男女共同参画社会の将来像検討会(第4回)議事要旨

  • 日時: 平成15年11月17日(月) 14:00~16:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室

(出席者)

座長   本田 和子
お茶の水女子大学長
委員   阿部 正浩
獨協大学経済学部助教授
 同   江原 由美子
東京都立大学人文学部教授
 同   大石 亜希子
国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部第二室長
 同   小塩 隆士
東京学芸大学教育学部助教授
 同   玄田 有史
東京大学社会科学研究所助教授
 同   田中 早苗
弁護士
 同   林 光
株式会社博報堂生活総合研究所所長代理兼主席研究員
 同   南 砂
読売新聞東京本社編集局解説部次長
 同   宮本 みち子
千葉大学教育学部教授
 同   山下 仁
社団法人農村生活総合研究センター研究員
 同   山田 昌弘
東京学芸大学教育学部助教授

(事務局)

名取 はにわ
内閣府男女共同参画局長
土肥原 洋
内閣府大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
山崎 日出男
内閣府男女共同参画局総務課長
竹内 大二
内閣府男女共同参画局企画官

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)雇用・就労の将来について
      • <1>雇用・就労に係る制度等の変化の見通しについて
      • <2>雇用・就労に係る論点について
    • (2)アンケートについて
  3. 閉会

(配布資料)

資料1
雇用・就労に係る制度等の変化の見通しについて
資料2
雇用・就労についての論点
資料3
アンケートについて
資料4
2020年の国民の意識の背景となる時代背景
資料5
男女共同参画社会の将来像検討会(第3回)議事要旨

(概要)

