チャレンジ支援推進事業企画委員会(第2回)議事要旨

  • 日時: 平成16年10月20日(水) 15:30~17:30
  • 場所: 内閣府3階特別会議室

(出席者)

  • 名取内閣府男女共同参画局長
  • 土肥原内閣府大臣官房審議官
  • (委員)
    • 鹿嶋座長
    • 北村委員
    • 吉川委員
    • 中野委員
    • 広岡委員
    • 福留委員
  • (関係府省)
    • 文部科学省
    • 厚生労働省
    • 経済産業省
  • (関係府県)
    • 埼玉県
    • 京都府
    • 奈良県
    • 熊本県

(議事次第)

  1. 開会
  2. 「地域におけるチャレンジ・ネットワーク環境整備推進事業」中間報告
  3. 意見交換
  4. その他
  5. 閉会

(配布資料)

資料1
平成17年度チャレンジ支援推進事業概算要求事項
資料2
地域におけるチャレンジ・ネットワーク環境整備推進事業指定地域事業計画概要
資料3
地域におけるチャレンジ・ネットワーク環境整備推進事業中間報告書
資料3-1
埼玉県
資料3-2
京都府
資料3-5
奈良県
資料3-6
熊本県

(概要)

  1. 埼玉県、京都府、奈良県、熊本県の順に、各指定地域の中間報告書に係る説明があった後、質疑応答が行われた。
    • (1)埼玉県の中間報告について
      • 委託事業を実施することによる収益についてはどのようになっているか。
      • 国からの委託事業であるため受益者である講座の受講者に対しては受講料を無料としている。受託団体が今年度の活動のノウハウを自分たちの活動に生かして利益を上げることは、本モデル事業と切り離して実施してもらえればよいと考えている。
      • ロールモデル集には、具体的にどのようなチャレンジモデルを紹介するのか。また、上へのチャレンジ、横へのチャレンジ、再チャレンジごとの割合など。
      • 県や市町村関連施設の講座修了生などを想定している。例えば、With Youさいたま(埼玉県男女共同参画推進センター)の起業講座を終了後、起業した方などを掲載する予定である。割合は再チャレンジ型が多い。今後、上へのチャレンジ、横へのチャレンジのモデルも提供していきたいと考えている。
      • ロールモデル集の制作を団体に任せ、団体育成のための学習としている点がとても面白い。各方面で作成されているロールモデル集をネットワークの中で構築できるとよい。各種事業については、実際にどの位人が集まったのか。特に「おじさん受けいれ講座」についてはどうか。
      • 公募8事業の参加者は募集段階であるが、現在、満員御礼といった応募状況である。団体はニーズを敏感にとらえて事業を実施していると実感している。
        「おじさん受けいれ講座」については、関係者すべてが面白いとの反応。地域のリーダーである女性が、いかにおじさんたちを組織の中で一緒にやっていくメンバーとして受け入れるかという視点で、講座を企画している。
      • 「おじさん受けいれ講座」については、男性が今までの企業人としての価値観を、再チャレンジする際に変えられない点が一番の難しさだと思っているので、講座内容にもその点を加えるとよい。
        「女性起業インターンシップモデル事業」については、インターンシップだけではなく、商工会連合会女性会が行っているような女性創業塾のようなものを開催したらどうか。定期的に複数個所で行うことにより県内だけでなく全国的に実施できる。また、身近なことが仕事につながる事例の紹介などの違った角度もどうか。
    • (2)京都府の中間報告について
      • 起業に失敗した場合のセーフティネットのようなものは何か考えているのか。それともまだそういう事例にまでプロセスとして至っていないのか。
      • 現在寄せられている相談は、できる範囲で何かやっていきたいという内容がほとんどなので、セーフティネット的なものはまだ検討していない。女性の場合には、なかなか具体的な事業計画が定まっていないといった弱い部分があり、ネットワーク会議でも、商工会議所や京都産業21などの起業関係相談機関からも同様の指摘を受けている状況で、事業計画を一緒に考えながらまとめていくのがチャレンジ相談の中でのつなぎ役としての役割と認識している。
      • 個人的な考えを含めていうと、相談業務の難しさがあり、失敗したときは最終的に自己責任になってしまうが、本人にどれだけ判断材料を与えるか、講座や関係機関など違う枠組みも教えてあげられるような連携、仕組みをつくっていくことが、チャレンジ支援の役割ではないかと思っている。
      • 中間報告書の課題に書かれているチャレンジアドバイザーについて確認したい。
      • チャレンジアドバイザーは、チャレンジ相談のカウンセラーがその機能を果たしている。現状は週2回、各8時間という形で実施している。課題としては、より複数機関にまたがるような大きな意味でのコーディネートを進めていくことができる情報コーディネーターのような人材を今後育成していく必要があると考えている。
    • (3)奈良県の中間報告について
      • 奈良県の専業主婦率は高いということから、特に意識して力を入れていることはあるのか。
      • 上へのチャレンジ、横へのチャレンジよりも、再チャレンジを支援していく必要があるのではないかと考えている。奈良県は全体的にパート労働が多く、女性がそれに就業する割合も多いというデータが出ているので、できるだけ再就職を支援していく。また、再就職しても、そこからキャリアアップしていくような支援が必要なのではないかと考えている。また、社会活動、ボランティア・NPO活動が結構多いのではないかと考えている。
