第27回男女共同参画会議影響調査専門調査会

  • 日時: 平成16年3月1日(月) 14:00~16:00
  • 場所: 内閣府5階特別会議室
  1. 出席者
    • 大澤 会長
      岡沢 会長代理
      大沢 委員
      木村 委員
      佐藤 委員
      高尾 委員
      橘木 委員
      永瀬 委員
      林  委員
  2. 議事
  3. 議事内容
    大澤会長
    それでは、時間もまいりましたので、ただいまから男女共同参画会議影響調査専門調査会の第27回会合を開催いたします。委員の皆様におかれてはお忙しい中、また本日は足下が悪い中を御参加いただきましてどうもありがとうございます。お手元の議事次第に従って本日の審議を進めさせていただきます。
     本日は、3月中に予定している論点整理に向けた議論をいただきたいと存じます。事務局から本日の議論のため、各委員の御意見を踏まえ、論点整理(案)を作成しております。 まず事務局から論点整理案についての御説明をお願いします。
    参事官
    それでは、お手元の資料1-1の論点整理(案)をごらんいただきたいと思います。こちらの論点整理(案)ですが、前回論点骨子について御議論をいただきまして、その際出されました委員の御意見、それからその後に追加でいただきました委員の御意見を踏まえまして、事務局の方で肉付けをしたものでございます。
     なお、委員からの追加意見については、本日資料の最後から2番目ですが、委員のみ配布ということで資料を配布してございます。今回御説明はいたしませんが、またごらんい ただければと思います。
     この案でございますが、関係省庁の方には事前協議という形で協議をいたしております。その結果を踏まえて盛り込んだ意見もございますし、まだまだ未調整で協議中という部分もございます点を御理解いただければと思います。では、説明をさせていただきます。
     まず1ページは「はじめに」ということで、「影響調査の意義」を書いてございます。こちらは本調査会の以前の報告書を踏まえてつくっているものですので、説明の方は省略させていただきたいと思います。
     次に、3ページをごらんいただきたいと思います。「2.これまでの経緯」ということで「本調査会の設置」、それから前回報告書で平成14年12月に税制社会保障雇用システムに関する報告を出したということを書いてございます。前回報告書においては、今後より雇用システムに力点を置いて、ライフスタイル選択への中立性の観点から検討を進めていきたい。なお、税制や社会保障制度についても「今後政府部内で改革案等の検討が進められていくため、引き続き、必要に応じ検討を加えていくこととしたい」とされたところであります。
     次の「3.本調査の視点」でございます。本論点整理においては、男女共同参画社会の形成の観点から、社会におけるさまざまな就労形態と、それに関する政府の施策・制度及び賃金制度を始めとする社会の制度・慣行を取り上げております。
     調査の視点は前回の報告書と同様、まず「個人のライフスタイルの選択に対する中立性の確保」に中心を置いています。これは税制・社会制度、賃金制度等の社会制度・慣行がライフスタイルにどのような影響を与えているかを解明し、中立性を確保することが男女共同参画社会形成の一層の進展につながることと考えているからです。
     なお、今回の調査では前回視点としておきました中立性の視点に加えまして、政府の施策・制度については広く男女共同参画社会の形成への影響に視点を広げまして検討を行っております。この男女共同参画社会の形成に影響を及ぼす施策というのは、簡単に言えば政府の施策のかなり大部分と言っていいと思いますけれども、積極的改善措置を始めとした男女共同参画社会の形成の促進に直接関する施策と、それ以外の施策の両方を含んだものでございます。こうした施策全体について、男女共同参画社会への形成への影響という視点から、中立性のみではなく検討を行うこととしております。
     以上のような視点に立ちまして、以下のii章ではまずライフステージごとの就業スタイルの選択状況を希望と実態の対比形式で把握する。また、雇用、自営、公務といった就業形態別に制度・慣行につき検討するという構成にしております。
     更に、最後のiii章ではこれらを受けまして求められる政策の方向性について論点整理を行うということをいたしております。
     では、次に5ページをごらんいただきたいと思います。第ii章の「現状と課題」という項目でございます。ここで0.というのが適当なのかどうか、後で整理させていただきますが、全体の総論的なこととして「知識集約産業化が求める就業形態の変化」について書いてございます。すなわち、我が国においては90年代以降、it化の進展、国内生産の低迷や工場の海外移転の加速などを反映し、サービス産業化が進行したということです。
     (以下「0.知識集約産業化が求める就業形態の変化」朗読)
     以下、「1.ライフステージごとの就業スタイルの選択状況」ということで書いてございますが、こちらの方は前回の2月の調査会の資料に若干加筆修正したものですので、今日は説明を省略させていただきたいと思います。ライフステージごとの「進学と就業」、「学卒」、「ライフコース」、それから退職に至るまでの実態、希望というものを書いて問題点を摘出しているものでございます。
     恐縮ですが、17ページに飛んでいただきたいと思います。17ページ以下は、その前の1ではライフステージごとに切っていますが、ここでは、雇用、企業、自営業、その他の働き方と公務という就業形態別に現状と課題という形で整理をしているものでございます。
     「2.雇用」でまず(1)の「結婚・出産後の就業継続」ができるかという課題についてです。現状としては、結婚・出産後も就業を継続したいと考えて、実際に継続している女性は増えているけれども、一方でやむなく退職して中断する女性も多い。また、男性の育児休業取得率が極端に低く、子育て期の男性の多くは労働時間が長く育児に参加する時間が少ないという現状がございます。
     こうした現状に対して政府の施策あるいは社会、企業の慣行といったものがどのような影響を及ぼしているかということを見ていかなくてはならないわけですが、まずは影響を及ぼす可能性のある政府の政策とか、制度・社会的慣行といったものにはどういうものがあるのか。それから、課題があるものについてはどういう課題があるのかということを以下に書いてございます。
     まず「両立支援策」でございます。両立支援策としては各種保育サービス、育児休業制度、勤務時間短縮等の措置等があり、制度の充実が図られてきているが、就業継続を希望しつつも退職する女性の存在という点にかんがみると、これら両立支援策の定着が必ずしも十分とは言えない状況である。
     育児休業制度については、法律により労働者が権利として請求できるが、企業によっては就業規則に明示していない、労働者が知らない、職場の雰囲気として取りにくいという場合があると考えられる。
     保育サービスについては「待機児童ゼロ作戦」が現在実施されているわけですが、いまだに多くの待機児童が都市部を中心に存在している。また、量的な充足とともにサービス内容の充実も強く求められている。
     育児期には、柔軟な働き方により仕事と育児を両立したいと希望する男女も多く、法律上も短時間勤務、フレックスタイムなど、育児のための勤務時間の短縮等の措置を講じなければならないとされていますが、企業におけるこれらの制度の定着は必ずしも十分とは言えない状況にある。
     しかしながら、企業によってはこのような柔軟な働き方ができる企業が徐々に増えてきており、育児・介護に限らず広く一般的に短時間勤務を認めるという企業も出現している状況である。
     それから「結婚・出産退職等」ですが、結婚・出産退職を強いる職場の雰囲気が残る企業がいまだに存在すると見られるという点を書いております。これらについては、均等法違反として指導の対象となります。
     婚姻、妊娠、出産または産休を理由とする解雇もあるわけですが、こちらも均等法8条で禁止されております。
     労働時間ですが、平成10年の労働基準法改正時に「時間外労働の限度に関する基準」が定められて、年間で360時間、その他の規制が設けられているところでございます。
     年間の総実労働時間は減少していますが、パートタイム労働者を除いて一般労働者だけで見ますと、なお年間2,000時間を上回っているということで、特に若年・中堅層や大規模企業において、労働時間が長時間のものの割合というものがむしろ上昇傾向にあるということがございます。賃金不払残業の解消という問題もあり、取組が図られているところです。
     次に「(2)賃金その他処遇、雇用管理」ということでございます。これは、継続就業をしている女性でもこうした問題はどうなっているかという点について見ています。
     まず現状ですけれども、一般的には男性に比べ賃金格差があるということで、男女間賃金格差が正社員では男性を100とすると66.5という現実です。
     「影響を及ぼす制度・慣行とその課題」ということでございますが、賃金格差の要因は多種多様ですが、職階の差、勤続年数の差の影響が大きい。また、手当の影響もあるということでございます。
     次に、「賃金制度」についてでございます。
     (「賃金制度」朗読)
     次に、「家族手当・住宅手当」でございます。賃金のうち、家族手当や住宅手当といったいわゆる生活手当は、その多くが世帯主を対象として支給されているという実態が見られることから、賃金格差の一つの要因となっているということでございます。
     次の丸ですが、家族手当については就業調整を引き起こす原因ともなっており、中立的でない制度である。こちらは前回の報告書でも述べている点でございます。家族手当、住宅手当といった生活手当は、家計が厳しく公的社会保障システムが十分整備されていなかった時代に、企業がその雇用する労働者への生活の補助として始めたものであり、現在 においてはその役割は小さくなっているとも考えられる。世帯単位の考え方から、個人単位での賃金支給という考え方とも相容れるものではない。
     厚生労働省においては、賃金格差解消のためのガイドラインというものをつくりまして周知、啓発を行っていますが、このガイドラインの中でも家族手当、住宅手当等の生活手当については、「それが格差を生成するような支給要件で支払われている場合には廃止することが望ましい」と、記述をしているということがございます。
     それから、成果主義賃金等を推進する一環として、手当を廃止する例が実際に企業でも増加しているという実態がございます。
     なお、家族手当については労働基準法の規定により、時間外休日の割増賃金の基礎とならないとされているところでございます。また、賞与や退職金の算定基準から家族手当を除外しているという企業が、これは法律ではなくて企業の取扱いとして多く存在するところでございます。このため、賃上げ等の際に基本給ではなくて諸手当の引上げを行う方が、企業にとって負担が軽く、諸手当の増額につながっているのではないかという指摘がございます。
     次に、「男女同一価値労働同一賃金の原則」です。労働基準法4条において、女性であることを理由とする賃金差別的取扱いは禁止されております。国際的には同一価値労働同一賃金原則を実現することが賃金格差を縮小していく上で有効な手段であるとされており、ilo100号条約に規定されているように性差別のない賃金の実現を目指すものであります。
