第19回男女共同参画会議影響調査専門調査会

  • 日時: 平成15年4月11日(金) 14:00~16:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室
  1. 出席者
    • 大澤 会長
      浅地 委員
      岡澤 委員
      君和田委員
      木村 委員
      高尾 委員
      林  委員
      福原 委員
      八代 委員
  2. 議事
    • (1) 影響調査会専門調査会の課題等について
    • (2) ワーキングチーム作業経過について
    • (3) 雇用システムに関する選択肢について
    • (4) 税制・社会保障制度をめぐる主な動きについて
    • (5) その他
  3. 議事内容
    大澤会長
    それでは、定刻でございますので、ただいまから男女共同参画会議の影響調査専門調査会第19回会合を 開催いたします。
     議事に入るに先立って、新任の委員の方もいらっしゃいますので御紹介したいと思います。
     まず、そちらに座っていらっしゃる君和田正夫委員です。朝日新聞社専務取締役でいらっしゃいまして、小島さんの後任 として1月に男女共同参画会議の議員に就任され、同時に当影響調査専門調査会にも所属されることになりました。その 後、この調査会が開かれておりませんでしたので、今回が初めての御出席になります。一言ごあいさつをいただきます。
    君和田委員
    君和田です。初めてこういう会議に出ますので、よろしくお願いいたします。編集と出版の担当をしており まして、こういう会議に出るのはよくないという空気がうちの社内にはあるんですけれども、この男女共同参画会議という のは野党の反対なしで成立した法案だということで、国民の共通の願望であるということで出てくることになりました。どう ぞよろしくお願いいたします。
    大澤会長
    大変ありがとうございました。このほか、本日付で新たに3人の方が当調査会に所属する専門委員に就任さ れています。
     まず、私の隣にいらっしゃいますのが日本ビルサービス株式会社社長の浅地正一さんでございます。一言ごあいさつを お願いいたします。
    浅地委員
    浅地でございます。この間、3月まで日本商工会議所東京商工会議所の労働委員長を務めさせていただい ておりました。この男女共同参画ということにつきましては雇用機会均等という場面ではいろいろ御指導をちょうだいをいた しましたが、30年くらい前に中国に行きましたときに毛首席が、天下の半分は女性だと言っていたという語録みたいなもの を教わったり、私の学校ですが、福田先生がアメリカへ行って一番びっくりしたのは奥様が座っていて御主人がお茶を持っ てこられたということだというようなことを考えますと、私の発言すべきことも限られてくるかなと思っておりますが、よろしく お願いをいたします。
    大澤会長
    どうぞ御遠慮なく御意見をいただきたいと思います。
     それから、そちらにいらっしゃいますのが日本経済研究センター理事長の八代尚宏さんです。一言お願いいたします。
    八代委員
    日経センターの八代でございます。私は基本問題専門調査会の方の委員をずっとやっておりまして、この度 こちらもやれということですのでよろしくお願いいたします。
    大澤会長
    どうもありがとうございます。また、先般はヒアリングにもおいでいただきまして大変ありがたい御意見をいた だきました。
     それから、今日は御都合でお見えになっていませんけれども、東京大学社会科学研究所教授の佐藤博樹さんも専門委 員に就任されています。皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
     それでは、お手元に議事次第がございます。これに従いまして、本日の審議を進めてまいります。今後は、より雇用シス テムに力点を置いて検討を進めるということになっております。本日は、その第1回目の会合ということになります。
     そこで、まず事務局から当専門調査会の課題と、積み残しになっている具体的な問題点の説明をいただきます。では、 お願いいたします。
    事務局
    では、資料1をお出しいただければと思います。
     「影響調査専門調査会の課題等」となっておりますけれども、そうしたことに関連すると思われる規定などを男女共同参 画社会基本法や、男女共同参画基本計画などから拾ったものでございます。
     まず、基本法の方でございます。第4条にありますように、社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の選 択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとするように配慮されなければならないという基本的な考え方があるわけ でございます。
     そして、18条で、国は社会における制度又は慣行が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響に関する調査研究を推進 するように努めるものとするとされておりまして、男女共同参画会議はこのことに対しまして何をするかと言いますと、次の 2ページ目に移っていただきますと、第22条の4で下線がございますけれども、政府の施策が男女共同参画社会の形成 に及ぼす影響を調査し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣及び関係各大臣に対し、意見を述べることとなってお ります。
     次に、3ページに移ってこうした基本法の規定を具体化しました男女共同参画基本計画を見ますと、税制、社会保障制 度、賃金制度等、女性の就業を始めとするライフスタイルの選択に大きな関わりを持つ諸制度・慣行について、個人のライ フスタイルの選択に対する中立性等の観点から総合的に検討する。これは平成17年度までに実施するという扱いでこの 計画に書いてございます。
     これを受けまして、この影響調査専門調査会が一昨年の平成13年の5月から開かれておりまして、昨年の4月には中間 報告をまとめていただきまして、その後、国民からの意見などを募りました後、昨年の12月に税制や社会保障制度に力点 を置いて報告をまとめております。これは、税制や年金の改革をめぐる議論が急速に進展してきたということも背景にある わけでございますけれども、12月の報告の「おわりに」の部分にございますように、「今後、より雇用システムに力点を置 いてライフスタイル選択への中立性の観点から検討を進めていきたい。なお、税制や社会保障制度についても、今後政府 内で改革案等の検討が進められていくため、引き続き、必要に応じ検討を加えていきたい」ということになっておりまして、 このように今年の1月の男女共同参画会議に報告をしております。
     なお、局長の方から報告、取りまとめの時期などにつきまして一言、説明いたします。
    坂東局長
    この影響調査専門調査会の方で、雇用システムについて御検討いただいたまとめにつきましては、できれば 平成15年度中にお願いをしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。約1年をかけてまとめていただこうと考 えております。その途中で、中間的にまとめる必要があればまた御相談をいたしますが、その必要がなければ1年かけて ということでよろしいのではないかと思っております。
    事務局
    では、引き続きまして次に資料2の御説明をさせていただきます。
     これは中間報告を昨年の4月にまとめていただきましたけれども、それへの国民への意見や委員の方の意見、それから 12月の報告における対応状況をまとめたものでございます。昨年の9月には議論のたたき台ということで似たような資料 をお示ししておりますけれども、一番左の中間報告の項目、それから真ん中の中間報告の意見等、その右側が昨年9月 には対応例ということで今後の論点みたいなことを挙げてあったんですけれども、今回は12月報告における対応状況とい うふうに変わっているわけでございます。
     税制や年金などにつきましては、その12月の報告で一応の対応はしたと思われますけれども、雇用システムはまだまだ でございまして、まだまだと思われるところに下線が引いてございます。例えば2ページをお開きいただきますと、一番下 のところの<4>で「専業主婦の優遇は不可能か」というような議論があります。これに対しては一番右側で、雇用システムは 今後力点を置く予定というふうに整理したわけでございます。
     3ページ目に移っていただきまして、下の上から2つ目のポツの方に、女性が働き易い制度が整いつつあるが、男性の 意識改革や事業主(特に中小企業)の意識改革が遅れ、制度が機能していないというような意見がありまして、それも検 討課題でございます。
     4ページに移っていただきまして、一番上ではディスカレッジド・ワーカーの関連の指摘が必要ということもありますし、真 ん中の辺りの「<1>保育所の利用」に関しまして2つほどポツがございますけれども、自営業の妻は保育所の利用が容易だ が、専業主婦は困難ですとか、その下のポツで、専業主婦は幼稚園を利用せざるを得ないが、保育所と異なり補助金が ないというふうな意見もありまして、これらに対しては適切なデータを探したんですけれども、見出せないで報告をまとめる に至ったというような状況でございました。
     5ページに移っていただきますと、上の方で、いわゆる103万円問題、130万円問題に対しまして、中間報告は質的な議 論が多くて量的な議論が余りないという議論がありまして、右側にありますように、そのような量的な分析は一般的に余り 存在しないということもあるんですが、後ほど御紹介しますけれども、全国消費実態調査の個票が手に入りましたので、そ の分析もしていただくというようなことにはなっております。
     それから、真ん中辺りで「就業調整の要因」ということでございまして、労働供給側にも着目する必要があるというような 指摘もございます。
     それから、一番下の「その他」のところで2つポツがありますけれども、女性非正社員の仕組みを企業は悪用しているの ではないかですとか、就業調整以前の問題として正規・非正規労働者間の賃金格差が指摘されるべきという意見もありま した。
     6ページに移っていただきますと、一番上の方にパート労働の増加は自発的選択によるものではなく、やむなく選択して いるのが実態ですとか、あるいは次のポツで女性の再就業を阻む要因は女性差別と年齢差別の複合差別であるというよ うな指摘もあります。
     それから、引退に関して、企業年金について中間報告では企業年金だけを取り上げていたんですが、それだけを取り上 げるのではなくて退職一時金も含めた退職金全体を対象としなければいけないというような指摘もありまして、右側にあり ますように退職一時金に関するデータ記述は追加しております。企業年金に比べれば、より中立的だったというような結 果が出たんですけれども、賃金を含めた報酬全体をどうするかという点は残された課題でございます。
     次に8ページまで飛んでいただきますと、真ん中辺りから現状を踏まえた政策等の方向に入っていくわけでございますけ れども、1つ問題点として一番右側の方にございますが、委員からの意見として、本丸は雇用システムという点では一致し ている。しかし、政府の政策が主たる検討対象であることからすると、雇用システムにどこまで踏み込めるかという問題が あるということが多数委員の意見でございます。
     次は各制度ごとの具体的対応の方向でございますけれども、税制、それから年金については一応の対応はしているか と思います。ですが、14ページの真ん中の上から3つ目にもございますけれども、遺族年金の掛け捨て問題は生涯賃金 の格差の故。男女の賃金格差が解消されればいいというようなことで、年金ですとかも雇用システムに絡んでくる面も大 きいわけでございます。
     同様の問題として、15ページの上から2つ目のポツで、今、厚生年金の適用拡大の必要性が言われているわけですけ れども、適用を拡大すると賃金が低下して就業率が低くなり、かえって女性の就業を阻害するというような意見もありま す。
