共同参画に取り組むことは、その組織に意欲と能力のある人材が集まるとともに、人材への積極的な投資が行われ、企業イメージの上昇にもつながるなど、組織の活性化、利益の向上に資すると考えられます。そのほか、CSRや男女共同参画ファンドなどにもついても触れております。
     7ページ以降、データを御紹介しておりますが、各労働者の1時間当たり平均所定内賃金格差の推移を見ますと、男性労働者を100 とした場合の女性労働者の給与水準は、平成15年で67.6となっております。
     男性パートタイムの給与水準が四角で示されておりまして、平成15年では49.9、女性パートタイムにつきましては、3月の数字でございますが、44.5となっておりまして、男女間格差、また正規社員とパート労働者の格差というものがかなり著しい、特にパートタイム労働者と正規従業員の格差がむしろ広まっているという状況がわかります。
     次のグラフは母親が出産した後の就業状況を示す調査です。出産1年前に有職であった者、この調査対象では73.5%おられましたけれども、これらの方々が出産した後に無職という者が67.4%、約7割です。出産によって仕事を辞めるという方が、簡単に言えば7割いるという現状を示しております。
     次の8ページ、女性の年齢階級別潜在的労働力率のグラフです。白丸のグラフは女性の労働力率、いわゆるM字型カーブを描いたカーブです。潜在的労働力率は、四角のダイヤのカーブでして、こちらの潜在的労働力率は実際の労働力率よりもかなり高い数値となっております。
     2020年ごろの労働力人口の予測のグラフは、下のグラフですが、女性労働力率が上昇することにより、労働力人口の減少を補うことができるということを示しております。
     次の9ページは3番目の「家庭」です。
     取組の方向といたしましては、仕事と子育ての両立支援の強力な実施を掲げております。また、子育てについては、父母その他の保護者が第一義的責任を持つものであると同時に、子育ては次代の担い手を育成するという観点から、社会全体で支援する取組を一層充実させ、かつて家庭が担っていた次代の育成を支援する機能を、地域や社会の力を借りて再構築することが必要としております。
     取組を進めた場合の2020年の姿としては、男性がより家庭に参画していくことで、家庭が充実・活性化し、子育て・教育力が回復するといたしております。また、男女ともに家事・育児や仕事、地域に参画していくことで、女性だけでなく男性の生き方の選択が増えるということも挙げております。
     さらに、現在先進各国では労働力率と出生率は正の相関があることから、両立支援策の充実により、少子化の流れにも歯止めがかかることについても指摘をいたしております。
     10ページ以降にデータを掲載しております。
     10ページは育児期にある夫婦の育児、家事、仕事時間の国際比較ですが、一番下の日本、右側が夫の育児、家事、仕事時間でして、育児、家事時間、大変諸外国と比べても少ないということがおわかりいただけるかと思います。下のグラフは子育て優先度の希望と現実ということで、仕事と家庭を同様に重視したいという希望が多いにもかかわらず、現実はそうなっていないということを示しております。
     右側のページでは子育てへの自信喪失ということが、有職者もありますが専業主婦の方に特に多いということ。また、労働力率と出生率の相関には、先進各国では正の関係があるというグラフです。
     次に12ページ、「地域・その他」を御覧いただきたいと思います。
     こちらにおきましては、男女共同参画センターなどで地域におけるチャレンジ支援策が講じられることによりまして、生涯を通じ、多様な生き方の選択が可能になるとともに、ボランティアやNPO活動などが一層盛んになることで、地域が活性化し、地域機能も回復といたしております。また、教育の分野でも4年制大学等の卒業者数の男女間格差が解消し、性別による専攻分野の偏りが少なくなるとしております。そのほか、総合的コミュニケーション能力、いわゆるEQの重要性についても言及をしております。
     データでございますが、13ページ、進学率の推移ということで4年制大学につきましては、男女間でまだ格差があるということが示されております。ただし、短大を含めると男女ほぼ同等のレベルということも示されております。学部別に見ますと、男女比率、かなり学部ごとに違いがありまして、特に工学では女性の比率が少ないということがおわかりいただけるかと思います。
     最後に14ページ、「地域社会への貢献」でございます。取組の方向性としては、男女共同参画社会の形成に向けての取組は、国際的な動きに連動する形で行われてきたが、国際的な協調のもと、さらに相互協力の円滑を促進を図るということ。取組を進めた場合には、我が国の男女共同参画の進展が諸外国からも評価され、活躍の場が広がるということを書いております。
     以上が各分野の内容でございまして、最後に15ページに「まとめ」といたしましては、冒頭申し上げましたとおり、男女共同参画社会が順調に推進されれば、社会生活上の変化が生じて、2020年ごろには希望の持てる社会が訪れていると推測したところです。
    岩男会長
    ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、何か御質問等がございましたらお願いをいたします。
     なお、自由討議の時間を後ほどとってございますので、ただいまの説明資料に関連しない御質問につきましては、自由討議の時間にお願いをしたいというふうに思っております。どうぞ原委員。
    原委員
    私は男女共同参画会議の議員をしているので、もっと早く気がつくというか、御質問をすべきことだったんですが、今日の手元の概要の定塚課長が御説明になった7ページの兄弟の数1人(本人のみ)の母の就業状況、これはすなわち一人っ子の話でしょうか。それとも兄弟がもう一人いる、つまり二人っ子のことなんでしょうか。これはこっちの冊子の方の73ページの表も同じ表題なので、私は早く気がつくべきことであったのです。一人っ子じゃないかなと思うんですけれども、よくわかりません。
    定塚推進課長
    御指摘ありましたとおり、第一子、一人目の状況ということで、二人目以降だと、就業状況等がもともと無職だったという方も多いものですから、第一子の統計ということでございます。
    原委員
    もう一つあります。
    岩男会長
    どうぞ。
    原委員
    この資料の6の方のことなんですけれども、2ページ目の計画の構成のところの第2部に11項目でございますが、これは今後のことに関係するんですけれども、私たちのこの基本計画、これからつくる基本計画では、この11項目に縛られるのか、それとも今後、そういうのを検討していくのかというのはわかっていたいと思うんです。
    岩男会長
    これは当然、新しい分野というものが考えられるわけですね。社会経済状況というものが大きく変化しておりますし、また、これから先の5年間ですから、というふうに私は理解しております。よろしいですか。
    原委員
