男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会

  • 日時: 平成21年9月28日(火)14:02~16:07
  • 場所: 内閣府5階特別会議室
  1. 出席者
    • 岩井 会長
      林  会長代理
      伊藤 委員
      大津 委員
      奥山 委員
      神津 委員
      後藤(啓) 委員
      後藤(弘) 委員
      小西 委員
      根本 委員
      原  委員
      平川 委員
      前田 委員
      若林 委員
  2. 議題
  3. 議事内容
    岩井会長
    それでは、時間になりましたので、ただいまから第48回「女性に対する暴力に関する専門調査会」を開催させていただきます。
     本日は、基本計画改定に向けての議論の第2回目でございます。本日、御出席のうち、根本委員、前田委員、前回、御欠席ということで、本日、御紹介いたします。千葉県野田市長の根本崇委員です。
    根本委員
    よろしくお願いいたします。
    岩井会長
    前田委員は遅れていらっしゃると思います。
     さて、本日の議事次第でございますが、前回の調査会で、林会長代理から、計画改定を議論するに当たり、国際的な視点を踏まえることも必要であるとの御発言ありました。今般、我が国の女子差別撤廃条約実施状況第6回報告に対し、委員会からの最終見解も出されましたので、事務局から本最終見解について簡単にポイントを御説明いただき、続いて林会長代理から「女性に対する暴力に関する国際的な動きについて」御説明いただきました後、前回からの宿題となっておりました事項につきまして、警察庁から御説明いただきます。そして各府省庁から、「第2次基本計画第7分野『女性に対するあらゆる暴力の根絶』」の進捗状況についてのヒアリング」を行います。
     本日は内閣府のほか、警察庁、法務省、文部科学省、厚生労働省においでいただき、基本計画の施策の基本的方向の(1)~(3)についてそれぞれ御説明いただくこととなっております。
     ヒアリングの進め方といたしましては、1項目ごとに質問の時間を設けますので、そのときにヒアリング内容について御議論くださいますようお願いします。
     それでは、議事次第2「女性に対する暴力の根絶に向けた国際的な動きについて」につきまして、まず事務局から、女子差別撤廃委員会最終見解についての御説明をよろしくお願いいたします。
    藤澤推進課長
    それでは資料1を御覧いただけますでしょうか。資料1とナンバーを振った1枚紙でございますが、その下にホチキスでとめたものを2種類置いてあります。全部で3種類でございます。
     資料1は裏表で、最終見解についての概要を簡単にまとめたものでございます。表のほうを簡単に御説明させていただきますが、7月23日に国連本部で女子差別撤廃条約の実施状況第6回報告が審議されました。
     審議の概要でございますが、南野参議院議員を政府代表にいたしまして、関係省庁による政府代表団が対応いたしました。冒頭、南野代表から御報告をいただいたところですが、政府代表が報告した内容が、ホチキスでとめた次の資料で、表題が「女子差別撤廃条約状況第6回報告審査における政府代表報告(仮訳)」としているものでございます。これが日本政府が報告した内容の和訳でございますので、また、御覧いただければと思うのですが、日本政府から、このように報告をいたしまして、その後、女子差別撤廃委員と政府代表団との間に質疑応答がございました。
     委員会からも、率直かつ建設的な対話が交わされたと評価もいただいたところでございます。また80名を超える日本のngoの方々にも審議の様子を傍聴していただいておりました。そして最終見解が8月18日に委員会から公表されました。資料1の裏をめくっていただきたいのですが、最終見解では大きく「肯定的側面」という部分と「主要な関心事項及び勧告」という部分がございます。委員会から一定の評価を得られた部分もございますが、さらなる取組が必要な課題も多く指摘されたところでございます。委員会の最終見解に記載されました主要関心事項、勧告は、このペーパー上は(1)~(21)まで21の項目に整理をいたしておりますが、この整理の仕方で言いますと、暴力の関係は(9)と(10)になります。「(9)女性に対する暴力の問題に対する取組」、「(10)人身取引及び売春の被害者保護及び支援への取組」、この2つでございます。
     そして、最終見解そのものが、番号をつけておりませんが、資料1の3つの資料のうち最後のものです。全体を載せておりますが、暴力に関しては7ページ、8ページ、9ページにわたって記載されております。番号で言いますと31~40番でございます。31番の最初のコメントを見ていただくとおわかりのように、日本の取組について歓迎するということで評価もいただいてはおるのですが、併せていろいろな指摘もいただいているところでございます。いくつか簡単に紹介させていただきますと、例えば32番の4~5行目ぐらいに「保護命令の発令の迅速化」、「24時間無料のホットラインの開設」というようなことですとか、次の8ページの34番では「被害者の告訴を性暴力犯罪の訴追要件とすることを刑法から撤廃する」とか「強姦罪の罰則の引き上げ」、あるいは36番では「性暴力を内容とするテレビゲームや漫画の販売の禁止」、こういったことなどを指摘いただいているところでございます。
     時間の関係もありますので、全部御紹介できなくて恐縮ですが、これはお持ち帰りいただけますので、御覧いただければと思います。よろしくお願いいたします。
    岩井会長
    続きまして林会長代理、御説明をお願いいたします。
    林会長代理
    それでは、資料2として、事務局からハンドブックの英文を配布いただきましたので、それを御覧ください。それから、私から8ページほどの目次を訳したものを和文でつけておりますので併せて御覧ください。
     初めに、7月のcedawでの日本政府報告書審査政府代表団の皆様お疲れさまでございました。詳細な具体的な勧告が出ましたので、ぜひこの実現に向けて御努力をいただきたいと委員の一人としては思います。今年からフォローアップ手続が始まりまして、民法の改正に関するものと、日本ではボジティブ・アクションと呼んでいますが、暫定的特別措置については2年以内の追加情報の提供が求められております。これは最後の59項目を御覧ください。
     女性に対する暴力につきましては、北京会議以降、非常に大きな進展があった分野でございます。国連では2008年(昨年)から潘基文事務総長が主導しまして、unite to end violence against womenというキャンペーンが開始をされておりまして、その目標のうちの1つが、2015年までにすべての国連加盟国が国際人権基準に沿った女性に対する暴力を処罰するための国内法を整備するということでございます。そしてどのようなものがモデルとして考えらるかということについて、国連の女性の地位向上部が作成しましたのが、今日皆様のお手元に配っているものでございます。これを全部読んでいる時間はもちろんありませんので、この中で、特に私の関心を引いたもの、重要だと思われる点をお話ししたいと思います。
     初めに、モデル立法の特徴は包括的な法律ということなんですね。日本にはDV法があります、ストーカー規制法があります、刑法の強姦罪がありますということではなくて、1つの法律の中で、あらゆる形態の女性に対する暴力を処罰する法律をつくる。その中で警察とか検察弁護人・弁護士を含む司法関係者などが何をしていけばいいかといったことをすべて含んでいこうということを目指しております。
     レジュメの1ページの3.1.2.に書きましたように、この立法は、予防・保護・被害者支援・加害者処罰を包含した包括的なものであることとなっています。
     さらにその下の3.1.3.で、「複合差別」と書きましたが、立法は、人種・皮膚の色・言語・宗教・政治的その他の信条・民族的または社会的出身・財産・婚姻上の地位・性的指向・hiv/aidsへの罹患・移民または難民・障害の有無にかかわらず、すべての女性を保護するものであり、必要な場合には、これら特定のグループに属する女性に焦点をあてた措置を採るとなっております。
     私はこの2番目の特徴が包括立法ということに続いて、マイノリティーと呼んでいますけれども、弱い立場にある人にはそれなりの対応をとっていくこと。同じものを同じく扱うという統合的な政策ももちろん必要なのですけれども、社会の中でハンディキャップを負っている人たちには特別な支援をしていこうという姿勢があらゆる場所に出ていると思います。
     それから、3.2.1.というところを見ていただきたいのですが、「国内行動計画」をつくる。
     これは女性に対する暴力に関する国内行動計画が存在しない場合はその計画の策定を義務づけること。行動計画には目標(ベンチマーク)と指標(インディケーター)を含んで、何をどこまで達成すれば、その目標を達成したことになるのかといった指標をつけることが目指されております。
     そして3.2.2.で「予算」ですが、立法は、その履行のための予算の割当てを義務づけ、以下の内容を含めること。
     ・政府に対して関連する活動の予算をつけることを一般的に義務づける
     ・専門検察チームのような特定の活動の予算を要求する
     ・この分野で活動するngoに対する予算を割り当てる
     となっております。
     その下に「公務員の研修及び能力強化」がありまして、3.2.4.で、「専門警察及び検察ユニット」が触れられております。
     立法または法令は、女性に対する暴力に特化した警察・検察専門官のユニットを設け、適切な予算措置をとること。被害者は希望すれば女性の警察官・検察官を選べるものとすることとなっております。これは先進国の政府報告審査、例えばイギリスなどを聞いていても、レイプに関する特別の検察官のチームを作ったことが報告されています。必ずしも起訴率とか有罪率が上がっていないのですけれども、それは発足したばかりで、まだ成果が出るのはこれからですといった答弁がなされております。
     次に、3・3・1.3ページを御覧になっていただきたいのですが、そうした「履行を監視するための特定の機関」をつくること。
     立法は、履行を監視し、その結果を国会に定期的に報告するための特定の省庁横断的なメカニズムを創設し、その予算措置を義務づけること。そのメカニズムは、情報の収集・分析、関係者(被害者、法曹三者、保護観察官、サービス提供者)から、法的サービスへのアクセス、救済の効果、特定のグループに属する(社会的弱者としての)女性にとっての障碍を聴取すること。必要な場合は女性に対する暴力の立法の改正を提案すること。
     その下の3.3.2.「統計データの収集」ですが、立法は、女性に対する暴力の原因及び結果に関する定期的な統計をとることを国に求めること。統計は性、人種、年齢、民族的出身その他関連する特徴を別に集計することとなっています。
     さらに、包括立法における含めるべき女性に対する暴力はどういうことをこのハンドブックが想定しているかというのが3.4.1.ですが、立法は、あらゆる形態の女性に対する暴力に適用されるものとする。例示として、DV、性的暴力、若年婚姻、強制結婚、女性性器切除、出生前診断で性別を選択することなどを書いております。それから、最近ではfemicideというような形で、女性に対する暴力によって殺害された女性の数を国として統計をとることがなされている地域もあります。 人身取引、性的奴隷制が挙げられています。
     次に行きまして、4ページの3.4.3.「性的暴力の定義」として、強姦を含む性的暴力の定義を見直すべきではないかという提案がされています。sexual assaultという言葉は「性的侵襲」と訳していますが、今日、前田先生いらっしゃるので、専門家から正しい訳を教えていただきたいのですが、日本の刑法のように強姦罪と強制「わいせつ罪」が別になっていて、法的にも違うということではなくて、それは性的自由の侵害ということで、有害さの程度によって等級づけをしていって、もっと広い意味での性的自由の侵害に置き換えるべきではないかという立場があります。ミシガン州法が採用しているので「ミシガン方式」と言われることもあります。あるいは一定の状況、例えば教師と教え子であるとか、施設に入っている女性と施設の職員という場合には、刑を加重するべきではないか。かつて改正刑法草案にそのような案があったように記憶しておりまが、今の強姦罪は特にそういう区別をしておりません。
