男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会

  • 日時: 平成22年2月22日(月) 14:00~16:00
  • 場所: 永田町合同庁舎 第一共用会議室
  1. 開会
  2. 答申について
  3. 閉会
  • [議事内容]
    岩井会長
    それでは、時間ですので、ただいまから「第51回女性に対する暴力に関する専門調査会」を開催いたします。
     本日は、男女共同参画基本計画改定に向けての答申案の検討について、現状の報告とそれについての議論を行う予定です。
     本日の議事進行でございますが、まず、基本計画改定の全体の構成と今後の進め方について事務局より御説明いただきます。次に、先日開催しました起草ワーキング・グループでの議論の状況を報告しまして、皆様にも御議論いただきたいと思います。また、今後の起草ワーキングにおける審議検討に向けても、最後に皆様より御意見をいただきたいと思います。
     それでは、まず初めに、事務局より基本計画改定の全体構成と今後の進め方について御説明いただきます。よろしくお願いいたします。
    藤澤推進課長
    資料1と2について御説明させていただきたいと思います。
     資料1も2も、右の方に「第33回男女共同参画会議資料」と明記してございますように、先日、2月18日に男女共同参画会議が行われまして、それぞれ、資料1は、有識者議員である鹿嶋議員からの提出資料、資料2は福島大臣からの提出資料ということになっておりますので、これに基づいて、計画全体について少し御説明させていただきたいと思います。
     まず、資料1の方でございますが、こちらは、有識者議員としての鹿嶋議員が出されたペーパーでございますが。暴力以外のテーマについて起草していただくワーキングがございまして、そちらの主査を鹿嶋議員がされていらっしゃいます。2月8日に基本問題・計画専門調査会がございまして、そこで第3次計画全体の考え方について御議論いただいたものも踏まえ、起草ワーキングで議論いただいているものをペーパーにまとめて御報告いただいたという形のものでございます。24日に基本問題・計画専門調査会がございますので、またこの議論は引き続きそちらでもしていただくことになっている、そういう位置づけのものとして見ていただければと思います。
     これは3枚にわたっておりますが、大体、計画全体の総論的なものと見ていただければと思います。3次計画の「目指すべき社会」というものを<1>に書いてございますが、男女が個性と能力を発揮することによって、多様性に富んだ活力ある社会を目指すということ、それから男女ともに人権が尊重され、尊厳を持って個人が生きることができる社会、これを目指すべき社会と掲げております。
     それから、2番目のところで、2次計画を平成17年につくってから、社会情勢がどう変化したかということについて4点ほど挙げております。少子・高齢化社会の進展と人口減少社会の到来、人口も減少していますし、家族形態とか地域での人間関係のあり方も少し変わってきているのではないかと思います。それから、経済の低迷、それによる閉塞感の高まり、更には、非正規労働者の増加と貧困・格差の拡大、そしてグローバル化の国際的な人の移動の増加、こういう4点を挙げていただいております。
     それから、一番下の四角でございますが、2次計画は5年前につくられたものですが、その計画のもとになっている男女共同参画基本法が施行されてからもう10年経つわけで、その反省に立ちますと、まだ共同参画というものは不十分ではないかということでございます。具体的にはそこに4つほど掲げておりますが、固定的な性別役割分担意識がいまだ根強いことですとか、政策・方針決定過程における強力なリーダーシップが不足していた、あるいは男女のセーフティネットや女性のライフコースへの配慮が不十分であったため、制度や枠組みが整備されても、必ずしも成果につながらない場合があったというようなことを挙げていただいております。
     それから、2ページは、新しい3次計画の基本的な考え方といいますか柱的なものをまとめたページでございます。基本的な考え方として、上半分の中に更に4つの四角を書いてございますが、そのうち3つ、まず並列に並んだ部分を御説明させていただきますと、一番左が、すべての人が、あらゆる場面で活躍できる社会にするために、身近な男女共同参画を推進するということで、要するに一人一人が、男女共同参画というのは自分の問題だということを認識してもらえる計画にするというのが一番左です。それから、真ん中ですが、参画の実現を加速するために、意識改革、それから制度改革を積極的に推進する。一番右側ですが、これは暴力に関係する点でございますが、すべての人が安全・安心に暮らせる社会にするために、男女共同参画の視点を重視した雇用・セーフティネットを推進するというところでございます。
     こういう考え方に基づいて男女共同参画を推進することによって、矢印の下でございますが、社会が活性化されて、日本の社会が直面するいろいろな問題について解決できる、あるいは経済成長につながるということが言えるかと思います。
     それから、その取組に当たって幾つかその下に挙げてございますが、上から2つ目のところにありますように、女性に対する暴力の根絶に向けた対策を充実させるというのも、一つ大きな観点として挙げていただいております。
     この柱と連動するのですけれども、特に3次計画で留意すべき新たな視点、今までもこういう視点というものはなかったわけではないのですが、もう少し明確に取り挙げて3次計画の中身に反映させるべきだという新たな視点と、それから喫緊の課題というものを上げていただいています。喫緊の課題は、この2~3年あたりに特に重点を置いて解消すべき、対応すべき課題という位置づけでございます。
     新たな視点の中には5つほどありますが、特に、こちらの暴力との関係で申し上げますと、例えば[3]に子どもにとっての男女共同参画とございますが、こちらの暴力の専門調査会あるいはワーキング・グループでも、例えば女児という観点、あるいは児童ポルノということから、子ども全体に対しての暴力について非常に大きな一つの重要項目だと皆様に議論いただいているところですが、そういう意味で、子どもにとっての男女共同参画というものが、暴力の観点からも一つ挙げられております。
     それから、喫緊の課題も5つほど上げておりますが、その中の真ん中、[3]に女性に対する暴力の根絶、これも喫緊の課題として取り上げるべきものとして挙げていただいています。
     それから、3ページ目が重点分野でございまして、今申し上げたような柱ですとか新たな視点や喫緊の課題を踏まえて、今の2次計画では分野を12に分けておりますが、例えば3次計画では、このように14個に分けてはいかがかという議論をしていただいているところです。暴力に関しましては[8]にございまして、女性に対するあらゆる暴力の根絶ということでございます。その上の[7]の人々が安心して暮らせる環境の整備、それから[9]の生涯を通じた女性の健康支援と一緒に、中見出しで言いますと安全で安心な環境という観点から、暴力を一つの大きな重点分野として位置づけております。
     それから、最後、3ページ目の下に推進体制ということでまとめてございますが、国内本部機構の強化ですとか、基本計画の実施状況やCEDAWの最終見解等の実施状況についての監視機能の強化、あるいは地方や民間団体での取組の支援などを挙げていただいております。
     これは、先ほど申し上げましたように、また24日の基本問題・計画専門調査会で全体を議論いただくことになるかと思います。
     それから、資料2は、同じく2月18日の参画会議に福島大臣が提出されたペーパーでございまして、3次計画策定に当たっての考え方として、こういうふうにやってほしいという大臣からのペーパーでございます。
     8つほど項目があります。1番は、実効性のあるものにするということでありまして、これは、さっきちょっと説明を省略してしまいましたが、資料1の方でも、つまり専門調査会から、実効性あるものとするために数値目標をできる限り設定するということをいただいておりますが、大臣からも、なぜ今まで進まなかったのか現状をきちんと分析して3次計画につなげてほしいということ、あるいは数値目標や工程表を設定して、きちんとしたアクションプランにしてほしいということを言われております。
