チャレンジ支援推進事業企画委員会(第5回)議事要旨

  • 日時: 平成18年3月6日(月) 13:20~16:00
  • 場所: 内閣府仮設会議室207号室

(出席者)

  • 名取内閣府男女共同参画局長
  • (委員)
    • 鹿嶋座長
    • 北村委員
    • 福留委員
  • (関係府省)
    • 文部科学省
    • 厚生労働省
    • 農林水産省
    • 経済産業省
    • 国立女性教育会館研究国際室長
  • (関係県等)
    • 岩手県
    • 栃木県
    • 千葉県
    • 石川県
    • 京都府
    • 大分県
    • 宮崎県

(議事次第)

  1. 開会
  2. 平成18年度{再チャレンジ支援地域モデル事業」ヒアリング
  3. 意見交換
  4. その他
  5. 閉会

(配布資料)

資料1
平成18年度チャレンジ支援推進事業関係予算(案)
資料2
チャレンジ支援推進事業企画委員会開催要綱
資料3
経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005(抜粋)
資料4
女性の再チャレンジ支援策検討会議の設置について
資料5-1
女性の再チャレンジ支援プラン
資料5-2
女性の再チャレンジ支援プラン(概要)
資料6
再チャレンジ支援地域モデル事業実施要綱
資料7
平成18年度「再チャレンジ支援地域モデル事業」事業計画書
資料7-1
宮崎県
資料7-2
大分県
資料7-3
京都県
資料7-4
石川県
資料7-5
千葉県
資料7-6
栃木県
資料7-7
岩手県

(概要)