     それから、暴行または脅迫という要件自体を見直すべきではないか。例えば「あいまいでない自発的な合意」の存在及び加害者が被害者の同意を確認したステップの証明を加害者に求める。あるいは当該行為が「強制的な状況」下で行われたことを要件とし、強制的な状況としてより広い範囲を定義することが考えられないか。これは現在の国際刑事裁判所における強姦罪の定義がこのようなものになっているのではないかと思います。
     それから、4ページの一番下のところで、3.5.「予防」措置として、いわゆるawareness campaignと言われるような意識高揚活動や教育やメディアに対する働きかけをする。これは多くの国は国内行動計画や政策としてやっていることなのですけれども、こういったこともきちんと法律の中に位置づけて予算をつけなさいということを言っているのがこのハンドブックの大事な点なのではないかと思います。
     次のページに行きまして、5ページの3.5.4.で、例えばメディアが女性に対する暴力をどう扱っているのか、そういった意識の向上を奨励するような働きかけをするべきではないか。
     あるいは3.6.1.で、「包括的かつ統合された支援サービス」を被害者に対してしていくべきであるとして、24時間の無料電話相談サービスが例に挙げられていて、これは今回のcedawからの勧告にも指摘されていることです。
     それから、人口1万人あたり1箇所のシェルター、人口5万人あたり1箇所のカウンセリング及びアドボカシーと言われる権利擁護センター、人口20万人あたり1箇所の強姦救援センター。一体東京都1つだけでどれだけのセンターが必要なのだろうかと呆然としてしまいますが、こういう数値目標をきちんと法律の中で決めなさいと言っているところが大事だと思います。
     では「強姦救援センター」が何をするべきかということなのですが、妊娠検査であるとか、緊急の避妊措置、中絶や性行為感染症とか、そういったことの情報を与える。お医者さんにつなぐ、弁護士につなぐといったことをする。そして被害者が警察に被害を申告したかどうかにかかわらずこういったサービスを提供してくださいということを求めております。
     あとは、警察官や検察官についての一般的な研修であるとか、キャパシティ・ビルディングと呼ばれる能力強化のための規定を入れること。
     あとは6ページの3.9.1.を見ていただきたいのですが、原文ではmediationという言葉を使っていますが、法的手続中、つまり暴力の被害者と加害者が裁判をしている、公判が係属している間には話し合いによる解決は禁止することを明示をすること。その他、以下、手続を迅速にすること、無料の法律扶助を与えることといったことがあります。
     7ページに行きまして、これも3.9.7.2.で「被害者の過去の性的履歴」を民事・刑事いずれの手続でも紹介してはならないとされています。「レイプシールド法」と呼ばれる証拠法の問題です。
     3.11.5.で「被害者の原状回復および賠償」として、刑事判決が民事での損害賠償および原状回復を命じられること。しかし賠償命令は懲役刑に代替するものであってはならないこと、政府の予算による被害者賠償プログラムによって、被害者が公正な損害賠償を受領できることを規定すること。これは国際刑事裁判所のような国際法廷では被害者援助基金ができていまして、被害者はそこに請求をするという手続規定があるわけですが、そういったものを国内的にも実現をしていくようにという示唆がされております。
     最後に、8ページへ行きまして、3.12.2.で、立法は、被害者が政府または個人・非政府機関が女性に対する暴力を予防し、調査し、処罰するための相当な注意を払わなかったことを理由に、これらのものを提訴できること、非差別原則および公民権法に基づく訴訟を提起できることを規定することとなっています。
     その他、家族法の改正であるとか難民法の改正。今回cedawでも難民高等弁務官事務所と協議が2日間ありました。もしも本国に強制送還されると、自分は夫からDVの被害に遭うのだというような女性を難民として保護していこう、といったことが議論されました。本国に送還されると、自分は、あるいは自分の娘が女性性器切除を受けなければならないといったことも難民申請の理由として認めていくべきではないかといった難民法にジェンダーの視点を入れていこうという議論がされています。そういったこともこの包括立法の中でカバーをするようにという内容になっております。
     まとめますと、大きな特徴としては包括立法であり、かつ予算措置を義務づけられていること。2つ目に数値目標がきちんと入っているということ。3つ目に複合差別の視点があること。日本人ですから、みんな同じですということではなくて、「社会的弱者に対する支援」がある点で日本の立法にとって参考になるのではないかと思い、御紹介させていただきました。
     以上でございます。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。ただいまの御説明に対しまして、何か御質問がありますでしょうか。よろしいですか。
     それでは、もう一つ、前回、「人身取引に関する警察庁の統計について、人身取引の定義についてと、最近の検挙件数、検挙人員、被害者数がほぼ同数になっているのはどのような意味があるのか」という質問がございました。主要項目には入れておりませんが、お手元に該当データを配布してございます。それでは警察庁から御回答をお願いいたします。
    警察庁
    (安田生活安全企画課長) 警察庁の生活安全企画課長の安田でございます。前回のお尋ねの点、人身取引の定義と同データの最近の検挙件数、検挙人員、被害者数がほぼ同じ数字になっていることの意味というお尋ねだったと認識をしております。
     まず1番目の人身取引の定義でございますけれども、警察では人身取引議定書第3条に定められております3点、1.搾取の目的、2.暴力その他の形態の強制力による脅迫もしくはその行使、誘拐、詐欺、欺罔、権力の濫用、もしくは脆弱な立場に乗ずること、又は他の者を支配下に置く者の同意を得る目的で行われる金銭もしくは利益の授受の手段を用いてという点、3点目として、人を獲得し、輸送し、引き渡し、蔵匿し、又は収受すること、その3点に基づいて人身取引という定義をしております。適用罪名といたしましては、刑法第226条2にいう人身売買罪に限りませんで、出入国管理及び難民認定法あるいは売春防止法、職業安定法等を含んでいるものでございます。
     次に2つ目の検挙件数、人員被害者の数の関係ですが、ほぼ同じような数になっているという点について、確定的な説明をできるあれはないのですけれども、まずは検挙件数というのは何かということですが、警察で検挙した事件の数をいうものでございまして、一人の被疑者につき複数の検挙件数が計上されることは当然あるわけでございます。検挙人員につきましては、警察で検挙した事件の被疑者の数を申し上げるものでございまして、こちらのほうは、1事件について複数の検挙人員が計上されることもあるわけであります。例えば昨年台湾国内の送り出しブローカーが、新聞広告で、日本でホステスとして稼働する女性を募った上で、千葉県内の複数のスナックに1人30万円で売り渡して買い受けた経営者が、被害女性に数十万の借金を負わせて売春を強要したというこういう人身取引事犯を検挙しておりますけれども、この事件に関しましては、4人の被害者を保護していまして、スナック経営者14人を売春防止法違反、出入国管理及び難民認定法違反、風俗営業法違反という15件の事件で検挙するということでございまして、そういった事情の中で、それらの検挙件数、検挙人員、被害者数が積み上がっていった中で、ほぼ似たような数字になっていると思われるということでございます。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。
     それでは、各省庁のヒアリングに入りたいと思います。本日のヒアリング項目は、「(1)女性に対する暴力の予防と根絶のための基盤づくり」、「(2)配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護等の推進」、「(3)性犯罪への対策の推進」の3項目です。
     まず1つ目の基盤づくりにつきまして、内閣府、警察庁、法務省、厚生労働省から、資料に沿いまして御説明いただきたいと思います。各府省庁におかれましては、資料4の様式2に基づいて御説明いただくと同時に、あらかじめ委員から出されていた質問が「質問票一覧」に記載してございますので併せて御回答ください。
     なお、本日は議題も多く時間がございませんので、説明は5分以内を目安に簡潔にお願いいたします。それでは内閣府から、どうぞよろしくお願いします。
    仲程調整官
    内閣府でございます。資料でございますが、「様式2」と書いてある資料ございますでしょうか。縦長の資料でございます。資料4(1)①内閣府作成という資料でございます。その後、各省からの資料もついていますので、それに基づきまして説明させていただきたいと思います。
     内閣府の取組でございます。「ア 女性に対する暴力への社会的認識の徹底」につきましては、国民の意識啓発を図るために、毎年11月12日から2週間を女性に対する暴力をなくす運動期間といたしまして、民間団体等とも協力いたしまして広報啓発活動を実施しているところでございます。昨年度の運動期間にunifemが「女性に対する暴力反対キャンペーン」というものを行っていましたので、それに積極的に参加いたしまして、全閣僚が署名するということと、国民に対して署名活動を呼びかけたところでございます。女性に対する暴力の意識啓発につきましては、今後もぜひ必要だということで考えてございますので、積極的に今後も引き続いて行っていきたいと考えてございます。
     次に「予防啓発プログラムの作成」でございますが、現在関係省庁の協力も得まして、高校生、大学生等の若年者に対する予防啓発教材を作成しているところでございまして、本年度に教材を完成させまして、来年度以降、広く配布するとともに指導者を育成していきたいと考えてございます。
     次、「イ 体制整備」でございますが、内閣府の調査で、被害の相談窓口を知らないという方が約7割ほどおりましたので、ホームページなどを通じまして支援状況の提供を行うことと、また、今年1月から全国統一のダイヤルを設定いたしまして、相談機関の電話番号を案内するサービスを実施しているところでございます。
     また、相談員等の相談の質の向上を図るためにセミナーの開催、アドバイザー派遣の事業を実施しているところでございます。DV被害者の支援のためには、暴力を潜在化させることなく、まず相談につなげることが重要と考えておりますので、引き続き相談窓口の支援情報の周知を図ることにしてございます。
     DV相談ナビにつきましては、現在相談の窓口の案内にとどまってございますが、システムを改修いたしまして、直接被害者が相談機関に相談をできるようにシステムを改修するために、今年度補正予算に所要の予算額を計上しているところでございますが、現在補正予算の執行の見直しというものがございまして、まだ執行には至っていないという状況でございます。
     次、「エ 女性に対する暴力に関する調査研究」でございます。それにつきましては、被害者対応を的確に行っていくためには、その実態を正確に把握していくことが非常に重要なことになりますので、3年に一度行っています「男女間における暴力に関する調査」、その時どきの課題に関する調査を引き続き実施してまいりたいと考えているところでございます。
     以上、簡単でございますが、内閣府の説明でございます。
    岩井会長
    それでは、警察庁、お願いいたします。
    警察庁
    (安田安全企画課長) 同じく様式2の資料の最後の2ページでございます。警察庁作成の資料でございます。こちらを御参照いただければと思います。