     それから、途中をちょっと省略しまして、上から5つ目、個人の人権の尊重、社会的少数者の問題。少女など子どもの問題への対応や女性の貧困の問題など、困難を抱える人々への対応を盛り込んでほしいということが一つあります。それから、その下、女性に対する暴力の根絶。女性に対する暴力の根絶に向けた対策を充実させてほしいということでございます。それから、その次が国際的な理念の重視ということで、先ほどの資料1の方にも盛り込まれておりますが、CEDAWからの総括所見のすべての項目を計画で点検するなど、国際的な概念や考え方について重視してほしいという指摘をいただいております。
     今後、暴力の専門調査会も同じでございますが、大臣ペーパーの内容も踏まえながら、皆様方に御議論いただき、答申に向けた中間整理案について御検討いただきたいと思っております。
     以上です。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。
     それでは、今の御説明に対して何か御質問のある方いらっしゃいますでしょうか。私も伊藤委員も基本問題の方のワーキング・グループには入っているのですけれども、何か希望することがあればお伝えしたいと思いますが。
    根本委員
    福島大臣のペーパーにも、その前のペーパーにも入っているのですけれども、何となくペーパーを見て虚しさを感じてしまうといいますか、実際どうするのかというのが、本当にどう書くつもりなのかというのが見えない気がしてしようがないところがあります。
     例えて具体的に申し上げますと、雇用等の分野における均等な機会と待遇の確保というものがあります。福島大臣の方にも暮らしていける賃金を確保できるようという話がありますが、これはどういうことをお考えになっているのか。最低賃金の世界の話でいけば、恐らく暮らしていけない賃金になってしまう可能性がある。なぜかと言えば、例えば、私どもで生活保護の関係で計算してみますと、ひとり親世帯、女性30歳、子どもさん3歳、計算すると時給で999円というのが割り算してみたときの生活保護の賃金。生活保護の金額を勤務時間で割り算してみますと1,000円弱になる。千葉県の最低賃金は728円。何を基準にして、ここで言っている女性が当たり前に暮らしていける賃金というものを考えていくのか。特に、ひとり親世帯等については、それをどういうふうに実現していくのかということが、本当はそういうことが見えてこないと絵に描いた餅になってしまうのではないか、そんな感じがしてしようがないんですよ。ここら辺はどう考えていくべきなのか、私自身も今、はっきり申し上げてわからないでおります。
     別の観点で今苦労しているのですけれども、書くことは、これは簡単に書けると思います、お経ですから。お経を書いても、ありがたみしか出てこないという話になっては困るなということを、これから議論するときにもうちょっと詰めていただけるとありがたいな、そんな気がします。
    岩井会長
    そうですね。雇用の問題をまず第一にと福島大臣も言っていらしたし、我々もそのつもりで計画を立てているわけですが、そして、やはり男女共同参画で女性の経済的自立をとにかく目指すような、雇用の場の確保というものをもうちょっと具体的な提案として出せるようにとは思っておりますが、重点分野として、働く場として4、5、6は掲げているのですけれども、農山漁村においても、女性もきちんと安定した収入が得られるという生活協定ですか、そういうものも進めていくという具体的なものも出しているというようなことで提案してくると思うのですけれども。
    根本委員
    もう一つ付け加えてよろしいですか。ひとり親家庭の支援策として、私ども、できるだけ雇用の場をつくっていこうということで、手っ取り早い話として2級ヘルパーの資格を取ってもらおう、こんな話をやっているんですね。それではといって募集広告を見てみますと、ヘルパー2級で時給が850円、これが大体平均的な、千葉県といいますか私どものところの数値ですから、先ほどのひとり親家庭で3歳の子どもさんを持っていますよという方の生活保護水準と比べたら150円ぐらい違ってしまうという感じになるんですね。
     ですから、実際にもうちょっと数値をもとにした議論みたいなものが出てこないと、言葉だけが躍ってしまうという感じになってしまうのかなという感じがしているということだけですから、すみません。
    岩井会長
    何かほかに御意見。どうぞ。
    平川委員
    福島大臣の策定に当たっての考え方のところでマイノリティについての言及が出てくるのですが、性的マイノリティについてはどのようにこの参画会議では出ているのか教えていただきたいと思います。
    岡島局長
    詳しい議論は参画会議の中ではございません。それで、ちょっとこのマイノリティという言葉自体も日本の中でははっきりした定義ございませんので、そういったことも含めまして、どういうふうに答申に盛り込んでいただくかというのは、これから議論することになってまいります。
    岩井会長
    どうぞ。
    原委員
    3ページの重点分野のエンパワーメント・多様の視点の[3]の男性・子どもにとっての男女共同参画の推進ということで、これはただ表記だけの問題だと思うのですが、これまでよく「女性・子ども」とか「障害者」とか一括りにするような表記が目立っていたのですが、「男性・子どもにとっての男女共同参画」というのは、それぞれ視点が違うし取組の方向性も違うと思いますので、そこのところが一括りのような感じではなくて、独立した取組として今後も、例えば表記あたりもやっていただけたらと思います。
    岩井会長
    新たな視点のところでは[2]と[3]に男性と子どもと分けているんですけれども、まさに男性と子どもを一緒にするわけにはいかないので、それぞれ対応策を提言するのだろうと思うのですが、重点分野は余りたくさんつくれないのでそのような表記にしていると思うのですが。
    岡島局長
    そうしたことも、起草ワーキング、それから専門調査会で御議論していただくことにはなっているのですが、ただ、重点分野を余りに細かくたくさんにしますと、むしろ平板になってしまうということもあると思います。今までは、どちらかというと女性を中心に議論をしていた部分があるので、むしろ男性にとっての男女共同参画も大事です、それから子どもという視点でも、もっときちんと見ていく必要がありますという新しい視点ということでここでは一緒にしていただいています。記述をどうするかとか、あるいはこういう括り方でいいかということ自体も、まだこれから御議論いただくことになっていますので、御意見があったことを伝えさせていただきたいと思います。
    後藤(弘)委員
    推進体制のことですけれども、一応、福島大臣のペーパーにも「策定過程の透明化」とありましたが、推進していく過程の中での透明性というものも、同様に確保されなければいけないと思います。多分この5年を振り返っても、1年ごとにきちんとフォローアップがされて、きちんとした政策がなされているかというのを、専門調査会レベルではなされてこなかったような気がします。本当に実効性を担保するためには、チェックした機関が権限を持って、実現されていないところを強力に推進するような組織をつくっていかないと、さっき根本委員もおっしゃったように、絵に描いた餅になってしまいます。勿論、数値目標等をきちんと掲げるのも大切なのですが、政策が実施されているかどうかをチェックする機関をもう少し強化することが必要ではないかという気がいたします。
    岩井会長
    一応、推進体制のところに「監視機能の強化」という項目は入れているのですが。
    後藤(弘)委員
    そういうふうに書いてあっても、結局、今あるシステムの中で強化するだけでは不十分なので。こういうことをしたから強化と言えるんだという具体性みたいなものがないと、やはり同じように、また5年後、全く実効性がないではないかという形になりかねない気はします。
    岩井会長
    どうぞ。
    大津委員
    平川委員がおっしゃっているマイノリティと言われている社会的少数者の中に移住労働者、これは移住女性と言ったほうがいいと思いますがマイノリティと言われている人たちへの柱建てを少しはっきりとしていただけると、よりこれから議論もしていただけるのかなと思います。
     日本人と外国籍の方の場合には、本当に根本的に違うのは、在留資格の問題とか、さまざまな問題がありますので、一応、外国籍の方は柱建てを別にして、その中で、どうしたら外国籍の方たちの人権が守れるのかということを書いていただけたらいいかと思います。
    岩井会長
    外国人については、重点分野の[7]のところに、「安心して暮らせる環境の整備」の中には外国人も入れています。でも、外国人と括るというのは、いろいろな場面で問題が出てまいりますので、いろいろな分野で気を配らなければならない問題だと思っています。
     よろしいでしょうか。全体については、いろいろ御意見いただきましたのを基本問題のワーキングでもお話ししておきたいと思います。