     17ページまで飛んでいただきますと、年金で残っているところということで右側の方の下の方にございますけれども、12 月の方向では第2号と第3号の問題は中立性の観点からということで整理してかなり詳細に扱っていただきましたが、第1 号と第3号の間の問題で、第1号の自営業の方や専業主婦の方など第3号の間の問題は、主として公平性の問題からい ろいろ問題が指摘されているということで取り上げてはおりません。
     19ページまで飛んでいただきますと、右側の方にございますけれども、これは医療・介護保険のところでございます。12 月の報告では、右側にございますけれども、「健康保険制度の被扶養者認定についても厚生年金と同様の問題があるこ とから、健康保険についても整合的な見直しが行われるべきである。必要に応じ、当調査会でさらなる検討を行う」という ふうにしております。介護保険についても同様という整理でございます。
     1枚飛んで、21ページからが雇用システムでございます。まず、総論全般として最初のポツが2行目にありますけれど も、他の部分に比べ具体的記述が少なく、もっと具体的な踏み込みが必要という指摘もありますが、2番目、3番目のポツ にございますけれども、労使自治で行うことが必要、それから、労使の自治で決定されるべき、こういう考え方もあるわけ でございます。
     次は、ワークシェアリングでございます。これは、ここから雇用システムの具体的事項に入りますけれども、中間報告で はそのワークシェアリングについて内外の動向を見ておりまして、おおむねワークシェアリングについては好意的な書き方 をしていたのでございますが、次ページに移っていただきまして最初のポツにございますように、部分的ないいとこ取りは かえって女性に不利ですとか、ワークシェアリングには直接関係ありませんけれども、2つ目のポツで2人で1.5人分では なくて1人でも生きられる個人単位が重要であるという考え方もあるわけでございます。
     それから、今後の方向につきましては一番下にございますけれども、まず「日本型均衡処遇ルール」という言葉を中間報 告で使っておりまして、「日本型」はよくない、取り去るべきだという意見がありまして、これはひとまず「均衡処遇」というふ うに置き換える形で処理はしております。
     次ページでございますけれども、業績評価につきましては2つ目のポツの2行目にございますが、能力や意欲に応じて パートの処遇が個人別に開いていくかもしれないという見方もありますし、次のポツで年功賃金制でございますけれども、 これは単に勤続年数に応じたものではなくて熟練度の高まりにも応じたものであるととらえれば、仕事の評価に応じた賃 金という考え方も入ってき得る、ただ、完全に仕事の評価のみに応じて賃金を決めるとなると日本ではできないと言われて しまうというような意見もございます。
     次のページに移っていただきまして<3>でございますけれども、女性の二極分化というような意見もあります。最初のポツ の2行目にございますけれども、個人単位化すると時間を選択した人は賃金は高くなるけれども、雇用は不安になり、二 極分化が進む可能性があるという御指摘もあるわけでございます。
     次に<4>の「同一労働同一賃金」につきましては、先ほどのような意見もありますし、最後のポツの2つについては同一労 働同一賃金が非常に重要というようなことを指摘しております。
     それから次のページで<5>の「均等待遇」についてでございます。最初のポツは先ほどの退職金に関する意見でございま すけれども、そのほか2つ目のポツにございますけれども、正規労働者と非正規労働者との間の均等待遇を重視すべき というような意見があります。
     次のページに移りまして、<6>の「働き方の問題」につきましては最初のポツで、長時間拘束を働く場所でかけるという働き 方の問題が基本的に一番大きいという意見がありますし、それから2つ目のポツで仕事と子育てというよりもワークとライ フのバランスを取るのが重要ではないかと、こういった意見もあるわけでございます。
     それから一番下で、「良好」な労働形態とか選択肢といった表現があったのでございますが、「良好」という表現は適切で はないというようなことをあちこちからいただいておりまして、単に「選択に中立」といったものに変えております。
     そのほかとして27ページに移っていただきまして「子育て・両立支援、少子化対策」、これに関しては非常にたくさんの御 意見、御指摘をいただきました。12月の報告では右側にございますように、序説、それから真ん中辺りの政策の基本的な 考え方といったところでそれぞれ子育て支援策が必要といったようなことを関連する事項として設けて記述しております。
     けれども、選択の中立性を確保するための施策というのは必ずしも整理ができませんで、具体的政策までには踏み込 んでおりませんで、留意事項として限定しているわけでございます。単に少子化対策と言いますと、むしろ中立性を崩そう というふうに解釈できることも多うございますので、それは政策目的として国民の合意があれば全く構わないのでございま すけれども、この調査会で直接扱う問題としてはどうかなという問題があるわけでございます。私の方の説明はとりあえず 以上でございます。
    大澤会長
    ありがとうございました。新しいメンバーの方がいらっしゃいますので念のために申し上げますと、12月の報 告というふうに度々メンションされましたのは、ここにございます報告書です。
     雇用システムに関してはいろいろな観点があり得て、議論をすると全面的になるんですけれども、この専門調査会の任 務としては女性の就業を中心とするライフスタイルの選択に対する中立性という観点からアプローチをするということを、 今の事務局の御説明で確認していただいたことと思います。御意見や御質問がおありでしたらお願いいたします。
     それから、4月8日に参画会議が開かれました。新聞で結構大きな記事になっておりましたので御承知の方も多いとは 思いますけれども、簡単に御報告願えますか。
    坂東局長
    それでは、後で資料をお配りいたしますが、4月8日の第10回の男女共同参画会議には総理、官房長官に 御出席いただきましたが、そこで女性のチャレンジ支援策について決定をしていただきました。女性のチャレンジ、「上」 へ、「横」へ、「再び」という言い方をしておりますが、もっと政策決定へ参加する人を増やそうというのが「上」へのチャレン ジ。「横」へというのは、今まで女性たちが余り向いていないとか、少ないとかというようなことで、女性向きでないと思われ ていた非常に女性の参画の少ない科学技術ですとか、エンジニアリングですとか、そういったような分野にもっと女性をと いうことです。それから「再び」、これは女性のチャレンジ支援と言いますと、いわゆるエリート的な女性を頭に置いている のではないかという批判があるんですけれども、たくさんの子育てで一たん家庭に入った人たちがもう一度いろいろな分 野に参画できるようにするということもチャレンジの大きな柱だということで、この3つの柱を掲げております。
     そして、具体的にどういったようなことをするかということで、まず大きく打ち出しておりますのは、2020年にあらゆる分野 での主導的な地位につく女性の割合を30%というふうに言っております。これは、1990年にナイロビ将来戦略の勧告で、 95年までに30%にしろという国連の文章がございます。ですから、四半世紀遅れですね。1995年と国連は言っております が、日本国は2020年までに30%になることを期待するというふうな言い方をしていただいております。そして、それを実現 するためには各分野でいろいろな形のポジティブ・アクションをとっていただく、あるいはまた公契約とか補助金といった手 法も研究をする。男女共同参画局の方でもポジティブ・アクションについての研究会を設け、逆差別といったようなそしりを 受けないように、どういう形でやっていくのが一番望ましいのか、研究をするといったようなことを言っていただいておりま す。
     もう一つは、特に再チャレンジ等々をするような女性たちはどこへ行って相談をすればいいのか。あるいは自分は何に 向いているのか。何ができるのかわからないというような人たちがたくさんいるわけですけれども、そういう人たちがワンス トップで情報が得られるように、各省庁の縦割りの情報を一元化してワンストップで手に入れるようなネットワークをつく る。あるいはまた、チャレンジ大賞というような実例を検証するとか、あるいはチャレンジ応援隊といったようなものをつくる とかというふうな形で、社会全体の気運を盛り上げていってはどうかといったようなことを提言していただいております。
     手元に資料がございませんので、大変雑駁な御説明でお許しください。
    大澤会長
    どうもありがとうございました。そういうふうに積極的に前に進めるというのは、ほかの専門調査会が提言さ れて、会議でも既に報告了承されているということですけれども、この専門調査会は既存の制度とか、あるいはそれに代 替するものとして提案されていくような制度について中立性の観点から検討をする。そう言ってしまうと割と地味な調査研 究をするところでございます。12月の報告を出して以降、例えばこういう意見があったというようなことをお耳にしていらっ しゃいましたら、その御紹介などでも結構なのですが、いかがでしょうか。
     それでは、御質問等はないようですので、次に議事次第の3番目にございますワーキングチームの作業経過について の報告に移りたいと思います。この調査会の議論を支援するために、2つのワーキングチームが作業をしております。1つ はモデルケースに関するもので、もう一つが事例研究に関するものです。あまりこまめにこのワーキングチームの作業経 過の報告をしてまいりませんでしたので、ひょっとしたらお忘れになってしまった方もいらっしゃるかもしれません。
     まず前者のモデルケース・ワーキングチームの方の作業ですけれども、発足当初から取り掛かって申請をした全国消 費実態調査の個票データが、昨年の10月になってやっと入手できました。現在、鋭意作業中ですけれども、皆様に具体的 な作業結果をお示しできるのはもう少し後になると思います。夏休み前に御報告できればいいと思っておりますけれども、 多少遅れるかもしれません。
     それからもう一つ、事例研究のワーキングチームについては事務局が作業経過の報告をまとめていますので、まず説 明をしていただきます。これは、中立性の観点から社会制度や慣行を検討していくときに、どういうふうに議論を進めていく か、その参考になるものと思います。それでは、説明をお願いいたします。
    事務局
    それでは、資料3をお出しいただければと思います。こちらは影響調査事例研究ワーキングチームによる作業 経過報告でございます。
     資料の1枚、2枚目にございますように、これまで4回ほどの会合を開いておりまして議論しております。なぜこうしたこと を行うかということでございますけれども、2ページをお開きいただきますと、2の「国が行う男女共同参画影響調査の内容 等」の(1)とございますけれども、男女共同参画会議が行う調査が男女共同参画基本計画で規定されております。具体 的には、<1>「調査の対象となる施策・影響」として、政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響を調査すること になっております。中身については注にございますように、中立的になるようにということが中心でございますけれども、も ちろんそれ以外の観点もあるわけでございます。
     <2>でございますけれども、「調査の実施に当たっての府省の連携」ということで内閣と各省が連携して行う。
     次の<3>が具体的に効いてくるわけですけれども、「調査手法の開発」ということでございまして、事例研究を行って効果 的な調査手法を開発するということになっているわけでございます。
     具体的には次のページの(3)でございます。「平成17年度末までに実施する主な具体的施策」といたしまして、1つには <1>政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響についての調査の実施でございまして、ここに効果的な手法を 確立し、的確な調査を実施するということになっているわけでございまして、これをやっているのが影響調査事例研究ワー キングチームというわけでございます。