     まず警察における女性に対する暴力を根絶するための基盤づくりとしての主な施策といたしましては、精神的打撃を受けた被害者の回復を支援するため、担当の職員によりますカウンセリングの実施、あるいは臨床心理士等にカウンセリングを委嘱するなどの相談体制の充実ということがございます。それから警察以外の機関とのネットワークということで、弁護士会、医師会、自治体等で構成いたします「被害者支援連絡協議会」、これを全都道府県の警察で設置をいたしまして、関係機関、団体等の相互の連携を図っているところであります。
     それから、「女性に対する暴力の発生を防ぐ環境づくり」として、インターネット上の違法・有害情報の把握・削除依頼に努めるとともに、違法情報につきましては厳正な取締りを実施、推進しておるところでございます。
     さらに、被害少年の発見・保護、少年の福祉を害する犯罪、とりわけ児童買春や児童ポルノ事件の取締りの強化を図っているところでございます。
     委員よりの御質問として、被害者からの相談を担当する職員の配置につきまして、相談のうち、DV被害者のカウンセリングはどのくらい行われているか、把握できているかという御質問がありましたが、平成21年4月1日現在で、警察におけるカウンセリング職員は全国で267人配置をされております。平成20年中の被害者に対するカウンセリングの実施状況は、在所を問わずですけれども、支援対象被害者数が1,155人、実施件数が3,387件という数値が把握されておりますが、このうち、配偶者暴力事案の被害者に対するカウンセリングがどれくらい行われているかについては数値が把握されておりません。
     それから、同じく質問といたしまして、被害者からの相談を受ける職員による同行支援などが行われているかというお尋ねですけれども、各都道府県警察におきましては、被害者の要望、事件の性質等を踏まえまして、適切に実施をしておるところでございまして、被害者の公判傍聴時の付添い、あるいは配偶者暴力の被害者が自宅から荷物を持ち出す際の警戒なども必要に応じて実施をしていると承知をしております。
     さらに、被害者支援連絡協議会は一般的に配偶者暴力とは違う犯罪被害者支援組織と認識しているが、実態はどうかという御質問ですけれども、被害者支援連絡協議会は、御承知のとおり、配偶者暴力も含めて犯罪被害一般を対象として全都道府県警察に設置されているものでございますが、この連絡協議会の下に分科会等が設けられているものがございまして、21年4月1日現在では20か所の協議会におきまして、配偶者暴力、ストーカーに関する分科会が設けられております。また、28の協議会につきましては、性犯罪に関する分科会がそれぞれ設置をされているということでございます。
     以上です。
    岩井会長
    どうもありがとうございます。
     それでは、法務省のほうから、よろしくお願いします。
    法務省
    (江原人権啓発課補佐官) 法務省人権擁護局人権啓発課の江原と申します。よろしくお願いいたします。
     まず、私のほうからは、資料4(1)③法務省作成資料、「(施策名)(1)女性に対する暴力の予防と根絶のための基盤づくり」の「1 主な施策の取組状況及び評価」の「ア 女性に対する暴力への社会的認識の徹底」について御説明させていただきます。
     法務省の人権擁護機関におきましては、年間を通じて強調して啓発活動を実施する人権課題の1つといたしまして、「女性の人権を守ろう」というのを定めております。この強調事項の下、各法務局・地方法務局におきまして、講演会やシンポジウム等の啓発活動を行いまして、この中で女性の人権やDVについて御説明申し上げたり、あるいはDVに特化した研修会を実施する等、女性に対するあらゆる暴力の根絶を含めた女性の人権課題についての啓発活動を行っているところでございます。当機関としましては、引き続きこれらの活動を進めていきたいと考えております。
    法務省
    (安立調査救済課補佐官) 引き続きまして、人権擁護局調査救済課の安立と申します。これに関連しまして、委員からの質問で、女性の人権ホットラインに寄せられた配偶者間暴力やデートDVに関する相談の都道府県、市町村のDV相談センターとの連携の仕組み、実績等について伺いたいという件でございます。
     法務省の人権擁護機関におきましては、女性の人権ホットライン等を通じまして、配偶者からの暴力等の相談を受けた場合は、配偶者暴力相談支援センターや警察等に通報するとともに、人権侵犯事件として立件し、これらの機関と連携を図りながら、被害者に必要な助言、婦人相談所等一時保護施設への紹介等の援助を行っております。また、被害者の意向に配慮しつつ、暴力行為に及んだ者等に対して、これをやめるよう説示、啓発を行っております。
     法務省の人権擁護機関といたしましては、関係機関との円滑な連携を図るため、配偶者暴力相談支援センターが中心となって設置された関係機関の協議会に構成員として参加し、情報交換等を行っておるところでございます。
     以上でございます。
    法務省
    (佐藤参事官) 法務省の民事局でございます。前回、御質問をいただきました保護命令の申立書及び添付書類の簡素化という観点からの御質問に対して、私のほうからお答えをさせていただければと思います。
     保護命令の申立書、添付書類につきましては、配偶者暴力防止法の第12条の1項、関係の規則で定められておるものでございますけれども、例えば被配偶者からの身体に対する暴力を受けた状況等必要な記載事項が定められてございます。これらの記載事項、申立書の添付書類につきましては、一方で被害者の方の申立てについての事務手続の負担に配慮をしつつ、他方で裁判所が要件の有無を認定するという観点から定められたものでございまして、範囲としては必要最小限に限定されているものと理解してございます。
    法務省
    (松本司法法制部付) 続きまして法務省の司法法制部でございます。私からは、日本司法支援センターにおける取組状況等について御説明させていただきます。
     法務省作成資料の「イ 体制整備」の部分でございますが、まず最初の「○」ですが、法テラスでは、一般に法的トラブルを抱えた国民の皆様からの相談、情報提供の質問等をコールセンターで受け付けておりますが、特に犯罪の被害者支援に関しましては、独立した別の番号を犯罪被害者支援ダイヤルとして設けて情報提供等を行っております。そこのオペレーターに関しましては、女性の被害者が同性の対応者を希望することが多いものでございますので、必ず女性オペレーターが対応できるよう常時配置しているところであります。
     次の「○」ですが、これは法テラスの地方事務所における精通弁護士、すなわち犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士の紹介に関する取組状況でございます。各地方事務所で各地の弁護士会と連携した上で、ここに記載してあるようなDV被害、性被害など被害の種別に応じて、いろいろ得意、不得意等ありますので、そういった弁護士さんたちを適切に紹介できるよう体制整備をしているところでございます。続いて、次の「○」ですが、これは民事法律扶助制度との連携でございます。経済的に余裕のない犯罪被害者の方が、例えば加害者に対して何らかの法的なアクションを起こしたいというときには、民事法律扶助制度の利用、また、こういった犯罪被害者支援の弁護士の利用と、これをスムーズに行えるように意を用いているという内容でございます。
     最後、4つ目の「○」ですが、これは関係機関との連携協力に関する記載であります。警察や地域の女性センターなどとの連携強化を図って、緊急の事態に対しても速やかに対応できるようにしておるところでありますし、また、法テラスの対応者の技量向上という観点からも、関係機関から逆に講師を招いて相談対応の技術の向上を図るなどしているところであります。
    法務省
    (清武審判課法務専門官) 引き続きまして、入国管理局における取組を御説明させていただきたいと思います。清武と申します。
     「イ 体制整備」の一番下の「○」でございますけれども、入国管理局におきましては、体制整備といたしまして研修に力を入れております。女性に対する暴力の関係では、配偶者からの暴力及び人身取引等の被害者の保護に万全を期すよう、専門的な研修を実施しておりまして、ここでは局内の人間だけではなくて、関係府省庁やiomの国際移住機関やngoからも講師をお招きして、それぞれ専門的なお話を聞くようにしております。また、被害者に対するインタビューを適切に実施できるよう、whoが作成したガイドライン等も活用させていただいております。
     以上でございます。
    岩井会長
    法務省、よろしいですか。
     その次は厚生労働省、お願いいたします。
    厚生労働省
    (堀井総務課調査官) 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 総務課の堀井と申します。
     それでは、私から、今、法務省さんから御説明のあった資料に引き続きまして、右上に資料4(1)④厚生労働省作成と書かれた資料に基づきまして御説明をさせていただきます。
     まず、厚生労働行政におきますDV対策ということでございますが、関係省庁、関係機関と連携を図りながら自立支援の取組などを行っておるところでございますが、大きい柱としまして、配偶者暴力相談支援センターのうち、婦人相談所47か所ということと、婦人相談員、相談カウンセリングなどを行うところがございますので、そういった内容を中心にこちらでは施策を書かせていただいております。資料の1の(相談・カウンセリング対策等の充実)ということで、まずそもそも各都道府県におきまして実施していただいている婦人保護事業の啓発普及、そして婦人相談所におきます心理療法の担当職員の配置などの措置を講じております。
     また(研修・人材確保)という次の段落で、婦人相談所、婦人保護施設の職員などに対する専門研修ということで、例えば、このDV関係の問題に精通した司法、医療、心理などの学識経験者の方を講師としてお招きをする。あとは、被害者の人権に対する配慮やDVの特性などに対する理解を深めるための研修の実施、こういったことを行っております。
     また、関係機関との連携は非常に重要でございますので、福祉事務所など関係機関とのネットワークの整備ということを行っております。
     これらの事業を、例えば自治体に対する補助金でございますとか、あとは交付金ということでやったりしているのですが、「2 今後の方向性、検討課題等」というところでございますが、こういった各自治体、都道府県におきます施策の実施の状況につきまして、例えば国庫補助に対する交付申請や婦人保護事業の実施状況報告、こういったもので把握をしておるのですが、一部自治体によっては国庫補助を受けずに実施をされているところもあるのかもしれませんが、自治体によって事業の実施内容にばらつきがあるといった状況もございます。したがって、あらゆる機会を利用して、自治体と連携を図って、こういった取組を全国的に進めていきたいというところが課題と考えております。あと、民間団体との連携ということもございますので、引き続きDVの予防、根絶のために婦人保護事業の推進を図ってまいりたいと考えております。
     なお、大津委員と原委員からいろいろ相談等についての御質問をいただいておりますが、それは次の大項目のところで御説明を併せてさせていただこうと思います。
     私からは以上です。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。
     それでは、質疑応答に移ります。各府省庁の皆さんから御説明いただいた内容につきまして、御意見、御質問がある方は挙手をお願いします。
     いろいろ質問を出されていたと思うのですが、御回答でよろしかったでしょうか。
     それでは、私、法務省の人権擁護機関のホットラインですか、そのことについて質問をしたのですけれども、内閣府のほうからも、全国統一のホットラインの説明がありましたですね。それとはまた違ったホットラインがあるのでしょうか。
    法務省
    (安立調査救済課補佐官) 法務省人権擁護局でございます。私どものホットラインといいますのは、全国の法務局・地方法務局の本局50か所に専用の相談電話を設置しております。それをナビダイヤル化しておるということでございます。