     それでは、次に、起草ワーキングにおける検討状況とその内容について御報告いたします。
     暴力の問題についての起草ワーキングにおきましては、まず、現行計画の達成状況と評価、そして今後の取組については、全体としての目標と各分野ごとの政策の基本的方向について議論を行っています。
     資料3を見ていただきたいのですが、議論に当たっては、現状の取組に対する評価と問題点を中心に議論を行っております。先ほどの事務局からの説明で御紹介があったとおり、なぜ進まなかったのかという、福島大臣から提起された問題意識とも大きく関連する部分であります。起草ワーキングにおきましては、これまでの行政側の取組を是とするのではなく、取組による効果が十分に上がっていない部分がないか、暴力による被害者等のニーズに応えられていない取組や改善を要する部分がないかなどの観点から、評価と問題点として整理しているわけです。
     この間の起草ワーキングにおきましては、今までの項目についての評価と問題点の部分を話し合って、少し整理しておりますが、まず、(1)の女性に対する暴力の予防と根絶のための基盤づくりにつきましては、評価と問題点としまして、一般社会向けを中心とする各種啓発活動が実施されているが、暴力に対する認識の高まりという効果は限定的である。教育現場を中心とする若年者向けの教育啓発を重点的・継続的に実施するとともに、一般社会に蔓延する暴力を容認・助長する風潮を一掃するため、一層きめ細かな取組を効果的に実施していくことが必要であると。
     そして、(2)の配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護等の推進につきましては、評価と問題点としまして、配偶者暴力防止法の制定・改正を経て、法制度の整備や行政側の体制整備が進展するとともに、相談件数の増加に見られるように、配偶者からの暴力被害の顕在化の効果も現れているが、被害の発生そのものは高止まりの水準にある。加害者に対する取締りを強化するとともに、社会全体を通じた女性の経済的自立を促進することにより保護されるべき被害者が本法に基づく制度を利用しやすくすること、関係機関の連携を促進することにより被害者に対する自立支援を一層効果的に実施していくことが必要であると書いております。
     (3)の性犯罪への対策の部分ですが、評価と問題点としまして、取締りの強化や捜査・刑事手続の整備等を通じて性犯罪検挙率等の向上が見られるものの、性犯罪認知件数は依然として高水準の状況にある。特に、幼児期における被害が多数見られ、また、だれにも相談できなかった等の事例も多数見られることから、実際の性犯罪の発生は、警察等の認知件数をはるかに上回るものと考えられる。情報化の進展等に対応して子どもを性犯罪から守るため効果的な対策を講ずるとともに、相談・心身のケアなどにつき、被害者のニーズに即した総合的な対応が可能な体制を構築することが必要である。
     それから、次の(4)の売買春への対策の推進のところについては、出会い系サイト規制法の施行等の対策は着実に推進されてきたものの、出会い系サイト以外のSNSにより被害を受ける事例が増えており、更なる情報化の進展を踏まえた効果的な売買春防止のための対策を行うとともに、要保護女子の未成年者の割合が高水準である状況等も踏まえ、家庭環境に問題を抱える子どもについて、社会全体で教育・保護を行うシステムを構築することが必要であるとしております。
     (5)の人身取引への対策の推進の部分ですが、評価と問題点としましては、入管法等の改正等を通じて人身取引対策が進み、被害の防止対策や被害者保護のための取組も着実に進展している。今後とも、新たな人身取引対策行動計画(平成21年12月)に基づき、人身取引の根絶に向けた取組を着実に実施していく必要があると言っています。
     (7)のストーカー行為等への厳正な対処につきましては、評価と問題点としまして、ストーカー規制法の強化等を通じて、被害者の立場に立った対応の強化が図られてきたが、認知件数は高止まりの水準にあり、生命の危険に及ぶ事案も発生している。ストーカー被害を受けたときの対処方法等に関する教育等を重点的に実施するとともに、効果的な被害者保護のあり方について検討する必要があるとしています。
     次の、(8)新しく項目に立てましたメディアにおける性・暴力表現への対応につきましては、評価と問題点としまして、メディアにおける有害情報や性・暴力表現等に対する国民の問題意識が高まってきている。今後、女性に対する暴力の新しい課題として対策を検討していく必要がある。
     なぜ進まなかったか、もう少し具体的に突っ込む必要があるかと思うのですが、今まで余りきちんと進んでこなかったというところの反省点を上げているわけですが、それでは、女性に対する暴力の根絶が必ずしも進まなかったという点を中心として御議論いただきたいと思います。各分野における取組がなぜ進まなかったか、どういう問題点があったのかということと併せて、各分野全体を通じて、女性に対する暴力の根絶という課題がまだまだ道半ばである背景や要因について御意見を伺ってまとめていきたいと思います。
     今後どういう取組をすべきかということについては、また次のワーキング・グループで取組については話し合いますので、目標及び施策の基本的方向としてお示しした部分と併せて御議論いただいた後でまた議論をしたいと思います。
     この進捗状況の評価についてのところで、ワーキング・グループがまとめたものについて何か御意見ございますでしょうか。どうぞ。
    諸澤委員
    なぜ目に見えて進んでこないかということとの関係で、国と地方公共団体の関係が、この会議に出させていただいていても余り見えないんですね。国としては、基本方針というか基本計画をつくり、法律改正などをすることがあります。地方公共団体がそれを実現していくということで、国と地方公共団体との間の関係が非常に大事だし、それがあって初めて目に見えて変わってくるのだろうと思うのですが、国の側のこの基本計画としては、やはり地方公共団体は地方公共団体で計画をつくるのであって、国の基本計画の中で、どの程度、地方に対して示すことができるのか、ここら辺がちょっとわからないのですけれども、どういうふうに考えたらいいのでしょうか。
     どうしても国の議論は、やはり原則的な話にとどまってしまうわけですよね。それが具体性がないというわけですね。法律改正であれば具体性は出てきますけれども、むしろ、現場での動きということになればかなり限界があるように思うのですが、これはどういうふうに整理されているのかということをちょっとお聴きしたいのですが。
    岩井会長
    それは、どの項目というのではなくて、全体についてということですか。
    諸澤委員
    そうですね、全体的でもいいですし、非常に難しい問題ではあるけれども、国の会議に参加していると、まさに隔靴?痒みたいに、手が届かないような現実がありますよね。現場の動きというものを変えていかなければならない、そのときに国は何ができるんだというところに当然限界があると思うんですね。ある意味では、国と地方との連携というか、それが一体となって動く仕組みが必要なのかもしれないですが。
    岩井会長
    そうすると、配偶者暴力防止の部分とか性犯罪への対策、そのあたりですかね。
    諸澤委員
    例えばでも構いませんけれども、地方公共団体レベルで実際上動いている問題が多いと思うんです。
    岩井会長
    期間中に実施した主な施策のところには、婦人相談所とか相談窓口、そういうものの強化が、今までの実施した施策の中には入っているわけです。
    諸澤委員
    点検・評価ですか、あるいはクレームとかそういうものは、国のレベルと地方のレベルと両方あると思うんですね。そういうものが機能してこそ実現していくのだろうと思うのですけれども。
    藤澤推進課長
    答えになっているかどうか自信が全くないのですけれども、計画に関して申し上げますと、国で言うこれからつくろうとしている第3次計画に相当するようなものについては、少なくとも都道府県でも同じように、どういう名前かというのはばらばらだと思うのですが、やはり男女共同参画全般に関して、それぞれの都道府県の実情に応じたものをつくっていただくことになっていますし、DVに関して言うと、DV法のもとに、基本方針というものを国が定め、そこで都道府県はこういうこととか、あるいは市町村はこういうことに留意して計画を策定するようにという全般的なお話は書かせていただいています。それに基づいて、各都道府県は必ずDVの計画をつくる、それから、さっきの男女共同参画の計画もそうですけれども、市町村は、努力義務となっているので、つくっていただけるところはつくっていただいています。例えば、野田市長さんがいらっしゃるので、何かお話を具体的にいただいた方がわかりやすいのかもしれません。