    ありがとうございました。
    岩男会長
    ほかにいかがでしょうか。それでは、後ほど自由討議の時間がございますので、何か御質問ございましたら、そのときにお願いしたいと思います。
     続きまして、議事次第の5の「本専門調査会における議論の進め方について」に移りたいと思います。まず、事務局から御説明をお願いをいたします。
    定塚推進課長
    まず、資料8「男女共同参画基本計画改定にかかる審議スケジュール(案)」という資料を御覧いただきたいと思います。
     審議スケジュールにつきましては、各委員に既に御説明を内々でさせていただいているところでございますが、こちらの紙のとおり進めさせていただきたいと考えております。既に男女共同参画会議で7月に諮問が行われ、また昨日、10月7日ですが、計画改定に関する当面の論点等について、議論が行われたところです。こちらの論点につきましては、後ほどの資料で御紹介をさせていただきます。
     この参画会議の議論を踏まえまして、今後、本専門調査会で御議論をお進めいただくということで、第1回の本日でございますが、第2回から第6回までは各省庁からのヒアリングを行います。計画については、各分野11分野ございますが、このうちの10分野につきまして、各府省からのヒアリングをし、フォローアップ、評価を行うと同時に今後の取組の方向性につきましても委員から御議論をいただきたいと思っております。
     なお、先ほど11分野と御説明いたしましたけれども、11分野のうち、女性に対する暴力の部分につきましては、本調査会ではなく、女性に対する暴力の専門調査会におきまして検討を実施することとさせていただいております。この5回のヒアリングが終了した後は、フリートーキングや、先ほど御質問がありました新しい分野につきましての有識者のヒアリング等必要に応じて会合を準備したいと思っております。
     また、1月から3月ぐらいには、起草委員会ということで、小グループによる非公式な検討会を行いまして、その起草委員会においてある程度論点整理の素案のようなものをおまとめいただく。それをもう一度、この専門調査会全員の会議にかけまして、論点整理案として検討を進めていただく。それを5月ごろ論点整理案の公表という形でいったんまとめていただきたいと思っております。
     論点整理案を公表した後は、国民からの意見募集、パブリックコメントと意見交換会、これは東京のほか、全国一、二か所を想定しておりますが、国民から直接意見を聞く会というものを設けたいと思っております。それらの意見を踏まえ、最終的に報告書を調整し、7月には報告書を出していただく。こういう予定をしております。また、議事の進行によりまして、皆様と御相談しながらスケジュールを立てていきたいと思います。
     次に資料9でございます。大変恐縮でございますが、計画に関する調査会の各委員に御担当分野の表を用意させていただいております。こちらの表は、もちろん、各委員、各分野について、全分野について御意見をぜひ言っていただきたいと考えておりますが、特に関係府省ヒアリング、起草委員会等の際に中心となって御発言をいただきたいという意味で○を付けてさせていただいております。御自分のところにつきまして、これではないと、もう少し別のというお考えがある場合には、また御意見をお寄せいただきたいと思います。
     次に資料10でございます。「新しい男女共同参画基本計画に関する当面の論点について」という資料でございます。こちらの資料は昨日の男女共同参画会議で提出され、議論されたものでございます。昨日の会議では計画改定に向けまして、数名の大臣から策定についての決意表明が行われました。その後、このペーパーに基づきまして自由討議が行われました。詳しい議事概要につきましては、追って正式なものができ上がりましたら、この調査会にも配布をさせていただきたいと思います。
     昨日の会議における議論も踏まえて、本調査会において計画改定の検討をするということとされたところでございます。この論点につきまして、朗読をさせていただきます。
     平成16年7月28日の内閣総理大臣からの諮問を受け、男女共同参画会議では、政府が男女共同参画基本計画を策定する際の基本的考え方の検討を開始する。
     男女共同参画社会の実現は、男女共同参画社会基本法の前文に規定されているように21世紀の我が国の最重要課題であり、総合的な構造改革を進める上で、極めて重要な位置を占めるものである。また、少子化対応や、男女がお互いにその人権を尊重しつつ生涯にわたって安心して暮らすためにも不可欠である。
     しかしながら、女性の社会進出度を国連が毎年発表しているジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)で見ても我が国は78か国中38位に止まっており、男女共同参画社会の実現に向けた取組をより一層進める必要がある。
     このような最重要施策の推進において根幹となる新たな男女共同参画基本計画は、現行計画策定後の新たな経済社会情勢の変化に対応するとともに、これまでの参画会議決定や関連提言の内容を基本計画に位置付け、施策の前進を図るものでなければならない。また、より実効性が上がるようなものでなければならない。そのため、達成目標や実施期間について可能な限り定量的に記述するとともに、内閣府及び関係省庁において評価や影響調査を行うことなど、施策の遂行を担保する方策について検討する必要がある。
     また、基本的考え方の検討に当たっては、特に、以下のような論点を踏まえる必要があると考える。
     (女性のチャレンジ支援の推進)
     1.男女共同参画社会へのあゆみが緩やかである現状を踏まえ、ポジティブ・アクションを、その前提としての女性の人材開発を含め強力に推進する必要がある。このため、女性のチャレンジ支援策の充実・強化を図り、社会のあらゆる分野において、「指導的地位に女性が占める割合が2020年までに少なくとも30%程度になるよう期待」するという閣議決定の着実な達成を図る。
     (ジェンダーに敏感な視点の定着)
     2.男女の人権が尊重され、男女共同参画に関する理解を深め、社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)に敏感な視点を定着させることが、11の重点目標の各分野及び他の政策の推進において重要な基盤となることについて、基本的考え方として明確にする。なお、ジェンダーに関しては誤った認識が見られるが、これについて是正に努める。
     (新たな分野への取組)
     3.現行計画の11の重点目標に限らず、関連するあらゆる施策に男女共同参画の視点を持って取り組むことが重要である。特に、女性研究者の登用の促進や、観光、まちづくり、地域おこし、環境対策、科学技術分野の政策決定過程への女性の参画の促進等については重点的に取り組む必要があり、それらについて明確に記述する。
     (パート等の均等待遇の確保と働き方の見直し)