  1. 事務局から平成18年度内閣府チャレンジ支援推進事業及び本委員会開催要綱の改正について説明があった。
  2. 宮崎県、京都府、大分県、石川県、千葉県、栃木県、岩手県の順に、平成18年度再チャレンジ支援地域モデル事業事業計画に係る説明があった後、質疑応答が行われた。
    • (1)宮崎県の説明について
      • 再チャレンジ支援を行う場合、1つ難しさがあるとすれば、各方面との協力がある。例えば県でも市のセンターの他に国との協力が必要と思うが協力体制はどうか。また同時に指定管理者制度の移行時でもあり難しさもあるのではないか。
      • 本モデル事業の実施については、既に国の労働局やハローワーク等と相談等を行っている。特に商工会議所等についても、県の男女共同参画審議会の委員等に参加しており、また事前に話をしていることから協力願えると考えている。
        指定管理者制度の導入により、これまでの県職員をセンターに派遣する半分直営の形態から、18年度からはNPO法人の運営になり県の関わりがかなり外れることから、県として指定管理者への指導を考えている。事業開始まで半年間の準備期間を設け、体制等を整備し10月から相談等を始めとする本事業を開始したい。
      • 独立行政法人等でも事業評価のための目標設定と達成度がよく言われており、いろいろな設定の仕方がある。本事業については、例えば事業の開催回数や参加人数、再チャレンジを成し遂げた人数を想定しているのか。
        また、ロールモデルの収集は、これまでかなり成功ロールモデルは行き渡っており、ある種のパターンは普及していると思うが、むしろどこで達成できなかったか、問題点の列挙と解決事例のようなものがあるといいのではないか。
      • 事業目標・評価については、利用状況や講座受講者数のみならず、最終的に再就職あるいは起業につながった人数を指標に入れるように依頼している。
        これをどう結果的に評価するかは、委員の方々にも意見をいただきたいのだが、女性の再就職、再チャレンジの場合、すぐに再就職したいという女性ばかりではないこともあり、数も勘案しつつ、それに向かって取り組んでいく姿勢への評価も重要ではないかと思う。
      • モデル事業における相談者については、相談者の了解を得た上で個別に相談員によるフォローを最後まで行っていきたい。仮に就業等に結びつかなかった場合、その原因等を考えつつ最後までフォローするとともにそれを今後の政策として検証していきたい。
    • (2)京都府の説明について
      • 京都府ジョブカフェの成功例がモデルとしてあるが、どういう形で本事業に応用するのか。
      • ジョブカフェでは情報提供や相談、「キャリアップ研修」としていわゆる就職の動機づけのメニューからスキルアップまで行っている。そしてその後、職業紹介、就職した後のフォローアップ、「定着支援」まで一貫して行っている。
        相談に来られる方は大体2対1で男性が多いが、女性は大体が大学を卒業したフリーター、無職者が中心で、同じような悩みの方や、数は少ないが幼いお子さんを抱えた母親も来られる。
        また、女性総合センターにジョブカフェのカウンセラーが交流という形で行っており、ジョブカフェに来られる女性の相談内容と同様の相談も受けており、ノウハウ、2年間の経験が生かせると思う。
      • 今まで府の女性総合センターで行ってきた女性チャレンジ相談では、ジョブカフェに紹介した後のフォローアップ追跡ができないと聞いているが、本事業では解消できるか。
      • 今回の事業ではフォローアップ追跡にきっちり取り組んでいきたい。ジョブカフェ以外の例えばハローワーク、マザーズハローワークともきっちり連携を図って追跡をしていきたい。
        また、再チャレンジ相談では、悩みの相談プラスアルファ、仕事のコンサルティング的な相談も行うことから、仕事が見つかるまで、相談員が繰り返し相談へ対応することにより、最終的には結果までしっかりと引き出せるようにしていきたい。
    • (3)大分県の説明について
      • 計画書にある再就職起業準備講座は、これまで実践事例がありそのノウハウの活用を考えているのか。
      • 起業支援セミナーを2回行っておりそのノウハウを活かそうと考えている。
    • (4)千葉県の説明について
      • 「子育てお母さん再就職」という事業と、一方教育委員会でも行っているであろう「子育て支援」という事業の柱であるが、教育と一方では就職するという話と子育て支援という話をどう整合性を持たせ調整しようとしているのか。
      • 「子育てお母さん再就職支援」という事業の名称は、知事のマニフェストに記載されている名称を使用している。
        子育て支援については、保育の問題はかなり女性のニーズが高く、「ネット調査」でも保育所の問題を解決してもらいたいという声は多く聞かれた。これは保育所の数をすぐ増やすということではないが、保育所の混み状況も各市町村で違いがありそれを県全体でどうバランスをとっていくかなどを、運営チームの中で議題の1つとして今後検討していきたい。
    • (5)栃木県の説明について
      • 説明にあったメンターのような制度、サポーター、アドバイザーは必要。多様な意識の女性が多い、就業希望者の6割が就職活動をしてない、特に専門的分野への志向があまり強くないなどの状況下での再就職は難しさがあるかもしれない。
      • 女性が気軽に立ち寄れる場所での情報提供として大型スーパー等とあるが、これまでの実績はあるか。
      • 県の児童家庭課では子育て支援として行った事例があると聞いており、参考にしていきたい。
      • ある大手のスーパーの幹部と会ったところ、このような取組にはぜひ協力したいという意向が強かった。地域の人々が集まる場所や子どもたちを見守る場とかをつくりたいという意向はどの企業にもあるのではないか。
  3. 意見交換
    • 再チャレンジの問題は、単に府県で推進するのみならず様々な協力体制が必要。具体的には府県庁内における男女共同参画担当課と他部局との連携の他、関係機関等との横断的な取組が必要。これについては特に厚生労働省がコミットしてくると思うが労働局や (財)21世紀職業財団などへの周知や連携状況はどうか。
    • (財)21世紀職業財団の行ってきた再就職支援は、職場実習まではいくが着実に就職までつなげる過程が弱い部分であったことから、再チャレンジ支援の検討の中ではマザーズハローワークやそれ以外のハローワークへつなげ、そこから着実な就職先へのルートをつくっていくことを考えながら現在作業を進めている。
