男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会(第22回)

  • 日時: 平成15年9月26日(金) 10:00~11:15
  • 場所: 内閣府5階特別会議室
  1. 出席者
    会長
    島野 穹子 つくば国際大学教授
    会長代理
    原 ひろ子 放送大学教授、お茶の水女子大学名誉教授
    委員
    奥山 明良 成城大学教授
    戒能 民江 お茶の水女子大学教授
    垣見 隆 弁護士
    北村 邦夫 (社)日本家族計画協会クリニック所長
    小谷 直道 読売新聞社特別編集
    委員
    小西 聖子 武蔵野大学教授
    住田 裕子 弁護士、獨協大学特任教授
    瀬地山 角 東京大学大学院総合文化研究科助教授
    林  陽子 弁護士
    前田 雅英 東京都立大学法学部長
    若林 昌子 明治大学教授
  2. 議題次第
  3. 概要

    ○会長より、前回(5月30日)会合まで検討された「配偶者暴力防止法の施行状況等について」報告書の記者公表、参議院共生社会調査会の法見直しPTへの説明、男女共同 参画会議への報告の結果について報告がなされた。

    ○平成14年4月から12月にかけて検討を行ってきた女性に対する暴力全般(性犯罪、売買春、セクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為等)について、今回の会合から検討が 再開された。

    ○本専門調査会の今後の進め方について、女性に対する暴力全般の各テーマが広範であり重要な課題のため、より深い検討が行われるよう、当初の日程を延長して、来年3 月まで検討を行うことが了承された。

    ○事務局で、テーマごとに、これまでの会合における委員からの意見を整理し、提示した。取り上げるべき項目について、自由討議が行なわれた。

    [自由討議]

    1 性犯罪

    (住田委員)
    最近、少女に対する監禁事件が頻発しており、女性に対する暴力の観点からもこれらの犯罪を捉える必要があるのではないか。
    (戒能委員)
    現在、強姦罪と強制わいせつ罪で構成されている性犯罪の枠組を見直すべき。
     また、近親姦も含めて子どもへの性的虐待の問題もあると思う。
     女性に対する暴力は男性が加害者で女性が被害者とは言えない。同性間の場合もある。
    (瀬地山委員)
    直接の被害者が明確である強姦や強制わいせつの問題と、社会規範が被害者であるような公然わいせつやわいせつ物陳列の問題は、切り離して考えるべきではないか。
    (前田委員)
    強姦罪について構成要件をどうするかを議論するのではなく、強姦罪の法定刑の下限を上げるための根拠づけなどを議論していくことが、この専門調査会の役割ではないか。
     盗撮は女性の保護の観点から問題があると認識されており、現行の法律の中でどうしたらいいかという問題になれば、強姦罪よりは前向きな対策が講じられるかと思う。
    (小西委員)
    被害者への配慮とケアについては、経済的な裏付けがないと、サービスとして全国に普及させるのは難しいと思う。
    (北村委員)
    アダルトビデオなどでモザイクをかけて規制しても、一方では、インターネットで規制のないまま情報収集できるという矛盾がある。

    2 売買春

    (林委員)
    売春は人に対する尊厳を侵すもので、全て女性に対する暴力と考える。
    (瀬地山委員)
    単純売春については、犯罪とするべきではないと思う。
     「児童買春」に関しては、子どもには子どもなりの自尊感情があるわけで、自尊感情の高揚という考え方に違和感をもつ。
    (原会長代理)
    「児童買春」のところか、「売買春」全体のところで、性感染症の問題について触れるべきではないか。
    (北村委員)
    性感染症が入るのなら、リプロダクティブ・ヘルス/ライツという意味で望まない妊娠も入れるべきではないか。
    (原会長代理)
    10代で望む妊娠をし、子どもを育てたいと思っていても環境が整備されていない問題もある。

    3 セクシュアル・ハラスメント

    (原会長代理)
    NGOなど大学以外の団体におけるセクシュアル・ハラスメントもあるのではないか。
    (戒能委員)
    セクシュアル・ハラスメントは、大学に限定せず、教育機関の問題として項目を整理すべきではないか。
    (奥山委員)
    男女雇用機会均等法におけるセクハラに係る配慮義務について、もう少し格上げする規定にしていけるかどうか、議論する必要があると思う。
     日常生活におけるハラスメントについて、国会で審議されている人権擁護法案は人権侵害として捉えており、法整備については、これとの兼ね合いで考えるべきではないか。
    (住田委員)
    セクシュアル・ハラスメントは、一般的に不法行為であって性犯罪に当たるものもあると、表に書くべきだと思う。
    (奥山委員)
    男女雇用機会均等法における配慮義務の事業主への要請は、企業の規模が小さくなるほど達成されていない。行政指導で徹底させていくことも強調すべきではないか。

    4 ストーカー行為等

    (戒能委員)
    DV法との関連の観点から、ストーカー規制法を検討する必要がある。

    5 その他

    (原会長代理)
    高齢者に対する虐待を検討すべきではないか。
    (住田委員)
    女性に対する暴力として取り上げる項目は、女性の性を目的とした部分に対する暴力という趣旨から考えた方がよいのではないか。高齢女性への虐待、刑務所などの施設での 虐待は、性的な面が薄いのではないか。
    (小西委員)
    児童に対する性的虐待は、他の虐待に比べると非常に扱われにくくそのままになっているケースが多い。
    (林委員)
    施設に入所している身寄りのない女性やホームレスの女性も、視野に入れておく必要があるのではないか。
     性犯罪予防のための雑誌等の規制について、政府の一つの機関として、言論や表現行為の規制に言及するのは慎重であるべきではないか。
    (前田委員)
    表現の自由を規制することは慎重であるべきだが、国の姿勢として女性保護の観点から発言することも重要だと思う。

    ○会長より、次回会合において関係省庁からの意見聴取を行うことが提案され、了承された。

    ○事務局から、第21回専門調査会の議事録(案)が提示され、了承された。

    ○事務局から、次回会合は、10月31日(金)10時から内閣府会議室で開催する予定である旨、説明があった。