    岩井会長
    その相談を受け付けた場合には、どういうふうに地方の配偶者暴力相談支援センターなどにつなぐわけでしょうか。
    法務省
    (安立調査救済課補佐官) そもそも法務局・地方法務局は相談機関でございまして、そこで人権侵害の疑いのあるような相談であれば、それが女性の暴力に関するような相談であれば、警察とか配偶者暴力相談支援センター等へ通報するとともに、法務省の人権擁護機関も人権侵犯事件として立件して関係者というか、被害者の保護等に当たると。その中で配偶者暴力相談支援センターが中心となって設置された関係機関の協議会等でのケース研究とか、そういったもので情報交換等をしながら連携・協力して解決しているというような状況でございます。
    岩井会長
    その連絡協議会というのはどの程度開かれているのですか。
    法務省
    (安立調査救済課補佐官) 実際、事務的なものは県であり、市町村の組織体といいますか、そちらのほうがやっておりまして、法務省の人権擁護機関はそこに構成員として参加しているということでございますので、具体的にどのくらい開催されているかということは詳しくは承知しておりませんけれども、年数回は開催されるというふうには聞いております。
    後藤(弘)委員
    厚生労働省と多分法務省に伺います。例えば人身売買の被害に遭った女性たちが婦人相談所に行く場合もあると思うのです。婦人相談所の役割と、入国管理局等はかなり設置目的が違うと思うんですが、それぞれの省庁の中で、人身売買の被害に遭った女性に対してどのような連携がなされているのか。
     あと婦人相談所の役割を今の段階で厚生労働省としてはどのようにお考えになっているのでしょうか。後のところでも出てくると思うのですけれども、配偶者間暴力だけではなくて、ほかの機能も婦人相談所には期待されていると理解をしています。例えば人身取引の被害者を援助するという役割があると思うんですけれども、今の段階で厚生労働省として、婦人相談所をどういう機関としてとらえて、どのような機関として今後位置づけていこうとお考えなのか。もし何かあれば教えていただければと思います。
    厚生労働省
    (堀井総務課調査官) それでは、まず厚生労働省の部分を私からお答えをさせていただきます。人身取引の対策行動計画、既に委員の皆様十分御承知のことと思いますが、その中におきます婦人相談所の位置づけとしましては、人身取引の議定書の6条に定める保護・援助のために衣食住の提供でございますとか、カウンセリング、通訳の確保などの取組を推進することがまず大きくあると考えております。
     婦人相談所の機能、もともと売防法に基づいて設置をされたということで、その機能自体は今現在もずっと引き継いでおり、その意義自体は変わることがないと考えておるのですが、さらに女性に対する暴力、人身取引、こういう新しい世の中のニーズに対応した形で、私どももいろんな方々の意見を聞きながら、必要に応じて機能的な部分をオンするところについてはオンしようということで、これは後ほど御質問にもいただいているのですけど、通訳機能の話で強化を予算的にしたりとか、専門的な心理療法の職員の配置ですとか、あるいは法的な相談、そういったところも徐々にオンして、時代のニーズに対応できるところについては対応していこうと考えています。
     ただ、そうはいいましても、婦人相談所自体、御案内のように都道府県の機関ということになりますので、そこの部分は自治体さんとの間のいろいろな相談ですとか、連携とか、そういう実態を踏まえた上で、どういう形が機能が展開していけるのかというところが今後の課題かと思っています。したがって、少なくとも今時点では、今、有している機能についていろいろ御意見をお伺いしながら、きっちりやれるところについてはやるように自治体さんにお願いしてやっていきたいということでございます。
     済みません、ちょっと雑駁とした回答ですが、そんな感じです。
    大津委員
    人身売買の被害者の方々が人身取引対策行動計画以後、婦人相談所に入られていることに関しましては、私は人身売買禁止ネットワークの一人の人間として調査を行った結果、婦人相談所というのはもともと売防法でできた日本人の方々のための緊急保護施設であると思うんです。そこに外国籍の被害者の方々を入れるということが無理があるのではないかということを私たちは言ってきているのですけれども、1つは、先ほどおっしゃいましたように、言葉の問題、文化・習慣の問題、そういうものが、婦人相談所の中に入られたときに、そういうケアができているのかということになりますと、私は婦人相談員の方々とお話をすることもあるのですが、なかなか難しいと。DVの被害者もいれば人身売買の被害者もいる。それから精神的な問題を抱えた方もいる。子どももいるというところではなかなか難しく、今、問題になっているのは、その被害者の方々の入所期間が長くなっている。長い人は6か月以上もなっているというところでは、ヘルプやサーラーというところは民間のシェルター、そこが今までずっと受けてきたのですけれども、そこも緊急避難所なんですね。公的なところの婦人相談所もいわば短期間のところに、6か月以上いるような方たちを受け入れて本当にそのケアができるのか。それは相談員の方々、中にいらっしゃるスタッフの方々の苦労も並大抵なものではないと。私たち民間のシェルターをしている者としては、同行支援から病院、警察、ある意味では入管という同行支援から様々なところにスタッフたちが支援しなければならない。それにプラス、加えて言葉の問題などありますと、生活そのものが大変ではないか。私たちが言っているのは、短期間ではもう無理。ですから中長期の人身売買の被害者の方々が入れるようなところを何とかつくってほしいというのを、今、私たちとしては言っているところなんですね。
     法的な支援がないということを、先ほど私言わないといけないと思ったのですけれども、法テラスなどは、ビザを持っている方、日本国籍の方にできるものであって、人身売買の被害者に関しては、少し調べたところの結果、法テラスは使えないのではないか。そうしますと、いろんなところで不都合がありますので、この問題は少し長期的な展望を持って考えていかないと、被害者の方たちの保護・支援、警察の方たちに、加害者を捕まえるためのそういうものになっていかないのではないかと思います。被害者の人たちが何でこれだけ長期化してきたのかというのは警察の取り調べが長くなっているからだと聞いておりますので、そのあたりのことも含めますと、人身売買の問題の被害者の支援に関してはぜひ議論していただきたいと思っております。
    岩井会長
    それでは、実質的な保護の体制の問題もあると思いますので、次の課題に行ってよろしいでしょうか。
     それでは、次の(2)の「配偶者等からの暴力の防止と被害者の保護等の推進」に移って、そこでまた御議論していただければと思います。この項目につきましては、内閣府、警察庁、法務省、文部科学省、厚生労働省の順にお願いいたします。なお、質問票一覧の18番の質問につきましては、国土交通省から書面にて回答をいただいておりますので、資料4(2)⑥を御参照ください。
     それでは内閣府から。
    仲程調整官
    それでは説明させていただきます。先ほどの厚生労働省の資料の次のページからになります。資料4(2)①内閣府作成の資料をお願いいたします。
     DV対策でございますが、「ア 関係機関の取組及び連携に関する基本的事項」につきましては、DV被害者の支援におきましては、関係機関や民間団体の連携を図ることが非常に重要なことになりますので、昨年度から官民の担当者が参加する「DV全国会議」を開催して情報の共有化を図っているところでございます。
     次に市町村、民間に対する支援でございますが、平成19年度の法改正によりまして、市町村の役割が強化されたわけでございますが、市町村に対する財政的な支援としては、市町村が計画を策定する際の経費、支援センターを設置して運営する際の経費等につきまして、特別交付税で2分の1を措置するという形になってございます。
     あと民間団体に対する支援でございますが、民間団体の活動に対して地方公共団体が支援をした場合につきまして、特別交付税で2分の1を措置するという形で支援をしているところでございます。今後、DV全国会議等の場を通じまして、関係機関の連携を図っていきたいということと、地方公共団体、民間団体の活動の実態、必要とされる支援等につきまして把握し、施策に反映させていきたいと考えているところでございます。
     次、「イ 相談体制の充実」でございますが、基盤づくりの箇所でもありましたが、支援セミナーでの研修でありますとか、専門家の派遣、さらにDV相談ナビの充実を図って被害者の相談しやすい環境を整備していきたいということでございます。
     さらに加害者が被害者に接近したり、支援者に接近、妨害行動をとるということで、現場の方々は御苦労されていることもございますので、「加害者対応マニュアル」を作成をしていきたいと考えているところでございます。
     次、「ウ 被害者の保護及び自立支援」でございますが、様々な困難を抱えている被害者の自立を手助けできないかということで、昨年度から配偶者からの暴力被害者自立支援モデル事業を実施しているところでございます。昨年度は「居場所づくりプログラム」というのを実施させていただきまして、今年度は「社会参画促進プログラム」を実施しているところでございます。
     「エ 関連する問題への対応」、交際相手等からの暴力への対応についてでございますが、交際相手からの暴力につきましては、配偶者暴力防止法の対象にはなってないところでございますが、若年層に対しまして、交際相手や配偶者からの暴力の問題について考える機会を積極的に提供することが将来におきまして、配偶者からの暴力を防止するという観点からも有用であると考えておりまして、先ほども説明いたしましたが、予防啓発活動を積極的に行っていくことにしているところでございます。
     説明は以上のとおりでございますが、委員の皆様方から事前に質問が提出されておりますので、それについて回答をいたしたいと思います。
     質問票一覧が配布されているかと思いますが、見ていただければと思います。
     問い番号4、5、6、7でございますが、伊藤先生から相談件数の関係で何点かございましたので回答いたします。質問の4でございますが、内閣府におきましては、DVセンターにおける相談件数を集計しておりまして、市町村が設置している支援センターからも報告を受けているところでございます。しかし現在支援センターを設置している市町村が13か所あるということ。さらに3年前から設置しているところは、札幌市、神戸市、岡山市、北九州市の4市でございますが、その事例でございますが、その4市すべてにおきまして相談件数は増加しているところでございます。
    伊藤委員
    増加している。
    仲程調整官
    増加しているところでございます。相談件数につきましては。
    伊藤委員
    京都市と神戸市に関しては、私の知る限りでは減少しているというふうにデータ見せてもらったのですけれども。
    仲程調整官
    我々が県からいただいている資料では、神戸市が18年度10月からの設置でございまして、330件、19年度が1,013件、20年度(昨年度)でございますが、1,506件ということで増加しているという報告を受けているところでございます。
     所在する都道府県の相談件数でございますが、札幌市は市としては増加しているのですが、北海道としては若干減少しているというところでございます。それ以外につきましては、兵庫県、ほかの県につきまして増加している。県自体が増加しているという状況にございます。
     それから、6番目の質問ですが、男性からの相談件数でございますが、支援センターにおける相談件数につきましては、男女別にも集計しておりまして、それによりますと、平成20年度が全体で6万8,196件の相談がございまして、そのうち男性からの相談でございますが、536件ということで、全体の0.6%になっております。19年度につきましては、全体で6万2,078件の相談ございまして、男性からは442件ございまして、0.7%となっているところでございます。ちなみに18年度につきましても、男性からの相談件数は1%未満となっているところでございます。