    諸澤委員
    実際に若干見ることがあるのですけれども、都道府県のものは国がつくったものの焼き直しみたいなんですよね。本来だったら、ブレークダウンして具体性のあるものにしなければならないんだけれども、そういうものを見ることが少ないですね。
    平川委員
    今、諸澤委員がおっしゃったことは、私は臨床の現場におりますので、現場から言うと全くそのとおりだと思うんですね。例えば、ここで言うと性犯罪と言うのでしょうか、子どものころに性暴力を受けた方が、大人になってDVを受けるとか、それから成人したときに、生き延びるための対処法として覚せい剤を使うとか、売春をやるとか、そういうふうにして、1人の女性たちの支援のためには、さまざまな問題がその人の中に入り込んできているので、必ずしも縦割りといいますか、性犯罪なら性犯罪、それからDVならDVと分けて考えることができないような現場にいるものでから、今の諸澤委員のお話は、私なりに受け止めて、全くそのとおりだという感じで聴きました。
     そうなると、1人の人の人生を問題にするときに、いろいろ分けて考えることができない。そのあたりのことが、暴力の根絶の推進の阻害要因にもなっているというような現場のやり方を持っていて諸澤委員のお話を聴いたということなのですが、本当にどう考えていいかわからないのですけれども。
    根本委員
    現場の首長の話として少し申し上げますと、多分そこへ踏み込んでしまうと、この議論は全然進まなくなってしまうかなという感じがして今聴いておったのですが、実際問題としては、やはりかつての、この100年続いてきた国と地方との関係というもの、それからいきますと、どうしても国が決めてきたものを焼き直して県がつくり、県が決めたものをまた市がつくるというような話になってしまうということが、現実の姿として今まで来ておったと。ただ、分権を推進していくという話からいきますと、そういうことがやりにくくなってきていることも確かだと思います。では、具体的な話として、指示をするというのは、これは国の方もなかなか難しい、立場上、今度は法律、仕組みとして難しい仕組みになってしまっているんだ、そんなふうに思っているわけです。
     では、実際にどうしたらいいのかという話になったときに、恐らく国の方で事細かな話はまずはできないだろうなと。ですから、私は先ほど、余り絵に描いた餅にしないでくれとは言いましたけれども、現実の姿としては絵に描いた餅にならざるを得ないのかな、そんなふうに思いながら実はしゃべっておったのですが、例えば先ほどの女性の相談所の関係でも、これは各県でそれぞれつくっておりますが、実際には機能しづらいところがあるんですね。何かというと、やはり一次的な自治体である市町村に駆け込んできてしまう話を、そちらの問題ですよという話にしてしまったら、もう全然機能しなくなってしまうという形なんだろうと私は思っているんです。
     しかし、そこら辺を、これを市町村につくれと言っても、まず、興味のあるといいますか、そこを一生懸命意識しているところはつくりますけれども、なかなかできないなという感じもしていますので、私の感じとしては、こういう基本計画がある中で、それをもとにしたときに、各県なり各市町村でどんな取組をしていただいているか。それは、確かに皆さん方の組織の中で、内閣府の方でやっていただいていると思うんですね。そういうものを具体例としてあちらこちら見せていく。それを自分の地域に当てはめたらどうなるのかという話をしてもらわないといけないのかな、そんな気はしているんです。そうしないと、ここで地方公共団体まで指導したものをつくるというのは、分権の趣旨から言えば、まず反してしまうという話になりできないと思いますから、どうしても理念の話になる。それで、それは仕方ないのかなという感じがして、さっき、できるだけお経にはしてもらいたくないけれどもと言いながら、多分そうなるだろうと思って言わせていただいたということです。すみません、答えになっていませんけれども。
    岩井会長
    今、実施した主な施策のところを見ますと、DVの相談センターはかなりいろいろな地域において設けられていると思うのです。それから、まだ電話の部分も、今度の取組のところに入れなければいけないのだと思うのですが。そして、市町村が設置した配偶者暴力相談支援センターというものも、伸びているけれども、まだ数が少ないですね。そういう部分をもっと拡大するというような具体的な数値目標のようなものを出していくという必要がありますか。
    諸澤委員
    そうしますと、この数値目標とか工程表というのは、あくまでも国レベルでつくるのだろうと思うのですが、しかし、実際には地方公共団体がやらないと。
    岩井会長
    地方にもつくっていただくわけですよね。
    諸澤委員
    この計画の中では、地方にそれぞれ数値目標をつくれというようなことを言うところまでですか。
    岡島局長
    つくるようお願いしますということです。
    諸澤委員
    「お願いします」なんですね。
    岡島局長
    そういう働きかけをするとか、あと、それができるように情報を、まさに事例とかさまざまな情報提供をするとか、それから、これまでですと補助金とかという手法もあったのですが、こういう状況ではなかなか難しいかなというのが現実かと思います。
    諸澤委員
    そうなんですね。そういうことを考えて、工程表や数値目標をどう理解すればいいかというのがちょっとわからなかったのですが。
    岡島局長
    基本的には、基本計画は国自身の計画ですので、国自身の目標と、それから国がいろいろなところに働きかける際の目標という形になるかと思います。ですから、そこは要請とか要望とか、あるいは支援するとか、そういう形での目標になるかと思います。
    諸澤委員
    福島大臣のおっしゃっている数値目標や工程表というのは、そういう理解でよろしいのですか。これは、恐らく国のこととしておっしゃっているわけですよね。そうではないのでしょうか。地方分権を主張しながらこういうことをおっしゃるということは、若干矛盾に感じたものですから。
    岩井会長
    実効性のあるものにするということをまず最初に言っている訳で、官民連携の必要ということはかなり目標にしていると思うんですよね。
    諸澤委員
    国と地方の連携。
    岡島局長
    現在の計画の目標につきましては、この2次計画の128ページのところから数値目標ということでまとめてありますので。これは中のものを引いていますけれども、第3次の計画はまた別途考える。場合によってはこれを引き継ぐものもあるし、新たなものもあると思いますが、現状がこういうことだということをごらんいただいて、暴力の関係ですと、129ページにございますが、「夫婦間における平手で打つ、殴るふりをするの行為については、暴力と認識する人の割合を100%に近づけることを目指す」というのが現在の目標になっています。
    岩井会長
    数値目標を入れようというので、これに入れたんですよね。
    諸澤委員
    そうですか。なるほど。
    後藤(弘)委員
    先ほどの最初の問いかけに戻るのですけれども、どうして進まないかという話で、やはり施策はいろいろできていると思います。ここに書いてあるようにいろいろな施策をやっていると。問題は、そのやっている施策が、先ほど平川委員もおっしゃったように、すごく縦割りでやられているので、例えば最初に支援者としてだれかが立ち会ったときに、その支援者が、すべての垣根を越えて、その人に必要な支援というものが行われていないということがあると思うんです。
     例えば今回、今まで項目ごとにいろいろ考えてきたわけですけれども、場合によっては重複する場合もあります。例えば、家庭内であれば、家庭内で配偶者間の暴力が起こり、また子どもに対する暴力が起こる。そういう複合的な暴力というものがいろいろな場所で見られるわけですから、そういう意味で、計画としての限界というものはあるのですが、どこか最初の方で、暴力の見方として、暴力は、例えばストーカーだったらストーカーだけで、はい、それが暴力というわけではなくて、女性に対する暴力のメカニズムみたいなものをきちんと把握した上で、それを認識すると。
     例えば、今の平手で打つということだけが暴力ということでの認識はまだまだ足りないと思いますけれども、それだけではなくて、女性に対する暴力がどういう形で行われているか、その暴力を受けている個人に注目して考えるという視座をまず示すことが、とても重要な気はします。その後に、いろいろやっていることがうまく機能するような仕組みをどうつくるか。