     4.パートを始め多様な就業形態の労働者が増加しているが、これらの者に対する均等待遇を確保する必要がある。このことは、男女ともに働き方を希望に応じて選ぶことを可能にし、ひいては持続可能な社会保障制度の構築にもつながる。また、少子化対応ともなり得るよう、労働時間の短縮を図るなど働き方の見直しを進める。
     (様々なネットワークづくりの推進)
     5.多様な価値観の下、個性を生かしつつ共に生きることが出来る男女共同参画社会の実現に向けて、地域活動、NPO活動等のネットワークや、個々人の生き方を支援する社会の安全網としてのサポートシステム等、様々なネットワークを構築することが重要であり、このようなネットワークづくりを推進する。
     以上でございます。
     続きまして、資料11と12です。先ほどスケジュールの中で説明をさせていただきましたが、次回からの各府省ヒアリングの際に、この資料11と12を使用しまして、各府省から説明をしていただくというものです。
     本日は資料の御紹介だけでございますが、11の方の基本計画推進状況調査というものにつきましては、一番左の欄と左から2番目の欄、「施策の基本的方向」と「具体的施策」、これは現行の基本計画そのものの文章が書き込んでございます。その次の「関連提言等」という欄では、男女共同参画会議の各種調査会や会議自体の提言報告決定等の関連部分について、参考までに掲載をしております。
     この各部門につきまして、一番右の「施策の実施状況及び関連統計等」ということで、各府省で何を実施しているかという事業内容を右側の欄に掲げているというものでございます。これは一括してとめてありますが、1から11と第3部という構造になっております。各回のヒアリングの際には、この1、2、3という順番に使うことになります。
     それから、資料12でございます。こちらの方は様式のみですが、「男女共同参画基本計画に関する施策の評価等について」ということで、各府省に記入をお願いしております。一番上は施策の取組及び評価ということで、各府省において取組状況と自己評価を御記入いただく、2番目は施策の今後の方向性、検討課題等について御記入いただく、3につきましては、施策のデータと関連するような既存の政策評価があれば、これを記載していくという様式を用意しております。次回以降、この11と12に従いまして、各府省からのヒアリングを行わせていただきたいと思います。
    岩男会長
    ありがとうございました。先ほどの昨日の男女共同参画会議の有識者議員全員から提出いたしました「当面の論点について」ということに一言補足をさせていただきたいと思います。これは、現時点において、少なくともこういうことを考えなければいけないのではないかということで、これでずっと縛られるということではなくて、その他いろんな論点があると思います。また、男女共同参画にかかわる論点というのは非常に多岐に渡っているわけですけれども、その全部を盛り込むわけにもいきませんので、皮切りとして提出をしたというものでございますので、そのように御理解いただければというふうに思います。
     それでは、しばらく時間がございますので、ただいまいろいろ御説明もございました資料を含めまして、御自由に御発言をお願いをしたいと思います。どうぞ原委員。
    原委員
    たびたびすみません。この資料9なんでございますが、また11項目が並んでいて、一応、分担が書いてあるんですけれども、可能ならば、12という欄をつくって「その他」としておいていただいて、人の名前のところは当面空欄というふうにすることは可能でしょうか。
    岩男会長
    それはもちろん、可能ですね。
    名取局長
    もちろん可能です。
    原委員
    そうしておいていただいた方が、これだとクローズドシステムで話をするような気持ちになっていくので、よろしくお願いいたします。
    岩男会長
    では、そのように事務局の方でお願いをいたします。
    桂委員
    ちょっと質問でいいですか。資料10で昨日御議論をいただいたという中の4番なんですが、「均等待遇」という表現を使われていますよね。この均等待遇というのは、どういう意味に解釈したらいいんでしょうかね。「パート等の均等待遇の確保と働き方の見直し」とありますよね。例えば、正式な従業員と同一の労働条件にしろという意味なのか、均等というのは、どういうことを指されているのかは、ちょっとピンとこないんです。
    岩男会長
    先ほど事務局の御説明に中でも賃金格差が非常に大きいとか、あるいは非正規雇用に参入する女性たちがたくさんいるわけですけれども、それも必ずしも本人の希望ではなくて、いろいろな条件から、そういう選択をせざるを得なくなっているというようなこともあり、林委員からもお答えをいただいた方がよろしいかとも思います。これを準備する段階で、私ども議論をいたしまして、できるだけコンパクトな形にしなければいけない。余り説明をしないでというようなことでございましたので、私は非常に多様なものを含むように考えておりましたけれども、また、委員の間でコンセンサスをとって書いたというわけではないということも、事実でございますので、若干、個人によって意見が違うかもしれません。林さん、御説明いただければと思います。
    林委員
    私が考えております均等待遇というのは、やはり、基本的には時間概念で賃金を考えていくということで、国際条約のILO100 号の同一価値労働、同一賃金というものに沿って、同等な価値の仕事については、同等の報酬ということで、それは仕事が違っても、働き方が違っても、そのように仕事の価値から労働の報酬を決めていくということが基本になって、その他の条件というのも、やはり時間比例的な考え方ですね。いわゆる、175 号のパート条約の趣旨というものが生かされるような内容でというふうに考えております。厳密な定義をそこでした上で合意をしたというよりも、余りの格差があって、そういう非典型と言われる人たちが、今、35%近くあるというのが、どこまで増えていくのか、そういうことを放置していって、本当の経済の活性化であるとか、あるいは社会保障の整備であるとかということができるのだろうか。持続可能なシステムをつくっていくとか、あるいは共同参画基本法の中に、先ほどのリーフレットにもありましたが、どのような社会をつくっていくかというときに、ともに責任を担うべき社会をということが出てきますが、そのときに、やはり税を共に担うということも公的な責任の大きな一つだと思いますし、社会保障の支え手になるという責任を、できるだけ多くの人がきちんと対等に担っていけるということも基本になると思うんです。そういうことが均等待遇によって、可能になっていくというふうなイメージがありまして、こういう言葉を使っております。
    桂委員
    全体論としては大変よくわかるんですけれども、今度、逆に言うと雇用といいますかね、そっちの方から見たときに、季節変動も含めて、いろんな形での労働条件というのはあるわけですね。だから、「確保する必要がある」というと、ねばならないみたいに言うんですけれども、そういう議論にはなるんでしょうかね、今後。
    林委員
    そうですね。
    桂委員
    すごく難しい問題な気がしますけどね。恐らくそれは契約の中でちゃんとやることなんですね。わかりました。大体方向はわかりました。
