男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会(第41回)

  • 日時: 平成18年12月19日(火) 10:00~12:30
  • 場所: 内閣府5階特別会議室
  1. 出席者
    会長
    岩井 宜子 専修大学法科大学院教授・副院長
    会長代理
    原 ひろ子 城西国際大学大学院客員教授、お茶の水女子大学名誉教授
    委員
    伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
    大槻 茂 ㈱広報戦略研究所取締役主任研究員
    垣見 隆 弁護士
    後藤 弘子 千葉大学大学院教授
    小西 聖子 武蔵野大学教授
    住田 裕子 弁護士、獨協大学特任教授
    戸谷 久子 千葉県総合企画部男女共同参画課長
    平川 和子 東京フェミニストセラピィセンター所長
    諸澤 英道 学校法人 常磐学園理事長
  2. 議題次第
  3. 概要
    • ○配偶者暴力防止法及び関連する施策に関する課題について、資料1に沿って、関係省庁からの現在の状況についての報告及び自由討議が行われた。

    (1 保護命令関係)

    • ○外延が不明確である精神的暴力については、過去に暴行傷害に及んだことがある、脅迫行為の時に凶器を用いたなどの要件を設けることにより、明確化できるのではないか。
    • ○外因性の疾患が明らかである旨の診断書が出せる場合などについて、保護命令の対象として検討しても良いのではないか。
    • ○保護命令は将来のために出されるものなので、既に暴行、傷害を受けているという状況が前提になるのでは予防にならないのではないか。脅迫に当たる行為が認定できる場合にまで拡大される必要がある。
    • ○電話等による接触や親族等へのつきまとい等については、ストーカー規制法を利用して対応することとされているが、申立人の負担のみでなく、裁判所においても二重の申立てを同じ事案について別々に受けるという無駄があり、この点からも改善すべきではないか。
    • ○電話等による接触については、直接的な行為でないからといって、接近禁止命令の制度の趣旨を没却しないよう、何らかの接触を正当化するようなツールを残しておくべきではない。
    • ○特に親族、かくまった方々に対しての殺人事件が散見されるので、親族等に対象範囲を拡大すべきである。
    • ○配偶者暴力相談支援センターに対する保護命令の通知については、支援センターは今後も被害者への支援を継続する立場にあるという観点及び裁判所から被害者に関する問い合わせが支援センターに来るという実態から必要だと考える。

    (2 被害者の保護・自立支援関係)

    • ○日本語が不自由な者が相談や保護を必要とする際に、そこへアクセスするためのハードルが高いのではないか。障害者の方も同じだと思うが、アクセス自体が困難であるために、保護からこぼれ落ちてしまうということはないか。外国人が日本人と同じようにアクセスできる環境に配慮してほしい。
    • ○警察の対応として、保護命令違反に対する積極的な介入を加えることも考えられないか。
    • ○医療関係者からの通報の義務化を考える前に、暴力の被害者が来たときの対応の仕方について、医療関係者への周知やガイドラインをきちんと定めるといったことが必要なのではないか。
    • ○子どもがDVを目撃すること等は、児童虐待防止法上、虐待であることが確認されているので、このような事案は必ず児童相談所へ通報するというような制度づくりはできないか。また、学校や教育委員会への周知の徹底が重要であると考える。
    • ○配偶者暴力防止法と児童虐待防止法の二本立てとしたことにより、児童への対応が不足しているということはないか。子どもに関する規定を整備するべきではないか。
    • ○子どもの環境ということを考えると、退去命令の2か月は短いのではないか。

    (3 配偶者暴力相談支援センター等関係)

    • ○婦人相談所の一時保護所の入所率が低いのは、ニーズがないということではなく、相談にうまくひっかからない、施設が使いにくい、入所期間の問題など、むしろ、入所までにいろいろな関門があるためなのではないか。
    • ○一時保護所の2週間という滞在期間では、短すぎて自立支援にはなかなか結びつけにくい。
    • ○市町村が配偶者暴力相談支援センターの設置を検討する上で、加害者の追求に対する対応策の難しさがあると思われる。

    (4 民間の団体に対する援助・連携関係)

    • ○DV防止のために民間団体が広報啓発で果たしている役割には非常に大きなものがある。民間団体は一人ひとりの被害者に対し、多岐にわたる総合的な支援を細々とやってきて、支援のプログラム化を図ってきたが、これも民間団体の大きな役割ではないか。民間団体の果たす役割について、もっと明記してもらえると援助しやすくなるのではないか。
    • ○民間が蓄積し、プログラム化してきた支援を国や地方自治体の委託事業としていただけたらと思う。

    (5 加害者に対する対策関係)

    • ○予防啓発を考える上で、企業や労働組合との連携も必要ではないか。
    • ○性犯罪の受刑者については、特別な処遇プログラムがある。DV加害者にも同様の対応を検討することはできないか。また、保護や矯正の視点から、多様な処遇を行うことは可能なのではないか。
    • ○例えば、DVの加害者更生施設のようなものをつくって、そこでプログラムを受けることを条件として、保護命令などに効力を与えていくような、中間的な発想も必要ではないか。

    (6 関係法・制度間の連携関係)

    • ○個々に法律が別れていて、微妙に差異があるということは被害者の立場から使い勝手が悪いので、関連した法律を整理し、統合していくことも前向きに検討していく必要があると思う。統合によって、現場で取り組む場合の動きもよくなるのではないか。
    • ○支援についての制度統合も考えて欲しい。子ども、家庭の中の被害、女性に対する暴力、犯罪被害のそれぞれの括りは重なり合っているが、それぞれが公的機関を中心にネットワークを組むことになっていて、別の組織が立ち上がっていて、形式的にあまり動いていない。実質的に動くローカルな支援のシステムを作ってもらいたい。
    • ○現場レベルでは、児童相談所と婦人相談所との統合に近いものも始まっているが、法律は相変わらずばらばらである。現場がうまく働けるような法整備をするためには、実際の統合例に基づいて、検討すべきではないか。
    • ○児童相談所の業務が非常に忙しいという話を聞く。児童相談所の職員が足らず、DV被害者の子どもの支援に手が回らない現状がある。是非、児相の職員を増やしてほしい。
    • ○生活保護の適用を現在地で行うのか居住地で行うのかについて、自治体の対応はおおよそ半々に別れているので、国で方針を決めて欲しい。また、一時保護の際に、医療費がすぐ支給されるようにして欲しい。出産費用をどのようにまかなうのか、といった問題もある。
    • ○市町村に任せるのか、都道府県に任せるのか、高齢者虐待に関しては施設の問題も入っているとか、その辺を整理してほしい。