     男女間の賃金格差については、労働基準監督署が調査を行って、4条違反が認められる場合には是正を図らせているという措置をとっています。また、昇進昇格等の差別は均等室の方で所管しておりますが、こちらは均等室との連携を図っているということです。
     なお、労働基準法3条は男女間の差別というものを入れていないという点がございます。 それから、同一価値労働同一賃金原則の実現のためには、賃金の問題の前にある人事管理という問題がございますので、この人事管理についてガイドラインを作成し、周知、啓発を行っているということでございます。
     次に、「雇用管理面における問題」と書いてございます。賃金を離れて雇用管理面、特に「均等法の成果と残された課題」ということで書いておりますが、賃金、処遇の格差は雇用管理面の問題が大きな影響を与えている。
     次の丸は、均等法について制定の経緯、法改正の経緯を書いてございます。
     次の丸ですけれども、雇用の分野における間接差別については、何をもって間接差別と言うのか社会的合意が得られておらず、問題としている範囲も人により異なる状況にあるため、厚生労働省において現在研究会で検討を行っているということで、今年の春ごろをめどに報告書を取りまとめる予定になっております。
     それから、雇用管理面では均等法の遵守に加えて、積極的なポジティブ・アクションというものが重要でありまして、こちらの方も均等法の20条に基づきまして企業のポジティブ・アクションの具体的な取組というものが進められているところでございます。
     なお、地方公共団体によっては、条例において一定数以上の労働者を雇用する事業所は、事業所における男女共同参画推進状況を届け出るということを規定してございます。
     「コース別雇用管理」でございます。コース別雇用管理については、事実上の男女別の雇用管理となっているのではないかという批判が多くございました。それで、平成12年には厚生労働省で「コース等で区分した雇用管理についての留意事項」を策定して指導を行ってきている。しかしながら、いまだにこうした留意事項に反している企業があるのではないかということがございます。
     なお、女子差別撤廃条約の第4回・第5回報告に対する女子差別撤廃委員会最終コメントにおいては、このコース別雇用管理制度の在り方や運用について改正すべきという意 見が提出されているところでございます。
     次の「(3)再就職、パートタイム等」でございます。育児が一段落し、再就業希望者というものが出てきましても正社員の門戸が狭く、パートタイムとして再就職しても処遇が低いことが多い。また、正社員への転換制度を設けていない企業が多いということがございます。
     「影響を及ぼす制度・慣行とその課題」ですが、年功賃金の下では再就職しても離職で失った賃金上昇分をその後の昇給で取り戻す可能性は薄く、再就業に伴って配偶者の所得も扶養手当の減少などを通じて減少し、賞与や退職金等にも影響するということがございます。
     再就職をする場合に当たっては年齢制限というものが重要になりますが、募集採用の年齢制限においては平成13年雇用対策法の改正によりまして努力義務規定というものが置かれております。
     しかし、努力義務なので、まだ年齢制限を付している企業がいまだに多いのではないかという点がございます。
     次に「パートタイム労働等」でございます。家庭生活との両立等のために、短時間の勤務やフレックスタイム制など、柔軟な勤務形態で働くことを希望する者も多いわけですが、このような希望に応じて柔軟な勤務ができ、働きに応じた処遇を得られるということが望ましい。しかし、そのような職は少ないのが現状である。
     再就職した女性はパートタイム労働者となる者が多いが、パートタイム労働者の賃金は一般労働者の賃金に比べて相当に低い。
     パートタイム労働指針は平成15年8月に改正され、通常の労働者との均衡を処遇した処遇の考え方が具体的に示されるという進展がございました。パートタイム労働法とこの指針では、パートタイム労働者と通常の労働者を比較して均衡を考慮するということとされておりまして、この通常の労働者としてはフルタイムの雇用に期限の定めのない正社員というものが想定されております。しかし、パートタイム労働者と職務が同一の正社員が存在しない場合には、職務が同じ有期雇用のフルタイム職員という有期雇用の者とも比較できるという制度をすることがよいのではないかということがございます。
     それから、複数の企業でパートタイム労働を行っている者もいるわけですけれども、これらの者については合計した労働時間や収入は厚生年金加入資格を満たしているが、各企業では満たしていないということで、加入できないというようなケースもございます。
     次のページです。パートタイム労働者の中には就業調整の問題がありまして、前回報告書で税制、年金について就業に関して中立的で就業調整が起こりにくい制度とするという提言を行ったわけでございます。今回の年金改正は、提出法案におきましてはパートタイム労働者の厚生年金適用拡大が見送られておりますので、引き続き検討が必要であると思われるわけでございます。
     次に、派遣社員のことでございます。派遣社員についても社会保障制度において被保険者が異なる就業形態間を移動する場合に、その度に手続をしなくてはならないという煩瑣な部分がございます。この点についても、社会保障審議会年金部会においては、派遣労働者の種別変更に係る事務手続の簡素化を検討すべきということを意見で出しておりまして、現在検討が進められているところです。
     最後に、ここ数年、男性雇用が減少しているのに対して女性の雇用は増えている。しかしながら、その増えている内容はパート等の臨時雇用が寄与しているという実態がございます。雇用形態の多様化という側面のほかに、パートの女性の収入が低く、パートタイムから正社員に転換することは困難であり、所得の二極化と階層化が進んでいるのではないかという点でございます。
     (4)が「高齢、引退」です。女性は退職年齢が早く、50歳代、60歳代になると労働力率の低下が早く進むということがございます。しかし、一方でこの年齢層の女性の就業意欲は平均的には余り高くはないということがございます。なお、一部に女性だけの早期退職勧奨のケースがあるという指摘もございます。
     女性のみに早期退職勧奨を強要した場合には、当然のことながら均等法違反ということで指導の対象となりますし、夫の昇進の条件として妻が退職を強要されるなどのケースも同様でございます。このような違反を行っている企業は、以前に比べると減少しているようでございます。
     それから、今年65歳までの定年の引上げ、継続雇用制度の導入等を定めました高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の改定法案が提出されたところでございます。この法案については、働いている女性が高齢期になった場合に就業が延長されるという効果は当然期待されるわけですが、一方で結果として新卒や子育て後の女性の再就職の機会を減じるということがないように注視が必要という点を書いてございます。
     次に27ページの「起業・自営その他の働き方」をごらんいただきたいと思います。まず(1)の「起業・自営業」でございます。「ア.起業家数等の統計」ということで、自営業指数は男女とも減少傾向にあるが、そのうち過去1年間に起業した起業家の割合は女性の方が高い。起業家数で見ても、男性と女性の起業家の数に大きな差はないという現状がございます。近年の産業構造の変化により、知識やアイデアが付加価値の源泉として重要視されており、女性起業家が注目されるところでございます。
     なお、主要先進国では過去20年間、女性自営業種が増えているけれども、日本では逆に減少しているという実態もございます。女性の起業の年齢は20代から40代まで幅広い層でございまして、起業前歴が主婦やパートというものも多いことから、子育て後の再就業段階においても有力な選択肢と言えます。
     制度・慣行とその課題でございますが、まずデータが乏しいという部分がございます。「個人企業経済調査」、「法人企業統計調査」といった基本的な調査がありますが、いずれも経営者の性別が調査項目に採用されていないということがございます。この問題については、既に男女共同参画会議でも「女性のチャレンジ支援策について」、苦情・監視調査会で審議をしました「男女共同参画に関わる情報の収集・整備・提供に関する調査検討結果について」でもそれぞれ指摘をしているところで、こういった指摘を踏まえて改善が進むということが期待されるところだと考えております。
     次に「イ.能力開発、相談、情報提供等」です。一般に女性は男性に比べ、企業における管理、財務業務の経験が少ない場合が多いことから、起業に対して資金の充実、人材の確保、経営に必要な知識・ノウハウの習得等、さまざまな面で困難を感じている女性が多い。事業が軌道に乗れば、成長を志す企業も現れる。しかし、ある程度まで成長すると同じビジネスモデル下で既存の大企業が参入し、競争にさらされる。この段階では、財務や経営、労務管理の知識が必要で、女性はこの分野では不利な状態にあるということが多い。 「制度・慣行」でございますが、経済産業省で行っている女性向けの創業塾というものもございます。それから、厚生労働省で行っている女性起業家の支援セミナーなど、起業のための啓発、能力開発支援のための機会というものは提供されておりまして、これらの事業は重要な役割を果たして多くの実績も上げているところでございます。
     しかし、何にせよ開催場所や回数が限られているということがあって、更に身近で多様なニーズに見合ったアドバイスが求められているのではないか。また、起業した後でステップアップの段階、それから経営革新をするという段階においての個別の相談やアドバイス、フォロー、起業後の能力開発の充実に対するニーズというものがあるのではないかということです。昨年、男女共同参画会議で示しました女性のチャレンジ支援策におきましては、情報を求める女性に対して起業関連の情報提供を効率的に行うため、総合的な情報提供を行う。例えば、未来館等支援機関におけるセミナー、相談機能の充実、国、地方公共団体、女性センターなどが実施している起業支援策の総合的な情報提供、その他を充実するとともに、今後はセミナー受講者等の成功例、失敗例も含めてフォローアップ、情報提供を行うということを指摘をしております。
     こうしたネットワークの構築に際しては、単なる情報の提供だけではなくて、成功例といったロールモデル、起業家同士支援者との出会いの場、新たな販路開拓の場といった機能が重要であるということでございます。
     次に「資金調達」でございます。女性は現在の社会情勢の下では家事・育児その他の生活経験を持っている場合が多く、独自の経験が政策者の視点としてビジネスモデルに生かされ、成功した実例も多いわけでございます。しかしながら、資金が必要で、資金を調達する際には資金提供者にこうした独自のビジネスモデルを説明して理解を求めなくてはいけないという困難が伴います。データ的には、管理職を経験していない女性等では男性よりも女性の方が融資を断られる割合が高いというデータもございます。