    岩男会長
    山口委員。
    山口委員
    ちょっと伺いますが、ヒアリングに関して資料12とあわせて。このヒアリングを各府省からやっていただきますときに、この資料12の評価等についてあわせて出されるんでしょうか。
    定塚推進課長
    資料12の表を、計画の関係府省はかなり幅広いものですから、主要な官庁から出していただく予定にしております。
    山口委員
    ヒアリングのときに出してもらうわけですね。
    定塚推進課長
    ヒアリングのときに出して、それを説明していただこうとしております。
    山口委員
    この評価なんですけれども、これでどこまで書けるかなと、ばらばらになるのではないかなという気がいたします。といいますのは、例えば、A、B、Cという評価がある場合、ジェンダー視点を明確にしたり、ポジティブ・アクションを取り入れたりする。例えば、概ね順調に進んでいる「A」、それから、「B」はまあまあ、「C」は問題ありというふうな評価の仕方があると思いますが、評価方法の検討がなされたかどうか。評価の視点というのをもう少し明確に出さないと、これだけの予算を、有効に使ったというだけではなく、男女共同参画でやる場合には、ジェンダー視点を明確な尺度にすべきだと思うんです。はっきり書いておいた方がいいんじゃないかと思います。まして自己評価というのがありますから、それぞれ悪い点なんて付けないんですよ。多分、問題提起のところで出されるとは思いますけれども、評価の視点を付けた方がいいと私は思います。ヒアリングの際、評価視点が各省ばらばらでは困るので。
     今、地方公共団体に男女共同参画条例ができて、条例ができて以降の、行動計画、アクションプランの見直しをしているときに、従来の行政評価ですから、男女共同参画の視点が必要です。ある制度を取り入れた結果、むしろ男女共同参画とかけ離れたとか、何の影響もなかったとか、非常によかったとか、そういうことこそ、これから施策に取り入れられるので、その辺はどうなんでしょうか。評価に際し、どういう指示を各省になさっておられるのでしょうか。
    定塚推進課長
    御指摘いただいたとおり、A、B、Cとか、ランクを付けて評価するとか、もう少し厳密な評価をするということを、実際、地方公共団体の計画の評価では、そういう評価方式を既に取り入れられているところもございますので、そういう方式が本当は望ましいのかという議論は、事務局内部でもいたしました。ただ、今の現状をかんがみると、なかなかそこまでするのは難しいかなということでございまして、とりあえず、第一歩として、このような様式をということにさせていただいたわけでございます。理想的には山口委員がおっしゃるような形のものができるといいとは思います。
    山口委員
    もし評価視点がばらばらになると、ヒアリングのときにもめると思うんですよ。例えば、ポジティブ・アクションを明確に、政策決定参加等は数量的に出てくるんですけれども、そうでない部分に関しては、取組の姿勢というのはすごく大事で、即効性のあるものと時間があるものといろいろ考えなければなりませんから、やはり幾つか評価の柱があった方がいいと思います。今回、各府省の評価を聞いてから、私ども委員の中で評価基準を提言すべきかなというふうに思います。
     以上です。
    岩男会長
    その関連で私の記憶違いかもしれませんけれども、昨日の参画会議の席上、総務大臣から総務省は政策評価をやっていますよという御発言がありましたね。ですから、まず総務省はどういう評価をなさっているのか、それもこちらにいただいて、できるだけ、将来にうまくつながるような、つまり実効あるものをつくらなければいけないので、それにつながるような評価をしていくという必要があると思うんです。総務省がどういうことをしておられるのかがよくわからなくて、昨日の大臣の御発言のコンテクストもよく理解できなかったんですけれども、そこをうまくキャッチしてできないものでしょうか。
    古橋委員
    その点に関連しましては、各省が評価したときの視点を、まず各省から出してもらうということが第一。どういう観点から評価したかということを出してもらう。それから、私どもの方も各省からその評価結果を聞くときに、事前にある程度の評価の視点というものをつくっておくということが必要じゃないかなと思います。
     それから、総務省がやっておりますのは行政評価でありますが、男女共同参画の視点(ジェンダー主流化)からの評価というのは、内閣府の男女共同参画局が行うことになっていると思います。行政評価ということになりますと、与えられた行政目的達成のため、変化に対応して総合性が確保されているとか、効率性が確保されているとか、あるいは国民からの信頼性が確保されているとか、そういうようなことになります。そして、その場合の行政目的が、男女共同参画の推進ということでない限り、そういうような視点からは、余り私はやっていないと思います。したがいまして、私どもの方で男女共同参画の視点からの行政の評価ということについては、やはりこちらの方で評価基準をこしらえて、そしてそれに基づいて評価をしていくということが必要になると思います。その評価の視点を、例えば、統計の整備、ODAについては、私ども評価をいたしましたけれども、いろんなことである程度評価の視点というのはできておりますから、今までの議論した結果の評価の視点というものをもう一回まとめて、それを参考にしてヒアリングをして、こちらから意見を述べるということが必要なのではないかなと、こういうふうに思います。
    岩男会長
    ちょっと本論からずれますけれども、今の点について御質問させていただきますけれども、例えば、行政評価をしておられる場合にも、総務省の方に、つまり私たちとしては、あらゆる施策にジェンダーの視点が反映されることということなので、それを今後入れていただくということは可能なんですか。
    古橋委員
    それは向こうに申し込むことはできるんですが、向こうはジェンダー主流化という視点を中心にしてやってはいないと思います。
    岩男会長
    もちろん、中心ではなくても、その項目の一つに入れていただくと、非常に効率的に……。
    名取局長
    昨日、先生方が当面の論点ということで言っていただいた中に、資料10の冒頭のところですけれども、要するに、下から3行目に「内閣府及び関係省庁において評価や影響調査を行うことなど、施策の遂行を担保する方策について検討する必要がある」というふうに言っていただいておりますので、そのあたりについては、一応、そういう有識者のお考えというのは各大臣には通っているということですので、今後、こういうことも含めながら、計画策定の中で御提言いただければいいのかなと思います。
    岩男会長
    総務大臣のリアクションがここに反応してくださったと期待してはいけないかしら。
    名取局長
    さあ……。
    山口委員