    • マザーズハローワークは全国12カ所に設置する予定であり、(財)21世紀職業財団と男女共同参画センターが実施する再就職支援事業と連携して、早期に就職を希望する子育て女性について個別丁寧にマッチングまで結びつけていくためのネットワークを組み、協議会を設置して取り組んでいきたい。
      他の地域のハローワークでも、子育て女性、特に子育てをしながら働きたいという求職者の個別事情を課題ごとに着目し就職支援を丁寧に実施するなど協力していきたい。
      ただ、実際今すぐ働きたい女性なのか、まだ働く気はないが情報提供を望むのか、女性センターで見極めをしてもらえると、ハローワークで就職支援、マッチングまで積極的に支援が行いやすい。それらも含め連携体制をきちんと現場レベルでとっていきたい。
    • 求職中の子どもの預け先にも困る母親が多いことから、例えばファミリーサポートセンターや保育所の一時保育、幼稚園の一時預かりなどいろいろな連携先に働きかけ、求職中の子どもの預け先がないことから就職活動をあきらめてしまうことのないように、各地域の中の協議会へ働きかけるなど、育児に関する市町村や都道府県の主管部局に協力依頼を行いながら取り組んでいきたい。
    • 17年度にセンターで自主的に起業に向けた講座を行ったが、参加者の年代層がかなり広範にわたっていた。今回の再チャレンジ支援事業の考え方として子育て中の女性等を対象と考えると例えば40歳までなど若い層へどう広がりを持ったPRを行っていけばいいのか。
    • チャレンジ相談を始めた時に広報するとマスコミに取り上げられ、かなり予約待ちとなる状況で効果があったが時間が経つにつれて予約数が減ってきた。事業に関しその都度、いろいろな広報、例えば地域誌やフリーペーパーなどへの売り込みをし取り上げてもらえるとまた申込みが増え、時間が経つと少し下がっていくという繰り返し。
      広報すればたくさん応募はあるので潜在的ニーズはあると思う。
    • 当県で調査を実施した際に、県内のスーパーの協力により、店舗にチラシを置いていただいた。地域の情報誌を母親はよく見る場合があるので、そういったミニコミ誌などは非常に効果的ではないか。
    • NPOへの女性のチャレンジの位置付けを再チャレンジ支援事業においてどう考えたらいいか。NPOへチャレンジした人たちは就職したとは思っていない人が多く、再就職の道を探っていることもかなり多いのではないか。
      本モデル事業の評価として、NPOへのチャレンジも目標達成として含めるのか。
    • 今、行政が提供できるのは、あくまで女性の側に就業するために例えば技術を身につけなさいとか、講座を受けて資格をつけなさいとか、そのためには託児してもいいよという働きかけ。
      しかし根本的に、女性には社会に出たい、自分の収入を得たいと思いながらも非常に慎重な心理がある。事前の調査によると7割以上がパートや派遣を希望するという答え。
      職場に入っていくということへの恐怖心というか、本気で働くというのは大変なことだという認識が女の人にあり不安な立場にあるというケース。
      行政がチャレンジ支援を行う際、これからは受け皿側にかなりシフトして受け皿作りをしていかないと、女性たちは不安で、本気になれない状況に終始してしまうのではないか。
      女性の選択肢として例えばNPOや在宅ITはできるかもしれないという考え方もあるが、結果的に低労賃で使われてしまい、その分野の賃金水準を下げてしまう状況にもなっている。
      一方子育て支援ネットワークなどでは、専業主婦的な人たちを不安から開放しようということで支援しているような思いがあるが、それぞれ需要が違うのでその内容がどう整理されているのか外から見えにくい。
      民間の職業紹介所はすごく増えている。そこでインターン派遣を既婚女性、子育て後女性に対するサービスとして導くことはできないか。
    • 職場に入っていくことへのためらい、子どもが小さい頃は正規社員としては働きたくない、パートで働きたい、もっと身近な場所で働きたい、といった希望もアンケート調査によると多い。NPOはその1つの選択肢であり、実際子育てNPO自身が、1つの段階的な社会復帰の場となっており、そこで自信をつけて更に再就職をしていくステップの1つとなっているという例もある。
      身近な主婦たちのNPOはそういう足がかりになる可能性もあり、今回のモデル事業でも1つのステップという形としてよいと思う。
      子育てNPOには専業主婦が集まっている。将来は就職をしたい、何かチャレンジしたいと思っている女性が多いので、そこで情報提供、セミナーを行ってもらう。そうするとチャレンジする前の早い段階から母親が再就職というのはこういう状況になっているのだということがわかる。すぐには再就職できなくても、何年後の自分のライフプラン、人生設計が立てられるため支援としては非常に重要。
      企業側を受け皿として育てていくことは必要で、女性の再チャレンジ支援プランの中にも企業への働きかけについて記述されている。引き続き各省の協力により具体的な方策を進めたい。そのためにもこのモデル事業の中で個々の地域で企業への働きかけにより企業側が求める人材をフィードバックして事業に活かすことを期待する。
    • マザーズハローワークでは、個別の求人開拓として未知数な部分もあるが、企業への働きかけを特に子育て女性の希望やニーズをよく聞いて、女性の能力や希望を企業に売り込んでいくサービスを考えている。
      求人の年齢制限については、マザーズハローワーク以外の全てのハローワークで、平成 19年度までに年齢不問求人50%以上を目指すという目標を掲げ、求人の窓口で指導を行っている状況。
    • 企業でもワークライフバランスという観点から新しい人事労務管理のあり方について、今後工夫していきたいというような考え方も出てきており、来年度以降行うセミナーの中で、再就職センターで得られた女性のニーズや一定の成果を企業の側に情報提供、アピールするなどの工夫をしていきたい。
    • 再チャレンジ及び支援策は男女共同参画の視点を持って、男女共同参画社会の形成という枠組みの中で行うからこそ大きな意味を持つことであり、だからこそ再チャレンジ支援の拠点センターが女性(男女共同参画)センターであることが重要である。
      この再チャレンジ支援が単なる就職斡旋ではないということを皆さん自身がしっかりと踏まえそれを市民、県民の皆さんに強調して取り組んでほしい。
  4. 最後に、内閣府から次回の企画委員会について、連絡があった。