男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会(第19回)

  • 日時: 平成15年3月18日(火) 15:00~17:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室
  1. 出席者
    会長
    島野 穹子 つくば国際大学教授
    会長代理
    原 ひろ子  放送大学教授
    委員
    大津 恵子 女性の家HELPディレクター
    戒能 民江 お茶の水女子大学教授
    垣見 隆 弁護士
    小谷 直道 読売新聞社特別編集
    委員
    住田 裕子 弁護士
    瀬知山 角 東京大学大学院総合文化研究科助教授
    林 陽子 弁護士
    若林 昌子 明治大学教授
  2. 議題次第
  3. 概要

    ○京都府より、平成14年度「11都道府県婦人保護主管課長及び婦人相談所長会議」において取りまとめた、配偶者暴力防止法の見直しに関する意見等の説明が行われた。

    ○大津委員と戒能委員から配偶者暴力防止法の見直しに関するNGOの意見等について、それぞれ説明が行われた。

    ○内閣府より、都道府県における配偶者暴力防止法の見直しに関する意見等の調査結果と、政令指定都市における配偶者からの暴力に関する相談等への対応状況の 調査結果について、説明が行われた。

    ○京都府、大津委員、戒能委員、内閣府の説明のあとに、質疑応答が行われた。

    [自由討議]

    ◎定義に関する意見

    (住田委員)
    元配偶者からの暴力も対象とするべき。DV法を適用するに当たり、事実婚の解釈などで現場が混乱をしている話も聞く。
     また、暴力の定義を身体に対する有形力の行使としての暴力に限定してしまうと、本当に救うべき被害者が救われないのではないか。
     暴行罪と脅迫罪を含むものを暴力の概念とすればよい。
    (大津委員)
    夫が身体の暴力は振るわず、家具等を壊す例もある。心の傷は身体的暴力と同じであり、こうしたものも法律の対象とするべき。
    (林委員)
    保護命令の対象となる暴力は、ある程度限定せざるを得ないと思う。
     ただし、暴力の定義の第1条でわざわざ「身体に対する不法な攻撃」と明記するのではなく、保護命令のところで身体的暴力に限定する方が分かりやすい。
    (垣見委員)
    児童虐待が絡むケースもあり、子どもが保護されなければ、保護命令の申立てがしにくいのではないか。「被害者」に被害者の子どもなども含むべきである。

    ◎配偶者暴力相談支援センターに関する意見

    (林委員)
    支援センター機能を持たなくとも、保護命令に関する裁判所提出書面の作成ができる機能を持つ施設が市町村にあってもよいのではないか。
    (小谷委員)
    人口が少ないところもあるので、すべての市町村に支援センター機能を義務付けるのは、難しい。
    (住田委員)
    裁判所の大きな支部がある八王子、小倉などの大きな市ぐらいには、支援センター機能を広げる必要があると思う。ただし、あまりにも分散しすぎると、たらい回しや職員への訓 練などの問題も生じてくる。
    (坂東局長)
    内閣府で政令指定都市の調査を行ったところ、被害者に対応する相談員がフルタイムでいないところも多い。裁判所からの書面提出要求があったとしても迅速な対応は困難であ る感じがする。
    (戒能委員)
    支援センターの調整機能を充実させる必要がある。
    (林委員)
    3条の支援センターにおける一時保護、5条の婦人保護施設における保護などの規定には、義務であると明記されてはいない。法律に「行わなければならない」とはっきり書いた 方が現場の予算措置などがやりやすいと思う。

    ◎保護命令に関する意見

    (戒能委員)
    再度の申立てという考え方ではなく、期間の更新という考え方もある。
    (住田委員)
    最初の申立てのときに、審尋によってある程度事実関係について調べているので、「再度」という形ではなく、「延長」として書面だけで対応するなどの柔軟な制度にするべきであ る。
    (原会長代理)
    再度の申立てには、被害者にとって、手続に時間がかかるだけでなく、心の苦しみを再体験するなど、かなり負担があるので、延長の方が良いと思う。
    (住田委員)
    接近禁止命令や退去命令が両方発令された場合、加害者と被害者が生活の本拠を共にしている場合は、加害者が被害者の住居付近をはいかいすることは禁止されていないの で、事実上、被害者が住居に近づけないことがある。
     加害者の財産権などが考慮された結果だと思うが、妻に家の所有権がある場合もあるので、規定を整理する必要がある。
    (戒能委員)
    接近禁止命令が発令されても、電話やファックスなどは禁止されず、被害者は安心できないので、禁止行為を拡大するべきである。
    (住田委員)
    加害者の更生プログラムは、保護命令発令時など、タイミングよく的確に行えるような手法を考えていくことが、今後の課題だと思う。
    (若林委員)
    裁判所の判断で、必要な場合は被害者に代理人を付けることを可能にするべき。被害者が住所を隠している場合などには、代理人がいると、裁判所からの連絡もしやすく審理も スムーズに進むと思う。
    (戒能委員)
    本当に緊急な場合、緊急保護命令という形で、まず被害者の安全確保のための命令を24時間対応で発令し、その間に通常の保護命令の手続を行うという2段構えで保護命令を 発令するべきである。

    ◎その他意見

    (大津委員)
    民間団体に対する財政的支援について、制度化するべきである。
    (垣見委員)
    加害者が、被害者の所在を追跡できないようなシステムを考えるべきである。
    (戒能委員)
    加害者の追跡を防ぐため、DV法だけでなく、住民基本台帳法などの関連法においても、対応が必要である。
    (大津委員)
    国民健康保険に関して、保険証の配布が家族単位から一人一人持つことになった場合、加害者のもとに送られてしまうと、使えないという問題が起きてくる。自治体で配慮するべ き。

    ○事務局から、第18回専門調査会の議事録(案)が提示され、了承された。

    ○事務局から、次回の専門調査会について、4月18日(金)10時から内閣府会議室で開催する予定である旨、説明があった。