男女共同参画社会の将来像検討会(第3回)議事要旨

  • 日時: 平成15年10月20日(月) 10:00~12:00
  • 場所: 内閣府5階特別会議室

(出席者)

座長   本田 和子
お茶の水女子大学長
委員   大石 亜希子
国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部第二室長
 同   小塩 隆士
東京学芸大学教育学部助教授
 同   田中 早苗
弁護士
 同   林 光
株式会社博報堂生活総合研究所所長代理兼主席研究員
 同   南 砂
読売新聞東京本社編集局解説部次長
 同   山下 仁
社団法人農村生活総合研究センター研究員
 同   山田 昌弘
東京学芸大学教育学部助教授

(事務局)

名取 はにわ
内閣府男女共同参画局長
土肥原 洋
内閣府大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
山崎 日出男
内閣府男女共同参画局総務課長
竹内 大二
内閣府男女共同参画局企画官

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)政策・方針決定過程への共同参画について
      • <1>計画等における位置づけについて
      • <2>各種分野における数値目標の設定について
      • <3>ヒアリング結果について
      • <4>将来像検討の論点について
    • (2)アンケートについて
  3. 閉会

(配布資料)

資料1
計画等における位置づけについて
資料2
各種分野における数値目標の設定について
資料3
ヒアリング結果について
資料4
将来像検討の論点について
資料5
女性の政策・方針決定参画状況調べ
資料6
アンケートについて
資料7
男女共同参画社会の将来像検討会(第2回)議事要旨

(参考)

  • 平成15年版男女共同参画局白書(抄)

(概要)

○資料1から3に基づき、事務局から説明が行われた。

(田中委員)
資料3の中に、女性が増えたことで変化はない旨記載されているが、ルートチェンジ制度、リワークエントリー制度等が 整備されている状況を勘案すると、人事政策に何らかの変化があったと言えるのではないか。
(竹内企画官)
元々、女性が多い職場であったということもあり、女性が政策・方針決定過程へ参画するようになったと伺っており、政 策・方針決定過程への参画が増えたため、制度が整備されたとは一概には言えないと思う。
(田中委員)
アンケートで、女性が参画することによって政策・方針決定過程に変化はあったかと聞くと、無いという回答になると思う ので、例えば、人事政策に変化はあったかなど、具体的な聞き方をする必要があると思う。
(山下委員)
男性の方が女性より変化が無いという意識が強いと思う。また、女性が以前と比較して変化が無いと答えたとしても、男性の「変化が無い」とは異なり、女性も男性に引けを取らないという意識の表れではないか。
(山田委員)
タイムスパンをどれくらいとっているかも重要である。例えば、大磯町議会は昭和62年から既に20%を超える女性議 員がいたので、それより以前と比較しないと意味がない。クレディセゾンも総合職採用の前後で大きく変わったのではない か。
(小塩委員)
人口比が1対1なので、政策・方針決定過程へ参画する女性もそれに見合う数になるとバランスのとれた決定ができる と思う。よく女性は生活者の視点と言われるが、それもかえって差別的な気がする。
 中央省庁の状況は如何か。
(名取局長)
現在、課長以上の女性割合は1.4%と大変低い。課長以上の人が採用された当時は、元々の採用が少なかったことも ある。
 現在、内閣府は女性職員の採用に占める割合を30%にするという目標を設定し、また、働き続けられるよう勤務環境 の整備を行うこととしている。さらに女性の受験者が少ないため、増やす努力をする必要がある
(本田座長)
女性が政策・方針決定過程へ参画することによって変わった、変わらないというのは、外的要因も結果を左右すると思 う。