     もう一つの17年度末までに実施する課題は、<2>にございますが、「個人のライフスタイルの選択に中立的な社会制度の 検討」ということでございまして、こちらの方は影響調査専門調査会においてまさに検討いただいているというわけでござ います。
     次ページに移っていただきまして、3の「これまでの事例研究から示唆される影響調査の手法の例」ということでございま して、実はそうした手法として使えるのではないかというようなものが幾つか浮かび上がってきております。
     主なものは2つございまして、最初は(1)の「制度・慣行→影響アプローチ」と名前が仮に付いておりますけれども、もう 一つが逆に今度は影響から制度・慣行にアプローチするというやり方でございます。次の5ページからの例を見ていただ いた方がわかりやすいと思いますが、まず最初は制度・慣行から影響の方にアプローチするということでございまして、こ れは税制を例に取って示しております。流れとしましてはまず左側にありますけれども、<1>にございますように、検討対象 とする制度・慣行にどのような選択肢があるか、選択肢をまず明らかにするということでございます。税制でございますけ れども、その右側にありますように、年収は103万円以下になるように働くか、それとも年収が103万を超えて働くかと、こう いうふうに考えられるわけでございます。
     次の段階として<2>-1でございますけれども、どの選択肢が実際に選択されているかを調査するということでございまし て、右側にございますが、所得分布を女性パートタイマーについて見ますと、年収の90万円から103万円のところが一番 高くて、それから先はがくんと落ちているというようなことで、実際は103万円以下に選択されている方がかなり多いわけで ございます。
     次の流れとして、<2>-2でございます。今度は、各選択肢への国民への選好度を把握するということでございまして、こ れは税制の場合で右側を見ますと、潜在的な労働力は高うございますし、パートタイムを子育てが終わって選ぶ方は多い んですけれども、その理由としては、正社員として働ける会社がないという割合が増加しておりまして、正社員になって103 万を超えて働きたいという意向は潜在的には非常に強いものと思われます。
     次の流れとしては<3>-1で、各選択肢が選ばれた理由は何かということでございます。これは右側に2つばかりあります けれども、103万円を超えると税金を支払わなければいけないということがありますし、それから一定額を超えると税制上 の配偶者控除がなくなって配偶者特別控除が少なくなるというようなことを挙げております。
     それから<3>-2でございますけれども、次は各選択肢が所得等の面でどういう違いをもたらすか適切な指標で明らかに するということで、これは影響調査専門調査会の報告にもございますけれども、右側にありますが、年収103万円を超えな いように調整しますと。実際にその控除が適用されて減額された金額というのは生涯を通じて112万円程度にしかならない んですが、ずっと就業調整をしないで働いていると、そうでない場合と比べて1億円以上違ってしまうということで、100万と 1億が就業調整の結果で、得るものと失うものはかなり差がございます。
     最後に<4>で、自由な選択を可能とする上で改善が必要と認められるときには中立性確保のため制度・慣行を見直すとい うことで右側にございますけれども、影響調査専門調査会の報告では配偶者控除、配偶者特別控除は国民の負担に与 える影響を調整するよう配慮しつつ縮小・廃止というふうに整理されたわけでございます。
     次に、6ページに移っていただきまして年金の例でございます。3つばかりございますけれども、まず遺族年金のいわゆ る掛け捨て問題の例でございます。これはまず<1>でどういう選択肢があるかですが、年金の場合は2つの選択肢があっ て、一般労働者として就業し厚生年金にも加入する。もう一つの選択肢が、就業調整を行って第3号被保険者にとどま る。 次に<2>-1でどの選択肢が実際に選択されているかです。これは右側にありますけれども、8割程度が遺族厚生年 金を選択しているというのが実態で、若いときに働いて納めた保険料が自分の給付に結びつかないという掛け捨て問題が あるわけでございます。
     <2>-2に移りまして、環境条件が変化した場合等の再選択の難易度、こういった変形も考えられるわけでございまして、 年金の場合には保険料納付記録というのが一度されてしまいますと事後的に変えることはできませんので、この意味で はやり直しがきかないというようなことでございます。
     そういったことを踏まえて改善が必要かどうかということに対しては、この問題に対しては、厚生年金の短時間労働者へ の適用拡大を図るということです。次に、所得分割が導入され、これを選択した者については掛け捨て問題は生じない。こ ういうふうに整理しているわけでございます。
     次が遺族年金受給開始後の再婚でございまして、どういう選択肢があるかについては、配偶者が死亡して既に遺族年 金を受給している場合ですけれども、再婚するかどうかという選択肢があるわけでございます。実際にその選択肢はどち らが採用されているかですけれども、再婚してしまうと遺族年金というのはストップされてしまいます。そういうことで具体的 統計データはないんですけれども、再婚を控えるというような非中立的な影響は考えられるわけでございます。実際、遺 族年金がもらえなくなってしまうので再婚できないというような声はよく聞くわけでございます。
     では、どうしたらいいかというのが<>3でありまして、仮に所得分割が導入されればそういった事態の発生は少なくなるの ではないかと整理したわけでございます。
     また次に移っていただきまして、年金の最後で、老齢年金の支給が開始された者との結婚とあります。どういう選択肢が あるかでございます。老齢年金の支給が開始された者、あるいは開始が間近な者でもいいんですが、そういった方と結婚 するかどうかという選択肢があるわけでございます。どういう選択肢が実際に選択されているかですけれども、仮に結婚 して結婚相手が死亡すると、年金の保険料という形もありますし、家事とか子育てとか、実質的ないろいろな貢献がなくて も遺族年金を受給するという丸取りが可能でございます。
     具体的な統計データはないんですけれども、遺族年金が比較的高額の場合、例えば厚生年金ですと20万円くらいにな ることがありますので、そういったものと、それから遺産、これは例えば家ですね。家と20万円くらいあれば死ぬまで暮ら せるというようなことがありまして、一つの動機になり得るのではないかというようなことはございます。
     では、どうしたらいいかということで2つございます。所得分割が導入されればそういった事態は少なくなるでしょうし、所 得分割制度が導入されなくても「貢献なくして受給なし」という原理を貫徹して、遺族年金受給額を当該配偶者との婚姻期 間で調整するというようなことを検討すべきとか、こういうような意見を言っているわけでございます。
     次の8ページに移っていただきますと、これは全く今までと逆のアプローチで、今度は影響から制度・慣行の方にいくア プローチでございます。どういうことかと言いますと、検討対象の施策に関して指標を男女別に収集して、男性と女性で比 較するということでございまして、これは千葉県の方でやっております「健康ちば21」というのを例にしております。こちらは 「健康ちば21」を策定するに当たって男女別にデータを収集されたようであります。
     次のステップとして、そのデータから男性と女性について明確な違いが存在するか否かを検討するということでございま して、男女別死因と女性特有の疾病、これはいずれを見ましても死因については男女別に明らかに違っておりますし、そも そも女性特有の疾病は違っております。ところが、診療の方は男女全部一緒ということでございます。
     <2>でどういった制度・慣習がそういう結果をもたらしているかでございますけれども、日本ですと疫学調査などの医学研 究は一部の女性生殖器や乳腺に関するものを除くと、すべて男性をモデルとした上で男女を区別せずにデータを取得し、 その結果を女性にも適用している。一方、こうした研究の実態などを反映しまして、診療等が男女の特性に応じた形で行 われていないという問題があるわけでございます。
     ではどういうふうに見直すかでございまして、疫学調査など医学研究における男女別データの取得の促進を図るという ことになるのでしょうけれども、なかなか進みませんので、千葉県の方では女性専用外来を県立病院に設置した。なお、 知事の記者会見を見ますと、男性専用外来についても将来あってもいいというふうに答えられているようでございます。 次ページでございます。今度は参考になるかなと思われるような事例でございますけれども、男女別の外来と同じアプ ローチで影響→制度・慣行アプローチの参考になりそうなものでございます。これは滋賀県でやられているものでござい まして、中身は右側を見ていただきますと、モデル地域を指定して、2行目にございますけれども、地域の課題を成人男女 に対してアンケートを実施する。例えば、介護ですとか、行政への参画、それから祭礼への女性の参加、結構男女で違い が出てまいります。そういうことで対応も違ってくるということで、これはまだ勉強している途中でございますけれども、何か 参考になるのではないかという事例でございます。
     そのほか、イ)の方はこれまでの2つのアプローチは全く当てはまらないものでjicaのプロジェクトの評価でございまし て、これはプロジェクト等の段階ごとに男女共同参画の観点から影響を評価する上で、各段階でチェックリストなどをつくり ながらチェックしているようでございます。
     次の2の「パートタイム労働の労働条件改善」、これは三菱総研の方でやっているんですけれども、マクロ経済モデルを 使って定量的にいろいろ分析しているという意味では参考になるかと思います。
     次のページに移っていただきまして、防災に対しても今、研究いただいているんですが、特に阪神・淡路大震災で男女共 同参画にどういう課題があったかということを詳細に研究しました。1つ確実にわかったのは平常時に存在している慣行が 震災後、短期間に凝縮して男女共同参画の問題として噴出してくるということです。例えば仕事ですと、大手スーパーなど で女性パート労働者が多く解雇されたりとか、あるいは、女性は家事負担があることから男性のようにすぐ仕事に復帰で きなかったとか、あるいは家庭について見れば、家庭内での性別役割分業が震災後に強くなったとか、あるいは、増加した 家事負担や家族的な責任からストレスやptsdが生じたとか、あるいは地域で見ますと特に男性のアルコール依存とか 孤独死というのが結構、震災後増えているというようなお話もございました。
     そういうことでございまして、ではどうすればいいかというのは今後の課題ということで残っているわけでございます。
     以上が作業の概要でございます。
    大澤会長
    どうもありがとうございました。説明がたくさんございまして、恐縮ですけれども、御意見や御質問をいただけ ればと思います。
    八代委員
    今の作業ワーキンググループの方ですけれども、5ページ目に配偶者控除特別控除は国民の負担に与え る影響を調整するよう配慮しつつ縮小・廃止というのは、例えば減税を基礎控除拡大とか、そういう形でいわゆるレベ ニューニュートラルな形でやるという意味ですね。つまり、控除がなくなった人は当然負担増になるわけで、それを防ぐこと はできないというのはよろしいわけですね。
    事務局
    後で資料で御紹介しようと思っていたのですが、簡単に申し上げますと、配偶者特別控除の上乗せ部分がなく なることはもう決まっておりますけれども、これに対応して2,500億円をかけて児童支援とかという形で行う。どういったやり 方でするかを関係者の間で、恐らく来年度予算になると思いますが、それに向けて協議していくということで、これは現在 起こっていることでございます。それで、例えば配偶者控除自体どうするかというのは結構幅広い問題が絡んでくるとは 思います。後ほど資料で御説明いたします。