     次、7番目の質問でございますが、性的マイノリティのカップル間の相談件数につきましては、残念ながら我々統計持ってないところでございます。次、14番目の質問でございますが、大津委員から居場所づくりについて御指摘ございました。我々も加害者から離れて新しい場所で生活を始められた被害者を孤立させず、その地域で自立していただくためにも居場所づくりは非常に大事なことだと思っております。内閣府といたしましても、全国的にこの事業を展開していただきたいということでございまして、モデル事業を実施した後、それを踏まえまして、地方公共団体が実際に事業を実施するに当たって参考となる「スタートアップマニュアル」というものを作成させていただきまして市町村に広く配布したところでございます。
     最後の質問でございますが、4ページを見ていただきたいと思います。下から2つ目の質問、基本問題の岡本先生からの質問でございます。民間シェルターに対する支援ということですが、内閣府におきましては、民間シェルターに対する直接的な財政支援はないところでございますが、地方公共団体が民間シェルターが行う被害者の緊急保護などの活動に対しまして、財政支援を行った場合、特別交付税でその2分の1を措置するということにしているところでございます。
     以上でございます。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。
     それでは、警察庁。
    平川委員
    ちょっとよろしいですか。
    岩井会長
    御質問。
    平川委員
    先ほどの伊藤委員の御質問についてちょっと。先ほど伊藤委員のほうから、市町村に寄せられるDVの被害相談数のことで御質問があって、それにお答えいただいたのですが、私も同じような思いを持っているんですね。この市町村の中に、女性センターや福祉事務所への相談件数というのが入っていないから、こういった形で減少していたり増えていなかったりということがあるのではないかと思うんですね。ただ、私の東京都、千葉県の感触では大変なケースを含めてDV被害者の子どもさんたちは福祉事務所の方たち、あるいは子ども支援課の担当の方たちが抱えていらっしゃるという、それだけ相談件数が増えているということがあるのですが、そのあたりはどんなふうになっていますでしょうか。前のこの第2次改正のときにいただいた資料では、福祉事務所に寄せられる件数もたしか出ていたと思うんですね。今回は配暴相センターへの相談件数ということになっているので、そのあたりをもうちょっと聞いていただくと変わってくるのかなと思うのですが。
    伊藤委員
    関連で私は今、実は神戸市、京都市、大阪市、兵庫県、京都府、大阪府の審議会の委員やっているのですけれども、神戸市も京都市も男女共同参画センターの相談件数は減っているんです。ただ、全府県で見たらかなり増えている。つまり被害者が行くところを選び始めているのではないか。何を申し上げたいかというと、それぞれの持っている機能について情報が被害者のほうに回っているのではないかということです。例えば一時保護を求めるのだったら男女共同参画センターへ行ってもしようがないんですね。やはり相談センターのほうに行ってしまう。ただ、そうなると、市町村で何ができるのか。一時保護までできないのだったら市町村がやることは何なのか、あるいは福祉事務所がやることは何なのかということです。その辺の棲み分けみたいなものを視野に入れていかないといけない。被害者の側がある程度、情報を持って動き始めていることを視野に入れた対策が必要なのではないかということでちょっとお聞きしたのですけれども、済みません、途中で。
    岩井会長
    済みません、まだ、各府省庁からの説明が続いておりますので、それが終わりましてから、また、御質問お願いいたします。済みません、警察庁、お願いいたします。
    警察庁
    (安田生活安全企画課長) お手元の資料4枚めくっていただいて、資料4(2)②警察庁作成という資料を御覧いただければと思います。
     「配偶者等からの暴力の防止及び被害者保護等の推進」として警察庁での実施状況等でございますけれども、平成20年1月に告示されました基本方針に基づきまして、被害者の安全確保、配偶者暴力相談支援センターを始めとする関係機関等と連携した被害者支援等各施策を積極的に実施をしているところでございます。とりわけ被害者からの相談等に適切に対応するために、警察庁におきましては、担当職員を対象とした「ストーカー・配偶者暴力対策専科」を実施するとともに、本年5月には法改正や基本方針等を踏まえた「配偶者暴力対策マニュアル」を作成いたしまして、各都道府県警察に配布をするなど、警察職員の専門的な能力の向上に努めているところでございます。
     また、配偶者暴力防止法に基づく保護命令が発せられた事案につきましては、被害者やその親族、支援者等に対する防犯指導、命令を受けた加害者等に対する指導警告等を積極的に実施をしているところでございます。
     委員より、配偶者暴力に係る男性からの相談についてのデータはあるかという御質問がありましたが、平成20年中に警察が被害者からの相談、被害申告等により対応した配偶者からの暴力事案が総計で2万5,210件でございます。そのうち男性からの相談等が402件ということで、全体の1.6%です。なお、男性からの相談の割合は、平成17年が2.4%、18年が1.2%、19年が1.4%という数値となっております。
     また、御質問で、性的マイノリティのカップル間の相談についてのデータはあるかというお尋ねですけれども、昨年につきましては、昨年1年間で3件の同性のカップル間の相談等に対応したという報告は受けております。被害者の年齢等の詳細なデータについては把握をしておりません。
     それから、警察官に対する研修についてですけれども、警察官として勤務する前の養成期にDVと性被害の研修をしてほしいとの御要望ですが、実施をしております。警察官として実務につく前の、私ども「初任科」というような呼び方をしておりますけれども、そういった警察官として新たに採用された際での教育訓練は当然のことでございますが、各階級に昇任した際にも、ストーカー・配偶者からの暴力対策、あるいは犯罪被害者支援、警察安全相談、女性に対する暴力事案の捜査要領等に対して授業が組み込まれているところでございます。
     それから、「ストーカー・配偶者暴力対策専科」の実施につきまして、担当職員以外に対象者を広げる考えはあるかとの御質問がございましたけれども、ストーカー・配偶者暴力対策専科につきましては、各都道府県警察で指導的な立場にある、あるいはこれからつくという警察官を対象としておるところでありまして、警察庁が主催する研修としては、この現状の取組を継続していきたいと考えております。
     なお、各都道府県警察におきましては、それぞれ独自に担当職員以外の警察職員に対する研修は実施をされておりまして、とりわけ先ほど申し上げたストーカー・配偶者暴力対策専科の修了者がその指導の中心となっているところであります。
     それから、保護命令発令事案以外に被害者からの要望があれば、加害者への指導警告が積極的に行われているのかという御質問でございましたけれども、警察では配偶者からの暴力事案を相談、被害申告等により把握し、対応する際に、被害者の方に加害者への指導警告を希望するかどうかということについて確認をさせていただいているところでございます。被害者のほうから御要望があった場合には、加害者を警察署に招致をしたり、あるいは電話等によって配偶者への暴力というのは犯罪であるということ、また、被害者に今後暴力を振るわないことなどを指導警告として実施をしているところでございます。
     それから、最後の御質問ですけれども、DVで助けてくれと電話を受けても一歩踏み込めないのはなぜかとの御指摘でございましたけれども、殺人等の重大犯罪に発展する事案が最近も相次いでいるところでございます。警察庁では、以前にも平成18年12月に関係局長の連名の通達でこういった被害者の被害申告の意思が必ずしも明確でない場合でも適切に対応するべきであるということは通達をしているところでございますけれども、ことしの8月に改めまして、被害を申告するか否かを決めあぐねている被害者等が見受けられるわけですが、被害者の意思のみに委ねることなく事案の本質を見きわめて、必要に応じて警察からの被害届の提出を働きかけるとともに、被害者その親族に及ぶ危険性について、被害者等の御自身に理解をしていただくように努めるということ。あるいは刑罰法令に反する行為があれば、そのことについては、関係部門が連携の上、積極的な事件化を図ることを改めて指示をしているところであります。
     以上です。
    岩井会長
    それでは、法務省、お願いします。
    法務省
    (日比刑事局付) 法務省刑事局刑事課の局付の日比でございます。資料4(2)③を御覧ください。こちらの資料に基づきまして、法務省刑事局刑事課から、検察当局における配偶者等からの暴力を受けた被害者保護の取組状況等について御説明させていただきます。
     検察当局におきましては、配偶者からの暴力を受けた方を含めまして、被害者の方が刑事裁判の場において、いわゆる2次的被害が生ずることがないよう十分配慮しているところでございます。近時、成立した被害者保護のための制度を積極的に活用しております。具体的に申し上げますと、平成12年に成立したいわゆる犯罪被害者保護2法によって証人尋問の際の付添い制度、遮へい措置、ビデオリンク方式が導入されております。
     御案内のこととは思いますが、証人への付添いは、被害者の方の不安や緊張を和らげるために証人が証言している間、家族や心理カウンセラーなどが証人のそばに付き添うことができるようにするものでございます。
     証人への遮へい措置というものは、証人が法廷で証言する際に、被告人や傍聴人から見られていることで心理的な圧迫を受けるような場合に、その精神的な負担を軽くするため証人と被告人や傍聴人との間に衝立などを置き、相手の視線を気にしないで証言できるようにするためのものでございます。
     ビデオリンク方式というのは、被害者の方が関係者の全員揃った法廷で証言することに大きな精神的な負担を受けるような場合、このような負担を軽くするため証人に別室で在室していただき、法廷と別室等をケーブルで結び、モニターを通じて尋問を行うという証人尋問の方法でございます。
     被害者の方の中には公判廷で証言するのは不安であるとの気持ちをお持ちの方も多数いらっしゃると思いますが、検察当局においては、被害者の方のそのような精神的苦痛を軽減するため、必要に応じてこれらの制度の利用が認められるよう裁判所に対して適切に意見を述べているところであります。
     これらの制度は一定の要件がございますが、配偶者からの暴力による被害を受けた方においても利用することが可能となっております。
     最後、配偶者から暴力を受けた被害者の方に限るものではありませんが、統計上、平成20年度には86人の証人が付添い措置を利用し、1,007人の証人が遮へい措置を利用しております。また、ビデオリンクの措置に関しましては200人の証人が利用しております。そのほかにも平成19年に「犯罪被害者等権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」というものが成立しておりますが、この法律により被害者特定事項の秘匿決定の制度が導入されております。この制度も、配偶者からの暴力を受けた被害者の方に限る制度ではございませんが、一定の場合には配偶者からの暴力を受けた被害者の方も利用は可能な制度となっております。
     具体的には被害者の方やご遺族の方等から、検察官に対して氏名や住所等の被害者を特定させることとなるような事柄が公開の法廷で明らかにならないようにしてもらいたいとの申し出がなされたときには、検察官はその申し出が被害者の方からなされたことについて、検察官としての意見を付して裁判所に通知することとなっております。裁判所が相当と認めるときには、被害者特定事項、先ほどの氏名や住所等につきまして、公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができるものです。検察当局においては、被害者の方等から、このような申し出がなされた際には被害者の方などの意向を踏まえつつ適切な意見をつけて裁判所に通知しております。