    要するに、これから5年の特色は、やはり、その評価の仕方にかかっていると思うんです。例えば、高齢者等が安心して暮らせる条件の整備ということで、基本計画には、女性のことを書いてあるけれども、男女一緒に見ている場合が多い。農山漁村でも高齢者の問題が入っているんですね。これは高齢者で女性の問題がいっぱいあるわけですから、そういう視点で見ていく。また、女性の参画を促すというところにもつながると思うので、男女共同参画の視点で高齢者を見るという評価の仕方ではないか。昨日、予算の説明を聞いていましても、高齢者福祉の予算は男女ひっくるめてですよね。あれで男女共同参画関係予算は総額10兆円だなんて言われても困るんで、予算においても男女共同参画予算というものを明確にすべきです。
    岩男会長
    神田委員どうぞ。
    神田委員
    この評価なんですけれども、この目的は、つまりやっているか、やっていないかということ、この推進状況を評価する目的なのか、それとも今、お話がありましたように、評価の視点だとか、何かを明確にしていくことが主目的じゃないのか。その辺どう考えていらっしゃるのか。と申しますのは、これをこのまま、それぞれのところにお願いしますと、私、評価される側でもありますので、持ってこられますと施策名も膨大な数に上るわけです。だから、大変な手間をかけてこれを書くわけです。例えば、このときに、施策名は、これというふうになるのか。例えば、審議会の委員なんていうのは、割に簡単に出てきますけれども、さっきおっしゃったように、ほかのものは大変なことになるので、どういうふうな目的でするのか。
    岩男会長
    これは先ほど資料の御説明の中にありましたように、こういうような形で現在のものに沿って出していただくという、こういうことですよね。
    神田委員
    これについてみんな評価を出すわけですね。
    定塚推進課長
    施策については、そういう意味では、今会長から御説明があったとおり、推進状況調査の方に基本的には入っております。ただ、非常に細かいので、この概要と、やっていない部分もあるわけでございますから、うちの省としては、これをやっていなかったですとか、この取組が足りなかったとか、そういうことを記入していただきたいということで、この様式を策定しております。
    神田委員
    そうすると、それぞれで出てきた評価について、こういう評価の視点ではうまくいかないよというようなことを明確にしつつ、また新しい評価の在り方をつくっていこうという2つのことができると。
    定塚推進課長
    事務局としては、資料12はあくまでは資料11をより補足するというか、わかりやすくする資料というふうに考えまして、11だけでは施策の羅列なので、非常に評価がしにくいということで、各省が何を自分でどう考えているかということを考えさせるための資料ということで用意をさせていただいたところです。
    神田委員
    自己評価を出してもらうと。
    岩男会長
    原委員どうぞ。
    原委員
    この資料12のここでの評価をしてくださいというのは、平成12年12月の男女共同参画基本計画に照らして、どう評価するかということを各省庁にお求めになっていらっしゃるんでしょうか。そのお答えの後で、また続く質問があります。
    定塚推進課長
    そうですね。特にこの左側の欄に比べて右側の欄がどうであるかということについて評価を加えて下さいという意味です。
    原委員
    いろいろ御議論ありましたが、それにつけても、とりあえず総務大臣が昨日の男女共同参画会議で御発言になった、総務省がどういう評価の枠組をお持ちになっているかを、私たちも見せていただいてお勉強させていただくというのはいかがでしょうか。
    定塚推進課長
    そういたしましたら、次回お配りをいたしますが……。
    原委員
    次回の前に送っておいていただければ勉強しておきますので。
    定塚推進課長
    そういたしますが、誤解があるといけないので御紹介しますが、総務大臣から紹介がありましたのは、少子化対策に関する評価ということで、新エンゼルプランを対象としての政策評価でございますので、あくまでもその分野に限定されているものだということで補足させていただきます。
    原委員
    日本評価学会というところに、この中にも随分入っていらっしゃる方がありますが、今度の日本評価学会では、古橋委員がジェンダーの視点に立ったODAの評価の御報告をなさってくださることになっているのです。やはり、日本評価学会の会員なんですけれども、感じとしては、この種の、ここで行われる評価というのは、一体どんなもんだろうというのは、非常に縦横斜めに厳しく見ると思います。コメントです。
    岩男会長
    佐藤委員。
    佐藤委員
    我々は評価が目的ではなくて、次の基本計画をつくるわけですよね。評価はほかに今までやってきた、監視影響専門調査会でも全部じゃないですけど、やってきているわけで、評価の専門の専門調査会があったわけです。それをもちろん、踏まえるわけですけれども、今回評価自体が目的ではなくて、多分、基本的にはそれぞれの府省が前回の基本計画をどう評価するか。自己評価でいいと思うんです。これから何をやっていこうかと出していただいて、我々としては、もうちょっとこれをやった方がいいとか、これは資源からすれば、これをやめて、こっちをやれとか、そういうことを考えながら基本計画をつくることで、多分、評価自体は余りこだわる必要はない。もちろん、それはベースですけれども、今の進行状況を見ながら次の基本計画をつくる。ですから、余りそこに、先ほどの「希望の持てる日本」、ああいうものを踏まえながら、どういう基本計画をつくったらいいのかということと、あと各府省が考えていることのすり合わせを少し事前にやるというヒアリングかなというふうに僕は理解していたんですけど。
    岩男会長
    古橋委員。
    古橋委員
    評価というのは、Plan・Do・See の1つの段階で、seeに基づいてplanに行くというのが大切なことですから、そういう意味における、とりあえず、See もやりましょうというSee でございます。
     もう一つ、ここで私は質問したいんですけども、第1回目の計画をつくるときの審議会の意見というのは、計画そのものの文章ではなく、基本的な考え方ということで抽象的な文章にした経緯があるんですけれども、今回は計画というものができておりますから、それを修正するという形での文章をつくるのか、あるいは基本的な考え方ということで、この答申をするのか、そこいらのところを皆さんに一回議論していただいた方がいいのではないかなと思います。もう第一次基本計画でできておりますから、これをこういう形で修正するという形の答申にするのか、考え方だけまた答申するのか、そこらのところは、皆さん方で議論していただいた方がいいのではないかなという気がいたします。
    岩男会長
    その点については、事務局のお考えをちょっと、今の時点で伺った方がいいと思いますので。
    定塚推進課長