    坂東局長
    いろいろ比較してみますと、ほかの国に比べたら日本は児童関係の支援が特に手薄い。そちらの方を非常 に手厚くするべきではないかということがにじみ出るようなバックデータはあるんですけれども、具体的に児童手当を増や しましょうとか、そういったようなことはここでは提言しておりません。
    大澤会長
    にじんでいるという程度ですね。
    事務局
    報告でも去年御議論いただいたんですが、基礎控除を増やすというような発想もあるんですけれども、そうす ると設計の仕方によってはまた新しい就業調整の問題が発生するというか、103万円問題が例えば基礎控除が70万円く らい上がって170万円問題になってしまうという問題もないわけではなくて、制度が幾らでも複雑になってよければそういう 問題は防げるんですけれども、実際にどういうものをやるかという際には中立性にも留意しなければいけないというような ことは御議論していただいてはおります。
    大澤会長
    同じ5ページなんですけれども、事務局の方で計算していただきまして、就業調整をしても生涯を通じて税金 が軽くなるのは結局112万円程度、しかし継続勤務をしなかったことによって失う可処分所得は1億円以上というような計 算結果を出しました。これはそれなりに注目された計算結果だとは思うんですが、ずっと正社員で勤め続けて、給料もそれ なりに上がっていくという継続就業のモデルで設定していますね。これが大変レアケースであって、それと比べて1億円以 上減少するからといってどうなのかというような御質問や御意見は、私はいただいたりしております。
     あとは、選択、選択と言うけれども、実際には選択肢がないじゃないかという御意見もございます。専業主婦がいきなり働 き始めようとしても雇ってもらえるわけでもないし、103万円の壁とか言っても200万円以上稼ぐのはほとんど不可能なの で、選択肢は事実上ないではないかという御意見も、これは中間報告のときからですけれども、結構聞こえてまいります。
     その辺の選択肢があるのかないのかというのはこの後、分厚い資料4で説明をしていただく予定ですけれども、御意見 や御質問はいかがでしょうか。
    君和田委員
    本筋の話ではないのかもしれませんけれども、千葉の例というのはこういう専門調査会の対象になるん ですか。千葉県にこういう病気が多いというのはかなり有意な数字、統計になっているんですか。これが男女共同参画と いかなる関係があるかというのはなかなか理解しにくいんですが、統計の取り方が悪いという、それだけの話でもないんで すか。
    大澤会長
    そうなんですけれども、これはジェンダー統計とか略称して呼ぶこともございますが、要するに男性と女性で は状況が違っているということが、一般の方にもわかりやすい形できちんと統計結果が提示されているかどうかということ と、それから提示されているだけではなくてそれが施策の立案等においてきちんと踏まえられているかどうか。それをしな いと、ここに書いてあるように男性をモデルとしてあるいは男女の区別をしないで得た事実認識を機械的に女性にも適用し てしまう。あるいは逆のこともあるかもしれない。
    君和田委員
    これは千葉県特有のことなんですか。
    大澤会長
    これは日本における疫学調査などの医学研究全体のことで、千葉県が先進的に女性専用外来の取組をお 始めになったということです。それで、追随する自治体というのはどんどん増えていまして、東京都でも今年度予算で措置 されているようです。
    君和田委員
    医療もビジネスだとすると、こういう病気が多いということになればそういう施設が増える。現場ではその 実態が反映されるんじゃないんですか。ここに、診療等が男女の特性に応じた形で行われていないとありますね。マー ケット原理が動いて、この地域はこういう病気が多いということになればそういう施設が増えるといいますか。
    坂東局長
    そういう点では、今まで見えなかったものが、性差を考慮した医療という新しい分野があるということが見え てきたので、千葉県に追随して新しくサービスを提供するところが今、増えつつあるということだと思います。
    君和田委員
    医療統計が怠慢なだけに見えますけれども。
    坂東局長
    そういうような今まで気が付かなかったことが見えると、新しい対応、新しいそれこそビジネスもあり得るんだ ろうということの一つの例で、ここの専門調査会で医療について、性差を考慮した医療について議論していただくということ は全く考えておりません。
    事務局
    あくまでも効果的な調査手法を事例研究した上で開発、その結果を地方公共団体などにも提供するとか、そう いうことも一応任務の中には入っていますので、個別の特別な事例を取り上げるというよりも、手法としてここで取り上げさ せていただいたということでございます。
    浅地委員
    今日初出席でございますのでわかりませんが、ボランティアという言葉が最近いろいろな場面で出てきます ね。仮に淡路の震災というと、今までは親戚だけだったけれども、今はngoとかnpoとかいろいろ皆やっている。ボラン ティアの位置付けというのはどこかで論じられておるのでしょうか。男とか女とかを問わず、ボランティアというのは何かを 考えれば考えるほどわかりにくく、私たちのイメージにあるのは有料ボランティアとか、あるいは時間の過ごし方としてのボ ランティアとか、国を超えてのボランティアとかですね。
    大澤会長
    資料4の後ろの方でそれについてはデータを集めていただいております。
    事務局
    ただ、位置付けまでいっているかどうか疑問です。
    浅地委員
    載せていただいていればそれだけでも幸せです。
    大澤会長
    君和田委員の御質問は、もしかしたら県立病院でわざわざやることはなくて、需要があれば供給が発生す るのではないかという御趣旨でしょうか。
    君和田委員
    県立であってもはやらないというか、余り患者の来ない科はおのずから減っていくというようなことはない んですか。あるいは、需要の多いところは増やしていくとかですね。
    大澤会長
    なかなか自ずからというふうにはならないかもしれないんですけれども、逆に言うと小児科の救急医療みた いに、公立病院でないと提供できないようなものについては需要の総量はともかくとして、どうしても救急救命ということで 対応しなければいけないというのは、公立病院なり何なりで対応するという住み分けはあるんだと思います。
     それから、民間での女性専用外来のようなものも東京では登場してはおりますけれども、どこも予約がいっぱいで電話 をしてもなかなかつながらない状況のようでございます。
     よろしいようでしたら、その次の議事次第の4番目の雇用システムに関する選択肢というところに進めさせていただきま す。今、資料3に基づいて説明していただいたような手法を雇用システムに適用するとどうなるかという観点から基礎的な データをまとめていただいていまして、資料4という分厚いものになっておりますけれども、どうぞ説明をお願いいたしま す。
    事務局
    それでは、手短に説明申し上げます。
     資料4をお出しいただければと思います。先ほど、御紹介がありましたように事例研究ワーキングチームの報告で、制 度・慣行から影響へのアプローチですね。税制とか年金でやってきたようなアプローチを雇用システムに試みに当てはめ てデータを整理してみるとどうなるかというものでございます。
     目次にございますけれども、人生の段階を学卒後就業ですとか結婚ですとか世帯の持ち方とか6つのステージに分け まして、各ステージごとに幾つか選択肢の命題をつくって、それについて関連データを調べるというようなことをやっており ます。例えば1ページ目の学卒後の就業につきましては選択肢は何かという命題としてa、b、cと3つ挙げてあります。そ もそも就職できるのか否か。2番目の命題として、正社員として就職するか、パート・アルバイト・派遣等として就職する か。最後の命題として、転勤等のある正社員等となるか、転勤等のないパートタイマー等となるか。こういった3つの命題 を挙げて、各命題ごとに<2><3><4><5>とありますけれども、どういう選択肢を選ぶことが希望されていて、どういう選択肢が選 ばれていて、選択肢を選んだ理由は何で、環境はどうかというデータを整理しているのでございますけれども、各命題に ついては必ずしもデータが全部そろわないというものがほとんどのようでございます。
     既存データをかき集めて整理したという性格が非常に強うございまして、今後御議論をいただきながら新しいデータとか 分析を付け加えていきたいと思っております。
    坂東局長
    もう一度繰り返しますと、これをごらんになると問題意識として自分たちが本当に知りたいデータがこの中に はないじゃないか。もっとこういうデータがあったら、そこの意味がもっとはっきりするんだけれどもなというふうなことで、 きっとこのデータをごらんになればなるほど問題意識をお持ちだと思いますので、それをまた聞かせていただければと思 います。
    事務局
    2枚ほどめくっていただきまして、右下に1とあるページをお開きいただきたいと思います。まず「学卒後就業」と いうステージは、先ほど申しましたように3つの命題を想定しております。
     次のページへ移っていただきまして、まずそもそも就職できるか否かということですが、これについてはどのような選択 肢が実際に選ばれているかについて男女別の就職率を見ますと、男女ともに落ちているということでございます。これは、 進学する人も多いようでございますし、また就職したいけれどもできなかったという人がどれくらいかということも重要かと 思います。
     そこで、次のページに移っていただきますと、今度は「就職・進学等以外の者」をカウントしております。男女別に見まし て、進学でも就職でもないという人の割合が一番右側にございますけれども、女性でも8.8%くらいだったのが20%という ふうに増えていますし、男性も最近は20%を超えているというようなことでございまして、男女とも20%を超えているという ような状況でございます。
     次のページに移っていただきまして、今度は「正社員として就職するか、パート・アルバイト・派遣等として就職するか」と いう命題でございます。まずどのような選択肢が選ばれているか。これは12月の報告書にもあったものでございますけれ ども、男女ともパートが最近増えておりますということで、女性の場合は特に20%くらいになっている。
     けれども、アルバイトがこのデータでは抜けておりましたので、それがどうだったかというのを見ましたものが次の5ペー ジでございまして、若年層でアルバイトを含めるとどうかということでございます。15歳から24歳が下の方でございますけ れども、男性の場合についてみればアルバイトがパートに比べれば非常に増えているということでございます。女性につ いて見れば、25歳から34歳ではパートが結構多いのでございますけれども、15から24歳となるとアルバイトがものすごく 増えてきているという状況でございます。
     次のページに移っていただきまして、「転勤等のある正社員になるか、転勤等のないパートタイマー等となるか」というこ とでございます。これは諸環境のデータだけが見つかっておりまして、新規大学卒の採用内定のある企業は一番右側で 勤務地を限定した採用は実施はしていないし、今後も実施する予定はないというところが50%くらいというのが現状でござ います。
     次ページに移っていただきますと、男女でどういうふうに適用されているかという状況でございます。一番上が「企画的 業務に従事し、全国的規模の転勤のあるコース」ということでございまして、一番右側の52.9%というのが男性のみ採用さ れている企業でございまして、これがかなり偏りがございますし、逆に下から2つ目の「定型的業務に従事し、転居を伴う 転勤のないコース」では逆に61.4%が女性のみ採用されているというような状況になっているわけでございます。
     次に8ページに移りまして、「結婚」というステージでございます。選択肢に関する命題は、結婚するか独身を続けるかと いうことと、仕事を続けるか否かという2つの命題を想定しております。
