男女共同参画会議(第41回)議事要旨

  • 日時: 平成24年8月1日(水) 18:10~18:40
  • 場所: 総理大臣官邸2階小ホール

【出席者】

 
野田 佳彦 内閣総理大臣
議長
藤村 修 内閣官房長官
議員
中川 正春 内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
川端 達夫 総務大臣(代理 松崎 公昭 総務副大臣)
滝実 法務大臣
安住 淳 財務大臣(代理 五十嵐 文彦 財務副大臣)
平野 博文 文部科学大臣(代理 高井 美穂 文部科学副大臣)
小宮山 洋子 厚生労働大臣(代理 西村 智奈美 厚生労働副大臣)
郡司 彰 農林水産大臣
枝野 幸男 経済産業大臣
羽田 雄一郎 国土交通大臣
細野 豪志 環境大臣(代理 横光 克彦 環境副大臣)
松原 仁 国家公安委員会委員長
岩田 喜美枝 株式会社資生堂顧問
岡本 直美 日本労働組合総連合会会長代行
鹿嶋 敬 実践女子大学教授
加藤 さゆり 長野県副知事・前全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
佐々木 常夫 株式会社東レ経営研究所特別顧問
辻村 みよ子 東北大学大学院教授
宮本 太郎 北海道大学大学院教授
山田 昌弘 中央大学教授
出席者
平野 達男 復興大臣
松下 忠洋 内閣府特命担当大臣(金融)
古川 元久 国家戦略担当大臣
後藤 斎 内閣府副大臣
園田 康博 内閣府大臣政務官
加藤 敏幸 外務大臣政務官

【議事次第】

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)専門調査会からの報告について
      • 1.女性に対する暴力に関する専門調査会
      • 2.監視専門調査会
    • (2)「女性の活躍促進による経済活性化」行動計画について
    • (3)その他
  3. 閉会