    • (4)熊本県の中間報告について
      • コーディネーター育成事業について、熊本県の場合には、起業した人が起業しようとする人たちにアドバイスする役割を担ってもらうという考えなのか。
      • 地域で活動する上で活用できる社会資源や制度などの情報をコーディネートするには、実際に起業したり、地域で活動したりしている方に行ってもらうのが早道なので、そのような方をエンパワーしていこうということもあり、コミュニティ・ビジネス講座を開催することになった。アドバイスする対象は起業しようとする人に限らず、ボランティアなども対象とする。
  2. 意見交換
    • 起業については、具体的なイメージのある方と、漠然と何かチャンスがあったらやってみたいと思っている方の2通りに分かれる。創業塾などを開催するに当たっては、段階別に分けた方がいい。近いうちに創業したい方には資金的なことや創業に当たっての知識について、会計士や中小企業診断士から体験談も含めて話してもらうとより早く創業に至るのではないか。
      また、個人的な考えであるが、セーフティネットのようなものを国として考える必要はないのではないか。起業は結構大変なので、本人が目的意識をはっきり持つまではむしろ創業をしない方がいい。また、 ○ ○士といった資格を持っている方の中にも資格をもとに起業したい方もいるので、そういう方を対象とした別講座があるといいのではないか。
      また、奈良県の女性の就業率が低いということだが、生活と離れた仕事をするだけが仕事ではなく、立派な子どもを育てることも女性の重要な価値である。その際、子育て中は社会から離れた感じがあるようなので、子育てを一人でやるのではなくて、社会に参画していることを認識してもらうためにも、地域でグループ活動のようなことをしていくといいのではないか。そのことにより情緒力ある子どもが育っている例もあると聞いている。そうした広い意味でのチャレンジをやってほしいと思っている。
    • 生きがい探しをきっかけにして学習を始め、そして何かやれるのではないかと思い始めて、例えばビジネスへとつなげていきたいと思う人が多いことから、そのようなケースに対応できるコーディネーターのような役割は必要。その場合、ある特定のことだけに詳しいコーディネーターはあり得ず、全体を調整する、情報をたくさん幅広く提供できる方が必要になる。また、これなら絶対に成功するというコーディネートは不可能であり、様々な事例の提示とともに、相談者が安易に判断しないように学習を深められるコーディネートの方法が重要になってくる。
    • 昨年度行った調査によると公民館はあまりチャレンジ支援的な発想を持っていない状況。少しチャレンジ支援のような発想を公民館が持ち、地域コーディネーターを育成していくと、学びからステップアップさせるための大きなルートになる。また、NPOを始め、チャレンジ支援関係の事業を行う団体が支援ネットワークに参加しやすくするには、例えば、県や市町村からの委託などにより経営が成り立っていく仕組みを考えることも必要。
    • 今年度熊本県には、文部科学省からもチャレンジ関係事業で予算が出ていると思うが、何か相乗効果のようなものがあるか。
    • 女性のキャリア形成支援事業を文部科学省から生涯学習センターが受ける予定であり、生涯学習センターでは、出力型講座といって、子育て・介護経験も含めた今までのキャリアを社会に生かしていくための講座を開催する予定であり、連携していきたいと考えている。
    • 今回の事業の報告の取りまとめに際しては、他の都道府県あるいは市町村のレベルにおいても、モデルとして多くの県がすぐ取りかかれそうな具体的な表示の仕方を意識していただきたい。
    • 本日の議論や参考資料から、必ずしも仕事に活躍することだけがチャレンジではなく、子育てにもかかわっていくことも価値あるチャレンジであると再認識した。
    • 今後、団塊世代の男性たちが大勢退職すると、地域で活動したいという人が増えることが予想されるが、ある程度企業社会で生きてきたスキルを持っている男性はやる気はあるが、経験のない女性にとっては、仲間でもあり競争相手でもある。仕事に対する考え方の違いから、仕事への対価の市場価値を下げ、別の安い相場ができてしまうと思われるので何か配慮をしていただきたい。
    • 多くのロールモデル事例集が有効活用される仕組みがあるとよい。また、フルタイムで働かない男性ロールモデル事例があってもいいのではないか。
    • 子育てのための女性の多様な働き方の提示と併せて、地域活動を行う女性の陰にいる仕事に邁進してきた男性を地域に戻すこともやっていただきたい。
    • 様々なチャレンジ支援を行っている地域に行った感想では、特に再チャレンジへの関心が高いという印象がある。男女共同参画を地域に浸透させる1つの大きな手法としてチャレンジ支援は大きな意味を持つ。また、男女共同参画の枠の中でのチャレンジ支援であり、起業して成功する、事業として成功する、NPOを立ち上げて成功するということだけが目的になってしまい、男女共同参画の枠がどこかに忘れられる危険性もあると感じる。個人的意見だが、あくまで男女共同参画の中でのチャレンジ支援事業であることをよく認識した上で推進していかないと、本来の意味を見失ってしまうのではないか。
  3. 事務局から、資料1「平成17年度チャレンジ支援推進事業概算要求事項」について説明があった。
  4. 最後に、内閣府から次回の企画委員会について、3月中旬頃を予定している旨、連絡があった。