     次の9ページに移っていただきまして、まず「結婚するか、独身を続けるか」という命題でございますけれども、まず希望 の方でございます。一番上が「いずれ結婚するつもり」という数字なのでございますけれども、女性、男性とも最近減って きてはいますが、9割くらいはいずれ結婚するつもりで、女性の方が少し高いというような状況でございます。逆に下から2 つ目で「理想的な相手が見つかるまで結婚せず」というのは、男女とも上昇しておりますけれども、女性の方が少し高いと いうような状況でございます。
     次の10ページに移っていただきまして、では実際はどうだったかということでございます。男女とも各年代で未婚者という のは上昇しております。 こういった各年代の状況が積み重なった結果、今どうなっているかといいますと、11ページが生 涯の未婚率でございまして、女性の方は4%とか5%でそんなに上がっていないんですけれども、男性の方が最近急激に 上昇しておりまして、2000年は12.5%が生涯未婚のまま通してしまうという状況になっているわけでございます。
     次の12ページに移っていただきまして、ではそれを選んだ理由は何かということでございます。下の方の24歳から34歳 で見ていただきますと、「適当な相手にめぐり会わない」という真ん中辺のものが男女とも高いのでございますが、「必要 性を感じない」という左側の数も結構増えてきてはおります。
     次の13ページに移っていただきまして、ではこういった選択をもたらす環境はどうかということで、結婚しなくても豊かで 満足のいく生活ができるという考え方が各世代で見ますと高くなっておりまして、特に女性の方が非常に高いという状況で ございます。それから、下の方のグラフを見ていただくとわかるんですけれども、バツや四角の印が結婚しなくても満足の いく生活ができるという人なんですけれども、若いほど多く、年配になるほど少ないというような状況になっているわけでご ざいます。
     一方、14ページにいっていただきまして、ちょっと関係なくなるかもしれませんけれども、結婚年次別に見て恋愛結婚、見 合い結婚がどれくらいになっているかということでございます。見合い結婚が端的に下がってきて、最近は1割くらいになっ ている一方、恋愛というのが9割になっているわけでございます。女性が働くと結婚しない、したがって日本では子どもが できないというような御意見もあるんですけれども、これを見ますとどうなのかなというようなことが示唆される可能性もあ ると思います。
     次のページに移っていただきまして「配偶者や恋人の有無」で、これまでいたことがないという人が男女別にどれくらいい るかということです。例えば男性の30代を見ていただきますと6.9%がこれまで配偶者・恋人がいなかった。女性は4.4%と いうことで、多少は低くなっております。
     次に16ページに移っていただきまして、今度は「仕事を続けるか否か」という命題でございます。まず希望の方でござい ますけれども、左側の方の3つくらいが結婚するまでは職業を持つ方がいいとか、女性は職業を持たない方がいいとか で、いずれは辞めた方がいいというのが左側の3つなんですが、これは男女とも急激に減ってきております。
     一方、右側の「その他」というのは、子どもができたら仕事を辞めて大きくなったら再び職業を持つ方がいい。というのも 入っているのでございますけれども、これが男女とも圧倒的に増えてきていて、特に女性の方が増えている。子育てのと きには辞めていてもまた再開したいという希望は結構高いわけでございます。
     17ページに移っていただいて、仕事を辞めてしまった場合の理由なのでございますけれども、左側の若いときが問題に なるわけでございますが、意外に結婚も育児と並ぶくらいの理由になっているというのがアンケートに見る実態でございま す。あるいは、25から29歳を時系列で見ると、結婚で辞めたというのが一番左側なんですが、減っているくらいかなという 感じですが、30から34歳では少し増えているというくらいでございます。いずれも、育児のために辞めるというのが一番多 いわけでございます。
     次の18ページで、別の調査でも転職とか離職の理由で、結婚は妊娠、出産と並んで数は依然として多いということがあ るわけでございます。
     次に20ページで、次は「仕事を続けるか否か」の諸環境でございまして、女性が働き続けるのを困難にしたものは何で すかということになりますと、今度は結婚はなくなるわけでございます。ですが、下から3つ目に職場での結婚とか出産退 職の慣行というのが昭和58年は9.5%だったのが平成9年には35%とかなり増えてきているという感じではございます。
     次の21ページに移っていただきます。これと関連しまして長期雇用慣行ですとか、更にはそれを前提とした年功賃金をど うするかということが当然問題になってくるわけでございます。まず企業側を見ますと、上の方が終身雇用を重視するとい うのが一番左にございますけれども、これは最近減っている。それから、年功序列を重視するかというのがその下のグラ フにございますけれども、これは最近ほとんどいなくなっていて、主として能力主義を重視するというふうに移ってきている わけでございます。
     次のページで、では労働者側はどう評価しているかでございますけれども、円グラフで見ますと「良いこと」、「どちらかと 言えば良いこと」というのを足し合わせると4分の3以上が長期雇用、終身雇用はいいというふうに言っているわけでござ いまして、年齢別に見ても高齢者が若干高いかなというくらいですが、若い人もまだかなり長期雇用は支持しているという 状況でございます。
     次の23ページに移っていただきます。また企業側の考え方で違うデータなのでございますけれども、下から2つ目にあり ますように「部分的な修正はやむをえない」というのが44.3%で結構多いし、原則としてこれからも終身雇用を維持していく ということも結構多いわけでございます。
     その下の図は飛ばしまして、次の24ページに移っていただきます。これは労働者というよりも一般の個人に対して行わ れた調査なんですけれども、年齢階級別に見て成果主義賃金への変更についてどうかというふうに聞くと、こういうくくりの 立て方をしますとおおむね賛成だけれども不安を感じるというのが圧倒的に多いという結果になっているわけでございま す。
     次のページに移っていただきまして「年功賃金のあり方についての意識」、これは社員と課長で見ると部分的な修正はや むを得ないというのが結構増えているわけでございます。 下の図は飛ばしまして次の26ページに移っていただいて別の 調査ですが、男女別に取ったもので能力主義への切替えというものがございます。上は男性で「好ましい」というのが 42.3%なんですが、女性の方が能力主義を好ましいと思っている人は36.4%で意外に男性に比べて少ないというようなこ とがこういう調査では出てきております。
     次のページで、「能力主義が好ましいと回答した人が思う影響」でございますけれども、これは男性、女性とも努力して業 績を上げることで給料が上がり、意欲も高まるということは一致しております。
     次のページに移っていただきまして、では一方で「能力主義が好ましくないと回答した人が思う影響」で、女性の場合に 高いのは、「低く評価された人は給料が上がらず、意欲もなくなる」。それからもう一つは左から3つ目の「適正な人事評価 ができるか疑わしく不公正感が生じる」。これは女性が多いわけですけれども、男女差が目立つのは左から2番目でござ いまして、「年齢給でないので、生活設計の見通しがたてにくくなる」。これは男性が46.4%で大きいんですけれども、女性 は低くなって29.3%というような状況になるわけでございます。
     一方、29ページに移っていただきまして下の方のグラフでございますけれども、年功賃金を労働者側がどう評価している かでございます。右側の「良いこと」、「どちらかといえば良いこと」で足し合わせると、半分を超える人が評価しているとい うのが実態ではございます。これは男女合わせてのデータでございます。
     次が30ページで「世帯の持ち方」というステージに関するデータでございます。命題としてはaの「片稼ぎか共稼ぎか」と いう命題、それから次のbで「子育て等による中途退職を含め、どのようなパターンを選ぶか」という2つの命題を選定し ております。
     次の31ページを開いていただきますと、まず「片稼ぎか共稼ぎか」という命題でございまして、希望の方でございます。こ れは「男性は外で働き、女性は家で家事・子育てをするものである」という考え方でございまして、男女とも年齢が上がれ ばそういった考え方をする方が増えるわけでございますけれども、男性の方が多目かなというような感じでございます。
     次のページに移っていただきまして、またこれは更に細かく見た別の調査なのでございますけれども、妻の生き方はどう かというのが左側でございます。やはり子育てを優先するというものが一番多く63.9%でございまして、これについては上 の女性も男性も妻には子育てを優先してほしいという人が多いわけでございます。
     一方、夫の生き方はどういうものがいいかというのが右側でございまして、仕事優先というのが女性と男性で少し違うか なという感じがするんですが、女性の回答は若いほど仕事優先というよりも両立を図るように努めてほしいという人が多く て、年齢が高まるにつれて男性は仕事を優先してほしいという人が9割近くなるわけでございます。男性の回答はそれを ちょっと弱めたような程度かなというところでございます。
     次の33ページに移っていただきまして、今度はまた別の命題で「片稼ぎか共稼ぎか」ということでございます。これは実 際にどういう選択肢が選ばれたか、これは報告にも出していただきました資料で、全国ベースで見れば共稼ぎ世帯の方が 多くなっているというのが実態でございます。
     次に34ページで、希望と対比してみて実態はどうなったかということでございます。上の方は未成年の子どものいる男子 労働者でございまして、下から2つ目が「一方がフルタイム、他方はパート又は短時間正社員」というものでございまして、 右側の47%がこの働き方を希望する人で多いんですけれども、実態はどうかといいますと逆になりまして、一番下の「一 方がフルタイム、他方は家事専念」というパターンになるわけでございます。
     次の35ページに移っていただきますとまた命題が変わりまして、「子育て等による中途退職を含め、どのようなパターン を選ぶか」。これは希望の方でございますけれども、一番人気があるのは真ん中にありますように再就職コースでござい まして、理想もそうですが、予定になると更にそれより大きくなるというのが実情でございます。
     次のページに移っていただきますと、では実際はどうなったのかということでございます。これは、左側の方が現実の働 き方でございます。それで、再就職型というのは左側の上から4つ目でございます。これは現実に選択されたのが50.2% で一番多いんですが、その内訳を見て理想の働き方は実はどうだったんでしょうかというのが右側の方にdinks、継続、 再就職、専業主婦と並んでいるわけでございます。再就職を実際に選んだ方も希望としては54.6%は元から再就職型 だったんですが、専業主婦を本当は選びたかったんだけれども再就職になってしまったという人が21.2%くらいいるわけで ございます。
     また、次の新しいステージで「出産・子育て」という人生のステージでございまして、選択肢としては2つ想定しておりま す。「子どもを持つかもたないか」というのが1つ、それから女性の場合ですけれども、仕事と絡んでくるわけでございまし て次のアからエの4つが考えられます。アが、就業を継続して子どもを持つ。イが、就業の継続して子どもは持たない。ウ が、退職して子どもを持つ。エは、退職して子どもは持たない。こういう選択肢があるわけでございます。
     次のページを見ていただきますと、「子どもを持つか、もたないか」という命題に対する希望でございますけれども、子ど もに関する希望についてはおおむね理想も2人で、現実も2人かなというようなところでございます。