    度々恐縮でございます。諮問の方は諮問文の中で「基本的な考え方についてお示しいただきたい」という文章になっておりますので、基本的考え方ということでございます。ただ、古橋委員おっしゃるとおり、既に既存の計画があるということがございますので、この計画の文章を逐一全部見直してというものでは、到底あり得ないわけですけれども、既存の計画をどう改定するかという方向の基本的考え方という程度のものをお示しいただくということを想定しております。起草委員会の方で、まず基本的考え方の素案をつくり、この調査会で基本的考え方という形で報告をおまとめいただくことを考えています。
    岩男会長
    原委員。
    原委員
    この資料6の例の11項目のところでは、6の高齢者というのはありますが、昨日大いに大臣たちがおっしゃったりなんかもしている少子高齢社会ないしは次世代育成ということについて論ずるとすると、高齢者の項目だけでは、教育、学習みたいになりますが、それだけではないわけですよね、次世代育成というのは。雇用の部分も農山漁村も両立などを通じてそれは横糸に流すんですというふうに考えるのか、次世代育成という項目を1つ立てておくというふうなことでいくのかとか、その辺も御検討いただけたらありがたいと思っています。
    岩男会長
    そうですね。少子化の専門調査会もできるわけですから。
     ほかにどうぞ御自由に御発言いただきたいと思います。住田委員。
    住田委員
    この資料10について参画会議の中で若干疑義があるようなご発言があったので御紹介いたしたいと思います。このポジティブ・アクションの30%の数値目標、1のところでございますが、この30%程度になるよう期待するという文言については、30%になるような形に規制をするようなものでないはずであるという、ある意味では当然のことながら、そういう御指摘があったわけです。もちろん、数値目標というものは目標であり、期待するものであって、その目標を掲げながら、その途中経過として、どういう状況に今あるかということについて、監視していくというか、ウオッチしていくということになろうかと思います。
     ですから、そこら辺の誤解がまずないようにしたいところです。しかしながら、その誤解があろうがなかろうが、少なくともこういう目標がある以上は、その目標に向けて各省庁も積極的な形で施策を立てていただきたい、それが、今回の基本計画の中での根幹部分の1つになると思います。そうすると、具体的に各省庁はポジティブ・アクション、しかもジェンダーに敏感な視点に基づいてのポジティブ・アクションをどういうふうに考えているか、その具体策をぜひ聞かせていただきたいと思っております。
    岩男会長
    それは目標が非常にはっきりしていて、2020年に30%ということで、しかも閣議決定もされているわけですから、そこにどういうプロセスで、それぞれの省庁が計画を立てて、達成することを目指して進めておられるかという、それはぜひお聞きしたいというふうに思いますね。
    原委員
    すみません。もう一つ昨日の会議で出たのが、働く女ばっかりのことを考えないで、家庭婦人のことも考えてくれよというふうな御意見があったということを報告したいと思います。
     それから、もう一つが資料10の第2の点の「ジェンダーに敏感な視点の定着」というところに関しまして、「ジェンダーに関しては誤った認識が見られるが」というところにつきまして、どんな誤った認識が見られるのかといったような御質問は、大臣の方々からは出なかったということでございます。何が誤った認識かというのは、ほとんどここの方は御存じと思うんですけれども、例えば、ジェンダーに敏感な視点というと、男と女が全部一緒になってしまえばいい、全く違いをなくすことが大事なんだというフェミナチとかですね。それから、カタツムリのように雌雄同体に人類をしたがっているんだ、人類がそうなるようにという方向に向かっているけしからぬ考えであると。そういうふうなことは説明する必要はなかったわけですけれども、そういうところを、やっぱりしっかりいろんな方におわかりいただく。国民の方にもおわかりいただくし、政治家の方や行政の方にもおわかりいただくというのがとても大事だなと思っております。だから、一人一人がみんな違って、一人一人の個性と能力が発揮できるような社会にするというのを理想にして、あと何を考えていくかということで考えていきたいと、私は個人的に思っております。
    岩男会長
    鹿嶋委員。
    鹿嶋委員
    5年前の初の基本計画のときは、起草委員に入って議論をしたんですけれども、今、第二次の基本計画をつくる場合に必要な視点というのは、当時考えられなかった視点、いわゆるジェンダーバッシングですよね。これをどういうふうにするかというのは、どこかに頭に置きながら、基本計画をつくる必要があるんじゃないかと思うんです。
     昨日の論点についての中の5番目に、さまざまなネットワークの推進というのが幸いなことに入っていますが、これは非常に大事なことで、私はやはりいろいろ見ていると、まだ共同参画について女性自身も必ずしも認識がないし、それをどういうふうに今後定着させていくのかとなると、山口さんたちのような既存の女性団体ではなく、僕が特に考えているのは消費者団体なんです。消費者団体の中で、例えば、こういうような問題をどの程度きちっと理解してもらうかどうか。特に消費者団体は環境への配慮の問題に非常に重点を置いているんですが、CSRでもそれは絡んでくるんですけれども、人権への配慮というのを消費者団体に理解してもらう。アメリカなんかはNPOがスーパーマーケットの中に並んでいる商品の格付けを行っているわけですよ。そこのAという会社は女性の取締役がいるとか、何とかということを消費者に情報として提供するわけです。そうすると、そういう情報をもとに、今度は消費者がものを買っていくというふうなことをやっているんで、だから、共同参画という問題自体を、もちろん政策評価も非常に大事なんですけれども、そういう動きの中で既存の従来から頑張ってきた女性団体の人たち、そして消費者運動、そういう人たちの中へどういうふうに定着させてもらうかというのを、ネットワークづくりの中にぜひ入れていっていただきたい。
     ただ、その担当部署はどこにあるのかなという、さっきからその疑問をつらつら感じているんですが、5年間経った中で何が変わったのか、一番変わったのはそういうバッシングが起きている中で、それをどういうふうに抑えていくか。それは単に文言だけではだめなんですよ。運動体として定着させるような何らかの形、そうすると、それは計画しかないんですよね。
     もう一つ、さっき桂委員のもので引っかかったのは、パートの均等待遇というのは、確かに、どうなんですか。これは正確には均衡待遇であって、計画の方は均等というのは一つ柱で入っているんですが、パートになってくると、やはり均衡で入れているんですが、これが均等でいくのかどうか。
    桂委員
    何かここだけ非常に各論のところでポコッと浮き出ているように見えたんです。5項目にまとめられて……。
    鹿嶋委員
    これが女性労働であれば均等待遇でいいと思うんですが、パートとやってくるとね、均等待遇だとはたして、それで行っちゃっていいのかなというふうな気がしているんですけどね。2番目の今の質問は、さっきの補足ですから、均衡待遇は別に議論する必要はありません。