     多分このまま行くと、私は、第10次ぐらいまで行ったとしても、この状況が続いている限りは、今の水準を維持し続けるのではないかと思います。なので、本当に暴力をなくすんだということが、どうしても何か伝わってこない。内閣府の中ではあるのかもしれないですけれども、内閣府を越えると、政府の中でも、女性に対しての暴力ってあってもいいよねみたいな感じになっているような気もします。
     省庁レベルとか、あと企業の問題というのはかなり大きくて、前も議論が出たと思うのですが、例えば、今回の重点分野にありますけれども、安全・安心な環境というのは、何が安心で安全な環境なのかということについての合意、つまり暴力がない生活が安心・安全なんだということの合意をまだまだ社会が形成できていなくて、そのために、教育・啓発において、大体学校教育みたいなものが重点になるのですが、例えば社会教育ですよね。企業の人たちに教育するであるとか、そういうことがないがしろになっている。もっと本当に真剣にやっていかないといけない。勿論、個々の計画は、実施されている施策はいいと思うのですが、その根本の視点というか、さっきから出ているのですが、やはり国の覚悟というものがないような気がします。例えば総理大臣がもう少し覚悟を見せるとか、担当大臣だけではなくて、閣内で、この課題は絶対対応しなければいけないというような認識を前提として基本計画をつくっていくようなことも必要ではないかと思います。
    岩井会長
    なぜ進まなかったかというと、結局、意識が変わらなかった、それに尽きるということですかね。
    後藤(弘)委員
    やはり認識が共有されなかったということだと思います。つまり「暴力とは何なのか」というきちんとした調査もないわけですよね。暴力のメカニズムとか、暴力は複合的な形で起こっているとか。ですから、施策はあっても、誤った認識に基づいて施策が運用される。一部の人たちが頑張ってもだめなわけで、その人の上司であるとか、例えば市町村であればその首長であるとか、そういう人たちの意識が変わらなければならない。例えばみんな根本委員だったら違うと思うのですが、残念ながらみんな根本委員ではない。意識改革というものはそんなに簡単にできないので、制度から意識が変えられるような、制度改革をしていく必要があるが、それはとても難しいことです。
     ですから、何で進まなかったか、ここで議論していても無駄な気がします。何で進まなかったかを調査するような、そういうもっと科学的な分析をする方がいい。ここで10人ぐらいで「何で進まなかったんでしょうね」と言っていても、はっきり言って、井戸端会議的なことで終わりそうな気もします。もっと根本的に、なぜ進まないのかをあらゆる角度から科学的に検討する調査会みたいなものをつくるというようなことも、今後必要ではないかと思います。
    岩井会長
    基本問題の方では、結局、やはりDVとかそういういろいろな問題も、女性の経済的自立がきちんと達成されないところにあるのだという基本認識はあるのですよね。だから、雇用を推進するとか、DV被害者の後の生活の救済、そういう部分の貧困に対する対応というものを強化していかなければならないと。だから、やはり女性の社会的地位を高めることが暴力に対する防止につながる、そういう認識はきちんと持っていろいろな計画を立てているわけですけれどもね。
    後藤(弘)委員
    そうであれば、今の、例えば男性100に対して60の賃金格差をなくす、女性の賃金を男性と同一にするというような施策を1個きちんと立てれば、勿論かなり違うと思います。多分、いっぱい立ててもしようがなかったりするので、せめて100・100にするという目標を立てれば、暴力についても影響する可能性はあると思います。これだけは絶対獲得する目標をまず明確にする。さっき総花的になると、なかなか何をしているのわからないというお話もありましたけれども、もしそういう認識であれば、せめて具体的に、さっき根本委員もおっしゃったような形のサポートを、たとえば、母子家庭については、最低賃金を底上げするとか、そういうようなことをもっとやっていかない限りは、何も変わっていかないような気がします。
    岩井会長
    意識改革については基盤づくりのところで、研修の問題とか、それから、暴力のところでも、子どもを取り上げて、小さいときからの教育、性教育とか、そういういろいろな問題があると思うのですが、そういうものをきちんと体制を取らなければいけないというところは入れ込んでいくと思うんですけれどもね。
     ほかに何か、もっとこういうところを指摘しておかなければいけないという御意見はないでしょうか。
    林会長代理
    どうして進まなかったのかという分析ですけれども、私も、後藤委員がおっしゃる趣旨には同感なんですね。でも、他方で賃金の問題とか経済の問題というのは、私たちがどうやって頑張っても景気を回復させるわけにいかないし、労働市場というものがあって、賃金が労使の合意で決まるときに、国が賃金を平等にしなさいと言うことの限界も当然あるわけですよね。
     私は、女性に対する暴力について、これはひどいとみんなが思うような事件が起こったときは、きちんとそのケーススタディをやって、どういうふうにしたらそういう事件が防げたのかということを検証するべきだと思うんですね。
     私は、過去の暴力部会でも何回かこれを提案してきましたし、ほかの委員の方もそういうことをおっしゃいましたけれども、いまだかつて一度もそういうことがなされたという認識が私はありません。最近の宮城県の事件なども、あれについて何か、警察はやっているのでしょうか。被害者がどういうふうに警察に接触してきたのか、そのとき応対した人はどういう応対をしたのか、どうして桶川ストーカー事件の教訓が生かされなかったのかといったことをみんながわかるように検証するべきだと思うんです。
     私は、もしあの事件がイギリスで起こっていたら、イギリス政府は必ず、だれか高名な裁判官とかバリスターを委員長にして調査委員会をつくると思います。それは、決して担当者を非難するという問題ではなくて、予防のために、具体的なケースから学んでいくことが必要だと思うんです。統計を取るだけではなくて、起こった事件についての検証をやっていくことが、今後の政策をつくる中には必要なのではないかと思います。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。
     ほかに何か、なぜ進まなかったかという御意見、もうよろしいでしょうか。
     それでは、ありがとうございました。
     では、次に、本日お示ししていない部分を含めた今後の起草ワーキング・グループにおける審議の進め方について申し上げます。
     最初に申し上げたとおり、本日資料をお示しして御意見をちょうだいしたものは、まず、現行計画の達成状況と評価、今後の取組について、目標と各分野ごとの施策の基本的方向の部分であり、これに続く具体的取組の記述については、引き続き、起草ワーキング・グループにおいて審議、検討を行う予定としております。
     この具体的取組は、本専門調査会において取りまとめを行った論点の中で計8の分野ごとに列挙させていただいた取組例をベースとして今後取りまとめを進めることとなります。ただし、答申に向けた中間整理案の取りまとめに当たっては、この論点をそのまま盛り込むのではなくて、重要性・緊急性などを勘案して、重点事項に絞り込んだめり張りのきいた内容としていくことが必要と考えております。また、今後、答申に沿った取組を関係省庁に実行していただく上では、具体性を持った明確なメッセージとしていくことが必要と考えております。
     本日は、女性に対する暴力の根絶というテーマ全体を見渡した視点から、どのような内容の具体的取組としていくことが答申全体の姿としてふさわしいかという点について、今後の審議、検討に先立って、あらかじめ御意見を伺いたいと思います。
     具体的取組については、資料4に「女性に対する暴力に関するワーキング・グループにおける論点」が出て、この間、いろいろ御意見を出していただいたところから列挙しておりますが、6ページからの基盤づくりについては、取組例として意識啓発でありますとかいろいろ上げているわけです。女性に対する暴力の発生を防ぐ環境づくりというところには、防犯対策の強化ということを上げているのですけれども、やはりまだまだ防犯対策も必要だと思うのですが、少し防犯対策と言いますと、女性に対して注意を呼びかけるというふうに取られるおそれもあるので、環境づくりのそういうところは配慮して出さなければいけないと思っているのです。
     それから、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等の推進のところでは、取組例として、相談体制の充実や被害者の保護及び自立支援の促進などの項目、それから加害者に対する厳正な対処という、処罰の徹底という項目も挙げております。