     次の39ページは詳細でございますので、説明は省略させていただきまして40ページに移って、子どもを持つという選択を した理由でございますけれども、この問は「理想の数だけ子どもを持てない理由」という形で聞いているわけでございま す。こうすると、何人持つかどうかというふうな聞き方になるかと思います。そうすると、当然子どもを育てるのにお金がか かるというふうになってきているわけでございます。子どもの数には金がかかるというようなことがかなり効いてきているよ うでございます。そもそも子どもを持つか持たないかということに関して何がネックになっているかというのは、こういった形 のデータで直接的なものはございませんでした。
     次の41ページに移っていただきます。これは出典が21世紀出生児縦断調査と申しまして、第1子が1年以内に生まれた 人対象ですので今、一番苦労をしている世帯ということでございますけれども、負担に思う方というのが8割くらいいて、実 際にどういうことが負担かというと、ゼロ歳児を抱えているようなところでは「自分の自由な時間が持てない」というのが一 番多くなりまして、「子育てで出費がかさむ」というのはそれほど大きくないわけでございます。
     次のページに移っていただきまして、今度は「子どもを持つか、もたないか」に関する環境のデータでございますけれど も、一般の方に出生率の低下の原因を聞くと「子育ての費用の負担が大きいから」というふうになるわけでございます。
     次の43ページは、では費用を世帯主の年齢別に見ますと、横が年齢でたてが費用でございますけれども、40代の後半 から50代にかけてお子さんが大学生になるころというのが一番子育ての費用が目立って高くなるという状況でございま す。
     次の44ページは、選択肢が4つある命題に今度は変わります。働くことと子どもを生むことをどういうふうに組み合わせ て選択するかですけれども、現実には右側の下の方でございますが、出産1年前に有職だったものが今は子どもを生ん でどうなったかという調査を見ますと、仕事を辞めて無職になってしまった人が67.4%でございまして、子どもが生まれると 約67%が仕事を辞める。つまり、先ほども言いました選択肢でいうと、ウの仕事は辞めて子どもを持つということを約67% の人ですから、実質上かなりの方がそういうことを選ばざるを得ないというのが実態でございます。
     次のページに移っていただきまして、では出産して仕事を辞めた理由は何かというふうな聞き方をしますと、「自分の手で 子育てしたかった」という積極的理由が多くなるわけでございます。
     次のページへ移っていただきまして、では出産前の職種で仕事の続けやすさがどうかということを見ますと、両端の農林 漁業とか自営の方あるいは労務の方だと続けやすくて、人数的には一番多い真ん中の事務職ですと仕事を続けられるの が2割くらいということで、事務職の方は一番多く仕事を辞めるということでございます。
     次のページに移っていただきまして、就業先の企業の規模などで見ると仕事は一体どれくらい続けているのかということ でございます。左ほど中小企業で、中小企業の方ほど仕事を継続されていて、大企業になるほど仕事は辞めてしまう。一 番右側は官公庁で50.4%の方が就業を継続されているということで、官公庁における就業継続者が目立って現れるわけ でございます。
     それから親との同居状況でどうかというふうに見ますと、下の図表がそうなんですが、一番左が「老親と同居」で、これが 40%くらい継続なんですが、別居していると一挙に20まで落ちるということで、親が一緒にいるかいないかは結構大きく関 係してまいります。
     48ページはデータの詳細なので省略いたしまして、49ページは、杉並区、江戸川区、富山の高岡に分けて調査したもの でございます。去年の12月の報告にも載っていますけれども、都道府県別にみますと女性の就業率が高くなるほど出生 率も高いという右上がりのグラフになるわけでございます。ちなみに、富山などは一番右上の方でございまして、東京はア ウトライヤーといいますか、出生率だけが目立って一番下にくるというものでございます。その要因がこれで見ると比較的 よくわかるんですが、富山というのが一番下なんですけれども、そこで2歳くらいまで普段の日中の育児担当者はだれで すかというふうに聞きますと、左から3つ目くらいの「本人や夫の親」というのが60.9%、要するに富山で仕事を続けている 人の6割は夫の親なども面倒を見ているということで、夫の親の貢献度は結構高いということが違いとなって現れるという ことで要因として示唆されるわけでございます。
     次ページ以降はそういった3か所に関する詳細なデータですので説明は省略いたしまして、52ページにいっていただき ますと、今度は「子育て終了後等の再就業」というステージになるわけでございます。
     選択肢については事実上、パートの選択しかないのではないかということを想定しておりまして、次の53ページを見てい ただきますとまずこれは希望の方でございます。末子が成長すると当然その希望が増えるわけでございまして、子どもの 年齢で見ますとグラフの三角の印は短時間勤務で、子どもが小さいと短時間勤務希望というのが多いわけですけれども、 それが子どもの年齢が高まるについて減ってきて、逆に上がってくるのがグラフで言う四角の印は「フルタイムだが残業な し」、これが末子の年齢が上がってくるにつれてその要望が非常に高くなってくるということになるわけでございます。
     これが希望でございまして、実態はどうかというのが次の54ページです。これは12月の報告にございましたけれども、下 から4つ目あるいは3つ目を見ていただければわかりますように、30から34歳とか、35から44歳ではパートが入職として は圧倒的に多いということでございます。
     55ページも似たようなものでございまして、真ん中の一般未就業者から入職した人というのを見ますと、女性で見ると黒 いのがそうなんですけれども、パートタイムで入職するという人が圧倒的に多くなるわけでございます。
     56ページは横軸が子どもの年齢で縦が妻の就業状況なんですが、子どもがゼロ歳から3歳未満が最低で、それが子ど もがどんどん大きくなるに従って何らかの形で就業していく方が増えているということが如実に出てくるわけでございます。
     57ページに移っていただきます。これは横軸は所得階層、収入でございます。右側にいくほど収入は高いわけでござい ますけれども、一番上の棒の線でございますが、収入別に見ると右側にいくほど、つまり所得が高くなるほど無業の人が 増える。三角の印は無業でございまして、無業の人が増える。いわゆるダグラス・有沢の法則でございまして、それほど 大きな傾きではないけれども、若干所得が増えれば無業の妻が増えるという傾向はあるのではないかと思います。
     次は58ページでございます。では、そういった選択肢を選んだ理由は何かということでございまして次の表でございます けれども、30から34歳とか、35から39歳、40から44歳とで、再就業をされる方は自ら進んで非正社員になった方が7割く らいということで非常に多くて、育児、介護などがなかったら正社員を希望した者が5割くらい。一方、若い24歳以下の方を 見ていただきますと、やむを得ず非正社員になった。正社員として働きたかったんだけれども、希望に合う就職先がなくて やむを得ずという方が半数くらいになるわけでございます。
     次のページは12月の報告にありましたので説明は省略させていただきます。
     60ページはそれと同様のデータでございますので省略して、61ページも省略させていただきます。
     62ページですけれども、今、選んだ選択に満足していますか、不満・不安がありますかという聞き方をしますと、男女い ずれも不満度は高まっていまして、平成13年などを見ますと半分以上の女性はパートに不満だというふうにしているわけ でございます。
     次の63ページは、では具体的には何が不満ですかと聞くと、男女とも賃金が安いというのが一番多くなるわけでございま す。
     ところが、64ページに移っていただきまして、では今後どういうふうに希望するかということで、例えば平成13年で見ます と、女性の67.6%は「パート等で仕事を続けたい」ということでございまして、不満な割には続けたい人が多いという一見矛 盾した結果になるわけでございます。
     次が65ページでございまして、ではどういう状況になったら働けるんでしょうかと聞きますと、高卒・短大卒と大卒で大きく 分かれていまして、高卒と短大卒の方が左側と真ん中なんですけれども、「子どもが小学校に入学したら」とか、「働くこと に夫や家族の理解が得られれば」という条件を付ける方が多いんですけれども、大卒の方になりますとちょっと違いまし て、真ん中辺に「子どもが中学生になったら」というのがあります。これが圧倒的に大卒の女性になると増えるわけであり ます。それから、一番右側の「就職に有利な専門知識や資格を身につけたら」、これが大卒の場合は結構増えてくるという ことでございます。
     次は66ページに移っていただきまして、では企業の側でパートをどうして雇うのかということでございますけれども、「人 件費が割安だから」というのがやはり一番多くて、これが平成7年に比べると平成13年は顕著に上がっているわけでござ います。
     次に67ページが最後でございますけれども、「家庭・地域との関係」のステージということでございまして、2つ命題を用 意しています。男性について仕事だけではなくて家庭・地域にどの程度参画するか。それから、ボランティア、npo活動に どの程度参画するかという2つの命題を想定しております。
     次のページに移っていただきまして、育児の状況でございます。これは先ほどの0歳児を第1子で持っている夫婦につい て聞いた調査でございまして、家庭にどれくらい参画しているかという育児の状況が出てくるわけでございます。一番上の 「食事の世話をする」とか4つ目の「寝かしつける」は少ないんですが、下から2つ目の「家の中で相手をする」くらいだと結 構な人がやっています。妻が無職か、育児休業中か、就業中かはそれほど影響してこないという結果が出ております。
     次の69ページは家事をどれくらいやっているかです。一番下の「ゴミを出す」とか「日常の買い物をする」くらいはやるけ れども、ほかは余りやらないということでございまして、これも妻が働いているか、育児休業か、就業中かで余り差が出な いという状況でございます。
     次の70ページはよくある家事時間ですので省略しますが、いずれも男性が短いということでございます。
     次の71ページは地域にどれくらいまで参画する希望があるかということでございまして、男女どちらも年齢が上がるほど その希望というのは上昇します。ひし形が女性なんですが、若いときは女性の参加希望が多くて、当然定年などを迎える と四角の男性の方が希望として多くなってくるということでございます。
     72ページはどういった分野を希望するかで、女性の場合ですと上から2つの目の社会福祉とか、真ん中辺の募金とか チャリティとか医療とか保健、男性の場合ですと上から3つ目のスポーツとか、あるいは自主防災活動とかというのが多い わけでございます。
     73ページは、では実際にどういう選択肢が選ばれているかということでございまして、ボランティア活動者の職業を見ま すと実際にやっている人は主婦が一番多くて、それから男性の定年退職者というものが圧倒的に多いという結果が出てい るわけでございます。
     74ページでnpoのスタッフを見ますと、女性だけとか、女性が中心のところが大体半分くらいかなというようなところでご ざいます。
     75ページは、それを分野別に見たものでございます。いろいろばらつきはあるようでございます。
     76ページはnpoのスタッフの職業でして、やはり主婦ですとか、あるいは年金生活者とか定年退職者が多くなるわけで ございます。
     77ページは地域、家庭とかボランティアとか、いずれの選択肢にも関係するデータなのでございますけれども、年齢階 級別にあなたは会社人間と言われるような生活をしていますかと聞いた場合の割合でございます。やはり若い人は20% とかで非常に少なくて、歳を取るほど50%に近付いていって会社人間を意識しているという状況になるわけでございます。
