男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会(第32回)

  • 日時: 平成17年2月28日(月)14:00~16:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室
  1. 出席者
    会長
    岩井 宜子 専修大学法科大学院教授・副院長
    会長代理
    原 ひろ子 放送大学教授、お茶の水女子大学名誉教授
    委員
    伊藤 公雄 大阪大学大学院教授
    大津 恵子 女性の家HELPディレクター
    大槻  茂 (株)広報戦略研究所取締役主任研究員
    小田原満知子 桐蔭横浜大学大学院教授
    後藤 弘子 千葉大学大学院教授
    小西 聖子 武蔵野大学教授
    住田 裕子 弁護士、獨協大学特任教授
    戸谷 久子 千葉県総合企画部男女共同参画課長
    林  陽子 弁護士
    平川 和子 東京フェミニストセラピィセンター所長
    諸澤 英道 学校法人 常磐学園理事長
    山田 昌弘 東京学芸大学教授
  2. 議題次第
  3. 概要

    前回会合での質問に対し、各省庁から説明があり、その後質疑及び意見交換が行われた。

    • 刑務所で矯正教育を行うといっても実刑にならないような人たちもいるので、保護観察や社会内処遇も含めて考えないとDVの矯正教育まではつながらないのではないか。
    • 保護観察が終わった後や満期出所者の社会内処遇について、再犯のおそれがある間は刑事政策的な措置としてきちんとした形で監視を行う必要があるのではないか。
    • 無料定額診療事業について、人身売買の被害者も利用できることを研修等で周知できないか。

    男女共同参画基本計画改定のための論点整理についての検討が行われた。

    【現行計画の達成度評価と問題点】

    • 女性に対する暴力の根絶を目指すことも大事だが、まだ被害者に対する保護や支援については不十分であり、まだまだ現実は大変だということも書いてほしい。
    • 暴力は潜在化し、減じることがないというような状況を言葉にしてほしい。

    【「7 女性に対するあらゆる暴力の根絶」の見出し(大目標(扉ページ))について】

    • 女子差別撤廃条約の報告書審査(2003年)に積極的に対応していることを盛り込んだ方がよいと思う。
    • 暴力は連鎖反応を起こし、その連鎖反応の根底にあるのは家庭の中の夫婦間、親子間の暴力が世の中の暴力の大きな部分になっていると思うので、そのような大きな視点で の表現が入るといいかと思う。
    • DV法の前文で憲法や人権問題から説き起こしている理念が入っているので、それを受けて人権侵害であるというような言葉も入れておいた方が良いかと思う。
    • 人権侵害であるということプラス犯罪であるということを明確に打ち出す必要があるのではないか。

    【「施策の基本的方向」(中目標(左ページ))の項目立てについて】

    • 人身取引については、売買春と違って今回新たに法律もできて今後やるべきことはたくさんあると思うので、項目を新たに設けた方がよいのではないか。
    • 加害者にならないようにする予防措置、事後の加害者に対する矯正プログラムのような教育措置レベルのものをどこかで書けないかと思う。
    • 「(3)性犯罪」について、性暴力の被害者は警察に行かない人も多いので、その人たちが抜け落ちてしまうと思う。「性犯罪」ではなく「性暴力被害」ではいけないのだろうか。

    【(1)女性に対する暴力を根絶するための基盤づくり】

    • 「加害者の研究」の項目では保護観察しか書いてないので、社会内処遇においての有効な方策についても法的整備を含めて調査研究をしてほしい。
    • 加害者の問題と、自立支援回復という問題を載せていく必要があるのではないか。
    • 暴力の発生を防ぐためには、まず家庭の中、教育現場、職場での人間関係の対等な関係づくりを周知することが基本ではないか。
    • 「暴力の発生を防ぐために」というところで対症療法しか書かれていないようなので、暴力的な男性をつくらないための方策も必要ではないか。
    • 暴力問題は、いわゆる人間の尊厳を尊重するところから説き起こすのが一般的であり、お互いに相手の人間を尊重し合う社会をつくれば暴力も当然なくなっていくというトーン が必要ではないか。

    【(2)夫・パートナーからの暴力への対策の推進】

    • DV法の基本方針の第1「1 基本的な考え方」は総論になり過ぎていて、今の問題がとらえきれないのではないか。自立支援が最終ではなく、加害者更生も書いてほしい。
    • DV法で改正されたことをきちんと書き、被害者にとって使いやすい制度となるような調査研究を続けることが大事だと思う。また、被害者の意見を入れながら制度を改正してい くための評価等は怠らないという姿勢も入れておく必要があるのではないか。

    【(3)性犯罪への対策の推進】

    • 全体にもう少し被害者の回復という文言を入れた方がいいのではないか。
    • 性犯罪というと通常は強姦罪等しか念頭にないが、傷害罪や監禁罪等いろいろあるので、大きく広げた方がよいのではないか。
    • 本来犯罪化するべきことをしていない現状があり、そうした場合の性暴力被害への対策がないと困るので、性犯罪と性暴力被害を住み分けて書けるとよいと思う。

    【(4)売買春への対策の推進】

    • 児童買春の場合は、男子少年の場合もあるので、それを含めるためにも書き方をあいまいにしておいた方がよいのではないか。
    • 人身取引では、現在多くの被害者が女性ということには間違いないので、女性というところを外したりぼやかしてほしくない。
    • 男性に対する性暴力の問題などを考える場合、女性に対する暴力の問題を解決しないと解決の方向に向かわないんだという位置付けがあるとよいのではないか。
    • 売買春について、本来売春を強要する部分が中心の問題で、合わせて周辺の問題もあるという、そのめり張りをつけて整理した方がよいのではないか。
    • 以前、本専門調査会において、売春防止法は総則規定で、売春そのものが人に対する尊厳を侵し違法であるということを宣言しているのだから、単純売春について刑事罰はな いが、単純売春を本専門調査会として認めるものではない、単純売春も含めて女性に対する人権侵害だという議論があった。

    【(5)セクシュアル・ハラスメント防止対策の推進】

    • 他の項目では加害者に対する厳正な対処とか、責任の追及、検挙、暴力行為の禁止、取締りの強化という文言があるが、セクシュアル・ハラスメント防止対策にはそのような 文言がないので加えられないか。
    • 雇用以外の場におけるセクシュアル・ハラスメントについて、具体的に明示した方がよいのではないか。

    【(6)ストーカー行為等への対策の推進】

    • 最近、被害者を支援する人に対しても暴力が向けられるケースがあるので、支援者まで何らかの対応が必要ではないか。

    【人身取引について】

    • 人身取引対策について、通知が発出され、法整備もされたので、被害者としての立場を認めた上で適切に運用されることをどこかに盛り込んでほしい。
    • 被害者の認定は難しいと聞いているが、まずは被害者の保護、支援が重要かと思う。

    会長より、次回会合は、3月29日(火)に開催し、論点整理(案)についての検討を行う予定との説明があった。