     いずれの制度につきましても、被害者の方とのコミュニケーションを十分に図りつつ、その意向を踏まえた適切な運用がなされているものと承知しておりますが、今後とも引き続き、これらの制度が適切に運用されるよう努めてまいりたいと考えております。
     以上です。
    法務省
    (大塚刑事局付) 法務省刑事局の大塚でございます。同じ資料の2の2つ目の「○」のところに関連しまして、私から御説明を差し上げたいと思います。
     法務省刑事局の行ってきたことということでお話し差し上げますと、今、説明がありました種々の制度の周知の関係につきましては、従前より法務省のホームページやパンフレットなどによって広報してきたところであります。従前から犯罪被害者の方などへの情報提供として刑事司法手続における保護、支援制度など説明したパンフレットをつくっておりまして、検察庁等においてその配布を行ってきたところであります。ただ、平成20年12月1日、先ほど説明がありましたけれども、その施行に伴う被害者等参加制度、それから、この12月15日施行の少年審判の傍聴制度など犯罪被害者の方の支援を拡充するために様々な法改正などがなされたということで、従前のパンフレットでは物足りないだろうということから、新しく内容を充実させたパンフレットをつくり直しまして、「犯罪被害者の方々へ」というものになりますけれども、この内容について理解していただくために、検察官において、被害者の方等に対して直接説明するとともに、このパンフレット等も配布いたしまして、併せてこの内容についての理解を深めていただくというように配慮をさせていただいているところであります。
     ホームページ上でもパンフレットの内容等も含めて、この新しい制度について周知するような内容を盛り込んでいるところでございますが、引き続き効果的な広報活動のあり方について検討しつつ、より良い方向で活動ができるように検討させていただきたいと考えております。
    法務省
    (山口調査救済課長) 法務省の人権擁護局の調査救済課長の山口でございます。同じ資料の4つ目以下のところを少し御説明させていただきます。
     女性に対するDVとかセクハラ、ストーカー、これはいずれも重大な人権課題でございまして、これらの人権問題に関しては、法務省の人権擁護機関は、人権相談等を受け付けて人権侵犯事件として立件・調査しております。その相談の体制としては、全国50の法務局・地方法務局に常設相談所というのを設けております。また、各地の公民館などで開設する特設相談所ということも行っております。また、これは面談であったり電話であったりするわけですけれど、そのほか電話といたしましては、女性の関係の専用相談電話として「女性の人権ホットライン」という、これは全国統一のナビダイヤル化しているものでございますけれど、こういう電話相談窓口がございます。また、インターネットの関係で、24時間いつでも受付可能な「インターネット人権相談受付窓口」というものを設けております。いずれの相談でも難しい手続は必要ではなく、電話かお尋ねいただければ、すぐにお答えするということでございます。
     また、本年の11月15日~21日の1週間でございますけれど、この7日間は全国一斉「女性の人権ホットライン強化週間」として、電話による人権相談について受付時間の延長や土曜、日曜にも相談に応ずるということにしております。
     また、法務省の人権擁護機関は相談を受け付けるだけではなくて、相談があって、それが人権侵害だろうという疑いがあるということであれば、人権侵犯事件として立件して、調査・救済手続を行っております。調査の結果、人権侵害の事実が認められれば、法律的なアドバイスをする援助や当事者間の話し合いを仲介する調整などの措置から、説示・勧告といった加害者の方に対する措置までいくつか救済措置を講じておるところであります。また、事案に応じて事件の関係者に人権についての啓発を行うこともございます。
     若干、数字を御紹介させていただきますと、平成20年度における人権侵犯事件数は約2万1,000件でございました。そのうち女性、児童、高齢者、障害者に対する暴行虐待事案が、その中でも4,317件ございまして、これが平成19年に比べて2.3%増加している。この女性、児童、高齢者、障害者の中でも、特に女性に対する暴行虐待事案が20年は3,152件と非常に高い数字を維持しているということであります。
     引き続き人権侵害による被害の適正かつ迅速な救済及び予防を図っていくというところでございます。
     以上でございます。
    岩井会長
    法務省、よろしいですね。
     それでは、次、文部科学省、お願いいたします。
    文部科学省(高口男女共同参画学習課長)
    文部科学省の男女共同参画学習課長の高口でございます。
     文部科学省からは、事前にお二人の委員の方から御質問をいただいておりますので、その御質問に対する回答をさせていただきます。
     まず5番目の伊藤委員からの御質問でございます。大学・学校等でのデートDVの取組についてのデータがあるかという御質問ですが、直接この「デートDV」の取組に関する文部科学省の調査はございません。ただ、日本学生支援機構が、配偶者からの暴力の防止に関する学生への指導・啓発に関する調査をしておりまして、本日配布の資料4(2)⑤の文部科学省の資料でございます。日本学生支援機構が日本全国の国公私立大学、短期大学、高等専門学校の1,217校を対象に2008年10月1日現在で、大学、短期大学、高等専門学校における学生支援の取組に関する調査を行っております。
     その結果でございますが、配偶者からの暴力防止に関する学生への指導・啓発に関しまして、入学時等におけるガイダンス、学外の機関等と連携した指導会、授業、学内へのポスター等の掲示、学生便覧等への記載、刊行物の作成・配布等の取組がありますが、「実施していない」というところが全体で6割程度であり、指導啓発がまだ十分でない状況と考えております。
     2つ目の御質問でございますが、19番目の小西委員からの御質問でございます。子どもの就学について以前様々なトラブルがあった。居住地が加害者側に知られたり、子どもの就学が円滑にいかなかったりすることがあった。現状はどうなっているかという御質問でございます。
     文部科学省で調査したものではありませんが、本年5月に総務省が実施した配偶者からの暴力の防止等に関する政策評価がございまして、ここで住民票を異動していない被害者の子どもの就学の実施状況と、被害者の子どもの転校先や居住地等の情報の管理に関する取組状況についての調査が行われております。これは平成16年4月から20年9月までに住民票を異動していない被害者の子どもの就学の実施状況に関する調査として、27都道府県及び27市の教育委員会に対して抽出で行ったものでございます。就学の手続については、教育委員会により手続が異なっておりました。就学の手続は2つ方法がございまして、1つが区域外就学の手続、もう一つが現住所を基にした就学手続でございます。27市の教育委員会の回答によりますと、区域外就学手続が6教育委員会、現住所を基にした就学手続が9教育委員会、両方併用しているというのが12の教育委員会となっております。片方の手続を行っている教育委員会のうち4教育委員会では手続が2つあることを知らなかったという結果も出ております。
     次に、被害者の子どもの転校先や居住地等の情報の管理に関する取組状況でございますけれども、13都道府県教育委員会(48%)、8市の教育委員会(30%)においては、学校に対する厳重な情報管理に関する指導・助言が行われていなかったという結果が出ております。また、27市の教育委員会につきまして、住民票を異動していない被害者の子どもの就学に係る関係機関との連絡、協議を行う際の情報管理の方法が教育委員会によって異なっているという状況があったとのことでございます。特に、被害者の申出の有無にかかわらず情報制限を行っていないところが3市教育委員会ありました。
     政策評価が行われまして、総務省から文部科学省に対しても勧告がなされたということもございまして、本年7月13日付で「配偶者からの暴力の被害者の子どもの就学について」という通知を発出いたしました。これが配布資料4(2)⑤の通知でございます。これにおきまして、配偶者からの暴力の被害者の子どもの円滑な就学のための手続の周知とともに、居住地等の情報の厳重な管理についての周知・徹底を行わせていただきました。
     今後とも教育委員会の担当者に対する会議等を通じて、引き続き周知・徹底を行ってまいりたいと考えております。
     以上でございます。
    岩井会長
    それでは、次に厚生労働省、お願いします。
    厚生労働省
    (堀井総務課調査官) それでは、資料は、今、文部科学省さんが御説明した資料の前のページで右肩に資料4(2)④と書いてございます厚生労働省の資料を御覧いただければと思います。先ほど御説明をさせていただいた基盤づくりの内容に加えまして、さらにいくつか補足的に取組内容を御報告させていただきます。まず資料の1の(関係機関の取組及び連携に関する基本的事項)とございますが、こちらの1つ目の「○」にございますように、配偶者暴力防止法の制定以前から婦人相談所において、配偶者及び配偶者以外の暴力被害者については一部保護を実施しておったところでございます。
     ただ、つけ加えまして、最近の状況で特に生活保護をめぐる状況などが言われておりますが、被害者の方が申請者であって、その生活状況、扶養関係についての把握に当たりましては、被害者にさらなる被害が生じることがないように情報の収集の仕方などに十分気をつける、さらには被害者の居所が加害者に知られないように気をつけるということを自治体に対して通知をしてお願いしているという状況でございます。
     また、次の「○」ですが、いろんな会議がございますので、例えばここに「全国婦人相談所長会議」、そして「婦人保護主管係長研究協議会」など具体の名前が2つ出ておりますが、こういった中で自治体における取組を一層お願いしたりしているところでございます。これは先ほどの説明でもお話をさせていただきましたが、補助金または運営交付金などで実施をお願いしている事業の中にも一部実施状況に差があることもございます。
     次の「○」ですが、平成14年度からになりますけれども、一時保護の委託制度を創設しております。
     次に(相談体制の充実)というところでございますが、これも補助金あるいは交付金などで婦人相談所におきます休日・夜間の相談体制の強化、そして夜間警備体制の強化なども実施をしております。
     次の(被害者の保護及び自立支援等)ということで、まず1つ目の「○」でございます。医療関係者の方が配偶者からの暴力を発見することが非常に多くなっておりますので、この発見及び通報に積極的な対応が求められていることについて周知徹底を図ることなどを内容とした通知を各都道府県、関係団体あてに発出をしたところでございます。
     また、次の「○」でございますが、これも生活保護の関係でございますけれども、被害者が婦人相談所自ら、あるいは委託して行う一時保護の施設に入所している場合に、被害者を居住地がない者とみなしまして、施設所在地を所管する保護の実施機関が実施責任を負うということについて通知をしておるところでございます。
     次に、配偶者からの暴力を受けた被害者の方がいろいろ自治体間を移動することがございますので、広域的な対応について実施責任、費用負担のあり方について自治体に対して提示を参考例ということですが、させていただいております。
     また、次に「○」が3つほど書いてございまして、法的対応機能強化事業、身元保証人確保対策事業、そして同伴児童も増えておりますので、こういった方々も含めて対応するための環境改善ということで予算的な部分も含めて措置を講じておりまして、これは先ほど御説明をした、その時どきのニーズも踏まえていろんな対策をやっていくという思いでやっておるところでございます。
     そして、委員の方々からいただいた御質問についてお答えをしたいと思います。質問番号で申し上げますと、9番で、こちらは大津委員からの御質問でございましたが、先ほども話が出ましたが、外国籍への配慮、通訳者が不十分であるというところでございます。