     以上がデータでございまして、78ページと79ページは基本的な枠組みのデータということです。最初の78ページの方は 今までの各ステージはどれぐらいの年齢でやってくるかということのデータでございまして、これを見ますと結婚とか出産 が最近遅くなったという議論がありますけれども、寿命の方も伸びていますので、全体として見ると男性も女性も相似形に 人生が拡大しているということになるわけでございます。
     長くなって恐縮ですが、最後が「労働市場への供給構造」ということでございまして、左側が男性、右側が女性でござい ますけれども、現在の労働市場への供給構造を見ますと男性は圧倒的に正規の職員、従業員が多くて、右側の女性を見 ると就業非希望者とかパートとか、こういったところにとどまっているという構造が見られるわけでございます。以上でござ います。
    大澤会長
    どうもありがとうございました。ちょっと消化不良ぎみだと思いますけれども、いかがでしょうか。御意見や御 質問があればお願いいたします。これだという的確なデータが必ずしもそろっているわけではないという注意も最初に局長 の方からございましたけれども。
    福原委員
    しかし、よく資料を集められましたね。
    事務局
    分厚くなりまして申し訳ございません。
    八代委員
    気が付いたところだけですけれども、最初の2ページです。これで腑に落ちないのは、大卒はこれでいいと思 うんですが、高卒の人が80年代のものすごく景気のいいときでも5割しか就職も進学もしていないというのはちょっと信じ られないので、高卒の場合は進学者が入っていないんじゃないんですか。そこはチェックしていただきたいと思います。こ こに就職進学者を含むと注に書いてありますが。
    事務局
    就職進学者というのは新聞配達とか、そういう人も入ります。
    坂東局長
    夜間学生みたいな人ですね。
    八代委員
    これは紛らわしい。それならばわかりました。
     それから、11ページの生涯未婚率が男性と女性でこんなに乖離しているのは、この未婚というのは離別は入っていない んですか。一生結婚したことがないということですか。そうでないと、結婚するには相手がいるんですから、結婚年齢の違 いを考慮してもこんなに格差があるというのは信じ難いので、離別をどう扱ったのか、そういう点をちょっと見ていただきた いと思います。かなり面白い数字ではあると思います。
     それから、27ページ、28ページのところは、これもよくあるんですが、男女というよりは年齢で随分意見が違うので、でき ればその後みたいに年齢別、男女別でもあれば見ていただいた方がいいんじゃないかと思います。
     それから、33ページもよくあるグラフなんですが、是非これに第3号被保険者比率を一緒に掲げていただくと、共働きは 増えているんだけれども第3号は全然減っていない。つまり、130万円以内で働いていて第3号の権利を保有している人 がどれだけ増えているかというのがわかるので、そのデータを是非お願いしたいと思います。
    大澤会長
    これは12月の報告書にありましたね。
    事務局
    第3号の人数は取っているんですけれども、こういう形では整理されていないと思います。
    大澤会長
    19ページの図9という番号ですけれども、12月の報告書にありまして、これは年金局がつくったものですけ れども。
    八代委員
    ただ、これは被保険者比率ですね。この場合だと、被保険者比率ですから第2号も入っていますよね。
    事務局
    世帯別に分けて、できるかどうか工夫してみます。
    八代委員
    ただ、第2号も第1号も統計はきちんとあるはずですから、この図表の9の3号と2号を分ければそれでいい んですけれども、是非それをお願いします。とりあえず気が付いた点はそういうことです。
    大澤会長
    ほかにいかがでしょうか。
    君和田委員
    質問なんですけれども、ここで言う正社員というのは、私の会社の場合は、この雇用形態以外に、例えば 業務委託で人が入ってきていて、その人がパートなんだか派遣なんだかわからなくて今、整理しているところなんです。そ うすると、例えば書類庶務系や、システム回り系というんですか、その業務委託というのは結構派遣社員と何だか区別が つかない。ところが、そういう会社へ入った人は多分正社員扱いになっているんじゃないでしょうか。その辺がかなり今、増 えているんじゃないでしょうか。
    事務局
    例えば5ページを見ていただきますと「若年層における非正規雇用の割合」ということで、派遣とか嘱託だとか その他と一応入っていまして、数としてはそんなに多くないといいますか、派遣労働者自体は数はそれほど……。
    君和田委員
    派遣は多分こちらに入っていますね。そうではなくて、業務委託をされることの非常に多い職種の企業に 入った人は、そちらの正社員という統計の取り方になっているのではないかと思うんです。たまたま私の会社だけかどう か知りませんけれども、派遣社員と業務委託で会社へ入ってきている人と、コストが安いというところは共通しているんで すけれども、ほとんど実態は変わらないのに派遣社員と業務委託というのがいろいろ混ざっているんですね。業務委託と いうのはなかなかくせ者というんですかそういう感じがします。
    事務局
    ここに出ている派遣というのは、いわゆる労働者派遣法などに基づいたもので、これは適切な事例かどうかわ からないんですけれども、例えばデパートの化粧品売り場の方とか、そういったものはどう整理されているかというのはこ れではなかなか明確に出てこない面はあると思います。
    坂東局長
    例えば富士通だとかibmの職員の人がメンテナンスのために張り付いているような場合はibmの正社員な んでしょうね。
    君和田委員
    それは多分、システム導入のときの別の契約なんだと思うんです。そうではなくて、システム回りで一番わ かりやすいのは入力系か何かだと思うんですけれども、いろいろなデータを入力していくというような作業、これは業務委 託でもいいし、パートでもいいし、派遣社員でもいいという非常に複雑な形に今なっているんですね。
     私の感触ですけれども、業務委託の方は企業との契約になるので、その人が休んだ場合に代わりの人がすぐ来る。 パートの場合は、その人が休んだら代わりが来ない。ですから多分今、業務委託がものすごく増えているのではないかと いう気がします。それで、大学生なり高校生はその会社には正社員として多分入っているんですね。人材派遣ではなくて、 そういう比率が小さければいいんですけれども、かなり今はいろいろな企業で増えてきているんじゃないかという気がしま す。
    事務局
    統計調査がそこまで追いつけているかどうか、少し心配なところはございます。○浅地委員 私の方は丸抱え のような話で、現実問題としますとやはり歴史的にも違うと思いますが、派遣というのはずっと認められていなかったんで すが、実態としていろいろはびこって、五十何年でしたかに行政管理庁が労働省に勧告を出されて、たしか情報処理のプ ログラマーと、警備と、それから我々のビルメンテナンス業か、それとバンケット、この4つの業種は世の中に広まっている けれども、ご指摘のように必ずしも請負とは言いにくい状況があるのではないか。
     しかし、実態は蔓延しているというか、はびこっている。いかがなさいますかというような問い掛けのような格好の勧告が 出て、それに対して労働省と私どもの方は今度は派遣でなければ請負という奇妙なパターンになりまして、派遣の方が認 められました。それまでは出向と派遣の区別がつかなかったんですが、出向は業としない。派遣は業とするものと認める というわけで、それで派遣業法に乗る形が派遣で、それ以外は業務委託とか請負という言葉でむしろ安定してしまったの ではないかと思います。だから、生き続けてしまったということになります。
     ただ、鉱山や何かの口入れピンはね中間搾取というような戦前のような形態は今なくなっていると思います。私がお答 えするのはおかしいんですが。
    坂東局長
    派遣業法という法律に規定されている部分が派遣社員で、それ以外の実質的には同じでもその法律からは み出している部分が業務委託だと。
    浅地委員
    そういうことですね。ピンはねというような行為は親権も及ばないほどすごいもので、子どもの給料を親が取 れないくらい強い格好で、認められることがないのがだんだん認められるようになってきた。
    君和田委員
    アウトソーシングと業務委託というのが今は全くわからなくなってきてしまっているんですね。
    浅地委員
    気が付いてそれぞれ監督官庁がしっかりやり始めているとは思います。
    君和田委員
    私の質問は、正社員に相当する人も入っているんじゃないかということです。
    浅地委員
    私どもで仮に清掃と警備と、それから設備の管理のエアーコンディショニングとかありますが、基本的にス タートは正社員で全部やりましてパートの区別もなかったんです。短時間正社員ということで、そこからいろいろ分かれま して、そのとき唯一許されたのはデパートのマネキンという派遣社員が最初から派遣というので認められた第1号じゃない でしょうか。あとは、ごちゃごちゃになることで成り立っているんじゃないでしょうか。重層構造ですね。
    大澤会長
    ありがとうございました。統計によって正社員の定義というのは違うと思いますが、5ページに出てくるような 労働力調査の特別調査ですとか、就業構造基本調査などに出てくるのは、勤務先でどういうふうに呼ばれているかという ことなので、正社員と呼ばれていてもいわゆる正社員のような待遇ではない場合もあり得ると思います。いわゆる正社員 のような待遇というのは、1つは期間の定めのない雇用ですから、解雇の場合には4要件というものを満たさなければい けないとか、社会保険が適用されているとか、正社員の給料表というものが適用されているとかということでイメージする わけです。しかし、正社員と呼ばれていてもそういう待遇を受けていない人というのは当然いるであろう。今後、増えていく かもしれない。そして、遂には正社員と非正規という区別の意味がないような状況になるかもしれないといったことは念頭 に置いてはおります。
    八代委員
    もう一つの定義は、人事部が把握しているのが正社員で、把握していないのが非正規ということだと思いま す。同じことですけれども。
    福原委員
    かもしれないではなくて、間違いなく崩れていく方向にあるので、私どもの会社も社員証というのはないんで す。ですから、どこかに行って社員証を提示しろと言われてもないんです。それは、今のような複雑な状況を考慮すると、 だれを社員として会社は定義するかということはできないんです。
    八代委員
    正社員も社員証はないんですか。
    福原委員
    ないんです。
    木村委員
    質問をよろしいですか。資料4の19ページと20ページで、離職の理由の中で結婚が相変わらず多い。それ で、育児とか介護とか、そういったものについては分析があると思うんですが、人は結婚をするとなぜ離職するのかという ことについては余りまだ分析がないように個人的には思っているんです。
     例えば、結婚相手が別の場所にいて移動しなければならないから今までの就業を継続できないとか、あるいは次のペー ジにあるように結婚すれば退職する慣行であるからとか、いろいろなことがあると思うんですが、なぜ結婚すると離職する のかということについての分析というものを御存じでしょうかというのが第1点目の質問です。
     第2点目は、20ページで先ほどちらっとおっしゃっていたように職場での結婚、出産、退職の慣行が昭和58年と平成9年 で比べますと3倍くらいです。これはちょっと希有な感じで、答える人が違うのか、だれがどういう基準で答えられたのか。 それとも、世の中がこういう方向に動いているのか。ひとつ面白いことだと思うんですが、その点についてはどういうふうに 考えておられますか。
    事務局
    まず結婚の分析の方なんですが、これは一点集中で調べたというよりもとにかく全般的に浅く広く最初は当 たってみるということで調べたので、それほど詳しく調べているわけではないんですが、結婚の分析のデータというのは ぱっと見た限りでは見当たらなかったんですが、それはまた探してみたいとは思います。