     「影響を及ぼす制度・慣行とその課題」でございます。業歴が短い創業初期段階での資金供給というものが重要でございますが、政府系金融機関では女性向けの女性起業家支援融資制度というものを設けております。一方で、これら金融機関においては従来、女性起業家に主に貸付けを行ってきた理美容業とか飲食業といった伝統的な分野だけではなくて、新たに生活者の視点等に合った独自のビジネスモデルについてもその事業性の理解に努めているのかどうかという点がございます。金融機関の融資担当者や管理職への女性登用状況というものが不十分だという問題点もございます。
     次は投資でございますけれども、公的投資機関についても女性の投資実績や女性キャピタリストの割合というものが問題となります。
     それから、失敗した場合の融資の条件として付した個人保証が障害となる可能性があるということが従来指摘されてきましたけれども、この度、政府金融機関における女性起業家支援融資制度では、経営責任者の個人保証を免除するという特例を創設しようということで、来年度要求していると聞いております。これができればかなり評価できるのではないかと考えております。
     こうした融資、投資を受けるためには事業計画書を示す必要がありますので、事業計画書を作成するような知識というものを各種の機会、創業塾、起業家セミナーその他で援助 を行う必要がございます。
     「家庭との両立」ですけれども、自営業者においては自己の裁量の下で働くと考えられていますが、実は長時間働いているケースも多いということで、雇用されている女性と同じように両立を可能とするサービスや施設へのニーズが大きいということがございます。 一方で、公的保育サービスが不足している状況の下で、自宅で自営業を営む者は保育所の入所基準が雇用者に比べて厳しいという地方公共団体もございます。また、休日に開所している保育所が少ないという現状もございます。
     なお、経済産業省ではコミュニティ施設活用商店街活性化事業というものを行っておりまして、商店街の空き店舗の保育施設への転用補助事業というものを行っております。
     次に「在宅ワーク」でございます。在宅ワークについてもまず統計、整備が遅れているということがございます。厚生労働省の調査によれば、在宅ワークに従事している者の7割が女性で、育児期にあるものが多いということです。具体的な業務は単純なものから複雑なものまでさまざまな形態で、政策ニーズもそれぞれ異なってくるということが言えます。ここでは、厚生労働省で「在宅ワークの適切な実施のためのガイドライン」をつくっておりますが、このガイドラインの定義に従いまして在宅ワークを比較的他の者が代わって行うことに容易なものという比較的労働者性の強いものとして取り扱って問題点を整理しています。
     なお、事業者性の強いものは今まで述べた一般的な自営業、起業家と、ほぼ課題の方は共通しているのではないかと考えております。
     まず統計ですけれども、公的な統計としては「家内労働等実態調査結果報告」というものがございますが、それは発注者と受注者についてのみでございまして、全体像を把握しているのは十分できていないのではないかという点がございます。
     イとして「苦情・トラブル等」でございます。これは先般来、御紹介しているように、口頭の契約や契約内容不明確、契約の途中打切り、その他の問題があるわけでございます。また、詐欺的な商法というトラブルも最近あるということでございます。
     事業契約内容には規制がなく自由でございますので、契約内容の明確化、当事者への周知徹底による紛争予防、事後的な紛争処理体制というものが課題となります。これはガ イドラインについて定められているわけでございますが、これが十分に周知啓発されているのかという点がございます。
     後者のトラブル時の相談体制は、消費者行政関係の相談窓口や社会経済生産性本部という相談窓口等がありますけれども、これが十分なのかという点がございます。
     次に「時間・健康管理」の点でございます。在宅ワークは就業時間、場所の拘束が弱いので、各人の生活スタイルに対応した対応を取ることができるという点はもちろんございます。しかし、一方で受注が不安定で納期が短い。就業時間が不規則になるということがございます。また、パソコンによる作業が多いため、健康面への影響が懸念されるというような点もございます。
     この点についてガイドラインでは、通常労働者の1日の労働時間8時間を上限の目安としていますが、この規定が周知されて守られているのかという問題点がございます。
     なお、ガイドラインはあくまでも労働時間を自己管理しようということを原則としておりますので、より在宅ワーカー自身の時間管理能力を高めるという情報提供、能力開発の機会が必要でございます。
     ガイドラインではvdt作業について規定しているわけですが、この規定についても周知されているか。また、ワーカーの相互扶助といった形で健康診断等の健康管理を実施し、行政も支援する必要があるのではないか。
     エの「仕事の確保、能力開発」でございます。在宅ワーカーは生活面・経済面での不安定が大きな問題となる。それから、能力開発、知識、技能の維持向上の機会が少ない。年収が低い者が多い等の現状がございます。在宅労働をしていても、雇用者であれば当然のことながら雇用法制は適用になりますけれども、在宅ワークとなりますと類似の業務でもこれら雇用関係にないので適用関係でないという問題がございます。また、就業調整問題はパートと同じように存在する。
     こういった在宅ワークの仕事の需給調整ですけれども、需給調整のために相互に情報提供を行う社会的なマッチングシステムを構築することが重要なのではないかという点はヒアリングでも出てまいりました。厚生労働省においては、一定の情報提供あるいは日本soho協会でも一定のものを行っているわけですが、今後そういった情報を統一的にデータベース化して自動マッチングをさせるなどの方向の発展が期待されるのではないかということがございます。能力開発についても、更にきめ細かい能力開発機会の提供が望まれるのではないかということがございます。
     次にnpoでございます。現状ですけれども、近年非営利分野の社会活動が活発になってきている。多様な自己実現の機会を認める個人が、既存の組織とは独立したnpoやワーカーズコレクティブの形態で事業を行うという例が多くなっております。
     2番目の丸ですが、これらの機関は保健、医療、福祉の増進や地域経済に密着し、活性化させるといった役割を担っている。そこでは、出産、教育、環境など、女性の取組が生かされており、これまで「片稼ぎ型」で男性を主な構成員としてきた営利企業では供給が進まなかった部分に独自の財・サービスを提供している。構成員もリーダー的なボランタリズムを持つという特徴がございます。
     また、女性スタッフが多いということ。スタッフの平均賃金は低く、男女間で賃金格差が存在する。また、働き方や給与に関して、構成員間で考え方が異なる場合が多いということがございます。
     次のページの真ん中の「影響を及ぼす制度・慣行とその課題」でございますが、考え方が違うという点につきまして、構成員間でも意見が分かれる場合も多い。例えば、最低賃金法について厳格に適用するか、npo等は適用除外とするかという両論がございます。前者は雇用者ということを重視し、後者はボランティアということを重視するという考え方でございます。
     それから、雇用者でも雇用保険等に加入していない例もあると思われます。また、家計を支えていない女性の収入は家計の補助程度で就業調整も行われている。小規模な団体が多く、資金調達に困難を来すことがある等の課題がございます。
     最後に、(4)ということで項目を今回は追加させていただきました。皆様方の御議論を踏まえて、雇用と自営の中間的な形態の就業者という項目を追加をしております。雇用形態の多様化に伴って、雇用労働者であっても裁量労働と労働時間の制約が緩い形態が表れている。一方、個人自営業者であっても一つの企業と専属の委託業務契約や請負契約を交わし、常駐に近い形で就業するといった労働者性の強い従属的契約労働者といった形態が出現し、雇用と非雇用の区別がつきにくい層が出現しているということでございます。「影響を及ぼす制度・慣行とその課題」は十分書けていないんですが、請負やアウトソーシングにかかる労働者数の把握は不十分である。推計では、請負につき全体で100万人と いうデータがございます。
     請負会社との間に実態として雇用関係を結んでいると認められる場合には、当然のことですが、雇用関係法制が適用されます。
     業務委託や請負の場合に、労働時間や休日の規定を定める必要がないので、在宅ワーカーと同じように家庭との両立に有利だという期待がございます。しかし、実態には業務委託でありながら休日、昇給手当といった制度を採用しているなど、雇用なのか、不明確な取扱いをしているという企業もあるようでございまして、双方に認識が不足しているまま疑似雇用という関係が続いている例もあるということでございます。
     それから、報酬は契約に基づく出来高払いが中心でございまして、福利厚生の適用の必要がないので、契約の明確化や健康管理といったものが課題となります。
     次に「4.公務員」でございます。まず(1)の「就業形態」です。現状ですけれども、国家公務員においては新規学卒時に採用され、フルタイムで終身雇用という姿が今までの典型的な職員像でございます。部分休業、フレックス、任期付等、制度が導入されておりますが、一部例外的なものにとどまっているということでございます。
     それから、非常勤職員は常勤に比べて女性が多く、特に事務補助職員についてはほとんどが女性であると見られます。
     「影響を及ぼす制度・慣行とその課題」でございますが、現行の国家公務員制度はフルタイムで働くという形態を基本に設定をされております。それから、育児のための部分休業、再任用短時間勤務職員、フレックス採用勤務制度等が定められております。郵政短時間職員というものもございます。
     国家公務員の短時間勤務は現行では一般的な制度としてはなく、定年退職後の再任用短時間勤務職員と郵政短時間勤務職員に限られるだけでございます。各省庁において非常勤の事務補助職員が採用されています。これらの職員のほとんどが女性であるということから、事務補助は女性の仕事という役割分担意識が形成されるということが懸念されます。
     公務におけるフレックスタイム制ですけれども、対象は試験研究機関の職員のみということで2,000人弱ということです。裁量勤務制は任期付研究員の中でも特に実績のある「招聘型」ということで、実際に適用対象となっているものはおりません。
     国家公務員の採用には、試験による採用と選考による採用というものがございます。採用試験は受験年齢に制限が設けられております。選考採用の方は特段、年齢制限というものはございません。この選考採用により、採用される職種は医療職が一番多いということでございます。実際には、子育て後の女性が再就職先として常勤職員を希望しても、なかなか採用は難しいという状況がございます。
     次の41ページは「女性の採用・登用」でございます。採用試験からの女性の採用については拡大傾向にあるものの、採用・登用はまだ十分とは言えないということです。採用については、人事院では女子学生を対象とした募集活動、各省庁では女性職員の採用・登用拡大計画というものを策定して取り組んでおります。
     採用者に占める女性の割合は現在でも低いんですけれども、合格者に占める割合よりは多いので、まあまあの採用の促進が図られていると言えます。特に優秀な女子学生の確保というものが課題となってくるということでございます。
