- 日時: 平成16年7月1日(木) 13:00~15:00
- 場所: 内閣府5階特別会議室
(開催要領)
- 出席委員
- 会長
- 大澤 眞理 東京大学教授
- 会長代理
- 岡沢 憲芙 早稲田大学教授
- 委員
- 浅地 正一 日本ビルサービス株式会社代表取締役社長
- 同
- 木村 陽子 地方財政審議会委員
- 同
- 佐藤 博樹 東京大学教授
- 同
- 高尾 まゆみ 専業主婦
- 同
- 橘木 俊詔 京都大学教授
- 同
- 永瀬 伸子 お茶の水女子大学助教授
- 同
- 林 誠子 日本労働組合総連合会副事務局長
- 同
- 福原 義春 株式会社資生堂名誉会長
- 議題次第
- 1 モデルケース・ワーキングチーム研究について
<報告者>永瀬 伸子委員 - 2 「ライフスタイルの選択と雇用・就業に関する制度・慣行」についての報告取りまとめについて
- 3 その他
-
(配布資料)
- 資料1-1
- 「ライフスタイルの選択と雇用・就業に関する制度・慣行」についての報告(案) [PDF形式:593KB]
- 資料1-2
- 同 資料編 表紙・目次 [PDF形式:28KB] 資料1~40 [PDF形式:1000KB] 資料41~80 [PDF形式:655KB] 資料81~106 [PDF形式:645KB]
- 資料2
- 男女共同参画会議影響調査専門調査会「ライフスタイルの選択と雇用・就業に関する制度・慣行」についての論点整理に関する意見募集の結果 [PDF形式:569KB]
- 資料3
- 税制・社会保障制度を巡る主な動き [PDF形式:1260KB]
- 資料4
- 第27回影響調査専門調査会議事録
- 資料5
- 永瀬伸子委員説明資料 [PDF形式:328KB]
- 1 モデルケース・ワーキングチーム研究について
- 概要
(1)永瀬委員からモデルケース・ワーキングチーム報告について説明があり、これに基づいて次のような議論があった。
- 先日の橘木委員の報告、今回の永瀬委員の報告のエッセンスを今回の報告の内容に盛り込むことは可能か。
- 各省との関係もあり、調査会報告の本文に織り込むことは難しい。各委員の報告という位置づけで、参考資料とも違う別の資料として処理するなら可能性がある。
- その場合は、各省にも特に折衝する必要はないのではないか。
- 報告の参考資料でもないので、そのような整理は可能だ。
- その場合、本文だけだと分かりにくい。2ページ程度の概要を収録したい。平成14年報告書の中間報告でも、本文・参考資料の後に境界線の赤紙を敷いて、資料として概要を掲 載した前例がある。橘木、永瀬両委員には概要版の作成をお願いする。
(2)事務局から報告(案)について説明があり、これに基づいて次のような議論があった。
- 文末の表現を断定形にしたというが、表現ぶりが様々で一定しない。表現に約束やルール・強弱のレベルなどがあるのか。
- 例えば、「必要である」であれば最も強い表現となる。そこまで言えなければ、「重要である」や「望ましい」となり、さらに弱くなれば「側面がある」や「意見がある」など。すべて断定形にして各省と調整していく中で、表現ぶりに差が出てきている。
- P68の短時間公務員の定数管理についての提言は、「検討に値する」となっており、そのレベルは相当低いということになるのか。
- 法律事項であり、難しい問題であることは事実。「検討に値する」と書くだけでも大きな課題を提示したことになる。また、短時間勤務の導入自体は「望ましい」としており、制度定着のための手法の例として挙げたもの。他にも選択肢があるかもしれない。
- これを本当にできれば効果は大きい。社会保険料の負担にまで、この考えは波及する。書くなら強く書いた方が良く、この提言が根本の流れを作るかもしれない。
- 定員管理は非常に難しいが、「検討」は行われる必要がある。
- 報告書の性質として客観的、評論家的な書き方とせざるを得ない。しかし、各委員が同意するなら、書く場所を変えるとか、もっと強く書くということもありうる。
- 「政策の方向性」なのだから、強いものがほしい。
- 短時間勤務の導入を「望ましい」と、かなり強く書いている。そのためには制度の枠組みを見直す必要があるが、もしかしたら他のやり方もあるかもしれない。現行法のままでは難しいので、書きぶりはこの程度で良い。
- この箇所は報告書の一つの目玉であり、突出した書き方をしてすべて削除するよう求められては元も子もない。「検討」が入った書き方で良いのではないか。
- 会長の意見と同じ。今後、アウトソーシングも増え、定員管理自体が難しくなってくる。短時間勤務と定員管理を結び付けない方がすっきりするかも知れない。