     それから、[3]の性犯罪への対策の推進のところでは、こうした行為を潜在化させない社会環境の整備として、性暴力を犯罪として訴え、相談しやすい体制づくりの推進、それから性暴力被害者専門のワンストップ支援センターの設置促進は、24時間対応の被害を訴える相談センター、それから、子どもに対する性暴力への対応という項目を上げております。性犯罪への厳正な対処等としては、強姦罪の見直しの検討という項目も挙げております。
     それから、子どもに対する性暴力の根絶に向けた対策の推進につきましては、取組例としまして、子どもを特に取り上げたわけですけれども、子どもに対する性暴力防止のための取組の推進、相談しやすい体制の整備、児童ポルノ、児童買春の防止対策、児童ポルノの排除に向けた総合的対策の推進。この部分には、子どもに対する教育の部分も含めて考える、子ども自身の扱うパソコンソフトなどに対する対策といいますか、そういうものも挙げているわけですね。
     それから、[5]売買春への対策の推進ですけれども、取組例としましては、社会復帰支援の充実、被害者等に対する適切な対応、児童買春への対策の強化、啓発活動の推進という項目を挙げています。
     それから、[6]の人身取引対策の推進については、取組例として、人身取引対策行動計画に沿った取組の推進ということで、かなり進んだということは評価されていたわけですけれども、更に進める必要があるということです。母国語による支援、医療ケアの充実などのような項目を挙げています。
     それから、[7]セクシュアル・ハラスメント防止対策の推進の部分では、取組例として、雇用の場におけるセクシュアル・ハラスメント防止対策、教育・医療・社会福祉施設等における防止対策、加害者への厳正な対処等、被害者の心理的ケアの体制整備の促進という項目を挙げているわけです。
     [8]メディアにおける性・暴力表現への対応という項目を特に取り出しまして、メディアにおける性・暴力表現への対応で、どこまで規制できるかというのはかなり、やはりマスコミ関係の方たちを、表現の自由との関係で取締りは難しいとおっしゃるわけですね。自主的取組の促進というのと、バーチャルな分野における性・暴力表現に対する新たな規制と上げているのですが、どこまでの規制を織り込むのかというところをもう少し具体化した提案を出さなければいけないのではないかと思っております。
     こういう取組例を上げておりますけれども、これから重点的に取組例として上げていかなければならない項目について御意見をいただければと思います。起草ワーキング・グループで、これについてはまた議論していくところですけれども、何か御意見ございますでしょうか。
    後藤(弘)委員
    平成17年の答申と同じような形式で今回も答申をするという前提だと思うのですけれども、そうすると、例えば、今のお話だと、ここに今上がっているのはちょっと数が多いので、もう少し重点的にやってほしいことをしぼるという方向性の中で、どれを重点化するかという議論をするのか、とりあえず今、ワーキング・グループで議論したものは議論したものとして生かしながら、その中でもとりわけこういうものを重点化していこうという議論の方向性になっていくのかというのは、どちらなのでしょうか。
    岩井会長
    ここの論点のところは、ワーキング・グループの段階で皆さんから御意見いただいたものを大体網羅的に上げているわけです。ですから、かなり絞らなければいけないと。だから、実効的に、是非実現しなければならないものに絞っていくということだと思うのですが、それにもうちょっとほかに視点があるというものがあればお示しいただければ。何かちょっとこの間の男女共同参画会議でも、もう少し積極的に提案しろということだったようですので。CEDAWの勧告を完全に実施するという方向づけはあると思うのですけれどもね。
    後藤(弘)委員
    勿論、CEDAWから言われていて、これは絶対やらなくては恥ずかしいみたいなところは是非実現しなければならない。こうした場に携われた林先生も、「あれ?」みたいなことだと困るでしょうし、それは重要なことだと思います。私は個人的に、やはりホットラインをきちんとつくることがすごく大事だと思います。この前も、3カ月ぐらいでしたか、ホットラインを実際にやったりもしているわけです。
     どうしても気になるのが、法務局のホットラインが最初に出てきてしまっていることです。法務局にホットラインがあるので、これを充実させましょうでも構わないのですが、とにかく、ホットラインというのは、みんなが電話したら、そこからきちんと次につなげることが大事なわけです。電話番号を統一化している法務局にかけたら、すべての情報を網羅して、この人に必要な支援をもらえるような形の場所につなぐということまで現在しているとはどうしても思えないのです。既にあるホットラインを活用することでもかまいませんから、困っている人が、その人のニーズに応じたところにつなげるホットラインというものをつくる方向でこの5年間を考えていきたいというのが、私の一番大きな要求というか希望です。
    岩井会長
    それは性犯罪の被害ですか。
    後藤(弘)委員
    暴力全部で。DVも含まれる。そういうふうに暴力ごとに分けてしまうことによってニーズに対応できなくなる。
    岩井会長
    男女共同参画センターというものが地域ではかなりつくられていますよね。そういうところで統一的に扱っていただくというふうな。
    後藤(弘)委員
    どういうシナリオでもいいと思います。幾つかシナリオが書けると思うんですね。例えば法務局を充実させるシナリオもあるでしょうし、あと、既に民間がやっているホットラインを充実させるというシナリオ。幾つかシナリオというものは書けると思うのですけれども、とにかくすべての暴力に関するホットライン化というものを目指していくことを前提として、今あるホットラインをもう一回見直していく。例えばさっきの話であれば、ホットライン検討会みたいなものをきちんとつくって、具体的に、今までのホットラインは、どこが使えて、どこが使えないのか、何が問題なのかということを検討するような基盤整備、ホットライン基盤整備委員会みたいなものをつくっていくというような提案をとりあえずさせていただければと思います。
    岩井会長
    どうぞ。
    大津委員
    ホットラインで、後藤委員がおっしゃったように、今、法務局がやっていらっしゃるホットラインが、さまざまな課題をきちんと把握してやっておられるのか、その辺が私たちもちょっと見えていないものですから。ただ、10月から民間シェルターが性被害ホットラインを、一応1月までなのですが、統計的なこともありますので、3月まで延長してやっているんですね。そこの中で、やはりほかのホットラインで扱っていない、セクシュアルマイノリティの方たちの相談や、未成年の方たちから21歳、22歳ぐらいの方たちの性暴力に関する相談が本当に増えているんですね。
     私たちは、それを次のところにきちんとつなげないといけないと思っています。情報の提供というのが一番大切なのですけれども、その方の持っている問題をお聴きして、そして次につなげるところを私たち相談員が相談の内容を把握しないといけないと思います。そういうことも、ホットラインをつくるからには、例えば日本人や外国籍の人たちもアクセスできるようなものでないといけないと思うんですね。そういう意味では、かけてきた方が次のところに、それがどういう形で全国に発信されるのかというのもまた、その委員会の中で検討していかないといけないと思いますが、そういうものを、ここの中でホットラインということが書いてありますので、もしこれを目指すのであれば、具体的に、きっと、それこそ電話を受ける相談員の人たちの研修なども大切です。それには、検討会議というものを持っていただければありがたいと思います。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。
     何かほかに御意見ございますか。どうぞ。
    林会長代理
    今回の論点案がCEDAWからの勧告を意識してつくっていただいたということは、私も委員として大変感謝しております。御存じのとおり、暴力に関しては、女子差別撤廃委員会が一般的勧告19というガイドラインを出しておりまして、条約で言う暴力にどういうものが含まれるかというのを詳細にリストアップしているのですが、当然、国によって問題状況は違います。