     登用の現状を見ますと、個々人の意欲と能力、置かれた状況に差があることから、一概に比較することは難しいわけでございますが、統計的に見ると男女間での格差というものが生じているという結果になっております。
     次は「(3)諸手当」でございます。現状ですが、個人単位でなく世帯単位の考え方に基づく諸手当が支給されており、実態として世帯主に男性が多いことから男性の受給割合が高いという結果となっております。また、扶養手当は就業調整を引き起こす一因ともなっております。なお、配偶者にかかる扶養手当は行政職俸給表(一)適用職員の場合、職務の級が高い方、すなわち給与が高い方が受給者の割合が高くなっているという現状がございます。
     次でございますが、扶養手当のうち配偶者にかかる手当は子どもその他の扶養親族にかかる手当と比べてかなり額が高いという現状がございます。
     2番目の丸ですけれども、就業調整の一因となっているという点でございます。
     3番目の丸ですが、住居手当のうち自宅を対象とする手当と寒冷地手当には世帯主要件が付されているという点がございます。
     4番目の丸ですが、これらの世帯単位の手当と、それを基礎として算定される手当によって俸給法上は同じ休業法であっても、家族の状況に応じて給与額が異なるという現象がございます。2回前の調査会で事例をお示しした試算でございますけれども、年間で50万円以上という例もあるということでございます。
     「(4)仕事と家庭の両立」です。仕事と家庭の両立については、公務では民間に比べて結婚、出産を理由として退職する女性の割合は低いわけですが、それでもかなり存在するという実態がございます。また、男性の方の育児休業取得は少ないという問題も民間と共通でございます。
     また、部分休業ですが、育児休業に比べて取得状況が低い。それから、長時間労働が仕事と家庭の両立の支障となっているという現状がございます。
     育児休業制度においては、子が3歳に達する日までということで、民間の方は1歳に達する日までということですので、それより期間が長いということでございます。
     育休取得者の職務復帰後の給与については、休業期間の2分の1を勤務したものとみなして俸給月額の調整を行う等の取扱いとなっております。
     それから部分休業ですけれども、子が3歳に達する日まで1日のうち2時間を限度として勤務しないことができる制度でございます。育児休業取得者は定員外となりますので、代替職員の確保が比較的容易であるのに対しまして、部分休業、産休、介護休暇取得者は定員内にそのままカウントされておりますので、代替職員が確保できる場合が限られてしまいます。確保できない場合には必要に応じて配置換え、業務分担の変更等で処理をしているところでございます。
     介護休暇と部分休業については、無給ということでその部分の給与は出ないわけですけれども、扶養となった人件費を財源として非常勤職員を採用するといったことができる仕組みにはなっておりません。
     それから最後ですが、中央省庁等、一番に長時間勤務が見られているということで、特に一部の業務に従事する職員は過重な負担を強いられている。超過勤務の縮減については人事院、総務省でこのような取組を行っているという事実がございます。
     次に、45ページ以降で「iii章政策等の方向性」ということで書いてございます。まず「1.総論」の(1)でございます。以前の我が国の雇用慣行においては、性別役割分担の下で世帯主である片稼ぎの男性雇用者に対して長期雇用を保証し、家族手当、年功賃金を採用するなどの世帯単位の考え方に基づいた制度慣行が成立・機能をしてまいりました。
     しかしながら、その後の情勢の中で男性の実質賃金は伸び悩み、片稼ぎでは生計を維持し難い世帯が増加する一方で、経済の中心が知的集約産業に移行したということから、女性が知識やアイデアの担い手として社会に参画する場が広がり、女性の就業率も上昇しています。このような状況では、これまでの世帯に対する配慮についても男女間の賃金格差の原因となる。また、ライフスタイル、選択に非中立的に働くという問題点の方がむしろ大きくなっているということでございまして、今後の施策の方向としては個人単位の制度運用に変更し、男女ともにライフスタイルを中立、柔軟に選択できる社会ということが求められているのではないか。
     (2)は雇用形態の多様化の点でございます。雇用形態は正規のほかパートタイム、派遣、契約等、それから主婦の起業、在宅ワーク、npoなど、さまざまな選択肢が増えています。その間を一個人が渡り歩くということも珍しくなくなってきました。また、個人自営業者でも先ほど申し上げたような従属的契約労働者、ディペンデント・コントラクターといった形態も表れて、雇用者と非雇用者の区別が不明確となっております。
     その一方で、労働法制や社会保障制度は、多様な就労形態やその間の移動にきめ細かく対応できておらず、類似の業務に従事していても全く違う制度が適用されるということになっているわけでございます。
     それから、次のページの2段落目ですが、これら多様な就労形態を個々人がライフスタイルに応じて選択でき、選択とその間の移動に対して中立性を確保できる制度慣行であることが望まれるということで、アとしてさまざまな就業形態における労働の価値の適正な評価、イとして雇用、自営その他の就労形態間の移動の円滑化に資する制度づくり、ウとして非雇用者でも労働者性の強いグループへのセーフティネットの構築などが求められるのではないかという例示を書かせていただきました。
     (3)教育、能力開発ですけれども、個人のライフスタイルに応じて主体的に選べる選択肢を広げ、就業につなげていくことが重要であるということで、アでは将来を見据えた進路指導、職業指導を行うことが必要である。特に10代女子学生の割合が少なかった理工系への進学を促すという取組、それから4年制大学大学院への女性の進学を啓発する必要があるという点を取り上げております。
     イでございますけれども、労働移動が活発化して再就職・起業という動きも増える中で、従来の企業内訓練だけではなくてそのほかの能力開発、社会人教育についても充実し、自己の能力開発等を行える機会を増やしていくということが必要だ。また、こうした能力開発等への支援を従事すべきという点を述べております。
     次にウでございますが、働くことに関わる労働者の権利意識が低下してきているが、労働者側にどのような権利・制度があるかということを教育・啓発していくということも重要であるという点を述べております。
     以下、就業形態別に掲載をいたしております。
     まず「雇用」ですが、(1)のアで「多様な就業形態を自由に選択」ということです。これは、就業形態の多様化ということを踏まえて個々人が職業生活と家庭生活を調和させつつ、ライフスタイルと希望に応じて就業形態を中立的に選択できるよう、多様でかつ良質な就労機会が提供されることが望ましいということを述べております。
     具体的には<1>で、多様就業型ワークシェアリングの推進と短時間正社員制度の普及ということで、短時間勤務を希望する者のためにこうした制度の普及拡大を図る必要があるのではないか。特に育児・介護ではこうした制度はあるんですが、一般的な制度として導入することが望ましいのではないかということです。
     <2>は「フレックスタイム制度の普及」ということで、フレックスタイムの一層の普及を促進することが望ましいのではないか。
     イでございますが、こうした多様な就業形態において働きに応じた賃金等の処遇を実現するということが合わせて不可欠でございます。就業形態の多様化が単なる企業の人件費削減であってはならず、適正な賃金等の処遇を伴うことが必要であるということでございます。
     <1>では「同一価値労働同一賃金の実施」ということで、ilo100号条約の批准、労働基準法4条の規定、働きに見合った賃金の確保という視点からは就業形態が異なっても同一価値の労働であれば同一の賃金が得られることが重要であるという考え方もある。そのためにも、公正な人事評価制度の確立と運用が必要なのではないかとしております。 マルニは「パートタイム労働法及び指針の普及等」でございます。パートタイム労働指針の普及状況に応じ、将来的にはパートタイム労働法により強制力を高めたルールとすることも検討する必要があるのではないか。また、パートタイム労働者と職務が同一の有期雇用のフルタイム職員との比較により均衡を考慮することができる制度とすることも検討する必要があるのではないかとしております。
     3番のコース別雇用管理ですが、これは留意事項を一層周知徹底する必要があるのではないか。それから、女子差別撤廃委員会の最終コメントの勧告を踏まえ、検討を進めることが必要ではないかと書いています。
     次にウでございますが、「多様な就業形態間及び雇用以外の就業も含めた移動の円滑化」ということで、<1>は「企業内での就業形態転換制度の普及」ということでございます。<2>は「企業内でのコース転換の円滑化のための措置の普及」ということで、コース別雇用管理等の場合の転換の円滑化ということでございます。<3>は「移動に伴う年金の継続性の確保」、<4>が「募集、採用における年齢制限の撤廃」ということでございます。年齢制限の撤廃については、今後必要に応じ、義務化につき検討をすることも必要ではないかと書いてございます。
     次に(2)でございますが、「就業の選択に中立的でない世帯単位の制度の見直し」という点でございます。賃金制度において年功的要素を見直し、能力、成果を重視した賃金制度への転換を図る流れは、男女共同参画社会の形成に資する。また、生活給は世帯単位の考え方を前提としているものであって、今後個人単位の制度への変更が強く望まれて いるということでございます。
     「家族手当の見直し」ということで、家族手当の中でも子ども等配偶者以外に対する扶養手当等を引き続き維持するとしても、配偶者に対する手当等は廃止すべきではないか。ただし、この場合にさまざまな措置を講ずることにより、生活面への影響を緩和することが求められるのではないか。
     イは「住宅手当等世帯主のみに支給される手当の見直し」ということで、「世帯主」を要件として支給されるというものについては50ページの上の方でございますが、廃止するか、または要件を変更することが適用ではないか。また、時間外、休日の割増賃金の基礎から家族手当等が除外されている制度につきどのように考えるか。
     (3)は「賃金差別、賃金格差の解消及び雇用機会均等の推進」ということで、賃金格差の解消、それからポジティブ・アクションということを書いております。
     (4)の両立環境の整備ということでは、「保育サービスの充実、育児休業の取得促進等」ということを書いてございます。なお、育児介護休業法の改正案が今国会に提出されている状況でございます。
     イの「長時間労働の是正」ということでございますが、長時間労働の是正は仕事と家庭の両立のために不可欠でございまして、厚生労働省で図っている対策の一層の推進が期待される。また、企業においては労働基準法の遵守とともに両立支援、少子化対策としても長時間労働の是正に取り組んでいく必要があるのではないか。
     ウとして、両立に資する社会環境づくりです。これは先生方お2人から御意見があった部分を盛り込んでおりますが、pta関係行事については共稼ぎの保護者でも参加ができるような日程の設定を図る等、両立支援に配慮した仕組みとしていく必要があるのではないか。