     確かに近年外国人の婦女子の一時保護の数が増加しております。簡単に人数を御紹介させていただきますと、人身取引の被害者ということで婦人相談所で保護をした実績ですが、平成20年度は39人の方、そして平成18年度、19年度は36人の方、17年度は117人で、平成16年度24人という状況になっております。
     このような状況がございますので、平成14年度から外国人の婦女子、緊急一時保護事業を実施しておりまして、必要な旅費、役務費、これは通信・運搬費などでございますが、また、通訳の雇い上げ費を支給するということにしております。予算箇所としては全国47都道府県分47か所ということで、私ども計上しておるのですが、20年度の実績につきましては、35の都道府県ということになっております。また、特にこういった形での相談対応になりますと、通常の通訳というよりも、より専門性が求められることがございまして、被害者支援の経験や専門的知識を持った通訳者の方を養成するということで、これは今年度からになりますが、専門通訳者の養成研修を実施するという取組をさせていただいております。これも今年度からですので、まだ実績ということで御紹介できる段階にはないのですが、そういう形での措置を講じています。
     いずれにしましても、外国人の方を支援するに当たりまして、通訳の確保の重要性、その予算的措置が必要で、御協力をということは、全国会議や研究協議会、こういった場で周知をしてきたところでございますが、今後もこういう働きかけを続けていくということで考えております。
     次の御質問に移らせていただきます。番号でいいますと、13番、こちらも大津委員からいただいた御質問でございます。特に夜中「助けてくれ」という連絡があった場合、婦人相談所が、警察を通してしか受入れを行わない。柔軟な対応を望むといった御質問でございました。
     多分個別のケースについていろいろ考えると、現場の判断などもあると思いますので、一律での判断はなかなか申し上げにくいところなのですが、さはさりながら、例えば一時保護、これは被害者の状況に応じまして、さらに配偶者の方からの追及のおそれがあるといった深刻なこともあると思いますので、少なくとも一時保護の要否判断をして、それで必要だと認められた場合については、警察などの関係機関とも連絡を図る必要がございますが、速やかに一時保護を行うことは必要であると考えております。そういったことがございますので、婦人相談所でこういう適切な保護を実施するようにということで、通知などで周知を図ってきておりまして、平成14年ぐらいから一時保護すべき要保護婦女子などの受入れを損なうことがないように弾力的に対応するべきことという通知を出したり、あるいは平成16年度、こういったことにおいても、関係機関と連携をとりながら保護の実施について、初めに相談を受けた機関が円滑な保護あるいは関係機関との連絡調整について責任を持って対応されたいといった通知も出しております。済みません、時間の関係で非常に早口の説明になってしまったのですが、いずれにしても、被害者の安全確保が最も重要だと考えておりますので、引き続き自治体に対しても働きかけをしていきたいと考えております。
     次の御質問でございますが、資料の15番、原委員からの御質問でございます。これは医療関係者の発見対応についてということで、研修も含めてまだまだ医療機関のDV対応が進んでないといった御質問でございます。例えば公立病院を中心にDV研修の義務化を検討する余地はあるかといったことも御質問でいただいております。
     公立病院も含め、病院の設置主体はいろいろあるところでございまして、私、厚生労働省としてお答えできるところもやや限られてはいるのですが、ただ、御案内のように、医療機関のDV対応ということについては、配偶者暴力防止法ですとか基本方針というのがございますので、そういったところに基づいて適切に行う必要があると考えております。
     研修ということで、特出しをして御質問いただいたのですが、基本的に各医療機関がいろんな必要性も踏まえながら、個々の医療機関で判断をして行うべき部分もあって、一律に義務化をするといった対応にはなかなかなじみにくいのかなということは考えております。いずれにしても、全体を包括的なDV対策の中での議論が必要だろうということと、関係省庁が連携してやらなければいけないだろうということも考えておりますが、若干個人的な意見に近くなるのですが、一番初めに発見をして、最低限どこにつないだらいいかとか、各病院のお医者さん方はとても忙しいので、最低限そういった部分の周知をやるということも重要なのではないか。そういう意味で佐賀県さんで非常にいい医療機関向けのマニュアルをつくっておられると把握をしているのですが、ああいうものとか、あとほかの県でももうちょっと簡単な形で、こういうことを気をつけましょうとか、うちの県だとここにつなぎましょうとか、そういうのをやっておられる自治体さんがあると把握をしております。したがって、そういう医療機関のDV対応をスムーズにするような、そういうものがあるだけでもかなり、だけでもというのはちょっと語弊がありますので、取り消しますが、いろいろ創意工夫の余地があると考えています。
     私ども厚生労働省のほうで、婦人相談所と関係機関の連絡会議とか、ケース会議をやったりするときのネットワークの予算を実は設けていまして、その中でDV対応をしたときのマニュアルをつくったりするような自治体さんもあるようですので、そういう予算の活用などでこういうことをやっていただくというのもあるのかなと考えております。いずれにしても先進的にやっておられる自治体さんですとか、民間団体のお知恵もかりながら、好事例について周知をするというのを内閣府さんなどとも連携してやっていきたいと思っています。
     それと、いただいた御質問で、早口で恐縮なんですが、16番で、これも大津委員からいただいたものでございます。外国籍のDV被害者の方で、特にハローワークでもなかなか被害者の報告を話せる係がいないといったことでございました。
     基本的にハローワークでは、DV被害者の方も含めてですが、外国人の求職者支援というものをやってございます。しかしながら全国非常に数多くハローワークがございますので、全部のハローワークでどういうような形で、例えば通訳の配置というのは難しい。したがいまして、かなりめりはりをつけてやっているという状況でございます。まず1つの具体例としましては、外国人雇用サービスセンターというのを東京、大阪、名古屋に設けて、ここは外国の方に特化した就職支援をやってございます。さらにもう一つ、外国の方が多数来場する全国139か所、これは、ことしの7月1日現在なのですが、こういったところで通訳の方を配置しております。英語のみならず中国語、ポルトガル語、スペイン語、韓国・朝鮮語、そこの実施しているところによって違うのですが、こういう求職支援をやっております。ちなみに、今時点でホームページ、外国人向けの支援をやっているハローワークについては周知をしているのですが、また引き続き周知に努めていきたいと思います。
     済みません、駆け足ですが、以上でございます。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。
     これらの御説明につきまして、何か御意見、御質問ございますでしょうか。時間が迫っておりますので短くお願いいたします。次の3の「性犯罪対策について」は次回のほうに回したいと思います。
    伊藤委員
    先ほど来の話なのですけど、警察庁のデータも内閣府のデータもですが、いろいろなところからのデータがある。DV関係の各機関、各省、各担当部署での全体像、これは多分ダブりもあると思うのですけれども、ダブりも含めて全体像を整理したほうがいいのではないかと思います。それは先ほど申し上げたように、かなり被害者の動きが情報の流れの中で変わりつつあるのではないかと思うからです。1番目の警察庁のデータを見ても、警察に行く方が増えているのだろうと思うんですよ。いろんな状況の中で警察に駆け込む人が増えている。逆に言うと、今まで対応してくれないと思われていた警察が、研修等々で受入れの態勢が整ったのだと思っています。被害者の側が各機関の対応を見ながら動き始めていることをある程度把握しながら全体像を見ておく必要があるのではないかと思います。
     なぜかというと、市町村が今、基本計画をつくり始めているのですけれども、相談センター機能を持つといっても、どこまでやれるのかということですごく戸惑っているわけです。それぞれの棲み分けをある程度見ながら、どこが何ができるのかということを把握しながら被害者にそれが伝わるような広報の仕方が求められているのではないかと思います。
     もう一つ、先ほどちらっとしかおっしゃいませんでしたけど、内閣府のつくっていただいた被害者の居場所づくりのスタートアップマニュアルはすごくよくできていて、子どもさんの問題なども含めて入っているのですけれども、これは市町村だけではなくて、一般のそれこそ民間のシェルターなどにも伝わるようなやり方がないか。一番いいのは市販なのでしょうけれども、市販というのはなじまないのかもしれません。せっかくつくっていただいたので、これはうまく流していただきたい、これはお願いです。
     もう一つ、文科省なんですけれども、子どもさんの対策をしていただいているのはいいのですけれども、最近、先生方から伺うと、どう対応したらいいかわからないというんですね。つまり先生方に対する子どもの配置の問題だけではなくて、DVそのものや女性の人権についての研修を、医療機関と同様にいろいろ工夫していただけたらと思います。済みません。
    後藤(弘)委員
    今のとも少し関係するのですけれども、研修というか、教育を今までいろんな形で各省庁がやっていらっしゃるのはよくわかりました。問題は教育した効果の問題だと思うのです。例えば先ほど出た例で言えば、警察庁がマニュアルをつくられたということですけれども、何をすればきちんとした教育を行っているというふうに評価できるのか。そういうようなスタンダードというか、そういう評価基準も今後つくっていく必要があると思います。
     ついでに警察庁のマニュアル、配偶者暴力の対策マニュアル、これは警察に配布すると書いてあるのですけど、これは一人ひとりの警察官が必携という形で持っていらっしゃるのか、それとも、例えば警察署に配布して、「はい、これを見なさい」という形でやっていらっしゃるのかということと、あとマニュアルに関しては、例えば検察官に対して、同じようなマニュアルをつくって配布するとか、そういう教育がどうなっているのか。警察官ではなくて検察官の教育ということについてはどういうふうに行っていらっしゃるのかを教えていただければと思います。
    警察庁
    (安田生活安全企画課長) 警察庁でございます。御指摘の配偶者からの暴力対策マニュアルというのはこういうものですけれども、これだけ分厚いものなので、これを事実上全員に配っても意味はありません、と私は思います。これについては、警察本部の担当者あるいは必要がある部署には当然配布をして、これについての教育を各警察署においても、担当者が巡回して、我々は「教養」という言い方していますけれども、教育をしたりということで伝えている。あるいは場合によっては、こういったものは、昇任試験の問題などでこういったものを出すというような形で勉強していただくということを徹底させていただいているところでございます。
    法務省
    (大塚刑事局付) 刑事局の大塚でございます。検察官に対する研修の実態ということで御質問がありましたのでお答えさせていただきますが、検察庁におきましては経験年数に応じた各種研修がございます。例えば新任検事の実務教育ということになりますと、新任検事を対象としまして、検察官としての捜査・公判に関する基礎的な実務能力を修得させること、それから広い視野とか識見を養うための啓発を行って、まず検事としての職責を自覚させる。どういう仕事につくのだということをわかせるための教育が一番最初にあります。このときに「児童、女性への配慮」というような教育科目を設けて、そこで指導を行っているということがございます。
