男女共同参画社会の将来像検討会(第1回)議事要旨

  • 日時: 平成15年7月24日(木) 9:30~11:30
  • 場所: 総理大臣官邸3階南会議室

(出席者)

座長   本田 和子
お茶の水女子大学長
座長代理 伊藤 公雄
大阪大学大学院人間科学研究科教授、男女共同参画会議専門委員
委員   阿部 正浩
獨協大学経済学部助教授
 同   江原 由美子
東京都立大学人文学部教授
 同   大石 亜希子
国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部第二室長
 同   小塩 隆士
東京学芸大学教育学部助教授
 同   玄田 有史
東京大学社会科学研究所助教授
 同   田中 早苗
弁護士
 同   林 光
株式会社博報堂生活総合研究所所長代理兼主席研究員
 同   南 砂
読売新聞東京本社編集局解説部次長
 同   山下 仁
社団法人農村生活総合研究センター研究員
 同   山田 昌弘
東京学芸大学教育学部助教授

(政府側)

福田 康夫
内閣官房長官
坂東 眞理子
内閣府男女共同参画局長
土肥原 洋
内閣府大臣官房審議官(男女共同参画担当)
山崎 日出男
内閣府男女共同参画局総務課長

(議事次第)

  1. 開会
  2. 委員紹介
    • (1)検討会の設置について
    • (2)検討の進め方について
  3. 本検討会の目的と進め方について
  4. 閉会

(配布資料)

資料1
男女共同参画社会の将来像検討会について
資料2
男女共同参画社会の将来像について
資料3
男女共同参画社会の形成に関する最近の主な報告書
資料4
男女共同参画社会の将来を考える主な指標について
資料5
男女共同参画社会の形成と個人・家庭・社会等の動向との関連
資料6
有識者アンケートについて

(概要)

○福田内閣官房長官から、男女共同参画を巡る状況、検討会の趣旨等を踏まえ挨拶があった。

○検討会委員より自己紹介があった。

○検討会の設置について、「男女共同参画社会の将来像検討会について」(資料1)により事務局から説明があった。
 また、検討会は原則として公開すること並びに、配付資料及び議事要旨を公開することとされた。

○座長代理として伊藤委員が座長より指名された。

○「男女共同参画社会の将来像について(検討事項案)」(資料2)、「男女共同参画社会の形成に関する最近の主な報告書」(資料3)に基づき、事務局から説明があった。

(玄田委員)
男女共同参画に関連して各省で様々な取組が進められているが、こういうものを専門家以外の人にも分かりやすい形で取りまとめてはどうか。
(江原委員)
広報・啓発よりも、就業と未婚・少子化等についてのトレードオフ等の検討が必要ではないか。
(玄田委員)
例えば、企業側の男女共同参画に取り組むことで利益が上がるのかという疑問に対して利益が上がる可能性があるということ、また、女性が働くことで出生率が下がるという根拠 は極めて少ないこと等については、大きく打ち出しても良いのではないか。
(江原委員)
一般の国民が男女共同参画についてどこに疑問があり、また、分からないと思っているのかに焦点を合わせた分析ができれば良いのではないか。