     3の「起業・自営業その他の働き方」でございます。「(1)起業・自営業」でございます。アとして「起業家に関する性別データ導入等統計の充実」で、これは先ほど申し上げたとおりでございます。
     イとして「創業塾、起業家支援セミナー等の相談窓口の利便性向上・内容の充実等」です。こちらの方も先ほど申し上げた内容でございまして、具体的には起業の準備段階だけではなくて、起業後や経営革新団体においても能力開発の機会、相談等のフォローを行うということが必要である。また、講座内容をインターネットに載せるなど遠隔地や育児の都合で講座を受講できない者の利便を確保する。それから、こうした授業については参加人数、参加後の創業率を男女率に把握することが望ましいとしております。
     ウでございますが、「女性センター等を活用した協力ネットワークの構築」ということで、今、申し上げた創業塾や起業家支援セミナーのほかに、女性センターを始めとして身近な場所で相談や情報提供が受けられる仕組みづくりが求められるのではないかという点について書いてあります。この点につきましても、女性センター等が実施している起業支援策による創業率や経済効果というものを男女別に調査して把握することが望ましいと考えております。
     次がエの「投資、融資等の円滑な資金供給」でございます。こちらは、金融機関において女性行員の生活経験というものが重要であるということから、能力に応じて融資担当者や管理職に積極的に登用する必要があるのではないか。また、投資家も女性の投資家を育成する必要があるのではないかということを言っております。
     次のページでございますが、こちらの方もデータとして金融機関の投融資実績を男女別に把握することが望ましいという点を記載してございます。
     それから、両立支援策の充実ということで、起業家の方でも自宅で自営業を営む者にも保育サービスが受けられる。休日でも保育が可能な保育所を増加させるということが期待 されるということでございます。
     次に「在宅ワーク」でございます。在宅ワークはアとして、こちらの方も就業実態の把握ということで、発注者、仲介者、受注者、それぞれについて実態を把握する必要があるのではないか。
     イとしまして「契約ルールの適正化、「ガイドライン」の周知徹底、法的整備についての検討、苦情、トラブル等への相談体制の整備」ということで、ガイドラインを周知徹底するとともに、必要に応じガイドラインの効力を高めるよう法的整備の検討を行うことが望ましいのではないか。また、トラブルを事後的に処理する相談窓口体制の充実が必要なのではないか。
     ウとして「就業条件の安定」ということで、ガイドラインの周知のほかに相互扶助の形で健康診断等の健康管理を実施することが有効ではないか。
     エの「家庭生活との両立支援策の充実」は自営業者と同じでございまして、保育サービスを受けられる。休日でも保育を受けられるということを書いております。
     オの「スキルアップを促す能力開発への支援充実」というところでは、厚生労働省で一定の支援制度というものをつくっておりますが、更に細かく能力開発機会というものの提供が求められるのではないかということでございます。
     カとして「仲介機関を通じた情報整備等」ということで、仲介機関に関する情報を整備して、データベース化等により充実させていくことが必要なのではないか。
     「(3)npo等」でございます。npo等につきましては先ほど申し上げたようにこのページの一番下に書いてございますけれども、npo等で働く者が雇用者として有償の労働を提供しているということを重視するのか、それともボランティア性というものを重視するかということによって政策対応の考え方も分かれるのではないか。もちろん両方を尊重する必要があるのは当然でございますが、就業を検討課題とする本報告書では、雇用の受け皿としてnpo法人等の増加が注目されている現状を踏まえ、有給職員の報酬等の処遇を改善し、有給とボランティアの区別を明確化した住み分けを図るべきではないかと考えると書いてございます。
     具体的にはアとして「ボランティアと雇用者の働き方とを区分し、関係制度の適用関係を明確化」するべきではないか。また、無償ボランティアの方は無報酬で各種保険、社会保障も適用されませんが、無償ボランティアのためのnpo保険の普及を図るべきではないか。
     イとして、雇用された者については言うまでもなく労働法制を遵守するということが必要である。
     ウとして「円滑な資金供給の確保」、公的な支援策のほか、企業なども加えた社会全体の支援が必要ではないか。
     エとして、npo等による雇用創出への支援ということで、雇用創出への補助金等を一層進めていくべきではないかと書いてございます。
     (4)の「雇用と自営の中間的な形成の就業者」、これもまず実態がわかっていないということで、アとして「就業実態の把握」、イとして「就業形態についての労使周知徹底、疑似雇用への適切な指導」ということで、労働時間の制約等、労務管理を本来は雇用者でなければ行えないんだということを周知徹底する。それから、実態として雇用であるという疑似雇用については雇用者として扱うように周知徹底するということでございます。
     ウとして「ガイドラインの制定等による契約ルールの適正化、就業条件の安定」ということで、契約ルールとか健康管理とか、そういった内容を書いたガイドラインのようなものをつくってはどうかということを書いております。
     次に公務員、主に国家公務員ということでございます。国家公務員については公務運営の維持というものが一方で要請があるわけでございますが、公務においても取り入れられる施策については取り入れるべきということで、特に男女共同参画社会の形成等に資する制度については公務部門で率先垂範していくべき場合もあり得るのではないかと書いて ございます。
     まず「就業形態の多様化」ということで、アとして「短時間勤務」を導入する。イとして「非常勤職員の採用の男女機会均等」、ウとして「フレックスタイム制」を一般公務員に導入する。エとして「採用試験の受験年齢制限等」を廃止する。
     (2)でございますけれども、「女性の採用・登用の促進」ということで、男女共同参画会議で2020年までに指導的地位に占める女性の割合を少なくとも30%にと言っておりますので、この目標についての着実な取組が求められております。
     (3)の諸手当の見直しですが、諸手当については民間の動向を踏まえつつ見直しを進めるべきではないか。具体的には、扶養手当のうち子ども等配偶者以外に係る手当を引き続き維持するとしても、配偶者に係る手当は就業調整を引き起こす一因ともなっており、廃止等をすることが望ましいのではないか。
     ただし、この場合、公務における扶養手当の在り方については給与制度全体の中で多面的な検討が必要である。また、全体として適切な措置を講ずることによって職員の生活面への影響を緩和することが求められるとしております。
     また、自宅に係る住居手当、寒冷地手当についても世帯主要件を廃止あるいは要件を変更することが必要ではないか。
     (4)の「働きやすい職場づくり」では、アとして「育児休業・介護休暇等の取得促進等」ということで、特に2番目の丸ですが、部分休業、介護休業等の代替要員を容易に確保できるような方策を講じることが必要ではないかということを書いてございます。
     イとして「男性の育児休業取得促進」、ウとして「その他の両立支援策の充実等」、エとして「長時間勤務の解消」を書いてございます。
     最後に5として「社会保障等のセーフティネット」ということで、各分野に共通する年金等の課題について、ここに合わせて書いてございます。社会保障制度は諸制度が分立していまして、類似の業務に従事していても違う制度が適用されることとなるということで、年金制度においても以下のような違いがあるということで例示を挙げております。
     例示の方は省略させていただきますが、このように職種、職域に分類された制度では事業の状況によって負担・給付に差異が存在するということで、雇用形態が多様化している現在、個人単位として見ると働き方によっては給付が薄い。就業調整の原因となる等の問題が生じ、就労に関する中立性に影響を及ぼすことが懸念される。
     前回の報告書では、スウェーデン型の年金というものについて取り上げたところでございます。年金以外に健康保険制度にも同様の問題がある。今後とも、社会保障改革をめぐる議論についてはライフスタイルの選択に対する中立性を確保し、段差を生じない制度とし、個人単位化を進める方向で検討を進めるべきであるということでございます。
     大変時間を取って申し訳ございませんでした。以上でございます。
    大澤会長
    大変御丁寧にありがとうございました。ただいまの御説明について御質問や御意見をお願いいたします。40分ぐらい時間があろうかと思います。
     関係資料は(1)(2)の2点ですね。新規に補充された資料でこれというようなものはございますか。
    事務局
    資料の8-3、10ページでございますけれども、会長からの御指摘に従いまして高等教育卒業者に占める女性割合というものを途上国において付けてございます。
     それから、そのほかのところは第1分冊に関しては以前お付けしたものをそのまま使っている状況でございます。
     あとは資料33-3で八代先生からの意見なんですけれども、待機児童数が2万5,000人と言うが、御自分がなさった物価政策課の研究会ではニーズを考えると潜在的には24万人いるということを付けてくれという御指摘がありましたので、それは資料33-3、38ページにそのまま付けてございます。
     あとは関係資料の2でございますけれども、61ページに就業形態の労働時間を足して付けてございます。中小企業になるに従って労働時間が多くなるというような現状が見てとれると考えております。また、雇用、自営の関係では先ほどデータがもう少し詳しく取れないかという御指摘がありましたので、92ページに創業塾及び女性向け創業塾の実施状況という形で参加人数等を取ってございます。
     あとは、先ほど参事官の方から御説明のありました政府系金融機関の融資担当者の男女比率という点に関しては、97ページに数字を付けているというようなところが大きいものでございます。
     あとは、前回御説明しなかった在宅ワーク、npoについて103ページ以下のところで資料をお付けしております。
     大体そういうところでございます。
    大澤会長
    では、どうぞ。
    木村委員
    39ページの「公務員」のところですけれども、公務員というふうには書いてはあるんですけれども、実態は国家公務員についての記述がほとんどではないでしょうか。それでしたら、人数としては国家公務員が100万くらいで地方公務員が300万ですね。それで、もし国家公務員だけを書くのでしたらなぜ国家公務員だけにするか。国家公務員の働き方において公務員の典型的なものが出ているんだというふうな記述とか、そういうものがある方がよろしいのではないでしょうか。もし地方公務員についてもっと何か特別なことがあるということでしたら、調べるのにも協力します。
    参事官
