生活困難を抱える男女に関する検討会(第9回)議事要旨 | 検討会 | 推進本部・会議等ホームページ

  • 日時: 平成21年5月25日(月) 15:00~17:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室
  1. 出席者

    ○監視・影響調査専門調査会
    鹿嶋会長
    大沢委員
    岡本委員
    勝又委員
    神田委員
    潮谷委員
    神野委員
    住田委員
    袖井委員
    橘木委員
    畠中委員
    ○生活困難を抱える男女に関する検討会
    阿部委員
    湯澤委員
    ※監視・影響調査専門調査会と合同開催

  2. 議題

    「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女」に関する施策の各府省庁等ヒアリング(第1回)
    厚生労働省

  3. 議事要旨

    ■ 厚生労働省のヒアリング

    (次の施策の説明を受けた。)

    • 母子家庭等就業・自立支援事業
    • 母子家庭等日常生活支援事業
    • 職業紹介等を行う企業等による婦人保護施設等の退所者(DV被害者等)に対する就業支援
    • 婦人保護退所者自立生活援助事業
    • 生活保護制度における子どもの健全育成のための支援
    • パート労働者の均衡待遇

    【説明を踏まえての意見交換】

    <母子家庭等就業・自立支援事業>

    ○本事業は法定受託事務か、自治事務か。自治事務とすれば、国の関与は補助金の交付にとどまるのか。事業の効果を把握しているのか。
    →自治事務。補助金は国1/2、地方自治体1/2の負担。実施市町村、相談件数・講習会・情報提供の数は年々伸びている。効果については、母子世帯等実態調査の平成18年と平成15年調査を比較すると、母子家庭の就業状況は84.5%(83%)、臨時パートの割合は43.6%(49%)だが、常用雇用が42.5%(39.2%)と雇用状況は若干改善している。母子世帯の平均年間収入は213万円(212万円)と一般世帯との比較が必要ではあるが微増している。あと、母子家庭の能力開発のための給付金の実績も上がっており、常用雇用に結びついているのではないかと考えている。

    ○在宅就業については、講習会で技術を習得してもPCを買うことができず、忘れてしまう。在宅ということが必ずしも有効に機能するかどうか更なる検討が必要。

    ○児童扶養手当の5年の有期化は現在どのようになっているのか。
    →働ける状態だけれども求職活動も何もやっていない方のみ支給が停止される。

    ○「児童扶養手当」と、平成14年の母子および寡婦福祉法等の改正以降から現在までの「母子家庭就業・自立支援事業」を含む母子家庭支援施策の4本柱に関する施策の、予算額、補助率の推移がわかる資料を提出してほしい。
    →おって提出する。

    <母子家庭等日常生活支援事業・職業紹介等を行う企業等による婦人保護施設等の退所者(DV加害者等)に対する就業支援・婦人保護退所者自立生活援助事業>

    ○「安心子ども基金」は評価できるものだと思うが、経済危機の中で、緊急的なニーズに対応するものが必要で、例えば、住居の問題、経済資金の問題、子どもの教育資金の問題など今すぐに対応が必要だと考えるが、「安心子ども基金」の中で対応しているのか。
    →保育サービス、社会的養護、母子家庭や一般の地域子育てに関する支援もあり、全体で1,500億円の「安心子ども基金」となっている。

    ○生活指導員、民生委員、ケースワーカー、DVを対応する職員自身の研修・教育訓練、身分はどうなっているのか。
    →身分保障の問題、バーンアウトの問題、専門性確保のための予算は自治体に補助しているが、地方自治ということで、自治体がどのように取り組まれるかというところである。現場ではいろいろなご意見があると聞いている。生活を訪問支援する者の任命については自治体で決めており、婦人保護施設に常勤で置かれているというよりは、実際の訪問支援が不定期なこと等もあり非常勤の形で置かれているというところが多いと聞いている。

