男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会(第29回)

  • 日時: 平成16年7月22日(木)15:00~16:51
  • 場所: 経済産業省 別館1111会議室
  1. 出席者
    会長
    岩井 宜子 専修大学法科大学院教授・副院長
    会長代理
    原 ひろ子 放送大学教授、お茶の水女子大学名誉教授
    委員
    大津 恵子 女性の家HELPディレクター
    大槻  茂 (株)広報戦略研究所取締役主任研究員
    奥山 明良 成城大学教授
    小田原満知子 桐蔭横浜大学大学院教授
    垣見  隆 弁護士
    住田 裕子 弁護士、獨協大学特任教授
    戸谷 久子 千葉県総合企画部男女共同参画課長
    林  陽子 弁護士
    平川 和子 東京フェミニストセラピィセンター所長
    諸澤 英道 学校法人 常磐学園理事長
    山田 昌弘 東京学芸大学教授
  2. 議題次第
  3. 概要

    改正配偶者暴力防止法に基づく基本方針について、自由討議があった。

    【基本的認識】

    • 項目(案)1「(1)基本的認識」の中には、いろいろな人の意見を聞いていくことが大事であると入れてほしい。

    【自立支援】

    • 被害者の自立支援について、項目立てをお願いしたい。
    • 被害者は、安心・安全、平穏な生活をする権利があり、それを貫かないといけないと思う。支援にあたり、被害者の回復を支えることが基本である。
    • 被害者にとって安定した生活が望めるところはどこかを選択ができ、どこでも同じサービスが受けられるような体制作りが必要だと思う。
    • 項目(案)2「(2)被害者の保護に関する事項」をもう少し細分化した方がいいのではないか。
    • 自立支援に、法的な解決のための自立支援という項目も必要かと思う。
    • 自立支援について、まず全国統一的に被害者の保護のためにどういう措置が取られているのかを書き込んでもらい、足りない部分、または、法律改正しなくても済むものについては、被害者の自立支援に資する方策として積極的に書き込んでもらえればと思う。

    【関係機関との連携】

    • 基本方針及び基本計画の中に、どこの都道府県でも関係機関、団体のネットワークができることについて、明文化が必要だと思う。
    • 広域連携について、実際に体制を整えなければいけないと感じている都道府県が多く、被害者の支援には重要なことである。
    • 民間の方々との協働を書いていただきたい。
    • 被害者がいたら、関係機関が協力して、それぞれの持ち場でできることをやるというネットワーク作りが必要だと思う。
    • 一時保護の機能をもつ支援センターの役割は大きく、コーディネーター役として明文化された方がよいと思う。
    • 関係団体との連携において、被害者にかかわるであろうという関係者がすべて集まる会議が必要であり、基本方針等に書かれないと機能しないと思う。
    • 基本方針及び基本計画の中に、中核的な機関は何かきちんと書き込む方が分かりやすいと思う。

    【外国人への対応】

    • 生活保護等の措置について、日本人ならどこに行っても受けられるのに、外国籍の人だと外国人登録地に限定されてしまう。日本人と同じ対応ができたらよいと思う。
    • 外国籍の被害者の通訳について、自治体が民間団体に委託する場合、関係機関によって費用負担の有無がないようにしてほしい。

    【広報・啓発】

    • 配偶者暴力は犯罪であり、決して正当化できるものではないという啓発活動が今後も必要ではないか。
    • 夫婦間の強姦は、一般的に犯罪だと意識されているかどうか。広報などで、夫婦間でも性的暴力は許されないのだと周知していく必要があると思う。
    • いわゆるDVの一環としての夫婦間の強姦罪の成立可能性を、社会にアピールしていくべきではないか。
    • DV問題は周知させて抑止することが大事だと思う。さらに、男性に関心を持たせることが非常に大事だと思う。
    • 広報啓発の中に加害者への対策についても加えてほしい。
    • 女性ではなく男性に対し、DVは犯罪だと訴える広報が中心になるべきではないか。
    • DVというと、実際に殴るというイメージしか一般の人にはないので、それ以外のDVについても例示して広報していった方がよいのではないか。
    • DVについて、むしろ男性に訴える必要があり、新聞やテレビ、雑誌などを活用し、こういうことをやったらDVだという社会的なコンセンサスをつくらなければいけないと思う。

    【警察の援助】

    • 警察の援助について、警察がどんな対応しているか、被害者が知っておくと非常に役立つ情報についてもある程度書き込んだらどうか。法律改正とともに、警察による援助が実務上でも進んでいるということを広めるためにも書き込んでほしい。

    【加害者更生】

    • 加害者更生について、調査研究の段階よりもう少し先に進めて、刑事司法のシステムの方で一歩踏み出すような検討ができるようになればと思う。
    • 加害者が起訴猶予のときに、何らかの形で継続的な観察措置ができるよう法制度上も工夫してほしいと思う。加害者更生プログラムというやり方以外に、刑罰との絡みでどういうやり方があるのか更に検討してほしいと思う。
    • アメリカの研究者によると、加害者を短期間でも留置し、罰金等を科すことが一番の広報になるそうだ。加害者に対するカウンセリングやプログラムの効果については、モニタリングして評価するようなシステムをつくらないと、最終的に一番苦しむのは、被害者や子どもたちであることも述べている。国の制度の中に、どのような犯罪防止の仕掛けをつくっていけるのか、とても大事なことだと思う。

    【その他】

    • 男性が被害者になり、女性が加害者になるケースについても配慮をお願いしたい。

    会長より、次回会合は、本年12月初旬に開催し、男女共同参画基本計画の改定の検討などを行う予定との説明があった。