- P75のウ、2番目の「・」で「被扶養配偶者~基本的認識の下」まで私が加筆した。これは、改正年金法概要で「3号被保険者期間の厚生年金の分割」で使われた文言をそのまま使った。平成14年の報告で我々が行った提言は所得分割制度の導入だったが、今回の年金改革で離婚時については2号・3号間、2号・2号間ともに分割が認められた。残る課題としては、婚姻継続中であっても認められることで、それがP75に書いた最後の3行だ。婚姻継続中の分割については2号・2号間の分割まで言い出すと収拾がつかなくなりそうなので、まず3号被保険者期間について示された基本認識を根拠に、婚姻継続中でも2号・3号間の分割が適用されるべきとする。それを突破口に、婚姻継続中の2号・2号間の分割にも進むのではないかとの趣旨。2号間分割を実現するためには相当ハードルが高い。それを超えるためのステップが必要と理解している。
- 報告書に書くのはいいが、個人的には反対。本当に被扶養配偶者と被保険者の共同負担が「基本的認識」なのか、疑問だ。
- 様々な議論があったが、法律に書き込まれている。我々の要請としては、まず婚姻中にも適用されるように、そして所得分割の突破口になれば、ということ。
- 2号・3号間なら分割されるが2号間は分割されないということになれば、女性の就労には抑制に働き、制度として問題があると考えている。現実として男女の収入格差があるので、分割は結果としての平等には資するだろうが。
- 所得分割の制度があれば、遺族年金が必要なくなる人が増え、共稼ぎ・片稼ぎの格差解消につながる。今回は老齢厚生年金の分割だけだが、遺族年金についても、自身の老齢厚生年金の全額受給した上で従来の遺族給付との差額を遺族厚生年金として支給する仕組みに改められた。当面は給付総額は変わらないものの、考え方がこのように変わったことは評価できる。この調査会としては、現行制度を前提にした上での手直しについてどれだけ言うかという配慮も必要。
- 3号被保険者の見直しについてP75(3)には書かないのか。
- 分割によって就労調整として3号に誘導するおそれがあることを書くべき。
- 離婚時には2号・2号間の分割も可能となったので、婚姻継続中について分割できないという技術的理由はない。厚生労働省は共済年金は2階部分と3階部分が一体となっているので、厚生年金と共済年金の分割は計算が煩雑となるとしているが、いずれは婚姻継続中にも及ぶと期待している。また、平成14年の報告では、保険料負担を求めることも含め、3号被保険者の見直しについて、具体的には言っていない。具体論は、所得分割等、別項で述べている。短時間勤務への厚生年金の適用は先送りされたが、条文としては入っており、離婚時の年金分割も入っているので、既に第3号被保険者制度の部分的見直しが行われていると見ることができる。3号被保険者制度が今後も残り続けることを前提に見直すべきと言い続けるのか、この機会により合理的な制度を提言するのか、どちらがよいかは判断が分かれるかもしれない。
- 基本認識として、3号被保険者制度には就業調整問題が残るため、「残された課題」に入るのではないかと個人的には思う。
- 前回報告書では何をどこまでどうするか言っていないので、書きづらい。
- 就業調整問題として、P73(3)アと同様の文言を入れることは可能かもしれない。
- 税金の壁(103万円)の方が年金(130万円)より下にあり、年金だけで就業調整問題が生じると実証できるか疑問。
- P75で婚姻時の年金分割について入れることは厚生労働省案の復活を意味するのか。3号で分割されていた人が2号として働き出すと、多くの場合自分の年金が減ることになる。ゆえに3号期間に限らず、2号期間を含めた夫婦合計の年金権の分割を可能にしないと歪みが起こる。
- 離婚時は2号・2号間でも分割できるが、婚姻継続中は2号・3号間のみしか分割できないというのは、合理的には説明できない話ではある。もちろん、離婚時だけに限定されないのが我々の提言だが、それに半歩でも近付く道ではある。
- 団塊の世代は納得しやすいが、若い世代の理解が得られるか。
- あまりにも今回の改革案に引っ張られている。就業調整、個人の意思決定への影響という面から書くべき。
- 3号被保険者制度が単独で就業調整問題に与える影響については分析しきれていない。
- 例えば、国家公務員では130万円未満が配偶者手当の支給要件となっており、一つの調整ポイントであることは言える。
- P29、正社員「等」とした方がよい。
- 「専業主婦」の定義はあるのか。
- この報告書ではその言葉を基本的に使っていない。P7に「 」つきで使っているが、これは個人単位化や中立化が専業主婦バッシングだとの批判があることへの説明の部分。一般には、3号被保険者と重ねて使われることが多い。3号被保険者は多少収入があっても、意識の在り様は専業主婦(無収入の妻)に近いと言われている。
(以上)