    同様の質問は前回にも出ましたが、国家公務員制度の方は基本的には国の制度で全部できている。地方公務員制度の場合は、地方公務員法は法律なので国の制度ともいえる部分もありますが、それを踏まえて基本的には地方公共団体でつくっている制度であるということから、この調査会は国の制度について検討する調査会なので、基本的には国家公務員を対象としています。
     ただ、先ほど説明しませんでしたが、56ページの真ん中辺りで、主に国家公務員制度を念頭に記述しているが、地方公務員制度においても各地方公共団体における検討が期待されるという形で記述し、一応対象は国家公務員だけれども、同じようなことは地方公共団体でも検討してくださいという整理にしたいと考えています。
    木村委員
    それにしても、私は39ページの記述が少し……。
     それで、あれは地方だからと言って国だけ取り上げるというのは、ほかのところも同じような分類ですぱっとされていますか。例えばいろいろなものがありますけれども、働き方とか、これは民間が決めていることではないかというところにもメンションしてありますね。
    参事官
    そういう意味では国の施策と社会慣行ということも含めていますので、民間企業の慣行というものも同時に取り上げています。
    木村委員
    そういう切り方で地方公務員を含めないと言うんでしたら、非常に官僚的な分類だと思うんです。
    参事官
    国と地方公共団体でそれぞれ影響調査をやるということを期待しているところでもあるので、まずは地方公共団体それぞれでお考えになっていただくことと考えています。
     一方、民間企業については我々の方で完全に物申すわけではないですが、参考として提言をするということも可能と思っております。
    大澤会長
    基本として、政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響を調査することがこの調査会の任務ですけれども、民間企業の雇用システムについては明示的な仕方で男女共同参画基本計画に、ライフスタイルの選択に対する中立性に関して調査をするようにと書かれておりますので、正面切って入っているということと同時に、民間企業の雇用システムの中でも、例えば基準賃金とは何かというように政府の施策なり制度というものが関わっている部分については一段とクローズアップをするような形での取り上げ方になっています。
     ただ、この39ページ辺りの書きぶりで、なぜ国家公務員だけなのかということがここでは説明されないで、後ろの方にそれが出てくるとなっていますから、後ろに出てくることを39ページ辺りでも一言断っておくとわかりやすいのではないかという気がします。
     ですから、56ページの「なお」以下の、主に国家公務員制度を念頭に云々というくだりとパラレルな記述を、39ページのどこかに1行くらい挟めば……。
    木村委員
    そうしたら公務員ということではなくて、国家公務員にした方がまだわかりやすいのではないですか。
    大澤会長
    そうですね。国家公務員というのは後ろに出てくるから、それと平仄を合わせるためにも。
    木村委員
    公務の場で地方公務員の方は女の人が働いているんです。だから、39ページにやはりメンションはしておいた方がいいと思います。
    佐藤委員
    国家公務員の議論をするんだけれども、最後の方に、こういった検討を地方自治体でも行われることを期待してとか、そういう書き方はできるわけでしょう。そういうような言い方をどこか政策の方で書くというのは一つで、こういうような検討をもちろん地方自治体でもやってほしいというようなことを書くことはできるのかなと思いますが、それはどうなんでしょうか。
    参事官
    それが56ページに書いてあるわけですが、56ページだけではなくて今、御指摘のように39ページにもそれはきちんと書き込みたいと思います。
    高尾委員
    2月26日に郵送していただいたものと3月1日の今日のものとで、昨年12月の地方公務員制度調査会の提言が26日の分にはあるけれども、今日の分にはないというのは、そういう意味でなくなったわけですか。
    参事官
    事前に委員にお配りしたバージョンには入っていましたが、あくまでもそこに書いたのは地方ではこれだけ進んでいるから、国もこういったことをやろうよという意味で参考として載せたものですので、誤解があってもいけないということで落としております。例えば、参考資料に入れるというようなことはありうるかもしれません。
    佐藤委員
    細かいことは後の方がいいですか。
    大澤会長
    大小にかかわらず、どうぞ。
    佐藤委員
    では、まず少し大きなものからということで、43、44の公務員の「仕事と家庭の両立」で、これは現状のところで政策にも関わるわけですけれども、公務員の場合は休業については民間より法律面では充実している。それで、短時間勤務については部分休業で2時間で、2時間以上はできない。もう一つは、定員法と勤務時間法で2時間短くしても予算上難しくて、事実上、部分休業の取りにくい状況があるということを書いていただいて、単に部分休業の時間だけではなくて背後に定員管理なり勤務時間法の問題があるということを書いていただいた方が非常にいいと思うんです。
     その上で、1つは休業が3歳だからいいという議論もあるんですけれども、この3歳になった背景も民間の方が短時間勤務等が3歳に引き上げられたときに公務員の方をどうするかといったときに、法律としては民間の方は3歳にしたけれども、育児休業を3年にするか、あるいは短時間勤務等を3歳までにするかとなっているんです。そうしたときに、ここにある部分休業についてこのごろはやりにくいわけです。そのこともあったので、休業を3年にした。これは私の解釈なんですが、多分そうだと思うんです。
     ですから、本来というか、育児休業が3年というのは私は悪いという意味ではありませんけれども、女性の活躍の場を広げるということからすれば休業が長いことは子育てにとってはいいかもわかりませんけれども、仕事と子育ての両立ということからすると一定の休業の後、短時間勤務が取れるということは非常に大事だろう。
     そうすると、ここで確かに部分休業の予算等についての見直しというのはあるわけですけれども、もう少し短時間勤務の在り方を見直すということも大事だと思います。ですからフレックスタイムとか、2時間を超える短時間とか、あるいは週4日勤務とかという短日数は多分想定されていないと思うんです。ですから、現状よりもう少し多様な勤務時間の柔軟化みたいなことはどうかということを提言に書けないかというのが一つの大きなものです。
     あとは細かいところだけ申し上げます。そんな時間はかからないですが、基本的表現のところです。5ページの本文の5行目の「年功的な熟練等」というところです。ここは1つは年功的というのと、「経験に基づく熟練等を要素とする生産システムのみから」でしょうか。これはもう要らなくなる。今の製造業の強さというのは電機、自動車、生産システムにあるだろうということで「生産システムのみから」にしたらどうか。製造業を研究している人から怒られてしまうんじゃないかという話です。
     あとは8ページの注です。私はこれはいいと思うんですけれども、問題なのは注の上の「しかし」なんですが、「まだ多くの企業で実際に使われ」は間違いで、企業は正社員を使っていないです。企業は職員とか社員と言っていて、研究者とかマスコミが正社員と言っているんです。ですから、「まだ一般的に使われている」でいいと思うんです。企業は使っていないです。正社員就業規則とは書いていません。職員とか社員就業規則と書いてあります。
     あとは28ページで四角の中の現状の「資金の充実」というのは「調達」ですか。わからないけれども、「充実」というのは何でしょう。「調達」ですか。
    事務局
    資金供給の円滑化の意味で「充実」を付けたのですけれども、確かに「充実」とすると……。自己資金というものをもっとたくさん用意した方がいいのではないかという意味で付けたんですが、誤解を与える表現であれば。
    参事官
    「調達」の方がわかりやすいですね。
    佐藤委員
    それから、37ページの下から7行目の「最適」というの「最低」ですね。
    大澤会長
    そうですね。上は「最低賃金」ですから、ここは「最適」ではないですね。
    佐藤委員
    あとは、38ページの下から2つ目の丸は「業務委託や個人請負」と「個人」と入れた方がいいんじゃないですか。
     それから、39ページの四角の上のフルタイムは「終身雇用」はやめて「定年まで」でもいいんじゃないかという気もしたんですけれども、どうでしょうか。それは趣味の問題です。
    参事官
    定年まで雇われていない人が結構いるので。
    佐藤委員
    それでは、長期継続雇用か何かの方がいいでしょうか。それはどちらでもいいですけれども、単に趣味です。
     あとは、55ページの下から4行目も「個人請負」にしたらどうかと思います。会社への請負ではなくて個人への請負ですね。
     最後に57ページのエのところで、一度子育てでリタイアした人についての採用という部分は公務セクターが積極的にそういう人を採用するということで、年齢制限のことが書かれていますので、そういう趣旨を少し積極的に書き込んでいただければと思います。以上、細かい点と大きい点が1つだけです。以上です。
    大澤会長
    ありがとうございました。
    木村委員
    6ページの上から8行目に「家庭」とありますけれども、この「家庭」というのは「家族」とどのように区別をしているんでしょうか。ここのところで「家庭」というものがぽんと出てくるので、ひょっとしたら「家族」でもいいのかなと思ったり、全く別の家庭でも働きながら高齢者の親のケアをする場合もあるわけですし。
    参事官
    「家庭との両立への負担」とか、あるいはおっしゃったように「家族」とするか。
    木村委員
    そこは後で考えてくださればと思います。どうもありがとうございました。
    林委員
    先ほどの公務員の関係は前回、私が多分質問した記憶があるんですけれども、ここは国家公務員でしょうか、地方公務員も視野に入っていますかということに対して国家公務員中心ですということで、地方の方はそれに準じた形で各地方自治体で頑張ってもらうようにということでした。
     それであれば、今回の方は先ほど木村委員の方からも出ておりましたが、国家公務員という項にしまして、地方公務員という項をもう一つ起こして、わずかな行数になるかもしれないけれども、地方公務員については国家公務員に対する観点からそれぞれ地方自治体で検討を加えてもらいたいという趣旨のことを改めて書いておくということもいいと思います。
     そこには、取り分けたくさんの女性たちが働いているということや、福祉分野等で非常勤・嘱託・パートなどでたくさんの女性たちがいるし、今後もそういう分野への女性の進出はもっともっと拡大していくことも予想され、そこは項を起こしてもいいかと思います。それが1点です。
     それから、前回送っていただいたときにあったもので今回なくなったものでは、住友電工の丸のところがそっくり今回抜けているんですけれども、これはどういう理由で抜けたんでしょうか。
    参事官
    厚生労働省の方から、これはあくまでも個別事案であるのでという指摘等があり、今回のものからは外しております。
    林委員