     例えば、地域を限定すると問題があるかもしれませんが、特に南インドの風習でダウリーという、持参金を女性が持ってきて、持参金の額が少ないと寄ってたかってお嫁さんが殺されてしまうとか、あるいはサティと言って、夫が死ぬと、いわゆる未亡人は生きていてはいけないということで、夫と一緒に埋葬されるとか、そういうことを禁止する法律があるくらいですので、現実に、そういう暴力があるわけです。ただ、日本の社会では、そういう問題は聞かないので、私たちがそれを、幾ら一般的勧告に入っているからといって、そういった問題、たとえば持参金殺人を取り上げる必要はないと思います。
     他方で、私たちがやらなくてはいけないのは、高度に資本主義が発達した先進国の社会における、男女間の差別、その中での暴力というのが何なのかということを意識した上で入れなければいけないということだと思うんですね。
     今回取り上げられている問題というのはそれぞれ重要で、どれを削っていいという問題ではないと思うのですけれども、あえて言うと、ドメスティックバイオレンスと人身取引は、重要だと思います。先進国というのは、途上国の人たちが行って搾取される場所なので、受け入れ国がもっとしっかりしなければならないし、組織犯罪の資金源であることは間違いありませんので、人身取引はきちんと項目を立てるべきだと思います。
     また、雇用の労働、日本で女性が働くというのは、農業とか自営というよりは、やはりお給料をもらって、雇用されて働くことが多いので、そこの場でのセクシュアル・ハラスメントの問題というのは、ある程度きちんと入れないといけないのではないかと思います。
     それから、性暴力の問題は、私は、これは欧米で非常に運動が進んで法律が変わったのに、日本が明治以来の刑法で変わっていないギャップが出てきている部分だと思いますので、それは今回、是非この基本計画の中でしっかり入れていきたいと思っています。
     それから、メディアの問題も、今回、CEDAWでも指摘されておりましたので、そういったものを入れていく、そこにハイライトを当てる必要があるのではないかと思いました。
     論点案が割と総花的に思えるのは、多分、基盤の充実とか研修ですとか、そういう一般論を書いている部分があるので、その中に個別の課題が埋もれてしまっているような印象を受けるのではないかと思います。だから、その一般論の部分を、新しみがあるように書くと、もうちょっとインパクトが出てくるのかもしれない。私も起草委員ですので、ちょっとそこは知恵を絞りたいと思います。
     それから、ドメスティックバイオレンス、トラフィッキングと並べていますが、あともう一つ、主体の問題として、社会的弱者と言われる人たちであるとか、今日お話に出ているマイノリティの人たちの問題を、より差別を受けやすい弱い立場の人に対する支援というものをどうしていくかということをぜひ明記していきたいと思います。
     私は2週間前にCEDAWから帰ってきたばかりなのですけれども、今回の45会期でも、マイノリティの問題を条約自体がどう扱うかというのは非常にデリケートな問題だということがますます明らかになったという印象を持ちました。ある人たちは、国連総会で採択された「マイノリティの権利宣言」という宣言があるのですが、ここで言うマイノリティというのが、要するに言語的マイノリティ、それから宗教的マイノリティ、人種的マイノリティというのにもう国際法上、定義がされているので、「セクシュアル・マイノリティ」などという人たちは、国際人権法上存在しません、と言うわけですね。
     しかし、女性の人権も子どもの人権も、かつて存在しなかったものが、「私たちも権利の主体です」と言って登場してきた歴史がありますから、それだけを根拠にはできないのではないかと思うのですが、そこのところで、そもそもがそういう「セクシュアル・マイノリティ」という概念を一つ認めた上で、条約がカバーする範囲内の問題とした議論することについては、賛否両論が拮抗しているというところが現状だと思います。私たちが、そういった国際的な動きも理解しながら、今回の計画の中にどう取り入れていくかということは、やっていく必要があると思います。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。
     何かほかに。どうぞ。
    諸澤委員
    これがもう少し整理されるというお話だったものですから、ワーキング・グループで、あれも、これも入れた方がいいのではないかという話の中に私もいたのですが、改めて見ますと、それぞれの、例えば売買春とか人身取引とかセクハラとか、そういう具体的な問題に共通しているものが、こちらにあって、こっちにないという、必ずしも整理されていないことがあるんですね。むしろそういうものは、最初の基盤づくりか何かに、ほとんどのところで共通するものについてしっかり書いた方がいいのかな。例えば、先ほど出ていましたホットラインとかワンストップサービスとか、あるいはプライバシーの問題ですか、啓蒙の問題、あるいは民間支援問題、こういったたぐいのものは、ほとんどの具体的な問題に共通していると思うんですね。それをあるところで書き、あるところで書かないというのだと、逆に、書いていないところが問題になりますし、むしろ字数を減らす意味もあって、最初の基盤づくりのところにしっかり、そういうものを共通したものとして書いておいた方が、ずっと整理できるのではないかという気がしたんです。
     これは、[1]の根絶のための基盤づくりということの趣旨というか、ここに何を書こうとしているかということで言うと、そういう整理の仕方は可能なのでしょうか。
    長瀬調整官
    整理の仕方はまた、ワーキング・グループの岩井会長とも御相談していきますが、いろいろの整理のやり方があると思いますので、そこはよく検討してまいります。
    諸澤委員
    ほとんどに共通しているようなものがありますよね。そういうものはむしろ整理することによって字数を減らすことは十分ありますし、各論のところでは、林委員などもおっしゃったように、むしろ強調したいところを重点的に書けるようにしておいた方がいいのかなという気がするのですがね。
    岩井会長
    基盤づくり、すべて基盤が問題だということになってくるのですけれどもね。できるだけ意識改革に結びつくような具体的提案を何とか盛り込みたいと思って。
    諸澤委員
    それを基盤に入れたいという御趣旨なんですか。
    岩井会長
    はい。ほかには、ホットラインとかそういうものも基盤づくりになりますかね。
    諸澤委員
    というか、ホットライン、ワンストップサービス連携、プライバシー、そういうものは、ほとんどに共通している問題ではないかと思うんですね。それをそれぞれのところで書いていくと、当然のように、書いてあるところと書いていないところが出てくるんですね。
    岩井会長
    少し構成について考えたいと思います。
     ほかに御意見ございますでしょうか。
    根本委員
    さっきの実効性という話も含めての話ですが、児童虐待の世界で、要保護児童対策でしたか、連絡協議会という組織が実務者会議というものも含めてありますよね。ここで、例えば[1]の体制整備のところでも、研修の充実ということで、何か教えてあげるよというような感じの研修という感じになっていますよね。そこのところが、現実には、あの実務者会議というのは、時々私も、面白いからと言っては怒られてしまうのですが、のぞきに行くのですが、実際に起こったケースをもとにして、それぞれ役所だけではない、いろいろな関係者の人が、実務者としている方たちが一緒になって、その起こったケースについてもう一度おさらいをしてみて、どうしたらよかったんだろうか、こんなことをやっているのが児童虐待の世界でたしかあったと思うのですが、たしかこちらにはないですよね。この男女平等の世界では。
     そういうものが、そういう組織をつくりませんかという話というのは、何か自治体で、自治体の担当者は何をやっていいのかわからないというのでいるのが、実際の今の姿だと私は思っているんですよ。だから、ある自治体は動いているけれども、ほかの自治体は動いていない。そうすると、弁護士も入っているわ、法律の専門家も入っている、それから、いろいろな関係した人たちが入っている、実務的にやっている人たちが、あるケースがこうだったという話でやっていくというような話になると、こういうホットラインも含めての話として実効性が上がってくるのかなという感じがするんです。
     この研修という形も大切でしょうが、先ほど事例をPRしていくという話がありますねと言ったのですが、そんな形で職員のレベルアップを図っていけるような格好ができてくると、実際の実効性が上がってくるのかなという気がしているのですが、それは書くべき話なのかどうなのかもよくわからないものですから、まさにそれが、ここに書いてある研修の充実という中で入ってしまっているんだ、それは各論の話でしょうということなら、それは書く必要もない話だと思いますし、そこら辺の御判断はお任せしますが、何かそういうものがあった方が、きっと進んでくるかなと。何年か後にもう一回見たときには、自治体も含めた関係者のレベルが、意識がそこまで上がってきていたという話になってくるかなと思うのですけれども、いかがなものでしょうか。
