男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会(第25回)

  • 日時: 平成16年1月16日(金) 10:00~12:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室
  1. 出席者
    会長
    島野 穹子 つくば国際大学教授
    会長代理
    原 ひろ子 放送大学教授、お茶の水女子大学名誉教授
    委員
    大津 恵子 女性の家HELPディレクター
    奥山 明良 成城大学教授
    戒能 民江 お茶の水女子大学教授
    垣見 隆 弁護士
    北村 邦夫 (社)日本家族計画協会クリニック所長
    住田 裕子 弁護士、獨協大学特任教授
    瀬地山 角 東京大学大学院総合文化研究科助教授
    林  陽子 弁護士
  2. 議題次第
  3. 概要

    ●資料1を基に、検討が行われた。

    [自由討議]

    • 1 性犯罪

      ○家庭内における児童に対する性的虐待

      (住田委員)
      この問題で現実に必要なことは、被害に遭った児童が児童福祉の観点から救済されることで、どのように保護されるのか、具体的に書くべきではないか。児童がある程度の年齢 に達してから被害が発覚すると、公訴時効の壁があり、親の処罰が望ましいかどうかの問題もあるが、そもそも刑罰の必要性も考えておいた方が良いのではなのか。また、この問 題に対する広報啓発の中に、児童が自ら被害を言うことはなかなかできないという視点も入れた方が良い。
      (林委員)
      この問題への法的対処は、現行の児童福祉法か、刑法かという問題があると思う。児童福祉法となると、「児童に淫行をさせる罪」による最高裁の判例があるが、判例があるか らいいということになるのか。
    • 2 売買春
      (瀬地山委員)
      売買春の取締りについて、「性的自己決定権に配慮し」などの文言を入れられないか。
      • (1)売買春一般
      • (2)児童買春
      (北村委員)
      援助交際について、児童に対し「指導啓発を推進する必要がある。」と書かれているが、「学校教育の機会等を通じて」というような文言を入れてほしい。
      • (3)人身取引(トラフィッキング)
      (大津委員)
      被害者は怖がって、なかなか証言できず、加害者処罰に至っていない。加害者を処罰するためにも、被害者に対し、在留資格や心のケア等の我が国での滞在に関する配慮がな されるべきだと思う。
      (林委員)
      加害者の刑事手続において、被害者が証言する際、ビデオリンク方式のような保護がきちんとなされるべきである。人身取引の被害者であれば、在留資格への配慮や法律扶助 が与えられるような具体策のイメージが必要なのではないか。
    • 3 セクシュアル・ハラスメント
      (奥山委員)
      セクハラの総論の書き方としては、女性だけに限らず、また、職場だけに限定されないということを明確にし、実態として職場の中で女性が被害を受ける点では、女性という個に対 する人権侵害であるとする方がよいのではないか。
      (戒能委員)
      セクハラによる被害は、長期的に生活全般にわたって影響を与えるという捉え方をした方が良いのではないか。
      (瀬地山委員)
      セクハラは犯罪として処罰されるべきという議論もあるのなら、包括的に規定するような方法がないと対応は難しいのではないか。
      (住田委員)
      セクハラは、女性の尊厳を傷つけ、その精神的被害に対しては民法上の不法行為であるということを最初に書いた上で、職場や学校など様々な生活状況ごとに記述していく必要 があるかと思う。
      • (1)セクシュアル・ハラスメント対策の充実
      (戒能委員)
      被害者の救済について、啓発も重要だが、体制の整備も入れるべきではないか。
      (住田委員)
      女性の裸体像のポスターなど、メディアによるものはセクハラの中に入るのかどうか。
      (奥山委員)
      メディアを通して一般の人たちに不快感を与えるようなものもただちにセクハラというべきかどうか決めかねるが、この専門調査会として、メディアによるものも女性に対する一つ の性暴力として言及するのは適切だと思う。
       なお、人権擁護法案で、職場以外のセクハラも女性に対する人権侵害の一つとして捉えているのであれば、この法案との関連で言及することも必要ではないか。
      (林委員)
      メディアへの規制は、セクハラ以外の場面で触れる部分があると思うので、セクハラの中に入れることには賛成しない。表現の問題に公的機関が発言することについては、抑制 的であるべきだと思う。
      • (2)職場におけるセクシュアル・ハラスメント
      (奥山委員)
      男女雇用機会均等法における問題点については様々な議論があるところだが、防止の手立てとしては、行政の施策等も含め充実させていくべきだと思う。職場でのセクハラは、 懲戒処分等の対象になり得る行為だと明記しておいた方が良いのではないか。
      • (3)教育の場におけるセクシュアル・ハラスメント
      (戒能委員)
      教育の場におけるセクハラは、国公立も私立も大学の一般的な状況として多いということをまず書くべきではないか。なお、国立大学は法人化されるが、これまでと同様の対応が 可能か不安に思う。
      (住田委員)
      年少者へのセクハラは、被害が潜在化しがちであり、被害にあった年少者に目を向けた普及対策も入れるべきではないか。
      (林委員)
      セクハラに限らず、報告書全体の書きぶりとして、まず、現状認識をし、国際社会からの指摘なども踏まえた上で、国内法で対応していることや検討の余地があることを記述すべ きではないか。
    • 4 ストーカー行為等
      (戒能委員)
      ストーカー規制法の改正について触れなくて良いのか。配偶者暴力防止法だけでなくストーカー規制法も適用できることについて、警察のスタンスを明記できないか。加害者から の危害の対象として援助機関を入れてほしい。ストーカー規制法適用のため、第三者が直接保護の申し出ができることを報告書に書けないか。
      (島野会長)
      配偶者暴力防止法やストーカー規制法の適用範囲からはみ出る被害者に対しては、民事保全法による対応の仕方があるということも付け加えたらどうか。
    • 5 その他
      (北村委員)
      10代の望まない妊娠や性感染症の問題については、国際的に見ても日本はまだ不十分な取組であると思う。そのような文言を入れるべきではないか。

    ○ 事務局から、第24回専門調査会の議事録(案)が提示され、了承された。

    ○ 事務局から、次回会合は、平成16年2月16日(月)15時から内閣府会議室で開催する予定である旨、説明があった。