男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会(第26回)

  • 日時: 平成16年2月16日(月) 15:00~16:05
  • 場所: 内閣府3階特別会議室
  1. 出席者
    会長
    島野 穹子 つくば国際大学教授
    会長代理
    原 ひろ子 放送大学教授、お茶の水女子大学名誉教授
    委員
    大津 恵子 女性の家HELPディレクター
    垣見 隆 弁護士
    住田 裕子 弁護士 獨協大学特任教授
    瀬地山 角 東京大学大学院総合文化研究科助教授
    林  陽子 弁護士
    前田 雅英 東京都立大学法学部長
  2. 議題次第
  3. 概要

    ●資料1を基に、検討が行われた。

    [自由討議]

    (前田委員)
    性犯罪というと、女性の自己決定や女性の自由の侵害ということだけが強調されてきたが、人格的な、性的な尊厳のような言葉が広がっていかなければならないと思う。
    (瀬地山委員)
    「10代の望まない妊娠」と限定しているが、望まない妊娠であれば10代でなくても基本的にはまずいのではないか。
    (原会長代理)
    北京行動綱領において女児と翻訳しており、女児に注目するということで「10代の望まない妊娠」と「10代の性感染症」を取り上げるべきではないか。 望まない妊娠が低年齢化し ているというのも日本の現実だと思う。
    (住田委員)
    報告書案は4つの現状の課題が書かれているが、被害が起きる前に、女性自身の性的な尊厳を高める教育を行うなどの視点が入ったほうが良いのではないか。
      特に児童の場合は、被害すら認識できないような場合があるとしたら、それは被害であり、あなたは悪くないというような教育も含めた視点を入れられないかと思う。相談するとい うより、 被害を自覚し訴え出ることができるようなことが重要ではないか。
     女性が自らの身体についてきちんと学んでおくこと、適切な性教育をすべきではないかということも報告書に入れたらどうか。
    (瀬地山委員)
    児童買春のところで「学校教育の機会等を通じて推進する必要がある」と言及されているが、性教育という言葉を使ってもう少し言及したほうが良いのではないか。
    (林委員)
    「性的尊厳」について、「尊厳」という言葉の中に人格的なものや性的なものなどいろいろ含まれているので、あえて「性的」という形容詞を付ける必要があるのだろうか。
    (前田委員)
    これまで盗撮について、人格の否定につながるような重大な犯罪的行為であるという認識が弱かったと思う。 「女性の性」に対する尊重の姿勢が国民の規範意識の中で高まって きていることを性犯罪のテーマの1つの基調として報告書に書いてほしい。そのことが、 強姦罪の法定刑の引上げや輪姦罪の新設、盗撮罪が出てくる下地になるのではないか。
    (瀬地山委員)
    「女性の性的尊厳」とすると、「女性の性」が守られなければいけないもの、「女性の性」を保護するという観念を非常に強くする可能性があるのではないか。 女性の判断を踏みに じるというふうに決めた方が過度の道徳的な付加をかけずに済むのではないか。
    (垣見委員)
    「女性としての尊厳やプライバシー保護の」というふうにさらっと書くほうが良いのではないか。
    (白濱法務省刑事局参事官)
    まず「女性の性的側面」が直截的に侵害されていることを考えなければいけないことから、「性的尊厳」の方が分かりやすいと思う。「尊厳とプライバシー」とすると、 保護法益とし てかなり抽象的になるのではないか。
    (前田委員)
    やりたくないことをやらされるというのは強要罪だが、性犯罪には自己決定権を侵害された以上の重みがある。強盗の法定刑と比べて軽すぎるのではないかということが今の争 点だ。
    (住田委員)
    「性的な決定権を犯される」という言い方ならなじむのではないか。
    (前田委員)
    最近の女性学者の強姦罪解釈によると、「性的自己決定」という言い方によって、同意があったから無罪との主張がなされ、結果として強姦罪の評価が軽くなっているという指摘 が出てきた。 自己決定という言い方に、女性の権利を守る側面と制限する側面があるという指摘である。ここでは、もう少し女性の性的な尊厳を重視する形を打ち出せたらよいと思 う。
    (住田委員)
    「自尊感情を高める教育というもの」という項目が挙げられるのではないか。
    (大津委員)
    トラフィッキングの被害者に対して関係機関がどのように保護をし、ケアができるのか、報告書に盛り込めないか。
    (原会長代理)
    報告書全体のバランスの問題がある。
    (久保内閣府男女共同参画局推進課長)
    一般論としてトラフィッキング被害者だと言ってしまうことも実は非常に厳しいところもあり、一くくりにして具体策を議論するのは難しい領域かと思う。

    ○会長より、本報告書案をパブリック・コメントにかける旨、説明があり、 本日の意見とパブリック・コメントを踏まえ、最終的な報告書案の作成については、会長と会長代理に一任 することが了承された。
      また、次回の最終会合において報告書を取りまとめ、記者会見で発表し、4月の男女共同参画会議で報告することについても了承された。

    ○事務局から、第25回専門調査会の議事録(案)が提示され、了承された。

    ○事務局から、次回会合は、平成16年3月16日(火)午前10時から内閣府会議室で開催する予定である旨、説明があった。