    大澤会長
    これは就業構造基本調査から取られているので、選択肢というのが17ページに出てきますけれども、「その 他」というのはあるけれども、「結婚のため」、「育児のため」、何とかのためというふうに選択肢が限定されているので、例 えばよその地域に住んでいる人と結婚するから自分は辞めてそちらに行かなければならないという人も「結婚のため」と いうところに丸を付けるように選択肢ができていますよね。
    坂東局長
    この移動というのはかなり大きな要素だと思います。
    大澤会長
    20ページの方はいかがでしょうか。これは調査が違いますよね。
    事務局
    調査が違うのを無理してくっ付けているところがありますので、信頼性がおけるかどうか、今後チェックしたいと 思います。
    坂東局長
    こんなものがあれば障害になるというふうな意識調査ですから、これがあるから続けられなかったという調 査ではなくてです。
    大澤会長
    というか、経年変化が追えるような同じ設計をされた調査があればいいわけですが、それがないから別のも のを無理やりくっ付けているわけです。
    高尾委員
    68ページ、69ページ辺りの男性の家庭・地域参画の状況のデータなんですが、今の御説明の中でも、要は 妻のスタイルがどうであろうと余り変化がないというような御報告だったんですが、これは妻の収入との比較というような データはないんですよね。
    事務局
    少なくとも集計された表には収入との関係は載っていなかったと思います。
    高尾委員
    幾つかのところで、なぜ男性は家事をしないのかというようないろいろな調査をしていて、その中で結局えげ つないんだけれども、女性が自分と同じくらい稼いでいる場合、実態として家事、育児、地域活動を半々で共有していると いうふうなデータが出ているんです。その辺も、なぜ男性がやらないのかという理由を考えるときの一つの参考になるん じゃないかと思います。
     そういうデータを探していただきたいということと、38ページで、これは感想みたいになってしまうかもしれませんが、理想 の子ども数というときに日本は諸外国に比べて低いんでしょうか。諸外国と言っても先進諸国ですけれども、実際に持つ 子どもの数ではなくて理想です。その辺はどうなんでしょうか。
    事務局
    国際比較まではまだ広げていませんので、今後やりたいとは思いますけれども。○高尾委員 昨年の11月に 厚生労働省がやった何かのセミナーに出たんですけれども、今イタリアとか日本では子どもを生まない自由はあるけれど も、子どもを3人以上持つ自由というものがないというような話をしていて、人間として考えたときに3人子どもがいてほしい とか、4人子どもがいてほしいという感覚を持っている方も相当数、本当はいるんじゃないかと感じているんです。
     ところが、初めから日本ではとてもそんなことが言えないというバイアスがかかっているんじゃないか。だから、2人が理 想だと言われてしまうと何か苦悩を表しているなというような感じがすごくするんですが、国際的に比べてどうなのかという 辺りをチェックしていただきたいと思います。
    大澤会長
    これは平均値なので、分散というものを見るとまた違った図が出てくるのではないかと思います。4人、5人 欲しいと言っている人と、1人でいいと言っている人と平均してしまうと2人になってしまうということがありますので。
     どうもありがとうございました。資料4はいろいろと面白いデータがあるのできりがないんですけれども、時間が押してま いりましたので、恐れ入りますが議題の5に移らせていただきまして、税制・社会保障制度をめぐって最近かなり動きがご ざいますので、これを資料に基づいて説明していただきたいと思います。
    事務局
    それでは、資料5をお出しいただきたいと思います。
     新任の委員の方もいらっしゃいますので簡単に申し上げますと、8ページ、去年の8月に大澤会長の方から税制調査会 の石会長に意見を出していただいております。「記」と書いた1の下にありますけれども、配偶者特別控除だけでなくて配 偶者控除も廃止されるべき。2で、配偶者控除と配偶者特別控除の廃止による国民の負担への影響を他の控除等の見 直しの結果も勘案しつつ調整するよう配慮することが必要と、こういった意見を既に出していただいております。
     その後、いろいろな議論がありまして、結果的には16ページの1月17日の税制改正の要綱にございますように人的控除 の簡素化等の観点から配偶者控除の上乗せ分を廃止するということで、これは16年分以後の所得税について適用すると いうことでございまして、再来年の確定申告からだと思いますけれども、こういったことが閣議決定されて、その後、3月28 日に国会で既に成立しております。
     問題になりますのが、負担への影響の調整はどうなっているかです。それが17ページですが、予算委員会で財務大臣 が答弁をされていまして、松あきら議員の方から配偶者特別控除の縮小に関して政府は何を提供しようとされているのか という質問が下線部にございます。財務大臣のお答えが18ページにございまして、先ほど御紹介申し上げましたけれど も、今後において財源の限定額は2,500億円ということで出ておりますが、そのありよう、使い方、それからどういう方法に するかということについて具体的に今後決めようということでございまして、大枠の話は決まったというような状況でござい ます。
     あとは、今後税制調査会の方では19ページの一番下にございますように石会長の記者会見では、6月か7月ころには 中期答申を作成するというようなお考えでいらっしゃるようではございます。次のページを見ていただきますと、男女共同 参画というようなことも当然意識はされているようでございます。
     最後に21ページで、年金に関してはいろいろ御議論をいただいて12月に提言をまとめていただきましたけれども、当然厚 生労働省の社会保障審議会の方でも議論が並行的に進んでいまして、御存じのように12月5日に「年金改革の骨格に関 する方向性と論点」というものが出ました。年金についても、こちらの報告書では所得分割というような形になっておりまし て、厚生労働省の方では年金分割というふうにしています。若干、細部は違うんですけれども、趣旨はほとんど同じものを 4つの案の中の一番上に出しておりまして、かなり従来に比べると位置付けは上がってきているという状況でございます。 年金は今年が制度大改正を議論する年でございますので、こういったものに関する意見を聞きながら、恐らく厚生労働省 の方でまとめていくのではないかと思われます。以上でございます。
    大澤会長
    ありがとうございます。御質問や御意見をいただきたいと思います。
     よろしいでしょうか。では、全体を通しての御意見や御質問があればいただきたいと思います。
    林委員
    今日たくさんの資料を元に説明をしていただいたんですけれども、今後この影響調査専門調査会は今の御説 明をいただいたものの中からどのようにして取り扱っていくのか。雇用システムの問題を中心にというふうに理解している んですけれども、今日は雇用システム以外のものも随分あったわけですが、次回は雇用システムという4番辺りを軸に議 題として検討されていくという理解でよろしいんでしょうか。
    坂東局長
    雇用システムとライフスタイルということで御議論いただきますが、特に今回結婚とか、雇用システムと直接 関係のないような資料なども多いので少し混乱したかなという気はするんですけれども、雇用システム、例えば終身雇用 とか年功序列ですとか、あるいは正規、非正規の待遇の格差とか、そういったようなことを中心に議論をしていただくことに なるのではないかと思います。
    大澤会長
    それは今年度いっぱいくらいを目途としてというふうに最初に局長に言っていただいたんですけれども、同時 に年金についても12月の報告のままでいいのかとか、健康保険や介護保険について何も言っていないじゃないかという御 意見もありまして、それぞれの改革スケジュールというのもありますから、それについては今後審議をしていただいて対応 を考える必要もあるのかなと、私は個人的には思っております。
     それから、中間報告的なものを出すのか出さないのか。これも今後の審議によるというふうに最初に局長に言っていた だきました。私の感触ですと、でき上がった報告には余り御意見がいただけなくて、中間報告で意見を募るとかなり多様な 意見がいただけて報告の中身が充実するし、またこの調査会の仕事についての一般の御理解といいますか、情報が広ま る効果もあるような気もするので、できれば中間報告として意見募集をして、そして本報告ということがいいのかなという感 触は持っておりますが、これも今後の皆さんの御議論によると思います。そんなふうな受け取り方でよろしいですか。
    高尾委員
    雇用システムということで論議を進めていくときに、正規、非正規、パート云々と出ましたけれども、このごろ は特に再チャレンジを女性がする場合にコミュニティビジネスとか、今までの範疇には含まれないようないろいろなことが 出てきていて、その人たちの社会保障をどうするのかとか、いろいろな問題になっている部分があると思うんですが、新し い小さな芽吹いているような動きで、かつ今後、非常に重要になるであろう動きに関しても是非目を向けていただいて、意 見資料なりを論議できればいいなと思っています。
    大澤会長
    恐らくこういうことになると思うんです。コミュニティビジネスのようなものにチャレンジをするというのは、ライ フスタイルなり活動の一つの選択肢だと思うんですけれども、そういうチャレンジがしにくい、選択がしにくい社会制度や慣 行がありはしないかということを検討するというのがこの調査会の任務かなというふうな気がいたします。
     それから、財務省の方で社会階層・意識に関する研究会というものをやっていて、私はメンバーで八代さんとも御一緒な んですけれども、樋口美雄さんが座長でいらっしゃいまして、そこで私が報告したときに私たちの12月の報告書のことを ちょっと取り上げていただきました。雇用システムについては労使自治の問題だからと意見を我々はいただいたので、かな り遠慮した書きぶりになっているんですけれども、もっと強く言えということを実は樋口さんから言われてしまいました。
     もっと言えというのは、機会の均等に関するところというのは労使自治だから首を突っ込むなとは言えないんじゃないか というのが樋口さんの御意見で、そこに関してはもっと強く言ってはどうかとはっぱをかけられてしまったという場面があり ました。これも今後考えていきたいと思っています。
    坂東局長
    国民の意見の中にも、資料2にもそういったようなことは労使の間で話をすべきだというふうな御意見も出て おりまして、そこの扱いは委員の方にまた議論をしていただきたいと思います。
    林委員
    もう一つですが、雇用システムを中心としてこれから1年間議論をしていくわけですが、一方では労働行政の中 でまた別の仕組みの中で議論をされていくわけですね。そこにここでの議論をどう影響させていくかを常に考えるということ を税制のときと同じようにかなり意識的にやっていかないと、世間から見た場合に男女共同参画会議並びにそれぞれの4 つの調査専門委員会というものが本当に国の施策を動かす力になっているのかどうかを問われるということを時々私は 聞くわけです。そういうことも意識した方がいいかと思います。
    大澤会長
    ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
     よろしいようでしたら、時間もまいっていますので、今日の御議論を踏まえて今後検討を深めていきたいと思います。
     では、事務局からの連絡事項をお願いします。
    事務局
    では、昨年の12月の議事録の案を、出席された委員はチェックいただいて御返送いただければと思います。よ ろしくお願いいたします。以上でございます。
    大澤会長
    それでは、これで本日の影響調査専門調査会第19回会合を終わります。どうもありがとうございました。

(以上)