【議事要旨】

  1. 開会
    • ○冒頭、藤村内閣官房長官から以下のような挨拶があった。
      • 関係閣僚におかれては、2つの専門調査会の報告を踏まえ、性犯罪対策や雇用・セーフティネットの再構築等を始め、第3次男女共同参画基本計画のさらなる推進に向けて、相互に十分に連携を図りつつ、関係施策を着実に進めていただきたい。
      • 「働く『なでしこ』大作戦」について年末までに工程表を策定予定。本件を含め、皆様から活発な御意見をいただきたい。
  2. 議事
    • ○辻村議員から「女性に対する暴力に関する専門調査会」の取りまとめについて、説明があった。資料1-1
      • 性犯罪は、若年層の被害者が多く、長期にわたる精神的被害を伴うこと、被害の潜在化の傾向があること、面識ある者からの犯行が多いことなどの特徴。
      • 第1に厳正な対処が必要。強姦罪は親告罪とされているが、未成年が多い被害者に告訴について判断させることは負担が重い、相手側からの告訴取消しの圧力が非常に強いことなどを考慮すると、非親告罪化が有意義との意見が多い。ただし、本人が明確に告訴を否定する場合には起訴しない韓国の制度等を参考に、被害者の意思を尊重する必要性を記載。
      • 暴行・脅迫を用いない姦淫によっても強姦罪が成立する年齢を現行の13歳未満からの引上げが必要との見解が多い。
      • 女子のみを対象とするなどの強姦罪の構成要件の見直しについても報告書に記載。
      • 強姦罪の見直しについて、法務省において、本報告書の趣旨を踏まえて検討していただきたい。
      • 第2に被害者への支援・配慮が必要。ワンストップ支援センターの設置促進が課題。継ぎ目のない支援を提供する人と場所の確保、公費負担制度、捜査・裁判手続における負担の軽減、二次的被害の防止も重要。
      • 第3に「加害者に関する対策の推進等」、第4に「啓発活動の推進」も報告書に記載。
      • 以上、可能な限り、早期に検討、実施に移していただきたい。
    • ○鹿嶋議員から「監視専門調査会」の取りまとめについて、説明があった。資料1-2
      • 1.「雇用・セーフティネットの再構築」について
        • パートタイムなど非正規雇用者の均等・均衡待遇確保の促進や正社員への転換推進に関する法整備を含めた検討をお願いする。
        • 「若者を始めとする雇用対策等の強化」では、若者の厳しい就職環境を踏まえた対策とともに、女性が就業を継続できる環境の整備等が必要。
      • 2.「より多様な生き方を可能にする社会システムの実現」について
        • 配偶者控除及び第3号被保険者制度の見直しが必要。特に配偶者控除は抜本的な見直しへの議論を進めてほしい。
        • 「家族に関する法制の整備等」では、選択的夫婦別氏制度の導入等、民法改正を改めて強くお願いする。国連・女子差別撤廃委員会も強い関心を持っている。
    • ○中川男女共同参画大臣より「女性の活躍促進による経済活性化」行動計画について、説明があった。資料2
      • 「男性の意識改革」、「思い切ったポジティブ・アクション」、「公務員から率先して取り組む」の3本柱。
      • 行動計画の策定に当たり、総理からの指示として、第1に国が率先垂範する取組を加速、特に男性育児休業の目標値の達成に向けた工程表の作成。
      • 第2に起業や再就職等、女性のチャレンジを応援する実効性ある政策対応の強化。
      • 第3に「見える化」を全閣僚が省庁の垣根を越えて多くの企業に働きかけ、取組を促す「見える化」総合プランを年内に策定。
    • ○上記の報告を踏まえ、各議員から以下のような意見が述べられた。
      • (滝法務大臣)
        • 性に関する刑罰の問題は国民生活に深く関わる繊細かつ重要な問題であり、その見直しは様々な観点から慎重に進めて行くことが必要。第3次男女共同参画基本計画に基づく検討を踏まえ,見直しの要否や内容について、適切に判断してまいりたい。
        • 選択的夫婦別氏制度の導入等の民法改正は、内容等を十分に関係方面に対し説明しながら、改正に向けて努力したい。
      • (加藤議員)
        • 審議会等の女性委員の登用促進について、長野県で実施しているように、国においても審議会等の女性委員比率が目標値を下回る場合、ホームページ等で理由を公表することを検討されたい。他の自治体に広まってほしい。
        • 農業は、衰退産業ではなく成長戦略の柱になるべきであり、女性が引っ張る日本の農業を目指して、農業における男女共同参画促進策を重要な成長戦略として進めていただきたい。
      • (岩田議員)
        • 「働く『なでしこ』大作戦」が策定され、経済政策の重要な要素として「日本再生戦略」に盛り込まれたという点で、女性労働の問題は新しいステージに入ったという印象。中でも「見える化」は行動計画の目玉。
        • 「見える化」の対象は企業の現状についてだけでなく、当該企業の方針や目標の開示も必要。
        • 情報開示はルール化すべき。
      • (宮本議員)
        • 日本経済復活の鍵は男女共同参画。女性の社会進出は地域・家族のきずなを弱めるという見方があるが、事実は逆。
        • 介護の必要、子育ての必要という必要縁を女性が地縁、血縁と結びつけ、活性化させている。
        • 今後ますます重くなっていく介護・子育ての負担を女性が軽減することで、家族のつながりを甦らせる。
      • (山田議員)
        • 若い女性の自殺率の上昇や海外への出国の増加は、日本社会が生きにくいことの反映ではないか。
        • 日本の固定的な労働慣行が女性の活躍を妨げる根本原因であり、切り込んだ改革をお願いしたい。
      • (古川国家戦略担当大臣)
        • 男性の意識改革が非常に大事であり、皆さんの意見をいただきながら、女性の活躍状況の「見える化」等の取組を推進してまいりたい。
      • (枝野経済産業大臣)
        • 女性の活躍促進は日本の経済を成り立たせるための必要条件。
        • 女性が活躍しやすい環境の企業、女性の役員が多い企業の方が企業収益力が高いという客観的なデータがあるので、専門家の皆様においては更に研究し、アピールしていただきたい。
        • PTAの会合が平日昼間に行われるなど、従来の専業主婦ライフスタイルを前提とした社会環境を変えないと女性の活躍促進は進まない。民間議員及び関係省庁の皆様にご協力をお願いしたい。
    • ○後藤内閣府副大臣から、今後の取組事項及び当面の検討の進め方について説明。資料3
    • ○中川内閣府特命担当大臣(男女共同参画)から今後の取組事項及び当面の検討の進め方について提案があり、了承された。
  3. 閉会
    • ○野田内閣総理大臣から以下のような発言があった。
      • 女性は我が国のフロンティアの1つであり、潜在力の最たるもの。女性の活躍は日本再生に不可欠。
      • スポーツの世界と同じように、社会のあらゆる分野で女性の活躍が当たり前になるようにしなければならない。
      • 女性の活躍を求める社会全体の機運は熟しており、政府自身と心ある人々の先駆的な取組が重要。
      • 政府全体の取組の先頭に立ちたい。有識者の皆様にも、「社会を動かす変革」の先達として、それぞれの分野で後押しをお願いする。