○事務局から、「男女共同参画社会の将来を考える主な指標について」(資料4)、「男女共同参画社会の形成と個人・家庭・社会等の動向との関連」(資料5)を説明。

(山下委員)
農林水産業、中小企業では経営参画している女性が多いのでそのような人を対象とする指標も入れるべきだが、その実態を上手く見ることができていないようだ。
(江原委員)
ペイドワークとアンペイドワークに関し、経時的に、男女で分担が変化しているかどうかを把握することが重要。
(阿部委員)
どれくらいどのような形で休んでいるかも重要である。また、テレワーク、SOHO等の働き方の状況把握も必要。
(山田委員)
平均値での比較に意味があるのかという考え方を持っている。例えば、長時間働く人はますます長時間働く一方で、フリーターの人はますます増えてくるといった二極化等の状 況もあり、平均値では変わらないが、実際はそういう格差が現れてきているのではないか。また、女性の労働力率を示したM字カーブの底が低くなったというが、未婚率が高くなり、 子どもを産むまで働く女性が増えただけのこと。
(伊藤座長代理)
いくつかのパターンを設定し、そのパターンの中でのトレードオフの問題を提示しないと、実感と異なることが平均として出てくることは明らかで、多様性を前提に考えないと未来像 は描けないということは間違いない。
(小塩委員)
資料5を見ると、家族のところに懸念が多い。企業等でメリットがあったとしても、家族にしわ寄せが来るのではないかという懸念を多くの国民が持っているのだと思う。家族のとこ ろにどういったプレッシャーがかかるのかをチェックし、あったとしたら、政策的に手当をしていくことが必要。
(玄田委員)
1つの柱として、専業主婦は2020年には今ほど一般的でないという予想は、ある程度合意できるのではないか。
 また、男女共同参画で必要なことは、個々人が伸びる、良くなるチャンスが男女関係なく開かれているかということであり、1人1人がどうなっていくかを見るような指標が必要であ る。
(江原委員)
資料3によると、女性では専業主婦家庭の妻の満足度が高く、男性では共働きの夫の満足度が高い。これをどう考えるべきか。共働きが辛すぎるということか。そうだとすると、仕 事と家庭の両立を可能にするような条件をよほど整えないと、共働きが増えると女性の満足度は下がるということになりはしないか。
(阿部委員)
現在、結婚と同時に退職、出産前に退職等8割程度の女性が仕事を辞めている。それには政策的な問題があると思われ、専業主婦を希望する人、しない人がどの程度いて、ま た、その推移に対して、現実はどうなのか、そのギャップはなぜ生じるのかを明確にすることが必要。
(山田委員)
それは逆に専業主婦を支えられる男性がどれだけいるかという問題ではないか。
(阿部委員)
毎年夫の所得が減少していくという傾向があるにもかかわらず、女性が働きに出ない。これは、出産、結婚等による就業へのバリアが高いのではないかと思っている。
(本田座長)
家庭、家族は1つの重要なコンセプトとして考えていくことは必要であるようだ。また、専業主婦というキーワードを使うかどうか、また、使う場合には、色々なファクターを考慮する 必要があると思われる。
(林委員)
企業、社会等は、制度等がどう変わるかによって予想可能だが、家族、家庭等個人の意識に関わるものは制度等の変化に従うかは分からない。また、違った価値観等を持つ新 しい世代が入ってくるため、不連続な変化が想定される。理念だけでは重要と言っても変わらない。誘導できるような方策を作ることが必要。
(伊藤座長代理)
コストがかかるが、20年先を見据えて、3,000世帯程度のパネル調査を行うことも考えてはどうか。
(玄田委員)
指導的立場にある女性の割合を3割にすることを支援することを考える場合、ある階層、グループをターゲットとして、指導的立場一歩手前にある人に何が起こりつつあるのかを 調査することが必要。パネル調査は結果が出るまで時間がかかりすぎるため、指導的立場一歩手前である均等法第一世代が、この14、5年間どうしてきたかを調査することが現 在検討可能なことと考える。
(大石委員)
社会全体として男女共同参画が進んでいる国と、社会の階層差が大きく、上流階級では男女差が全くなく、そのことがGEMを押し上げている国があるように思う。日本はどちらに 行くのかということを検討した方が良い。仕事専念型の人と、育児専念型の人がいて、平均して社会として両立型となる場合と、一人の人間にとって仕事と家庭が両立できる場合の 2種類があると思われる。
(田中委員)
将来像を考える上で、家庭の在り方は多様であって良く、離婚が増加、非婚化が進む、少子化がどのくらい進むといったことを最終報告書とするのはあまり意味がないと考える。
(南委員)
1人で過ごす子どもの増加というデータが気になっており、今、青少年に起こっていることと、1人で過ごす時間が長いということは関係があるような気がしているので、家庭という くくりではなく、子どもがどういう状況に置かれているかというような調査が欲しい。
(本田座長)
調査について色々意見があったので、阿部委員、伊藤座長代理、玄田委員、林委員、山田委員に調査について検討をお願いしたい。それを持ち寄っていただき、次の検討を進め るということにしたい。