     そのほかにも「検事一般研修」という研修がありまして、これは任官後、おおむね3年前後の比較的まだ若い検事ですけれども、検事を対象として、これは一般的な教養を高めるとともに、捜査・公判などの検察事務に関する基礎的な知識・技能の修得を目的とするものでありますが、これは新任検事実務教育で同じような教育を受けた者についても除外されることなく、「児童及び女性に対する配慮と検察の実務」というような講義科目を設けまして、そこで講義を実施することによって検察官に対する被害者、ジェンダーに配慮した研修というものを行っているという実情でございます。
    後藤(弘)委員
    例えば警察庁がつくられた多分「すばらしいマニュアル」を見る可能性というのはあるのでしょうか。
    法務省
    (大塚刑事局付) それは警察庁さん次第かもわかりませんけれども、御指摘の趣旨は非常によくわかりますし、共有できるような貴重な情報とか資料につきましては、可能な限りで共有させていただけるのがいいということは重々承知しております。
    諸澤委員
    法務省の刑事局の方にお聞きしたいのですが、先ほど平成12年に犯罪被害者関連2法ができて、ビデオリンクや遮へい物が可能になったとか、あるいは19年の改正で、被害者特定事項の秘匿の規定ができたという御説明がございました。ただ、その後、法改正が進んで、まだまだ不十分な点が多いのではないかという気がしております。そこで基本的なお考えをお聞きしたいのですが、つい今月の最初に青森の裁判所であった被害者参加で、なおかつ裁判員制度で非常に全国的に大きく関心を引いたと思いますが、強姦強盗罪であったために、2人の被害者がa、bという形になっております。
     犯罪被害者保護関連2法では被害者が証言する場合の保護であって、被害者の保護にはなっていないのだろうと思います。この法律ができた直後からずっと今まで傍聴する被害者の保護ができてない。傍聴についての配慮はあるけれども、傍聴する際の配慮は全くないということで宿題のようになっているような気がいたします。
     併せて昨年12月から被害者が参加するようになったことによって、それに対する対応、法整備が不十分だと思います。ただ、青森の裁判所では、別室でビデオリンクを使っていろいろ話ができたという大きなニュースになっておりますが、被害者が証言する場合はとりあえず12年の法律でいいとしても、参加する場合、傍聴する場合の整備がほとんどというほどできてないような気がしますが、今後の見通しといいますか、基本的なお考えだけでもお聞かせいただければと思います。特に性暴力関係、DVや虐待、そういうものが究極的には裁判になってきて、その被害者が裁判にどうかかわるかということで、この調査会とかなり密接な関係があるような気がしております。
    法務省
    (日比刑事局付) 刑事局の刑事課のほうからお答えさせていただきます。まず、先ほど青森の裁判員裁判対象事件の御指摘ございましたので簡単に触れさせていただきますと、裁判員特有の問題といたしましては、裁判員選任手続の問題がよく議論されていることかと思いますが、検察当局におきましては、性犯罪等の事案に関しまして、被害者が氏名等の個人の特定につながるような事柄を裁判員候補者に開示してほしくないというような希望が出される場合がございます。そのような場合には被害者の意向を踏まえまして、検察としては、被害者に裁判員候補者の氏名を事前に教示をいたしまして、被害者の関係者が含まれていないかどうか等を確認していただくことにしております。また、被害者と同一の職場に勤務する者などが裁判員候補者に含まれる場合があるかと思いますが、そのような場合、不公平な裁判をするおそれがある者が含まれる可能性が高いということで、一定の範囲が想定される場合には、その範囲に属する裁判員候補者を特定し、検察官としては理由を示さない不選任請求というものをしております。これが裁判員特有の問題になります。
     あと、被害者参加の場合、どのような考慮がなされているのかということでございますが、被害者参加人の場合にも、先ほど説明させていただいたとおり、付添い、遮へいの措置が刑訴法で導入されておりまして、これらについても検察官としては適切に意見を述べて裁判所の理解を得ていくというような対応をとっているところでございます。
     最後の点、傍聴をする場合に何らかの手続はあるかということでございますが、従前から行っているところでございまして、運用として傍聴したいという被害者の方いらっしゃいますが、そういうような場合に席の確保を検察官と裁判所のほうで協議いたしまして確保しているというところと、それからマスコミの方等からなかなか注目される事件等もございまして、そのような場合には検察事務官が検察庁から送り迎えをするとか、また、付添いの方で、被害者関係の団体の方の御協力をいただいて、そのような傍聴に関しても付き添ってもらっているという事例もあると聞いております。
     簡単ではございますが、以上でございます。
    根本委員
    まず厚生労働省さんに確認をさせていただきたいのですが、先ほどの4(2)④の中の(被害者の保護及び自立支援等)についてのところで、2つ目の「○」のところの、現在地保護というのは、まさにこれは保護をしておる実施機関のある場所という意味でよろしゅうござますね。
    厚生労働省
    (堀井総務課調査官) そういう意味でよろしゅうございます。
    根本委員
    それから、もう一つ、下から今度は2つ目の「○」ですが、「身元保証人を確保する」と書いてありますが、これはまさに保証人ということで、人ですね。
    厚生労働省
    (堀井総務課調査官) 保証人を確保するという事業の中身についてということでございますか。
    根本委員
    はい。
    厚生労働省
    (堀井総務課調査官) 基本的には保証人自身の確保ですね。
    根本委員
    わかりました。その2つを前提としてちょっとお話しをさせていただきますが、3点ほど言わせてください。1点は、これはどこかから出ていた話なのですが、財源論の話として、特別交付税として確保されておりましたということが出ておりました。前の話かもしれません。これは成果として紙に書く分には結構な話なのですが、自治体にとっても何の役にも立たないといってもいいぐらいの制度だと。具体的に言えば、特交自体がブラックボックスに入ってしまっておりまして、実際に金がついているのだか、ついてないのだかわからないという話ですから、ここへ逃げ込まないで、小規模補助金ですから無理だと思いますけれども、もうちょっと別の財源対策をしっかり考えてもらいたいと、そんなふうに思います。
     それから、2点目は、これは一時保護施設の関係の性格上、先ほど相談の話の件数が一時保護施設へ逃げ込んでおるという話がありましたが、ここで確かにそういう可能性があるのではないかと思っております。何かといいますと、実は現在地保護、これに問題があるということを前々から私は指摘しております。これは前住所の保護でないと、そこでお金を出さないと大変だということで、まずは県のほうへ行ってしまおうという話になってしまうので、市町村の対応になってこないと、この点があるのだろうと。私ども実は市営でシェルター持っております。ここへ周辺の皆さんにどうぞと言っても来ないんです。遠くの千葉まで行ってしまうんです。なぜかというと、野田市さんに迷惑かけてはまずいよと。これは改正してもらいまして、県内は前住地の保護にさせていただきました。ただ、隣の県から来る場合には同じような問題が起こっておるということがありますので、これを前提としてということはいささかちょっと問題があるかなと。
     それから、住宅の話の保証人なのですが、国土交通省さんの説明が後であるのかと思っていたのですが、公営住宅の入居の話ですが、実際に入居するのは難しいと思います。なぜかといえば、そんなに空き家が出てこないわけです。そんな中で、ここにだけ優先入居させるわけにいかないということになると、入居の特例だけを認めるという形になると、あとは抽選ですから当たらなくなるという話になってくるというケースが多くなるのではないかと思っております。ですから公営住宅ではなくて、今、余っている民間賃貸住宅をどう使っていくかという話だろうと。
     そうすると、さっきの保証人の話に戻ってくるのですが、実際問題として保証人を見つけるといっても、それがひと仕事という話になるのだと思います。だとすれば、保証機関が民間にあるのですから、それをどういうふうにして助成していくのか、そういうことを考えなくてはいかんということと同時に、もう一つ、どこがやるのかわからないですけれども、お金ないんですよね、みんな逃げて来たときに。それをどのようにして対応してやるのかというのをやらないと、民間の賃貸住宅に入れないという話になってしまうということになるだろうと。住宅の話は、公営住宅に逃げ込まないで、民間住宅でどういうふうにやっていくかということをお考えになっていただくのがベターなのかなという感じがしますという点だけ申し上げておきます。
     以上です。
    厚生労働省
    (堀井総務課調査官) 今の点で、1か所だけ、私の説明が多分早口で聞きにくかったと思うのですが、特別交付税措置ではなくて、先ほど申し上げました婦人相談所の関係のまず運営費については、運営費の負担金という形になっているというのが1つ。それとあと、それ以外の補助金の事業のほうも、メニュー補助的な形なのですが、一般的には全体の補助金の中での10分の5補助とか、そういった形になっておりますので、特別交付税の成果とか効果自体がどうという話ではないですが、特別交付税はないと。
    根本委員
    そこではなくて、ほかの人がおっしゃった中に入っていたものですから、ということです。厚生労働省という意味ではありません。
    厚生労働省
    (堀井総務課調査官) それと、あともう一つ、言ったそばから訂正で申し訳ないのですが、身元保証人のほうは人の確保ということではなくて、全国社会福祉協議会が契約者として、施設長などが身元保証人になった場合の損害保険契約の保険料を補助するといった形でございます。したがって、枠組みが、先ほど私が人というふうに申し上げた前提で市長さんがそういうふうにお答えになってしまったので恐縮だったのですが、そういうスキームではないということだけ。いろいろ貴重な御指摘ありがとうございました。
    根本委員
    わかりました。
    岩井会長
    済みません、時間が迫っておりますので、これぐらいにさせていただきたいと思います。それから、性犯罪対策については、次回に回しますが、平川委員から資料をいただいておりますが、よろしいですか。
    平川委員
    はい。
    岩井会長
    では、御説明は次に。
     申し訳ありません、非常に不手際で時間が来てしまいましたけれども、本日はこの後、16時30分から、基本問題・計画専門調査会がございますので、委員も重複していらっしゃる方もいらっしゃいますので、ここで終了させていただきます。大変活発な御議論ありがとうございました。
     最後に資料6を御覧ください。第47回会合の議事録がまとめられております。これにつきましては、このとおり決定し、内閣府のホームページ等で公表することとしてよろしいでしょうか。
     (「異義なし」と声あり)
    岩井会長
    それでは、第47回会合の議事録につきましては、速やかに公開することにいたします。
     では、次回は今度の(3)の「性犯罪対策の推進について」、各省庁からのヒアリングを行いますので、よろしくお願いいたします。
     事務局から何かありますでしょうか。
    仲程調整官
    2点ほど報告させていただきます。前回の調査会で基本計画改定に向けた全体の検討状況について情報を共有していく必要があるという意見ございましたので、今日説明の時間がございませんでしたが、資料の最後のほうに「第3次基本計画の重点事項の考え方について(案)」という資料をつけさせていただきましたので、後ほど御覧いただければと思います。
     次回の調査会でございますが、10月26日(月曜日)午前10時から開催したいと思いますので、よろしくお願いいたします。場所については、また追ってお知らせいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
     以上です。
    岩井会長
    それでは、これで第48回の「女性に対する暴力に関する専門調査会」の会合を終わります。本日はどうもありがとうございました。