男女共同参画会議(第32回)記者会見

日時:平成21年11月26日(木)19:00~19:20
場所:中央合同庁舎4号館 6階605会見室

1.福島大臣発言要旨

お待たせしました。記者会見を始めます。

先ほど、第32回男女共同参画会議が開催されました。鳩山内閣になって初めての男女共同参画会議です。本日は、鳩山総理にも御出席いただきました。

冒頭、鳩山総理より、男女共同参画の実現は友愛社会の目標の実現の前提であり、鳩山内閣の下で、あらゆる面での男女共同参画をしっかり進め、男女共同参画会議を引っ張っていき、成果を上げていきたい旨のごあいさつをいただきました。

印象に残ったというか、非常に心のこもったごあいさつだと思ったので、内容を御紹介します。

友愛社会になるために、女性と男性が生き生きと頑張れる国になることが当然で、前提であるが、道は遠い。GEM、ジェンダーエンパワーメント指数も109か国中57位である。孫が生まれたけれども、息子夫婦が孫の世話をしている様子を見ると、男性の意識も変わったと思う。息子も随分子育てをやっているが、世界から見ると、日本の男性の意識はまだまだだと思う。日本の今後の政策課題は、医療、福祉、環境、教育などで、女性の視点が重要なものばかりである。男女共同参画社会をつくるために政治が頑張らなければならない。男女共同参画会議の皆さんには、私どもの目の覚めるような政策をつくるために貢献をいただきたい、というごあいさつがありました。

本日の会議の議題は、3つありました。

初めは、本年8月に国連の女性差別撤廃委員会から出された、我が国の第6回報告に対する最終見解を踏まえた対応について、議論を行いました。
有識者議員から、今後特に、(1)民法改正、(2)女性差別撤廃条約の選択議定書の批准、(3)女性の参画拡大のための暫定的特別措置、(4)女性に対する暴力の根絶・被害者支援の4項目について、重要課題として取り組むべきだ、という御提案がありました。

続いて、農林水産大臣、法務大臣、外務大臣政務官、総務大臣から、発言がありました。農林水産大臣からは、民法改正については、民主党の政策INDEXにも書いてあり、大いに推進をすべきである。農村の女性については、まだまだ不十分な部分があるので、大いに進めたい旨の発言がありました。

法務大臣からは、民法改正について、反対の意見もあるけれども、頑張ってやっていきたい旨の発言がありました。

外務大臣政務官からは、関係省庁とともに、選択議定書の批准に関して真剣に取り組んでまいりたいという発言がありました。

総務大臣からは、公務員の登用の話などで、まだまだなので大いに進めたい旨の発言がありました。

私からは、最終見解での指摘事項についてはしっかり検討をして、第3次男女共同参画基本計画に反映させていきたいということ、本日の会議で取り上げた重要課題については、今後、関係閣僚間で検討を深め、適宜、男女共同参画会議に御報告いただくこととしたい、という2点について申し上げました。

本日は、官房長官が議長として御出席され、総理のあいさつもあり、閣僚大臣と有識者の間で、特に、民法改正、女性差別撤廃条約の選択議定書の批准、ポジティブ・アクションと女性に対する暴力根絶の取組について、今後閣僚間で検討を深めていくということの確認がされたことが、非常に大きかったと思っています。本日の成果だと考えています。各省庁における前向きな取組を大いに期待いたします。

第2番目の議題では、来年策定予定の第3次男女共同参画基本計画について、今後の進め方を確認するとともに、議員間で意見交換を行いました。

有識者議員からは、お手元の資料2-2に挙げられた事項について御提案をいただきました。

私からは、本日出された御意見も踏まえて、来年の策定を目指し、国民にとって身近な、新たな時代にふさわしい計画となるよう検討を進めていきたい旨、申し上げました。

第3番目は、お手元に「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女に関する監視・影響調査報告書」という分厚い資料があると思いますが、この最終報告について、鹿嶋議員から御説明がありました。男女の生活困難の問題に早急に対応して、困難な状況の次世代への連鎖を断ち切らなければならないとの認識に基づく報告を踏まえ、男女共同参画会議として、資料3-2「政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況および今後の取組に向けての意見」のとおり、意見決定を行いました。

生活困難な男女の問題に関してこのような取組がされたことは初めてであり、非常に現代的な、こういった問題について、各役所で課題が共有されることは、大きな前進だと考えています。