    岩男会長
    では、順番に原委員、桜井委員、それから古橋委員という順番で。
    原委員
    今、消費者団体その他NGOの方々からのヒアリングというのをしなくていいのかなと。ヒアリングのときには、日本の政府の政策は、こんなところが足りないと言って文句をおっしゃるだけでなくて、今、鹿嶋委員がおっしゃったような観点で、何がNGOの立場から見て必要かということをおっしゃっていただくみたいな、そういうヒアリングを、この厳しい日程の中で何か工夫していただけないかと思います。
    桜井委員
    これまでに何人かの方からも趣旨としては出たと思うんですが、やはり、基本計画というのは、わかりやすさがすごく大事だなというふうに思いました。というのは、この基本計画が各自治体の男女共同参画推進計画にそのまま反映されるわけですね。自治体によっては、この11項目そのまま引き写しだったりということも多いわけです。ですから、文言というか、それが何を意味しているかというのが、すごくわかりやすいようにやっていただきたいと思うんです。
     具体に申しますと、例えば、3番で「雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保」というようなタイトルがあります。そうしますと、これを自治体が男女共同参画推進条例などに反映させます。それを受けて、今度は私どものような男女共同参画センター、女性センターのようなところで、それの事業をやるとして、女性に対しての就業支援事業をやっていくとする。そうすると、ここに書いてあるじゃないか。就業支援事業に男性も入れるようにと。男性の失業者もすごく多くなっているから、女性だけを対象にした就業支援事業というのはおかしいじゃないかというような議論がすりかわって出てくるんですね。そういうのが女性センターか、男女共同参画センターの館長会議なんかに行くと、そこでもう出てしまうような議論になってしまうんですね。これは男女共同参画というふうに書いてある、この意味はどういうことなんだ、雇用の分野における男女共同参画というのは、どういうことなんだというのがはっきりわかるように、表現していかなければいけないんではないかというふうに思います。
     健康のところもそうなんですけど、「生涯を通じた女性の健康支援」となっているんですけれども、ここのところは、こういう「女性の健康支援」というふうにしっかり書いていただいて、すごくよかったなというふうに思います。しかし、ある自治体の共同参画推進条例を見ますと、生涯を通じた健康支援、男女の健康支援というふうにすりかわっちゃって、すりかわっちゃってというのはおかしいんですけれども、そうしますと、男性、女性も一緒にテーマにしていく。そうすると、男女共同参画でやるのか、福祉のところで、あるいは衛生分野でやるものと、何か見分けがつかなくなってしまうというか、はっきりしなくなってしまうというようなところがありますので、やはり、わかりやすく、ここが意味しているものは、こういうところだというのがわかるような表現が必要だなというふうに思っております。
    岩男会長
    その関連で昨日、平山新潟県知事が参画会議の議員をいらっしゃるんですけれども、平山知事が地方に行くとどういう状況かという御説明がございましたので、また、そういうような御経験を参考にさせていただきながら、今おっしゃったような点を踏まえていった方がよろしいというふうに思います。古橋委員。
    古橋委員
    私が今申し上げたかったことは、そのことなんです。平山さんが計画の内容をいいものをつくるのも大切だけれども、その後の運営体制というものが非常に重要だと言われました。大切なことは、実際に現状がよくならないといけないのではないのかということです。現実に今バッシングが起きていて一番困っているのは、地方公共団体の関係者なんです。そういうようなことで、その中でもう一つ考えなければいけないことは、市町村が合併をしておる。前回と違うのは市町村合併あるいは農協合併、いろんなことが行われている。そういうものが実際に男女共同参画を推進するときに、どういうふうな影響があるのかなということです。例えば、苦情処理の問題、あるいは行政相談、そういうようなときに、どういうふうに影響があるかなというようなことをもう一回よく検討して、市町村行政を行うときに、やりやすいような形での計画を検討してあげることが必要だと思います。計画というのは、政策の内容を明らかにするということのほかに、推進体制ということが一つの大きな柱になりますから、現状が変わってきているので、計画の推進体制、特に地方公共団体における計画の推進体制というものが、どういうふうに変わって、どういう点に配慮したらいいかというようなことをやっぱり勉強していく、そしてある程度計画に書く必要があるのではないかなというふうな気がします。
    五條委員
    この基本計画が男女共同参画社会のあるべき姿を示すということと同時に、やはり現場で起きている運動と、どういうふうに結びつくかという課題が非常に大事だと思うんです。その運動に結びつけるためには、例えば、この11の各分野の現場において取り組んでいる課題の中で、何が今、キーワードになっているのか、そのキーワードをできるだけ落さないように基本計画に盛り込むということをしっかりとやっていくことが大事だと思うんです。そうしたキーワードというのは、いろいろなものがあるんですけれども、本当に現場の取組を喚起して、励ますようなものでなくてはいけないというふうに思うんです。
     例えば、私は農林関係のことを普段やっておりますので、一つの例なんですけれども、家族経営協定という言葉があります。これについては前回の計画で入らなかったという経過があるんですけれども、この家族経営協定というのは、最も端的に農業分野における男女共同参画の在り方を指し示すものです。
     協定には、経営の目標だとか、あるいは就業条件だとか、あるいは生活条件なんかも含め文章化しますので、農村の中で、従来の慣行とか、因習で真っ正面から女性の方が言い出せないことも自然体で議論できる。そういうことで、ぜひそれぞれの分野において、何が焦点になるキーワードなのか、突き詰めるとどういうキーワードを基本計画の中で外さないかということをはっきりさせていくことが重要ではないかというふうに思います。
     この家族経営協定につきましては、ジェンダー視点に対して敏感な、そういうことについての項目にも非常に関係がありますし、今、農業界がこれを発信することによって、ほかの例えば、自営業者の業界の人も、それを共感を持っていただいております。
    岩男会長
    大変わかりやすい御説明をいただきありがとうございました。広岡委員。
    広岡委員
    ちょっと感じることだけ。二、三年前に新潟県のある自治体で条例をつくったんですね。そのときに女性に対する暴力というのを入れようとして議論していたら、自分たちの地域では、例えば、お姑さんやお姑さんからお嫁さんに対する暴力といいますかね、有形無形の、そういうのがあって、こういう概念では地域の実情にそぐわないんじゃないかというので、なるほどそういえばそうだなと思うんですが、女性の対する暴力という括りとうまく整合しないので、結局、家庭の中の暴力という言葉で条例の中に入れたという経緯がありました。児童虐待にしましても、ついこの間も新聞報道があった高齢者虐待の問題にしても、家庭の中で起こる暴力、女性に対する暴力というのと大分括りが違うんですけれども、これは少しキーワードづくりの上で、ちょっと考える値打ちがあるのではないかなと思います。