    <生活保護制度における子どもの健全育成のための支援>

    ○学習支援のための給付の追加について、教育扶助は既に生活保護の中に含まれているが、恒久化したときの増減はどうなるのか。
    →教育扶助は、義務教育に係る費用に対応。今回の学習支援金は小中学生は教育扶助に、高校生は生業扶助の高等学校等就学費に上乗せして支給する。

    ○生活保護を受けている子どもは子ども全体から言うと1%満たすかどうかで、子どもの貧困率がおよそ14%と言われる中でほんの一部である。生活保護を受ける中で教育扶助も就学援助も受けられる子どもと、生活水準はあまり変わらないが生活保護基準を満たさず就学援助だけしか受けられない子どもとの均衡をどう考えているか。
    →生活保護を必要とされる方には生活保護を受給していただくということが重要。就学援助は文部科学省の事業なので、今後、連携して教育支援を進めていきたい。

    ○自立支援プログラムが導入されるようになってから、子どもの視点からプログラムを実施する自治体も出てきており、そうした自治体では、高校で言えば、全日制高校への進学率は同世代の子どもたちより極めて低いとか、中退率が高いとか、支援対象者の実態をデータで検証しながら施策を進めている。是非国としてもデータによる把握をしていただきたい。
    →検討したい。

    <パート労働者の均衡待遇>

    ○短時間労働者正社員制度について、具体的なイメージと導入比率を教えて欲しい。
    →法律上の定義は置かれてないが、名前のとおり、所定労働時間が短い正社員というものを考えている。雇用期間の定めがなく、かつ、月給を時間当たりに直したときに、フルタイムの正社員と給与が同じ、賞与や退職金も支給基準がフルタイムの正社員と同等といったものを考えている。企業の中で人事制度として確立しているということを考えているので、就業規則あるいは何か労働契約に書いてあるとかというような形で客観的にわかるようなものを念頭に置いている。導入比率については、短時間正社員制度が事業主一般になかなか周知しきれていないところで、数はわからないところではあるが、それほど多くはないと思われる。

    ○パート労働者が1,400万人に増えてきた中、同一価値労働・同一賃金の原則がないと正社員との格差が大き過ぎると考えるが、どうか。
    →同一労働、同一賃金という概念は、今回の改正パート法の中で第8条に盛り込んだ。無期契約で、仕事が同じで、責任の範囲も同じで、人材活用の仕組みが一緒であれば、それは当然パートだということだけで差別してはならないため、明確に規定している。
    →同じ労働をしていれば同じ処遇を受けるというのは当然の基本原則。まずそれを徹底した上で、均衡処遇のところをどのように確保していくかという御指摘は非常に大きな問題だと考えている。どのぐらい同じで、どのぐらい違ったときに、どれだけの処遇をするのが妥当であるのかというところを日本の現状を踏まえて検討していきたい。

    ○パートと正社員の間の相互の移行がスムーズにいかないように思われるが、どうか。
    →一度正社員から外れるともとに戻るのが難しい、障壁が高いということが問題になっていると思っており、改正パート法では12条で措置義務化したが、正社員化をするといっても、それが労使双方にとって望む形でなければなかなか難しいということもあり、短時間正社員も含めて、正社員へのルートを複数提示することで、より移行が図られるようなことを考えていきたい。

    ■ヒアリング全体についての意見交換

    ○ワーキングプアという、働いても所得が向上しないという日本独特の状況をどのように改善していくか、様々な施策を更に講じていくことが必要。

    ○直接雇用でなく、派遣、請負の現状についてヒアリングしたい。実態がわからず、製造業請負だけで100万人と言われている。

    ○実際に施策を行っている自治体にヒアリングを行うことがいいのではないか。

    ○雇用保険に加入しておらず、セーフティネットのない労働者をどのように支援していくか。就業訓練を受けてまた戻れる、そのような仕組みをどのように作っていくか、国の考えを聞けたらと思う。