    前は23ページにあったんですね。ただ、個別事案とはいえ、このことが非常に雇用の分野において今の法律を使っても、なお過去の差別についても認めて是正する方向を示し、かつ国際条約の意味のようなものも示している点では大変大きな役割を果たす勧告内容であったと思うんです。そういう意味で、私は削除することはないのではないかと思って読みました。
     それから22ページの上の方の丸で、雇用の分野における間接差別については、何をもって間接差別というのか社会的合意は得られておらず、今年の16年春ごろを目途に報告書が取りまとめられる予定であると書いてあるんですが、cedawからの勧告にこのような趣旨のことがあったということですね。間接差別の定義を明確にすることと、それを盛り込んだ法律を整理することについて勧告が入っていたと思うんですが、こういうものをここに書くのは適切なのか不適切なのか、検討されたかどうか。cedawの勧告で同じようなことが別のところに1か所出てくるんですね。
    参事官
    cedawの勧告で、直接これが指摘内容だということが明確になっているものは書き込んでいますが、間接差別の定義の話は雇用の分野に限られないため書いていません。
     つまり、雇用の分野での間接差別定義を書けとcedawに言われているわけではなくて、女性に対する差別の定義を書き込めと一般的に言われているものですから、ここに直接載せておりません。コース別雇用管理については記述しています。コース別について勧告が出されていると言うことは明確ですので、その点については書き込んだという整理をしております。
     いずれにしても、影響調査の報告書は6月でございますので、それまでに厚生労働省の研究会の進展があれば、そのところを踏まえてまた書き直したいとは思っていますけれども、今の論点整理の段階では向こうもまだ検討の途上ですので、報告書を取りまとめる予定であるということをとりあえず書いておくということにとどめたいと思っております。
    大澤会長
    削除前の文章は論理が2回転換しているようなパラグラフになっていて、ちょっと文意が取りにくい面もあったのではないかという気はいたします。報告書の取りまとめの中身が見えてくるともう少し書きやすくなるだろうという気はしますけれども、そういうような理解でよろしいでしょうか。
     それから、住友電工の判決は個別の事案であるとはいえ、インプリケーションは大きいのではないかと思うので、何らかの形でメンションできないかということをもう少し追及してみたいんですけれども、佐藤委員どうですか。
    佐藤委員
    少しインプリケーションのところを書いて注に落とすとか、インプリケーションの方をオープンに書くとかというやり方はあるかもしれません。どこにありましたか。
    大澤会長
    再就職・パートタイム労働等の直前みたいなところにあったので、多分今は22ページの「コース別雇用管理」の中の2つ目の白丸だったと思います。
    林委員
    コース別の2つ目のところが6行ほどあったんですね。それがなくなったと。
    佐藤委員
    これは和解だからということは確かにありますね。
    参事官
    そうですね。申し遅れましたが、裁判例ではなくて和解の個別事例なのでということで載せるのは不適当ではないかということでございます。
    林委員
    そうは言うものの、これはまさに国も裁判の対象になったんですよね。そういう意味ではとても大きいことだと思います。
    参事官
    では、そういう形で載せられるかどうか、また案文をつくりまして御相談をさせていただきます。
    大沢委員
    3点くらいあるんですが、1点目は就業継続のところで退職してしまう女性が多いというような記述がありますが、その後の学歴と就業継続との関係というものがここでは余り触れられていませんが、最初のところで知識集約型社会、知識集約産業化が進むということになると、ただ単に高学歴化が進んでいるとか、そこに差があるだけではなくて、高学歴の女性がその後どういうライフコースを描いているのか。
     特に私が気になっているのは、一たん辞めた後の再就職に学歴で逆相関があるというようなことをよく言われていますが、そこは非常に大きなロスだと考えられますから、今、研究がかなり蓄積されている分野だと思いますので、そこについて記述してそういったロスが非常に大きいと、ここまで高学歴化を進めるのであればそれが定着して初めていろいろな意味で社会に還元されるということで、どの程度高学歴の女性が定着していくのか、そこに問題があるんじゃないかというようなことを触れていただけたらと思います。
     それから、最後の方の段差の問題で59ページです。就業形態別に社会保険の負担がかなり異なるということが書かれておりまして、非常に重要な点だと思うんです。これがいわゆる非正社員を増やしている直接的な原因ではないけれども、要因の一つにはなっているので、そこを少し記述を深めていただいて、それが多様な就業形態の選択をゆがめて非正規の雇用を必要以上に増やすというような記述を入れるとインパクトが強くなるんじゃないかと思いました。
     もう一つは9ページで、本当は正社員になりたいんだけれどもなれない人がいるというような記述がありますが、これをもし時系列で取れたら5年前と今というような感じで、そういう人たちが特に若者を中心に増えているのかどうか。そこら辺のデータを入れていただくと、私は資料14、15を見てみたんですが、時系列では触れられていないようなので、その変化について触れていただけるといいのではないかと思いました。以上です。
    坂橘木委員
    あなたの印象だと、増えているんですか、減っているんですか。
    大沢委員
    私が調べたところでは、時系列で増えています。特に5年前くらいと比べたり、就業形態の多様化で厚生労働省がやっている調査があったと思いますが、そこで増えていたと思います。あとは、人件費を削減するためにパートタイマーを増やすという企業の割合が90年代から急速に増えている。その2つを見ると、やはりかなり非正規の方に増えていて、雇用者は正社員になりたい人が増えているという図になっていると思います。
    坂橘木委員
    そうすると、非正規の人の数が増えているのは主に企業側の要因で増えているというふうに理解してもいいわけですか。
    大沢委員
    私はそう思っています。
    林委員
    これは言い出すと大変なことになるのかなと思っていたんですけれども、私の中でもずっと長い間、余り大事なことになっていなかったんですが、外国人労働者の中のいわゆる不法就労と言われる人たちの数が増えてきていますね。その中でも、女性というのがより実態がつかみにくい状況になっていると思うんです。それは国の施策と非常に深い関係があるという気がしているんです。
     例えば、社会的保護を受けられないような働き方で実際には働いているけれども、働いていることになっていない人たちが増える。そういうことまではここで触れると大変なことになるのかと思うんです。しかし、iloでも既にここのところは問題に今年の総会ではなり始めることですし、アジアの国々からは受入国としての責任として国内法をもう少し整理して社会的保護の範囲で働けるような条件を整えるべきではないかという問題提起を、私などが出ているときにされ出したんです。せめて実態が女性の場合は特につかみにくいという状況にあることとか、現在の単純労働者は就労の許可をしない、受入れをしないということだとか、さまざまなことについて検討を開始しなければいけないというようなことがどこかに書けないか、あるいは実態を把握することに努めるとか、全くないというのでいいかなと、自分の生活の範囲で言えばここなんですけれども。
    大沢委員
    間接雇用では今、増えているという話の中で、更に雇用契約が短くて低賃金の労働者が外国人になって、名古屋周辺に多いという話を聞いたことはあります。
    大澤会長
    この専門調査会のアジェンダにどういうふうに関係してくるかというと、前回橘木委員から、就業調整をする人がいると、その人だけではなくて他の人にも労働条件を下方に引っ張る影響が及ぶという研究結果を御報告いただきました。それで今、林さんが御指摘の社会的保護、ソーシャル・プロテクションのない、働いているのに働いていないことになっている人たちというのは、就業調整ではないけれども、ソーシャル・プロテクションがないので非常に劣悪な労働条件に甘んじて最底辺で働いている。その人たちは自分の労働条件が低いだけではなくて、それに甘んじることによってより上層にある人の労働条件も下から引っ張っている。
     そういう意味では、その人たちがたとえ労働力人口の1%未満であるとしても、ライフスタイルや就業スタイルの選択に何らかの影響を及ぼしている存在であり、それが政府の施策とどう関わっているかというと、出入国管理と同時に国内でのソーシャル・プロテクションが十分及んでいないことと関連しているわけです。しかし、国全体として影響を及ぼすには、クリティカルマスというんですか、量的なある敷居というものを超えないと言及しにくいのかなと。
     逆に言うと、地域によっては労働市場でその人たちの存在がかなり大きいところもあり得るかもしれないので、地域経済への影響では多少言及する正当性が出てくるという気がします。これが1つの点です。
     もう一つは、外国籍の労働力全体の関係で、先進国の中では日本は高度人材の受入れに失敗していると言わざるをえない実態があります。カナダとかアメリカ、オーストラリアは、知識経済化に伴って高度人材を外国から大量に受け入れるために、受入れ条件を早々と改正した上で、特にアジアの高度人材を受け入れることに成功しています。アジアの中にある先進国として日本はそれに成功していないという問題がある。
     一方アジアでは、単純不熟練労働者の移動圧力が非常に強くて、地域統合の動きの中で全体としての労働力移動をどういうふうに取り扱うかというポリシーが整理されていないために、さまざまな問題が生まれています。それがこの専門調査会の任務とどう関わるかというのは、検討を要します。例えば今日の関係資料の1の最初のところにポンチ絵があるんですが、ここには高度人材をどういうふうに受け入れるかとか、そういうことは書かれていないんです。
     ただ、産業構造審議会などでは地域統合と労働力受け入れといった議論はしていたので、何か余地はあるのかなという気はします。多少労働力移動に関する研究の論点などを整理した上でこの専門調査会に関係ある論点を抽出し、関係審議会等のスタンスを引用するという方法はあり得るかもしれません。いずれにしてもソーシャル・プロテクションのない不熟練労働についてのみ取り上げるということは、事柄の量的な大きさからして直ちには難しいんじゃないかという気がいたします。
    佐藤委員
    ここで言うのはちょっと難しいかもしれないですね。課題であることは課題だと思うんですけれども。
     それからもう一つは不法だけではなくて合法、いわゆる日系の人たちは合法なんです。労働市場で言うと、海外に日本の労働市場の飛び地があるんです。ですから、ここまで議論するというのは合法で不法じゃないんです。間接雇用の人たちは合法の人たちがたくさんいて、外国人というか、日本人と同じように働ける人たちがいて、それが飛び地としてある。この中でどういう労働市場政策をやるかということを議論しなければいけないので、そこのところは難しいんじゃないでしょうか。
    永瀬委員
    3点ほどあります。