    岩井会長
    自治体の中にそういうケースの反省会議のような組織をつくってほしいと。
    根本委員
    今、児童虐待の世界でありますよね。あれは、たしか国が、ここまでやったらいかがでしょうかという話までつくっているんですよね。
    岩井会長
    厚生労働省が重大事案を分析しているんですね。
    根本委員
    だから、それと同じようなところまでだったら書き込めるのかなという気がしたものですからね。
    後藤(弘)委員
    私の理解ですと、どこまで義務化されているかわからないですが、連絡協議会みたいなものはあって、トップの方が出る。そういうものは一応ありますね。また、例えば、児童相談所、家庭裁判所とか、いろいろな関係機関が参加するケースワーク会議みたいなものもあると思います。今おっしゃるように、確かに、子どもの世界には一応そういうものがあるので、女性の暴力の世界にもそういうものをつくる。その場合、どのレベルの仕組みが適当かというのは、多分、今おっしゃったようにあると思います。考えられるまず1つは、やはり連絡協議会で、すべての人たちがテーブルに着くというような、それが例えば年に1回、2回であったとしても、そういう関係機関がすべてテーブルに着く場所というのが必要ではないかというのは思います。
     あとは、具体的なケースワーク。この事例について検討するみたいな形で、実務者会議みたいなものをやるということを、女性に関する暴力で行う。多分、関係機関がかなり多くはなってくると思うのですが。例えば女性に対する対応をされている方と、児童虐待の対応をされている方とかいろいろな方がケースについて一緒に考える。そういったことを充実させていけば、おっしゃるようにレベルアップにはつながって、教えるというよりも、実務をやりながら、ネットワーキングをしながら実効性を上げていくというのは、私はすごくいい取組かなと思います。
     ただ、問題は、形骸化しないような形で、児童虐待も、うまくいっているところもあるように思いますけれども、すごく形骸化しているところもあるし、何とか連絡協議会というのは、悪くすると形骸化する。そこで連絡協議会をやっていますということで、それで終わってしまうことも多々あるように思いますから、そうではない、形骸化しないような制度構築をしていく必要があるかと思います。
    平川委員
    それに関しては、平成20年度の基本方針にもう既に書き込まれていて、各都道府県、東京に関してはやっているんですね。代表者会議、それから実務者会議、事例検討会議という3つの。
    後藤(弘)委員
    それはDVだけではなくて女性に対する暴力全般に関してですか?
    平川委員
    DVだけですね。
    後藤(弘)委員
    DVだけではないことが必要だと思うので、今のDVのモデル、今、DV法に関する基本計画のモデルを、DVだけではない形に広げるということの方がいいのではないかと思います。
    原委員
    今、佐賀県で取組をしているのは、ある市が取組をしているのですけれども、要保護児童対策地域協議会に、児童の部会とDVの部会と高齢者虐待の部会が三つあって、それぞれ実務者会議としてやって、年1回、代表者会議で全体の会議をやるようにしているものがあるのですね。
     それと、一応今、県の取組としてやっているのが、地域における見守り支援を充実するために、県の保健所の管轄で市町村が集まって、児童・高齢者担当と警察を交えて会議をするということをやっているのです。それが随分浸透してきたような感じなんです。だから、それも一つ形をつくって、集まって、顔の見える支援というか、それを積み重ねていくということが必要なのかなと思います。
    岩井会長
    では、佐賀県の取組の非常にうまくいっている例をきちんと具体的に出していただくということで。
    諸澤委員
    後藤委員にも聴きたいのですけれども、犯罪被害者支援連絡協議会はすべての都道府県にございますよね。委員がおっしゃっているのは、それとは別に、DV限定なんですか。
    後藤(弘)委員
    そうではなくて、女性に対する暴力限定というか。
    諸澤委員
    それの連絡協議会が、やはり各都道府県にあるのですか。
    後藤(弘)委員
    ないので、それをつくったらどうかというお話です。
    諸澤委員
    犯罪被害者支援連絡協議会の中には、DVや虐待や、皆さん出てきますよね。それがどうなっているのか。
    後藤(弘)委員
    そうですね。おっしゃるように、今の児童虐待にしても、DVにしても、犯罪被害者にしても、いろいろな連絡協議会は既にあるわけですね。各法律に基づいて。だけど、それがどこまで有機的に関連しているのかということで、例えば屋上屋を重ねるのは望ましくないかもしれませんけれども、今、諸澤委員がおっしゃったように、それぞれの被害者の連絡協議会がどうなっているのかというのもなかなかよくわからない。多分、さっきのホットラインもそうなのですけれども、いろいろなところで、いろいろなことをやっているのに、それがどうなっているかがわからない。そのためにそれをどうやって有機的に関連させていけばよいかわからない。1個でよければ、それでいいわけですよね。例えば佐賀県でやっていらっしゃるような形で、全部そこに入れてしまえばいいわけです。
     私がおそれているのは、各連絡協議会というものが例えば10個ぐらいできてしまうと、必ず形骸化するのではということです。だけれども、例えば犯罪被害者という形で全部くくれるのであれば、それはそれで構わないです。それもまた何か検討会をつくらなければいけないかもしれません。とにかく現在連絡協議会という組織がいろいろあって、実務者会議もあり、ケースワーク会議もありという中で、では女性についてはやっているところとやっていないところがあり、それぞれが有機的に関連していない中で、では、どういうシステムをつくるといいのかを考えていく必要があるということを申し上げたいと思います。
    諸澤委員
    今日は警察庁から来ておられるんですか。犯罪被害者支援連絡協議会は、警察庁が把握していると思うんですね。すべての都道府県にあるということと、私も幾つか呼ばれて行ったことがあるのですけれども、当然、DVとかそういう人たちも来ているんですよね。ですから、それがどういうふうに動いているかということを、ちょっと押さえておく必要があるかなと思うのですけれども。
    岩井会長
    犯罪被害者基本法をフォローアップする会議というのがありますよね。そこでフォローアップしていると思うのですが。
    警察庁
    警察庁でございますけれども、犯罪被害者の基本計画のフォローアップは、現在、まさに犯罪被害者の基本計画の方も改定の作業に入っており、内閣府の方で次の2次計画の策定をして、その中で男女の計画を網羅するであるとか反映するといった議論が行われていると承知しておりますので、必要があれば、犯罪被害者等基本計画の資料を女性に対する暴力専門調査会にお出しすることは可能だと思います。
    岩井会長
    どうもありがとうございます。やはり連携をして実効的なシステムをつくった方がいいですよね。
     ほかに何か。よろしいですか。また、取組については、具体化に当たってワーキンググループで詰めていきたいと思いますが、それをまたこの会議に報告したいと思っております。
     それでは、議論はここまでにしまして、事務局から何か連絡事項がございますか。
    長瀬調整官
    事務局より、次回の専門調査会の日時等について御連絡申し上げます。
     次回、第52回でございますが、3月17日の水曜日の10時から、場所はここ、同じ永田町合同庁舎の第1会議室を予定しております。それで、開催の方をよろしくお願いしたいと思います。
     中間整理案の取りまとめに向けて。17日の10時から、2時間ほど全体時間は予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。
     以上でございます。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。
     それでは、時間は少し早いようですけれども、議事を終了いたしましたので、本日はここで閉会させていただきます。
     今後、本日の議論も踏まえまして、引き続き起草ワーキングでの議論を進めてまいります。
     本日はどうもありがとうございました。