鹿嶋議員からもあったのですが、今、年収200万円以下の世帯が1,000万人を超えている状況の下、男性が稼いで、妻と子どもを養うことが、本当に困難になっている。男性高齢者の貧困の問題もありますし、もっと言えば、女性の方がどの世代でも貧困なんです。ですから、かつての男女共同参画よりもバージョンアップし、いろいろなライフスタイルを応援し、男女ともに働き続けられる社会をきちんとつくっていくことが必要だ、ということが確認できたと思っております。

関連して、有識者議員から、生活困難の背景には、ひとり親家庭で収入が少ない、健康を害している、あるいは、ドメスティックバイオレンスの後遺症などで苦しんでいるなど、複合的な要因があるので、その対応のためには、各種の施策を組み合わせていく必要がある。これまでのようなサービスの提供側の縦割りではなく、受け手側に着目をした、切れ目のない様々な施策、受け手側のオーダーメイドの支援策が必要ではないか、という発言がありました。

最後に、議長である官房長官から、男女共同参画は、国民一人ひとりの生活や社会の在り方に関わる重要な課題であり、今後も適時適切に男女共同参画会議を開催して、議論を深めていきたいという発言がありました。議長である官房長官から、大胆に取り組んでいくとおっしゃっていただいたのは、内閣としての確認なので、私自身としては、非常に嬉しく思いました。

女性も男性も応援し、男女共同参画社会基本法が21世紀の最重要課題としている、女性も男性もいきいきと生きられるような社会を目指す男女共同参画こそ、不景気や不況や少子化やいろいろな問題を解決する有効なテーマであるという認識が、鳩山内閣の下でできたことは、よかったと思っています。

最後に、繰り返しになりますが、女性差別撤廃委員会の最終見解の指摘事項の中で、とりわけ4点のテーマに関して、みんなで共有し、検討を進めていくということが、閣僚も含めた参画会議で確認されたことは、大きいと思っています。

以上です。

2.質疑応答

(問)
先ほど、女性差別撤廃委員会からの最終報告を受けて検討を進めていくと確認された、また、外務省から関係省庁と選択議定書の批准に向けて真剣に取り組んでいきたいとの発言があった、とのお話がありましたが、これは個人通報制度を含めた選択議定書の批准に向けて進めていこうということで、一致したということですか。
(答)
外務省の発言は、関係省庁と真剣に取り組んでまいりたいということで、批准するとかしないとかいう発言ではないと思います。
(問)
批准に向けて取り組んでいこうというところまでは、まだ至っていないということですか。
(答)
批准について真剣に検討してまいりたい、というご発言でした。
(問)
まだどちらかはわからないということですか。
(答)
正確に申し上げれば、そうだと思います。批准するよう頑張っていきたいということではなくて、批准について真剣に取り組んでまいりたいということなので、それは正確に申し上げた方がいいと思います。
ただ、今日こういう協議ができたことはよかったと思います。
(問)
民法改正の部分については、最終見解の中では、例えば選択的夫婦別姓の導、結婚年齢引下げ、再婚期間の短縮など、いろいろ内容があったと思うのですが、そのうちのどの部分については慎重で、どの部分については一致したとか、内容によっての温度差のようなものはあったのでしょうか。それとも、特に区別せずに、女子差別撤廃委員会から指摘されたことについて閣僚間で検討していくことを確認した、ということでよろしいのですか。
(答)
後者の方です。千葉法務大臣は、「民法改正」とおっしゃって、個別には分けていませんでした。赤松農林水産大臣からも、「民法改正」として、発言がありました。勝間議員からは、選択的夫婦別姓という形で言及がありました。
ですから、個別にというよりは、民法改正というざっくりした課題について、検討していくということが共有されたということです。
(問)
では、当然全部含まれているという認識ですか。
(答)
そうですね。
(問)
そうすると、民法改正に向けて、一歩踏み出したという理解でよろしいですか。
(答)
そうだと思います。民法改正に向けて一歩踏み出したということを、個別具体的に確認したわけではありませんが、官房長官を議長とするこの会議の中で、4点が重要な課題であるという議論があった訳ですから、私としては、民法改正について、一歩が踏み出されたと理解しております。
(問)
民法改正については、いつぐらいを目途にとか、時期はありますか。
(答)
今日の発言の中で、大いに進めるべきだということはありましたが、法務大臣も含めて、時期については、特に出ませんでした。
(問)
民法改正について、官房長官は何か意見を述べられたのですか。
(答)
ありませんでした。
(問)
全体的に、会議としては、賛成という感じなのですか。
(答)
反対の意見を述べた方はいらっしゃらなかったということです。
(問)
総理は、民法改正について、何か進めるべきだとか、言及はあったんでしょうか。
(答)
鳩山総理は、冒頭あいさつをされた後、公務のため退席されました。

以上