     まず18ページの「結婚・出産退職等」で丸が2つあって、婚姻、妊娠、出産または産前産後休業所得を理由とする解雇については禁止されているとあるんですけれども、契約期間の終了に関しては禁止にはなっていないわけで、現在非正規の契約期間のある若い女性というのは大変増えておりますので、契約期間の終了による雇用関係の終了というのが実態的には婚姻や妊娠、出産等を理由として起こっている傾向が高まっているということは少し記述していただきたいと思います。
     それから2点目ですけれども、49ページの「家族手当の見直し」のところです。これは前からこういう議論があったと思うんです。それは、配偶者に対する手当というのが就業調整を引き起こしている原因となっており、廃止すべきではないか。私もその就業調整の原因になっているということは非常に問題が大きいと思っています。ただ、これを「全体として本給に振り替えることや」という例示が載っているんですが、大きな目で見ますと、日本に関して言えば児童手当等が非常に貧弱だった。その裏返しとして、企業内福祉として家族の面倒を見てきた。ここのところを、ただ廃止して皆で均等に配りなさいよというのでうまく成立するかというと、私はそうではないんじゃないかと思っていまして、ここをやめるのであればもう少し社会的に国全体の措置として、例えば児童のいる家族に対する配慮を手厚くする。この原資をそのまま児童手当の原資にしてもいいとなるといろいろ反論が出そうな気がしますけれども、考え方としてはそういう方向を少し入れていただいてもいいんじゃないかと思います。
     3点目は、56ページの公務員のところです。公務員のところというのは提言に書くと意外と実現しやすいのかもしれないと思ったり、そんなことはないわけですが、非常勤職員採用の男女機会均等というのは果たしてどんなものか。実態的にどういう効果があるのか。これを入れてほしくないということでは別にないですけれども、従来新卒者を採用して年功的な賃金表の下で長期雇用をするという採用が中心であったのに対して、例えば中年期からの女性の採用ということであっても、ただ単につてをたどって臨時職員として短期間雇うというのではなくて、もう少し公式な形で、恐らく賃金表は違うかもしれないけれども、もう少し違う採用があることが女性の能力発揮ということの一助になるのではないかという見方を私としては持っているんですけれども、ここに書いてある列挙だとそういうことが可能性として入ってこないんじゃないかと私は思います。
    大澤会長
    公務員のところは出ましたので、ついでと言っては何なんですけれども、扶養手当はともかく、配偶者手当を見直してはどうかということはこの専門調査会では結構一生懸命議論をしてきました。生計費を配慮することが法律に書いてあるとしても、分業の利益とか帰属所得ということがあるので、無業の妻がいることで直ちに生計費がかさむというとらえ方はいかがなものかという議論もしました。それから育児休業期間は民間より長いのだから、民間企業で配偶者手当の廃止や見直しが進んでいないとしても公務の方が一歩先んじて見直しということもありうるのではないか。これは佐藤さんの御意見であったと思いますが、その辺のところをもう少しにおわせていただきたいということがあります。
     それからもう一つは小さいことなんですけれども、金融機関の女性行員とか女性職員というのが2か所出てきました。生活経験があるというふうに書いてありまして、そういう女性職員ないし女性行員というのはもっと融資業務なり何なりに配置してはどうかということで、これは自営、起業のところですね。1か所は52ページに出てくるんですけれども、これを受ける部分が中にもう1か所ありまして、これは女性職員だから生活経験があるというふうに書いてしまうのはいかがなものかと思うんですね。男女を問わず生活経験のある、あるいは多様な生活経験を持つ人が融資業務などに配置される必要があり、そこのところで一段論理を積んで、だから女性行員の登用が必要だというように書いた方がいいのではないかという気がしたんです。
    佐藤委員
    生活経験というより、まずは融資するところに女性がいないことが問題なんですね。そういう人たちがそういうところに行きながら子育てなどをするので、当然生活経験もある人が結果として来るようになるとは思うんだけれども。
    大澤会長
    男性でも生活経験を持って融資業務に当たってほしいんです。
    佐藤委員
    そうですね。まず女性がいないということが一番の問題だと思います。
    木村委員
    生活経験というのはもう省いた方がいいんじゃないですか。女性だから生活者として意見を言ってくださいなどとシンポジウムで言われるけれども、おかしいですね。
    永瀬委員
    さっきのところにもう一度戻るんですけれども、(2)のところで就業の選択に中立的でない世帯単位の制度の見直しをするというのはいいとは思いますが、今まで片働き中心で構築されてきた安全ネットをやめるのであれば、それに代替的な安全ネット、つまり出産や育児等を社会的にもっと配慮するということを少し書き込む必要があると私は思うんです。
     社会的な配慮というのは、例えば現在育児休業の対象者になっている人たちというのは基本的には全く正社員に限られていて、例えば妊娠時に仕事を持っている女性というのは決して少なくないわけですけれども、恐らく都会で言えば半数程度はもともと育児休業なんてカバーされていないような働き方をしている人だと。それで、それは本人の好みであるのか、それともそういう働き方になってしまっているのか。そこは議論があると思いますけれども、しかし安全ネットとしての考え方としてはもう少し広げる方向を出した方がいいのではないか。
    大澤会長
    具体的には59ページでセーフティネットと言って段差の話につながっていくところですが、例示が年金制度だけになっているのでわかりにくいかもしれません。そういう育児支援というのはセーフティネットというよりも、ソーシャル・プロテクションですよね。それがやはり包摂的でないことの問題点を例示として付け加えるなりすればいいでしょうか。それで、最後に書くとなると最初の方にもどこかに伏線を張っておいた方がいいかもしれませんが、場所はこの辺りがよろしいでしょうか。そうすると、十分目立つところにくるとは思うんですが。
     高尾さんどうぞ。
    高尾委員
    細かいことからテーマ的なことまで、出しておいたことをいろいろ御配慮いただいてありがとうございます。更になんですけれども、npoのところでして、最低賃金法のことが書いてあるところなんですけれども、論議があるところだというような書き方をここにしてあるんです。
    大澤会長
    両用のとらえ方があるというところですね。
    高尾委員
    そうです。それで、私は男女共同参画社会が進んでいくということは、一般的な有償労働市場というか、営利型の市場一極主義というものがもう少し多極化してくる。そういうことばかりではない社会になってくるというイメージをしているんです。ですから、そのほかにも対営利企業とか、市民社会の強化とか、あとはケア女性の精神的、経済的な希望の実現みたいな意味で雇用の受け皿ということになると思いますけれども、npo活動というのは男女共同参画社会との関係ですごく大事だと思っているんです。ですから、ここで最低賃金法に関して反対意見があるというのは私も聞いておりますけれども、どちらでもいいんだよみたいな書き方をされてしまうとちょっと困ってしまう。それは論議いただかないといけないかと思いますが、やはり最低賃金法を適用するという気持ちが私としては気持ちがあります。
    大澤会長
    確か、雇用者については最低賃金等を遵守しろと書いてあると思いますけれども。
    高尾委員
    読み方がちょっと足りないのかもしませんが。
    参事官
    37ページには十分書いていないですが、55ページの方でボランティアと雇用者を区別した上で適用関係を明確化してほしいということがございます。
    高尾委員
    でも、これはなぜボランティアになっているのかということもあるかもしれないですね。
     それと、やはり無償であったり有償ボランティア程度でありますと、どうしても能力のある方々がどうしても参入しにくいということがあって、スタッフのレベルが下がるなどと言ったら申し訳ないんですけれども、実際的にそういうこともお聞きしたりしますので、広い意味できちんとnpoの方々にもお金を払うんじゃないですけれども、そういうふうな立場を出していくことは大事じゃないかと思います。
     それと、6ページで最後の方の「男女が共に就業とのバランスをとりながら行うことを前提とした諸制度を構築する必要がある」というところです。これは永瀬先生もおっしゃったし、意見にも書いておられるところですごく大事なことだと思います。そして、ちょっと文章的なことになってしまうかもしれないんですが、戦前まではちょっとわからないですけれども、戦後の日本の社会ではとにかくケアをするということがすごく低いものというか、きちんと見つめられてこなかったし、ケアをするということは邪魔者みたいな形であったのではないか。そうしますと、本来人間というのはケアをして、ケアをされて一生終わっていくわけなんです。そういうふうな視点で、どの人も小さいころはケアをされてきたのであり、そしてケアをする立場に回り、またケアをされて亡くなっていくというか、そういうふうなことをよく認識するべきじゃないかと私は思っております。非常に文学的なことになってしまって申し訳ないんですが、そういうことも加味して書いていただくといいかと思います。これは人口問題に関して厚労省がやったシンポジウムか何かで聞いてきたりした意見です。
     あとは文言のことで3ページに「就労」という言い方がここだけあるんですが、これは」「就労」ではなくて全般的には「就業」になっているので「就業」に合わせればいいんじゃないかと思います。
    大澤会長
    それは統一します。それから、書き分けるのであればその理由がわかるようにということですね。
    高尾委員
    そうです。私は「就労」と「就業」の違いがわからないものですから、今はもう時間がないと思うんですが、幾つか政策のところで26日のものとこれとで削除された部分がありまして、削除された部分というのは非常に具体的なこと、例えばサービス残業禁止とか、4か所くらい削除されていますので、その理由を個人的にでも教えていただければありがたいと思います。
    大澤会長
    ちょっと運営が不手際で、時間が過ぎてしまいました。ここで打ち切らざるを得ません。本日いただいた以外の追加コメントについてはまた日数がないんですが、3月5日までに事務局に御提出いただくようにお願いします。
     それから、御欠席の委員のコメントについても事務局で整理をお願いします。
     次回は皆様からいただいた御指摘を踏まえ、論点整理の取りまとめを行いたいと考えております。次回は3月24日月曜日の10時から、第28回会合として開催する予定です。
     事務局からの連絡事項をお願いいたします。
    参事官
    26回の議事録案をお配りしていますので、ごらんいただければと思います。 それから今、会長から申し上げたように、ご意見は、3月5日金曜日までにお願いできたらと思いますが、お忙しくてと言うことであれば、また御連絡をいただければ、もちろんその後でも結構でございますので、よろしくお願いいたします。
    大澤会長
    それでは、これで影響調査専門調査会の第27回会合を終わります。本日はどうもありがとうございました。

(以上)