監視・影響調査専門調査会(第39回)議事要旨

  • 日時: 平成21年7月31日(金) 15:00~17:30
  • 場所: 内閣府3階特別会議室

(開催要領)

  1. 出席委員:
    • 監視・影響調査専門調査会:
    • 鹿嶋会長
    • 大沢委員
    • 岡本委員
    • 勝又委員
    • 神田委員
    • 潮谷委員
    • 袖井委員
    • 橘木委員
    • 畠中委員
    • 山谷委員
    • 横田委員
    • 生活困難を抱える男女に関する検討会:
    • 阿部委員
    • 小杉委員
    • 桜井委員
    • 白波瀬委員
    • ※生活困難を抱える男女に関する検討会と合同開催
  2. 議題
    • (1) 平成20年(度)男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての苦情内容等及び男女共同参画に関する人権侵害事案の被害者の救済制度等の把握について
    • (2) 就業構造基本調査 国民生活基礎調査 特別集計結果報告
    • (3) 「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」最終報告に向けた論点のとりまとめ
  3. 議事要旨

■平成20年(度)男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての苦情内容等及び男女共同参画に関する人権侵害事案の被害者の救済制度等の把握について事務局から説明。

  • 資料1-2の国に寄せられた苦情処理件数の表のうち、11番目の「地球社会の平等・開発・平和への貢献」について、どういう苦情をピックアップしたのか、また、どういう位置付けか。この表記だと日本からの国際社会への貢献というイメージにとらえられ、男女共同参画との係わりが分かりにくいので、説明を加えた方が良い。
    →男女共同参画基計画に規定されているカテゴリーに基づいており、女子差別撤廃条約選択議定書の早急な批准についての要望がほとんど。
  • 資料1-2の3(3)の専従担当者数は、平成15年から統計を取り始めて以降、固定的なのか、あるいは常勤職員が増えてきているのか教えていただきたい。と言うのは、平成15年、16年まで苦情総件数は高いが、17年以降は横ばい状態であり、専門性と係わりがあるのか伺いたい。
    →平成15年度からの推移については、追って報告。なお、昨年度と比較すると、ほとんど変化がない。
  • 資料1-3の都道府県・政令指定都市で、苦情処理申し出件数が0の場合、制度や仕組みはあるが機能していないと考えた方が良いと思う。また、横浜市の場合、0件と報告されているのは何か理由があるのか。
    →直接の担当者へ苦情が行き、男女共同参画担当へは届いていないとも考えられるので、確認し、追って回答。
    →8月11日、横浜市から回答あり、配付資料を訂正するとともに、各委員へ報告。

■特別集計結果報告

<就業構造基本調査 白波瀬委員 「ひとり暮らしとひとり親世帯の経済リスク」>

  • 「高い経済リスクを抱える層」として、ひとり暮らし世帯、ひとり親世帯に注目して分析した。
  • ひとり暮らしの貧困率は、どの年齢層でも女性は男性に比べて高く、15年前と同様の傾向である。
  • ひとり親世帯について、子どもの経済的リスクの観点から見ると、ひとり親世帯にいる子どもの貧困率、特に子どもが10代で一人親世帯にいる場合の貧困率が高い。就学の状況についても15~20歳をみると、ひとり親世帯では二人親世帯に比べて就学率が低い。
  • 母子世帯の母の就業について、非正規での就労率と無業率は年齢によらずほぼ一定で、配偶者のいる女性が年代とともに無業から非正規就労へと移行していくのと対照的である。
  • 日本の場合、母子家庭の母の就労率は高いが、就労の有無による貧困率の差はほとんどない。日本においては、母子家庭の母の就労の貧困回避機能は国際的にみても非常に低い。

<就業構造基本調査 小杉委員 「若い・高卒女性の非正規化の課題-キャリア形成」>

  • 若年の女性で非正規雇用が増加していることから、若年層の非正規雇用をめぐる男女差に注目して分析を行った。
  • 世帯収入が学歴を規定する傾向がある。2002年と2007年の2時点間では全般的に高学歴化が進んだが、年収が低い世帯における女性の高等教育卒業者の比率が伸びていない。世帯年収により女性の学歴の格差が広がったと推測される。
  • 初職の正社員比率は学歴が低いと低くなり、特に女性でこの傾向が強い。高卒以下の女性の正社員市場が非常に小さくなっている。
  • 正社員と非正規社員の時間当たり収入は非正規社員のほうが低く、特に高卒女性では年齢が高くなっても時間当たり賃金が高くならない可能性が高い。
  • 非正規から正社員への移行は、2007年では5年前よりその道が太くなっているが、年齢、学歴で差があり、女性の若年かつ低い学歴の層は取り残されている状況がある。
  • 雇用形態の違いと結婚との関係をみると、男性では非正規社員の場合に結婚していない傾向が強い。離婚は、初職がパート・アルバイトであった人で多いという傾向がある。正規就職をしないリスクはこのようなところにも現れている。

<国民生活基礎調査 阿部委員>

  • 年代別で貧困率が高いのは高齢者、子ども世代、勤労世代の順。ただし1995年と2007年の2時点間で貧困率を比較すると、高齢期では横ばいか低下、若年期は上昇している。
  • 高齢者でも働いているのに貧困という現象が見られる。特に女性でその傾向が高い。
  • 雇用形態別ではパート・アルバイト、派遣、契約・嘱託という非正規雇用での貧困率が高いが、特に男性の非正規雇用の貧困率は女性の非正規雇用の貧困率よりも高くなっている。
  • 配偶関係別で1995年と2007年の2時点間で貧困率を比較すると、有配偶の場合は男女とも横ばいか下がっている一方、未婚や離別、死別など有配偶でない場合の貧困率は概ね上昇している。特に男性は、勤労世代の未婚の場合の貧困率が未婚女性を上回り、離婚の場合の貧困率も、高齢者、勤労世代でともに上がるなど、男性にも配偶関係の影響がみられるようになってきている。

■「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」最終報告書に向けた論点のとりまとめについて事務局から説明。

【報告書に盛り込むべき事項】

  • 都道府県・政令市における指定管理者制度で、効率性が重視され、安い賃金で専門的な人が仕事をしているという状況がある。効率性だけでなく、専門性をもう少し重視した運営が必要。
  • 男女別データの取得・分析をさらに進めることが必要。今後、監視・影響調査機能の強化の1つの手段としてもう少し深い議論をしていきたい。
  • 母子家庭の母やニートの女性に対して行っている就業支援事業について、施策はあるけれども機能しきれていないという面がある。対象者に着実に届くきめ細かな支援が必要。
  • 雇用の正規と非正規の間に格差があり、乗り越えられない壁がある。初職が後々まで影響してしまう労働市場が我が国の特徴。それにどうやってかけ橋をかけるか。職業訓練政策が大事だと思うが、現状では機能しきれていないというのが問題。
  • 現代の日本の社会における性別役割分担意識が、女性の生き方あるいは女性の考え方を非常に拘束していると同時に、男性にもかなりプレッシャーがかかっている。
  • 効率性が重視される中で、賃金が安くなり、その影響が特に母子家庭などに及んでいるのではないか。また、景気が良くなり、まず先に恩恵があるのは恵まれた人たちで、不利な状況を抱える人たちは最後という傾向がある。それを考えると、まずは緊急的な支援が必要であり、その一方で労働市場自体の見直しなど根本的な議論をしていかなければならない。それを提起できる報告書になればよいのではないか。

(以上)