○資料1、2、4に基づき、事務局から説明が行われた。

(田中委員)
女性の能力を活用しないのは、人的資源の投資が無駄になっているというスタンスで検討していただきたい。
日本経済団体連合会と大手8社が「企業の社会的責任(CSR)」の規格化に取り組むとの新聞記事を読んだが、上場企業が変われば取引企業の底上げもされると思う。
(玄田委員)
できるところから広げていくほうが早いと思うので、きちんと評価する仕組みがあると良い。
(林委員)
地方の企業でも進んだ取組をしているところはたくさんあるので、そのような情報が流通する仕組みがあると良い。
あるメディアの調査で、環境問題に取り組んでいる企業ほど株価を維持しているという結果があった。男女を上手く活用して企業業績も良いということを示せないか。
「多様な働き方」という美名の下に、経営者側は同じ働きでも賃金が抑えられる労働形態を選択し、働く側はライフスタイルに合わせた都合の良い働き方だと納得させられている ように感じることもある。
(玄田委員)
男性と女性の勤続年数の差が小さい企業ほど、経常利益率が高いという調査結果がある。
(田中委員)
正しいことをするには長期的視野がないとできない。企業倫理も長期的視野を持つための1つの視点である。
(阿部委員)
子育てでリタイアせざるを得なかった女性が1人で仲間を集めて、NPO・NGOを立ち上げている例は多い。それを支援する制度はないか。
(江原委員)
NPOなどで働いている人の中には、ほとんどただ働きの人もいる。
(林委員)
行政サービスを安価な有償ボランティアで行おうと考えている地方公共団体の首長がいるようだが、搾取ではないかと感じている。
(山下委員)
出産を機に仕事をいったん辞めた女性が、以前の条件で復帰するのは難しい。農業は子育ての時期休んでも以前のように復帰できる。農業以外の分野でも、再雇用のしくみづく りが必要ではないか。
(阿部委員)
育児休業を取った人の8割は戻ってくる。育児休業法で制度は整っていても、育児休業を使わないで、結婚後・出産前に辞めてしまう女性がいるという点を考える必要がある。
(林委員)
女性が活躍していることで有名なある企業は、本当に辞めて欲しくない人材のために育児休業制度など、様々な制度を整備した。
企業は、利益が上がるなど目に見える効果がないと動かない。結局、どのような働き方をしているかということが問題であり、有能であるとか、重要な仕事をしているということがな いと、企業側も残って欲しいと思わないし、女性側も大した仕事をしていない、させてもらっていないということであれば残りたいと思わないであろう。
(宮本委員)
教員採用試験の受験年齢の上限を最近は30代としている都道府県が多いが、10年くらい前は20代がほとんどであったため、結婚して他県に移動すると、二度と教員には戻れ ないという状況であった。
年齢にかかわらず就職できるということがポイントだと思う。日本の企業はある時期を外すと就職が非常にしにくくなる。働こうと思ったときに、仕事に就ける開放性がとりわけ大き な問題であると思う。
(山田委員)
北欧などは、フルタイム雇用が一般的であった時代に女性の社会進出が進んだ。日本は男女共同参画の推進の動きと雇用の流動化が同時にきてしまったので、長期社員で働く ことを前提とした仕組みでいくのか、男性も女性も自在に働く時間等をコントロールできるような形を目指すのか、どちらを目指すのか揺れている状況だと思う。
男性でもNPOに参加したいと考えている人はいるが、ある事例を聞くと、給料が2万円で親と同居(パラサイト)するしかない。
NPO、パート、テレワーク、自営、起業などは女性のためだけにあるのではなく、男性も時期や意欲や希望に応じて、働き方を選択しながら家族生活の責任をとっていくという形を 増やす必要があると思う。
(江原委員)
労働時間が自由になるということと、雇用の流動化とは別の問題である。この2つを働き方の多様性ということで一緒に論じることはできない。
労働時間が自由になることは子育てには必要だが、雇用の継続性が確保されていないと子どもは産めない。
(山田委員)
それは男性にも当てはまること。
(阿部委員)
5年くらい前に仕事を辞めた人たちは、ICTの進展など、職場の雰囲気が劇的に変わっているので、職場には戻れないと感じている。ただし、再教育によって解決できる面もある。
(本田座長)
国立大学の女性教員で育児休業を取る人は大変少ない。制度が保障されていることと職場の中でそれがどう機能するかということは別の問題である。
(玄田委員)
ILOの報告書を見ると、先進国の雇用の流動化はそれほど進んでおらず、むしろ強まる傾向がある。日本も統計を見ると、長期雇用が進んであり、雇用が流動化していくという予 想は現実的ではない。長期雇用の輪の中に女性が加わり続けることができるように環境整備をしていく必要がある。
アメリカで開業志向が強いのは40~50代。現在、20代の女性が20年後に開業したいと思ったときに、起業の事例など、安価で信用できる情報を提供するのが行政の責任だと 思う。
(阿部委員)
現在、NPO活動をしている人でも、起業したいと思っている人は多いが、開業にたどり着くまでのハードルが高いようだ。
(山田委員)
起業するにしても、今まで仕事をしていなかった人がいきなり起業するという事例よりも、長く勤めていた人が、働いていた頃の技能と人脈を活用して起業するということが多いよ うだ。
(宮本委員)
農村の女性はいろいろな形で起業をし、支援体制も厚みがある。一方、もともと専業主婦をしてきた人が中年になって、起業するというのは簡単なことではないが、それが日本の 現状だと思う。
仕事を続けてきた女性が、その職歴を利用して起業するという層が大変薄いと思うので、そこの支援策も考える必要がある。
(本田座長)
起業する直前まで仕事をしていた人とそうでない人を分けて、支援策を考える必要がある。
(玄田委員)
働いていることによるネットワーク、あるいは専業主婦や子育てのネットワークを、次のステップに結びつくよう、現実的につなげていくところで何かできれば良いと思う。
(林委員)
調査をしてみると、定年退職したときに男性は終わったという感覚を持つ。一方、女性は結婚したときに第2の人生が始まったと感じ、定年退職の際に終わったという感覚を持つ人 は少ない。
日本は起業を志向する人がかなり少ない。アメリカはベンチャー企業に投資をするが、日本は投資に対する考え方の違いもあり、ベンチャー企業に投資しない。

○事務局から資料3に基づき説明が行われた。

(山田委員)
8ページに「雇用の流動化は現在の欧米並みに強まる」との記述があるが、女性の雇用は既に流動化状況である。
(玄田委員)
8ページの【想定される2020年の状況】は、もう少し見直しをした方が良い。
(阿部委員)
Q10-ウは、ここ数年のうちに整備されると思う。
(山田委員)
子育てひろばに参加する男性が増えるとしてはどうか。
(大石委員)
ネガティブな答を選択した場合にのみ理由の記述が求められているので、ネガティブな回答を選択する者の負担が増える。
(小塩委員)
Q6-イで「3割程度」という記述があるが、現状を入れた方がよい。
(玄田委員)
有識者に対するアンケートを無記名式で行い、それで有識者は回答をしてくれるかどうか疑問である。
(山下委員)
もう少し問題数を絞った方が良い。
(本田座長)
アンケートは本検討会の議論を補完する目的ということだが、アンケート対象者として考えられている審議会等委員と本検討会員では年齢層が違う。
(玄田委員)
質問が細かすぎる。もう少し抽象的な聞き方で構わないのではないか。

○アンケートについては、造詣の深い委員と相談の上、早々に実施することとなった。