○事務局から資料4に基づき説明が行われた後、事務局から欠席された江原委員、宮本委員の意見の紹介を行った。

(江原委員)
例えば、女性に対する暴力の問題などは、女性が政策・方針決定過程へ参画することによって、課題として取り扱わ れてきた。出産や生殖に関する問題は男女間で感度が違う。
 地域開発の問題についても、職住は離れた方が良いというのは男性の視点であるが、両立を考えると近い方が良い 等、男女の考え方の違いは今のところ大きい。
 男性しかいないような分野は閉鎖的なところが多いが、女性が入ることによってそれが打破されることもある。ただし、 閉鎖性を打破するということであれば、女性に限らなくても、専門が異なる人等でも良いが、しかし女性は最大人数のマイ ノリティであり、ダイバーシティが実現されているかどうかということを知る上で、重要な指標となるものが女性の参加度で ある。
 女性特有の視点というのは過渡的な問題であろう。
(宮本委員)
家庭・家族の問題、対人サービス、子どもや高齢者の問題といった分野は依然として女性が多いので、少なくとも今後 10年から20年くらいは、そういうところで感じている思いを直接政策に反映しようとする際に違いが出てくると思う。
 今まで隠れていて政策とされにくかった部分が表に出てくるのではないか。
 公的な部分で女性が増えると、町内会や家庭といった日常的な生活での慣行も変わるだろう。
(山下委員)
ポジティブ・アクションなどにより、女性が政策・方針決定過程に参画することで顕在化してくる問題はあると思う。ポジ ティブ・アクションは、50対50の世の中になれば必要なくなると思うが、2020年になってもまだ必要だと思う。
(田中委員)
閉鎖的な社会ほど国際競争力がない。我が国が多様性に寛容な社会になることが必要であり、そのためにも、まず男 女共同参画を進めることが必要である。寛容な社会の一つとして男女共同参画社会があるのではないか。
(大石委員)
現在の制度を維持するために女性を活用しているのではないかと感じることがある。そもそも今のシステムで限界があ るのではないか。
(林委員)
過程を問題にするのか結果を問題にするかによって論点が違ってくる。プロセスに男女が共同して参画すべきであるの か、あるいは、ベストな結果を得るためにプロセスを変える必要があるということなのか。結果はどうあれプロセスが問題 であるということであれば、男女が平等感さえ持てれば良い。女性が参画すれば結果が良くなるということであれば、女性 が参画する必要があるだろう。
(小塩委員)
結果ということも重要だと思うが、女性が政策・方針決定過程へ参画することによって手続的正義が達成される。
(山田委員)
女性が参画することで結果が良くならないということは原理的にはないと思う。
 男女共同参画が実現するまでの過程である現状においては、男女の視点の相違はあると言える。
 女性を排除しているようなところには人材が集まらない。男女共同参画が進むことで、社会全体のパフォーマンスを高 める効果はあると思う。
(大石委員)
「自分はこれほど努力をしたから女性でも管理職になれた」といった苦労話ばかりが強調されると、「私は同じようにはで きない、したくない」と若い女性は引いてしまう。むしろ、「管理職になるとこんな面白さや醍醐味がある」といった面をもっと 知らしめる必要がある。
(山田委員)
無理しなければならないという現状が問題である。これからは、優秀な女性は、無理をしなくても差別されることなく努力 した結果が評価されるべきである。
(山下委員)
政策・方針決定過程へ優秀であってもなくても参画できるようにする必要がある。
(田中委員)
ポジティブ・アクションで登用されたとしても、その後どのような仕事をするかで十分ロールモデルになり得る。
(本田座長)
今まで、100人の内10人しか女性がいなかったが、労働力人口が減少する中で、労働力確保のため女性の労働者が 増加し、すそ野が広がれば、当然、女性の政策・方針決定過程への参画が進むのではないか。
(大石委員)
対象を正社員に限れば女性のほうが少ない状況は今もあると思うが、現在、女性は雇用者の4割に達している。ただ し、女性の多くはパート等で働いているので、政策・方針決定過程に参画しやすいかというと単純には言えないところもあ る。
(南委員)
50対50で参画した結果は、大人にとっては好ましいかもしれないが、子どもなど声のない部分には好ましくない結果も あり得る。そこをどうするか。
(山田委員)
男女共同参画は子育てを社会化するものではない。理念的に言えば、男女共同参画社会は専業主夫もいる社会であ る。

○ 事務局から資料6に基づき説明が行われた。

(田中委員)
2020年頃には男性の育児休業が法的に強制されているのではないかと考えており、そうであれば、育児休業制度が 変わっているという前提になるので、Q8の質問は変わってくるのではないか。
(山田委員)
Q5について、少子化や未婚化は大きな問題だと思うので、「子どもを生みやすい社会になっている。」という項目を入れ た方が良い。
 Q6-1について、経済的には育児、介護等の家族・家庭の機能の社会化は進み、かつ、家族の絆を重視するようにな るというように、アとイは両立するものである。
(林委員)
前提の中に具体的な数値があると、そこに引っ張られる可能性があるので、具体的な数値を書くならば2020年頃には どうなっているかもあわせて書く必要があるだろう。あるいは全く出さないかのどちらかだろう。
  Q7-1について、企業で能力給が進むと残業代というような概念はなくなってくるだろう。
(大石委員)
Q7-1の質問は、金銭的評価を伴っている。
(小塩委員)
Q2について、政府のコミットメントをどのように考えるかという趣旨の質問だと思うが、例えば育児休業について言えば、 大きな政府なら法制化や罰則を強化する、小さな政府なら企業の自助努力にまかせるなどの具体例を示すべき。
(林委員)
Q2はどうすべきかであってアンケートで聞くべき問題ではないと思う。
 Q1のように、同一者に理想と現実を聞くと、理想はそうだが現実はそうならないとの回答がより多数になり、思った以上 に差が開く傾向にある。結果的にそういう結論が出るというような聞き方がよく、例えば、理想と現実を別のグループに聞く という方法もある。
(田中委員)
「3 家庭・両立」の前提のウについて、離婚の際の親権母親の原則の変更と修正し、養育費の給与天引きを追加する 必要がある。
(山下委員)
Q7-1について、価値観で聞いているが、例えば、所得減になるがそれでも男性が育児等に参加して女性が働くように なるかなどともっとストレートに聞いてはどうか。
 40歳の男性層に聞いていただきたい。
(南委員)
Q7-1について、どれくらいの所得の減なのか、程度問題だと思う人が多いと思うので、聞き方の工夫が必要である。
(林委員)
Q7-1、2をはじめ、現在と2020年が入り交じっているので、分かり難くなっている。
 Q7-1、2ともに、2020年の状況を考えると男女両方についての問とすべきであろうし、また、2020年頃には今の団 塊の世代が高齢者になっており、意識も相当変わっているはずである。