影響調査専門調査会(第19回)議事要旨

  • 日時: 平成15年4月11日(金) 14:00~16:00
  • 場所: 内閣府第3特別会議室

(開催要領)

  1. 出席委員
    会長
    大澤 眞理 東京大学教授
    委員
    浅地 正一 日本ビルサービス株式会社代表取締役社長
    岡沢 憲芙 早稲田大学教授
    君和田 正夫 株式会社朝日新聞社専務取締役編集・出版担当
    木村 陽子 地方財政審議会委員
    高尾 まゆみ 専業主婦
    林 誠子 日本労働組合総連合会副事務局長
    福原 義春 株式会社資生堂名誉会長
    八代 尚宏 社団法人日本経済研究センター理事長
  2. 議題次第
  3. 概要

    ○はじめに、事務局から、<1>影響調査専門調査会の課題等、<2>中間報告(昨年4月)への意見等と報告における対応状 況等、<3>影響調査事例研究ワーキングチームによる作業経過報告等について説明があった(資料1、2、3)。これに基 づいて次のような議論があった。

    大澤会長
    今回は影響調査専門調査会の議論を支援するための2つのワーキングチームのうち、事例研究のワーキン グチームの作業経過報告をした。もう一つのモデルケース・ワーキングチームについては、全国消費実態調査の個票 データを使用した作業結果を夏休み前に報告でききればと考えているが、多少遅れるかもしれない。
    なお、影響調査専門調査会の報告について、実際には再就職の際に正社員という選択肢そのものがないのではないかと いった声もある。
    君和田委員
    事例研究ワーキングチームの検討経過報告のうち、千葉県の例について、この調査会の検討対象になる のか。統計の取り方にそもそも問題があるということではないのか。
    大澤会長
    男性と女性では状況が違っていることをわかりやすく統計的に把握し、それを施策の立案等において踏まえ た例ということで、あくまでワーキングチームの参考例である。
    君和田委員
    マーケット原理が働いてくるのではないか。
    事務局
    今まで気が付かなかったことが見えると、新しいビジネスもありえる一例。なお、効果的な手法を開発するため の事例研究の事例一つとして取り上げたということであり、性差を考慮した医療を当調査会で個別に議論していただきたい という趣旨ではない。
    浅地委員
    男女を問わず、有料ボランティア、国を超えてのボランティアなど、ボランティアの位置付けも必要ではない か。

    ○次に事務局から、資料3の手法を雇用システムに適用するとどうなるかという観点から雇用システムを中心とする主な 選択肢の例と関連データについて説明があり、次のような議論があった。

    八代委員
    生涯未婚率の男女の乖離が大きいが、離別をどう扱っているのか。また、第3号被保険者比率と世帯類型別 の世帯数を同時に把握することも必要ではないか。
    君和田委員
    業務委託と派遣社員とは実態上区別がつきにくいが、派遣元では正社員扱いになっているのではないか。 そうした業務委託はパートと異なり、すぐに代替できるので数も増えているのではないか。
    浅地委員
    警備業、ビルメンテナンス業等は必ずしも請負とはいいにくい状況にあったがその後、派遣業法に定められる ものが派遣、それ以外は業務委託、請負という形になったという経緯がある。
    君和田委員
    それらの人々も正社員扱いではないのか。
    大澤会長
    ここでは、正社員等の定義を「勤務先でどういうふうに呼ばれているか」とする統計調査を使用した。従ってい わゆる正社員のような待遇を受けていなくとも雇用元の会社では正社員と呼ばれている人の数は多目に出ているかもし れない。今後正社員と非正社員の区別の意味がないような状況になるかもしれないことも念頭に置いている。
    八代委員
    人事部が把握しているのが正社員でそうでないのが非正規という捉え方もある。
    福原委員
    実際に正社員と非正社員の区別をすることは難しい状況になってきている。
    当社には身分証明としての社員証は一切ない。
    木村委員
    離職理由として結婚が依然として多いが、なぜ結婚すると離職するのかの分析も必要ではないか。
    高尾委員
    母親の就業状況別に父の育児・家事の状況を見ているが、女性と男性の稼得が同じくらいであれば、家事や 育児、地域活動を同等に共有しているのではないか。また、理想の子供数は先進諸国と比較して低いのか。
    大澤会長
    平均値を見ているのと、分布を見るのとではイメージが異なるということもあるかもしれない。

    ○最後に全体を通して議論が行われた。

    林委員
    今後の影響調査専門調査会は、今回説明があったもののうち、雇用システムを軸に議論していくということか。
    事務局
    その予定である。
    大澤会長
    年金についても改革スケジュールに合わせて、当調査会でさらに議論を進める必要もあるのではないか。ま た、中間報告をまとめ意見募集をした方が多くの意見をいただける。
    高尾委員
    雇用システムの議論を進める際には、コミュニティビジネス等今までの範疇にない働き方で女性が再チャレ ンジをする際の問題にも目を向けて議論をしていただきたい。
    大澤会長
    コミュニティビジネスにチャレンジをすることは、ライフスタイルの一つの選択肢だと思うが、そのような選択が しにくい社会制度や慣行があるかどうかを検討するのがこの調査会の任務ではないか。また、雇用システムは労使自治 の問題ではあるが、機会の均等などについてもっと提言すべきという有識者の意見もある。
    林委員
    雇用システムが労働行政という仕組みの中で議論されていく中に、当調査会の議論をどのように反映させていく かも意識的に考えていくべきではないか。

(以上)