     それから、あと2点申し上げたいんですが、一つは、次世代育成支援の行動計画も来年の3月末までにつくらなければいかんというので、今、自治体で随分取り組んで、私も委員をやっている自治体があるんですが、伝え聞くところによると、肝心要であるはずの子育て世代の男女、特に女性の、例えば、子どもを育てているお母さんの対象みたいな方が協議会に本当に少ないんです。場合によると誰も入っていないみたいなことがあったりしまして、次世代育成支援というか、子育てというか、それと男女共同参画が相変わらず、ちゃんと足並みがそろうのか、逆に女性が社会進出しているから子どもの数が減っちゃうんだみたいな、そういう逆の方向のベクトルも働いていて、やはりきちっと足並みがそろうような形でやっていかなきゃいかんというのを痛感しています。今、次世代育成支援というのは、そういう面では男女共同参画の視点に立つということをきちっとやっていく非常に重要なときなんじゃないかと思います。
     もう一つ、娘が農業をやっているものですから、先ほど家族経営協定の関係で、もちろん家族経営協定は大事なんですね。キーワードとして掲げていかなければいけないことなんですが、同時に単身で女性が農業をやっていますと、いろんな補助金だのなんだのというときに、いつも後回しにされるという傾向があるんですね。何も我が娘の話を申し上げているというわけじゃないです。農業やっているというと、大抵、あら農家にお嫁に行かれたんですかという話がしょっちゅう出るぐらいで、せっかく助成をしても、どうせ結婚したら農業をやめるんでしょうとか、ほかのところに行くんでしょうとかという頭が恐らくおありなんだろうと思いますね。だけど、農家にお嫁に行くことと、農業をやるということとは、本来、全く別な問題でありますから、そういうことも、やはり含めて考えていかなければいけない状況だなということをつくづく痛感しました。
     私は農業の大変な応援団で家族経営協定をぜひ進めていただきたいと思いますが、同時にまた、独身女性もお忘れなくということですね。これはちょっと自分に絡み過ぎてよくないんですけど、そういうことを思っております。
    岩男会長
    次世代育成行動計画、私は小田原市のを手伝っているんですけど、随分違いますね。小田原なんかは本当に若い人が中心になっていて、自治体によって随分温度差があるということですね。
    広岡委員
    全然入っていないところもあります。
    山口委員
    公募枠はあるんですか。
    広岡委員
    もちろんあります。
    岩男会長
    ほかに、竹信委員、それから佐藤委員。
    竹信委員
    今のお話を大体伺っていますと、私も取材の現場で実感することにもつながるんですけれども、男女共同参画という言葉だけは、かなり広まったということなんですけれども、多分、実働部隊がほとんどついてきていないので、そのすき間に言葉の誤解とか、さまざまな曲解が浸透してしまったという現状なんだと思うんですね。実際、本当は男女共同参画というのは、さっき独身の方とか、それから弱っちい男の子とか、それから農家の方とか、いろんな一般の方でニーズがある人はたくさんいるのに、そこのところに全く届いていないというのが今の問題点だと思いますので、どういうニーズがあるかということをもう一度拾い直していくという作業が、この過程で必要だということが一つ。その一環として、さっきNGOのヒアリングをしたらいいんじゃないかということが出てきましたし、それから、自治体の担当者の方、それから農業改良普及員の方でこういう問題をすごくやっていらっしゃる方とか、みんな点で孤立させられて、サポートがなくて曲解と誤解に攻めまくられているのが、多分、今の現状なので、そういう方たちのヒアリングをして、何があればもうちょっと良くなるのかということも合わせてやっていけると、ちょっと短い時間ですけど、いいかなと思いました。
    岩男会長
    それではお待たせしました。佐藤委員。
    佐藤委員
    先ほど出た次世代保護との関係なんですけれども、来年の4月1日施行で10年、時限ですけれども、次の5年間の基本計画とも重なるわけですよね。前回のときにはフレームはなかったわけで、やはり、あの中に働き方の見直しとか、子育て支援をどうするか、重要なこちらとしても欠かせぬものがあって、特に行政分野での女性の参加なんていうことを考えると、各府省がどういう特定事業主行動計画をつくるか、自治体や地域でということで、どういう行動計画をつくるということがあるので、それをどこかで話を聞けるんだろうか。今後、それぞれ府省なり自治体は、特定事業主行動計画を公表しなきゃいけないわけですよね、企業のと違って。ですから、我々の基本計画を考えるときでも、少しどこかでヒアリングをしておいてもいいのかなと思ったんですけど。
    岩男会長
    そうですね。括りの中に入れておいていただくというようなことで。実はまだまだ御発言があると思うんですが、一応、私が伺ったスケジュールでは大体予定された時間というのを過ぎておりますけれども、大変活発な御議論をいただきましてありがとうございました。
     次回以降は資料8のとおり、関係府省のヒアリングを行うことにして、大体、年内概ね月2回のペースという、大変お忙しい方には厳しい状況を強いることになりますけれども、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
      それでは、事務局から何かございましたらどうぞ。
    定塚推進課長
    会長からただいま御説明がありましたとおり、資料8の方でスケジュールを示しておりますので、よろしくお願いいたします。次回の会合は10月29日の10時から12時まで、こちらの経済産業省の会議室において開催をいたします。会議室の番号はまだ決まっておりません。正式な御案内はまた別途通知させていただきますので、よろしくお願いをいたします。
     なお、机にあります参考資料というものを、毎回机の上に資料を置かせていただきます。 一応、会議終了後回収と書いてございますが、お持ち帰りになりたいという方は事務局の方にお申し出をいただければお渡しいたしますので、よろしくお願いいたします。
    岩男会長
    それから、これをお配りいただきましたけれども……。
    定塚推進課長
    失礼いたしました。先ほどお話に出てきました「少子化対策に関する政策評価」につき、昨日の参画会議で総務大臣から御紹介があり、こういった評価も踏まえて検討してほしいというお話がございましたので、一言御紹介をさせていただきます。
    岩男会長
    それでは、これで第1回の男女共同参画基本計画に関する専門調査会の会合をおしまいにしたいと思います。お忙しい中、大変ありがとうございました。

(以上)